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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】複合材剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022568795
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2020139555
(87)【国際公開番号】W WO2021253787
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/096672
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/110065
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/110105
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/117615
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/117738
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/117767
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/117789
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/129129
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518234977
【氏名又は名称】ジーアールエスティー・インターナショナル・リミテッド
【住所又は居所原語表記】Flat 10,12/F Technology Park,18 On Lai Street,Shatin,New Territories,Hon Kong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホ、カム・ピウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、インカイ
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ヤンチャン
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109478698(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00-5/00
B29B 17/00-17/02
C08J 11/00-11/28
H01M 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合体を剥離液に浸漬することによって前記複合体を剥離する方法であって;前記複合体が、基材と、前記基材の片面または両面に塗布された、ポリマーバインダーを含むコーティングとを含み;前記ポリマーバインダーが、酸基含有モノマーから誘導される構造単位およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含み;前記酸基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、前記ポリマーバインダー中の前記コポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、15モル%~85モル%であり;前記剥離液が剥離剤を含み;前記剥離剤は弱酸であり、前記剥離液中の前記剥離剤の濃度が、前記剥離液の総重量に基づいて0.01重量%~1重量%である、前記方法。
【請求項2】
前記コポリマーが、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、前記ポリマーバインダー中の前記コポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、5モル%~85モル%である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材が、箔、シート、フィルムまたはそれらの組み合わせの形態であり;前記基材が、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基材が、箔、シート、フィルムまたはそれらの組み合わせの形態であり;前記基材が外層および内層を含む2層構造を有し、前記外層が導電性材料を含み、および前記内層が絶縁材料または他の導電性材料を含み;前記導電性材料が、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂またはこれらの組み合わせからなる群から選択され;前記絶縁材料が、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー材料であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸基含有モノマーが、カルボン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、ホスホン酸基含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カルボン酸基含有モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ブチルクロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、テトラコン酸(tetraconic acid)、2-エチルアクリル酸、イソクロトン酸、cis-2-ペンテン酸、trans-2-ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、3-プロピルアクリル酸、trans-2-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-2-メチル-3-エチルアクリル酸、3-イソプロピルアクリル酸、trans-3-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-3-メチル-3-エチルアクリル酸、2-イソプロピルアクリル酸、トリメチルアクリル酸、2-メチル-3,3-ジエチルアクリル酸、3-ブチルアクリル酸、2-ブチルアクリル酸、2-ペンチルアクリル酸、2-メチル-2-ヘキセン酸、trans-3-メチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2,3-ジエチルアクリル酸、3,3-ジエチルアクリル酸、3-メチル-3-へキシルアクリル酸、3-メチル-3-tert-ブチルアクリル酸、2-メチル-3-ペンチルアクリル酸、3-メチル-3-ペンチルアクリル酸、4-メチル-2-ヘキセン酸、4-エチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-2-エチル-2-ヘキセン酸、3-tert-ブチルアクリル酸、2,3-ジメチル-3-エチルアクリル酸、3,3-ジメチル-2-エチルアクリル酸、3-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、2-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、trans-2-オクテン酸、cis-2-オクテン酸、trans-2-デセン酸、α-アセトキシアクリル酸、β-trans-アリールオキシアクリル酸、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、ブロモマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸、ジフルオロマレイン酸、ノニル水素マレアート、デシル水素マレアート、ドデシル水素マレアート、オクタデシル水素マレアート、フルオロアルキル水素マレアート、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、メタクロレイン、塩化メタクリロイル、フッ化メタクリロイル、臭化メタクリロイル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スルホン酸基含有モノマーが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリル酸、2-メチルプロパ-2-エン-1-スルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ホスホン酸基含有モノマーが、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、アクリルアミドアルキルホスホン酸、メタクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、アクリロイルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、エチレン2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、エチル-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、前記ポリマーバインダー中の前記コポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、5モル%~85モル%である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コポリマーが、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ニトリル基含有モノマーが、アクリロニトリル、α-ハロゲノアクリロニトリル、α-アルキルアクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、α-イソプロピルアクリロニトリル、α-n-ヘキシルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、3-メトキシアクリロニトリル、3-エトキシアクリロニトリル、α-アセトキシアクリロニトリル、α-フェニルアクリロニトリル、α-トリルアクリロニトリル、α-(メトキシフェニル)アクリロニトリル、α-(クロロフェニル)アクリロニトリル、α-(シアノフェニル)アクリロニトリル、ビニリデンシアニドおよびそれらの組合せからなる群から選択され;ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、15モル%~85モル%である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アミド基含有モノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-イソブチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(メトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)メタクリルアミド、N-(プロポキシメチル)メタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド(MBA)、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、およびそれらの組合せからなる群から選択され;アミド基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、0モル%~35モル%である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記剥離液が、水性溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記剥離剤が、ギ酸、酢酸、グリコール酸、グリオキシル酸、シュウ酸、プロピオン酸、アクリル酸、プロピオル酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸、ピルビン酸、3-オキソプロピオン酸、2,3-ジオキソプロピオン酸、マロン酸、タルトロン酸、ジヒドロキシマロン酸、メソシュウ酸、グリシド酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、テトロル酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-オキソブタン酸、アセト酢酸、4-オキソブタン酸、ブタン二酸、メチルマロン酸、フマル酸、マレイン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、酒石酸、オキサロ酢酸、ジオキソコハク酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチルブチル酸(2-methylbutiric acid)、ピバル酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、3-オキソグルタル酸、2-フロ酸、テトラヒドロフロ酸、ヘキサン酸、ヘキサン二酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、ソルビン酸、ピメリン酸、安息香酸、サリチル酸、4-カルボキシ安息香酸、トリメシン酸、メリト酸、リンゴ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記水性溶媒が水、または水を主成分として含み微量成分を含む溶液であり;前記水性溶媒中の水の割合が51重量%~100重量%であり;前記微量成分がメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、エチルアセタート、イソプロピルアセタート、プロピルアセタート、ブチルアセタート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記剥離液に対する前記複合体の重量比が0.01%~5%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記複合体を15分~120分の時間、前記剥離液に浸漬し;前記複合体を25℃~95℃の温度で前記剥離液に浸漬する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記複合体-剥離液混合物を10rpm~3000rpmの速度で撹拌し;前記複合体-剥離液混合物を1分~120分の時間撹拌する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料のリサイクル方法の分野に関するものである。特に、本発明は基材と、基材の片面または両面に塗布されたコーティングと、を含む複合体の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急激な都市化、技術革新の急速な進展およびこれらに伴う製品の頻繁な置き換えまたは消耗品の廃棄によって、製品の寿命が短くなり、および/または廃棄物が過剰に発生するようになってきた。廃棄物の過剰発生に伴い、人体への悪影響、環境への悪影響、資源の枯渇などの問題が深刻化し、様々な廃棄物処理の手段を用いて、これらの問題を解決することが世界的に急がれている。
【0003】
リサイクルは廃棄物削減の階層構造における重要な構成要素であり、廃棄物から貴重な材料を回収して再利用することを目的としている。材料のリサイクルは、天然資源の保護や、原材料の採取に伴うエネルギー消費量の削減(ひいては生産コストの削減)や、温室効果ガスやSO排出量の削減による環境負荷の軽減をもたらす。このように、材料リサイクルには大きなメリットがあるため、高効率な材料リサイクル方法を開発することはサーキュラーエコノミーを実現する上で最も重要なことである。
【0004】
材料リサイクルに深く関わる技術として、複合体の分離がある。「複合体」という用語は、片面または両面にコーティングが塗布された金属基材を指し、コーティングはポリマーバインダーを含む。ポリマーバインダーは、コーティングと金属基材との間の接着を担っている。金属基材へのコーティングは、様々な技術的用途において性能要求を満たすために表面特性を変化させる方法である。コーティングは、接着、バリア形成、耐スクラッチ性、耐摩耗性、耐薬品性、濡れ性、生体適合性などの目的で利用されてきた。金属基材へのコーティングは、電池製造、膜技術、包装材料、プリント回路基板、配線またはケーブル、および生物医学的用途において頻繁に採用されてきた。
【0005】
しかしながら、製品が耐用年数に達した時、または製造プロセス中に製品の不合格品が発生し直ちにリサイクルできるようになった時、製品内に含まれる複合体をリサイクル中に分離する工程はいくつかの困難を伴う。
【0006】
ある点では、複合体はコーティング-金属基材の界面よりは、複合体の構成要素のバルク層内で剥離する可能性がある。例えば、複合体はコーティングの一部が金属基材上にそのまま残って、金属基材から十分に剥離しないコーティングのバルクで分離する。
【0007】
これは、コーティング材料の望ましくない回収損失と、その後の分離プロセスの導入を必要とする高レベルの不純物を有する再生された金属基材とを生じさせることになる。別の点では、金属基材からのコーティングの剥離は非常に非効率的であり、最大で数時間かかる可能性がある。複合体を過激な剥離条件に持続的にさらすことは、腐食、複合体構成要素の溶解および損傷や副反応生成物の生成等の副作用を引き起こす恐れがある。
【0008】
さらに別の点では、水性コーティングに使用するのに適した水性ポリマーバインダーは、水中で優れた分散性および安定性を示し、非常に強いコーティング-金属基材の接着を促進することが可能であるが、その後のリサイクル段階において、水系コーティングが関連する金属基材からの剥離においてさらなる課題を提起している。
【0009】
本発明では、複合体において水性ポリマーバインダーを使用することが好ましい。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のコーティング-金属基材の接着を担う一般的に使用されるポリマーバインダーは、水に対して不溶性であり、可燃性および毒性であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のいくつかの特定の有機溶媒にしか溶解できず、従って特定の取り扱いを必要とするマイナス面がある。NMPの蒸気を回収するためにNMP回収システムを乾燥プロセスに設置する必要がある。これには大きな設備投資を必要とするため、製造プロセスに大きなコストを発生させることになる。したがって、製造プロセスで水分にさらされることがあまり懸念されない用途では、水性溶媒等、最も一般的には水等のより安価で環境に優しい溶媒を利用したポリマーバインダーを使用することが、回収システムの大きな資本コストを削減できるので、本発明では好ましい。
【0010】
複合体の剥離は、コーティング-金属基材の界面において、コーティングに含まれるポリマーバインダーと金属基材との間の結合の乱れおよび/または破壊を介して達成される。しかし、様々な特異的特性を示す種々の組成から成るポリマーバインダーが開発されるため、含まれるポリマーバインダーの組成にかかわらず、複合体の分離において単一の剥離方法を適用することは非常にあり得ない。
【0011】
このような観点から、複合体を完全に剥離する方法の開発が試みられてきた。
【0012】
KR特許出願公開No.20130099568Aには、金属表面に被覆されたポリマー膜を含む複合体を、電磁誘導現象を利用してポリマーを炭化させることにより分離する方法が開示されている。まず、金属-ポリマー複合体は、誘導加熱時に単位面積当たりの磁気密度の最大影響を受け、金属表面の電子の動きをより活発にするように、ポリマー-金属複合体を誘導炉に導入する前処理が行われる。誘導加熱により、金属-ポリマー複合体は500~900℃に加熱され、ポリマーと金属表面との間の結合力が弱まり、金属表面に被覆されたポリマーの熱分解が起こり、容易に分離できるようになる。この方法は、誘導加熱を採用することで大幅な省エネルギーを実現している。しかし、提案されている方法は、ポリマーの再生が不可能であるポリマーの炭化を引き起こす。さらに、ポリマーの分解の過程で、危険または有毒な汚染物質が生成される可能性がある。
【0013】
上記の課題を考慮すると、コーティング-金属基板の界面における複合体の高効率かつ完全な剥離を達成するための統一的かつ単純な方法を開発する必要性が常にあり、ここで、複合体中のコーティングは水性ポリマーバインダーを含む。本明細書に開示される複合体の剥離方法は、複合体のコーティング中の水性ポリマーバインダーと金属基材との間の結合の乱れおよび/または破壊を達成するために開発されたものである。ポリマーバインダーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。このような性質を満たす剥離方法は、水性ポリマーバインダーを含む複合体に適用でき、複雑な分離プロセスと金属基板の汚染の両方を回避し、優れた材料回収を可能にし、短時間で複合体の剥離を達成することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】KR特許出願公開No.20130099568A
【発明の概要】
【0015】
前術のニーズは、本明細書に開示される様々な態様及び実施形態によって満たされる。一つの態様において、本明細書で提供されるのは複合体を剥離液に浸漬することによって複合体を剥離する方法であり;複合体が、基材と、基材の片面又は両面に塗布された、ポリマーバインダーを含むコーティングと、を含み;ポリマーバインダーが酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、基材は金属基材である。いくつかの実施形態において、基材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、またはそれらの合金からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、基材は導電性樹脂をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、剥離液は剥離剤と水性溶媒とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、剥離剤は弱酸である。いくつかの実施形態において、弱酸は有機酸である。いくつかの実施形態において、有機酸は、ギ酸、酢酸、グリコール酸、グリオキシル酸、シュウ酸、プロピオン酸、アクリル酸、プロピオル酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸、ピルビン酸、3-オキソプロピオン酸、2,3-ジオキソプロピオン酸、マロン酸、タルトロン酸、ジヒドロキシマロン酸、メソシュウ酸、グリシド酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、テトロル酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-オキソブタン酸、アセト酢酸、4-オキソブタン酸、ブタン二酸、メチルマロン酸、フマル酸、マレイン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、酒石酸、オキサロ酢酸、ジオキソコハク酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチルブチル酸(2-methylbutiric acid)、ピバル酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、3-オキソグルタル酸、2-フロ酸、テトラヒドロフロ酸、ヘキサン酸、ヘキサン二酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、ソルビン酸、ピメリン酸、安息香酸、サリチル酸、4-カルボキシ安息香酸、トリメシン酸、メリト酸、リンゴ酸またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0019】
本明細書で提供される方法を用いて達成される複合体の剥離は、迅速かつ簡単であり、コーティング材料の回収損失、コーティング材料の損傷および金属基材への不純物導入という点で不利益を受けない。
【0020】
別の態様では、本発明の用途の1つとして、前述の方法が電池電極の剥離に採用され、複合体が電池電極であり、基材が集電体であり、コーティングが電極層である。本明細書で提供されるのは電極を剥離液に浸漬することによって電池電極を剥離する方法であって;電極が、集電体と、集電体の片面または両面に塗布された、ポリマーバインダーを含む電極層とを含み;ポリマーバインダーが酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含むことを特徴とする。
【0021】
電池電極を電極層-集電体界面で剥離させるための本発明における剥離方法の簡単な利用は、剥離を完全に達成するまでの時間を大幅に短縮し、貴重な材料を最大限に回収し、集電体の汚染をなくし、次に続く処理をしなくて済むようにできる。さらに、本明細書に開示する方法は、電極層内の集電体および/または電極活物質の腐食の懸念もなく、カソードおよびアノード両方の剥離に適用できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、複合体の一実施形態の簡略図である。
図2図2は、複合体の提案されたコーティング-金属基材界面構造の概略図である。
図3図3は、複合体を剥離液に浸漬した場合の複合体の提案されたコーティング-金属基材界面構造の概略図である。
図4図4は、本明細書に開示されるような複合体を剥離するための工程と、複合体成分の抽出のためのその後のさらなる処理とを示す一実施形態のフローチャートである。
図5図5は、濃度0.50重量%のクエン酸およびDI水を含む剥離液に両面被覆カソードを浸漬した後の、実施例2の回収されたカソード層および集電体を示す図である。
図6図6は、剥離液に浸漬される両面被覆カソードが、ポリマーバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、比較例1の回収されたカソードを示す図である。
図7図7は、濃度2.00重量%のクエン酸およびDI水を含む剥離液に両面被覆カソードを浸漬した後の、比較例11の回収されたカソード層および集電体を示す図である。
図8図8は、濃度0.50重量%の硫酸およびDI水を含む剥離液に両面被覆カソードを浸漬した後の、比較例8の回収されたカソード層および集電体を示す図である。
図9図9は、酸濃度3.00重量%のクエン酸および硫酸並びにDI水を含む剥離液に両面被覆カソードを浸漬した後の、比較例16の回収されたカソード層および集電体を示す図である。
【0023】
(発明の詳細な説明)
一態様において、本明細書で提供されるのは、複合体を剥離液に浸漬することによって複合体を剥離する方法であって;複合体が、基材と、基材の片面または両面に塗布された、ポリマーバインダーを含むコーティングとを含み;ポリマーバインダーが、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む方法である。
【0024】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、電極を剥離液に浸漬することによってリチウムイオン電池電極を剥離する方法であって;電極が、集電体と、集電体の片面または両面に被覆された、ポリマーバインダーを含む電極層とを含み;ポリマーバインダーが、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む方法である。
【0025】
用語「電極」は、「カソード」または「アノード」を指す。
【0026】
用語「正極」は、カソードと互換的に使用される。同様に、用語「負極」は、アノードと互換的に使用される。
【0027】
用語「ポリマーバインダー」、「バインダー」または「バインダー材料」は、材料を所定の位置に保持し、それらを導電性金属基材上に接着して複合体を形成するために使用される化学化合物、化合物の混合物、またはポリマーを指す。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、電極材料および/または導電剤を所定の位置に保持し、それらを導電性金属部分上に接着して電極を形成するために使用される化学化合物、化合物の混合物、またはポリマーを指す。いくつかの実施形態において、電極は、いかなる導電剤も含まない。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、水等の水性溶媒中でコロイドを形成する。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、水等の水性溶媒中で溶液または分散液を形成する。
【0028】
用語「導電剤」は、化学的に不活性であり、良好な導電性を有する材料を指す。そのため、電極の導電性を改善するために、多くの場合、導電材は電極形成時に電極活物質と混合される。
【0029】
用語「複合体」は、金属基材の片面または両面に塗布されたコーティングを有する金属基材を指す。
【0030】
用語「バルク」は、あらゆる種類の相互作用が生じる表面と比較して、固体または液体の材料の集まりの本体を指す。
【0031】
用語「ポリマー」は、同じ種類または異なる種類のモノマーを重合することによって調製される化合物を指す。総称「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」および用語「コポリマー」を包含する。
【0032】
用語「ホモポリマー」は、同じ種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。
【0033】
用語「コポリマー」は、2以上の異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。
【0034】
本明細書で使用される用語「不飽和」は、1つ以上の不飽和の単位を有する部分を指す。
【0035】
用語「アルキル」または「アルキル基」は、飽和、非分枝または分枝脂肪族炭化水素から水素原子を除去することで誘導される一般式C2n+1を有する一価の基を指し、nは整数、または1~20の整数、または1~8の整数を意味する。アルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル等の(C-C)アルキル基が挙げられるが、限定されない。長鎖のアルキル基としては、ノニル基およびデシル基が挙げられる。アルキル基は、無置換、または1つ以上の適切な置換基で置換されていてもよい。さらに、アルキル基は、分枝または非分枝でもよい。いくつかの実施形態において、アルキル基は、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含む。
【0036】
用語「シクロアルキル」または「シクロアルキル基」は、単環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和環状非芳香族炭化水素ラジカルを指す。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル等の(C-C)シクロアルキル基、並びに飽和環式および二環式テルペン、並びにシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニル等の(C-C)シクロアルケニル基、並びに不飽和環式および二環式テルペンが挙げられるが、限定されない。シクロアルキル基は、非置換でも、1つまたは2つの適切な置換基で置換されていてもよい。さらに、シクロアルキル基は、単環または多環でもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、少なくとも5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を含む。
【0037】
