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特許7516586糖質コルチコイド受容体モジュレータおよびCYP3Aインヒビタの併用投与
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】糖質コルチコイド受容体モジュレータおよびCYP3Aインヒビタの併用投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20240708BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 5/38 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 5/46 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240708BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALN20240708BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20240708BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALN20240708BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K31/496
A61P5/38
A61P5/46
A61P43/00 121
A61K31/4164
A61K31/506
A61K31/7048
A61P3/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023009317
(22)【出願日】2023-01-25
(62)【分割の表示】P 2019547316の分割
【原出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2023052618
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/465,772
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/466,867
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ケー. ベラノフ
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-515444(JP,A)
【文献】特表2013-509394(JP,A)
【文献】Pharmacotherapy,2013年,Vol. 33, No. 3,p. 319-329,https://doi.org/10.1002/phar.1202
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/575
A61K 31/496
A61P 5/38
A61P 5/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受ける場合に、内因性クッシング症候群を有する該患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を処置するための、ミフェプリストンを含む組成物であって、該患者が該CYP3Aインヒビタの併用投与を受ける場合に、減少させたミフェプリストン用量が、該患者に投与されることを特徴とし、該CYP3Aインヒビタの非存在下で内因性クッシング症候群を有する該患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためのミフェプリストン用量が1200mgまたは900mgであり、該減少させたミフェプリストン用量が、該CYP3Aインヒビタの非存在下で内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖の処置に使用するためのミフェプリストン用量よりも1日あたり少なくとも300mg(mg/日)少なく、該CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールから選択される、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、ミフェプリストンの1日に1回の用量を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が経口投与用である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記減少させたミフェプリストン用量が、前記CYP3Aインヒビタの非存在下で内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖の処置に使用するための前記ミフェプリストン用量よりも600mg/日少ない、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ステロイドホルモンなどのステロイド分子は、身体機能ならびに感染および他の疾患ならびに環境に対する身体の応答において重要な役割を果たす。多数のステロイド分子が体内で合成されているか、食物中で消費される分子から生成されている。体内でホルモンとして作用するステロイド分子には、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、およびコルチゾールが含まれる。いくつかのステロイド分子には薬効がある。ステロイドの合成または代謝の阻害は、いくつかの障害の処置において有用であり得る。
【0002】
コルチゾールはステロイド分子であり、多数の身体機能において重要な役割を果たす。コルチゾールは、体内のほとんどの組織に存在するコルチゾール受容体への結合により効果を発揮する。しかし、コルチゾールの調節異常は、被験体に有害作用をもたらし得る。例えば、過剰レベルのコルチゾールに原因するクッシング症候群は、血圧上昇、血糖上昇、体重増加、中間部周界の増加、他の前糖尿病症状、「満月様顔貌」の容貌、免疫抑制、菲薄皮膚、ざ瘡、鬱病、男性型多毛、および他の症状が含まれる症状を特徴とする。クッシング症候群の臨床症状には、グルコース調節の異常、抗糖尿病薬の必要性、インスリンレベルの異常、異常な精神症状、クッシング様外観、ざ瘡、男性型多毛、および体重増加または過剰な体重、および他の症状が含まれる。
【0003】
コルチゾール調節異常の1つの有効な処置は、コルチゾールのコルチゾール受容体への結合を遮断すること、または、コルチゾール受容体へのコルチゾール結合の影響を遮断することである。ミフェプリストンは、コルチゾール受容体に結合し、かかる結合を遮断し、組織に及ぼすコルチゾールの影響を遮断するように作用する。ミフェプリストンは、11β-(4-ジメチルアミノフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1-プロピニル)-エストラ-4,9-ジエン-3-オン)である。
【0004】
コルチゾール調節異常の別の有効な処置は、例えば、ステロイド合成を減少または遮断することによってコルチゾール合成を減少させることである。「ステロイド生成インヒビタ」は、被験体に投与したときにステロイド分子(例えば、コルチゾールが含まれる)の合成を減少させるか遮断する化合物である。ステロイド生成インヒビタには、例えば、ケトコナゾール、メチラポン、エトミデート、および他の薬物が含まれる。
【0005】
多数の酵素がステロイド合成およびステロイド代謝に関与し、このような酵素には、CYP遺伝子によってコードされるシトクロムP450酵素が含まれる。ステロイド合成の阻害により、ステロイド(例えば、コルチゾールが含まれる)の血中レベルを低下させることができる。例えば、CYP3A酵素は、コルチゾールなどのステロイドホルモンの合成において重要な役割を果たす。さらに、かかる酵素はまた、被験体へ投与することができる薬物を代謝することができる。例えば、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)は、ヒト肝臓ミクロソームにおけるミフェプリストン代謝に関与することが示されている。
【0006】
しかし、多数の薬物がCYP3A遺伝子産物のレベルまたは作用を阻害する(「CYP3Aを阻害する」という)。以下の薬物は、CYP3Aを阻害する:CYP3Aを阻害する多くの薬物のうちで、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、シメチジン、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、ボセプレビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テラプレビル、テリスロマイシン、およびボリコナゾール。例えば、以下の薬物は、単独または他の薬物と組み合わせて、感度指標基質の10倍またはそれを超えてCYP3Aを強力に阻害する(すなわち、AUC(濃度-時間曲線下領域を増加させる):ボセプレビル、コビシスタット、コニバプタン、ダノプレビルおよびリトナビル、エルビテグラビルおよびリトナビル、インジナビル、リトナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル、パリタプレビル、オムビタスビル、ダサブビル、ポサコナゾール、サキナビル、テラプレビル、チプラナビル、トロレアンドマイシン、およびボリコナゾール。
【0007】
ケトコナゾールは模範的且つ重要なステロイド生成インヒビタであり、強力CYP3Aインヒビタである。ケトコナゾール(化学名:1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジン)は、真菌感染処置のために投与される;ケトコナゾールはまた、ステロイド生成阻害によってステロイド代謝に影響を及ぼし、コレステロールのホルモン(コルチゾールおよびテストステロンなど)への酵素的変換のその妨害に起因する抗糖質コルチコイド効果および抗アンドロゲン効果を有する。ケトコナゾールは、数ある効果の中でも、肝臓酵素および胃腸(GI)管に効果がある(Fleseriu and Castinetti,Pituitary 19:643-653(2016))。
