(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫の除霜制御方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20240708BHJP
F25B 7/00 20060101ALI20240708BHJP
F25B 47/02 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
F25D21/08 A
F25B7/00 Z
F25B47/02 D
(21)【出願番号】P 2022574237
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2021078168
(87)【国際公開番号】W WO2021218342
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202010506563.3
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】戚 斐斐
(72)【発明者】
【氏名】宋 向鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉 山山
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-255050(JP,A)
【文献】特開2017-227378(JP,A)
【文献】特開2012-127514(JP,A)
【文献】特開2012-093054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 7/00
F25B 47/02
F25D 21/06 - 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の除霜制御方法であって、
前記冷蔵庫は、箱体と、蒸発器と、低温段冷凍サイクル回路と、第1除霜加熱装置と、を含み、前記箱体の内部に貯蔵空間が形成されており、前記蒸発器は、前記貯蔵空間に冷熱を供給するように構成され、前記低温段冷凍サイクル回路に設けられる低温段蒸発部を含み、
前記低温段蒸発部が作動するときに、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の降温過程で温度が予め設定された温度範囲に達するか否か、及び前記予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されているか否かを判断するステップであって、前記予め設定された温度範囲内には第1予め設定された温度値が含まれているステップと、
前記貯蔵空間の降温過程で温度が前記予め設定された温度範囲に達し、前記予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されている場合、第1除霜動作を含む除霜動作を開始して、一次除霜を行うステップと、を含み、
前記第1除霜動作は、前記低温段蒸発部をオフにし、前記第1除霜加熱装置をオンにして、前記蒸発器を加熱することと、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が第1予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が前記第1予め設定された差よりも大きい場合、前記第1除霜動作を停止して、前記低温段蒸発部をオンにすることと、を含
み、
前記冷蔵庫は第2除霜加熱装置をさらに含み、前記除霜動作は第2除霜動作をさらに含み、
除霜が終了するたびに次回の除霜開始までの前記低温段蒸発部の作動時間を記録するステップと、
次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が1よりも大きい予め設定された比以上であるか否かを判断するステップと、
次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が前記予め設定された比以上である場合、前記除霜動作を開始させるときに、前記第2除霜動作を開始させ、それ以外の場合は、前記第1除霜動作を開始させるステップと、を含み、
前記第2除霜動作は、前記低温段蒸発部をオフにし、少なくとも前記第2除霜加熱装置をオンにして、前記蒸発器を加熱することと、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が第2予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が前記第2予め設定された差よりも大きい場合、前記第2除霜動作を停止して、前記低温段蒸発部をオンにすることと、を含み、前記第2予め設定された差は前記第1予め設定された差よりも大きい、
冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項2】
前記第2除霜加熱装置の加熱電力は前記第1除霜加熱装置の加熱電力よりも大きく、かつ、前記第2除霜動作では、前記第2除霜加熱装置のみをオンにして、又は前記第1除霜加熱装置と前記第2除霜加熱装置の両方をオンにして、前記蒸発器を加熱するか、又は、
前記第2除霜加熱装置の加熱電力は前記第1除霜加熱装置の加熱電力以下であり、かつ、前記第2除霜動作では、前記第1除霜加熱装置と前記第2除霜加熱装置の両方をオンにして、前記蒸発器を加熱する、
請求項
1に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項3】
深冷モードをオンにして前記低温段蒸発部を作動させた後、かつ、前記第1除霜動作を少なくとも2回連続して行った後、次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が前記予め設定された比以上であるか否かを判断する、
