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特許7516495流体バルブのためのシーリングダイアフラム及び流体バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】流体バルブのためのシーリングダイアフラム及び流体バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/36 20060101AFI20240708BHJP
   F16K 11/16 20060101ALI20240708BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F16K1/36 A
F16K11/16 Z
F16K1/00 L
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205176
(22)【出願日】2022-12-22
(65)【公開番号】P2023094597
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】21217245.6
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522166851
【氏名又は名称】アーファウエス インジェニエーア ヨット ツェー レーマー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヨルダン
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016114538(DE,A1)
【文献】特表2009-535008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/36
F16K 11/16
F16K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハウジング(10)と駆動ユニット(3)とを備える流体バルブ(1)のためのシーリングダイアフラムであって、
前記駆動ユニット(3)は、前記バルブハウジング(10)に結合するように構成されたバルブハウジングキャリア(8)を備え、前記バルブハウジングキャリア(8)は、延長部(8.1)を備え、
前記シーリングダイアフラム(15)は、ハット形構造であり、自由端側において、前記流体バルブ(1)の前記バルブハウジング(10)内に突出するバルブ閉鎖体(2)の一部を取り囲むように構成され、
前記シーリングダイアフラム(15)は、外周側が回転非対称に形成されている基部(15.1)を備え、
前記基部(15.1)は、前記バルブハウジング(10)の開口(12.1)に対して形状適合様式で当接するように設けられており、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記バルブハウジング(10)と前記駆動ユニット(3)との間に収容されるように構成されており、前記バルブハウジング(10)の前記開口(12.1)は、前記駆動ユニット(3)に向かって流体密封様式でシールされるようになっており、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記駆動ユニット(3)の前記バルブハウジングキャリア(8)の前記延長部(8.1)が形状適合する内側開口(15.1.1)を有し、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記バルブハウジング(10)と前記駆動ユニット(3)との組み立てによって、前記バルブハウジング(10)と前記バルブハウジングキャリア(8)の前記延長部(8.1)との間で半径方向に圧迫される、
シーリングダイアフラム。
【請求項2】
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記外周側で多角形又は実質的に多角形の形状を有する、請求項1に記載のシーリングダイアフラム。
【請求項3】
バルブ閉鎖体(2)のための磁気駆動ユニット(3)を備える流体バルブであって、
前記磁気駆動ユニット(3)は、コア(7)と、前記コア(7)を部分的に取り囲むコイル(4)と、前記コイル(4)の通電及び結果としての磁気力によって移動可能なアーマチュア(5)とを備え、
前記バルブ閉鎖体(2)は、部分的にバルブハウジング(10)内に突出し、
前記バルブ閉鎖体(2)は、前記アーマチュア(5)と作動的に結合され、前記バルブ閉鎖体(2)は、前記アーマチュア(5)の移動によって少なくとも第1及び第2の枢動位置で枢動軸(SV)の周りに枢動可能であり、
前記バルブハウジング(10)内の流体接続は、前記バルブ閉鎖体(2)の枢動位置によって切り替えられ、
