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特許7516473複数の紡糸された糸を仕掛けるための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】複数の紡糸された糸を仕掛けるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   D01D 7/00 20060101AFI20240708BHJP
   D01D 11/00 20060101ALI20240708BHJP
   B65H 57/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
D01D7/00 C
D01D11/00 B
B65H57/00
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151493
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2019558547の分割
【原出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2022180549
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102017004193.8
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュトレーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マーク-アンドレ ヘアンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ミュンスターマン
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/198698(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H57/00-57/28
D01D1/00-13/02
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り機(6)の複数の巻取り箇所(6.1)において複数の紡糸された糸を仕掛けるための装置であって、前記巻取り箇所(6.1)は、突出する巻取りスピンドル(6.2)に沿って互いに並んで配置されており、前記糸を紡糸するための複数の紡糸ノズル(1.2)を有する紡糸装置(1)と、前記巻取り機(6)の上における上側の定置の吸込み装置(4)とが設けられていて、該吸込み装置(4)によって前記糸が、前記紡糸ノズル(1.2)から引き出され、糸群(9)として案内され、かつ屑容器に搬出される、装置において、
前記巻取り機(6)は、前記巻取りスピンドル(6.2)の下に、下側の定置の吸込み装置(7)を有しており、かつ前記下側の吸込み装置(7)は、可動のガイド手段(8)と共働するものであり、該ガイド手段(8)によって、前記上側の吸込み装置(4)によって収容された前記糸群(9)が、糸ループ(9.1)として前記下側の吸込み装置(7)に供給可能となっており、各巻取り箇所(6.1)は、前記下側の吸込み装置(7)の上方に配置された変向ローラ(6.9)を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記下側の吸込み装置(7)は、切断手段(7.3)を有していて、該切断手段(7.3)によって、前記ガイド手段(8)によって案内された前記糸ループ(9.1)の糸ストランドが切断可能である、
請求項記載の装置。
【請求項3】
前記ガイド手段(8)は、回転可能なガイドローラ(8.1)によって形成されていて、該ガイドローラ(8.1)は、可動のローラ保持体(8.2,8.4)に保持されている、
請求項または記載の装置。
【請求項4】
前記ガイドローラ(8.1)は、前記ローラ保持体(8.2,8.4)によって捕集位置と引受け位置との間において案内可能であり、かつ前記ガイドローラ(8.1)は、前記引受け位置において前記下側の吸込み装置(7)と共働するようになっている、
請求項記載の装置。
【請求項5】
前記ローラ保持体は、旋回アーム(8.2)とガイドキャリッジ(8.4)とによって形成されていて、前記旋回アーム(8.2)は、高さ移動可能な前記ガイドキャリッジ(8.4)に配置されており、前記旋回アーム(8.2)は前記ガイドローラ(8.1)を自由端部に保持していて、前記ガイドキャリッジ(8.4)は、キャリッジ駆動装置(8.6)によってガイドレール(8.5)に沿って案内されていて、かつ前記旋回アーム(8.2)は、旋回駆動装置(8.3)によって制御可能である、
