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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】焼結組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240708BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240708BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240708BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240708BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20240708BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H01L21/52 E
H05K1/09 B
H05K1/09 C
H05K3/34 507Z
H01B1/22 A
B22F9/00 B
B22F9/24 F
B22F9/24 B
【請求項の数】 49
(21)【出願番号】P 2022513307
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020025434
(87)【国際公開番号】W WO2021058133
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】62/904,879
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】ゴシャール、シャミック
(72)【発明者】
【氏名】チャキ、ニルマルヤ クマル
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラン、レミヤ
(72)【発明者】
【氏名】ベノド、モノハラン
(72)【発明者】
【氏名】シン、バワ
(72)【発明者】
【氏名】ダス、バルン
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン、ニヴィディータ
(72)【発明者】
【氏名】ラウト、ラーフル
(72)【発明者】
【氏名】ハセレフ、オスカー
(72)【発明者】
【氏名】パンダー、ランジット
(72)【発明者】
【氏名】デーヴァラージャン、スプリヤー
(72)【発明者】
【氏名】ルストギ、アヌバフ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099518(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3085811(EP,A1)
【文献】特開2010-177084(JP,A)
【文献】特開2014-141071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/58
H01L 21/60-21/607
H01L 23/12-23/15
H01B 1/22
H01B 13/00
H05K 1/09
H05K 3/32-3/34
B22F 9/00-9/30
C23C 18/08
C09D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結組成物であって、
溶媒と、
前記溶媒中に溶解した金属錯体と、から本質的になり、
前記焼結組成物が、前記焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量%の前記金属錯体を含有し、かつ、
前記焼結組成物が、前記焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の金属を含有し、
前記焼結組成物の粘度が、60,000~120,000cPである、焼結組成物。
【請求項2】
前記溶媒及び前記溶媒中に溶解した前記金属錯体からなる、請求項1に記載の焼結組成物。
【請求項3】
前記金属錯体が、20℃未満の温度範囲にわたって実質的に分解する、請求項1または2に記載の焼結組成物。
【請求項4】
前記焼結組成物が、前記焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも70重量%の量で前記金属錯体を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項5】
前記溶媒が、前記金属錯体で過飽和である、請求項1~4のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項6】
前記焼結組成物が、前記焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の金属を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項7】
前記金属錯体が、200℃未満の温度で実質的に分解する、請求項1~6のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項8】
前記溶媒及び/若しくは前記金属錯体の配位子が、300℃未満の沸点を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項9】
前記金属錯体の前記金属が、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、及びモリブデンのうちの1つ以上から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項10】
前記溶媒が、有機溶媒を含み前記溶媒が、プロパン-1-2-ジオール、テルピネオール、トリエチレングリコール、グリセロール、及び2-メチル-1,3-プロパンジオールのうちの1つ以上から選択される請求項1~9のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項11】
前記金属錯体が構造RCOOを有し、Rは、14個以下の炭素原子を有する、分岐若しくは非分岐炭化水素鎖である、請求項1~10のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項12】
前記金属錯体が、ネオデカン酸銀、銀2-ヘキサン酸エチル、シュウ酸銀、乳酸銀、銀ヘキサフルオロアセチルアセトネートシクロオクタジエン、ギ酸銅四水和物、及び酢酸銅のうちの1つ以上から選択される請求項1~11のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項13】
前記焼結組成物は、
ゲル、又は、
自立型フィルム若しくはホイル、又は、
ウェハ上に、塗布、堆積、印刷、若しくは積層、又は、
ガラス及び/若しくはセラミック及び/若しくは金属及び/若しくは高分子フィルム及び/若しくはプリント回路ボードとして使用される複合材料から製作された基板上に塗布、堆積、印刷、若しくは積層、の形態である、請求項1~12のいずれか一項に記載の焼結組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の焼結組成物を製造する方法であって、
溶媒を提供することと、
金属錯体を提供することと、
100℃~180℃の温度で前記溶媒中に前記金属錯体を溶解して、溶液を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記溶液が、過飽和である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液を30~60℃の温度まで冷却することを更に含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記溶液を粉砕することを更に含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒中に前記金属錯体を溶解することが、110℃~150℃の温度で実行される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記焼結組成物が、いかなる金属粒子も含まない、及び/若しくは前記金属錯体のいかなる粒子も含まない、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
基板上に焼結金属堆積物を形成する方法であって、
基板を提供することと、
請求項1~13のいずれか一項に記載の焼結組成物を前記基板上に配設することと、
前記組成物を140~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、
前記乾燥組成物を150℃~300℃の温度で焼結することと、を含み、
前記焼結が、前記乾燥の前記温度よりも高い温度で実行される、方法。
【請求項21】
前記基板は、PET、PC、PI、TPU、PEN、及びPEEKのうちの1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基板は、FR4、ガラス、Al、SiC、若しくはSiOなどのセラミック、Si、SiC、Ge、若しくはGaNなどの半導体材料、又はCu、Ag、Au、Al、Ni、若しくは合金で形成された金属箔などの金属箔を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記焼結組成物を前記基板上に配設することが、前記焼結組成物を前記基板上にステンシル印刷及び/若しくはスクリーン印刷することを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記焼結組成物の前記金属錯体が、銀を含み、かつ、前記乾燥が、170℃~190℃の温度で30~90分間実行される、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記焼結組成物の前記金属錯体が、銅を含み、かつ、前記乾燥が、窒素雰囲気下で、150℃~170℃の温度で15~60分間実行される、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記焼結が、180℃~295℃の温度で実行される、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記焼結ステップが、2MPa~15MPaの圧力で行われる、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記焼結金属堆積物が、ダイと基板との間に接合部を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記焼結金属堆積物が、電気回路又は相互接続部を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記焼結金属堆積物が、コーティングを含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記焼結金属堆積物が、実質的に金属錯体を含まない、及び/若しくは実質的に有機配位子を含まない、及び/若しくは実質的に有機材料を含まない、及び/若しくは実質的に炭素を含まない、請求項20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記焼結金属堆積物が、30MPa以上のダイ剪断強度を有する、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
3分間の滞留時間で+150℃~-50℃の、1000サイクルの熱衝撃試験後、前記焼結金属堆積物中の空隙率が、0.5%以下である、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
