(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】綾巻きパッケージを製造する繊維機械用の巻管マガジン
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B65H67/06 B
(21)【出願番号】P 2022503581
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070071
(87)【国際公開番号】W WO2021013665
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】102019119653.1
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート プレディガー
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4865260(US,A)
【文献】特開平7-315693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)用の巻管マガジン(2)であって、前記繊維機械(1)が、両機械長手側に沿って多数の作業部(4)を有しており、前記巻管マガジン(2)が、空管(6)が装填可能である駆動可能な複数の貯蔵列(12)を有しており、かつ巻管押出し器(9)を有しており、該巻管押出し器(9)により、前記空管(6)が後続の横方向搬送ベルト(17)上に移送可能である、巻管マガジン(2)において、
前記巻管マガジン(2)に、複数の巻管押出し器(9)が装備されており、該巻管押出し器(9)が、それぞれ必要に応じて個別に制御可能であることを特徴とする、巻管マガジン(2)。
【請求項2】
前記巻管マガジン(2)の前記貯蔵列(12)のそれぞれが、制御可能な固有の巻管押出し器(9)を有している、請求項1記載の巻管マガジン(2)。
【請求項3】
前記巻管押出し器(9)のそれぞれが、ニューマチック駆動装置を有しており、該ニューマチック駆動装置が、ニューマチックシリンダ(24)を有している、請求項1または2記載の巻管マガジン(2)。
【請求項4】
前記巻管押出し器(9)のそれぞれに、電動駆動装置が装備されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の巻管マガジン(2)。
【請求項5】
前記巻管マガジン(2)の前記貯蔵列(12)のそれぞれに、同一の糸ロットの空管(6)がそれぞれ装填されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の巻管マガジン(2)。
【請求項6】
前記巻管マガジン(2)の互いに異なる貯蔵列(12)に、互いに異なる糸ロットの空管(6)が装填可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の巻管マガジン(2)。
【請求項7】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)用の巻管マガジン(2)を運転する方法であって、前記巻管マガジン(2)が、駆動可能な複数の貯蔵列(12)を有しており、該貯蔵列(12)に、それぞれ空管(6)が装填可能であり、該空管(6)が、巻管押出し器(9)によって後続の横方向搬送ベルト(17)上に移送可能である方法において、
1つの作業部(4)による空管(6)の要求時に、要求された糸ロットの空管(6)が装填されている前記貯蔵列(12)の、個別に配置された制御可能な巻管押出し器(9)を即座に作動させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械用の巻管マガジンであって、繊維機械が、両機械長手側に多数の作業部を有しており、巻管マガジンが、空管が装填可能である駆動可能な複数の貯蔵列を有しており、かつ巻管押出し器を有しており、巻管押出し器により、空管が後続の横方向搬送ベルト上へと移送可能である、巻管マガジンに関する。
【0002】
製造すべき巻取りパッケージのために新しい空管を貯蔵することができる、綾巻きパッケージを製造する繊維機械用の巻管マガジンは、種々異なる実施形態で知られており、数多くの特許出願に記載されている。
【0003】
独国特許出願公開第19905856号明細書には、たとえばオープンエンドロータ紡績機が記載されており、このオープンエンドロータ紡績機は、その端部フレーム間で両機械長手方向側に多数の作業部を有しており、機械端部側に配置された中央の巻管マガジンを有している。
【0004】
