(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】アグリゲータ装置、電力調整方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240708BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240708BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240708BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240708BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240708BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H02J3/38 120
H02J3/14
H02J3/00 180
H02J13/00 311T
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022581156
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2021005538
(87)【国際公開番号】W WO2022172454
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 道彦
(72)【発明者】
【氏名】下尾 高廣
(72)【発明者】
【氏名】松崎 倫宏
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/139781(WO,A1)
【文献】特開2019-193402(JP,A)
【文献】特開2017-11988(JP,A)
【文献】特開2016-38795(JP,A)
【文献】特開2018-36961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
H02J 3/38
H02J 3/14
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統を運用する系統事業者から、発電抑制指令を取得するとともに、
電力負荷を所有する需要家から、電力の需要量を増加させる上げDR(Demand Response)の可能量である上げDR可能量を取得する取得部と、
発電リソースのうち電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる制度が適用される再エネ発電リソースを所有する発電リソース所有者ごとに対して指示する発電抑制量と、前記需要家ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する際に、
少なくとも、前記再エネ発電リソースによる発電予測量と、前記買取価格の予測値と、前記再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コストと、前記発電抑制にともなって前記再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コストと、前記上げDR可能量と、前記上げDRを実施する前記需要家に対して支払うインセンティブと、前記発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティと、に基づいて、利益に関する所定条件を満たすように、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する演算部と、
前記演算部によって決定された前記発電抑制量に基づく制御指令を前記発電リソース所有者に送信するとともに、前記演算部によって決定された前記上げDR量に基づく制御指令を前記需要家に送信する送信制御部と、を備えるアグリゲータ装置。
【請求項2】
前記演算部は、さらに前記発電抑制指令を達成時に受け取るインセンティブに基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項3】
前記上げDRを実施した場合に前記需要家において増加する電気料金をアグリゲータが負担する場合、
前記演算部は、さらに前記電気料金の増加額に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記需要家から、前記再エネ発電リソースの発電抑制可能量を取得し、
前記演算部は、さらに前記再エネ発電リソースの前記発電抑制可能量に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項5】
前記発電リソースは、前記制度が適用されない非再エネ発電リソースを含み、
前記演算部は、さらに前記非再エネ発電リソースの発電コスト、発電抑制可能量、発電抑制にともなって前記非再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コストに基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項6】
前記発電抑制指令に応じて再エネ発電量を抑制した場合に補償金の受け取りがある場合に、