請求項
1に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項4】
前記第2除霜動作を開始させる必要がある場合、今回と前回の前記第2除霜動作を開始させる時刻の時間間隔が予め設定された時間間隔以下であるか否かを判断するステップと、
予め設定された時間間隔以下である場合、リマインド動作に入り、予め設定された時間間隔以下ではない場合、前記第2除霜動作を行うステップと、をさらに含む、
請求項
1に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項5】
前記リマインド動作に入る場合、前記第2除霜動作を同時に実行する、
請求項
4に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項6】
前記リマインド動作は、
リマインド情報を送信することと、
フィードバック命令を受信したか否かを判断することと、
前記フィードバック命令を受信した場合、前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することと、を含む、
請求項
4又は5に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項7】
前記フィードバック命令を受信していない場合、後で前記除霜動作を行う際に、全て前記第2除霜動作を行う、
請求項
6に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項8】
前記冷蔵庫は高温段冷凍サイクル回路をさらに含み、前記蒸発器は前記高温段冷凍サイクル回路に設けられる高温段蒸発部を含み、
前記フィードバック命令は、前記低温段蒸発部を作動させる深冷モードを、前記高温段蒸発部を作動させる通常冷凍モードに切り替えることを含む、
請求項
6に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項9】
前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、前記第1除霜加熱装置及び/又は前記第2除霜加熱装置をオンにすることを含む、
請求項
8に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項10】
前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、
前記貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、前記蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、前記第1除霜加熱装置及び/又は前記第2除霜加熱装置をオフにして、前記貯蔵空間内の温度に基づいて前記高温段蒸発部を制御して、前記通常冷凍モードを行うことをさらに含む、
請求項
9に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項11】
前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、
前記第1除霜加熱装置及び前記第2除霜加熱装置をオンにし、前記貯蔵空間の温度が第4予め設定された温度値に上昇した場合、前記第2除霜加熱装置をオフにし、前記貯蔵空間の温度が第5予め設定された温度値に上昇した場合、前記第1除霜加熱装置をオフにし、前記貯蔵空間内の温度に基づいて前記高温段蒸発部を制御して、前記通常冷凍モードを行うことを含み、
前記第5予め設定された温度値は前記第4予め設定された温度値よりも高い、
請求項
8に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【請求項12】
前記通常冷凍モードを行う過程で、対応する通常除霜動作を行う、
請求項
8に記載の冷蔵庫の除霜制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍貯蔵の分野に関し、特に冷蔵庫の除霜制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場の冷蔵庫の変温室の温度範囲はほとんど8~18℃の間で調節して、全体の設計には革新点がない。人々の生活水準が徐々に向上していく中で、このような温度帯の冷蔵庫は需要を十分に満たすことができなくなり、温度範囲がより広く、機能が完備され、ユーザーのより多くの需要を満たすことができるハイエンド冷蔵庫を設計する必要がある。食材を-40℃以下でガラス状に保存することは、食品の栄養価を最大に保存するのに有利であり、ユーザーの満足度を高め、ユーザーの体験を把握するために、ハイエンドユーザーの市場には超低温室(-40~-60℃)に対する需要がある。そのため、通常のカスケード型圧縮冷凍システムは通常2つの別々の冷凍サイクル回路で構成され、それぞれ高温段冷凍サイクル回路(高温部と略称する)と低温段冷凍サイクル回路(低温部と略称する)と呼ばれる。高温部には蒸発温度が高い第1冷媒を用い、低温部には蒸発温度が低い第2冷媒を用いる。また、低温部の圧縮機から吐出された第2冷媒蒸気を、高温部の第1冷媒による冷熱量を利用して凝縮させ、-60℃以下の低温を実現する凝縮蒸発器が採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の発明者らは、深冷室が高級食材の鮮度保持により要求されるものであり、この場合、温度変動が食材の栄養に与える影響がより顕著になり、ボストンロブスターのような食材は、空輸してからはもちろん直ちに食べるのが一番であるが、栄養を流失させずに冷蔵庫に保存するために、深冷室付き冷蔵庫が開発されてきて、通常の冷蔵庫よりも温度が著しく低く、温度変動が一定範囲を超えた場合、栄養素の保存に影響を及ぼす可能性があることを見出した。つまり、発明者らは、深冷室の蒸発器が速やかに除霜しないと、着霜が過剰になって冷却効率が低下し、エネルギー消費量及び冷却深度に影響を及びぼし、除霜過程で温度の変動を速やかに制御しないと、食品の栄養損失を引き起こすことを見出した。これに基づいて、本発明は、深冷室での着霜時に、着霜時に生じる過度の温度上昇が食品の栄養保存に影響を与えることを回避しつつ、過剰な着霜により冷凍が影響を受けることを確実に回避することができる冷蔵庫の除霜制御方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
