(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物をベースとする架橋性部分
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20240708BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240708BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20240708BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20240708BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C08L83/06
C08L83/04
C08K5/05
C08K5/5415
C08K5/544
(21)【出願番号】P 2022572573
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064723
(87)【国際公開番号】W WO2021239222
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーレー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シャイム,ウーベ
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523427(JP,A)
【文献】特開平09-111187(JP,A)
【文献】特開2000-129199(JP,A)
【文献】特開平07-157490(JP,A)
【文献】特開平10-279805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 5/05
C08K 5/5415
C08K 5/544
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を用いて製造可能な、縮合反応によって架橋可能な組成物。
(A)少なくとも2つのシラノール基を有し、25℃で10
3~10
6mPasの粘度を有する有機ケイ素化合物、
並びに、
(M)
式(I)の(B)有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、式(III)の(C2)化合物、並びに任意に(D)触媒を含む混合物
;
(M)混合物が、(B)有機ケイ素化合物の100重量部に基づいて、0.01~20重量部の量の(C2)化合物を含む;
R
6R
7N-CR
1
2SiR
a(OR
2)
3-a (I)、
[式中、
Rは、同一の又は異なる一価の炭化水素基を示し、
R
1は、同一のもしくは異なる一価の炭化水素基又は水素原子を示し、
R
2は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、
R
6は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を示し、
R
7は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、
R
6及びR
7はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい環を形成し得、
aは、0又は1に等しい。]
;
R
5OH (III)、
[式中、
R
5は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示す。
]。
【請求項2】
用いられた
式(I)中の基R
2
、及び
式(III)中のR
5が同じ定義を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化合物(B)が、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン又は4-(トリメトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジンであることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、以下を用いて製造可能であるものであることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
(A)有機ケイ素化合物、
(M)有機ケイ素化合物(B)と、化合物(C2
)と、任意に触媒(D)を含む混合物、
任意に(E)架橋触媒、
任意に(F)充填剤、
任意に(G)接着促進剤、
任意に(H)可塑剤、
任意に(J)架橋剤、並びに
任意に(K)添加剤。
【請求項5】
以下を特徴とする、オルガニルオキシ基を含む有機ケイ素化合物を製造する方法。
(A)少なくとも2つのシラノール基を有し、25℃で10
3~10
6mPasの粘度を有する有機ケイ素化合物、並びに、
(M)式(I)の(B)有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
式(III)の(C2
)化合
物、並びに任意に(D)触媒を含む混合物
を互いに混合し、反応させる
;
(M)混合物が、(B)有機ケイ素化合物の100重量部に基づいて、0.01~20重量部の量の(C2)化合物を含む;
R
6
R
7
N-CR
1
2
SiR
a
(OR
2
)
3-a
(I)、
[式中、
Rは、同一の又は異なる一価の炭化水素基を示し、
R
1
は、同一のもしくは異なる一価の炭化水素基又は水素原子を示し、
R
2
は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、
R
6
は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を示し、
R
7
は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、
R
6
及びR
7
はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい環を形成し得、
aは、0又は1に等しい。];
R
5
OH (III)、
[式中、
R
5
は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示す。]。
【請求項6】
