(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】核酸キャリア及び治療上の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20240708BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240708BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240708BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240708BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240708BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240708BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240708BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240708BHJP
A61K 47/59 20170101ALI20240708BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240708BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240708BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 121
A61P35/04
A61P35/02
A61P37/02
A61K31/713
A61K47/68
A61K47/62
A61K47/61
A61K47/54
A61K47/55
A61K47/60
A61K47/59
A61K45/00
A61K38/19
C12N15/11 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078004
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2018543636の分割
【原出願日】2017-02-17
【審査請求日】2022-05-11
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522006144
【氏名又は名称】コード バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・シー・ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エム・カダッシン
(72)【発明者】
【氏名】ロリ・ゲッツ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0151005(US,A1)
【文献】国際公開第2014/153394(WO,A1)
【文献】Adv Funct Mater.,2014年,Vol.24, No.19,p.2899-2906
【文献】J. theor. Biol.,1997年,Vol.187,p.273-284
【文献】Cancer Res,2016年03月15日,Vol.76, No.6,p.1549-1559
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
11個の単量体を含む1.5層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドの相補的部分により形成される二本鎖領域は25~35塩基長であり、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
相補的ではない前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドの末端部分は各々、独立して、25~35塩基長であり、
前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドは各々、独立して、前記末端アームの一方又は両方を前記二本鎖領域に連結する1つ又は2つのヒンジセグメントをさらに含み、
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、24個の周辺末端アームを有する1.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【請求項2】
35個の単量体を含む2.5層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドの相補的部分により形成される二本鎖領域は25~35塩基長であり、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
相補的ではない前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドの末端部分は各々、独立して、25~35塩基長であり、
前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドは各々、独立して、前記末端アームの一方又は両方を前記二本鎖領域に連結する1つ又は2つのヒンジセグメントをさらに含み、
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、
第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコ
ンジュゲートされ;
72個の周辺末端アームを有する2.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【請求項3】
前記少なくとも1つの標的薬剤が、抗原、ペプチド、抗体もしくはその断片、抗体-薬物コンジュゲート、非抗体足場、標識、アジュバント、RNA分子、DNA分子、ビタミン、タンパク質、融合タンパク質、融合ペプチド、炭水化物、脂質、多糖類、リポ多糖類、ポリマー、ウイルス粒子、もしくはウイルス様粒子、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1
または2に記載の核酸キャリア。
【請求項4】
前記ポリマーが、ヒアルロン酸、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、または乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)であり;
前記非抗体足場が、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、シスノット、DARPin、FN3、フィノマー、kunitzドメイン、またはO-ボディであり;
前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、酵母抗原、原虫抗原、またはプリオンであり;
前記抗体断片が、Fab、F(ab’)
2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcであり;
前記抗体またはその断片が、4-1BB、5AC、5T4、A2aR、アクチビン受容体様キナーゼ1、AGS-22M6、AKAP4、アルファ-フェトプロテイン、アンジオポエチン2、B7-H3、BAFF、BAGE、BCR-ABL、BORIS、CA-125、CA19-9、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD24、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD40、CD44 v6、CD51、CD56、CD70、CD71、CD73、CD74、CD79B、CD80、CD137、CD140a、CD152、CD200、CD221、CD274、CEA、ch4D5、CLDN18.2、CS1、CSF1R、CTLA-4、C-X-Cケモカイン受容体4型、DLL4、DR5、EBAG9、EGF、EGFR、EGFL7、EpCAM、ERBB2、ERBB3、FAP、フィブロネクチンのエキストラドメイン-B、葉酸受容体1、葉酸受容体アルファ、葉酸ヒドロラーゼ、Frizzled受容体、GAGE、GD2ガングリオシド、GD3ガングリオシド、神経膠腫、グリピカン3、GPNMB、gp100、GUCY2C、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、ヒストン複合体、HLA-DR、ヒト分散因子受容体キナーゼ、HPV-16、HSP105、IDH1、IDO1、IGF-I、IGF-1受容体、ILGF2、IL-6、IL-13、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、KIR、LAG-3、ルイス-Y抗原、LY6K、MAGE-1、MAGE-A3、MAGE-C2、MAGE-D4、MAPG、MART-1、Melan-A、MET、MCP-1、メソテリン、MIF、MSLN、MS4A1、ムチンCanAg、MUC1、MUC4、MUC16、NG2、N-グリコリルノイラミン酸、Notch受容体PD-1、NY-ESO-1、OCAA、PAP、PDGF-R α、PDCD1、PD1、PD-L1、リン酸-ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、PRAME、PSA、RANKL、RON、ROR1、SDC1、シアリルTn、SLAMF7、SPAG-9、SSX1、STEAP1、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TEM1、テネイシンC、TGF-β、TIM-3、TLR、TAM、TIM-3、TRAIL-R2、TRAIL-R1、TWEAK受容体、腫瘍特異的グリコシ
ル化MUC1、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達転写因子2、腫瘍抗原CTAA16.88、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGF-A、VEGFR2、VEGFR-1、ビメンチン、VISTA、WT1、及びXAGE-1bから選択される腫瘍関連抗原である疾患関連抗原を標的とし;
前記抗体またはその断片が、1-40-β-アミロイド、AOC3(VAP-1)、ACVR2B、アンジオポイエチン3、ベータアミロイド、C5、CCL11(エオタキシン-1)、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD18、CD20、CD23(IgE受容体)、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD28、CD41(インテグリンアルファ-IIb)、CD52、CD125、CD147(ベイシジン)、CD154(CD40L)、CEA関連抗原、クランピング因子A、エンドトキシン、GMCSF受容体α鎖、成長分化因子8、ヘマグルチニン、HNGF、Hsp90、IGHE、IgE Fc領域、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-12、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-20、IL-22、IL-23、IL-6受容体、インテグリンα4β7、インテグリンα7β7、インテグリンα4、インテグリンαIIbβ3、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンガンマ誘導タンパク質、IFN-γ、IFN-α、ITGB2(CD18)、LFA-1(CD11a)、LINGO-1、リポタイコ酸、LOXL2、ミエリン関連糖タンパク質、ミオスタチン、神経アポトーシス制御プロテイナーゼ1、NGF、NOGO-A、Oryctolagus cuniculus、OX-40、PCSK9、ホスファチジルセリン、血小板由来増殖因子受容体ベータ、RANKL、アカゲザル因子、スクレロスチン、SOST、スフィンゴシン-1-リン酸、TFPI、TGF-β、TGFベータ2、TGFベータ1、TNF-α、VEGF-A、及びVWFから選択される疾患関連抗原を標的とし;
前記抗体またはその断片が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、TIL、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、及びマスト細胞から選択される免疫細胞の細胞表面マーカーを標的とし;
あるいは、前記RNA分子が、siRNA、miRNA、mRNA、snRNA、dsRNA、ncRNA、snoRNA、またはアプタマーである、請求項
3に記載の核酸キャリア。
【請求項5】
以下の(a)~(u)の1つまたは2つを含む、請求項
3に記載の核酸キャリア:
(a)HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(b)EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(c)EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(d)PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(e)CD30に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(f)HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(g)CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(h)EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(i)NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(j)CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する
抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(k)CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(l)CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(m)MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(n)CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(o)CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(p)OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(q)MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(r)HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(s)神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
(t)葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;及び
(u)PD-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PDL-1またはPDL-2に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤。
【請求項6】
前記標的薬剤が、抗原、抗体、または抗体の断片であり、前記標的部分を前記少なくとも1つの一本鎖アームにコンジュゲートする前記オリゴヌクレオチドリンカーが、CpG含有オリゴヌクレオチドである、請求項1
または2に記載の核酸キャリア。
【請求項7】
前記核酸キャリアが、少なくとも1つの抗原、免疫細胞に対する少なくとも1つの抗体またはその断片、及び少なくとも1つのアジュバントを含む、請求項1
または2に記載の核酸キャリア。
【請求項8】
化学療法剤、サイトカイン、またはケモカインをさらに含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の核酸キャリア。
【請求項9】
各ヒンジセグメントは、独立して、1、2、3、又は4ヌクレオチドを含む、請求項
1~8のいずれか1項に記載の核酸キャリア。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項の核酸キャリアと、薬学的に許容されるビヒクルとを含む医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物の免疫応答を誘導する方法において使用するための、請求項
10に記載の医薬組成物であって、ここで、核酸キャリアが、抗原、ペプチド、抗体またはその断片、及びアジュバントから選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項12】
前記抗体断片が、Fab、F(ab’)
2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである、請求項
11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
がんを有する哺乳動物を治療する方法において使用するための、請求項
10に記載の医
薬組成物であって、ここで、核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項14】
前記抗体断片が、Fab、F(ab’)
2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記核酸キャリアが、
前記がんが乳癌、卵巣癌、または前立腺癌である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが固形腫瘍、肺癌、または結腸癌である、EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがトリプルネガティブ乳癌である、EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが乳癌である、PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX-40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがホジキン病である、CD30に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが転移性乳癌または前立腺癌である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが非ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫である、CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、卵巣癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、小細胞肺癌である、EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが黒色腫である、NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、前駆B細胞急性リンパ性白血病または非ホジキンリンパ腫である、CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが非ホジキンリンパ腫である、CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、結腸癌、肺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、子宮癌、乳癌、または黒色腫である、CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが浸潤性膵腺癌である、MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがCA19-9陽性腫瘍である、CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが卵巣癌である、CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが卵巣癌である、OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが転移性黒色腫である、MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがHER-2陽性腫瘍である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが神経膠腫である、神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
及び前記がんが、小細胞肺癌、乳癌、または卵巣癌である、葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤を含む、請求項
13または請求項
14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一部には、標的薬剤を含む核酸キャリア、それを含む医薬組成物、ならびにそれらの製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAデンドリマーを含め、多分子足場デバイスは、細胞トランスフェクション剤、イメージング剤、及び薬物送達剤として有用であり得る。DNAデンドリマーは標的指向性デバイス(例えば、細胞内エンドサイトーシスによる内部移行事象を誘発することができる、細胞表面形状に特異的な抗体)と結合することができ、さらに標的細胞の表面形状に結合して、細胞内または細胞外それぞれに積荷(例えば、薬物)を送達することができる。積荷が標的とするDNAデンドリマーと受動的に会合し、デンドリマーとの空間的会合のみによって細胞に進入する場合もあれば、またはいくつかの付着戦略によって積荷がデンドリマーと直接結合し、標的先で放出される場合もある。
【0003】
DNAデンドリマーは、生物学的系(例えば、細菌クローニング)の使用またはDNA配列の酵素重合(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び他の酵素依存性DNA合成法による)の使用によって産生されるDNAのように、「天然の」手段によって産生されるDNAからのみ正常に作製できることが以前から見出されていた。しかしながら、自然発生的なDNAから組み立てる場合、DNAデンドリマーを治療薬物送達用途などの商業的用途に要求される量で製造することは経済上、実現不可能である。特に、DNAデンドリマーの構築に必要とされる配列の生物学的複製により生成される二本鎖分子から、デンドリマーの構築に必要な一本鎖を分離し単離しなければならない。化学合成法は、こうした用途に必要な量を供給することができるが、合成により製造されたDNAオリゴヌクレオチドを使用する従来の試みは、従来技術に記載されている架橋手順を適用した後に共有結合構造を適切に形成することができず、失敗を繰り返してきた。このことは、従来技術のオリゴヌクレオチド設計パラメーターが、化学合成オリゴヌクレオチドには不適切であったことを示唆している。本開示は、とりわけ、大規模合成に適合した、核酸キャリア製造用原料としての化学合成DNAの使用を目的とする新たな物質構造及び製造方法を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、5つの単量体を含む1層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の末端アームにコンジュゲートされ、12個の周辺末端アームを有する1層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。
【0005】
本開示はまた、11個の単量体を含む1.5層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオ
チドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、24個の周辺末端アームを有する1.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。
【0006】
本開示はまた、17個の単量体を含む2層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、36個の周辺末端アームを有する2層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。
【0007】
本開示はまた、35個の単量体を含む2.5層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端
アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、72個の周辺末端アームを有する2.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。
【0008】
本開示はまた、53個の単量体を含む3層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末
端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第3の末端アームは第36単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第3の末端アームは第37単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第3の末端アームは第38単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第3の末端アームは第39単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第3の末端アームは第40単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第3の末端アームは第41単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第4の末端アームは第42単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第4の末端アームは第43単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第4の末端アームは第44単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第4の末端アームは第45単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第4の末端アームは第46単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第4の末端アームは第47単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第4の末端アームは第48単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第4の末端アームは第49単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第4の末端アームは第50単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第4の末端アームは第51単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第4の末端アームは第52単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第4の末端アームは第53単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;108個の周辺末端アームを有する3層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。
【0009】
本開示はまた、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれかと、薬学的に許容されるビヒクルとを含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本開示はまた、動物の免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか、またはそれを含む医薬組成物を動物に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗原、ペプチド、抗体またはその断片、及びアジュバントから選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【0011】
本開示はまた、がんを有する動物の治療方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか、またはそれを含む医薬組成物を動物に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【0012】
本開示はまた、疾患関連抗原に関連する疾患を有する動物の治療方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか、またはそれを含む医薬組成物を動物に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ハイブリダイズされたときに核酸キャリア単量体(例えば、A、B’、B’’、C’、及びC’’)を形成する代表的な第1及び第2のオリゴヌクレオチド(例えば、#1、#2、#3、#4、#5、#6、及び#7)を示す。オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズして二本鎖領域を形成する中心コア部分(例えば、「b1」、「b1(-)」、「b2」、「b2(-1)」、及び「b1」)を含み、オリゴヌクレオチドはまた、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイズされて単量体を形成するときに4つの一本鎖アームを形成する2つの末端部分(例えば、「a」、「c」、「a(-)」、「e」、「d」、「e(-)」、及び「d(-)」)を含む。
【
図2】本明細書に記載の標的薬剤(例えば、本明細書に示す抗体)のいずれかとコンジュゲートすることができる12個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な1層の核酸キャリアを示す。
【
図3】本明細書に記載の標的薬剤(例えば、本明細書に示す16個の末端アームにコンジュゲートされた抗体)のいずれかとコンジュゲートすることができる36個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な2層の核酸キャリアを示す。
【
図4】本明細書に記載の標的薬剤のいずれかとコンジュゲートすることができる36個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な2層の核酸キャリアを示す(例えば、図に示されているように、当量(18)の2種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A及びB)を含む)。
【
図5A】本明細書に記載の標的薬剤のいずれかとコンジュゲートすることができる24個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な1.5層の核酸キャリアを示す(例えば、図に示されているように6:12:6(すなわち1:2:1)比の3種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A、B、及びC)を含む)。
【
図5B】本明細書に記載の標的薬剤のいずれかとコンジュゲートすることができる24個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な1.5層の核酸キャリアを示す(例えば、図に示されているように12:6:6(すなわち2:1:1)比の3種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A、B、及びC)を含む)。
【
図6】マウス血清中での裸の核酸キャリアとホスホロチオエート型の裸の核酸キャリアとを比較した代表的な血清分解ゲル分析を示す。
【
図7】核酸キャリア内の異なる領域に局在する1:1:1:1比のクラスター化アームが得られるように構成された代表的な1層の核酸キャリアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語はすべて、開示される実施形態が属する技
術分野の当業者に共通して理解されているものと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「a」または「an」は、文脈上、別の意味が明示されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、数値が近似値であり、多少の数値変動が、開示される実施形態の実施に有意な影響を及ぼさないことを意味する。数値限定が使用される場合、文脈によって特に示されない限り、「約」は、数値が±10%まで変動する可能性があるが、開示される実施形態の範囲内に留まることを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「comprising(含む)」(ならびに「comprise」、「comprises」、及び「comprised」などの「comprising」のいずれかの形態)、「having(有する)」(ならびに「have」及び「has」などの「having」のいずれかの形態)、「including(含む)」(ならびに「includes」及び「include」などの「including」のいずれかの形態)、または「containing(含む)」(ならびに「contains」及び「contain」などの「containing」のいずれかの形態)は、包括的または非限定的であり、列挙されていない追加の要素または方法の工程を除外しない。
【0018】
本開示は、多数の核酸キャリアを提供する。本明細書に記載のキャリアはそれぞれ、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを含む、複数の単量体コア単位を含む。第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、その結果、二本鎖領域を形成する。第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、その結果、4つの一本鎖アームを形成する。
図1は、ハイブリダイズされたときに核酸キャリア単量体(A、B’、B’’、C’、及びC’’単量体を参照)を形成する代表的な第1及び第2のオリゴヌクレオチド(#1、#2、#3、#4、#5、#6、及び#7を参照)を示す。各オリゴヌクレオチドは、中心コア部分を有する別のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズして二本鎖領域を形成する中心コア部分(「b1」、「b1(-)」、「b2」、「b2(-1)」、及び「b1」を参照)を含む。各オリゴヌクレオチドはまた、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイズされて単量体を形成するときに4つの一本鎖アームを形成する2つの末端部分(「a」、「c」、「a(-)」、「e」、「d」、「e(-)」、及び「d(-)」を参照)を含む。いくつかの実施形態では、各末端部分(すなわち、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド対の4つの末端部分)は、固有のヌクレオチド配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは97ヌクレオチド長である。97量体は、効率的な合成を可能にする程度に短く、ゲル精製の必要はないが、ハイブリダイゼーション及び架橋が効率的である程度には長いという理由からいくつかの利点を有する。好適なヌクレオチド配列は、ヘアピンのような二次構造をほとんどまたは全く含まず、Tmをさらに増加させるため、ロックされた核酸または同様のヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチドが使用されていない限り、50℃~55℃(好適には65℃~75℃)を超えるTm、少なくとも1つの架橋部位、及び中心ハイブリダイゼーション領域、ならびに25塩基長以上である3プライム及び5プライムアーム領域を有する。