【0008】
ケトコナゾールは、ステロイド合成を阻害し、したがって、クッシング症候群の処置;前立腺癌および他のアンドロゲン感受性癌の処置;(例えば、乳癌および卵巣癌などのホルモン感受性癌を有する患者における)エストロゲンまたはプロゲステロンの産生の減少;および他の処置で有用である。
【0009】
ケトコナゾールなどの薬物は、典型的には、投与後に経時的に被験体によって代謝および排出される。有効用量は、薬物の予想される代謝量および排出量に基づいて決定される。薬物の代謝および/または排出の量および率の変化は、必要とされる用量に影響を及ぼし、代謝または排出が変化する場合、より少ない用量、または無効用量、またはより有効であるかさらに有毒な用量のいずれかが新たな安全用量になり得る。
【0010】
しかし、ケトコナゾールは、時折臨床的に有用であるが、有害作用(重篤に有毒な作用が含まれる)を有し得る(Fleseriu and Castinetti,Pituitary 19:643-653(2016))。米国食品医薬品局は、経口ケトコナゾール処置に関連する潜在的に致死性の肝損傷および副腎機能不全(これも潜在的に致死性の障害)のリスクに関して警告している医薬品安全性情報(2013年7月26日付のニゾラール(登録商標)(ケトコナゾール)に関する安全声明)を発行していた。安全声明では、以下のように警告されていた:「ニゾラール錠剤は肝外傷を引き起こす可能性があり、それにより、潜在的に肝移植または死亡に至り得る」。安全声明は、さらに以下のように述べていた:「ニゾラール錠は、患者が服用している他の薬剤と相互作用する可能性があり、それにより、心調律異常などの重篤且つ潜在的に生命を脅かす結果を招き得る」。したがって、ケトコナゾールは、過剰量が投与されるか、感受性の高い個体に投与した場合、特に、全身に(対語としては、例えば、局所に)投与したときに非常に有毒であり得る。この毒性により、肝損傷を引き起こし得る(時折、肝移植が必要である)。他のCYP3Aインヒビタ(例えば、イトラコナゾール、リトナビルが含まれる)、および本明細書中で考察した他のCYP3Aインヒビタは、類似の効果を有し、類似の警告を必要とし得る。
【0011】
被験体内の2つの薬物の同時またはほぼ同時の存在(例えば、併用)は、一方もしくは他方または両方の薬物の効果を変化させ得る。かかる変化は、薬物-薬物相互作用と呼ばれる。例えば、薬物の必要用量は、しばしば、摂取量およびその分解速度、ならびに身体(例えば、肝臓または腎臓の作用による)からの排出に強い影響を受ける。しかし、体内の第2の薬物(これも肝臓および腎臓による作用を受ける)の存在は、第1の薬物の量および分解速度に有意に影響を及ぼし得、第2の薬物が存在しない場合の時間存在していたであろう量を超える所与の時間体内にとどまる第1の薬物の量が増加し得る。したがって、第2の薬物の存在は、しばしば、第1の薬物の有効用量を増加させ得る。第1の薬物が有毒な副作用を有する場合、かかる第1の薬物の有効用量の増加は、第2の薬物が存在しなければ予想されなかった危険な毒性を生じ得る。
【0012】
異なる薬物の併用投与は、各薬物の代謝および/または排出が他の薬物(単数または複数)の代謝および/または排出を減少させるか妨害し得、したがって、単独で投与したときのこれらの薬物の有効濃度と比較してこれらの薬物の有効濃度が増加し得るので、有害作用をしばしば生じる。したがって、薬物の併用投与は、しばしば、共投与された薬物のうちの1つまたは両方の有毒作用リスクが増加することが予想される。ケトコナゾールなどのいくつかの薬物には、単独で投与したときに肝損傷(肝不全およびさらには肝移植を必要とする重症例が含まれる)および他の有毒作用のリスクがある;かかる有毒作用のリスクは、他の薬物を併用投与したときに増加すると考えられる。ケトコナゾールなどの薬物において有毒作用リスクが高いことが知られている場合、臨床医は、典型的には、他の薬物とのその併用投与を回避するであろう。
【0013】
薬物の血漿レベルは、投与量に影響を受けるだけでなく、その代謝量(および代謝速度)にも影響を受け得る。そのため、規制当局は、典型的には、薬物の併用投与の影響を決定するための「薬物-薬物相互作用」(DDI)研究を要求している。シトクロムP450酵素(例えば、「CYP3A」酵素と呼ばれるシトクロムP450-3A酵素)が含まれる多数の酵素は、相当量の投与薬物を代謝する。CYP3Aなどの代謝酵素を阻害する薬物は、投与されたか、両方の薬物が被験体内に十分なレベルで存在する時点で存在する他の薬物の血漿レベルを増加させ得る。かかる増加は重要であり得る。例えば、Greenblattら(Brit.J.Clin.Pharmacol.80(3):342-350(2015)は、411人の被験体が参加する38の公開された研究を概説しており、代表的なCYP3Aインヒビタの併用投与によって経口投与したミダゾラムの血漿レベル(濃度-時間曲線下面積「AUC」によって測定した場合)が、11倍超(ケトコナゾール);7倍超(イトラコナゾール);6倍超(クラリスロマイシン);および14倍超(リトナビル)増加したことを報告している。したがって、CYP3Aインヒビタは、典型的には、他の併用投与した薬物の血漿レベルに非常に大きな影響を及ぼす。
【0014】
米国食品医薬品局(FDA)は、「患者は一度に1種を超える医薬を使用することが多い。DDI(薬物-薬物相互作用)を予想しないこと、認識しないこと、または管理を誤ることは、処方薬使用に関連する罹患および死亡の重要な原因である」と記載している(“Clinical Drug Interaction Studies-Study
Design、Data Analysis、and Clinical Implications Guidance for Industry”の2頁目)。この米国FDA報告には、複数の「強力CYP3A」インヒビタ(感受性CYP3A基質のAUCを5倍超増加させる)(感受性CYP3A基質のAUCを10倍超増加させる多数のインヒビタ(例えば、とりわけ、ケトコナゾール、イトラコナゾール、リトナビル、ボセプレビル、コビシスタット、コニバプタン、テラプレビル、トロレアンドマイシン、およびボリコナゾール(variconazole))が含まれる)が列挙されている。したがって、ミフェプリストンなどのCYP3A基質は、強力CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、またはリトナビルなど)と併用投与したときに、5倍超または10倍超の血漿レベルの大きな増加が予想されるであろう。
【0015】
ケトコナゾール、イトラコナゾール、またはいくつかの他の薬物の、例えば、ミフェプリストンと共に使用することは、患者を首尾よく処置するのに必要であると考えられ得る。しかし、CYP3A基質(例えば、ミフェプリストンまたは他の糖質コルチコイド受容体モジュレータなど)のCYP3Aインヒビタ(ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)との併用投与はCYP3A基質レベルを安全でないレベルまで上昇させることが予想されるか、患者を一方または他方の薬物の危険な作用または有毒作用に曝し得るので、医師は、首尾の良い処置に必要であると考えられたかもしれないケトコナゾール、イトラコナゾール、または他の薬物の併用を差し控えるかもしれない。
【0016】
しかし、患者に有害な結果をもたらし得る不利益がある可能性があるにも関わらず、患者に複数の薬物で処置する必要があり得る。
したがって、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールなど)およびステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールなど)と共に他の薬物を投与することが可能な改良された処置方法が望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【文献】Fleseriu and Castinetti,Pituitary 19:643-653(2016)
【文献】Greenblattら(Brit.J.Clin.Pharmacol.80(3):342-350(2015)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
概要
出願人は、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾール、およびイトラコナゾールなど)を、GRアンタゴニスト(GRA)ミフェプリストンなどの糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)と併用投与することができることを本明細書中に開示する。かかるケトコナゾールなどのCYP3AインヒビタおよびミフェプリストンなどのGRMの併用投与は、被験体に安全であり、かつ被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供されると考えられ、被験体へのGRMまたはCYP3Aインヒビタの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、GRMと併用投与されたCYP3Aインヒビタの有毒作用リスクが減少し得る。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、強力CYP3Aインヒビタである。かかるケトコナゾールなどのCYP3AインヒビタおよびミフェプリストンなどのGRMの併用投与は、被験体に安全であり、かつ被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供されると考えられ、被験体へのGRMの投与量を減少させることが可能であり、かつ被験体へのCYP3Aインヒビタの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、患者の処置を改善することができ、CYP3Aインヒビタの有毒作用リスクが減少し得る。