前記バルブ閉鎖体(2)の前記バルブハウジング(10)内に突出する部分は、自由端側でシーリングダイアフラム(15)によって取り囲まれ、
前記シーリングダイアフラム(15)は、ハット形構造であり、前記バルブ閉鎖体(2)の前記バルブハウジング(10)内に突出する部分を流体密封様式で取り囲み、
前記シーリングダイアフラム(15)は、基部(15.1)を有し、前記基部(15.1)は、外周側が回転非対称に形成され、前記バルブハウジング(10)の開口(12.1)に対して相互連結様式で当接し、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記バルブハウジング(10)と前記駆動ユニット(3)との間に収容され、前記バルブハウジング(10)の前記開口(12.1)は、前記駆動ユニット(3)に向かって流体密封様式でシールされるようになっており、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、内側開口(15.1.1)を有し、
前記駆動ユニット(3)は、前記バルブハウジング(10)に結合するように構成されたバルブハウジングキャリア(8)を備え、前記バルブハウジングキャリア(8)は、前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)の前記内側開口(15.1.1)に形状適合される延長部(8.1)を備え、
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記バルブハウジング(10)と前記駆動ユニット(3)の組み立てによって、前記バルブハウジング(10)と前記バルブハウジングキャリア(8)の前記延長部(8.1)との間で半径方向に圧迫される、
流体バルブ。
【請求項4】
前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)は、前記外周側で多角形又は実質的に多角形の形状を有する、請求項3に記載の流体バルブ。
【請求項5】
前記内側開口(15.1.1)、円形又は多角形の形状を有する、請求項3又は4に記載の流体バルブ。
【請求項6】
前記バルブハウジング(10)は、前記開口(12.1)を有する受容空間(12)を備え、前記受容空間(12)の前記開口(12.1)の縁部(12.1.1)は、円周側で、前記シーリングダイアフラム(15)の前記基部(15.1)の当接のために設けられる半径方向のシール面を形成する、請求項3又は4に記載の流体バルブ。
【請求項7】
前記開口(12.1)は、回転非対称の周囲形状を有する、請求項6に記載の流体バルブ。
【請求項8】
前記シーリングダイアフラム(15)は、前記バルブハウジング(10)内に突出する前記バルブ閉鎖体(2)の部分の形状に適合する内部断面を有するキャップ部(15.2)を備え、これにより前記バルブ閉鎖体(2)の部分が前記シーリングダイアフラム(15)の前記キャップ部(15.2)に確実に収容される、請求項3又は4に記載の流体バルブ。
【請求項9】
前記シーリングダイアフラム(15)の前記キャップ部(15.2)は、幅広側面(15.2.1)のペアと、幅狭側面(15.2.2)のペアとを有する矩形又は実質的に矩形の断面を備え、前記幅広側面(15.2.1)は、前記幅狭側面(15.2.2)よりも長い、請求項に記載の流体バルブ。
【請求項10】
前記キャップ部(15.2.2)の少なくとも1つの幅広側面(15.2.1)は、前記バルブハウジング(10)に形成されたバルブシート(13、14)に対して当接するために設けられている、請求項に記載の流体バルブ。
【請求項11】
前記バルブハウジング(10)は、前記駆動ユニット(3)に結合するための結合外形(16)を備え、前記結合外形(16)は、前記駆動ユニット(3)に対する前記バルブハウジング(10)の結合をもたらすように設計されており、前記結合外形(16)は、前記バルブハウジング(10)に対する前記駆動ユニット(3)の回転位置に関して予め定められている、請求項3又は4に記載の流体バルブ。
【請求項12】
前記結合外形(16)は、スナップ機構によって前記バルブハウジング(10)を前記駆動ユニット(3)に締結するために構成されている結合部分(16.1)を備える、請求項11に記載の流体バルブ。
【請求項13】
前記バルブハウジング(10)は、ホースクイックカップリングのための少なくとも1つの支持部(17)を備える、請求項3又は4に記載の流体バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体バルブのためのシーリングダイアフラム及びシーリングダイアフラムを備えた流体バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