【0020】
オリゴヌクレオチドを含む核酸は、当技術分野で既知の化学合成法またはそれに続く誘導体化による化学合成法に適するものであれば、どの種類の核酸または核酸誘導体であってもよい。好適な核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、修飾DNAまたはRNA、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ核酸及びロックされた核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ホスホロチオエー
ト残基(S-オリゴ)を含むDNA、及びそれらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、異なるヌクレオチド骨格を含むオリゴヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の2層を有する核酸キャリアにおいて、第1の内側層を構成するオリゴヌクレオチドがある特定のヌクレオチド骨格を含み得る一方、それよりも外側の第2の層を構成するオリゴヌクレオチドはそれと異なる特定のヌクレオチド骨格を含み得る。1つ以上の層が、隣接する層と比較して異なるヌクレオチド骨格をもつオリゴヌクレオチドを有している多層の核酸キャリアで、同様のものが存在する可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、ホスホジエステル(PO)合成オリゴヌクレオチド鎖とホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチド鎖の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の内側層がすべてPO-DNAであり、外側の第2の層を作製するために追加されるオリゴヌクレオチド鎖がPS-DNAである。いくつかの実施形態では、修飾されたヌクレオチド塩基を使用することにより、血清分解プロファイル及びその結果として得られるクリアランスプロファイルを変更することができ、これはキャリアのPK/PDプロファイルを後から変更できることを示している。
【0022】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドを含む核酸は、従来のヌクレオシドと比較して分子のTmが高いヌクレオシド類似体である。例えば、2’のO原子と4’のC原子との間のメチレン架橋でリボース環が修飾されているLocked Nucleic Acid(LNA(商標))ヌクレオシドを使用することができる。オリゴヌクレオチドがTm増加型ヌクレオチドを1つ以上含む場合、すべてが天然型ヌクレオチドからなるものと比較して、ハイブリダイゼーション効率を損なうことなく全長を縮小することができる。一般に、オリゴヌクレオチド中の天然型ヌクレオチドとTm増加型ヌクレオチドの長さ及び組成は、セグメントのTmが、核酸を使用する温度よりも高い、すなわち少なくとも5℃、または少なくとも10℃高くなるように選択することができる。例えば、従来のDNA残基を31個含む核酸鎖は、50%のLNA残基を含む19ヌクレオチド鎖と同じTmを有する(どちらもTm66℃)。すなわち、セグメントが50%のLNAを含む場合、Tmが約1.5倍に増加するため、セグメントがその相補的な核酸分子とハイブリダイズする効率を損なうことなくオリゴヌクレオチドの全長をほぼ半減させることができる。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションに使用される、セグメント中にTm増加型ヌクレオチドを含む本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、全長40~50ヌクレオチドであってよく、そのうちの二本鎖領域及び一本鎖アームはそれぞれ独立して12~18ヌクレオチド長であってよい。さらに、核酸は、ホスホロアミダイト骨格などの別の骨格を有していてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の隣接するチミジン-アデニン(TpA-5’から3’方向)残基を含む。TpA部位は、オリゴヌクレオチド分子が分枝核酸キャリアに組み立てられるときの架橋を改善し、ソラレンまたはソラレン様分子は誘導性架橋剤として使用される。TpA残基は、一本鎖アームまたは二本鎖領域のいずれかまたはすべてに存在してもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは約3~約7つのTpA部位を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖アーム及び二本鎖領域の両方が、少なくとも3つのTpA残基を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖アーム及び二本鎖領域のうちの1つ以上が、約3~約7つのTpA部位、例えば3、4、5、6、または7つのTpA部位を含み得る。いくつかの実施形態では、一本鎖アームは、約3~約7つのTpA部位、または約3~約4つのTpA部位を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、約5~約6つのTpA部位を含む。TpA部位はまた、他の架橋部位で置換されてもよく、その対応する至適な架橋剤と組み合わせることもできる。例えば、マイトマイシンCはGpG部位及びCpG部位で鎖内架橋を形成するが、これをDNA
足場の架橋に有効な代替部位または追加部位として使用することもできる。
【0024】
一般に、生理学的条件下でのワトソン-クリック塩基対形成による自己ハイブリダイゼーションまたは自己結合が可能な二次構造を最小化または排除するオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を選択すること、及び単量体中の一本鎖及び分枝状核酸キャリア中の単量体のハイブリダイゼーションに適する融解温度(Tm)を選択することが望ましい。通常、約65~75℃のTm、すなわち物質が利用される温度よりも少なくとも10~15℃高い温度が望ましい。
【0025】
第1と第2のオリゴヌクレオチド間の相補性によって形成される二本鎖領域は、約4~約2000塩基長、約5~約200塩基長、約25~約50塩基長、または約25~約35塩基長である。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は31塩基長である。
【0026】
各一本鎖アームは、約4~約200塩基長、約5~約50塩基長、約25~約50塩基長、約25~約35塩基長、約16~約50塩基長、または約12~約18塩基長である。いくつかの実施形態では、一本鎖アームは31塩基長である。
【0027】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖アームの一方または両方を二本鎖領域に連結する1つまたは2つのヒンジセグメントを含んでもよい。各ヒンジセグメントは、1~4ヌクレオチド長、2~4ヌクレオチド長、1ヌクレオチド長、2ヌクレオチド長、3ヌクレオチド長、または4ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、二本鎖領域と接するヒンジセグメント5’のヌクレオチド配列はCAであり、二本鎖領域と接するヒンジセグメント3’のヌクレオチド配列はACである。
【0028】
一本鎖アームのそれぞれが有する核酸配列は、他のいずれかの一本鎖アームのものと同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、4つの一本鎖アームのそれぞれのヌクレオチド配列は同一である。いくつかの実施形態では、4つの一本鎖アームのうち3つのヌクレオチド配列が、互いに同一であり、第4の一本鎖アームのヌクレオチド配列とは異なっている。いくつかの実施形態では、4つの一本鎖アームのうち2つのヌクレオチド配列が、互いに同一であり、他の2つの一本鎖アームのヌクレオチド配列とは異なっている。いくつかの実施形態では、4つの一本鎖アームのうち2つのヌクレオチド配列が互いに同一であり、4つの一本鎖アームのうちのそれ以外の2つのヌクレオチド配列が互いに同一であり、その場合、第1の2つの一本鎖アームのヌクレオチド配列が、第2の2つの一本鎖アームのヌクレオチド配列と異なっている。いくつかの実施形態では、4つの一本鎖アームのそれぞれのヌクレオチド配列が異なっている。したがって、任意の特定の一本鎖アームのヌクレオチド配列は、設計選択上の柔軟性を備えており、これを使用して、特定の連結オリゴヌクレオチド(さらにこれが標的薬剤とコンジュゲートされていてもいなくてもよい)または別の単量体核酸キャリアの別の一本鎖アームに特異的に結合するか、またはコンジュゲートすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、1つ以上の末端アームが標的薬剤にコンジュゲートされていなくてもよい。このような実施形態では、任意のオリゴヌクレオチド(どの標的薬剤ともコンジュゲートされていない)を、二本鎖DNA構造を形成するそのような末端アームに結合させることができる。任意のオリゴヌクレオチドの末端アームとのハイブリダイゼーションによって形成される二本鎖領域が平滑末端であってもよく、あるいは任意のオリゴヌクレオチドまたは末端アームが1~5ヌクレオチド塩基のオーバーハングを有してもよい。
【0030】
本開示は、5つの単量体を含む1層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの
中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の末端アームにコンジュゲートされ、12個の周辺末端アームを有する1層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは、本明細書の記載と同様の方法で、それに連結された1、2、3、4、または5つ以上の単量体を含む。
図2は、本明細書に記載の標的薬剤(例えば、本明細書に示す抗体)のいずれかとコンジュゲートすることができる12個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な1層の核酸キャリアを示す。
【0031】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの12個の周辺末端アームは、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類のヌクレオチド配列、または単独のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの12個の周辺末端アームは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12種類のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは、第1のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アーム、第2のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アーム、第3のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アーム、第4のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アーム、第5のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アーム、及び第6のヌクレオチド配列を有する2つの周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは同様に、周辺末端アームのヌクレオチド配列に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、1:2の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0032】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの12個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、核酸キャリア内にランダムに配置される。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの12個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、クラスター状に局在する。
図7は、核酸キャリア内の異なる領域に局在する1:1:1:1比のクラスター化アームが得られるように構成された代表的な1層の核酸キャリアを示す。
【0033】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは、周辺末端アームにコンジュゲートされた1~12個、1~11個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類の標的薬剤、または単独の標的薬剤を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは、第1の標的薬剤とコンジュゲートされた2つの周辺末端アーム、第2の標的薬剤とコンジュゲートされた2つの周辺末端アーム、第3の標的薬剤とコンジュゲートされた2つの周辺末端アーム、第4の標的薬剤とコンジュゲートされた2つの周辺末端アーム、第5の標的薬剤とコンジュゲートされた2つ
の周辺末端アーム、及び第6の標的薬剤とコンジュゲートされた2つの周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアは同様に、同一の標的薬剤とコンジュゲートされた周辺末端アーム数に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0035】
本開示はまた、11個の単量体を含む1.5層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、24個の周辺末端アームを有する1.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは、本明細書の記載と同様の方法で、それに連結された1、2、3、4、または5つ以上の単量体を含む。
図3は、本明細書に記載の標的薬剤(例えば、本明細書に示す16個の末端アームにコンジュゲートされた抗体)のいずれかとコンジュゲートすることができる36個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な2層の核酸キャリアを示す。
図5A及び5Bは、本明細書に記載の標的薬剤のいずれかとコンジュゲートすることができる24個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な1.5層の核酸キャリアを示す(例えば、それぞれ、図に示されているように6:12:6(すなわち1:2:1)比の3種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A、B、及びC)を含み、12:6:6(すなわち2:1:1)比の3種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A、B、及びC)を含む)。
【0036】
いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアの24個の周辺末端アームは、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類のヌクレオチド配列、または単独のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアの24個の周辺末端アームは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24種類のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは、第1のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アーム、第2のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アーム、第3のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アーム、第4のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アーム、第5のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アーム、及び第6のヌクレオチド配列を有する4つの周辺末端アームを含む(す
なわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは同様に、周辺末端アームのヌクレオチド配列に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:11:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0037】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの24個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、核酸キャリア内にランダムに配置される。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの24個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、クラスター状に局在する。
【0038】
いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは、1~24個、1~23個、1~22個、1~21個、1~20個、1~19個、1~18個、1~17個、1~16個、1~15個、1~14個、1~13個、1~12個、1~11個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、または1個の、周辺末端アームにコンジュゲートされた標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、この核酸キャリアは、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2種類の標的薬剤、または単独の標的薬剤を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは、第1の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アーム、第2の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アーム、第3の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アーム、第4の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アーム、第5の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アーム、及び第6の標的薬剤とコンジュゲートされた4つの周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、1.5層の核酸キャリアは同様に、同一の標的薬剤とコンジュゲートされた周辺末端アーム数に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0040】
本開示はまた、17個の単量体を含む2層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アー
ムにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、36個の周辺末端アームを有する2層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは、本明細書の記載と同様の方法で、それに連結された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17個以上の単量体を含む。
図4は、本明細書に記載の標的薬剤のいずれかとコンジュゲートすることができる36個の周辺末端アームが得られるように構成された代表的な2層の核酸キャリアを示す(例えば、図に示されているように、当量(18)の2種類のオリゴヌクレオチドリンカー(A及びB)を含む)。
【0041】
いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアの36個の周辺末端アームは、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類のヌクレオチド配列、または単独のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアの36個の周辺末端アームは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36種類のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは、第1のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アーム、第2のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アーム、第3のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アーム、第4のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アーム、第5のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アーム、及び第6のヌクレオチド配列を有する6つの周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは同様に、周辺末端アームのヌクレオチド配列に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0042】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの36個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、核酸キャリア内にランダムに配置される。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの36個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、クラスター状に局在する。
【0043】
いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1
~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2、または1個の、周辺末端アームにコンジュゲートされた標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、この核酸キャリアは、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類の標的薬剤、または単独の標的薬剤を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは、第1の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アーム、第2の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アーム、第3の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アーム、第4の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アーム、第5の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アーム、及び第6の標的薬剤とコンジュゲートされた6つの周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアは同様に、同一の標的薬剤とコンジュゲートされた周辺末端アーム数に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0045】
本開示はまた、35個の単量体を含む2.5層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アー
ムは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、72個の周辺末端アームを有する2.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは、本明細書の記載と同様の方法で、それに連結された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17個以上の単量体を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアの72個の周辺末端アームは、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類のヌクレオチド配列、または単独のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアの72個の周辺末端アームは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72種類のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは、第1のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アーム、第2のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アーム、第3のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アーム、第4のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アーム、第5のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アーム、及び第6のヌクレオチド配列を有する12個の周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは同様に、周辺末端アームのヌクレオチド配列に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0047】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの72個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、核酸キャリア内にランダムに配置される。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの72個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、クラスター状に局在する。
【0048】
いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2、または1個の、周辺末端アームにコンジュゲートされた標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、この核酸キャリアは、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類の標的薬剤、または単独の標的薬剤を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは、第1の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アーム、第2の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アーム、第3の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アーム、第4の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アーム、第5の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アーム、及び第6の標的薬剤とコンジュゲートされた12個の周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、2.5層の核酸キャリアは同様に、同一の標的薬剤とコンジュゲートされた周辺末端アーム数に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0050】
本開示はまた、53個の単量体を含む3層の核酸キャリアを提供し、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;ここで、第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4
つの末端アームを形成し;第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第3の末端アームは第36単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第3の末端アームは第37単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第3の末端アームは第38単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第3の末端アームは第39単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第3の末端アームは第40単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第3の末端アームは第41単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第6単量体の第4の末端アームは第42単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第4の末端アームは第43単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第4の末端アームは第44単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第4の末端アームは第45単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第4の末端アームは第46単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第4の末端アームは第47単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第4の末端アームは第48単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第4の末端アームは第49単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第
4の末端アームは第50単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第4の末端アームは第51単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第4の末端アームは第52単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第4の末端アームは第53単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;108個の周辺末端アームを有する3層の核酸キャリアを形成しており;ならびに各単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、核酸キャリアは少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは、本明細書の記載と同様の方法で、それに連結された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個以上の追加の単量体を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアの108個の周辺末端アームは、1~108、1~107、1~106、1~105、1~104、1~103、1~102、1~101、1~100、1~99、1~98、1~97、1~96、1~95、1~94、1~93、1~92、1~91、1~90、1~89、1~88、1~87、1~86、1~85、1~84、1~83、1~82、1~81、1~80、1~79、1~78、1~77、1~76、1~75、1~74、1~73、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類のヌクレオチド配列、または単独のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、2層の核酸キャリアの108個の周辺末端アームは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、010、102、103、104、105、106、107、または108種類のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは、第1のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アーム、第2のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アーム、第3のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アーム、第4のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アーム、第5のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アーム、及び第6のヌクレオチド配列を有する18個の周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは同様に、周辺末端アームのヌクレオチド配列に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0052】
いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの108個の周辺末端アームのヌクレオ