具体的には、本発明は、冷蔵庫の除霜制御方法であって、
前記冷蔵庫は、箱体と、蒸発器と、低温段冷凍サイクル回路と、第1除霜加熱装置と、を含み、前記箱体の内部に貯蔵空間が形成されており、前記蒸発器は前記貯蔵空間に冷熱を供給するように構成され、前記低温段冷凍サイクル回路に設けられる低温段蒸発部を含み、
前記低温段蒸発部が作動するときに、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の降温過程で温度が予め設定された温度範囲に達するか否か、及び前記予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されているか否かを判断するステップであって、前記予め設定された温度範囲内には第1予め設定された温度値が含まれているステップと、
前記貯蔵空間の降温過程で温度が前記予め設定された温度範囲に達し、前記予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されている場合、第1除霜動作を含む除霜動作を開始して、一次除霜を行うステップと、を含み、
前記第1除霜動作は、前記低温段蒸発部をオフにし、前記第1除霜加熱装置をオンにして、前記蒸発器を加熱することと、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が第1予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が前記第1予め設定された差よりも大きい場合、前記第1除霜動作を停止して、前記低温段蒸発部をオンにすることと、を含む冷蔵庫の除霜制御方法を提供する。
【0005】
好ましくは、前記冷蔵庫は第2除霜加熱装置をさらに含み、前記除霜動作は第2除霜動作をさらに含み、
除霜が終了するたびに次回の除霜開始までの前記低温段蒸発部の作動時間を記録するステップと、
次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が1よりも大きい予め設定された比以上であるか否かを判断するステップと、
次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が前記予め設定された比以上である場合、前記除霜動作を開始させるときに、前記第2除霜動作を開始させ、それ以外の場合は、前記第1除霜動作を開始させるステップと、を含み、
前記第2除霜動作は、前記低温段蒸発部をオフにし、少なくとも前記第2除霜加熱装置をオンにして、前記蒸発器を加熱することと、前記貯蔵空間内の温度を検出して、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が第2予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、前記貯蔵空間の温度と前記第1予め設定された温度値との差が前記第2予め設定された差よりも大きい場合、前記第2除霜動作を停止して、前記低温段蒸発部をオンにすることと、を含み、前記第2予め設定された差は前記第1予め設定された差よりも大きい。
【0006】
好ましくは、前記第2除霜加熱装置の加熱電力は前記第1除霜加熱装置の加熱電力よりも大きく、かつ、前記第2除霜動作では、前記第2除霜加熱装置のみをオンにして、又は前記第1除霜加熱装置と前記第2除霜加熱装置の両方をオンにして、前記蒸発器を加熱するか、又は、
前記第2除霜加熱装置の加熱電力は前記第1除霜加熱装置の加熱電力以下であり、かつ、前記第2除霜動作では、前記第1除霜加熱装置と前記第2除霜加熱装置の両方をオンにして、前記蒸発器を加熱する。
【0007】
好ましくは、深冷モードをオンにして前記低温段蒸発部を作動させた後、かつ、前記第1除霜動作を少なくとも2回連続して行った後、次回の前記作動時間と前回の前記作動時間との比が前記予め設定された比以上であるか否かを判断する。
【0008】
好ましくは、前記冷蔵庫の除霜制御方法は、前記第2除霜動作を開始させる必要がある場合、当該時刻と前回の前記第2除霜動作を開始させる時刻との時間間隔が予め設定された時間間隔以下であるか否かを判断するステップと、
予め設定された時間間隔以下である場合、リマインド動作に入り、予め設定された時間間隔以下ではない場合、前記第2除霜動作を行うステップと、をさらに含む。
【0009】
好ましくは、前記リマインド動作に入る場合、前記第2除霜動作を同時に実行する。
【0010】
ましくは、前記リマインド動作は、
リマインド情報を送信することと、
フィードバック命令を受信したか否かを判断することと、
前記フィードバック命令を受信した場合、前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することと、を含む。
【0011】
好ましくは、前記フィードバック命令を受信していない場合、後で前記除霜動作を行う際に、全て前記第2除霜動作を行う。
【0012】
好ましくは、前記冷蔵庫は高温段冷凍サイクル回路をさらに含み、前記蒸発器は前記高温段冷凍サイクル回路に設けられる高温段蒸発部を含み、