流体流れを制御するための流体バルブは原理的に知られている。流体は、ここでは特に液体である。このタイプの流体バルブは、特に食品分野において、例えばウォーターディスペンサー、コーヒーメーカーなどで使用されている。
【0003】
このような流体バルブは、少なくとも1つの流路が形成されたバルブハウジングを有する。バルブハウジングには、バルブ閉鎖体が設けられており、この閉鎖体は、駆動ユニットによって動かされ、詳細には枢動軸の周りを枢動する。枢動により、シーリングダイアフラムは、流体バルブを通る流体流れを制御するために、バルブシートに押し付けることができる。
【0004】
公知の流体バルブの主たる欠点は、組立不良により、比較的大きな閉鎖動作の変動が見られることである。詳細には、流体バルブは、組立不良により、不十分に閉じることが起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、調整を必要とせずに流体バルブを正確に閉じることができる流体バルブのためのシーリングダイアフラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項1の特徴を備えるシーリングダイアフラムによって達成される。シーリングダイアフラムを有する流体バルブは、さらなる独立請求項3の主題である。シーリングダイアフラム又は流体バルブの好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
一態様によれば、バルブハウジングと駆動ユニットとを備える流体バルブのためのシーリングダイアフラムが開示される。シーリングダイアフラムは、ハット形に形成され、流体バルブのバルブシートに押し付けられるために、自由端側で、流体バルブのバルブハウジング内に突出するバルブ閉鎖体の一部を取り囲むように構成され、これにより、流路の閉鎖が保証される。シーリングダイアフラムは、外周側が回転非対称に形成された基部を備える。基部は、バルブハウジングの開口に対して形状適合様式で当接するように設けられている。また、シーリングダイアフラムの基部は、バルブハウジングと駆動ユニットとの間に収容されるように構成されており、バルブハウジングの開口は、駆動ユニットに向かって流体密封様式でシールされるようになっている。
【0008】
シーリングダイアフラムの技術的な利点は、基部の回転非対称の形状に起因して、シーリングダイアフラムが(シーリングダイアフラムの垂直軸に対して)予め定められた回転位置でのみバルブハウジングに挿入することができる点である。その結果、シーリングダイアフラムは、バルブハウジングに配置されたバルブシートに対して常に定められた位置を取るので、シーリングダイアフラムの回転位置を調整することなく流体バルブの高精度の機能性が保証される。
【0009】
1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムの基部は、外周側で多角形又は実質的に多角形の形状を有する。詳細には、基部は、矩形又は実質的に矩形の周方向形状を有することができる。好ましくは、バルブハウジングは、シーリングダイアフラムのための受容空間を有し、この空間は、その中にシーリングダイアフラムの基部を挿入することができる、逆形状に形成された開口縁部を有する。これにより、シーリングダイアフラムは、バルブハウジングの中に非常に正確に及び規定された回転位置で挿入することができ、シーリングダイアフラムは、バルブシートに対して規定された向きを取り、従って、規定された閉鎖動作を達成することが保証される。
【0010】
代替的に又は追加的に、シーリングダイアフラムは、回転非対称性を達成するために、外周側に突起、窪み又は凹部を有することもできる。
【0011】
さらなる態様によれば、流体バルブが開示される。流体バルブは、バルブ閉鎖体の磁気駆動ユニットを備える。駆動ユニットは、コアと、コアを部分的に取り囲むコイルと、コイルの通電及び結果としての磁気力によって移動可能なアーマチュアとを備える。バルブ閉鎖体は、部分的にバルブハウジング内に突出し、アーマチュアと作動的に結合され、アーマチュアが枢動軸の周りを移動することによって、少なくとも第1及び第2の枢動位置に枢動可能に配置することができる。バルブ閉鎖体の枢動位置は、バルブハウジング内の流体接続を切り替える。バルブ閉鎖体のバルブハウジング内に突出する部分は、自由端側でシーリングダイアフラムによって取り囲まれる。シーリングダイアフラムはハット形であり、バルブハウジング内に突出するバルブ閉鎖体の部分を流体密封様式で取り囲む。また、シーリングダイアフラムは、外周側が回転非対称に形成され、バルブハウジングの開口に確実に(すなわち、形状適合様式で)当接する基部を備える。シーリングダイアフラムの基部は、バルブハウジングと駆動ユニットとの間に収容され、バルブハウジングの開口は、駆動ユニットに向かって流体密封様式でシールされるようになっている。
