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特許7516544片持ターボ機械を備えた一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】片持ターボ機械を備えた一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   F01D 15/10 20060101AFI20240708BHJP
   F02C 1/10 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F01D15/10 A
F02C1/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022558449
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2021025110
(87)【国際公開番号】W WO2021197664
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】102020000006727
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンジョーリ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ビリオッティ、ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ネリ、マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】サッサネッリ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ミケラッシ、ヴィットリオ
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0041124(US,A1)
【文献】国際公開第2016/137442(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0119881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 15/10
F02C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータ(21)であって、
気密封止されたケーシング装置(23)と、
前記気密封止されたケーシング装置内に配置されたターボエキスパンダ(25;25.1、25.2)と、
前記気密封止されたケーシング装置(23)内に配置された流体加圧ターボ機械(27)と、
前記気密封止されたケーシング装置(23)内に配置された発電機(29)と、を備え、
前記ターボエキスパンダ(25;25.1、25.2)、前記流体加圧ターボ機械(27)及び前記発電機(29)は、前記気密封止されたケーシング装置(23)内に能動型磁気軸受(41、41.1~41.4)によって回転式で支持される少なくとも1つのシャフトを含む共通のシャフトライン(31;31.1、31.2)上に配置され、
前記流体加圧ターボ機械(27)は、軸受の間に配置され、
前記ターボエキスパンダは、前記シャフトライン(31;31.1、31.2)の第1の端部において片持ちされた高圧ターボエキスパンダセクション(25.1)と、前記シャフトライン(31;31.1、31.2)の第2の端部において片持ちされた低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)と、を有し、前記高圧ターボエキスパンダセクション(25.1)で膨張した作動流体が再加熱されて前記低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)に供給されるように前記高圧ターボエキスパンダセクション(25.1)と前記低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)とが直列に流体接続され、
前記発電機(29)及び前記流体加圧ターボ機械(27)は、前記高圧ターボエキスパンダセクション(25.1)と前記低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)との間に配置されている、ターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項2】
前記発電機(29)は、前記低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)と前記流体加圧ターボ機械(27)との間に配置されている、請求項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項3】
ジョイント(51)が、前記発電機(29)と前記流体加圧ターボ機械(27)との間に設けられている、請求項1又は2に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項4】