【0019】
出願人は、ステロイド生成インヒビタを、GRアンタゴニスト(GRA)ミフェプリストンなどの糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)と併用投与することができることを本明細書中に開示する。かかるステロイド生成インヒビタおよびミフェプリストンなどのGRMの併用投与は、被験体に安全であり、かつ被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供されると考えられ、GRAおよびステロイド生成インヒビタの併用投与が可能であり、被験体へのGRMの投与量を減少させることが可能であり、あるいは、被験体へのステロイド生成インヒビタの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、ステロイド生成インヒビタの有毒作用リスクが減少し得る。かかるステロイド生成インヒビタおよびミフェプリストンなどのGRMの併用投与は、被験体に安全であり、かつ被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供されると考えられ、被験体へのGRMまたはステロイド生成インヒビタの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、被験体の処置を改善することができ、ステロイド生成インヒビタの有毒作用リスクが減少し得る。
【0020】
例えば、出願人は、驚いたことに、ケトコナゾールを併用して受けている患者にミフェプリストンを投与することができることを発見した。例えば、ケトコナゾールを、ミフェプリストンも事前にまたは併用して受けている患者に投与することができ、したがって、患者はケトコナゾールおよびミフェプリストンを併用して投与される。かかるケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与は、典型的には被験体に安全であり、被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供され、被験体へのミフェプリストンの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、ミフェプリストンの有効用量をより低い用量にすることができ、さらに、ケトコナゾールの非存在下でのミフェプリストンの投与用量に類似の血漿ミフェプリストンレベルが得られ、且つ有効性が同様であり得る。かかるケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与は、被験体に両方の薬物の治療上の利点を提供し、患者へのミフェプリストンの投与量を減少させることが可能であり、患者へのケトコナゾールの投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、ケトコナゾールの有毒作用リスクを減少させることができ、患者の処置を改善することができる。
【0021】
出願人の驚くべき発見は、疾患または障害を罹患し、且つCYP3Aインヒビタ(ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタが含まれる)を受けている患者に適用されることであると考えられ;かかる疾患または障害を罹患している患者に、ケトコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの投与と併用してミフェプリストンなどのGRMを安全に投与することができる。かかる併用投与は、患者に安全であると考えられる。例えば、ケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与は、驚いたことに、患者におけるケトコナゾール毒性のリスクを増加させず、患者に安全であると考えられている。特に、出願人は、ケトコナゾールを受けているクッシング症候群患者にミフェプリストンをケトコナゾールと安全に併用投与することができることを本明細書中に開示する。クッシング症候群を罹患している患者へのケトコナゾールおよびミフェプリストンのかかる併用投与は、高コルチコイド症を特徴とするクッシング症候群を罹患している患者に安全であると考えられる。クッシング症候群を罹患している患者(内因性クッシング症候群を罹患している患者など)は、高コルチコイド症に続発する高血糖を罹患し得る。本明細書中に開示のGRA(例えば、ミフェプリストンなど)およびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)の併用投与は、安全であり、内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖の制御に適していると考えられている。
【0022】
複数の実施形態では、クッシング症候群を有する患者(その時点で最初の投薬量でGRAを服用している患者)を処置する方法は、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、GRAの量を、前記最初の投薬量から、最初の投薬量より少ない調整された投薬量に減少させる工程を含む。複数の実施形態では、その時点でGRAを最初の投薬量にて服用している、内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御する方法は、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、GRAの量を、前記最初の投薬量から、最初の投薬量より少ない調整された投薬量に減少させる工程を含む。かかる方法の複数の実施形態では、調整された投薬量は、最初の投薬量より少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、331/3%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、662/3%、70%、75%、80%、85%、および90%から選択される量が少ない。複数の実施形態では、調整された投薬量は、最初の投薬量より少なくとも10%少ない。複数の実施形態では、調整された投薬量は、最初の投薬量より少なくとも25%少ない。複数の実施形態では、調整された投薬量は、最初の投薬量より331/3%少ない。複数の実施形態では、調整された投薬量は、最初の投薬量より少なくとも50%少ない。
【0023】
複数の実施形態では、ミフェプリストンなどのGRMを第1のGRM用量として処方する場合、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタと共投与するときのGRM(ミフェプリストンなど)の投与量を、第1のGRM用量と比較してGRMが少量であるが、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタと共投与した場合に減少させたGRM用量で依然として有効に処置される減少させたGRM用量に減少させることができる。複数の実施形態では、ステロイド生成インヒビタと併用した減少させたGRM用量を受けている被験体の臨床状態を、臨床奏効(例えば、GRM(ミフェプリストンなど)に対する臨床奏効)についてモニタリングすることができる。臨床奏効のモニタリングには、GRMの臨床効果(GRMの臨床的有効性が含まれる);ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの臨床効果;ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタに対する有害反応の可能性、またはGRMと組み合わせたステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの使用;ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの副作用の可能性;GRMと組み合わせたステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの使用の副作用の可能性;またはこれらの組み合わせについてのモニタリングが含まれ得る。
【0024】
複数の実施形態では、減少させたGRM用量を、かかる患者のモニタリングにしたがって、患者に必要な場合および安全性のために増加させることができる。複数の実施形態では、GRMおよびCYP3Aインヒビタの併用投与またはGRMおよびステロイド生成インヒビタの併用投与の有害作用の可能性に関して患者の安全性を保持しながらクッシング症候群を有効に処置するために、減少させたGRM用量を、かかる患者のモニタリングにしたがって、被験体に必要な場合および安全性のために漸増することができる。
【0025】
複数の実施形態では、ミフェプリストンなどのGRMを第1のGRM用量で処方する場合、CYP3Aインヒビタ(ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタが含まれる)と共投与するときのGRM(ミフェプリストンなど)の投与量を、第1のGRM用量と比較してGRMが少量であるが、ケトコナゾールなどのCYP3Aインヒビタと共投与した場合に減少させたGRM用量で依然として有効に処置される減少させたGRM用量に減少させることができる。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタと併用した減少させたGRM用量を受けている患者の臨床状態を、例えば、GRMの臨床効果、CYP3Aインヒビタの臨床効果、CYP3AインヒビタまたはGRMと組み合わせたその使用に対する有害反応の可能性、CYP3AインヒビタまたはGRMと組み合わせたその使用に対する副作用の可能性、またはこれらの組み合わせについてモニタリングすることができる。複数の実施形態では、減少させたGRM用量を、かかる患者のモニタリングにしたがって、患者に必要な場合および安全性のために増加させることができる。複数の実施形態では、GRMおよびCYP3Aインヒビタの併用投与の有害作用の可能性に関して患者の安全性を保持しながらクッシング症候群を有効に処置するために、減少させたGRM用量を、かかる患者のモニタリングにしたがって、患者に必要な場合および安全性のために漸増することができる。
