(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ピンチバルブ用チューブ、このようなチューブを有するピンチバルブおよび粉末ガス噴射装置、ならびにこのようなピンチバルブ用チューブを製造する方法
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20240708BHJP
A61C 3/025 20060101ALI20240708BHJP
A61C 17/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F04C5/00 341A
A61C3/025
A61C17/02 Z
(21)【出願番号】P 2022564325
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2021060662
(87)【国際公開番号】W WO2021214291
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500000485
【氏名又は名称】フェルトン ホールディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding SA
【住所又は居所原語表記】rue Saint Maurice 34 CH-2800 Delemont,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベアニ、フローラン
(72)【発明者】
【氏名】ドネ、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ、マクシム
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510692(JP,A)
【文献】特開2003-206870(JP,A)
【文献】特開平04-101087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
A61C 3/025
A61C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に粉末ガス噴射装置(100)に組み込まれる、ピンチバルブ(1)用のチューブ(10)であって、
動作モードにおいて圧力下の媒体を搬送方向(T)に沿って搬送するための内側チャネル(11)を有するとともに、内側チャネル(11)に垂直な平面に沿ったチューブ(10)の断面において内側チャネル(11)の円周を画定する内側湾曲(13)を有しており、
チューブ(10)の形状は、内側湾曲(13)に少なくとも収縮部を付与するように構成されており、収縮部は、動作モードにおいて、該収縮部を収縮しようとする変形力を受け
、
前記内側湾曲(13)は、直径方向に対向する2つの収縮部を含んでおり、
前記収縮部を形成するために、チューブ(10)がその厚さおよび/または曲率半径を変化させ、該厚さおよび/または曲率半径が円周方向に沿って前記内側湾曲(13)に割り当てられている、チューブ(10)において、
前記内側湾曲(13)が、2つの突出部(15)であって、前記搬送方向(T)に垂直な方向に、かつ、チューブ(10)がピンチバルブ(1)によって押しつぶされる方向において対向配置されるとともに、チューブ(10)の中心に向かう2つの突出部(15)を含んでいる
ことを特徴とする、チューブ(10)。
【請求項2】
前記内側チャネル(11)の断面が、押しつぶされていな
い状態において、非円形断面、特に楕円形断面を有している、請求項
1に記載のチューブ(10)。
【請求項3】
前記内側チャネルの断面が、第1の軸(D1)と、第1の軸(D1)に平行でない第2の軸(D2)とを有しており、第2の軸(D2)に対する第1の軸(D1)の比は、0.1~0.95の
間の値である、請求項
2に記載のチューブ(10)。
【請求項4】
前記内側チャネルの断面が、第1の軸(D1)と、第1の軸(D1)に平行でない第2の軸(D2)とを有しており、第2の軸(D2)に対する第1の軸(D1)の比は、0.2~0.8の間の値である、請求項2に記載のチューブ(10)。
【請求項5】
前記内側チャネルの断面が、第1の軸(D1)と、第1の軸(D1)に平行でない第2の軸(D2)とを有しており、第2の軸(D2)に対する第1の軸(D1)の比は、0.55~0.8の間の値である、請求項2に記載のチューブ(10)。
【請求項6】
前記搬送方向(T)に垂直な平面における前記内側チャネル(11)の断面が、実質的にカッシーニ楕円に一致している、請求項1~5のいずれか一項に記載のチューブ(10)。
【請求項7】
チューブ(10)が、前記収縮部を提供するために予備成形されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のチューブ(10)。
【請求項8】
前記内側湾曲(13)に沿って曲率半径が変化し、前記内側湾曲(13)の曲率が、前記曲率半径の逆数として定義されるとともに、1 1/mm未満
である、請求項1~7のいずれか一項に記載のチューブ(10)。
【請求項9】
前記内側湾曲(13)に沿って曲率半径が変化し、前記内側湾曲(13)の曲率が、前記曲率半径の逆数として定義されるとともに、0.5 1/mm未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載のチューブ(10)。
