(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】保管システム内の荷物取り扱い装置の安定性
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240708BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240708BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240708BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
H01M50/249
H01M50/244 Z
(21)【出願番号】P 2022544766
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2021051469
(87)【国際公開番号】W WO2021148612
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハベル、マレック
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】エラヒ、ハムザ
(72)【発明者】
【氏名】コスロシャリ、ネガール
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529181(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
H01M 50/249
H01M 50/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの1つまたは複数のスタック(12)の上方のグリッド構造(15)を画定するようにグリッドパターンで配置される複数の軌道(22)を支持するグリッドフレームワーク構造(14)を備える保管システム内に積み重ねられた1つまたは複数のコンテナ(10)を持ち上げ移動させるための荷物取り扱い装置(30)であって、前記グリッドパターンは複数のグリッドセル(17)を備え、コンテ
ナの1つまたは複数のスタック
(12)の各々は単一のグリッドセル(17)のみの占有面積内に設置され、前記荷物取り扱い装置(30)は、
A)前記グリッド構造(15)上で前記荷物取り扱い装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構と、
B)
前記荷物取り扱い装置(30)を第1の方向に移動させるための車輪の第1のセット(34)と、前記荷物取り扱い装置(30)を第2の方向に移動させるための車輪の第2のセット(36)とを備える車輪アセンブリ(134)を備える駆動アセンブリと、
C)使用に際して、前記保管システム内の単一のグリッドセル(17)のみを実質的に占有する占有面積を有する車両本体(132)と、を備え、
前記車両本体(132)は、
i)前記駆動機構に給電するための再充電可能電源(142)と、
ii)第1の空間(152)
及び第2の空間(142b)と、
ここで、前記第1の空間(152)はコンテナ(10)を収容するように構成され、前記再充電可能電源(142)は前記第2の空間(142b)内に収容され、
前記第2の空間は前記第1の空間のすぐ上にあり、
iii)使用に際して、コンテナ(10)を解除可能に握持し、前記スタック(12)から前記第1の空間(152)へと前記コンテナ(10)を持ち上げるように構成された把持装置(39)と持ち上げ駆動アセンブリ(140)とを備える持ち上げ装置と、
iv)上方部分と下方部分とを有するシャーシと、ここで、前記再充電可能電源が前記上方部分内に取り付けられ、前記車輪アセンブリが前記下方部分内に取り付けられ、前記シャーシは、前記荷物取り扱い装置の質量中心が前記第2の空間(142b)内にあるように前記下方部分内におもりを備え、前記おもりは、前記車輪アセンブリ(134)を取り付けるための車輪取り付けプレート(234)を備えており、
を収容するものである、荷物取り扱い装置(30)。
【請求項2】
前記荷物取り扱い装置(30)の前記質量中心(320)は、
X軸及びZ軸が水平面を規定するとき、前記荷物取り扱い装置(30)の中心点から、X方向に-10mmから-13mm、Y方向に440mmから490mmの範囲、Z方向に4.5mmから6mmの範囲で、外れている、請求項1に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項3】
前記第1の空間(152)は、
コンテナ(10)を収容したとき、前記荷物取り扱い装置(30)の前記質量中心(320)が、前記荷物取り扱い装置の前記中心点から、前記X方向に-12mmから13mm、前記Y方向に470mmから475mm、前記Z方向に5.0mmから5.6mm、だけ外れて変位されるよう
な質量を有する前記コンテナ(10)を収
容する、請求項2に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項4】
前記コンテナ(10)は、前記荷物取り扱い装置の前記質量中心(320)が、前記荷物取り扱い装置の前記中心点から、前記X方向に-10mmから11mm、前記Y方向に440mmから450mm、前記Z方向に4.5mmから5.0mm、だけ外れて変位されるように、約35kgの重量を有するペイロードを備える、請求項3に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項5】
前記再充電可能電源(142)は、
前記再充電可能電源(142)を前記車両本体(132)に取り付けたとき、前記荷物取り扱い装置の
前記質量中心(320)を、X方向に40mmから45mm、Y方向に50mmから60mm、およびZ方向に5mmから7mm変位させる、請求項
1から4のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項6】
前記再充電可能電源(142)は、前記車両本体(132)の対向する側
壁のペアの間の実質的に中央に取り付けられ
ている、請求項1から5のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項7】
前記持ち上げ装置は、持ち上げテザーの第1のペアを別々に搬送するスプールの第1のペア(146)と、持ち上げテザーの第2のペアを別々に搬送するスプールの第2のペア(148)とを備え、前記スプールの第1のペアおよび第2のペア(146、148)は、前記車両本体(132)に対して前記把持装置(39)を上昇または下降させるために前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)によって駆動され、ここで、前記スプールの第1のペア(146)は、前記再充電可能電源(142)が前記スプールの第1のペア(146)と前記スプールの第2のペア(148)との間に部分的に設置される
べく前記第2の空間(142b)を画定するように、前記スプールの第2のペア(148)から離間され
ている、請求項6に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項8】
前記再充電可能電源(142)と前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)は同じ水平平面内に取り付けられている、請求項7に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項9】
前記再充電可能電源(142)および前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)はトレイ(154)上に取り付けられている、請求項7または8に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項10】
前記第2の空間(142b)は、前記再充電可能電源(142)が前記車両本体の外側から除去可能であるように、前記車両本体(132)の外側からアクセス可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項11】
前記再充電可能電源(142)は、前記再充電可能電源(142)の第1の面から引っ張ることによって、前記車両本体(132)から除去可能である、請求項10に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項12】
前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)は、前記再充電可能電源の第2の面に隣接して取り付けられ、前記第2の面は前記第1の面と対向する、請求項11に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項13】
前記再充電可能電源(142)は、レール上に取り付けられている、請求項10から12のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項14】
前記車両本体(132)は、すべての側面上に壁を備え、使用に際して、前記保管システムにおいて単一のグリッドセルのみを実質的に占有する四辺形占有面積を形成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項15】
前記シャーシは車輪取り付けプレート(234)を備え、前記車輪アセンブリ(134)は前記車輪取り付けプレート(234)に取り付けられ、前記車輪取り付けプレート(234)の質量は、前記再充電可能電源(142)の質量よりも大きい、請求項
1から14のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項16】
前記車輪取り付けプレート(234)が、前記車輪の第1のセット(34)が対向するプレートの第1のペアに取り付けられ、前記車輪の第2のセット(36)が、対向するプレートの第2のセットに取り付けられるように、前記対向するプレートの第1のペアと、前記対向するプレートの第2のペアとを備える、請求項1
5に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項17】
前記再充電可能電源(142)は、電気的に互いに接続され、カセット(143)を画定するためにケース内に収容される、複数の再充電可能電力セルを備
える、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項18】
前記再充電可能電力セルは電池セルを備える、請求項1
7に記載の荷物取り扱い装置(30)。
【請求項19】
軌道の第1のセット(22a)、および複数のグリッド空間またはグリッドセル(17)を備えるグリッドパターン(15)を形成するために実質的に水平な平面内で前記軌道の第1のセット(22a)に横断方向に
走る軌道の第2のセット(22b)と、
平行な
前記軌道の第1のセット(22a)および平行な
前記軌道の第2のセット(22b)の下に
位置するコンテナの複数のスタック(12)と、ここで、前記コンテナのスタック(12)の各々は単一のグリッド空間またはグリッドセル(17)を占有し、
荷物取り扱い装置(30)であって、グリッド空間またはグリッドセル(17)を占有するコンテナのスタック
(12)の上方に位置決めされるとき、
前記持ち上げ装置が、前記コンテナのスタック(12)から少なくとも1つのコンテナ(10)を持ち上げるように構成されるように、前記複数のグリッド空間またはグリッドセル(17)の上で前記軌道の第1のセット(22a)および前記軌道の第2のセット(22b)に沿って
進行するように配置された請求項1から
18のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)と、
を備える保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねられたコンテナを保管するグリッドフレームワーク構造を備える保管システム内の保管コンテナまたは容器を取り扱うための荷物取り扱い装置の分野に関し、より詳細には、グリッドフレームワーク構造上での荷物取り扱い装置の安定性に関する。
【背景技術】
【0002】
注文調達または倉庫施設は、一般的に、さまざまな販売業者から在庫の出荷を受け入れ、受け入れた在庫を在庫目録に保管するための受け入れ動作を含む。注文調達または倉庫施設は、一般的に、3次元保管グリッド構造を備える保管システムまたは自動保管システムを備え、その中に、保管コンテナ/容器が互いの上に積み重ねられ、よく知られている。PCT公報第WO2015/185628A号(Ocado)は、容器またはコンテナのスタックがグリッドフレームワーク構造内で配置される既知の保管および調達システムについて説明する。容器またはコンテナは、グリッドフレームワーク構造の上に設置された軌道上で動作する荷物取り扱い装置によってアクセスされる。このタイプの保管システム(1)は、添付の図面の
図1~
図3に概略的に示されている。
【0003】
図1および