前記演算部は、さらに前記補償金の予測額に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項7】
前記演算部は、さらに予め定められた前記上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報として、前記上げDRの変更に対応するのに必要なリードタイム情報に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項7に記載のアグリゲータ装置。
【請求項9】
前記演算部は、前記発電予測量の下振れリスクを評価し、さらに前記下振れリスクに基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記買取価格の予測値の信頼性を評価し、さらに前記信頼性に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項11】
前記演算部は、前記発電抑制指令の対象となる時間帯で電力需要増加させることにともなって他の時間帯における電力需要減少による電気料金減少予測額を算出し、さらに前記電気料金減少予測額に基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項12】
前記上げDRの計画単位時間が、前記発電抑制指令の対象となる時間帯より短く、
前記演算部は、さらに前記上げDRの計画単位時間ごとの前記上げDR可能量と下げ調整単価とに基づいて、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項13】
前記上げDR可能量は、少なくとも、前記電力負荷の上げDR可能量と、前記電力負荷を所有する前記需要家ごとの電力売買契約に基づく電力使用量の上限値と、に基づいて決定される、請求項1に記載のアグリゲータ装置。
【請求項14】
電力系統を運用する系統事業者から、発電抑制指令を取得するとともに、
電力負荷を所有する需要家から、電力の需要量を増加させる上げDRの可能量である上げDR可能量を取得する取得ステップと、
発電リソースのうち電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる制度が適用される再エネ発電リソースを所有する発電リソース所有者ごとに対して指示する発電抑制量と、前記需要家ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する際に、
少なくとも、前記再エネ発電リソースによる発電予測量と、前記買取価格の予測値と、前記再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コストと、前記発電抑制にともなって前記再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コストと、前記上げDR可能量と、前記上げDRを実施する前記需要家に対して支払うインセンティブと、前記発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティと、に基づいて、利益に関する所定条件を満たすように、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する演算ステップと、
前記演算ステップによって決定された前記発電抑制量に基づく制御指令を前記発電リソース所有者に送信するとともに、前記演算ステップによって決定された前記上げDR量に基づく制御指令を前記需要家に送信する送信制御ステップと、を含む電力調整方法。
【請求項15】
コンピュータを、
電力系統を運用する系統事業者から、発電抑制指令を取得するとともに、
電力負荷を所有する需要家から、電力の需要量を増加させる上げDRの可能量である上げDR可能量を取得する取得部と、
発電リソースのうち電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる制度が適用される再エネ発電リソースを所有する発電リソース所有者ごとに対して指示する発電抑制量と、前記需要家ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する際に、
少なくとも、前記再エネ発電リソースによる発電予測量と、前記買取価格の予測値と、前記再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コストと、前記発電抑制にともなって前記再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コストと、前記上げDR可能量と、前記上げDRを実施する前記需要家に対して支払うインセンティブと、前記発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティと、に基づいて、利益に関する所定条件を満たすように、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する演算部と、
