(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッド、これを含む電気加熱式喫煙物品及びこのためのエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240708BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240708BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240708BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240708BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240708BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20240708BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/57
A24F40/20
A24D1/20
A24D3/17
(21)【出願番号】P 2023008643
(22)【出願日】2023-01-24
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】521268886
【氏名又は名称】イノ-アイティー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNO-IT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(KNN Walseok Art Hall,Udong)24,Centum seo-ro,Haeundae-gu Busan 48058,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スイル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スンギュ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-518499(JP,A)
【文献】特表2022-536466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120225(US,A1)
【文献】特開2021-129595(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070767(WO,A1)
【文献】特表2022-511900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0151297(US,A1)
【文献】特開2022-081584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱式喫煙物品内に挿入され、燃焼でない加熱方式によりエアロゾルを発生させることが可能な使い捨てのゲル収容体ロッドであって、
常温を含む第1の温度範囲においてゲル状で存在し、80℃を含む第2の温度範囲においてゾル状に変化し、100℃乃至350℃の温度範囲においてエアロゾルに気化する、
重量%として、98%を超過するグリセリン
VG及び
2%未満のカラギーナンを含
み、水及びゼラチンを含んでいないゲル状エアロゾル発生基質と、
ゲル状エアロゾル発生基質が収容されるゲル収容体と、
ゲル収容体をシリンダ形状で側面をラッピングするラッピングペーパーとを含むことを特徴とする、ゲル収容体ロッド。
【請求項2】
ゲル状エアロゾル発生基質は、
2%未満の範囲としてカラギーナンと共に酸味調節剤、選択的に
香味剤、添加剤又は活性物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載のゲル収容体ロッド。
【請求項3】
ゲル状エアロゾル発生基質は、
2%未満の範囲としてカッパカラギーナン、イオタカラギーナン
の一つと共に、寒天、ペクチン、クアガム、乳酸カルシウム、塩化カリウム、ブドウ糖、澱粉粉末、天然食品添加剤又は果物抽出物、あるいは化合物の一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のゲル収容体ロッド。
【請求項4】
ゲル状エアロゾル発生基質は、
2%未満の範囲としてカラギーナンと共に、ニコチン、カフェイン、ビタミン、呼吸用薬物の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のゲル収容体ロッド。
【請求項5】
フィルターと、
フィルターに対して上流側に提供されるチューブと、
チューブの上流側に提供される請求項1乃至
4の何れか一項に記載のゲル収容体ロッドとを含み、
フィルター、チューブ及びゲル収容体ロッドは、ラッピングペーパーでラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする、電気加熱式喫煙物品。
【請求項6】
ゲル収容体ロッドは、第1のゲル収容体と、第1のゲル収容体を取り囲む第2のゲル収容体とを含むことを特徴とする、請求項
5に記載の電気加熱式喫煙物品。
【請求項7】
ゲル収容体ロッドの上流にさらに提供されるゲル収容体ロッドを含み、フィルター、チューブ、ゲル収容体ロッド及びさらに提供されるゲル収容体ロッドがラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする、請求項
5に記載の電気加熱式喫煙物品。
【請求項8】
チューブに対して上流に提供され、ゲル収容体ロッドに対して上流又は下流にさらに提供される、タバコ刻葉を含むタバコ体を含み、フィルター、チューブ、ゲル収容体ロッド及びさらに提供されるタバコ体がラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする、請求項
5に記載の電気加熱式喫煙物品。
【請求項9】
フィルターは、酢酸セルロース又はPLA素材からなり、7mm乃至10mmの直径を有し、8mm乃至12mmの長さを有し、チューブは、1mm乃至5mmの内径及び7mm乃至10mmの外径を有することを特徴とする、請求項