前記フィードバック命令は、前記低温段蒸発部を作動させる深冷モードを、前記高温段蒸発部を作動させる通常冷凍モードに切り替えることを含む。
【0013】
好ましくは、前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、前記第1除霜加熱装置及び/又は前記第2除霜加熱装置をオンにすることを含む。
【0014】
好ましくは、前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、
前記貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、前記蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、前記第1除霜加熱装置及び/又は前記第2除霜加熱装置をオフにして、前記貯蔵空間内の温度に基づいて前記高温段蒸発部を制御して、前記通常冷凍モードを行うことをさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、
前記第1除霜加熱装置及び前記第2除霜加熱装置をオンにし、前記貯蔵空間の温度が第4予め設定された温度値に上昇した場合、前記第2除霜加熱装置をオフにし、前記貯蔵空間の温度が第5予め設定された温度値に上昇した場合、前記第1除霜加熱装置をオフにし、前記貯蔵空間内の温度に基づいて前記高温段蒸発部を制御して、前記通常冷凍モードを行うことを含み、
前記第5予め設定された温度値は前記第4予め設定された温度値よりも高い。
【0016】
好ましくは、前記通常冷凍モードを行う過程で、対応する通常除霜動作を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷蔵庫の除霜制御方法では、除霜温度変化の限界値を設定し、除霜をタイムリーで繰り返して行うことができ、着霜時に生じる過度の温度上昇が食品の栄養保存に影響を与えることを回避しつつ、過剰な着霜により冷凍が影響を受けることを確実に回避することができる。これによって、できるだけ栄養を流失せずに食物を冷蔵庫に保存することが確保される。
【0018】
さらに、本発明の冷蔵庫の除霜制御方法では、多くの加熱ワイヤを有することによって、除霜動作を調整して、除霜効率及び効果を高め、除霜をより完全に行うことができる。
【0019】
さらに、本発明の冷蔵庫の除霜制御方法では、リマインド機能への切り替え及び切り替えた後に除霜を完全に行う制御動作によって、後の深冷室内の温度の大きな波動が食材の栄養や食感に影響を与えないように、ユーザーに食材を食べるようにタイムリーにリマインドすることができる。もちろん、本発明の冷蔵庫の除霜制御方法では、リマインド後にも、冷凍効率を良く確保し、深冷室の温度が大きく波動することを防止し、食材の影響や食感を確保することができる。
【0020】
さらに、本発明の冷蔵庫の除霜制御方法では、深冷モードと通常冷凍モードを効率よく切り替えることができ、加熱装置によって蒸発器による除霜及び2つの温度帯間での効率的な切り替えが容易になる。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の特定実施例を詳細に説明するが、当業者にとっては本発明の上記及び他の目的、利点や特徴がより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、図面を参照して本発明のいくつかの特定実施例を限定的ではなく例示的に詳細に説明する。図面における同一の符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は必ずしも実際の比例で作成されるものであるとは限らない。
【
図1】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る冷蔵庫のカスケード型圧縮冷凍システムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の部分構造概略図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の部分構造断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の部分構造概略図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の除霜制御方法の流れの概略図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の除霜制御方法において第1除霜加熱装置作動P
h1の時間、低温段蒸発部作動P
DCの時間及び貯蔵空間内の温度の関係の概略図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の除霜制御方法において第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の同時作動P
h1+h2の時間、低温段蒸発部作動P
DCの時間及び貯蔵空間内の温度の関係の概略図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の除霜制御方法において第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の同時作動P
h1+h2の時間、低温段蒸発部作動P
DCの時間及び貯蔵空間内の温度の関係の概略図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の除霜制御方法において第1除霜加熱装置作動P
h1の時間、第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の同時作動P
h1+h2の時間、低温段蒸発部作動P
DCの時間、高温段蒸発部作動P