前記演算部によって決定された前記発電抑制量に基づく制御指令を前記発電リソース所有者に送信するとともに、前記演算部によって決定された前記上げDR量に基づく制御指令を前記需要家に送信する送信制御部と、して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アグリゲータ装置、電力調整方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統において、電力の需要と供給のバランス(以下、需給バランスともいう。)が崩れる可能性がある。例えば、電力系統に再エネ(再生可能エネルギー)発電リソース(太陽光発電装置等)が大量に接続されている場合、火力発電機など、従来需給調整の役割を担ってきた同期発電機の稼働率が相対的に低下するため、需給バランスが崩れる可能性が高くなりやすい。
【0003】
その一例として、需給調整可能な同期発電機の稼働台数と出力を最小限に抑えたとしてもなお大量接続された再エネの出力により系統全体の電力供給が電力需要より過多となるケースがあるが、その場合に需給バランスを維持する方法として、例えば、系統事業者が再エネ発電リソース所有者に対して発電抑制を要請する方法がある。発電抑制をすることで、需給バランスを維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、再エネ発電リソース所有者に対して発電抑制を実施すると、売電による利益の面で好ましくない場合がある。また、電力供給が電力需要より多い場合、再エネ発電リソース所有者に対して発電抑制を実施する以外に、電力需要を増やすという対応法もある。
【0006】
そこで、本発明の実施形態の課題は、電力供給が電力需要より多い場合に、需給のバランスを維持するとともに利益面を改善することができるアグリゲータ装置、電力調整方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のアグリゲータ装置は、電力系統を運用する系統事業者から、発電抑制指令を取得するとともに、電力負荷を所有する需要家から、電力の需要量を増加させる上げDRの可能量である上げDR可能量を取得する取得部と、発電リソースのうち電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる制度が適用される再エネ発電リソースを所有する発電リソース所有者ごとに対して指示する発電抑制量と、前記需要家ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する際に、少なくとも、前記再エネ発電リソースによる発電予測量と、前記買取価格の予測値と、前記再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コストと、前記発電抑制にともなって前記再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コストと、前記上げDR可能量と、前記上げDRを実施する前記需要家に対して支払うインセンティブと、前記発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティと、に基づいて、利益に関する所定条件を満たすように、前記発電抑制量と前記上げDR量とを決定する演算部と、前記演算部によって決定された前記発電抑制量に基づく制御指令を前記発電リソース所有者に送信するとともに、前記演算部によって決定された前記上げDR量に基づく制御指令を前記需要家に送信する送信制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電力調整システムの概要構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態における上げDR関連情報を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態における発電予測量の確率密度関数を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施形態における電力市場価値の予測値の確率密度関数を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施形態における負荷関連情報を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態における需要家関連情報を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の電力調整システムにおける各構成の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態のアグリゲータ装置を含む電力調整システム、電力調整方法及びプログラムについて説明する。なお、以下の説明において、「系統」は電力系統を意味する。また、「需要家」は電力需要家を意味する。また、「負荷」は電力負荷を意味する。
【0010】
また、DR(Demand Response)とは、電力の需給バランスをとるために、需要家による電力消費量を調整することをいう。そして、需要家の電力消費量の低減によって電力需要を引き下げるDRを「下げDR」と称する。また、需要家の電力消費量の増加によって電力需要を引き上げるDRを「上げDR」と称する。また、DRに応じた需要家に与えられる報奨(例えば金銭)を、インセンティブと称する。
【0011】
また、発電抑制に応じなかった発電リソース所有者に課せられる弁済金を「ペナルティ」と称する。なお、インセンティブ、ペナルティの有無や有る場合の金額の算出法などはそのときの制度次第である。
【0012】
