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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】機械ツール
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20240708BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20240708BHJP
   B23P 9/02 20060101ALI20240708BHJP
   B24B 39/04 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B23Q17/00 F
B23Q7/04 B
B23P9/02
B24B39/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022531351
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020084795
(87)【国際公開番号】W WO2021122078
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】19216571.0
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517095652
【氏名又は名称】ヘーゲンシャイト・エムエフデー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヘンク、クリスティアン
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-025176(JP,A)
【文献】特開2003-242469(JP,A)
【文献】特開2016-053958(JP,A)
【文献】特開2007-007773(JP,A)
【文献】特表2020-514072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23Q 7/04
B23P 9/02
B24B 39/04
B23Q 3/00- 3/18
G06K 19/00-19/18
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械において、ラム(3、4;13)に取り付けられたツール(5)を設置位置に割り当てるためのシステムであって、前記システムは、
RFIDチップ(16)であって、
ラム(3、4;13)に設けられており、
書き込み可能であり、
トランスポンダを有し、
メモリを有し
パッシブな複数のデジタル入力部を有する、前記RFIDチップ(16)と、
電気的に切替可能とした接触パネル(10;17)であって、
複数の接触部(11、12)を有し、
前記機械のツールホルダー(1、2)に設けられた、前記接触パネル(10;17)と、を備え、
前記接触パネル(10;17)の前記複数の接触部(11、12)は、前記RFIDチップ(16)の前記複数のデジタル入力部に接触することができ、
前記RFIDチップ(16)はクエリプロセス中に少なくとも1つの識別子と前記複数のデジタル入力部の割り当てを送信し、
前記システムは深圧延機械で実現されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記ラム(3、4;13)が意図したように取り付けられている場合、前記複数のデジタル入力部は、前記機械の前記接触パネル(10;17)に直接接触していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記機械の接続位置に設けられた前記接触パネル(10)には4つの接触部(11、12)があり、それぞれが、前記RFIDチップ(16)のデジタル入力部と接触することができることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記RFIDチップ(16)が前記ツール(5)に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ラム(3、4)は、前記深圧延機械のサポートローラーヘッドおよび深圧延ヘッドである、ツールヘッドとして設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
機械において、ラム(3、4;13)に取り付けられたツール(5)を設置位置に割り当てるためのシステムを操作する方法であって、ラムは、前記ツールに関する情報で書き込み可能であるとともに、トランスポンダおよびメモリを有するRFIDチップを有して設けられ、
前記RFIDチップのパッシブな複数のデジタル入力部は、前記機械の接続位置に位置する前記機械の接触パネルと接触するとともに、少なくとも1つの識別子と前記複数のデジタル入力部の割り当てが、クエリプロセス中に前記RFIDチップ(16)によって送信され
RFIDチップ(16)が深圧延機械のサポートローラーヘッドだけでなく深圧延ヘッドにも設けられているとともに、前記機械は、すべての接続点に接触パネル(10)を有することを特徴とする、方法。
【請求項7】
ツールヘッドの前記設置位置は、前記RFIDチップ(16)の前記複数のデジタル入力部の配線について前記RFIDチップ(16)によって送信される前記情報から推測されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ツール(5)に関する記述は、前記RFIDチップ(16)によって送信される前記情報から推測されることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記RFIDチップ(16)によって送信された前記情報が構成要素の監視のために評価されることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械ツールにおいて、ラムに取り付けられたツールを設置位置に配置するためのシステムを操作する方法、および、当該システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械ツールは、必要な作業や機械ツールの用途に応じて、様々な位置に様々なツールを備えている。本発明の目的のために、「ツール」という用語は、基本的に、ワークピースと接触する要素を含み、すなわち、例えば、機械におけるハンドリング構成要素を含む。ツールおよび構成要素は通常、いわゆるラム上に設けられるか、いわゆるラムを含む。