【0012】
この流体バルブの技術的な利点は、基部の回転非対称の形状に起因して、シーリングダイアフラムが(シーリングダイアフラムの長手方向軸に対して)予め定められた回転位置でのみバルブハウジングに挿入することができる点である。その結果、シーリングダイアフラムは、バルブハウジングに配置されたバルブシートに対して常に定められた位置を取るので、シーリングダイアフラムの回転位置を調整することなく流体バルブの高精度の機能性が保証される。
【0013】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムの基部は、外周側で多角形又は実質的に多角形の形状を有する。詳細には、基部は、矩形又は実質的に矩形の周方向形状を有することができる。好ましくは、バルブハウジングは、シーリングダイアフラムのための受容空間を有し、この空間は、その中にシーリングダイアフラムの基部を挿入することができる逆形状に形成された開口縁部を有する。これにより、シーリングダイアフラムは、バルブハウジングの中に非常に正確に及び規定された回転位置で挿入することができ、シーリングダイアフラムは、バルブシートに対して規定された向きを取り、従って、規定された閉鎖動作を達成することが保証される。
【0014】
代替的に又は追加的に、シーリングダイアフラムは、回転非対称性を達成するために、外周側に突起、窪み又は凹部を有することもできる。
【0015】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムの基部は、内周側で円形又は多角形の形状を有する内側開口を有する。この内側開口部を通して、バルブ閉鎖体は、シーリングダイアフラムの中に延びることができ、さらに、シーリングダイアフラムは、バルブハウジングに対して押し付けて気密を達成することができる。
【0016】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、バルブハウジングは、開口を有する受容空間を備える。受容空間の開口の縁部は、円周側で、シーリングダイアフラムの基部領域の当接のために設けられる半径方向のシール面を形成する。シーリングダイアフラムの脚部領域を受容空間の開口の縁部に押し付けて半径方向のシールをもたらすことで、バルブハウジングと駆動ユニットとの間の移行部が効果的にシールされる。
【0017】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、受容空間の開口は、回転非対称の周囲形状を備える。好ましくは、この周囲形状は、シーリングダイアフラムが受容空間の開口に形状適合様式で挿入できるように、シーリングダイアフラムの基部領域の外周形状に適合される。
【0018】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、駆動ユニットは、バルブハウジングに結合されるように構成されたバルブハウジングキャリアを備える。バルブハウジングキャリアは、バルブハウジングに向かって突出し、シーリングダイアフラムの基部の内側開口に形状適合される延長部を備える。駆動ユニットとバルブハウジングが組み立てられると、延長部は、シーリングダイアフラムの基部の内側開口に挿入され、結果として、シーリングダイアフラムをその位置で固定する。
【0019】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムの基部は、バルブハウジングと駆動ユニットとの組み立てによって、バルブハウジングとバルブハウジングキャリアの延長部との間で半径方向に圧迫される。詳細には、バルブハウジングキャリアの延長部は、内周側でシーリングダイアフラムに押し付けられ、このようにしてシーリングダイアフラムに半径方向外向きに作用する力を加え、その結果、半径方向の圧縮が達成される。従って、バルブハウジングと駆動ユニットとの間の接合部において、高い気密性が達成される。
【0020】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムは、バルブ閉鎖体の部分がシーリングダイアフラムのキャップ部に確実に収容さるように(すなわち、形状適合様式で)、バルブハウジング内に突出するバルブ閉鎖体の部分の形状に適合する内部断面を有するキャップ部を備える。従って、バルブ閉鎖体に対するシーリングダイアフラムの堅牢な接続が達成され、これは、流体バルブの閉鎖動作にとって好都合である。
