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特許7516490面状発熱ヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】面状発熱ヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240708BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20240708BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240708BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/51
A24F40/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022199258
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2023088315
(43)【公開日】2023-06-26
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179082
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0150395
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521268886
【氏名又は名称】イノ-アイティー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNO-IT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(KNN Walseok Art Hall,Udong)24,Centum seo-ro,Haeundae-gu Busan 48058,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ハンソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,イルクォン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ボムチャン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/170758(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/129677(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2017004(KR,B1)
【文献】特表2020-531008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0128880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/51
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成物品に熱を伝達するための、エアロゾル発生装置用ヒータパイプにおいて、
前記エアロゾル形成物品の収容のための中空が形成されたパイプ状の金属材質の本体と、
前記本体の外側面に形成される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に印刷される電極層と、
前記第1の絶縁層及び前記電極層上に形成される発熱層と、
前記発熱層上に形成される第2の絶縁層とを含むが、
前記発熱層は、白金系列のルテニウム、パラジウム及び銀のいずれか一つ以上を含むペースト組成物を塗布した後、焼結形成される薄膜であることを特徴とする、ヒータパイプ。
【請求項2】
前記第1の絶縁層は、本体の外側面に形成されるグラス-セラミック層であることを特徴とする、請求項1に記載のヒータパイプ。
【請求項3】
銀から製造される電極層は、電源線がハンダ付けされる導電性印刷パターンである電極を含むことを特徴とする、請求項1に記載のヒータパイプ。
【請求項4】
前記ペースト組成物は、銀及びパラジウムを混合した組成物または銀及びルテニウムを混合した組成物であることを特徴とする、請求項1に記載のヒータパイプ。
【請求項5】
前記発熱層は、0.6Ω~1.4Ωの電気抵抗を有することを特徴とする、請求項に記載のヒータパイプ
【請求項6】
前記第2の絶縁層は、前記発熱層上に形成されるグラス層であることを特徴とする、請求項1に記載のヒータパイプ。
【請求項7】
前記電極層は、一つ以上の(-)電極及び二つ以上の(+)電極を備えることを特徴とする、請求項に記載のヒータパイプ
【請求項8】
前記発熱層及び前記第2の絶縁層は、各々前記電極層の電極を露出させる電極露出ホールを備え、電源を印加するための電線が電極に連結されることを特徴とする、請求項に記載のヒータパイプ
【請求項9】
前記電極層に連結された発熱層の温度変化抵抗TCRを測定して、ヒータの温度を制御するのに利用することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のヒータパイプ
【請求項10】
前記第1の絶縁層、前記発熱層及び前記第2の絶縁層は、ヒータパイプが露出されるように互いに重畳する位置に形成されるホールを備え、
前記ホールを介して露出されたヒータパイプの金属材質の本体に直接溶接される温度測定用サーモカップルをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のヒータパイプ
【請求項11】