図2に示されるように、容器10として知られる積み重ね可能なコンテナは、スタック12を形成するために互いの上に積み重ねられる。スタック12は、倉庫環境または製造環境内のグリッドフレームワーク構造14内に配置される。グリッドフレームワークは、複数の保管列またはグリッド列から構成される。グリッドフレームワーク構造内の各グリッドは、コンテナのスタックの保管のための少なくとも1つのグリッド列を有する。
図1は、グリッドフレームワーク構造14の概略斜視図である。
【0004】
グリッドフレームワーク構造14は、水平部材18、20を支持する複数の直立部材16を備える。平行な水平部材18の第1のセットは、直立部材16によって支持される複数の水平グリッド構造を形成するように平行な水平部材20の第2のセットに垂直に配置される。部材16、18、20は、一般的に、金属から製造される。容器10は、グリッドフレームワーク構造14が、容器10のスタック12の水平移動を防ぎ、容器10の垂直移動を導くように、グリッドフレームワーク構造14の部材16、18、20の間に積み重ねられる。
【0005】
グリッドフレームワーク構造14の最上部レベルは、スタック12の最上部にわたってグリッド構造15を画定するために複数のグリッドセル17を備えるグリッドパターンで配置されたレール22を含む。
図2は、フレームワーク構造14内に配置された容器10のスタック12を示す、グリッド構造の単一のグリッドセル17の上面図である。各容器10は、一般的に、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、容器10内の製品アイテムは、用途に応じて、同一であってもよいし、異なる製品タイプであってもよい。
【0006】
さらに
図3を参照すると、レール22は、複数の荷物取り扱い装置30を支持する。平行なレール22の第1のセット22aは、グリッドフレームワーク構造14の最上部にわたる第1の方向(たとえば、X方向)におけるロボット荷物取り扱い装置30の移動を導き、第1のセット22aに垂直に配置された平行なレール22の第2のセット22bは、第1の方向に垂直な第2の方向(たとえば、Y方向)における荷物取り扱い装置30の移動を導く。このようにして、レール22は、荷物取り扱い装置30がスタック12のいずれかの上方の位置へ移動可能であるように、水平X-Y平面内の2つの次元において側方にロボット荷物取り扱い装置30の移動を可能にする。
【0007】
図4に示される既知の荷物取り扱い装置30は車両32を備え、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許公報第WO2015/019055号(Ocado)に記載されており、各荷物取り扱い装置30は、グリッドフレームワーク構造14の1つのグリッド空間のみを包含する。ここで、荷物取り扱い装置30は、車両32の前部上の車輪のペアと第1の方向におけるデバイスの移動を導くためにレールまたは軌道の第1のセットと係合するための車両32の後部上の車輪34のペアからなる車輪34の第1のセットと、第2の方向におけるデバイスの移動を導くためにレールまたは軌道の第2のセットと係合するための車両32の両側上の車輪36のペアからなる車輪36の第2のセットとを備える車輪アセンブリを備える。
【0008】
図5(aおよびb)に示される荷物取り扱い装置は、上方から保管コンテナを持ち上げるように持ち上げ装置またはクレーンデバイスが備え付けられる。持ち上げ装置は、垂直方向に延び、保管コンテナ10への解除可能な接続のための把持装置(把持装置の4つの角の各々近くの1つのテザー)としても知られる持ち上げフレーム39の4つの角に接続された持ち上げテザー38のセットを備える。把持装置39は、
図1および
図2に示されるタイプの保管システム内のコンテナのスタックから保管コンテナ10を持ち上げるために保管コンテナ10の最上部を解除可能に握持するように構成される。
【0009】
図1~
図3に示されていないが、荷物取り扱い装置30は、動作中にオンボード再充電可能電池によって給電される。再充電可能電池の例は、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、薄膜電池、およびスマート電池カーボンフォームに基づいた鉛電池である。電池は、荷物取り扱い装置30が充電ステーションによってグリッドフレームワーク構造上で動作する間、再充電される。充電ステーションは、一般的に、グリッドフレームワーク構造に近接して固定され、グリッド構造の縁で通常のグリッドセルの上に延びる、L字形構造である。充電ステーションは、充電ステーションに対して所定の位置に固定された充電接点を備える充電ヘッドを備える。充電ヘッドは、充電ヘッドがグリッドフレームワークの少なくとも2つのグリッド空間の上に吊り下げられるように、L字形構造の1つのアームに取り付けられる。荷物取り扱い装置は、その上方に充電ヘッドが設置されたグリッドセルに移動するように命令されることによって充電されてよい。荷物取り扱い装置がグリッドセルへと移動すると、接点が、荷物取り扱い装置の上部表面の上の充電接点パッドと充電ヘッドの充電接点との間に作成される。電荷は、荷物取り扱い装置の上部表面の上に据えられた充電接点パッドを通じて充電接点から荷物取り扱い装置に付与される。
【0010】
コンテナ内で保管されるアイテムは、厳密な保管温度で保管されることが必要とされる腐りやすい性質のさまざまな食物と食糧雑貨商品とを含むことがあるので、荷物取り扱い装置は、厳しい温度条件で、グリッドフレームワーク構造上で動作可能である。異なる保管温度には、周囲制御温度、冷蔵温度、および冷凍温度がある。冷凍温度は、実質的に-25℃から実質的に0℃の間、より好ましくは実質的に-21℃から実質的に-18℃の間の範囲をカバーし、冷蔵温度は、実質的に0℃から実質的に4℃の間、好ましくは実質的に0℃から実質的に5℃の間の範囲をカバーし、周囲制御温度は、実質的に4℃から実質的に21℃の間の範囲、好ましくは実質的に18℃をカバーする。その結果、電池の充電は、充電器が調達センタの周囲ゾーンで設置されるか、冷蔵ゾーンで設置されるか、または冷凍ゾーンで設置されるかに応じて、さまざまな温度条件で行われることがある。
【0011】
電池の充電中に、充電ステーションからの電流の一部分が熱エネルギーへと変換される。熱エネルギーは、電池の外部に放散されなければならず、さもなければ、熱が蓄積し、電池の温度を上昇させる。充電ステーションが48ボルトで150アンペアを上回って電荷を送達すれば、電池の温度に対する制御は、電池の熱暴走を防止することに優先する。放散される熱の量が多いとき、電池の温度は通常の温度範囲を超え、電池の性能が劣化させられ、電池の繰り返し耐用年数が最終的に短縮されるという結果になる。たとえば、荷物取り扱い装置内で車輪と持ち上げ駆動機構とを駆動するのに電力を送達するために使用される最も一般的なタイプの電池の1つは、リチウムイオン電池である。そのような電池は、過熱されたときにそれら自体の酸素の内部供給を作る能力を有する。より詳細には、酸素は、主にコバルトまたはニッケルコバルト酸化物から構成される高温でアノードから遊離される。酸素と燃料の両方がセルにとって内部的に利用可能であるので、火災が電池セルのうちの1つまたは複数内で始まることができる。火災が消滅されない限り、火災は、電池内の可燃性材料のすべてが枯渇するまで持続する。
【0012】
充電されている間に電池が加熱するための寄与要因の1つは、その内部抵抗である。電池のより高い内部抵抗は、充電時に電池を加熱させ、熱は、安全性の問題に至る損傷を引き起こすことがある。低い内部抵抗は、要求に応じて電池が高い電流を送達することを可能にするが、高い内部抵抗は、電流を制限させ、荷物上の電圧を低下させる。電池の内部抵抗は、温度に非常に依存し、周囲温度が減少するにつれて増加する。これは、低温は、電池内で生じる電気化学反応を減速させ、したがって、電解質中のイオンの移動度の減少を引き起こすからである。荷物取り扱い装置は、調達センタの冷蔵ゾーンまたは冷凍ゾーン内で動作可能であることができるので、電池の充電中だけでなく放電中の電池の加熱も、グリッド構造上で動作可能であるとき、ますます増大する問題であり、電池の有効繰り返し耐用年数を短縮することを引き起こす。熱暴走につながり得る電池のこの加熱を軽減するために、さまざまな試みが当技術分野でなされてきた。熱暴走は、電池内の化学反応を促進し、電池セルの内部の温度上昇を加速させるように内部短絡または過充電などの何らかの理由で電池の内部温度が高温たとえば200℃以上に増加する状況を指す。
【0013】
当技術分野で提案される解決策の1つは、特に充電中に熱を周囲に効果的に放散するように荷物取り扱い装置の本体内の1つまたは複数の電池を再度位置決めすることである。WO2019/206440(Autostore Technology AS)は、グリッド内のレールシステム上での第1の方向(X)に沿って車両を移動させるために車両本体の対向する部分に配置された車輪の第1のセットと、グリッド内のレールシステム上で第2の方向(Y)に沿って車両を移動させるために車両本体の対向する部分に配置された車輪の第2のセットであって、第2の方向(Y)は第1の方向(X)に垂直である、車輪の第2のセットとを備える、下層保管システムの3次元グリッドから保管コンテナをピックアップするためのコンテナ取り扱い車両を教示する。車両本体は、すべての側面に壁を備え、四辺形占有面積と、車両本体によって形成される占有面積の中心点に対して中心を外れて第1の区分の中心点が配置されるように並んで配置された第1の区分および第2の区分とを形成し、第2の区分の占有面積に対する第1の区分の占有面積のサイズ比は少なくとも2:1であり、第1の区分は、保管コンテナを収納するように構成され、第2の区分は、少なくとも第1の電池を備える。第2の区分は、電池およびモータの冷却を可能にするために、より開放的である。しかしながら、第1の区分と第2の区分とを並んで配置し、それによって、第1の区分が単一のグリッドセルのサイズに等しくなることは、第2の区分が第1の区分の占有面積を超えて延びることを意味していた。第1の区分の占有面積は単一のグリッドセルを占有するので、車両の総占有面積は、単一のグリッドセルを超えて延びる。
【0014】
グリッド構造上での動作中、荷物取り扱い装置は、4m/sもの速さで進行し、グリッド構造上で2m/s2加速することができる。したがって、充電中の電池の加熱および放電中の重い荷物もまた、荷物取り扱い装置の本体内での電池の位置決めは、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性に対する影響を有する。30kgもの重さであれば、電池の位置は、荷物取り扱い装置の重心(CoG)に対する影響を有する。高いCoGは、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性を低下させる。WO2019/206440(Autostore Technology AS)は、外部にまたは荷物取り扱い装置の本体のコンテナ受け入れ空間の側面に電池を取り付けることによってグリッド構造の単一のグリッドセルの上を延びるように荷物取り扱い装置の占有面積を増加させることによって、この問題を軽減した。荷物取り扱い装置の増加された占有面積は、荷物取り扱い装置の改善された安定性を提示し、電池の位置決めは、熱が電池から放散されることを可能にする。
【0015】
したがって、依然として単一のグリッドセルを占有する占有面積を有しながら上記の問題に悩まされない荷物取り扱い装置が求められる。
【0016】
本出願は、2020年1月24日に出願された英国特許出願第GB2001012.0号、2020年3月4日に出願された同第GB2003101.9号、および2020年10月30日に出願された同第GB2017257.3号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0017】
本出願人は、上記のことを、コンテナの1つまたは複数のスタックの上方にグリッド構造を画定するようにグリッドパターンで配置される複数の軌道を支持するグリッドフレームワーク構造を備える保管システム内に積み重ねられた1つまたは複数のコンテナを持ち上げ移動させるための荷物取り扱い装置またはロボット荷物取り扱い装置であって、グリッド構造は複数のグリッドセルを備え、コンテナの1つまたは複数のスタックの各々は単一のグリッドセルのみの占有面積内に設置され、荷物取り扱い装置またはロボット荷物取り扱い装置は、
A)グリッド構造上で荷物取り扱い装置を移動させるために動作可能に配置された駆動機構と、
B)使用に際して、保管システムにおいて単一のグリッドセルのみを実質的に占有する占有面積を有する車両本体と、前記車両本体は、
i)駆動機構に給電するための再充電可能電源と、
ii)第1の空間と第2の空間と、第1の空間はコンテナを収納するために構成され、再充電可能電源は第2の空間内に収容される、
iii)使用に際して、コンテナを解除可能に握持し、スタックから、第1の空間へとコンテナを持ち上げるように構成された、持ち上げ駆動アセンブリと把持装置とを備える持ち上げ装置または機構と
を収容する、
を備え、
ここにおいて、再充電可能電源は、荷物取り扱い装置の質量中心が第2の空間内にあるように、第1の空間の上方に配置される、荷物取り扱い装置またはロボット荷物取り扱い装置を提供することによって軽減した。