【0021】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、シーリングダイアフラムのキャップ部は、幅広側面のペアと幅狭側面のペアとを有する矩形又は実質的に矩形の断面を備える。ここでは、幅広側面は、幅狭側面よりも長い。矩形断面形状は、一方では、シーリングダイアフラムのバルブシートに対する比較的大きな面積の当接を可能にするが、他方では、幅狭側面の小さな幅により、シーリングダイアフラムがバルブハウジングの受容空間内で枢動できることを保証する。
【0022】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、キャップ部の少なくとも1つの幅広側面は、バルブハウジングに形成されたバルブシートに対して当接するために設けられている。詳細には、キャップ部の幅広側面は、バルブ閉鎖体によってバルブシートに対して押し付けられる。その結果、バルブシートの領域に設けられた比較的大きな面積のバルブ開口は、シーリングダイアフラムによって閉鎖することができる。
【0023】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、バルブハウジングは、駆動ユニットに結合するための結合外形を備える。結合外形は、バルブハウジングに対する駆動ユニットの回転位置に関して、バルブハウジングの駆動ユニットへの規定された結合が行われるように構成されている。これにより、駆動ユニットとバルブハウジングとの間の結合は、規定された回転位置で行われ、従って、バルブ閉鎖体は、バルブシートに対して規定された向きを有することが保証される。その結果、流体バルブの十分に規定された閉鎖動作が達成される。
【0024】
流体バルブの1つの例示的な実施形態によれば、結合外形は、スナップ機構によってバルブハウジングを駆動ユニットに取り付けるために構成されている結合部分を備える。従って、駆動ユニットのバルブハウジングへの工具なしでの迅速な結合を達成することができる。
【0025】
1つの例示的な実施形態によれば、バルブハウジングは、ホースのクイックカップリングのための少なくとも1つの支持部を備える。これにより、ホースをバルブハウジングに直接結合することができ、それにより、設置の手間を低減することができる。
【0026】
本発明の意味において、「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」又は「おおよそ(about)」という表現は、それぞれの正確な値から±10%、好ましくは±5%の偏差及び/又は機能にとって重要ではない変化の形態での偏差を意味する。
【0027】
本発明のさらなる実施形態、利点、及び可能性のある用途は、例示的な実施形態の以下の説明及び図面に由来する。これに関連して、説明及び/又は図示された全ての特徴は、原則として、特許請求の範囲の概要又はそれらの後方参照に関係なく、個別に又は何らかの組み合わせで本発明の主題である。また、特許請求の範囲の内容は、本明細書の一部とされる。
【0028】
本発明は、例示的な実施形態によって複数の図面を参照して詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】例示的に流体バルブの縦断面図を示す。
図2】例示的にバルブハウジングの斜視図を示す。
図3】例示的に図2に示されたバルブハウジングの中央を通る縦断面図を示す。
図4】例示的にバルブシートを説明するために図3においてZで示される領域の詳細図である。
図5】例示的にシーリングダイアフラムの斜視図を示す。
図6】例示的にバルブ閉鎖体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、例示的かつ概略的にバルブハウジング10を有する流体バルブ1の中央を通る縦断面図を示す。
【0031】
流体バルブ1は、バルブ閉鎖体2のための駆動ユニット3と、少なくとも1つの流路11が設けられたバルブハウジング10とを備える。バルブ閉鎖体2は、バルブハウジング10内に延び、駆動ユニット3に結合されており、バルブ閉鎖体2は、駆動ユニット3で動かすことができるように、詳細には枢動させることができるようになっている。詳細には、バルブ閉鎖体2は、枢動位置に応じてバルブ開口10.1を解放又は閉鎖するために、第1及び第2の枢動位置を取ることができる。図示の例示的な実施形態では、バルブハウジング10は、3つのポート10a、10b、10cを備え、ポート10a、10b、10cのペアは、バルブ閉鎖体2の枢動位置に応じて、その都度、互いに流体接続される。しかしながら、これとは異なり、流体バルブ1は、2つのポート10a、10b、10cのみを有することもでき、2つのポート間の流体接続は、バルブ閉鎖体2の枢動位置に応じて、解放されるか又は解放されない。バルブハウジング10は、ポート10a、10b、10cの各々にホースクイックカップリングのための支持部17を有することができる。ホースクイックカップリングは、ホースの自由端がホースクイックカップリングに挿入され、それによってホースの内部とバルブハウジング10に形成された流路11との間に流体密封接続を確立できるように構成することができる。ホースクイックカップリングは、ホースクイックカップリングからのホースの不所望な離脱を防止するための固定要素を備えることもできる。