5に記載の電気加熱式喫煙物品。
【請求項10】
請求項
5に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、
装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、
装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つと、
装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、
装置内に提供され、バッテリから電源を供給されてヒータを制御するマイクロコントローラとを含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項11】
請求項
6に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、
装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、
装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つと、
装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、
装置内に提供され、バッテリから電源を供給されてヒータを制御するマイクロコントローラとを含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項
7に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、
装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、
装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第1のヒータ)と、
装置内に提供され、喫煙物品のさらに提供される
ゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第2のヒータ)と、
装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、
装置内に提供され、バッテリから電源を供給されて第1のヒータ及び第2のヒータを各々制御するマイクロコントローラとを含み、
第1のヒータは、ゲル収容体ロッドの内部又は外部を、第1の加熱温度範囲で加熱し、第2のヒータは、さらに提供される
ゲル収容体ロッドの内部又は外部を、第1の加熱温度範囲及び他の第2の加熱温度範囲で加熱することを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項
8に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、
装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、
装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第1のヒータ)と、
装置内に提供され、喫煙物品のさらに提供される
タバコ体の内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第2のヒータ)と、
装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、
装置内に提供され、バッテリから電源を供給されて第1のヒータ及び第2のヒータを各々制御するマイクロコントローラとを含み、
第1のヒータは、ゲル収容体ロッドの内部又は外部を、第1の加熱温度範囲で加熱し、第2のヒータは、さらに提供される
タバコ体の内部又は外部を、第1の加熱温度範囲及び他の第2の加熱温度範囲で加熱することを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッドに関し、特に、燃焼方式ではない加熱方式によりエアロゾルを発生させるための巻タバコ形態の電気加熱式喫煙物品に内蔵されて加熱によりエアロゾルを発生させる、ゲル収容体ロッド、これを含む電気加熱式喫煙物品及びこのためのエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般の巻タバコの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。例えば、巻タバコを燃焼させてエアロゾルを生成させる方法ではなく、巻タバコ内のエアロゾル発生物質の加熱によりエアロゾルを生成させる方法に関する需要が増加している。
【0003】
一般に、タバコ媒質の主原料であるスラリー板状葉シートの場合、引張力が弱くて製造適性が困難であり、タバコ媒質に保湿剤も多量含まれているため、物理性が脆弱である。また、グリセリン等のような液状を含有したタバコ媒質は、親水性により周囲環境の湿度にも敏感であるため、製造工程の環境を制御することに困難がある。タバコ媒質内に含有させることができる液状の量にも限界がある。
【0004】
また、従来技術により、液状を保存するカートリッジと、電気により作動するアトマイザー(atomizer)とからなるカトマイザー(cartomizer)によりエアロゾルを発生させて、ユーザが液状から由来するエアロゾルを吸入する場合がある。従来のカトマイザーに関する技術文献として、韓国登録特許第10-1081481号公報には、
図1に示すように、液状タンク1と、アトマイザー3に具備され、芯4を介して伝達されるエッセンスを加熱して気化させる加熱要素6と、加熱要素6に電気的に連結される電源端子部5と、芯4を介してエッセンスが過度に流入している場合、過度に流入したエッセンスを吸収する役割を果たす綿の塊7と、加熱要素6により気化する煙が流動する煙流動管体2とを含む構成が開示されている。しかしながら、前述の従来技術では、カトマイザーに含まれていた液状を管理し難く(流通期限や変質など)、カトマイザーで生成されたエアロゾルが移動する気流パスに凝縮物が発生して汚染させるおそれがある。