3分間の滞留時間で+150℃~-50℃の、3000サイクルの熱衝撃試験後、前記焼結金属堆積物中の空隙率が、1.5%以下である、請求項20~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記焼結金属堆積物の剥離強度が、10N/mm以上である、請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記焼結金属堆積物が、はんだ付け可能及び/若しくは高電流可能である、請求項20~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記焼結金属堆積物が可撓性である、請求項20~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記焼結金属堆積物が、12mΩ/sq/mil未満のシート抵抗を呈する、請求項20~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ダイアタッチメントの方法であって、
基板及びダイを提供することと、
請求項1~13のいずれか一項に記載の焼結組成物を、前記基板と前記ダイとの間に配設することと、
前記組成物を140~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、
前記乾燥組成物を、150℃超~300℃の温度で2MPa~15MPaの圧力で焼結して、前記ダイを前記基板に取り付けることと、を含み、
前記焼結が、前記乾燥の前記温度よりも高い温度で実行される、方法。
【請求項40】
前記焼結が、4MPa~12MPaの圧力で実行される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
基板上に電気回路又は相互接続を形成する方法であって、
基板を提供することと、
請求項1~13のいずれか1項に記載の焼結組成物を、回路又は相互接続の形態で前記基板上に配設することと、
前記組成物を140~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、
前記乾燥組成物を150℃~300℃の温度で焼結して、前記回路又は相互接続を形成することと、を含み、
前記焼結が、前記乾燥の前記温度よりも高い温度で実行される方法。
【請求項42】
前記基板が、剛性又は可撓性のいずれかである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
はんだ付けアセンブリを製造する方法であって、
請求項20~38のいずれか一項に記載の方法に従って、基板上に焼結金属堆積物を形成することと、
前記焼結金属上にはんだペーストを堆積させることと、
構成要素を前記堆積されたはんだペーストと接触させることと、
前記はんだペーストをリフローさせて、はんだ付けアセンブリを提供することと、を含む方法。
【請求項44】
前記構成要素が、電子部品、LED、金属化プリント回路ボード、及びヒートシンクから選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記基板が、キャリアフィルム、インターポーザ、若しくは回路ボード若しくはヒートシンクから選択される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
ダイアタッチメント、ウェハツーウェハ接着、気密及び近気密シール、ディスペンシング、及び回路又は相互接続ラインの生成、から選択された方法における、請求項1~13のいずれか1項に記載の焼結組成物の使用。
【請求項47】
電気/電子デバイス、相互接続、アセンブリ、回路、又は印刷ケーブル及びワイヤハーネスを生成するための、請求項20~38のいずれか一項に記載の方法における、請求項1~13のいずれか一項に記載の焼結組成物の使用。
【請求項48】
前記アセンブリ及び/若しくは回路が、可撓性若しくは熱成形及び/若しくは射出成形された3D電子構造である、請求項47に記載の焼結組成物の使用。
【請求項49】
前記アセンブリ及び/若しくは回路が、はんだ付け可能であり、高電流密度を担持することができる、請求項47または48に記載の焼結組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結組成物及びそれを製造する方法、焼結組成物の使用、焼結金属堆積物及び基板上にそれを形成する方法、ダイアタッチメントの方法、基板上に電気回路又は相互接続を形成する方法、接合部を形成する方法、焼結接合部及びはんだ付けアセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業では、基板への半導体デバイス相互接続は、デバイスパッケージングの重要な部分である。プリンテッドエレクトロニクスの今日の時代では、低温処理及び高い電気伝導率及び熱伝導率を有する相互接続材料に対する大きな需要がある。
【0003】
相互接続として依然として広く使用されている導電性接着剤及びはんだペーストは、はんだ接合部の疲労及び金属間化合物の成長のような信頼性の問題をもたらす高温動作において限界を有する。これらの材料はまた、比較的低い熱伝導率及び電気伝導率を有する。
【0004】
焼結接合部は、はんだ付け接合部の代替物を提供する。例えば、ナノ粒子を使用した焼結接合部の形成は、はんだ付けされた接合部の形成と比較して、より低い温度で焼結又は融合され得るため、有益である。銀ベースの焼結材料は、特に純銀の接合部が形成される場合、それらのより高い熱伝導率及び電気伝導率のために、プリンテッドエレクトロニクスにおいて大きな関心がある。それらはまた、高温用途にある疲労問題をあまり有しない。はんだ付けとは異なり、焼結現象は、はんだ付けの中間液相を排除する原子拡散プロセスであり、したがってダイのチッピング及びスイミングの問題を解決する。通常、金属ダイアタッチ材料は、ナノ粒子ベースの材料、ポリマー結合剤中のミクロンサイズのフレーク、又は金属ミクロンフレークの金属-有機化合物との混合物、のような技術プラットフォームに基づいている。ナノ粒子ベースのダイアタッチ材料は、典型的に、ナノ粒子が凝集する一般的な傾向があるため、分離の問題を有し、これは、とりわけ、インクジェットのノズルを詰まらせ、それらを概して取り扱いにくくする。安定性の問題は別として、これらの凝集ナノ粒子はまた、印刷欠陥の潜在的な原因である。長い炭素鎖を有する有機部分でナノ粒子をキャッピングすることによって、凝集の問題に対処することが試みられている。キャップされたナノ粒子とともに相互接続材料は、通常、ポリマー、添加剤/活性化剤、及び有機溶媒から構成される。これらの有機材料は、それらが空隙率を悪化させ、最終的に熱及び電力サイクルの障害を引き起こすため、ダイアタッチ業界における主要な関心事の1つである。
【0005】
ダイアタッチ用途の業界によって広く使用されている第2のアプローチは、金属-有機化合物と金属フレークとの混合物を使用することである。金属-有機化合物は溶融し、分解して、ミクロン金属フレーク間に金属架橋を形成し、それによって金属の接触点及び配位数を増加させ、次に金属層の高密度化を増加させ、材料の強度及び結果として得られるアセンブリを高める。
【0006】
先行技術の金属ダイアタッチ材料の別の問題は、そのような材料がそれらの製造に多くのステップを必要とし、それらの製造の時間及びコストを増加させることである。したがって、それらの製造の時間及びコストを減少させるために、製造がより少ないステップを必要とする金属焼結/ダイアタッチ材料を提供するためのインセンティブが存在する。
【0007】
例えば、国際公開第2014/068299号及び国際公開第2015/155542号は、金属粒子を含む焼結粉末に関する。凝集を防止するためのキャッピング剤の使用もまた、その中で考察されている。
【0008】
文献報告書は、インクジェット印刷用の導電性インクの合成のために、ネオデカン酸銀及び2-エチルヘキサン酸銀などの銀有機前駆体、並びにギ酸銅及び酢酸銅のような銅前駆体の使用を記載している。金属-有機ベースの導電性インクの主な欠点は、有機溶媒中のそれらの限られた溶解度であり、それによって、組成物の金属含有量を増加させる可能性を劇的に低減する。低金属含有量は、生成され得るラインの厚さを制限し、また、印刷用途に望ましくない低粘度を有する組成物をもたらす。したがって、焼結及び/又はダイアタッチ用途に使用するための組成物中の金属含有量を増加させるためのインセンティブが存在する。
【0009】
多くの報告された金属-有機インクは、基本的に、無線周波数識別(radio frequency identification、RFID)リーダ、トランスポンダアンテナ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)用の相互接続、有機薄膜トランジスタ、及び基板上の印刷回路などの可撓性電子用途に使用される。これらの金属-有機ベースの分子インクは、それらの極めて低い粘度のため、スクリーン及びステンシル印刷用途には好適でない。ダイアタッチ材料の粘度は、印刷用途において重要な役割を果たす。更に、先行技術のインクは、低金属含有量を有し、したがって、最終結果は、薄い金属ライン又はコーティングである。
【0010】
したがって、より容易に製造され、改善された接合強度、優れた印刷ライン及び回路を提供することができ、接合部中の炭素不純物が少なく、より高い電気伝導率及び熱伝導率をもたらす、より単純でより安価な焼結組成物を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、先行技術に関連する問題の少なくとも一部に取り組むこと、又は少なくとも、それに対して商業的に許容可能な代替策を提供することを希求する。更に、本発明は、開示された材料及びプロセスを使用した新しいアセンブリ、デバイス、及び構成要素の構築/製作を開示する。
【0012】
第1の態様では、本発明は、溶媒と、溶媒中に溶解した金属錯体と、から本質的になり、焼結組成物が、焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量%の金属錯体を含有し、かつ、焼結組成物が、焼結組成物の総重量に基づいて、金属錯体のうちの少なくとも20重量%の金属を含有する、焼結組成物を提供する。
【0013】
加えて、本発明は、本明細書で考察されるプロセスと組み合わせて、電力及び他の電子デバイス用の焼結ダイアタッチ方法、様々な金属基板及びPET、PC、PIなどのようなポリマー基板上の印刷された相互接続及び回路、並びに様々な構成要素、部品、及び表面上のコーティングなどの新しいデバイスを作製する、この新しい組成物の使用例を提供する。
【0014】
本明細書で定義される各態様又は実施形態は、別途明確に示されない限り、任意の他の態様又は実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴と組み合わされ得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、「焼結組成物」という用語は、焼結金属堆積物又は焼結接合部を形成することができる組成物を包含し得る。理論に縛られることなく、そのような焼結は原子拡散の結果として起こると考えられる。
【0016】
本明細書で使用される「金属錯体」という用語は、例えば、配位子によって錯化された金属カチオン、又は金属塩を包含し得る。金属錯体は、異なる元素の1つ以上の異なる金属原子を含み得る。金属中心は、中性又はカチオン性であり得る。配位子は、中性又はアニオン性であり得る。
【0017】
焼結組成物は、溶媒及び溶媒中に溶解した金属錯体から本質的になる。本明細書で使用される「から本質的になっている」又は「から本質的になる」という表現は、特許請求される組成物の本質的な特徴がそれらの存在によって実質的に影響されない限り、必須構成成分に加えて他の構成成分の量の存在を可能にすると解釈されるべきである。したがって、本明細書で使用される「から本質的になる」という表現はまた、焼結組成物の本質的な特性に実質的に影響を及ぼさない焼結組成物中の不可避の不純物の発生を包含する。好ましくは、焼結組成物は、溶媒及び溶媒中に溶解した金属錯体からなる。代替の好ましい実施形態では、焼結組成物は、溶媒及び溶媒中に溶解した金属錯体を含む。
【0018】
列挙された要素「から本質的になる」又は「からなる」ことにより、本発明の焼結組成物は、実質的に金属粒子を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、焼結組成物が、典型的に、焼結組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の金属粒子、好ましくは0.1重量%未満の金属粒子を含むこと、より好ましくは、焼結組成物が、例えば、完全に金属粒子を含まないこと、を意味する。
【0019】