【請求項10】
内側(12)が少なくとも部分的にコーティングされている、請求項1~9のいずれか一項に記載のチューブ(10)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のチューブ(10)を有し、特に作動機構を有するピンチバルブ(1)であって、作動機構が、互いに反対側に配置されている第1の部分(21)および第2の部分(22)
を含んでおり、作動機構が、第1の部分(21)と第2の部分(22)との間の距離を、特に、前記内側チャネル(11)を開閉するために変更するように構成されており、チューブ(10)が第1の部分(21)と第2の部分(22)との間に位置しており、チューブの第1の収縮部が第1の部分(21)に隣接して位置するとともに、チューブの第2の収縮部が第2の部分(22)に隣接して位置している、ピンチバルブ(1)。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のチューブ(10)を製造するための方法。
【請求項13】
加熱処理を含み、加熱処理が、
- チューブを40℃~500℃の
間の温度に加熱することであって、加熱時間
が0~30
分である、加熱すること、および/または、
- チューブを1℃~50℃の
間の温度まで冷却すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポンプ装置(60)、特に蠕動ポンプであって、押しつぶし機構と、請求項1~10のいずれか一項に記載のチューブ(10)とを備えており、粉末ガス噴射装置(100)
に一体化されている、ポンプ装置(60)。
【請求項15】
請求項11に記載のピンチバルブ(1)を備えている粉末ガス噴射装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチバルブ用チューブ、ピンチバルブおよびこのようなピンチバルブを有する粉末ガス噴射装置、ならびにこのようなピンチバルブ用チューブを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
専門的な歯科予防は、患者が毎日の家庭での手入れで除去できない歯垢や歯石を除去するためのメンテナンスである。歯垢が蓄積されると、虫歯、歯肉炎、歯周炎などの歯科疾患につながるため、この処置は重要である。
【0003】
エアーポリッシングは、空気流と液体流(通常は水流)を用いて、歯に粉末を吹き付ける歯科予防処置である。その利点は、歯と歯の間、歯と歯肉との間のポケット、およびブラケット、インプラント、器具の周りなど、届きにくい領域に到達できることである。エアーポリッシングは、繰り返しの動作や異なる段階を行う必要がないため、効果的な方法である。エアーポリッシングは、他の方法よりも早く、かつ練習をあまり必要としない。
【0004】
エアーポリッシングには、例えば(特許文献1)で開示されているような、粉末ガス噴射装置が一般に使用される。このような粉末ガス噴射装置は、通常、ハンドピース、粉末チャンバ、および多くの場合固定ユニットを備えている。粉末ガス噴射装置は、粉末ガス混合物を形成するために粉末をガスと混合させる。この混合物は、通常水流または噴流に囲まれて、動作中ハンドピースによって吐出される。粉末ガス噴射装置を作動させるために、フットペダルを使用することができる。
【0005】
エアーポリッシングの利点を最大限に生かすためには、粉末の流れを損なわずに管理する必要がある。粉末は研磨材であるため、バルブシステムを摩耗させることなく粉末の流れを遮断することができるシステムを見つけるのは困難である。バルブシステムが摩耗すると、システムが停止するまで粉末があちこちに飛び散る。このようなバルブシステムの課題は、研磨材である粉末が可動部の内部に侵入することができ、可動部を詰まらせたり、摩耗させたりすることである。さらに、粉末との接続部分は、粉末が蓄積し、最終的にシステムを詰まらせる可能性がある部分である。
【0006】
現在、この問題を解決するために、2つの選択肢がある。第1の選択肢によれば、バルブが空気などのガスを遮断するが粉末と接触しないように、ガス流が粉末チャンバの上流で遮断される。これはバルブの摩耗の問題を解決するが、予防処置全体がより困難になる。つまり、粉末ガス噴射装置を作動させるためにフットペダルを踏むたびに、粉末チャンバを最初にガスで満たし、最後にガスを抜いて空にする必要がある。そのため、ペダルを踏んでから処置を行うまでに数秒の遅れが生じる。この方法は、比較的小さな粉末チャンバでのみ実施することができる。粉末チャンバの容積が大きくなると、遅延時間が長くなり(5秒超)、予防処置にはもはや適用できなくなる。
【0007】
したがって、この粉末チャンバの上流で空気を遮断するという考え方は、ペダルを踏んでから装置が作動するまでの時間が長くなってしまう。これは、処置の精度や安全性の観点から、その適用にとって致命的である。例えば、粉末チャンバが空になる前にユーザがハンドピースを外すと、粉末が飛び散り、目の中にまで入ってくる可能性がある。
【0008】