Cの時間及び貯蔵空間内の温度の関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略図である。
図1、及び
図2~
図5に示すように、本発明の実施例は、箱体20と、蒸発器と、冷凍システムと、を含む冷蔵庫を提供する。これらのうち、箱体20内には複数の貯蔵室が形成されており、このような貯蔵室は、第1貯蔵室21、第2貯蔵室22及び第3貯蔵室23を含んでもよい。第2貯蔵室22内の空間は貯蔵空間となってもよい。冷凍システムは、箱体20内に配置されてもよく、冷凍システムは高温段冷凍サイクル回路30と低温段冷凍サイクル回路40とを含み、この冷凍システムはカスケード型圧縮冷凍システムと呼ばれてもよい。「高温段冷凍サイクル回路30」及び「低温段冷凍サイクル回路40」における「高温」と「低温」は相対的なものであり、高温段冷凍サイクル回路30内を流れる冷媒の蒸発温度が低温段冷凍サイクル回路40内を流れる冷媒の蒸発温度よりも高い。蒸発器は、貯蔵空間に冷熱を供給するように構成され、かつ、低温段冷凍サイクル回路に設けられる低温段蒸発部と、高温段冷凍サイクル回路に設けられる高温段蒸発部と、を含む。
【0024】
具体的には、高温段冷凍サイクル回路30は、第1冷媒が流れるものであり、制御弁33、吸熱するための第1蒸発器35、高温段蒸発部36及び蒸発部37が内部に設けられている。第1蒸発器35及び高温段蒸発部36は、これらを流れる第1冷媒の吸熱を促進し、また、第1貯蔵室21及び第2貯蔵室22に冷熱を供給する。高温段冷凍サイクル回路30は、高温段圧縮機31と高温段凝縮装置32をさらに含む。低温段冷凍サイクル回路40は第2冷媒が流れるものであり、凝縮部42と低温段蒸発部44が内部に設けられている。これらのうち、低温段蒸発部44は、これを流れる第2冷媒の吸熱を促進し、また、第2貯蔵室22に冷熱を供給する。低温段冷凍サイクル回路40は低温段圧縮機41をさらに含む。すなわち、高温段冷凍サイクル回路30は、高温段圧縮機31、高温段凝縮装置32、制御弁33、蒸発部37、第1蒸発器35、及び高温段蒸発部36を含んでもよい。低温段冷凍サイクル回路40は、低温段圧縮機41、凝縮部42、低温段蒸発部44を含んでもよい。蒸発部37は、これを流れる第1冷媒が温段冷凍サイクル回路40内の凝縮部42を流れる第2冷媒の熱を吸収することを促進する。第1冷媒及び第2冷媒は同じ冷媒、例えばR600aであってもよく、異なる冷媒であってもよい。
【0025】
本発明の実施例の冷蔵庫では、高温段冷凍サイクル回路30内には第1蒸発器35と高温段蒸発部36が設けられている。第1蒸発器35と高温段蒸発部36は、それぞれ第1貯蔵室21及び第2貯蔵室22に冷熱を供給し、低温段冷凍サイクル回路40内には第2貯蔵室22に冷熱を供給する低温段蒸発部44が設けられている。高温段冷凍サイクル回路30の能力量の利用効率を高め、かつ、冷蔵庫の複数の貯蔵室に同時に冷熱を供給することができ、冷蔵庫の冷凍効率を高める。高温段蒸発部36と低温段蒸発部44は、いずれも第2貯蔵室22に冷熱を供給することができ、これによって、冷蔵庫の単一の貯蔵室に複数の温度帯の機能を付与し、すなわち第2貯蔵室22に異なる冷凍効果を付与し、様々な冷凍の需求を持たし、第2貯蔵室22の温度帯範囲を広げ、つまり、冷蔵庫に深冷機能を持たせるとともに、通常の冷凍による省エネの需求を満たすことができる。
【0026】
さらに、制御弁33の入口は、高温段凝縮装置32の出口に連通してもよい。制御弁33は、第1出口と第2出口を有し、第1蒸発器35の入口は第1出口に連通し、高温段蒸発部36の入口は第2出口に連通している。高温段蒸発部36の出口は第1蒸発器35の入口に連通し、蒸発部37の入口は第1蒸発器35の出口に連通している。別のいくつかの実施例では、高温段蒸発部36の出口は蒸発部37の入口に連通し、蒸発部37の出口は第1蒸発器35の入口に連通している。制御弁33は切り替え弁であってもよく、高温段冷凍サイクル回路30における各蒸発器及び蒸発部37の配置位置によって、常温冷凍の場合の各蒸発器の冷凍効率が確保され、冷蔵庫のエネルギー効率が向上し、省エネ効果が明らかである。制御弁33は第3出口を有し、第3出口は蒸発部37の入口に連通している。これによって、蒸発部37を単独で作動させたり、蒸発部37と第1蒸発器35を作動させるが、高温段蒸発部36を作動させなかったりすることができ、深冷効率を高める。さらに、高温段冷凍サイクル回路30は第2蒸発器38をさらに含み、第2蒸発器38は第3出口と蒸発部37との間に設けられ、第2蒸発器38は第3貯蔵室23に冷熱を供給する。蒸発部37は作動するときに、第3貯蔵室23をも冷凍し、これによって、高温段冷凍サイクル回路30の作動効率が高まり、エネルギー効果が明らかである。第1蒸発器35の入口と第1出口との間に第1絞り装置341が設けられており、高温段蒸発部36の入口と第2出口との間に第2絞り装置342が設けられ、第2蒸発器38の入口と第3出口との間に第3絞り装置343が設けられる。
【0027】
本発明のいくつかの実施例では、第1貯蔵室21と第2貯蔵室22は冷蔵庫の横方向の延伸方向に並設され、第3貯蔵室23は第1貯蔵室21と第2貯蔵室22の上方に設けられる。第1貯蔵室21は冷凍室であってもよく、第2貯蔵室22は複数の温度帯を有する多機能室であってもよく、第3貯蔵室23は冷藏室であってもよい。このような構成によれば、貯蔵室のレイアウトがより合理的になり、所望の物品の出し入れがより容易になる。
【0028】
本発明のいくつかの実施例では、
図2、
図3、