前記ターボエキスパンダは、前記高圧ターボエキスパンダセクション(25.1)で膨張した作動流体が、熱交換器(13.3)を通じて外部の廃熱源(7)から伝達される廃熱によって再加熱されて前記低圧ターボエキスパンダセクション(25.2)に供給されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項5】
前記流体加圧ターボ機械(27)は、少なくとも2つのセクションを含むマルチセクションターボ機械である、請求項1~4のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項6】
一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータ(21)であって、
気密封止されたケーシング装置(23)と、
前記気密封止されたケーシング装置内に配置されたターボエキスパンダ(25)と、
前記気密封止されたケーシング装置(23)内に配置された流体加圧ターボ機械(27;27.1、27.2)と、
前記気密封止されたケーシング装置(23)内に配置された発電機(29)と、を備え、
前記ターボエキスパンダ(25)、前記流体加圧ターボ機械(27;27.1、27.2)及び前記発電機(29)は、前記気密封止されたケーシング装置(23)内に能動型磁気軸受(41、41.1~41.4)によって回転式で支持される少なくとも1つのシャフトを含む共通のシャフトライン(31;31.1、31.2)上に配置され、
前記ターボエキスパンダ(25)は、軸受の間に配置され、
前記流体加圧ターボ機械は、前記シャフトライン(31;31.1、31.2)の第1の端部において片持ちされた低圧セクションと、前記シャフトライン(31;31.1、31.2)の第2の端部において片持ちされた高圧セクションと、を有し、前記低圧セクションと前記高圧セクションとは順に流体接続され、前記発電機(29)及び前記ターボエキスパンダ(25)は、前記流体加圧ターボ機械の前記低圧セクションと前記高圧セクションとの間に配置されている、ターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項7】
前記発電機(29)は、前記流体加圧ターボ機械の前記低圧セクションと前記ターボエキスパンダ(25)との間に配置されている、請求項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項8】
前記ターボエキスパンダ(25)は、ガス入口端部が前記流体加圧ターボ機械(27、27.1、27.2)のセクションに面し、ガス出口端部が前記発電機(29)に面する状態で、前記シャフトライン(31、31.1、31.2)に沿って配置されている、請求項6又は7に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項9】
ジョイント(51)が、前記発電機(29)と前記ターボエキスパンダ(25)との間に配置されている、請求項6~8のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項10】
記流体加圧ターボ機械(27.1、27.2)は中間冷却ターボ機械である、請求項5~9のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項11】
前記流体加圧ターボ機械(27;27.1、27.2)は圧縮機及びポンプのうちの1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項12】
前記ターボエキスパンダ(25)は、少なくとも2つのセクションを含むマルチセクションターボエキスパンダである、請求項~11のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項13】
前記マルチセクションターボエキスパンダ(25)は再加熱ターボエキスパンダである、請求項12に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項14】
前記発電機(29)は軸受の間に配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のターボエキスパンダジェネレータ(21)を通じて処理された作動流体に熱を伝達するように適合された廃熱源(7)を備える熱力学的システムであって、前記ターボエキスパンダジェネレータは、前記廃熱源(7)からの廃熱の一部を電気的出力に変換するように適合されている、熱力学的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、一体型ターボ機械が開示される。より具体的には、本開示の実施形態は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するように適合された複合的なターボ機械及びジェネレータに関する。
【0002】
本開示はまた、廃熱回収のためのターボ機械及び発電機を含む熱力学的システムに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの工業プロセスは、大量の廃熱を生成する。廃熱発生プロセスの典型的な例は、鋼、ガラス、及びセメント生成のための工業プロセスである。他の例は、燃料燃焼によって発生する熱出力を変換することで機械的又は電気的出力を生成するための熱力学的プロセスである。典型的には、燃料を使用する発電プロセスは、燃焼によって発生する熱出力の45%未満を有用な電気的又は機械的出力に変換する。排気燃焼ガスの温度は、典型的には300℃~700℃の範囲に及び、排気熱出力は数MW(メガワット)に値し得る。排気燃焼ガスに含まれる熱は、環境内に排出され、廃棄される。これは、重度の環境影響を有する。
