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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】バッテリ管理システムのための障害検出
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240708BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240708BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20240708BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
G01R31/396
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023005227
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2018149220の分割
【原出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2023056524
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】1713274.7
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500521843
【氏名又は名称】オーツー マイクロ, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グオシン・リ
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-206221(JP,A)
【文献】特表2012-519298(JP,A)
【文献】特開2013-140565(JP,A)
【文献】特開平06-284594(JP,A)
【文献】特開2013-097901(JP,A)
【文献】特開平05-107292(JP,A)
【文献】特開2009-180693(JP,A)
【文献】特開2012-235611(JP,A)
【文献】特開2009-254165(JP,A)
【文献】特開2009-264779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 - 10/48
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G01R 31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ管理システムであって、
バッテリパックの状態を検知する複数のセンサと、
前記センサに結合され、かつ検出結果を生成するために前記状態に基づいて前記バッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出する状態検出回路と、
前記センサに結合され、かつ前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出する障害検出回路とを備え、
前記障害検出回路が、前記バッテリパック内のバッテリセルの正端子におけるバッテリ電圧を受け取り、接続ノードを介して前記バッテリセルから供給電圧を受け取り、かつ前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の差に従って前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、検出回路を備え、前記バッテリパックが、前記バッテリセルの前記正端子と前記接続ノードとの間に結合される抵抗性コンポーネントを備え、前記抵抗性コンポーネントを流れる電流が前記バッテリ管理システムに給電する、
バッテリ管理システム。
【請求項2】
前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の前記差がしきい値よりも高い場合、前記検出回路が、前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生していると判定する、請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項3】
前記センサが、前記バッテリパックのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記障害検出回路が、前記バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視し、前記変化率と第1のしきい値との間の比較の結果に基づきかつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、第1の検出回路をさらに備える、請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項4】
前記第1の検出回路が、所定の時間間隔にわたって前記変化率が前記第1のしきい値よりも高いことを検出し、かつ前記状態検出回路が、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを検出した場合、前記第1の検出回路が、前記電流センサにおいて短絡が発生していると判定する、請求項3に記載のバッテリ管理システム。
【請求項5】
前記センサが、前記バッテリパックのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記バッテリパックが、前記バッテリ電流が流れることを可能にする放電スイッチを備え、
前記障害検出回路が、前記放電スイッチにわたるセンス電圧を監視し、前記センス電圧と第2のしきい値との間の比較の結果に基づきかつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、第2の検出回路をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ管理システム。
【請求項6】
前記第2の検出回路が、予め設定された時間間隔にわたって前記センス電圧が前記第2のしきい値よりも高いことを検出し、かつ前記状態検出回路が、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを検出した場合、前記第2の検出回路が、前記電流センサにおいて短絡が発生していると判定する、請求項5に記載のバッテリ管理システム。
【請求項7】
前記センサが、前記バッテリパックのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記バッテリパックが、前記電流センサの第1の端部と前記状態検出回路の第1の端子との間に結合される第1の抵抗器を備え、かつ前記電流センサの第2の端部と前記状態検出回路の第2の端子との間に結合される第2の抵抗器を備え、
前記障害検出回路が、第3の検出回路をさらに備え、前記第3の検出回路は、
前記第1の抵抗器を介して前記第1の端子から前記第1の端部に流れる第1の電流を生成し、
前記第2の抵抗器を介して第2の端子から前記第2の端部に流れる第2の電流を生成し、
前記第1の抵抗器における電圧を第3のしきい値と比較するとともに前記第2の抵抗器における電圧を第4のしきい値と比較することによって前記第1の端子および前記第2の端子において障害が発生しているかどうかを検出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ管理システム。
【請求項8】
前記第1の抵抗器および第2の抵抗器が実質的に同じ抵抗を有し、前記第1の電流および第2の電流が実質的に同じ電流レベルを有する、請求項7に記載のバッテリ管理システム。
【請求項9】
前記第3の検出回路が、前記第1の抵抗器における前記電圧が前記第3のしきい値よりも高いことを検出した場合、前記第3の検出回路が、前記第1の端子においてオープン回路が発生していると判定し、前記第3の検出回路が、前記第2の抵抗器における前記電圧が前記第4のしきい値よりも高いことを検出した場合、前記第3の検出回路が、前記第2の端子においてオープン回路が発生していると判定する、請求項7に記載のバッテリ管理システム。
【請求項10】
バッテリパックであって、
複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルの状態を検知する複数のセンサと、
前記複数のバッテリセルおよび前記センサに結合され、検出結果を生成するために前記状態に基づいて前記バッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出し、かつバッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、バッテリ管理システムとを備え、