請求項または記載の装置。
【請求項6】
前記巻取り機は、補助装置(6.8)を有していて、該補助装置(6.8)によって前記糸群は、前記下側の吸込み装置(7)への進入前の1つの糸部分において捕捉可能であり、かつ前記巻取り箇所(6.1)に供給可能である、
請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載された、巻取り機の複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための方法、および請求項5の上位概念部に記載された、巻取り機の複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための装置に関する。
【0002】
溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を製造する場合に、1つの紡糸位置内において複数の糸が互いに並んで平行に紡糸ノズルによって紡糸されることが通常である。糸型式に応じて糸を個別に処理した後で、糸は巻取り機の複数の巻取り箇所において巻取りスピンドルによってパッケージに巻かれる。このような溶融紡糸装置は、例えば国際公開第1999/037835号に開示されている。
【0003】
プロセスにおける障害発生時のために、紡糸装置の下には吸込み装置が設けられており、この吸込み装置において、紡糸ノズルによって生ぜしめられた糸は、連続的に収容され、かつ屑容器に排出される。これによって、紡糸ノズルにおける糸の押出しを中断する必要がないことが保証される。
【0004】
プロセスにおける障害が解消されるや否や、糸を巻取り機の巻取り箇所において新たに仕掛けることが必要である。そのためには、糸群が手によって案内されるサクションガンを用いて収容され、かつオペレータによって仕掛けのために案内されることが通常である。したがってオペレータは、糸群を定置の吸込み装置から切り離し、かつ手によって案内されたサクションガンによって引き渡すことが必要である。このときサクションガンは、巻取り機に向かって案内され、これによって巻取り機に配置された補助装置は、糸群を捕捉し、かつ仕掛けのために巻取り箇所に供給する。その点では、複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための通常の方法は、操作が極めて面倒である。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、糸群を可能な限り迅速にかつ再現可能に巻取り箇所に供給することができる、巻取り機の複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための方法および装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、複数の紡糸された糸を仕掛けるための方法および装置を、可能な限り自動化することにある。
【0007】
この課題を解決するために、本発明に係る方法では、糸群を、吸込み装置への進入前の1つの糸部分においてガイド手段によって捕捉し、かつ糸ループとして、巻取りスピンドルの下における下側の定置の吸込み装置に供給する。
【0008】
相応にこの課題を解決する本発明に係る装置では、巻取り機は、巻取りスピンドルの下に、下側の定置の吸込み装置を有しており、かつ下側の吸込み装置は、可動のガイド手段と共働し、該ガイド手段によって、上側の吸込み装置によって収容された糸群が、糸ループとして下側の吸込み装置に供給可能である。
【0009】
本発明の好適な発展形態は、それぞれの従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0010】
本発明は、定置の吸込み装置によって収容された糸は、紡糸ノズルからの引出し時に放射状に集束点にまとめられるという認識に基づいている。したがって個々の糸は、高さに関連して変化させられた糸間隔をおいて案内される。この効果を利用するために、本発明はいまや下側の定置の吸込み装置を巻取りスピンドルの下に設置し、この吸込み装置に糸群は、ガイド手段によって移送される。このときガイド手段は、上側の吸込み装置における進入部の直前で、糸群を、糸群の糸がほとんど束形状に案内されている部分において捕らえる。下側の定置の吸込み装置への糸群の引渡し後に、放射状に供給された糸を、巻取り箇所の領域において好適に捕捉し、かつ仕掛けることができる。