加えて、列挙された要素「から本質的になる」又は「からなる」ことにより、焼結組成物は、実質的に金属錯体の粒子を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、焼結組成物が、典型的に、焼結組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の金属錯体の粒子、好ましくは0.1重量%未満の金属錯体の粒子を含むこと、より好ましくは、焼結組成物が、完全に金属錯体の粒子を含まないこと、を意味する。これは、溶媒中の金属錯体の高溶解度によって可能であり得る。実質的に全ての金属錯体が溶媒中に溶解しているので、焼結組成物は、実質的に金属錯体の粒子を含まない可能性がある。特に、焼結組成物中の金属錯体の総量に基づいて、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも90重量%が溶媒中に溶解され得、好ましくは、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも95重量%が溶媒中に溶解され得、より好ましくは、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも98重量%が溶媒中に溶解され得、焼結組成物中の金属錯体の総量に基づいて、更により好ましくは、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも99重量%が溶媒中に溶解され得、焼結組成物中の金属錯体の総量に基づいて、なお更により好ましくは、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも99.5重量%が溶媒中に溶解され得、焼結組成物中の金属錯体の総量に基づいて、なお更により好ましくは、焼結組成物中の金属錯体の少なくとも99.9重量%が溶媒中に溶解され得、最も好ましくは、金属錯体は溶媒中に完全に溶解している。有利に、焼結組成物は、金属錯体の粒子を実質的に含まない可能性があり、したがって、懸濁粒子を実質的に含まない可能性があるため、焼結組成物は、良好な長期の物理的安定性を有し得、かつまた、印刷に望ましい特性を有し得る。
【0020】
加えて、列挙された要素「から本質的になる」又は「からなる」ことによって、焼結組成物は、実質的に有機ポリマーを含まず、好ましくは実質的にポリマーを含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、焼結組成物が、典型的に、焼結組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の有機ポリマー又はポリマー、好ましくは、0.1重量%未満の有機ポリマー又はポリマーを含み、より好ましくは、焼結組成物が、完全に有機ポリマー又はポリマーを含まないことを意味する。本発明の焼結組成物は、実質的に金属粒子を含まないため、ポリマー又は他の添加剤若しくは安定剤は、任意の粒子の凝集を制限するために必要とされない。したがって、焼結組成物は、はるかに単純であり、より少ない構成成分を含み、複雑さが少なくなる。有利に、これはまた、焼結組成物を使用して作製された焼結接合部中の有機不純物が少なくなる可能性があり、より強く、改善された熱的及び電気的特性を呈し得る焼結接合部が作製されることを可能にすることを意味し得る。
【0021】
加えて、列挙された要素「から本質的になる」又は「からなる」ことによって、焼結組成物は、実質的に金属酸化物を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、焼結組成物が、典型的に、焼結組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の金属酸化物、好ましくは、0.1重量%未満の金属酸化物を含むことを意味し、より好ましくは、焼結組成物は、完全に金属酸化物を含まない。
【0022】
焼結組成物は、焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量%の金属錯体を含有する。それに応じて、焼結組成物中の金属含有量は、最大化/最適化され得る。組成物中の多量の錯体、すなわち大きな錯体対溶媒比は、印刷用途に十分かつ望ましい粘度を有する組成物を提供し得る。加えて、対応するより少ない量の溶媒は、溶媒が、より低い温度(予備焼結)乾燥ステップ及び/又はより短い(予備焼結)乾燥ステップの結果として完全に除去されることを可能にし得る。好ましくは、焼結組成物は、焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%を含有する。溶液中に少なくとも60重量%の金属錯体を提供する能力(懸濁液とは対照的に)は、以下に記載の焼結組成物の独特の製造方法の結果である。焼結組成物は、最大95重量%の金属錯体、例えば、最大90重量%の金属錯体又は最大85重量%の金属錯体を含有し得る。焼結組成物は、好ましくは、最大95重量%の金属錯体、より好ましくは最大90重量%の金属錯体、更により好ましくは最大85重量%の金属錯体を含有する。
【0023】
焼結組成物は、溶媒及び溶媒中に溶解した金属錯体から本質的になる(又はそれからなる)。それに応じて、焼結組成物は、例えば、焼結組成物の総重量に基づいて、5~40重量%の溶媒、又は10~35重量%の溶媒、又は15~30重量%の溶媒、又は15~25重量%の溶媒を含有し得る。
【0024】
焼結組成物は、焼結組成物の総重量に基づいて、金属錯体のうちの少なくとも20重量%の金属を含有する。言い換えれば、焼結組成物中の金属の総量は、少なくとも20重量%であり、これらの全ては、溶媒中に溶解した金属錯体の形態である。焼結組成物中の金属の濃度が高いということは、予備焼結乾燥ステップ中に蒸発しなければならない溶媒が少ないことを意味する。有利に、これは焼結プロセスの時間及びコストを低減し得る。更に、焼結組成物中の金属のより高い濃度は、焼結組成物がより粘性になり得ることを意味し、これは印刷用途に望ましい。また、金属含有量を増加させることにより、焼結層の高密度化が促進され、それによって、アセンブリ内の接合部の結合ライン厚が増加し、これは、より大きな接合強度をもたらし得る。これはまた、複数の堆積及び焼結ステップを実行する必要なしに、より厚いラインが生成されることを可能にし得る。好ましくは、焼結組成物は、焼結組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の金属、焼結組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも30重量%の金属、焼結組成物の総重量に基づいて、より好ましくは少なくとも35重量%の金属、更により好ましくは少なくとも40重量%の金属、更により好ましくは少なくとも50重量%の金属を含有する。焼結組成物は、最大95重量%の金属、例えば、最大90重量%の金属、又は最大85重量%の金属を含有し得る。好ましい実施形態では、焼結組成物は、焼結組成物の総重量に基づいて、60~80重量%の金属を含有する。
【0025】
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載の焼結組成物が、ナノ粒子ベースの材料、ポリマー結合剤中のミクロンサイズのフレーク、及び/又はダイアタッチ用途のための金属ミクロンフレークの金属-有機化合物との混合物の改善された代替物として使用され得ることを見出した。驚くべきことに、焼結組成物が、低温及び/又は低圧で焼結されて、先行技術のものと比較して高いダイ剪断強度及び/又は高い剥離強度を依然として呈し得、かつ、少ない有機不純物を有し得る、接合部を提供し得ることが見出された。これは、レオロジー調整剤及びポリマーなど、組成物中に他の構成成分が存在しないことに起因し得、これは、例えば、より純粋な焼結金属堆積物又は焼結接合部の生成を可能にする。
【0026】
更に、本明細書に記載の焼結組成物は、先行技術の焼結組成物/粉末と比較して、より簡単に製造することができ、すなわち、例えば、より少ないステップを有し、より少ない出発材料を使用して、より少ない複雑さをもたらす。特に、焼結組成物の製造は、単一ステップのプロセスであり得る。有利に、焼結組成物の調製は、(金属)粉末を作製する中間ステップを必要としない。これは、本発明の焼結組成物が、同等の、又は実際に改善された焼結特性を達成しながら、より低いコストで製造され得るという利点を有する。本明細書に記載の焼結組成物を使用して作製された焼結接合部は、溶媒及び溶媒中に溶解した金属錯体から本質的になる、より単純な組成物のために、先行技術の焼結粉末を使用して作製されたものよりも少ない有機不純物を有利に呈し得る。本発明の焼結組成物は、任意のポリマー、結合剤、活性化剤、又は添加剤の使用を排除する。次に、これは、本明細書に記載の焼結金属堆積物及び/又は焼結接合部によって呈され得る優れた接合強度及び信頼性に寄与すると考えられている。
【0027】
有利に、本明細書に記載の焼結組成物は、典型的に、室温で化学的かつ物理的に安定である。実際には、これは、焼結組成物が使用前に室温で長時間保存されることを可能にし得、保存コストを低減し得る。例えば、琥珀色の瓶及び冷蔵条件で保持される場合、焼結組成物は、典型的に、粘度の変化を呈さず、その性能は時間とともに劣化しない。
【0028】
本明細書に記載の焼結組成物を使用して形成された焼結金属堆積物及び/又は焼結接合部はまた、従来の焼結組成物のものよりもはるかに低い処理温度及び圧力で高い熱伝導率及び電気伝導率を示し得る。これらの有利な特性は、例えば、形成され得る高純度かつ高密度化された金属堆積物及び金属接合部に起因し得る。
【0029】
本明細書に記載の焼結組成物はまた、「金属ゲル」として記載され得る。これらの用語は、本明細書で互換的に使用され得る。
【0030】
焼結組成物の形成は、好ましくは有機溶媒である溶媒中の金属錯体の溶解度に依存する。典型的に、金属錯体は、溶媒中で高い溶解度を有する。
【0031】
金属錯体の典型的に高い溶解度のために、本明細書に記載の焼結組成物は、製剤においていかなる有機ポリマー又は安定化剤も必要としない。理論に拘束されることを望むことなく、乾燥及び加熱による金属錯体の分解が、圧力焼結下で、基板とダイとの界面に拡散し、堅牢な接合強度をもたらす、より小さな(金属)粒子の形成につながると考えられる。したがって、焼結組成物の低コスト、ハイエンド性能、長い貯蔵寿命、及び高い電気的かつ熱的属性は、既存のダイアタッチ材料を上回る驚くべき利点をもたらし得る。
【0032】
先行技術の導電性インクとは異なり、本明細書に記載の焼結組成物は、その典型的に高い金属含有量及び高い粘度のために、様々なダイアタッチ用途に使用され得、他の焼結材料又は導電性インクと比較してそれをより汎用性のある材料とする。
【0033】
例えば、本発明の焼結組成物は、PET及びPIなどの可撓性基板上の回路の製作を可能にし得る。したがって、これは、次世代エレクトロニクスアセンブリのための未来型アプローチを可能にし得る。可撓性基板上に回路を製作することは、適切なプロセス条件下で本明細書に開示される金属ゲル/焼結組成物を使用して容易に作製することができ、それによって、例えば、可撓性基板上にはんだ部品を取り付ける範囲を広く開放する。また、本明細書に記載される利点のために、金属ゲルを使用して製作された相互接続ライン及び回路の電流担持容量は、ゲル/組成物をはんだ付け材料上のエッジに与える任意の他の既存の焼結/はんだ付け材料と比較して非常に優れている。
【0034】
理論に拘束されることを望むことなく、加熱すると、焼結組成物の金属錯体は、溶液から析出、溶融、及び分解することが理解される。溶媒及び/又は金属錯体の配位子を含み得る、焼結組成物中の有機物は、その後、焼結の前の乾燥ステップ中に蒸発し得、その結果、焼結後の接合部に炭素残留物が実質的に存在しない。焼結組成物が、実質的に金属粒子又は金属錯体の粒子を含まないので、レオロジー調整剤、安定化剤又はポリマーの存在は、焼結組成物の安定性に必要ではない。これは、炭素を含まない印刷可能なダイアタッチ材料を作製することが可能であることを意味する。
【0035】
現在まで、報告されたダイアタッチ材料は、安定性のためにいくらかの量の有機材料を含有する。これらの有機材料は、熱的及び電気的疲労の主要な原因であると考えられている。本明細書に記載の焼結組成物で作製された接合部は、典型的に、炭素を含まない。したがって、接合部の電気的、熱的、及び機械的特性は、典型的に、他の報告されたダイアタッチ材料と比較して優れている。
【0036】