用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して主要な炭素鎖に結合した、先に定義したようなアルキル基を指す。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。上記で定義されたアルコキシは、置換または非置換でもよく、置換基は、重水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、メルカプト、ニトロ等であってもよいが、限定されない。
【0038】
用語「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む不飽和の直鎖、分枝鎖、または環状炭化水素ラジカルを指す。アルケニル基の例として、エテニル、1-プロペニル、または2-プロペニルが挙げられるが、限定されず、ラジカルの炭素原子の1つ以上は任意に置換されていてもよい。
【0039】
用語「アリール」または「アリール基」は、水素原子を除去することによって単環または多環芳香族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。アリール基の非限定的な例としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、またはトラニル(tolanyl)基、セキシフェニレン、フェナントレニル、アントラセニル、コロネニル(coronenyl)、およびトラニルフェニル(tolanylphenyl)が挙げられる。アリール基は、非置換、または1つ以上の適切な置換基で置換されてもよい。さらに、アリール基は、単環または多環でもよい。いくつかの実施形態において、アリール基は、少なくとも6、7、8、9、または10個の炭素原子を含む。
【0040】
用語「脂肪族」は、C~C30アルキル基、C~C30アルケニル基、C~C30アルキニル基、C~C30アルキレン基、C~C30アルケニレン基、またはC~C30アルキニレン基を指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含む。
【0041】
用語「芳香族」は、任意でヘテロ原子または置換基を含む芳香族炭化水素環を含む基を指す。このような基の例としては、フェニル、トリル、ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル、p-テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、およびそれらの誘導体が挙げられるが、限定されない。
【0042】
化合物または化学部位を説明するために使用される用語「置換」は、化合物または化学部位の少なくとも1つの水素原子が第2の化学部位で置き換えられていることを意味する。置換基の例としては、ハロゲン;アルキル;ヘテロアルキル;アルケニル;アルキニル;アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル;アルコキシル;アミノ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナート;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;アシル;ホルミル;アシロキシ;アルコキシカルボニル;オキソ;ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);単環または縮合もしくは非縮合多環であり得る炭素環シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)または単環または縮合もしくは非縮合多環であり得るヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはチアジニル);炭素環または複素環、単環または縮合若しくは非縮合の多環アリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニルまたはベンゾフラニル);アミノ(一級、二級または三級);o-低級アルキル;o-アリール、アリール;アリール-低級アルキル;-COCH;-CONH;-OCHCONH;-NH;-SONH;-OCHF;-CF;-OCF;-NH(アルキル);-N(アルキル);-NH(アリール);-N(アルキル)(アリール);-N(アリール);-CHO;-CO(アルキル);-CO(アリール);-CO(アルキル);および-CO(アリール);が挙げられるが、限定されず、さらに、このような部分は、縮合環構造または架橋、例えば-OCHO-によって任意に置換されてもよい。これらの置換基は、任意に、このような基から選択される置換基でさらに置換されてもよい。本明細書に開示されるすべての化学基は、他に規定されない限り、置換され得る。
【0043】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0044】
用語「モノマー単位」は、単一モノマーによってポリマーの構造に与えられる構成単位を指す。
【0045】
用語「構造単位」は、ポリマー中の同じモノマー種によって与えられる全モノマー単位を指す。
【0046】
用語「酸塩基」は、酸が塩基と反応したときに形成される酸性塩を指す。いくつかの実施形態において、酸のプロトンは、金属カチオンで置き換えられる。いくつかの実施形態において、酸のプロトンは、アンモニウムイオンで置き換えられる。いくつかの実施形態において、酸塩基は、酸が水と反応するときに形成される。
【0047】
用語「プラネタリーミキサー」は、均質な混合物を生成するために異なる材料を混合または撹拌するために使用できる装置を指し、容器内で遊星運動を行うブレードからなる。いくつかの実施形態において、プラネタリーミキサーは、少なくとも1つのプラネタリーブレードおよび少なくとも1つの高速分散ブレードを含む。プラネタリーブレードおよび高速分散ブレードは、それぞれの軸で回転し、連続的に容器の周りをも回転する。回転速度は、分あたりの回転の単位(rpm)で表すことができ、回転体が1分間に完了する回転数を指す。
【0048】
用語「超音波発生装置(ultrasonicator)」とは、超音波エネルギーを与えて試料中の粒子を撹拌することができる装置を指す。本明細書に開示されるスラリーを分散させることができる任意の超音波発生装置を本明細書で使用することができる。超音波発生装置のいくつかの非限定的な例としては、超音波浴、プローブ型超音波発生装置、および超音波フローセルが挙げられる。
【0049】
用語「超音波浴」は、超音波エネルギーが超音波浴の容器の壁を介して液体試料に伝達される器具を指す。
【0050】
用語「プローブ型超音波発生装置」は、直接超音波処理を行うために媒体中に浸漬される超音波プローブを指す。用語「直接超音波処理」は、超音波が処理液に直接結合されることを意味する。
【0051】
用語「超音波フローセル」または「超音波リアクターチャンバー」は、フロースルーモードで超音波処理を実施することができる器具を指す。いくつかの実施形態において、超音波フローセルは、シングルパス、マルチパス、または再循環構成である。
【0052】
用語「塗布」は、表面上に物質を敷くまたは広げる行為を指す。
【0053】
用語「集電体」は、電極層と接触し、二次電池の放電または充電中に電極に流れる電流を伝導することができる、任意の導電性基材を指す。集電体のいくつかの非限定的な例としては、単一の導電性金属層または基材、およびカーボンブラック系コーティング層等の導電性コーティング層を上に有する単一の導電性金属層または基材を挙げることができる。導電性金属層または基材は、三次元ネットワーク構造を有する箔または多孔質体の形態であってよく、ポリマー材料または金属材料または金属化ポリマーであってよい。いくつかの実施形態において、三次元多孔質集電体は、コンフォーマルカーボン層で被覆されている。
【0054】
用語「電極層」は、集電体と接触している、電気化学的に活性な材料を含む層を指す。いくつかの実施形態において、電極層は、集電体上にコーティングを塗布することによって作製される。いくつかの実施形態において、電極層は、集電体の片面または両面に位置する。他の実施形態において、三次元多孔質集電体は、電極層でコンフォーマルに被覆される。
【0055】
用語「室温」は、約18℃~約30℃、例えば、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃の室内温度を指す。いくつかの実施形態において、室温は、約20℃±1℃または±2℃または±3℃の温度を指す。他の実施形態において、室温は、約22℃または約25℃の温度を指す。
【0056】
用語「固形分」は、蒸発後に残る不揮発性材料の量を指す。
【0057】
用語「剥離強度」は、互いに結合している集電体と電極活物質コーティングとを分離するために必要な力の量を指す。これは、このような2つの材料間の結合強度を示す指標であり、通常N/cmで表される。
【0058】
用語「粘着強度」は、互いに結合している集電体とポリマーバインダーコーティングとを分離するために必要な力の量を指す。これは、このような2つの材料間の接着強さの指標であり、通常N/cmで表される。
【0059】
用語「Cレート」は、セルまたは電池の充電速度または放電速度を指し、その総蓄電容量の用語でAhまたはmAhで表される。例えば、1Cのレートは1時間で全蓄電エネルギーを使用することを意味し;0.1Cは1時間で10%のエネルギーを使用すること、または10時間で全エネルギーを使用することを意味し;5Cは12分で全エネルギーを使用することを意味する。
【0060】
用語「アンペアアワー(Ah)」は、電池の蓄電容量を規定するのに使用される単位を指す。例えば、1Ah容量の電池は1アンペアの電流を1時間、または0.5Aの電流を2時間供給することができる。したがって、1アンペアアワー(Ah)は、3,600クーロンの電荷に相当する。同様に、用語「ミリアンペアアワー(mAh)」も、電池の蓄電容量の単位を指し、アンペアアワーの1/1,000である。
【0061】
用語「電池サイクル寿命」は、公称容量が初期定格容量の80%未満に減少する前に、電池が行うことができる完全な充電/放電サイクルの数を指す。
【0062】
用語「容量」は、電池等の電気化学セルが保持できる電荷の総量を指す、電気化学セルの特性である。容量は一般にアンペアアワーの単位で表される。用語「比容量」は、電池等の電気化学セルの単位重量当たりの容量出力を指し、通常、Ah/kgまたはmAh/gの単位で表される。
【0063】
以下の説明において、本明細書に開示されるすべての数値は、「約」または「おおよそ」という言葉がそれらに関連して使用されているかどうかに関わらず、近似値である。これらの数値は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または、場合によっては10~20パーセント変動し得る。下限値R、および上限値Rを有する数値範囲が開示されるときは常に、その範囲内に入る任意の数値が具体的に開示される。特に、以下の範囲内の数値が具体的に開示される:R=R+k(R-R)、kは0パーセント~100パーセントの範囲の変数である。さらに、上記で定義された2つのR数によって定義される任意の数値範囲も具体的に開示される。
【0064】
本明細書に記載の複合体は、金属基材の片面または両面に塗布されたコーティングを有する金属基材を指し、コーティングはポリマーバインダーを含む。図1は、100で表される複合体の簡略図である。複合体100は、金属基材101の片面に塗布されたコーティング102を有する金属基材101を含む。金属基材にコーティングを塗布すること、すなわち複合体を形成することは、様々な用途の性能要件を満たし、基材の表面において特性の変化を引き起こす際に、最も一般的に使用される技術の1つである。これは、保護(例えば耐化学物質、腐食、スクラッチ、および摩耗等)、接着、濡れ性改善、生体適合性等の目的で頻繁に利用されてきた。複合体内のコーティングと金属基材との間の接着は、コーティングに含まれるポリマーバインダーと、コーティングが塗布される金属基材の表面との間の相互作用を介して達成される。
【0065】
本発明において、水性溶媒、最も一般的には水を利用する水性ポリマーバインダーを組み込むことが好ましく、これは水系コーティングの製造の基礎を形成する。水性ポリマーバインダーは、水中での良好な分散および安定性を達成することができ、したがって、コーティングを金属基材に強く付着させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、コポリマーを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)、およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)、フッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0067】
コポリマーの構成の構成要素となり得る可能性のある上記のモノマーの各々は、独立して、水素(H)原子に共有結合される強電気陰性原子、特に窒素(N)、酸素(O)若しくはフッ素(F)原子(水素結合ドナー、Dnとして知られている)、または原子の最外電子殻孤立電子対を有する他の電気陰性原子(水素結合アクセプター、Acとして知られている)のどちらかからなる。これにより、同じ特徴を有する他の分子(例えば、金属基材表面に位置する分子)との間で水素結合を形成する可能性がある。したがって、上記のモノマーの各々は、独立して、少なくとも1つの水素結合形成基を含む。水素結合形成系は、一般に、下記式(1)で示される:
【0068】
【化1】
【0069】
ここで、Dnは水素結合ドナーであり;Acは水素結合アクセプターであり;実線は極性共有結合を示し、点線は水素結合を示す。
【0070】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、酸塩基は、酸基の塩である。酸塩基のアニオンは、部分的に正に荷電した種(例えば、部分的に正に荷電した金属種、金属基材表面のMδ+)とイオン-双極子相互作用を形成することができる。いくつかの実施形態において、構造単位(a)は、アルカリ金属カルボン酸塩基を含む。アルカリ金属酸塩を形成するアルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、構造単位(a)は、アンモニウムカルボン酸塩基を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、基材は、金属基材である。いくつかの実施形態において、基材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、またはそれらの合金からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、基材は、導電性樹脂をさらに含む。
【0072】
金属基材は、金属基材の表面にコーティングを塗布する前に、ある期間、大気にかなりの頻度でさらされる。大気は、主に酸素、水、およびいくつかの有機物や無機物を含む。
【0073】
金属基材を大気中の自然に存在する酸素に曝すと、金属基材の表面に金属酸化物が生じることは避けられない。例えば、金属アルミニウムは大気中の酸素と自然に非常に反応しやすく、露出したアルミニウムの表面に酸化アルミニウムの形成を開始する。この酸化アルミニウムは、含まれるアルミニウムがさらに酸化されることを防ぎ、その結果、良好な耐腐食性を実現する。金属基材表面の金属酸化物が大気中の水分と接触すると、金属酸化物の水酸化が起こり、金属酸化物の表面がヒドロキシル(-OH)基豊富となる。しかし、過剰なヒドロキシル基は、金属基材表面を吸湿性にする傾向がある。そのため、金属基材を長時間大気にさらすことは推奨されない。
【0074】
金属基材表面のヒドロキシル基は、より電気陰性なO原子と共有結合したH原子と、最外電子殻に孤立電子対を有する電気陰性O原子とからなり、どちらか一方が同じ特徴の(すなわち、水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターと共有結合したH原子を含む)他の分子(例えば、コーティング中のポリマーバインダーの構築を補助するモノマー)と水素結合を形成することができるものである。
【0075】
一方、基材の金属部分は、例えば金属基材表面に生じた金属酸化物中に、イオン格子の一部として、部分的に正に荷電した金属種(Mδ+)の形態で金属基材表面に依然として存在する。
【0076】
図2は、200で表される複合体の提唱されたコーティング-金属基材界面構造の模式図を示す。金属基材201の表面には、金属酸化物のヒドロキシル(-OH)基、部分的に正に荷電した金属種(Mσ+)、および酸素(O)原子が存在する。コーティング202内および/またはコーティング202の表面に含まれるポリマーバインダーは、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位は、この場合、カルボン酸塩基を含み、カルボン酸塩基はカルボン酸基の塩である。
【0077】
ポリマーバインダーのコポリマー中に存在する酸素(O)原子および水素(H)原子は、金属基材表面のヒドロキシル基のOおよび/またはH原子ならびに金属酸化物中のO原子と、水素結合形成によって相互作用し易い。また、ポリマーバインダー内に含まれるカルボン酸塩基のアニオン、この場合COO、と、金属基材表面のMδ+種との間には、イオン-双極子相互作用が働く。水素結合および/またはイオン-双極子引力は、主にコーティング-金属基材界面で形成される2種類の相互作用であり、それぞれ独立してコーティングの金属基材表面への付着に大きく寄与している。
【0078】
コーティングと金属基材表面との間の相互作用は、他の手段によって、例えばイオン相互作用、ロンドン分散力、双極子-双極子相互作用、双極子-誘起双極子相互作用およびイオン-誘起双極子相互作用などによって生じ得る。しかしながら、コーティング内に含まれるポリマーバインダーの分子構造および金属基材表面を考慮すると、ポリマーバインダー(したがってコーティング)の金属基材表面への接着を生じさせる主要な静電相互作用は、水素結合および/またはイオン-双極子相互作用によって生じる。コーティングと金属表面の表面との間に生じ得る上記の他の相互作用も、剥離剤の導入および荷電種または部分荷電種の溶媒和によって、提唱されたメカニズムに基づいて破壊できる。これらの相互作用は、解釈を容易にするために示されていない。
【0079】
本明細書に開示される水性ポリマーバインダーは、様々な用途のために、極めて強力なコーティング-金属基材接着を提供するように配合される。いくつかの実施形態において、水性ポリマーバインダーのコポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含む。いくつかの実施形態において、水性ポリマーバインダーのコポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)を含む。
【0080】
本発明者らの研究に基づいて、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含むコポリマーは、強い接着性を示す。一方、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)を含むコポリマーは、比較して強化された結合強度を有することが判明した。そのため、バインダー材料において粘着強度が最も重要な特性であるため、水性ポリマーバインダーのコポリマー中に、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)の両方が存在することが推奨される。コポリマー中の酸基含有モノマーおよびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位の組み合わせは、ポリマーバインダーの結合能を著しく向上させるだけでなく、耐摩耗性および耐溶剤性の発現をも助ける。
【0081】
しかし、この強力な粘着力は、複合材を含む製品がその有用性若しくは寿命の終わりに達したとき、または生産中に製品の不合格品が発生したときに、その後のリサイクル工程でのコーティングと結びつく金属基材からのコーティングの分離において、さらなる課題を提起する。
【0082】
複合体中の金属基材からコーティングを剥離することは、コーティング中に含まれるポリマーバインダーのコポリマーと金属基材表面との間の結合を乱すおよび/または破壊することによって達成される。様々な特定の特性を示す異なる組成のコポリマーは、金属基材からコーティングを分離するために異なるアプローチを必要とするであろう。したがって、本発明の方法は、本明細書に開示される水性ポリマーバインダーと金属基材表面との間の結合を乱すおよび/または破壊することによって複合体を剥離するために特に開発されたものである。より具体的には、本発明の方法は、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを金属基材表面から剥離するために開発された。コポリマーは、任意に、水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含む。水素結合形成基含有モノマーは、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせであってよい。
【0083】
本発明は、複合体を剥離液に浸漬することによって複合体を剥離する方法であって;複合体が、基材と、基材の片面または両面に塗布された、ポリマーバインダーを含むコーティングとを含み;ポリマーバインダーが、酸基含有モノマーから誘導されるの構造単位を含むコポリマーを含む方法を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態において、複合体の剥離は、コーティング-金属基材界面に沿って生じる。
【0085】
いくつかの実施形態において、剥離液は、剥離剤と水性溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、剥離剤は弱酸である。いくつかの実施形態において、水性溶媒は、水のみからなる。
【0086】
剥離液内では、弱酸が水性溶媒中でプロトン(すなわち水素イオンH)の放出とともに部分的に解離する。前記弱酸の解離反応は、一般に次のように表される:
【0087】
【化2】
【0088】
ここで、HAは弱酸であり;Hはプロトン、すなわち水素イオンであり、Aは弱酸HAの共役塩基である。
【0089】
複合材が剥離液に浸されると、弱酸の部分解離により放出されたプロトンが、金属基材表面に初めに形成される水酸(-OH)基と相互作用する。これは、金属基材表面でのオキシダニウミル(oxidaniumyl)基(H)の形成を引き起こす。つまり、以下のような反応が起こる:
【0090】
【化3】
【0091】
ここで、Mは金属基材として用いられる金属を指し;aは金属Mの酸化状態を指し、Hはオキシダニウミル基を指す。
【0092】
ポリマーバインダー中のコポリマー内に含まれる、酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせから誘導される構造単位は、金属基材表面のヒドロキシル基と水素結合を形成できる官能基のいくつかの非制限の例を構成する。金属基材表面でのオキシダニウミル基(H)の形成は、金属基材表面にもともと存在する水素結合形成部位を除去し、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面のヒドロキシル基との間に初めに形成される水素結合を破壊し分断させる。さらに、弱酸HAおよび弱酸の共役塩基Aは、金属基材表面の残りの水素結合形成部位を巡ってポリマーバインダーと競合し、コーティングと金属基材表面との間に形成される水素結合の程度をさらに低下させることができる。
【0093】
一方、弱酸の共役塩基Aは、金属基材表面のイオン-双極子相互作用部位(例えば、部分的に正に荷電した金属種Mδ+)を巡ってポリマーバインダーと競合する傾向を有し、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面のMδ+とのイオン-双極子相互作用の程度を低下させ、コーティング-金属基材の界面に初めに形成されたイオン-双極子相互作用の乱れを引き起こす。さらに、複合体が剥離液に曝露すると、剥離液に含まれる水性溶媒(例えば水)が、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面のMδ+との間のイオン-双極子相互作用の乱れを引き起こす。荷電種および部分荷電種(例えば、ポリマーバインダー内の荷電種および金属基材表面の部分正荷電金属種Mδ+)は、水系溶媒と強く相互作用する。水性溶媒分子は、その分子の適切な部分荷電部を、静電引力によって荷電種または部分荷電種の方に配向することで、荷電種または部分荷電種を溶媒和する。これは、各荷電種または部分荷電種の周りに溶媒和殻(水の場合は水和殻)を作り、コーティングのポリマーバインダーと金属基材との間のイオン-双極子相互作用の強度を著しく減少させる。コーティング中のポリマーバインダー内に含まれるいずれの酸塩基および/または酸基も、プロトン移動反応を受けることができる。
【0094】
それ故、複合体を剥離剤(例えば弱酸)および水性溶媒(例えば水)を含む剥離液へ浸漬することは、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面との間の水素結合およびイオン-双極子相互作用の両方の減少をもたらし、弱酸は主に水素結合相互作用を妨害する役割を果たし、水はイオン-双極子相互作用を弱める方向に向かうことが明らかであろう。水素結合およびイオン-双極子相互作用は、コーティング-金属基材界面で形成される分子間力の2つの主要なタイプであるため、弱酸および水の組み合わせの適用は、コーティングの金属基材表面への粘着力を大幅に弱め、それによって、高い効果で金属基材からコーティングを完全に剥離することを達成する。
【0095】
300で表される図3は、複合体が剥離液に浸漬された際の、複合体200の提唱されたコーティング-金属基材界面構造の模式図を示す。複合体300は、金属基材301の片面に塗布されたコーティング302を有する金属基材301を含む。コーティング302内および/またはコーティング302の表面に含まれるポリマーバインダーは、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。この場合の剥離液は、濃度0.50重量%の酢酸(弱酸)および水を含む。
【0096】
酢酸は部分解離を受けてプロトン(すなわちH)を放出し、プロトンは金属基材表面に初めに形成されたヒドロキシル基と相互作用してオキシダニウミル基(H)を形成する。これは、ヒドロキシル基が水素結合形成部位として働くことを妨げ、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面のヒドロキシル基との間に当初形成された水素結合を壊す。また、酢酸は、金属基材表面の残りのヒドロキシル基および金属酸化物中の酸素原子(水素結合形成部位)を巡ってポリマーバインダーと競合し、コーティングと金属基材界面との間に形成される水素結合の程度をさらに低下させる。
【0097】
酢酸の部分解離から生成したアセタートは、金属基材表面の部分的に正に荷電した金属種Mδ+(イオン-双極子相互作用部位)を巡ってポリマーバインダーと競合し、ポリマーバインダーと金属基材表面のMδ+との間のイオン-双極子相互作用を乱す。さらに、水は、溶媒和を誘発することによって、コーティング中のポリマーバインダー内の荷電種(すなわち、この場合、カルボン酸塩基COOのアニオン)と金属基材表面の部分的に正に荷電した金属種Mδ+との間のイオン-双極子相互作用の強度をさらに減少させる。
【0098】
また、コーティング202中に当初存在するポリマーバインダー内のカルボン酸塩基のアニオン、COOは、カルボン酸基、COOHを形成する際にプロトンを受容することも示されている。
【0099】
酢酸および水の組み合わせの適用は、コーティングと金属基材表面との間の粘着力を大幅に減少させ、その結果、金属基材表面からのコーティングの非常に効果的および完全な剥離が達成される。
【0100】
本発明の本明細書に開示される方法は、剥離液を使用してコーティングと金属基材表面との間の水素および/またはイオン-双極子相互作用を乱すおよび/または破壊することによって、複合体の剥離を達成するために実施される。提唱された方法は、金属基材と、水性ポリマーバインダーを含むコーティングとを含む複合体に適用できる。この方法はシンプルであり、複雑な分離プロセスが含まれることを防ぐ。提唱された方法は、コーティング-金属基材界面での複合体の完全な剥離を保証するとともに、金属基材の汚染がないため、格別の材料回収を可能とし、複合体の剥離を高効率で達成できる。
【0101】
いくつかの実施形態において、剥離液は、剥離剤と水性溶媒とを含む。
【0102】
剥離液は、コーティング内に含まれるポリマーバインダーと金属基材表面との間の相互作用の強度を減少させ、その結果、ポリマーバインダーの金属基材への粘着力を減少させることを目的とする。これは、金属基材からのコーティングの剥離をもたらす。剥離液として剥離剤と水系溶媒とを別々に使用することは、金属基材からのコーティングの完全な剥離を達成するためには不十分である可能性がある。
【0103】
イオン化コポリマー成分は、主にイオン-双極子相互作用によって金属基材表面と相互作用する。水素結合形成部位の除去において、剥離液として剥離剤を単独で使用すると、コーティング内のイオン化コポリマー成分と金属基材表面との間のより強いイオン-双極子相互作用を乱すことができず、その結果、複合体の完全な剥離を達成できない可能性がある。
【0104】
一方、剥離液として水系溶媒を単独で使用すると、非荷電のコポリマー成分はイオン-双極子相互作用によって金属基材表面と相互作用する能力を持たないため、金属基材からコーティングを完全に剥離するためには不十分である可能性がある。これらの非荷電のコポリマー成分に対する水性溶媒の溶媒和能力は著しく低く、コーティング内のこれらのコポリマー成分と金属基材表面との間の相互作用、主に水素結合は、多くの場合、複合体の完全な剥離が可能となる程度まで乱されず、減少しないであろう。
【0105】
したがって、優れた複合体の剥離性能を達成するために、剥離剤および水性溶媒は剥離液として併用される。
【0106】
いくつかの実施形態において、剥離剤は弱酸である。弱酸は、水に溶解したときに完全にイオン化しない、または完全に解離して水素イオンを生成しないものである。いくつかの実施形態において、弱酸は有機酸である。いくつかの実施形態において、有機酸は、ギ酸、酢酸、グリコール酸、グリオキシル酸、シュウ酸、プロピオン酸、アクリル酸、プロピオル酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸、ピルビン酸、3-オキソプロピオン酸、2,3-ジオキソプロピオン酸、マロン酸、タルトロン酸、ジヒドロキシマロン酸、メソシュウ酸、グリシド酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、テトロル酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-オキソブタン酸、アセト酢酸、4-オキソブタン酸、ブタン二酸、メチルマロン酸、フマル酸、マレイン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、酒石酸、オキサロ酢酸、ジオキソコハク酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチルブチル酸(2-methylbutiric acid)、ピバル酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、3-オキソグルタル酸、2-フロ酸、テトラヒドロフロ酸、ヘキサン酸、ヘキサン二酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、ソルビン酸、ピメリン酸、安息香酸、サリチル酸、4-カルボキシ安息香酸、トリメシン酸、メリト酸、リンゴ酸またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、弱酸は、リン酸、亜硝酸、またはそれらの組み合わせである。
【0108】