第2の選択肢によれば、粉末チャンバの下流で粉末の流れを遮断し、それにより、上記で説明したようなフットペダルを踏むことと粉末ガス混合物の吐出との間の遅延の問題を克服するようにする。標準的なバルブを使用すると、信頼性の低い粉末ガス噴射装置になる。粉末がバルブの可動部の内部に入り込んで摩耗させる。また、バルブの形状が変化することで、目詰まりを起こす可能性があるため、バルブを塞ぎやすくする。
【0009】
ピンチバルブを使用することで、バルブが開いているときは、粉末の流れに乱れが生じないため、ガス/粉末混合物を確実に制御できることがわかった。ピンチバルブは、動作中に粉末の流れを乱すような形状変化がないため、粉末にとって最適な方法である。
【0010】
特に、ピンチバルブのチューブを押しつぶした(squeeze)ときに、ガス/粉末混合物の粒子がチューブの内側に小さな切込みを生じさせることがわかった。結果として、動作モード中、チャネル内の内圧によって、チューブの内側全体を伸ばす、特に、搬送されるガス/粉末混合物の粒子によって生じた切込みを拡張する力が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に鑑みて、本発明の目的は、特に、チューブが押しつぶされたときに、粉末または粒子によって切込みまたは亀裂が生じる場合、チューブの内側にある切込みや亀裂が広がる、または連続することのないチューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、請求項1に記載のチューブ、請求項11に記載のピンチバルブ、請求項12に記載の方法、および請求項14に記載の粉末ガス噴射装置によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項、明細書および図面に組み込まれている。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、特に粉末ガス噴射装置に組み込まれる、ピンチバルブ用のチューブが提供される。このチューブは、動作モードにおいて圧力下の媒体を搬送方向に沿って搬送するための内側チャネルを有するとともに、内側チャネルに垂直な平面に沿ったチューブの断面において内側チャネルの円周を確定する内側湾曲(inner curvature)を有している。チューブの形状は、内側湾曲が少なくとも収縮部を有するように構成されており、動作モードにおいて、内側湾曲の収縮部を収縮しようとする(tend to contract)変形力を受ける。
【0015】
従来技術とは異なり、本発明によるチューブは収縮部を含み、ここにチューブの内側の内側湾曲に沿った収縮が生じる。このチューブの形状が、内側湾曲に沿った引張応力を打ち消す収縮部を形成できることが判明した。内側湾曲に沿った引張応力は、媒体、特に粉末/ガス混合物の粒子が、例えばゴム製であるチューブの材料に小さな亀裂または切込みを生じさせた後に、亀裂成長伝播を促進するので避けるべきである。結果として、本発明によるチューブは、例えば、搬送される媒体によって引き起こされる亀裂または切込みが連続するリスクを低減することができる。したがって、ピンチバルブに使用されるチューブの寿命が延びる。特に、チューブが押しつぶされた(squeezed)ときに粉末/ガス混合物によって引き起こされる、より正確には粉末/ガス混合物の粒子によって形成される切込みが、動作中、すなわちチューブの内側チャネルを通過する間に伸びることが回避される。これは、粉末/ガス混合物によって切込みが生じやすい領域に好ましくは位置する収縮部が、通常であれば内側チャネルの内側を伸ばそうとする力に対向することができるためである。内側チャネルの内側では内側チャネルの領域を形成し、内側湾曲は線を画定する。
【0016】
特に、このチューブの形状は、押しつぶされていない状態(non-squeezed state)においても存在する。押しつぶされていない状態では、例えば、媒体が内側チャネルを通って搬送され、また、例えば、内側チャネルを閉じるためにチューブに作用する作動機構がチューブに作用せず、チューブは押しつぶされない。言い換えれば、収縮部を生じさせるチューブの形状は、適用されているチューブの現在の変形の結果ではない。
【0017】
好ましくは、「収縮」によって、特に、収縮部の少なくとも2つの部分が、これらの2つの部分の間に裂け目または切込みが形成されるとき、互いに向かって移動しやすいように、円周方向に沿って、および内側湾曲に沿って向けられた力が生じる。したがって、有利な方法で、裂け目または亀裂の連続および拡大を回避することができる。特に、収縮部は、チューブの内側湾曲の2つの部分が互いに対向するように設けられる。
【0018】
さらに、好ましくは、内側湾曲が、第1の収縮部および第2の収縮部など、直径方向に対向する2つの収縮部を備える。特に、2つの収縮部は、内側チャネルの内側湾曲において、対向する側に位置する。特に、チューブは、収縮部の形成を支持するための弾性を有している。
【0019】
好ましい実施形態によれば、収縮部を形成するために、チューブではその厚さおよび/または曲率半径(radius of curvature)を変化させて、円周方向に沿って内側湾曲に割り当てる。チューブの形状のこのような変更、特に搬送方向に垂直な平面におけるチューブおよび/または内側チャネルの断面に関する変更によって、円周方向に沿ってチューブの内側湾曲を収縮しやすくする収縮部を形成できることが判明した。