チド配列に関する比は、核酸キャリア内にランダムに配置される。いくつかの実施形態では、1層の核酸キャリアの108個の周辺末端アームのヌクレオチド配列に関する比は、クラスター状に局在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは、1~108、1~107、1~106、1~105、1~104、1~103、1~102、1~101、1~100、1~99、1~98、1~97、1~96、1~95、1~94、1~93、1~92、1~91、1~90、1~89、1~88、1~87、1~86、1~85、1~84、1~83、1~82、1~81、1~80、1~79、1~78、1~77、1~76、1~75、1~74、1~73、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、または2個、または1個の、周辺末端アームにコンジュゲートされた標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、010、102、103、104、105、106、107、または108個の標的薬剤を含む。いくつかの実施形態では、この核酸キャリアは、1~108、1~107、1~106、1~105、1~104、1~103、1~102、1~101、1~100、1~99、1~98、1~97、1~96、1~95、1~94、1~93、1~92、1~91、1~90、1~89、1~88、1~87、1~86、1~85、1~84、1~83、1~82、1~81、1~80、1~79、1~78、1~77、1~76、1~75、1~74、1~73、1~72、1~71、1~70、1~69、1~68、1~67、1~66、1~65、1~64、1~63、1~62、1~61、1~60、1~59、1~58、1~57、1~56、1~55、1~54、1~53、1~52、1~51、1~50、1~49、1~48、1~47、1~46、1~45、1~44、1~43、1~42、1~41、1~40、1~39、1~38、1~37、1~36、1~35、1~34、1~33、1~32、1~31、1~30、1~29、1~28、1~27、1~26、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、もしくは2種類の標的薬剤、または単独の標的薬剤を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、3層の核酸キャリアは、第1の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アーム、第2の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アーム、第3の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アーム、第4の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アーム、第5の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アーム、及び第6の標的薬剤とコンジュゲートされた18個の周辺末端アームを含む(すなわち、1:1:1:1:1:1の比)。いくつかの実施形態では
、3層の核酸キャリアは同様に、同一の標的薬剤とコンジュゲートされた周辺末端アーム数に関して、3:1:2:2:2:2の比、3:1:3:1:2:2の比、3:1:3:1:3:1の比、3:1:2:2:2の比、3:1:3:1:2の比、1:1:1:1の比、2:4:3:3の比、1:2:2:1の比、1:5:5:1の比、1:1:1の比、3:4:5の比、1:1:2の比、1:2:3の比、1:1の比、7:5の比、2:1の比、3:1の比、または5:1の比となる。
【0055】
標的薬剤が一本鎖アームまたは末端アームにコンジュゲートされる任意の実施形態では、そのようなコンジュゲーションを、標的薬剤に連結されたオリゴヌクレオチドリンカーを介して実施することができ、その場合、オリゴヌクレオチドリンカーの一部分は、一本鎖アームまたは末端アームのヌクレオチド配列の一部と相補的である。したがって、標的薬剤は、オリゴヌクレオチドリンカーによって一本鎖アームまたは末端アームにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、標的薬剤とコンジュゲートされていない1つ以上の一本鎖アームまたは末端アームは、標的薬剤とコンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドリンカーと相補的な塩基対を形成する。オリゴヌクレオチドリンカーの、一本鎖アームまたは末端アームとのハイブリダイゼーションによって形成される二本鎖領域が平滑末端であってもよく、あるいはオリゴヌクレオチドリンカーか、または一本鎖アームもしくは末端アームのいずれかが1~5ヌクレオチド塩基のオーバーハングを有してもよい。一本鎖アームまたは末端アームがオリゴヌクレオチドリンカーの一部と相補的であるこれらの実施形態では、いずれの場合も、一本鎖アームもしくは末端アームの全体部分またはオリゴヌクレオチドリンカーの全体部分が互いに相補的である必要はない。したがって、例えば、特定の一本鎖アームまたは末端アームが31ヌクレオチドを含む場合、オリゴヌクレオチドリンカー(コンジュゲートされた標的薬剤の有無を問わない)は、31ヌクレオチドすべてに対して相補的である必要はない。むしろ、オリゴヌクレオチドリンカーは、特定の一本鎖アームまたは末端アームに対して、ハイブリダイゼーションを生じさせる程度に相補的でなければならない。
【0056】
いくつかの実施形態では、その標的薬剤は、一本鎖核酸分子の合成中または合成後にそれを組み込む化学修飾により、一本鎖アームまたは末端アームを介して核酸キャリアにコンジュゲートすることができる。そのような修飾には、例えば、炭素鎖リンカーのアミンを化学修飾したヌクレオシドアミダイトを含み得る。さらに、修飾される部位(例えば、アミン、スルフヒドリル、カルボキシルなど)は、当技術分野で知られているように、一本鎖核酸分子の化学合成中に修飾ホスホロアミダイトを用いて導入することができる。そのような修飾ホスホロアミダイトは、そのような目的で広く市販されており、そのような修飾は、上記の生物学的活性分子及び化合物のさらなる化学的な誘導体化及び結合に適している。例えば、Glen Research,Sterling,VAから入手可能な修飾ホスホロアミダイト製品を参照のこと。この種の誘導体化は、核酸キャリアの内部単量体、または一本鎖アームもしくはリンカーのオリゴヌクレオチドを標的薬剤とコンジュゲートして連結させることを可能にする。化学合成された一本鎖核酸分子の同様の化学修飾はまた、その合成後、及び核酸キャリアの組み立て前に行うこともできる。
【0057】
いくつかの実施形態では、標的薬剤の核酸キャリアへのコンジュゲーションは、一本鎖単量体アームまたは末端アームとハイブリダイズされた捕捉オリゴヌクレオチドへの結合など、ハイブリダイズされていない一本鎖アームまたは末端アームを介して行うことができる。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドを、単量体アームに可逆的または不可逆的に架橋することができる。あるいは、標的薬剤を、親水性または疎水性の結合特性(静電引力及び水素結合によるものを含む)によって一本鎖アームまたは末端アームに化学的に結合させることも、またはハプテンとその結合パートナー(例えば、ビオチン及びストレプトアビジン)との結合により結合させることもできる。標的薬剤を核酸キャリアにコンジュゲートする方法の追加例は、例えば、それぞれその全体が参照により本明
細書に組み込まれる、米国特許公開第2005/0089890号、ならびにPCT公開WO2008/147526、WO2010/017544、及びWO2011/106481にて参照することができる。
【0058】
本明細書に記載の核酸キャリアはすべて、本明細書に記載されるように共有結合的に架橋することができる。架橋された単量体は、組み立て後の核酸の構造的完全性を維持し、核酸キャリアの安定性を改善するという理由から利点をもたらす。そのような架橋は、化学合成された核酸から構築される分枝状ポリヌクレオチド分子ではこれまで不可能であった。架橋は可逆的でも不可逆的でもあり得る。いくつかの実施形態では、複数の単量体が架橋される。あるいは、単量体結合のすべてを架橋することができる。いくつかの実施形態では、単独の単量体内の二本鎖領域が架橋される。いくつかの実施形態では、1つの単量体の一本鎖アームが、標的薬剤とコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドに架橋される。いくつかの実施形態では、ある単量体の二本鎖領域が、別の単量体の二本鎖領域に架橋される。いくつかの実施形態では、ある単量体の一本鎖アームが、別の単量体の一本鎖アームに架橋される。あるいは、ある単量体の二本鎖領域が、別の単量体の一本鎖アームに架橋される。架橋用の薬剤が多数知られており、これにはマイトマイシンC及びダウナマイシン(daunamycin)、ならびにDNAを架橋する他の抗がん剤、すなわちエチジウムジアジド、シスプラチン、EDC型化合物、及びソラレンが含まれるが、これらに限定されない。好適な架橋剤は、架橋の個々の要件及び関与する核酸の配列に基づいて、当業者が選択することができる。いくつかの実施形態では、ソラレンを架橋剤として使用する。ソラレンは、二本鎖DNAの二重らせんにインターカレートし、UV光の照射によりピリミジンヌクレオチドとの共有結合を容易に形成する。ソラレンに加え、ソラレン誘導体は、核酸キャリアの核酸を架橋するのに有用である。ソラレン誘導体として、8-メトキシソラレン、4,5’,8-トリメチルソラレン、及びトリオキシサレンの4部位付加物(例えば、4’-ヒドロキシメチル-4,5’,トリメチルソラレン、4’-メトキシメチル-4,5’,8-トリメチルソラレン、4’N-フタルイミドメチル-4,5’,8-トリメチルソラレン、及び4’-アミノメチル-4,5’-,8-トリメチルソラレン塩酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。ソラレンとの架橋の手順は、標準的であり、当技術分野において既知である。
【0059】
いくつかの実施形態では、標的薬剤の1つ以上は、例えば、抗原、ペプチド、抗体またはその断片、抗体-薬物コンジュゲート、非抗体足場、標識、アジュバント、RNA分子、DNA分子、ビタミン、タンパク質、融合タンパク質、融合ペプチド、炭水化物、脂質、多糖類、リポ多糖類、ポリマー、ウイルス粒子、もしくはウイルス様粒子、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0060】
いずれの核酸キャリアも、これらの標的薬剤いずれかのあらゆる組み合わせを含み得る。例えば、単量体核酸キャリアは、これらの標的薬剤のうち、いずれか4つまでを含み得る。したがって、単量体核酸キャリアは、これらの標的薬剤のうち、1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。別の例として、2連の核酸キャリアは、これらの標的薬剤のうち、いずれか6つまでを含み得る。したがって、2連の核酸キャリアは、これらの標的薬剤のうち、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ビタミンは葉酸である。
【0062】
いくつかの実施形態では、炭水化物はマンノースである。
【0063】
いくつかの実施形態では、ポリマーはヒアルロン酸、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、または乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)である
。
【0064】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、siRNA、miRNA、mRNA、snRNA、dsRNA、ncRNA、snoRNA、またはアプタマーである。
【0065】
いくつかの実施形態では、非抗体足場は、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、シスノット、DARPin、FN3、フィノマー、kunitzドメイン、またはO-ボディである。
【0066】
いくつかの実施形態では、抗原は、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、酵母抗原、原虫抗原、またはプリオンである。いくつかの実施形態では、抗原は、Acetobacter aurantius、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter junii、Acinetobacter lwoffii、Actinomyces israelii、Actinomyces viscosus、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Agrobacterium radiobacter、Agrobacterium tumefaciens、Azorhizobium caulinodans、Azotobacter vinelandii、Anaplasma phagocytophilum、Bacillus anthracis、Bacillus brevis、Bacillus cereus、Bacillus fusiformis、Bacillus licheniformis、Bacillus megaterium、Bacillus mycoides、Bacillus
stearothermophilus、Bacillus subtilis、Bacteroides gingivalis、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus(Prevotella
melaninogenica)、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Bordetella bronchiseptica、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Brucella abortus、Brucella melitensis、Brucella suis、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Burkholderia cepacia、Calymmatobacterium granulomatis、Campylobacter coli、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter pylori、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae(Chlamydia pneumoniae)、Chlamydophila psittaci(Chlamydia psittaci)、Citrobacter freundii、Citrobacter diverus、Citrobacter
koseri、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens(Clostridium welchii)、Clostridium tetani、Corynebacterium diphtheria、Corynebacterium fusiforme、Coxiella burnetii、Ehrlichia chaffeensis、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Enterobacter faecalis、Enterococcus avium、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus galllinarum、Enterococcus maloratus、Eschericia coli、Francisella tularen
sis、Fusobacterium nucleatum、Gardnerella vaginalis、Haemophilus ducreyi、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus pertussis、Haemophilus vaginalis、Haemophilus influenza、Haemophilus aegyptius、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumonia、Klebsiella oxytoca、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus casei、Lactococcus lactis、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Methanobacterium extroquens、Microbacterium multiforme、Micrococcus luteus、Moraxella lacunata、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Mycobacterium avium、Mycobacterium africanum、Mycobacterium bovis、Mycobacterium canetti、Mycobacterium diphtheria、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Mycobacterium lepraemurium、Mycobacterium microti、Mycobacterium phlei、Mycobacterium smegmatis、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma fermentans、Mycoplasma genitalium、Mycoplasma hominis、Mycoplasma penetrans、Mycoplasma pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Pasteurella tularensis、Porphyromonas gingivalis、Prevotella melaninogenica(Bacteroides melaninogenicus)、Propionibacterium acnes、Proteus mirabillis、Proteus vulgaris、Providencia stuartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas otitidis、Rhizobium radiobacter、Rickettsia prowazekii、Rickettsia psittaci、Rickettsia quintana、Rickettsia rickettsia、Rickettsia trachomae、Rochalimaea henselae、Rochalimaea Quintana、Rothia dentocariosa、Salmonella enteritidis、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Shigella dysenteriae、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Staphylococcus pneumoniae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus colmii、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus
warneri、Stenotrophomonas maltophilia、Streptococcus agalactiae、Streptococcus anginosus、Streptococcus avium、Streptococcus
bovis、Streptococcus cricetus、Streptococcus faceium、Streptococcus faecalis、Streptococcus ferus、Streptococcus gallinarum、Streptococcus lactis、Streptococcus mitior、Streptococcus mitis、Streptococcus muta
ns、Streptococcus oralis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus rattus、Streptococcus salivarius、Streptococcus sanguis、Streptococcus sobrinus、Streptococcus viridans、Treponema pallidum、Treponema denticola、Vibrio cholera、Vibrio comma、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、Wolbachia、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus clavatus、Aspergillus niger、Aspergillus terreus、Candida
albicans、Candida glabrata、Candida tropicalis、Candida krusei、Candida dubliniensis、Candida parapsilosis、Fusarium solani、Fusarium moniliforme、Fusarium proliferartum、Malessezia pachydermatis、Chrysosporium parvum、Metarhizium anisopliae、Phaeoisaria clematidis、またはSarcopodium oculorumに由来する。いくつかの実施形態では、抗原は、Mycobacterium tuberculosis、水痘帯状疱疹ウイルス、Corynebacterium diphtheria、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、Haemophilis influenza、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、Neisseria meningitidis、ムンプスウイルス、Bordetella pertussis、Streptococcus
pneumonia、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、帯状ヘルペスウイルス、Clostridium tetani、Salmonella typhi、黄熱病ウイルス、エボラウイルス、鳥インフルエンザウイルス、Bacillus anthracis、天然痘ウイルス、またはジカイルスに由来する。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗体断片は、Fab、F(ab’)2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである。いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、疾患関連抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は腫瘍関連抗原である。表1に、腫瘍関連抗原に対する例示的な抗体(またはその断片)を列挙する。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、4-1BB、5AC、5T4、A2aR、アクチビン受容体様キナーゼ1、AGS-22M6、AKAP4、アルファ-フェトプロテイン、アンジオポエチン2、B7-H3、BAFF、BAGE、BCR-ABL、BORIS、CA-125、CA19-9、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD24、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD40、CD44 v6、CD51、CD56、CD70、CD71、CD73、CD74、CD79B、CD80、CD137、CD140a、CD152、CD200、CD221、CD274、CEA、ch4D5、CLDN18.2、CS1、CSF1R、CTLA-4、C-X-Cケモカイン受容体4型、DLL4、DR5、EBAG9、EGF、EGFR、EGFL7、EpCAM、ERBB2、ERBB3、FAP、フィブロネクチンのエキストラドメイン-B、葉酸受容体1、葉酸受容体アルファ、葉酸ヒドロラーゼ、Frizzled受容体、GAGE、GD2ガングリオシド、GD3ガングリオシド、神経膠腫、グリピカン3、GPNMB、gp100、GUCY2C、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、ヒストン複合体、HLA-DR、ヒト分散因子受容体キナーゼ、HPV-16、HSP105、IDH1、IDO1、IGF-I、IGF-1受容体、ILGF2、IL-6、IL-13、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、KIR、LAG-3、ルイス-Y抗原、LY6K、MAGE-1、MAGE-A3、MAGE-C2、MAGE-D4、MAPG、MART-1、Melan-A、MET、MCP-1、メソテリン、MIF、MSLN、MS4A1、ムチンCanAg、MUC1、MUC4、MUC16、NG2、N-グリコリルノイラミン酸、Notch受容体PD-1、NY-ESO-1、OCAA、PAP、PDGF-R α、PDCD1、PD1、PD-L1、リン酸-ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、PRAME、PSA、RANKL、RON、ROR1、SDC1、シアリルTn、SLAMF7、SPAG-9、SSX1、STEAP1、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TEM1、テネイシンC、TGF-β、TIM-3、TLR、TAM、TIM-3、TRAIL-R2、TRAIL-R1、TWEAK受容体、腫瘍特異的グリコシル化MUC1、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達転写因子2、腫瘍抗原CTAA16.88、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGF-A、VEGFR2、VEGFR-1、ビメンチン、VISTA、WT1、またはXAGE-1bである。いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、HER-2、EGFR、CD30、CD20、EpCAM、NG2、CD19、CEA、MUC-1、CA19-9、OCAA、MAPG、TAM、TLR、CD71、ERBB2、VEGF、または神経膠腫である。
【0076】
表2に、疾患関連抗原に対する例示的な抗体(またはその断片)を列挙する。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、1-40β-アミロイド、AOC3(VAP-1)、ACVR2B、アンジオポイエチン3、ベータアミロイド、C5、CCL11(エオタキシン-1)、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD18、CD20、CD23(IgE受容体)、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD28、CD41(インテグリンアルファ-IIb)、CD52、CD125、CD147(ベイシジン)、CD154(CD40L)、CEA関連抗原、クランピング因子A、エンドトキシン、GMCSF受容体α鎖、成長分化因子8、ヘマグルチニン、HNGF、Hsp90、IGHE、IgE Fc領域、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-12、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-20、IL-22、IL-23、IL-6受容体、インテグリンα4β7、インテグリンα7β7、インテグリンα4、インテグリンαIIbβ3、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンガンマ誘導タンパク質、IFN-γ、IFN-α、ITGB2(CD18)、LFA-1(CD11a)、LINGO-1、リポタイコ酸、LOXL2、ミエリン関連糖タンパク質、ミオスタチン、神経アポトーシス制御プロテイナーゼ1、NGF、NOGO-A、Oryctolagus cuniculus、OX-40、PCSK9、ホスファチジルセリン、血小板由来増殖因子受容体ベータ、RANKL、アカゲザル因子、スクレロスチン、SOST、スフィンゴシン-1-リン酸、TFPI、TGF-β、TGFベータ2、TGFベータ1、TNF-α、VEGF-A、またはVWFである。
【0084】
いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、細胞表面マーカーを標的とする。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーは免疫細胞上にある。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、TIL、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、またはマスト細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、またはナチュラルキラーT細胞であり、一方、B細胞は、メモリーB細胞または形質細胞である。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーは、CD36、CD68、CD83、CD180、CD206(MRC1-マンノース受容体)、F4/80(EGF-TM7ファミリー)、CD205、CD56、CD161、CD94:NKG2ヘテロ二量体、KIR/CD158ファミリー、CD335、CD64、CD16、CD3、CD28、CD4、CD25、CD39、Toll様受容体(TLR)、CD281、CD283、CD284、CD286、CD289、CD282、C型レクチン受容体(CLR)、Fc受容体、またはHSGである。
【0085】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、以下の1つまたは2つを含む:HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX-40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CD30に対する抗体またはその
断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;及びPD-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PDL-1またはPDL-2に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、表3に列挙されたADCのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上を含む。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、標的薬剤について上述したように、複数コピーの同一ADCを含んでもよい。
【0087】
【0088】
【0089】
例えば、カリケアマイシン、ドキソルビシン、マイタンシノイド、アウリスタチン、及びカンプトテシンなどの効力の高い薬物をADCの薬物ペイロードとして使用することができる。ADCの薬物ペイロードとして機能できる、その他の薬物クラスとして、ピロロベンゾジアゼピン(PDB)二量体、α-アマニチン、デュオカルマイシン類似体、チューブリシンB、及びクリプトフィシン類似体が挙げられるが、これらに限定されない。その他のADCには、ブレンツキシマブベドチン及びトラスツズマブエムタンシンを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、標識は、化学発光剤、蛍光剤、赤外色素、放射性標識剤、金属、キレート剤、ハプテン、または検出可能なタンパク質をコードする遺伝子もしくはmRNAである。いくつかの実施形態では、検出可能なタンパク質はGFPまたはCFPである。
【0091】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、CpG含有オリゴヌクレオチド、ssRNA、dsRNA、一リン酸脂質、アルミニウム、スクアレン、3-デアシル-モノホスホリル脂質A、ビタミンE、界面活性剤ポリソルベート80、マンニドモノオレエート、SLAG-3、またはガラクトシルセラミドのうち、1つ以上である。いくつかの実施形態では、CpG含有オリゴヌクレオチドは、ODN1585(ggggtcaacgttgagggggg;配列番号1)、ODN1668(tccatgacgttcctgatgct;配列番号2)、ODN1826(tccatgacgttcctgacgtt;
配列番号3)、ODN2006(tcgtcgttttgtcgttttgtcgtt;配列番号4)、ODN2007(tcgtcgttgcgttttgtcgtt;配列番号5)、ODN2216(gggggacgatcgtcgggggg;配列番号6)、ODN2336(ggggacgacgtcgtggggggg;配列番号7)、ODN2395(tcgtcgttttcggcgcgcgccg;配列番号8)、ODN M362(tcgtcgtcgttcgaacgacgacgttgat;配列番号9)、AT-ODN-1(tataattttaatttccaaga;配列番号10)、AT-ODN-2(tataatttttaccaactagc;配列番号11)、ODNBW006(tcgacgttcgtcgttcgtcgttc;配列番号12)、ODN2088(tcctggcggggaagt;配列番号13)、ODN4084(cctggatgggaa;配列番号14)、ODN INH-1(cctggatgggaattcccatccagg;配列番号15)、ODN INH-47(tatggattttaattaaaatccata;配列番号16)、ODN TTAGGG(tttagggttagggttagggttaggg;配列番号17)、またはG-ODN(ctcctattgggggtttcctat;配列番号18)である。いくつかの実施形態では、CpG含有オリゴヌクレオチドは、ODN1668(tccatgacgttcctgatgct;配列番号2)、ODN1826(tccatgacgttcctgacgtt;配列番号3)、ODN2006(tcgtcgttttgtcgttttgtcgtt;配列番号4)、ODN2007(tcgtcgttgcgttttgtcgtt;配列番号5)、ODN2395(tcgtcgttttcggcgcgcgccg;配列番号8)、ODN M362(tcgtcgtcgttcgaacgacgacgttgat;配列番号9)、AT-ODN-1(tataattttaatttccaaga;配列番号10)、AT-ODN-2(tataatttttaccaactagc;配列番号11)、ODNBW006(tcgacgttcgtcgttcgtcgttc;配列番号12)、ODN4084(cctggatgggaa;配列番号14)、ODN INH-1(cctggatgggaattcccatccagg;配列番号15)、ODN INH-47(tatggattttaattaaaatccata;配列番号16)、またはODN TTAGGG(tttagggttagggttagggttaggg;配列番号17)である。
【0092】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、抗原、抗体、または抗体の断片である標的薬剤を含み、その標的指向性部分を一本鎖アームまたは末端アームにコンジュゲートするオリゴヌクレオチドリンカーは、CpG含有オリゴヌクレオチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、少なくとも1つの抗原、免疫細胞に対する少なくとも1つの抗体またはその断片、及び少なくとも1つのアジュバントを含む。