前記バッテリ管理システムが、前記複数のバッテリセルの正端子におけるバッテリ電圧を受け取り、接続ノードを介して前記複数のバッテリセルから供給電圧を受け取り、かつ前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の差に従って前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、検出回路を備え、前記バッテリパックが、前記複数のバッテリセルの前記正端子と前記接続ノードとの間に結合される抵抗性コンポーネントを備え、前記抵抗性コンポーネントを流れる電流が前記バッテリ管理システムに給電する、
バッテリパック。
【請求項11】
前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の前記差がしきい値よりも高い場合、前記検出回路が、前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生していると判定する、請求項10に記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記センサが、前記複数のバッテリセルのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記バッテリ管理システムが、前記バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視し、前記変化率と第1のしきい値との間の比較の結果に基づきかつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、第1の検出回路をさらに備える、請求項10に記載のバッテリパック。
【請求項13】
所定の時間間隔にわたって前記変化率が前記第1のしきい値よりも高く、かつ前記バッテリ管理システムが、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを検出した場合、前記第1の検出回路が、前記電流センサにおいて短絡が発生していると判定する、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項14】
前記センサが、前記複数のバッテリセルのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記バッテリパックが、前記バッテリ電流が流れることを可能にする放電スイッチを備え、
前記バッテリ管理システムが、前記放電スイッチにわたるセンス電圧を監視し、前記センス電圧と第2のしきい値との間の比較の結果に基づきかつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する、第2の検出回路をさらに備える、
請求項10から13のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項15】
前記センサが、前記複数のバッテリセルのバッテリ電流を検知する電流センサを備え、
前記バッテリパックが、前記電流センサの第1の端部と前記バッテリ管理システムの第1の端子との間に結合される第1の抵抗器を備え、かつ前記電流センサの第2の端部と前記バッテリ管理システムの第2の端子との間に結合される第2の抵抗器を備え、
前記バッテリ管理システムが、第3の検出回路をさらに備え、前記第3の検出回路が、
前記第1の抵抗器を介して前記第1の端子から前記第1の端部に流れる第1の電流を生成し、
前記第2の抵抗器を介して第2の端子から前記第2の端部に流れる第2の電流を生成し、
前記第1の抵抗器における電圧を第3のしきい値と比較するとともに前記第2の抵抗器における電圧を第4のしきい値と比較することによって前記第1の端子および前記第2の端子において障害が発生しているかどうかを検出する、
請求項10から13のいずれかに記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ管理システムのための障害検出
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のバッテリパック100の回路図を示す。バッテリパック100は、バッテリセル102と、バッテリ管理システム(以下、BMS)104と、センス抵抗器RSENおよびサーミスタRTHMのようなセンサとを含む。センス抵抗器RSENは、バッテリセル102を流れる電流を示すセンス電圧VSENを生成する。サーミスタRTHMは、バッテリパック100内の温度を示す指示電圧VTHMを生成する。BMS104は、センサからの検知された情報、たとえばVSENおよびVTHMに基づいて、たとえば過電流状態、過温度状態、低温などからバッテリパック100を保護する。しかしながら、センサおよびBMS104が良好に接続されていない場合、またはセンサが故障している場合、BMS104は、センサから正しい情報を受信することができず、これは、バッテリパック100および/またはバッテリパック100によって給電されるシステム負荷を損傷される危険性が高い状態にする場合がある。
【0003】
加えて、BMS104は、マイクロコントローラユニット(MCU)、LEDディスプレイ、LDOなどのような内部機能ブロックおよび/または周辺機器に給電するために調整された出力を生成する電圧レギュレータ(図示せず)を含む。電圧レギュレータによって給電されるコンポーネントにおいて障害(たとえば、短絡)が発生した場合、それは、電圧レギュレータから過度の電流を引き出し、BMS104および/またはバッテリパック100を損傷するように熱を発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、状態センサおよびBMSにおける障害を検出する解決策が有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、バッテリ管理システムは、複数のセンサと、状態検出回路と、障害検出回路とを含む。センサは、バッテリパックの状態を検知する。状態検出回路は、検出結果を生成するために状態に基づいてバッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出する。障害検出回路は、バッテリパックにおいて障害が発生しているかどうかを検出する。センサは、バッテリパックのバッテリ電流を検知する電流センサを含む。障害検出回路は、バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視し、変化率としきい値との間の比較の結果に基づき、かつ検出結果に基づいて、電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する検出回路を含む。バッテリ管理システムは、バッテリパックの少なくとも1つの状態を検知するように構成される少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに結合され、検出結果を生成するためにバッテリパックの少なくとも1つの状態に基づいてバッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出するように構成される状態検出回路と、少なくとも1つのセンサに結合され、前記バッテリパックにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される障害検出回路とを備える。少なくとも1つのセンサは、バッテリパックのバッテリ電流を検知するように構成される電流センサを備える。障害検出回路は、バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視するように構成され、前記変化率と第1のしきい値との間の比較の結果に基づき、かつ検出結果に基づいて、電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される第1の検出回路を備える。
【0006】
第1の検出回路は、第1の検出回路が所定の時間間隔にわたって前記変化率が前記第1のしきい値よりも大きいことを検出し、かつ前記状態検出回路が、バッテリ電流が正常状態にあることを検出した場合、電流センサにおいて短絡が存在すると判定するように構成されてもよい。
【0007】
バッテリパックは、前記バッテリ電流が流れることを可能にするように構成される放電スイッチを備えてもよい。障害検出回路は、放電スイッチにわたるセンス電圧を監視し、前記センス電圧と第2のしきい値との間の比較の結果に基づき、かつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される第2の検出回路を備えてもよい。
【0008】