【0003】
オペレータは、ツールが機械において特定の設置位置に配置されているかどうか、その場合、これがタイプまたはライフサイクルの観点から正しいツールであるかどうかについて知ることに基本的に関心がある。
【0004】
通常、このような機械は生産または機械加工の目的で使用される。すなわち、このような機械は、激しい振動が発生し、汚染が発生し、高温となる可能性があり、多くの金属物体や表面が存在し、さらに、通常、設置スペースが殆どまたは全くない環境において使用される。
【0005】
特許文献1は、機械において、ラムに取り付けられたツールを設置位置に割り当てるためのシステムである。ここで、ラム上に設けられた書き込み可能であるRFIDチップは、トランスポンダ、メモリ、およびパッシブデジタル入力部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-025176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記載の先行技術に基づいて、本発明は、機械ツールの操作方法を提供するとともに、多くの組立作業を必要とせずに、対応する機械においてツールの設置、位置等の監視を実行できるシステムを提案するといった課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の技術的解決手段を見い出すべく、特許の請求項1の特徴を備えたシステムが提案されている。さらなる利点と特徴は、下位請求項に記載されていまる。
さらに、対応するシステムを実装した機械ツールの操作方法が提案されている。
【0009】
本発明はまた、機械ツールおよびラム上において設けることを可能とする装置を含む(これにより対応する配置が可能である)。
本発明によれば、解決手段は、RFID技術を含む。RFIDシステムは、一般に、トランスポンダと読み取り装置とを含む。トランスポンダは識別コードを含む。現在のRFIDトランスポンダは書き込み可能であり、必要な情報を記憶可能である。通信は、読み取り装置によって短距離で生成された交番磁場、あるいは、長距離でのほぼ高周波数の無線波によって達成される。これはデータを送信するだけでなく、トランスポンダにエネルギーを供給する。これは、パッシブトランスポンダが電源を必要としないことを意味する。
【0010】
読み取り装置のソフトウェアは、読み取りプロセスを制御し、情報をEDPシステムに送信する。
RFIDチップには、いわゆる切替入力部を備えていると知られている。最も単純なケースでは、これらはチップによってクエリ可能である入力部である。入力部は配線されていても、されていなくともよく、入力部ごとに少なくとも2つの状態となる。
【0011】
本発明は、トランスポンダ、メモリ、および対応する切替可能入力部含む、そのようなRFIDチップを使用する。
本発明によれば、接触パネルは、機械上に構築され、RFIDチップの入力部に繋がることができる。繋がりは、RFID入力部を接触パネルに直接接触させることによって直接的に実現できる。あるいは、繋がりは、アダプタや配線等を使用して実現してもよい。
【0012】
機械の接触パネルは、接触パネルの個々の接触部が互いに異なる切替状態または充電状態を有することができるように切り替えることができる。本発明の有利な提案によれば、接触パネルは全く配線されていないか、または接地されている。
【0013】
たとえば、RFIDチップ検出切替可能入力部によって識別できる4つの接触パネルを使用することにより、16の異なる配線状態を実現できる。配線状態は、バイナリであるため、通常は2の互いに異なる状態である。接触パネルの接触部は、電圧またはたとえばアース(接地)のいずれかに切り替えられていないか、切り替えられている。
【0014】
対応するラムが対応するツールを備えている場合、RFIDチップはコンピュータまたはEDPによってツールに一意に割り当てられていてもよい。これは、識別子を介して、またはRFIDチップに直接書き込むことによって行うことができる。必要に応じて、これはツール自体に関する情報、つまり、その用途機能、診断結果、構成要素監視情報なども提供する。
【0015】
そして、ラムが意図したとおりに機械ツールにおける対応する位置に配置された場合、機械の接触パネルの複数の接触部が、RFIDチップの複数のデジタル入力部と繋がる。したがって、デジタル入力部の配線は、接触パネルの配線により識別可能である。読み取り装置によってクエリされると、RFIDチップは、識別子またはその他の情報と同時に、複数のデジタル入力部のそれぞれの配線状態も送信する。これは、機械において一意の設置位置を割り当てることができることを意味する。
【0016】
したがって、本発明を使用することにより、ツールが機械ツールの意図された設置位置に取り付けられているかどうか、もしそうであれば、どのツールが取り付けられているかを、接触することなく判定することが可能である。
【0017】
RFIDテクノロジーを使用しているため、これは電源を必要とせず、最小限のケーブルで実現される。たとえば、アースケーブルは、特定の接触部と繋がる接触パネルへと導かれてもよい。非接触状態の接触部は0に対応し、接触状態の接触部は1に対応する。4つの接触部を使用した場合、たとえば、0001、0010、0100、1000などの配線によって識別子を生成可能である。対応するツールとRFIDチップとともにラムが所与の位置に設置されている場合、接触パネルの複数の接触部に繋がるデジタル入力部について、配線を判定できる。たとえば、配線が0010となっている場合、これがこのように配線された設置位置、つまりツール位置2であることは明らかである。
【0018】
有利な提案によれば、本発明は深圧延機械で実施され得る。従来の機械ツールでは、ツール、ワークピースと接触する部品、ハンドリング構成要素、ツールタレットなどの取り付け点、他の標準化されたツールインターフェース、個別に設計されたインターフェースなどは、原則として、本発明に従って設計することができるが、たとえば、深圧延機械を取り巻く環境には非常な困難が伴う。