【0020】
好ましくは、内側チャネルの断面は、押しつぶされていない状態において、非円形断面、特に楕円形断面を有する。楕円形断面を用いることは、特に収縮部を含む予備成形されたチューブを形成することによって、収縮部を容易に得る方法であることが判明した。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、内側チャネルの断面は、第1の軸と、第1の軸に平行ではない、好ましくは第1の軸に垂直な第2の軸とを有しており、押しつぶされていない状態において、第2の軸に対する第1の軸の比は、0.1~0.95の間の値、好ましくは0.2~0.8の間、より好ましくは0.4~0.8の間、さらにより好ましくは0.55~0.8の間の値である。特に、このような0.55~0.8の間の比の形状を形成することで、チューブの寿命が、特に、断面が円形であるチューブと比較して、劇的に延びることが判明した。
【0022】
好ましくは、搬送方向に垂直な平面における内側チャネルの断面は、実質的にカッシーニ楕円に一致する。このような形状は、収縮部を形成するために有利な状態を確立するのに適していることが判明した。
【0023】
チューブは、好ましくは、収縮部を提供するために予備成形されている。このようなチューブは、元の状態の内側チャネルの純円形断面を有するチューブから得ることもできる。チューブの変形中の熱処理などの特定の処理によって、チューブは、チューブに作用する押しつぶされていない状態であっても、予備成形された状態に留まる。
【0024】
特に、圧力下の粉末をチューブ内に通過させるために本出願人のAIRFLOW(登録商標)装置などの標準的なエアーポリッシング装置にチューブを挿入する試験を実施した。PERIO(登録商標)粉末をこの装置に使用した。このPERIO(登録商標)粉末は、小粒径の粉末、すなわち平均粒径が約10~100μmの粒または顆粒を有する粉末の形態でグリシンを含んでいる。ピンチバルブの閉状態での3秒と開状態での3秒を1サイクルとし、ピンチバルブのチューブに応力を与えるために使用した。その結果、収縮部を持たないチューブの寿命は約38,000ピンチサイクルであるのに対し、収縮部を持つピンチバルブの寿命は約135,000ピンチサイクルであることが判明した。
【0025】
特に、内側湾曲の曲率半径が円周方向に沿って変化し、内側湾曲の曲率(curvature)は、曲率半径の逆数として定義され、1 1/mm未満、より好ましくは0.5 1/mm未満、もしくは最も好ましくは0.1 1/mm未満であり、またはさらには負の値を有する。好ましくは、曲率半径は、作動状態または押しつぶされた状態において動作中にチューブに作用する作動機構の部品の横にまたは隣接して位置するチューブの領域で最大値を有する。例えば、曲率は、0~1/mmの値を有し、すなわち、内側湾曲は少なくとも部分的に平坦である。曲率が負の値で、内側チャネルの内側にある突出部に割り当てられることも考えられる。
【0026】
また、内側の曲率が、チューブのチャネルの中心に向かって面する突出部を含むことも考えられる。このような場合、内側は、収縮部の形成を支持する「ボス(boss)」またはくぼみを形成する。さらに、本発明の別の態様によれば、関連領域、すなわちチューブと相互作用する作動機構の部分に近い領域の材料が増加することで、チューブの厚さが増加する、すなわちチューブの壁が増加して、チューブの寿命、ひいてはピンチバルブの耐久性が向上する。
【0027】
好ましくは、チューブの材料の特性は、内側湾曲に沿って変化する。例えば、チューブの材料のEモジュールは、収縮部を形成するために、搬送方向と直交する方向および/または内側湾曲に沿って変化する。好ましくは、チューブは、ポリウレタン(PUR)から作られる。多くのチューブ材料が試験され、主にPURが最も耐性のある材料であることが判明した。したがって、ピンチバルブ、特にチューブの寿命をさらに向上させることができる。
【0028】
さらに、特にピンチバルブの作動機構の内側に位置するチューブの領域において、内側が少なくとも部分的にコーティングされることが考えられる。好ましくは、第1の収縮部および/または第2の収縮部がコーティングされる。例えば、コーティングは、チューブの内側を粉末に対してより耐性を高める。したがって、ピンチバルブの寿命をさらに向上させることができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、ピンチバルブが提供され、ピンチバルブは本発明によるチューブを含む。好ましくは、ピンチバルブは、押しつぶされていない状態と押しつぶされている状態とを確立する作動機構を含み、作動状態すなわち押しつぶされている状態において、内側チャネルは減少した断面を有するか、または閉鎖される。特に、作動状態の間、チューブは作動機構によって押しつぶされる。
【0030】
さらなる実施形態によれば、作動機構は、互いに反対側に配置されている第1の部分および第2の部分を含む。作動機構は、第1の部分と第2の部分との間の距離を、特に、内側チャネルを開閉するために変更するように構成されている。チューブが第1の部分と第2の部分との間に位置しており、チューブの第1の収縮部が第1の部分に隣接して位置するとともに、チューブの第2の収縮部が第2の部分に隣接して位置しており、本質的に第1の収縮部および/または第2の収縮部は収縮部を含んでいる。好ましくは、断面の第1の軸は、作動機構の第1の部分および第2の部分を移動させる方向と平行に延在し、断面の第2の軸は、第1の軸に対して垂直に延在する。