第2の検出回路は、前記第2の検出回路が予め設定された時間間隔にわたって前記センス電圧が前記第2のしきい値よりも大きいことを検出し、かつ前記状態検出回路が、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを検出した場合、電流センサにおいて短絡が発生していると判定するように構成されてもよい。
【0009】
バッテリパックは、前記電流センサの第1の端部と前記状態検出回路の第1の端子との間に結合される第1の抵抗器を備えてもよい。バッテリパックは、前記電流センサの第2の端部と前記状態検出回路の第2の端子との間に結合される第2の抵抗器を備えてもよい。障害検出回路は、前記第1の抵抗器を介して前記第1の端子から前記第1の端部に流れる電流を生成し、前記第2の抵抗器を介して前記第2の端子から前記第2の端部に流れる電流を生成するように構成される第3の検出回路を備えてもよい。第3の検出回路は、前記第1の抵抗器における電圧を第3のしきい値と比較し、前記第2の抵抗器における電圧を第4のしきい値と比較することによって、前記第1および第2の端子において障害が発生しているかどうかを検出するように構成されてもよい。
【0010】
前記第1および第2の抵抗器は、実質的に同じ抵抗を有してもよい。第1および第2の電流は、実質的に同一であってもよく、すなわち、実質的に同じ電流レベルを有してもよい。
【0011】
第3の検出回路は、前記第3の検出回路が前記第1の抵抗器における前記電圧が前記第3のしきい値よりも大きい場合、前記第1の端子においてオープン回路が発生していると判定するように構成されてもよい。第3の検出回路は、前記第3の検出回路が、前記第2の抵抗器における前記電圧が前記第4のしきい値よりも大きい場合、前記第2の端子においてオープン回路が発生していると判定するように構成されてもよい。
【0012】
少なくとも1つのセンサは、前記バッテリパック内の温度を示す指示電圧を生成するように構成される温度センサを備えてもよい。障害検出回路は、前記指示電圧を第5のしきい値と比較することによって、前記温度センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される第4の検出回路を備えてもよい。
【0013】
温度センサは、サーミスタを備えてもよい。第4の検出回路は、前記第4の検出回路が、指定された時間間隔にわたって前記指示電圧が前記第5のしきい値よりも低いことを検出した場合、前記サーミスタにおいて短絡が発生していると判定するように構成されてもよい。第4の検出回路は、前記第4の検出回路が、指定された時間間隔にわたって前記指示電圧が前記第5のしきい値よりも大きいことを検出した場合、前記サーミスタにおいてオープン回路が発生していると判定するように構成されてもよい。
【0014】
障害検出回路は、前記バッテリパック内のバッテリセルの正端子におけるバッテリ電圧を受け取るように構成される第5の検出回路を備えてもよい。第5の検出回路は、接続ノードを介して前記バッテリセルから供給電圧を受け取るように構成されてもよい。第5の検出回路は、前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の差に応じて、前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成されてもよい。バッテリパックは、前記バッテリセルの前記正端子と前記接続ノードとの間に結合される抵抗性コンポーネントを備えてもよい。バッテリ管理システムは、前記抵抗性コンポーネントを流れる電流が前記バッテリ管理システムに給電することができるように構成されてもよい。
【0015】
第5の検出回路は、前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の前記差が第7のしきい値よりも大きい場合、前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生していると判定するように構成されてもよい。
【0016】
一態様では、本発明は、
複数のバッテリセルと、
前記バッテリセルの少なくとも1つの状態を検知するように構成される少なくとも1つのセンサと、
バッテリ管理システムと
を備えるバッテリパックにある。バッテリ管理システムは、前記バッテリセルおよび前記少なくとも1つのセンサに結合される。バッテリ管理システムは、検出結果を生成するために、前記少なくとも1つの状態に基づいて前記バッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出するように構成される。バッテリ管理システムは、前記バッテリパックにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される。
【0017】
少なくとも1つのセンサは、前記バッテリセルのバッテリ電流を検知する電流センサを備える。バッテリ管理システムは、前記バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視するように構成される第1の検出回路を備える。第1の検出回路は、前記変化率と第1のしきい値との間の比較の結果に基づき、かつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される。
【0018】
第1の検出回路は、所定の時間間隔にわたって前記変化率が前記第1のしきい値よりも大きく、かつ前記バッテリ管理システムが、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを検出した場合、前記電流センサにおいて短絡が発生していると判定するように構成されてもよい。
【0019】
バッテリパックは、前記電流が流れることを可能にするように構成される放電スイッチを備えてもよい。バッテリ管理システムは、前記放電スイッチにわたるセンス電圧を監視し、前記センス電圧と第2のしきい値との間の比較の結果に基づき、かつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される第2の検出回路をさらに備えてもよい。バッテリパックは、前記電流センサの第1の端部と前記バッテリ管理システムの第1の端子との間に結合される第1の抵抗器を備えてもよい。バッテリパックは、前記電流センサの第2の端部と前記バッテリ管理システムの第2の端子との間に結合される第2の抵抗器を備えてもよい。バッテリ管理システムは、前記第1の抵抗器を介して前記第1の端子から前記第1の端部に流れる第1の電流を生成するように構成される第3の検出回路をさらに備えてもよい。第3の検出回路は、前記第2の抵抗器を介して前記第2の端子から前記第2の端部に流れる第2の電流を生成するように構成されてもよい。第2の検出回路は、前記第1の抵抗器における電圧を第3のしきい値と比較し、前記第2の抵抗器における電圧を第4のしきい値と比較することによって、前記第1および第2の端子において障害が発生しているかどうかを検出するように構成されてもよい。
【0020】
少なくとも1つのセンサは、前記バッテリパック内の温度を示す指示電圧を生成するように構成される温度センサを備えてもよい。バッテリ管理システムは、前記指示電圧を第5のしきい値と比較することによって、前記温度センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成される第4の検出回路をさらに備えてもよい。
【0021】
バッテリ管理システムは、前記バッテリセルの正端子におけるバッテリ電圧を受け取るように構成される第5の検出回路をさらに備えてもよい。第5の検出回路は、接続ノードを介して前記バッテリセルから供給電圧を受け取るように構成されてもよい。第5の検出回路は、前記バッテリ電圧と前記供給電圧との間の差に従って、前記バッテリ管理システムにおいて障害が発生しているかどうかを検出するように構成されてもよい。バッテリパックは、前記バッテリセルの前記正端子と前記接続ノードとの間に結合される抵抗性コンポーネントを備えてもよい。バッテリ管理システムは、前記抵抗性コンポーネントを流れる電流が前記バッテリ管理システムに給電するように構成されてもよい。
【0022】
一態様では、本発明は、バッテリパックにおける障害を検出するための方法にあり、前記方法は、
電流センサを使用して前記バッテリパックのバッテリ電流を検知するステップと、
検出結果を生成するために、前記バッテリパックの状態に基づいて前記バッテリパックが正常状態にあるかどうかを検出するステップと、
前記バッテリパックの端子における電圧の変化率を監視するステップと、
前記変化率と第1のしきい値との間の比較の結果に基づき、かつ前記検出結果に基づいて、前記電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するステップと
を備える。
【0023】
本方法は、所定の時間間隔にわたって前記変化率が前記第1のしきい値よりも大きく、前記検出結果が、前記バッテリ電流が前記正常状態にあることを示す場合、前記電流センサにおいて短絡が発生していると判定するステップをさらに備えてもよい。
【0024】