【0005】
これにより、保管及び使用が簡便な使い捨ての喫煙物品内に液状を含み、このような喫煙物品からエアロゾルを発生させて吸入できる技術に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、使い捨ての巻タバコ形態の電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッド、これを含む電気加熱式喫煙物品、及び、このような電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させて、ユーザがエアロゾルを吸入できるエアロゾル発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッドは、常温を含む第1の温度範囲においてゲル状で存在し、80℃を含む第2の温度範囲においてゾル状に変化し、100℃乃至350℃の温度範囲においてエアロゾルに気化する、グリセリン及びカラギーナンを含むゲル状エアロゾル発生基質と、ゲル状エアロゾル発生基質が収容されるゲル収容体と、ゲル収容体をシリンダ形状で側面をラッピングするラッピングペーパーとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッドは、ゲル状エアロゾル発生基質は、0.1%乃至5%のゲル化剤、グリセリンを含む5%乃至100%のエアロゾル生成剤、0.1%乃至20%の酸味調節剤、選択的に0.1%乃至15%の香味剤、添加剤又は活性物質を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッドは、エアロゾル生成剤は、重量%として、70%乃至100%のグリセリンVGと、0%乃至30%のグリセリンPGとからなる液状組成物を含み、ゲル化剤は0.8%乃至5%を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッドは、ゲル状エアロゾル発生基質は、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、寒天、ペクチン、クアガム、乳酸カルシウム、塩化カリウム、ブドウ糖、澱粉粉末、天然食品添加剤又は果物抽出物、あるいは化合物の一つ以上をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッドは、ゲル状エアロゾル発生基質は、0%乃至10%のニコチン、カフェイン、ビタミン、呼吸用薬物の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品は、フィルターと、フィルターに対して上流側に提供されるチューブと、チューブの上流側に提供されるいずれか一実施形態に記載のゲル収容体ロッドとを含み、フィルター、チューブ及びゲル収容体ロッドは、ラッピングペーパーでラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品は、ゲル収容体ロッドは、第1のゲル収容体と、第1のゲル収容体を取り囲む第2のゲル収容体とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品は、ゲル収容体ロッドの上流にさらに提供されるゲル収容体ロッドを含み、フィルター、チューブ、ゲル収容体ロッド及びさらに提供されるゲル収容体ロッドがラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品は、チューブに対して上流に提供され、ゲル収容体ロッドに対して上流又は下流にさらに提供される、タバコ刻葉を含むタバコ体を含み、フィルター、チューブ、ゲル収容体ロッド及びさらに提供されるタバコ体がラッピングされて巻タバコを形成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品は、フィルターは、酢酸セルロース又はPLA素材からなり、7mm乃至10mmの直径を有し、8mm乃至12mmの長さを有し、チューブは、1mm乃至5mmの内径及び7mm乃至10mmの外径を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係るエアロゾル発生装置は、いずれか一実施形態に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つと、装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、装置内に提供され、バッテリから電源を供給されてヒータを制御するマイクロコントローラとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係るエアロゾル発生装置は、いずれか一実施形態に記載の電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞と、装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第1のヒータ)と、装置内に提供され、喫煙物品のさらに提供されるゲル収容体ロッド又はタバコ体の内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つ(第2のヒータ)と、装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリと、装置内に提供され、バッテリから電源を供給されて第1のヒータ及び第2のヒータを各々制御するマイクロコントローラとを含み、第1のヒータは、ゲル収容体ロッドの内部又は外部を、第1の加熱温度範囲で加熱し、第2のヒータは、さらに提供されるゲル収容体ロッド又はタバコ体の内部又は外部を、第1の加熱温度範囲及び他の第2の加熱温度範囲で加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使い捨ての電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッドを提供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、このようなゲル収容体ロッドを含む電気加熱式喫煙物品を提供し、このような電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させてエアロゾルを吸入できるエアロゾル発生装置を提供することで、従来技術の問題点を解決し、使用の便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【