この繊維機械の、通常のようにそれぞれ紡績装置と後続の巻取り装置とを有する作業部は、いわゆる空管搬送装置を介して巻管マガジンに接続されている。巻管マガジンは、収容心棒が装備された相並んで配置されている複数の貯蔵列を有している。これらの貯蔵列の収容心棒上に、先端部配向されて空管が貯蔵されている。これらの貯蔵列は、1つの軸を介して連結されており、かつ1つの共通の電動モータにより駆動可能である。つまり、収容心棒の一部が、それぞれ規定された高さに位置決めされており、対応する収容心棒上に貯蔵された空管は、次いで巻管押し器によって後続のトラフベルト上に移送される。次いで、トラフベルトは、空管を相次いで巻管引渡し位置または巻管転向器へと搬送する。
【0005】
公知の巻管押し器は、巻管マガジンの全ての搬送チェーンが常に同時に作動されるように構成されており、つまり巻管押し器は、搬送チェーンの、規定された高さに位置決めされた全ての空管を、常に同時に後続のトラフベルト上に移送し、トラフベルトは、上記で示唆したように、巻管転向器もしくは巻管引渡し位置を介して、機械長さの空管搬送ベルトに接続されている。次いで、空管搬送ベルトを介して、空管は、新しい空管を要求した作業部の領域に位置決めされているサービスユニットへと必要に応じて搬送される。次いでサービスユニットは、要求された空管を該当する作業部に入れ替える。
【0006】
公知の装置または公知の方法は、オープンエンドロータ紡績機の両機械長手方向側に配置された作業部に先端部配向された空管を比較的確実に供給することを可能にするが、公知の空管搬送装置は、特に巻管マガジンの構造により極めて柔軟性に欠ける。つまり、巻管マガジンの貯蔵列の共通の駆動装置ならびに共通の巻管押し器に基づいて、独国特許出願公開第19905856号明細書に記載された装置では、当該繊維機械において、互いに異なる複数の糸ロットを同時に処理することは不可能である。
【0007】
同様に構成された巻管マガジンを備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械が独国特許発明第3241032号明細書にも記載されている。この公知の巻管マガジンも、空管用の巻管収容心棒を装備した、互いに隣接して配置されている複数の貯蔵列と、操作時に全ての搬送チェーンを同時に作動操作するように構想されている巻管押し器とを有している。つまり、この公知の装置でも、巻管押し器は、搬送チェーンの、規定された高さに位置決めされている全ての空管を常に一緒に後続のトラフベルト上に移送することしかできない。
【0008】
さらに、独国特許出願公開第19512891号明細書により、自動綾巻きワインダ用の巻管マガジンが公知であり、この巻管マガジンも同様に、巻管収容心棒を備えた、相並んで配置された複数の貯蔵列を有しており、貯蔵列は、個別に、または1つの共通モータにより駆動可能である。さらに、隣り合う貯蔵列の巻管収容心棒上に、互いに異なる糸ロットの空管が貯蔵可能である。さらに巻管マガジンには、貯蔵列に対して横方向に走行可能である、いわゆる巻管排出装置が装備されている。
【0009】
自動綾巻きワインダの複数の作業部のうちの1つの作業部により特定の空管が要求された場合、巻管排出装置は、該当する空管を有している貯蔵列へと走行し、この貯蔵列において引渡し位置に位置決めされた空管を後続の中間コンベヤ上に移送し、この中間コンベヤは、空管を、機械長さの空管搬送装置へと引き渡し、空管搬送装置は、空管を、要求している作業部に輸送する。
【0010】
同様の公知の巻管マガジンは、同様に巻管収容心棒が装備された複数の貯蔵列を有しており、これらの貯蔵列は個別の複数の電気モータにより駆動可能である。巻管マガジンは、たとえば相並んで配置された12個の貯蔵列を有しており、この場合、貯蔵列1~4、貯蔵列5~7、貯蔵列8~10および貯蔵列11、12には、1つの固有の駆動装置が装備されている。さらに、この公知の巻管マガジンは、貯蔵列に沿って横方向に走行可能である、いわゆる巻管キャリッジを有しており、この巻管キャリッジには、可動の巻管グリッパが装備されている。
【0011】
この公知の装置でも、巻管キャリッジは、必要に応じて、要求された糸ロットの空管が装填されている貯蔵列へと走行する。巻管キャリッジは、該当する貯蔵列に位置決めされ、その巻管グリッパで要求された空管を把持し、空管を先端部配向して機械長さの空管搬送装置に移送し、この空管搬送装置は、空管を要求している作業部へと輸送する。
【0012】
貯蔵列に関して横方向に走行可能である、巻管グリッパを装備した巻管キャリッジを有している、少なくとも部分的に個別に駆動可能である貯蔵列を有する複数の巻管マガジンが装備されている、綾巻きパッケージを製造するこのような繊維機械により、たしかに問題なく種々異なる糸ロットを同時に作製することができるが、公知の装置は、達成可能なサイクル時間が比較的長いという些細ではない欠点を有している。つまり、綾巻きパッケージの完成後に、作業部は、再び新たに始動することができる前に、しばしば比較的長時間新しい空管を待たなければならない。作業部は、この待ち時間の間、スイッチが切られており、つまり作業していないので、このような待ち時間は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の全体効率に極めて不都合に作用する。