特許請求された主題の実施形態の特徴および利点は、以下の詳細な説明が進むにつれて、同様の数字が同様の部分を示す図面の参照時に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来のバッテリパックの回路図である。
図2A】本発明の一実施形態におけるバッテリパックの一例の回路図である。
図2B】本発明の一実施形態におけるバッテリ管理システムの一例の回路図である。
図3】本発明の一実施形態におけるバッテリパックに関する信号波形の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における検出回路の一例の回路図である。
図5A】本発明の一実施形態における検出回路の一例の回路図である。
図5B】本発明の一実施形態における検出回路の一例の回路図である。
図6】本発明の一実施形態における電流センサにおいて短絡が発生しているかどうかを検出するための方法の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における電流センサにおいて短絡が発生しているかどうかを検出するための方法の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態における電流センサに結合される検知ピンにおいてオープン回路が発生しているかどうかを検出するための方法の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態における電流センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出するための方法の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態におけるバッテリパックの一例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照する。本発明は、これらの実施形態に関連して説明されるが、それらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図していないことが理解されよう。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の要旨および範囲内に含まれてもよい代替形態、修正形態および等価物を包含することが意図される。
【0027】
さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が順番に記載されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施されてもよいことは、当業者によって理解されよう。他の例では、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、手順、コンポーネントおよび回路は、詳細には説明されていない。
【0028】
本発明による実施形態は、バッテリパックにおける障害を検出するための解決策を提供する。バッテリパック内の状態センサまたはバッテリ管理システム(BMS)における障害が検出された場合、バッテリパックおよび/またはバッテリパックによって給電されるシステム負荷を保護するために、障害を修復すること、欠陥のあるセンサを新しいセンサと交換すること、欠陥のあるBMSを新しいBMSと交換すること、欠陥のあるバッテリパックを新しいバッテリパックと交換することなどのような措置がとられることが可能である。結果として、バッテリパックおよび/またはシステム負荷が損傷する危険性が低減されることが可能である。
【0029】
図2Aは、本発明の一実施形態によるバッテリパック200の一例の回路図を示す。図2Aに示すようにバッテリパック200は、1つまたは複数のバッテリセル202と、バッテリ管理システム(BMS)204と、電流センサ258および温度センサ260のような状態センサとを含む。状態センサは、バッテリパック200の状態を検知することができる。BMS204は、検知された状態に基づいてバッテリパック200が正常状態にあるかどうかを検出する状態検出回路262を含む。BMS204はまた、状態センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出する障害検出回路264を含む。
【0030】
より具体的には、一実施形態では、電流センサ258、たとえばセンス抵抗器RSENは、バッテリ電流IBATを示すセンス電圧VSENを生成するためにバッテリセル202のバッテリ電流IBAT(たとえば充電電流または放電電流)を検知する。温度センサ260、たとえばサーミスタRTHMは、温度を示す指示電圧VTHMを生成するためにバッテリパック200内の温度を検知する。
【0031】
一実施形態では、BMS204は、ローパスフィルタ224を介して電流センサ258からセンス電圧VSENを受け取る電流検知ピンISPおよびISNを含む集積回路(IC)であることができる。状態検出回路262は、電流検知ピンIPSおよびISNからセンス電圧VSENを受け取り、センス電圧VSENに従って、バッテリ電流IBATが過電流(OC)しきい値よりも大きいかまたは小さいかを判定する。バッテリ電流IBATがOCしきい値よりも大きい場合、状態検出回路262は、バッテリ電流IBATがOC状態にあると判定する。バッテリ電流IBATがOCしきい値よりも小さい場合、状態検出回路262は、バッテリ電流IBATが正常状態にあると判定する。
【0032】
加えて、一実施形態では、BMS204は、温度センサ260から指示電圧VTHMを受け取る温度検知ピンPA0を含む。状態検出回路262は、温度検知ピンPA0から指示電圧VTHMを受け取り、バッテリパック200の温度状態を判定する。たとえば、温度センサ260は、負の温度係数を有するサーミスタRTHMを含み、予め設定された一定の電流がサーミスタRTHMを流れると、指示電圧VTHMは、温度が上昇した場合に低下し、温度が低下した場合に上昇する。したがって、指示電圧VTHMが過温度しきい値VOTよりも低い場合、状態検出回路262は、バッテリパック200が過温度状態にあると判定する。指示電圧VTHMが低温しきい値VUT(VUT>VOT)よりも高い場合、状態検出回路262は、バッテリパック200が低温状態にあると判定する。指示電圧VTHMが過温度しきい値VOTよりも高く、かつ低温しきい値VUTよりも低い場合、状態検出回路262は、バッテリパック200が正常温度状態にあると判定する。
【0033】
一実施形態では、BMS204はまた、バッテリパック200の正入力/出力端子PACK+における端子電圧VPACKを検知する電圧検知ピンVPACKを含む。加えて、BMS204は、バッテリパック200の放電スイッチQDSGのRDN(ON)抵抗にわたる電圧を受け取る検知ピンVSおよびVDを含んでもよい。言い換えれば、検知ピンVSおよびVDは、放電スイッチQDSG(たとえば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ;MOSFET)が線形(オーム)領域において動作するとき、たとえば完全にオンにされるとき、放電スイッチQDSGのドレイン-ソース電圧VDSを受け取ることができる。障害検出回路264は、センス電圧VSEN、ピンISPおよびISNにおける電圧、指示電圧VTHM、端子電圧VPACK、ならびに/またはドレイン-ソース電圧VDSに基づいて、状態センサにおいて障害が発生しているかどうかを検出することができる。たとえば、障害検出回路264は、センス電圧VSENおよび端子電圧VPACKの変化率、ならびに/またはドレイン-ソース電圧VDSに基づいて、電流センサ258において短絡が発生しているかどうかを検出することができる。障害検出回路264は、ピンISPおよびISNの電圧に基づいて、状態検出回路262と電流センサ258との間にオープン回路が発生しているかどうかを検出することができる。さらに、障害検出回路264は、指示電圧VTHMに基づいて、温度センサ260において短絡またはオープン回路が発生しているかどうかを検出することができる。障害検出についての詳細を以下のように提示する。
【0034】
図2Bは、本発明の一実施形態におけるBMS204の一例の回路図を示す。図2Bについて、図2A図3図4図5A図5B図6図7図8および図9と組み合わせて説明する。図2Bに示すようにBMS204は、制御論理回路226と、状態検出回路262'と、障害検出回路264'とを含む。状態検出回路262'は、検出回路212および216を含むことができる。障害検出回路264'は、検出回路208、218および214を含むことができる。
【0035】