いくつかの実施形態において、水性溶媒は、主成分として水を含み、水に加えて、微量成分としてアルコール、低級脂肪族ケトン、低級アルキルアセタート等の揮発性溶媒を含む溶液である。いくつかの実施形態において、水性溶媒中の水の割合は、約51重量%~約100重量%、約51重量%~約95重量%、約51重量%~約90重量%、約51重量%~約85重量%、約51重量%~約80重量%、約51重量%~約75重量%、約51重量%~約70重量%、約55重量%~約100重量%、約55重量%~約95重量%、約55重量%~約90重量%、約55重量%~85重量%、約55重量%~約80重量%、約60重量%~約100重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約85重量%、約60重量%~約80重量%、約65重量%~約100重量%、約65重量%~約95重量%、約65重量%~約90重量%、約65重量%~約85重量%、約70重量%~約100重量%、約70重量%~約95重量%、約70重量%~約90重量%、約70重量%~約85重量%、約75重量%~約100重量%、約75重量%~約95重量%または約80重量%~約100重量%である。
【0109】
いくつかの実施形態において、水性溶媒中の水の割合は、50重量%を超え、55重量%を超え、60重量%を超え、65重量%を超え、70重量%を超え、75重量%を超え、80重量%を超え、85重量%を超え、90重量%を超えまたは95重量%を超える。いくつかの実施形態において、水性溶媒中の水の割合は、55重量%未満、60重量%未満、65重量%未満、70重量%未満、75重量%未満、80重量%未満、85重量%未満、90重量%未満または95重量%未満である。いくつかの実施形態において、水性溶媒は水のみからなり、すなわち、水性溶媒中の水の割合は100重量%である。
【0110】
水のいくつかの非限定的な例として、水道水、ボトル入り水、精製水、純水、蒸留水、脱イオン水、DO、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、水性溶媒は脱イオン水である。水は、コーティング-金属基材表面界面において、コーティングのポリマーバインダーおよび金属基材表面に存在する様々な荷電種または部分荷電種の周りに溶媒和殻を形成するために、剥離液の一部として適用されてもよい。これは、コーティング中のポリマーバインダーと金属基材表面との間の相互作用を乱すことを助け、その結果、複合体の完全な剥離を生じさせる。
【0111】
水性溶媒の微量成分(すなわち水以外の溶媒)としては、任意の水混和性溶媒または揮発性溶媒を使用することができる。水混和性溶媒または揮発性溶媒のいくつかの非限定的な例として、アルコール、低級脂肪族ケトン、低級アルキルアセタート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。アルコールの添加は、剥離剤の溶解性を向上させ、水の凝固点を低下させることができる。アルコールのいくつかの非限定的な例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、およびそれらの組み合わせ等のC-Cアルコールが挙げられる。低級脂肪族ケトンのいくつかの非限定的な例として、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。低級アルキルアセタートのいくつかの非限定的な例として、エチルアセタート(EA)、イソプロピルアセタート、プロピルアセタート、ブチルアセタート(BA)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、水性溶媒は、アルコール、低級脂肪族ケトン、低級アルキルアセタート、またはそれらの組み合わせを含まない。
【0112】
いくつかの実施形態において、複合体は、基材および基材の片面または両面に塗布されたコーティングを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、コーティングは、ポリマーバインダーを含む。コーティング中のポリマーバインダーは、複合体内のコーティングと金属基材との間の粘着力を提供することを目的とする。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、コポリマーを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、水素結合形成基含有モノマーから誘導される少なくとも1つの構造単位を含む。いくつかの実施形態において、水素結合形成基含有モノマーは、酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、水素結合形成基含有モノマーは、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマー、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせから誘導される構造単位を含まない。
【0115】
いくつかの実施形態において、水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約0モル%~約95モル%、約0モル%~約90モル%、約0モル%~約85モル%、約0モル%~約80モル%、約0モル%~約75モル%、約0モル%~約70モル%、約0モル%~約65モル%、約0モル%~約60モル%、約0モル%~約55モル%、約0モル%~約50モル%、約5モル%~約95モル%、約5モル%~約90モル%、約5モル%~約85モル%、約5モル%~約80モル%、約5モル%~約75モル%、約5モル%~約70モル%、約5モル%~約65モル%、約5モル%~約60モル%、約5モル%~約55モル%、約5モル%~約50モル%、約10モル%~約95モル%、約10モル%~約90モル%、約10モル%~約85モル%、約10モル%~約80モル%、約10モル%~約75モル%、約10モル%~約70モル%、約10モル%~約65モル%、約10モル%~約60モル%、約10モル%~約55モル%、約10モル%~約50モル%、15モル%~約95モル%、約15モル%~約90モル%、約15モル%~約85モル%、約15モル%~約80モル%、約15モル%~約75モル%、約15モル%~約70モル%、約15モル%~約65モル%、約15モル%~約60モル%、約15モル%~約55モル%、約15モル%~約50モル%、約20モル%~約95モル%、約20モル%~約90モル%、約20モル%~約85モル%、約20モル%~約80モル%、約20モル%~約75モル%、約20モル%~約70モル%、約20モル%~約65モル%、約20モル%~約60モル%、約20モル%~約55モル%、約20モル%~約50モル%、約25モル%~約95モル%、約25モル%~約90モル%、約25モル%~約85モル%、約25モル%~約80モル%、約25モル%~約75モル%、約25モル%~約70モル%、約25モル%~約65モル%、約25モル%~約60モル%、約25モル%~約55モル%、約25モル%~約50モル%、約30モル%~約95モル%、約30モル%~約90モル%、約30モル%~約85モル%、約30モル%~約80モル%、約30モル%~約75モル%、約30モル%~約70モル%、約30モル%~約65モル%、約30モル%~約60モル%、約30モル%~約55モル%、約30モル%~約50モル%、約35モル%~約95モル%、約35モル%~約90モル%、約35モル%~約85モル%、約35モル%~約80モル%、約35モル%~約75モル%、約35モル%~約70モル%、約35モル%~約65モル%、約35モル%~約60モル%、約35モル%~約55モル%、約35モル%~約50モル%、約40モル%~約95モル%、約42モル%~約95モル%、約44モル%~約95モル%、約46モル%~約95モル%、約48モル%~約95モル%、約50モル%~約95モル%、約52モル%~約95モル%、約54モル%~約95モル%、約56モル%~約95モル%、約58モル%~約95モル%、約60モル%~約95モル%、約62モル%~約95モル%、約64モル%~約95モル%、約66モル%~約95モル%、約68モル%~約95モル%、約70モル%~約95モル%、約72モル%~約95モル%、約75モル%~約95モル%、約40モル%~約90モル%、約42モル%~約90モル%、約44モル%~約90モル%、約46モル%~約90モル%、約48モル%~約90モル%、約50モル%~約90モル%、約52モル%~約90モル%、約54モル%~約90モル%、約56モル%~約90モル%、約58モル%~約90モル%、約60モル%~約90モル%、約62モル%~約90モル%、約64モル%~約90モル%、約66モル%~約90モル%、約68モル%~約90モル%、約70モル%~約90モル%、約40モル%~約85モル%、約42モル%~約85モル%、約44モル%~約85モル%、約46モル%~約85モル%、約48モル%~約85モル%、約50モル%~約85モル%、約52モル%~約85モル%、約54モル%~約85モル%、約56モル%~約85モル%、約58モル%~約85モル%、約60モル%~約85モル%、約62モル%~約85モル%、約64モル%~約85モル%、約40モル%~約80モル%、約42モル%~約80モル%、約44モル%~約80モル%、約46モル%~約80モル%、約48モル%~約80モル%、約50モル%~約80モル%、約52モル%~約80モル%、約54モル%~約80モル%、約56モル%~約80モル%、約58モル%~約80モル%、または約60モル%~約80モル%である。
【0116】
いくつかの実施形態において、水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、95モル%未満、90モル%未満、85モル%未満、80モル%未満、75モル%未満、70モル%未満、65モル%未満、60モル%未満、55モル%未満、50モル%未満、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、25モル%未満、20モル%未満、15モル%未満、10モル%未満または5モル%未満である。いくつかの実施形態において、水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、0モル%を超え、5モル%を超え、10モル%を超え、15モル%を超え、20モル%を超え、25モル%を超え、30モル%を超え、35モル%を超え、40モル%を超え、45モル%を超え、50モル%を超え、55モル%を超え、60モル%を超え、65モル%を超え、70モル%を超え、75モル%を超え、80モル%を超え、85モル%を超えまたは90モル%を超える。
【0117】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)、フッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0118】
構造単位(a)は、酸基含有モノマーから誘導される。少なくとも1つの酸基を有する任意のモノマーを、特に制限なく、酸基含有モノマーとして使用することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーは、カルボン酸基含有モノマーである。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ブチルクロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、テトラコン酸(tetraconic acid)またはそれらの組合せである。特定の実施形態において、カルボン酸基含有モノマーは、2-エチルアクリル酸、イソクロトン酸、cis-2-ペンテン酸、trans-2-ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、3-プロピルアクリル酸、trans-2-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-2-メチル-3-エチルアクリル酸、3-イソプロピルアクリル酸、trans-3-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-3-メチル-3-エチルアクリル酸、2-イソプロピルアクリル酸、トリメチルアクリル酸、2-メチル-3,3-ジエチルアクリル酸、3-ブチルアクリル酸、2-ブチルアクリル酸、2-ペンチルアクリル酸、2-メチル-2-ヘキセン酸、trans-3-メチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2,3-ジエチルアクリル酸、3,3-ジエチルアクリル酸、3-メチル-3-ヘキシルアクリル酸、3-メチル-3-tert-ブチルアクリル酸、2-メチル-3-ペンチルアクリル酸、3-メチル-3-ペンチルアクリル酸、4-メチル-2-ヘキセン酸、4-エチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-2-エチル-2-ヘキセン酸、3-tert-ブチルアクリル酸、2,3-ジメチル-3-エチルアクリル酸、3,3-ジメチル-2-エチルアクリル酸、3-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、2-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、trans-2-オクテン酸、cis-2-オクテン酸、trans-2-デセン酸、α-アセトキシアクリル酸、β-trans-アリールオキシアクリル酸、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーは、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、ブロモマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸、ジフルオロマレイン酸、ノニル水素マレアート、デシル水素マレアート、ドデシル水素マレアート、オクタデシル水素マレアート、フルオロアルキル水素マレアートまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーは、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、メタクロレイン、塩化メタクリロイル、フッ化メタクリロイル、臭化メタクリロイル、またはそれらの組み合わせである。
【0120】
いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、カルボン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩基は、カルボン酸基の塩である。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アルカリ金属カルボン酸塩基を含む。アルカリ金属カルボン酸塩を形成するアルカリ金属の例として、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アンモニウムカルボン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、カルボン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、カルボン酸塩基とカルボン酸基との組み合わせを含む。
【0121】
カルボン酸塩基含有モノマーとして、少なくとも1つのカルボン酸塩基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩基含有モノマーは、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、クロトン酸塩、2-ブチルクロトン酸塩、ケイ皮酸塩、マレイン酸塩、無水マレイン酸塩、フマル酸塩、イタコン酸塩、イタコン酸無水物塩、テトラコン酸塩またはそれらの組合せである。特定の実施形態において、カルボン酸塩基含有モノマーは、2-エチルアクリル酸塩、イソクロトン酸塩、cis-2-ペンテン酸塩、trans-2-ペンテン酸塩、アンゲリカ酸塩、チグリン酸塩、3,3-ジメチルアクリル酸塩、3-プロピルアクリル酸塩、trans-2-メチル-3-エチルアクリル酸塩、cis-2-メチル-3-エチルアクリル酸塩、3-イソプロピルアクリル酸塩、trans-3-メチル-3-エチルアクリル酸塩、cis-3-メチル-3-エチルアクリル酸塩、2-イソプロピルアクリル酸塩、トリメチルアクリル酸塩、2-メチル-3,3-ジエチルアクリル酸塩、3-ブチルアクリル酸塩、2-ブチルアクリル酸塩、2-ペンチルアクリル酸塩、2-メチル-2-ヘキセン酸塩、trans-3-メチル-2-ヘキセン酸塩、3-メチル-3-プロピルアクリル酸塩、2-エチル-3-プロピルアクリル酸塩、2,3-ジエチルアクリル酸塩、3,3-ジエチルアクリル酸塩、3-メチル-3-ヘキシルアクリル酸塩、3-メチル-3-tert-ブチルアクリル酸塩、2-メチル-3-ペンチルアクリル酸塩、3-メチル-3-ペンチルアクリル酸塩、4-メチル-2-ヘキセン酸塩、4-エチル-2-ヘキセン酸塩、3-メチル-2-エチル-2-ヘキセン酸塩、3-tert-ブチルアクリル酸塩、2,3-ジメチル-3-エチルアクリル酸塩、3,3-ジメチル-2-エチルアクリル酸塩、3-メチル-3-イソプロピルアクリル酸塩、2-メチル-3-イソプロピルアクリル酸塩、trans-2-オクテン酸塩、cis-2-オクテン酸塩、trans-2-デセン酸塩、α-アセトキシアクリル酸塩、β-trans-アリールオキシアクリル酸塩、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸塩またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩基含有モノマーは、メチルマレイン酸塩、ジメチルマレイン酸塩、フェニルマレイン酸塩、ブロモマレイン酸塩、クロロマレイン酸塩、ジクロロマレイン酸塩、フルオロマレイン酸塩、ジフルオロマレイン酸塩またはそれらの組み合わせである。
【0122】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーは、スルホン酸基含有モノマーである。いくつかの実施形態において、スルホン酸基含有モノマーは、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリル酸、2-メチルプロパ-2-エン-1-スルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸またはそれらの組合せである。
【0123】
いくつかの実施形態において、スルホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、スルホン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、スルホン酸塩基は、スルホン酸基の塩である。いくつかの実施形態において、スルホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アルカリ金属スルホン酸塩基を含む。アルカリ金属スルホン酸塩を形成するアルカリ金属の例として、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、スルホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アンモニウムスルホン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、スルホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、スルホン酸塩基とスルホン酸基との組み合わせを含む。
【0124】
スルホン酸塩基含有モノマーとして、少なくとも1つのスルホン酸塩基を有する任意のモノマーを特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、スルホン酸塩基含有モノマーは、ビニルスルホン酸塩、メチルビニルスルホン酸塩、アリルビニルスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、2-スルホエチルメタクリル酸塩、2-メチルプロパ-2-エン-1-スルホン酸塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸塩、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸塩またはそれらの組合せである。
【0125】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーは、ホスホン酸基含有モノマーである。いくつかの実施形態において、ホスホン酸基含有モノマーは、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、アクリルアミドアルキルホスホン酸、メタクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、アクリロイルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、エチレン2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、エチル-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸またはそれらの組み合わせである。
【0126】
いくつかの実施形態において、ホスホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、ホスホン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、ホスホン酸塩基は、ホスホン酸基の塩である。いくつかの実施形態において、ホスホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アルカリ金属ホスホン酸塩基を含む。アルカリ金属ホスホン酸塩を形成するアルカリ金属の例として、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、ホスホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アンモニウムホスホン酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、ホスホン酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、ホスホン酸塩基とホスホン酸基との組合せを含む。
【0127】
ホスホン酸塩基含有モノマーとして、少なくとも1つのホスホン酸塩基を有する任意のモノマーを特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、ホスホン酸塩基含有モノマーは、ビニルホスホン酸の塩、アリルホスホン酸の塩、ビニルベンジルホスホン酸の塩、ホスホン酸のアクリルアミドアルキル塩の塩、メタクリルアミドアルキルホスホン酸の塩、アクリルアミドアルキルジホスホン酸の塩、アクリロイルホスホン酸の塩、2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸の塩、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸の塩、エチレン2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸の塩、エチル-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸の塩またはそれらの組合せである。
【0128】
いくつかの実施形態において、構造単位(a)は、カルボン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、ホスホン酸基含有モノマーまたはそれらの組み合わせから誘導される。
【0129】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、酸塩基は、酸基の塩である。酸塩基含有モノマーとして、少なくとも1つの酸塩基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、酸塩基含有モノマーは、カルボン塩基含有モノマー、スルホン塩基含有モノマー、ホスホン塩基含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アルカリ金属酸塩基を含む。アルカリ金属酸塩を形成するアルカリ金属の例として、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、アンモニウム酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、酸塩基および酸基の組み合わせを含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、水素結合を形成することができる原子を含む。いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)は、イオン-双極子相互作用を誘発するおよび/またはイオン結合を形成することができる荷電種をさらに含む。例えば、酸基は、水と接触すると部分解離を受け、荷電種を含む酸塩基を生成し、イオン-双極子相互作用および/またはイオン結合の形成を生じさせる。
【0131】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約15モル%~約85モル%、約15モル%~約84モル%、約15モル%~約83モル%、約15モル%~約82モル%、約15モル%~約81モル%、約15モル%~約80モル%、約15モル%~約79モル%、約15モル%~約78モル%、約15モル%~約77モル%、約15モル%~約76モル%、約15モル%~約75モル%、約15モル%~約74モル%、約15モル%~約73モル%、約15モル%~約72モル%、約15モル%~約71モル%、約15モル%~約70モル%、約15モル%~約65モル%、約15モル%~約60モル%、約15モル%~約55モル%、約15モル%~約50モル%、約16モル%~約85モル%、約17モル%~約85モル%、約18モル%~約85モル%、約19モル%~約85モル%、約20モル%~約85モル%、約21モル%~約85モル%、約22モル%~約85モル%、約25モル%~約85モル%、約30モル%~約85モル%、約35モル%~約85モル%、約40モル%~約85モル%、約45モル%~約85モル%、約50モル%~約85モル%、約55モル%~約85モル%、約16モル%~約80モル%、約16モル%~約75モル%、約16モル%~約70モル%、約16モル%~65モル%、約16モル%~約60モル%、約18モル%~80モル%、約18モル%~約75モル%、約18モル%~約70モル%、約18モル%~約65モル%、約18モル%~約60モル%、約20モル%~約80モル%、約20モル%~約75モル%、約20モル%~約70モル%、約20モル%~約65モル%、約20モル%~約60モル%、約22モル%~約80モル%、約22モル%~約75モル%、約22モル%~70モル%、約22モル%~約65モル%または約22モル%~約60モル%である。
【0132】
いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、85モル%未満、84モル%未満、82モル%未満、80モル%未満、78モル%未満、76モル%未満、74モル%未満、72モル%未満、70モル%未満、68モル%未満、66モル%未満、64モル%未満、62モル%未満、60モル%未満、58モル%未満、56モル%未満、54モル%未満、52モル%未満、50モル%未満、48モル%未満、46モル%未満、44モル%未満、42モル%未満、40モル%未満、38モル%未満、36モル%未満、34モル%未満、32モル%未満、30モル%未満、28モル%未満、26モル%未満、24モル%未満、22モル%未満、20モル%未満または18モル%未満である。いくつかの実施形態において、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、15モル%を超え、16モル%を超え、18モル%を超え、20モル%を超え、22モル%を超え、24モル%を超え、26モル%を超え、28モル%を超え、30モル%を超え、32モル%を超え、34モル%を超え、36モル%を超え、38モル%を超え、40モル%を超え、42モル%を超え、44モル%を超え、46モル%を超え、48モル%を超え、50モル%を超え、52モル%を超え、54モル%を超え、56モル%を超え、58モル%を超え、60モル%を超え、62モル%を超え、64モル%を超え、66モル%を超え、68モル%を超え、70モル%を超え、72モル%を超え、74モル%を超え、76モル%を超え、78モル%を超え、80モル%を超えまたは82モル%を超える。
【0133】
構造単位(b)は、ニトリル基含有モノマーから誘導される。ニトリル基含有モノマーとして、少なくとも1つのニトリル基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーは、α,β-エチレン性不飽和ニトリルモノマーを含む。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーは、アクリロニトリル、α-ハロゲノアクリロニトリル、α-アルキルアクリロニトリルまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーは、α-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、α-イソプロピルアクリロニトリル、α-n-ヘキシルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、3-メトキシアクリロニトリル、3-エトキシアクリロニトリル、α-アセトキシアクリロニトリル、α-フェニルアクリロニトリル、α-トリルアクリロニトリル、α-(メトキシフェニル)アクリロニトリル、α-(クロロフェニル)アクリロニトリル、α-(シアノフェニル)アクリロニトリル、ビニリデンシアニド、またはそれらの組み合わせである。
【0134】
いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約0モル%~約85モル%、約0モル%~約80モル%、約0モル%~約75モル%、約0モル%~約70モル%、約0モル%~約65モル%、約0モル%~約60モル%、約5モル%~約85モル%、約5モル%~約80モル%、約5モル%~約75モル%、約5モル%~約70モル%、約5モル%~約65モル%、約5モル%~約60モル%、約10モル%~約85モル%、約10モル%~約80モル%、約10モル%~約75モル%、約10モル%~約70モル%、約10モル%~約65モル%、約10モル%~約60モル%、約15モル%~約85モル%、約15モル%~約84モル%、約15モル%~約83モル%、約15モル%~約82モル%、約15モル%~約81モル%、約15モル%~約80モル%、約15モル%~約79モル%、約15モル%~約78モル%、約15モル%~約77モル%、約15モル%~約76モル%、約15モル%~約75モル%、約15モル%~約74モル%、約15モル%~約73モル%、約15モル%~約72モル%、約15モル%~約71モル%、約15モル%~約70モル%、約15モル%~約65モル%、約15モル%~約60モル%、約15モル%~約55モル%、約15モル%~約50モル%、約16モル%~約85モル%、約17モル%~約85モル%、約18モル%~約85モル%、約19モル%~約85モル%、約20モル%~約85モル%、約21モル%~約85モル%、約22モル%~約85モル%、約23モル%~約85モル%、約24モル%~約85モル%、約30モル%~約85モル%、約35モル%~約85モル%、約40モル%~約85モル%、約45モル%~約85モル%、約50モル%~約85モル%、約55モル%~約85モル%、約16モル%~約84モル%、約16モル%~約80モル%、約18モル%~約84モル%、約18モル%~約80モル%、約20モル%~約80モル%、約22モル%~約80モル%である。
【0135】
いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、85モル%未満、84モル%未満、82モル%未満、80モル%未満、78モル%未満、76モル%未満、74モル%未満、72モル%未満、70モル%未満、68モル%未満、66モル%未満、64モル%未満、62モル%未満、60モル%未満、58モル%未満、56モル%未満、54モル%未満、52モル%未満、50モル%未満、48モル%未満、46モル%未満、44モル%未満、42モル%未満、40モル%未満、38モル%未満、36モル%未満、34モル%未満、32モル%未満、30モル%未満、28モル%未満、26モル%未満、24モル%未満、22モル%未満、20モル%未満、18モル%未満、16モル%未満、14モル%未満、12モル%未満、10モル%未満、8モル%未満、6モル%未満または4モル%未満である。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、0モル%を超え、1モル%を超え、3モル%を超え、5モル%を超え、7モル%を超え、10モル%を超え、12モル%を超え、15モル%を超え、16モル%を超え、18モル%を超え、20モル%を超え、22モル%を超え、24モル%を超え、26モル%を超え、28モル%を超え、30モル%を超え、32モル%を超え、34モル%を超え、36モル%を超え、38モル%を超え、40モル%を超え、42モル%を超え、44モル%を超え、46モル%を超え、48モル%を超え、50モル%を超え、52モル%を超え、54モル%を超え、56モル%を超え、58モル%を超え、60モル%を超え、62モル%を超え、64モル%を超え、66モル%を超え、68モル%を超え、70モル%を超え、72モル%を超え、74モル%を超え、76モル%を超え、78モル%を超え、80モル%を超えまたは82モル%を超える。
【0136】
構造単位(c)は、アミド基含有モノマーから誘導される。アミド基含有モノマーとして、少なくとも1つのアミド基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、アミド基含有モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-イソブチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(メトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)メタクリルアミド、N-(プロポキシメチル)メタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド(MBA)、N-ヒドロキシメチルアクリルアミドまたはそれらの組合せである。
【0137】
いくつかの実施形態において、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、約0モル%~約35モル%、約1モル%~約35モル%、約2モル%~約35モル%、約3モル%~約35モル%、約4モル%~約35モル%、約5モル%~約35モル%、約6モル%~約35モル%、約7モル%~約35モル%、約8モル%~約35モル%、約9モル%~約35モル%、約10モル%~約35モル%、約11モル%~約35モル%、約12%モル~約35モル%、約13モル%~約35モル%、約14モル%~約35モル%、約15モル%~約35モル%、約16モル%~約35モル%、約17モル%~約35モル%、約18モル%~約35モル%、約19モル%~約35モル%、約20モル%~約35モル%、約20モル%~約34モル%、約20モル%~約33モル%、約20モル%~約32モル%、約20モル%~約31モル%、約20モル%~約30モル%、約0モル%~約34モル%、約0モル%~約33モル%、約0モル%~約32モル%、約0モル%~約31モル%、約0モル%~約30モル%、約1モル%~約29モル%、約1モル%~約28モル%、約1モル%~約27モル%、約1モル%~約26モル%、約1モル%~約25モル%、約1モル%~約24モル%、約1モル%~約23モル%、約1モル%~約22モル%、約1モル%~約21モル%または約1モル%~約20モル%である。
【0138】
いくつかの実施形態において、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、35モル%未満、34モル%未満、33モル%未満、32モル%未満、31モル%未満、30モル%未満、29モル%未満、28モル%未満、27モル%未満、26モル%未満、25モル%未満、24モル%未満、23モル%未満、22モル%未満、21モル%未満、20モル%未満、19モル%未満、18モル%未満、17モル%未満、16モル%未満、15モル%未満、14モル%未満、13モル%未満、12モル%未満、11モル%未満または10モル%未満である。いくつかの実施形態において、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)の割合は、ポリマーバインダー中の共重合体のモノマー単位のモルの総数に基づいて、0モル%を超え、1モル%を超え、2モル%を超え、3モル%を超え、4モル%を超え、5モル%を超え、6モル%を超え、7モル%を超え、8モル%を超え、9モル%を超え、10モル%を超え、11モル%を超え、12モル%を超え、13モル%を超え、14モル%を超え、15モル%を超え、16モル%を超え、17モル%を超え、18モル%を超え、19モル%を超え、20モル%を超え、21モル%を超え、22モル%を超え、23モル%を超え、24モル%を超えまたは25モル%を超える。
【0139】
構造単位(d)は、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される。ヒドロキシル基含有モノマーとして、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマーは、ヒドロキシル基を有するC~C20アルキル基またはC~C20シクロアルキル基含有メタクリラートである。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマーは、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、2-ヒドロキシブチルメタクリラート、3-ヒドロキシプロピルアクリラート、3-ヒドロキシプロピルメタクリラート、4-ヒドロキシブチルメタクリラート、5-ヒドロキシペンチルアクリラート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリラート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリラート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリラート、アリルアルコールまたはそれらの組み合わせである。
【0140】
構造単位(e)は、エステル基含有モノマーから誘導される。エステル基含有モノマーとして、少なくとも1つのエステル基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマーは、C~C20アルキルアクリラート、C~C20アルキル(メタ)アクリラート、シクロアルキルアクリラートまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマーは、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n-プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、n-ブチルアクリラート、sec-ブチルアクリラート、tert-ブチルアクリラート、ペンチルアクリラート、ヘキシルアクリラート、ヘプチルアクリラート、オクチルアクリラート、3,3,5-トリメチルヘキシルアクリラート、2-エチルヘキシルアクリラート、ノニルアクリラート、デシルアクリラート、ラウリルアクリラート、n-テトラデシルアクリラート、オクタデシルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、フェニルアクリラート、メトキシメチルアクリラート、メトキシエチルアクリラート、エトキシメチルアクリラート、エトキシエチルアクリラート、ペルフルオロオクチルアクリラート、ステアリルアクリラートまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマーは、シクロヘキシルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリラート、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマーは、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n-プロピルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、n-ブチルメタクリラート、sec-ブチルメタクリラート、tert-ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、n-ペンチルメタクリラート、イソペンチルメタクリラート、ヘキシルメタクリラート、へプチルメタクリラート、オクチルメタクリラート、2-エチルヘキシルメタクリラート、ノニルメタクリラート、デシルメタクリラート、ラウリルメタクリラート、n-テトラデシルメタクリラート、ステアリルメタクリラート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリラート、フェニルメタクリラート、ベンジルメタクリラート、またはそれらの組み合わせである。
【0141】
構造単位(f)は、エポキシ基含有モノマーから誘導される。エポキシ基含有モノマーとして、少なくとも1つのエポキシ基を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、エポキシ基含有モノマーは、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリル2,3-エポキシプロピルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、3,4-エポキシ-1-ブテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキサン、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレン、エポキシ-4-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカジエンまたはそれらの組み合わせである。
【0142】
いくつかの実施形態において、エポキシ基含有モノマーは、3,4-エポキシ-1-ブテン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-9-デセン、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、グリシジルクロトナート、グリシジル2,4-ジメチルペンテノアート、グリシジル4-ヘキセノアート、グリシジル4-ヘプテノアート、グリシジル5-メチル-4-ヘプテノアート、グリシジルソルバート、グリシジルリノレアート、グリシジルオレアート、グリシジル3-ブテノアート、グリシジル3-ペンテノアート、グリシジル-4-メチル-3-ペンテノアートまたはそれらの組合せが挙げられる。
【0143】
構造単位(g)は、フッ素含有モノマーから誘導される。フッ素含有モノマーとして、少なくとも1つのフッ素原子を有する任意のモノマーを、特に制限なく使用することができる。いくつかの実施形態において、フッ素含有モノマーは、少なくとも1つのフッ素原子を有するC~C20アルキル基含有アクリラート、メタクリラートまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、フッ素含有モノマーは、ペルフルオロドデシルアクリラート、ペルフルオロn-オクチルアクリラート、ペルフルオロn-ブチルアクリラート、ペルフルオロヘキシルエチルアクリラートおよびペルフルオロオクチルエチルアクリラート等のペルフルオロアルキルアクリラートであり;ペルフルオロドデシルメタクリラート、ペルフルオロn-オクチルメタクリラート、ペルフルオロn-ブチルメタクリラート、ペルフルオロヘキシルエチルメタクリラートおよびペルフルオロオクチルエチルメタクリラート等のペルフルオロアルキルメタクリラートであり;ペルフルオロドデシルオキシエチルアクリラートおよびペルフルオロデシルオキシエチルアクリラート等のペルフルオロオキシアルキルアクリラートであり;ペルフルオロドデシルオキシエチルメタクリラートおよびペルフルオロデシルオキシエチルメタクリラート等のペルフルオロオキシアルキルメタクリラート並びにそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、フッ素含有モノマーは、少なくとも1つのC~C20アルキル基および少なくとも1つのフッ素原子を含むカルボキシラートであり;ここで、カルボキシラートは、クロトナート、マラート、フマラート、イタコナートまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、フッ素含有モノマーは、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、ビニリデンフロライド、テトラフルオロエチレン、2-フルオロアクリラートおよびそれらの組合せである。
【0144】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)およびフッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)の各々の割合は、独立して、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、約0モル%~約50モル%、約1モル%~約50モル%、約2モル%~約50モル%、約3モル%~約50モル%、約4モル%~約50モル%、約5モル%~約50モル%、約6モル%~約50モル%、約7モル%~約50モル%、約8モル%~約50モル%、約9モル%~約50モル%、約10モル%~約50モル%、約11モル%~約50モル%、約12モル%~約50モル%、約13モル%~約50モル%、約14モル%~約50モル%、約15モル%~約50モル%、約16モル%~約50モル%、約17モル%~約50モル%、約18モル%~約50モル%、約19モル%~約50モル%、約20モル%~約50モル%、約20モル%~約49モル%、約20モル%~約48モル%、約20モル%~約47モル%、約20モル%~約46モル%、約20モル%~約45モル%、約20モル%~約44モル%、約20モル%~約43モル%、約20モル%~約42モル%、約20モル%~約41モル%、約20モル%~約40モル%、約0モル%~約45モル%、約0モル%~約44モル%、約0モル%~約43モル%、約0モル%~約42モル%、約0モル%~約41モル%、約0モル%~約40モル%、約0モル%~約39モル%、約0モル%~約38モル%、約0モル%~約37モル%、約0モル%~約36モル%、約0モル%~約35モル%、約0モル%~約34モル%、約0モル%~約33モル%、約0モル%~約32モル%、約0モル%~約31モル%、約0モル%~約30モル%、約2モル%~約50モル%、約2モル%~約45モル%、約2モル%~約40モル%、約2モル%~約35モル%、約2モル%~約30モル%、約2モル%~約25モル%、約5モル%~約50モル%、約5モル%~約45モル%、約5モル%~約40モル%、約5モル%~約35モル%、約5モル%~約30モル%、約5モル%~約25モル%、約10モル%~約50モル%、約10モル%~約45モル%、約10モル%~約40モル%、約10モル%~約35モル%または約10モル%~約30モル%である。
【0145】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)およびフッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)の各々の割合は、独立して、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、50モル%未満、49モル%未満、48モル%未満、47モル%未満、46モル%未満、45モル%未満、44モル%未満、43モル%未満、42モル%未満、41モル%未満、40モル%未満、39モル%未満、38モル%未満、37モル%未満、36モル%未満、35モル%未満、34モル%未満、33モル%未満、32モル%未満、31モル%未満、30モル%未満、29モル%未満、28モル%未満、27モル%未満、26モル%未満、25モル%未満、24モル%未満、23モル%未満、22モル%未満、21モル%未満、20モル%未満、19モル%未満、18モル%未満、17モル%未満、16モル%未満、15モル%未満、14モル%未満、13モル%未満、12モル%未満、11モル%未満、10モル%未満、8モル%未満、6モル%未満、4モル%未満または2モル%未満である。
【0146】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)およびフッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)の各々の割合は、独立して、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、0モル%を超え、1モル%を超え、2モル%を超え、3モル%を超え、4モル%を超え、5モル%を超え、6モル%を超え、7モル%を超え、8モル%を超え、9モル%を超え、10モル%を超え、11モル%を超え、12モル%を超え、13モル%を超え、14モル%を超え、15モル%を超え、16モル%を超え、17モル%を超え、18モル%を超え、19モル%を超え、20モル%を超え、21モル%を超え、22モル%を超え、23モル%を超え、24モル%を超え、25モル%を超え、26モル%を超え、27モル%を超え、28モル%を超え、29モル%を超え、30モル%を超え、31モル%を超え、32モル%を超え、33モル%を超え、34モル%を超え、35モル%を超え、36モル%を超え、37モル%を超え、38モル%を超え、39モル%を超え、40モル%を超え、41モル%を超え、42モル%を超え、43モル%を超え、44モル%を超え、45モル%を超え、46モル%を超え、47モル%を超えまたは48モル%を超える。
【0147】
他の実施形態において、コポリマーは、オレフィンから誘導される構造単位をさらに含んでもよい。オレフィンとして、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する任意の炭化水素を、特定の制限なく使用できる。いくつかの実施形態において、オレフィンは、C~C20脂肪族化合物、C~C20芳香族化合物またはビニル不飽和を含む環状化合物、C~C40ジエンまたはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、オレフィンは、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、シクロブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、4-ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテンまたはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、コポリマーは、オレフィンから誘導される構造単位を含まない。いくつかの実施形態において、コポリマーは、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、シクロブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、4-ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエンまたはシクロオクテンを含まない。
【0148】
共役ジエン基含有モノマーは、オレフィンとして構成する。いくつかの実施形態において、共役ジエン基含有モノマーは、C~C40ジエン、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、イソプレン、ミルセン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン、置換側鎖共役ヘキサジエン等の脂肪族共役ジエンモノマーまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、コポリマーは、C~C40ジエン、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、イソプレン、ミルセン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエンまたは置換側鎖共役ヘキサジエン等の脂肪族共役ジエンモノマーを含まない。
【0149】
他の実施形態において、コポリマーは、芳香族ビニル基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、芳香族ビニル基含有モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、コポリマーは、芳香族ビニル基含有モノマーから誘導される構造単位を含まない。いくつかの実施形態において、コポリマーは、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンまたはジビニルベンゼンを含まない。
【0150】
いくつかの実施形態において、基材は、箔、シートまたはフィルムの形態であり得る。特定の実施形態において、基材は金属である。いくつかの実施形態において、基材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはこれらの合金、導電性樹脂、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0151】
特定の実施形態において、基材は、外層および内層を含む2層構造を有し、外層は導電性材料を含み、内層は絶縁材料または他の導電性材料;例えば、アルミニウム層で被覆されたポリマー絶縁材料または導電樹脂層を備えたアルミニウムを含む。いくつかの実施形態において、導電性材料は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはこれらの合金、導電性樹脂、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、基材は、外層、中間層および内層を含む3層構造を有し、外層および内層は導電性材料を含み、中間層は絶縁材料または他の導電性材料;例えば、両面を金属層で被覆されたプラスチック材料を含む。特定の実施形態において、外層、中間層および内層の各々は、独立して、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはこれらの合金、導電性樹脂、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、絶縁材料は、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたポリマー材料である。特定の実施形態において、基材は3つ以上の層を有する。いくつかの実施形態において、基材は、保護コーティングで被覆されている。特定の実施形態において、保護コーティングは、炭素含有材料を含む。いくつかの実施形態において、基材は保護コーティングで被覆されていない。
【0152】
いくつかの実施形態において、コーティングは、外層および内層を含む2層構造を有し、内層および外層は、それぞれ独立して、ポリマー材料を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含む。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)およびニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)を含む。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位(b)、アミド基含有モノマーから誘導される構造単位(c)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ヒドロキシル基含有モノマーから誘導される構造単位(d)、エステル基含有モノマーから誘導される構造単位(e)、エポキシ基含有モノマーから誘導される構造単位(f)、フッ素含有モノマーから誘導される構造単位(g)またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、内層および外層中のポリマー材料または材料は、同じであってもよく、異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよい。
【0155】
複合体の剥離液への浸漬に要する時間は、金属基材からのコーティングの十分な剥離の達成において極めて重要である。複合体を剥離液へ浸漬する時間が不十分であると、剥離液に含まれる剥離剤および水性溶媒が、複合体の完全な剥離が可能になる程度に、コーティングと金属基材表面との間に初めに形成される結合を不安定にする、乱すおよび破壊するのに十分な時間を有しない虞がある。しかしながら、複合体が剥離液に長時間浸漬されると、複合体の剥離液内に含まれる剥離剤(例えば弱酸)との接触時間が長いため、金属基材の腐食が発生する虞がある。いくつかの実施形態において、複合体は、約1分~120分、約1分~約110分、約1分~約100分、約1分~約90分、約1分~約80分、約1分~約70分、約1分~約60分、約3分~約120分、約3分~約110分、約3分~約100分、約3分~約90分、約3分~約80分、約3分~約70分、約3分~約60分、約5分~約120分、約5分~約110分、約5分~約100分、約5分~約90分、約5分~約80分、約5分~約70分、約5分~約60分、約10分~約120分、約10分~約110分、約10分~約100分、約10分~約90分、約10分~約80分、約10分~約70分、約10分~約60分、約15分~約120分、約15分~約110分、約15分~約100分、約15分~約90分、約15分~約80分、約15分~約70分、約15分~約60分、約20分~約120分、約20分~約110分、約20分~約100分、約20分~約90分、約20分~約80分、約20分~約70分、約20分~約60分、約25分~約120分、約25分~約110分、約25分~約100分、約25分~約90分、約25分~約80分、約25分~約70分、約25分~約60分、約30分~約120分、約30分~約110分、約30分~約100分、約30分~約90分、約30分~約80分、約30分~約70分または約30分~約60分の間、剥離液に浸漬される。
【0156】
いくつかの実施形態において、複合体は、120分未満、110分未満、100分未満、90分未満、80分未満、70分未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満または5分未満の間、剥離液に浸漬される。いくつかの実施形態において、複合体は、1分を超え、3分を超え、5分を超え、10分を超え、15分を超え、20分を超え、30分を超え、40分を超え、50分を超え、60分を超え、70分を超え、80分を超え、90分を超え、100分を超えまたは110分を超える間、剥離液に浸漬される。
【0157】
いくつかの実施形態において、複合体は、約25℃~約95℃、約25℃~約90℃、約25℃~約85℃、約25℃~約80℃、約25℃~約75℃、約25℃~約70℃、約25℃~約65℃、約25℃~約60℃、約25℃~約55℃、約25℃~約50℃、約30℃~約95℃、約30℃~約90℃、約30℃~約85℃、約30℃~約80℃、約30℃~約75℃、約30℃~約70℃、約30℃~約65℃、約30℃~約60℃、約30℃~約55℃、約30℃~約50℃、約35℃~約95℃、約35℃~90℃、約35℃~約85℃、約35℃~約80℃、約35℃~約75℃、約35℃~約70℃、約35℃~約65℃、約35℃~約60℃、約35℃~約55℃、約40℃~約95℃、約40℃~約90℃、約40℃~約85℃、約40℃~約80℃、約40℃~約75℃、約40℃~約70℃、約40℃~約65℃、約40℃~約60℃、約45℃~約95℃、約45℃~約90℃、約45℃~約85℃、約45℃~約80℃、約45℃~約75℃、約45℃~約70℃、約45℃~約65℃、約50℃~約90℃、約50℃~約85℃、約50℃~約80℃または約50℃~約70℃の温度で剥離液に浸漬される。
【0158】
いくつかの実施形態において、複合体は、95℃未満、90℃未満、85℃未満、80℃未満、75℃未満、70℃未満、65℃未満、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満または30℃未満の温度で剥離液に浸漬される。いくつかの実施形態において、複合体は、25℃を超え、30℃を超え、35℃を超え、40℃を超え、45℃を超え、50℃を超え、55℃を超え、60℃を超え、65℃を超え、70℃を超え、75℃を超え、80℃を超え、85℃を超えまたは90℃を超える温度で剥離液に浸漬される。
【0159】
複合体の浸漬に使用される剥離液の量は、金属基材からのコーティングの完全な剥離の達成において重要である。所定量の複合体の浸漬に使用される剥離液の量が不十分である場合、複合体の十分な剥離を行うことができない。その結果の一例として、コーティングの大部分が金属基材の表面に沈着または付着していることが判明する場合がある。一方、所定量の複合体の浸漬のために過剰な量の剥離液が使用される場合、使用される追加の剥離剤および水性溶媒は無駄とみなされ、溶媒の再利用のためにさらなる処理工程を必要とする、不必要なコンタミネーションされたまたは汚染された水性溶媒廃棄物を生成する。いくつかの実施形態において、複合体の剥離を達成するために複合体が剥離液に浸漬される際、複合体の剥離液に対する重量比は、約0.01%~約5%、約0.01%~約4.8%、約0.01%~約4.6%、約0.01%~約4.4%、約0.01%~約4.2%、約0.01%~約4%、約0.01%~約3.8%、約0.01%~約3.6%、約0.01%~約3.4%、約0.01%~約3.2%、約0.01%~約3%、約0.01%~約2.8%、約0.01%~約2.6%、約0.01%~約2.4%、約0.01%~約2.2%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1.9%、約0.01%~約1.8%、約0.01%~約1.7%、約0.01%~約1.6%、約0.01%~約1.5%、約0.01%~約1.4%、約0.01%~約1.3%、約0.01%~約1.2%、約0.01%~約1.1%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.9%、約0.01%~約0.8%、約0.1%~約5%、約0.1%~約4.5%、約0.1%~約4%、約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.9%、約0.1%~約1.8%、約0.1%~約1.7%、約0.1%~約1.6%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1.4%、約0.1%~約1.3%、約0.1%~約1.2%、約0.1%~約1.1%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.9%、約0.1%~約0.8%、約0.2%~約5%、約0.2%~約4.5%、約0.2%~約4%、約0.2%~約3.5%、約0.2%~約3%、約0.2%~約2.5%、約0.2%~約2%、約0.2%~約1.9%、約0.2%~約1.8%、約0.2%~約1.7%、約0.2%~約1.6%、約0.2%~約1.5%、約0.2%~約1.4%、約0.2%~約1.3%、約0.2%~約1.2%、約0.2%~約1.1%、約0.2%~約1%、約0.2%~約0.9%、約0.2%~約0.8%、約0.3%~約4%、約0.3%~約3%、約0.3%~約1.5%、約0.3%~約1%または約0.3%~約0.8%である。
【0160】