【0031】
また、ピンチバルブが、吐出される粉末ガス混合物の量を制御するために用いられること、すなわち、ピンチバルブが比例弁として用いられることも考えられる。好ましくは、収縮は、チューブの内側湾曲または内側チャネルの内側の画定された部分、特に、動作中にチューブを変形させる作動機構の部分の横に位置する領域においてのみ生じる。ピンチバルブの作動機構は、一般に、チューブの特定の領域に引張応力を引き起こすので、本発明によるピンチバルブが、通常であればチューブの内側で亀裂または切込みの連続または増加をもたらし得る引張応力に対抗する収縮を生じさせることは利点である。結果として、ピンチバルブのチューブの寿命を2倍あるいは3倍超延ばすことができる。
【0032】
好ましくは、収縮部は、チューブと相互作用する作動機構の構成要素の近傍にまたはそれに隣接して設けられる。好ましくは、チューブは、作動機構を通過するか、または、作動機構を通って延在する。ピンチバルブが、ハンドピースを固定ユニットに接続するための接合ユニットの内部に組み込まれることも可能である。
【0033】
例えば、ピンチバルブは、粉末ガス噴射装置の固定ユニットの内側、および/または、粉末ガス噴射装置のハンドピースを固定ユニットに接続する接合ユニットの内側に組み込まれる。好ましくは、固定ユニットは、固定ユニットのハウジングの外側に着脱可能に接続される粉末チャンバも含む。特に、チューブ自体が、通常であれば動作状態において張力または引張応力を受ける収縮部において、少なくとも部分的に収縮を生じるように、チューブおよび/またはピンチバルブが構成されている。
【0034】
本発明の別の態様は、本発明によるチューブを製造する方法であって、チューブの内側に作用する圧縮応力を付与するための熱処理を含む方法である。ピンチバルブおよびチューブに関連して考察されているすべての特徴および利点は、本方法にも同様に適用され、逆もまた同様である。
【0035】
さらなる実施形態によれば、加熱処理は以下を含む。
- チューブを40℃~500℃の間、好ましくは60℃~200℃の間、最も好ましくは80℃~100℃の間の温度に加熱することであって、特に加熱時間は0~30分、好ましくは1~20分、最も好ましくは1~10分である、加熱すること、
- チューブを1℃~50℃の間、好ましくは5℃~50℃の間、最も好ましくは15℃~25℃の間の温度まで冷却すること。加熱後すぐに、予備変形されたチューブを10℃~25℃の間の温度の冷水浴に入れて形状を固定する。特に、チューブの断面の元の円形状に対して変形を生じさせるために、変形工具が使用される。チューブの変形は、加熱前または加熱中に行われ、冷却中に少なくとも一時的に維持される。特に、冷却後、変形工具は取り除かれ、チューブは所望の形状、すなわち、予備成形された形状を維持する。熱処理によって、チューブの内部応力を減少させ、チューブの形状によって生じる圧縮応力の効果がより強くなることが判明した。
【0036】
好ましくは、チューブは、その断面を変更するため、および/またはその内部応力を修正するために、型または治具に配置される。特に、チューブが型または治具に配置されている間に、チューブには第1の期間と第2の期間を含む温度処理が行われ、第1の期間中の温度は第2の期間中の温度よりも高い。チューブの形状を修正するために、例えば、第1の期間では熱水などの高温の液体が使用され、第2の期間では冷水などの低温の液体が使用される。好ましくは、型/治具の内側は、少なくとも部分的に、チューブを使用するポンプ装置内のチューブの一般的な経路(course)に対応する。
【0037】
本発明の別の態様は、ポンプ装置、特に蠕動ポンプであって、本発明による圧縮機構およびチューブを含み、粉末ガス噴射装置に好ましくは一体化されているポンプ装置である。特に、チューブおよびチューブを製造するための方法に関して考察されたすべての利点および仕様は、ポンプ装置にも同様に適用され、逆もまた同様である。好ましくは、チューブは楕円形の断面を有する。
【0038】
本発明の別の態様は、本発明によるピンチバルブを含み、好ましくは本発明によるチューブを有する粉末ガス噴射装置である。ピンチバルブ、チューブ、およびチューブを製造するための方法に関して考察したすべての利点および特徴は、粉末ガス噴射装置にも同様に適用され、逆もまた同様である。好ましくは、粉末ガス噴射装置が固定ユニットと、ハンドピースと、ハンドピースを固定ユニットに接続するための接合ユニットとを備え、ピンチバルブは接合ユニット内に配置される。
【0039】
明示的に既に記載されていない場合、個々の実施形態またはその個々の態様および特徴は、そのような組み合わせまたは交換が有意義であり、本発明の意味するところであればいつでも、記載した発明の範囲を限定または拡大することなく、互いに組み合わせまたは交換することが可能である。本発明の一実施形態に関して記載されている利点は、適用可能であれば、本発明の他の実施形態の利点でもある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による粉末ガス噴射装置を概略的に示す。