【0026】
したがって、出願人は、GRM投与を併用して受けている患者にステロイド生成インヒビタを投与することができることを本明細書中に開示する。したがって、出願人は、GRM投与を併用して受けている患者にCYP3Aインヒビタを投与することができることを本明細書中に開示する。例えば、出願人は、ケトコナゾール、ステロイド生成インヒビタ、およびCYP3Aインヒビタを、ミフェプリストンなどのGRMを併用して受けている、疾患または障害(例えば、クッシング症候群など)を罹患している患者に投与することができることを本明細書中に開示する。かかるGRA(ミフェプリストンなど)およびCYP3Aインヒビタ(ケトコナゾールなど)の両方を、内因性クッシング症候群を罹患している患者に、患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するために併用投与することができる。
【0027】
したがって、出願人は、GRMを、ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの投与も事前にまたは併用して受けている被験体に投与することができることを本明細書中に開示する。例えば、出願人は、GRMを、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの投与も事前にまたは併用して受けている、疾患または障害(例えば、クッシング症候群など)を罹患している被験体に投与することができることを本明細書中に開示する。出願人は、かかる投与を必要とする被験体の処置に有用なGRMおよびケトコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与方法を開示する。かかる投与を必要とする被験体には、疾患または障害を罹患している被験体が含まれ、クッシング症候群を罹患している被験体が含まれる。出願人は、かかるGRMおよびケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの投与が典型的には被験体に安全であり、被験体に両方の薬物の治療上の利点が提供されることをさらに開示する。複数の実施形態では、かかるケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのインヒビタおよびGRMの併用投与により、GRMまたはケトコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの被験体への投与量を減少させることが可能であり;かかる減少により、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタ、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの有毒作用リスクを減少させることができる(例えば、被験体に対する肝損傷リスクの減少など)。GRMは、例えば、ミフェプリストンであり得る。
【0028】
出願人は、驚いたことに、ケトコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3AのインヒビタをGRM(GRAなど)と併用投与することができ、したがって、ケトコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3AのインヒビタおよびGRAの併用投与により、例えば、処置を必要とする患者を安全かつ有効に処置することができることを発見した。ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3AインヒビタおよびGRAの併用投与を受けている患者は、例えば、クッシング症候群(クッシング病が含まれる)、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、または他のホルモン感受性癌の処置を必要とする患者であり得る。複数の実施形態では、かかる処置を必要とする患者に、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3AインヒビタおよびミフェプリストンなどのGRAの併用投与を受けさせることができる。複数の実施形態では、かかる処置を必要とする患者に、ケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与を受けさせることができる。
【0029】
本明細書中に開示の方法、組成物、およびキットは、クッシング症候群(クッシング病が含まれる);または前立腺癌および他のアンドロゲン感受性癌;または乳癌、卵巣癌、もしくは他のホルモン感受性癌(例えば、エストロゲンまたはプロゲステロンに感受性を示す癌)を罹患している患者の処置での使用に適しており;他の疾患、障害、または症状を罹患している被験体の処置での使用に適している。
【0030】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ミフェプリストンなどのGRMをその時点で受けている患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタも併用投与する。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、過剰なステロイドレベルを特徴とする容態の処置またはステロイドレベルの低下もしくはステロイド効果の低下によって処置される容態の処置としてミフェプリストンなどのGRMをその時点で受けている患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタも併用投与し、それにより、患者はその容態が処置される。複数の実施形態では、容態は、過剰なコルチゾールレベルを特徴とする。複数の実施形態では、容態は、例えば、内因性クッシング症候群を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖である。複数の実施形態では、容態は癌であり、ホルモン感受性癌であり得る。複数の実施形態では、ホルモン感受性癌は、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である。
【0031】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタをその時点で受けている患者に、GRMも併用投与する。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、過剰なステロイドレベルを特徴とする容態の処置またはステロイドレベルの低下もしくはステロイド効果の低下によって処置される容態の処置としてケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタをその時点で受けている患者に、GRMも併用投与し、それにより、患者はその容態が処置される。複数の実施形態では、容態は、過剰なコルチゾールレベルを特徴とする。複数の実施形態では、容態は、例えば、内因性クッシング症候群を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖である。複数の実施形態では、容態は、例えば、内因性クッシング症候群を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖である。複数の実施形態では、容態は癌であり、ホルモン感受性癌であり得る。複数の実施形態では、ホルモン感受性癌は、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である。
【0032】
したがって、本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、容態の処置を必要とする患者に、GRM(ミフェプリストンなど)およびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタ(ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の両方を併用投与し、それにより、患者はその容態が処置される。複数の実施形態では、容態は、過剰なコルチゾールレベルを特徴とする。複数の実施形態では、容態は、例えば、内因性クッシング症候群を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖である。複数の実施形態では、容態は癌であり、ホルモン感受性癌であり得る。複数の実施形態では、ホルモン感受性癌は、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である。
【0033】
複数の実施形態では、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタと併用投与されるGRMの量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に患者に事前に投与されたGRMと同一の量または実質的に同一の量である。複数の実施形態では、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタと併用投与されるGRMの量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に被験体に事前に投与されたGRMの量より少ない。複数の実施形態では、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタと併用投与される減少させたGRMの投与量はGRMの有効量であり;複数の実施形態では、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタと併用投与される減少させたGRM量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に被験体に事前に投与したGRMの量と同様に有効である。GRMはミフェプリストンであり得る。ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタはケトコナゾールであり得る。