いくつかの実施形態において、複合体の剥離を達成するために複合体を剥離液に浸漬する際、複合体の剥離液に対する重量比は、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満、1.2%未満、1.1%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満または0.05%未満である。いくつかの実施形態において、複合体の剥離を達成するために複合体を剥離液に浸漬する際、複合体の剥離液に対する重量比は、0.01%を超え、0.05%を超え、0.1%を超え、0.2%を超え、0.3%を超え、0.4%を超え、0.5%を超え、0.6%を超え、0.7%を超え、0.8%を超え、0.9%を超え、1%を超え、1.1%を超え、1.2%を超え、1.3%を超え、1.4%を超え、1.5%を超え、1.6%を超え、1.7%を超え、1.8%を超え、1.9%を超え、2%を超え、2.5%を超え、3%を超え、3.5%を超え、4%を超えまたは4.5%を超える。
【0161】
剥離剤は、コーティングに含まれるポリマーバインダーと金属基材表面との間のイオン-双極子相互作用および水素結合相互作用の妨害および破壊を目的とする。コーティングと金属基材との間の相互作用の乱れ、ひいては複合体の剥離を生じさせるためには、剥離液中の十分な量の剥離剤が必要である。しかしながら、コーティング内のポリマーバインダーと金属基材表面との間の相互作用の乱れを誘発するためには、比較的低濃度の剥離剤が適切である。複合体の浸漬のため、低濃度の剥離剤を使用することは、金属基材および複合体の他にとり得る金属成分が腐食する可能性を減少させ、および/または高濃度の剥離剤を使用することによって生じ得る副反応を緩和させる。いくつかの実施形態において、剥離液中の剥離剤の濃度は、剥離液の総重量に基づいて、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.95重量%、約0.01重量%~約0.9重量%、約0.01重量%~約0.85重量%、約0.01重量%~約0.8重量%、約0.01重量%~約0.75重量%、約0.01重量%~約0.7重量%、約0.01重量%~約0.65重量%、約0.01重量%~約0.6重量%、約0.01重量%~約0.55重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.45重量%、約0.01重量%~約0.4重量%、約0.01重量%~約0.35重量%、約0.01重量%~約0.3重量%、約0.05重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.95重量%、約0.05重量%~約0.9重量%、約0.05重量%~約0.85重量%、約0.05重量%~約0.8重量%、約0.05重量%~約0.75重量%、約0.05重量%~約0.7重量%、約0.05重量%~約0.65重量%、約0.05重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約0.55重量%、約0.05重量%~約0.5重量%、約0.05重量%~約0.45重量%、約0.05重量%~約0.4重量%、約0.05重量%~約0.35重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.95重量%、約0.1重量%~約0.9重量%、約0.1重量%~約0.85重量%、約0.1重量%~約0.8重量%、約0.1重量%~約0.75重量%、約0.1重量%~約0.7重量%、約0.1重量%~約0.65重量%、約0.1重量%~約0.6重量%、約0.1重量%~約0.55重量%、約0.1重量%~約0.5重量%、約0.1重量%~約0.45重量%、約0.1重量%~約0.4重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.95重量%、約0.2重量%~約0.9重量%、約0.2重量%~約0.85重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.2重量%~約0.75重量%、約0.2重量%~約0.7重量%、約0.2重量%~約0.65重量%、約0.2重量%~約0.6重量%、約0.2~約0.55重量%、約0.2~約0.5重量%、約0.25重量%~約1重量%、約0.25~約0.95重量%、約0.25重量%~約0.9重量%、約0.25重量%~約0.85重量%、約0.25重量%~約0.8重量%、約0.25重量%~約0.75重量%、約0.25重量%~約0.7重量%、約0.25重量%~約0.65重量%、約0.25重量%~約0.6重量%、約0.25重量%~約0.55重量%、約0.25重量%~約0.5重量%、約0.3重量%~約1重量%、約0.3重量%~約0.95重量%、約0.3重量%~約0.9重量%、約0.3重量%~約0.85重量%、約0.3重量%~約0.8重量%、約0.3重量%~約0.75重量%、約0.3重量%~約0.7重量%、約0.3重量%~約0.65重量%または約0.3重量%~約0.6重量%である。
【0162】
いくつかの実施形態において、剥離液中の剥離剤の濃度は、剥離溶液の総重量に基づいて、1重量%未満、0.95重量%未満、0.9重量%未満、0.85重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、0.65重量%未満、0.6重量%未満、0.55重量%未満、0.5重量%未満、0.45重量%未満、0.4重量%未満、0.35重量%未満、0.3重量%未満、0.25重量%未満、0.2重量%未満、0.15重量%未満、0.1重量%未満または0.05重量%未満である。いくつかの実施形態において、剥離液中の剥離剤の濃度は、剥離液の総重量に基づいて、0.01重量%を超え、0.25重量%を超え、0.05重量%を超え、0.75重量%を超え、0.1重量%を超え、0.15重量%を超え、0.2重量%を超え、0.25重量%を超え、0.3重量%を超え、0.35重量%を超え、0.4重量%を超え、0.45重量%を超え、0.5重量%を超え、0.55重量%を超え、0.6重量%を超え、0.65重量%を超え、0.7重量%を超え、0.75重量%を超え、0.8重量%を超え、0.85重量%を超えまたは0.9重量%を超える。
【0163】
いくつかの実施形態において、コーティングの表面密度は、約1mg/cm~約40mg/cm、約1mg/cm~約35mg/cm、約1mg/cm~約30mg/cm、約1mg/cm~約25mg/cm、約1mg/cm~約15mg/cm、約3mg/cm~約40mg/cm、約3mg/cm~約35mg/cm、約3mg/cm~約30mg/cm、約3mg/cm~約25mg/cm、約3mg/cm~約20mg/cm、約3mg/cm~約15mg/cm、約5mg/cm~約40mg/cm、約5mg/cm~約35mg/cm、約5mg/cm~約30mg/cm、約5mg/cm~約25mg/cm、約5mg/cm~約20mg/cm、約5mg/cm~約15mg/cm、約8mg/cm~約40mg/cm、約8mg/cm~約35mg/cm、約8mg/cm~約30mg/cm、約8mg/cm~約25mg/cm、約8mg/cm~約20mg/cm、約10mg/cm~約40mg/cm、約10mg/cm~約35mg/cm、約10mg/cm~約30mg/cm、約10mg/cm~約25mg/cm、約10mg/cm~約20mg/cm、約15mg/cm~約40mg/cm、または約20mg/cm~約40mg/cmである。
【0164】
いくつかの実施形態において、コーティングの表面密度は、40mg/cm未満、36mg/cm未満、32mg/cm未満、28mg/cm未満、24mg/cm未満、20mg/cm未満、16mg/cm未満、12mg/cm未満、8mg/cm未満または4mg/cm未満である。いくつかの実施形態において、コーティングの表面密度は、1mg/cmを超え、4mg/cmを超え、8mg/cmを超え、12mg/cmを超え、16mg/cmを超え、20mg/cmを超え、24mg/cmを超え、28mg/cmを超え、32mg/cmを超えまたは36mg/cmを超える。
【0165】
いくつかの実施形態において、コーティングの密度は、約0.5g/cm~約6.5g/cm、約0.5g/cm~約6.0g/cm、約0.5g/cm~約5.5g/cm、約0.5g/cm~約5.0g/cm、約0.5g/cm~約4.5g/cm、約0.5g/cm~約4.0g/cm、約0.5g/cm~約3.5g/cm、約0.5g/cm~約3.0g/cm、約0.5g/cm~約2.5g/cm、約1.0g/cm~約6.5g/cm、約1.0g/cm~約5.5g/cm、約1.0g/cm~約4.5g/cm、約1.0g/cm~約3.5g/cm、約2.0g/cm~約6.5g/cm、約2.0g/cm~約5.5g/cm、約2.0g/cm~約4.5g/cm、約3.0g/cm~約6.5g/cmまたは約3.0g/cm~約6.0g/cmである。
【0166】
いくつかの実施形態において、コーティングの密度は、6.5g/cm未満、6.0g/cm未満、5.5g/cm未満、5.0g/cm未満、4.5g/cm未満、4.0g/cm未満、3.5g/cm未満、3.0g/cm未満、2.5g/cm未満、2.0g/cm未満、1.5g/cm未満または0.5g/cm未満である。いくつかの実施形態において、コーティングの密度は、0.5g/cmを超え、1.0g/cmを超え、1.5g/cmを超え、2.0g/cmを超え、2.5g/cmを超え、3.0g/cmを超え、3.5g/cmを超え、4.0g/cmを超え、4.5g/cmを超え、5.0g/cmを超え、5.5g/cmを超えまたは6.0g/cmを超える。
【0167】
金属基材表面と水素結合を形成できる、コポリマー中の水素結合形成基含有モノマーの割合が高いと、剥離剤は効果が高く、主にコーティングと金属基材表面との間の水素結合相互作用を乱することに利用されるため、複合体の浸漬のために、剥離液中の剥離剤を比較的高い濃度で使用することができる。
【0168】
反対に、金属基材表面の部分的に正に荷電した金属種とイオン-双極子相互作用を発現させることができるコポリマー中の荷電官能基(例えば、酸塩基)の割合がより高いと、水性溶媒はコーティングと金属基材表面との間のイオン-双極子相互作用を弱める役割を果たし、きわめて効果的であるため、剥離液中の剥離剤を比較的低い濃度(すなわち、水性溶媒の高い割合)で複合体の浸漬のために使用することができる。
【0169】
いくつかの実施形態において、複合体の剥離を達成するために複合体が剥離液に浸漬されているとき、複合体-剥離液混合物は攪拌されている。いくつかの実施形態において、プラネタリー攪拌ミキサー、攪拌ミキサー、ブレンダー、超音波発生装置またはそれらの組み合わせが、複合体-剥離液混合物を攪拌するために使用される。
【0170】
いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、約10rpm~約3000rpm、約20rpm~約3000rpm、約50rpm~約3000rpm、約100rpm~約3000rpm、約200rpm~約3000rpm、約300rpm~約3000rpm、約400rpm~約3000rpm、約500rpm~約3000rpm、約600rpm~約3000rpm、約700rpm~約3000rpm、約800rpm~約3000rpm、約900rpm~約3000rpm、約1000rpm~約3000rpm、約1100rpm~約3000rpm、約1200rpm~約3000rpm、約1200rpm~約2900rpm、約1200rpm~約2800rpm、約1200rpm~約2700rpm、約1200rpm~約2600rpm、約1200rpm~約2500rpm、約1200rpm~約2400rpm、約1200rpm~約2300rpm、約1200rpm~約2200rpm、約1200rpm~約2100rpm、約1200rpm~約2000rpm、約1200rpm~約1900rpm、または約1200rpm~約1800rpmの速度で攪拌される。
【0171】
いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、3000rpm未満、2900rpm未満、2800rpm未満、2700rpm未満、2600rpm未満、2500rpm未満、2400rpm未満、2300rpm未満、2200rpm未満、2100rpm未満、2000rpm未満、1900rpm未満、1800rpm未満、1700rpm未満、1600rpm未満、1500rpm未満、1400rpm未満、1300rpm未満、1200rpm未満、1100rpm未満、または1000rpm未満の速度で攪拌される。いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、10rpmを超え、20rpmを超え、50rpmを超え、100rpmを超え、200rpmを超え、300rpmを超え、400rpmを超え、500rpmを超え、600rpmを超え、700rpmを超え、800rpmを超え、900rpmを超え、1000rpmを超え、1100rpmを超え、1200rpmを超え、1300rpmを超え、1400rpmを超え、1600rpmを超え、1700rpmを超え、1800rpmを超え、1900rpmを超え、または2000rpmを超える速度で攪拌される。
【0172】
いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、約15分~約120分、約15分~約110分、約15分~約100分、約15分~約90分、約15分~約80分、約15分~約70分、約15分~約60分、約20分~約120分、約20分~約110分、約20分~約100分、約20分~約90分、約20分~約80分、約20分~約70分、約20分~約60分、約25分~約120分、約25分~約110分、約25分~約100分、約25分~約90分、約25分~約80分、約25分~約70分、約25分~約60分、約30分~約120分、約30分~約110分、約30分~約100分、約30分~約90分、約30分~約80分、約30分~約70分、または約30分~約60分の間、撹拌される。
【0173】
いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、120分未満、110分未満、100分未満、90分未満、80分未満、70分未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満または20分未満の間、攪拌される。いくつかの実施形態において、複合体-剥離液混合物は、15分を超え、20分を超え、30分を超え、40分を超え、50分を超え、60分を超え、70分を超え、80分を超え、90分を超え、100分を超えまたは110分を超える間、攪拌される。
【0174】
いくつかの実施形態において、プラネタリー攪拌ミキサーは、少なくとも1つのプラネタリーブレードと少なくとも1つの高速分散ブレードとを含む。特定の実施形態において、プラネタリーブレードの回転速度は、約20rpm~約200rpm、約20rpm~約150rpm、約30rpm~約150rpm、または約50rpm~約100rpmである。特定の実施形態において、分散ブレードの回転速度は、約1,000rpm~約4,000rpm、約1,000rpm~約3,500rpm、約1,000rpm~約3,000rpm、約1,000rpm~約2,000rpm、約1,500rpm~約3,000rpm、または約1,500rpm~約2,500rpmである。
【0175】
特定の実施形態において、超音波発生装置は、超音波浴、プローブ型超音波発生装置、または超音波フローセルである。いくつかの実施形態において、超音波発生装置は、約10W/L~約100W/L、約20W/L~約100W/L、約30W/L~約100W/L、約40W/L~約80W/L、約40W/L~約70W/L、約40W/L~約60W/L、約40W/L~約50W/L、約50W/L~約60W/L、約20W/L~約80W/L、約20W/L~約60W/L、または約20W/L~約40W/Lの電力密度で操作される。特定の実施形態において、超音波発生装置は、10W/Lを超え、20W/Lを超え、30W/Lを超え、40W/Lを超え、50W/Lを超え、60W/Lを超え、70W/Lを超え、80W/Lを超えまたは90W/Lを超える電力密度で操作される。
【0176】
いくつかの実施形態において、超音波発生装置は、約100W~約1000W、約200W~約1000W、約300W~約1000W、約400W~約1000W、約500W~約1000W、約500W~約900W、約500W~約800W、約500W~約700W、または約500W~約600Wの電力で動作する。いくつかの実施形態において、超音波発生装置は、1000W未満、900W未満、800W未満、700W未満、600W未満、500W未満、400W未満、または300W未満の電力で動作する。いくつかの実施形態において、超音波発生装置は、100Wを超え、200Wを超え、300Wを超え、400Wを超え、500Wを超え、600Wを超え、700Wを超え、または800Wを超える電力で動作する。
【0177】
いくつかの実施形態において、複合体を剥離液へ浸漬した後、処理された複合体-剥離液混合物のpHは、約2~約5、約2~約4.9、約2~約4.8、約2~約4.7、約2~約4.6、約2~約4.5、約2~約4.4、約2~約4.3、約2~約4.2、約2~約4.1、約2~約4、約2~約3.9、約2~約3.8、約2~約3.7、約2~約3.6、約2~約3.5、約2~約3.4、約2~約3.3、約2~約3.2、約2~約3.1、約2~約3、約2.5~約5、約2.5~約4.9、約2.5~約4.8、約2.5~約4.7、約2.5~約4.6、約2.5~約4.5、約2.5~約4.4、約2.5~約4.3、約2.5~約4.2、約2.5~約4.1、約2.5~約4、約2.5~約3.9、約2.5~約3.8、約2.5~約3.7、約2.5~約3.6、約2.5~約3.5、約3~約4.9、約3~約4.8、約3~約4.7、約3~約4.6、約3~約4.5、約3~約4.4、約3~約4.3、約3~約4.2、約3~約4.1または約3~約4である。
【0178】
いくつかの実施形態において、複合体を剥離液へ浸漬した後、処理された複合体-剥離液混合物のpHは、5未満、4.9未満、4.8未満、4.7未満、4.6未満、4.5未満、4.4未満、4.3未満、4.2未満、4.1未満、4未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満または2.2未満である。いくつかの実施形態において、複合体を剥離液へ浸漬した後、処理された複合体-剥離液混合物のpHは、2を超え、2.1を超え、2.2を超え、2.3を超え、2.4を超え、2.5を超え、2.6を超え、2.7を超え、2.8を超え、2.9を超え、3を超え、3.1を超え、3.2を超え、3.3を超え、3.4を超え、3.5を超え、3.6を超え、3.7を超え、3.8を超え、3.9を超え、4を超え、4.1を超え、4.2を超え、4.3を超え、4.4を超え、4.5を超え、4.6を超え、4.7を超えまたは4.8を超える。
【0179】
いくつかの実施形態において、複合体を剥離液へ浸漬した後、複合体は複合体成分層に剥離される。いくつかの実施形態において、複合体を剥離液へ浸漬した後、複合体は、コーティング層と金属基材層とに剥離される。
【0180】
いくつかの実施形態において、処理された複合体-剥離液混合物は、剥離液から複合体成分層を分離するためにふるい分けられる。いくつかの実施形態において、処理された複合体-剥離液混合物は、剥離液からコーティング層および金属基材層を分離するためにふるい分けられる。
【0181】
いくつかの実施形態において、処理された複合体-剥離液混合物のふるい分けのために、ろ過、ふるい分け、デカンテーションまたはそれらの組合せを使用することができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、ふるいのメッシュ幅は、約0.1mm~約8mm、約0.1mm~約7.5mm、約0.1mm~約7mm、約0.1mm~約6.5mm、約0.1mm~約6mm、約0.1mm~約5.5mm、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約4.5mm、約0.1mm~約4mm、約0.1mm~約3.5mm、約0.1mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.1mm~約2mm、約0.5mm~約8mm、約0.5mm~約7.5mm、約0.5mm~約7mm、約0.5mm~約6.5mm、約0.5mm~約6mm、約0.5mm~約5.5mm、約0.5mm~約5mm、約0.5mm~約4.5mm、約0.5mm~約4mm、約0.5mm~約3.5mm、約0.5mm~約3mm、約1mm~約8mm、約1mm~約7.5mm、約1mm~約7mm、約1mm~約6.5mm、約1mm~約5.5mm、約1mm~約5mm、約1mm~約4.5mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3.5mmまたは約1mm~約3mmである。
【0183】
いくつかの実施形態において、ふるいのメッシュ幅は、8mm未満、7.5mm未満、7mm未満、6.5mm未満、6mm未満、5.5mm未満、5mm未満、4.5mm未満、4mm未満、3.5mm未満、3mm未満、2.5mm未満、2mm未満、1.5mm未満、1mm未満または0.5mm未満である。いくつかの実施形態において、ふるいのメッシュ幅は、0.1mmを超え、0.5mmを超え、1mmを超え、1.5mmを超え、2mmを超え、2.5mmを超え、3mmを超え、3.5mmを超え、4mmを超え、4.5mmを超え、5mmを超え、5.5mmを超え、6mmを超え、6.5mmを超え、7mmを超えまたは7.5mmを超える。
【0184】
図4は、本明細書に開示される複合体を剥離するための方法400の工程と、複合体成分の抽出のためのその後のさらなる処理とを示す実施形態のフローチャートである。本発明における金属基材および他の複合金属成分の極めて低い腐食および溶解傾向のため、抽出された剥離液は、さらなる再利用のために必ずしも精製を受ける必要はない。抽出された剥離液は、他の複合体の剥離に再利用することができる。これは、材料が繰り返し再生および再利用されるクローズドループ回収プロセスを形成させ、ループ構成に継続的に関与し、サーキュラーエコノミーの形成を助ける。
【0185】
いくつかの実施形態において、回収された剥離された複合体成分は、中に含まれるそれらの各成分をさらに抽出するために、追加の分離および/または抽出プロセスに付されてもよい。いくつかの実施形態において、回収されたコーティング層および金属基材層は、中に含まれるそれらの各成分をさらに抽出するために、追加の分離および/または抽出プロセスに付されてもよい。
【0186】
本発明の方法は、電池において電極の剥離を達成するために特に適用可能である。
【0187】
いくつかの実施形態において、電池は、一次電池または二次電池であってよい。電池のいくつかの非限定的な例として、アルカリ電池、アルミニウム空気電池、リチウム電池、リチウム空気電池、マグネシウム電池、固体電池、酸化銀電池、亜鉛空気電池、アルミニウムイオン電池、鉛畜電池、リチウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、カリウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム空気電池、ケイ素空気電池、亜鉛イオン電池およびナトリウム硫黄電池が挙げられる。
【0188】
リチウムイオン電池(LIB)は、その優れたエネルギー密度、長サイクル寿命および高い放電性能のため、過去数十年にわたり様々な用途で、特に家電製品において広く利用されるようになった。電気自動車(EV)およびグリッドエネルギー貯蔵の急速な市場の発展により、高性能で低コストのLIBは、現在、大規模エネルギー貯蔵デバイスの最も有望な選択肢の1つとなっている。
【0189】
リチウムイオン電池の流通が大幅に増加すると、使用済み(EoL)電池が市場に溢れることが懸念される。今後、膨大な量のリチウムイオン電池が寿命を迎えることが予想されるため、使用済みのパックおよびセルを管理するための、使用済みリチウムイオン電池の経済的なリサイクルプロセスの開発が急務となっている。また、使用済み電池以外にも、電池の製造プロセスで生じる電極の廃棄物またはスクラップが大量にあり、これらをリサイクルすることが必要である。
【0190】
現在、2つの主要なリサイクル方法、すなわち乾式冶金プロセスおよび湿式冶金プロセスが使用済み電池のリサイクルのために提案または採用されており、カソード材料は生産において高い付加価値を占めるため、特にカソード成分の回収において、提案または採用されている。
【0191】
乾式冶金プロセスは、ポリマーバインダーの分解温度を超える高温での電極の加熱を含むが、他の電極成分、例えば集電体および電極活物質の溶融温度より低い温度が理想的である。このプロセスは、ポリマーバインダーのリサイクルおよび/または再生が実行不可能なポリマーバインダーの炭化をもたらす。その上、燃焼プロセスでは、ポリマーバインダーの分解によって生じる有害化合物および/または汚染物質が発生する可能性がある。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)バインダー材料を含む電極が乾式冶金を受ける場合、フッ化水素のような長期的な健康リスクをもたらす可能性のある有害化合物が生成されるだろう。また、乾式冶金プロセスは高エネルギー集約型であるため、莫大な関連エネルギーコストがかかる。
【0192】
湿式冶金プロセスでは、集電体から電極層の分離を可能とする、ポリマーバインダーの除去の際に溶媒を使用する。このプロセスでは、しばしば苛性溶媒(例えば、濃塩酸、硫酸および硝酸)を使用して、ポリマーバインダーの除去を達成する。濃鉱酸の使用は、安全面および環境面でリスクが高いだけでなく、集電体、電極活物質および他の電極金属成分と反応し、金属部の腐食につながる危険性がある。例えば、カソードの集電体は主にアルミニウムだが、濃鉱酸と反応する恐れが高く、集電体からアルミニウムが溶出し、アルミニウムの回収が難しくなる。さらに、湿式冶金プロセスでは、電極成分を回収するための、複雑なその後の精製および分離工程が必要である。湿式冶金プロセスは、主に有機系スラリーに由来する電極層の剥離に使用され、有機系スラリーは、有毒であるため特定の処理を必要とするN-メチル-2-ピロリドン(NMP)のようないくつかの特定の有機溶媒を使用する必要がある。電極の剥離を達成するためにこのような湿式冶金プロセスを使用することは、有機系スラリーを使用して製造された電極にのみ適用可能である。
【0193】
集電体から電極層を剥離する現在の方法は、それ自体に欠点があり、水系スラリー由来の電極層を剥離するには効果的でない。この観点から、水系スラリーに由来する電極層を金属集電体から高効率で完全に剥離する方法の開発が求められている。
【0194】
従って、本発明の方法は、特に、電極を剥離液に浸漬することによって、リチウムイオン電池(LIB)において電極の剥離を達成するために適用でき;電極は、集電体と、集電体の片面または両面に被覆された、ポリマーバインダーを含む電極層と、を含み;ポリマーバインダーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。
【0195】
図5は、0.50重量%濃度のクエン酸およびDI水を含む剥離液へ両面被覆カソードを浸漬した後の、実施例2の回収されたカソード層および集電体を示す。カソード層はアルミニウム集電体から完全に剥離され、アルミニウム箔表面の光沢は、アルミニウム上に観察可能な腐食がないことを示している。
【0196】
本発明の方法は、集電体から水系スラリーを用いて製造された電極層を剥離するために特に適用可能である。水性スラリーは、活物質粒子および導電剤を集電体とともに接着させ、連続した電気伝導パスを形成するために、水性ポリマーバインダーを利用する。本明細書に開示されるポリマーバインダーは、粘着能力の向上とともに、集電体と電極材料との間のインピーダンスを低減するために電子およびイオンの輸送を促進することができ、充放電間の体積膨張および収縮による電極の膨張を防ぐために十分な弾性を有している。
【0197】
本明細書に開示される剥離方法は、集電体、および水性ポリマーバインダーによって集電体の片面または両面に被覆された電極層を含む電極を、剥離液の簡易な使用によって効果的に剥離させるものである。
【0198】
いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含むコポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダー中に存在する酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)の割合は、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、少なくとも15モル%であり、これにより、本明細書に開示のポリマーバインダーは水中での優れた分散性および安定性を示すことができる。
【0199】
図6は、剥離液に浸漬される両面被覆カソードが、ポリマーバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、比較例1の回収されたカソードを表す。ここで用いられる剥離液は、0.50重量%濃度のクエン酸およびDI水を含む。アルミニウム集電体からのカソード層の剥離は、剥離液に浸漬されても正極層がアルミニウム集電体上に強く接着し、成功しないことが示される。これは、本発明で開示された、電極の剥離を達成するための剥離剤の使用を、PVDFのような非水性ポリマーバインダーを含む電極には適用できないことを示す。
【0200】
集電体は、カソード活物質の電気化学反応によって発生した電子を収集する、または電気化学反応に必要な電子を供給するために働く。いくつかの実施形態において、集電体は、箔、シートまたはフィルムの形態とすることができる。いくつかの実施形態において、集電体は金属である。いくつかの実施形態において、集電体は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0201】
特定の実施形態において、集電体は、外層および内層を含む2層構造を有し、外層は導電性材料を含み、内層は絶縁材料または他の導電性材料;例えば、アルミニウム層で被覆されたポリマー絶縁材料または導電性樹脂層を有するアルミニウム、を含む。いくつかの実施形態において、導電性材料は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0202】
いくつかの実施形態において、集電体は、外層、中間層および内層を含む3層構造を有し、外層および内層は導電性材料を含み、中間層は絶縁材料または他の導電性材料;例えば、両面上を金属層で被覆されたプラスチック材料を含む。特定の実施形態において、外層、中間層および内層の各々は、独立して、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂またはそれらの組合せである。
【0203】
いくつかの実施形態において、絶縁材料は、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたポリマー材料である。特定の実施形態において、集電体は、3層以上の層を有する。いくつかの実施形態において、集電体は、保護コーティングで被覆されている。特定の実施形態において、保護コーティングは、炭素含有材料を含む。いくつかの実施形態において、集電体は保護コーティングで被覆されていない。
【0204】
集電体の厚さは、電池内で集電体が占める体積、必要とされる電極活物質の量、ひいては電池の容量に影響を与える。いくつかの実施形態において、集電体は、約5μm~約30μmの厚さを有する。特定の実施形態において、集電体は、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約10μm~約30μm、約10μm~約25μm、または約10μm~約20μmの厚さを有する。
【0205】
いくつかの実施形態において、集電体は、30μm未満、28μm未満、26μm未満、24μm未満、22μm未満、20μm未満、18μm未満、16μm未満、14μm未満、12μm未満、10μm未満、8μm未満または6μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、集電体は、5μmを超え、7μmを超え、10μmを超え、12μmを超え、14μmを超え、16μmを超え、18μmを超え、20μmを超え、22μmを超え、24μmを超え、26μmを超えまたは28μmを超える厚さを有する。
【0206】