【0011】
本発明に係る装置は、そのために下側の定置の吸込み装置を有しており、この吸込み装置は、巻取り機の巻取りスピンドルの下に配置されている。このとき下側の吸込み装置は、可動のガイド手段と共働し、このガイド手段によって、上側の吸込み装置によって収容された糸群は、糸ループとして下側の吸込み装置に供給可能である。したがって糸群を巻取り機の巻取り箇所において仕掛けるために、手による操作工程は不要である。
【0012】
下側の吸込み装置への糸群の確定された引受けおよび下側の吸込み装置による確定された捕捉を可能にするために、本発明の好適な変化形態によれば、糸ループの糸ストランドは、切断手段によって切断される。このとき上側の吸込み装置とガイド手段との間において生じる糸ストランドは、切断手段に供給される。したがって切断手段は、下側の吸込み装置に直に対応配置されている。
【0013】
糸群におけるループ形成時に生ぜしめられる糸テンションを可能な限り僅かに保つことができるようにするために、ガイド手段は、自由に回転可能なガイドローラを有しており、このガイドローラは、可動のローラ保持体に保持されている。このように構成されていると、糸群をスリップなしにガイド手段に沿って案内することができる。
【0014】
通常、糸群は切断時に、糸群が逃げることを阻止する対抗抵抗を必要とするので、本発明の好適に構成された発展形態では、ガイドローラは、ローラ保持体によって捕集位置と引受け位置との間において案内可能であり、かつガイドローラは、引受け位置において下側の吸込み装置と共働する。このように構成されていると、下側の吸込み装置による糸群の切断および引受けを改善するために、位置固定の環境を直接利用することができる。
【0015】
巻取り箇所の外側からの糸群への係合を可能にするために、さらにローラ保持体は、旋回アームとガイドキャリッジとによって形成されており、このとき旋回アームは、高さ移動可能なガイドキャリッジに配置されており、このとき旋回アームはガイドローラを自由端部に保持していて、このときガイドキャリッジは、キャリッジ駆動装置によってガイドレールに沿って案内されていて、かつこのとき旋回アームは、旋回駆動装置によって制御される。
【0016】
巻取り箇所において糸を仕掛けるための工程を終了できるようにするために、巻取り機は、補助装置を有していて、該補助装置によって糸群は、下側の吸込み装置への進入前の1つの糸部分において捕捉可能であり、かつ巻取り箇所に供給可能である。下側の吸込み装置と補助装置との間における高さの違いによって、糸群の個々の糸の間において生じる糸間隔を好適に利用して、巻取り箇所に仕掛けるための糸の選択を可能にすることができる。
【0017】
これによって巻取り機の複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための、本発明に係る方法および本発明に係る装置は、溶融紡糸プロセスにおいて障害発生後における比較的短い中断時間を実現できるという大きな利点を提供する。予め設定された制御アルゴリズムによって、巻取り機の巻取り箇所における糸の仕掛けを、自動化して実施することができる。これによって溶融紡糸プロセス時における手による操作を、障害の除去にだけ集中させることができる。
【0018】
次に、本発明に係る方法について、巻取り機の複数の巻取り箇所において複数の糸を仕掛けるための本発明に係る装置の1実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1.1】本発明に係る装置の1実施形態を、複数の作動状況において概略的に示す側面図である。
図1.2】本発明に係る装置の1実施形態を、複数の作動状況において概略的に示す側面図である。
図2.1】図1.1に示された実施形態を、異なった作動状況において概略的に示す正面図である。
図2.2】図1.1に示された実施形態を、異なった作動状況において概略的に示す正面図である。
図3】作動時における、図1.1に示された実施形態を、概略的に示す側面図である。
【0020】
図1.1および図2.1には、本発明に係る装置の1実施形態が複数の見方で概略的に示されている。図1.1には、実施形態が側面図で示されていて、図2.1には、実施形態が正面図で示されている。図面のうちの1つの図面を強調しない限り、以下の記載は両図に対するものである。実施形態は、合成糸を製造するための溶融紡糸装置に組み込まれている。溶融紡糸装置は、互いに上下に配置された紡糸装置1、冷却装置2、ゴデット装置5、および巻取り機6を有している。ここで基本的なことを述べておくと、このような溶融紡糸装置には、例えば油剤供給装置、交絡装置、テクスチャリング装置、および/または巻縮装置のような別のプロセスアセンブリが含まれていてよい。同様にゴデット装置5の構成も一例である。