【0018】
荷物取り扱い装置は、車両本体の前部上の車輪のペアと第1の方向におけるデバイスの移動を導くためにレールまたは軌道の第1のセットと係合するための車両本体の後部上の車輪のペアからなる車輪の第1のセットと、第2の方向における荷物取り扱い装置の移動を導くためにレールまたは軌道の第2のセットと係合するための車両本体の両側上の車輪のペアからなる車輪の第2のセットとを備える、車輪アセンブリを備える。荷物取り扱い装置の本体によって確定される占有面積が単一のグリッドセル内の空間を占有する場合、本出願人は、再充電可能電源によって占有される空間内の荷物取り扱い装置の重心(CoG)または質量中心(CoM)のように、コンテナ受け入れ空間の上方に再充電可能電源を有するならば、荷物取り扱い装置の安定性がグリッド構造上で驚くほど改善されることを実現した。本発明の目的で、「単一のグリッドセルを占有する占有面積」という句は、荷物取り扱い装置の把持装置が単一のグリッドセルへと下降し、グリッド列内に保管されたコンテナを取り出すことが可能であるように、荷物取り扱い装置の車輪が単一のグリッドセル10の周囲の周りで軌道に載せてある(
図2を参照されたい)という意味で、荷物取り扱い装置の占有面積が、隣接するグリッドセルへと延びないことを意味すると解釈される。単一グリッドセル荷物取り扱い装置を達成するために、コンテナは、荷物取り扱い装置の車両本体内のコンテナ受け入れ空間内に保管される。これは、
図5に明らかに示されている。「重心」と「質量中心」という用語は、説明では互換的に使用される。荷物取り扱い装置が重力場によって影響される場合、質量中心は、荷物取り扱い装置の重心に等しい。したがって、質量中心と重心の場所は等しい。荷物取り扱い装置の重心が低いほど、荷物取り扱い装置は安定する。再充電可能電源の重量は、荷物取り扱い装置の全重量のかなりの割合を表すので、車両本体内の再充電可能電源の位置は、荷物取り扱い装置の重心の場所に影響する。好ましくは、再充電可能電源は、第1の空間のすぐ上に設置される、すなわち、第2の空間は第1の空間のすぐ上にある。
【0019】
好ましくは、荷物取り扱い装置の質量中心は、荷物取り扱い装置の中心点から、X方向に-10mmから-13mm、Y方向に440mmから490mm、およびZ方向に4.5mmから6mm、外れる。X方向、Y方向、およびZ方向は、荷物取り扱い装置が直立位置にあるとき、(3次元平面内での)デカルト座標を表す。質量中心は、X方向、Y方向、およびZ方向における荷物取り扱い装置の本体の中心からのその変位に関して規定される-荷物取り扱い装置の本体の中心は、原点すなわち0,0,0である。本発明の目的のために、Y方向は、垂直軸に沿って垂直方向に延びる。X方向およびZ方向は、水平平面内にある。したがって、Y座標が大きいほど、質量中心は高くなり、グリッド構造上の荷物取り扱い装置は不安定になる。
【0020】
車両本体内の再充電可能電源の場所は、荷物取り扱い装置がペイロードを搬送しているとき、すなわち、車両本体の第1の空間内にコンテナがあるとき、質量中心が第2の空間内にあるままであるようなものである。好ましくは、第1の空間は、荷物取り扱い装置の質量中心が、荷物取り扱い装置の中心点から、X方向に-12mmから13mm、Y方向に470mmから475mm、およびZ方向に5.00mmから5.6mm、外れて変位されるようにコンテナを収納する。好ましくは、コンテナは、荷物取り扱い装置の質量中心が、荷物取り扱い装置の中心点から、X方向に-10mmから11mm、Y方向に440mmから450mm、およびZ方向に4.5mmから5.0mm、外れて変位されるように約35kgの重量を有するペイロードを備える。好ましくは、再充電可能電源は、荷物取り扱い装置の重心を、X方向に40mmから45mm、Y方向に50mmから60mm、およびZ方向に5mmから7mm変位させる。
【0021】
CoMが第2の空間内にあるままであるようにCoMを第2の空間内に設置するために、好ましくは、再充電可能電源は、車両本体の対向する側壁のペアの間の実質的に中央に取り付けられる。好ましくは、持ち上げ装置は、持ち上げテザーの第1のペアを別々に搬送するスプールの第1のペアと、持ち上げテザーの第2のペアを別々に搬送するスプールの第2のペアとを備え、第1のスプールおよび第2のスプールは、車両本体に対して把持器を上昇または下降させるためにリフト駆動アセンブリによって駆動され、スプールの第1のペアは、再充電可能電源がスプールの第1のペアとスプールの第2のペアとの間に部分的に設置されるように第2の空間を画定するように、スプールの第2のペアから離間される。たとえば、再充電可能電源は、スプールの第1のペアおよび第2のペアの車輪のうちの一方の間に設置される。
【0022】
好ましくは、再充電可能電源と持ち上げ駆動アセンブリは、同じ水平平面内に取り付けられる。任意選択で、再充電可能電源および持ち上げ駆動アセンブリは、トレイ上に取り付けられる。同じ水平平面内のトレイ上に再充電可能電源および持ち上げ駆動アセンブリを取り付けることによって、再充電可能電源の重量は、車両本体内の持ち上げ駆動アセンブリの重量のバランスをとる。持ち上げ駆動アセンブリは、把持装置を上昇および下降させるためにスプールの第1のペアおよび第2のペアを駆動するためのモータを備える。持ち上げ駆動アセンブリは、スプールの第1のペアおよび第2のペアに巻き付けられ、把持装置に付着された1つまたは複数の持ち上げテザーをさらに備える。再充電可能電源の重量と持ち上げ駆動アセンブリの重量とのバランスをとることは、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性を維持する助けになる、すなわち、持ち上げ駆動アセンブリのモータは、再充電可能電源の重量を打ち消す。
【0023】
好ましくは、第2の空間は、再充電可能電源が車両本体の外側壁から除去可能であるように、車両本体の外側からアクセス可能である。好ましくは、再充電可能電源は、再充電可能電源の第1の面から引っ張ることによって、車両本体から除去可能である。任意選択で、再充電可能電源は、車両本体の側面から再充電可能電源が容易にアクセス可能であることができるようにトレイ上で戻される。好ましくは、持ち上げ駆動アセンブリは、再充電可能電源の第2の面に隣接して取り付けられ、この第2の面は第1の面と対向する。再充電可能電源の除去を支援するために、好ましくは、再充電可能電源は、再充電可能電源が車両本体の側面から容易に摺動して出られ得るようにレール上に取り付けられる。
【0024】
好ましくは、車両本体は、すべての側面上に壁を備え、使用に際して、保管システムにおいて単一のグリッドセルのみを実質的に占有する四辺形占有面積を形成する。したがって、再充電可能電源の交換は、再充電可能電源の第1の面を露出させ、それによって、第1の面から引っ張ることにより、再充電可能電源が車両本体から除去されるために、車両本体の側壁またはパネルの1つを除去することを伴う。
【0025】
好ましくは、駆動アセンブリは、荷物取り扱い装置を第1の方向に移動させるための車輪の第1のセットと荷物取り扱い装置を第2の方向に移動させるための車輪の第2のセットとを備える車輪アセンブリを備える。好ましくは、車両本体は、上方部分と下方部分とを有するシャーシを備え、再充電可能電源は、上方部分内に取り付けられ、車輪アセンブリは、下方部分内に取り付けられ、シャーシの質量のより大きい割合は、下方部分内にある。シャーシの質量または重量を垂直に変化させることによって、シャーシの質量のより大きい割合が下方部分内に集中可能であり、すなわち、シャーシの下方部分の質量は、シャーシの上方部分よりも大きい。シャーシの重量をシャーシの下方部分内に集中させることによって、単一のグリッドセルを占有する占有面積を有する荷物取り扱い装置の安定性が改善される。任意選択で、車輪アセンブリはシャーシ上に取り付けられ、シャーシの質量は、電池の質量よりも大きい。シャーシの重量は、第1の空間の上方の再充電可能電源の重量を相殺する助けとなる。好ましくは、車両本体は、シャーシに取り付けられた側面パネルを備える。任意選択で、車輪アセンブリはシャーシ上に取り付けられ、シャーシの質量は、電池の質量よりも大きい。任意選択で、シャーシは車輪取り付けプレートを備え、車輪アセンブリは、車輪取り付けプレートに取り付けられ、車輪取り付けプレートは、電池の重量よりも大きい重量を有する。好ましくは、車輪取り付けプレートは、車輪の第1のセットは、対向するプレートの第1のペアに取り付けられ、車輪の第2のセットは、対向するプレートの第2のセットに取り付けられるように、対向するプレートの第1のペアと、対向するプレートの第2のペアとを備える。
【0026】
好ましくは、再充電可能電源は、電気的に互いに接続され、カセットまたはケースを画定するためにケース内に収容される、複数の再充電可能電力セルを備える。再充電可能電源をカセット内でカプセル化することは、車両本体の第2の空間を占有する標準化されたエンクロージャを提供する。カセットの内部空洞は、異なるタイプおよび/または形状の再充電可能電源を占有するために可撓性である。好ましくは、再充電可能電力セルは、電池セルを備える。
【0027】
本発明は、
軌道の第1のセット、および複数のグリッド空間またはグリッドセルを備えるグリッドパターンを形成するために実質的に水平な平面内で軌道の第1のセットに横断方向に走行する軌道の第2のセットと、
平行な経路の第1のセットおよび平行な経路の第2のセットの下に設置されたコンテナの複数のスタックと、ここにおいて、コンテナのスタックの各々は単一のグリッド空間またはグリッドセルを占有する、
グリッド空間またはグリッドセルを占有するコンテナのスタックの上方に位置決めされたとき、持ち上げ装置が、前記コンテナのスタックから少なくとも1つのコンテナを持ち上げるように構成されるように、複数のグリッド空間またはグリッドセルの上で軌道の第1のセットおよび軌道の第2のセットに沿って横断するように配置された、本発明に記載のロボット荷物取り扱い装置と
を備える自動保管システムを提供する。
【0028】
荷物取り扱い装置およびロボット荷物取り扱い装置という用語は、説明では、同じ特徴を表すために互換的に使用される。
【0029】
本発明のさらなる特徴および態様は、図面を参照しながらなされる例示的な一実施形態の以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】既知のシステムによるグリッドフレームワーク構造の概略図。
【
図2】
図1のフレームワーク構造内に配置された容器のスタックを示す上面図の概略図。
【
図3】グリッドフレームワーク構造上で動作する荷物取り扱い装置の既知の保管システムの概略図。
【
図4】上方からコンテナを握持する持ち上げ装置を示す荷物取り扱い装置の概略斜視図。
【
図5(a)】荷物取り扱い装置のコンテナ受け入れ空間を示す、
図4の荷物取り扱い装置の概略斜視切欠図。
【
図5(b)】荷物取り扱い装置のコンテナ受け入れ空間を収納するコンテナを示す、
図4の荷物取り扱い装置の概略斜視切欠図。
【
図6】電池受け入れ空間を示す、本発明の一実施形態による荷物取り扱い装置の斜視図。
【
図7】本発明の実施形態による荷物取り扱い装置の斜視側面図。
【
図8】本発明の実施形態による、電池および持ち上げ駆動アセンブリの配置を示す荷物取り扱い装置の斜視上面図。
【
図9】本発明の電池および持ち上げ駆動アセンブリを支持する取り付けトレイの斜視上面図。
【
図10】本発明の実施形態による電池および持ち上げ駆動アセンブリの取り付けの斜視側面図。
【
図11】本発明の一実施形態による電池カセットの斜視図である。
【
図12】本発明の別の実施形態による電池カセットの斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、電池セルを収容する電池カセットの一例の概略図。
【
図14】本発明の一実施形態による電池の熱管理システムの簡略ブロック図。
【
図15】本発明の別の実施形態による電池の熱管理システムの簡略ブロック図。
【
図16】本発明の一実施形態による、ペルチェ素子を組み込んだ熱管理システムの簡略ブロック図。
【
図17】本発明の実施形態による、車両本体内の電池カセットの位置を示す荷物取り扱い装置の概略図。
【
図18】グリッド構造上の荷物取り扱い装置の交差平面に対する荷物取り扱い装置の質量中心の場所を示す図。
【
図19】本発明の一実施形態による、車輪アセンブリの取り付けのためのシャーシを示す荷物取り扱い装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図6は、本発明の一実施形態による荷物取り扱い装置130の斜視側面図を示し、
図7は、荷物取り扱い装置130の背面図を示す。本発明の説明の目的で、荷物取り扱い装置の本体内の電池の位置を明らかにするように、荷物取り扱い装置の、電子的補助的構成要素などの補助的構成要素および軌道上で荷物取り扱い装置を移動させるための駆動アセンブリの嵩はない。
図6および
図7に示される荷物取り扱い装置130は、軌道上で第1の方向に荷物取り扱い装置を導くための車輪の第1のセットと軌道上で第2の方向に荷物取り扱い装置を導くための車輪の第2のセットとを備える、車輪アセンブリ134上に取り付けられた車両本体132を備える。車両本体132は、側面パネル136と、上面パネル138とを備える。本発明の特定の実施形態では、車両本体132は、単一のグリッドセルを占有するまたはグリッド構造の単一のグリッドセル内にある占有面積を画定する。