【0004】
廃熱の一部を捕捉することを可能にし、それを有用な出力に変換するか、あるいは、例えば建物の暖房などのためにそれを用いるシステムが既に存在する。しかしながら、廃熱の一部を有用な電力的又は機械的出力に変換するための既存のシステムは、複雑で高価であり、大きな設置面積を必要とし、運用コストに関しても厳しい。それらはまた、設計外条件において十分に動作しない場合がある。
【0005】
したがって、上述の現在の技術のシステムの欠点のうちの1つ以上を克服又は軽減する機械及びシステムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、気密封止されたケーシング装置を備える一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータが開示され、ターボエキスパンダ、流体加圧ターボ機械、及び発電機が配置される。ターボエキスパンダ、発電機、及び流体加圧ターボ機械は、同じ速度で回転するように、同じシャフトラインに沿って取り付けられている。ターボエキスパンダ及び流体加圧機械のうちの1つは、互いに流体結合され、かつ片持ちの構成でシャフトラインの両側の端部に配置された低圧セクション及び高圧セクションを備える。
【0007】
この新規な配置は、発電機にかかる熱負荷を低減し、複合的な回転機械の高エネルギー効率を提供する。
【0008】
本明細書で使用される場合、流体加圧ターボ機械は、一体型の機械を通じて流れる作動流体を加圧するように適合されたターボ機械である。流体が液体状態にある場合、流体加圧ターボ機械は、ポンプを含む。流体が気体状態にある場合、流体加圧ターボ機械は圧縮機を含む。使用される流体加圧ターボ機械の性質は、主に、一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータが使用される熱力学的サイクルの種類に依存する。通常、好ましくは、作動流体の相の変化を伴わないブレイトンサイクル又は他のサイクルが廃熱回収に関与するため、流体加圧ターボ機械は圧縮機を備える。しかしながら、作動流体の相変化を伴うランキンサイクル又は他のサイクルを使用する可能性も除外されない。そのような場合、通常、流体加圧ターボ機械はポンプを含む。
【0009】
本明細書で使用される場合、気密封止されたケーシング装置は、共通のシャフトがそれを通って延びている状態で、上述の3つの回転機械を収容する単一のケーシングを含み得る。例えば、発電機の冷却ガスを、ターボエキスパンダ及び流体加圧ターボ機械を通じて処理された作動流体から分離するために、回転シールがシャフトに沿って設けられて、ある回転機械から他の回転機械への漏れが防止される。しかしながら、機械の回転部品は、ケーシング装置の外側に露出していないため、環境に向かう漏れは防止される。
【0010】
しかしながら、気密封止されたケーシング装置はまた、2つ以上のケーシングを含んでもよく、それらの各々は、気密封止され、上記の回転機械、すなわち、ターボエキスパンダ、流体加圧ターボ機械、及び発電機のうちの1つ又は2つを収容する。そのような場合、トルクは、磁気ジョイントを介して1つのケーシングから他のケーシングに伝達され、したがって、この場合も、回転機械部品が、ケーシング装置の外部に向かって露出されることはなく、全体として依然として気密封止される。
【0011】
本明細書で使用される場合、共通シャフトラインは、単一のシャフト又はシャフトライン部分、すなわち、フレキシブルジョイントなどのジョイントによって互いに物理的に、あるいは磁気ジョイントを通じて磁気的に結合された別個のシャフトからなり得るため、ジョイントによって許容される振動を除いて、シャフトライン全体が同じ回転速度で回転する。回転機械間にギア又は速度操作デバイスは必要ない。
【0012】
ターボエキスパンダ、発電機、及び流体加圧ターボ機械の共通シャフトラインは、能動型磁気軸受によって支持され、したがって、転がり軸受、並びに静圧又は流体動圧軸受の使用が回避される。したがって、潤滑剤又は耐荷重流体回路は必要とされず、一体型及び気密封止された機械はより簡潔に、より安価に、また潜在的な潤滑剤の漏れに関して、懸念のより少ないものとなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、同じ作動流体が、一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータの能動型磁気軸受を冷却するためにも、発電機を更に冷却するためにも使用される。
【0014】
したがって、一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータは、以下を介して、すなわち、
- 廃熱源から廃熱を受け取る熱交換器など、作動流体を加熱するために必要な加熱器にターボエキスパンダを接続する、ターボエキスパンダの流体入口及び流体出口の気密封止されたフランジ、
- 外部冷却システムに接続された、入口及び出口の気密封止された圧縮機又はポンプフランジ、