一実施形態では、dVPACK/dt検出回路208および制御論理回路226の組み合わせ回路は、「第1の検出回路」と呼ばれることが可能であり、第1の検出回路は、電流センサ258内の短絡を検出することができる。一実施形態では、VRDS(ON)検出回路218および制御論理回路226の組み合わせ回路は、「第2の検出回路」と呼ばれることが可能であり、第2の検出回路は、電流センサ258内の短絡を検出することができる。一実施形態では、(VR1, VR2)検出回路214、電流生成回路220および222ならびに制御論理回路226の組み合わせ回路は、「第3の検出回路」と呼ばれることが可能であり、第3の検出回路は、ピンISPおよびISNのオープン回路を検出することができる。一実施形態では、VTHM検出回路216および制御論理回路226の組み合わせ回路は、「第4の検出回路」と呼ばれることが可能であり、第4の検出回路は、温度センサ260内の短絡および/またはオープン回路を検出することができる。
【0036】
一実施形態では、状態検出回路262'および制御論理回路226は、状態センサ258および260からの情報に基づいてバッテリパック200の状態を検出する上述した状態検出回路262を構成する。より具体的には、状態検出回路262'は、バッテリ電流(IBAT)検出回路212を含む。バッテリ電流検出回路212の一例が図4において示される。明確にするために、図2Aに示すローパスフィルタ224内のフィルタキャパシタは、図4には示されていない。図4の例では、バッテリ電流検出回路212は、比較結果230、たとえばデジタル論理信号を生成するために検知ピンISNおよびISP間の電圧差VISN-VISPを電圧しきい値VOCと比較する比較器452を含む。一実施形態では、比較結果230は、状態検出回路262'の「検出結果」と呼ばれることが可能である。電圧しきい値VOCは、バッテリ電流IBATのOCしきい値IOCを表すことができる。一実施形態では、図4に示すように電流生成回路220および222は、検知ピンISPおよびISNにおける電圧が、たとえばグランド電圧よりも高い正の電圧レベルを有し続けるように抵抗器R1およびR2を流れる電流I1およびI2を生成する。一実施形態では、抵抗器R1およびR2は実質的に同じ抵抗を有し、電流I1およびI2は実質的に同じ電流レベルを有する。したがって、電流I1およびI2がそれぞれ抵抗器R1およびR2を流れるとき、検知ピンISNおよびISP間の電圧差VISN-VISPは、電流センサ258にわたるセンス電圧VSENと実質的に等しく、比較結果230はまた、センス電圧VSENと電圧しきい値VOCとの間の比較の結果を表すことができる。制御論理回路226は、比較結果230に従って、バッテリ電流IBATがOC状態にあるかまたは正常状態にあるかを判定することができる。たとえば、比較結果230が、センス電圧VSENが電圧しきい値VOCよりも高くないことを示す場合、制御論理回路226は、バッテリ電流IBATがOCしきい値IOCよりも高くなく、正常状態にあると判定することができ、そうでなければ、制御論理回路226は、バッテリ電流IBATがOCしきい値IOCよりも高く、OC状態にあると判定することができる。
【0037】
一実施形態では、上述した「抵抗器R1およびR2は、実質的に同じ抵抗を有し」は、抵抗値の差が比較的小さく、無視できる限り、抵抗器R1およびR2間の抵抗値の差が許容されることを意味する。上述した「電流I1およびI2は、実質的に同じ電流レベルを有する」は、レベルの差が比較的小さく、無視できる限り、電流I1およびI2間のレベルの差が許容されることを意味する。
【0038】
図4の例では、バッテリ電流検出回路212は比較器452を含むが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態では、バッテリ電流検出回路212は、差動増幅器と、アナログ-デジタル変換器(ADC)とを含むことができる。増幅器およびADCは、電圧差VISN-VISP(またはセンス電圧VSEN)をバッテリ電流IBATを示すデジタル信号に変換することができる。制御論理回路226は、バッテリ電流IBATがOC状態にあるのかまたは正常状態にあるのかを判定するために、デジタル信号を(たとえば、電圧しきい値VOCを示す)基準と比較することができる。
【0039】
図2Bに戻ると、状態検出回路262'はまた、温度検出回路216を含むことができる。温度検出回路216は、温度センサ260における指示電圧VTHMをバッテリ温度を示すデジタル信号232に変換するADCを含むことができる。制御論理回路226は、バッテリ温度が正常温度状態にあるのか、過温度状態にあるのか、または低温状態にあるのかを判定するために、基準(たとえば、過温度しきい値VOTおよび低温しきい値VUTを示す)と比較することができる。
【0040】
一実施形態では、障害検出回路264'、温度検出回路216および制御論理回路226は、状態センサ258および260における障害を検出する上述した障害検出回路264を構成する。例として、障害検出回路264'は、バッテリパック200の正端子PACK+における端子電圧VPACK(たとえば、dVPACK/dtまたはΔVPACK/Δtによって表される)の変化率を監視する変化率(dVPACK/dt)検出回路208を含むことができる。制御論理回路226は、変化率検出回路208から変化率dVPACK/dtに関する情報238を取得し、かつ変化率dVPACK/dtを所定の第1のしきい値TH1と比較することができる。さらに、制御論理回路226は、変化率dVPACK/dtと第1のしきい値TH1との間の比較の結果に基づき、かつバッテリ電流検出回路212によって提供される検出結果230に基づいて、電流センサ258において障害が発生しているかどうかを検出することができる。一実施形態では、変化率dVPACK/dtは、負の値を有することができ、本明細書で使用される「変化率dVPACK/dt」は、変化率の絶対値|dVPACK/dt|を意味する。
【0041】
より具体的には、一実施形態では、バッテリパック200がシステム負荷に給電しているとき、バッテリ電流IBAT(たとえば、放電電流)は、システム負荷がより多くの電力を吸収する場合、増加することができ、システム負荷がより少ない電力を吸収する場合減少することができる。システムにおいて過負荷状態が発生した場合、またはバッテリパック200の端子PACK+と端子PACK-との間に短絡が発生した場合、バッテリ電流IBATは、急速に増加する場合がある。一実施形態では、バッテリセル202と正端子PACK+との間のPCB(プリント回路基板)トレース240は、寄生インダクタンス242と寄生抵抗244とを含む。加えて、バッテリセル202は内部抵抗246を含む。寄生インダクタンス242、寄生抵抗244、および内部抵抗246を流れるバッテリ電流IBATが急速に増加した場合、それは、寄生インダクタンス242、寄生抵抗244、および内部抵抗246にわたる電圧降下を急速に増加させる場合があり、これは、正端子PACK+における端子電圧VPACKの急速な低下をもたらす場合がある。一実施形態では、端子電圧VPACKの変化率dVPACK/dt(たとえば、減少率)が、所定の時間間隔ΔtPREにわたって第1のしきい値TH1よりも大きい場合、それはバッテリ電流IBATが過電流状態にあることを示すことができ、状態検出回路は、電流センサ258から比較的高いセンス電圧VSENを受け取ることによって過電流状態を検出することができる。しかしながら、電流センサ258が短絡した場合、状態検出回路は、比較的小さいセンス電圧VSEN(たとえば、ゼロボルト)を受け取り、バッテリ電流IBATが正常状態にあると判定してもよい。したがって、一実施形態では、上述した(たとえば、回路208および226を含む)第1の検出回路が所定の時間間隔ΔtPREにわたって変化率dVPACK/dtが第1のしきい値TH1よりも大きいことを検出し、かつ状態検出回路がバッテリ電流IBATが正常状態にあることを検出した場合、第1の検出回路は電流センサ258において短絡が発生していると判定する。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態におけるバッテリパック200のバッテリ電流IBATおよび端子電圧VPACKに関する信号波形の例を示す。図3について、図2Aおよび図2Bと組み合わせて説明する。図3に示すように波形302は、バッテリパック200のバッテリ電流IBAT、たとえば放電電流の一例を表し、波形304は、バッテリパック200の正端子PACK+における端子電圧VPACKの一例を表す。
【0043】
図3の例では、時間t0からt1まで、放電電流IBATは、比較的安定したレベルのままであり、端子電圧VPACKは、バッテリセル202の電圧VBATが低下するにつれてゆっくりと低下する。時間t1において、放電電流IBATは、急速に増加し(たとえば、過負荷状態、または端子PACK+とPACK-との間の短絡のため)、たとえば時間t2において、OCしきい値IOCよりも大きくなるように増加する。したがって、端子電圧VPACK(たとえば、波形304において実線306によって表される)は、第1のしきい値TH1(たとえば、波形304において破線TH1によって表される)よりも大きい割合で低下し、この状況は少なくとも所定の時間間隔ΔtPREにわたって続く場合がある。