加えて、本明細書に記載の焼結組成物/金属ゲルは、その表面に独特なはんだ付け特徴を有し得る。ゲルは、容易にはんだ付けされ得る。ゲルは、はんだ成分がはんだ付けによって取り付けられ得る、金属又はポリマー可撓性基板上に印刷され得る。これは、例えば、構成要素が、ポリマー可撓性基板などの非金属基板に取り付けられることを有利に可能にする。従来の焼結組成物を使用して作製された堆積物にはんだを首尾よく適用することは、通常は可能ではない。これは、そのような従来の焼結組成物は、典型的に、焼結接合部に残るか、又は焼結接合部に空隙を引き起こし得る、ポリマーなどの種を含有し、これは、はんだ付けを妨げる可能性があるためである。
【0037】
加えて、本明細書に記載の焼結組成物/金属ゲルは、有利に、可撓性基板上に使用され得る。結果として得られた焼結材料は、従来の焼結材料を使用して形成された焼結材料と比較して高密度化される。これは、本明細書に記載の焼結組成物のより高い金属含有量によるものである。そのようなより高い密度は、十分な電気伝導率も呈しながら、可撓性を確保するのに十分に薄さである特徴部(回路ライン、相互接続、接合部など)の印刷を可能にする。より低い金属含有量を含む従来の焼結組成物を使用して形成された特徴部は、可撓性を提供するのに十分薄く作製されたときに、不十分な伝導率を呈し、逆もまた同様である。
【0038】
典型的に、金属錯体は、20℃未満、好ましくは15℃未満、より好ましくは10℃以下の温度範囲にわたって実質的に分解する。これは、例えば、加熱時に金属錯体が温度X℃で分解し始めると、次いで、金属錯体は、好ましくは、X+20℃の温度で実質的に分解され、好ましくはX+15℃、より好ましくはX+10℃の温度で実質的に分解されることを意味する。本明細書で使用される場合、「実質的に分解される」という語法は、典型的に、焼結組成物中の金属錯体の総重量に基づいて、金属錯体の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が分解することを意味し、又は最も好ましくは、全ての金属錯体が分解することを意味する。これは、少なくとも、本明細書に記載の乾燥ステップ中に焼結を開始することなく、金属錯体が純粋な金属に分解することを可能にし得るため、有利である。したがって、その後の焼結ステップは、任意の金属錯体又は配位子の、非常に少量のみの存在下で、又は全不在下で、実行され得る。したがって、これは、例えば、より純粋な接合部をもたらし得る。
【0039】
典型的に、金属錯体は、溶媒中で高濃度である。好ましくは、溶媒は、金属錯体で過飽和である。この過飽和は、溶媒中の金属錯体の高溶解度によって可能にされ得る。有利に、この過飽和は、焼結組成物の金属含有量を最大化/最適化することを可能にし得る。本明細書で使用される「過飽和」という用語は、溶媒中の金属錯体の濃度が飽和点の濃度を超える、すなわち、溶液が通常の状況下で溶媒によって溶解され得るよりも多くの溶解金属錯体を含有する状況を包含する。更に、過飽和溶液は、より粘性がある。高い粘度を有する焼結組成物は、概して、印刷用途に好ましい。
【0040】
典型的に、金属錯体は、焼結組成物の適用中に、例えば、焼結金属堆積物又は焼結接合部の製造中に、使用される焼結温度よりも低い温度で実質的に分解する。好ましくは、金属錯体は、本明細書に記載の乾燥ステップ中に、実質的に金属錯体の全てが分解することを可能にする温度で実質的に分解する。特に、金属錯体は、好ましくは、200℃未満、より好ましくは190℃未満の温度で実質的に分解する。いくつかの実施形態では、金属錯体は、180℃未満、又は170℃未満、若しくは160℃未満の温度で実質的に分解し得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、単一の実体の2つ以上の断片/構成部分へのブレークダウンを包含する。典型的に、本明細書で使用される場合、「分解」という用語は、金属中への金属錯体のブレークダウンを包含し、これは、金属の個々の原子又は小さな粒子/クラスタ、並びに金属錯体の配位子及び/又は有機成分であり得る。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、典型的に、金属錯体の総重量に基づいて、金属錯体の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が分解することを意味し、又は最も好ましくは、金属錯体の全てが分解することを意味する。有利に、金属錯体は、低温で実質的に分解し得る。これは、実質的に全ての金属錯体が低温で分解し得、次いで実質的に全ての溶媒及び実質的に全ての金属錯体の配位子が低温乾燥ステップ中に蒸発し得ることを意味する。したがって、本明細書に記載の方法で適用される低焼結温度では、結果として生じる焼結接合部における不純物、有機物、又は他の可能性が低減され得、したがって、焼結接合部の強度及び/又は熱的並びに電気的特性が改善され得る。理論に拘束されることを望むことなく、金属錯体が分解されると、金属以外の配位子/構成部分が蒸発して、後続の焼結ステップにおいて焼結される金属を残して、焼結接合部を形成し得ると考えられる。
【0041】
典型的に、溶媒及び/又は金属錯体の配位子は、本明細書に記載の方法の乾燥ステップなどの予備焼結乾燥ステップ中に蒸発することを可能にする沸点を有する。好ましくは、溶媒及び/又は金属錯体の配位子は、本明細書に記載の乾燥ステップ中に、実質的に全ての溶媒及び/又は金属錯体の配位子が蒸発することを可能にする沸点を有する。特に、溶媒及び/又は金属錯体の配位子は、典型的に、300℃未満、好ましくは250℃未満、より好ましくは200℃未満の沸点を有する。有利に、これは、乾燥ステップで適用される低温では、実質的に全ての溶媒及び/又は金属錯体の配位子が蒸発し、焼結される金属を残して焼結接合部を形成し得ることを意味する。したがって、本明細書に記載の方法で適用される低焼結温度では、結果として生じる焼結接合部における不純物、有機物、又は他の可能性が低減され得、したがって、焼結接合部の強度及び/又は熱的並びに電気的特性が改善され得る。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、典型的に、溶媒及び/又は金属錯体の配位子の総重量に基づいて、溶媒及び/又は金属錯体の配位子の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が蒸発することを意味し、又は最も好ましくは、全ての溶媒及び/又は金属錯体の配位子が蒸発することを意味する。本明細書に記載の乾燥ステップの長さは、典型的に、例えば、溶媒を沸騰させることなく、十分な溶媒及び/又は金属錯体の配位子が蒸発することを可能にする。乾燥ステップ中の高温は、溶液を撹拌して金属ナノ粒子を形成し、接触し、場合によっては焼結することを可能にするので、望ましくない。
【0042】
金属錯体の金属は、好ましくは、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、及びモリブデンのうちの1つ以上から選択される。最も好ましくは、金属錯体の金属は、銅及び/又は銀である。銅及び銀は、焼結接合部に対して良好な特性を呈し、特に、良好な熱伝導率及び電気伝導率を提示するので、焼結接合部を形成するための望ましい金属である。
【0043】
典型的に、焼結組成物の溶媒は、有機溶媒を含み、好ましくは、溶媒は有機溶媒である。好ましくは、溶媒が、金属錯体が溶媒中に高度に可溶性であり、かつ/又は溶媒が、上記のような沸点を有するように選択される。溶媒は、好ましくは、アルコールであり、例えば、一価、二価、又は三価アルコールである。好ましくは、溶媒は、プロパン-1-2-ジオール、テルピネオール、トリエチレングリコール、グリセロール、及び2-メチル-1,3-プロパンジオールのうちの1つ以上から選択され、より好ましくは、テルピネオール又はグリセロールである。
【0044】
金属錯体は、金属-有機錯体を含み得る。例えば、好ましくは、金属錯体は、金属カルボン酸塩であり、好ましくは、カルボン酸塩は、構造RCOOを有し、Rは、14個以下の炭素原子、好ましくは12個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を有する、分岐又は非分岐炭化水素鎖である。Rはまた、2個以下の炭素原子を有する炭化水素鎖であってもよい。Rは、水素原子であり、好ましくは、1個以上の炭素原子、より好ましくは2個以上の炭素原子を有する分岐又は非分岐炭化水素鎖であることが好ましい場合もある。例えば、Rは、6~14個の炭素原子、好ましくは8~12個の炭素原子を有する分岐又は非分岐炭化水素鎖であり得る。これは、例えば、金属錯体の金属が銀である場合に好ましい。代替的に、Rは、水素原子、又は1~4個の炭素原子を有する分岐又は非分岐炭化水素鎖、好ましくは、水素原子、又は1若しくは2個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり得る。これは、例えば、金属錯体の金属が銅である場合に好ましい。好ましい配位子としては、ネオデカン酸、2-エチルヘキサノエート、ギ酸、及びアセテートが挙げられる。
【0045】
例えば、好ましくは、金属錯体は、ネオデカン酸銀、銀2-ヘキサン酸エチル、シュウ酸銀、乳酸銀、銀ヘキサフルオロアセチルアセトネートシクロオクタジエン、ギ酸銅四水和物、及び酢酸銅のうちの1つ以上から選択され、好ましくは、ネオデカン酸銀又はギ酸銅四水和物である。例えば、ネオデカン酸銀は、約38重量%の銀を含有する。したがって、金属錯体は、焼結組成物中で飽和又は過飽和であり得るため、ネオデカン酸銀又は本明細書に開示される別の金属錯体を高温で溶解することによって、金属/銀含有量が約28重量%以上である焼結組成物を提供することが可能であり得る。典型的に、金属錯体の金属が銅である場合、焼結組成物の銅含有量は、約22.5重量%以上であり得る。
【0046】
焼結組成物の粘度は、60,000~120,000cP、好ましくは70,000~80,000cPであり得る。そのような粘度は、焼結組成物中に含有される大量の金属錯体から生じ得る。焼結組成物の粘度は、それをスクリーン及びステンシル印刷に好適であり、それによって、ダイアタッチ産業での使用に望ましいものにし得る。粘度は、Brookfield粘度計(HB DV-III)スピンドルCP51で測定され得る。粘度は、例えば、25℃の温度、3.84/秒の剪断速度及び1RPMで測定される。
【0047】
好ましくは、焼結組成物は、ゲルの形態であり、より好ましくは、金属ゲルの形態である。本明細書で使用される場合、「ゲル」という用語は、剛性又は半剛性の混合物の結果が得られるように、粒子がメッシュ化されているゾルを意味する。焼結組成物は、典型的に、ダイアタッチ用途のためである。
【0048】
好ましくは、本発明の焼結組成物は、ゲル、好ましくは金属ゲル、又は、自立型フィルム若しくはホイル、又は、ウェハ上に、塗布、堆積、印刷、若しくは積層、又は、ガラス及び/若しくはセラミック及び/若しくは金属及び/若しくは高分子フィルム及び/若しくはプリント回路ボードとして使用される複合材料から製作された基板上に塗布、堆積、印刷、若しくは積層、の形態である。焼結組成物のそのような形態は、焼結組成物を異なるダイアタッチ用途においてより有用にし得る。
【0049】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載の焼結組成物を製造する方法を提供し、この方法は、溶媒を提供することと、金属錯体を提供することと、100℃~180℃の温度で溶媒中に金属錯体を溶解して、溶液を形成することと、を含む。
【0050】
第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0051】
そのような高温で金属錯体を溶解することにより、より多くの金属錯体が焼結組成物中に溶解されることが可能になり、例えば、少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%である。上で考察されたように、そのような高さの金属錯体は、従来の焼結組成物と比較して、有利に高い粘度を有する焼結組成物を提供し得る。典型的に、金属錯体と溶媒との混合物は、溶解を促進するために撹拌される。
【0052】
好ましくは、溶液は、過飽和である。好ましくは、本方法は、溶液を30~60℃の温度まで、好ましくは40~50℃の温度まで冷却することを更に含む。理論に拘束されることを望むことなく、加熱及び冷却のこのプロセスは、過飽和溶液、好ましくは安定した過飽和溶液の形成を可能にし得ると考えられる。