- 能動型磁気軸受に電力供給する電力ケーブル、
- 発電機の電力ケーブル、
を介してのみ外界に接続される。
【0015】
必要に応じて、能動型磁気軸受及び発電機を通じて、またそれらのその周りに冷却媒体を循環させるために、追加のフランジが設けられ得る。上述のように、同じ作動流体が、能動型磁気軸受用及び/又は発電機用の冷却媒体として使用され得る。能動型磁気軸受及び発電機内を循環する作動流体を適切な温度に維持して、能動型磁気軸受及び発電機から熱を除去するために、適切な熱交換器が設けられ得る。
【0016】
回転機械的構成要素が、気密封止されたケーシング装置から環境に向かって突出することはない。
【0017】
現在好ましい実施形態では、ターボエキスパンダと流体加圧ターボ機械の両方がマルチセクションターボ機械であり、各セクションは少なくとも1つのステージを含む。片持ちの配置では、ターボエキスパンダの少なくとも2つのセクションのうちのそれぞれ1つは、カンチレバー様式でシャフトラインの両側の2つの端部の各々に装置され得、すなわち、最後のラジアル軸受の外側へ片持ちされて取り付けられ得る。マルチステージ/マルチセクション構成は、高い熱力学的サイクル効率を達成するように適合された高圧及び温度比に達することを可能にする。
【0018】
他の片持ちの配置では、流体加圧ターボ機械の少なくとも2つのセクションのうちのそれぞれ1つが、シャフトラインの両側の2つの端部の各々において、片持ちの配置で取り付けられる。
【0019】
したがって、寸法を制限し、コストを低減させた、コンパクトで複合的な気密封止された機械が提供される。
【0020】
したがって、廃熱を有用な電気的出力に変換するために必要な3つの機械(ターボエキスパンダ、流体加圧ターボ機械、及び発電機)が、単一の一体型の気密封止された機械内で統合される。気密封止は、あらゆる動作条件においてガス漏れを回避し、それによって、あらゆる作動流体の再導入の必要性を回避し、また環境汚染をも回避する。
【0021】
能動型磁気軸受の使用は、あらゆる潤滑剤の必要性を回避し、また潤滑剤による作動流体の起こり得る汚染を回避することになる。
【0022】
単一のシャフトラインは、被駆動機械、すなわち、発電機と流体加圧ターボ機械(圧縮機又はポンプ)の両方を駆動するターボエキスパンダ(タービン)によって駆動される。この単純なレイアウトは、機械を修正することなくターボエキスパンダの再加熱及び/又は圧縮機の中間冷却を含めることが可能であるため、アセンブリの大きな柔軟性をもたらす。
【0023】
一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータの実施形態及び特徴が、添付の図面を参照して以下に概説され、また添付の特許請求の範囲に記載されるが、その内容は、本明細書の一体部分を形成する。
【0024】
本明細書にはまた、廃熱の一部を電気的出力に変換するために、上述のような一体型の気密封止されたターボエキスパンダジェネレータを通じて処理された作動流体に、熱を直接的又は間接的に伝達するように適合された廃熱源を含む熱力学的システムが開示される。
【0025】
これらの熱力学的システムの実施形態が、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に得られるであろう。
図1】2つの実施形態における本開示による熱力学システムの概略図である。
図2】2つの実施形態における本開示による熱力学システムの概略図である。
図3】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図4】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図5】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図6】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図7】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図8】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図9】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図10】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図11】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図12】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図13】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図14】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図15】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図16】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図17】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図18】いくつかの実施形態における一体型ターボエキスパンダジェネレータの概略図である。