請求項に記載のヒータパイプのいずれか一つを含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項10に記載のヒータパイプのいずれか一つを含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状発熱ヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置に関し、より詳しくは、グラフェン(graphene)を用いた面状加熱構造を具現化することで、性能を改善させた面状発熱ヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、大気中に浮遊状態で存在する液体又は固体の微小粒子であって、通常、0.001μm~1.0μmの大きさを有する。特に、様々な種類の巻タバコ型エアロゾル発生物品から由来するエアロゾルを人が吸入する場合がある。例えば、通常の巻タバコを好む需要者等の要求に応じて、通常のタバコのフィルタ部及び巻タバコ部の様態を有する電子タバコも提案されているが、このような電子タバコは、巻タバコ部に含まれた吸入物質を電子ヒータで気化させると、通常のタバコと同等な構成を有するフィルタ部を介してユーザが吸入する構成を有する。図1は、従来技術に係るエアロゾル発生装置の一例を説明するための図である。図1に示すように、エアロゾル発生装置100は、巻タバコ型エアロゾル発生物品10が挿入される空洞20を備え、エアロゾル発生装置100に挿入された巻タバコ型エアロゾル発生物品10を加熱してエアロゾルを発生させるために、例えば空洞20の外周にパイプ状のヒータ30を備える。また、エアロゾル発生装置100は、ヒータ30に電力を供給するためのバッテリ40と、このバッテリ40からヒータ30に供給される電力を制御するように構成される制御部50とを含む。前述した従来技術では、制御部50の制御によりバッテリ40からヒータ30に電力を供給し、ヒータ30から発生する熱により巻タバコ型エアロゾル発生物品10を加熱させて、巻タバコ型エアロゾル発生物品10内のエアロゾル発生気質からエアロゾルが発生する。
【0003】
ヒータ30は、エアロゾル発生装置においてユーザ経験と直結する核心要素であって、特にその内部に挿入されるエアロゾル発生物品10への熱伝達能力を改善させる必要がある。したがって、ヒータ30の構造を改善させるために、セラミック材質のヒータやフィルム状のヒータなど、多様な改善が試みられている。また、エアロゾル発生装置は、携帯性が重要な装置であるため、バッテリのサイズを低減すると共に、長時間の使用も可能である必要がある。したがって、高効率の低電力設計が特に要求される。大韓民国登録特許第10-2017004号では、ナノ炭素粒子基盤の面状発熱体を備えるフィルムヒータを開示しているが、加熱の均一性などにおいて、より改善された効果が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、グラフェン面状発熱層を用いて、エアロゾル形成物品を均一かつ速い昇温速度で加熱してエアロゾルを発生させるヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例は、エアロゾル形成物品に熱を伝達するための、エアロゾル発生装置用ヒータパイプにおいて、エアロゾル形成物品の収容のための中空が形成されたパイプ状の金属材質の本体と、本体の外側面に形成される第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に蒸着により形成される発熱層と、発熱層上に形成される第2の絶縁層とを含むことを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0006】
実施例の他の一様態として、発熱層はグラフェン層であることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0007】
実施例の他の一様態として、第2の絶縁層の一部が削除されて外部に露出されるコネクタ部をさらに含み、コネクタ部を介してグラフェン層と外部電源が連結されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0008】
実施例の他の一様態として、グラフェン層はグラフェンがパターンで蒸着されて形成されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0009】
実施例の他の一様態として、第1の絶縁層又は第2の絶縁層の少なくとも一つは、ポリイミドフィルムであることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0010】
実施例の他の一様態として、第1の絶縁層、グラフェン層及び第2の絶縁層は、一部が本体の外側面から延長されてヒータパイプの下面を形成することを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0011】
実施例の他の一様態として、第1の絶縁層及び第2の絶縁層は、一部が本体の外側に延長された延長部を備え、延長部には、グラフェン層と外部電源を連結するためのコネクタ部が形成されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0012】
実施例の他の一様態として、第2の絶縁層の外面に付着され、絶縁フィルム上に温度を感知するセンサパターンが印刷されたセンサ層をさらに含むことを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0013】
実施例の他の一様態として、第1の絶縁層、第2の絶縁層及びセンサ層は、一部が本体の外側に延長される延長部を備え、延長部には、グラフェン層と外部電源を連結するためのコネクタ部及びセンサパターンから延長されたターミナル部が形成されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0014】
実施例の他の一様態として、第1の絶縁層及び第2の絶縁層は、一部が本体の外側面から延長されてヒータパイプの下面を形成し、下面の第1の絶縁層及び第2の絶縁層間には、エッチングした発熱パターンが形成されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0015】