【0093】
核酸キャリアはまた、それと関連する追加の治療化合物を含んでもよい。追加の治療化合物として、化学療法剤、サイトカイン、及びケモカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
好適な化学療法剤としては、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、エトポシド、カンパテシン(campathecin)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ジスタマイシンA、エチジウム、ネットロプシン、アウリスタチン、アムサクリン、プロジギオシン、ボルテゾミブ、ピベンジモール、トメイマイシン、デュオカルマイシンSA、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、及びドセタキセルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
好適なサイトカインとしては、IL-1様サイトカイン、共通γ鎖サイトカイン、共通β鎖サイトカイン、IL-6様サイトカイン、IL-10様サイトカイン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、及びTGF-βファミリーのメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL-1様サイトカインは、IL-1α、IL-1β、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、またはIL-18である。いくつかの実施形態では、共通γ鎖サイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、またはIL-15である。いくつかの実施形態では、共通β鎖サイトカインは、IL-3、IL-5、またはGM-CSFである。いくつかの実施形態では、IL-6様サイトカインは、IL-6、IL-11、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、またはIL-12である。いくつかの実施形態では、IL-10様サイトカインは、IL-10、IL-19、またはIL-20である。いくつかの実施形態では、インターフェロンは、IFN-α、IFN-β、またはIFN-γである。いくつかの実施形態では、腫瘍壊死因子は、TNF-α、TNF-β、リンホトキシン(LT)-β、またはFasLである。いくつかの実施形態では、TGF-βファミリーのメンバーは、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3である。
【0096】
好適なケモカインとしては、ケモカインC群のメンバー、ヒトCCケモカイン群のメンバー、ヒトケモカインCXC群のメンバー、及びCX3Cケモカインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ケモカインC群のメンバーは、リンホタクチン/XCL1またはSCM-1β/XCL2である。いくつかの実施形態では、ヒトCCケモカイン群のメンバーは、単球走化性タンパク質(MCP)-1/CCL2、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1a/CCL3、MIP-1β/CCL4、またはエオタキシン/CCL11である。いくつかの実施形態では、ヒトケモカインCXC群のメンバーは、IL-8/CXCL8(ELR)、IFN-γ誘導モノカイン(MIG)/CXCL9(非ELR)、IFN-γ誘導性タンパク質-10(IP-10)/CXCL10(非ELR)、及び間質細胞由来因子-1(SDF-1)/CXCL12(非ELR)である。いくつかの実施形態では、CX3Cケモカインはフラクタルカイン/CX3CL1である。
【0097】
本開示はまた、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容されるビヒクルとを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるビヒクルは、希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、保存剤などであり得る。ビヒクルの追加例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、ならびにポリエチレングリコール、Cremophor EL(CrEL;ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35)、及びポリソルベート80(Tween)80;ポリオキシエチレンソルビタン-20-モノオレエート)などのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本開示はまた、単量体核酸キャリアを作製する方法であって、第1のオリゴヌクレオチドを第2のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせること;及び少なくとも1つの標的薬剤を少なくとも1つの一本鎖アームにコンジュゲートさせることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的薬剤を少なくとも1つの一本鎖アームにコンジュゲートする前に、少なくとも1つの標的薬剤がオリゴヌクレオチドリンカーにさらにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的薬剤のオリゴヌクレオチドリンカー部分/オリゴヌクレオチドリンカーを、少なくとも1つの一本鎖アームの相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイズさせることによって、少なくとも
1つの標的薬剤/オリゴヌクレオチドリンカーが少なくとも1つの一本鎖アームにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、1つ、2つ、または3つの追加標的薬剤が、他の一本鎖アームにさらにコンジュゲートされる。
【0099】
一般に、オリゴヌクレオチドは、(例えば、PCRにおけるような)合成酵素または(例えば、微生物の配列のクローニング及び複製におけるような)in vivo複製を使用しない化学技術を用いて合成することができる。例として、ホスホロアミダイト法を用いた固相合成の後、必要に応じてHPLCまたはゲル電気泳動により生成物を単離することによって核酸を合成することができる。核酸は、2’-デオキシヌクレオシド、リボヌクレオシド、または化学修飾ヌクレオシド(例えば、LNAまたはBNA)に由来し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、一本鎖核酸分子は、天然または非天然のヌクレオシドを用いて合成することができる。化学合成された一本鎖核酸分子は、当技術分野で知られているように、脱保護、カップリング、キャッピング、及び安定化のサイクルを用いて3’末端から5’末端までの目的とする核酸分子を合成するヌクレオシドホスホロアミダイト化学反応などの固相合成法を含む既知の合成方法のいずれかを用いて化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドが長い場合、完成した核酸分子を固相から切り離した後に、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することが一般に推奨されている。
【0101】
本明細書に記載の核酸キャリアは、数あるバイオテクノロジー用途の中でも、薬物送達、診断、及び医用イメージングに有用である。
【0102】
本開示はまた、動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)の免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか1つ以上、または核酸キャリアを含む医薬組成物を動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗原、ペプチド、抗体またはその断片、及びアジュバントから選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗原は、本明細書に記載の細菌抗原またはウイルス抗原から選択される。いくつかの実施形態では、抗体断片は、本明細書に記載の抗体断片のいずれかである。いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、本明細書に記載の細胞表面マーカーを標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバントは、本明細書に記載の1つ以上のアジュバントである。いくつかの実施形態では、標的指向性部分を末端アームにコンジュゲートするオリゴヌクレオチドリンカーは、1つ以上のCpG配列を含むCpG含有オリゴヌクレオチドである。
【0104】
本開示はまた、がんを有する動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)を治療する方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか1つ以上の核酸キャリア、または核酸キャリアを含む医薬組成物を動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗体断片は、本明細書に記載の抗体断片のいずれかである。いくつかの実施形態では、第1の抗体またはその断片は、腫瘍関連抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、本明細書に記載の腫瘍関連抗原のいずれかである。いくつかの実施形態では、第2の抗体またはその断片は、細胞表面マーカーを標的とする。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーは、本明細書に記載の細胞表面マーカーのいずれかである。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、以下のいずれか1つ以
上を含む:HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが乳癌、卵巣癌、または前立腺癌である;EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが固形腫瘍、肺癌、または結腸癌である;EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんがトリプルネガティブ乳癌である;PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX-40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが乳癌である;CD30に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんがホジキン病である;HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが転移性乳癌または前立腺癌である;CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが非ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫である;EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが、卵巣癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、小細胞肺癌である;NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが黒色腫である;CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが、前駆B細胞急性リンパ性白血病または非ホジキンリンパ腫である;CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが非ホジキンリンパ腫である;CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが、結腸癌、肺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、子宮癌、乳癌、または黒色腫である;MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが浸潤性膵腺癌である;CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんがCA19-9陽性腫瘍である;CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが卵巣癌である;OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが卵巣癌である;MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが転移性黒色腫である;HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんがHER-2陽性腫瘍である;神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが神経膠腫である;及び葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤であり、その場合のがんが、小細胞肺癌、乳癌、または卵巣癌である。
【0106】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、疾患関連マーカーに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤、細胞表面マーカーに対する抗体である第2の標的薬剤、及び第2の細胞表面マーカーに対する抗体またはその断片である第3の標的薬剤であって、疾患ががんであるもののいずれか1つ以上を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、疾患関連抗原である第1の標的薬剤、細胞表面マーカーに対する抗体である第2の標的薬剤、及びアジュバントである第3の標的薬
剤であって、適応症がワクチンであるもののいずれか1つ以上を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、標識は、化学発光剤、蛍光剤、赤外色素、放射性標識剤、金属、キレート剤、ハプテン、または検出可能なタンパク質をコードする遺伝子もしくはmRNAである。いくつかの実施形態では、標識の存在を利用して、核酸キャリアの位置を追跡する。
【0109】
本開示はまた、疾患関連抗原に関連する疾患を有する動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)を治療する方法であって、本明細書に記載の核酸キャリアのいずれか1つ以上の核酸キャリア、または核酸キャリアを含む医薬組成物を動物(好適にはヒトなどの哺乳動物)に投与することを含み、その場合の核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む方法を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗体断片は、本明細書に記載の抗体断片のいずれかである。いくつかの実施形態では、第1の抗体またはその断片は、疾患関連抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、本明細書に記載の疾患関連抗原のいずれかである。いくつかの実施形態では、第2の抗体またはその断片は、細胞表面マーカーを標的とする。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーは、本明細書に記載の細胞表面マーカーのいずれかである。いくつかの実施形態では、標識は、化学発光剤、蛍光剤、赤外色素、放射性標識剤、金属、キレート剤、ハプテン、または検出可能なタンパク質をコードする遺伝子もしくはmRNAである。いくつかの実施形態では、標識の存在を利用して、核酸キャリアの位置を追跡する。
【0111】
ある分子の一部がもう1つの分子のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有するように設計されている本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、相補性は100%である必要はない。いくつかの実施形態では、2つのヌクレオチド配列は100%相補的である。標準的なワトソン-クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーンの結合相補則に従ってオリゴヌクレオチドと塩基対形成できる場合、ヌクレオチド配列はもう1つのヌクレオチド配列と「相補的」である。いくつかの実施形態では、用語「相補的」及び「相補体(複数可)」とは、ヌクレオチドすべてが対応するヌクレオチドと塩基対形成していない場合でも、別の核酸分子(連続したヌクレオチド、半連続のヌクレオチド、または連続していないヌクレオチドであってよい)とハイブリダイズできる連続したヌクレオチド配列または半連続のヌクレオチド配列(例えば、分子内に1つ以上のヌクレオチド部分が存在しない)を含むオリゴヌクレオチドまたはその配列を指す。いくつかの実施形態では、「相補的」核酸は、ハイブリダイズ時に約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%、及びその範囲内と推論される任意の範囲のヌクレオチド配列が、もう1つのヌクレオチド配列と塩基を形成することができる配列を含む。いくつかの実施形態では、用語「相補的」とは、当業者であれば理解しているように、ストリンジェントな条件下でもう1つのヌクレオチド配列にハイブリダイズできるヌクレオチド配列を指す。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列が、もう1つのヌクレオチド配列と「部分的に相補的」であってもよく、また低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズされてもよく、約70%未満のヌクレオチド配列がもう1つのヌクレオチドと塩基対を形成できる配列を含んでいてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、動物は、鳥類、爬虫類、両生類、または哺乳動物(マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、もしくはヒトなどの霊長類であり得る)である。いくつかの実施形態では、動物はヒトである。
【0113】
いくつかの実施形態では、治療する動物または哺乳動物が「それを必要とする」とは、動物または哺乳動物(好適にはヒト)が特定の治療方法の必要性を有すると確認されたことを意味する。いくつかの実施形態では、確認は任意の診断手段によって行うことができる。本明細書に記載の方法及び治療のいずれかにおいて、動物または哺乳動物(好適にはヒト)は、それを必要とし得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、「治療有効量」の核酸キャリアを動物または哺乳動物(好適にはヒト)に投与する。「治療有効量」とは、組織、系、動物、哺乳動物、個体、またはヒトにおいて、研究者、獣医、医師、またはその他の臨床医が求める生物学的反応または薬効反応を誘発する量を意味する。治療効果は、治療する障害または目的とする生物学的効果に依存する。したがって、治療効果とは、障害に関連する症状の重篤度の低減及び/もしくは障害の進行の阻止(部分的または完全な)、または障害もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは排除の改善であり得る。治療反応を誘発するのに必要な量は、動物または哺乳動物の年齢、健康状態、サイズ、及び性別に基づいて決定することができる。動物または哺乳動物の治療に対する反応のモニタリングに基づいて、最適量を決定することもできる。有益なまたは望ましい臨床結果として、症状の緩和;病態、障害、または疾患の程度の減少;病態、障害、または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させない);病態、障害、または疾患の進行の発症遅延化もしくは緩徐化;検出可能か検出不可であるかを問わない、病態、障害、または疾患の状態の改善、もしくは(部分的または完全な)寛解;必ずしも患者が認識していない少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善;または病態、障害、または疾患の好転もしくは改善が挙げられるが、これらに限定されない。治療には、過度の副作用を伴わずに臨床的に有意な反応を誘発することを含む。治療にはまた、治療を受けていない場合に予想されるものと比較して生存期間を延長することを含む。
【0115】
組成物に使用される正確な投与量はまた、投与経路及び障害または疾患の重篤度に応じて異なり、施術者の判断及び各動物または哺乳動物の状況に従って決定されるべきである。しかしながら、経口投与に適した用量範囲は、一般に、体重1キログラムあたり約0.001ミリグラム~約200ミリグラム、体重1キログラムあたり約0.01ミリグラム~約100ミリグラム、体重1キログラムあたり約0.01ミリグラム~約70ミリグラム、体重1キログラムあたり約0.1ミリグラム~約50ミリグラム、体重1キログラムあたり0.5ミリグラム~約20ミリグラム、または体重1キログラムあたり約1ミリグラム~約10ミリグラムである。いくつかの実施形態では、経口投与量は体重1キログラムあたり約5ミリグラムである。いくつかの実施形態では、経口投与に適した用量範囲は、一般に、約0.1mg~約500mg、約1mg~約100mg、約10mg~約50mg、または約10mg~約25mgである。
【0116】
いくつかの実施形態では、静脈内(i.v.)投与に適した用量範囲は、体重1kgあたり約0.01mg~約500mg、体重1kgあたり約0.1mg~約100mg、体重1kgあたり約1mg~約50mg、または体重1kgあたり約10mg~約35mgである。いくつかの実施形態では、i.v.投与に適した用量範囲は、一般に、約0.1mg~約500mg、約1mg~約100mg、約10mg~約50mg、または約10mg~約25mgである。他の投与様式に適した用量範囲は、当業者に知られているように上記投与量に基づいて算出することができる。例えば、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、硬膜外投与、舌下投与、脳内投与、膣内投与、経皮投与、または吸入による投与の推奨用量は、体重1kgあたり約0.001mg~約200mg、体重1kgあたり約0.01mg~約100mg、体重1kgあたり約0.1mg~約50mg、または体重1kgあたり約1mg~約20mgの範囲である。有効量は、in vitroまたは動物モデルでの試験系から導出される用量反応曲線から推定することができる。そ
のような動物モデル及び系は、当技術分野において周知である。
【0117】
本明細書に記載の核酸キャリアは、ボーラス注射または連続注入などの注射による非経口投与に合わせて製剤化することができる。核酸キャリアは、約15分~約24時間の期間にわたり皮下に連続注入することにより投与することができる。注射用製剤は、アンプルまたは複数回量容器などの単位剤形で、防腐剤を添加して提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中で懸濁液、溶液、または乳濁液のような形態を取ることができ、懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤などの製剤用添加剤を含有してもよい。いくつかの実施形態では、注射剤は、皮下または筋肉内に注射される、短時間作用型、デポー剤、またはインプラント及びペレット形態である。いくつかの実施形態では、非経口剤形は、溶液、懸濁液、乳濁液、または乾燥散剤の形態である。
【0118】
本明細書に記載の核酸キャリアは、経口投与用として、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と核酸キャリアとを混合することによって製剤化することができる。そのような担体により、治療する動物または哺乳動物による経口摂取用の錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、乳濁液、液体、ゲル、シロップ、カシェ剤、ペレット、散剤、顆粒、スラリー、トローチ剤、水性または油性懸濁液などとして化合物を製剤化することができる。経口用途の医薬製剤は、例えば固体賦形剤を添加し、必要に応じて適切な補助剤を添加した後に、得られた混合物を場合により粉砕し、顆粒混合物を加工して錠剤または糖衣錠コアにすることによって得ることができる。好適な賦形剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びソルビトールを含むがこれに限定されない糖などの増量剤;トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びポリビニルピロリドン(PVP)などであるが、これに限定されないセルロース調製物が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などであるが、これに限定されない崩壊剤を添加することができる。
【0119】
経口投与される組成物には、薬学的に口当たりのよい製剤を得るため、例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーン油、またはチェリーなどの着香剤;着色剤;及び防腐剤などの1種以上の任意の薬剤を含有してもよい。さらに、錠剤または丸剤の形態では、組成物をコーティングし、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせることで、長期間にわたり持続作用を得ることができる。口腔用組成物には、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウムなどの標準的なビヒクルを含み得る。そのようなビヒクルには医薬等級のものが適している。
【0120】
糖衣錠コアに好適なコーティングを施すことができる。この目的には、濃縮糖溶液を使用することができ、これには場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。活性化合物用量の異なる組み合わせを識別する、またはそれぞれの特徴を表すために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに添加することができる。
【0121】
経口に使用することができる医薬製剤には、ゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチン製及びグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製の軟質封入カプセルが含まれるが、これらに限定されない。押し込み式カプセルには、活性成分を、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、及び/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに場合によっては安定剤と混合して含有してもよい。軟質カプセルでは、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコー
ルなどの好適な液体に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定剤を添加することができる。
【0122】
頬側投与の場合には、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはトローチ剤などの形態を取ることができる。
【0123】
吸入による投与の場合には、本明細書に記載の核酸キャリアを、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスなどの好適な噴射剤を用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアゾールスプレー化した形態で送達することができる。吸入器または通気器で使用されるゼラチンなどのカプセル及びカートリッジに、核酸キャリアと、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との混合粉末を入れて製剤化することができる。
【0124】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有するような、坐剤または停留浣腸などの直腸投与組成物に製剤化することもできる。本明細書に記載の核酸キャリアは、膣クリーム、坐剤、ペッサリー、膣リング、及び子宮内器具などの膣投与組成物に製剤化することもできる。
【0125】
経皮投与では、核酸キャリアをプラスターに塗布することも、または経皮治療システムで塗布して、結果的に生物に供給することもできる。いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、クリーム、溶液、散剤、流体エマルジョン、流体懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、ゲル、ゼリー、及びフォーム中に存在するか、またはこれらのいずれかを含有するパッチ中に存在する。
【0126】
本明細書に記載の核酸キャリアは、デポー製剤としても製剤化することができる。そのような長時間作用性の製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与することができる。デポー注射は、約1~約6か月またはそれ以上の間隔で投与することができる。したがって、例えば、核酸キャリアは、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、または難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、制御放出系で送達することができる。いくつかの実施形態では、ポンプを使用してもよい。別の実施形態では、高分子材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、肝臓など、本明細書に記載の核酸キャリアの標的の近傍に制御放出系を配置することができるため、全身投与量の何分の1しか必要としない。
【0128】
核酸キャリアは、薬学的に許容される希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤などとともに、そのような製剤に含有することができる。医薬組成物はまた、好適な固相またはゲル相の担体または賦形剤を含んでもよい。そのような担体または賦形剤の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、局所鎮痛剤(例えば、リドカイン)、バリアデバイス(例えば、GelClair)、またはリンス剤(例えば、Caphosol)を含むがこれらに限定されない薬剤とともに使用することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸キャリアは、小胞、特にリポソーム中で送達することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、製剤を凍結乾燥して固体にし、使用前に例えば水で再構成することができる。
【0131】
ヒトに投与する場合、核酸キャリアは滅菌ビヒクル中にあってもよい。化合物を静脈内投与する場合、水が好適な担体である。生理食塩水ならびにデキストロース水溶液及びグリセロール水溶液もまた、液体担体として、特に注射液用に使用することができる。好適な医薬担体としては、また、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤が挙げられる。本発明の組成物はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有してもよい。
【0132】
本明細書に記載の組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、散剤、徐放性製剤、坐剤、エアゾール、スプレーといった形態、または使用に適した他の形態を取ることができる。
【0133】
医薬組成物は、単位剤形であってよい。そのような形態では、組成物を、適量の核酸キャリアを含む単位用量に分割することができる。単位剤形は、包装された製剤、すなわち個別量の製剤を含有するパッケージ、例えば個別包装した錠剤、カプセル、及びバイアルまたはアンプル中の散剤であってよい。単位剤形はまた、カプセル、カシェ、または錠剤そのままであってもよく、あるいは適切な数のこれら包装形態のいずれかであってもよい。
【0134】
好適な防腐剤としては、フェニル水銀塩(例えば、酢酸フェニル水銀塩、ホウ酸フェニル水銀塩、及び硝酸フェニル水銀塩)及びチメロサールなどの水銀含有物質;安定した二酸化塩素;塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化セチルピリジニウムなどの第4級アンモニウム化合物;イミダゾリジニル尿素;メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、及びブチルパラベンなどのパラベン及びその塩;フェノキシエタノール;クロロフェノキシエタノール;フェノキシプロパノール;クロロブタノール;クロロクレゾール;フェニルエチルアルコール;EDTA二ナトリウム;ならびにソルビン酸及びその塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
必要に応じて化学安定性を高めるために、場合により1種以上の安定剤を組成物に含んでもよい。好適な安定剤として、キレート剤または錯化剤、例えばカルシウム錯化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、過剰量のカルシウムイオンを錯体化させて保存中のゲル形成を防止するために、適量のEDTAまたはその塩、例えば二ナトリウム塩を組成物に含んでもよい。EDTAまたはその塩は、好適には、約0.01%~約0.5%の量で含み得る。EDTA以外の防腐剤を含むこれらの実施形態では、EDTAまたはその塩、より具体的にはEDTA二ナトリウムは、約0.025重量%~約0.1重量%の量で存在し得る。
【0136】
組成物にはまた、1種以上の抗酸化剤を含んでもよい。好適な抗酸化剤には、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ポリクオタニウム-1、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、トコフェロール、もしくはトコトリエノール、または当業者に既知の他の薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。このような防腐剤は通常、約0.001重量%~約1.0重量%のレベルで使用される。
【0137】