【
図2】本発明の第1の例示的な実施形態によるピンチバルブを含む粉末ガス噴射装置の一部を概略的に示す。
【
図3】本発明の第1の例示的な実施形態によるピンチバルブ(上)およびチューブ(下)を概略的に示す。
【
図4】本発明の第2の例示的な実施形態によるチューブを概略的に示す。
【
図5】押しつぶし機構を含むポンプ装置を概略的に示す。
【
図6】
図5のポンプ装置のためのチューブを形成するための型を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による粉末ガス噴射装置100を概略的に示している。このような粉末ガス噴射装置100は、エアーポリッシングによる歯科予防のために使用される。粉末ガス噴射装置100は、粉末ガス混合物を提供し、この粉末ガス混合物をハンドピース18を介して歯の表面に吐出することで、バイオフィルムおよび/または歯石を除去する。ノズルを含むハンドピース18の他に、粉末ガス噴射装置100は、好ましくは、例えばテーブル上に置くことができ、エアーポリッシングに使用される粉末ガス混合物を生成し提供する固定ユニット20を有する。さらに、粉末ガス噴射装置100は、少なくとも1つの取り外し可能な、特に交換可能な、粉末ガスチャンバ30を備え、このチャンバは、歯科処置中に使用される特定の粉末を提供するために固定ユニット20に接続可能である。
【0042】
特に、エアーポリッシング中に使用される粉末ガス混合物は、ガス、特に空気を粉末チャンバ30に導入することによって、例えばベンチュリ効果を用いて粉末チャンバ30内でガスと粉末を混合することによって、そして最後に粉末ガス混合物として粉末チャンバ30を出ることによって、粉末チャンバ30内に生成される。粉末ガス混合物をハンドピース18に搬送するために、チューブシステムが特に使用される。例えば、チューブシステムは、媒体、すなわち粉末ガス混合物を搬送するためのチューブ10と、粉末ガス混合物を搬送するためにチューブ10を囲むスリーブチューブ31とを含む。好ましくは、スリーブチューブ31およびチューブ10を含むチューブシステムは、オペレータがハンドピース18を所望の位置または向きに容易に向けることができるように、可撓性を有する。好ましくは、チューブシステムは、インターフェース50を介して固定ユニット20に接続される。例えば、そのようなインターフェース50は、固定ユニット20の前面パネルに配置される。ハンドピース18による粉末ガス混合物の使用を制御するために、粉末ガス混合物がハンドピース18によって放出されるか否かを調節する、バルブシステムが必要とされる。このようなバルブシステムは、オペレータによって作動可能なフットペダル(図示せず)によって制御されてもよい。
【0043】
このようなバルブは、好ましくは、粉末チャンバ30の下流に配置される。そうでない場合、粉末チャンバ30が初めにガスで満たされる必要があるので、フットペダルの作動とハンドピース18からの粉末ガス混合物の吐出との間に遅延が発生するためである。しかしながら、バルブシステムを粉末チャンバ30の下流に配置することは、適切なバルブシステムの選択に関する特定の課題をもたらす。特定の機構を有し、いくつかの機械的構成要素を含むバルブシステムは、粉末ガス混合物の粉末と相互作用する可能性があるため、典型的には、バルブシステム内に蓄積される粉末によって損傷を受ける。したがって、粉末チャンバ30の下流にピンチバルブ1を配置することが、粉末ガス噴射装置100における適切なバルブシステムのための良い選択であることが判明した。結果として、粉末ガス混合物は、ピンチバルブ1の一部であるチューブ10の内側12とのみ相互作用する。
【0044】
図1に示す実施形態では、ピンチバルブ1は、チューブシステムを固定ユニット20に接続するためのインターフェース50で固定ユニット20に差し込まれた接合ユニット32に配置されている。
【0045】
図2において、接合ユニット32の内部に組み込まれたピンチバルブ1を詳細に示す。好ましくは、接合ユニット32は、ピンチバルブ1を覆い、固定ユニット20の対応するインターフェース50に差し込まれるように構成されているハウジング33を含む。特に、接合ユニット32は、粉末ガス混合物が接合ユニット32に入ることを可能にする少なくとも第1の入力チャネル41と、ピンチバルブ1を作動させるために空気または別のガスを供給することを可能にする第2の入力チャネル42とを含む。
図2に示す実施形態では、ピンチバルブ1は第1の部分21および第2の部分22を含み、第1の部分21および第2の部分22はその間の距離を変更できるように構成されており、チューブ10が第1の部分21と第2の部分22との間に配置されている。したがって、チューブ10の内側チャネル11を開閉したり、チューブ10の内側12によって形成されている内側チャネル11の断面寸法を変更したりすることが可能である。開状態において、粉末ガス混合物はピンチバルブ1を通過し、搬送方向Tを経由してハンドピース18に搬送される。閉状態において、接合ユニット32の内側の粉末ガス混合物の経路は、媒体、すなわち粉末ガス混合物がハンドピース18に搬送されないように遮断される。
【0046】