【0013】
前述の先行技術を起点として、本発明の根底にある課題は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械用の巻管マガジンであって、巻管マガジンが駆動可能な複数の貯蔵列を有しており、該貯蔵列に複数の空管が装填可能であり、空管は、巻管押出し器により後続の横方向搬送ベルト上に移送可能である、巻管マガジンを改良して、分配システムのサイクル時間を改善することにある。つまり、空管を、巻管マガジンから、新しい空管を要求する作業部へ移送するために必要とされる時間を、本発明により著しく短縮することが望ましい。
【0014】
この課題は、本発明によれば、巻管マガジンに、複数の巻管押出し器が装備されており、巻管押出し器が、それぞれ必要に応じて個別に制御可能であることにより解決される。
【0015】
本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0016】
個別に制御可能な複数の巻管押出し器を備えた巻管マガジンの本発明による構成は、特に、要求された空管が巻管押出し器により時間遅延なしに即座に、つまりまず走行可能な専用の巻管引渡し装置を待つ必要なしに、貯蔵チェーンの巻管収容心棒から、後続の横方向搬送ベルトへと、かつこの横方向搬送ベルトから、機械長さの空管搬送ベルトの1つへ移送可能であるという利点を有している。つまり、その巻管マガジンが本発明による構成を有している、綾巻きパッケージを製造する繊維機械において、単に互いに異なる複数の異なる糸ロットを同時に製造することができるだけではなく、このように装備された繊維機械は、綾巻きパッケージ/空管交換時に達成可能なサイクル時間が極めて短いことによって、極めて有利に特徴付けられており、このことは、さらに綾巻きパッケージを製造する繊維機械の全体効率に極めて有利に作用する。
【0017】
有利な実施形態では、巻管マガジンの複数の貯蔵列のそれぞれが、定義したように制御可能な固有の巻管押出し器を有していることが規定されている。個別に制御可能な貯蔵列のそれぞれに、定義したように制御可能な固有の巻管押出し器がそれぞれ対応配置されているこのような巻管マガジンにより、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部への空管の最適な供給を比較的簡単かつ信頼性よく保証することができ、この場合、要求された空管は、互いに異なる糸ロットに割り当てられていてもよい。
【0018】
有利には、巻管押出し器のそれぞれが、ニューマチック駆動装置を有しており、このニューマチック駆動装置は、ニューマチックシリンダを有している。このようなニューマチックシリンダは、繊維機械構造において有効性が実証された廉価な大量生産部品であり、さらに容易に制御可能であり、高い動作安定性により優れている。
【0019】
しかし、巻管押出し器は、ニューマチック駆動装置の代わりに電動駆動装置を装備していてもよい。
【0020】
たとえばステッピングモータを有しているこのような電動駆動装置は、たとえば繊維機械の中央制御ユニットを介していつでも必要に応じて制御することができ、この場合、必要な制御手間は比較的少ない。つまり、電動駆動装置により操作される巻管押出し器により、同様に比較的簡単な形式で適切な空管引渡しが実現可能である。
【0021】
本発明に係る巻管マガジンの有利な実施形態は、たとえば、巻管マガジンの貯蔵列のそれぞれに、別の糸ロットの空管が装填可能であり、この場合、巻管マガジンの異なる貯蔵列に、互いに異なる糸ロットの空管が装填可能であることにより、与えられている。
【0022】
このような設計により、綾巻きパッケージを製造する繊維機械において、種々異なる糸ロットを、比較的小さな糸ロットも同時に、ひいては廉価に製造することが簡単に可能にされる。つまり、1つの巻管マガジンの隣り合う貯蔵列に、それぞれ異なる糸ロットの空管が装填可能である場合、関連する巻管押出し器の需要に応じた制御によって、繊維機械の作業部のそれぞれに、要求された糸ロットの空管が必要に応じて常に迅速かつ信頼性よく供給されることを保証することができる。