【0053】
好ましくは、本方法は、典型的に上記の様態で一度冷却されると、溶液を粉砕することを更に含む。典型的に、粉砕は、均質な金属ゲルをもたらす。理論に拘束されることを望むことなく、粉砕ステップは、特に一度冷却されると、溶液からの金属錯体の沈殿の可能性を低減し得ると考えられる。好ましくは、粉砕は、スリーロールミルで実行されるが、他の粉砕方法を用いてもよい。溶液はまた、例えば、1000RPMなど、500~1500RPMで、例えば、10分間など、1~20分間、オービタルミキサ内で均質化され得る。
【0054】
好ましくは、溶媒中に金属錯体を溶解することは、110℃~150℃の温度で実行され、より好ましくは120℃~140℃、更により好ましくは約130℃の温度で実行される。
【0055】
好ましくは、焼結組成物は、いかなる金属粒子も含まない、及び/又は金属錯体のいかなる粒子も含まない。これは、上述のように、焼結組成物が、高い化学的及び物理的安定性、並びに印刷用途に望ましい特性を有することを可能にし得る。
【0056】
更なる態様では、本発明は、基板上に焼結金属堆積物を形成する方法を提供し、この方法は、基板を提供することと、本明細書に記載の焼結組成物を基板上に配設することと、組成物を140℃~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、乾燥組成物を150℃~300℃の温度で焼結することと、を含み、焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行される。
【0057】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0058】
典型的に、乾燥ステップは、溶媒及び金属錯体の配位子などの金属錯体の他の有機置換基の実質的に全てを除去するのに役立ち、実質的に金属である堆積物、すなわち、金属錯体の金属から本質的になる堆積物を後に残す。例えば、乾燥堆積物は、95重量%以上の金属、典型的に98重量%以上の金属を含有し得、リマインダは、典型的に、主に黒鉛化炭素で構成されている。次いで、得られた金属堆積物を焼結して、実質的に純粋な焼結金属堆積物を形成し得る。焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行され、それにより、金属は、好ましくは乾燥ステップが完了するまで焼結されない。当業者によって理解されるように、乾燥ステップ及び焼結ステップの相対温度は、焼結組成物の金属、溶媒、及び金属錯体の独自性に応じて変化する。
【0059】
好ましくは、基板は、可撓性基板であり、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリイミド(polyimide、PI)、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、及びポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)のうちの1つ以上を含む。有利に、本発明の焼結組成物は、そのような基板への損傷及び/若しくは反りが制限されるか、又は回避さえされ得るように、十分に低い焼結温度が適用されることを可能にする。加えて、上で考察されたように、焼結組成物は、可撓性であり、かつ十分な電気伝導率を呈する焼結堆積物を形成し得る。
【0060】
代替的に、基板は、剛性基板であってもよく、好ましくは、FR4、ガラス、Al、SiC、若しくはSiOなどのセラミック、Si、SiC、Ge、若しくはGaNなどの半導体材料、又はCu、Ag、Au、Al、Ni若しくは合金で形成された金属箔などの金属箔を含む。
【0061】
好ましくは、焼結組成物を基板上に配設することは、焼結組成物を基板上にステンシル印刷及び/又はスクリーン印刷することを含む。本明細書に記載されるように、本発明の焼結組成物は、好適な粘度、及びいかなる金属粒子又は金属錯体の粒子が実質的に存在しないなど、印刷に望ましい特性を有する。
【0062】
好ましくは、焼結組成物の金属錯体が、銀を含み、かつ、乾燥が、170℃~190℃の温度で30~90分間実行されるか、又は、焼結組成物の金属錯体が、銅を含み、かつ、乾燥が、窒素雰囲気下で、150℃~170℃の温度で15~60分間実行される。好ましくは、乾燥ステップは、金属錯体が実質的に分解し、溶媒及び/又は金属錯体の配位子が、乾燥ステップの終わりまでに実質的に蒸発するが、実質的に金属粒子の焼結を伴わないことを可能にするのに好適な温度及び時間条件を有する。理解されるように、より高い乾燥温度は、より短い乾燥時間を必要とし得、逆もまた同様である。窒素雰囲気の使用は、特に金属が銅である場合、金属の酸化を制限し、好ましくは防止し得る。
【0063】
焼結は、150℃~300℃の温度で行われる。好ましくは、焼結は、180℃~295℃、好ましくは200℃~290℃、より好ましくは210℃~285℃、更により好ましくは240℃~280℃、なお更により好ましくは250℃~270℃の温度で実行される。そのような低い焼結温度は、望ましい経済的利益に加えて、基板への損傷のリスクの低減を含む多くの利点を有する。したがって、本プロセスはより単純であり得、必要な専門機器もより少なくて済む。150℃より低い温度は、不十分な焼結及び/又は遅い焼結をもたらし得る。
【0064】
典型的に、焼結ステップは、2MPa~15MPa、好ましくは4MPa~12MPaの圧力で行われる。焼結温度に加えて、そのような焼結圧力は、例えば、低い空隙率を有する強力な金属堆積物が形成されるのを可能にし得、それによって、高いダイ剪断強度及び高い剥離強度を有し得る焼結接合部を形成するために金属が効果的に焼結することを可能にする。典型的に、熱及び圧力は、同時に適用される。典型的に、圧力は、Carverプレス、例えばCarver3891CEB.4NE1001を使用して適用される。有利に、本明細書に記載の焼結組成物は、これらの低焼結圧力で不純物が少ない強力な焼結接合部を提供することが可能であり得る。このような低焼結圧力は、とりわけ、コストを節約し、基板及び/又はダイへの潜在的な損傷を低減するために、業界において望ましい。
【0065】
焼結金属堆積物は、ダイと基板との間の接合部を含み得、それによってダイと基板とを接続する。
【0066】
代替的に、焼結金属堆積物は、電気回路又は相互接続を含み得、例えば、焼結金属堆積物は、電気回路又は相互接続であってもよい。
【0067】
焼結堆積物はまた、コーティングを含み得、例えば、焼結堆積物が、コーティングであってもよい。
【0068】
好ましくは、焼結金属堆積物は、実質的に金属錯体を含まない、及び/又は実質的に有機配位子を含まない、及び/又は実質的に有機材料を含まない、及び/又は実質的に炭素を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、接合部が、典型的に、接合部の総重量に基づいて、2重量%以下の金属錯体及び/又は有機配位子及び/又は有機材料及び/又は炭素、及び、好ましくは1重量%未満の金属錯体及び/又は有機配位子及び/又は有機材料及び/又は炭素、より好ましくは0.1重量%未満の金属錯体及び/又は有機配位子及び/又は有機材料及び/又は炭素、を含むことを意味する。より好ましくは、接合部は、金属錯体及び/又は有機配位子及び/又は有機材料及び/又は炭素を完全に含まない。不純物を欠くこのような接合部は、より強力であり得、すなわち、高いダイ剪断強度及び高い剥離強度を有し、同時に、良好な熱伝導率及び電気伝導率特性を示す。
【0069】
好ましくは、焼結金属堆積物は、30MPa以上、好ましくは40MPa以上、より好ましくは50MPa以上のダイ剪断強度を有する。典型的に、ダイ剪断強度は、Dage4000PXYを使用して測定される。剪断強度は、典型的に、700ミクロン/秒の剪断速度及び0ミクロンの剪断高さを使用して測定される。
【0070】
典型的に、3分間の滞留時間で+150℃~-50℃の、1000サイクルの熱衝撃試験後、焼結金属堆積物中の空隙率は、0.5%以下、好ましくは0.3%以下であり、及び/又は、3分間の滞留時間で+150℃~-50℃の、3000サイクルの熱衝撃試験後、焼結金属堆積物中の空隙率は、1.5%以下、好ましくは1.0%以下である。本明細書で使用される場合、「熱衝撃試験」という用語は、物体に応力を引き起こす突然の温度変動によって引き起こされる損傷を評価する試験を包含する。空隙率は、例えば、焼結接合部の材料によって占められていない、すなわち、穴及び/又は空隙によって引き起こされる体積又は面積率、典型的に面積率である。これは、焼結接合部のX線画像から推定され得る。空隙率は、典型的にPhoenixX線(Microme/X-180)を使用して、X線分析によって測定され得る。
【0071】
好ましくは、焼結金属堆積物の剥離強度は、10N/mm以上、好ましくは15N/mm以上、より好ましくは20N/mm以上である。典型的に、剥離強度は、Imada剥離試験機、好ましくはモデルMX2-110を使用して測定される。
【0072】
好ましくは、焼結金属堆積物は、はんだ付け可能及び/又は高電流対応可能である。高電流密度担持能力は、相対的な用語で定義される。この場合、高電流密度担持能力は、Ag粒子又はAgフレークを含有する従来のスクリーン印刷可能な導電性インクなどの他のインクよりも高い電流密度を担持する能力である。断熱基板上に印刷されたそのようなインクは、10A/mm以下のオーダの最大電流密度を維持することができる。これらの低電流条件下でも、不利な加熱及びその後の故障があり得る。しかしながら、本発明の金属ゲル/焼結組成物は、フレークインクと比較して2~10倍、例えば、10A/mm超、又は15A/mm以上、又は20A/mm以上、又は50A/mm以上、又は最大100A/mmの電流密度を維持し得る。これらの数値は、基板及び周囲条件に応じて変わるが、比較的これらの粒子を含まないゲルは、Ag又は他の導電性粒子で満たされた従来のインクよりもはるかに高い電流密度を維持する。
【0073】
好ましくは、焼結金属堆積物は可撓性である。これは、例えば、PET及びPIなどの可撓性基板上の焼結金属堆積物の使用を可能にし得、焼結金属堆積物の多様な範囲の用途を提供する。
【0074】
好ましくは、焼結金属堆積物(典型的に銀堆積物)は、12mΩ/sq/mil未満のシート抵抗を呈する。したがって、そのような焼結金属堆積物は、優れた電気伝導率を有し、電子産業における多くの用途における使用にとって望ましい。電気伝導率、抵抗率、及びシート抵抗は、四探針法を使用して測定され得る。この方法では、全ての電気伝導率測定は、Agilent34411Aマルチメータを用いて実行され得る。パッドにはんだ付けされたワイヤは、抵抗を測定するために、Agilent34411Aマルチメータに接続される。印刷ラインの抵抗値及び寸法使用して、バルク抵抗率(ρ)、シート抵抗(R)及び電気伝導率(σ)は、以下に与えられる式を使用して得られる。
バルク抵抗率、ρ=R×A/l、
シート抵抗、R=R×W/l
R=印刷及び焼結金属ゲルの抵抗
A=幅(W)×厚さ(t)(印刷された硬化ラインの)
l=印刷された硬化ラインの長さ
W=印刷された硬化ラインの幅
電気伝導率(σ)=1/ρ
【0075】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載の焼結組成物を使用して形成された焼結金属堆積物を提供し、好ましくは、焼結金属堆積物は、本明細書に記載の方法を使用して形成される。
【0076】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0077】
好ましくは、焼結金属堆積物は、ダイと基板との間の接合部、電気回路又は相互接続、若しくはコーティングを含む。
【0078】
更なる態様では、本発明は、ダイアタッチメントの方法を提供し、本方法は、基板及びダイを提供することと、本明細書に記載の焼結組成物を、基板とダイとの間に配設することと、組成物を140~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、乾燥組成物を、150℃超~300℃の温度で2MPa~15MPaの圧力で焼結して、ダイを基板に取り付けることと、を含み、焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行される。
【0079】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0080】