いくつかの実施形態では、核酸キャリアは、許容される可溶化剤によって少なくとも部分的に可溶化される。特定の許容される非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は、可溶化剤として有用であり得、同様に許容されるグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400(PEG-400)、及びグリコールエーテルが有用であり得る。溶液及び溶液/懸濁組成物に適した可溶化剤はシクロデキストリンである。好適なシクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、アルキルシクロデキストリン(例えば、メチル-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、ジエチル-β-シクロデキストリン)、ヒドロキシアルキルシクロデキストリン(例えば、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、カルボキシ-アルキルシクロデキストリン(例えば、カルボキシメチル-β-シクロデキストリン)、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)などから選択することができる。許容されるシクロデキストリンは、場合により約1~約200mg/ml、約5~約100mg/ml、または約10~約50mg/mlの濃度で組成物中に存在し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、組成物は場合により懸濁剤を含有する。例えば、組成物が水性懸濁液または溶液/懸濁液である実施形態では、組成物が、懸濁剤として1種以上のポリマーを含んでもよい。有用なポリマーとして、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、及び架橋カルボキシル含有ポリマーなどの水不溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、いくつかの実施形態では、固体粒子状物質が存在すると、目の治療時に不快感及び/または刺激を引き起こす可能性があるため、組成物には、抗微生物性のポリマー活性剤もしくはオリゴマー活性剤、賦形剤、またはそのいずれであろうと、相当量の固体粒子状物質は含有しない。
【0139】
酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及びトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウム、及び塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、1種以上の許容されるpH調整剤及び/または緩衝剤を組成物に含んでもよい。そのような酸、塩基、及び緩衝剤は、組成物のpHを許容される範囲内に維持するのに必要な量で含まれる。
【0140】
場合により、組成物の成分の溶解性を高めるため、または物理的安定性を付与するため、またはその他の目的のために、1種以上の許容される界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、または共溶媒を組成物に含んでもよい。好適な非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、例えばポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40;ポリソルベート20、60、及び80;ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標)F-68、F84、及びP-103);シクロデキストリン;または当業者に既知の他の薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような共溶媒または界面活性剤は通常、約0.01重量%~約2重量%のレベルで組成物に使用される。
【0141】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸キャリアを充填した1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットを本明細書で提供する。場合によって、そのような容器(複数可)には、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府当局によって定められた形態の通知が添付されることがあり、この通知は本明細書に記載の病態、疾患、または障害を治療するヒト投与用の製造、使用、または販売に関する当局による認可を
表す。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の複数の核酸キャリアを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の核酸キャリア及び場合により別の治療薬を含む。いくつかの実施形態では、キットは、注射針付き注射器などの注射用器具を含む。
【0142】
本明細書に記載の核酸キャリアは、柔軟性の改善、有効性の改善、免疫の増強、毒性の低減、疎水性標的薬剤及び標的薬の溶解性の改善、ならびに半減期、循環時間、クリアランス、及びPKプロファイルの改善を含むが、これに限定されない多数の利益を有することができる。
【0143】
本明細書に記載の核酸キャリアは、目的とする成果を達成するために様々な標的薬剤を組み合わせる際に、設計及び構築の両面で、ならびに最終製剤化においてモジュール性が高い。個々の成分、多様な設計の核酸キャリア足場、及び核酸キャリアのアームに結合するリンカー配列にコンジュゲートされる個々の標的薬剤を、個別に調製及び特性決定することができる。個々に特性決定された成分及び標的を、特定の成分を足場に結合させるリンカーオリゴヌクレオチドを用いて、in vitroまたはin vivoで試験する前に様々な目的比で混合し、適合させることができる。同じ標的薬剤を複数組み合わせると、疾患または細胞標的に対する核酸キャリア製剤の特異性及び結合活性の両方が変更される。2重もしくは3重特異性抗体または融合タンパク質は、特定の標的に対する力価が1つのみまたは場合により2つに限定されるため、この核酸キャリアを微調整する能力は、2重もしくは3重特異性抗体または融合タンパク質よりも有利である。また、2重及び3重特異性構築物の多く、特に免疫腫瘍学プログラムで使用されるものは、臨床に対応できる量で製造することが困難であることが実証されており、ダイアボディ、タンデムscFv、架橋抗原結合断片(Fab)、及びクアドローマ由来構築物を含む、多様な形式が使用されている。新たな遺伝子構築物または融合構築物を生成して、広範な特性決定プロセスを繰り返さなくても、元の全抗体クローンを用いて2重特異性、3重特異性、または多重特異性の組み合わせを作製する方が有利である。元の抗体クローンをリンカーオリゴヌクレオチドに結合させ、この抗体クローンを核酸キャリアに導入して、製剤化に進めることは、迅速かつ低コストのプロセスである。
【0144】
本明細書に記載の核酸キャリアは、いくつかの理由により改善された有効性を有することができる。核酸キャリアは、標的化及びペイロード(薬物送達)に関してより高い標的能力を有する。免疫腫瘍学用途において疾患細胞に対する免疫細胞の配置を制御して、免疫細胞に基づく応答をより効率的に促進することも利点である。核酸キャリア足場はまた、細胞間の配置、細胞間の距離の両方を最大化し、またパートナー細胞間のより安定した結合が得られるように直径を調節及び調整することができる。免疫腫瘍学では、核酸キャリアは、免疫細胞及び疾患細胞に対して1つまたは2つの結合部位しか有しない他の2重及び3重特異性構築物と比較して、腫瘍及び免疫細胞の両方に対して多価性であるため、より効率的な免疫細胞の結合及び動員、ならびに腫瘍への標的指向性を有することができる。ワクチン接種におけるアジュバントのリンパ節へのナノ粒子媒介性標的指向性は、アジュバントの全身分布を阻止すること、及び有意な用量節減(最大250倍)を可能にすることの両方により、有効性と安全性の両方を増加させる。さらに、ナノ粒子中のTLRリガンドを樹状細胞に標的送達することにより、送達アジュバントの有効性が著しく増強されることも示されている。
【0145】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、ワクチン開発及び免疫腫瘍学用途において適応(体液性)免疫を増強することができる。核酸キャリアの多価構造により、免疫細胞標的分子、1つ以上の抗原(同一または異なる)、及び1つ以上のアジュバント(同一または異なる)を加える場合に適合性が得られる。例えば、マンノース及びTLRアゴニストを1つの多価核酸キャリアの一部として組み合わせることにより、長期的な体液性免疫応答
の相乗的増強が可能になる。数多くのクラスの新たな物質がまだ詳細に研究されておらず、この分野で大きな潜在性を有する可能性があるため、この傾向は今後も続くはずである。例として、複雑な3次元多価モチーフを示し、免疫細胞受容体と結合して組織化できるDNAナノ構造が挙げられる。核酸キャリアは、特異性抗原提示細胞(樹状細胞など)を標的化すると同時に、同一または異なる1つ以上のアジュバント、及び抗原を送達することができる。核酸キャリアは、細胞表面受容体にリガンドをコンジュゲートすることで有効な標的指向性を有し、多くの場合、非標的粒子と比較して貪食細胞によるナノ粒子の取り込みを増加させ、核酸キャリアがマクロファージ及び単球を免疫調節薬の送達に適した標的とすることができる。Fc受容体、スカベンジャー受容体、及びマンノース受容体(MMRまたはCD206)を含めた多数の受容体が、マクロファージ特異的な標的指向性をもつ。マクロファージFc受容体の標的指向性は、ナノ粒子をIgGでコーティングして、粒子の取り込みを促進し、マクロファージ内でのその保持を高めることにより達成される。マクロファージマンノース受容体(MMR)は、成熟マクロファージ及び樹状細胞では発現するが、血液循環中の単球では発現しない。これらの標的指向戦略の両方を1つの核酸キャリアに組み込むことにより、抗原提示を強化し、かつ免疫活性化特性の増強された粒子を作製することができる。核酸キャリアはまた、MHC I抗原のサイトゾルへの送達及び提示を改善することもできる。さらに、様々なサイズに容易に適合する核酸キャリアの柔軟性、ならびに屈曲、圧縮、及び位置変更に対する足場物質の柔軟性によって、リンパ系による効率的な取り込みを可能にする。この特徴は一貫して、免疫応答能力の改善及び系のサイトカイン関連毒性の低下と関連している。
【0146】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、核酸キャリアを用いていない同じ標的薬剤と比較して毒性を低下させることもできる。核酸キャリアは、製剤の一部である潜在的に有毒な物質(薬剤、抗体、及び他の分子)を目的地に到達するまで隔離することにより、オフターゲットの蓄積及び副作用を防止することができる。これらの物質には、標的抗体もしくはその一部、細胞傷害性薬物の抗原、またはあらゆる標的指向性分子を有するナノ粒子と同時に送達される分子を含み得る。また、核酸キャリア固有の特性(荷電、サイズ、形状、標的指向性分子密度など)に応じて、搭載された積荷(すなわち薬物)及び標的抗体、薬物の生物学的分布を変化させ、オフターゲットの曝露を制限するだけでなく、疾患標的に到達しない積荷の様々な低毒性のクリアランスを生じさせることができる。
【0147】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、疎水性標的薬剤及び標的薬の溶解性を改善することができる。薬物、小分子、及び生物学的製剤の多くのクラスは難溶性と関連付けられており、単独の化合物として送達される場合、その循環時間または目的標的への到達能力を低下させる場合が多い。ところが核酸キャリア足場は高負電荷であり、薬物がいったん結合すると薬物を水性環境中で目的地に送達する能力が向上する。核酸キャリア足場の化学的性質、組成、及び負電荷により、結合後の標的薬剤及び標的薬の生物学的特性を再構成することができる。
【0148】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、半減期、循環時間、クリアランス、及びPKプロファイルを改善することもできる。いったん核酸キャリア足場に結合すると、小型薬物は、通常観察される腎クリアランスから逃れることができ、その結果、循環全体の半減期の増加及び薬物のPKの増加が得られる。例えば、分子量1kDa未満の小型薬物であるドキソルビシンは、腎臓での糸球体濾過によって除去され、半減期は数分と測定されている。ところが核酸キャリアと結合させた場合、新たな半減期は数時間と測定されている。
【0149】
本明細書に記載の核酸キャリアはまた、薬物積荷を血液脳関門を越えて輸送する能力を改善することができる。したがって、本明細書に記載の核酸キャリアは、通常は血液脳関門を越えて輸送されない活性成分の送達媒体として使用することができる。その結果、例えば、神経障害及び脳のがん(すなわち、神経膠芽腫及び髄芽腫)を含む、脳に関連する
様々な種類の疾患及び障害を、血液脳関門を越えた薬物の送達によって治療することができる。
【0150】
以下に代表的な実施形態を示す。
【0151】
実施形態1.5つの単量体を含む1層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の末端アームにコンジュゲートされ、12個の周辺末端アームを有する1層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【0152】
実施形態2.前記12個の周辺末端アームが1~12種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態1の核酸キャリア。
【0153】
実施形態3.前記12個の周辺末端アームが1~6種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態1の核酸キャリア。
【0154】
実施形態4.前記12個の周辺末端アームが1~4種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態1の核酸キャリア。
【0155】
実施形態5.前記12個の周辺末端アームが1~3種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態1の核酸キャリア。
【0156】
実施形態6.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む、実施形態1~5のいずれか1つの核酸キャリア。
【0157】
実施形態7.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~4、1~3、または2種類の標的薬剤を含む、実施形態1~5のいずれか1つの核酸キャリア。
【0158】
実施形態8.11個の単量体を含む1.5層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、
第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、24個の周辺末端アームを有する1.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【0159】
実施形態9.前記24個の周辺末端アームが1~24種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態8の核酸キャリア。
【0160】
実施形態10.前記24個の周辺末端アームが1~6種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態8の核酸キャリア。
【0161】
実施形態11.前記24個の周辺末端アームが1~4種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態8の核酸キャリア。
【0162】
実施形態12.前記24個の周辺末端アームが1~3種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態8の核酸キャリア。
【0163】
実施形態13.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~24個、1~18個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む、実施形態8~12のいずれか1つの核酸キャリア。
【0164】
実施形態14.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~4、1~3、または2種類の標的薬剤を含む、実施形態8~12のいずれか1つの核酸キャリア。
【0165】
実施形態15.17個の単量体を含む2層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジ
ュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、36個の周辺末端アームを有する2層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【0166】
実施形態16.前記36個の周辺末端アームが1~36種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態15の核酸キャリア。
【0167】
実施形態17.前記36個の周辺末端アームが1~6種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態15の核酸キャリア。
【0168】
実施形態18.前記36個の周辺末端アームが1~4種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態15の核酸キャリア。
【0169】
実施形態19.前記36個の周辺末端アームが1~3種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態15の核酸キャリア。
【0170】
実施形態20.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~36個、1~30個、1~24個、1~18個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む、実施形態15~19のいずれか1つの核酸キャリア。
【0171】
実施形態21.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~4、1~3、または2種類の標的薬剤を含む、実施形態15~19のいずれか1つの核酸キャリア。
【0172】
実施形態22.35個の単量体を含む2.5層の核酸キャリアであって、各単量体は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ
、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、
第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、
72個の周辺末端アームを有する2.5層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【0173】
実施形態23.前記72個の周辺末端アームが1~72種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態22の核酸キャリア。
【0174】
実施形態24.前記72個の周辺末端アームが1~6種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態22の核酸キャリア。
【0175】
実施形態25.前記72個の周辺末端アームが1~4種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態22の核酸キャリア。
【0176】
実施形態26.前記72個の周辺末端アームが1~3種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態22の核酸キャリア。
【0177】
実施形態27.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~72個、1~66個、1~60個、1~54個、1~48個、1~36個、1~30個、1~24個、1~18個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む、実施形態22~26のいずれか1つの核酸キャリア。
【0178】
実施形態28.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~4、1~3、または2種類の標的薬剤を含む、実施形態22~26のいずれか1つの核酸キャリア。
【0179】
実施形態29.53個の単量体を含む3層の核酸キャリアであって、各単量体は、
第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み;
ここで、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドそれぞれの中央部分は互いに相補的であり、二本鎖領域を形成し、
前記第1のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分は、前記第2のオリゴヌクレオチドの2つの末端部分と相補的ではなく、4つの末端アームを形成し;
第1単量体の第1の末端アームは第2単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第2の末端アームは第3単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第3の末端アームは第4単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第1単量体の第4の末端アームは第5単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;第2単量体の第2の末端アームは第6単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第2の末端アームは第7単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第2の末端アームは第8単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第2の末端アームは第9単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第3の末端アームは第10単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第3の末端アームは第11単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第3の末端アームは第12単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第3の末端アームは第13単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第2単量体の第4の末端アームは第14単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第3単量体の第4の末端アームは第15単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第4単量体の第4の末端アームは第16単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第5単量体の第4の末端アームは第17単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第6単量体の第2の末端アームは第18単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第2の末端アームは第19単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第2の末端アームは第20単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第2の末端アームは第21単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第2の末端アームは第22単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第2の末端アームは第23単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第2の末端アームは第24単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第2の末端アームは第25単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第2の末端アームは第26単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第2の末端アームは第27単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第2の末端アームは第28単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第2の末端アームは第29単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、
第6単量体の第3の末端アームは第30単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第3の末端アームは第31単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第3の末端アームは第32単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第3の末端アームは第33単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第3の末端アームは第34単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第3の末端アームは第35単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第3の末端アームは第36単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第13単量体の第3の末端アームは第37単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第3の末端アームは第38単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第3の末端アームは第39単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第3の末端アームは第40単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第3の末端アームは第41単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
第6単量体の第4の末端アームは第42単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第7単量体の第4の末端アームは第43単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第8単量体の第4の末端アームは第44単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第9単量体の第4の末端アームは第45単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第10単量体の第4の末端アームは第46単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第11単量体の第4の末端アームは第47単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第12単量体の第4の末端アームは第48単量体の第1の末端アームに
コンジュゲートされ、第13単量体の第4の末端アームは第49単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第14単量体の第4の末端アームは第50単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第15単量体の第4の末端アームは第51単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第16単量体の第4の末端アームは第52単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ、第17単量体の第4の末端アームは第53単量体の第1の末端アームにコンジュゲートされ;
108個の周辺末端アームを有する3層の核酸キャリアを形成しており;ならびに
前記単量体は少なくとも1つの周辺末端アームにコンジュゲートされた少なくとも1つの標的薬剤を含み、ここで、前記少なくとも1つの標的薬剤がmiRNAである場合、前記核酸キャリアが少なくとも1つの異なる標的薬剤を含む、前記核酸キャリア。
【0180】
実施形態30.前記108個の周辺末端アームが1~108種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態29の核酸キャリア。
【0181】
実施形態31.前記108個の周辺末端アームが1~6種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態29の核酸キャリア。
【0182】
実施形態32.前記108個の周辺末端アームが1~4種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態29の核酸キャリア。
【0183】
実施形態33.前記108個の周辺末端アームが1~3種類のヌクレオチド配列を含む、実施形態29の核酸キャリア。
【0184】
実施形態34.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~108個、1~102個、1~96個、1~90個、1~84個、1~78個、1~72個、1~66個、1~60個、1~54個、1~48個、1~36個、1~30個、1~24個、1~18個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、2個、または1個の標的薬剤を含む、実施形態29~33のいずれか1つの核酸キャリア。
【0185】
実施形態35.前記周辺末端アームにコンジュゲートされた1~4、1~3、または2種類の標的薬剤を含む、実施形態29~33のいずれか1つの核酸キャリア。
【0186】
実施形態36.前記核酸がデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、修飾DNAもしくはRNA、またはそれらの組み合わせである、実施形態1~35のいずれか1つの核酸キャリア。
【0187】
実施形態37.前記二本鎖領域が4~2000塩基長である、実施形態1~36のいずれか1つの核酸キャリア。
【0188】
実施形態38.前記二本鎖領域が5~200塩基長である、実施形態37の核酸キャリア。
【0189】
実施形態39.前記二本鎖領域が25~50塩基長である、実施形態38の核酸キャリア。
【0190】
実施形態40.各末端アームが4~200塩基長である、実施形態1~39のいずれか1つの核酸キャリア。
【0191】
実施形態41.各末端アームが5~50塩基長である、実施形態40の核酸キャリア。
【0192】
実施形態42.各末端アームが25~50塩基長である、実施形態41の核酸キャリア。
【0193】
実施形態43.各末端アームが16~50塩基長である、実施形態42の核酸キャリア。
【0194】
実施形態44.前記少なくとも1つの標的薬剤が、前記少なくとも1つの末端アームにオリゴヌクレオチドリンカーによってコンジュゲートされる、実施形態1~43のいずれか1つの核酸キャリア。
【0195】
実施形態45.標的薬剤とコンジュゲートされていない1つ以上の末端アームが、オリゴヌクレオチドリンカーと相補的な塩基対を形成する、実施形態1~44のいずれか1つの核酸キャリア。
【0196】
実施形態46.少なくとも1つの単量体が架橋剤によって別の単量体に架橋されている、実施形態1~45のいずれか1つに記載の核酸キャリア。
【0197】
実施形態47.前記架橋剤が、マイトマイシンC、ダウナマイシン、エチジウムジアジド、シスプラチン、EDC型化合物、またはソラレンである、実施形態46の核酸キャリア。
【0198】
実施形態48.前記ソラレンが、8-メトキシソラレン、4,5’,8-トリメチルソラレン、4’-ヒドロキシメチル-4,5’,トリメチルソラレン、4’-メトキシメチル-4,5’,8-トリメチルソラレン、4’N-フタルイミドメチル-4,5’,8-トリメチルソラレン、または4’-アミノメチル-4,5’-8-トリメチルソラレン塩酸塩である、実施形態47の核酸キャリア。
【0199】
実施形態49.前記少なくとも1つの標的薬剤が、抗原、ペプチド、抗体もしくはその断片、抗体-薬物コンジュゲート、非抗体足場、標識、アジュバント、RNA分子、DNA分子、ビタミン、タンパク質、融合タンパク質、融合ペプチド、炭水化物、脂質、多糖類、リポ多糖類、ポリマー、ウイルス粒子、もしくはウイルス様粒子、またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態1~48のいずれか1つの核酸キャリア。
【0200】
実施形態50.前記ポリマーが、ヒアルロン酸、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、または乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)である、実施形態49の核酸キャリア。
【0201】
実施形態51.前記非抗体足場が、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、シスノット、DARPin、FN3、フィノマー、kunitzドメイン、またはO-ボディである、実施形態49の核酸キャリア。
【0202】
実施形態52.前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、酵母抗原、原虫抗原、またはプリオンである、実施形態49の核酸キャリア。
【0203】
実施形態53.前記抗原が、Acetobacter aurantius、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter junii、Acinetobacter lwoffii、Actinomyces israelii、Actinomyces viscosus、A
ggregatibacter actinomycetemcomitans、Agrobacterium radiobacter、Agrobacterium tumefaciens、Azorhizobium caulinodans、Azotobacter vinelandii、Anaplasma phagocytophilum、Bacillus anthracis、Bacillus brevis、Bacillus cereus、Bacillus fusiformis、Bacillus licheniformis、Bacillus megaterium、Bacillus mycoides、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、Bacteroides gingivalis、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus(Prevotella melaninogenica)、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Bordetella bronchiseptica、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Brucella abortus、Brucella melitensis、Brucella suis、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Burkholderia cepacia、Calymmatobacterium granulomatis、Campylobacter coli、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter pylori、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae(Chlamydia pneumoniae)、Chlamydophila psittaci(Chlamydia
psittaci)、Citrobacter freundii、Citrobacter diverus、Citrobacter koseri、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens(Clostridium welchii)、Clostridium tetani、Corynebacterium diphtheria、Corynebacterium fusiforme、Coxiella