【0044】
図2Bに戻ると、バッテリパック200は、バッテリ電流IBATが流れることを可能にする放電スイッチQDSGを含む。放電スイッチQDSG(たとえば、MOSFET)が線形(オーム)領域において動作するとき、たとえば完全にオンにされたとき、放電スイッチQDSGは、RDS(ON)抵抗を有し、RDS(ON)抵抗にわたるセンス電圧VRDS(ON)(たとえば、ドレイン-ソース電圧VDS)は、バッテリ電流IBATを表すことができる。一実施形態では、センス電圧VRDS(ON)が、予め設定された時間間隔にわたって所定の第2のしきい値TH2よりも高い場合、それはバッテリ電流IBATがOC状態にあることを示す。したがって、第2の検出回路(たとえば、VRDS(ON)検出回路218と制御論理回路226とを含む)は、放電スイッチQDSGにわたるセンス電圧VRDS(ON)を監視し、センス電圧VRDS(ON)と第2のしきい値TH2との間の比較の結果に基づき、かつ状態検出回路によって実行された検出の結果に基づいて、電流センサ258において障害(たとえば、短絡)が発生しているかどうかを検出することができる。例として、第2の検出回路が、センス電圧、予め設定された時間間隔にわたってVRDS(ON)が第2のしきい値TH2よりも高いことを検出し、状態検出回路が、バッテリ電流IBATが正常状態にあることを検出する、たとえば状態検出回路が、電流センサ258から比較的低いセンス電圧VSEN(たとえば、ゼロボルト)を受け取った場合、第2の検出回路は、電流センサ258において短絡が発生していると判定する。
【0045】
図5Aは、本発明の一実施形態による上述した第3の検出回路500Aの一例の回路図を示す。図5Aに示すように第3の検出回路500Aは、(VR1, VR2)検出回路214と、電流生成回路220および222と、制御論理回路226とを含む。図5Aについて、図2A図2B、および図4と組み合わせて説明する。
【0046】
図5Aに示すように第1の抵抗器R1(たとえば、図2Bにおけるローパスフィルタ224内の抵抗器)は、電流センサ258の第1の端部E1と状態検出回路の第1の端子ISPとの間に結合され、第2の抵抗器R2(たとえば、図2Bにおけるローパスフィルタ224内の抵抗器)は、電流センサ258の第2の端部E2と状態検出回路の第2の端子ISNとの間に結合される。電流生成回路220は、第1の抵抗器R1を介して第1の端子ISPから第1の端部E1に流れる第1の電流I1を生成し、電流生成回路222は、第2の抵抗器R2を介して第2の端子ISNから第2の端部E2に流れる第2の電流I2を生成する。一実施形態では、抵抗器R1およびR2は、比較的小さくすることができ、電流I1およびI2もまた比較的小さくすることができる。したがって、第1の端子ISPが第1の抵抗器R1を介して第1の端部E1に良好に接続されている場合、第1の抵抗器R1における電圧VR1は、比較的低く(たとえば、第3のしきい値TH3よりも低く)することができる。同様に、第2の端子ISNが第2の抵抗器R2を介して第2の端部E2に良好に接続されている場合、第2の抵抗器R2における電圧VR2は、比較的低く(たとえば、第4のしきい値TH4よりも低く)することができる。しかしながら、オープン回路が第1の端子ISPにおいて発生する(たとえば、状態検出回路が電流センサ258の第1の端部E1との接触不良を有する)場合、端子ISPにおける電圧VISPは、電源VPULLによってプルアップされることが可能であり、たとえばVISP=VPULLである。結果として、第1の抵抗器R1における電圧VR1は、第3のしきい値TH3よりも高くなるように上昇することができる。同様に、オープン回路が第2の端子ISNにおいて発生した場合、第2の抵抗器R2における電圧VR2は、第4のしきい値TH4よりも高くなるように上昇することができる。
【0047】
したがって、第3の検出回路は、第1の抵抗器R1における電圧VR1を所定の第3のしきい値TH3と比較し、かつ第2の抵抗器R2における電圧VR2を所定の第4のしきい値TH4と比較することによって、第1および第2の端子ISPおよびISNにおいて障害(たとえば、オープン回路)が発生しているかどうかを検出することができる。例として、図5Aに示す(VR1, VR2)検出回路214において、比較器570は、比較結果を示す出力228を生成するために電圧VR1を第3のしきい値TH3と比較し、比較器572は、比較結果を示す出力268を生成するために電圧VR2を第4のしきい値TH4と比較する。制御ロジック226は、出力228および268を受信する。出力228が、第1の抵抗器R1における電圧VR1が第3のしきい値TH3よりも高いことを示す場合、制御ロジック226は、第1の端子ISPにおいてオープン回路が発生していると判定する。同様に、出力268が、第2の抵抗器R2における電圧VR2が第4のしきい値TH4よりも高いことを示す場合、制御ロジック226は、第2の端子ISNにおいてオープン回路が発生していると判定する。
【0048】
図5Bは、本発明の一実施形態による上述した第3の検出回路500Bの一例の回路図を示す。図5Bについて、図2A図2B図4および図5Aと組み合わせて説明する。
【0049】
図5Bの例では、上述した比較器570は、スイッチQ1(たとえば、MOSFET)と、電流生成回路520とを含む。第1の抵抗器R1は、第1の抵抗器R1における電圧VR1がスイッチQ1のゲート-ソース電圧を制御するようにスイッチQ1のゲート端子とソース端子との間に結合されることが可能である。一実施形態では、上述した第3のしきい値TH3は、スイッチQ1のターンオンしきい値を含む。第1の抵抗器R1における電圧VR1が第3のしきい値TH3よりも低い場合、スイッチQ1はオフにされ、出力228は論理ハイになることができる。第1の抵抗器R1における電圧VR1が第3のしきい値TH3よりも高い場合、スイッチQ1はオンにされ、出力228は論理ローになることができる。結果として、出力228の論理レベルは、第1の端子ISPにおいてオープン回路が発生しているかどうかを示すことができる。
【0050】
同様に、上述した比較器572は、スイッチQ2(たとえば、MOSFET)と、電流生成回路522とを含む。第2の抵抗器R2は、第2の抵抗器R2における電圧VR2がスイッチQ2のゲート-ソース電圧を制御するようにスイッチQ2のゲート端子とソース端子との間に結合されることが可能である。一実施形態では、上述した第4のしきい値TH4は、スイッチQ2のターンオンしきい値を含む。第2の抵抗器R2における電圧VR2が第4のしきい値TH4よりも低い場合、スイッチQ2は、オフにされ、出力268は、論理ハイになることができる。第2の抵抗器R2における電圧VR2が第4のしきい値TH4よりも高い場合、スイッチQ2はオンにされ、出力268は論理ローになることができる。結果として、出力268の論理レベルは、第2の端子ISNにおいてオープン回路が発生しているかどうかを示すことができる。
【0051】
図2Bに戻ると、一実施形態では、上述した第4の検出回路(たとえば、温度検出回路216と制御論理回路226とを含む)は、温度センサ260における指示電圧VTHMを温度しきい値TH5と比較することによって、温度センサ260(たとえば、サーミスタRTHM)において障害が発生しているかどうかを検出する。より具体的には、上述したように一実施形態では、バッテリパック200が正常温度状態にあるとき、指示電圧VTHMは、過温度しきい値VOTよりも高く、低温しきい値VUT(VUT>VOT)よりも低い。サーミスタRTHMにおいて短絡が発生している場合、指示電圧VTHMは、たとえばゼロボルトによって、過温度しきい値VOTよりも低くなるように引き下げられることが可能である。したがって、第4の検出回路が、指定された時間間隔にわたって指示電圧VTHMが所定の温度しきい値TH5(たとえば、TH5<VOT)よりも低いことを検出した場合、第4の検出回路は、サーミスタRTHMにおいて短絡が発生していると判定する。一方、サーミスタRTHMにおいてオープン回路が発生した場合、指示電圧VTHMは、内部電圧によって、低温しきい値VUTよりも高くなるようにプルアップされることが可能である。したがって、第4の検出回路が、指定された時間間隔にわたって指示電圧VTHMが所定の温度しきい値TH6(たとえば、TH6>VUT)よりも高いことを検出した場合、第4の検出回路は、サーミスタRTHMにおいてオープン回路が発生していると判定する。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態による、電流センサ258において短絡が発生しているかどうかを検出するための方法の一例のフローチャート600を示す。図6について、図2A図2B図3および図4と組み合わせて説明する。特定のステップが図6において開示されるが、そのようなステップは、例示的な目的のための例である。すなわち、本発明による実施形態は、様々な他のステップ、または図6に示すステップの変形を実行するのによく適している。一実施形態では、フローチャート600における動作は、上述した第1の検出回路(たとえば、変化率検出回路208と制御論理回路226とを含む)によって実行されることが可能である。