以下を特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
第1の工程で、
任意に可塑剤(H)と混合物(M)との混合物中の有機ケイ素化合物(A)を互いに混合して反応させ、
第2の工程で、
第1の工程で得られた組成物を、架橋触媒(E)、充填剤(F)、接着促進剤(G)、可塑剤(H)、架橋剤(J)及び添加剤(K)から選択される少なくとも1種の成分と混合する。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物又は請求項
5もしくは
6に記載の方法で製造された組成物を架橋することにより製造された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合反応により架橋可能で有機ケイ素化合物をベースとする組成物、該組成物を製造する方法及びその使用、並びにオルガニルオキシ基を含む有機ケイ素化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水を排除すると保存可能であり、室温で水が侵入するとアルコールの脱離を伴い、硬化してエラストマーを与える一成分封止用化合物が既に知られている。これらの生成物は、例えば建設業で大量に使用されている。これらの混合物は、OH基などの反応性置換基、又は、例えばアルコキシ基などの加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンをベースとすることが多い。さらに、これらの封止用化合物は、充填剤、可塑剤、架橋剤、触媒及び様々な添加剤を含むことができる。
【0003】
アルコールの脱離によって硬化する組成物の場合、重要な工程は、エンドキャッピング反応として知られるものである。この用語は、末端OH基、特に直鎖状オルガノポリシロキサンの末端OH基とアルコキシシランとの反応を記載する。これはゆっくりと進行するので、この反応は典型的には封止用化合物の製造前の上流工程で行われる。反応の最適化のために様々な触媒が提案されてきた。例えば、EP-B1964872号には亜鉛キレートの使用/グアニジン又はリチウム化合物の使用が記載されている。
【0004】
しかし、典型的には、このような触媒は、保存安定性の低下又は黄変傾向のために、反応混合物から除去するか、又は少なくとも中和しなければならない。これの欠点は、特に、高いポリマー粘度のため、技術的に非常に複雑な追加の処理工程を必要とすることである。EP-B2176351号は、エンドキャッピングを追加の触媒なしで実施することができるアルコキシ系を記載する。α位にアルキル基が置換した、使用されるシランの反応性は、数分以内にエンドキャッピングを完了するほど十分に高い。
【0005】
しかし、これらの反応は混合物の粘度の非常に大きな上昇をもたらすことが分かった。これは望ましくないことである。なぜならば、そのような高い粘度は工業的に取り扱うには非常に面倒であるためである。また、ポンプでの輸送又は充填剤の組み込みのようなその後の処理工程が、望ましくない大きな温度上昇をもたらすことは不利である。これは、製造されたRTV1封止用化合物の保存安定性を低下させ、さらに場合によっては冷却処理が必要になり、また、様々な混合物の構成成分の引火点が典型的には低いため、生産工場の安全性のリスクをもたらすであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第1964872号明細書
【文献】欧州特許第2176351号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、先行技術の欠点を克服することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の混合によって製造可能な、縮合反応によって架橋可能な組成物を提供する。
(A)少なくとも2つのシラノール基を有し、25℃で103~106mPasの粘度を有する有機ケイ素化合物、
並びに、
(M)以下を含む混合物
(B)以下の式の有機ケイ素化合物
R6R7N-CR1
2SiRa(OR2)3-a (I)、
[式中、
Rは、同一の又は異なる一価の炭化水素基を示し、
R1は、同一のもしくは異なる一価の炭化水素基又は水素原子を示し、
R2は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、
R6は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を示し、
R7は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示し、R6及びR7はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい環を形成し得、
aは、0又は1に等しく、好ましくは0である。]、
及び/又はその部分加水分解物、
以下から選択される成分(C)、
(C1)以下の式の有機ケイ素化合物
R3
4-bSi(OR4)b (II)
[式中、
R3は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子によって割り込まれていてもよい一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を示し、ただし、R6R7N-CR1
2-基は除き、
R4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子によって割り込まれていてもよい一価の炭化水素基を示し、
bは、2、3又は4、好ましくは3又は4である。]、
及び、
(C2)以下の式の化合物
R5OH (III)
[式中、
R5は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基を示す。]、
及び、
任意に(D)触媒。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(I)の化合物の部分加水分解物は部分同一加水分解物(homohydrolyzate)であっても、部分共加水分解物(cohydrolyzate)でもよい。本発明に従って使用される成分(B)が式(I)の化合物の部分加水分解物である場合、好ましくは、10個までのケイ素原子を有するものである。
【0010】
好ましくは、基Rは、1~18個の炭素原子を有する置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル基、ビニル基、3,3,3-トリフルオロプロプ-1-イル基又はフェニル基であり、特にメチル基である。