【0032】
流体バルブ1は、例えば、以下の機能性を有する。すなわち、駆動ユニット3は、アーマチュア5の枢動位置に影響を与えるように設計されている。例えば、駆動ユニット3は、電磁駆動ユニットである、すなわち、駆動ユニット3のコイル4が通電されると、磁気力が発生し、これによってアーマチュア5が第2の枢動位置から第1の枢動位置へ移動する。この第1の枢動位置は、図1に示されている。この第1の枢動位置は、コイル4が通電されている限り保持される。アーマチュア5は、コイル4への通電が終了した後に第2の枢動位置に戻されるように、バネによって付勢されることが好ましい。
【0033】
図1に示すように、バルブ閉鎖体2は、バルブ閉鎖体2がアーマチュア5によって動かされる、詳細には枢動されるような方法でアーマチュア5に結合される。詳細には、バルブ閉鎖体2は、アーマチュア5の枢動位置に応じてバルブハウジング10内で第1又は第2の位置を取り、結果としてバルブ位置を規定する、すなわち、少なくとも1つの流路11の解放又は閉鎖をそれぞれ規定する。
【0034】
駆動ユニット2は、例えば、本体6を備える。本体6は、駆動ユニット3の支持基本構造を形成する。好ましくは、これは、射出成形部品として、詳細にはプラスチック射出成形部品として構成される。本体6は、コイル4のための管状又は実質的に管状の支持部を備える。支持部内には第1の挿入口が形成されており、この挿入口には、U字形コア7の脚部を挿入することができる。
【0035】
また、本体6は、アーマチュア支持部6.1を備える。このアーマチュア支持部6.1は、コイル4の支持部に直接隣接し、アーマチュア5を枢動可能に取り付けるように設計されている。アーマチュア支持部6.1は、例えば箱状、詳細には矩形の箱状形状を有し、下部領域と複数の壁領域とを有している。壁領域は、下部領域に結合され、下部領域を周方向に取り囲み、下部領域から、すなわちコイル4から外方に面する側に突出する。
【0036】
下部領域には第2の挿入口が設けられており、この挿入口にはU字形コア7の第2の脚部を挿入することができる。従って、U字形コア7は、ヨーク形状であり、コア7の一方の脚部は、コイル4によって取り囲まれており、コイル4が通電されると、コア7と、コア7のポール面7.1、7.1’にまたがるアーマチュア5とによって閉磁気回路が形成されるようになっている。
【0037】
アーマチュア支持部6.1には、コア7又はコイル4から外方に面する側にバルブハウジングキャリア8が設けられている。バルブハウジングキャリア8は、駆動ユニット2とバルブハウジング10との間の結合を確立するように構成されている。バルブハウジングキャリア8は、例えばアーマチュア支持部6.1の壁に結合され、詳細には、バルブ閉鎖体2のための貫通開口は別として、箱状に形成されたアーマチュア支持部6.1を閉鎖する。
【0038】
バルブハウジング支持部8は、バルブハウジング10を駆動ユニット2に着脱可能に固定することができる締結要素を備える。特に図2から分かるように、バルブハウジング10は、例えば、複数の突起状の結合部分16.1を有し、これは、バルブハウジングキャリア8上の戻り止め突起と相互作用して、バルブハウジングキャリア8とのロック結合を確立するために用いられる。原理的には逆に設計された固定も想定される、すなわち、結合部分がバルブハウジングキャリア8上に設けられ、それがバルブハウジング10の戻り止め突起と相互作用することである。
【0039】
図2は、バルブハウジング10の斜視側面図である。バルブハウジング10は、上側に結合外形16を備え、この結合外形は、駆動ユニット3とバルブハウジング10との間の結合が、規定された回転位置においてのみ可能であるように、駆動ユニット3、詳細にはバルブハウジング支持部8に対して形状が適合している。これは、駆動ユニット3の下部から突出するバルブ閉鎖体2が、バルブハウジング10に所定の向きで挿入されるのを保証し、バルブ閉鎖体2は、バルブシートに対して規定された配向を取り、結果として所望の閉鎖効果を達成するようになっている。
【0040】
図3は、バルブハウジング10に形成された流路11を通る縦断面を提示するように、図2に示されたバルブハウジング10の中央を通る断面図を示す。
【0041】
バルブハウジング10では、ポート10a、10bのペアは、互いに直径方向に対向して設けられ、別のポート10cは、受容空間12の開口12.1の下方でその反対側に設けられている。この例示的な実施形態では、バルブ閉鎖体の位置に応じて、ポート10a、10c又はポート10b、10cのいずれかの間で流体連通を確立することができる。この場合、流体バルブ1は、入口として機能するポート10cが出口としてのポート10a又はポート10bのいずれかに接続される、又は、出口として機能するポート10cが入口としてのポート10a又はポート10bのいずれかに接続される、流体スイッチを形成する。