また、再エネ発電リソースによって生成された電力は、FIT(Feed-in Tariff)制度やFIP(Feed-in-Premium)制度などによって、電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる場合が多い。買取価格と電力市場価格との差額は、例えば、いわゆる、プレミアムや環境価値価格などである。そして、制度次第で、当該差額は、発電計画提出後に発電抑制指令が出された場合、抑制した電力分については補償金として支払われる可能性がある。また、その補償金が支払われる場合、差額の満額のときだけでなく一部のときもありえる。以下では、その補償金についても考慮する。
【0013】
図1は、実施形態の電力調整システムSの概要構成を示すブロック図である。電力調整システムSは、系統事業者システム1と、発電事業者システム2と、需要家システム3と、アグリゲータ装置4と、を備える。
【0014】
系統事業者システム1は、電力系統を運用して商用電力を供給する系統事業者によって運用されるシステムである。系統事業者システム1は、例えば、電力系統において電力供給が電力需要より多い場合、需給バランスを維持するために、アグリゲータ装置4に対して発電抑制を要請する。
【0015】
発電事業者システム2は、発電電力を供給する発電事業者(発電リソース所有者)によって運用されるシステムである。発電事業者システム2は、再エネ発電リソース21と、非再エネ発電リソース22と、を備える。
【0016】
再エネ発電リソース21は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱等)を用いた発電リソースである。また、再エネ発電リソース21は、電力市場価格よりも高値の買取価格で買取りされる制度(以下、「買取制度」ともいう。)が適用される。
【0017】
非再エネ発電リソース22は、非再生可能エネルギー(原子力、石油などの同期発電機など)に加え、FITやFIPが適用されない、あるいはプレミアムを付した買取期間が終了した再生可能エネルギーを含んでもよい。非再エネ発電リソース22は、買取制度が適用されない。
【0018】
需要家システム3は、複数の需要家(発電リソース所有者)それぞれによって運用されるシステムである。需要家システム3は、電力負荷31と、蓄電池32と、再エネ発電リソース33と、を備える。
【0019】
電力負荷31は、電力を消費する装置や機器である。
【0020】
蓄電池32は、充放電を繰り返して使用できる電池で、二次電池やバッテリともいう。
【0021】
再エネ発電リソース33は、再生可能エネルギーを用いた発電リソースである。再エネ発電リソース33は、買取制度が適用される。
【0022】
アグリゲータ装置4は、アグリゲータによって運用される装置(例えば、PC(Personal Computer))である。アグリゲータ装置4は、例えば、需要家の電力消費量予測や再エネ発電リソース21や再エネ発電リソース33の発電量予測等に基づいて、需要家の受電電力のピーク低減や消費電力の時間シフト等を行い、需要家の電気料金を低減させるとともに、需給バランス維持に貢献する。
【0023】
つまり、アグリゲータは、電力系統の需給バランス維持の責任を負う。一方で、発電抑制指令に応じて発電量を抑制した場合、売電量が低下して利益が減少する。しかし、発電抑制指令を無視した場合は、系統事業者からペナルティを課せられる制度となる可能性もある。
【0024】
そこで、発電量過多が予測されるときに需給バランスを維持する場合に、発電量の抑制だけではなく電力需要を増大させることも考えることが好ましい。加えて、再エネ発電リソースによる発電電力はFIT制度やFIP制度により電力市場価格よりも高値で買取りされる。
【0025】
したがって、アグリゲータは、発電量過多が予測される場合に、管下の契約者(需要家、再エネ発電事業者)の再エネ発電量を抑制させるだけではなく、電力需要を増大させることにより、電力系統の需給バランス維持に貢献しつつ、大まかには『発電抑制指令に応じず発電した再エネ売電額―電力需要増大による買電額』を利益とする機会がある。
【0026】
そこで、以下において、電力供給が電力需要より多い場合に、需給バランスを維持するとともに利益面を改善する技術について説明する。
【0027】
アグリゲータ装置4は、処理部41と、記憶部42と、入力部43と、表示部44と、通信部45と、を備える。
【0028】
記憶部42は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等によって実現され、各種情報を記憶する。記憶部42は、例えば、演算用データ421と、目的関数422と、演算結果423と、を記憶する。
【0029】
演算用データ421は、演算部412によって算出された各種データや、外部装置(系統事業者システム1、発電事業者システム2、需要家システム3等。以下同様)から取得したデータで、例えば、以下の(1)~(15)のデータである。
【0030】
(1)再エネ発電リソース(再エネ発電リソース21、33)による発電予測量(例えば演算部412によって算出)
(2)再エネ発電リソースによる発電電力の買取価格の予測値(例えば外部装置から取得)
【0031】
(3)再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コスト(例えば、演算部412によって再エネ発電リソースの種類(太陽光発電装置、バイオマス発電装置など)ごとに所定の計算式により算出)