焼結組成物は、典型的に、基板及びダイの両方と接触している。乾燥は、焼結組成物が基板とダイとの間にある間に起こり得る。代替的に、焼結組成物は、基板又はダイのうちの1つに適用され、次いで、基板又はダイの他方と接触する前に乾燥され得る。言い換えれば、乾燥は、焼結組成物が基板及びダイの両方と接触しているとき、又は焼結組成物が基板及びダイのうちの1つのみと接触しているときに実行され得る。
【0081】
典型的に、乾燥ステップは、溶媒及び金属錯体の配位子などの金属錯体の他の有機置換基の実質的に全てを除去するのに役立ち、基板とダイとの間の実質的に金属の堆積物、すなわち、金属錯体の金属から本質的になる堆積物を後に残す。次いで、基板とダイとの間の得られた金属堆積物を焼結して、実質的に純粋な焼結金属堆積物を形成し得る。焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行され、それにより、金属は、好ましくは乾燥ステップが完了するまで焼結されない。当業者によって理解されるように、乾燥ステップ及び焼結ステップの相対温度は、焼結組成物の金属、溶媒、及び金属錯体の独自性に応じて変化する。
【0082】
焼結は、2MPa~15MPaの圧力で実行される。好ましくは、焼結は、4MPa~12MPaの圧力で実行される。焼結温度に加えて、そのような焼結圧力は、例えば、低い空隙率を有する強力な金属堆積物が形成されることを可能にし、それによって、強力な基板-ダイ接合部を提供し得る。
【0083】
更なる態様では、本発明は、基板上に電気回路又は相互接続を形成する方法を提供し、本方法は、
基板を提供することと、本明細書に記載の焼結組成物を、回路又は相互接続の形態で基板上に配設することと、組成物を140~200℃の温度で乾燥させて、乾燥組成物を形成することと、乾燥組成物を150℃~300℃の温度で焼結して、回路又は相互接続を形成することと、含み、焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行される。
【0084】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0085】
回路又は相互接続の形態で配設された焼結組成物は、実質的に純粋な焼結金属堆積物を形成するために焼結され得る。焼結は、乾燥の温度よりも高い温度で実行され、それにより、金属は、好ましくは乾燥ステップが完了するまで焼結されない。これは、焼結が有機材料の実質的な非存在下でのみ発生し、それによって最終回路又は相互接続における不純物及び空隙形成を低減することを確実にする。当業者によって理解されるように、乾燥ステップ及び焼結ステップの相対温度は、焼結組成物の金属、溶媒、及び金属錯体の独自性に応じて変化する。
【0086】
上述のダイアタッチメントの方法又は基板上に電気回路又は相互接続を形成する方法の利点は、基板上に焼結金属堆積物を形成する上述の方法のものと同等である。
【0087】
更なる態様では、本発明は、はんだ付けアセンブリを製造する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の方法に従って、基板上に焼結金属堆積物を形成することと、焼結金属上にはんだペーストを堆積させることと、構成要素を堆積されたはんだペーストと接触させることと、はんだペーストをリフローさせて、はんだ付けアセンブリを提供することと、を含む。
【0088】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0089】
典型的に、焼結金属上に堆積されたはんだペーストは、湿潤であり、すなわち、溶融してフラックスを含有する。
【0090】
本明細書で使用される場合、「基板」という用語は、金属基板、例えば、銅、直接結合銅(direct bond copper、DBC)、直接板銅(direct plate copper、DPC)、金属コアプリント回路ボード(metal core printed circuit board、MCPCB)、FR4、銅鉛フレーム、可撓性PCB、金、銀、アルミニウム、鋼などの基板、及び、有機はんだ付け性保存剤(organic solderability preservative、OSP)及び無電解ニッケル浸漬金(electroless nickel immersion gold、ENIG)などの様々な表面仕上げを有する基板、を包含し得る。代替的に、非金属基板などの他の基板を使用することもでき、例えば、ガラス、高分子フィルム、シリコーン、セラミック、及びポリイミド(PI)又はポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックなどである。この方法では、好ましくはPI、PET、又はFR4基板が使用される。
【0091】
典型的に、はんだペーストは、スズ/ビスマスはんだペーストであるが、他のはんだペーストが使用されてもよい。例えば、はんだは、SACはんだ、ULTSはんだ、高鉛はんだ、AuSnはんだ、及びZnベースのはんだのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0092】
はんだ付けアセンブリは、自動車用途のワイヤハーネス用の高温用途を有し得る。
【0093】
有利に、本明細書に開示される金属ゲルは、基板上に印刷された金属ゲル上のはんだの良好な湿潤特性を示し得る。
【0094】
典型的に、基板及び焼結組成物は、窒素下で予め乾燥される。好ましくは、はんだペーストは、窒素又は空気下でリフローされる。
【0095】
好ましくは、構成要素は、電子部品、LED、及び金属化プリント回路ボードから選択される。好ましくは、基板は、キャリアフィルム、インターポーザ、又は回路ボードから選択される。
【0096】
更なる態様では、本発明は、ダイアタッチメント、ウェハツーウェハ接着、気密及び近接気密シール、ディスペンシング、及び回路又は相互接続ラインの生成、から選択された方法における、上述の焼結組成物の使用を提供する。
【0097】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0098】
本明細書に記載の焼結組成物は、本明細書に記載の焼結組成物及び結果として生じる焼結金属堆積物の有利な特性のために、これらの用途において特に効果的であり得る。
【0099】
更なる態様では、本発明は、電気/電子デバイス、相互接続、アセンブリ、回路、又は印刷ケーブル及びワイヤハーネスを生成するための、本明細書に記載の方法のいずれかにおける本明細書に記載の焼結組成物の使用を提供する。
【0100】
本発明の他の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0101】
好ましくは、アセンブリ及び/又は回路は、可撓性又は熱成形及び/若しくは射出成形された3D電子構造である。好ましくは、アセンブリ及び/又は回路は、はんだ付け可能であり、高電流密度を担持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
本発明は、これより、以下の非限定的な図に関連して論じられる。
図1a】本発明による、金属ゲルを使用して作製された接合部のFESEM断面図を示す。
図1b】本発明による、金属ゲルを使用して作製された接合部のFESEM断面図を示す。
図2a】本発明の実施形態による、組み立てられた試料の基板側の破損モードの顕微鏡画像を示す。
図2b】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のリボン側の破損モードの顕微鏡画像を示す。
図3a】本発明の実施形態による、組み立てられた試料の基板側の破損モードのFESEM顕微鏡写真を示す。
図3b】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のリボン側の破損モードのFESEM顕微鏡写真を示す。
図4a】0サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料の空隙率のX線分析を示す。
図4b】1000サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料の空隙率のX線分析を示す。
図4c】3000サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料の空隙率のX線分析を示す。
図5a】3000サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料のFESEM断面図を示す。
図5b】3000サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料のFESEM断面図を示す。
図5c】3000サイクルの熱衝撃試験に供された後の、本発明の実施形態による組み立てられた試料のFESEM断面図を示す。
図6a】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のDBC側の剥離強度破損モードを示す。
図6b】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のリボン側の剥離強度破損モードを示す。
図7a】本発明の実施形態による、FR4基板上の金属ゲル上のはんだ付けのSEM断面図を示す。
図7b】本発明の実施形態による、FR4基板上の金属ゲル上のはんだ付けのSEM断面図を示す。
図7c】本発明の実施形態による、FR4基板上の金属ゲル上のはんだ付けのSEM断面図を示す。
図8a】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のFESEM断面図を示す。
図8b】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のダイ界面のFESEM断面図を示す。
図8c】本発明の実施形態による、組み立てられた試料のダイ界面のFESEM断面図を示す。
図8d】本発明の実施形態による、組み立てられた試料の基板界面のFESEM断面図を示す。
図8e】本発明の実施形態による、組み立てられた試料の基板界面のFESEM断面図を示す。
図9a】FR4/PI基板上に印刷された、本発明による金属ゲルの印刷表面上の窒素/空気下で印刷及びリフローされたSnBiはんだペーストの画像を示す。
図9b】FR4/PI基板上に印刷された、本発明による金属ゲルの印刷表面上の窒素/空気下で印刷及びリフローされたSnBiはんだペーストの画像を示す。
図9c】FR4/PI基板上に印刷された、本発明による金属ゲルの印刷表面上の窒素/空気下で印刷及びリフローされたSnBiはんだペーストの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明は、これより、以下の非限定的な実施例に関連して論じられる。
【0104】
材料及び装置:
材料:
ネオデカン酸銀、95%、はGelestINCから購入した。
プロパン-1、2-ジオール、トリ-エチレングリコール、及び2-メチル1-3プロパンジオールは、SDFCLから購入した。
テルピネオール(異性体の混合物)は、Loba chemieから購入した。
ギ酸銅(II)四水和物は、Alfa Aesarから購入した。
3-(ジメチルアミノ)-1、2-プロパンジオールは、Tokyo Chemical Industryから購入した。
グリセロール(98%)は、Merckから購入した。
1-エチル-2-ピロリジノンは、Adventから購入した。
【0105】
上記の材料の全ては、分析グレードの試薬であり、更に精製することなく使用された。
【0106】
装置:
ダイ剪断は、Dage 4000PXYで行った。
ダイ取り付けは、Carver(3891CEB.4NE1001)で行った。
粘度は、Brookfield粘度計(HB DV-lll)Spindle CP51で測定した。
X線分析は、PhoenixX線(Microme/X-180)で行った。
剥離強度は、IMADA剥離試験機(モデルMX2-110)を使用して行った。
【0107】
実験:
(1)銀金属ゲルの合成:
実施例1-I:
12gのネオデカン酸銀を、温度計及び凝縮器を装備した2つ口丸底フラスコに量り入れた。銀前駆体に、4.05gのテルピネオール及び0.45gのプロパン-1-2-ジオールを添加した。次いで、全てのネオデカン酸銀が完全に溶解するまで、反応混合物を85℃で一定撹拌しながら加熱した。次いで、得られた混合物を冷却させ、その後、粉砕して均質な金属ゲルを得た。銀化合物が非常に感光性であるため、粒子を含まない金属ゲルを、冷蔵条件下で不透明又は琥珀色の瓶に保持した。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例1-II:
12gのネオデカン酸銀を、温度計及び凝縮器を装備した2つ口丸底フラスコに量り入れた。銀前駆体に、4gのテルピネオールを添加した。次いで、全てのネオデカン酸銀が完全に溶解するまで、反応混合物を85℃で一定撹拌しながら加熱した。次いで、得られた混合物を冷却させ、その後、粉砕して均質な金属ゲルを得た。銀化合物が非常に感光性であるため、粒子を含まない金属ゲルペーストを、冷蔵条件下で不透明又は琥珀色の瓶に保持した。結果を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
金属ゲルの金属含有量は、配合物中の銀前駆体の重量パーセントを変えることによって変えることができる。
【0112】
実施例1-III:
12gのネオデカン酸銀を、温度計及び凝縮器を装備した2つ口丸底フラスコに量り入れた。銀前駆体に、2.25gのテルピネオール及び2.25gのトリゴールを添加した。次いで、全てのネオデカン酸銀が完全に溶解するまで、反応混合物を85℃で一定撹拌しながら加熱した。次いで、得られた混合物を冷却させ、その後、粉砕して均質な金属ゲルを得た。金属ゲルを、冷蔵条件で琥珀色の瓶に保持した。結果を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
実施例1-IV:
12gのネオデカン酸銀を、温度計及び凝縮器を装備した2つ口丸底フラスコに量り入れた。銀前駆体に、2.25gのテルピネオール及び2.25gの2-メチル-1,3-プロパンジオールを添加した。次いで、全てのネオデカン酸銀が完全に溶解するまで、反応混合物を85℃で一定撹拌しながら加熱した。次いで、得られた混合物を冷却させ、その後、粉砕して均質な金属ゲルを得た。結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
(2)金属有機ペーストの合成:
実施例2-I:
9.2gのネオデカン酸銀を容器に量り入れた。それに2.25gのトリエチレングリコールを添加した。次いで、混合物を、遊星型ミキサ内で1000rpmで1分間混合した。次いで、スラリーを粉砕して均質なペーストを得た。ペーストを、冷蔵条件で琥珀色の瓶に保持した。結果を表5に示す。
【0117】
【表5】
【0118】
金属ゲル及びその形状因子:
熱特性評価:
粒子を含まない分子ペースト又は金属ゲルの熱重量分析(Thermogravimetric analysis、TGA)は、溶媒の完全な蒸発及び250℃未満で金属-有機前駆体の分解を示した。250℃で72%の総重量損失は、金属ゲルを250℃で加熱する際に、有機部分が元素銀から完全に切り離され、蒸発して炭素残留物を残さず、しかしバルク銀金属のみを残すという事実を明らかにしている。したがって、銀前駆体の熱分解は、炭素残留物のない純粋な銀金属のみの堆積につながる。250℃を超える温度のTGAでは、残留物パーセントは、化学式に基づくネオデカン酸銀(28重量%)中の銀の理論重量パーセントに近い。これは明らかに、ネオデカン酸銀の熱分解が完全に起こり、純粋な銀のみを残すことを示している。
【0119】
粒子を含まない金属ゲルの示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry、DSC)は、100~120℃で吸熱ピークを示し、それは溶媒のゆっくりとした蒸発とともにネオデカン酸銀の異性体の溶融を示している。ネオデカン酸銀の異性体は、200℃超で発生する熱分解の前に、固相から液相への転移を受ける。DSCにおいて205℃及び228℃での2つの発熱ピークは、銀前駆体の分解が2段階分解プロセスであることを示している。
【0120】
ペーストの粘度及び安定性:
ペーストの粘度を、Brookfield粘度計(HB DV-lll)Spindle CP51を使用して1rpmで測定した。ペーストの粘度は、76Pa.sであった。粘度は、隔日で測定された。製造の1ヶ月後にペーストの粘度に変化はなく、ペーストの良好な安定性を示した。
【0121】
粒子を含まない分子ペースト又は金属ゲル;形状因子及びそのダイ取り付けにおける応用:
(i)印刷ペースト及びそのダイ取り付けにおける応用:
半導体又は他のダイ要素の取り付けは、DEKプリンタの助けを借りて、DBC(直接結合銅)、DPC(直接板銅)、MCPCB(金属コアPCB)、FR4、銅鉛フレーム、可撓性PCBなどの基板に金属ゲル又は粒子を含まない分子ペーストを印刷することによって達成することができる。
【0122】
印刷された基板を、空気中で180℃で60分間乾燥させた。次いで、予め乾燥させた材料を通常の室温で冷却させる。我々の研究は、予め乾燥させた印刷材料が、金属前駆体の分解反応から得られるいかなる有機不純物も含有しないことを示した。ダイ配置前の有機不純物の完全な除去は、ダイと基板との間に炭素を含まない接合部を提供する。金コーティングされたSiダイ及びAgリボンなどのダイ要素を、予め乾燥させた印刷エリアに配置した。次いで、アセンブリをアルミニウムホイル内に包んだ。その後、ビヒクルを、Carverプレスで10MPaの圧力で260℃に1分間かけた。
【0123】
その後、組み立てられた試料を、空隙測定のためにX線分析に供した。組み立てられた試料のX線は、1%未満の空隙を示した。低い空隙率は、銀前駆体の分解前の固相から液相への転移による、ダイ及び基板表面の湿潤に起因し得る。
【0124】
図1a及び図1bは、組み立てられた試料の断面のFESEM顕微鏡写真を示す。SEM断面は、銀の良好な高密度化を示している。SEM断面はまた、ダイ及びまた基板界面上への銀の良好な拡散を明らかにしており、当然のことながら、より高い接合強度の寄与因子である。測定された結合ラインの厚さは、2.5ミクロン~3ミクロンまで変化する。
【0125】
組み立てられた試料の接合強度を、DageDie剪断機を使用して評価した。組み立てられた3mm3mmのAuコーティングされたSiダイは、50MPa超の接合強度を示す。ダイの一部が粉砕し、ダイの大部分が基板に付着したため、ダイ剪断値は正確に定量化することができなかった。260℃で行われた高温ダイ剪断のデータも収集された。ダイ剪断がより高い温度で行われたときに、接合強度に劣化はなかったことがわかった。
【0126】
接合強度は、IMADA剥離試験機を使用して金コーティングされたDBC基板に取り付けられたAgリボン(幅2mm及び厚さ85ミクロン)の剥離強度を測定することによって更に評価された。得られた剥離強度は、報告されているナノ粒子ベースの相互接続材料によって作製された接合部よりもはるかに強かった。接合部の破損モードは、バルク破損を示す。顕微鏡画像(図2a及び図2b)は、銀リボン及びDBC側の両方の銀の拡散層を示す。
【0127】
両方の界面上の銀の拡散層の微細構造を、FESEMを使用して分析した。FESEMの顕微鏡写真(図3a及び図3b)は、リボンの表面上の拡散銀層を示し、DBCは細長いスパイクのような構造を有する。これは、基板からリボンを剥離することが、リボン及びDBCの拡散銀層に大きな応力を生み出し、これが、銀層を表面から突き出させたという事実を明らかにしている。
【0128】
組み立てられた試料は、3000サイクルの、1000サイクルの熱衝撃試験(3分間の滞留時間で+150~-50℃)にかけられた。X線分析は、空隙率が、熱衝撃サイクルの増加する数とともに0.3%から1%までゆっくりと増加することを示している(図4a、図4b、及び図4c)。
【0129】
3000サイクルの完了後、ダイ剪断強度に劣化はなかったことが観察された。ダイ剪断断中に、ダイの大部分が粉砕され、3000サイクル後に基板に付着したことがわかり、これは、優れた接合強度を明らかにしている。図5a、図5b、及び図5cは、3000TSのFESEM断面を示す。断面は、銀層及び界面内に亀裂がなく、両方の界面で銀層の良好な拡散を明らかにしている。
【0130】
我々の研究は、焼結圧力及び焼結時間の増加とともに、剥離強度が増加することを示している。低圧ダイ取り付けの場合、焼結時間を増加させることによって、より高い接合強度を達成することができる。我々の場合、最大20N/mmが、300℃で1分間10MPaで達成され得る。表6は、異なる焼結圧力及び温度での剥離強度を示す。
【0131】
【表6】
【0132】
(ii)自立型銀フィルム/ホイル及びダイアタッチメントにおけるその適用:
自立型銀フィルムの調製:
粒子を含まない分子ペーストをガラス基板上に印刷した。次いで、印刷されたガラス基板を150℃で140分間加熱した。その後、室温で冷却した。その後、ガラス基板を水浴に10分間浸した。これは、印刷をガラスから切り離すのを可能にする。その後、薄い銀フィルムを室温で60分間乾燥させた。銀フィルムの厚さは、ステンシルの厚さによって変わる。基本的に、3ミクロンから15ミクロンまで変化する厚さの銀フィルムを合成した。合成された銀フィルムは可撓性であり、更にこれらのフィルムをダイアタッチ用途に使用した。
【0133】
合成フィルムは、ダイアタッチ相互接続材料として使用することができる。フィルムを、ダイ(33mmのAuコーティングされたSiダイ)と基板(金コーティングされたDBC)との間の相互接続材料として配置した。次いで、組み立てられた試料をアルミニウムホイル内に包み、その後、Carverプレスで6MPaの圧力で260℃に1分間かけた。X線分析は、組み立てられた試料がいかなる空隙の存在も示さなかったことを示した。
【0134】
得られたダイ剪断は、約40MPaであった。得られた破損モードは、界面破損であった。ダイ側には銀の拡散層が見られたが、基板側に銀の層は見られない。
【0135】
ウェハ積層及びダイ取り付けにおけるその適用:
DEKプリンタを使用して、粒子を含まない分子ペーストをAuコーティングされた2’’シリコンウェハ上に印刷した。次いで、印刷されたウェハを、ボックスオーブン内で180℃で75分間乾燥させた。その後、積層ウェハをUVテープに取り付け、ADT7100ダイシング機を使用してダイシングした。その後、コーティングされた個片化されたダイを、Dataconダイボンダを使用して、AuコーティングされたDBCにおけるダイアタッチのために使用した。UVテープは、UVテープ上に銀コーティングのいかなる残りも示さなかった。その後、コーティングされたSiダイを、6MPaの焼結圧力を使用して1分間、250℃でDBC基板に取り付けた。
【0136】
X線分析は、0.3%の空隙の存在を明らかにした。250℃で6MPaの焼結圧力での組み立てられた試料の接合強度は、約40MPaであった。組み立てられた試料の破損モード分析は、バルク破損を示した。
【0137】
金属有機ペースト、ダイアタッチ用途:
本発明の金属有機ペーストをDBC上に印刷した。印刷された基板を、180℃で60分間乾燥させた。次いで、予め乾燥させた材料を、通常の室温で冷却させた。金コーティングされたSiダイ及びAgリボンなどのダイ要素を、予め乾燥させた印刷エリアに配置した。次いで、アセンブリをアルミニウムホイル内に包んだ。その後、ビヒクルを、Carverプレスで10MPaの圧力で260℃に1分間かけた。組み立てられた試料の接合強度を、DageDie剪断機を使用して評価した。組み立てられた3mm3mmのAuコーティングされたSiダイは、50MPa超の接合強度を示す。ダイの一部が粉砕し、ダイの大部分が基板に付着したため、ダイ剪断値は正確に定量化することができなかった。接合強度を、IMADA剥離試験機を使用して金コーティングされたDBC基板に取り付けられたAgリボン(幅2mm及び厚さ85ミクロン)の剥離強度を測定することによって更に評価した。得られた剥離強度は、約8~10N/mmであった。接合部の破損モードは、図6a及び図6bに示されるようにバルク破損を示す。
【0138】
銀金属ゲル上のはんだ付け:
本開示はまた、金属ゲル上のはんだ付けも明らかにする。本発明の金属ゲルは、PI、PET、FR4、ガラス、セラミック、金属及びポリマー基板への5B添加を有することがわかっている。本発明では、金属ゲルをFR4/ポリイミド基板上に印刷し、次いでこれを、180℃で1時間硬化させた。金属ゲルの印刷表面上に、(Sn/Bi)はんだペーストを印刷し、窒素/空気下でリフローした。ポリマー基板上に印刷された金属ゲル上のはんだの良好な湿潤特性が見られた(図9a~図9cを参照)。