【0011】
基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、ヘキシル基、例えば、n-ヘキシル基、ヘプチル基、例えば、n-ヘプチル基、オクチル基、例えば、n-オクチル基、及びイソオクチル基、例えば、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、例えば、n-ノニル基、デシル基、例えば、n-デシル基、ドデシル基、例えば、n-ドデシル基、オクタデシル基、例えば、n-オクタデシル基、シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロペンチル基及びメチルシクロヘキシル基、アルケニル基、例えば、ビニル、1-プロペニル及び2-プロペニル基、アリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基、アルカリル基、例えば、o-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基、アラルキル基、例えば、ベンジル基及びα-及びβ-フェニルエチル基である。
【0012】
基R1の例は水素原子及びRに指定された基である。
【0013】
基R1は、好ましくは水素原子及び1~20個の炭素原子を有する炭化水素基、特に水素原子である。
【0014】
基R2、R4及びR5の例は、互いに独立してRに指定された基である。
【0015】
基R2、R4及びR5は、好ましくは、互いに独立して、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基、特にメチル基又はエチル基、非常に特に好ましくはエチル基である。
【0016】
本発明に従って使用される混合物(M)中の基R2、R4及びR5は、好ましくは同じ定義を有する。
【0017】
基R6の例は、水素原子及びRに指定された基である。
【0018】
基R6は、好ましくは、水素原子、又は1~6個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基であり、特にメチル基、エチル基、n-ブチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基である。
【0019】
基R7の例は、Rに指定された基である。
【0020】
基R7は、好ましくは、水素原子、又は1~6個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基又はn-ブチル基である。
【0021】
基R6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、1,4-テトラヒドロオキサジン又はピペラジン構造をもたらし得る環を形成し得る。
【0022】
本発明に従って使用される化合物(B)の例は、アミノメチルトリエトキシシラン、N-メチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-エチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-n-プロピルアミノメチルトリエトキシシラン、N-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジ-n-プロピルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、N-メチルアミノメチルトリメトキシシラン、N-エチルアミノメチルトリメトキシシラン、N-n-プロピルアミノメチルトリメトキシシラン、N-n-ブチルアミノメチルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N,N-ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N,N-ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、N,N-ジ-n-プロピルアミノメチルトリメトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリメトキシシラン、4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン及び4-(トリメトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジンであり、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン又は4-(トリメトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジンが好ましく、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン又は4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジンが特に好ましい。
【0023】
本発明に従って使用される化合物(B)は、市販の化合物であるか、標準的な化学的方法により製造することができる。
【0024】
基R3の例は、Rに指定された基、並びにH2N(CH2)3-基、H2N(CH2)2NH(CH2)2-基、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-基、H3CNH(CH2)3-基、C2H5NH(CH2)3-基、H2N(CH2)4-基、H2N(CH2)5-基、H(NHCH2CH2)3-基、シクロ-C6H11NH(CH2)3-基、(CH3)2N(CH2)3-基及び(C2H5)2N(CH2)3-基などのアミノ基で置換された基である。
【0025】
基R3は、好ましくは、メチル基、n-ブチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、n-ヘキサデシル基、ビニル基若しくはフェニル基又はH2N(CH2)3-基、H2N(CH2)2NH(CH2)2-基又はシクロ-C6H11NH(CH2)3-基である。
【0026】