(4)発電抑制にともなって再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コスト(例えば再エネ発電リソースの種類(太陽光発電装置、バイオマス発電装置など)ごとに予め用意したデータ)
【0032】
(5)電力の需要量を増加させる上げDRの可能量である上げDR可能量(例えば、需要家システム3から取得。需要家システム3では、例えば、電力負荷31の上げDR可能量と、電力売買契約に基づく電力使用量の上限値と、に基づいて決定。また、例えば、蓄電池32の充電可能な残量や、ヒートポンプの蓄熱可能な残量や、工場の生産ライン等の増産可能量などによって決定)
(6)上げDRを実施する需要家に対して支払うインセンティブ(例えば演算部412によって所定の計算式と上げDR量に基づいて算出)
【0033】
(7)発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティ(例えば演算部412によって所定の計算式により算出)(以下、「未達ペナルティ」ともいう。)
(8)上げDRを実施した場合に需要家において増加する電気料金をアグリゲータが負担する場合の電気料金の増加額(例えば演算部412により算出)
【0034】
(9)再エネ発電リソースの発電抑制可能量(例えば発電事業者システム2や需要家システム3から取得。例えば、再エネ発電リソースの出力変化速度や最大出力、最低出力等の特性を鑑みて設定される)
(10)非再エネ発電リソースの発電コスト、発電抑制可能量(例えば発電事業者システム2から取得。例えば、非再エネ発電リソースの出力変化速度や最大出力、最低出力等の特性を鑑みて設定される)、および非再エネ発電リソースを停止してから再起動させる場合のコストである起動停止コスト
(11)発電抑制指令に応じて再エネ発電量を抑制した場合に補償金の受け取りがある場合の補償金の予測額(例えば演算部412により算出)
【0035】
(12)上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報(例えば、上げDRの変更に対応するのに必要なリードタイム情報)(詳細は後述(
図2))
(13)発電予測量の下振れリスク(詳細は後述(
図3))
(14)買取価格の予測値の信頼性(詳細は後述(
図4))
【0036】
(15)発電抑制指令の対象となる時間帯で電力需要増加させることにともなって他の時間帯における電力需要減少による電気料金減少予測額(例えば演算部412により算出)
【0037】
目的関数422は、演算部412が発電事業者システム2や需要家システム3ごとに対して指示する発電抑制量と、需要家システム3ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する際に使用する目的関数である(詳細は後述)。
【0038】
また、演算用データ421は、
図2~
図6に示す各情報も含む(詳細は後述)。
【0039】
演算結果423は、演算部412によって実行された発電抑制量と上げDR量の最適配分計算等の演算の結果である。
【0040】
処理部41は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって実現され、各種演算処理を実行する。処理部41は、例えば、機能部として、取得部411と、演算部412と、送信制御部413と、表示制御部414と、を備える。
【0041】
取得部411は、系統事業者システム1、発電事業者システム2、需要家システム3などから各種情報を取得する。取得部411は、例えば、系統事業者システム1から発電抑制指令を取得する。また、取得部411は、発電事業者システム2から各発電リソースの発電量の変化可能量を取得する。また、取得部411は、需要家システム3から、上げDR可能量を取得する。
【0042】
演算部412は、各種演算を実行する。演算部412は、例えば、発電事業者システム2や需要家システム3ごとに対して指示する発電抑制量と、需要家システム3ごとに対して指示する上げDR量と、を決定する。その際に、演算部412は、少なくとも、再エネ発電リソース(再エネ発電リソース21、33)による発電予測量と、前記買取価格の予測値と、再エネ発電リソースによる発電抑制によって減少する発電コストと、起動停止コストと、上げDR可能量と、上げDRを実施する需要家に対して支払うインセンティブと、発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティと、に基づいて、利益に関する所定条件を満たすように、発電抑制量と上げDR量とを決定する。以下では、利益に関する所定条件を満たす場合の一例として、利益を最大化する場合について説明する。
【0043】
また、上げDRを実施した場合に需要家において増加する電気料金をアグリゲータが負担する場合、演算部412は、さらに電気料金の増加額に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【0044】
また、例えば、取得部411は、需要家システム3から再エネ発電リソース33の発電抑制可能量を取得したり、発電事業者システム2から再エネ発電リソース21の発電抑制可能量を取得したりしてもよい。その場合、演算部412は、さらに再エネ発電リソース21、33の発電抑制可能量に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【0045】