図4に示すように、冷蔵庫は、気流が蒸発器を流れて、第2貯蔵室22に入ることを促進する送風装置50をさらに含む。さらに、高温段蒸発部36は第1冷熱供給蒸発管を含み、低温段蒸発部44は第2冷熱供給蒸発管を含み、第1冷熱供給蒸発管及び第2冷熱供給蒸発管は同一のフィン群に貫設されている。高温段蒸発部36は低温段蒸発部44の上部に設けられてもよい。さらに、箱体20では、第2貯蔵室22の後側の対応する位置に高温段蒸発部36と低温段蒸発部44を配置するための第1冷凍室24がさらに設けられてもよく、第1冷凍室24は第1送風構造を介して第2貯蔵室22に連通することで、第1送風構造によって第2貯蔵室22へ冷凍気流を供給する。
【0029】
図2~
図4に示すように、高温段蒸発部36及び低温段蒸発部44を備える蒸発器は、2つの入口と2つの出口を有する上下構造型の二重流路蒸発器であってもよい。冷蔵庫が正常運転に設定されている場合、高温段冷凍サイクル回路30は運転し、上部の高温段蒸発部36は冷凍し、このとき、蒸発器は下部の蒸発器フィンを共用するので、熱交換面積が大きく、熱交換効率が高い。冷蔵庫が深冷運転に設定されている場合、下部の低温段蒸発部44は接続され、深冷システムは作動し、下部の蒸発器は降温し、これらの両方は上部の蒸発器フィンを共用するので、熱交換面積が大きく、熱交換効率が高い。このように蒸発器が上下に配列された構造によっても、熱交換が均一になる。蒸発器の熱交換面積の利用率を確保し、二重流路蒸発器のサイズを小さくし、また熱交換を均一にし、管路の分布の均一性を確保し、ダクトシステムと冷凍ファンとを組み合わせることにより、常温冷凍と深冷冷凍との2つの機能を実現しつつ、通常冷凍時の省エネ化の目的を達成させる。
【0030】
本発明のいくつかの実施例では、
図1及び
図5に示すように、箱体20では、第1貯蔵室21の後側の対応する位置には、第1蒸発器35を配置するための第2冷凍室がさらに形成されいる。第2冷凍室は、第2送風構造52を介して第1貯蔵室21に連通することで、第2送風構造52によって第1貯蔵室21に冷凍気流を供給する。箱体20では、第3貯蔵室23の後側の対応する位置には、第2蒸発器38を配置するための第3冷凍室が形成されており、第3冷凍室は第3送風構造を介して第3貯蔵室23に連通することで、第3送風構造によって第3貯蔵室23に冷凍気流を供給する。第1送風構造は、第1冷凍室24と第2貯蔵室22との間に設けられ、第1送風構造の後側面に吹き込み口が設けられ、送風装置50は吹き込み口に設けられる。第1送風構造の前側面に複数の送風口54が設けられ、第1送風構造51内には送風ダクト55が設けられる。第1送風構造の下方には還気ダクト56が設けられて、蒸発器が底部から送風し上部から吹き出すようにしてもよい。第2送風構造及び第3送風構造はいずれも第1送風構造51と類似している。
【0031】
図2に示すように、高温段蒸発部36の出口管には、高温段蒸発部36からの冷媒の一方向流出だけを可能にする弁が設けられる。該弁は一方向弁39であってもよく、一方向弁39は一方向弁39の下流にある第1冷媒が逆方向に通過することを防止することができる。低温段圧縮機41が運転するときに、低温段蒸発部44の温度が極めて低い。高温段蒸発部36と低温段蒸発部44との間の距離が小さいので、高温段蒸発部36の管路の温度も低く、さらに高温段冷凍サイクル回路30のうち高温段蒸発部36の下流にある他の蒸発器の温度よりも低い。該弁は高温段蒸発部36の下流にある他の冷熱供給蒸発器内の第1冷媒が高温段蒸発部36の排出口から高温段蒸発部36内に流入することを回避し、高温段冷凍サイクル回路30内の第1冷媒の逆方向の流動を回避し、第1冷媒の有効な流通量を確保し、全体の冷凍効率を高めることができる。
【0032】
R600aを例にして、冷媒温度が-50℃である場合、圧力が約0.017Mpaであり、一方、R600aの圧縮機吸気圧力が約0.06Mpaであり、高温段蒸発部36側の圧力が高温段圧縮機31の吸気圧力よりも低くなる。これによって、高温段冷凍サイクル回路は徐々に高温段蒸発部36内に集まり、高温段冷凍サイクル回路の冷媒は徐々に減少し、冷凍不良が発生してしまう。一方向弁39は冷媒が逆流して高温段蒸発部36内に集まり、冷凍不良を引き起こすことを回避できる。一方向弁39によっては、制御プロセラムで弁体の作動を調整することなく、低温による冷媒の集まりの問題を回避することができ、よって、構造が簡単であり、操作性が高い。
【0033】
高温段凝縮装置32は凝縮器と防露管を含んでもよい。低温段冷凍サイクル回路40は低温段凝縮装置45と低温段絞り装置43をさらに含む。高温段凝縮装置32の入口は高温段圧縮機31の出口に連通し、蒸発部37の出口は第1蒸発器35の入口に連通し、第1蒸発器35の出口は高温段圧縮機31の入口に連通する。低温段圧縮機41の出口は低温段凝縮装置45の入口に連通し、低温段凝縮装置45の出口は凝縮部42の入口に連通し、凝縮部42の出口は低温段絞り装置43に連通し、低温段絞り装置43の出口は低温段蒸発部44の入口に連通し、低温段蒸発部44の出口は低温段圧縮機41の入口に連通する。
【0034】
いくつかの好適な実施例では、凝縮部42及び蒸発部37は凝縮蒸発器を構成してもよい。凝縮蒸発器は二重管式熱交換器であってもよい。別のいくつかの実施例では、凝縮部42と蒸発部37は互いに密着している2本の銅管であってもよい。2本の銅管は互いに密着して配置される。2本の銅管の間の接触部位は、熱伝達を増強するために、はんだ付けで固定されてもよい。2本の銅管の外部にはアルミ箔が被覆されてもよい。別のいくつかの好適な実施例では、凝縮部42と蒸発部37は熱交換フィンを共用してもよい。蒸発部37と凝縮部42は第2冷凍室内に設けられる。もちろん、蒸発部37と凝縮部42は冷蔵庫の他の位置に設けられてもよい。
【0035】
本発明のいくつかの実施例では、箱体20内には、内部空間が貯蔵空間となる貯蔵室がさらに形成されている。本発明のいくつかの実施例では、冷凍システムは、高温段冷凍サイクル回路30と低温段冷凍サイクル回路40を含む他の構造のカスケード型圧縮冷凍システムであってもよい。例えば、蒸発器は低温段冷凍サイクル回路40に設けられる低温段蒸発部44のみを含む。