【0042】
代替の例示的な実施形態では、ポート10bは省略することができ、ポート10aとポート10cとの間の流路は、流体バルブ1によって開閉される(切り替え状態に応じて)。
【0043】
図示の例示的な実施形態では、バルブ閉鎖体2は、2つの脚部2.1、2.2を備える。第1の脚部2.1は、受容空間12の中に突出している。第2の脚部2.2は、第1の脚部2.1に対して好ましくは斜めに、詳細には直角又は実質的に直角に配向され、バルブ閉鎖体2をアーマチュア5に結合する。
【0044】
第1の脚部2.1は、部分的に、詳細にはその自由端の領域において、シーリングダイアフラム15によって取り囲まれている。シーリングダイアフラム15は、一方では、バルブシートに設けられたバルブ開口10.1をシールするためのシール要素として、他方では、駆動ユニット3に向かって受容空間12の開口12.1をシールするためのシール要素として使用される。
【0045】
少なくとも1つのバルブシート13、14は、受容空間12に設けられる。バルブシート13、14は、好ましくは、受容空間12の長手方向軸LAに平行又は実質的に平行である受容空間12の側壁に設けられる。図示の例示的な実施形態では、バルブシート13、14のペアは、第1のバルブシート13が第2のバルブシート14と正反対の様式で対向して同じ高さ位置にあるように、受容空間12の対向する側壁に設けられる。
【0046】
バルブハウジング10は、例えば、射出成形部品、詳細にはプラスチック射出成形部品として一体部品に形成される。少なくとも1つのバルブシート13、14は、バルブシート13、14によって切り込み13.1、14.1が形成されるような方法で受容空間12内に突出している。切り込み13.1、14.1は、ここでは、受容空間12の下部領域12.2で、開口12.1に対向してバルブシート13、14の下に設けられている。
【0047】
図4は、例示的に、第2のバルブシート14の設計をより詳細に示す。第1のバルブシート13は、好ましくは第2のバルブシート14と同一の設計であることに留意されたい。バルブシート14は、環状の、詳細には円形リングの形状を有し、側壁から受容空間12内に突出する隆起部14.2を備える。円形リングの形状を有する隆起部14.2の内部には、バルブ開口10.1が設けられており、これは、シーリングダイアフラム15を備えるバルブ閉鎖体2が当接すると、このバルブ閉鎖体によって流体密封様式で閉鎖される。
【0048】
隆起部14.2は、バルブ閉鎖体2の枢動移動が隆起部14.2によって制限されるように、シーリングダイアフラム15又はバルブ閉鎖体2のための平坦な当接部を形成する。
【0049】
好ましくは、アーマチュア5は、アーマチュア支持部6.1に停止部なしで保持される、すなわち、アーマチュア5の枢動運動は、第1又は第2の枢動位置のいずれにおいても、アーマチュア5を取り囲む構成要素に対して当接するアーマチュア部分によって制限されない。アーマチュア5の枢動運動の制限は、むしろバルブ閉鎖体2によって引き起こされ、バルブ閉鎖体は、アーマチュア5の枢動位置に応じて、バルブシート13、14に対して当接するようになる、又は、1つのバルブシートのみが設けられ場合、バルブハウジング10のこのバルブシートと反対側の停止部に対して当接するようになる。
【0050】
シール縁部14.3は、好ましくは隆起部14.2上に設けられ、シーリングダイアフラム15が隆起部14.2に当接する場合にシーリングダイアフラム15に押し付けられるように構成されている。これは、バルブ閉鎖体2によって閉鎖されるバルブ開口10.1の高い気密性を保証する。
【0051】
シーリングダイアフラム15と、シーリングダイアフラムのバルブハウジング10又は駆動ユニット3との相互作用は、以下でより詳細に説明される。
【0052】
図5は、単独位置でのシーリングダイアフラム15の斜視図である。シーリングダイアフラム15は、ハット状又はキャップ状の形状を有し、基部15.1とキャップ部15.2とを備える。ハット状又はキャップ状の形状とは、本開示の意味において、シーリングダイアフラム15が、内側開口15.1.1を介してアクセス可能であるが、駆動ユニット3に向かってバルブハウジング10のシールを可能にするために、それ以外は閉じられた内部空間を有することを意味する。
【0053】