【0021】
紡糸装置1は、加熱された紡糸ビーム1.1を有しており、この紡糸ビーム1.1は、その下側に複数の紡糸ノズル1.2を保持している。紡糸ノズル1.2は、本実施形態ではいわゆるダブルノズルとして形成されているので、それぞれの紡糸ノズル1.2からはそれぞれ2本の糸が押し出される。紡糸ノズル1.2は、紡糸ポンプ1.3に接続されている。紡糸ポンプ1.3は、マルチポンプとして形成されていて、かつ溶融物供給路1.4を介して、ここでは図示されていない溶融物源、例えば押出し機に接続されている。
【0022】
紡糸装置1の下には冷却装置2が配置されており、この冷却装置2は、ブロー室2.2および冷却ダクト2.1を有している。冷却ダクト2.1は、例えばブロー室2.2の内部に配置された冷却シリンダによって形成されていてよい。ブロー室2.2は、ここでは図示されていない空調装置に接続されている。冷却ダクト2.1は、ガス透過性の壁を有しているので、ブロー室2.2から冷却ダクト2.1内に流入する空調空気によって、押し出された糸は冷却される。冷却ダクト2.1の下には、落下ダクト2.3が接続している。落下ダクト2.3の内部には、冷却ダクト2.1の下に紡糸ノズル1.2毎にそれぞれ1つの集合糸ガイド3が設けられている。集合糸ガイド3によって、複数のフィラメントとして押し出された糸は、それぞれ分離され、かつフィラメント束としてまとめられる。
【0023】
落下ダクト2.3の下にはゴデット装置5が続いており、このゴデット装置5は、保持体5.4に保持された突出する複数のゴデット5.1,5.2を有している。ゴデット5.1,5.2には、保持体5.4の背面にそれぞれゴデット駆動装置5.3が対応配置されている。
【0024】
ゴデット装置5の保持体5.4は、巻取り機6の機械フレーム6.10に支持されている。
【0025】
巻取り機6は、回転可能に支持された巻取りタレット6.3を有しており、この巻取りタレット6.3は、突出するように支持された2つの巻取りスピンドル6.2を保持している。巻取りスピンドル6.2は、スピンドル駆動装置6.4に結合されている。巻取りタレット6.3は、タレット駆動装置6.5を介して回転可能であるので、巻取りスピンドル6.2は、作動領域と交換領域との間において交互に旋回することができる。
【0026】
作動領域において巻取りスピンドル6.2は、複数の巻取り箇所6.1において作動する。本実施形態では、全部で4つの巻取り箇所6.1が巻取り機6に形成されている。巻取り箇所6.1は、同一に構成されていて、かつそれぞれ1つの変向ローラ6.9および綾振り装置6.7を有している。変向ローラ6.9は、糸を巻取り箇所6.1に分配するために、ゴデット装置5の下流に配置されている。綾振り装置6.7は、糸毎に、糸を往復案内するためにそれぞれ1つの綾振り手段を有している。巻かれたパッケージの周囲に糸を仕掛けるために、圧着ローラ6.6が設けられており、この圧着ローラ6.6は、巻取りスピンドル6.2に平行に延びている。
【0027】
障害発生時に、押し出された糸を収容できるようにするために、ゴデット装置5の上には定置の吸込み装置4が設けられている。ここでは上側の吸込み装置4として示された装置は、糸捕集器4.3を有しており、これによって障害通知時に糸群9を回収して、吸込み開口4.1および屑管路4.2を介して、ここでは詳しく示されていない屑容器に供給することができる。そのために糸捕集器4.3には、切断ブレード4.4が対応配置されており、この切断ブレード4.4によって、吸込み開口4.1内に吸い込むために糸群9において糸端部が生ぜしめられる。
【0028】
巻取り箇所6.1に糸群9の糸を仕掛けるために、巻取り機6には下側の吸込み装置7が対応配置されている。この下側の吸込み装置7は、巻取りスピンドル6.2の下に配置されている。下側の吸込み装置7は、吸込み開口7.1および屑管路7.2を有していて、この吸込み開口7.1と屑管路7.2とは、糸群を収容するため、および屑容器に糸群を排出するために共働する。吸込み開口7.1には切断手段7.3が対応配置されている。切断手段7.3は、好ましくは1つブレードまたは複数のブレードによって形成されており、このようなブレードは、可能な限り僅かな切断抵抗で、糸群を切断することができる。
【0029】