実施例の他の一様態として、グラフェン層は、供給される電圧を高めるための昇圧型コンバータを介して外部電源と連結されることを特徴とするヒータパイプを提供する。
【0016】
また、実施例の他の一様態として、前記ヒータパイプの多数を上下に積層して形成される積層型ヒータパイプにおいて、下段に積層されるヒータパイプの中空の断面積は、上段に積層されるヒータパイプの中空の断面積に対して同一又は小さいことを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0017】
また、実施例の他の一様態として、積層されるヒータパイプの外側面の断面は円形であり、中空の断面も円形であることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0018】
また、実施例の他の一様態として、積層されるヒータパイプの外側面の断面は四角形であり、中空の断面は円形であることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0019】
また、実施例の他の一様態として、積層されるヒータパイプの外側面の断面は四角形であり、中空の断面も四角形であることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0020】
また、実施例の他の一様態として、第1の絶縁層上に印刷される電極層をさらに含み、発熱層は、電極層上に形成され、白金系列のルテニウム、パラジウム及び銀のいずれか一つ以上を含むペースト組成物を塗布した後、焼結形成された薄膜であることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0021】
また、実施例の他の一様態として、発熱層は0.6Ω~1.4Ωの電気抵抗を有することを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0022】
また、実施例の他の一様態として、電極層は、一つ以上の(-)電極及び二つ以上の(+)電極を備えることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0023】
また、実施例の他の一様態として、発熱層及び第2の絶縁層は、各々電極層の電極を露出させる電極露出ホールを備え、電源を印加するための電線が電極に連結されることを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0024】
また、実施例の他の一様態として、電極層に連結された発熱層の温度変化抵抗TCRを測定して、ヒータの温度を制御するのに利用することを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0025】
また、実施例の他の一様態として、第1の絶縁層、発熱層及び第2の絶縁層は、ヒータパイプが露出されるように互いに重畳する位置に形成されるホールを備え、ホールを介して露出されたヒータパイプに直接溶接される温度測定用サーモカップルをさらに含むことを特徴とする積層型ヒータパイプを提供する。
【0026】
実施例の他の一様態として、前記ヒータパイプのいずれか一つを含むことを特徴とするエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置は、金属材質のパイプに絶縁層を形成し、グラフェンを蒸着して面状発熱層を形成することで、熱伝導性及び電気伝導性に優れ、昇温速度が非常に速いという長所がある。
【0028】
また、本発明に係るヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置は、面状発熱層が金属パイプを均一に加熱し、加熱された金属パイプがその内部に挿入されたエアロゾル形成物質を加熱させることで、エアロゾル形成物質の全範囲を同時かつ均一に加熱させることができる。
【0029】
また、本発明に係るヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置は、面状発熱層がヒータパイプの下面にも存在するため、挿入されたエアロゾル形成物質をより均一に加熱させることができ、面状発熱層及びコネクタを一体で構成することにより製造が簡便である。
【0030】
また、本発明に係るヒータパイプ及びそれを含むエアロゾル発生装置は、フィルム状の温度センサを備えることで、温度を容易に制御できると共に、コンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術に係るエアロゾル発生装置の一例を説明するための内部構成図である。
図2】本発明の第1の実施例に係るヒータパイプの斜視図である。
図3】本発明の第1の実施例に係るヒータパイプの一部断面図である。
図4】本発明の第2の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。
図5】本発明の第3の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。
図6】本発明の第4の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。
図7】本発明の第5の実施例に係るヒータパイプの一部断面図である。
図8】本発明の第5の実施例に係るヒータパイプの絶縁フィルム及びセンサパターンを展開して示す分解図である。
図9】本発明の第6の実施例に係るヒータパイプの構成を説明するためのブロック図である。
図10】本発明の何れかの実施例に係るヒータパイプを積層して形成できる積層型ヒータパイプの分解図である。
図11】本発明の一実施例に係る積層型ヒータパイプにおいて各々積層されるヒータパイプの上面図である。
図12】本発明の他の実施例に係る積層型ヒータパイプにおいて各々積層されるヒータパイプの上面図である。