【0034】
複数の実施形態では、GRMと併用投与されるステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に被験体に事前に投与されたステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタと同一の量または実質的に同一の量である。複数の実施形態では、GRMと併用投与されるステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に被験体に事前に投与されたステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの量より少ない。複数の実施形態では、GRMと併用投与される減少させたステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの投与量は、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの有効量であり;複数の実施形態では、GRMと併用投与される減少させたステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの量は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与前に被験体に事前に投与したステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの量と同様に有効である。GRMはミフェプリストンであり得る。ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタはケトコナゾールであり得る。
【0035】
GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、GRM投与後短期間内でのステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタ投与であり得る。複数の実施形態では、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、ミフェプリストン投与後短期間内でのケトコナゾール投与であり得る。GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、ステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタ投与後短期間内でのGRM投与であり得る。複数の実施形態では、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、ケトコナゾール投与後短期間内でのミフェプリストン投与であり得る。GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの同時投与であり得る。複数の実施形態では、GRMおよびステロイド生成またはCYP3Aのインヒビタの併用投与は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの同時投与であり得る。
【0036】
複数の実施形態では、GRMはステロイド性GRM(例えば、ミフェプリストンなど)である。複数の実施形態では、GRMは非ステロイド性GRMである。複数の実施形態では、GRMは糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)である。複数の実施形態では、GRAはステロイド性GRAである。複数の実施形態では、GRAはミフェプリストンである。複数の実施形態では、GRAは非ステロイド性GRAである。複数の実施形態では、GRAは、シクロヘキシル-ピリミジン骨格を有するGRA、融合アザデカリン骨格を有するGRA、ヘテロアリールケトン融合アザデカリン骨格を有するGRA、およびオクタヒドロ融合アザデカリン骨格を有するGRAから選択される非ステロイド性GRAである。
【0037】
複数の実施形態では、患者に、GRMおよびケトコナゾールを併用投与し;複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、併用投与は、GRMおよびケトコナゾールの患者への同時投与を含み、ここで、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、ミフェプリストンと併用投与されるケトコナゾールの量は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与前に被験体に事前に投与されたケトコナゾールと同一の量または実質的に同一の量である。複数の実施形態では、ミフェプリストンと併用投与されるケトコナゾールの量は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与前に被験体に事前に投与されたケトコナゾールの量より少ない。
【0038】
したがって、複数の実施形態では、出願人は、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記患者は、第1の用量のGRM(糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)など)を受けており、前記方法は、ある用量のCYP3Aインヒビタおよび減少させた用量の前記GRMを患者に併用投与する工程を含み、ここで、前記減少させたGRM用量は、第1のGRM用量より少ないGRM用量からなり、それにより、患者は、前記CYP3Aインヒビタおよび減少させた用量の前記GRMの併用投与によってクッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態が処置される。クッシング症候群に関連する容態には、高コルチコイド症に続発する高血糖(例えば、内因性クッシング症候群(Cushing’ syndrome)を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖)が含まれるが、これに限定されない。クッシング症候群に関連する容態には、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有する成人クッシング症候群患者における高コルチコイド症に続発する高血糖も含まれるが、これに限定されない。クッシング症候群に関連する容態には、制限されないが、a)2型真性糖尿病または耐糖能障害、およびb)手術を失敗したか、手術候補者でない成人クッシング症候群患者における高コルチコイド症に続発する高血糖がさらに含まれる。
【0039】
複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量の投薬量は、前記第1のGRA用量の投薬量より第1のGRM用量の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、331/3%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、662/3%、70%、75%、80%、85%、および90%から選択される量が少ない。複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量の投薬量は、前記第1のGRM用量の投薬量より約300ミリグラム(mg)の前記GRMが少ない。複数の実施形態では、前記第1のGRM用量の投薬量は、600mgまたはそれを超える前記GRMである。複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量は、約1500ミリグラム(mg)GRM、約1200mgGRA、約900mgGRM、および約600mgGRMからなるGRM用量群から選択されるGRM用量である。複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量は、900mgのGRMである。複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量は、600mgのGRMである。複数の実施形態では、減少させたGRM用量は、1日GRM用量である。複数の実施形態では、方法は、減少させたGRM用量の投薬量を漸増する工程をさらに含む。複数の実施形態では、かかる漸増は、減少させたGRM用量の投薬量を300ミリグラム(mg)のGRMずつ増加させることを含む。複数の実施形態では、ミフェプリストンの減少させた用量または漸増した減少させた用量の漸増と、減少させた用量の投薬量のその後の漸増との間の時間間隔は、1週間、2週間、3週間、および4週間から選択される。複数の実施形態では、方法は、GRMに対する臨床奏効について患者をモニタリングする工程を含む。複数の実施形態では、前記減少させたGRM用量がGRMに対する臨床奏効の減少に関連するかを判定した後にかかる漸増を行う。複数の実施形態では、GRMに対する臨床奏効について患者をモニタリングする工程は、グルコース調節、抗糖尿病薬の必要性、インスリンレベル、精神症状、クッシング様外観、ざ瘡、男性型多毛、体重、またはこれらの組み合わせについて患者をモニタリングすることを含む。複数の実施形態では、かかる漸増を、900ミリグラム/日の投薬レベルに制限する。複数の実施形態では、かかる漸増を、600ミリグラム/日の投薬レベルに制限する。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、減少させたGRM用量は、900mgミフェプリストンの1日用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、減少させたGRM用量は、600mgミフェプリストンの1日用量である。