図3】
図2による喫煙物品の構成要素を概念的に示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【
図5】本発明のまた他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【
図6】本発明のまた他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【
図7】本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置の一実施形態を説明するための図である。
【
図8】本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置の他の実施形態を説明するための図である。
【
図9】本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置のまた他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施形態において、「上流」及び「下流」とは、ユーザが喫煙物品を用いて空気を吸引する方向を基準として、喫煙物品を構成するセグメント等の相対的な位置を示すために使用された用語である。喫煙物品は、上流端部(即ち、空気が入る部分)及びこれに対向する下流端部(即ち、空気が出る部分)を含む。喫煙物品の使用時、ユーザは喫煙物品の下流端部を銜え、喫煙物品の上流端部を通して吸入されて喫煙物品の内部を通過して下流端部に出る空気を吸入できることになる。下流端部は上流端部の下流に位置し、一方、「端部」という用語も「末端」として記述できる。
【0024】
図では、説明の便宜上、構成要素等がその大きさが誇張又は縮小され得る。例えば、図に示す各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示すので、必ずしも本発明が示すように限定されるものではない。
【0025】
以下では、添付図面に基づき、本発明の実施形態に関して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳細に説明する。ところが、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されず、多様な異なる形態で具現できる。
【0026】
以下では、本発明の好適な一実施形態に係る、加熱によりエアロゾルを発生させる電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッドと、このようなゲル収容体ロッドを含む電気加熱式喫煙物品とを添付図面に基づいて説明するが、説明の便宜上、電気加熱式喫煙物品の構成要素を各々説明しながら、それに含まれるゲル収容体ロッドを説明する。ここで、電気加熱式喫煙物品とは、燃焼によらず、電気抵抗加熱方式や誘導加熱方式などにより喫煙物品を加熱することで、喫煙物品からエアロゾルを生成させ、ユーザがこのようなエアロゾルを吸入して使用する形態である。このような喫煙物品は、従来の巻タバコ一本と類似な回数の吸入行為をするのに適当な量のエアロゾル発生基質を喫煙物品内に含み、既定の量だけエアロゾルが発生した後には、それ以上エアロゾルを発生させず、ユーザによって使い捨てられる。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示し、
図3は、
図2による喫煙物品の構成要素を概念的に示す図であり、
図4は、本発明の他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示し、
図5は、本発明のまた他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【0028】
本発明に係る電気加熱式喫煙物品は、エアロゾル発生基質であって、後述するように、グリセリンなどのような液状組成物を含むゲル状エアロゾル発生基質を含む。
図2及び
図3を参照すれば、本発明の好適な一実施形態に係る電気加熱式喫煙物品10は、上流端部にゲル状エアロゾル発生基質として液状組成物を含むゲル収容体ロッド12と、その直下流にエアロゾル移動通路を提供するチューブ14と、マウスピースとして働くフィルター16とが積層された構造を有し、これらはラッピングペーパー20によりラッピングされる。
【0029】
本発明の一実施形態に係るゲル収容体ロッド12は、常温を含む第1の温度範囲においてゲル(gel)状で存在し、80℃を含む第2の温度範囲においてゾル(sol)状に変化し、100℃乃至350℃の温度範囲においてエアロゾルに気化する、グリセリン及びカラギーナンを含むゲル状エアロゾル発生基質と、ゲル状エアロゾル発生基質が収容されるゲル収容体12aと、ゲル収容体12aをシリンダ形状で側面をラッピングするラッピングペーパー21とを含む。例えば、ラッピングペーパー21は、ゲル収容体12aを7mm乃至20mmの長さ及び5mm乃至8mmの直径を有するシリンダ形状で側面をラッピングする。
図2に示すように、電気加熱式喫煙物品10は、前述したフィルター16と、チューブ14と、ゲル収容体ロッド12とをラッピングペーパー20でラッピングすることにより得られる。また、
図4を参照すれば、
図2に示す電気加熱式喫煙物品10において、ゲル収容体ロッド12は、第1のゲル収容体12a及び第1のゲル収容体12aを取り囲む第2のゲル収容体12bを含むことができ、
図3に示すように、ラッピングペーパー21により、第1のゲル収容体12aを取り囲む第2のゲル収容体12bをシリンダ形状で側面をラッピングして得られる。実施形態により、第1のゲル収容体12a及び第2のゲル収容体12bは、本発明の範囲内において互いに異なる造成を有することができる。