上側の吸込み装置4および下側の吸込み装置7は、ガイド手段8と共働し、これによって糸群を上側の吸込み装置4から下側の吸込み装置7に引き渡すことができる。
【0030】
本実施形態ではガイド手段8は、自由に回転可能なガイドローラ8.1によって形成されており、このガイドローラ8.1は、旋回アーム8.2に保持されている。旋回アーム8.2は、旋回駆動装置8.3を介して、糸走行方向に対して横方向に旋回可能に構成されている。旋回アーム8.2および旋回駆動装置8.3は、ガイドキャリッジ8.4に配置されている。ガイドキャリッジ8.4は、鉛直に方向付けられたガイドレール8.5に沿って、キャリッジ駆動装置8.6によって往復案内可能である。そのためにガイドレール8.5は、巻取り機6の端面に対して側方に配置されている。
【0031】
図1.1および図2.1において、溶融紡糸装置はある運転状態において示されており、この運転状態においては糸群9は、上側の吸込み装置4を介して連続的に屑容器に排出されている。ゴデット装置5および巻取り機6は、糸群9を収容できるようにするために、仕掛けモードにある。そのためにゴデット装置5の可動に保持されたゴデット5.1は、図1.1において破線で示されているように、仕掛け位置に移動させられている。巻取り機6は、補助装置6.8を有しており、この補助装置6.8はこの場合、変向ローラ6.9を保持する可動のローラ保持体6.8として形成されている。ローラ保持体6.8は、進出させられた位置(破線で図示)に保持されている。いまやガイド手段8は、捕集位置へと案内される。捕集位置においてガイドキャリッジ8.4は、ガイドレール8.5における上側の位置に保持される。ガイドローラ8.1を備えた旋回アーム8.2は、旋回駆動装置8.3を介して、糸群9の糸走路内に内方旋回させられ、このときガイドローラ8.1は糸群9を、直接、吸込み装置4の直ぐ上における糸部分において捕捉する。糸群9がガイドローラ8.1の周囲に沿って案内されるや否や、ガイドキャリッジ8.4はキャリッジ駆動装置8.6によって駆動開始される。ガイドキャリッジ8.4は、捕集位置から離脱して、ガイドレール8.5の下端部における下側の引受け位置に案内される。このときガイドローラ8.1において、糸ループ9.1が形成される。このとき紡糸ノズル1.2から押し出された糸は、依然として吸込み装置4によって収容され、かつガイドローラ8.1に巻き付く。この状況は、図1.1および図2.1において破線で示されている。
【0032】
図1.2および図2.2に示された溶融紡糸装置の状況において、糸群9は下側の吸込み装置7によって収容され、かつ案内されている。そのためにガイド手段8は、下側の引受け位置にあり、このときガイドローラ8.1における糸群は、旋回アーム8.2によって、下側の吸込み装置7の切断手段7.3および吸込み開口7.1に供給される。切断手段7.3は、糸ループ9.1の、吸込み装置4とガイドローラ8.1との間において案内された糸ストランドを切断する。このとき糸群9の切断後に、形成された端部は下側の吸込み装置7の吸込み開口7.1によって収容される。この状態は、図1.2および図2.2に示されている。
【0033】
ガイドローラ8.1を備えた旋回アーム8.2は、中立位置に案内される。巻取り箇所6.1において糸を仕掛けるために、いまや補助装置6.8が駆動開始される。可動のローラ保持体6.8に保持された変向ローラ6.9は、図2.2に示す糸間隔に相応して互いにずらされて仕掛け位置において保持されているので、単純な押込み運動によって、ある程度の糸間隔をおいて案内された糸の引受けが選択され、かつ巻取り箇所に移送される。補助装置6.8と下側の吸込み装置7との間における高さ間隔は、糸群9の糸の間における予め確定された図2.2に示す糸間隔が、補助装置6.8の領域において生じるように合わせられている。
【0034】
最後に、ゴデット装置5のゴデット5.1は、仕掛け位置からその作動位置に移送させられ、これによって溶融紡糸装置は、合成糸を連続的に製造するための準備状態になる。図3には、溶融紡糸装置が通常の運転状態において示されている。糸群9の糸は、パッケージに巻かれる。
【0035】
上に述べた実施形態において示された、巻取り箇所への仕掛け時に糸群を選択するための補助装置は、一例である。本発明に係る方法および本発明に係る装置にとって重要なことは、糸ループ形成のために適したガイド手段を備えた、上側および下側の定置の吸込み装置の間の連係である。ガイド手段としては、ガイドローラの代わりに、糸ガイドまたは糸ロッドを使用することも可能である。
図1.1】
図1.2】
図2.1】
図2.2】
図3