いくつかの実施形態において、電極は、カソードまたはアノードであってよい。いくつかの実施形態において、電極層は、電極活物質をさらに含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、活電池電極物質はカソード活物質であり、カソード活物質は、LiCoO、LiNiO、LiNiMn、LiCoNi、Li1+zNiMnCo1-x-y、LiNiCoAl、LiV、LiTiS、LiMoS、LiMnO、LiCrO、LiMn、LiMnO、LiFeO、LiFePO、およびそれらの組合せからなる群から選択され、各xは独立して0.1~0.9であり;各yは独立して0~0.9であり;各zは独立して0~0.4である。特定の実施形態において、上記一般式中の各xは、独立して0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875および0.9から選択され;上記一般式中の各yは、独立して0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875および0.9から選択され;上記一般式中の各zは、独立して0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375および0.4から選択される。いくつかの実施形態において、上記一般式中の各x、yおよびzは、独立して、0.01の間隔を有する。
【0208】
特定の実施形態において、カソード活物質は、LiCoO、LiNiO、LiNiMn、Li1+zNiMnCo1-x-y(NMC)、LiNiCoAl、LiV、LiTiS、LiMoS、LiMnO、LiCrO、LiMn、LiFeO、LiFePO、LiCoNi、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、各xは独立して0.4~0.6であり;各yは独立して0.2~0.4であり;各zは独立して0~0.1である。他の実施形態において、カソード活物質は、LiCoO、LiNiO、LiV、LiTiS、LiMoS、LiMnO、LiCrO、LiMn、LiFeO、またはLiFePOではない。さらなる実施形態において、カソード活物質は、LiNiMn、Li1+zNiMnCo1-x-y、LiNiCoAlまたはLiCoNiではなく、ここで、各xは独立して0.1~0.9であり;各yは独立して0~0.45であり;各zは独立して0~0.2である。特定の実施形態において、カソード活物質は、Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)であり;-0.2≦x≦0.2、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、およびa+b+c≦1である。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、一般式Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)を有し、0.33≦a≦0.92、0.33≦a≦0.9、0.33≦a≦0.8、0.4≦a≦0.92、0.4≦a≦0.9、0.4≦a≦0.8、0.5≦a≦0.92、0.5≦a≦0.9、0.5≦a≦0.8、0.6≦a≦0.92または0.6≦a≦0.9;0≦b≦0.5、0≦b≦0.4、0≦b≦0.3、0≦b≦0.2、0.1≦b≦0.5、0.1≦b≦0.4、0.1≦b≦0.3、0.1≦b≦0.2、0.2≦b≦0.5、0.2≦b≦0.4、または0.2≦b≦0.3;0≦c≦0.5、0≦c≦0.4、0≦c≦0.3、0.1≦c≦0.5、0.1≦c≦0.4、0.1≦c≦0.3、0.1≦c≦0.2、0.2≦c≦0.5、0.2≦c≦0.4、または0.2≦c≦0.3である。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、一般式LiMPOを有し、Mは、Fe、Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Geおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、LiMnFePO、LiMnFe(1-x)POおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され;0<x<1である。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、LiNiMnであり;0.1≦x≦0.9および0≦y≦2である。特定の実施形態において、カソード活物質は、xLiMnO・(1-x)LiMOであり、Mは、Ni、Co、Mnおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され;0<x<1である。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、Li(PO、LiVPOFである。特定の実施形態において、カソード活物質は、一般式LiMSiOを有し、Mは、Fe、Co、Mn、Ni、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0209】
特定の実施形態において、カソード活物質は、Co、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Ge、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるドーパントでドープされる。いくつかの実施形態において、ドーパントは、Co、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Ru、Si、またはGeではない。特定の実施形態において、ドーパントは、Al、Sn、またはZrではない。
【0210】
いくつかの実施形態において、カソード活物質は、LiNi0.33Mn0.33Co0.33(NMC333)、LiNi0.4Mn0.4Co0.2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2(NMC532)、LiNi0.6Mn0.2Co0.2(NMC622)、LiNi0.7Mn0.15Co0.15、LiNi0.7Mn0.1Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)、LiNi0.92Mn0.04Co0.04、LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)、LiNiO(LNO)、およびそれらの組み合わせである。
【0211】
他の実施形態において、カソード活物質は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、またはLiMnOではない。さらなる実施形態において、カソード活物質は、LiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiNi0.4Mn0.4Co0.2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2、LiNi0.7Mn0.15Co0.15、LiNi0.7Mn0.1Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.92Mn0.04Co0.04、またはLiNi0.8Co0.15Al0.05ではない。
【0212】
特定の実施形態において、カソード活物質は、コアおよびシェル構造を有するコア-シェル複合体を含む、またはコア-シェル複合体であり、コアおよびシェルは、それぞれ独立して、Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiCrO、LiTi12、LiV、LiTiS、LiMoS、LiCoNi、LiMnNi、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるリチウム遷移金属酸化物を含み;ここで、-0.2≦x≦0.2、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、およびa+b+c≦1である。特定の実施形態において、上記一般式中の各xは、独立して、-0.2、-0.175、-0.15、-0.125、-0.1、-0.075、-0.05、-0.025、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175および0.2から選択され;上記一般式中の各aは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95および0.975から選択され;上記一般式中の各bは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95および0.975から選択され;上記一般式中の各cは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、および0.975から選択される。いくつかの実施形態において、上記一般式中の各x、a、bおよびcは、独立して、0.01の間隔を有する。他の実施形態において、コアおよびシェルは、それぞれ独立して、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物を含む。いくつかの実施形態において、コアまたはシェルの一方は、1つのリチウム遷移金属酸化物のみを含み、他方は、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物を含む。コアおよびシェル中のリチウム遷移金属酸化物または酸化物は、同じであってもよく、またはそれらは異なっても、または部分的に異なってもよい。いくつかの実施形態において、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物は、コアに均一に分布している。特定の実施形態において、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物は、コアに均一に分布していない。いくつかの実施形態において、カソード活物質は、コア-シェル複合体ではない。
【0213】
いくつかの実施形態において、コアおよびシェル中のリチウム遷移金属酸化物の各々は、独立して、Co、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Ge、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるドーパントでドープされる。特定の実施形態において、コアおよびシェルはそれぞれ独立して、2つ以上のドープされたリチウム遷移金属酸化物を含む。いくつかの実施形態において、2つ以上のドープされたリチウム遷移金属酸化物は、コアおよび/またはシェルに均一に分布している。特定の実施形態において、2つ以上のドープされたリチウム遷移金属酸化物は、コアおよび/またはシェルに均一に分布していない。
【0214】
いくつかの実施形態において、カソード活物質は、リチウム遷移金属酸化物を含むコアおよび遷移金属酸化物を含むシェルを含むコア-シェル複合体を含む、またはコア-シェル複合体である。特定の実施形態において、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiCrO、LiTi12、LiV、LiTiS、LiMoS、LiCoNi、LiMnNi、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され;-0.2≦x≦0.2、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、およびa+b+c≦1である。特定の実施形態において、上記一般式中のxは、独立して、-0.2、-0.175、-0.15、-0.125、-0.1、-0.075、-0.05、-0.025、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175および0.2から選択され;上記一般式の各aは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95および0.975から選択され;上記一般式中の各bは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95および0.975から選択され;上記一般式中の各cは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、および0.975から選択される。いくつかの実施形態において、上記一般式中の各x、a、bおよびcは、独立して、0.01の間隔を有する。いくつかの実施形態において、遷移金属酸化物は、Fe、MnO、Al、MgO、ZnO、TiO、La、CeO、SnO、ZrO、RuO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、シェルは、リチウム遷移金属酸化物および遷移金属酸化物を含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、コアの直径は、約1μm~約15μm、約3μm~約15μm、約3μm~約10μm、約5μm~約10μm、約5μm~約45μm、約5μm~約35μm、約5μm~約25μm、約10μm~約45μm、約10μm~約40μm、または約10μm~約35μm、約10μm~約25μm、約15μm~約45μm、約15μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約35μm、または約20μm~約30μmである。特定の実施形態において、シェルの厚さは、約1μm~約45μm、約1μm~約35μm、約1μm~約25μm、約1μm~約15μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、約3μm~約15μm、約3μm~約10μm、約5μm~約10μm、約10μm~約35μm、約10μm~約20μm、約15μm~約30μm、約15μm~約25μm、または約20μm~約35μmである。特定の実施形態において、コアおよびシェルの直径または厚さの比は、15:85~85:15、25:75~75:25、30:70~70:30、または40:60~60:40の範囲内である。特定の実施形態において、コアおよびシェルの体積または重量比は、95:5、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、または30:70である。
【0216】
いくつかの実施形態において、電極活物質はアノード活物質であり、アノード活物質は、天然黒鉛微粒子、合成黒鉛微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、LiTi12微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0217】
特定の実施形態において、アノード活物質は、金属元素または非金属元素でドープされる。いくつかの実施形態において、金属元素は、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ruおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、非金属元素は、B、Si、Ge、N、P、F、S、Cl、I、Se、およびそれらの組み合わせである。
【0218】
いくつかの実施形態において、アノード活物質は、コアおよびシェル構造を有するコア-シェル複合体を含む、またはコア-シェル複合体であり、コアおよびシェルは、それぞれ独立して、天然黒鉛微粒子、合成黒鉛微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、LiTi12微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0219】
特定の実施形態において、コア-シェル複合体は、炭素質材料を含むコアおよび炭素質材料コアを被覆するシェルを含む。いくつかの実施形態において、炭素質材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、天然黒鉛微粒子、合成黒鉛微粒子、メソカーボンマイクロビーズ、キッシュ黒鉛、熱分解カーボン、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系のカーボンファイバー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、シェルは、天然黒鉛微粒子、合成黒鉛微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、LiTi12微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0220】
特定の実施形態において、アノード活物質は、金属元素または非金属元素でドープされない。いくつかの実施形態において、アノード活物質は、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、B、Si、Ge、N、P、F、S、Cl、I、またはSeをドープされない。
【0221】
いくつかの実施形態において、電極層は、電極特性を向上させるための他の添加剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、添加剤は、導電剤、界面活性剤、分散剤、および柔軟性向上添加剤を含んでもよい。
【0222】
他の実施形態において、電極層は、導電剤をさらに含む。導電剤は、電極の導電性を高めるためのものである。任意の適切な材料が導電剤として作用することができる。いくつかの実施形態において、導電剤は炭素質材料である。いくつかの非限定的な例として、炭素、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、黒鉛化炭素フレーク、カーボンチューブ、活性炭、Super P(登録商標)、0次元KS6、1次元蒸気成長炭素繊維(VGCF)、メソポーラスカーボンおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0223】
本発明で適用されるポリマーバインダーは、集電体に対して強い粘着力を示す。ポリマーバインダーが集電体に対して良好な粘着強度を有することは、電池電極の作製において電極層の集電体への結合力を促進し、分離を防止し、電極の機械的安定性を向上させるために重要である。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーと集電体との間の粘着強度は、約2N/cm~約6N/cm、約2N/cm~約5.8N/cm、約2N/cm~約5.6N/cm、約2N/cm~約5.4N/cm、約2N/cm~約5.2N/cm、約2N/cm~約5N/cm、約2N/cm~約4.8N/cm、約2N/cm~約4.6N/cm、約2N/cm~約4.4N/cm、約2N/cm~約4.2N/cm、約2N/cm~約4N/cm、約2N/cm~約3.9N/cm、約2N/cm~約3.8N/cm、約2N/cm~約3.7N/cm、約2N/cm~約3.6N/cm、約2N/cm~約3.5N/cm、約2N/cm~約3.4N/cm、約2N/cm~約3.3N/cm、約2N/cm~約3.2N/cm、約2N/cm~約3.1N/cm、約2N/cm~約3N/cm、約2.1N/cm~約6N/cm、約2.2N/cm~約6N/cm、約2.3N/cm~約6N/cm、約2.4N/cm~約6N/cm、約2.5N/cm~約6N/cm、約2.6N/cm~約6N/cm、約2.7N/cm~約6N/cm、約2.8N/cm~約6N/cm、約2.9N/cm~約6N/cm、約3N/cm~約6N/cm、約3.1N/cm~約6N/cm、約3.2N/cm~約6N/cm、約3.3N/cm~約6N/cm、約3.4N/cm~約6N/cm、約3.5N/cm~約6N/cm、約3.5N/cm~約6N/cm、約3.6N/cm~約6N/cm、約3.7N/cm~約6N/cm、約3.8N/cm~約6N/cm、約3.9N/cm~約6N/cm、約4N/cm~約6N/cm、約2.5N/cm~約5.5N/cm、約2.5N/cm~約5N/cm、約2.5N/cm~約4.5N/cm、約2.5N/cm~約4N/cm、約2.5N/cm~約3.5N/cm、約3N/cm~約5N/cm、約2.2N/cm~約4.2N/cmまたは約2.2N/cm~約5.2N/cmである。
【0224】
いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーと集電体との間の粘着強度は、6N/cm未満、5.8N/cm未満、5.6N/cm未満、5.4N/cm未満、5.2N/cm未満、5N/cm未満、4.8N/cm未満、4.6N/cm未満、4.4N/cm未満、4.2N/cm未満、4N/cm未満、3.9N/cm未満、3.8N/cm未満、3.7N/cm未満、3.6N/cm未満、3.5N/cm未満、3.4N/cm未満、3.3N/cm未満、3.2N/cm未満、3.1N/cm未満、3N/cm未満、2.9N/cm未満、2.8N/cm未満、2.7N/cm未満、2.6N/cm未満、2.5N/cm未満、2.4N/cm未満、2.3N/cm未満または2.2N/cm未満である。いくつかの実施形態において、ポリマーバインダーと集電体との間の粘着強度は、2N/cmを超え、2.1N/cmを超え、2.2N/cmを超え、2.3N/cmを超え、2.4N/cmを超え、2.5N/cmを超え、2.6N/cmを超え、2.7N/cmを超え、2.8N/cmを超え、2.9N/cmを超え、3N/cmを超え、3.1N/cmを超え、3.2N/cmを超え、3.3N/cmを超え、3.4N/cmを超え、3.5N/cmを超え、3.6N/cmを超え、3.7N/cmを超え、3.8N/cmを超え、3.9N/cmを超え、4N/cmを超え、4.2N/cmを超え、4.4N/cmを超え、4.6N/cmを超え、4.8N/cmを超え、5N/cmを超え、5.2N/cmを超え、5.4N/cmを超え、5.6N/cmを超えまたは5.8N/cmを超える。
【0225】
また、本発明で適用されるポリマーバインダーは、電極において、電極層の集電体への強い粘着力を発現させることができる。電極層が集電体に対して良好な剥離強度を有することは、電極の機械的安定性および電池のサイクル性に大きく影響するため、重要である。したがって、電極は、電池製造の厳しさに耐えるために十分な剥離強度を有することが望ましい。
【0226】
いくつかの実施形態において、集電体と電極層との間の剥離強度は、約1.0N/cm~約8.0N/cm、約1.0N/cm~約6.0N/cm、約1.0N/cm~約5.0N/cm、約1.0N/cm~約4.0N/cm、約1.0N/cm~約3.0N/cm、約1.0N/cm~約2.5N/cm、約1.0N/cm~約2.0N/cm、約1.2N/cm~約3.0N/cm、約1.2N/cm~約2.5N/cm、約1.2N/cm~約2.0N/cm、約1.5N/cm~約3.0N/cm、約1.5N/cm~約2.5N/cm、約1.5N/cm~約2.0N/cm、約1.8N/cm~約3.0N/cm、約1.8N/cm~約2.5N/cm、約2.0N/cm~約6.0N/cm、約2.0N/cm~約5.0N/cm、約2.0N/cm~約3.0N/cm、約2.0N/cm~約2.5N/cm、約2.2N/cm~約3.0N/cm、約2.5N/cm~約3.0N/cm、約3.0N/cm~約8.0N/cm、約3.0N/cm~約6.0N/cm、または約4.0N/cm~約6.0N/cmの範囲である。
【0227】
いくつかの実施形態において、集電体と電極層との間の剥離強度は、1.0N/cm以上、1.2N/cm以上、1.5N/cm以上、2.0N/cm以上、2.2N/cm以上、2.5N/cm以上、3.0N/cm以上、3.5N/cm以上、4.5N/cm以上、5.0N/cm以上、5.5N/cm以上、6.0N/cm以上、6.5N/cm以上、7.0N/cm以上または7.5N/cm以上である。いくつかの実施形態において、集電体と電極層との間の剥離強度は、8.0N/cm未満、7.5N/cm未満、7.0N/cm未満、6.5N/cm未満、6.0N/cm未満、5.5N/cm未満、5.0N/cm未満、4.5N/cm未満、4.0N/cm未満、3.5N/cm未満、3.0N/cm未満、2.8N/cm未満、2.5N/cm未満、2.2N/cm未満、2.0N/cm未満、1.8N/cm未満、または1.5N/cm未満である。
【0228】
いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の表面密度は、独立して、約1mg/cm~約40mg/cm、約1mg/cm~約35mg/cm、約1mg/cm~約30mg/cm、約1mg/cm~約25mg/cm、約1mg/cm~約15mg/cm、約3mg/cm~約40mg/cm、約3mg/cm~約35mg/cm、約3mg/cm~約30mg/cm、約3mg/cm~約25mg/cm、約3mg/cm~約20mg/cm、約3mg/cm~約15mg/cm、約5mg/cm~約40mg/cm、約5mg/cm~約35mg/cm、約5mg/cm~約30mg/cm、約5mg/cm~約25mg/cm、約5mg/cm~約20mg/cm、約5mg/cm~約15mg/cm、約8mg/cm~約40mg/cm、約8mg/cm~約35mg/cm、約8mg/cm~約30mg/cm、約8mg/cm~約25mg/cm、約8mg/cm~約20mg/cm、約10mg/cm~約40mg/cm、約10mg/cm~約35mg/cm、約10mg/cm~約30mg/cm、約10mg/cm~約25mg/cm、約10mg/cm~約20mg/cm、約15mg/cm~約40mg/cm、または約20mg/cm~約40mg/cmである。
【0229】
いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の表面密度は、独立して、40mg/cm未満、36mg/cm未満、32mg/cm未満、28mg/cm未満、24mg/cm未満、20mg/cm未満、16mg/cm未満、12mg/cm未満、8mg/cm未満または4mg/cm未満である。いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の表面密度は、独立して、1mg/cmを超え、4mg/cmを超え、8mg/cmを超え、12mg/cmを超え、16mg/cmを超え、20mg/cmを超え、24mg/cmを超え、28mg/cmを超え、32mg/cmを超えまたは36mg/cmを超える。
【0230】
いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の密度は、独立して、約0.5g/cm~約6.5g/cm、約0.5g/cm~約6.0g/cm、約0.5g/cm~約5.5g/cm、約0.5g/cm~約5.0g/cm、約0.5g/cm~約4.5g/cm、約0.5g/cm~約4.0g/cm、約0.5g/cm~約3.5g/cm、約0.5g/cm~約3.0g/cm、約0.5g/cm~約2.5g/cm、約1.0g/cm~約6.5g/cm、約1.0g/cm~約5.5g/cm、約1.0g/cm~約4.5g/cm、約1.0g/cm~約3.5g/cm、約2.0g/cm~約6.5g/cm、約2.0g/cm~約5.5g/cm、約2.0g/cm~約4.5g/cm、約3.0g/cm~約6.5g/cmまたは約3.0g/cm~約6.0g/cmである。
【0231】
いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の密度は、独立して、6.5g/cm未満、6.0g/cm未満、5.5g/cm未満、5.0g/cm未満、4.5g/cm未満、4.0g/cm未満、3.5g/cm未満、3.0g/cm未満、2.5g/cm未満、2.0g/cm未満、1.5g/cm未満または0.5g/cm未満である。いくつかの実施形態において、カソード電極層およびアノード電極層の各々の密度は、独立して、0.5g/cmを超え、1.0g/cmを超え、1.5g/cmを超え、2.0g/cmを超え、2.5g/cmを超え、3.0g/cmを超え、3.5g/cmを超え、4.0g/cmを超え、4.5g/cmを超え、5.0g/cmを超え、5.5g/cmを超えまたは6.0g/cmを超える。
【0232】
いくつかの実施形態において、電極の剥離を達成するために電極が剥離液に浸される際、電極の剥離液に対する重量比は、約0.01%~約5%、約0.01%~約4.8%、約0.01%~約4.6%、約0.01%~約4.4%、約0.01%~約4.2%、約0.01%~約4%、約0.01%~約3.8%、約0.01%~約3.6%、約0.01%~約3.4%、約0.01%~約3.2%、約0.01%~約3%、約0.01%~約2.8%、約0.01%~約2.6%、約0.01%~約2.4%、約0.01%~約2.2%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1.9%、約0.01%~約1.8%、約0.01%~約1.7%、約0.01%~約1.6%、約0.01%~約1.5%、約0.01%~約1.4%、約0.01%~約1.3%、約0.01%~約1.2%、約0.01%~約1.1%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.9%、約0.01%~約0.8%、約0.1%~約5%、約0.1%~約4.5%、約0.1%~4%、約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.9%、約0.1%~約1.8%、約0.1%~約1.7%、約0.1%~約1.6%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1.4%、約0.1%~約1.3%、約0.1%~約1.2%、約0.1%~約1.1%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.9%、約0.1%~約0.8%、約0.2%~約5%、約0.2%~約4.5%、約0.2%~約4%、約0.2%~約3.5%、約0.2%~約3%、約0.2%~約2.5%、約0.2%~約2%、約0.2%~約1.9%、約0.2%~約1.8%、約0.2%~約1.7%、約0.2%~約1.6%、約0.2%~約1.5%、約0.2%~約1.4%、約0.2%~約1.3%、約0.2%~約1.2%、約0.2%~約1.1%、約0.2%~約1%、約0.2%~約0.9%、約0.2%~約0.8%、約0.3%~約4%、約0.3%~約3%、約0.3%~約1.5%、約0.3%~約1%または約0.3%~約0.8%の範囲である。
【0233】
いくつかの実施形態において、電極の剥離を達成するために電極が剥離液へ浸漬される際、剥離液に対する電極の重量比は、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満、1.2%未満、1.1%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満または0.05%未満である。いくつかの実施形態において、電極の剥離を達成するために電極が剥離液へ浸漬される際、剥離液に対する電極の重量比は、0.01%を超え、0.05%を超え、0.1%を超え、0.2%を超え、0.3%を超え、0.4%を超え、0.5%を超え、0.6%を超え、0.7%を超え、0.8%を超え、0.9%を超え、1%を超え、1.1%を超え、1.2%を超え、1.3%を超え、1.4%を超え、1.5%を超え、1.6%を超え、1.7%を超え、1.8%を超え、1.9%、2%を超え、2.5%を超え、3%を超え、3.5%を超え、4%を超えまたは4.5%を超える。
【0234】
水性ポリマーバインダーを含む電極の剥離における本発明の方法の利用であって、ポリマーバインダーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位(a)を含むコポリマーを含み、100%の剥離成功率および格別に高い回収率(>95%)をもたらす。
【0235】
いくつかの実施形態において、電極の剥離は、電極層-集電体界面に沿って発生する。剥離成功率は、集電体からの電極層の剥離の程度を指し、目視検査によって観察されたものである。電極層が集電体から完全に剥離し、集電体上に残っている電極層の可視の付着物がない本発明の場合、剥離成功率は100%である。それ以外の場合、つまり電極層が集電体から剥離していない場合または電極層が集電体から部分的に剥離して集電体上に残っている電極層の可視の付着物がある場合は、剥離が不完全または不成功とみなされ、剥離成功率は決定できない。
【0236】