本発明に従って任意に使用される化合物(C1)の例は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、メチルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又はN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又はN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0027】
本発明に従って任意に使用される化合物(C1)は、市販の化合物であるか、標準的な化学的方法によって製造することができる。
【0028】
本発明に従って任意に使用される化合物(C2)の例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、アミルアルコール、例えば、ペンタン-1-オール、ペンタン-2-オール、ペンタン-3-オール、tert-ペンタノール、3-メチルブタン-1-オール、3-メチルブタン-2-オール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、n-ヘキサノール及びn-オクタノールであり、メタノール又はエタノールが好ましく、エタノールが特に好ましい。
【0029】
本発明に従って使用される化合物(C2)は、市販の化合物であるか、標準的な化学的方法により製造することができる。
【0030】
本発明に従って使用される混合物(M)は、いずれの場合も成分(B)の100重量部に基づいて、好ましくは0.01~20重量部、特に好ましくは0.05~5重量部、特に重量0.1~1重量部の量の成分(C)を含む。
【0031】
本発明に従って使用される成分(C)は、有機ケイ素化合物(C1)のみ若しくは化合物(C2)のみ又は化合物(C1)及び(C2)の混合物であってもよい。
【0032】
本発明に従って使用される成分(C)が化合物(C1)及び(C2)の混合物である場合、これらは好ましくは0.01:1~1000:1の(C1)対(C2)の重量比で使用される。
【0033】
本発明に従って使用される成分(C)は、有機ケイ素化合物(C1)のみか、又は化合物(C2)のみであることが好ましい。
【0034】
さらに好ましい実施形態において、本発明に従って使用される成分(C)は、有機ケイ素化合物(C1)及び化合物(C2)の混合物であって、(C1)対(C2)の重量比が100:1~1000:1のものである。
【0035】
本発明に従って使用される混合物(M)中に任意に存在する触媒(D)は、エンドキャッピング反応として知られているものに現在まで使用されてきた任意の既知の触媒であり得る。
【0036】
触媒の好ましい例(D)は、亜鉛アセチルアセトネート、リチウムエトキシド、リチウムメトキシド、n-ブチルリチウム、N,N-ジ-n-ブチルアンモニウムホルメート、N,N-ジ-n-ブチルアンモニウムアセテート、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン又は1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンであり、特に好ましいのは1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンである。
【0037】
本発明に従って使用される混合物(M)が触媒(D)を含む場合、これは、いずれの場合も混合物(M)の100重量部に基づいて、好ましくは0.001~1重量部、好ましくは0.005~0.1重量部の量を含む。混合物(M)には触媒(D)が含まれていないことが好ましい。
【0038】
本発明に従って使用される混合物(M)の個々の構成成分は、いずれの場合もそのような構成成分の1種類であってもよく、又は少なくとも2つの異なる種類のそのような構成成分の混合物であってもよい。
【0039】
本発明に従って使用される混合物(M)は、本質的に成分(B)、(C)及び任意に(D)で構成されることが好ましく、混合物は、少なくとも95重量%の程度まで成分(B)、(C)及び任意に(D)で構成されることが特に好ましい。特に、本発明に従って使用される混合物(M)は、成分(B)、(C)及び任意に(D)以外のさらなる成分を含まない。
【0040】
本発明に従って使用される混合物(M)を調製するために、全ての構成成分を任意の順序で互いに混合することができる。この混合は、室温及び周囲の雰囲気の圧力、すなわち約900~1100hPaで、周囲の雰囲気から水が排除される可能性が最も高いときに行われることが好ましい。
【0041】
本発明による組成物は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは1~10重量部、特に好ましくは1~5重量部、特に1.5~3.5重量部の量の混合物(M)を含む。
【0042】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(A)は、縮合反応によって架橋可能な組成物に現在まで使用されてきた、少なくとも2つのOH基を有する任意の有機ケイ素化合物であり得る。
【0043】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(A)は、好ましくは以下の式の単位を含むものである。
R8
d(OH)eSiO(4-d-e)/2 (IV)
[式中、
R8は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子によって割り込まれていてもよい、置換されていてもよい炭化水素基を示し、
dは、0、1、2又は3、好ましくは2であり、
eは、1、2又は3、好ましくは0又は1であり、
ただし、d+eの和は3以下であり、少なくとも2つのOH基が1分子当たりに存在するものとする。]
【0044】
基R8の例はR基に指定された例である。
【0045】
基R8は、好ましくは、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基で置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、後者はオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位から形成され、特に好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基である。
【0046】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(A)は、特に好ましくは、本質的に直鎖状のOH末端オルガノポリシロキサン、特にα,ω-ジヒドロキシジアルキルポリシロキサンである。