【0032】
特許の導入部において論じられたように、車輪の第1のセットは、車両本体の前部にある車輪の第1のペアと、車両本体132の後部にある車輪のペアとを備える。車輪の第1のセットは、軌道またはレールの第1のセットと係合するために配置される。車輪の第2のセットは、軌道の第2のセットと係合するための、車両本体の両側の車輪のペアを備える。車輪の第1のセットおよび車輪の第2のセットは、垂直に移動することによって軌道の第1のセットおよび軌道の第2のセットと選択的に係合解除し、それによって、荷物取り扱い装置130がグリッド構造上で所望の方向に、すなわちグリッド構造上でX-Y方向に移動することを可能にするように構成される。
【0033】
図6~
図8における概略図に存在するのは、把持装置139を荷物取り扱い装置130の本体132に巻き上げるための持ち上げ駆動アセンブリ140と、持ち上げ駆動アセンブリ140ならびに車輪アセンブリ134に電力を供給するための電池142である。持ち上げ駆動アセンブリは、把持装置139を上昇および降下させるように構成されたモータ140を備える。特に本発明の実施形態では、持ち上げ駆動アセンブリのモータ140は単一のモータであるが、単一のモータであることに限定されない。持ち上げ装置または機構は、ウインチまたはスプールの第1のペア146および第2のペア148を備える巻き上げアセンブリ144をさらに備える。ウインチまたはスプールの第1のペアおよび第2のペア146、148は、把持装置139に付着された持ち上げテザー150を別々に搬送する。
図8で明らかなように、ウインチの第1のペアおよび第2のペア146、148は、本発明の電池142を収納するための電池受け入れ空間を画定するように車両本体132内で離間して取り付けられる。本発明の説明の目的で、電池142の下のコンテナを収納するためのコンテナ受け入れ空間152は、第1の空間と呼ばれ、本発明の電池を収納するための空間は、第2の空間142bと呼ばれる。把持装置139は、コンテナの最上部を握持し、
図1および
図2に示されるタイプの保管システム内のコンテナのスタックからコンテナを持ち上げるように構成される。一般的に、把持装置139はフレームとして構成され、4つの持ち上げテザーは、
図5に示される把持装置の各角に固定される。持ち上げテザーの第1のペアは、把持装置139の1つの側面に付着され、ウインチの第1のペア146上で巻き上げられ、持ち上げテザーの第2のペアは、把持装置139の他の側面に付着され、ウインチの第2のペア148上で巻き上げられる。
【0034】
図8に示される電池142は、ウインチの第1のペア146および第2のペア148によって画定された第2の空間内に位置決めされる。電池142は、電池142がウインチの第1のペア146と第2のペア148との間、より詳細には、ウインチの第1のペア146の単一のウインチまたはスプールとウインチ148の第2のペアの単一のウインチとの間に、部分的に位置決めされるように、車両本体132の側壁136の1つの方へ戻される。これは、電池が車両本体132の側壁の1つを通して容易に交換可能であることを可能にする。
図8に示される特定の実施形態では、電池142は、車両本体132の前壁または後壁のどちらかの方へ戻される。さらに、車両本体132内の第1の空間152の上方および部分的にウインチの第1のペア146と第2のペア148との間の電池142の位置は、荷物取り扱い装置の重心を降下させ、したがって、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性を改善する。これは、荷物取り扱い装置の車両本体が、単一のグリッドセルを占有する占有面積を画定する場合に、特に有益である。荷物取り扱い装置の重心または質量中心に影響する車両本体内の電池の位置のさらなる詳細は、以下で論じられる。
【0035】
本発明の電池142は、
図9および
図10に示されるトレイまたはサブフレーム154に取り付けられることによって、車両本体132内に固着される。荷物取り扱い装置内の電池142の重量のバランスをとり、したがって、荷物取り扱い装置の安定性を改善するために、電池142を取り付けるためのトレイ154の使用は、他の補助的構成要素またはハードウェア構成要素の重量が、荷物取り扱い装置内の電池を釣り合わせることを可能にする。本発明の特定の実施形態では、電池142および持ち上げ駆動アセンブリ140は、電池142の重量が持ち上げ駆動アセンブリ140の重量を打ち消す(釣り合わせる)ように、互いに隣接して、トレイ154の対向する端に取り付けられる。本発明の特定の実施形態における持ち上げ駆動アセンブリ140は、単一のホイストモータを備える。荷物取り扱い装置130内で電池142の重量と持ち上げ駆動アセンブリ140の重量のバランスをとることは、軌道上の直立位置における荷物取り扱い装置を安定させる助けとなる。
【0036】
また
図9および
図10に、より詳細には
図11および
図12にも示されるように、電池は、ケースまたはカセット143内に収容される。電池を収容するためのカセット143の使用は、電池が電池の1つの特定の製造業者および/またはサイズおよび/または形状に限定されないように、さまざまな製造業者からの異なるタイプの電池セルを収納するために柔軟性を提供する。カセット143の外壁は、車両本体内のコンテナ受け入れ空間の上方の第2の空間に嵌合するようなサイズおよび形状にされているが、カセットの内部空間または空洞は、異なるタイプおよび/または形状の電池または他の再充電可能電源を収納するように適合可能である。たとえば、外部形状および/またはサイズは標準化可能であるが、カセット143の内部空間または空洞は、可撓性になされ得る。
【0037】
さらに、本発明のカセット143は、カセット内に収容される電池の温度を調節するために熱管理システムも収納することができる。その詳細は、以下で論じられる。電池を収容する本発明のカセット143の例は、
図11および
図12に示されている。どちらの例でも、カセットまたはケース143は、上壁および下壁156と、側壁158とを備える。カセット143は、単一の本体または一緒に接着された別個の部品として製作可能である。任意選択で、カセット143は、プラスチック材料から形成される。
【0038】
側壁158は、四辺形占有面積を提供するように配置された前壁と後壁とを備える。
図11および
図12に示される本発明の特定の実施形態では、カセットの前壁または後壁は、正のDC端子および負のDC端子に対応する少なくとも2つの端子160を備える。少なくとも2つの端子160は、カセット内の電池セルのスタックに電気的に結合され、車両本体内の相補的形状の電気コネクタと電気的に結合するように配置される。カセットの前部または後部に少なくとも2つの端子を位置決めすることは、カセットが、車両本体の最上部から降下されるのではなく、車両本体132の側面の1つから車両本体へと摺動されることを可能にする。これは、車両本体の側面パネルの1つを除去し、持ち上げ機構のウインチまたはスプール間の第2の空間へとカセット143を摺動させるだけで、電池が容易に入れ替えられるまたは交換されることを可能にする。少なくとも2つの端子160は、車両本体内の少なくとも2つの対応するような形状にされた雌型嵌合部分内に受け入れられるように構成された2つの雄型部分として示されている。しかしながら、カセット143の前壁上の雌型嵌合部分と電気的に結合するように構成された雄型嵌合部分が車両本体内にある場合、逆の配置が本発明において適用可能であるので、本発明は、車両本体上の雌型嵌合部分と電気的に結合するように配置された雄型嵌合部分がカセット143上にあることに限定されない。少なくとも2つの電気端子を車両本体内の電気コネクタとの係合へと導く助けとなるために、1つまたは複数のガイド162は、車両本体内の対応するような形状にされた凹部へと受け入れられるカセットの前壁または後壁に取り付け可能である。1つまたは複数のガイド162は、車両本体内の電気コネクタとの係合への少なくとも2つの端子160の適切な位置決めを支援するように、テーパ端を備えることができる。
【0039】
荷物取り扱い装置130からカセット143を据え付けるまたは交換するとき、オペレータは、車両本体の側面パネルの1つを単に除去するであろう。荷物取り扱い装置の本体内にカセットが既にある場合、オペレータは、カセット143を第2の空間内のその着座区域から摺動させるように、電気コネクタがカセットの前部にあるか後部にあるかに応じてカセットの前面または後面からを引っ張ることによって、既存のカセットを除去するであろう。前面は、カセットの第1の面であり、前面に対向する後面は、カセットの第2の面として画定される。カセットは、好ましくは、カセットが容易に摺動して出されることを可能にするように、車両本体内のレールまたは軌道上の取り付け具である。車両本体内のカセットの着座区域は、
図9では、より明らかである。新たに充電された電池は、電気コネクタを備える第2の面における電気端子が車両本体内の相補的な形状にされた電気コネクタと係合するようにレールに沿ってカセットを押すことによって、第2の空間へと据え付けられる。カセットの側方積み込みは、電池が容易に交換されることを可能にする。
【0040】
電池は、電池が充電状態であろうと放電状態であろうと、ある量の熱を生成し得る。生成される熱が大きいとき、電池の温度は、通常の最適な温度範囲を超え、電池の減少された性能を招き、最終的に、電池の繰り返し耐用年数が減少される。電池の内部抵抗ESR(等価直列抵抗)は低温で増加するので、電池の充電中の熱放散の問題は、温度がマイナス18℃に達することができる調達センタの冷蔵ゾーンおよび/または冷凍ゾーン内で悪化する。充電は、48ボルトで約160アンペアの電池を通して電流を送達することを伴うことができる。したがって、電池の内部抵抗の小さい増加は、生成される大量の熱という結果になる。本発明の目的で、電池の最適性能にとって理想的な温度範囲は、20℃から40℃の領域内にある。電池の動作温度は、電池の最適な性能に影響するので、車両本体内の他の補助的電気構成要素から放散される熱も、電池の動作温度に影響するであろう。その結果、電池は、車両本体の外壁に伝統的に限定された、またはWO2019/206440(Autostore Technology AS)に論じられるように、電池からの熱が外側周囲に放散し、それによって、充電中の過剰な熱暴走を防止することを可能にするように、コンテナ受け入れ空間の側面に側方に取り付けられた。電池は、荷物取り扱い装置の重量のかなりの割合を表すので、車両本体内の電池の位置は、グリッド上の直立位置における荷物取り扱い装置の安定性に対する影響も有する。したがって、電池の動作温度が、電池が最適な状態で実行する作業可能範囲内に確実にあることと、グリッド構造上の直立位置における荷物取り扱い装置の安定性との間で、バランスがとれている。理想的には、荷物取り扱い装置の安定性を改善するために個々の重量に基づいて補助的構成要素および/またはハードウェア構成要素の最適な配置を有することが優先である。荷物取り扱い装置の車両本体内の他の補助的電気構成要素と他のハードウェア構成要素との間に電池を設置する能力は、本発明では、電池内の温度調節装置を備える熱管理システムを統合することによって可能にされる。カセット143は、温度調節装置を備える統合された熱管理システムとともに電池をカプセル化するための空洞を提供する。
【0041】
本発明の特定の実施形態では、「電池」という用語は、電池パックを形成するために互いに電気的に接続された1つまたは複数の電池セルを包含する。電池は、限定するものではないが、任意の再充電可能電源を含む。再充電可能電源の例は、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、薄膜電池、およびスマート電池カーボンフォームに基づいた鉛電池である。本発明は、電池に限定されず、モータに電荷を保管し、電力を送達することが可能である他の再充電可能電源、たとえば、キャパシタ、スーパーキャパシタ、または電池とスーパーキャパシタの組合せ(ハイブリッドシステム)は、本発明において適用可能である。本発明の特定の実施形態では、本発明の説明の目的で、再充電可能電源は、電池に関して論じられる。
【0042】
図11および
図12に示されていないのは、カセットの壁が1つまたは複数のベント孔を備えることである。ベント孔は、冷気がカセット143の内部空間を通って循環することを可能にする。1つまたは複数のベントは、1つまたは複数の入口ベントと、1つまたは複数の出口ベントとを備えることができる。冷気は、1つまたは複数の入口ベントを通って引かれ、暖気は、1つまたは複数の出口ベントから排出される。カセットの内部空間は、任意選択で、電池セルの周りの気流を最大化し、したがって、電池から熱を奪う循環空気の表面積露出を最大化するように、空気がカセットの内部空間の周りで蛇行した経路を通って流れることを可能にするために、1つまたは複数のチャネル(図示せず)を備えることができる。たとえば、冷気は、カセットの少なくとも1つの入口ベントを通って電池に入り、カセットの内部空間または空洞に沿って流れることができ、暖気は、少なくとも1つの出口ベントを出ることによって奪われる。少なくとも1つの入口ベントおよび出口ベントは、カセットの壁のいずれか、たとえば底壁および上壁に形成可能である。カセットの1つまたは複数の壁は、入口ベントおよび/または出口ベントを提供するために穿孔可能である。気流チャネルは、気流が電池セルの周りの蛇行した経路を通って導かれることを可能にするように、カセットへと組み込み可能である。