図2に示す電気加熱式喫煙物品10と同様に、フィルター16と、チューブ14と、ゲル収容体ロッド12とをラッピングペーパー20でラッピングすることで、
図4に示す電気加熱式喫煙物品10が得られる。
【0030】
本発明において、ゲル状エアロゾル発生基質が増粘剤の役割を果たす公知のカラギーナンを含むことで、前記のような温度範囲による相変化を期待できる。参考として、明細書で記載されているゾル(sol)状は、公知の通り、液体内にコロイド粒子が分散された形態であって、本質的に液体状態であり得る。ゲル状のエアロゾル発生気質は、前述した温度範囲においてコロイド粒子等の連結が解除されてゾル状に変化でき、一層加熱してエアロゾルに気化できる。
【0031】
ゲル状エアロゾル発生基質は、グリセリン及び増粘剤の混合物であるが、一例として、グリセリンPG(Propylene Glycol)やVG(Vegetable Glycerine)、もしくはPG及びVGの混合物を加熱し、30分間攪拌して粘度を低下させ、ここにゲル化し得る添加物である増粘剤(カラギーナン等)を10~50重量%添加して、添加物がグリセリンに溶解されるまで攪拌し、グリセリン及び増粘剤の混合物が得られる。混合物は、常温を含む第1の温度範囲(約50℃未満の温度範囲)ではゲル状、半固状又は固状を維持し、加熱して80℃を含む第2の温度範囲(50℃~100℃の温度範囲)ではゾル(sol)状に変化して液状で存在し、さらに加熱する場合、約150℃以上でエアロゾルを発生させる。
【0032】
以上のように、ゲル状エアロゾル発生基質は、寒天(agar)、増粘剤、澱粉粉末、セルロース類、カルボキシメチルエーテル類、天然食品香料又は果物抽出物の一つ以上をさらに含むことができる。合わせて、ゲル状エアロゾル発生基質において、グリセリンの含有量は50重量%以上であることが望ましい。また、混合物は寒天(agar)をさらに含むことができ、この場合にもゲル状エアロゾル発生基質の混合物を形成するのに有利に作用する。これに付加して、ゲル状エアロゾル発生基質の混合物は、添加物として増粘剤、澱粉粉末、セルロース類及びカルボキシメチルエーテル類を含むことができる。また、ゲル状エアロゾル発生基質の混合物は、天然食品香料又は果物抽出物をさらに含むことができる。このとき、発生したエアロゾルを通してユーザに多様な味を加味することが可能となる。どのような場合でも、ゲル状エアロゾル発生基質の混合物におけるグリセリンの含有量は、50重量%以上であることが望ましいが、これにより、発生したエアロゾルから焦げた味を最小化できるようになる。ゲル状エアロゾル発生基質の混合物は、ニコチンをさらに含んでもよく、含まなくてもよい。
【0033】
また、
図5を参照すれば、実施形態により、電気加熱式喫煙物品10は、ゲル収容体ロッド12の上流にさらに提供されるゲル収容体ロッド18を有することができ、さらに提供されるゲル収容体ロッド18も、
図3に示すように、ゲル収容体ロッド12と同様に得られる。実施形態により、ゲル収容体ロッド12及びさらに提供されるゲル収容体ロッド18は、本発明の範囲内において互いに異なる造成を有することができる。フィルター16と、チューブ14と、ゲル収容体ロッド12と、さらに提供されるゲル収容体ロッド18とをラッピングペーパー20でラッピングすることで、
図5に示す電気加熱式喫煙物品10が得られる。本実施形態では、ゲル収容体ロッド18がさらに提供されることで、より多くて豊富なエアロゾルの発生が可能である。
【0034】
実施形態により、ゲル状エアロゾル発生基質は、0.1%乃至5%のゲル化剤、グリセリンを含む5%乃至100%のエアロゾル生成剤、0.1%乃至20%の酸味調節剤、選択的に0.1%乃至15%の香味剤、添加剤又は活性物質を含むことができる。また、実施形態により、ゲル状エアロゾル発生基質は、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、寒天、ペクチン、クアガム、乳酸カルシウム、塩化カリウム、ブドウ糖、澱粉粉末、天然食品添加剤又は果物抽出物、あるいは化合物の一つ以上をさらに含むことができる。
【0035】
例えば、香味剤は、甘草、蔗糖、果糖シロップ、イソスイート(isosweet)、ココア、ラベンダ、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー又はコーヒーなどを含むことができる。
【0036】
本発明に係る「ゲル収容体ロッド」は、常温においてゲル状で存在し、一例として80℃を含む50℃~100℃の温度範囲においてゾル状化し、追加の加熱により、一例として約150℃乃至350℃の温度範囲においてエアロゾルに気化する、ゲル状エアロゾル発生基質を有するロッドを称する。例えば、ゲル状エアロゾル発生基質は、常温を含む第1の温度範囲においてゲル状で存在し、80℃を含む第2の温度範囲においてゾル状に変化するエアロゾル生成剤を含むが、別途のエアロゾル発生装置により抵抗加熱式や誘導加熱式により加熱されてエアロゾルを生成する。本発明の好適な一実施形態によれば、ゲル状エアロゾル発生基質において、エアロゾル生成剤は、重量%として、70%乃至100%のグリセリンVGと、0%乃至30%のグリセリンPGとからなる液状組成物を含む。また、ゲル化剤は0.8%乃至5%を含むことができる。また、実施形態により、ゲル状エアロゾル発生基質は0%乃至10%のニコチンを添加できる。また、実施形態により、ゲル状エアロゾル発生基質は、カフェイン、ビタミン、その他呼吸用薬物の少なくとも一つを含むことができる。
【0037】
ゲル状エアロゾル発生基質は、製造プロセス上において液体乃至ゾル状で存在し得るが、液状化しても、前記のような規格を有するゲル収容体ロッド内のゲル収容体12aが、前記のような造成範囲を有する液状組成物をゲル収容体ロッド内に維持するのに充分な吸湿率を有する必要がある。すなわち、液状組成物は、ゲル収容体ロッド内のゲル収容体12aに吸湿したままに維持され、ゲル収容体ロッドの外部に流出しない。ここで、吸湿とは、ゲル収容体が液状組成物により濡れるが、これが外部に流出しないことを称する。
【0038】