図19】能動型磁気軸受及び関連する冷却回路の概略断面図である。
図20】発電機及び関連する冷却回路の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
廃熱を回収するためのよりコンパクトでより安価な熱力学的システムを提供するために、気密封止された一体型のターボエキスパンダジェネレータが本明細書に開示され、これは、ターボエキスパンダを収容する気密封止されたケーシング装置と、ターボエキスパンダによって発生された機械的出力を電気的出力に変換する発電機と組み合わされた流体加圧ターボ機械と、を含む。この一体型の気密封止された複合的な機械は、外部環境に向かう回転シャフトに沿った漏れを回避し、それぞれのケーシングを通って延びているシャフトによって別個の回転機械を接続する必要性を回避する。したがって、回転機械のコンパクトでかつ漏れのない組み合わせが得られる。発電機のロータ、ターボエキスパンダの回転部及び流体加圧ターボ機械の回転部を含む共通シャフトラインは、潤滑回路を省くことができるように、能動型磁気軸受によって支持される。2つのターボ機械のうちの1つは、それぞれ、順に流体結合され、シャフトラインの第1の端部及び第2の端部に配置された、低圧セクション及び高圧セクションを含む。好ましくは、発電機は、ターボ機械の低圧セクションに隣接して配置され、ターボ機械の2つのセクションは、シャフトラインの端部に配置される。この配置は、発電機にかかる熱負荷を低減する。様々な回転機械のいくつかの有用な配置について、以下で詳細に説明する。
【0028】
一体型のターボエキスパンダジェネレータは、超臨界サイクルにおいてCOなどの好適な作動流体を使用する、閉じたブレイトンサイクルにおいて使用され得る。そのような場合、ターボ機械を加圧する流体は圧縮機を含む。しかしながら、廃熱回収のためのランキンサイクルの利用は除外されない。そのような場合、流体加圧ターボ機械はポンプを含む。
【0029】
以下の説明では、ガスタービンエンジンからの排気燃焼ガスからの廃熱を利用するシステムについて言及する。しかしながら、一体型ターボエキスパンダジェネレータ及び本明細書に開示される関連の熱力学サイクルは、プロセスの副生成物として好適な温度の廃熱を生成する任意の工業プロセスなどの他の供給源から廃熱を回収するために利用され得ることが、当業者にはやはり理解されよう。とりわけ、廃熱の温度レベルに応じて、異なる作動流体が熱力学的サイクルで利用され得る。具体的には、超臨界二酸化炭素サイクルが利用され得るが、他の作動流体、例えば、ペンタン及びシクロペンタンなどの他の有機流体の使用も除外されない。
【0030】
ここで図1を参照すると、簡略化された熱力学システム1が、廃熱源3と、廃熱回収回路5と、を含んでいる。図1の実施形態では、廃熱源は、発電のために、すなわち、発電機9を介して電気的出力を発生させるように構成されたガスタービンエンジン7を含み、この発電機は、電力分配グリッド11に電気的に結合されている。
【0031】
他の実施形態では、ガスタービンエンジン7は、機械的駆動用に構成されてもよく、すなわち、ガスタービンエンジン7によって発生される機械的出力は、電気的出力に変換されるのではなく、そのままに利用されてもよい。例えば、天然ガス液化システムにおいて、あるいはガスパイプラインにおいて、圧縮機又は圧縮機トレーンを駆動するために、機械的出力が活用され得る。
【0032】
図1の例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン7は、空気圧縮機7.1と、燃焼室7.2と、タービンセクション7.3と、を含む2軸ガスタービンエンジンである。タービンセクション7.3は、高圧タービン7.4と、低圧タービン7.5と、を含む。それ自体既知の様式で、高圧タービン7.4は、空気圧縮機7.1に機械的に結合され、低圧タービン7.5は、発電機9に機械的に結合される。空気圧縮機7.1からの圧縮空気が燃料と混合され、その混合気が点火されて、圧縮された高温燃焼ガスが燃焼室7.2内に発生される。圧縮された高温燃焼ガスは膨張されて、順に、高圧タービン7.4内で空気圧縮機7.1を駆動するための出力を発生し、低圧タービン7.5内で発電機9を駆動するための出力を発生する。
【0033】
図1では、2軸ガスタービンエンジンが図示されているが、他の実施形態では、ガスタービンエンジン7は、一軸ガスタービンエンジンであっても、3軸ガスタービンエンジンであっても、あるいは場合によって機械的駆動又は発電目的の機械的出力を発生するように適合された任意の種類のガスタービンエンジンであってもよい。ガスタービンエンジン7は、ヘビーデューティガスタービンエンジン、又は航空転用ガスタービンエンジンであり得る。
【0034】
排気燃焼ガスは、スタック8を介してガスタービンエンジン7から排出される。排気燃焼ガスは、700℃程度になり得る温度で熱エネルギーを含有する。廃熱回収回路5は、廃熱の一部を、特に電気的出力の形態として、更なる有用な出力に変換するために使用される。
【0035】