【0040】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態は、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置に関する。複数の実施形態では、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者は、内因性クッシング症候群に関連する容態を罹患している患者である。複数の実施形態では、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置は、高コルチコイド症に続発する高血糖を罹患している患者の処置を含む。複数の実施形態では、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有するクッシング症候群患者における高コルチコイド症に続発する高血糖の処置を含む。複数の実施形態では、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置は、クッシング症候群患者における高コルチコイド症に続発する高血糖の処置を含み、ここで前記患者は、a)2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、かつb)手術を失敗したか、手術候補者でない。複数の実施形態では、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置は、a)2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、かつb)手術を失敗したか、手術候補者でない成人クッシング症候群患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためにミフェプリストンを投与する工程を含む。
【0041】
複数の実施形態では、出願人は、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記患者は、第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)(糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)など)を受けており、前記方法は、ある用量の前記CYP3Aインヒビタおよび第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に併用投与する工程を含み、それにより、患者は、前記CYP3Aインヒビタおよび前記GRMの併用投与によってクッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態が処置される。複数の実施形態では、第1のGRM用量は、900ミリグラム(mg)/日GRMを超えないGRM用量および600mg/日GRMを超えないGRM用量から選択される。複数の実施形態では、患者は、前記第1のGRM用量の投与前にある用量のCYP3Aインヒビタを投与されている。複数の実施形態では、前記CYP3Aインヒビタおよび前記GRMの併用投与は、検出可能なレベルの前記CYP3Aインヒビタを有する患者への前記第1のGRM用量の投与を含み、ここで、前記患者は、前記第1のGRM用量の投与前にある用量のCYP3Aインヒビタを投与されている。複数の実施形態では、方法は、その後のGRM用量の投薬量を漸増する工程をさらに含み、ここで、前記その後のGRM用量の投薬量は、第1のGRM用量のGRMの量よりも多いGRM量である。複数の実施形態では、かかる漸増は、その後のGRM用量の投薬量を300ミリグラム(mg)のGRMずつ増加させることを含む。複数の実施形態では、その後のGRM用量または漸増したその後のGRM用量の漸増と、その後のGRM用量の投薬量のその後の漸増との間の時間間隔は、1週間、2週間、3週間、および4週間から選択される。
【0042】
複数の実施形態では、出願人は、クッシング症候群またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者を処置するための、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときの糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)の使用を本明細書中に開示する。複数の実施形態では、出願人は、内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するための、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときのGRMの使用を本明細書中に開示する。かかる使用の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。かかる使用の複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。かかる使用の複数の実施形態では、使用は、前記GRMの1日に1回の用量を含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMの1日に1回の用量を、300mg/日または600mg/日のGRMから800mg/日超のGRMまで漸増する。
【0043】
本明細書中に開示の方法および使用の複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびホスアンプレナビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル/リトナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テリスロマイシン、およびボリコナゾールからなる群から選択される強力CYP3Aインヒビタである。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。
【0044】
本明細書中に開示の方法および使用の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0045】
本明細書中に開示の方法および使用は、クッシング症候群、クッシング病、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、および他の容態が含まれる容態を罹患している患者のための処置の選択肢が広がることが含まれる利点を提供する。
【0046】
本明細書中に開示の方法および使用は、クッシング症候群、クッシング病、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、および他の容態が含まれる容態を罹患している患者のための処置の改善が含まれる利点を提供し、ここで、かかる処置の改善には、ミフェプリストンなどのGRMのケトコナゾールとの併用投与によって患者に投与されるミフェプリストンなどのGRMの量を変化させる能力が含まれ得る。複数の実施形態では、かかる改善された処置には、被験体へのミフェプリストンなどのGRMの投与量を減少させる能力が含まれる。
【0047】
本明細書中に開示の方法および使用は、クッシング症候群、クッシング病、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、および他の容態が含まれる容態を罹患している患者のための処置の改善が含まれる利点を提供し、ここで、かかる処置の改善には、ミフェプリストンなどのGRMのCYP3Aインヒビタとの併用投与によって患者に投与されるケトコナゾールまたはイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの量を変化させる能力が含まれ得る。複数の実施形態では、かかる改善された処置には、被験体へのCYP3Aインヒビタの投与量を減少させ、したがって、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の有毒作用リスクを減少させる能力が含まれる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を1日1回服用している患者におけるクッシング症候群を処置する方法であって、該患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の用量を、最初の1日に1回の(OD)用量から、前記最初のOD用量よりも少なくとも25%少ない調整されたOD用量に減少させる工程を含む、方法。
(項目2)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が1200ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が900mg/日の前記GRMである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、800ミリグラム(mg)/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量が、800mg/日超および600mg/日の前記GRMから選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、1200ミリグラム(mg)/日、900mg/日、800mg/日超、および600mg/日の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMである、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、1200ミリグラム(mg)/日、900mg/日、および800mg/日超の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量が600mg/日または300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を、900mg/日、800mg/日超、または600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記GRMがミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタが強力CYP3Aインヒビタである、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記CYP3Aインヒビタが、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を1日1回服用している患者におけるコルチゾールレベルの上昇に関連する症状を処置する方法であって、該患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の(OD)用量を、最初のOD用量から、前記最初のOD用量よりも少なくとも25%少ない調整された用量に減少させる工程を含む、方法。