ゲル収容体12aに吸湿した液状組成物は、ゲル収容体に吸湿して保存されるだけであり、電気加熱式喫煙物品10やチューブ14やフィルター16の方に流出しない。このために、液状組成物は、ゲル収容体12aの単位体積当たり0.13乃至0.32mg/mm3の量でゲル収容体に吸湿していることが望ましい。この数値限定の理由は、前記下限値(0.13mg/mm3)未満の場合には、ゲル収容体12aに吸湿した液状組成物の量が不充分になるため、ユーザが電気加熱式喫煙物品10から由来するエアロゾルを吸入する過程において、ゲル状エアロゾル発生基質から由来するエアロゾルが不足になり得るので、ゲル収容体ロッドに吸湿している液状組成物は、前記下限値(0.13mg/mm3)以上にならなければならない。前記上限値(0.32mg/mm3)を超過する液状組成物がゲル収容体に吸湿している場合には、液状組成物が前記の規格を有するゲル収容体ロッド内のゲル収容体が液状組成物を吸湿したままに維持し難いため、液状組成物がゲル収容体ロッド12から流出するおそれがある。
【0039】
ゲル状エアロゾル発生基質は、常温を含む第1の温度範囲(約50℃未満)においてゲル状を維持し、加熱して80℃を含む第2の温度範囲(50℃乃至100℃の温度範囲)において液状(ゾル状)に変化して液状(ゾル状)で存在し、さらに加熱する場合、約100℃以上でエアロゾルを発生させる。
【0040】
ゲル状エアロゾル発生基質をゲル収容体12aに注入するために、製造プロセスの中に、ゲル状エアロゾル発生基質を第2の温度範囲において加熱して液体化し、液体をゲル収容体12aにスプレイしたり、ニードルなどで注入したりして、液体をゲル収容体12aに吸湿させる。以後、液体は、低温、一例として約4℃で5分~10分維持させたり、常温で1時間以上維持させたりすることで、ゲル収容体12aに吸湿している液体がゲル状に変化して、ゲル収容体12a内の表面、気孔、ネットワークなどに微細粒状に分散される。
【0041】
本発明によれば、多様な材質のゲル収容体12aを適用できる。例えば、パイプ構造物(図示せず)の一側にゲル収容体12aを折り又は巻きにより押入れ、他側で多少断面が狭くなった形状で圧出しながら、ラッピングペーパー21でラッピングして、ゲル収容体ロッド12が得られるようになる。パイプ構造物に導入される前に、ニードルのような液体注入部を通じて液体化したゲル状エアロゾル発生基質をゲル収容体12a内に吸湿させ、ゲル収容体12aはパイプ構造物を通過しながら、液体化したゲル状エアロゾル発生基質を吸湿又は含有した状態になり、パイプ構造物の他側で直ちにラッピングペーパー21によりラッピングされながら、適当な長さ、一例として80mm又は140mm程度でカットされて、ゲル収容体ロッド12を形成する。すなわち、ゲル状エアロゾル発生基質の混合物は、80℃を含む第2の温度範囲において加熱して液体又はゾルの状態になり、ニードルのような注入部を通じてゲル収容体12a内に注入されて、ゲル収容体12aに吸湿する。ゲル収容体ロッド12で切断する前に、適切な冷却過程を経ることもでき、ゲル収容体12aが液体状態のゲル状エアロゾル発生基質に対して充分な吸湿力を有するので、切断の後に常温において適切な時間、一例として1時間維持したり、低温、一例として4℃で5分~10分維持したりすることで、ゲル収容体12a内に導入された液体状態のゲル状エアロゾル発生基質がゲル化になり、後続作業(ゲル収容体ロッドで切断する作業や喫煙物品でラッピングする作業)中に液状組成物がゲル収容体12aから流出することを防止及び最小化できる。すなわち、ゲル収容体ロッド12は、ゲル状エアロゾル発生基質を液体状態で含有したゲル収容体12aをラッピングペーパー21でラッピングした状態で提供されることもでき、パイプ構造物に適切な冷却構造を提供することにより、ゲル収容体ロッド12は、ゲル状エアロゾル発生基質をゲル状でゲル収容体12a内に存在したままに、ラッピングペーパー61でラッピングされることもできる。これとは異なり、ゲル収容体ロッド12は、前述したように、所定時間常温を含む第1の温度範囲において維持するたけで、ゲル収容体内に導入されたエアロゾル発生基質を含む混合物をゲル化させて保有でき、後述するように、個別の喫煙物品10に挿入可能なサイズでカットされる。
【0042】
このような構成は、既存の巻タバコの製造ラインにおいて一般化したプロセスであり、既存の巻タバコの製造プロセス及び装備をそのまま用いられるという長所がある。すなわち、既存のフィルター、ペーパーチューブ及びタバコ刻葉の製造において、前記のようなプロセスがそのまま適用され、そのような現在の装備及び工程をそのまま用いてゲル収容体ロッド12が得られる。
【0043】
ゲル状エアロゾル発生基質は、80℃を含む、一例として50℃~100℃の第2の温度範囲において液体状態でゲル収容体内に導入されるため、後述するゲル収容体内に容易に吸湿し、常温を含む、一例として50℃未満の第1の温度範囲においてゲル収容体内におけるゲル収容体に存在する表面、気孔及びネットワーク間の空間にゲル状で存在する。したがって、常温を含む第1の温度範囲においてゲル収容体ロッドが維持される場合、ゲル状エアロゾル発生基質に含まれた液状組成物がゲル状エアロゾルカートリッジから流出又は漏出される可能性がなかったり最小化したりできる。
【0044】
好適な一実施形態によれば、本発明に係るゲル収容体12aは、メラミン系発泡樹脂からなる厚さ2mm乃至3mmの帯を折り又は巻きにより前述したパイプ構造物に導入してシリンダ形状で作ったものであり、好適な他の実施形態によれば、本発明に係るゲル収容体12aは、メラミン系発砲樹脂をシリンダ形状で加工して前述したパイプ構造物に導入して圧出させて作られたものであるが、メラミン系発泡樹脂からなるゲル収容体は、より望ましくは0.01乃至0.013mg/mm3である単位体積当たりの重量を有する。
【0045】
好適な他の実施形態によれば、本発明に係るゲル収容体12aは、パルプ又はパルプを含む生地を折り又は巻きにより前述したパイプ構造物に導入してシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して前述したパイプ構造物に導入して圧出させて作ったりしたものであるが、パルプ又はパルプを含む生地で作られたゲル収容体は、より望ましくは0.25乃至0.4mg/mm3の単位体積当たりの重量を有する。
【0046】