図13】本発明の他の実施例に係る積層型ヒータパイプにおいて各々積層されるヒータパイプの上面図である。
図14】本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの部分断面図である。
図15】本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの斜視図である。
図16】本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
図17】本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
図18】本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す斜視図である。
図19】本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す斜視図である。
図20】本発明の第9の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【0033】
図2は本発明の第1の実施例に係るヒータパイプの斜視図、図3は本発明の第1の実施例に係るヒータパイプの一部断面図である。本実施例において、ヒータパイプ1は、パイプ状であり、金属材質である本体110と、本体110の外側面に形成された第1の絶縁層200と、第1の絶縁層200上のグラフェン層300と、グラフェン層300上の第2の絶縁層400とを含む。
【0034】
本体110は、パイプ状であり、その内側にエアロゾル形成物品を収容するための中空hが形成されるため、巻タバコなどのようなエアロゾル形成物品を挿入できる。本体110は、挿入されるエアロゾル形成物品に熱をよく伝達する必要があるので、熱伝導性が高い物質の金属で形成されることが望ましい。本体110は例えばSUS材質であり得る。本体110のパイプの外面、すなわち外側面には第1の絶縁層200が形成される。第1の絶縁層200は、蒸着やスプレー放射などのようなコーティング工程により、本体110の外側面に形成できる。または、第1の絶縁層200は、絶縁フィルムを本体110の外側面に接着する方式により形成できる。
【0035】
第1の絶縁層200上には、熱を発生させるための手段としてグラフェン層300が形成される。例えば、グラフェン層300は、本体110上に第1の絶縁層200をまず形成し、その上にグラフェン蒸着方法により形成できる。また、グラフェン層300の一側には電気的な接続のためのコネクタ部を形成できる。グラフェン層300上には第2の絶縁層400が形成される。第2の絶縁層400も、蒸着やスプレー放射などのようなコーティング方式又は絶縁フィルムを付着する方式により形成できる。第2の絶縁層400の一部を削除し、それに露出されるグラフェン層300の一部に金属パッドを付着したり、ハンダ付けパッドを形成したりする方法により、コネクタ部410a、410bを互いに分離して形成できる。分離形成したコネクタ部410a、410bの各々と外部電源(図示せず)を連結させてグラフェン層300を発熱させることができる。本実施例では本体110に下面が存在していないものとして示したが、他の実施例として、本体110に下面が存在する場合、第1の絶縁層200、グラフェン層300、第2の絶縁層400を下面にも形成できる。このとき、コネクタ部410a、410bは本体110の下面側に形成することが望ましい。本体110の下面に発熱層(第1の絶縁層200、グラフェン層300、第2の絶縁層400)が存在する場合、挿入されるエアロゾル形成物品の下段部に熱を伝達できることで、より均一に加熱させることができる。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。第2の実施例において、第1の絶縁層200はポリイミドフィルムであり、グラフェン層300はポリイミドフィルム上に蒸着されて形成される。本実施例において、グラフェン層300は、ポリイミドフィルムである第1の絶縁層200の相当部分を連続的に覆うように面状で蒸着される。図に示していないが、以後、第2の絶縁層400がグラフェン層300上に形成されて、グラフェン層300は上面及び下面の両側で絶縁される。第2の絶縁層400もポリイミドフィルムで形成できる。グラフェン層300の一側にも、電気接続のためのコネクタ部410a、410bを形成できる。また、第1の絶縁層200、グラフェン層300及び第2の絶縁層400は、一部が本体の外側面から延長されて実質的にヒータパイプ1の下面を形成する延長面500を備えることができる。延長面500がヒータパイプ1の下面を形成することで、挿入されるエアロゾル形成物品の下段部にも熱を伝達できる。
【0037】
ポリイミドフィルムは、絶縁フィルムのうちで比較的熱伝導度が高いため、本体110に熱を伝達する役割を果たすのに適切である。第1の絶縁層200、グラフェン層300及び第2の絶縁層400は、フィルム状で貼り合わせて本体110の外周を包み、エポキシやボンドなどのような比較的熱に強くて熱伝導度が高い接着剤を用いて、本体110の外側面に付着できる。
【0038】
他の実施例として、延長面500はエッチングフィルムヒータであり得る。すなわち、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400の一部が延長して実質的にヒータパイプ1の下面を形成し、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400間にエッチングした発熱パターンを形成して、延長面500のみをエッチングフィルムヒータとして構成できる。
【0039】
また、他の実施例として、第1の絶縁層200を蒸着やスプレー放射などのようなコーティング工程により本体110の外側面に形成し、その上にグラフェン層300が蒸着された、ポリイミドフィルムで形成される第2の絶縁層400を付着することもできる。勿論、このような実施例でも、第1の実施例のように、本体110、第1の絶縁層200、グラフェン層300、第2の絶縁層400の積層順序を有する。