また、演算部412は、さらに発電事業者システム2の非再エネ発電リソース22の発電コスト、発電抑制可能量に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【0046】
また、発電抑制指令に応じて再エネ発電量を抑制した場合に補償金の受け取りがある場合に、演算部412は、さらに補償金の予測額に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【0047】
また、演算部412は、さらに予め定められた上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。その場合、例えば、演算部412は、上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報として、上げDRの変更に対応するのに必要なリードタイム情報に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定する。
【0048】
この点について、
図2を参照して説明する。
図2は、実施形態における上げDR関連情報を示す図である。負荷1~3のそれぞれに対して、上げDR変更所要時間と上げDR実施優先度が対応付けられている。上げDR変更所要時間は、上げDRがキャンセルされた場合にどれくらい前までにわかれば対応できるのかを示す時間(リードタイム情報)である。例えば、一般に、負荷が蓄電池32の場合は上げDR変更所要時間は短く、負荷が工場の生産ラインの場合は上げDR変更所要時間は長い。
【0049】
したがって、一例として、上げDR変更所要時間が短いほど、上げDR実施優先度を高く設定しておくことが好ましい。つまり、実施予定の上げDRがキャンセルになる場合があるので、上げDR変更所要時間が短くて上げDR実施優先度が高い電力負荷31から順番に上げDRの実施予定を設定することで、実施予定の上げDRのキャンセル時にも柔軟に対応できる。
【0050】
また、例えば、複数の負荷の上げDRのコストが同じ場合に、上げDR変更所要時間が短い負荷を優先するようにしてもよい。また、下げDR変更所要時間も合わせて設定する場合、上げDR変更所要時間と下げDR変更所要時間を別々に設定してもよい。また、上げDR変更所要時間が所定時間以下の負荷のみを上げDRの対象としてもよい。
【0051】
図1に戻って、演算部412は、再エネ発電リソースによる発電予測量の下振れリスクを評価し、さらにその下振れリスクに基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。ここで、
図3は、実施形態における発電予測量の確率密度関数を示すグラフである。
図3に示すように、発電予測量は、最尤値を有する確率密度関数として表すことができる。つまり、発電予測量は、各種要因に基づいて下振れリスクを含んでいる。
【0052】
したがって、発電予測量の下振れリスクも考慮して、発電抑制量と上げDR量とを戦略的に決定するのが有効である。例えば、発電予測量の下振れリスクが高い場合(例えば天気が悪い場合の太陽光発電量)は、上げDR量を小さく抑えたり、上げDRイベント自体をキャンセルしたりすることが有効な場合がある。
【0053】
図1に戻って、演算部412は、前記買取価格の予測値の信頼性を評価し、さらにその信頼性に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。なお、買取価格の予測値は、電力市場価格の予測値に基づいて決定できるので、買取価格の予測値の信頼性を評価することと、電力市場価格の予測値の信頼性を評価することは同等である。
【0054】
ここで、
図4は、実施形態における電力市場価値の予測値の確率密度関数を示すグラフである。
図4に示すように、電力市場価値の予測値は、最尤値を有する確率密度関数として表すことができる。
【0055】
そして、例えば、上げDRを実施した場合に需要家において増加する電気料金をアグリゲータが負担するという条件がないと、以下の状況を想定できる。例えば、上げDR量を大きくした場合、実際の電力市場価格(買取価格)が上振れすると利益が増加する要因となりえるが、実際の電力市場価格(買取価格)が下振れすると、利益が減少する要因となりえる。
【0056】
また、例えば、発電抑制量を大きくした場合、実際の電力市場価格(買取価格)が下振れすると利益が増加する要因(発電抑制による損失を抑制できる)となりえるが、実際の電力市場価格(買取価格)が上振れすると利益が減少する要因(発電抑制による損失が増大する)となりえる。
【0057】
したがって、利益減少のリスクを抑えたり、利益増加の可能性を増やしたり、その両方を考慮した期待値計算を行ったりなど、様々な戦略で、発電抑制量と上げDR量とを決定することができる。
【0058】
図1に戻って、演算部412は、発電抑制指令の対象となる時間帯で電力需要増加させることにともなって他の時間帯における電力需要減少による電気料金減少予測額を算出し、さらにその電気料金減少予測額に基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。つまり、上げDRは電力需要の前倒し(ピークシフト)の場合もあるので、後の時間の電力使用量(電気料金)が減少することも考慮することが有効である。