好適な他の実施形態によれば、本発明に係るゲル収容体12aは、綿の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きにより前述したパイプ構造物に導入してシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して前述したパイプ構造物に導入して圧出させて作ったりしたものであるが、綿の織造生地又は不織布生地で作られたゲル収容体は、より望ましくは0.2乃至0.35mg/mm3の単位体積当たりの重量を有する。
【0047】
好適な他の実施形態によれば、本発明に係るゲル収容体12aは、竹繊維の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きにより前述したパイプ構造物に導入してシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して前述したパイプ構造物に導入して圧出させて作ったりしたものであるが、竹繊維の織造生地又は不織布生地で作られたゲル収容体は、より望ましくは0.15乃至0.25mg/mm3の単位体積当たりの重量を有する。
【0048】
前記各実施形態のゲル収容体12aに対する実験において、100mgの液状組成物に対応するゲル収容体ロッドを含む電気加熱式喫煙物品に対して行なった実験の結果によれば、実験中に液状組成物が外部に流出する問題なしにゲル収容体12aに吸湿しているままに維持され、既存の加熱式タバコよりも非常に豊富なエアロゾルが確認され、既存のハイブリッドタイプや液状組成物を吸湿した場合よりも、多くの液状組成物から由来する充分なエアロゾルが確認された。
【0049】
好適な一実施形態によれば、ゲル収容体ロッド12を形成するラッピングペーパー21は、アルミニウムフォイルが紙に付着されて形成された合紙として提供でき、アルミニウムフォイルがゲル収容体12aに接触するようにシリンダ形状でラッピングされる。これにより、アルミニウムフォイルは、ゲル収容体12aに含有された液体状態のゲル状エアロゾル発生基質がゲル収容体ロッド12の側面を通じて流出する可能性がなかったり最小化したりできる。すなわち、
図2及び
図3に示すゲル収容体ロッド12の構成から分かるように、ゲル収容体12aは喫煙物品形成のためのラッピングペーパー20によりラッピングされる前に、別個のラッピングペーパー21によりラッピングされるが、このとき、ラッピングペーパー21はアルミニウムフォイルが紙に付着された形態で提供でき、アルミニウムフォイルがゲル収容体12aに接触するようにシリンダ形状でラッピングされることが望ましい。
【0050】
マウスピースの役割を果たすフィルター16は、
図2乃至
図5に示すように、エアロゾルは通過し、液流入は防止する役割を果たす。ここで、フィルター16はパルプ、酢酸セルロース又はPLA素材からなり、フィルターは7mm乃至10mmの直径を有し、8mm乃至12mmの長さを有する。フィルター16は、円筒形又はチューブ形態で製作できる。一方、フィルター16は香味剤を含み、ユーザの満足感を向上させることができる。香味剤は、例えば、甘草、蔗糖、果糖シロップ、イソスイート、ココア、ラベンダ、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー又はコーヒーなどを含むことができる。
【0051】
本質的に、前述したゲル収容体ロッド12は、前記のように、フィルター16に香味剤を含有させるプロセス及び装備をそのまま用いて作られる。このとき、既存のプロセス及び装備をそのまま用いるので、量産性及び品質管理を充足させるのに困難がない。
【0052】
チューブ14は、中空が形成されており、エアロゾルが移動する通路の役割を果たし、1mm乃至5mmの内径及び7mm乃至10mmの外径を有する。チューブ14は紙材質のペーパーチューブであって、チューブ14にはPLAが挿入されてエアロゾルの温度を低下させ、ユーザのエアロゾル吸入時における火傷のおそれを防止できる。チューブ14も、別個のラッピングペーパー(図示せず)によりラッピングされ得る。
【0053】
図6は、本発明のまた他の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。本実施形態の電気加熱式喫煙物品10は、チューブ14に対して上流に提供され、ゲル収容体ロッド12に対して上流又は下流にさらに提供される、タバコ体19をさらに含む。フィルター16、チューブ14、ゲル収容体ロッド12及びさらに提供されるタバコ体19は、ラッピングペーパー20でラッピングされて、巻タバコ形態の電気加熱式喫煙物品10を形成できる。図において、タバコ体19はゲル収容体ロッド12の上流に配置されるものと示したが、その両方の相対的な位置はその反対になり得る。
【0054】
タバコ体19はタバコ刻葉を含むことのできるが、タバコ刻葉だけでは形状を維持し難いため、別個のラッピングペーパー(図示せず)でラッピングしてタバコ体19を形成し、ゲル収容体ロッド12と同等な大きさ(直径)で用意して、前述したフィルター16、チューブ14、ゲル収容体ロッド12及びタバコ体19をラッピングペーパー20でラッピングすることで、
図6に示す電気加熱式喫煙物品10が得られる。
【0055】
図7は、本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置の一実施形態を説明するための図、
図8は、本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置の他の実施形態を説明するための図である。以下では、
図7及び
図8に基づいて、説明の重複を避けるために、
図5に示す本発明の実施形態に係る電気加熱式喫煙物品を加熱してエアロゾルを発生させる構成について説明しているが、
図2及び
図4に示す本発明のそれぞれの実施形態に係る電気加熱式喫煙物品についても、
図7及び
図8に基づいて以下に説明する構成と同様に、当該電気加熱式喫煙物品に適合するように寸法を変更して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できることは自明である。
【0056】
図7及び