burnetii、Ehrlichia chaffeensis、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Enterobacter faecalis、Enterococcus avium、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus galllinarum、Enterococcus maloratus、Eschericia coli、Francisella tularensis、Fusobacterium
nucleatum、Gardnerella vaginalis、Haemophilus ducreyi、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus pertussis、Haemophilus vaginalis、Haemophilus influenza、Haemophilus aegyptius、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumonia、Klebsiella oxytoca、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus casei、Lactococcus lactis、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Methanobacterium extroquens、Microbacterium multiforme、Micrococcus luteus、Moraxella lacunata、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Mycobacterium avium、Mycobacterium africanum、Mycobacterium bovis、Mycobacterium canetti、Mycobacterium di
phtheria、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Mycobacterium lepraemurium、Mycobacterium microti、Mycobacterium phlei、Mycobacterium smegmatis、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma fermentans、Mycoplasma genitalium、Mycoplasma hominis、Mycoplasma penetrans、Mycoplasma pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Pasteurella tularensis、Porphyromonas gingivalis、Prevotella melaninogenica(Bacteroides melaninogenicus)、Propionibacterium acnes、Proteus mirabillis、Proteus vulgaris、Providencia stuartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas otitidis、Rhizobium radiobacter、Rickettsia prowazekii、Rickettsia psittaci、Rickettsia quintana、Rickettsia rickettsia、Rickettsia trachomae、Rochalimaea henselae、Rochalimaea Quintana、Rothia dentocariosa、Salmonella enteritidis、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Shigella dysenteriae、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Staphylococcus pneumoniae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus colmii、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus warneri、Stenotrophomonas maltophilia、Streptococcus agalactiae、Streptococcus anginosus、Streptococcus avium、Streptococcus bovis、Streptococcus cricetus、Streptococcus faceium、Streptococcus faecalis、Streptococcus ferus、Streptococcus gallinarum、Streptococcus lactis、Streptococcus mitior、Streptococcus mitis、Streptococcus mutans、Streptococcus oralis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus rattus、Streptococcus salivarius、Streptococcus sanguis、Streptococcus sobrinus、Streptococcus viridans、Treponema pallidum、Treponema denticola、Vibrio cholera、Vibrio comma、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、Wolbachia、Yersinia enterocolitica、Yersinia
pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus clavatus、Aspergillus niger、Aspergillus terreus、Candida albicans、Candida
glabrata、Candida tropicalis、Candida krusei、Candida dubliniensis、Candida parapsilosis、Fusarium solani、Fusarium monilifor
me、Fusarium proliferartum、Malessezia pachydermatis、Chrysosporium parvum、Metarhizium anisopliae、Phaeoisaria clematidis、またはSarcopodium oculorumに由来する、実施形態52の核酸キャリア。
【0204】
実施形態54.前記抗原が、Mycobacterium tuberculosis、水痘帯状疱疹ウイルス、Corynebacterium diphtheria、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、Haemophilis influenza、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、Neisseria meningitidis、ムンプスウイルス、Bordetella pertussis、Streptococcus pneumonia、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、帯状ヘルペスウイルス、Clostridium tetani、Salmonella typhi、黄熱病ウイルス、エボラウイルス、鳥インフルエンザウイルス、Bacillus anthracis、天然痘ウイルス、またはジカイルスに由来する、実施形態52の核酸キャリア。
【0205】
実施形態55.前記抗体断片が、Fab、F(ab’)2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである、実施形態49の核酸キャリア。
【0206】
実施形態56.前記抗体またはその断片が、疾患関連抗原を標的とする、実施形態49の核酸キャリア。
【0207】
実施形態57.前記疾患関連抗原が腫瘍関連抗原である、実施形態56の核酸キャリア。
【0208】
実施形態58.前記腫瘍関連抗原が、4-1BB、5AC、5T4、A2aR、アクチビン受容体様キナーゼ1、AGS-22M6、AKAP4、アルファ-フェトプロテイン、アンジオポエチン2、B7-H3、BAFF、BAGE、BCR-ABL、BORIS、CA-125、CA19-9、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD24、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD40、CD44 v6、CD51、CD56、CD70、CD71、CD73、CD74、CD79B、CD80、CD137、CD140a、CD152、CD200、CD221、CD274、CEA、ch4D5、CLDN18.2、CS1、CSF1R、CTLA-4、C-X-Cケモカイン受容体4型、DLL4、DR5、EBAG9、EGF、EGFR、EGFL7、EpCAM、ERBB2、ERBB3、FAP、フィブロネクチンのエキストラドメイン-B、葉酸受容体1、葉酸受容体アルファ、葉酸ヒドロラーゼ、Frizzled受容体、GAGE、GD2ガングリオシド、GD3ガングリオシド、神経膠腫、グリピカン3、GPNMB、gp100、GUCY2C、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、ヒストン複合体、HLA-DR、ヒト分散因子受容体キナーゼ、HPV-16、HSP105、IDH1、IDO1、IGF-I、IGF-1受容体、ILGF2、IL-6、IL-13、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、KIR、LAG-3、ルイス-Y抗原、LY6K、MAGE-1、MAGE-A3、MAGE-C2、MAGE-D4、MAPG、MART-1、Melan-A、MET、MCP-1、メソテリン、MIF、MSLN、MS4A1、ムチンCanAg、MUC1、MUC4、MUC16、NG2、N-グリコリルノ
イラミン酸、Notch受容体PD-1、NY-ESO-1、OCAA、PAP、PDGF-R α、PDCD1、PD1、PD-L1、リン酸-ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、PRAME、PSA、RANKL、RON、ROR1、SDC1、シアリルTn、SLAMF7、SPAG-9、SSX1、STEAP1、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TEM1、テネイシンC、TGF-β、TIM-3、TLR、TAM、TIM-3、TRAIL-R2、TRAIL-R1、TWEAK受容体、腫瘍特異的グリコシル化MUC1、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達転写因子2、腫瘍抗原CTAA16.88、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGF-A、VEGFR2、VEGFR-1、ビメンチン、VISTA、WT1、またはXAGE-1bである、実施形態57の核酸キャリア。
【0209】
実施形態59.前記腫瘍関連抗原が、HER-2、EGFR、CD30、CD20、EpCAM、NG2、CD19、CEA、MUC-1、CA19-9、OCAA、MAPG、TAM、TLR、CD71、ERBB2、VEGF、または神経膠腫である、実施形態57の核酸キャリア。
【0210】
実施形態60.前記疾患関連抗原が、1-40β-アミロイド、AOC3(VAP-1)、ACVR2B、アンジオポイエチン3、ベータアミロイド、C5、CCL11(エオタキシン-1)、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD18、CD20、CD23(IgE受容体)、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD28、CD41(インテグリンアルファ-IIb)、CD52、CD125、CD147(ベイシジン)、CD154(CD40L)、CEA関連抗原、クランピング因子A、エンドトキシン、GMCSF受容体α鎖、成長分化因子8、ヘマグルチニン、HNGF、Hsp90、IGHE、IgE Fc領域、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-12、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-20、IL-22、IL-23、IL-6受容体、インテグリンα4β7、インテグリンα7β7、インテグリンα4、インテグリンαIIbβ3、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンガンマ誘導タンパク質、IFN-γ、IFN-α、ITGB2(CD18)、LFA-1(CD11a)、LINGO-1、リポタイコ酸、LOXL2、ミエリン関連糖タンパク質、ミオスタチン、神経アポトーシス制御プロテイナーゼ1、NGF、NOGO-A、Oryctolagus cuniculus、OX-40、PCSK9、ホスファチジルセリン、血小板由来増殖因子受容体ベータ、RANKL、アカゲザル因子、スクレロスチン、SOST、スフィンゴシン-1-リン酸、TFPI、TGF-β、TGFベータ2、TGFベータ1、TNF-α、VEGF-A、またはVWFである、実施形態56の核酸キャリア。
【0211】
実施形態61.前記抗体またはその断片が、細胞表面マーカーを標的とする、実施形態49の核酸キャリア。
【0212】
実施形態62.前記細胞表面マーカーが免疫細胞上にある、実施形態61の核酸キャリア。
【0213】
実施形態63.前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、TIL、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、またはマスト細胞である、実施形態62の核酸キャリア。
【0214】
実施形態64.前記T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、またはナチュラルキラーT細胞であり、一方、前記B細胞がメモリーB細胞または形質細胞である、実施形態63の核酸キャリア。
【0215】
実施形態65.前記細胞表面マーカーが、CD36、CD68、CD83、CD180、CD206(MRC1-マンノース受容体)、F4/80(EGF-TM7ファミリー)、CD205、CD56、CD161、CD94:NKG2ヘテロ二量体、KIR/CD158ファミリー、CD335、CD64、CD16、CD3、CD28、CD4、CD25、CD39、Toll様受容体(TLR)、CD281、CD283、CD284、CD286、CD289、CD282、C型レクチン受容体(CLR)、Fc受容体、またはHSGである、実施形態61の核酸キャリア。
【0216】
実施形態66.以下の1つまたは2つを含む、実施形態49の核酸キャリア:
HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CD30に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;及び
PD-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PDL-1またはPDL
-2に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤。
【0217】
実施形態67.前記標識が、化学発光剤、蛍光剤、赤外色素、放射性標識剤、金属、キレート剤、ハプテン、または検出可能なタンパク質をコードする遺伝子もしくはmRNAである、実施形態49の核酸キャリア。
【0218】
実施形態68.前記アジュバントが、CpG含有オリゴヌクレオチド、ssRNA、dsRNA、一リン酸脂質、アルミニウム、スクアレン、3-デアシル-モノホスホリル脂質A、ビタミンE、界面活性剤ポリソルベート80、マンニドモノオレエート、SLAG-3、またはガラクトシルセラミドのうち、1つ以上である、実施形態49の核酸キャリア。
【0219】
実施形態69.前記CpG含有オリゴヌクレオチドが、ODN1585、ODN1668、ODN1826、ODN2006、ODN2007、ODN2216、ODN2336、ODN2395、ODN M362、AT-ODN-1、AT-ODN-2、ODNBW006、ODN2088、ODN4084、ODN INH-1、ODN INH-47、ODN TTAGGG、またはG-ODNである、実施形態68の核酸キャリア。
【0220】
実施形態70.前記RNA分子が、siRNA、miRNA、mRNA、snRNA、dsRNA、ncRNA、snoRNA、またはアプタマーである、実施形態49の核酸キャリア。
【0221】
実施形態71.前記標的薬剤が、抗原、抗体、または抗体の断片であり、前記標的部分を前記少なくとも1つの一本鎖アームにコンジュゲートする前記オリゴヌクレオチドリンカーが、CpG含有オリゴヌクレオチドである、実施形態1~48のいずれか1つの核酸キャリア。
【0222】
実施形態72.前記核酸キャリアが、少なくとも1つの抗原、免疫細胞に対する少なくとも1つの抗体またはその断片、及び少なくとも1つのアジュバントを含む、実施形態1~48のいずれか1つの核酸キャリア。
【0223】
実施形態73.化学療法剤、サイトカイン、またはケモカインをさらに含む、実施形態1~72のいずれか1つの核酸キャリア。
【0224】
実施形態74.前記化学療法剤が、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、またはドセタキセルである、実施形態73の核酸キャリア。
【0225】
実施形態75.前記サイトカインが、IL-1様サイトカイン、共通γ鎖サイトカイン、共通β鎖サイトカイン、IL-6様サイトカイン、IL-10様サイトカイン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、またはTGF-βファミリーのメンバーである、実施形態73の核酸キャリア。
【0226】
実施形態76.前記IL-1様サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、またはIL-18である、実施形態75の核酸キャリア。
【0227】
実施形態77.前記共通γ鎖サイトカインが、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、またはIL-15である、実施形態75の核酸キャリア。
【0228】
実施形態78.前記共通β鎖サイトカインが、IL-3、IL-5、またはGM-CSFである、実施形態75の核酸キャリア。
【0229】
実施形態79.前記IL-6様サイトカインが、IL-6、IL-11、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、またはIL-12である、実施形態75の核酸キャリア。
【0230】
実施形態80.前記IL-10様サイトカインが、IL-10、IL-19、またはIL-20である、実施形態75の核酸キャリア。
【0231】
実施形態81.前記インターフェロンが、IFN-α、IFN-β、またはIFN-γである、実施形態75の核酸キャリア。
【0232】
実施形態82.前記腫瘍壊死因子が、TNF-α、TNF-β、リンホトキシン(LT)-β、またはFasLである、実施形態75の核酸キャリア。
【0233】
実施形態83.前記TGF-βファミリーのメンバーが、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3である、実施形態75の核酸キャリア。
【0234】
実施形態84.前記ケモカインが、C群ケモカイン、CC群ケモカイン、CXC群ケモカイン、またはCX3Cケモカインである、実施形態73の核酸キャリア。
【0235】
実施形態85.前記C群ケモカインが、リンホタクチン/XCL1またはSCM-1β/XCL2である、実施形態84の核酸キャリア。
【0236】
実施形態86.前記CC群ケモカインが、単球走化性タンパク質(MCP)-1/CCL2、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1a/CCL3、MIP-1β/CCL4、またはエオタキシン/CCL11である、実施形態84の核酸キャリア。
【0237】
実施形態87.前記CXC群ケモカインが、IL-8/CXCL8(ELR)、IFN-γ誘導モノカイン(MIG)/CXCL9(非ELR)、IFN-γ誘導性タンパク質-10(IP-10)/CXCL10(非ELR)、または間質細胞由来因子-1(SDF-1)/CXCL12(非ELR)である、実施形態84の核酸キャリア。
【0238】
実施形態88.前記CX3Cケモカインがフラクタルカイン/CX3CL1である、実施形態84の核酸キャリア。
【0239】
実施形態89.実施形態1~88のいずれか1つの核酸キャリアと、薬学的に許容されるビヒクルとを含む医薬組成物。
【0240】
実施形態90.哺乳動物の免疫応答を誘導する方法であって、実施形態1~88のいずれか1つの核酸キャリア、または実施形態1~88のいずれか1つの核酸キャリアを含む医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含み、前記核酸キャリアが、抗原、ペプチド、抗体またはその断片、及びアジュバントから選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む、前記方法。
【0241】
実施形態91.前記抗原が、Acetobacter aurantius、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter junii、Acinetobacter lwoffii、Actinomyces israelii、Actinomyces viscosus、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Agrobacterium radiobacter、Agrobacterium tumefaciens、Azorhizobium caulinodans、Azotobacter vinelandii、Anaplasma phagocytophilum、Bacillus anthracis、Bacillus brevis、Bacillus cereus、Bacillus fusiformis、Bacillus licheniformis、Bacillus megaterium、Bacillus mycoides、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、Bacteroides gingivalis、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus(Prevotella melaninogenica)、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Bordetella bronchiseptica、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Brucella abortus、Brucella melitensis、Brucella suis、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Burkholderia cepacia、Calymmatobacterium granulomatis、Campylobacter coli、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter pylori、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae(Chlamydia pneumoniae)、Chlamydophila psittaci(Chlamydia
psittaci)、Citrobacter freundii、Citrobacter diverus、Citrobacter koseri、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens(Clostridium welchii)、Clostridium tetani、Corynebacterium diphtheria、Corynebacterium fusiforme、Coxiella
burnetii、Ehrlichia chaffeensis、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Enterobacter faecalis、Enterococcus avium、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus galllinarum、Enterococcus maloratus、Eschericia coli、Francisella tularensis、Fusobacterium
nucleatum、Gardnerella vaginalis、Haemophilus ducreyi、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus pertussis、Haemophilus vaginalis、Haemophilus influenza、Haemophilus aegyptius、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumonia、Klebsiella oxytoca、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus casei、Lactococcus lactis、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Methanobacterium extroquens、Microbac
terium multiforme、Micrococcus luteus、Moraxella lacunata、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Mycobacterium avium、Mycobacterium africanum、Mycobacterium bovis、Mycobacterium canetti、Mycobacterium diphtheria、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Mycobacterium lepraemurium、Mycobacterium microti、Mycobacterium phlei、Mycobacterium smegmatis、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma fermentans、Mycoplasma genitalium、Mycoplasma hominis、Mycoplasma penetrans、Mycoplasma pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Pasteurella tularensis、Porphyromonas gingivalis、Prevotella melaninogenica (Bacteroides melaninogenicus)、Propionibacterium acnes、Proteus mirabillis、Proteus vulgaris、Providencia stuartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas otitidis、Rhizobium radiobacter、Rickettsia prowazekii、Rickettsia psittaci、Rickettsia quintana、Rickettsia rickettsia、Rickettsia trachomae、Rochalimaea henselae、Rochalimaea Quintana、Rothia dentocariosa、Salmonella enteritidis、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Serratia
marcescens、Shigella dysenteriae、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Staphylococcus pneumoniae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus colmii、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus warneri、Stenotrophomonas maltophilia、Streptococcus agalactiae、Streptococcus anginosus、Streptococcus avium、Streptococcus bovis、Streptococcus cricetus、Streptococcus faceium、Streptococcus faecalis、Streptococcus ferus、Streptococcus gallinarum、Streptococcus lactis、Streptococcus mitior、Streptococcus mitis、Streptococcus mutans、Streptococcus
oralis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus rattus、Streptococcus salivarius、Streptococcus sanguis、Streptococcus sobrinus、Streptococcus
viridans、Treponema pallidum、Treponema denticola、Vibrio cholera、Vibrio comma、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、Wolbachia、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、As
pergillus clavatus、Aspergillus niger、Aspergillus terreus、Candida albicans、Candida glabrata、Candida tropicalis、Candida krusei、Candida dubliniensis、Candida parapsilosis、Fusarium solani、Fusarium moniliforme、Fusarium proliferartum、Malessezia pachydermatis、Chrysosporium parvum、Metarhizium anisopliae、Phaeoisaria clematidis、またはSarcopodium oculorumに由来する、実施形態90の方法。
【0242】
実施形態92.前記抗原が、Mycobacterium tuberculosis、水痘帯状疱疹ウイルス、Corynebacterium diphtheria、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、Haemophilis influenza、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、Neisseria meningitidis、ムンプスウイルス、Bordetella pertussis、Streptococcus pneumonia、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、帯状ヘルペスウイルス、Clostridium tetani、Salmonella typhi、黄熱病ウイルス、エボラウイルス、鳥インフルエンザウイルス、Bacillus anthracis、天然痘ウイルス、またはジカイルスに由来する抗原である、実施形態90の方法。
【0243】
実施形態93.前記抗体断片が、Fab、F(ab’)2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである、実施形態90~92のいずれか1つの方法。
【0244】
実施形態94.前記抗体またはその断片が、細胞表面マーカーを標的とする、実施形態90~93のいずれか1つの方法。
【0245】
実施形態95.前記細胞表面マーカーが免疫細胞上にある、実施形態94の方法。
【0246】
実施形態96.前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、TIL、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、またはマスト細胞である、実施形態95の方法。
【0247】
実施形態97.前記T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、またはナチュラルキラーT細胞であり、一方、前記B細胞がメモリーB細胞または形質細胞である、実施形態96の方法。
【0248】
実施形態98.前記細胞表面マーカーが、CD36、CD68、CD83、CD180、CD206(MRC1-マンノース受容体)、F4/80(EGF-TM7ファミリー)、CD205、CD56、CD161、CD94:NKG2ヘテロ二量体、KIR/CD158ファミリー、CD335、CD64、CD16、CD3、CD28、CD4、CD25、CD39、Toll様受容体(TLR)、CD281、CD283、CD284、CD286、CD289、CD282、C型レクチン受容体(CLR)、Fc受容体、またはHSGである、実施形態94の方法。
【0249】
実施形態99.前記アジュバントが、CpG含有オリゴヌクレオチド、ssRNA、dsRNA、一リン酸脂質、アルミニウム、スクアレン、3-デアシル-モノホスホリル脂
質A、ビタミンE、界面活性剤ポリソルベート80、マンニドモノオレエート、SLAG-3、またはガラクトシルセラミドのうち、1つ以上である、実施形態90~98のいずれか1つの方法。
【0250】
実施形態100.前記CpG含有オリゴヌクレオチドが、ODN1585、ODN1668、ODN1826、ODN2006、ODN2007、ODN2216、ODN2336、ODN2395、ODN M362、AT-ODN-1、AT-ODN-2、ODNBW006、ODN2088、ODN4084、ODN INH-1、ODN INH-47、ODN TTAGGG、及びG-ODNである、実施形態99の方法。
【0251】
実施形態101.前記標的部分を前記末端アームにコンジュゲートする前記オリゴヌクレオチドリンカーが、CpG含有オリゴヌクレオチドである、実施形態90~100のいずれか1つの方法。
【0252】
実施形態102.がんを有する前記哺乳動物を治療する方法であって、実施形態1~98のいずれか1つの核酸キャリア、または実施形態1~98のいずれか1つの核酸キャリアを含む医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含み、前記核酸キャリアが、抗体またはその断片、及び標識から選択される少なくとも2つの標的薬剤を含む、前記方法。
【0253】
実施形態103.前記抗体断片が、Fab、F(ab’)2、scFv、タンデムscFv、BiTE、単一ドメイン(sdAb)抗体、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、ミニボディ、融合タンパク質、またはscFv-Fcである、実施形態102の方法。
【0254】
実施形態104.第1の抗体またはその断片が、腫瘍関連抗原を標的とする、実施形態102または実施形態103の方法。
【0255】