【0059】
また、上げDRの計画単位時間が、発電抑制指令の対象となる時間帯より短い場合が考えられる。その場合、演算部412は、さらに上げDRの計画単位時間ごとの上げDR可能量と下げ調整単価とに基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【0060】
ここで、
図5は、実施形態における負荷関連情報を示す図である。負荷関連情報では、負荷ごとに、30分単位の時間と、上げDR可能量と、V2単価(下げ調整単価)(またはF2コスト)と、が対応付けられている。このように、上げDRは30分を1コマとして計画、実施する。一方、発電抑制指令はもっと長い時間単位で計画、実施する。
【0061】
また、上述のように、上げDR可能量は、例えば、電力負荷の上げDR可能量と、電力負荷31を所有する需要家ごとの電力売買契約に基づく電力使用量の上限値と、に基づいて決定される。ここで、
図6は、実施形態における需要家関連情報を示す図である。需要家関連情報では、需要家ごとに、保有負荷と、契約電力(上限)(電力売買契約に基づく電力使用量の上限値)と、が対応付けられている。
【0062】
例えば、上げDR量を決定するときに、この契約電力(上限)を超えないようにしてもよい。その場合、契約電力(上限)を制約条件とする。また、この契約電力(上限)を超えたときのペナルティを考慮してもよい。その場合、そのペナルティも目的関数に入れる。
【0063】
図1に戻って、例えば、演算部412は、以下の式(1)のような目的関数F1を最小化することで、発電抑制量と上げDR量とを決定する。
【0064】
F1=Σ{発電抑制量・(発電単価+プレミアム(差額例)単価)-発電コスト+起動停止コスト}
+Σ(上げDRインセンティブ+電気料金増加額(アグリゲータ負担時))
+未達ペナルティ ・・・式(1)
【0065】
なお、比較のために、従来の発電抑制だけの場合の目的関数F2の例は、例えば、以下の式(2)の通りである。
【0066】
F2=Σ{発電抑制量・(発電単価+プレミアム(差額例)単価)-発電コスト+起動停止コスト}
+未達ペナルティ ・・・式(2)
【0067】
そして、目的関数F1の場合、設計変数は、発電抑制量と上げDR量である。また、B=F2-F1とすると、Bが正の場合、従来技術よりも利益が大きいことになる。また、そのBを、上げDRインセンティブの原資とすることができる。
【0068】
なお、この目的関数F1を最小化する計算を行う際、上述の(1)~(15)のデータや、
図2~
図6に示す情報を適宜使用することができる。
【0069】
送信制御部413は、各種情報を外部装置に送信する制御を行う。送信制御部413は、例えば、演算部412によって決定された発電抑制量に基づく制御指令を発電リソース所有者(発電事業者システム2、需要家システム3)に送信する。また、送信制御部413は、演算部412によって決定された上げDR量に基づく制御指令を需要家システム3に送信する。
【0070】
表示制御部414は、各種情報を表示部44に表示する。
【0071】
入力部43は、オペレータが各種操作入力を行う手段で、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等である。
【0072】
表示部44は、情報を表示する手段で、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル等である。
【0073】
通信部45は、外部装置と通信を行うための通信インターフェースである。
【0074】
次に、
図7を参照して、実施形態の電力調整システムSにおける各構成の処理の流れについて説明する。
図7は、実施形態の電力調整システムSにおける各構成の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0075】
まず、ステップS1において、系統事業者システム1は、アグリゲータ装置4に発電抑制指令を送信する。
【0076】
これを受けて、ステップS2において、アグリゲータ装置4の送信制御部413は、発電事業者システム2と需要家システム3に情報送信指令を送信する。発電事業者システム2には、例えば、各発電リソース(再エネ発電リソース21、非再エネ発電リソース22)の発電量の変化可能量の送信指令を送信する。また、需要家システム3には、例えば、上げDR可能量の送信指令を送信する。
【0077】
これを受けて、ステップS3において、発電事業者システム2は、アグリゲータ装置4に、各発電リソース(再エネ発電リソース21、非再エネ発電リソース22)の発電量の変化可能量を送信する。
【0078】
また、ステップS4において、需要家システム3は、アグリゲータ装置4に、上げDR可能量を送信する。
【0079】
次に、ステップS5において、アグリゲータ装置4は、各パラメータ(例えば、上述の(1)~(15)のデータや
図2~
図6の情報)について、処理部41の演算部412によって計算を行って得たり、処理部41の取得部411によって外部装置から取得したりする。
【0080】
次に、アグリゲータ装置4の演算部412は、発電抑制量と上げDR量の配分最適化計算を行う。つまり、演算部412は、上述の(1)~(15)のデータや