【0047】
有機ケイ素化合物(A)の好ましい例は、(HO)Me2SiO[SiMe2O]30-2000SiMe2(OH)であり、Meはメチル基を意味する。
【0048】
有機ケイ素化合物(A)は、市販品であるか、ケイ素化学における標準的な方法で製造することができる。
【0049】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(A)は、25℃で、好ましくは1000~500000mPas、特に1000~350000mPas、特に5000~150000mPasの粘度を有する。
【0050】
本発明の関連において、有機ケイ素化合物の動的粘度は、好ましくは、DIN53019に従って測定される。その手順は好ましくは以下の通りである。特に記載のない限り、Anton Paar製の「Physica MCR 300」回転粘度計を用いて、25℃で粘度を測定する。この場合、1~200mPa・sの粘度には環状測定間隙1.13mmの同軸円筒測定システム(CC 27)を、200mPa・sを超える粘度にはコーンプレート測定システム(CP 50-1測定コーン付きSearleシステム)を用いる。剪断速度はポリマー粘度(100s-1では1~99mPa・s、200s-1では100~999mPa・s、120s-1では1000~2999mPa・s、80s-1では3000~4999mPa・s、62s-1では5000~9999mPa・s、50s-1では10000~12499mPa・s、38.5s-1では12500~15999mPa・s、33s-1では16000~19999mPa・s、25s-1では20000~24999mPa・s、20s-1では25000~29999mPa・s、17s-1では30000~39999mPa・s、10s-1では40000~59999mPa・s、5s-1では60000~149999mPa・s、3.3s-1では150000~199999mPa・s、2.5s-1では200000~299999mPa・s、1.5s-1では300000~1000000mPa・s)に適合させる。
【0051】
成分(A)は、好ましくは5℃~35℃の間の温度及び好ましくは0.1bar~300barの間の圧力で混合物(M)と混合することができる。しかし、所望ならば、この混合物は、より高温、例えば、35~135℃の範囲の温度でも実施され得る。所望であれば、加熱又は冷却を行ってもよい。
【0052】
成分(A)と混合物(M)との本発明に従う混合は、周囲の雰囲気から最大限水を排除して行うことが好ましい。これは、例えば、デッドスペースのないシステムで行うことができる。混合が実施される場合、例えば、開いているバッチ式の操作混合機では、最大限の湿気の排除を、例えば乾燥した空気又は乾燥した窒素でブランケット(blanket)することにより確実にするべきである。
【0053】
有機ケイ素化合物(A)と混合物(M)との混合の間に、化合物(A)中のOH基とシラン(B)との反応が起こる。これは、ポリマー上に加水分解性基を有するシリル基を形成し、これは、架橋ポリマー構造が水分の浸入時に形成され得ることを意味する。温度及び圧力に関する上記の条件下では、反応時間は1分~30分の間が好ましい。
【0054】
本発明に従う混合は、任意の所望の混合ユニット、例えば、静的ミキサー又は動的ミキサーを用いて実施することができ、動的ミキサーが好ましい。
【0055】
本発明に従う混合は、連続的に作動する混合ユニットで行うことが好ましい。
【0056】
本発明は、以下のことを特徴とする、オルガニルオキシ基を含む有機ケイ素化合物を製造する方法を提供する。
(A)少なくとも2つのシラノール基を有し、25℃で103~106mPasの粘度を有する有機ケイ素化合物、並びに、
(M)式(I)の(B)有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、(C1)式(II)の有機ケイ素化合物及び(C2)式(III)の化合物から選択される成分(C)、及び任意に(D)触媒を含む混合物
を互いに混合し、反応させる。
【0057】
オルガニルオキシ基を含む有機ケイ素化合物を製造する本発明による方法は、反応が終了した後、反応混合物の粘度が驚くほど非常に中程度にしか上昇しないという利点を有する。
【0058】
アミノ基を含む化合物(B)の存在にもかかわらず黄変が起こらないことも驚くべきことであった。
【0059】
有機ケイ素化合物(A)及び混合物(M)に加えて、本発明による組成物の製造に、現在まで縮合反応により架橋可能な組成物に使用されてきた全ての物質、例えば、架橋触媒(E)、充填剤(F)、接着促進剤(G)、可塑剤(H)、架橋剤(J)及び添加剤(K)を使用することが可能である。
【0060】
架橋触媒(E)の例は、テトライソプロポキシチタン酸塩のような現在まで既に知られているチタン化合物、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物、亜鉛(2-ヘチルヘキソエート)のような亜鉛化合物、及びジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズジオキサイド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオキサイド、及びこれらの化合物とテトラエトキシシランのようなアルコキシシランとの反応生成物のような有機スズ化合物であり、テトラエチルシリケート加水分解物中のジ-n-オクチルスズオキサイド、50重量%のメチルトリエトキシシラン加水分解物及び50重量%の3-アミノプロピルトリエトキシシランの混合物中のジ-n-オクチルスズオキサイド、テトライソプロピルシリケート中のジ-n-オクチルスズオキサイド、ジ-n-ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応生成物が好ましい。
【0061】
本発明による組成物が架橋触媒(E)を含む場合、これにはいずれの場合も本発明による組成物100重量部に基づいて、好ましくは0.0001~2重量部、好ましくは0.001~1重量部の量が含まれる。本発明による組成物は好ましくは触媒(E)を含む。
【0062】