【0139】
はんだ付けされたアセンブリを、FESEM顕微鏡写真のために断面化した。図7a、図7b、及び図7cから、はんだペーストが金属ゲル層を通してうまく拡散し、はんだ及びゲル界面に亀裂も見られないことを容易に見ることができる。界面で行われたEDAXは、ほぼ70%のAg及び30%(wt/wt)のSnを示す。組成率は、AgSnの形成を明確に明らかにしている。
【0140】
(3)銅金属ゲルの合成:
実施例3-I:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、0.03gのネオデカン酸銀及び1gのグリセロールを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0141】
実施例3-II:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、0.7gのグリセロール及び0.3gのジエチレングリコールモノメチルエーテルを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0142】
実施例3-III:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、1gのテルピネオールを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0143】
実施例3-IV:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、1gのグリセロールを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0144】
実施例3-V:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、0.5gのグリセロールを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0145】
実施例3-VI:
4.5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、0.5gのCuナノ粉末及び1gのグリセロールを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。その後、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで10分間オービタル混合物中で均質化した。
【0146】
実施例3-VII:
8gの銀金属ゲル(実験セクションのセクション(1)を参照)及び2gの実施例3-IVを秤量し、次いで、1000RPMで1分間、3回オービタル混合物を使用して混合及び均質化した。
【0147】
実施例3-VIII:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、1gのグリセロール及び0.31gの1-エチル-2-ピロリジノンを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。次いで、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで1分間オービタル混合物中で均質化した。
【0148】
実施例3-IX:
5gのギ酸銅(II)四水和物を秤量し、0.2gの3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールをそれに添加した。次いで、この混合物を時々撹拌しながら130℃で10分間加熱し、次にそれを室温に冷却した。その後、1gの1-エチル-2-ピロリジノンを前の混合物に添加し、次いでそれを2~3分間混合した。次いで、混合物全体をスリーロールミルで粉砕し、次いでそれを、1000RPMで1分間オービタル混合物中で均質化した。
【0149】
銅ゲル、ダイアタッチ用途:
銅ゲルを、DBC上に印刷した。次いで、印刷された基板を、窒素雰囲気中で160℃で30分間乾燥させた。その後、予め乾燥させた材料を室温で冷却させた。金コーティングされたSiダイなどのダイ要素を、予め乾燥させた印刷エリア上に配置した。その後、アセンブリを、クッション効果のためにグラファイトシートを備えたアルミニウムホイル内に包んだ。その後、ビヒクルを、Carverプレスで10MPaの圧力で260℃に2分間かけた。組み立てられた試料の接合強度を、DageDie剪断機を使用して評価した。組み立てられた3mm3mmのAuコーティングされたSiダイは、70MPa超の接合強度を示す。ダイの一部が粉砕し、ダイの大部分が基板に付着したため、ダイ剪断値は正確に定量化することができなかった。
【0150】
組み立てられた試料の断面のFESEM顕微鏡写真(図8a~図8e)は、銅の良好な高密度化を示している。SEM断面はまた、ダイ及び基板界面上への銅の良好な拡散も明らかにしており、当然のことながら、より高い接合強度の寄与因子である。200ミクロンのステンシルを使用した印刷のためのボンドライン厚は、約11ミクロンである。
【0151】
銅金属ゲル上のはんだ付け:
本発明の金属銅ゲルは、150~200℃で5MPaの最小圧力で積層される場合、PI、PET、及びFR4基板に良好な添加を有することがわかっている。本発明では、銅ゲルをFR4/ポリイミド基板上に印刷し、それは次いで、窒素下で160℃で30分間予め乾燥させ、その後200℃(PI及びFR4)/150℃(PET)で2分間、5MPaの圧力でCarverプレスで積層される。金属銅ゲルの積層表面上に、はんだペーストを印刷し、窒素下でリフローした。ポリマー基板上に印刷された金属銅ゲル上のはんだの良好な湿潤特性が見られた。1026の部品がはんだ付けされたとき、接合強度はバルク破損で4~5kgであった。
【0152】
前述の詳細な記載は、説明及び図解によって提供されたものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に示される現時点で好ましい実施形態の多くの変形例は、当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に留まる。
【0153】
本発明は、これより、以下の番号付けされた条項を参照して説明される。
1.焼結組成物であって、
溶媒、及び
溶媒中に溶解した金属錯体、を含む、焼結組成物。
2.ゲル、好ましくは金属ゲルの形態の、条項1に記載の焼結組成物。
3.焼結組成物が、ダイアタッチ用である、条項1又は2に記載の焼結組成物。
4.溶媒が、金属錯体で過飽和である、条項1~3のいずれか一項に記載の焼結組成物。
5.焼結組成物が、実質的にポリマーを含まず、好ましくは実質的に有機ポリマーを含まない、条項1~4のいずれか一項に記載の焼結組成物。
6.焼結組成物が、実質的に金属粒子を含まない、及び/又は実質的に金属錯体の粒子を含まない、条項1~5のいずれか一項に記載の焼結組成物。
7.金属錯体が、有機金属錯体を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の焼結組成物。
8.有機金属錯体の金属が、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Cu、及びMoのうちの1つ以上から選択され、好ましくは、Cu及び/又はAgである、条項7に記載の焼結組成物。
9.金属錯体が、ネオデカン酸銀を含む、条項1~8のいずれか一項に記載の焼結組成物。
10.溶媒が、300℃未満、好ましくは250℃未満、より好ましくは200℃未満の沸点を有する、条項1~9のいずれか一項に記載の焼結組成物。
11.金属錯体が、300℃未満、好ましくは250℃未満、より好ましくは200℃未満の温度で実質的に分解する、条項1~10のいずれか一項に記載の焼結組成物。
12.焼結組成物が、焼結組成物の総重量に基づいて、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上の量の金属錯体を含む、条項1~11のいずれか一項に記載の焼結組成物。
13.焼結組成物が、焼結組成物の総重量に基づいて、20重量%金属以上、好ましくは25重量%金属以上、より好ましくは30重量%金属以上、更により好ましくは35重量%金属以上を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の焼結組成物。
14.溶媒が、有機溶媒を含み、好ましくは、溶媒が、プロパン-1-2-ジオール、テルピネオール、トリゴール、又は2-メチル-1,3-プロパンジオールのうちの1つ以上から選択され、好ましくは、テルピネオールである、条項1~13のいずれか一項に記載の焼結組成物。
15.焼結組成物の粘度が、70,000~80,000cPである、条項1~14のいずれか一項に記載の焼結組成物。
16.焼結組成物が、実質的に金属酸化物を含まない、条項1~15のいずれか一項に記載の焼結組成物。
17.自立型フィルム若しくはホイル、及び/又はウェハ上に積層された形態の、条項1~16のいずれか一項に記載の焼結組成物。
18.焼結ペーストであって、
溶媒、及び
溶媒中に懸濁された金属錯体、を含む、焼結ペースト。
19.条項1~17のいずれか一項に記載の焼結組成物を含む、条項18に記載の焼結ペースト。
20.溶媒が、トリエチレングリコールを含む、条項18又は19に記載の焼結ペースト。
21.金属錯体が、焼結ペーストの総重量に基づいて、70重量%以上、好ましくは80重量%以上の量である、条項18~20のいずれか一項に記載の焼結ペースト。
22.焼結ペーストが、ダイアタッチ用である、条項18~21のいずれか一項に記載の焼結ペースト。
23.自立型フィルム若しくはホイル、及び/又はウェハ上に積層された形態の、条項18~22のいずれか一項に記載の焼結ペースト。
24.条項1~17のいずれか一項に記載の焼結組成物を製造する方法であって、
金属錯体を溶媒中に少なくとも部分的に溶解して、溶液を形成することと、
溶液を粉砕することと、を含む、方法。
25.溶解が、60℃~100℃、好ましくは70℃~80℃の温度で実行される、条項24に記載の方法。
26.溶液が、粉砕前に冷却される、条項24又は25に記載の方法。
27.条項18~23のいずれか一項に記載の焼結ペーストを製造する方法であって、
金属錯体及び溶媒を含むスラリーを提供することと、
スラリーを粉砕することと、を含む、方法。
28.ダイアタッチメント、ウェハツーウェハ接着、気密及び近気密シール、ディスペンシング、及び相互接続ラインの生成、から選択された方法における、条項1~17のいずれか一項に記載の焼結組成物、及び/又は条項18~23のいずれか一項に記載の焼結ペーストの使用。
29.2つ以上の作業片間の接合部を形成する方法であって、
接合される2つ以上の作業片を提供する工程と、
条項1~17のいずれか一項に記載の焼結組成物、及び/又は条項18~23のいずれか一項に記載の焼結ペーストを2つ以上の作業片の近傍に提供する工程と、
焼結組成物及び/又は焼結ペーストを加熱して、少なくとも部分的に溶媒を蒸発させる工程と、を含む、方法。
30.溶媒が実質的に蒸発され、好ましくは、溶媒が完全に蒸発される、条項29に記載の方法。
31.焼結組成物及び/又は焼結ペーストの金属錯体の少なくとも一部が分解し、好ましくは、焼結組成物及び/又は焼結ペーストの金属錯体の実質的に全てが分解する、条項29又は30に記載の方法。
32.加熱が、300℃未満、好ましくは270℃未満、より好ましくは250℃未満、最も好ましくは230℃未満の温度で実行される、条項29~31のいずれか一項に記載の方法。
33.加熱が、実質的に炭素を含まない接合部をもたらす、条項29~32のいずれか一項に記載の方法。
34.金属錯体の金属が、少なくとも部分的に焼結されている、条項29~33のいずれか一項に記載の方法。
35.条項1~17のいずれか一項に記載の焼結組成物、及び/又は条項18~23のいずれか一項に記載の焼結ペーストを使用して形成される焼結接合部であって、好ましくは、焼結接合部が、条項29~34のいずれか一項に記載の方法を使用して形成される、焼結接合部。
36.接合部が、実質的に溶媒を含まず、好ましくは実質的に炭素を含まない、条項35に記載の焼結接合部。
37.接合部が、実質的に金属錯体を含まない、条項35又は36に記載の焼結接合部。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9a
図9b
図9c