(項目10)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が1200ミリグラム(mg)/日であり、前記GRMの調整されたOD用量が900mg/日の前記GRMである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、800ミリグラム(mg)/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記GRMの調整されたOD用量が、800mg/日超および600mg/日の前記GRMから選択される、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、1200ミリグラム(mg)/日、900mg/日、800mg/日超、および600mg/日の前記GRMから選択され、前記GRMの調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMである、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、1200ミリグラム(mg)/日、900mg/日、および800mg/日超の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量が600mg/日または300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を、900mg/日、800mg/日超、または600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記GRMがミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタが強力CYP3Aインヒビタである、項目9~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記CYP3Aインヒビタが、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである、項目9~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を1日1回服用している内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御する方法であって、該患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の(OD)用量を、最初のOD用量から、前記最初のOD用量よりも少なくとも25%少ない調整されたOD用量に減少させる工程を含む、方法。
(項目18)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が1200ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記GRMの調整されたOD用量が900mg/日の前記GRMである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、800ミリグラム(mg)/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記GRMの調整されたOD用量が、800mg/日超および600mg/日の前記GRMから選択される、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が、1200ミリグラム(mg)/日、900mg/日、および800mg/日超の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量が600mg/日または300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を、900mg/日、800mg/日超、または600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、該調整されたOD用量を600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記GRMがミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタが強力CYP3Aインヒビタである、項目17~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記CYP3Aインヒビタが、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである、項目17~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御する方法であって、該患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、1日に1回の用量が800ミリグラム(mg)/日超、900mg/日、および1200mg/日の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を投与する工程を含む、方法。
(項目25)
該GRMがミフェプリストンである、項目24に記載の方法。
(項目26)
該CYP3Aインヒビタが、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
前記GRMの前記1日に1回の用量を、300mg/日または600mg/日のGRMから800mg/日超のGRMまで用量設定する、項目24~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するための、該患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときの糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)の使用。
(項目29)
該GRMがミフェプリストンである、項目28に記載の使用。
(項目30)
該CYP3Aインヒビタが、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである、項目28または29に記載の使用。
(項目31)
前記使用が1日に1回の用量の前記GRMを含む、項目28~30のいずれか1項に記載の使用。
(項目32)
前記GRMの1日に1回の用量を、300mg/日または600mg/日のGRMから800mg/日超のGRMまで用量設定する、項目31に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、1~17日目のミフェプリストンの投与前に健康な男性ボランティアにおいて測定したミフェプリストンおよびその代謝産物RU42633、RU42698、およびRU42848の平均および標準偏差を示す。13~17日目にケトコナゾールも投与した。
【0049】
図2図2は、12日目(ケトコナゾール投与前)および17日目(ケトコナゾール投与5日目)に健康な男性ボランティアにおいて測定したミフェプリストンの血漿濃度プロフィールを示す。
【0050】
図3図3は、研究14日目(1日1回の1200mgミフェプリストンの投与;三角);研究28日目(1日1回の900mgミフェプリストンの投与;円);および研究42日目(1日1回の900mgミフェプリストンおよび1日1回の200mgイトラコナゾールの投与;四角)の投薬以来24時間にわたって健康な男性ボランティアにおいて測定したミフェプリストンの血漿濃度プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
ケトコナゾールは、コルチコステロイド合成を強力に阻害する;したがって、ケトコナゾールは、ケトコナゾールを投与した被験体におけるコルチゾールレベルを強力に低下させる。しかし、例えば、肝毒性の可能性があるのでその使用に対する懸念がある(例えば、Castinettiら,J Clin Endocrinol Metab 99(5):1623-1630(2014)を参照のこと)。
【0052】
米国食品医薬品局(FDA)の定義(http://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/DrugInteractionsLabeling/ucm093664.htm、2017年2月16日にアクセス)によれば、強力CYP3Aインヒビタは、他の薬物のAUCを5倍超増加させると予想されている。FDAではケトコナゾールは強力CYP3Aインヒビタとされている。
【0053】
驚いたことに、本明細書中で開示されるように、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与により、ミフェプリストンの血漿レベルは少ししか増加せず、かかる併用投与で予想される大きな増加は生じない。
【0054】