充填剤(F)の例は、非補強充填剤、すなわち、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、アルミニウム、チタン、鉄又は亜鉛の酸化物又は混合酸化物などの金属酸化物粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス、及びポリアクリロニトリル粉末などのプラスチック粉末などの最大50m2/gのBET比表面積を有する充填剤、補強充填剤、すなわち、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、沈降炭酸カルシウム、ファーネスブラック及びアセチレンブラックなどのカーボンブラック、及び大きなBET比表面積のケイ素-アルミニウム混合酸化物のような50m2/gを超えるBET比表面積を有する充填剤、アスベスト及びプラスチック繊維などの繊維状充填剤である。言及された充填剤は、例えば、オルガノシラン又はオルガノシロキサンを用いた処理によって、又はアルコキシ基への水酸基のエーテル化によって、疎水化され得る。充填剤(F)を使用する場合は、それらは親水性のヒュームドシリカ、沈降炭酸カルシウム及び大理石粉末であることが好ましい。
【0063】
本発明による組成物が成分(F)を含む場合、これは、いずれの場合も本発明による組成物100重量部に基づいて、好ましくは1~80重量部、好ましくは5~65重量部の量を含む。本発明による組成物は成分(F)を含むことが好ましい。
【0064】
本発明による組成物中で任意に使用される接着促進剤(G)は、官能基を有するシラン及びオルガノポリシロキサン、例えば、グリシドキシプロピル基、ウレイドプロピル基又はメタクリロキシプロピル基を有するものであることができる。
【0065】
接着促進剤(G)の例は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又はグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、2-(3-トリエトキシシリルプロピル)マレイン酸無水物、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、N-(トリメトキシシリルメチル)尿素、N-(メチルジメトキシシリルメチル)尿素、N-(3-トリエトキシシリルメチル)尿素、N-(3-メチルジエトキシシリルメチル)尿素、O-メチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルメチルジエトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルメチルジエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシメチルトリメトキシシラン、アクリルオキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリルオキシメチルトリエトキシシラン、アクリルオキシメチルメチルジエトキシシラン及びそれらの部分縮合物並びにエトキシ末端3-アミノプロピル(メチル)シルセスキオキサン(CAS番号128446-60-6)のようなエポキシシランである。
【0066】
本発明による組成物が成分(G)を含む場合、これは、いずれの場合も本発明による組成物100重量部に基づいて、好ましくは0.01~10重量部、好ましくは0.1~2.5重量部の量を含む。充填剤として炭酸カルシウムを使用する場合を除き、本発明による組成物は、好ましくは成分(G)を含まない。本発明による組成物が充填剤(F)として炭酸カルシウムを含む場合、成分(G)を用いることが好ましい。
【0067】
可塑剤(H)の例は、トリメチルシロキシ基でエンドキャップされた室温で液体のジメチルポリシロキサン、特に25℃で5~10000mPasの範囲の粘度を有するもの、及びパラフィン油、又はナフテン単位とパラフィン単位とからなる鉱油などの高沸点炭化水素である。
【0068】
本発明による組成物が成分(H)を含む場合には、これは、いずれの場合も本発明による組成物100重量部に基づいて、好ましくは1~50重量部、好ましくは10~35重量部の量を含む。本発明による組成物は、好ましくは成分(H)を含む。
【0069】
本発明による組成物に任意に使用されるさらなる架橋剤(J)は、例えば、成分(B)とは異なる、3つのオルガニルオキシ基を有するシランのような、少なくとも3つの縮合性基を有する現在までに知られている任意の架橋剤であり得る。
【0070】
本発明による組成物に任意に使用されるさらなる架橋剤(J)は、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン又はビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、及びその部分加水分解物などのシラン架橋剤である。
【0071】
本発明による組成物に任意に使用されるさらなる架橋剤(J)は、市販品であるか、又はケイ素化学において知られた方法によって製造することができる。
【0072】
本発明による組成物がさらなる架橋剤(J)を含む場合、これは、いずれの場合も本発明による組成物100重量部に基づいて、好ましくは0.1~10重量部、特に好ましくは0.2~5重量部、非常に特に好ましくは0.5~3重量部の量を含む。本発明による組成物は、好ましくは、架橋剤(J)を含む。
【0073】
本発明により使用される混合物(M)が成分(C)として、bが3又は4に等しい式(II)のシラン(C1)を既に含む場合、架橋剤(J)を使用しないか、その使用量を減らすことができる。
【0074】
添加剤(K)の例は、顔料、染料、着臭剤、酸化阻害剤、導電性カーボンブラックのように電気特性に影響する薬剤、難燃剤、光安定剤、及びSiC結合したメルカプトアルキル基を有するシランのようなスキン形成時間を延長するための薬剤、アゾジカルボンアミドのようなセル生成剤、熱安定剤、及びポリエーテルのようなチキソトロープ剤、防かび剤、殺菌剤、殺ダニ剤のような殺生物剤、及びただ1つのOH末端基を有するポリジメチルシロキサンのようなモジュラス調節剤、並びにアルキルホスホン酸又はリン酸エステルのような保存安定性を改善するための薬剤である。
【0075】
本発明による組成物が成分(K)を含む場合には、これは、いずれの場合も本発明の組成物100重量部に基づいて、好ましくは0.0001~10重量部、好ましくは0.001~10重量部の量を含む。本発明による組成物は、好ましくは成分(K)を含む。
【0076】
本発明による組成物は、好ましくは、以下を使用して製造可能なものである。
(A)有機ケイ素化合物、
(M)有機ケイ素化合物(B)と、有機ケイ素化合物(C1)及び化合物(C2)から選択される成分(C)と、任意に触媒(D)とを含む混合物、