図1の実施形態では、廃熱は、安全上の理由から、中間熱伝達ループ13を介してガスタービンエンジン7から廃熱回収回路5に伝達される。このようにして、廃熱回収回路5で処理された作動流体は、ガスタービンエンジン7の周りを循環しない。これは、廃熱回収回路で使用される作動流体が、可燃性又は爆発性の流体、例えば、シクロペンタンなどの有機流体である場合に特に有用である。
【0036】
ポンプ13.1は、第1の熱交換器13.2を介して、また第2の熱交換器13.3を通して、閉じた中間熱伝達ループ13内で熱伝達流体(矢印F)を循環させる。第1の熱交換器13.2は、スタック8の上流に配置されている。第1の熱交換器13.2では、熱伝達流体は、ガスタービンエンジン7によってスタック8に向かって排出される排気燃焼ガスと熱交換関係にある。熱は、排気燃焼ガスから熱伝達流体に伝達される。第2の熱交換器13.3では、熱伝達流体は、廃熱回収回路5を経て処理された作動流体、例えば超臨界CO又は別の有機流体と熱交換関係にあり、熱は熱伝達流体から作動流体に伝達される。
【0037】
他の実施形態では、図示されていないが、中間熱伝達ループ13は省くことができる。これは特に、作動流体が可燃性又は爆発性ではない場合、例えばCOが使用される場合に特に当てはまる。中間熱伝達ループ13が使用されない場合、熱交換器がガスタービンエンジン7とスタック8との間に設けられ、その熱交換器を通じて、排気燃焼ガスと廃熱回収回路5内を循環する作動流体との間で熱が直接交換される。
【0038】
廃熱回収回路5は、一体型ターボエキスパンダジェネレータ21を含み、廃熱を電気的出力に変換するために必要な回転機械は、気密封止されたケーシング23内に収容される。本明細書で用いられるとき、「気密封止されたケーシング」は、作動流体の循環のための入口フランジ及び出口フランジを有するが、そこから突出したり、環境に面していたりする回転シャフトを有さず、したがって、回転シールが必要とされず、回転シャフトに沿った流体漏出が回避されるようになったケーシングである。
【0039】
気密封止されたケーシングは、ターボエキスパンダジェネレータの回転構成要素がケーシング内に完全にかつ密閉的に収容されるように互いに結合された1つ以上のケーシングセクションによって形成され得る一方で、トルクは、機械的伝達を必要とせずに、磁気ジョイントを介して1つのケーシングセクションから他のケーシングセクションへと伝達される。
【0040】
ターボエキスパンダジェネレータのいくつかの実施形態については、以下の図3図18を参照して詳細に説明されるが、図1では、ターボエキスパンダジェネレータ21は、概して、共通のシャフトライン31に沿って取り付けられたターボエキスパンダ25、流体加圧ターボ機械27、及び発電機29を含むものとして概略的にのみ示されている。いくつかの実施形態の以下の説明では、流体加圧ターボ機械27は圧縮機を含み、好ましい実施形態と同様に、廃熱回収回路5を循環する作動流体は、作動流体の相の変化を伴わずに、閉じたブレイトンサイクルを実行する。しかしながら、ランキンサイクルの利用は除外されない。そのような場合、作動流体は、相の周期的変化を受ける。この場合、流体加圧ターボ機械は、ターボポンプを含むことになる。
【0041】
熱伝達ループ13の第2の熱交換器13.3からの高温及び高圧の作動流体は、ターボエキスパンダ25内で膨張され、作動流体に含まれる熱は、シャフトライン31上で利用可能な機械的出力に部分的に変換される。機械的出力は、圧縮機27を駆動するために部分的に使用され、超過の機械的出力は、発電機29によって電気的出力に変換される。電気的出力は、おそらくは可変周波数駆動部(VFD)33を介して、電力分配グリッド11に送達される。
【0042】
ターボエキスパンダ25からの膨張した作動流体は、熱交換器又はヒートシンク35内で冷却され、圧縮機27に送達される。圧縮された作動流体は、圧縮機27によって送達され熱交換器13.3に戻される。
【0043】
図1の実施形態は、ヒートシンク35の上流に熱再生器39を更に備える。熱再生器39は、圧縮機27の送達側と第2の熱交換器13.3との間で、膨張した作動流体から圧縮された作動流体へと熱を伝達する熱交換器を含む。
【0044】
図1の廃熱回収回路5は、簡略化された回路である。より複雑な廃熱回収回路5が図2の実施形態に示されており、同じ参照番号が、図1に示され上述されたものと同一又は同等の部分を示す。
【0045】
図2では、一体型ターボエキスパンダジェネレータ21は、2セクションターボエキスパンダ25と、2セクション圧縮機27と、を含む。
【0046】
第1及び第2のターボエキスパンダセクションは、それぞれ25.1及び25.2とラベル付けされ、直列に、すなわち順に配置されている。第2の熱交換器13.3からの圧縮され加熱された作動流体は、第1のターボエキスパンダセクション25.1内で部分的に膨張され、第2のターボエキスパンダセクション25.2内で最終的な低圧に更に膨張される。
【0047】
図2の実施形態では、ターボエキスパンダ25は再加熱ターボエキスパンダである。第1のターボエキスパンダセクション25.1から排出された部分的に膨張した作動流体は、第2のターボエキスパンダセクション25.2で最終的な膨張に供される前に、第2の熱交換器13.3内で再加熱される。
【0048】
第1及び第2の圧縮機セクションは、27.1及び27.2とラベル付けされ、直列に配置されている。ターボエキスパンダ25からの膨張した作動流体は、第1の圧縮機セクション27.1内で部分的に圧縮され、第2の圧縮機セクション27.2内で最終的な高圧へと更に圧縮される。