【0023】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械用の巻管マガジンを運転する本発明に係る方法であって、巻管マガジンが駆動可能な複数の貯蔵列を有しており、該貯蔵列に、それぞれ空管が装填可能であり、空管が、巻管押出し器によって後続の横方向搬送ベルト上に移送可能である方法は、1つの作業部による空管の要求時に、要求された糸ロットの空管が装填されている貯蔵列の、定義したように制御可能な個別に配置された巻管押出し器を即座に作動させるので特に有利である。つまり、作動させられた巻管押出し器は、要求された空管を時間遅延なしに即座に、つまり何らかの走行可能な引渡し装置を待つ必要なしに、貯蔵チェーンの巻管収容心棒から、後続の横方向搬送ベルト上へと移送し、この横方向搬送ベルトは、空管を即座に関連する機械長さの空管搬送ベルト上に移送する。
【0024】
したがって、本発明に係る方法により、極めて確実な形式で互いに異なる複数の糸ロットを同時に製造することができ、この場合、達成可能なサイクル時間は極めて短く、繊維機械は対応して極めて有利な全体的効率を有している。
【0025】
本発明の別の詳細は、以下に図面につき説明する実施例から判る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】機械端部側に配置された巻管マガジンを備えたオープンエンドロータ紡績機を示す斜視図であり、巻管マガジンは、個別にモータにより駆動可能である、空管のための複数の貯蔵列を有しており、これらの貯蔵列には、定義したように制御可能な個別の巻管押出し器がそれぞれ対応配置されている。
【
図2】機械端部側に配置された巻管マガジンを備えたオープンエンドロータ紡績機を概略的に示す平面図であり、巻管マガジンが同様に個別に駆動可能な巻管押出し器を有しており、該巻管押出し器が、巻管マガジンの、個別に駆動可能な個別の貯蔵列に対応配置されているが、見易くするために、
図3に詳細に図示されているこの巻管グリッパの詳細図は省略されている。
【
図3】巻管マガジンを側方から概略的に示す断面図であり、巻管マガジンの貯蔵列は個別に駆動可能であり、個別に制御可能な巻管押出し器がそれぞれ装備されている。
【0027】
図1は、繊維機械の中央制御ユニット11が設置されている機械端部フレーム10と、反対側に位置する機械端部領域に配置された巻管マガジン2とを備える、綾巻きパッケージを製造する繊維機械を斜視図で示している。綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、オープンエンドロータ紡績機1として構成されており、公知のように、多数の作業部4を有している。これらの作業部4は、オープンエンドロータ紡績機1の両機械長手側に沿って配置されている。
【0028】
作業部4には、通常のように、オープンエンドロータ紡績装置3と、後続の巻取り装置(詳細に図示せず)がそれぞれ装備されている。紡績/巻取り運転中に、作業部4は、それぞれオープンエンド紡績装置3の下方に位置決めされている紡績ケンス8に貯蔵されている繊維材料を加工して綾巻きパッケージ7を形成する。明らかであるように、オープンエンドロータ紡績機1には、たとえばレール構造体に走行可能に支承されているサービスユニット5が装備されている。
【0029】
バスシステム13を介してオープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に接続されているサービスユニット5は、たとえばいわゆる交換兼クリーニングキャリッジとして構成されており、複数の作業部4のうちの1つの作業部においてサービス状況が発生した場合に介入する。このようなサービス状況は、たとえば、複数の作業部4のうちの1つの作業部において綾巻きパッケージ7がその規定の直径に達し、新しい空管6と交換する必要がある場合に生じる。
【0030】
このようなオープンエンドロータ紡績機1は、通常、綾巻きパッケージ搬送装置14をさらに有しており、つまり、このような繊維機械は、その作業部4の中間に、完成した綾巻きパッケージ7を搬出するための少なくとも1つの機械長さの搬送ベルトを有している。さらに、このようなオープンエンドロータ紡績機1には、大抵の場合、いわゆる空管供給装置が装備されており、この空管供給装置は、本実施例では、機械端部側に配置された本発明により形成された巻管マガジン2から成っている。巻管マガジン2は、自体公知のように、空管6のための巻管収容心棒19を備えた、個別モータにより駆動可能な複数の貯蔵列12を有している。
【0031】
本発明によれば、巻管マガジン2の貯蔵列12のそれぞれに、個別に制御可能な固有の巻管押出し器(Huelsenabstreifer)9が対応配置されている。巻管押出し器9は、たとえば、巻管マガジン制御装置15およびバスシステム13を介して、オープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に制御技術的に接続されている。
【0032】