任意に(E)架橋触媒、
任意に(F)充填剤、
任意に(G)接着促進剤、
任意に(H)可塑剤、
任意に(J)架橋剤、並びに、
任意に(K)添加剤。
【0077】
本発明による組成物は、特に好ましくは、以下を使用して製造可能なものである。
(A)本質的に直鎖状で、OH末端のオルガノポリシロキサン、
(M)有機ケイ素化合物(B)、化合物(C2)、及び任意に触媒(D)を含む混合物、
(E)架橋触媒、
任意に(F)充填剤、
任意に(G)接着促進剤、
任意に(H)可塑剤、
任意に(J)架橋剤、並びに、
任意に(K)添加剤。
【0078】
本発明による組成物は、さらに特に好ましくは、以下を使用して製造可能なものである。
(A)本質的に直鎖状で、OH末端のオルガノポリシロキサン、
(M)有機ケイ素化合物(B)、化合物(C1)、及び任意に触媒(D)を含む混合物、
(E)架橋触媒、
任意に(F)充填剤、
任意に(G)接着促進剤、
任意に(H)可塑剤、
任意に(J)架橋剤、並びに、
任意に(K)添加剤。
【0079】
成分(A)~(K)以外の成分を用いないで、本発明による組成物を製造することが特に好ましい。
【0080】
本発明による組成物の個々の構成成分は、いずれの場合も、そのような構成成分の1種類であってもよいし、少なくとも2種類の異なる構成成分の混合物であってもよい。
【0081】
本発明は、さらに、以下を特徴とする本発明による組成物を製造する方法を提供する。
<第1の工程で>
任意に可塑剤(H)と混合物(M)との混合物中の有機ケイ素化合物(A)を互いに混合して反応させ、
<第2の工程で>
第1の工程で得られた組成物を、架橋触媒(E)、充填剤(F)、接着促進剤(G)、可塑剤(H)、架橋剤(J)及び添加剤(K)から選択される少なくとも1種の成分と混合する。
【0082】
本発明による方法の第2の工程で、好ましくは5~35℃の間の温度及び好ましくは0.1~300barの間の圧力で構成成分を混合することができる。しかし、所望ならば、この混合はより高温、例えば35~135℃の範囲の温度でも実施され得る。所望ならば、加熱又は冷却を行うことができる。
【0083】
可塑剤(H)は、第1の工程のように早期にポリマー(A)と完全に又は部分的に混合することができる。任意に使用されるさらなる成分(E)~(K)は、本発明に従う方法の第2の工程において任意の所望の順序で混合され得る。
【0084】
処理の便宜上、第1の工程でポリマー(A)と完全に混合していない場合は、さらなる可塑剤(H)、接着促進剤(G)及びさらなるシラン(J)をまず添加し、次に充填剤(F)を添加し、最後に架橋触媒(E)及びさらなる添加剤(K)を添加することが好ましい。
【0085】
個々の成分の本発明による混合は、好ましくは、水を周囲の雰囲気から最大限排除して行うが、これは、例えば、乾燥空気又は乾燥窒素でブランケットすることによって実現することができる。
【0086】
さらに、架橋触媒(E)が添加される時点は一般に重要ではない。しかし、混合物はその後に活性化されるから、最終段階でのみ触媒を加えるのが好都合である。実際には、当業者は、混合物の製造中の水分の完全な排除は困難であるか、又は少なくとも不経済的であるため、既に反応性が高い封止用化合物の過度に長い混合を避けたいと考えるものである。
【0087】
全ての所望の構成成分が混合された後、本発明による組成物は、好ましくは脱気され、防湿容器に充填される。
【0088】
本発明による架橋可能組成物の製造は、バッチ式又は連続的に行われ得るが、操作の連続モードが好ましい。
【0089】
操作の連続モードでは、有機ケイ素化合物(A)をまず混合物(M)と混合し、少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%の成分(A)のOH基が反応した後、さらに成分(E)~(K)を加えることが好ましい。好ましくは、可塑剤(H)、接着促進剤(G)及びさらなるシラン(J)をまず添加し、次に充填剤(F)を混合し、最後に架橋触媒(E)及びさらなる添加剤(K)を添加する。
【0090】
本発明による組成物は、好ましくは、水を排除していると保存可能であり、水が侵入すると硬化する、一般にこの分野でRTV-1組成物と呼ばれる一成分組成物である。
【0091】
本発明による組成物の架橋には空気の通常の含水量で十分である。本発明による組成物は、室温で架橋することが好ましい。該組成物は、所望であれば、室温より高い又は低い温度、例えば、-5~15℃又は30~50℃で、及び/又は空気中の通常の含水量を超える濃度の水を用いて、架橋することもできる。
【0092】
架橋は、100~1100hPaの圧力で、特に周囲雰囲気の圧力で行うことが好ましい。
【0093】
本発明はさらに、本発明による組成物を架橋することによって製造される成形品を提供する。
【0094】
本発明による組成物は、水を排除すると保存可能で、室温で水が浸入すると架橋してエラストマーを与えることが可能な組成物を使用することができるあらゆる目的に使用することができる。
【0095】
したがって本発明による組成物は、例えば、縦目地、及び、例えば、10~40mmの内のり幅の、例えば、建物、陸上車、船及び飛行機の類似のキャビティをはじめとする継ぎ手用シーラントとして、又は、例えば、窓の構築又は水槽又はガラスキャビネットの製造における接着剤又はセメント組成物として、及び、例えば、淡水又は海水の恒常的作用に曝露される表面用のものをはじめとする保護コーティング又は滑りを防止するコーティング、又はエラストマーモルディング、及び電気又は電子デバイスの絶縁のためのコーティングの製造用に優れた適合性を有する。
【0096】
本発明による組成物は、それらが製造しやすく、長期間にわたって高い保存安定性を有するという利点を有する。
【0097】
本発明による組成物は、毒物学的に危険な開裂生成物が、あったとしても、わずかな量しか生成されないという利点を有する。
【0098】
本発明による混合物(M)は、さらに迅速に処理できるという利点を有する。
【0099】
本発明による混合物(M)は、有機ケイ素化合物(B)が、特に成分(C1)と共に混合物中に存在する場合、いかなる黄変も生じないという利点を有する。
【0100】
さらに、本発明による組成物は、それらが完全に連続的な方法で生成され得るという利点を有する。
【実施例】
【0101】