回収率とは、剥離液へ浸漬する前の電極の初期重量に基づく、回収された電極層および集電体の重量の和の割合を指す。回収率は、電極が完全に剥離し、集電体上に残っている電極層の可視の付着物がない場合(すなわち、100%剥離成功率)にのみ算出できる。これは電極中の貴重な金属材料の腐食の程度、および/または貴重な金属材料の剥離液への溶解の程度の現れとして機能する。本明細書で開示される本方法で高い回収率が得られることは、電極金属成分の腐食または電極金属成分の剥離液への溶解は無視できる程度であることを示す。
【0237】
電極の浸漬のため低濃度の剥離剤を使用することは、電極層内のポリマーバインダーと集電体表面との間の相互作用を乱すことによって電極の完全な剥離を達成するのに十分であるだけではなく、集電体、電極活物質および他の電極金属成分の腐食の可能性を減少させる。図7は、両面被覆カソードを2.00重量%濃度のクエン酸およびDI水を含む剥離液へ浸漬した後の、回収された比較例11のカソード層および集電体を示す。カソード層はアルミニウム集電体から剥離し、カソード層のわずかな一部が集電体上に付着したままである。また、薄片状のカソード層および腐食したアルミ箔表面は、2.00重量%の高濃度のクエン酸が、カソード活物質の溶解および集電体の腐食を誘発していることを示す。
【0238】
本発明は、使用されるポリマーバインダーの組成の違いを考慮し、集電体から電極層を剥離するために使用できる簡便な方法を提供する。電極層と集電体との分離は、電池のリサイクルにおける重要な工程を構成するため、本明細書に開示された方法は、電池のリサイクルにおける需要を満たす上で技術的な解決策を提示する。本発明の方法は、複雑な分離プロセスおよび集電体の汚染の両方を回避し、優れた材料回収(すなわち、高い回収率)を可能にする。
【0239】
本発明で開示される方法は、下層の集電体を損傷することなく、電池中の集電体から電極層を剥離するのに必要な時間を大幅に短縮する。電極と弱酸含有剥離液との接触時間が短くなれば、集電体および電極活物質および金属で構成される他の電極構成物の腐食を回避できる可能性がある。例えば、アルミニウム集電体を含む電極が弱酸含有剥離液に浸漬された場合、より短い接触時間は、アルミニウム集電体の表面に形成された自然酸化層に腐食に対する十分な保護を達成させる。
【0240】
また、本発明において、強酸ではなく弱酸を剥離剤として使用することによって、電極金属成分の腐食および溶解傾向を大幅に低減することができる。下記の表2は、剥離後のカソード成分、並びにそれに伴う(1)(実施例15に示すように)カソード活物質としてLCO、集電体としてアルミニウム、剥離剤として0.50重量%濃度のクエン酸を用いる、および(2)(比較例8に示すように)カソード活物質としてNMC532、集電体としてアルミニウム、剥離剤として濃度0.50重量%の硫酸を用いる2種類の異なる剥離準備の剥離液の誘導結合プラズマ(ICP)質量分析データを示す。データは、剥離剤として(弱酸である)クエン酸を用いた場合、剥離液中でカソード層からのリチウム(Li)およびコバルト(Co)、集電体からのアルミニウム(Al)の溶解が著しく少ないことを明らかにし、弱酸がカソード活物質および集電体の腐食および溶解の程度を低減することを示す。一方、(強酸である)硫酸を剥離剤として用いた場合、カソード層からの多量のLi、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、およびCo、ならびに集電体から不当に多量のAlが剥離液中に溶解し、強酸がカソード活物質および集電体の腐食および溶解を著しく促進することを示す。
【0241】
図8は、両面被覆カソードを、0.50重量%濃度の硫酸およびDI水を含む剥離液へ浸漬した後の、回収された比較例8のカソード層および集電体を示す。カソード層は、アルミニウム集電体から剥離する。しかし、薄片状のカソード層および腐食したアルミ箔表面は、硫酸(強酸)がカソード活物質の溶解および集電体の腐食を誘発することを示す。
【0242】
図9は、両面被覆カソードを、酸濃度3.00重量%のクエン酸および硫酸ならびにDI水を含む剥離液への浸漬した後の、回収された比較例16のカソード層および集電体を示す。カソード層の大部分はアルミニウム集電体から剥離し、カソード層のごく一部は集電体上に付着したままである。また、薄片状のカソード層および腐食したアルミ箔表面は、クエン酸(弱酸)と硫酸(強酸)とを併用することが、カソード活物質の溶解および集電体の腐食を誘発することを示す。
【0243】
本発明の方法は、包装材料を剥離液へ浸漬することによって包装材料の剥離を達成するためにも適用でき;包装材料は、金属と、金属の片面または両面上に被覆した、ポリマーバインダーを含むコーティング層とを含み;ポリマーバインダーは、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含む。
【0244】
コーティング層は、金属、プラスチック、紙、場合によってはボール紙を含むことができる。金属およびコーティング層は、包装材料を弱酸含有剥離溶液で処理することにより、互いに分離される。本明細書に開示される方法は、包装に使用される個々の材料成分の回収およびリサイクルをもたらすために、広範囲の包装材料、特に食品包装および飲料包装の剥離に利用され得る。
【0245】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提示されるが、本発明を示された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。反対に示されない限り、すべての部およびパーセンテージは重量である。すべての数値は概算である。数値範囲が与えられている場合、記載された範囲外の実施形態は依然として本発明の範囲内に入り得ることを理解されたい。各実施例に記載された特定の詳細は、本発明の必要な特徴として解釈されるべきではない。
【0246】
(例)
処理した電極剥離液混合物のpH値を、電極式pH計(ION2700、Eutech Instruments)で測定した。
【0247】
回収率とは、剥離液へ浸漬する前の電極の初期重量に基づく、回収した電極層と集電体との重量の和の割合を指す。
【0248】
剥離成功率は、電極層の集電体からの剥離の程度を指し、目視検査によって観察したものである。
【0249】
乾燥したポリマーバインダー層の粘着強度を、引張試験機(DZ-106A、Dongguan Zonhow Test Equipment Co.Ltd.、中国から入手)で測定した。この試験は、集電体からポリマーバインダー層を180°の角度で剥離するために必要な平均の力をニュートンで測定する。集電体の平均粗さ深さ(Rz)は2μmである。集電体にポリマーバインダーを塗布し、乾燥させて、厚さ10μm~12μmのポリマーバインダー層を得た。次に、塗布した集電体を25℃、湿度50~60%の定温環境に30分間置いた。ポリマーバインダー層の表面に、幅18mm、長さ20mmの粘着テープの片(3M;米国、モデル番号810)を貼り付けた。ポリマーバインダー片を試験機にはさみ、テープをそれ自体の上に180度で折り返し、可動ジョーに入れ、室温で、毎分300mmの剥離速度で引っ張った。測定した最大剥離力を粘着強度とした。測定を3回繰り返し、平均値を求めた。
【0250】
乾燥した電極層の剥離強度を、引張試験機(DZ-106A、Dongguan Zonhow Test Equipment Co.Ltd.、中国から入手)で測定した。この試験は、集電体から電極層を180°の角度で剥離するのに必要な平均の力をニュートンで測定する。集電体の平均粗さ深さ(Rz)は2μmである。カソード電極層の表面に、幅18mm、長さ20mmの帯状の粘着テープ片(3M;米国;モデル番号810)を貼り付けた。このカソード片を試験機にはさみ、テープをそれ自体の上に180度で折り返し、可動式ジョーに入れ、室温で、毎分200mmの剥離速度で引っ張った。測定した最大剥離力を剥離強度とした。測定を3回繰り返し、平均値を求めた。
【0251】
(実施例1)
パウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
A)ポリマーバインダーの調製
蒸留水380gを含む丸底フラスコに、水酸化ナトリウム(NaOH)16gを添加した。混合物を80rpmで30分間撹拌し、第1の懸濁液を得た。
【0252】
36.04gのアクリル酸(AA)を第1の懸濁液に添加した。混合物をさらに80rpmで30分間攪拌し、第2の懸濁液を得た。
【0253】
19.04gのアクリルアミド(AM)を10gのDI水に溶解し、AM溶液を調製した。その後、29.04gのAM溶液を第2の懸濁液に添加した。混合物をさらに55℃に加熱し、80rpmで45分間撹拌し、第3の懸濁液を得た。
【0254】
12.92gのアクリロニトリル(AN)を第3の懸濁液に添加した。混合物をさらに80rpmで10分間攪拌し、第4の懸濁液を得た。
【0255】
さらに、0.015gの水溶性フリーラジカル開始剤(過硫酸アンモニウム、APS;Aladdin Industries Corporation、中国から入手)を3gのDI水に溶解し、0.0075gの還元剤(亜硫酸水素ナトリウム;Tianjin Damao Chemical Reagent Factory、中国から入手)を1.5gのDI水に溶解した。3.015gのAPS溶液、および1.5075gの亜硫酸水素ナトリウム溶液を第4の懸濁液に添加した。混合物を200rpm、55℃で、24時間撹拌し、第5の懸濁液を得た。
【0256】
完全に反応した後、第5の懸濁液の温度を25℃に下げた。3.72gのNaOHを400gのDI水に溶解した。その後、403.72gの水酸化ナトリウム溶液を第5の懸濁液に1時間かけて滴下し、pHを7.31に調整し、第6の懸濁液を調製した。200μmのナイロンメッシュを用いた濾過により、ポリマーバインダーを調製した。ポリマーバインダーの固形分は9.00重量%であった。ポリマーバインダーと集電体との間の粘着強度は3.27N/cmであった。実施例1のポリマーバインダーの成分、およびそれらの各割合を、以下の表1に示す。
【0257】
B)正極の調製
導電剤(Super P(登録商標);Timcal Ltd、ボーディオ、スイスより入手)12gと、ポリマーバインダー100g(固形分9.00重量%)とをオーバーヘッドスターラー(R20、IKA)を用いて撹拌しながら脱イオン水74g中に分散させることによって、第1の混合物を調製した。添加後、25℃で約30分間、1,200rpmの速度で第1の混合物をさらに攪拌した。
【0258】
その後、NMC532(Shandong Tianjiao New Energy Co.,Ltd、中国から入手)276gを、25℃で、オーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、第1の混合物中に添加し、第2の混合物を調製した。次いで、第2の混合物を約10kPaの圧力下で1時間脱気した。次いで、第2の混合物を25℃で約60分間、1,200rpmの速度でさらに撹拌し、均質化したカソードスラリーを調製した。
【0259】
均質化したカソードスラリーを、集電体である16μmの厚さを有するアルミニウム箔の両面に、ドクターブレードコーターを用いて、ギャップ幅120μmで塗布した。アルミニウム箔上に塗布した80μmのスラリーを、電熱炉によって70℃で乾燥させ、カソード電極層を作製した。乾燥時間は約10分であった。次いで、電極をプレスしてカソード電極層の厚さを34μmまで減少させた。集電体上のカソード電極層の表面密度は、15.00mg/cmであった。
【0260】
C)負極の調製
黒鉛(BTR New Energy Materials Inc.、Shenzhen、広東、中国)93重量%を、1重量%カルボキシメチルセルロース(CMC、BSH-12、DKS Co. Ltd.、日本)およびバインダーである3重量%SBR(AL-2001、NIPPON A&L INC.、日本)、および導電助剤である3重量%カーボンブラックと、脱イオン水中で混合して負極スラリーを調製した。アノードスラリーの固形分は51.5重量%であった。スラリーを8μmの厚さを有する銅箔の両面にドクターブレードを用いて約120μmのギャップ幅で塗布した。銅箔上に塗布したスラリーを熱風乾燥機により約50℃で2.4分間乾燥させ、負極を得た。次いで、電極をプレスしてアノード電極層の厚さを60μmに減少させ、アノード電極層の表面密度を10mg/cmとした。
【0261】
D)パウチ型電池の組み立て
乾燥後、得られたカソードコーティングおよびアノードコーティングを用いて、5.2cm×8.5cmおよび5.4cm×8.7cmの大きさの長方形の片に切断することで、カソードシートおよびアノードシートをそれぞれ作製した。カソードシートおよびアノードシートを交互に重ね、25μmの厚さを有する多孔質ポリエチレンセパレータ(Celgard,LLC、米国)で仕切って、パウチ型電池を調製した。電解液は、LiPF(1M)を、体積比1:1:1のエチレンカルボナート(EC)、エチルメチルカルボナート(EMC)およびジメチルカルボナート(DMC)の混合液に溶解させたものを用いた。水分および酸素の含有量が<1ppmの高純度アルゴン雰囲気中で、セルを組み立てた。電解液を充填した後、パウチセルを真空封止し、次いで、標準形状のパンチ器具を使用して機械的にプレスした。
【0262】
次いで、組み立てたパウチ型電池を、実際の使用パターンを模して、3.0V~4.2Vで1Cの定電流レートでの繰り返し充放電サイクルに供した。実セル容量は約5Ahであった。800サイクル後、公称容量は初期定格容量の80%未満に低下した。
【0263】
電池のリサイクル
A)パウチ型電池の放電および分解
使用したリチウムイオン電池(0.5kg)を、6%NaCl溶液に12時間浸漬することによって、完全に放電させた。放電後、リチウムイオン電池を機械的に分解し、電極を回収した。電極を、約2cm~約4cmの平均長さを有する小片に切断した。
【0264】
B)剥離液の調製
無水クエン酸(Sigma-Aldrich、米国)9.8gをDI水990.2gに添加し、0.98重量%のクエン酸濃度の剥離液を調製した。
【0265】
C)カソードの剥離液への浸漬
カソード5.07gを、50℃で、40分間、1000gの剥離液が入った容器に入れた。カソード層をアルミニウム箔から剥離した。処理した電極-剥離液混合液は、pH値が2.05である。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層とアルミ箔とを大気圧下、80℃、5時間、オーブンで乾燥させ、96.8%の回収率を得た。剥離成功率および剥離後のカソード成分の回収率を測定し、以下の表1に示す。
【0266】
実施例2~4のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
実施例1に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例1と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0267】
実施例2の電池のリサイクル
A)パウチ型電池の放電および分解
使用したリチウムイオン電池(0.5kg)を、6%NaCl溶液に12時間浸漬することによって、完全に放電させた。放電後、リチウムイオン電池を機械的に分解し、電極を回収した。電極を、約2cm~約4cmの平均長さを有する小片に切断した。
【0268】
B)剥離液の調製
995gのDI水に5gの無水クエン酸(Sigma-Aldrich、米国)を添加し、クエン酸濃度0.50重量%の剥離液を調製した。
【0269】
C)カソードの剥離液への浸漬
カソード5.08gを、50℃で、50分間、剥離液1000gの入った容器に入れた。アルミニウム箔からカソード層を剥離した。処理した電極-剥離液混合液のpH値は2.30である。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層およびアルミ箔を大気圧下、80℃、5時間、オーブンで乾燥し、99.4%の回収率を得た。
【0270】
補足として、パウチ型フルリチウムイオン電池を実施例2と同様の方法で組み立ておよびサイクルし、中に含まれるカソードをリサイクル中に50℃で3分間剥離液に浸漬していた。カソード層を、アルミニウム箔から剥離した。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層およびアルミニウム箔を、大気圧下、80℃で5時間オーブンで乾燥し、99.2%の回収率を得た。
【0271】
実施例3の電池のリサイクル
A)パウチ型電池の放電および分解
使用したリチウムイオン電池(0.5kg)を、6%NaCl水溶液に12時間浸漬することによって、完全に放電させた。放電後、リチウムイオン電池を機械的に分解し、電極を回収した。電極を、約2cm~約4cmの平均長さを有する小片に切断した。
【0272】
B)剥離液の調製
DI水997.5gに無水クエン酸2.5g(Sigma-Aldrich、米国)を添加し、クエン酸濃度0.25重量%の剥離液を調製した。
【0273】
C)カソードの剥離液への浸漬
カソード5.08gを、50℃で、60分間、剥離液1000gの入った容器に入れた。カソード層をアルミニウム箔から剥離した。処理した電極-剥離液混合液のpH値は2.46である。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層およびアルミニウム箔を大気圧下、80℃で5時間、オーブンで乾燥させ、96.5%の回収率を得た。
【0274】
実施例4の電池のリサイクル
A)パウチ型電池の放電および分解
使用したリチウムイオン電池(0.5kg)を、6%NaCl溶液に12時間浸漬することによって、完全に放電させた。放電後、リチウムイオン電池を機械的に分解し、電極を回収した。電極を、約2cm~約4cmの平均長さを有する小片に切断した。
【0275】
B)剥離液の調製
DI水999gに無水クエン酸1g(Sigma-Aldrich、米国)を添加し、クエン酸濃度0.01重量%の剥離液を調製した。
【0276】
C)カソードの剥離液への浸漬
カソード5.07gを、50℃で、70分間、剥離液1000gの入った容器に入れた。カソード層をアルミニウム箔から剥離した。処理した電極-剥離液混合液のpH値は2.62である。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層およびアルミニウム箔を大気圧下、80℃で5時間、オーブンで乾燥させ、96.6%の回収率を得た。
【0277】
実施例5~14のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン二次電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0278】
実施例5の電池のリサイクル
カソードを剥離液に90℃で50分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0279】
実施例6の電池のリサイクル
カソードを剥離液に70℃で50分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0280】
実施例7の電池のリサイクル
カソードを剥離液に25℃、50分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0281】
実施例8の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃、30分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0282】
実施例9の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃、60分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0283】
実施例10の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃、80分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0284】
実施例11の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のブタン二酸に置き換えた以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0285】
実施例12の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のフマル酸に置き換えた以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0286】
実施例13の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のソルビン酸に置き換えた以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0287】
実施例14の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量の安息香酸に置き換えた以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0288】
実施例15のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
276gのNMC532を同重量のLCOに置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0289】
実施例16のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
276gのNMC532を同重量のNMC622(Shandong Tianjiao New Energy Co.,Ltd、中国より入手)に置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0290】
実施例17のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
276gのNMC532を同重量のNMC811(Shandong Tianjiao New Energy Co.,Ltd、中国より入手)に置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0291】
実施例18のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
276gのNMC532を同重量のLFPに置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0292】
実施例15~18の電池のリサイクル
実施例15~18の電池のリサイクルを、実施例2と同様の方法で行った。実施例15の剥離後のカソード成分(すなわち、カソード電極層および集電体)および剥離液のICP質量分析データを、以下の表2に示す。
【0293】
実施例19のパウチ型フルリチウムイオン二次電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で57.80gのAAを添加し、第3の懸濁液の調製でAMを添加せず、第4の懸濁液の調製で10.20gのANを添加した以外は、実施例3に記載の方法でパウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例3と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0294】
実施例19の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃で50分間浸漬したこと以外は、実施例3と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0295】
実施例20
パウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
A)ポリマーバインダーの調製
水酸化リチウム5.13gをDI水3.85gに溶解させた。その後、蒸留水289.17gを含む500mL丸底フラスコに、水酸化リチウム溶液8.98gを添加した。混合物を200rpmで30分間撹拌し、第1の懸濁液を得た。
【0296】
さらに、31.54gのAAを第1の懸濁液に添加した。混合物をさらに200rpmで30分間攪拌し、第2の懸濁液を得た。
【0297】
13.52gのAMを51.67gのDI水に溶解させた。その後、67.65gのAM溶液を第2の懸濁液に添加した。混合物を200rpmで30分間、さらに攪拌し、第3の懸濁液を得た。
【0298】
次いで、67.60gのANを第3の懸濁液に添加した。混合物を200rpmで40分間攪拌することによって、第4の懸濁液を得た。
【0299】
第4の懸濁液を60℃に加熱し、60rpmで45分間攪拌した。0.23gのAPSを82.68gのDI水に溶解し、0.04gの亜硫酸水素ナトリウムを17.22gのDI水に溶解させた。17.26gの亜硫酸水素ナトリウム溶液を第4の懸濁液に添加し、混合物を10分間攪拌した。82.91gのAPS溶液を3時間かけて混合物に滴下し、第5の懸濁液を調製した。第5の懸濁液を200rpmで65℃、20時間、さらに撹拌した。
【0300】
反応終了後、第5の懸濁液の温度を40℃に下げ、(116.64gのDI水に溶解した)5.62gの水酸化リチウムを第5の懸濁液に添加し、pHを7.44に調整し、第6の懸濁液を調製した。第6の懸濁液の温度を30℃に下げ、200μmのナイロンメッシュを用いた濾過により、ポリマーバインダーを調製した。ポリマーバインダーの固形分は14.93重量%であった。ポリマーバインダーと集電体との間の粘着強度は3.41N/cmであった。実施例20のポリマーバインダーの成分、およびそれらの各割合を、以下の表1に示す。
【0301】
B)正極の調製
導電剤(Super P(登録商標);Timcal Ltd、ボーディオ、スイスより入手)12gおよびポリマーバインダー100g(固形分14.93重量%)をオーバーヘッドスターラー(R20、IKA)で撹拌しながら脱イオン水74gに分散させて、第1の混合物を調製した。添加後、第1の混合物を、25℃で約30分間、1,200rpmの速度でさらに攪拌した。
【0302】
その後、オーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、25℃で、第1の混合物中に276gのNMC532を添加し、第2の混合物を調製した。次いで、約10kPaの圧力下で1時間、第2の混合物を脱気した。次いで、第2の混合物を25℃で約60分間、1,200rpmの速度でさらに攪拌し、均質化したカソードスラリーを調製した。
【0303】
均質化したカソードスラリーを、集電体である厚さ16μmのアルミニウム箔の両面に、ドクターブレードコーターを用いて、ギャップ幅120μmで塗布した。アルミニウム箔上に塗布した80μmのスラリーを、電熱式オーブンにより70℃で乾燥させてカソード電極層を作製した。乾燥時間は約10分であった。次いで、電極をプレスしてカソード電極層の厚さを34μmまで減少させた。集電体上のカソード電極層の表面密度は、15.00mg/cmであった。
【0304】
C)負極の作製
黒鉛(BTR New Energy Materials Inc.、Shenzhen、広東、中国)93重量%と、カルボキシメチルセルロース(CMC、BSH-12、DKS Co. Ltd.、日本)1重量%およびバインダーであるSBR(AL-2001、NIPPON A&L INC.、日本)3重量%、および導電助剤であるカーボンブラック3重量%を、脱イオン水中で混合して、負極スラリーを調製した。アノードスラリーの固形分は51.5重量%であった。スラリーを、厚さ8μmの銅箔の両面にドクターブレードを用いてギャップ幅約120μmで塗布した。この銅箔に塗布したスラリーを熱風乾燥機により約50℃で2.4分間乾燥させ、負極を得た。次いで、電極をプレスしてアノード電極層の厚さを60μmに減少させ、アノード電極層の表面密度を10mg/cmとした。
【0305】
D)パウチ型電池の組み立て
乾燥後、得られたカソードコーティングおよびアノードコーティングを用いて、5.2cm×8.5cmおよび5.4cm×8.7cmの大きさの長方形の片に切断して、カソードシートおよびアノードシートをそれぞれ作製した。カソードシートとアノードシートとを交互に重ね、厚さ25μmの多孔質ポリエチレンセパレータ(Celgard、LLC、米国)で仕切って、パウチ型電池を作製した。電解液は、LiPF(1M)を、体積比1:1:1のエチレンカルボナート(EC)、エチルメチルカルボナート(EMC)、ジメチルカルボナート(DMC)の混合液に溶解したものであった。水分および酸素の含有量が<1ppmの高純度アルゴン雰囲気中で、セルを組み立てた。電解液充填後、パウチセルを真空封止し、標準形状のパンチ器具を使用して機械的にプレスした。
【0306】
組み立てたパウチ型電池を、実際の使用パターンを模して、3.0V~4.2Vで1Cの定電流レートでの繰り返し充放電サイクルに供した。実セル容量は約5Ahであった。800サイクル後、公称容量は初期定格容量の80%未満に低下した。
【0307】
電池のリサイクル
A)パウチ型電池の放電および分解
使用したリチウムイオン電池(0.5kg)を6%NaCl水溶液に12時間浸漬し、完全に放電させた。放電後、リチウムイオン電池を機械的に分解し、電極を回収した。電極を、約2cm~約4cmの平均長さを有する小片に切断した。
【0308】
B)剥離液の調製
無水クエン酸(Sigma-Aldrich、米国)9.8gをDI水990.2gに添加し、クエン酸濃度0.98重量%の剥離液を調製した。
【0309】
C)カソードの剥離液への浸漬
カソード5.07gを、50℃、50分間、剥離液1000gの入った容器に入れた。カソード層をアルミニウム箔から剥離した。浸漬後、メッシュ幅4mmの篩を通過させることにより、クエン酸およびDI水を含む剥離液を除去し、カソード層およびアルミニウム箔を回収した。剥離液は、さらに電極の剥離に再利用することが可能であった。回収したカソード層とアルミニウム箔とを大気圧下、80℃、5時間、オーブンで乾燥させ、96.8%の回収率を得た。剥離成功率および剥離後のカソード成分の回収率を測定し、以下の表1に示す。
【0310】
実施例21~22のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
実施例20に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例20と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0311】
実施例21の電池のリサイクル
クエン酸濃度0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに無水クエン酸5gを添加した以外は、実施例20と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0312】
実施例22の電池のリサイクル
クエン酸濃度0.01重量%の剥離液の調製において、DI水999gに無水クエン酸1gを加えた以外は、実施例20と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0313】
実施例23~30のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0314】
実施例23の電池のリサイクル
カソードを剥離液に90℃で50分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0315】
実施例24の電池のリサイクル
カソードを剥離液に40℃、50分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0316】
実施例25の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃、30分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0317】
実施例26の電池のリサイクル
カソードを剥離液に50℃、100分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0318】