【0053】
例として、ステップ602において、変化率検出回路208は、バッテリパック200の正端子PACK+における端子電圧VPACKの変化率dVPACK/dtを監視し、変化率dVPACK/dtを示す信号238を生成する。
【0054】
ステップ604において、制御論理回路226は、変化率dVPACK/dtを第1のしきい値TH1と比較する。変化率dVPACK/dtが第1のしきい値TH1よりも大きい場合、フローチャート600はステップ606に進み、そうでなければフローチャート600はステップ602に戻る。
【0055】
ステップ606において、制御論理回路226が、所定の時間間隔ΔtPREにわたって変化率dVPACK/dtが第1のしきい値TH1よりも大きいことを検出した場合、フローチャート600はステップ608に進み、そうでなければフローチャート600はステップ604に戻る。
【0056】
ステップ608において、制御論理回路226は、バッテリ電流検出回路212から比較結果230を受信し、バッテリパック200においてOC状態が発生しているかどうかを判定する。制御論理回路226が、バッテリパック200においてOC状態が示されると判定した場合、フローチャート600はステップ612に進み、そうでなければフローチャート600はステップ610に進む。
【0057】
ステップ612において、制御論理回路226は電流センサ260において短絡が発生していないと判定する。
【0058】
ステップ610において、制御論理回路226は電流センサ260において短絡が発生していると判定する。
【0059】
図7は、本発明の一実施形態における電流センサ258において短絡が発生しているかどうかを検出するための方法の一例のフローチャート700を示す。図7について、図2A図2Bおよび図4と組み合わせて説明する。特定のステップが図7において開示されるが、そのようなステップは、例示的な目的のための例である。すなわち、本発明による実施形態は、様々な他のステップ、または図7に示すステップの変形を実行するのによく適している。一実施形態では、フローチャート700における動作は、上述した第2の検出回路(たとえば、VRDS(ON)検出回路218と制御論理回路226とを含む)によって実行されることが可能である。
【0060】
より具体的には、ステップ702において、VRDS(ON)検出回路218は放電スイッチQDSGのRDS(ON)抵抗にわたるセンス電圧VRDS(ON)を監視し、センス電圧VRDS(ON)を示す信号236を生成する。
【0061】
ステップ704において、制御論理回路226は、センス電圧VRDS(ON)が第2のしきい値TH2よりも高いかどうかを決定するために信号236を受信する。センス電圧VRDS(ON)が第2のしきい値TH2よりも高い場合、フローチャート700はステップ706に進み、そうでなければフローチャート700はステップ702に戻る。
【0062】
ステップ706において、制御論理回路226が予め設定された時間間隔にわたってセンス電圧VRDS(ON)が第2のしきい値TH2よりも高いことを検出した場合、フローチャート700はステップ708に進み、そうでなければフローチャート700はステップ704に進む。
【0063】
ステップ708において、制御論理回路226は、バッテリ電流検出回路212から比較結果230を受信し、バッテリパック200においてOC状態が発生しているかどうかを判定する。制御論理回路226がバッテリパック200においてOC状態が示されると判定した場合、フローチャート700は、ステップ712に進み、そうでなければ、フローチャート700は、ステップ710に進む。
【0064】
ステップ712において、制御論理回路226は電流センサ260において短絡が発生していないと判定する。
【0065】
ステップ710において、制御論理回路226は電流センサ260において短絡が発生していると判定する。
【0066】
一実施形態では、BMS204は、図6における方法を実行することによって、電流センサ258において短絡が発生しているかどうかを検出することができる。別の実施形態では、BMS204は、図6における方法を図7における方法と組み合わせて実行することによって、電流センサ258において短絡が発生しているかどうかを検出することができる。たとえば、制御論理回路226が、所定の時間間隔ΔtPREにわたって変化率dVPAC/dtが第1のしきい値TH1よりも高く、所定の時間間隔にわたってセンス電圧VRDS(ON)が第2のしきい値TH2よりも高いことを検出し、制御論理回路226が、バッテリパック200が正常状態にあることを検出した場合、制御論理回路226は、電流センサ258において短絡が発生していると判定する。
【0067】
図8は、本発明の一実施形態における電流センサ258に結合される検知ピンISPまたはISNにおいてオープン回路が発生しているかどうかを検出するための方法の一例のフローチャート800を示す。図8について、図2A図2B図4図5Aおよび図5Bと組み合わせて説明する。特定のステップが図8において開示されるが、そのようなステップは、例示的な目的のための例である。すなわち、本発明による実施形態は、様々な他のステップ、または図8に示すステップの変形を実行するのによく適している。一実施形態では、フローチャート800における動作は、上述した第3の検出回路(たとえば、(VR1, VR2)検出回路214と、電流生成回路220および222と、制御論理回路226とを含む)によって実行されることが可能である。
【0068】
より具体的には、ステップ802において、電流生成回路220および222は、それぞれ、フィルタ抵抗器R1およびR2を流れる実質的に同一の電流I1およびI2を生成する。
【0069】
ステップ804において、(VR1, VR2)検出回路214は、第1のフィルタ抵抗器R1における電圧VR1と、第2のフィルタ抵抗器R2における電圧VR2とを監視する。
【0070】
たとえば、ステップ806において比較器570(たとえば、電流生成回路520とスイッチQ1とを含む)は、出力228を生成するために第1のフィルタ抵抗器R1における電圧VR1を第3のしきい値TH3と比較する。出力228が、第1のフィルタ抵抗器R1における電圧VR1が第3のしきい値TH3よりも高いことを示す場合、フローチャート800はステップ808に進み、そうでなければフローチャート800はステップ804に進む。
【0071】
ステップ808において、制御論理回路226は第1の端子ISPにおいてオープン回路が発生していると判定する。
【0072】
別の例では、ステップ810において、比較器572(たとえば、電流生成回路522とスイッチQ2とを含む)は、出力268を生成するために第2のフィルタ抵抗器R2における電圧VR2を第4のしきい値TH4と比較する。出力268が第2のフィルタ抵抗器R2における電圧VR2が第4のしきい値TH4よりも高いことを示す場合、フローチャート800はステップ812に進み、そうでなければフローチャート800はステップ804に進む。
【0073】
ステップ812において、制御論理回路226は、第2の端子ISNにおいてオープン回路が発生していると判定する。
【0074】
図9は、本発明の一実施形態における温度センサ260における障害を検出するための方法の一例のフローチャート900を示す。図9について、図2Aおよび図2Bと組み合わせて説明する。特定のステップが図9において開示されるが、そのようなステップは、例示的な目的のための例である。すなわち、本発明による実施形態は、様々な他のステップ、または図9に示すステップの変形を実行するのによく適している。一実施形態では、フローチャート900における動作は、上述した第4の検出回路(たとえば、検出回路216と制御論理回路226とを含む)によって実行されることが可能である。
【0075】
より具体的には、ステップ902において、温度検出回路216は、たとえばバッテリパック200の温度を示す指示電圧VTHMを示す信号232を生成するために温度センサ260からの指示電圧VTHMを監視する。
【0076】
ステップ904において、制御論理回路226は、信号232から指示電圧VTHMに関する情報を取得し、指示電圧VTHMを第5のしきい値TH5と比較する。指示電圧VTHMが第5のしきい値TH5よりも低い場合、フローチャート900はステップ906に進み、そうでなければフローチャート900はステップ902に戻る。
【0077】
ステップ906において、制御論理回路226が指定された時間間隔にわたって指示電圧VTHMが第5のしきい値TH5よりも低いことを検出した場合、フローチャート900はステップ908に進み、そうでなければフローチャート900はステップ904に進む。