【0019】
深圧延機械は、メインベアリングシートとピンベアリングシートの間の半径の周り、およびクランクウェブ上でクランクシャフトを強固にするために使用される。これは、深圧延ヘッドとサポートローラーヘッドを備えた、いわゆる深圧延ユニットと呼ばれるペンチ型のツールを使用して行われる。これらのツールヘッドは、タイプと位置に関して監視される。すべてのツールへとケーブルを導くことは簡単に実装できるわけではなく、常に避けるべきである。
【0020】
本発明によれば、ツールヘッドはパッシブRFIDチップを備えている。トランスポンダチップには、特定のツールに関する情報が記載されている。さらに、対応する接触情報または配線情報は、複数の切替可能デジタル入力部を介して記録され、読み出し中に送信される。たとえば、あるタイプの深圧延機械では、ツールタイプごとに14のツール位置が可能である。したがって、少なくとも4つの接触パネルまたは4つのトランスポンダチップ入力部が必要である。したがって、機械には同時に最大28個のツールがある。それらは通常、互いに非常に接近しており、アセンブリ用のスペースをほとんど残していない。通常、金属環境は振動や汚染の影響を受ける。最大80°Cの温度も生じ得る。
【0021】
本発明による接触面は、対応する設置位置に割り当てることができる回路に使用される。
これにより、RFIDチップを読み取るだけで、機械上の特定の設置位置が占有されているかどうか、占有されている場合はどのツールまたはどのラムを使用しているかを常に判定可能となる。その後、EDPはさらに配置を行うことができる。
【0022】
ツールが取り付けられている接続構造であるラムは、変更が必要な機械ツールの一部である。このRAMにはRFIDチップが搭載されている。ラムが挿入される機械にはツールホルダーがある。接触パネルはツールホルダーに直接組み込まれている。
【0023】
ラムは、RFIDチップを直接備えていてもよいし、機械の接触パネルと接触して、対応する配線を介してRFIDチップに接続する接触パネルを備えていてもよい。これはアダプタと称される。
【0024】
本発明によれば、接触パネルがベース接触部を有するとともに、ベース接触部が様々な方法または様々な組み合わせで他の接触部に導電可能とした態様で接続されることが提案されている。これで、RFIDチップをベース接触部を介して配線できるようになり、電気接続を介して接触パネルの他の接触部から「読み取る」ことが可能となる。これにより、接触パネルを接続するために機械上においてケーブルを接続する必要がなくなる。配線はRFIDチップ自体によって効果的に提供される。
【0025】
たとえば16の配線オプションを提供するべく接触パネルが4つの接触部で構成されている場合、5番目の接触要素、いわゆるベース接触部が必要である。これは、他の4つの接触パネルに様々な組み合わせで接続される。
【0026】
本発明は、機械ツールの困難な環境においても、わずかな労力で実施でき、常にツールを設置位置に明確に割り当てることができるシステムおよび操作方法を提案する。
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の図の以下の説明において説明される。以下の項目が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の設計例の斜視図を示している。
図2図2は、図1に係る正面図を示している。
図3図3は、接触パネルの設計例の上面図を示している。
図4図4は、代替の配線を備えたツールホルダーを示している。
図5図5は、図4に係る領域5の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述した図では、同じ要素に同じ参照番号が付けられている。
図1図2は、機械上において設けた例を示している。示している設計例では、機械のツールホルダー1およびツールホルダー2は、ラム3および4を備えており、そして、これらは、ツール5を保持している。示している設計例では、これらは圧延用のローラーである。
【0029】
接触領域6は、ツールホルダー1とラム3との間に設けられている。ここで、接触パネルがツールホルダー側に位置しているとともに、対応する接触パネルを備えたRFIDチップがラムに位置している。このことは、ツールホルダー2とラム4との間の接触領域7についても同様である。
【0030】
しかしながら、示している設計例では、ツールホルダー2は、レセプタクルアダプタ8が実際のラム4とツールホルダー2との間に設けられているという点で、特別なフィーチャを有している。アダプタ8は、接触パネル7を介してツールホルダー2と接触しているとともに、接触領域9を介して実際のラム4と接触している。ここで、機械上において、RFIDチップおよび接触パネルは、接触領域8に位置している。
【0031】
図3は、接触パネル10の例を示している。接触パネル10は、図示の設計例では、ベース接触部11および切替可能接触部12を有する。ベース接触部11は、任意の組み合わせで示される4つの切替可能接触部12に接続され得る。RFIDチップは、ベース接触部11を介して電圧またはアース(接地)に切り替えることができる。接触パネルとの接触を行うことにより、本発明によれば、RFIDチップは、切替可能接触パネルの回路の組み合わせを判定することともに、従って位置を推定することができる。
【0032】
図4は、ラム上において特別に設けたRFIDチップを示している。示しているのは、ラム3と同じラム13である。ただし、接触領域14には、2つの接触パネル10および17のみが設けられている。これらは、互いに接触している。そして、接触パネル17は、配線15を介してRFIDチップ16に接続されている。この設計は、たとえば、RFIDチップの安全な配置を選択できるようにするために、接触領域のいずれの箇所に対しても適用可能である。
【0033】
上述の設計例は説明を目的としたものであり、限定的なものではない。
【符号の説明】
【0034】
1…ツールホルダー
2…ツールホルダー
3…ラム
4…ラム
5…ツール
6…接触領域
7…接触領域
8…レセプタクルアダプタ
9…接触領域
10…接触パネル
11…ベース接触部
12…接触部
13…ラム
14…接触領域
15…配線
16…RFIDチップ
17…接触パネル
図1
図2
図3
図4
図5