【0036】
図6に示すように、本発明の実施例はまた、冷蔵庫の除霜制御方法を提供する。冷蔵庫は、第1除霜加熱装置をさらに含み、第1除霜加熱装置は電気加熱ワイヤであってもよい。冷蔵庫の除霜制御方法は少なくともステップS602~ステップS604を含む。
【0037】
ステップS602:低温段蒸発部44が作動するときに、貯蔵空間内の温度を検出して、貯蔵空間の降温過程で温度が予め設定された温度範囲に達し、予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されているか否かを判断し、予め設定された温度範囲には第1予め設定された温度値が含まれている。予め設定された温度範囲内で保持されているとは、第1予め設定された温度値の付近で波動し、波動範囲が一般には2℃であることを意味し、第1予め設定された温度値が-60℃である場合、予め設定された温度範囲は-62℃~-58℃であってもよい。第1予め設定された温度値は、例えば-80℃~-50℃、例えば-60℃であってもよく、深冷温度は食材によって設定される。
【0038】
ステップS604:貯蔵空間の降温過程で温度が予め設定された温度範囲に達し、予め設定された温度範囲内で予め設定された時間だけ保持されている場合、第1除霜動作を含む除霜動作を開始して、一次除霜を行う。第1除霜動作は、低温段蒸発部44をオフにして、第1除霜加熱装置をオンにして、蒸発器を加熱することと、貯蔵空間内の温度を検出して、貯蔵空間の温度と第1予め設定された温度値との差が第1予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、貯蔵空間の温度と第1予め設定された温度値との差が第1予め設定された差よりも大きい場合、第1除霜動作を停止して、低温段蒸発部44をオンにすることと、を含む。第1予め設定された差は3℃~8℃、例えば5℃、3℃などであってもよい。除霜温度変化の限界値を設定し、除霜をタイムリーで繰り返して行うことができ、着霜時に生じる過度の温度上昇が食品の栄養保存に影響を与えることを回避しつつ、過剰な着霜により冷凍が影響を受けることを確実に回避することができ、これによって、できるだけ栄養を流失せずに食物を冷蔵庫に保存することが確保される。具体的には、
図7に示すように、食品保存に関する研究によれば、温度が-50℃を超えると、深冷保存食材の食感に悪影響を及ぼし、このため、深冷室の正常作動の場合に実現され得る温度が-60℃であるとすれば、除霜開始時に、第1除霜加熱装置は作動し、室の温度T
dfが5℃よりも大きく上昇すると、第1除霜加熱装置は作動を停止し、冷蔵庫は正常冷凍を持続し、例えば正常に深冷モードを持続する。
【0039】
本発明のいくつかの実施例では、冷蔵庫は第2除霜加熱装置をさらに含み、第2除霜加熱装置は電気加熱ワイヤであってもよい。除霜動作は第2除霜動作をさらに含み、かつ、冷蔵庫の除霜制御方法は、以下のステップをさらに含む。
除霜が終了するたびに次回の除霜開始までの低温段蒸発部44の作動時間を記録する。つまり、2回の除霜の間に低温段冷凍サイクル回路において貯蔵空間を冷凍する時間を記録する。次回の作動時間と前回の作動時間との間の比が予め設定された比以上であるか否かを判断し、予め設定された比値は1よりも大きい。好ましくは、予め設定された比は2、2.5、3などである。
【0040】
次回の作動時間と前回の作動時間との比が予め設定された比以上である場合、除霜動作を開始するときに、第2除霜動作を開始させ、それ以外の場合は、第1除霜動作を開始させる。
【0041】
第2除霜動作は、低温段蒸発部44をオフにし、少なくとも第2除霜加熱装置をオンにして、蒸発器を加熱することと、貯蔵空間内の温度を検出して、貯蔵空間の温度と第1予め設定された温度値との差が第2予め設定された差よりも大きいか否かを判断することと、貯蔵空間の温度と第1予め設定された温度値との差が第2予め設定された差よりも大きい場合、第2除霜動作を停止して、低温段蒸発部44をオンにすることと、を含む。第2予め設定された差は第1予め設定された差よりも大きい。第2予め設定された差は8℃~15℃、例えば10℃、12℃などであってもよい。
【0042】
例えば、いくつかの実施例では、第2除霜加熱装置の加熱電力は第1除霜加熱装置の加熱電力よりも大きく、かつ、第2除霜動作では、第2除霜加熱装置のみをオンにして、又は第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の両方をオンにして、蒸発器を加熱する。別のいくつかの実施例では、第2除霜加熱装置の加熱電力は第1除霜加熱装置の加熱電力以下であり、かつ、第2除霜動作では、第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の両方をオンにして、蒸発器を加熱する。
【0043】
さらに、深冷モードをオンにして低温段蒸発部44を作動させた後、かつ、第1除霜動作を少なくとも2回連続して行った後、次回の作動時間と前回の作動時間との比が予め設定された比以上であるか否かを判断する。
図8に示すように、貯蔵空間、すなわち深冷室では、正常作動サイクル(ドアが確実に閉じられない又は過剰な食材が貯蔵されるような特殊な条件を除く)において、深冷で正常に作動する3番目のサイクルから、以降のサイクルにおいて起動時間が前のサイクルの2倍以上であることが発生すれば、除霜が不十分であることにより冷凍時間が長くなるとデフォルトで判断し、この場合、増強除霜モードをオンにする。例えば、第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置が同時に作動する場合、室の温度T
dfが10℃よりも高く上昇すると、冷蔵庫は除霜を停止し、正常冷凍を持続する。
【0044】