【0043】
電池のより良い冷却効果を達成するために、熱管理システムは、カセットの内部空間の温度を調節するために温度調節装置を備える。カセットの内部空間の温度を調節することによって、電池の温度は、その最適な性能に調節可能である。本発明の特定の一実施形態では、温度調節装置は、ファンを備える。ファンの回転を通して、空気の追従性は、空気が、電池パック内で生成された熱をすばやく奪うように、カセットの内部空間を通って加速される。これは、電池セルが、安定した温度範囲内で働き、電池パック内の電池セルの耐用年数を延長することを可能にする。本発明の目的で、電池の最適性能にとって理想的な温度範囲は、20℃から40℃である。
図11および
図12に示される本発明の特定の実施形態では、1つまたは複数の冷却ファン164、166は、カセットの内部空間を通る気流の循環を遂行するためにカセットの前壁に取り付けられる。
図11に示される実施形態では、2つのファン、すなわち第1のファン164および第2のファン166は、カセットの壁に取り付けられる。第1のファン164は、任意選択で、カセット143aの内部空間へと冷気を引き、第2のファン166は、カセット143bの内部空間から外部周囲区域へ暖気を引き出す。第1のファンおよび第2のファン164、166はまた、気流が、電池パック内で生成された熱をすばやく奪うように、カセットの内部空間の周りの空気の追従性を改善する。
【0044】
図11にも示されるのは、カセット143aの壁に取り付けられ、ファン164、166の回転によってベントを通る空気の流れを向けるまたは導く開口を有する1つまたは複数の配管168、170である。ファン164、166は、ファンに入る空気が、ダクトのうちの1つまたは複数を通って導かれることによってベントを通って押し出されるように、配管168、170に取り付けられる。同様に、ファンによって引き出された暖気は、ダクトを通って導かれ、ファンを出る。本発明の説明の目的で、配管へと冷気を引くためのファンは、入口ファンと呼ばれ、配管から暖気を引き出すためのファンは、出口ファンと呼ばれる。
図11に示されるように、入口ファン164および出口ファン166はそれぞれ、空気が配管を通って導かれるように配管に取り付けられる。任意選択で、入口ファンおよび出口ファンはそれぞれ、配管と直列に取り付け可能である。
【0045】
1つまたは複数のダクトは、空気が車両本体の異なる部品から引かれるまたはこれへと排出されることも可能にする。たとえば、冷気がカセット143aの内部空間へと引かれる場合、配管は、車両本体の冷却器区域から、すなわち電気的補助的構成要素および電子的補助的構成要素から離れて、空気を引くように延びることが可能である。これは、暖気が入口ベントのうちの1つまたは複数へと引かれることを防止する。同様に、出口ベントの場合、配管は、プロセッサまたはコントローラなどの感熱性電子構成要素から離れて車両本体の区域へ暖気を排出するように成形可能である。これは、ファンが配管と直列に取り付けられる場合に可能である。
【0046】
1つまたは複数の配管は、カセットに別々に取り付け可能である。あるいは、1つまたは複数の配管は、単一の本体または一体的本体としてカセットと一体的に形成可能である。入口ファンは、カセットの内部空間へと冷気を引くように構成され、出口ファンは、カセットの内部空間から暖気を引き出すように構成されるが、逆も、本発明に適用可能であり、入口ファンは、カセットの内部空間へと暖気を引き、出口ファンは、カセットの内部空間から冷気を排出するように構成される。たとえば、調達センタの冷蔵ゾーンまたは冷凍ゾーンでは、車両本体の暖かい区域から取られた暖気は、電池の最適温度範囲に、すなわち20℃から40℃の間に、電池の温度を上昇させるために使用可能である。持ち上げ機構および/または駆動アセンブリおよび/または補助的電子構成要素のモータから放散された熱は、最適な温度範囲に電池を温めるために収穫または使用可能である。入口ファンおよび出口ファンの回転の方向は、任意選択で、カセットの内部空間から空気を引くまたは排出するそれらの役割が、車両本体の異なる部品内の空気温度に応じて逆転可能であるように、逆転可能である。たとえば、車両本体の異なる部品は、本体内の他の部品と比較して加温器または冷却器を得ることができ、配管の開口が補助的電子構成要素またはモータの近くにあるかどうかに依存する。1つまたは複数のファンの回転方向指示器は、冷気がカセットの内部空間へと引かれることが必要であるか、カセットの内部空間から排出されることが必要であるかに応じて、逆転することができる。
【0047】
図11に示される特定の実施形態は、カセットの前壁に取り付けられた2つのファンを示しているが、単一のファン172は、
図12および
図13の概略断面図に示されるカセット143bの内部空間を通って冷気を循環させるために使用可能である。ここで、カセット143bの壁に取り付けられる単一のファン172は、冷気が、電池セル141の温度を調節するために循環され、暖気が、1つまたは複数のベント孔174を通って排出される場合、外部周囲からカセットの内部空間へと冷気を引く。
図13にも示され、
図11に電池を表すことができるように、複数の電池セル141が、スタック内に重ねて組み立てられ、直列または並列のどちらかで互いに電気的に接続される。直列に接続されるとき、1つの電池セルの正の端子は、スタック内で電池セルを配置するなどのために、次の電池セルの負の端子に接続される。隣接する電池セルの電気接続間のリンクは、母線176によって提供され、母線176は、銅などの導体を備えてよい。電池セル141の各々は、電池セル間の気流を可能にするように離間される。たとえば、1つまたは複数のスペーサ(図示せず)は、電池セルの各々の間に配設可能である。電池セルは、母線176によってスタック内で一緒に保持される。電池セル141は、細長い電池セルとして示されている。しかしながら、本発明は、電池セルが細長いセルであることに限定されず、互いに組み付けられ、カセット143b内に含まれる円筒状セルであってよい。
【0048】
電池セル141からの熱放散を促すために、ヒートシンク(図示せず)は、電池から外部周囲に生成された熱を伝えるために電池に熱的に結合可能である。ヒートシンクは、一般的に、アルミニウムまたは銅から作製され、生成された熱を電池セルから放散するためにフィンを備えることができる。ヒートシンクからの熱放散をさらに促進するために、1つまたは複数のファンは、ヒートシンクのフィンの上に冷気を向けることができる、またはあるいは、別個の冷却ファンが、フィンの周りの冷気の流れを増加させるように、ヒートシンクに、より詳細には、ヒートシンクのフィンに取り付け可能である。
【0049】
特定の実施形態は、ファンとして温度調節装置について説明するが、電池の温度を調節する他の温度調節装置は、本発明に適用可能である。電池の冷却に加えて、逆は、調達センタの冷蔵ゾーンまたは冷凍ゾーン内などの冷環境において当てはまり、電池の温度は、特に充電中に、低く低下しすぎて、電池の最適な性能を防止することができない。1つまたは複数の発熱体、たとえば電気的発熱体は、電池の作業可能温度範囲に対応する所定の温度範囲以内に、すなわち20℃から40℃の間に、電池の温度を上昇させるために使用可能である。たとえば、発熱体は、加熱パッドであってよい。
【0050】
冷却および/または加熱の両方を提供するために、温度調節装置は、ペルチェ素子を通る電流に基づいて熱および/または冷却を生成する1つまたは複数のペルチェ素子を備える熱電変換器であってよい。簡潔さでは、ペルチェ素子は、熱電冷却と加熱の両方を提供し、一般的に、1つはn型で1つはp型の、2つの固有の(unique)半導体を備える。交互のp型とn型の半導体ピラーは、熱的には互いに対して並列に、電気的には直列に置かれ、次いで、熱伝導プレート、通常は別個の絶縁体の必要性をなくすセラミックと、各側で接合される。電圧が2つの半導体の自由端に印加されるとき、温度差を引き起こす半導体の接合上のDC電流の流れがある。冷却プレートをもつ側面は、熱を吸収し、熱は、次いで、デバイスの他の側面に半導体によって運ばれる、すなわち、冷却プレートをもつ側面は、熱吸収側面が冷たくなり、熱放射側面が熱くなるように、1つの側面(熱吸収側面)から他の側面(熱放射側面)に熱を動かす。ペルチェ素子上の極性は、電流が反対方向に流れ、そのため、ペルチェ素子の熱吸収側面と熱放射側面とを逆転させることができるように、逆転可能である。ペルチェ素子は、電池または別個の電源から電力を引くことができる。これは、同じペルチェ素子が、電池セルの加熱と冷却の両方を提供することを可能にする。
【0051】
冷却デバイスとして使用されるとき、1つまたは複数の電池セルの表面は、ペルチェ素子の熱吸収表面と熱接触して設置される。反対に、加熱デバイスとして使用されるとき、1つまたは複数の電池セルの表面は、ペルチェ素子の熱放射表面と熱接触して設置される。
図13に示される本発明の特定の実施形態では、2つのペルチェ素子、すなわち第1のペルチェ素子178および第2のペルチェ素子180は、電池スタックの加熱および/または冷却の両方を提供するように、電池スタックの左側と右側に配置され、電池スタックと直接的に接触して示される。たとえば、第1のペルチェ素子178は、電池スタックの冷却を提供するために熱吸収表面が電池スタックと熱接触するように配置可能であり、第2のペルチェ素子180は、電池スタックの加熱を提供するために熱放射表面が電池スタックと熱接触するように配置可能である。電池スタックの加熱および/または冷却は、2つのペルチェ素子に限定されず、加熱および/または冷却が、単一のペルチェ素子を通る電流の極性を逆転させることによって、すなわち、適切なスイッチの使用によって、提供される場合、単一のペルチェ素子によって提供可能である。
【0052】
ペルチェ素子の熱放射側面から熱を除去する能力は、電池を冷却するようにペルチェ素子の有効性を改善するので、1つまたは複数のファンは、冷たいままであるようにペルチェ素子の熱吸収側面を促すように冷気を熱放射側面に向けることができる。さらに、ヒートシンクは、ペルチェ素子の熱放射側面から熱放散を遂行するように、熱放射側面に取り付け可能である。熱放射側面からの熱放散をさらに促すために、1つまたは複数の冷却ファンは、ペルチェ素子の熱放射側面に取り付けられたヒートシンクから熱を奪うことができる。
【0053】
電池の加熱または冷却の量は、ペルチェ素子を通る電流の大きさまたは持続時間によって制御可能である。たとえば、完全にオンまたは完全にオフのどちらかのペルチェ素子への電力を切り換えること、したがって、ペルチェ素子を通る電流のパルシングによって、それぞれの熱放射側面および熱吸収側面の加熱または冷却は、調節可能である。ペルチェ素子は、ペルチェドライバによって駆動可能である。ペルチェドライバは、電圧源、電流源、継電器、またはトランジスタであってよい。継電器またはトランジスタは、完全にオンまたは完全にオフのどちらかでペルチェ素子への電力を切り換えるために使用される。あるいは、パルス幅変調器(PWM)は、オンまたはオフでペルチェ素子への電力の切り換えを調節するために使用可能である。PWM出力信号は、可変の「オン時間」をもつ周期的矩形波からなることができる。この「オン時間」は、矩形波の期間のパーセンテージとして表現されるとき、デューティサイクルとして知られる。ペルチェ素子への電力は、矩形波のデューティサイクルを変化させることによって調整可能である。ペルチェ素子の、電池の温度を調節する機能のさらなる詳細は、以下で論じられる。
【0054】
図13に示されていない、熱管理システムの構成要素に戻ると、熱管理システムは、電池の温度を測定するために、電池の近傍に、より詳細には電池セルの間に、カセット内に配設された1つまたは複数の温度センサを備える。1つまたは複数の温度センサからの信号は、温度読み取り器によって読み取られ、温度調節装置を調節するために使用される。温度読み取り器204は、1つまたは複数の温度センサ202によって提供される温度の兆候を読み取って解釈し、温度信号を生成し、この温度信号は、
図14に示されるコントローラ208にフィードバックされる。温度センサ202は、再充電可能電源、この場合は電池の温度を測定するための、当技術分野で知られている任意のタイプの温度測定であってよい。たとえば、温度センサは、サーミスタ、たとえばNTCサーミスタもしくはPTCサーミスタ、または熱電対、たとえばK型熱電対であってよいが、これらに限定されない。
図13にも示されているのは、カセット内に収容された少なくとも1つの温度調節装置172を制御するためのコントローラを備える熱管理システム179である。しかしながら、コントローラは、カセット内に収容される必要はなく、荷物取り扱い装置の本体内に収容可能である。通信ポート(図示せず)は、カセットの外部にあるコントローラと通信可能に結合するためにカセット上に存在することができる。