【0040】
図5は、本発明の第3の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。本実施例は、第2の実施例と類似しているが、グラフェン層300がポリイミドフィルムである第1の絶縁層200の相当部分を覆うようにパターンの形状で蒸着されるという点が異なる。グラフェン層300が第1の絶縁層200の相当部分を覆うようにパターンの形状で蒸着されることで、グラフェンの必要量を低減すると共に、面状発熱の目的を十分に達成できる。
【0041】
図6は、本発明の第4の実施例に係るヒータパイプの第1の絶縁層及びグラフェン層を展開して示す分解図である。本実施例は、第3の実施例と類似しているが、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400(図示せず)の一部が本体110の外側に延長されて延長部600を形成し、延長部600内にはグラフェン層300と外部電源(図示せず)を連結するためのコネクタ部410a、410bが形成されるという点が異なる。本実施例において、第1の絶縁層200又は第2の絶縁層400の少なくとも一つはポリイミドフィルムであり、望ましくはその一部が本体110の下部に延長されて延長部600を形成する。延長部600には、グラフェン層300から延長される電極線310a、310bが延長されて、最段部に容易な電気的な接続のための、例えばハンダ付けパッドで形成されるコネクタ部410a、410bが形成される。ヒータパイプ1の下面を形成する延長面500は、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400間に形成されたグラフェン層300からなる発熱構造、又は、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400間に形成されたエッチング発熱パターン(図示せず)であり得る。
【0042】
図7は本発明の第5の実施例に係るヒータパイプの一部断面図、図8は本発明の第5の実施例に係るヒータパイプの絶縁フィルム800及びセンサパターン700を展開して示す分解図である。第5の実施例に係るヒータパイプ1は、第2の絶縁層400の外面に、絶縁フィルム800上に温度を感知するセンサパターン700が印刷されたセンサ層700、800をさらに含む。特に、センサパターン700が第2の絶縁層400に向けるように配置することが望ましく、本体110の相当部分を覆うように形成されることが、本体の全面積にわたって温度を測定できるという点において望ましい。図8に示すように、センサ層700、800も、第1の絶縁層200及び第2の絶縁層400と同様に、その一部が外側に延長された延長部600を形成できる。センサパターン700は、延長部600に継続的に延長されて、最段部にターミナル部710a、710bを形成する。本体110の下部に延長される延長部600を備えることで、グラフェン層300及びセンサパターン700をバッテリのような外部電源又は制御部と容易に連結できる。
【0043】
図9は、本発明の第6の実施例に係るヒータパイプの構成を説明するためのブロック図である。本実施例において、グラフェン層300は、外部電源であるバッテリ1000と連結する際に、少なくとも昇圧型コンバータ900を介して連結されることを特徴とする。この他にも、制御及び回路保護のために、FET素子910が昇圧型コンバータ900及びグラフェン層300間に追加されることもできる。昇圧型コンバータ900は、直流間に電圧を上昇させるコンバータであって、外部電源1000からグラフェン層300へ伝達される電圧を上昇させてヒータパイプ1がより迅速に昇圧されるようにする。
【0044】
図10は本発明のいずれかの実施例に係るヒータパイプを積層して形成できる積層型ヒータパイプの分解図、図11は各々積層されるヒータパイプの上面図である。前述したいずれかの実施例に係るヒータパイプの多数1a、1b、1cを上下に積層することにより積層型ヒータパイプを形成できる。特に、本発明の積層型ヒータパイプは、下段に積層されるヒータパイプの中空の断面積が、上段に積層されるヒータパイプの中空の断面積に対して同一又は小さいことを特徴とする。よって、最上段のヒータパイプ1aの中空h1の幅D1は、その下段に積層されるヒータパイプ1bの中空h2の幅D2に対して同一又は大きい。また、最下段に積層されるヒータパイプ1cの中空h3の幅D3は、その上段に積層されるヒータパイプ1a、1bの中空h1、h2の幅D1、D2に対して同一又は小さい。このように、下段へ行くほど積層される中空の断面積を減少させながら積層型ヒータパイプを構成することで、ヒータパイプの中空の上段から挿入されるエアロゾル形成物品は、上段において容易に挿入できると共に、下段においてヒータパイプの内壁との密着力が高くなって熱を良好に伝達できる。
【0045】
図11に示すように、実施例により積層されるヒータパイプ1a、1b、1cは、外側面の断面が全部円形であり、中空の断面も円形であり得る。また、図12に示すように、他の実施例において、積層されるヒータパイプ1a、1b、1cは、外側面の断面が四角形であり、中空の断面が円形であり得る。また、図13に示すように、また他の実施例において、ヒータパイプ1a、1b、1cは、外側面の断面が四角形であり、中空の断面も四角形であり得る。
【0046】
以上、多様な実施例により説明した本発明のヒータパイプ1は、エアロゾル発生装置内の構成要素として含まれて、エアロゾル形成物品に熱を伝達させるために使用できる。発熱層であるグラフェン層300は、電気的や熱的に優れた性質を有し、第1の絶縁層200を挟んで金属の本体110の相当部分を覆うように形成されるので、全面積にわたって均一に熱を第1の絶縁層200を通して金属材質の本体110に伝達できる。また、昇温時間の短縮により、エアロゾル発生装置のユーザ経験が増大して消耗電流を低減できる。