【0078】
ステップ908において、制御論理回路226は温度センサ260において短絡が発生していると判定する。
【0079】
ステップ910において、制御論理回路226は、信号232から指示電圧VTHMに関する情報を取得し、指示電圧VTHMを第6のしきい値TH6と比較する。指示電圧VTHMが第6のしきい値TH6よりも高い場合、フローチャート900はステップ912に進み、そうでなければフローチャート900はステップ902に戻る。
【0080】
ステップ912において、制御論理回路226が指定された時間間隔にわたって指示電圧VTHMが第6のしきい値TH6よりも高いことを検出した場合、フローチャート900はステップ914に進み、そうでなければフローチャート900はステップ910に進む。
【0081】
ステップ914において、制御論理回路226は、温度センサ260においてオープン回路が発生していると判定する。
【0082】
図9はステップ904および910が並行して実行されることを示しているが、本発明はそれに限定されない。別の実施形態では、BMS204は、ステップ904を実行する前または後にステップ910を実行することができる。たとえば、ステップ904において、指示電圧VTHMが第5のしきい値TH5よりも低くない場合、フローチャートはステップ910に進み、そうでなければフローチャートはステップ906に進む。別の例では、ステップ910において、指示電圧VTHMが第6のしきい値TH6よりも高くない場合、フローチャートはステップ904に進み、そうでなければフローチャートはステップ912に進む。
【0083】
図10は、本発明の一実施形態におけるバッテリパック1000の一例の回路図を示す。図10について、図2Aおよび図2Bと組み合わせて説明する。図10に示すようにバッテリパック1000は、ローパスフィルタ1006とBMS1004とを含む。BMS1004は、ローパスフィルタ1006を介してバッテリセル202によって給電されることが可能である。
【0084】
図10に示すようにローパスフィルタ1006は、バッテリセル202の正端子と接続ノードN0との間に結合される抵抗性コンポーネントRF、たとえばフィルタ抵抗器と、接続ノードN0とグランドとの間に結合されるフィルタキャパシタC0とを含む。一実施形態では、BMS1004は、図2Aおよび図2Bに関連して上記で説明した状態検出機能を実行することができる。BMS1004はまた、必ずしもそうではないが図2Aおよび図2Bに関連して上記で説明した障害検出機能を実行することができる。加えて、BMS1004は、バッテリセル202の正端子におけるバッテリ電圧VBATを受け取り、接続ノードN0を介してバッテリセル202から供給電圧VCCを受け取り、バッテリ電圧VBATと供給電圧VCCとの間の差に従ってBMS1004において障害が発生しているかどうかを検出する(たとえば、マルチプレクサ回路1034と、ADC1066と、制御論理回路1026とを含む)第5の検出回路を含むことができる。
【0085】
より具体的には、一実施形態では、BMS1004は、BMS1004の電源ピンVCCを介して供給電流ICCによって給電される。供給電流ICCが抵抗性コンポーネントRFを流れるので、抵抗性コンポーネントRFにわたる電圧VBAT-VCCは供給電流ICCを表し、たとえば供給電流ICCに線形的に比例する。したがって、BMS1004に給電する供給電流ICCは、ICC=(VBAT-VCC)/RFによって推定されることが可能である。一実施形態では、BMS1004は、供給電流ICCに関する動作範囲を有する。供給電流ICCが動作範囲の最大電流を超える場合、それはBMS1004内の電力レギュレータ、たとえば電圧レギュレータによって給電される1つまたは複数のコンポーネントにおいて障害、たとえば短絡が発生していることを示すことができる。したがって、一実施形態では、バッテリ電圧VBATと供給電圧VCCとの間の差が第7のしきい値TH7よりも大きく、たとえば供給電流ICCが安全電流しきい値よりも大きいことを示し、BMS1004によって消費される電力が安全しきい値を超えることを示す場合、第5の検出回路は、BMS1004において障害、たとえば短絡が発生していると判定することができる。したがって、BMS1004は、バッテリパック1000を充電/放電することを停止することができる。
【0086】
一実施形態では、第7のしきい値TH7は供給電流ICCに関する動作範囲の最大電流レベルよりも大きい安全電流しきい値を表す。
【0087】
要約すると、本発明による実施形態は、バッテリパックにおける、たとえば短絡および/またはオープン回路を含む障害を検出するための解決策を提供する。たとえば、バッテリパック内のBMSが、所定の時間間隔にわたってバッテリパックの正端子PACK+における変化率dVPACK/dtが第1のしきい値よりも大きいことを検出し、BMSがOC状態を検出しない場合、BMSは、バッテリパック内のバッテリ電流センサにおいて短絡が発生していると判定することができる。別の例では、BMSが。予め設定された時間間隔にわたってバッテリパックの放電スイッチのRDS(ON)電圧が第2のしきい値よりも高いことを検出し、BMSがOC状態を検出しない場合、BMSは、バッテリ電流センサにおいて短絡が発生していると判定することができる。さらに別の例では、BMSは、検知ピンISPおよびISNにおける電圧が、ピンISPおよびISNが電流センサに良好に接続されているときのバッテリ電圧を表すだけでなく、ピンISPまたはISNが電流センサに良好に接続されていないときのピンISPまたはISNにおけるオープン回路も表すように電流検知ピンISPおよびISNとバッテリ電流センサとの間に結合されるフィルタ抵抗器を通って流れる同一の電流を生成することができる。さらに別の例では、BMSは、温度センサにおける指示電圧を温度センサにおける短絡を表す第5のしきい値と比較し、指示電圧を温度センサにおけるオープン回路を表す第5のしきい値と比較することができる。比較結果は、温度センサにおいて短絡またはオープン回路が発生しているかどうかを示すことができる。さらに別の例では、BMSは、バッテリ電圧とBMSの供給電圧との間の差を第7のしきい値と比較することによって、BMSによって消費される電力が安全しきい値を超えるかどうかを検出することができる。BMSによって消費される電力が安全しきい値を超えることが検出された場合、BMSによって給電されるコンポーネントにおいて短絡が発生していると判定されることが可能である。
【0088】
前述の説明および図面は、本発明の実施形態を表しているが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の原理の要旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加、修正、および置換がそれらにおいて行われてもよいことが理解されよう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく特定の環境および動作要件に特に適合される、本発明の実施において使用される形態、構造、配置、比率、材料、要素、およびコンポーネント、その他の多くの修正とともに使用されてもよいことを理解されよう。したがって、ここで開示される実施形態は、すべての点で例示的であって制限的ではないとみなされるべきであり、本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって示され、前述の説明に限定されない。
【符号の説明】
【0089】
200 バッテリパック
202 バッテリセル
204 バッテリ管理システム(BMS)
208 検出回路、dVPACK/dt検出回路、変化率(dVPACK/dt)検出回路、変化率検出回路
212 検出回路、バッテリ電流(IBAT)検出回路、バッテリ電流検出回路
214 検出回路、(VR1, VR2)検出回路
216 検出回路、VTHM検出回路、温度検出回路
218 検出回路、VRDS(ON)検出回路
220 電流生成回路
222 電流生成回路
224 ローパスフィルタ
226 制御論理回路
228 出力
230 比較結果
232 デジタル信号、信号
236 信号
238 情報、信号
240 PCB(プリント回路基板)トレース
242 寄生インダクタンス
244 寄生抵抗
246 内部抵抗
258 電流センサ、状態センサ
260 温度センサ、状態センサ
262 状態検出回路
262' 状態検出回路
264 障害検出回路
264' 障害検出回路
268 出力
452 比較器
500A 第3の検出回路
500B 第3の検出回路
520 電流生成回路
522 電流生成回路
570 比較器
572 比較器
1000 バッテリパック
1004 BMS
1006 ローパスフィルタ
1026 制御論理回路
1034 マルチプレクサ回路
1066 ADC
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10