実施形態105.前記腫瘍関連抗原が、4-1BB、5AC、5T4、A2aR、アクチビン受容体様キナーゼ1、AGS-22M6、AKAP4、アルファ-フェトプロテイン、アンジオポエチン2、B7-H3、BAFF、BAGE、BCR-ABL、BORIS、CA-125、CA19-9、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD24、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD40、CD44 v6、CD51、CD56、CD70、CD71、CD73、CD74、CD79B、CD80、CD137、CD140a、CD152、CD200、CD221、CD274、CEA、ch4D5、CLDN18.2、CS1、CSF1R、CTLA-4、C-X-Cケモカイン受容体4型、DLL4、DR5、EBAG9、EGF、EGFR、EGFL7、EpCAM、ERBB2、ERBB3、FAP、フィブロネクチンのエキストラドメイン-B、葉酸受容体1、葉酸受容体アルファ、葉酸ヒドロラーゼ、Frizzled受容体、GAGE、GD2ガングリオシド、GD3ガングリオシド、神経膠腫、グリピカン3、GPNMB、gp100、GUCY2C、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、ヒストン複合体、HLA-DR、ヒト分散因子受容体キナーゼ、HPV-16、HSP105、IDH1、IDO1、IGF-I、IGF-1受容体、ILGF2、IL-6、IL-13、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、KIR、LAG-3、ルイス-Y抗原、LY6K、MAGE-1、MAGE-A3、MAGE-C2、MAGE-D4、MAPG、MART-1、Melan-A、MET、MCP-1、メソテリン、MIF、MSLN、MS4A1、ムチンCanAg、MUC1、MUC4、MUC16、NG2、N-グリコリルノイラミン酸、Notch受容体PD-1、NY-ESO-1、OCAA、PAP、PDGF-R α、PDCD1、PD1、PD-L1、リン酸-ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、PRAME、PSA、RANKL、RON、ROR1、SDC1、シア
リルTn、SLAMF7、SPAG-9、SSX1、STEAP1、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TEM1、テネイシンC、TGF-β、TIM-3、TLR、TAM、TIM-3、TRAIL-R2、TRAIL-R1、TWEAK受容体、腫瘍特異的グリコシル化MUC1、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達転写因子2、腫瘍抗原CTAA16.88、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGF-A、VEGFR2、VEGFR-1、ビメンチン、VISTA、WT1、またはXAGE-1bである、実施形態104の方法。
【0256】
実施形態106.前記腫瘍関連抗原が、HER-2、EGFR、CD30、CD20、EpCAM、NG2、CD19、CEA、MUC-1、CA19-9、OCAA、MAPG、または神経膠腫である、実施形態104の方法。
【0257】
実施形態107.第2の抗体またはその断片が、細胞表面マーカーを標的とする、実施形態102~106のいずれか1つの方法。
【0258】
実施形態108.前記細胞表面マーカーが免疫細胞上にある、実施形態107の方法。
【0259】
実施形態109.前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、TIL、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、またはマスト細胞である、実施形態108の方法。
【0260】
実施形態110.前記T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、またはナチュラルキラーT細胞であり、一方、前記B細胞がメモリーB細胞または形質細胞である、実施形態99の方法。
【0261】
実施形態111.前記細胞表面マーカーが、CD36、CD68、CD83、CD180、CD206(MRC1-マンノース受容体)、F4/80(EGF-TM7ファミリー)、CD205、CD56、CD161、CD94:NKG2ヘテロ二量体、KIR/CD158ファミリー、CD335、CD64、CD16、CD3、CD28、CD4、CD25、CD39、Toll様受容体(TLR)、CD281、CD283、CD284、CD286、CD289、CD282、C型レクチン受容体(CLR)、Fc受容体、またはHSGである、実施形態107の方法。
【0262】
実施形態112.前記核酸キャリアが、
前記がんが乳癌、卵巣癌、または前立腺癌である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;前記がんが固形腫瘍、肺癌、または結腸癌である、EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD64に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;前記がんがトリプルネガティブ乳癌である、EGFRに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、PD-1に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが乳癌である、PD-L1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、OX-40に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがホジキン病である、CD30に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが転移性乳癌または前立腺癌である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが非ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫である、CD20に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、卵巣癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、小細胞
肺癌である、EpCAMに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが黒色腫である、NG2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、前駆B細胞急性リンパ性白血病または非ホジキンリンパ腫である、CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが非ホジキンリンパ腫である、CD19に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが、結腸癌、肺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、子宮癌、乳癌、または黒色腫である、CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが浸潤性膵腺癌である、MUC-1に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、HSGに対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがCA19-9陽性腫瘍である、CA19-9に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが卵巣癌である、CEAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが卵巣癌である、OCAAに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが転移性黒色腫である、MAPGに対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD28に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんがHER-2陽性腫瘍である、HER2に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
前記がんが神経膠腫である、神経膠腫に対する抗体またはその断片である第1の標的薬剤と、CD3に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤;
及び前記がんが、小細胞肺癌、乳癌、または卵巣癌である、葉酸または葉酸受容体である第1の標的薬剤と、CD3またはCD16に対する抗体またはその断片である第2の標的薬剤を含む、実施形態102~111のいずれか1つの方法。
【0263】
実施形態113.前記標識が、化学発光剤、蛍光剤、赤外色素、放射性標識剤、金属、キレート剤、ハプテン、または検出可能なタンパク質をコードする遺伝子もしくはmRNAである、実施形態102~112のいずれか1つの方法。
【0264】
本明細書に開示される主題をより効率的に理解できるように、以下に実施例を示す。これらの実施例は例示のみを目的としており、いかなる場合にも特許請求の範囲に記載の主題を限定するものと解釈されないことを理解すべきである。これらの実施例を通して、分子クローニング反応及び他の標準的な組換えDNA技術は、別段の記載がない限り、Maniatis et al.,Molecular Cloning-A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Press(1989)に記載の方法に従い、市販の試薬を使用して実施した。
【実施例】
【0265】
実施例1:合成(化学合成)DNA鎖からの1層の核酸キャリアの合成
以下の合成DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;ならびにB’’単量体:鎖4及び5。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0266】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0267】
1層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1層生成物を分離した。
【0268】
実施例2:合成DNA鎖からの1.5層(C’)の核酸キャリアの合成
以下の合成DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;B’’単量体:鎖4及び5;C’単量体:鎖2及び6。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0269】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0270】
1.5層(C’)の核酸キャリアの組み立て:
1層調製物に、1.2モル質量のC’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。
【0271】
1.5層(C’)の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1.5層生成物を分離した。
【0272】
実施例3:合成DNA鎖からの2層の核酸キャリアの合成
以下の合成DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;B’’単量体:鎖4及び5;C’単量体:鎖2及び6;ならびにC’’単量体:鎖2及び7。適量の生理食塩水を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0273】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0274】
2層の核酸キャリアの組み立て:
1層調製物に、それぞれ1.2モル質量のC’単量体及びC’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500x
Gで10分間遠心分離した。
【0275】
2層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な2層生成物を分離した。
【0276】
実施例4:合成DNA鎖からの2.5層(B’)の核酸キャリアの合成
2.5層の核酸キャリアの組み立て:
実施例3で得た2層調製物に、それぞれ1.1モル質量のB’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。実施例1に示すように、2.5層の核酸キャリアの精製を行った。
【0277】
実施例5:合成DNA鎖からの3層の核酸キャリアの合成
3層の核酸キャリアの組み立て:
実施例3で得た2層調製物に、それぞれ1.1モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。実施例1に示すように、3層の核酸キャリアの精製を行った。
【0278】
実施例6:合成DNA鎖からの4層の核酸キャリアの合成
3層の核酸キャリアの組み立て:
最終精製工程を除き、実施例5に記載の工程を実施した。
【0279】
4層の核酸キャリアの組み立て:
3層調製物に、それぞれ1.02モル質量のC’単量体及びC’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。実施例1に示すように、4層の核酸キャリアの精製を行った。
【0280】
実施例7:抗EpCAM抗体及び蛍光Cy3標識を含む2層または4層の核酸キャリアの合成
抗EPCAMオリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製:
DNA単量体の2種類のオープンssDNA配列に相補的である、チオール末端標識DNAオリゴヌクレオチド(OligoA)と抗EpCAMとのコンジュゲーション:
2つの抗体のそれぞれを含有する緩衝液を、標準緩衝液交換用スピンカラムを使用して1倍PBSに交換する。
【0281】
3’チオール基を含む2つの72量体DNAオリゴヌクレオチドのそれぞれを、TCEPを使用して室温で1時間、個々に還元する。オリゴヌクレオチドのエタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドを水で再懸濁する。
【0282】
アミン標識分子及びスルフヒドリル標識分子の共有結合を可能にする、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル及びマレイミド基をもつヘテロ二官能性架橋剤であるLC-SMCCを使用して、各抗体のアミンを活性化させる。50倍LC-SMCC溶液を使用して、各抗体を室温で1時間処理する。過剰なLC-SMCCを脱塩カラムにより除去する。
【0283】
2つの再懸濁したチオールDNAオリゴヌクレオチドを、以下の構成でDNAオリゴヌクレオチド分子と抗体タンパク質分子との比が1.2:1となるように、該当する活性化抗体に添加する:
DNA OligoAを抗EPCAMに添加して、抗EPCAM-OligoAコンジュゲートを形成する
コンジュゲーションを室温で1時間進行させる。
【0284】
コンジュゲーション反応物をTAC樹脂を使用して個別に精製する。それぞれのコンジュゲートに対して、洗浄緩衝液カラム10容量、溶出緩衝液カラム10容量、及び水カラム5容量の画分を収集する。
【0285】
コンジュゲートを含有する精製画分(ゲル泳動画分に基づく)を、コンジュゲートごとに個別にプールし、10K MWCOのスピン濃縮器を使用して濃縮する。
【0286】
3DNA及びCy3標識を含む抗EPCAM抗体の形成:
400mLのポリプロピレンチューブ(または同等品)に以下を入れる:
上記で調製した1.00mgの2層コアデンドリマー試薬;
0.375mgのEpCAMオリゴヌクレオチドコンジュゲート;
末端アーム配列(31量体)に相補的な0.250mgのCy3標識DNAオリゴヌクレオチド;
3mLの10倍PBS、pH7.4(水性);及び
全量30mLにするための水(次の試薬の添加前)。
【0287】
調製物を37℃で30分間インキュベートし、周囲温度まで冷却させる。
【0288】
実施例8:抗EpCAM抗体を含む蛍光標識した核酸キャリアを用いたin vitroでのOVCAR細胞の細胞標的化
1ウェルあたり1.0×106のOVCAR細胞を、8ウェル顕微鏡スライドの8ウェルそれぞれに移し、37℃でインキュベートする。標準法に従って、2%パラホルムアルデヒドを使用して細胞を固定する。パラホルムアルデヒドをPBSに置換し、細胞を使用する準備が整うまで4℃で保存する。
【0289】
使用する準備ができたら、PBSを細胞から除去する。1倍PBS中の0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を150μl量添加する。細胞を室温で30分間インキュベートする。インキュベーション後に溶液を除去する。
【0290】
抗EpCAM抗体を含むCy3標識したDNA核酸キャリア(実施例7で調製したもの)を150μl量添加する。DNA核酸キャリア試薬を1倍PBS中の0.5%BSAにて1:50で10ng/μLまで希釈し、最終DNA核酸キャリア濃度が20ng/100μlに達するまで適量を添加し、細胞を調製する。
【0291】
顕微鏡スライドを37℃の湿潤チャンバー内に1時間置く。
【0292】
顕微鏡スライドを室温にて150μlの1倍PBSで2回すすぐ。
【0293】
蒸留水で1:500に希釈したビス-ベンズイミド100μl量を添加し、室温で5分間インキュベートする。これにより染色される核を、Dapi適合蛍光フィルターを使用して可視化する。
【0294】
Fluorogel(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)または他の適した媒体を塗布したカバーガラスを用い、蛍光顕微鏡を使用して細胞を分析する。
【0295】
実施例9:in vitro及びin vivo免疫腫瘍学アッセイのための抗EPCAM、抗CD3の1層核酸キャリア
工程1:DNA単量体の2種類のオープンssDNA配列に相補的である、チオール末端標識DNAオリゴヌクレオチド(OligoA及びOligoB)と2つの抗体(抗EpCAM及び抗CD3)とのコンジュゲーション
2つの抗体のそれぞれを含有する緩衝液を、標準緩衝液交換用スピンカラムを使用して1倍PBSに交換する。
【0296】
3’チオール基を含む2つの72量体DNAオリゴヌクレオチドのそれぞれを、TCEPを使用して室温で1時間、個々に還元する。オリゴヌクレオチドのエタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドを水で再懸濁する。
【0297】
アミン標識分子及びスルフヒドリル標識分子の共有結合を可能にする、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル及びマレイミド基をもつヘテロ二官能性架橋剤であるLC-SMCCを使用して、各抗体のアミンを活性化させる。50倍LC-SMCC溶液を使用して、各抗体を室温で1時間処理する。過剰なLC-SMCCを脱塩カラムにより除去する。
【0298】
2つの再懸濁したチオールDNAオリゴヌクレオチドを、以下の構成でDNAオリゴヌクレオチド分子と抗体タンパク質分子との比が1.2:1となるように、該当する活性化抗体に添加する:
DNA OligoAを抗EPCAMに添加して、抗EPCAM-OligoAコンジュゲートを形成する
DNA OligoBを抗CD3に添加して、抗CD3-OligoBコンジュゲートを形成する
コンジュゲーションを室温で1時間進行させる。
【0299】
コンジュゲーション反応物をTAC樹脂を使用して個別に精製する。それぞれのコンジュゲートに対して、洗浄緩衝液カラム10容量、溶出緩衝液カラム10容量、及び水カラム5容量の画分を収集する。
【0300】
各コンジュゲートを含有する精製画分(ゲル泳動画分に基づく)を、コンジュゲートごとに個別にプールし、10K MWCOのスピン濃縮器を使用して濃縮する。
【0301】
コンジュゲートごとのタンパク質及びオリゴヌクレオチドの最終濃度を、タンパク質定量アッセイ及び分光法によって決定する。
【0302】
工程2:DNA単量体と1層の核酸キャリアの組み立て
5つの97量体DNAオリゴヌクレオチドを設計し、民間のDNA合成会社(例えば、IDT)から注文した。オリゴヌクレオチドは、31ヌクレオチドを含む各オリゴヌクレオチドの中央部分に位置する相補的な配列領域を共有するように設計した。2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングして単量体を形成することで得られる構造は、2種類の配列の4本の一本鎖アームが隣接する中央の二本鎖領域(すなわち、「くびれ」)を有すると表現することができる。以下の合成DNAオリゴヌクレオチドをポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;ならびにB’’単量体:鎖4及び5。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に
添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0303】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0304】
1層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1層生成物を分離した。
【0305】
抗EPCAM抗CD3の1層DNA核酸キャリア(EPCAM/CD3 1層)の調製:
1層アセンブリには、先の抗EPCAM抗体及び抗CD3抗体とのコンジュゲーションに利用したOligoA配列及びOligoB配列に相補的な2種類の配列の2つの外側「アーム」を有する。上記の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含む2つの72量体オリゴヌクレオチドとアームとの塩基対形成は、化学量論的濃度の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、先に組み立てた1層DNA核酸キャリアに加えることによって成される。
【0306】
ポリプロピレンチューブに以下の成分を入れた:
2000ng/μLの1層水溶液 100.0μL(200,000ng)
10倍PBS 30.0μL
ヌクレアーゼフリー水 30.0μL
オリゴ1250ng/μL相当の抗EPCAM-OligoAコンジュゲート 70.0μL(オリゴ87,500ng相当)
オリゴ1250ng/μL相当の抗CD3-OligoBコンジュゲート 70.0μL(オリゴ87,500ng相当)
全反応物を一緒に添加し、37℃で10分間穏やかに加熱した後、徐々に室温まで冷却する。
【0307】
in vitro細胞に基づくアッセイ:
結合の確認:OVCAR3(EPCAM陽性)、A2780(EPCAM陰性)、及び末梢血単核細胞(PMBC)を用いて抗体結合を測定する。総量1x106個の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;137mmol/L NaCl、2.7mmol/L KCl、10mmol/L Na2HPO4、及び2mmol/L KH2PO4)で洗浄し、100μlのEPCAM/CD3 1層(PBS中、抗体100μg/ml相当)と室温で30分間インキュベートした後、PBSで2回洗浄する。ヒトIgGに対するフルオレセインイソチオシアネートコンジュゲート抗体を使用して、EPCAM/CD3 1層を検出する。抗体を1:200に希釈し、室温で30分かけて細胞に添加する。蛍光活性化細胞選別法を用いて細胞を分析する。
【0308】
T細胞活性化の誘導:新たに調製したPBMC(2x106細胞/ml)を6ウェル平底プレート(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)の各ウェルに加える。各ウェルに、10%ウシ胎児血清(FCS)のみ(対照ウェル)、または10%FCS及び非コンジュゲートCD3抗体(30ng/ml)、または10%FCS及びEPCAM/CD3 1層(10ng/ml)を加えた、2mlのRPMI
1640(HyClone,Logan,Utah,USA)を入れる。PBMCを2
4時間インキュベートし、PBMCの活性化をフローサイトメトリー分析を用いて測定した。T細胞でのCD25及びCD69の発現レベルをフローサイトメトリーによって検出し、EPCAM/CD3 1層のTリンパ球活性化能を評価する。
【0309】
Luminex液体チップ分析:Luminex液体チップアレイを使用して、EPCAM/CD3 1層によって誘導された、PBMCからの炎症性サイトカインIL-2、IL-4、腫瘍壊死因子(TNF)α、及びインターフェロン(IFN)γの放出を測定する。Bio-Plex Pro(商標)ヒトサイトカインアッセイキット(Bio-Rad Laboratories,Inc,Hercules,CA,USA)を検出に使用する。新たに調製したPBMC(2x106細胞/ml)を96ウェル平底プレートの各ウェルに加える。各ウェルに、100μlの完全培地のみ(対照ウェル)、または1μg/mlのCD28 Ab(TGN1412;eBioscience,San Diego,CA,USA)、非コンジュゲートCD3 Ab、もしくはEPCAM/CD3
1層を加えた完全培地を入れる。各アッセイは3連で実施する。PBMCを37℃、5%CO2下で72時間インキュベートし、50μlアリコートの培地を液体チップアレイに採取する。簡潔には、希釈した微粒子混合物を再懸濁し、この混合物50μlをマイクロプレートの各ウェルに添加する。次いで、50μlの標準物質または試料を各ウェルに添加し、マイクロプレートを収容するように設計された真空マニホールド装置を使用して室温で3時間インキュベートする。続いて、50μlの希釈したビオチン抗体カクテルを各ウェルに添加し、プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートする。希釈したストレプトアビジンフィコエリトリン(50μl)を各ウェルに添加し、プレートを500rpmで撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。各ウェルに100μlの洗浄緩衝液を添加し、500rpmで撹拌しながら2分間インキュベートすることにより、微粒子を再懸濁する。Luminex 100分析器(Luminex Corp.,Austin,TX,USA)を使用して90分以内に蛍光シグナルを読み取る。
【0310】
in vitro細胞傷害性アッセイ:EPCAM陽性細胞株OVCAR3を陽性標的細胞として使用し、A2780細胞を陰性対照として使用する。CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega,Madison,Wisconsin,USA)を使用し、丸底96ウェルプレート中で、5%FCSを加えたRPMI 1640完全培地を用いて細胞傷害性を測定する。簡潔には、PBMCをエフェクター細胞として各ウェルに勾配濃度で添加し、続いて標的細胞(1×104)を添加する。エフェクター細胞対標的細胞(E:T)の最終比が100:1、50:1、10:1、及び1:1となるようにEPCAM/CD3 1層(100ng/ml)を添加する。細胞混合物を37℃、5%CO2下で4時間インキュベートした後、50μlアリコートの培地をLDH放出アッセイ用の新しい96ウェル平底プレートに移す。細胞溶解のパーセンテージは、特異的放出(%)=(実験的放出-エフェクター自発放出-標的自発放出)/(標的最大放出-標的自発放出)×100で算出する。各アッセイは3連で実施する。
【0311】
in vivoマウスモデル試験:in vivo実験は、T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞の欠損、ならびにマクロファージ機能の欠如を特徴とする6~10週齢の雌C57BL/6マウス及び免疫不全NOD/SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)で実施する。マウスは滅菌標準環境条件下(室温20+/-℃、相対湿度50+/-10%、明暗リズム12時間)で飼育する。動物ごとに、2.5×106または5×106のヒトPBMCを5×106のOVCAR3卵巣癌細胞と混合し、PBSで最終容積を0.2mLにする。PBMCエフェクターと標的細胞の混合物(E:Tが1:2または1:1)を各NOD/SCIDマウスの右側腹部に皮下注射する。2種類の変異型腫瘍モデル(早期治療モデル及び定着腫瘍モデル)を使用する。早期治療モデルでは、1群あたり4~6匹の動物に、様々な用量で
のOVCAR/PBMC接種の1時間後から、EPCAM/CD3 1層、PBS対照ビヒクル、または1層のみ(非標的)対照の静脈内投与による治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。定着腫瘍モデルでは、OVCAR3腫瘍の皮下増殖が発現するまで(50~200mm3)治療の開始を遅らせる。1群あたり6匹の動物に、それぞれ4日目、8日目、及び12日目から治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。指定日に、腫瘍の直交する2方向の寸法をキャリパーで測定し、腫瘍体積を次式により算出する:腫瘍体積=[(幅2×長さ)/2]。
【0312】
実施例10:in vitro及びin vivo免疫腫瘍学アッセイのための抗EPCAM、抗CD3の2層核酸キャリア
工程1:DNA単量体の2種類のオープンssDNA配列に相補的である、チオール末端標識DNAオリゴヌクレオチド(OligoA及びOligoB)と2つの抗体(抗EpCAM及び抗CD3)とのコンジュゲーション
2つの抗体のそれぞれを含有する緩衝液を、標準緩衝液交換用スピンカラムを使用して1倍PBSに交換する。
【0313】
3’チオール基を含む2つの72量体DNAオリゴヌクレオチドのそれぞれを、TCEPを使用して室温で1時間、個々に還元する。オリゴヌクレオチドのエタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドを水で再懸濁する。
【0314】
アミン標識分子及びスルフヒドリル標識分子の共有結合を可能にする、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル及びマレイミド基をもつヘテロ二官能性架橋剤であるLC-SMCCを使用して、各抗体のアミンを活性化させる。50倍LC-SMCC溶液を使用して、各抗体を室温で1時間処理する。過剰なLC-SMCCを脱塩カラムにより除去する。
【0315】
2つの再懸濁したチオールDNAオリゴヌクレオチドを、以下の構成でDNAオリゴヌクレオチド分子と抗体タンパク質分子との比が1.2:1となるように、該当する活性化抗体に添加する:
DNA OligoAを抗EPCAMに添加して、抗EPCAM-OligoAコンジュゲートを形成する
DNA OligoBを抗CD3に添加して、抗CD3-OligoBコンジュゲートを形成する
コンジュゲーションを室温で1時間進行させる。
【0316】
コンジュゲーション反応物をTAC樹脂を使用して個別に精製する。それぞれのコンジュゲートに対して、洗浄緩衝液カラム10容量、溶出緩衝液カラム10容量、及び水カラム5容量の画分を収集する。
【0317】
各コンジュゲートを含有する精製画分(ゲル泳動画分に基づく)を、コンジュゲートごとに個別にプールし、10K MWCOのスピン濃縮器を使用して濃縮する。
【0318】
コンジュゲートごとのタンパク質及びオリゴヌクレオチドの最終濃度を、タンパク質定量アッセイ及び分光法によって決定する。
【0319】
工程2:DNA単量体と2層の核酸キャリアの組み立て
7つの97量体DNAオリゴヌクレオチドを設計し、民間のDNA合成会社(例えば、IDT)から注文した。オリゴヌクレオチドは、31ヌクレオチドを含む各オリゴヌクレオチドの中央部分に位置する相補的な配列領域を共有するように設計した。2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングして単量体を形成することで得られる構造は、2種類の配列
の4本の一本鎖アームが隣接する中央の二本鎖領域(すなわち、「くびれ」)を有すると表現することができる。以下の合成DNAオリゴヌクレオチドをポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;B’’単量体:鎖4及び5;C’単量体:鎖6及び2;ならびにC’’単量体:鎖7及び2。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0320】
2層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0321】
1層調製物に、それぞれ1.2モル質量のC’単量体及びC’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。DNAの総質量を記録し、2層合成の精製に進んだ。
【0322】
2層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な2層生成物を分離した。
【0323】
抗EPCAM抗CD3の2層DNA核酸キャリア(EPCAM/CD3 2層)の調製:
2層アセンブリには、先の抗EPCAM抗体及び抗CD3抗体とのコンジュゲーションに利用したOligoA配列及びOligoB配列に相補的な2種類の配列の2つの外側アームを有する。上記の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含む2つの72量体オリゴヌクレオチドとアームとの塩基対形成は、化学量論的濃度の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、先に組み立てた2層DNA核酸キャリアに加えることによって成される。
【0324】
ポリプロピレンチューブに以下の成分を入れる:
2000ng/μLの2層水溶液 100.0μL(200,000ng)
10倍PBS 30.0μL
ヌクレアーゼフリー水 30.0μL
オリゴ1120ng/μL相当の抗EPCAM-OligoAコンジュゲート 70.0μL(オリゴ78,400ng相当)
オリゴ1120ng/μL相当の抗CD3-OligoBコンジュゲート 70.0μL(オリゴ78,400ng相当)
全反応物を一緒に添加し、37℃で10分間穏やかに加熱した後、徐々に室温まで冷却する。
【0325】
in vitro細胞に基づくアッセイ:
結合の確認:OVCAR3(EPCAM陽性)、A2780(EPCAM陰性)、及び末梢血単核細胞(PMBC)を用いて抗体結合を測定する。総量1x106個の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;137mmol/L NaCl、2.7mmol/L KCl、10mmol/L Na2HPO4、及び2mmol/L KH2PO4)で洗浄し、100μlのEPCAM/CD3 2層(PBS中、抗体100μg/ml相当)と室温で30分間インキュベートした後、PBSで2回洗浄する。ヒトIgGに対するフル
オレセインイソチオシアネートコンジュゲート抗体を使用して、EPCAM/CD3 2層を検出する。抗体を1:200に希釈し、室温で30分かけて細胞に添加する。蛍光活性化細胞選別法を用いて細胞を分析する。
【0326】
T細胞活性化の誘導:新たに調製したPBMC(2x106細胞/ml)を6ウェル平底プレート(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)の各ウェルに加える。各ウェルに、10%ウシ胎児血清(FCS)のみ(対照ウェル)、または10%FCS及び非コンジュゲートCD3抗体(30ng/ml)、または10%FCS及びEPCAM/CD3 2層(10ng/ml)を加えた、2mlのRPMI
1640(HyClone,Logan,Utah,USA)を入れる。PBMCを24時間インキュベートし、PBMCの活性化をフローサイトメトリー分析を用いて測定した。T細胞でのCD25及びCD69の発現レベルをフローサイトメトリーによって検出し、EPCAM/CD3 2層のTリンパ球活性化能を評価する。