基部15.1は、受容空間10の開口12.1に対して相互連結可能に嵌合される。基部15.1は、回転非対称の周囲形状、図示された例示的な実施形態では、角が丸くなった多角形の周囲形状を有する。図2から分かるように、受容空間12の開口12.1は、基部15.1が開口12.1に相互連結の嵌合で挿入できるように、対応する逆の形状を有する。これは、シーリングダイアフラム15が、所定の回転位置(シーリングダイアフラム15の垂直軸HAに対する回転位置)でのみバルブハウジング10に挿入できることを保証する。これは、受容空間12内に突出するキャップ部15.2が、結果的に少なくとも1つのバルブシート13、14に対して既定の予め決められた配向を取り、従って、不正確に位置合わせされたシーリングダイアフラム15に起因する漏れが生じないという決定的な優位性を有する。
【0054】
好ましくは、シーリングダイアフラム15の回転非対称の周囲形状は、バルブハウジング10内のシーリングダイアフラム15の設置が、予め定められた回転方向(すなわち、回転軸としての長手方向軸LAの周りの回転位置)でのみ可能となるように選択される。あるいは、シーリングダイアフラム15は、例えば、互いに180°回転した2つの回転位置での設置が可能であるように、中心面に対して鏡面対称に形成することができる。
【0055】
図1から分かるように、シーリングダイアフラム15は、駆動ユニット3とバルブハウジング10との間に設けられ、バルブハウジング10を駆動ユニットに向かってシールする。駆動ユニット3のバルブハウジングキャリア8は、延長部8.1を有し、この延長部は、シーリングダイアフラム15の基部領域15.1の内側開口15.1.1に対して内周側の外側部で当接する。延長部8.1は、基部領域15.1の内側開口15.1.1の形状に適合しており、シーリングダイアフラム15は、基部領域15.1で開口12.1の縁部12.1.1に対して半径方向に押し付けられ、それによってバルブハウジング10とバルブハウジングキャリア8との間の移行部で受容空間12をシールするようになっている。詳細には、シーリングダイアフラム15は、バルブハウジングキャリア8の延長部8.1とバルブハウジング10との間で半径方向に加圧される。
【0056】
図5及び6を組み合わせて考えると分かるように、シーリングダイアフラム15のキャップ部15.2は、その形状がバルブ閉鎖体2の第1の脚部2.1の自由端に適合しており、第1の脚部2.1の自由端は、シーリングダイアフラム15に形状適合様式で収容されるようになっている。詳細には、キャップ部15.2は、矩形又は実質的に矩形の断面(垂直軸HAに垂直な断面平面)を有し、互いに平行で離間した幅広側面15.2.1のペアと、互いに平行で離間した幅狭側面15.2.2のペアとによって周方向に制限されている。ここでは、幅広側面15.2.1は、幅狭側面15.2.2よりも長い。キャップ部15.2の壁厚は、周方向に一定又は実質的に一定であることが好ましく、キャップ部15.2の内部の凹部も矩形又は実質的に矩形の断面形状を有するようになっている。従って、キャップ部15.2は、バルブ閉鎖体2の第1の脚部2.1の自由端を確実に(すなわち、形状適合様式で)収容するように構成されている。これは、キャップ部15.2の幅広側面15.2.1が、流体バルブの正確な閉鎖挙動を達成するように、少なくとも1つのバルブシート13、14に対して平行に位置合わせされるのを保証する。
【0057】
好ましくは、シーリングダイアフラム15の自由端の形状もバルブ閉鎖体2の自由端に適合している。詳細には、シーリングダイアフラム15及びバルブ閉鎖体2の第1の脚部2.1の両方は、シーリングダイアフラムの周りの改善された流れが達成されるように、丸みを帯びた自由端を有する。
【0058】
本発明は、例示的な実施形態を参照して上述されている。多くの修正例並びに変形例は、特許請求の範囲によって定義される保護範囲から逸脱することなく可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
1 流体バルブ
2 バルブ閉鎖体
2.1 第1の脚部
2.2 第2の脚部
3 駆動ユニット
4 コイル
5 アーマチュア
6 本体
6.1 アーマチュア支持部
7 コア
7.1、7.1’ ポール面
8 バルブハウジングキャリア
8.1 延長部
10 バルブハウジング
10a、b、c ポート
10.1 バルブ開口
11 流路
12 受容空間
12.1 開口
12.1.1 縁部
12.2 下部領域
13 第1のバルブシート
13.1 切り込み
14 第2のバルブシート
14.1 切り込み
14.2 環状隆起部
14.3 シール縁部
15 シーリングダイアフラム
15.1 基部領域
15.1.1 内側開口
15.2 キャップ部
15.2.1 幅広側面
15.2.2 幅狭側面
16 結合外形
16.1 結合部分
17 支持部
HA 垂直軸
LA 受容空間の長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6