空管供給装置は、公知のように、機械長さの2つの空管搬送ベルト16と、巻管マガジン2の領域において、
図1には図示していない横方向搬送ベルト17とを有している。
【0033】
必要に応じて、つまり複数の作業部4のうちの1つの作業部において綾巻きパッケージ/空管交換が必要とされる場合、該当する貯蔵列12の巻管押出し器9が、新しい空管6を巻管収容心棒19から、巻管マガジン2の背後に配置された横方向搬送ベルト17上へと押し出し、この横方向搬送ベルト17は、この空管6を機械長さの2つの空管搬送ベルト16のうちの1つへと輸送する。次いで、空管搬送ベルト16は、空管6を要求した、既にサービスユニット5のうちの1つが位置決めされている作業部4へとこの空管6を移送する。
【0034】
図2は、オープンエンドロータ紡績機1を上から見た平面図で示している。明らかであるように、オープンエンドロータ紡績機1には、綾巻きパッケージ搬送装置14と空管供給装置とが装備されている。空管供給装置は、明らかであるように、空管6を収容するための多数の貯蔵列12が装備されている巻管マガジン2を有している。貯蔵列12は、たとえばステッピングモータとして構成され、かつたとえば巻管マガジン制御装置15およびバスシステム13を介して、繊維機械の機械端部フレーム10に設置されているオープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に接続されている個別駆動装置18をそれぞれ有している。オープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11を介して、個別駆動装置18、ひいては巻管マガジン2の貯蔵列12が、制御されて駆動可能である。バスシステム13を介して、作業部4に必要に応じて供給されるサービスユニット5も、中央制御ユニット11に接続されている。
【0035】
巻管マガジン2は、
図1に示唆されているように、多数の巻管押出し器9をさらに有しており、これらの巻管押出し器9は、巻管マガジン2の複数の貯蔵列12のうちの1つにそれぞれ対応配置され、個別に制御可能である。これらの個別に制御可能な巻管押出し器9は、必要に応じて、つまり複数の作業部4の1つによって、空管6を必要とする要求信号が中央制御ユニット11に導入されると、この中央制御ユニット11によって起動させられ、空管6を、要求された糸ロットの空管6が装填されている貯蔵列12から、貯蔵列12の背後に配置された横方向搬送ベルト17上へと押し出す。次いで、横方向搬送ベルト17は、この空管6を、空管6を要求している作業部4に隣接している空管搬送ベルト16上へと即座に移送する。
【0036】
図3は、本発明により構成された巻管マガジン2の1つの実施例を、側方から見た断面図で示している。オープンエンドロータ紡績機1の機械端部側に配置されたこのような巻管マガジン2は、相並んで配置された複数のこのような貯蔵列12を有している。
図2に示した実施例によれば、巻管マガジン2は、たとえばこの貯蔵列12を12個有しており、これらの貯蔵列12は、
図3の視線方向で相前後して配置されている。
図3には、これらの貯蔵列12のうち1つの貯蔵列12だけが側面図で図示されている。明らかであるように、貯蔵列12のそれぞれは、変向ローラ21を介して案内される、多数の巻管収容心棒19を備える無端引張手段20を有しており、これらの巻管収容心棒19上に先端部を向けて、それぞれ1つの空管6が保管可能となっている。
【0037】
変向ローラ21のうちの1つには、個別駆動装置18が装備されており、この個別駆動装置18は、制御線路22を介して巻管マガジン2の制御装置15に接続されている。この個別駆動装置18により、無端引張手段20を運動させ、ひいては空管6を有する巻管収容心棒19を機能的に正しく位置決めすることができる。
【0038】
本発明によれば、さらに、巻管マガジン2の各貯蔵列12には、個別に制御可能な固有の巻管押出し器9が装備されており、この巻管押出し器9は、必要に応じて、空管6を速やかにその巻管収容心棒19から押し出し、空管搬送ベルト16の方向へと送ることができる。つまり、本実施例では、まず、巻管押出し器9が、空管6をまずシュート23上に押し出し、このシュート23を介して空管6が横方向搬送ベルト17上に到達する。可逆的に駆動可能な横方向搬送ベルト17は、空管6を、空管6を要求している作業部4に隣接している空管搬送ベルト16へと搬送する。
【0039】
個別に制御可能な巻管押出し器9は、特にその駆動に関して、全く異なる実施形態を有していてよい。巻管押出し器9は、たとえば、ニューマチック式または電気的に駆動することができる。
【0040】