【0047】
図14は本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの部分断面図、図15は本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの斜視図、図16は本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
【0048】
本発明の第7の実施例に係る積層型ヒータパイプは、金属の本体110cの外側面に第1の絶縁層200cが形成され、その上に電極層300cが形成される。電極層300cは、導電性印刷パターンで電源線がハンダ付けされる電極310c、320cと、(-)電極310c及び(+)電極320cを通電させる導電性パターンとからなる。
【0049】
電極層300c上には、発熱層として白金系列のルテニウム、パラジウム又は銀を含むペースト組成物が塗布され、焼結形成される薄膜400cが形成される。白金系列のルテニウム、パラジウム又は銀を含むペースト組成物が電極層300c上に塗布された後、第2の絶縁層500cを形成して焼結及び圧縮成形によりヒータパイプが製造される。薄膜400cは、電極層300cを介して印加される電源により発熱し、ペースト組成物を塗布して焼結及び圧縮により製造されることで、重さが軽くて簡便に製造できるという長所がある。
【0050】
このとき、第1の絶縁層200cはグラス-セラミック層で製造され、電極310c、320cは銀で製造され、薄膜400cは銀及びパラジウムを混合した組成物または銀及びルテニウムを混合した組成物で製造され、第2の絶縁層500cはグラス層で製造される。このとき、薄膜400cは、電極層300cに測定される抵抗が0.6Ω~1.4Ω間となる造成であるのが望ましい。例えば、薄膜400cを形成するためのペースト組成物は、銀10乃至60重量部、パラジウム0.25乃至20重量部、有機化合物10~40重量部、その他0.01~20重量部からなったり、銀10乃至60重量部、ルテニウム0.25乃至20重量部、有機化合物10~40重量部、その他0.01~20重量部からなったりできる。
【0051】
このとき、薄膜400c及び第2の絶縁層500cは、各々電極層300cの電極310c、320cを露出させて電源線をハンダ付けするために、電極露出ホール410c、510cを各々備える。
【0052】
一方、ヒータパイプの発熱を制御するために、本体110cの温度を測定できるように、第1の絶縁層200c、薄膜400c及び第2の絶縁層500cは、本体110cが露出されるように互いに重畳する位置に形成されるホール220c、420c、520cを備える。
【0053】
ホール220c、420c、520cにより露出される本体110cにサーモカップル(図示せず)を付着して本体110cの温度を測定し、その値に基づいて電極310c、320cを介して印加される電流を制御することで、ヒータパイプの発熱量を制御できる。
【0054】
図17は、本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
【0055】
本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプは、電極層300dの電極310d、320dの個数及び配置の以外は、第7の実施例と同様である。
【0056】
電極層300dの電極310d、320dのうち、(+)電極320dは二つが形成されるが、(-)電極310dは共通電極として使用できる。
【0057】
図18及び図19は、本発明の第8の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す斜視図である。
【0058】
一方、ヒータパイプの電極310d、320dに電源印加線がハンダ付けされた様態と、ホール220c、420c、520c(図17を参照)を介して露出された本体110cにサーモカップル610cが付着された様態とが示されている。発熱を制御するために、本体110cの温度を測定できるように、第1の絶縁層200c、薄膜400c及び第2の絶縁層500cは、本体110cが露出されるように互いに重畳する位置に形成されるホール220c、420c、520cを備える。
【0059】
ホール220c、420c、520cにより露出される本体110cにサーモカップル(図示せず)を付着して本体110cの温度を測定し、その値に基づいて電極310d、320dを介して印加される電流を制御することで、ヒータパイプの発熱量を制御できる。
【0060】
図20は、本発明の第9の実施例に係る積層型ヒータパイプの各層を示す分解図である。
【0061】
本発明の第9の実施例に係る積層型ヒータパイプは、サーモカップルを付着するための別途のホールが形成されていない以外は、第8の実施例と同様である。代替的に、電極層300dの電極310d、320dに連結された抵抗TCRを測定して、ヒータの温度を制御するのに利用する。電極層300dに印加される電力により発熱する際に、ルテニウム、パラジウム及び銀からなる薄膜400cの温度変化抵抗TCR値を用いて温度制御に利用する。
【0062】
以上、前述した通り、本発明は、前述した特定の好適な実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、誰でも多様な変形の実施が可能であることは勿論、そのような変更は特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0063】
1 ヒータパイプ
110 本体
200 第1の絶縁層
300 グラフェン層
400 第2の絶縁層
410a、410b コネクタ部
500 延長面
600 延長部
700 センサパターン
800 絶縁フィルム
900 昇圧型コンバータ
910 FET素子
1000 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図20