図2~
図6の情報等を用いて、上述の式(1)のような目的関数F1を最小化する計算を行うことで、発電抑制量と上げDR量とを決定する。
【0081】
次に、ステップS7において、アグリゲータ装置4の送信制御部413は、発電事業者システム2と需要家システム3に制御指令を送信する。例えば、ステップS6で決定された発電抑制量に基づく制御指令を、発電事業者システム2と需要家システム3に送信する。また、ステップS6で決定された上げDR量に基づく制御指令を、需要家システム3に送信する。
【0082】
これを受けて、ステップS8において、発電事業者システム2は、発電抑制量に基づく制御指令を用いて、再エネ発電リソース21による発電抑制制御を実施する。
【0083】
また、ステップS9において、需要家システム3は、発電抑制量に基づく制御指令を用いて、再エネ発電リソース33による発電抑制制御を実施する。また、需要家システム3は、上げDR量に基づく制御指令を用いて、電力負荷31や蓄電池32の電力使用制御を実施する。
【0084】
次に、ステップS10において、アグリゲータ装置4では、取得部411が外部装置から電力系統の電力使用実績等を収集し、演算部412がその電力使用実績等に基づいて精算処理等を実施する。
【0085】
このようにして、本実施形態の電力調整システムSによれば、電力供給が電力需要より多い場合に、アグリゲータ装置4によって、上述の(1)~(15)のデータや
図2~
図6の情報等を用いて、上述の式(1)のような目的関数F1を最小化する計算を行う。これにより、発電抑制量と上げDR量の最適配分を決定し、需給のバランスの維持に貢献するとともに利益面を改善することができる。
【0086】
また、例えば、発電抑制指令を未達成時に支払うペナルティがある場合は、そのペナルティも考慮することができる。
【0087】
また、上げDRを実施した場合に需要家において増加する電気料金をアグリゲータが負担する場合には、その電気料金の増加額も考慮することができる。
【0088】
また、再エネ発電リソースだけでなく、非再エネ発電リソースの発電コストや発電抑制可能量、起動停止コストも考慮することができる。
【0089】
また、発電抑制指令に応じて再エネ発電量を抑制した場合に補償金の受け取りがある場合、その補償金の予測額も考慮することができる。
【0090】
また、上げDR可能量ごとのキャンセルのしやすさの情報も考慮すれば、実施予定の上げDRのキャンセルにも柔軟に対応できる。
【0091】
また、例えば、再エネ発電リソース21や再エネ発電リソース33が太陽光発電装置の場合、天候等に応じた発電予測量の下振れリスクも考慮して、上げDR量を小さく抑えたり、上げDRイベント自体をキャンセルしたりすることで、発電量の低下に予め備えることができる。
【0092】
また、前記買取価格(電力市場価格)の予測値の信頼性も考慮すれば、利益減少のリスクを抑えたり、利益増加の可能性を増やしたり、その両方を考慮した期待値計算を行ったりなど、様々な戦略で、発電抑制量と上げDR量とを決定することができる。
【0093】
また、発電抑制指令の対象となる時間帯で電力需要増加させることにともなって他の時間帯における電力需要減少による電気料金減少予測額も考慮すれば、上げDRが電力需要の前倒し(ピークシフト)であるという実態に即して発電抑制量と上げDR量とをより適切に決定することができる。
【0094】
本実施形態のアグリゲータ装置4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるようにしてもよい。
【0095】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0096】
また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
例えば、上述の実施形態では、利益に関する所定条件を満たす場合の一例として、利益を最大化する場合について説明したが、これに限定されない。ほかに、利益が所定額以上となる場合等の他の条件であってもよい。
【0099】
また、アグリゲータ装置4と接続される各発電事業者システム2、各需要家システム3の全てが、実施形態において示した構成を全て有するものに限ったものではない。例えば、再エネ発電リソース21のみを有する発電事業者システム2や、再エネ発電リソース33を有さない需要家システム3なども含み得る。
【0100】
また、非再エネ発電リソースとしてコージェネレーション(熱電併給)システムを用いてもよい。
【0101】
また、発電抑制指令を達成時にインセンティブを受け取るという制度がある場合、アグリゲータ装置4の演算部412は、さらに発電抑制指令を達成時に受け取るインセンティブに基づいて、発電抑制量と上げDR量とを決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…系統事業者システム、2…発電事業者システム、3…需要家システム、4…アグリゲータ装置、21…再エネ発電リソース、22…非再エネ発電リソース、31…電力負荷、32…蓄電池、33…再エネ発電リソース、41…処理部、42…記憶部、43…入力部、44…表示部、45…通信部、411…取得部、412…演算部、413…送信制御部、414…表示制御部、421…演算用データ、422…目的関数、423…演算結果、S…電力調整システム