図示の実施例では、巻管押出し器9は、ニューマチック式に作動可能な巻管押出し器9として構成されている。つまり、貯蔵列12の無端引張手段20用の上側の変向ローラ21のうちの一方の変向ローラ21の下側に、ニューマチックシリンダ24が設置されており、このニューマチックシリンダ24のピストンロッドに押出し金属板25が取り付けられている。押出し金属板25は、ニューマチックシリンダ24の伸長時に、無端引張手段20の傍らを通って、空管6を、その巻管収容心棒19から押し出すことができるように構成されている。通常のように、ニューマチックシリンダ24には、圧縮空気源27に接続されている圧縮空気管路が接続している。圧縮空気管路内には、さらに、たとえば磁気的に切換え可能なニューマチック弁26が配設されており、このニューマチック弁26は、制御線路28を介して巻管マガジン2の制御装置15に接続されており、かつバスシステム13を介してオープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に接続されている。
【0041】
装置の機能
綾巻きパッケージを製造する繊維機械の各始動前に、まず巻管マガジン2への「装填」が行われる。つまり、巻管マガジン2の多数の貯蔵列12には、特定の糸ロットの空管6がそれぞれ装填され、この場合、相並んで配置された貯蔵列12には、必要に応じて同じ糸ロットの空管6または別の糸ロットの空管6を装填することができる。対応する装填は、さらに、たとえばキーボードを介してオープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に入力され、この中央制御ユニット11は、次いで後続の紡績/巻取りプロセス時に、必要に応じて常に正しい糸ロットの空管6が、要求している作業部4に届けられることを保証する。つまり、通常の紡績/巻取り運転の経過中に、複数の作業箇所4のうちの1つの作業箇所において、綾巻きパッケージ7がその予め規定された直径に達し、できるだけ早く新しい空管6と交換する必要性があって、綾巻きパッケージ/空管の交換が必要とされている場合、該当する作業部4の制御装置によりサービスユニット5、たとえば交換兼クリーニングキャリッジに要求が送られ、このサービスユニット5は、次いで該当する作業部4へと走行し、この作業部4に対向して位置する。次いで、サービスユニット5により、綾巻きパッケージ/空管交換が開始される、つまり、完成した綾巻きパッケージ7が、サービスユニット5により、作業部4の背後に配置された綾巻きパッケージ搬送装置14に移送され、この綾巻きパッケージ搬送装置14によって機械端部側に配置されたパッケージ引渡しステーションへ搬送される。
【0042】
次いで、または同時に、サービスユニット5により、または関連する作業部4により、オープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11のバスシステム13を介して、該当する糸ロットの新しい空管6が要求される。
【0043】
次いで、中央制御ユニット11は、バスシステム13を介して巻管マガジン2の制御装置15を作動させて、即座に空管配送工程が開始されるようにする。つまり、巻管マガジン2の領域において、要求された糸ロットの空管6が装填されている貯蔵列12に対応配置されている巻管押出し器9が作動させられる。つまり、たとえばニューマチックシリンダ24を装備した巻管押出し器9の押出し金属板25が、空管6を貯蔵列12の空管収容心棒19から、後続のシュート23上に押し出す。このシュート23は、空管6を可逆的に駆動可能な横方向搬送ベルト17上に進める。横方向搬送ベルト17は、空管6を、空管6を要求した作業部4に隣接している空管搬送ベルト16上に即座に移送する。次いで、該当する空管搬送ベルト16は、要求された空管6をできるだけ早く、先端部を方向付けて、該当する作業部4にまで輸送し、この作業部4において空管6はサービスユニット5によって収容され、作業部4の巻取り装置のパッケージフレームに挿入される。
【0044】
これにより、綾巻きパッケージ/空管交換サイクルが終了し、該当する作業部4において新たな紡績/巻取りプロセスを開始することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 オープンエンドロータ紡績機
2 巻管マガジン
3 オープンエンド紡績装置
4 作業部
5 サービスユニット
6 空管
7 綾巻きパッケージ
8 紡績ケンス
9 巻管押出し器
10 機械端部フレーム
11 中央制御ユニット
12 貯蔵列
13 バスシステム
14 綾巻きパッケージ搬送装置
15 巻管マガジン制御装置
16 空管搬送ベルト
17 横方向搬送ベルト
18 個別駆動装置
19 巻管収容心棒
20 無端引張手段
21 変向ローラ
22 制御線路
23 シュート
24 ニューマチックシリンダ
25 押出し金属板
26 ニューマチック弁
27 圧縮空気源
28 制御線路