本発明のいくつかの実施例では、冷蔵庫の除霜制御方法は、第2除霜動作を開始させる必要がある場合、今回と前回の第2除霜動作を開始させる時刻の時間間隔が予め設定された時間間隔以下であるか否かを判断するステップと、予め設定された時間間隔以下である場合、リマインド動作に入り、予め設定された時間間隔以下ではない場合、第2除霜動作を行うステップと、をさらに含む。予め設定された時間間隔は18h~30h、例えば24hであってもよい。さらに好ましくは、リマインド動作を送信するとともに、第2除霜動作を実行する。
【0045】
リマインド動作は、リマインド情報を送信することと、フィードバック命令を受信したか否かを判断し、具体的には、第2除霜動作を実行した後にフィードバック命令を受信したか否かを判断し、又は第2除霜動を実行せず、リマインド情報を送信する予め設定された時間内でフィードバック命令を受信したか否かを判断するステップと、フィードバック命令を受信した場合、フィードバック命令に従って対応する操作を実行することと、を含む。リマインド情報は、ユーザーがワンタッチ選択によって正常冷凍サイクルに切り替え、通常冷凍と正常除霜サイクルをオンにするように、冷蔵庫のディスプレイに深冷室切り替え機能を表示して、深冷室内の食品が時期切れになった旨をユーザーにリマインドすることであってもよい。もちろん、リマインド情報は他の情報であってもよい。さらに好ましくは、フィードバック命令を受信していない場合、後で除霜動作を行うときに、全て第2除霜動作を行う。
【0046】
本発明のいくつかの更なる実施例では、冷蔵庫は高温段冷凍サイクル回路30をさらに含み、蒸発器は高温段冷凍サイクル回路30に設けられる高温段蒸発部36を含む。フィードバック命令は、低温段蒸発部44を作動させる深冷モードを、高温段蒸発部36を作動させる通常冷凍モードに切り替えることを含む。さらに、いくつかの実施例では、フィードバック命令に従って、対応する操作を実行することは、第1除霜加熱装置及び/又は第2除霜加熱装置をオンにすることを含む。さらに、フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、第1除霜加熱装置及び/又は第2除霜加熱装置をオフにして、貯蔵空間内の温度に基づいて高温段蒸発部36を制御して、通常冷凍モードを行うことをさらに含む。つまり、貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、第1除霜加熱装置及び第2除霜加熱装置のうちのいずれか一方又は両方がオン状態であれば、オン状態の加熱装置をオフにする。例えば、フィードバック命令を受信した後に第1除霜加熱装置のみをオンにすれば、後で貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、第1除霜加熱装置をオフにする。一方、第2除霜加熱装置のみをオンにすれば、後で貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、第2除霜加熱装置をオフにし、第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置の両方をオンにすれば、後で貯蔵空間の温度が第2予め設定された温度値に上昇した場合、及び/又は、蒸発器の温度が第3予め設定された温度値に上昇した場合、第1除霜加熱装置と第2除霜加熱装置をオフにする。第1除霜加熱装置及び/又は第2除霜加熱装置をオンにする場合、追加の電量を消費せずに、深冷室を通常室に切り替えて温度を素早く上昇させることができる。
【0047】
本発明の別のいくつかの実施例では、フィードバック命令に従って対応する操作を実行することは、第1除霜加熱装置及び第2除霜加熱装置をオンにして、貯蔵空間の温度が第4予め設定された温度値に上昇した場合、第2除霜加熱装置をオフにし、貯蔵空間の温度が第5予め設定された温度値に上昇した場合、第1除霜加熱装置をオフにし、貯蔵空間内の温度に基づいて高温段蒸発部36を制御して、通常冷凍モードを行うことを含む。第5予め設定された温度値は第4予め設定された温度値よりも高い。通常冷凍モードを行う過程で、対応する通常除霜動作を行う。
【0048】
本発明のいくつかの代替実施例では、当該時刻と前回の第2除霜動作を開始させる時刻との時間間隔が予め設定された時間間隔以下であるか否かを判断する際には、第2除霜動作を実行した後又は直接に、低温段蒸発部44を作動させる深冷モードを、高温段蒸発部36を作動させる通常冷凍モードに自動的に切り替えてもよい。
【0049】
本発明の実施例では、
図9及び
図10に示すように、24h内で二重加熱ワイヤが1回以上オンになった場合、二重加熱ワイヤが作動しても、除霜を十分に行うことができないことが示された。この場合、ユーザーがワンタッチ選択によって正常冷凍サイクルに切り替え、通常冷凍+正常除霜サイクルをオンにするように、冷蔵庫のディスプレイに深冷室切り替え機能(深冷室内の食品が期間切れになった旨をユーザーにリマインド)を通知する。
図10に示すように、ユーザーが正常冷凍サイクルに切り替えることを選択すれば、第1除霜加熱装置はオンになり、貯蔵空間内の温度の上昇が促進され、また、除霜の役割を果たす。正常室温度冷凍の場合は、除霜には課題がない。リマインドしていても、ユーザーが正常冷凍モードへの切り替えを選択しない場合、正常な冷凍に影響しないように、
図9に示すように、除霜を十分に行うために、除霜回数を増やす制御対策や増強除霜モードで除霜してもよい。
【0050】
以上より、当業者が理解できるように、本明細書は本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明の開示内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの他の変形や修正は直接決定又は導出され得る。したがって、本発明の範囲はこれらの他の変形や修正をカバーするものとして理解、承認すべきである。