図2に示す実施形態において、ピンチバルブ1の作動機構は、移動部分25と、移動部分25の内部に組み込まれるばね要素24とを含む。第1の部分21が開状態および閉状態の間、同じ位置に固定されているのに対し、作動機構の第2の部分22は、ピンチバルブ1を開状態と閉状態との間で移行させるために、2つの異なる位置の間で移動または並進させられる。したがって、作動機構を用いることによって、チューブ10の内側チャネル11の断面の大きさを変更することが可能である。
【0047】
このようなピンチバルブ1の寿命は、主に、チューブ10と粉末ガス混合物の粉末との相互作用、および、ピンチバルブ1の作動サイクル、すなわち開状態から閉状態への変換回数によって決定される。特に、閉じるおよび/または開くこと、すなわちチューブ10に相互作用または作用することが、チューブ10の内側12に粉末/ガス混合物の粒子が入り込んで生じるチューブ10の内側12の裂傷を維持する(support)ことが判明した。特に、一般に動作中にチューブ10に作用することによって、粉末とチューブ10の内側12との相互作用によって生じる裂傷および/または亀裂が増加または拡大しやすくなる。
【0048】
図3において、本発明の第1の例示的な実施形態によるピンチバルブ1(上)およびピンチバルブ1用のチューブ10(下)を概略的に示す。従来技術とは異なり、チューブ10の内側湾曲13の少なくとも一部に沿って収縮が生じるような、チューブ10の内側12に作用する収縮部を有するようにチューブ10が構成され、内側湾曲13は、搬送方向Tに垂直な平面において内側チャネル11の断面に接する。圧縮応力によって、チューブに内側湾曲13に沿って収縮しやすい収縮部が形成される。したがって、チューブ10自体が、亀裂または切込みを抑制し、特に、チューブ10の内側12において生じたまたは形成された亀裂または切込みが連続することに対処する。特に、圧縮応力(所望の圧縮応力)は、作動機構の第1の部分21および第2の部分22の横にまたは隣接してそれぞれ配置されるチューブ10の領域に生じる。言い換えれば、ピンチバルブ1の組み立てられた状態において、第1の収縮部は第1の部分21に面し、第2の収縮部は第2の部分22に面する。特に、収縮部は、ピンチバルブ1の作動機構の第1の部分21および/または第2の部分22に接触するチューブ10のそのような部分に形成される。
【0049】
特に、チューブ10の形状は、少なくともピンチバルブ1の押しつぶされていない状態において形成される。このような収縮は、例えば、チューブ10の予備成形によって生じる。したがって、搬送方向Tに垂直な平面で測定される内側チャネル11の断面は、特に押しつぶされていない状態において、円形または純円形の断面とは異なる。
図3の実施形態において、内側チャネル11の断面は楕円形である。好ましくは、チューブ10は、少なくとも部分的に予備成形される、すなわち、接続される部分または作動機構の内側に位置する部分において、予備成形される。作動機構または接合ユニット32の外側のチューブ10は、予備成形されていなくてもよい。さらに、押しつぶされていない状態において、チューブ10の内側12に沿って曲率半径が変化する。特に、内側湾曲13の半径は、例えば、押しつぶされていない状態において、ピンチバルブ1の第1の部分21または第2の部分22のすぐ隣に位置するチューブ10のチューブ部分またはチューブ領域において最大値を有している。好ましくは、内側湾曲13は、曲率半径(r)の逆数(1/r)として定義される曲率を有する。曲率は、1 1/mm未満、より好ましくは0.5 1/mm未満、または最も好ましくは0.1 1/mm未満、あるいは、さらには負の値であってもよい。特に、曲率は0~1/mmである。内側湾曲13は、搬送方向Tに垂直な断面において、チューブ10の内側12に割り当てられる。これらの領域は、動作中、特に引張応力に関して最も応力がかかる領域であるので、収縮によって、通常であればチューブ10の内側12において形成される裂傷または亀裂の増加または連続を生じさせる引張応力を回避する。
【0050】
好ましくは、内側チャネル11の断面は、非作動状態において、第1の軸D1および第2の軸D2を有する形状をとる。第1の軸D1は、ピンチバルブ1を閉状態と開状態との間で変換するために、作動機構の第1の部分21と第2の部分22との間の距離が変化する方向に延在する。第2の軸D2は、第1の軸D1に垂直であり、かつ搬送方向Tに垂直である方向において測定される。さらに、好ましくは、内側チャネル11の断面が、押しつぶされていない状態において、第1の軸D1対第2の軸D2の比が0.4~0.95、好ましくは0.5~0.8、最も好ましくは0.5~0.8の値を有する形状をとる。
【0051】
例えば、収縮部を有するこのような予備成形された形態は、元の状態、すなわち熱処理前の円形断面を有するチューブ10の変形中に熱処理を行うことによって得られる。
図4において、本発明の第2の例示的な実施形態によるチューブ10を概略的に示す。特に、チューブ10の内側12が、内側チャネル11の中心に向かう方向に内側チャネル11の内側のチューブ10から突出する少なくとも1つの突出部15を有する。好ましくは、チューブ10は、搬送方向Tに垂直な方向に対向配置される2つの突出部15を含む。特に、少なくとも1つの突出部15は、作動機構の第1の部分21および第2の部分22に隣接するチューブ部分に配置される。
【0052】