【0055】
図14は、本発明の第1の実施形態による熱管理システム200の簡略化ブロック図を示す。温度センサ202からの出力は、温度読み取り器204にフィードバックされ、温度読み取り器204は、温度信号を提供するために出力を解釈する。温度信号は、電池の温度の兆候を提供する。1つまたは複数の温度センサ202は、電池の温度のより正確な測定を提供するために、電池セル間に配設可能である。温度読み取り器204は、コントローラ208に温度信号を送り、コントローラ208は、温度信号を使用して、電池の温度を所定の温度範囲以内に調節するように温度調節装置206を駆動する。所定の範囲は、電池の作業可能範囲内、すなわち20℃から40℃の間である。40℃を超えると、電荷を保持する電池の性能は減少する。1つまたは複数のフラグは、電池の温度がその理想的な作業可能範囲外であることをユーザに知らせるようにセットアップ可能である。たとえば、1つまたは複数のフラグは、1つまたは複数の温度センサ202からの温度読み取り値が、温度過昇の兆候である65℃と熱暴走の兆候である80℃とに達したとき、コントローラ208がオペレータに知らせる場合、セットアップ可能である。冷却器側面では、コントローラは、温度センサからの温度読み取り値が、電池の電解質冷凍の結果としてあり得る故障を示す-80℃の読み取り値を記録するとき、オペレータに知らせることができる。
【0056】
温度センサ202からの信号に応答して、コントローラ208は、次いで、電池の温度を調節するように1つまたは複数の温度調節装置206に指示することができる。上記で論じられたように、温度調節装置206は、電池の温度を作業可能範囲内で維持するように、1つもしくは複数のファン、1つもしくは複数の発熱体、および/または1つもしくは複数の熱電コンバータ、たとえばペルチェ素子であってよい。コントローラ208は、当技術分野で知られている任意の処理デバイスであってよい。典型的な例としては、限定するものではないが、マイクロプロセッサがある。プロセッサは、メモリデバイスなどのコンピュータ可読媒体に通信可能に結合可能である。メモリは、一般に当技術分野で知られている任意の保管デバイスであってよいが、限定するものではないが、RAM、コンピュータ可読媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、またはプロセッサによってアクセスされるデータと命令とを保管するために使用可能である他の電子記憶媒体を含む。コントローラの1つまたは複数のプロセッサは、温度読み取り器204からの温度信号に応答して電池の温度を調節するためにROMおよび/またはRAMに保管された命令を実行することができる。コントローラ208は、本発明の熱管理システム200の一部を形成し、したがって、カセット内にまたはカセットの外に、たとえば荷物取り扱い装置の本体内に、含まれ得る。たとえば、熱管理システムは、ネットワーク上でワイヤレスで通信することが可能である通信モジュールを備えてよい。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、または他の任意のタイプのネットワークを備えてよい。温度調節装置208を調節する温度信号および命令は、外部に設置されたコントローラに、ネットワーク上で、ワイヤレスで送られ得る。コントローラは、車両本体とともに含まれてもよいし、またはあるいは、車両本体とは別個であってよい。上記で論じられた少なくとも2つの電荷受け入れ端子に加えて、電池の健康状態に関する信号を通信および受信するだけでなく、電池の温度に関する信号も通信し、ならびに少なくとも1つの温度調節装置206を作動させるようにコントローラ208からの信号を受信するために、温度読み取り器204および温度調節装置206に通信可能に結合された第3の接続が、車両本体上に存在することがある。コントローラは、少なくとも1つの温度調節装置の動作を制御することによって電池の温度を設定温度値内に調節するためにPID(比例、積分、微分)コントローラまたはPI(比例、積分)コントローラを備えることができる。
【0057】
本発明の第1の実施形態では、コントローラ208は、温度読み取り器204からの温度信号が作業可能温度範囲外であることに応答して温度調節装置206を作動させるように構成される。たとえば、温度が高い場合、コントローラは、電池の温度が作業可能範囲内に低下するまで、1つまたは複数の冷却ファンの動作を作動させる。上記で論じられたように、コントローラは、カセット内に含まれる電池への冷却の程度を制御するようにファンの回転の速度と方向とを制御することができる。ヒートシンクは、ファンと組み合わせて、電池からの熱放散を促すために使用可能である。反対に、電池の温度が低すぎる場合、コントローラ208は、電池の温度を上昇させるように発熱体を作動させることができる。コントローラは、電池の温度を調節するように
図15に示される複数の温度調節装置を作動させるように命令可能である。これらは、限定するものではないが、1つもしくは複数のファン、発熱体、および/または1つもしくは複数の熱電コンバータ(ペルチェ素子)を含む。コントローラは、電池の温度を所定の設定温度値に調節するためにPIDコントローラ(比例、積分、および微分)を備えることができる。
【0058】
図15では、熱管理システム201は、第1の温度調節装置206と第2の温度調節装置207とを備えるように示されている。第1の温度調節装置206は冷却ファンであってよく、第2の温度調節装置207は発熱体であってよい。コントローラ208は、1つもしくは複数のファンおよび/または発熱体の作動を制御することによって、電池の温度を作業可能範囲内に調節することができる。
【0059】
図16は、熱管理システム300の少なくとも1つの温度調節装置がペルチェ素子306を備える、
図14および
図15に示される熱管理システムの簡略化ブロック図の適応である。
図16に示される特定の実施形態では、ペルチェ素子306の熱吸収側面312または冷却側面は、電池の1つまたは複数の電池セルによって生成される熱がペルチェ素子306の熱吸収側面に熱伝導されるように、再充電可能電源314、たとえば電池と直接接触する。電池とペルチェ素子の熱吸収側面との間の物理的接触は、電池を冷やし続ける助けとなる。本発明の別の実施形態では、伝導プレート(図示せず)は、ペルチェ素子306の熱吸収側面312と電池314との間に配設可能である。コントローラ308は、少なくとも1つのペルチェ素子306を駆動するようにペルチェドライバ316を制御するように構成される。ペルチェドライバ316は、少なくとも1つのペルチェ素子または電池の電源もしくは別の電源の電源への接続を駆動するために使用される、電圧源、電流源であってよい。熱吸収表面の冷却は、少なくとも1つのペルチェ素子306への電力をオンおよびオフで切り換えることによって制御可能である。上記で論じられたように、ペルチェドライバ316は、少なくとも1つのペルチェ素子316を駆動し、それによって、熱吸収表面の冷却を調節するように電力のパルスを生成するためにパルス波変調器(PWM)を備えることができる。PWMによって生成される矩形波のデューティサイクル(ペルチェ素子の「オン」時間)は、少なくとも1つのペルチェ素子への電力を変化させるためにコントローラによって変化可能である。熱吸収表面が、より長い時間の時間、したがって、電池の冷却の間、冷たいままであるので、デューティサイクルが長いほど、熱吸収表面の冷却効果が大きくなる。同様に、矩形波の周波数は、ペルチェ素子からの「冷却バースト」の数、したがって、電池の冷却を制御する。コントローラ308は、電池の温度を調節するためにデューティサイクルおよび/またはPWMからの信号のデューティサイクルの頻度を変化させるように命令可能である。コントローラは、電池の温度が所定の設定温度値内に低下するようにデューティサイクルおよび/またはPWMからの信号の頻度を変化させるためにPIDコントローラまたはPIコントローラを備えることができる。
【0060】
熱が、少なくとも1つのペルチェ素子の熱吸収側面から熱放射側面に伝えられるので、熱は、任意選択で、ヒートシンクと熱接触して配置されることによって熱放射側面310から奪われ得る。さらに、少なくとも1つのペルチェ素子の熱放射側面310は、1つまたは複数のファンによって吹きつけられた空気の経路へと配設され、したがって、より効率的に電池を冷却するように少なくとも1つのペルチェ素子の熱吸収側面を助けることができる。
【0061】
図16に示されていないのは、少なくとも1つのペルチェ素子を通る電流の極性は、電池の加温を引き起こすために熱吸収側面が熱放射側面になるように逆転(電流の方向が逆転される)可能であることである。これは、調達センタの冷蔵部門または冷凍部門において、特に当てはまる。熱吸収側面(冷却側面)と同様に、コントローラは、電池の加熱を調節するために少なくとも1つのペルチェ素子への電流を調節するようにペルチェドライバを制御する。少なくとも1つのペルチェ素子を通る電流の方向を逆転させることは、温度読み取り器からの温度信号に応じて単一の要素が電池の冷却と加熱の両方を遂行することを可能にする。少なくとも1つのペルチェ素子の極性を切り換えることは、継電器または他の適切なスイッチを使用して達成可能である。
【0062】
しかしながら、電池の加熱および冷却は、2つの別個のペルチェ素子、すなわち、電池の冷却のための第1のペルチェ素子および電池の加熱のための第2のペルチェ素子によって、提供可能である。電池の加熱と冷却の両方を行うために第1のペルチェ素子と第2のペルチェ素子とを有する利点は、少なくとも1つのペルチェ素子を暖めるまたは冷却する有効性が、ペルチェ素子の両面を扱うことによって改善可能であることである。冷却の場合、熱吸収側面は、熱放射側面たとえばシンクおよび/またはファンから熱を奪うように熱放射側面を扱うことによって、改善可能である。同様に、電池を暖める熱放射側面は、熱吸収側面を絶縁することによって改善可能である。
【0063】
本発明はまた、熱電コンバータのゼーベック効果を利用して、電池の温度を決定することができる。熱電コンバータの熱放射側面と熱吸収側面との間の温度差の結果として生成される電流は、電池の温度、すなわち半導体上の温度差を決定するために使用可能である。熱電素子の1つの面は、周囲温度に露出可能であり、熱電コンバータの対向する面は、電池と熱接触することが可能である。熱電コンバータの対向する面の間の温度差は、熱電コンバータの接合で電流を生成し、これは、電池の温度を決定するために温度読み取り器によって読み取られる。
【0064】
本発明の特定の実施形態は、再充電可能電源を収容するカセットに統合されるように熱管理システムについて説明するが、再充電可能電源の温度は、カセットの外部で制御可能である。本発明の別の実施形態では、熱管理システムは、荷物取り扱い装置の車両本体に統合可能である。たとえば、温度センサは、車両本体内に取り付けられ、再充電可能電源から発せられた赤外線エネルギーを検出することによって再充電可能電源の温度を決定するように構成された、赤外線カメラを備えることができる。赤外線カメラからの温度読み取り値は、温度信号が所定の温度範囲外であることに応答して、上記で説明された1つまたは複数の温度調節装置を作動させるために、コントローラによって使用可能である。
【0065】
本発明の熱管理システムは、再充電可能電源によって給電可能である。あるいは、本発明の熱管理システムは、荷物取り扱い装置の再充電可能電源が充電ステーションで充電されているときはいつでも、充電ステーションによって送達される電力によって給電可能である。熱管理システムへの電力は、限定するものではないが、温度調節装置、ならびに/または温度センサおよび/もしくはコントローラを含む。充電ステーションは、荷物取り扱い装置上の充電ポイントと協働するように構成された充電ヘッドを備える。荷物取り扱い装置が、充電ステーションが設置されるグリッドセルへと移動すると、荷物取り扱い装置の上部表面上の充電接点パッドと、充電ヘッドの充電接点との間に、接触がなされる。電荷は、荷物取り扱い装置の上部表面上に据えられた充電接点パッドを通って、充電接点から荷物取り扱い装置に付与される。再充電可能電源の充電中、電荷は、熱管理システムの構成要素に給電するために、本発明の熱管理システムに付与される。一般的に、充電ステーションは、48ボルトで約160アンペアの電荷を送達する。再充電可能電源の熱暴走の可能性は、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の動作中、電池が放電しているときよりも、電池の充電時の方が高い。再充電可能電源、特に電池の内部抵抗は、温度とともに変化し、低温で増加する。電池の充電中の加熱の可能性は、調達センタの冷蔵部門および/または冷凍部門では、調達センタの他の任意の区域よりも増加する。最悪のケースのシナリオでは、熱暴走および電池構成要素の可能な分解につながるであろう。本発明の熱管理システムは、電池の充電中、より重要になる。充電ステーションにおける再充電可能電源の充電中、本発明の熱管理システムは、電池の温度ステータスを監視するために使用可能であり、再充電可能電源の温度が所定の温度範囲外に低下した場合、温度調節装置のうちの1つまたは複数を作動させる。再充電可能電源内の電荷を保存するために、充電ステーションからの電荷は、熱管理システムに電力を送達するために使用可能である。電荷は、再充電可能電源に送達された電荷から吸い上げ可能である。あるいは、熱管理システムに電力を供給するために充電ステーションで対応する電荷提供接点と協働する少なくとも2つの(正および負の)電荷回収器接点を備える別個の電荷回収器は、車両本体上に組み込み可能である。