実施例27の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のブタン二酸に置き換えたこと以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを行った。
【0319】
実施例28の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のフマル酸に置き換えた以外は、実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを実施した。
【0320】
実施例29の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量のソルビン酸に置き換えた以外は、実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを実施した。
【0321】
実施例30の電池のリサイクル
剥離液の調製において、無水クエン酸5gを同重量の安息香酸に置き換えた以外は、実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを実施した。
【0322】
実施例31のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
276gのNMC532を同重量のLCOに置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0323】
実施例32のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
282gのNMC532を同重量のNMC622に置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0324】
実施例33のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
282gのNMC532を同重量のNMC811に置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。そして、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0325】
実施例34のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
282gのNMC532を同重量のLFPに置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0326】
実施例31~34の電池のリサイクル
実施例31~34の電池のリサイクルは、実施例21と同様の方法で行った。
【0327】
実施例35のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で22.53gのAAを添加し、第3の懸濁液の調製でAMを添加せず、第4の懸濁液の調製で90.13gのANを添加した以外は、実施例21に記載の方法でパウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0328】
実施例35の電池のリサイクル
実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0329】
実施例36のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で36.04gのAAを同重量の2-エチルアクリル酸に置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0330】
実施例36の電池のリサイクル
実施例2と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0331】
実施例37のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で36.04gのAAを同重量のビニルスルホン酸に置き換えた以外は、実施例2に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0332】
実施例37の電池のリサイクル
実施例2と同様にして、電池のリサイクルを行った。
【0333】
実施例38のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で31.54gのAAを同重量の2-エチルアクリル酸に置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0334】
実施例38の電池のリサイクル
実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0335】
実施例39のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、第2の懸濁液の調製で31.54gのAAを同重量のビニルスルホン酸に置き換えた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0336】
実施例39の電池のリサイクル
実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0337】
比較例1のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
A)ポリマーバインダーの調製
ポリフッ化ビニリデン、PVDF(Solef(登録商標)5130、Solvay S.A.、ベルギーから入手)10gを、N-メチル-2-ピロリドン、NMP(≧99%、Sigma-Aldrich、米国)100g中に500rpmで約3時間撹拌しながら分散させ、ポリマーバインダーを調製した。
【0338】
B)正極の調製
オーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、500mLの丸底フラスコ中で、上記ポリマーバインダー110gをNMP150gに分散させ、第1の懸濁液を調製した。添加後、第1の懸濁液を500rpmの速度で約10分間さらに攪拌した。
【0339】
その後、15gのSuper P(登録商標)を第1の懸濁液に添加し、1,200rpmで30分間撹拌し、第2の懸濁液を得た。
【0340】
オーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、225gのNMC532を第2の懸濁液に25℃で分散させ、第3の懸濁液を調製した。次いで、約10kPaの圧力下で1時間、第3の懸濁液を脱気した。第3の懸濁液を25℃で約90分間、1,200rpmの速度でさらに攪拌し、均質化されたカソードスラリーを調製した。
【0341】
均質化したカソードスラリーを、集電体である厚さ16μmのアルミニウム箔の両面に、ドクターブレードコーターを用いて、ギャップ幅120μmで塗布した。アルミニウム箔上に塗布された80μmのスラリーを、電熱式オーブンによって70℃で乾燥させてカソード電極層を作製した。乾燥時間は約10分であった。次いで、電極をプレスして、カソード電極層の厚さを34μmまで減少させた。
【0342】
C)負極の作製
実施例2と同様の方法で、負極を作製した。
【0343】
D)パウチ型電池の組み立て
実施例2と同様の方法で、パウチ型電池を組み立てた。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0344】
比較例1の電池のリサイクル
実施例2と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0345】
比較例2のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
正極の作製において、ポリマーバインダーとしてポリアクリロニトリル(PAN)を用いた以外は、実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0346】
比較例2の電池のリサイクル
実施例21と同様の方法で、電池のリサイクルを行った。
【0347】
比較例3~6のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
実施例21に記載の方法により、パウチ型リチウムイオン電池を作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を、実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0348】
比較例3の電池のリサイクル
硫酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに硫酸30gを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0349】
比較例4の電池のリサイクル
硫酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに硫酸5gを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0350】
比較例5の電池のリサイクル
硫酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに硫酸30gを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0351】
比較例6の電池のリサイクル
硫酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに硫酸5gを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0352】
比較例7~10のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0353】
比較例7の電池のリサイクル
硫酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに硫酸30gを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0354】
比較例8の電池のリサイクル
硫酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに硫酸5gを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。剥離後のカソード成分(すなわち、カソード電極層および集電体)および比較例8の剥離液のICP質量分析データを以下の表2に示す。
【0355】
比較例9の電池のリサイクル
硫酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに硫酸30gを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0356】
比較例10の電池のリサイクル
硫酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに硫酸5gを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0357】
比較例11のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0358】
比較例11の電池のリサイクル
クエン酸濃度が2重量%の剥離液の調製において、DI水980gに無水クエン酸20gを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0359】
比較例12のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例21に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0360】
比較例12の電池のリサイクル
クエン酸濃度が2重量%の剥離液の調製において、DI水980gに無水クエン酸20gを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0361】
比較例13~15のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例21に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0362】
比較例13の電池のリサイクル
酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに無水クエン酸15gと硫酸15gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0363】
比較例14の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに無水クエン酸2.5gと硫酸2.5gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0364】
比較例15の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに無水クエン酸2.5gと硫酸2.5gとを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0365】
比較例16~18のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0366】
比較例16の電池のリサイクル
酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに無水クエン酸15gと硫酸15gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0367】
比較例17の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに無水クエン酸2.5gと硫酸2.5gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0368】
比較例18の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに無水クエン酸2.5gと硫酸2.5gとを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0369】
比較例19~21のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例21に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0370】
比較例19の電池のリサイクル
酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに酢酸10gと無水クエン酸10gと硫酸10gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0371】
比較例20の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに酢酸1.67gと無水クエン酸1.67gと硫酸1.67gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0372】
比較例21の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに酢酸1.67gと無水クエン酸1.67gと硫酸1.67gとを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0373】
比較例22~24のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0374】
比較例22の電池のリサイクル
酸濃度が3重量%の剥離液の調製において、DI水970gに酢酸10gと無水クエン酸10gと硫酸10gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0375】
比較例23の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに酢酸1.67gと無水クエン酸1.67gと硫酸1.67gとを添加し、カソードを剥離液に50℃で10分間浸漬した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0376】
比較例24の電池のリサイクル
酸濃度が0.50重量%の剥離液の調製において、DI水995gに酢酸1.67gと無水クエン酸1.67gと硫酸1.67gとを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0377】
比較例25のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、16.90gのAAを第2の懸濁液の調製時に添加し、AMを第3の懸濁液の調製時に添加せず、95.76gのANを第4の懸濁液の調製時に添加した以外は、パウチ型リチウムイオン電池を実施例21に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0378】
比較例25の電池のリサイクル
実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0379】
比較例26のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例21に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例21と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0380】
比較例26の電池のリサイクル
剥離液の調製において、剥離剤を添加せず、1000gのDI水のみを添加した以外は、実施例21と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0381】
比較例27のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0382】
比較例27の電池のリサイクル
剥離液の調製において、剥離剤を添加せず、1000gのDI水のみを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0383】
比較例28のパウチ型フルリチウムイオン電池の組み立て
ポリマーバインダーの調製において、57.80gのAAを第2の懸濁液の調製時に添加し、AMを第3の懸濁液の調製時に添加せず、10.20gのANを第4の懸濁液の調製時に添加した以外は、パウチ型リチウムイオン電池を実施例2に記載の方法により作製した。次いで、組み立てたパウチ型電池を実施例2と同様の方法で繰り返しサイクルに供した。
【0384】
比較例28の電池のリサイクル
剥離液の調製において、剥離剤を添加せず、1000gのDI水のみを添加した以外は、実施例2と同様の方法で電池のリサイクルを実施した。
【0385】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0386】
【表2】
【0387】
本発明は限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、ある実施形態の具体的な特徴は本発明の他の実施形態によるべきでない。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書で言及されていない多数の工程を含み得る。他の実施形態において、方法は、本明細書に列挙されていないあらゆる工程を含まない、または実質的に含まない。記載された実施形態からの変更および改良が存在する。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲において、すべてのこれらの改良および変更を網羅することを意図する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
複合体を剥離液に浸漬することによって前記複合体を剥離する方法であって;
前記複合体が、基材と、前記基材の片面または両面に塗布された、ポリマーバインダーを含むコーティングとを含み;
前記ポリマーバインダーが、酸基含有モノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーを含むことを特徴とする、前記方法。
[2]
前記コポリマーが、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、エステル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、フッ素含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]
水素結合形成基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、前記ポリマーバインダー中の前記コポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約5モル%~約85モル%である、[2]に記載の方法。
[4]
前記基材が、箔、シート、フィルムまたはそれらの組み合わせの形態であり;
前記基材が、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくはそれらの合金、導電性樹脂またはそれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記基材が外層および内層を含む2層構造を有し、前記外層が導電性材料を含み、および前記内層が絶縁材料または他の導電性材料を含む、[1]に記載の方法。
[5]
前記導電性材料が、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、若しくははそれらの合金、導電性樹脂またはこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記絶縁材料が、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー材料であることを特徴とする、[4]に記載の方法。
[6]
前記酸基含有モノマーが、カルボン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、ホスホン酸基含有モノマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[7]
前記カルボン酸基含有モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ブチルクロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、テトラコン酸(tetraconic acid)、2-エチルアクリル酸、イソクロトン酸、cis-2-ペンテン酸、trans-2-ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、3-プロピルアクリル酸、trans-2-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-2-メチル-3-エチルアクリル酸、3-イソプロピルアクリル酸、trans-3-メチル-3-エチルアクリル酸、cis-3-メチル-3-エチルアクリル酸、2-イソプロピルアクリル酸、トリメチルアクリル酸、2-メチル-3,3-ジエチルアクリル酸、3-ブチルアクリル酸、2-ブチルアクリル酸、2-ペンチルアクリル酸、2-メチル-2-ヘキセン酸、trans-3-メチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2,3-ジエチルアクリル酸、3,3-ジエチルアクリル酸、3-メチル-3-へキシルアクリル酸、3-メチル-3-tert-ブチルアクリル酸、2-メチル-3-ペンチルアクリル酸、3-メチル-3-ペンチルアクリル酸、4-メチル-2-ヘキセン酸、4-エチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-2-エチル-2-ヘキセン酸、3-tert-ブチルアクリル酸、2,3-ジメチル-3-エチルアクリル酸、3,3-ジメチル-2-エチルアクリル酸、3-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、2-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、trans-2-オクテン酸、cis-2-オクテン酸、trans-2-デセン酸、α-アセトキシアクリル酸、β-trans-アリールオキシアクリル酸、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、ブロモマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸、ジフルオロマレイン酸、ノニル水素マレアート、デシル水素マレアート、ドデシル水素マレアート、オクタデシル水素マレアート、フルオロアルキル水素マレアート、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、メタクロレイン、塩化メタクリロイル、フッ化メタクリロイル、臭化メタクリロイル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[8]
前記スルホン酸基含有モノマーが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリル酸、2-メチルプロパ-2-エン-1-スルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸およびそれらの組合せからなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[9]
前記ホスホン酸基含有モノマーが、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、アクリルアミドアルキルホスホン酸、メタクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、アクリロイルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、エチレン2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、エチル-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[10]
酸基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、前記ポリマーバインダー中の前記コポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約15モル%~約85モル%である、[1]に記載の方法。
[11]
前記コポリマーが、ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位およびアミド基含有モノマーから誘導される構造単位をさらに含む、[1]に記載の方法。
[12]
前記ニトリル基含有モノマーが、アクリロニトリル、α-ハロゲノアクリロニトリル、α-アルキルアクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、α-イソプロピルアクリロニトリル、α-n-ヘキシルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、3-メトキシアクリロニトリル、3-エトキシアクリロニトリル、α-アセトキシアクリロニトリル、α-フェニルアクリロニトリル、α-トリルアクリロニトリル、α-(メトキシフェニル)アクリロニトリル、α-(クロロフェニル)アクリロニトリル、α-(シアノフェニル)アクリロニトリル、ビニリデンシアニドおよびそれらの組合せからなる群から選択され;
ニトリル基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位の総数モルに基づいて、約15モル%~約85モル%である、[11]に記載の方法。
[13]
前記アミド基含有モノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-イソブチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(メトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)メタクリルアミド、N-(プロポキシメチル)メタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド(MBA)、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、およびそれらの組合せからなる群から選択され;
アミド基含有モノマーから誘導される構造単位の割合が、ポリマーバインダー中のコポリマー中のモノマー単位のモルの総数に基づいて、約0モル%~約35モル%である、[11]に記載の方法。
[14]
前記剥離液が、剥離剤と水性溶媒とを含む、[1]に記載の方法。
[15]
前記剥離剤が、ギ酸、酢酸、グリコール酸、グリオキシル酸、シュウ酸、プロピオン酸、アクリル酸、プロピオル酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸、ピルビン酸、3-オキソプロピオン酸、2,3-ジオキソプロピオン酸、マロン酸、タルトロン酸、ジヒドロキシマロン酸、メソシュウ酸、グリシド酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、テトロル酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-オキソブタン酸、アセト酢酸、4-オキソブタン酸、ブタン二酸、メチルマロン酸、フマル酸、マレイン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、酒石酸、オキサロ酢酸、ジオキソコハク酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチルブチル酸(2-methylbutiric acid)、ピバル酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、3-オキソグルタル酸、2-フロ酸、テトラヒドロフロ酸、ヘキサン酸、ヘキサン二酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、ソルビン酸、ピメリン酸、安息香酸、サリチル酸、4-カルボキシ安息香酸、トリメシン酸、メリト酸、リンゴ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択され;
前記水性溶媒が水、または水を主成分として含み微量成分を含む溶液である、[14]に記載の方法。
[16]
前記水性溶媒中の水の割合が約51重量%~約100重量%であり;
前記微量成分がメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、エチルアセタート、イソプロピルアセタート、プロピルアセタート、ブチルアセタート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、[15]に記載の方法。
[17]
前記剥離液に対する前記複合体の重量比が約0.01%~約5%である、[1]に記載の方法。
[18]
前記剥離液中の前記剥離剤の濃度が、前記剥離液の総重量に基づいて約0.01重量%~約1重量%である、[14]に記載の方法。
[19]
前記複合体を約15分~約120分の時間、前記剥離液に浸漬し;
前記複合体を約25℃~約95℃の温度で前記剥離液に浸漬する、[1]に記載の方法。
[20]
前記複合体-剥離液混合物を約10rpm~約3000rpmの速度で撹拌し;
前記複合体-剥離液混合物を約1分~約120分の時間撹拌する、[1]に記載の方法。
図1
図2
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図9