【0327】
Luminex液体チップ分析:Luminex液体チップアレイを使用して、EPCAM/CD3 2層によって誘導された、PBMCからの炎症性サイトカインIL-2、IL-4、腫瘍壊死因子(TNF)α、及びインターフェロン(IFN)γの放出を測定する。Bio-Plex Pro(商標)ヒトサイトカインアッセイキット(Bio-Rad Laboratories,Inc,Hercules,CA,USA)を検出に使用する。新たに調製したPBMC(2×106細胞/ml)を96ウェル平底プレートの各ウェルに加える。各ウェルに、100μlの完全培地のみ(対照ウェル)、または1μg/mlのCD28 Ab(TGN1412;eBioscience,San Diego,CA,USA)、非コンジュゲートCD3 Ab、もしくはEPCAM/CD3
2層を加えた完全培地を入れる。各アッセイは3連で実施する。PBMCを37℃、5%CO2下で72時間インキュベートし、50μlアリコートの培地を液体チップアレイに採取する。簡潔には、希釈した微粒子混合物を再懸濁し、この混合物50μlをマイクロプレートの各ウェルに添加する。次いで、50μlの標準物質または試料を各ウェルに添加し、マイクロプレートを収容するように設計された真空マニホールド装置を使用して室温で3時間インキュベートする。続いて、50μlの希釈したビオチン抗体カクテルを各ウェルに添加し、プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートする。希釈したストレプトアビジンフィコエリトリン(50μl)を各ウェルに添加し、プレートを500rpmで撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。各ウェルに100μlの洗浄緩衝液を添加し、500rpmで撹拌しながら2分間インキュベートすることにより、微粒子を再懸濁する。Luminex 100分析器(Luminex Corp.,Austin,TX,USA)を使用して90分以内に蛍光シグナルを読み取る。
【0328】
in vitro細胞傷害性アッセイ:EPCAM陽性細胞株OVCAR3を陽性標的細胞として使用し、A2780細胞を陰性対照として使用する。CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega,Madison,Wisconsin,USA)を使用し、丸底96ウェルプレート中で、5%FCSを加えたRPMI 1640完全培地を用いて細胞傷害性を測定する。簡潔には、PBMCをエフェクター細胞として各ウェルに勾配濃度で添加し、続いて標的細胞(1×104)を添加する。エフェクター細胞対標的細胞(E:T)の最終比が100:1、50:1、10:1、及び1:1となるようにEPCAM/CD3 2層(100ng/ml)を添加する。細胞混合物を37℃、5%CO2下で4時間インキュベートした後、50μlアリコートの培地をLDH放出アッセイ用の新しい96ウェル平底プレートに移す。細胞溶解のパーセンテージは、特異的放出(%)=(実験的放出-エフェクター自発放出-標的自発放出)/(標的最大放出-標的自発放出)×100で算出する。各アッセイは3連で実施する。
【0329】
in vivoマウスモデル試験:in vivo実験は、T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞の欠損、ならびにマクロファージ機能の欠如を特徴とする6~10週齢の雌C57BL/6マウス及び免疫不全NOD/SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)で実施する。マウスは滅菌標準環境条件下(室温20+/-1℃、相対湿度50+/-10%、明暗リズム12時間)で飼育する。動物ごとに、2.5×106または5×106のヒトPBMCを5×106のOVCAR3卵巣癌細胞と混合し、PBSで最終容積を0.2mLにする。PBMCエフェクターと標的細胞の混合物(E:Tが1:2または1:1)を各NOD/SCIDマウスの右側腹部に皮下注射する。2種類の変異型腫瘍モデル(早期治療モデル及び定着腫瘍モデル)を使用する。早期治療モデルでは、1群あたり4~6匹の動物に、様々な用量でのOVCAR/PBMC接種の1時間後から、EPCAM/CD3 2層、PBS対照ビヒクル、または2層のみ(非標的)対照の静脈内投与による治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。定着腫瘍モデルでは、OVCAR3腫瘍の皮下増殖が発現するまで(50~200mm3)治療の開始を遅らせる。1群あたり6匹の動物に、それぞれ4日目、8日目、及び12日目から治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。指定日に、腫瘍の直交する2方向の寸法をキャリパーで測定し、腫瘍体積を次式により算出する:腫瘍体積=[(幅2×長さ)/2]。
【0330】
実施例11:in vitro及びin vivo免疫腫瘍学アッセイのための抗EPCAM、抗CD3、抗PD1の1.5層核酸キャリア
工程1:DNA単量体の3種類のオープンssDNA配列に相補的である、チオール末端標識DNAオリゴヌクレオチド(OligoA、OligoB、及びOligoC)と3つの抗体(抗EPCAM、抗CD3、及び抗PD1)とのコンジュゲーション
2つの抗体のそれぞれを含有する緩衝液を、標準緩衝液交換用スピンカラムを使用して1倍PBSに交換する。
【0331】
3’チオール基を含む2つの72量体DNAオリゴヌクレオチドのそれぞれを、TCEPを使用して室温で1時間、個々に還元する。オリゴヌクレオチドのエタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドを水で再懸濁する。
【0332】
アミン標識分子及びスルフヒドリル標識分子の共有結合を可能にする、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル及びマレイミド基をもつヘテロ二官能性架橋剤であるLC-SMCCを使用して、各抗体のアミンを活性化させる。50倍LC-SMCC溶液を使用して、各抗体を室温で1時間処理する。過剰なLC-SMCCを脱塩カラムにより除去する。
【0333】
2つの再懸濁したチオールDNAオリゴヌクレオチドを、以下の構成でDNAオリゴヌクレオチド分子と抗体タンパク質分子との比が1.2:1となるように、該当する活性化抗体に添加する:
DNA OligoAを抗EPCAMに添加して、抗EPCAM-OligoAコンジュゲートを形成する
DNA OligoBを抗CD3に添加して、抗CD3-OligoBコンジュゲートを形成する
DNA OligoCを抗PD-1に添加して、抗CD19-OligoCコンジュゲートを形成する
コンジュゲーションを室温で1時間進行させる。
【0334】
コンジュゲーション反応物をTAC樹脂を使用して個別に精製する。それぞれのコンジュゲートに対して、洗浄緩衝液カラム10容量、溶出緩衝液カラム10容量、及び水カラム5容量の画分を収集する。
【0335】
各コンジュゲートを含有する精製画分(ゲル泳動画分に基づく)を、コンジュゲートごとに個別にプールし、10K MWCOのスピン濃縮器を使用して濃縮する。
【0336】
コンジュゲートごとのタンパク質及びオリゴヌクレオチドの最終濃度を、タンパク質定量アッセイ及び分光法によって決定する。
【0337】
工程2:DNA単量体と1.5層の核酸キャリアの組み立て
7つの97量体DNAオリゴヌクレオチドを設計し、民間のDNA合成会社(例えば、IDT)から注文した。オリゴヌクレオチドは、31ヌクレオチドを含む各オリゴヌクレオチドの中央部分に位置する相補的な配列領域を共有するように設計した。2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングして単量体を形成することで得られる構造は、2種類の配列の4本の一本鎖アームが隣接する中央の二本鎖領域(すなわち、「くびれ」)を有すると表現することができる。以下の合成DNAオリゴヌクレオチドをポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;B’’単量体:鎖4及び5;C’単量体:鎖6及び2;ならびにC’’単量体:鎖7及び2。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0338】
1.5層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0339】
1層調製物に、1.2モル質量のC’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。DNAの総質量を記録し、1.5層合成の精製に進んだ。
【0340】
1.5層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1.5層生成物を分離した。
【0341】
抗EPCAM抗CD3抗PD-1の1.5層DNA核酸キャリア(EPCAM/CD3/PD-1 1.5層)の調製:
1.5層アセンブリには、先の抗EPCAM抗体、抗CD3抗体、及び抗PD-1抗体とのコンジュゲーションに利用したOligoA配列、OligoB配列、及びOligoC配列に相補的な3種類の配列の3つの外側アームを有する。上記の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含む2つの72量体オリゴヌクレオチドとアームとの塩基対形成は、化学量論的濃度の抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、先に組み立てた1.5層DNA核酸キャリアに加えることによって成される。
【0342】
ポリプロピレンチューブに以下の成分を入れる:
2000ng/μLの2層水溶液 100.0μL(200,000ng)
10倍PBS 30.0μL
ヌクレアーゼフリー水 20.0μL
オリゴ800ng/μL相当の抗EPCAM-OligoAコンジュゲート 50.0μL(オリゴ40,000ng相当)
オリゴ800ng/μL相当の抗CD3-OligoBコンジュゲート 50.0μL(オリゴ40,000ng相当)
オリゴ800ng/μL相当の抗PD1-OligoCコンジュゲート 50.0μL(オリゴ40,000ng相当)
全反応物を一緒に添加し、37℃で10分間穏やかに加熱した後、徐々に室温まで冷却する。
【0343】
in vitro細胞に基づくアッセイ:
結合の確認:OVCAR3(EPCAM陽性)、A2780(EPCAM陰性)、及び末梢血単核細胞(PMBC)を用いて抗体結合を測定する。総量1x106個の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;137mmol/L NaCl、2.7mmol/L KCl、10mmol/L Na2HPO4、及び2mmol/L KH2PO4)で洗浄し、100μlのEPCAM/CD3/PD-1 1.5層(PBS中、抗体100μg/ml相当)と室温で30分間インキュベートした後、PBSで2回洗浄する。ヒトIgGに対するフルオレセインイソチオシアネートコンジュゲート抗体を使用して、EPCAM/CD3/PD-1 1.5層を検出する。抗体を1:200に希釈し、室温で30分かけて細胞に添加する。蛍光活性化細胞選別法を用いて細胞を分析する。
【0344】
T細胞活性化の誘導:新たに調製したPBMC(2x106細胞/ml)を6ウェル平底プレート(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)の各ウェルに加える。各ウェルに、10%ウシ胎児血清(FCS)のみ(対照ウェル)、または10%FCS及び非コンジュゲートCD3抗体(30ng/ml)、または10%FCS及びEPCAM/CD3/PD-1 1.5層(10ng/ml)を加えた、2mlのRPMI 1640(HyClone,Logan,Utah,USA)を入れる。PBMCを24時間インキュベートし、PBMCの活性化をフローサイトメトリー分析を用いて測定した。T細胞でのCD25及びCD69の発現レベルをフローサイトメトリーによって検出し、EPCAM/CD3/PD-1 1.5層のTリンパ球活性化能を評価する。
【0345】
Luminex液体チップ分析:Luminex液体チップアレイを使用して、EPCAM/CD3/PD-1 1.5層によって誘導された、PBMCからの炎症性サイトカインIL-2、IL-4、腫瘍壊死因子(TNF)α、及びインターフェロン(IFN)γの放出を測定する。Bio-Plex Pro(商標)ヒトサイトカインアッセイキット(Bio-Rad Laboratories,Inc,Hercules,CA,USA)を検出に使用する。新たに調製したPBMC(2×106細胞/ml)を96ウェル平底プレートの各ウェルに加える。各ウェルに、100μlの完全培地のみ(対照ウェル)、または1μg/mlのCD28 Ab(TGN1412;eBioscience,San Diego,CA,USA)、非コンジュゲートCD3 Ab、もしくはEPCAM/CD3/PD-1 1.5層を加えた完全培地を入れる。各アッセイは3連で実施する。PBMCを37℃、5%CO2下で72時間インキュベートし、50μlアリコートの培地を液体チップアレイに採取する。簡潔には、希釈した微粒子混合物を再懸濁し、この混合物50μlをマイクロプレートの各ウェルに添加する。次いで、50μlの標準物質または試料を各ウェルに添加し、マイクロプレートを収容するように設計された真空マニホールド装置を使用して室温で3時間インキュベートする。続いて、50μlの希釈したビオチン抗体カクテルを各ウェルに添加し、プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートする。希釈したストレプトアビジンフィコエリトリン(50μl)を各ウェルに添加し、プレートを500rpmで撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。各ウェルに100μlの洗浄緩衝液を添加し、500rpmで撹拌しながら2分間インキュベートすることにより、微粒子を再懸濁する。Luminex 100分析器(Luminex Corp.,Austin,TX,USA)を使用して90分以内に蛍光
シグナルを読み取る。
【0346】
in vitro細胞傷害性アッセイ:EPCAM陽性細胞株OVCAR3を陽性標的細胞として使用し、A2780細胞を陰性対照として使用する。CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega,Madison,Wisconsin,USA)を使用し、丸底96ウェルプレート中で、5%FCSを加えたRPMI 1640完全培地を用いて細胞傷害性を測定する。簡潔には、PBMCをエフェクター細胞として各ウェルに勾配濃度で添加し、続いて標的細胞(1×104)を添加する。エフェクター細胞対標的細胞(E:T)の最終比が100:1、50:1、10:1、及び1:1となるようにEPCAM/CD3/PD-1 1.5層(100ng/ml)を添加する。細胞混合物を37℃、5%CO2下で4時間インキュベートした後、50μlアリコートの培地をLDH放出アッセイ用の新しい96ウェル平底プレートに移す。細胞溶解のパーセンテージは、特異的放出(%)=(実験的放出-エフェクター自発放出-標的自発放出)/(標的最大放出-標的自発放出)×100で算出する。各アッセイは3連で実施する。
【0347】
in vivoマウスモデル試験:in vivo実験は、T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞の欠損、ならびにマクロファージ機能の欠如を特徴とする6~10週齢の雌C57BL/6マウス及び免疫不全NOD/SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)で実施する。マウスは滅菌標準環境条件下(室温20+/1℃、相対湿度50+/-10%、明暗リズム12時間)で飼育する。動物ごとに、2.5×106または5×106のヒトPBMCを5×106のOVCAR3卵巣癌細胞と混合し、PBSで最終容積を0.2mLにする。PBMCエフェクターと標的細胞の混合物(E:Tが1:2または1:1)を各NOD/SCIDマウスの右側腹部に皮下注射する。2種類の変異型腫瘍モデル(早期治療モデル及び定着腫瘍モデル)を使用する。早期治療モデルでは、1群あたり4~6匹の動物に、様々な用量でのOVCAR/PBMC接種の1時間後から、EPCAM/CD3/PD-1 1.5層、PBS対照ビヒクル、または1.5層のみ(非標的)対照の静脈内投与による治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。定着腫瘍モデルでは、OVCAR3腫瘍の皮下増殖が発現するまで(50~200mm3)治療の開始を遅らせる。1群あたり6匹の動物に、それぞれ4日目、8日目、及び12日目から治療を開始し、この治療を4日連続で繰り返す。指定日に、腫瘍の直交する2方向の寸法をキャリパーで測定し、腫瘍体積を次式により算出する:腫瘍体積=[(幅2×長さ)/2]。
【0348】
実施例12:ワクチン用途の抗EpCAM、オボアルブミン、CpGオリゴヌクレオチド(アジュバント)1.5層核酸キャリア
工程1:DNA単量体の2種類のオープンssDNA配列に相補的である、チオール末端標識DNAオリゴヌクレオチド(OligoA及びOligoB)と抗デクチン-1抗体及びオボアルブミンとのコンジュゲーション
2つの抗体のそれぞれを含有する緩衝液を、標準緩衝液交換用スピンカラムを使用して1倍PBSに交換する。
【0349】
3’チオール基を含む2つの72量体DNAオリゴヌクレオチドのそれぞれを、TCEPを使用して室温で1時間、個々に還元する。オリゴヌクレオチドのエタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドを水で再懸濁する。
【0350】
アミン標識分子及びスルフヒドリル標識分子の共有結合を可能にする、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル及びマレイミド基をもつヘテロ二官能性架橋剤であるLC-SMCCを使用して、各抗体のアミンを活性化させる。50倍LC-SMCC溶液を使用して、各抗体を室温で1時間処理する。過剰なLC-SMCCを脱塩カラムにより
除去する。
【0351】
2つの再懸濁したチオールDNAオリゴヌクレオチドを、以下の構成でDNAオリゴヌクレオチド分子と抗体タンパク質分子との比が1.2:1となるように、該当する活性化抗体に添加する:
DNA OligoAを抗デクチン-1に添加して、抗デクチン-1-OligoAコンジュゲートを形成する
DNA OligoBをオボアルブミンに添加して、オボアルブミン-OligoBコンジュゲートを形成する
コンジュゲーションを室温で1時間進行させる。
【0352】
コンジュゲーション反応物をTAC樹脂を使用して個別に精製する。それぞれのコンジュゲートに対して、洗浄緩衝液カラム10容量、溶出緩衝液カラム10容量、及び水カラム5容量の画分を収集する。
【0353】
各コンジュゲートを含有する精製画分(ゲル泳動画分に基づく)を、コンジュゲートごとに個別にプールし、10K MWCOのスピン濃縮器を使用して濃縮する。
【0354】
コンジュゲートごとのタンパク質及びオリゴヌクレオチドの最終濃度を、タンパク質定量アッセイ及び分光法によって決定する。
【0355】
工程2:DNA単量体と1.5層の核酸キャリアの組み立て
7つの97量体DNAオリゴヌクレオチドを設計し、民間のDNA合成会社(例えば、IDT)から注文した。オリゴヌクレオチドは、31ヌクレオチドを含む各オリゴヌクレオチドの中央部分に位置する相補的な配列領域を共有するように設計した。2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングして単量体を形成することで得られる構造は、2種類の配列の4本の一本鎖アームが隣接する中央の二本鎖領域(すなわち、「くびれ」)を有すると表現することができる。以下の合成DNAオリゴヌクレオチドをポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体:鎖1及び2;B’単量体:鎖3及び4;B’’単量体:鎖4及び5;C’単量体:鎖6及び2;ならびにC’’単量体:鎖7及び2。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0356】
1.5層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体の量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’単量体及びB’’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0357】
1層調製物に、1.2モル質量のC’単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。DNAの総質量を記録し、1.5層合成の精製に進んだ。
【0358】
1.5層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1.5層生成物を分離した。
【0359】
CpGオリゴヌクレオチドの調製:
1.5層DNA核酸キャリアの第3の利用可能なアーム(oligoC)に相補的な31塩基を有するオリゴヌクレオチドを設計した。CpG含有オリゴヌクレオチド5’-tcgtcgttttgtcgttttgtcgt-3’(配列番号4)の3’末端に31塩基を付加したものを、民間のDNA合成会社(例えば、IDT)から注文した。
【0360】
抗デクチン-1、オボアルブミン、CpGオリゴヌクレオチドの1.5層DNA核酸キャリア(デクチン-1/オボアルブミン/CpG1.5層)の調製:
1.5層アセンブリには、先の抗デクチン-1、オボアルブミン、及びCpGオリゴヌクレオチド成分とのコンジュゲーションまたは結合に利用したOligoA配列、OligoB配列、及びOligoC配列に相補的な3種類の配列の3つの外側アームを有する。上記のコンジュゲートを含む2つの72量体オリゴヌクレオチドとアームとの塩基対形成は、化学量論的濃度のコンジュゲートまたはCpGオリゴヌクレオチドを、先に組み立てた1.5層DNAデンドリマーに加えることによって成される。
【0361】
ポリプロピレンチューブに以下の成分を入れる:
2000ng/μLの2層水溶液 100.0μL(200,000ng)
10倍PBS 30.0μL
ヌクレアーゼフリー水 20.0μL
オリゴ800ng/μL相当の抗デクチン-1-OligoAコンジュゲート 50.0μL(オリゴ40,000ng相当)
オリゴ800ng/μL相当のオボアルブミン-OligoBコンジュゲート 50.0μL(オリゴ40,000ng相当)
オリゴ600ng/μL相当のCpG-OligoC 50.0μL(オリゴ30,000ng相当)
全反応物を一緒に添加し、37℃で10分間穏やかに加熱した後、徐々に室温まで冷却する。
【0362】
実施例13:ホスホジエステル(PO)とホスホロチオエート(PS)の両方を含む合成DNA鎖からの2層の核酸キャリアの合成
PO単量体の調製:
以下の合成PO-DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体-PO:PO鎖1及び2;B’単量体-PO:PO鎖3及び4;ならびにB’’単量体-PO:PO鎖4及び5。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0363】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体-POの量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’-PO単量体及びB’’-PO単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0364】
1層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1層生成物を分離した。
【0365】
PS単量体の調製:
以下の合成PS-DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:C’単量体-PS:PS鎖2及び6;ならびにC’’単量体-PS:PS鎖2及び7。適量の生理食塩水を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加
熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0366】
PO/PS-2層核酸キャリアの組み立て:
1層PO調製物に、それぞれ1.2モル質量のC’-PS単量体及びC’’-PS単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。
【0367】
2層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な2層生成物を分離した。
【0368】
実施例14:すべてがホスホジエステル(PO)核酸塩基鎖を含む合成DNA鎖、及びホスホジエステル(PO)及びホスホロチオエート(PS)両方の核酸塩基を含む合成DNA鎖からの2層核酸キャリアの血清分解試験
PO単量体の調製:
以下の合成PO-DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:A単量体-PO:PO鎖1及び2;B’単量体-PO:PO鎖3及び4;ならびにB’’単量体-PO:PO鎖4及び5。適量の生理食塩水緩衝液を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0369】
1層の核酸キャリアの組み立て:
A単量体-POの量に対して、それぞれ2.0モル質量のB’-PO単量体及びB’’-PO単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離して、沈殿した4,5,8トリメチルソラレンを除去した。
【0370】
1層の核酸キャリアの精製:
分画遠心分離法を用いて、取り込まれていない成分及び残留架橋試薬から最終的な1層生成物を分離した。
【0371】
PS単量体の調製:
1つおきに塩基がホスホロチオエートである合成DNA鎖(PSEO)を合成する。以下の合成PSEO-DNA鎖をポリプロピレンチューブに等量添加して、示した単量体を組み立てた:C’単量体-PSEO:PSEO鎖2及び6;ならびにC’’単量体-PSEO:PSEO鎖2及び7。適量の生理食塩水を単量体調製物に添加した。単量体調製物を70℃超まで加熱し、徐々に室温まで冷却させた。
【0372】
PO/PSEO-2層核酸キャリアの組み立て:
1層PO調製物に、それぞれ1.2モル質量のC’-PSEO単量体及びC’’-PSEO単量体を添加した。4,5,8トリメチルソラレンを添加して十分に混合し、42℃で30分間インキュベートした。調製物にUVA光を照射した。調製物を4℃で30分間冷却し、4℃、1500xGで10分間遠心分離した。
【0373】
PO-2層核酸キャリアの組み立て:
この物質は上記のように調製した。
【0374】
25%マウス血清中のPO-2層核酸キャリア及びPO/PSEO-2層核酸キャリアの血清分解:
各2層の核酸キャリア(PO及びPO/PSEO)5μgをPBSと混合した後、25μlのマウス血清を入れたマイクロ遠心管に加え、全容量を最大100μlにする。最初の開始点を4時間時点とし、それから2時間後を2時間時点とし、それから1時間後を1時間時点とするなどにより、4時間後に全時点が適切な時間間隔で同時に終了するようにした。Qiagenミニプレップキット(P/N 12381)製の緩衝液を用いて全試料に直ちにアルカリ溶解工程を実施し、緩衝液1(100μl)、緩衝液2(200μl)、及び緩衝液3(350μl)の各緩衝液を添加後すぐにチューブを反転させた。緩衝液を順次添加し、緩衝液を3つすべて添加した後、チューブを10秒間ボルテックスした。次いで、チューブを65℃で5分間インキュベートした。チューブを12,000gで3分間遠心分離し、白濁した物質を除去して、上清を新しいチューブに移した。1倍量のホルムアミド(約700μl)を各チューブに添加した。適切に混合されるようにチューブを数回反転させた。次いで、チューブを65℃でさらに5分間インキュベートした。1倍量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを各試料に添加した。チューブを30秒間ボルテックスした後、12,000gで5分間遠心分離し、水層を取り出して、新しいチューブに移した。次に、酢酸ナトリウム(NaOAc)エタノール沈殿を、1/10容量の3M NaOAc、続いて2.5容量のエタノールを添加することにより実施した。試料を4℃、12,000gで30分間遠心分離し、ごくわずかな小さいペレットが無傷の状態を保つように液体を注意深く除去した。ペレットを70%エタノール(100μl)で洗浄し、12,000gで5分間遠心分離した。70%エタノール洗浄液を注意深く除去し、キャップを開いたままチューブを37℃のインキュベーターに入れ、試料を約10分間乾燥させた。ペレットを30μlのPBSに再懸濁させ、DNA濃度をNanoDropで測定し、各時点の試料約2μlをLonza Pre-cast Fast 1.2%アガロースゲルにロードした。
【0375】
この実験から得られるアガロースゲル画像を
図6に示す。PO-2層核酸キャリアは15分で分解を示し始め、4時間時点で完全に分解した(約3000bpでの高分子量バンドの消失)。これと比較して、PO/PSEO-2層核酸キャリアは、4時間時点でも分解を示さなかった。このことは、修飾塩基を使用することにより、血清分解プロファイルを変化させるだけでなく、結果として得られるクリアランスプロファイルもさらに変更することができ、それによってキャリアのPK/PDプロファイルを調節できることを示している。
【0376】
実施例15:EPCAM-MMAE抗体薬物コンジュゲートと、デンドリマーに結合したEPCAM-MMAE抗体薬物コンジュゲートとの比較
EGFR-MMAE抗体薬物コンジュゲート(ADC)の調製:
モノメチルアウリスタチン(MMAE)は、チューブリンの重合を阻害する抗有糸分裂剤である。MMAEは、マレイミド結合によって抗体のシステインと結合されており、いったん細胞に送達されると細胞内のプロテアーゼによって切断される。MMAEを、上皮細胞接着分子(EPCAM)を認識する抗体と結合した。EPCAMモノクローナル抗体(mAb)はBioXCellから入手し、Amicon Spinフィルター(100kD MWCO、Millipore)を使用してPBS(pH7.4)、1mM EDTA緩衝液で10mg/mlに濃縮/緩衝液交換する。遊離スルフヒドリルを生成するため、EGFR抗体を、抗体より2.75倍モル過剰のTCEPを加えた10mM TCEP溶液(Thermo Fisher)を使用して還元する。TCEPを添加し、短時間ボルテックスし、37℃で2時間インキュベートする。例えば、0.067mMのAbを使用すると、TCEPを最終濃度0.18mMまで添加する。調製した抗体に薬物をコンジュゲートするため、マレイミド-MMAE(val-cit切断可能リンカーを含む、MC-Val-Cit-PAB-MMAE、ALB Technology Limited)をDMSOで最終濃度10mMに希釈する。次いで、薬物が抗体より10倍モル過剰で(例えば、0.067mMのAbの場合、薬物を最終濃度0.67mMまで添加する
)、薬物を調製(還元)したEPCAM抗体に添加する。MMAEを添加し、短時間ボルテックスし、10℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、過剰の薬物を除去し、Zeba Spin脱塩カラム(ThermoFisher)を使用してADCをPBS pH7.4に緩衝液交換する。次いで、EPCAM-MMAE ADCをフィルター滅菌し(0.22μフィルター、Millipore)、BGG標準物質(ThermoFisher)を使用してBCAアッセイを実施し、タンパク質濃度を測定する。
【0377】
デンドリマー結合オリゴヌクレオチドへのEPCAM-MMAE抗体の結合:
EGFR-MMAEをデンドリマーに結合させるため、DNAデンドリマーの1つ以上の外側アームに相補的なオリゴヌクレオチドを調製する。EPCAM-MMAE-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを調製するにあたり、まず、50mM TCEPを用いて3’チオールを含むDNAデンドリマー結合オリゴヌクレオチド(DBO)を1時間還元する。還元後、エタノール沈殿によりTCEPを除去し、オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼフリー水に再懸濁させ、A260により濃度を得る。コンジュゲーションするADCを調製するために、1倍PBS pH7.4中のEPCAM ADC(DAR=2-4の抗体+薬物分子)2.0mgを15.0mlコニカルチューブに入れる。ADCに、ADCに対する架橋剤のモル比12.5倍でLC-SMCC架橋剤を加え、混合物を室温で1時間反応させる。過剰の架橋剤をZebaゲル濾過カラムを使用してADC反応混合物から除去する。次に、TCEP還元オリゴ及びLC-SMCC修飾ADCを1:1.2の抗体対オリゴ比で混合し、室温で1時間反応させた後、4℃で一晩置く。コンジュゲートされていない過剰のオリゴヌクレオチドを、チオ親和性吸着クロマトグラフィーを使用して除去する。不純なADC-オリゴコンジュゲートを緩衝液A(5.0mMリン酸ナトリウムpH7.0、500mM硫酸カリウム)で10倍(容積)に希釈し、緩衝液Aで平衡化したTACカラムに充填する。TACカラムを10CVの緩衝液Aで洗浄した後、ADC-オリゴコンジュゲートを10CVの緩衝液B(5.0mMリン酸ナトリウムpH7.0)で溶出する。TACカラムを5CVのヌクレアーゼフリー水でさらに洗浄する。カラム画分を10%天然TBEゲル電気泳動により分析し、ゲルをSyber goldで染色する。オリゴが混入していないADCコンジュゲートを含んだ画分をプールし、Amiconスピン濃縮装置(10000MWCO)により濃縮する。濃縮の最後に、PBS pH7.4緩衝液を添加し、最終0.2倍PBSにする。コンジュゲートされていないオリゴの残存量を10%天然TBEゲル電気泳動により測定し、既知量の未修飾オリゴの標準曲線と比較して、デンシトメトリーにより算出する。最後に、ADC-オリゴコンジュゲートのタンパク質濃度を、BGGをタンパク質標準として用いてBCAアッセイにより測定する。
【0378】
DNAデンドリマーへのEPCAMの結合:
EPCAM-MMAEオリゴヌクレオチドコンジュゲートを2層DNAデンドリマーと混合し、最終濃度1倍のPBS(pH7.4)中、1mg/mlのEPCAM-MMAE濃度でEPCAM-MMAE ADC-DNAデンドリマー(DNAデンドリマーあたり12個の抗体)を配合する。
【0379】
in vivoでのEGFR-MMAEとデンドリマー上のEGFR-MMAEの比較:
in vivo異種移植マウスモデル試験:in vivo実験は、6~10週齢の雌免疫不全NOD/SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)で実施する。マウスは滅菌標準環境条件下(室温20+/-℃、相対湿度50+/-10%、明暗リズム12時間)で飼育する。動物ごとに、5×106のOVCAR3卵巣癌細胞をPBSで最終容積0.2mLにする。細胞を各NOD/SCIDマウスの右側腹部に皮下注射する。定着腫瘍モデルでは、OVCAR3腫瘍の皮
下増殖が発現するまで(50~200mm3)治療の開始を遅らせる。腫瘍が適切なサイズ範囲に成長したら、動物をランダムな群に分ける。1群あたり8匹の動物に、それぞれ4日目、8日目、及び12日目から、DNAデンドリマー結合及び非結合両方のEPCAM-MMAE ADCに対して1mg/kg相当のEPCAM MMAE mAbを使用して治療を開始する。治療は4日ごとに合計1~3回繰り返す。対照として、薬物を含まない抗体を使用する。指定日に、腫瘍の直交する2方向の寸法をキャリパーで測定し、腫瘍体積を次式により算出する:腫瘍体積=[(幅2×長さ)/2]。
【0380】
上記の説明から、本明細書に記載されたものに加えて記載された主題の様々な変形例が当業者に明らかであろう。そのような変形例も、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることを意図する。本出願に引用される各参照文献(学会誌の記事、米国及び米国以外の特許、特許出願公開、国際特許出願公開、遺伝子バンクアクセッション番号などを含むがこれらに限定されない)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】