【0066】
上記で論じられた異なる温度調節装置の組合せは、再充電可能電源の温度を制御するために使用可能である。たとえば、ペルチェ素子は、1つまたは複数の冷却ファンと組み合わせて使用可能である。1つまたは複数の温度センサは、一般に当技術分野で知られているまたは上記で論じられた半導体熱電対ゼーベック効果に基づいた、熱電対またはサーミスタまたは他の温度センサであってよい。温度センサからの電圧信号が、温度読み取り値を提供するためにコントローラによって解釈される場合、温度読み取り器は、コントローラに統合可能である。
荷物取り扱い装置の安定性
グリッド構造上で動作中、荷物取り扱い装置は、最大2m/s2加速し、4m/sの最高速度に達することができる。さらに、荷物取り扱い装置は、グリッド構造上でX-Y方向の両方で方向を変更することができ、これは、時には突然であることがある。したがって、加速中に遭遇する力およびグリッド構造上での方向の変更が荷物取り扱い装置を倒れさせることがあるので、荷物取り扱い装置がグリッド構造上で安定していることは不可欠である。荷物取り扱い装置の安定性を増加させるために、荷物取り扱い装置の質量中心は、可能な限り低く保たれる。当技術分野には、低い質量中心を達成するさまざまな手段がある。これらは、電池を置くために隣接するグリッドセルへと延びるように単一のグリッドセルの寸法を超えて荷物取り扱い装置の本体の占有面積を増加させることを含み、これは、コンテナ受け入れ空間の側面に対する、荷物取り扱い装置の重量の大きい割合を表す。しかしながら、荷物取り扱い装置の本体の占有面積がグリッド構造の単一のグリッドセルの空間を占有する荷物取り扱い装置(いわゆる、単一セル荷物取り扱い装置)を抱える問題は、グリッド構造上で荷物取り扱い装置が比較的不安定なことである。不安定さの問題は、電池が大きくなるとき、質量中心が上昇される、すなわち、より高い重心であるので、悪化する。荷物取り扱い装置が重力場によって影響される場合、質量中心は、荷物取り扱い装置の重心に等しい。したがって、質量中心と重心の場所は等しい。
【0067】
図6~
図10および
図17~
図19に関する本発明の特定の実施形態では、本発明のカセット143は、荷物取り扱い装置の質量中心320(
図17ではドットによって示される)が、カセットによって占有される空間内にあるように車両本体132内に位置決めされる。本発明の目的のために、質量中心の測定は、車両本体の中心点に対してなされる。3次元では、
図17および
図18に示されるデカルト座標X,Y,Zによって表される荷物取り扱い装置の中心点は、0,0,0である。質量中心の場所は、
図18では、荷物取り扱い装置の本体を通る2つの垂直な平面の交点に沿って小さいドット320として示される。
図17に示されるように、本発明の説明の目的で、Y方向は、Y軸に沿って、垂直方向に延びる。X方向およびZ方向は、水平平面内で横断方向に延びる。したがって、Y方向の座標は、質量中心が第1の空間の上方にあろうと第1の空間の下方にあろうと、点を決定する-第1の空間は、コンテナ受け入れ空間である。X軸、Y軸、およびZ軸のラベリングは、
図17に示されているが、異なってよく、たとえば、Z軸はY軸であってよく、その場合、Z方向の座標は、垂直方向における質量中心の位置を決定する。
【0068】
本発明の特定の実施形態では、再充電可能電源を収容するカセット143は、コンテナを収納するための第1の空間152のすぐ上に設置される。コンテナを収納するための第1の空間152のすぐ上にカセットを位置決めすることによって、荷物取り扱い装置の質量中心322は、カセットを収納する第2の空間142b内にある。完全ではないが、カセットは第1の空間のすぐ上にあるので、グリッド構造上で動作可能な単一のセル荷物取り扱い装置の安定性を改善する。第1の空間のすぐ上に、車両本体の対向する側壁の間の実質的に中央に電池を位置決めすることによって、荷物取り扱い装置がペイロードを搬送しているときの荷物取り扱い装置の質量中心のシフトは、あまり劇的でなくなる。
【0069】
以下の表1は、荷物取り扱い装置の中心点からの質量中心の変位によって規定された荷物取り扱い装置の質量中心の座標を示す。本発明の特定の実施形態では、電池を収容するカセットの質量は、30kgから35kgの範囲にある。表1の位置1は、カセットのない荷物取り扱い装置の質量中心を表す。本発明の特定の実施形態では、カセットのない荷物取り扱い装置の質量中心は、コンテナを収納するための第1の空間内にある。したがって、荷物取り扱い装置は、カセットなしでは、より安定である。車両本体内に据え付けられたときのカセットの質量は、質量中心を上昇させ、したがって、荷物取り扱い装置の安定性に影響するが、車両本体の対向する側壁の間の実質的に中央のカセットの特定の位置は、この影響を低減した。本発明の特定の実施形態では、カセットは、車両本体の対向する側壁の実質的に中央に設置され、
図6~
図10に関して説明される第1の空間のすぐ上で、トレイ上に取り付けられる。カセットが車両本体内に据え付けられるとき、表1における位置2および位置3からY座標によって示される質量中心の場所は、第2の空間まで移動し、すなわち、第1の空間のすぐ上の第2の空間に入る。質量中心の場所は、荷物取り扱い装置が、表1の位置4に示されるようにペイロードを搬送しているとき、下降する。この場合、質量中心の場所は、第1の空間に移動し、荷物取り扱い装置を、グリッド構造上でより安定にする。したがって、荷物取り扱い装置の質量中心は、荷物取り扱い装置がペイロードとともにコンテナを搬送しているかどうかに応じて、第2の空間内にあることと、第1の空間内にあることとの間で変化する。電池受け入れ空間(第2の空間)内に質量中心を設置することによって、荷物取り扱い装置の安定性は、したがって、車両本体内の電池の位置によって決定される。Y座標によって決定される垂直方向に可能な限り低く電池を置くことは、グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性を改善する。第1の空間は、保管システム内での荷物取り扱い装置の動作中にコンテナを収納するために構成されるので、本発明の特定の実施形態では、電池は、第1の空間の上方で垂直方向に極めて近接して、すなわち第1の空間のすぐ上に、位置決めされる。質量中心の移動または調整は、第1の空間のすぐ上に電池を設置することによって最小化される。これは、車両本体内で電池を据え付けるとき、荷物取り扱い装置の不安定さに対する影響を減少させる。本発明の特定の実施形態では、第1の空間のすぐ上に電池を据え付けることは、第2の空間すなわち電池受け入れ空間に質量中心を変更する。
【0070】
グリッド構造上での荷物取り扱い装置の安定性をさらに改善するために、荷物取り扱い装置は、下方部分と、上方部分とを備える。カセットは、荷物取り扱い装置の上方部分内に取り付けられ、車輪の第1のセットと第2のセットとを備える車輪アセンブリは、荷物取り扱い装置の下方部分内に取り付けられる。荷物取り扱い装置230は、荷物取り扱い装置の下方部分内におもり234を備えるシャーシまたはフレームをさらに備える。本発明の特定の実施形態では、おもり234は、車輪取り付けプレートである。車輪の第1のセットおよび第2のセット134は、
図19に示す車輪取り付けプレート234に取り付けられる。車輪取り付けプレート234は、シャーシまたはフレームの重量が荷物取り扱い装置の下方部分の方へ集められるように、製作される。
図19に示されていないが、車両本体は、シャーシに取り付けられた側面パネルを備える。
【0071】
図19に示される本発明の特定の実施形態では、車輪取り付けプレート234は、車両本体232の別個の部品を表し、たとえば、車輪取り付けプレートを製作するために使用される材料の厚さおよび/または使用される材料のタイプを増加させることによって、重金属プレートを備える。
図19に示される車輪取り付けプレート234は、車輪134、135の第1のセットと第2のセットとをそれぞれ取り付けるための対向する金属プレートの第1のペアと第2のペアとを備える。車輪取り付けプレートの重量は、再充電可能電源を収容するカセット143の重量よりも大きい。荷物取り扱い装置の下方部分の方へ荷物取り扱い装置230の重量を集中させることによって、たとえば、荷物取り扱い装置の基部または最下部において、荷物取り扱い装置の安定性は、改善され、単一のセル荷物取り扱い装置内の第1の空間の上方のカセットの重量を補償する。
【0072】
あるいは、荷物取り扱い装置のシャーシまたはフレームは、上方部分と、下方部分とを備える。カセット143は、シャーシの上方部分内に取り付けられ、車輪アセンブリは、シャーシの下方部分内に取り付けられる。下方部分内のシャーシの質量は、上方部分内のシャーシの質量よりも大きい。
【0073】
図6~
図10および
図17~
図19に関する荷物取り扱い装置の安定性は、カセット収容再充電可能電源について説明するが、同じ効果は、質量中心が第2の空間内にあるように再充電可能電源を単独で第1の空間のすぐ上に据え付けるとき、達成可能である、すなわち、第2の空間は、カセットを収納することのみに限定されず、再充電可能電源のみであってよい。上記で論じられたように、再充電可能電源は、電池またはスーパーキャパシタまたはその両方であってよい。説明は、カセットについて説明しているが、電池単独で、荷物取り扱い装置の重量のかなりの割合を表すこともでき、したがって、荷物取り扱い装置の占有面積が単一のグリッドセルを占有する場合、荷物取り扱い装置の安定性に影響することが可能である。したがって、第2の空間が電池によって収納される場合、カセットを収納するための第2の空間内に質量中心を有することも、適用される。
【0074】
【0075】
本発明のさらなる態様は、以下の数字付き条項を参照して説明されることがある。
【0076】
条項1。コンテナの1つまたは複数のスタック12の上方のグリッド構造15を画定するようにグリッドパターンで配置される複数の軌道を支持するグリッドフレームワーク構造14を備える保管システム内に積み重ねられた1つまたは複数のコンテナ10を持ち上げ移動させるための荷物取り扱い装置30であって、グリッドパターンが複数のグリッドセル17を備え、荷物取り扱い装置30が、
A)グリッド構造15上で荷物取り扱い装置30を移動させるために動作可能に配置された駆動機構と、
B)
i)軌道の上方に設置されたコンテナ受け入れ空間152と、
ii)使用に際して、コンテナ10を解除可能に握持し、スタック12から、コンテナ受け入れ空間152へとコンテナ10を持ち上げるように構成された、持ち上げ駆動アセンブリ140と把持装置39とを備える持ち上げ装置と、
iii)駆動機構に給電するための再充電可能電源142を収容するカセット143と
を収容する車両本体132と
を備え、
ここにおいて、荷物取り扱い装置30が、温度センサ202と、温度センサ202からの信号に応答して再充電可能電源142の温度を所定の温度範囲以内に維持するように構成された少なくとも1つの温度調節装置206とを備える、熱管理システム200を備える、荷物取り扱い装置30。
【0077】
条項2。少なくとも1つの温度調節装置206は、少なくとも1つの冷却ファンを備える、条項1の荷物取り扱い装置30。
【0078】
条項3。少なくとも1つの冷却ファンは、カセットの内部空間に冷気を供給するための第1の冷却ファン164と、カセットの内部空間から暖気を引き出すための第2の冷却ファン166とを備える、条項2の荷物取り扱い装置30。
【0079】
条項4。熱管理システムは、再充電可能電源142に熱的に結合されたヒートシンクをさらに備え、前記ヒートシンクは複数の熱放散フィンを備え、ここにおいて、少なくとも1つの冷却ファンは、熱放散ファンにわたって冷気を吹きつけるために構成される、条項2または3の荷物取り扱い装置30。
【0080】
条項5。カセット143は、1つまたは複数のベントを備える、条項1から4のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0081】
条項6。温度調節装置206は、再充電可能電源142の近傍にあり、カセット143内に含まれる少なくとも1つの発熱体を備える、条項1から5のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0082】
条項7。少なくとも1つの温度調節装置206は、少なくとも1つの熱電デバイスを備える、条項1から6のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0083】
条項8。少なくとも1つの熱電デバイスは、互いに対向する熱吸収表面と熱放射表面とを有する少なくとも1つのペルチェ素子306を備える、条項7の荷物取り扱い装置30。
【0084】