図5において、押しつぶし機構(squeezing mechanism)を含むポンプ装置60を例示している。特に、ポンプ装置60は、蠕動ポンプの原理に基づいており、移動ローラなどの押しつぶし要素(squeezing element)61と固定壁62との間に配置されるチューブ10を有する。チューブ10の内部に位置する流体またはスラリーを移動させるために、押しつぶし要素61は、チューブ10を押しつぶすようにチューブ10を押圧する。
図5に示す実施形態において、押しつぶし要素61は、回転要素64の支柱要素63の端部に配置されている移動ローラである。この実施形態において、回転要素64は、端部にそれぞれ移動ローラを有する3つの支柱要素63を備えており、支柱要素63は、ポンプ運転中に支柱要素63が移動する回転方向に沿って等距離に配置されている。回転中、チューブ10を圧縮する位置を移動させて、チューブ10の内部の液体またはスラリーを移送する。
【0053】
しかしながら、このような種類のポンプ装置60は、封入された容積の気密性を確保するために、チューブ10の大きな押しつぶし変形を伴う。この変形は、チューブ10の疲労劣化をもたらし、早期破損を生じさせる可能性がある。さらに、この押しつぶし変形は、チューブ10に内部応力を発生させ、この内部応力は、チューブ10の壁厚に伴って増加する。その結果、ポンプ装置60の出口でより高いヘッド圧を維持するために、より厚いチューブ10が必要となった場合、チューブ10の交換が必要となる。さらに、チューブ10の壁厚の増大は、押しつぶし力を増大させる。結果として、回転要素64でより高い逆トルクが必要となる。これらすべてが、ドリフトまたはアクチュエータの機能停止のいくつかのリスクを生じさせ、エネルギー効率を悪くする。
【0054】
このため、例えば、高性能のチューブ10およびその交換にコストがかかるなどのデメリットがある。さらに、複数のヘッドポンプや、大型のアクチュエータが必要となるため、コンパクトに設計することが困難になる。さらに、エネルギー効率が低下し、チューブ10や固定回転要素64上の押しつぶし要素61などのポンプ機構を交換するためのメンテナンスが増加する。したがって、少なくとも部分的に楕円形の断面を持つチューブ10を使用することは、チューブ10を押しつぶす労力を軽減するため有利である。好ましくは、チューブ10は、少なくとも部分的に、特に押しつぶされる部分において、本発明のチューブ10に対応するものである。よって、回転要素64で必要とされるトルクまたは逆トルクを低減することができる。したがって、特に、ポンプ装置60の出口または出力においてより高い圧力を必要とするそのような用途において、より厚い壁を有するチューブ10を使用することができる。
【0055】
特に、チューブ10の楕円形状によって、押しつぶし中の歪みが低減するため、チューブ10の内部応力をさらに減少させる。その結果、疲労挙動が大幅に改善される。特に、より厚いチューブの壁を選択できるため、チューブ10はより高いヘッド圧力に耐えることができる。
【0056】
図6は、
図5のポンプ装置60用のチューブ10を形成するための型/治具を示す。
図5のポンプ装置60に組み込まれるチューブ10の特定の経路(course)および形状を生成するために、好ましくは、当初は円形の断面を有するチューブ10が、成形ベース72および好ましくはチューブ溝を有する成形キャップ71を有する特定の型70および/または治具内に配置される。特に、チューブ10は、チューブ10がポンプ装置60に組み付けられたときに、チューブ10の一般的な経路がチューブ10の一般的な経路に対応するように、成形ベース72の内側に配置される。さらに、チューブ10は、少なくとも部分的に円形断面が楕円形断面となるように変形される。所望の内部応力を発生させるため、および型70または治具によって成形された形状を維持するために、型または治具内のチューブ10が、熱水などの加熱媒体によって数分間影響を受けることが好ましい。その後、冷水などの冷却媒体を用いて冷却する。その結果、型70/治具からチューブ10を取り外した後も、変形した断面が維持される。このチューブ10の変形は、平坦な設計で達成することができるが、ポンプ装置60の組み立て段階におけるチューブ10の経路に適応して、チューブ10の一般的な経路を形成することが有利である。これは、ポンプ機能に不利益をもたらし、および/またはチューブ10の固着を誘発する可能性があるチューブのねじれのリスクが少なくとも存在するためである。したがって、主にポンプ装置60の内側側壁に対応する、実質的に内側側壁を有する型70および/または治具を使用することが有益であり、チューブ10の経路を画定する内側側壁は、型70/治具の内側に位置付けられるまたは配置される。
【符号の説明】
【0057】
1…ピンチバルブ、10…チューブ、11…内側チャネル、12…内側、13…内側湾曲、15…突出部、18…ハンドピース、20…固定ユニット、21…第1の部分、22…第2の部分、24…ばね要素、25…移動部分、30…粉末チャンバ、31…スリーブチューブ、32…接合ユニット、33…ハウジング、40…ハンドピース、41…第1の入力チャネル、42…第2の入力チャネル、50…インターフェース、60…ポンプ装置、61…押しつぶし要素、62…壁、63…支柱要素、64…回転要素、70…型、71…キャップ、72…ベース本体、100…粉末ガス噴射装置、T…搬送方向、D1…第1の軸、D2…第2の軸。