図8に示すように、本発明は、前記のような電気加熱式喫煙物品のための、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置であって、装置内に提供される喫煙物品が挿入可能な空洞30と、装置内に提供され、喫煙物品のゲル収容体ロッドの内部又は外部を加熱できる抵抗加熱方式のヒータ及び誘導加熱方式のヒータの少なくとも一つと、装置内に提供され、電源として働く再充電可能なバッテリ40と、装置内に提供され、バッテリ40から電源を供給されてヒータを制御するマイクロコントローラ50とを含むエアロゾル発生装置100を提供する。
図7を参照すれば、エアロゾル発生装置100に抵抗加熱方式のヒータ60が具備され、抵抗加熱方式のヒータ60はパイプヒータとして提供される。勿論、これは例示的なものであり、抵抗加熱方式のヒータ60は、蜂針のような侵入式ヒータであり得る。抵抗加熱方式のヒータ60は、マイクロコントローラ50の制御によりバッテリ40から電力を供給されて加熱される。抵抗加熱方式のヒータ60の加熱により、電気加熱式喫煙物品10のゲル収容体ロッド12及びゲル収容体ロッド18を加熱させて、各々エアロゾルが発生してチューブ14を通して移送され、ユーザがフィルター16を介してエアロゾルを吸入できる。
【0057】
また、
図8を参照すれば、エアロゾル発生装置100に誘導加熱方式のヒータ70が具備され、誘導加熱方式のヒータ70はインダクションコイルを含む。また、エアロゾル発生装置100は、誘導加熱方式のヒータ70のインダクションコイルと対応するように、磁場により渦電流(eddy current)を発生させて熱エネルギーを放出する物質からなるサセプタ(susceptor)80を備えるが、サセプタ80は、電気加熱式喫煙物品10が空洞30に挿入されると、電気加熱式喫煙物品10のゲル収容体ロッド12及びゲル収容体ロッド18を取り囲む位置に具備される。勿論、これは例示的なものであり、サセプタ80は蜂針のような形状であり得る。バッテリ40から電力が誘導加熱方式のヒータ70に供給され、マイクロコントローラ50はバッテリ40から誘導加熱方式のヒータ70への電力供給を制御する。マイクロコントローラ50が誘導加熱方式のヒータ70を制御してインダクションコイルで交流磁場が発生し、インダクションコイルで発生した交流磁場は、サセプタ80にヒステリシス損失(hysteresis loss)及び渦電流を発生させてサセプタ80を誘導加熱し、これにより、電気加熱式喫煙物品10のゲル収容体ロッド12及びゲル収容体ロッド18が加熱して各々エアロゾルを発生させ、チューブ14を通して移送され、ユーザがフィルター16を介してエアロゾルを吸入できる。
【0058】
図9は、本発明に係る電気加熱式喫煙物品からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置のまた他の実施形態を説明するための図である。実施形態により、エアロゾル発生装置100のヒータは、ゲル収容体ロッド12とゲル収容体ロッド18、または、ゲル収容体ロッド12とタバコ体19を各々独立的に加熱するために、上下に配置される第1のヒータ60a及び第2のヒータ60bからなることができる。このとき、ゲル収容体ロッド12とゲル収容体ロッド18のゲル状エアロゾル発生基質が互いに異なる物質である場合にもかかわらず、各々異なる最適の温度、すなわちエアロゾルを最多に発生させることができる各々の温度で独立的に加熱できるという長所がある。
【0059】
特に、
図6に示すタバコ体19を含む実施形態において、タバコ体19からエアロゾルが発生する温度範囲は、ゲル収容体ロッド12からエアロゾルが発生する温度範囲と異なることができる。したがって、
図9に示すように、第1のヒータ60aの対応位置にゲル収容体ロッド12が挿入され、第2のヒータ60bの対応位置にタバコ体19が挿入される場合、第1のヒータ60aは、ゲル収容体ロッド12の内部又は外部を、それに含まれたゲル状エアロゾル発生基質がエアロゾルに気化する温度である第1の加熱温度範囲で加熱し、第2のヒータ60bは、タバコ体19の内部又は外部を、第1の加熱温度範囲と異なる、タバコ刻葉に含まれた成分がエアロゾルに気化する温度である第2の加熱温度範囲で加熱できる。このような構成及び制御方法は、第2のヒータ60bの対応位置にさらに提供されるゲル収容体ロッド18が挿入される場合にも同様である。本実施形態において、マイクロコントローラ50は、第1のヒータ60a及び第2のヒータ60bと別途の経路により各々連結して、個別的に二つのヒータを制御する。
【0060】
本発明は、前述した特定の形態に制限されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱しない範囲内において、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変形実施が可能であることは勿論であり、そのような変更は特許請求の範囲の記載の範囲内にあることになる。
【符号の説明】
【0061】
10 電気加熱式喫煙物品
12、18 ゲル収容体ロッド
14 チューブ
16 フィルター
19 タバコ体
20、21 ラッピングペーパー
30 空洞
40 バッテリ
50 マイクロコントローラ
60 抵抗加熱方式のヒータ
70 誘導加熱方式のヒータ
100 エアロゾル発生装置
【要約】
【課題】電気加熱式喫煙物品内に挿入可能なゲル収容体ロッドを提供する。
【解決手段】本発明は、常温を含む第1の温度範囲においてゲル状で存在し、80℃を含む第2の温度範囲においてゾル状に変化し、100℃乃至350℃の温度範囲においてエアロゾルに気化する、グリセリン及びカラギーナンを含むゲル状エアロゾル発生基質と、ゲル状エアロゾル発生基質が収容されるゲル収容体と、ゲル収容体をシリンダ形状で側面をラッピングする、ラッピングペーパーを含むゲル収容体ロッドとを提供し、フィルター、フィルターに対して上流側に提供されるチューブ及びチューブの上流側に提供されるゲル収容体ロッドを含み、フィルター、チューブ及びゲル収容体ロッドは、ラッピングーパーでラッピングされて巻タバコを形成する電気加熱式喫煙物品と、このためのエアロゾル発生装置とを提供する。
【選択図】
図2