条項9。少なくとも1つのペルチェ素子306は、極性を切り換えることによって再充電可能電源142を選択的に冷却および/または加熱するために構成される、条項8の荷物取り扱い装置30。
【0085】
条項10。少なくとも1つのペルチェ素子306は、第1のペルチェ素子と、第2のペルチェ素子とを備え、第1のペルチェ素子は、第1のペルチェ素子の熱吸収面が再充電可能電源の第1の部分の近傍にあるように配置され、第2のペルチェ素子は、熱放射面が再充電可能電源142の第2の部分の近傍にあるように配置される、条項8の荷物取り扱い装置30。
【0086】
条項11。少なくとも1つのペルチェ素子306の熱放射表面はヒートシンクに熱的に結合される、条項8から10のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0087】
条項12。ヒートシンクに空気を吹きつけるために構成されるファンをさらに備える、条項11の荷物取り扱い装置30。
【0088】
条項13。少なくとも1つのペルチェ素子306はペルチェドライバ316によって駆動される、条項8から12のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0089】
条項14。ペルチェドライバ316は、少なくとも1つのペルチェ素子306への電流を調節するためのパルス幅変調器を備える、条項13の荷物取り扱い装置30。
【0090】
条項15。熱管理システム200は、温度センサ202および少なくとも1つの温度調節装置206に結合されたコントローラ208をさらに備え、前記コントローラ208は、所定の温度範囲内に温度センサ202の温度読み取り値を調節するように構成される、条項1から14のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0091】
条項16。再充電可能電源142は、電池および/またはキャパシタのうちの少なくとも1つを備え、電池および/またはキャパシタのうちの少なくとも1つの各々は複数のセルを備える、条項1から15のいずれかの荷物取り扱い装置30。
【0092】
条項17。軌道の第1のセット22a、および複数のグリッド空間またはグリッドセル17を備えるグリッドパターン15を形成するために実質的に水平な平面内で軌道の第1のセット22aに横断方向に走行する軌道の第2のセット22bと、
軌道の第1のセット22aおよび軌道の第2のセット22bの下に設置されたコンテナの複数のスタック12と、ここにおいて、コンテナのスタック12の各々は単一のグリッド空間またはグリッドセルを占有する、
グリッド空間またはグリッドセル17を占有するコンテナのスタック12の上方に位置決めされたとき、持ち上げ装置が、前記コンテナのスタック12から少なくとも1つのコンテナ10を持ち上げるように構成されるように、複数のグリッド空間またはグリッドセル17の上で軌道の第1のセット22aおよび軌道の第2のセット22bに沿って横断するように配置された、条項1から16のいずれかに記載された荷物取り扱い装置30と
を備える保管システム。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] コンテナの1つまたは複数のスタック(12)の上方のグリッド構造(15)を画定するようにグリッドパターンで配置される複数の軌道(22)を支持するグリッドフレームワーク構造(14)を備える保管システム内に積み重ねられた1つまたは複数のコンテナ(10)を持ち上げ移動させるための荷物取り扱い装置(30)であって、前記グリッドパターンは複数のグリッドセル(17)を備え、コンテナ(12)の1つまたは複数のスタックの各々は単一のグリッドセル(17)のみの占有面積内に設置され、前記荷物取り扱い装置(30)は、
A)前記グリッド構造(15)上で前記荷物取り扱い装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構と、
B)使用に際して、前記保管システム内の単一のグリッドセル(17)のみを実質的に占有する占有面積を有する車両本体(132)と、を備え、前記車両本体(132)は、
i)前記駆動機構に給電するための再充電可能電源(142)と、
ii)第1の空間(152)と、第2の空間(142b)と、前記第1の空間(152)は、コンテナ(10)を収納するように構成され、前記再充電可能電源(142)は前記第2の空間(142b)内に収容される、
iii)使用に際して、コンテナ(10)を解除可能に握持し、前記スタック(12)から前記第1の空間(152)へと前記コンテナ(10)を持ち上げるように構成された、持ち上げ駆動アセンブリ(140)と把持装置(39)とを備える持ち上げ装置と
を収容するものであり、
ここにおいて、前記再充電可能電源(142)は、前記荷物取り扱い装置の質量中心が前記第2の空間(142b)内にあるように、前記第1の空間(152)の上方に配置される、荷物取り扱い装置(30)。
[2] 前記荷物取り扱い装置(30)の前記質量中心(320)は、前記荷物取り扱い装置(30)の中心点から、X方向に-10mmから-13mm、Y方向に440mmから490mmの範囲、Z方向に4.5mmから6mmの範囲で、外れている、[1]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[3] 前記第1の空間(152)は、前記荷物取り扱い装置(30)の前記質量中心(320)が、前記荷物取り扱い装置の前記中心点から、前記X方向に-12mmから13mm、前記Y方向に470mmから475mm、前記Z方向に5.0mmから5.6mm、だけ外れて変位されるように、コンテナ(10)を収納する、[2]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[4] 前記コンテナ(10)は、前記荷物取り扱い装置の前記質量中心(320)が、前記荷物取り扱い装置の前記中心点から、前記X方向に-10mmから11mm、前記Y方向に440mmから450mm、前記Z方向に4.5mmから5.0mm、だけ外れて変位されるように、約35kgの重量を有するペイロードを備える、[3]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[5] 前記再充電可能電源(142)は、前記荷物取り扱い装置の重心(320)を、前記X方向に40mmから45mm、前記Y方向に50mmから60mm、および前記Z方向に5mmから7mm変位させる、[2]から[4]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[6] 前記再充電可能電源(142)は、前記車両本体(132)の対向する側壁(158)のペアの間の実質的に中央に取り付けられる、[1]から[5]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[7] 前記持ち上げ装置は、持ち上げテザーの第1のペアを別々に搬送するスプールの第1のペア(146)と、持ち上げテザーの第2のペアを別々に搬送するスプールの第2のペア(148)とを備え、前記スプールの第1のペアおよび第2のペア(146、148)は、前記車両本体(132)に対して前記把持装置(39)を上昇または下降させるために前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)によって駆動される、ここにおいて、前記スプールの第1のペア(146)は、前記再充電可能電源(142)が前記スプールの第1のペア(146)と前記スプールの第2のペア(148)との間に部分的に設置されるように前記第2の空間(142b)を画定するように、前記スプールの第2のペア(148)から離間される、[6]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[8] 前記再充電可能電源(142)と前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)は同じ水平平面内に取り付けられている、[7]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[9] 前記再充電可能電源(142)および前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)はトレイ(154)上に取り付けられている、[7]または[8]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[10] 前記第2の空間(142b)は、前記再充電可能電源(142)が前記車両本体の外側から除去可能であるように、前記車両本体(132)の外側からアクセス可能である、[1]から[9]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[11] 前記再充電可能電源(142)は、前記再充電可能電源(142)の第1の面から引っ張ることによって、前記車両本体(132)から除去可能である、[10]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[12] 前記持ち上げ駆動アセンブリ(140)は、前記再充電可能電源の第2の面に隣接して取り付けられ、前記第2の面は前記第1の面と対向する、[11]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[13] 前記再充電可能電源(142)は、レール上に取り付けられている、[10]から[12]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[14] 前記車両本体(132)は、すべての側面上に壁を備え、使用に際して、前記保管システムにおいて単一のグリッドセルのみを実質的に占有する四辺形占有面積を形成する、[1]から[13]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[15] 前記駆動アセンブリは、前記荷物取り扱い装置(30)を第1の方向に移動させるための車輪の第1のセット(34)と前記荷物取り扱い装置(30)を第2の方向に移動させるための車輪の第2のセット(36)とを備える車輪アセンブリ(134)を備える、[1]から[14]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[16] 前記車両本体(132)は、上方部分と下方部分とを有するシャーシを備え、前記再充電可能電源(142)は前記上方部分内に取り付けられ、前記車輪アセンブリ(134)は前記下方部分内に取り付けられ、ここにおいて、前記シャーシの前記下方部分内でのシャーシの質量は、前記上方部分内のシャーシの質量よりも大きい、[15]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[17] 前記シャーシは車輪取り付けプレート(234)を備え、前記車輪アセンブリ(134)は、前記車輪取り付けプレート(234)に取り付けられ、ここにおいて、前記車輪取り付けプレート(234)の質量は、前記再充電可能電源(142)の質量よりも大きい、[15]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[18] 前記車輪取り付けプレート(234)が、前記車輪の第1のセット(34)が対向するプレートの第1のペアに取り付けられ、前記車輪の第2のセット(36)が、対向するプレートの第2のセットに取り付けられるように、前記対向するプレートの第1のペアと、前記対向するプレートの第2のペアとを備える、[17]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[19] 前記再充電可能電源(142)は、電気的に互いに接続され、カセット(143)を画定するためにケース内に収容される、複数の再充電可能電力セルを備える、[1]から[18]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[20] 前記再充電可能電力セルは電池セルを備える、[19]に記載の荷物取り扱い装置(30)。
[21] 軌道の第1のセット(22a)、および複数のグリッド空間またはグリッドセル(17)を備えるグリッドパターン(15)を形成するために実質的に水平な平面内で前記軌道の第1のセット(22a)に横断方向に走行する軌道の第2のセット(22b)と、
平行な軌道の第1のセット(22a)および平行な軌道の第2のセット(22b)の下に設置されたコンテナの複数のスタック(12)と、ここにおいて、前記コンテナのスタック(12)の各々は単一のグリッド空間またはグリッドセル(17)を占有し、
グリッド空間またはグリッドセル(17)を占有するコンテナ(12)のスタックの上方に位置決めされるとき、持ち上げ装置は、前記コンテナのスタック(12)から少なくとも1つのコンテナ(10)を持ち上げるように構成されるように、前記複数のグリッド空間またはグリッドセル(17)の上で前記軌道の第1のセット(22a)および前記軌道の第2のセット(22b)に沿って横断するように配置された[1]から[20]のいずれか一項に記載の荷物取り扱い装置(30)と
を備える保管システム。