以下に述べる実施例では、全ての粘度データは25℃の温度に基づいている。以下の実施例は、特に記載のない限り、周囲雰囲気の圧力、すなわち約1000hPa、及び室温、すなわち約23℃、又は室温で反応物を補足的な加熱又は冷却をしないで組み合わせた結果としての温度、及び相対湿度約50%で行う。実験室での作業を迅速に行うため、乾燥空気によるブランケットは省略した。また、特に記載のない限り、報告された全ての部及びパーセンテージは重量に関係する。
【0102】
以下の粘度は上記のDIN53019に従って決定した。
【0103】
以下の成分が用いられる。
SB1: 4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン
SB2: N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン
SB3: 4-(トリイソプロポキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン
TES: テトラエトキシシラン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「TES 28」という名称で市販されている)
VTMO: ビニルトリメトキシシラン
GF93: 3-アミノプロピルトリエトキシシラン
GF9: N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン
【0104】
[実施例1]
粘度80000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「ポリマーFD 80」という名称で市販されている)490g及び粘度1000mPa・sのα,ω-ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「Weichmacher 1000」という名称で市販されている)94gの混合物を、4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン(SB1)16.5g及びメタノール0.3gの混合物と混合した。このようにして得られたポリマー混合物の粘度を、室温で24時間保存した後に測定したところ、67800mPasであった。
【0105】
[実施例2~16]
実施例1に記載した手順を繰り返し、表1に記載した混合物を使用するように変更した。得られた粘度も同様に表1に示す。
【0106】
[比較例1]
実施例1に記載した手順を繰り返し、メタノールを使用しないように変更した。
【0107】
【0108】
[実施例E18、E20及びE21]
実施例1に記載した手順を繰り返し、表2に記載した混合物を使用するように変更した。得られた粘度も同様に表2に示す。
【0109】
[比較例2]
実施例18に記載した手順を繰り返し、VTMOを使用しないように変更した。
【0110】
[比較例3]
実施例20に記載の手順を繰り返し、メタノールを使用しないように変更した。
【0111】
【0112】
[実施例22]
粘度80000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「ポリマーFD 80」の名称で市販されている)490g及び粘度1000mPa・sのα,ω-ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「Weichmacher 1000」の名称で市販)94gの混合物を、4-(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ-1,4-オキサジン16.5g及びメタノール0.3gの混合物と遊星ミキサー中で混合した。この混合物を30分間撹拌した後、生成物J1(16.0mol%の式MeSi(OEt)2O1/2の単位、46.4mol%の式MeSi(OEt)O2/2の単位、36.5mol%の式MeSiO3/2の単位、0.2mol%の式Me2Si(OEt)O1/2の単位及び式0.9mol%のMe2SiO2/2の単位から構成された)1g、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGからGENIOSIL(R) GF 93の名称で市販されている)8g及びビニルトリエトキシシラン(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGからGENIOSIL(R) GF 56の名称で市販されている)2g及びテトラエチルシリケート(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「Silikat TES 28」の名称で市販されている)5gを加え、混合物を5分間混合した。次にBET比表面積150m2/gのヒュームドシリカ(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGからHDK(R) V15という名称で市販されている)45gを混合し、50hPaの圧力で混合物を完全に均質化した。最後に、メチルトリメトキシシラン中のオクチルホスホン酸の1:1溶液1g、及びジブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応生成物(ドイツ、ミュンヘンのWacker Chemie AGから「Katalysator 41」という名称で市販されている)2gを加え、混合物をさらに5分間、約50hPa(絶対)の圧力で均質化した。このようにして得られたRTV1組成物を市販の防湿ポリエチレンカートリッジに充填した。
【0113】
生成物J1はメチルトリエトキシシランの加水分解及び縮合により生成した。25℃で、該生成物は1.09g/cm3の密度、28.4mPa・sの粘度を有していた。
【0114】
実施例22で作製した封止用化合物の厚さ2mmのシートを、いずれの場合もポリエチレンフィルム上に広げ、1日の硬化後、フィルムから剥がしてさらに6日間全面から空気が入るようにつるし、合計7日間にわたって試料を硬化させた。ここでは相対湿度を50%とし、温度を23℃に制御した。次にDIN53504-85に従う形態S2の試験片をこれらのシートから打ち抜き、それぞれの弾性率を求めた。
【0115】
硬さを決定するために、6mm厚の片を作製し、これを相対湿度50%及び温度23℃で周囲の大気湿度との反応によりPEフィルム上で7日にわたり硬化させた。
【0116】
粘着のない硬化した封止用化合物の硬さは22ショアAであった。弾性率(伸び100%での引張応力)は0.38MPaと決定した。このように、封止用化合物は、例えば、建築継ぎ手の封止に極めて適している。