【0049】
図2の実施形態では、圧縮機27は中間冷却圧縮機である。第1の圧縮機セクション27.1によって送達される部分的に圧縮された作動流体は、第2の圧縮機セクション27.2を通して処理される前に、中間冷却熱交換器37内で冷却される。
【0050】
更に、図2の廃熱回収サイクル5は熱再生器39を更に含む。熱再生器39は、第2のターボエキスパンダセクション25.2によって排出される膨張された作動流体と、第2の圧縮機セクション27.2によって送達される圧縮された作動流体と、の間で熱を交換することを目的としている。第2のターボエキスパンダセクション25.2によって排出される膨張された作動流体は、第2の圧縮機セクション27.2によって送達される圧縮された作動流体よりも高い温度にあるため、再生器39は、排気される作動流体からの低温熱の回収を可能にし、したがって、サイクルの全体的な効率を高める。
【0051】
図2では、再加熱と、相互冷却と、熱再生とが組み合わされて提供されているが、図示されていない他の実施形態では、これらの効率向上型の構成のうちの1つ又は2つが予想され得ることが理解されるべきである。例えば、中間冷却圧縮機は、熱再生は伴うが再加熱は伴わない、あるいは再加熱は伴うが熱再生は伴わないサイクルにおいて使用され得る。同様に、熱再生は、単独で、中間冷却する圧縮機を伴わず、また再加熱も伴わずに、又は、再加熱を伴わずに中間冷却圧縮器を伴って、あるいは、再加熱は伴うが、中間冷却する圧縮器は伴わずに利用され得る。
【0052】
すべての実施形態において、熱を電気的出力に変換するために必要な回転機械、すなわち、ターボエキスパンダ、圧縮機、及び発電機はすべて、同じシャフトライン上の機械の回転構成要素と共に、同じ気密封止されたケーシング21に収容される。
【0053】
一体型ターボエキスパンダジェネレータ21の様々な実施形態の以下の説明から明らかになるように、回転機械がケーシング23内に配置される順序は、図1及び図2に概略的に示されるものとは異なり得る。
【0054】
引き続き図1及び図2を参照すると、以下の図3図18は、一体型ターボエキスパンダジェネレータ及び圧縮機21を形成する機械の異なる配置を概略的に示す。図3図18は、一体型ターボエキスパンダジェネレータ21の回転構成要素及びそれらの間の相互関係を単に概略的に示す。外側の気密封止されたケーシングは省略されている。
【0055】
すべての実施形態において、複数の能動型磁気軸受による回転のために支持される単一のシャフトラインが提供される。以下でより詳細に説明されるように、シャフトラインは、単一のシャフト、又は複数のシャフト、すなわち、単一のシャフトラインを形成するように、それぞれのジョイントによって互いに駆動連結されたシャフトライン部分、例えば2つのシャフトを含んでもよく、すべてのシャフト又はシャフト部分は、存在する場合はシャフトラインに沿って設けられるフレキシブルジョイントによって可能となる角振動に起因する差を除いて、同じ回転速度で回転する。
【0056】
ここで図3を参照すると、ある実施形態では、ターボエキスパンダ25は、シャフトライン31の端部に取り付けられた第1のターボエキスパンダセクション25.1と、シャフトライン31の反対側の端部に取り付けられた第2のターボエキスパンダセクション25.2と、を有する。第1のターボエキスパンダセクション25.1及び第2のターボエキスパンダセクション25.2は、順に配置され、すなわち、作動流体は、第1のターボエキスパンダセクション25.1内で部分的に膨張され、その後、中間再加熱の有無にかかわらず、更なる膨張のために第2のターボエキスパンダセクション25.2に送達される。以下を参照されたい。
【0057】
好ましい実施形態では、ターボエキスパンダ25の第1のセクション25.1と第2のセクション25.2の両方が、前述の実施形態と同様に、それぞれの中間的な構成ではなく、カンチレバー様式で、すなわち、それぞれ端部軸受41.1及び41.3を越えて、片持ち式に取り付けられされている。圧縮機27及び発電機29は、軸受の間に配置されている。したがって、必要なラジアル軸受の数が減少する。ターボエキスパンダセクションへのより容易なアクセスが得られる。
【0058】
ターボエキスパンダセクション25.1及び25.2は、好ましくは背中合わせの構成で取り付けられ、また好ましくは、図3の矢印で概略的に示されるように、半径方向の入り口と軸方向の出口を備えた、半径方向の、すなわち求心的なターボエキスパンダである。軸方向スラストの効率的なバランスが達成される。
【0059】
他の実施形態では、ターボエキスパンダは、軸方向ターボエキスパンダであり得る。
【0060】
好ましくは、2つのターボエキスパンダセクションがシャフトライン31の両側の端部に配置されている場合、発電機29は、第2のターボエキスパンダセクション25.2の隣に配置され、ここで作動流体の温度はより低くなり、その結果、発電機29にかかる熱負荷が低減される。
【0061】
図3の実施形態は、再加熱ターボエキスパンダ25及び/又は中間冷却圧縮機27を使用することによって更に修正され得る。図4では、同じ部分を示すために図3と同じ参照番号が用いられており、中間冷却圧縮機27(ICを参照)が示されている。図5では、同様に同じ部分を示すために図3と同じ参照番号が用いられており、再加熱(RC)を伴うターボエキスパンダ25が示されている。図6は、圧縮機の中間冷却とターボエキスパンダの再加熱との両方を含む実施形態を示す。
【0062】
図7図8図9、及び図10の実施形態は、図3図4図5、及び図6の実施形態と同様であるが、シャフトラインを2つの部分すなわちセクション31.1及び31.2に分割するジョイント51を各々備えられている。図7図8図9、及び図10の実施形態では、ジョイント51は、シャフトラインの残りの部分から発電機29を半径方向に切断するフレキシブルジョイントであり得る。他の実施形態では、ジョイント51は、発電機ケーシングをターボエキスパンダ及び圧縮機ケーシングから物理的に切断し、ジェネレータ冷却ガスシステムの隔離及び発電機の風損の制御を可能にする磁気ジョイントであってもよい。一連の図7図8図9、及び図10に示されるように、ターボエキスパンダ25(25.1、25.2)は再加熱ターボエキスパンダ(図9及び図10)であってもよく、圧縮機27は中間冷却圧縮機(図8及び図10)であってもよい。
【0063】
他の実施形態では、圧縮機27は2セクション圧縮機であってもよく、ここで、2つのセクションは、カンチレバー様式で、すなわち片持ちの構成で、シャフトライン31の両側の端部に配置され、ターボエキスパンダ25は、発電機29と同様に、軸受の間にある構成で配置される。
【0064】
図11図12図13、及び図14は、この種の4つの実施形態を示し、圧縮機27は、シャフトライン31の一方の端部に片持ちされた第1の圧縮機セクション27.1と、シャフトライン31の反対側の端部に片持ちされた第2の圧縮機セクション27.2と、を備える。発電機29及びターボエキスパンダ25は、それぞれのラジアル軸受41の間に、すなわち、軸受の間にある構成で配置されている。図11図12図13、及び図14の4つの実施形態は、第1の実施形態が、ターボエキスパンダの再加熱も、圧縮機の中間冷却も提供しないという点で互いに異なる。図12の実施形態は、中間冷却(IC)を伴う圧縮機27を備えるが、ターボエキスパンダの再加熱は有さない。図13は、再加熱(RH)ターボエキスパンダ25を含むが、圧縮機27の中間冷却は含まない。最後に、図14の実施形態は、再加熱ターボエキスパンダ25と中間冷却圧縮機27とを含む。
【0065】
好ましくは、図11図12図13、及び図14の4つの実施形態において、ターボエキスパンダ25は、既に上述した理由で、その排出端部が発電機29に面するように配置されている。
【0066】
図11図12図13、及び図14の実施形態は、シャフトライン31に沿って1つ以上のジョイントを導入することによって更に修正され得る。図15図16図17、及び図18は、図11図12図13、及び図14のものと同様の実施形態を示すが、発電機29とターボエキスパンダ25との間にジョイント51が追加されている。追加のラジアル軸受も設けられている。図15図16図17、及び図18の実施形態の残りの構成要素は、図11図12図13、及び図14のものに対応し、同じ参照番号でラベル付けされている。
【0067】
上記の実施形態では、気密封止されたケーシング装置は、単一のケーシングを含むが、1つ以上の磁気ジョイントがシャフトライン31に沿って提供される場合、ケーシング装置は、2つ以上の別個のケーシング又はケーシング部分によって形成され得る。2つの別個のケーシング部分23.1及び23.2を備えるケーシング装置が使用される場合、2つのケーシング部分の内部間で完全な分離が得られる。
【0068】
上述のように、能動型磁気軸受41、42及び発電機29は、一体型ターボエキスパンダジェネレータによって処理された作動流体を冷却媒体として使用する冷却回路を備えることができる。図19及び図20は、関連する概略的に表された冷却回路を有する能動型磁気軸受41及び発電機29の概略図を示す。
【0069】
能動型磁気軸受41、42のための冷却回路61が、図19に示されており、循環ポンプ又はファン62と、熱交換器63と、を含み、それらを通じて冷却媒体が循環され、能動型軸受41、42から除去された熱が排出される。参照番号64、65は、能動型磁気軸受41、42を通じた冷却媒体の循環のための空洞及びダクトを示す。
【0070】
発電機29のための冷却回路67が、図20に概略的に示されている。発電機29は、シャフト31に回転可能に取り付けられたロータ29.1と、ケーシング23内に固定されて収容されたステータ29.2と、を含むものとして表されている。ポンプ又はファン68が、熱交換器69を通じて冷却媒体を循環させて、そこから熱を除去する。空洞70及びダクト71は、発電機29のステータ29.2を通じて冷却媒体を循環させるためにケーシング23の内側に配設される。
【0071】
冷却回路61と67は、単一の冷却回路内で組み合わされてもよい。
【0072】
同じ作動流体を冷却媒体として使用することにより、一体型ターボエキスパンダジェネレータ21及び関連する冷却回路(複数可)からなるシステムは、気密封止され、したがって、ケーシング23を囲む環境に向かう作動流体の漏れを回避し得る。
【0073】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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