出願人は、驚いたことに、ミフェプリストンのみを12日間受けており、ついで、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの両方を併用投与した被験体において、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与により、ミフェプリストンのAUCおよびCmaxが少ししか増加しないことを見出した。600mgミフェプリストン/日を受けており、ついで、400mgケトコナゾール(200mgを1日に2回)与えた被験体において、ケトコナゾールと併用投与したミフェプリストンのCmaxの増加は、2倍より少なく(ミフェプリストンのCmax増加率はわずか28%)、ケトコナゾールと併用投与したミフェプリストンのAUCの増加は、2倍より少ない(ミフェプリストンのAUC増加率はわずか38%)。
【0055】
さらに驚いたことに、本明細書中で開示されるように、ケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与はまた、予想よりもケトコナゾールレベルの増加が少なかった。600mgミフェプリストン/日を併用して400mgケトコナゾール(200mgを1日に2回)を受けている5日目の被験体におけるケトコナゾールレベルと比較した、両薬物の併用投与の第1日目のケトコナゾールレベルと比較したときのミフェプリストンと併用投与されたケトコナゾールのCmaxは4倍より少なく増加し(ケトコナゾールのCmax増加率365%)、ミフェプリストンと併用投与されたケトコナゾールのAUCは、3倍より少なく増加する(ケトコナゾールのAUCの増加率253%)。
【0056】
出願人は、驚いたことに、ミフェプリストンのみを受けており、ついで、ミフェプリストンおよびイトラコナゾールの両方を併用投与した被験体において、ミフェプリストンおよびイトラコナゾールの併用投与により、ミフェプリストンのAUCおよびCmaxが少ししか増加しないことを見出した。イトラコナゾール(朝食後30分以内に200mgを1日1回)の、ミフェプリストン(イトラコナゾールから5分以内に900mgを1日1回)との投与により、(朝食後30分以内に)1200mgミフェプリストンのみを与えたときの被験体において得られるミフェプリストンレベルに匹敵するミフェプリストンレベルが得られる。200mgイトラコナゾール/日を併用投与した900mgミフェプリストン/日のCmaxは、イトラコナゾールを併用せずに投与した900mgミフェプリストン/日のCmaxと比較して約20%増加する;200mgイトラコナゾール/日を併用投与した900mgミフェプリストン/日のAUC0-24は、イトラコナゾールを併用せずに投与した900mgミフェプリストン/日のAUC0-24と比較して約10%増加する。
【0057】
ケトコナゾールは、ステロイド生成の強力インヒビタである;したがって、ケトコナゾールがステロイド生成の他の強力インヒビタの一例として役立ち得ると考えられ、これらの結果は、本明細書中に開示の方法にしたがってミフェプリストンおよび他の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(糖質コルチコイド受容体アンタゴニストが含まれる)をステロイド生成インヒビタと安全に併用投与することができることを示す。
【0058】
出願人は、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)およびステロイド生成インヒビタの両方の被験体への安全な併用投与方法を本明細書中に開示する。出願人は、ミフェプリストンなどのGRMおよびケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタの両方を被験体に同時またはほぼ同時に安全に投与することができる(すなわち、GRMおよびステロイド生成インヒビタを併用投与することができる)という驚くべき所見を本明細書中に開示する。
【0059】
出願人は、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)およびCYP3Aインヒビタの両方の被験体への安全な併用投与方法を本明細書中に開示する。出願人は、ミフェプリストンなどのGRMおよびケトコナゾールおよびイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタの両方を被験体に同時またはほぼ同時に安全に投与することができる(すなわち、GRMおよびCYP3Aを併用投与することができる)という驚くべき所見を本明細書中に開示する。
【0060】
出願人は、ミフェプリストン(糖質コルチコイド受容体モジュレータ)およびケトコナゾールまたはイトラコナゾールの安全な併用投与を示す驚くべき結果を本明細書中に開示する。ケトコナゾールおよびイトラコナゾールはCYP3A酵素の強力インヒビタであり、強力CYP3Aインヒビタクラスの効果を判定するために使用することができる(FDA“Clinical Drug Interaction Studies - St
udy Design,Data Analysis,and Clinical Implications Guidance for Industry”,pages 10-11(https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm292362.pdfを参照のこと)。したがって、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールがCYP3A酵素の他の強力インヒビタの模範として役立ち得ると考えられる。本明細書中に開示のミフェプリストンを用いた結果により、ミフェプリストンだけでなく他の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(他の糖質コルチコイド受容体アンタゴニストが含まれる)も、本明細書中に開示の方法にしたがってCYP3A酵素インヒビタと安全に併用投与することができることを示すと考えられる。かかるCYP3A酵素インヒビタには、強力CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびホスアンプレナビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル/リトナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テリスロマイシン、ならびにボリコナゾールなど)が含まれる。強力CYP3Aインヒビタが強力でないほどミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿レベルに及ぼす影響が小さくなると予想されるので、これらの結果は、ミフェプリストンを、上記列挙のものに加えて、他のCYP3Aインヒビタ(強力CYP3Aインヒビタ(例えば、フルコナゾール、シメチジン、ボセプレビル、およびテラプレビルなど)でないCYP3Aインヒビタが含まれる)と安全に投与することもできることを示す。
【0061】
出願人は、CYP3AインヒビタであるケトコナゾールまたはCYP3Aインヒビタであるイトラコナゾールを受けている被験体に、有効用量の、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)(例えば、糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA))であるミフェプリストンを安全に投与することもできるという驚くべき所見を本明細書中に開示する。出願人はまた、GRM(例えば、GRA)であるミフェプリストンを受けている被験体に、CYP3AインヒビタであるケトコナゾールまたはCYP3Aインヒビタであるイトラコナゾールを安全に投与することもできるという驚くべき所見を本明細書中に開示する。出願人はまた、ミフェプリストンを受けている被験体に、ステロイド生成インヒビタ(すなわち、ケトコナゾール)を安全に投与することもできる;ケトコナゾールは、CYP3Aインヒビタであることに加えてステロイド生成インヒビタでもあるという驚くべき所見を本明細書中に開示する。
【0062】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、GRM(例えば、ミフェプリストンなどのGRAなど)を受けている被験体に、有効用量のケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタを安全に投与することができる。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、被験体に、ケトコナゾールおよび減少させた用量のGRMを安全に投与することができ、ここで、減少させた用量のGRMとは、ケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタの非存在下で投与されるGRM用量より少ないGRM用量である有効用量のGRMである。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、被験体に、GRMおよび減少させた用量のケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタを安全に投与することができ、ここで、減少させた用量のステロイド生成インヒビタは、GRMの非存在下でのステロイド生成インヒビタの投与用量より少ない用量である有効用量のステロイド生成インヒビタである。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)を受けている被験体に、有効用量のGRM(例えば、ミフェプリストンなど)を安全に投与することができる。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、GRM(例えば、ミフェプリストンなど)を受けている被験体に、有効用量のステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)を安全に投与することができる。
【0063】
これらの方法を、疾患または障害を罹患している被験体および他の被験体(クッシング症候群を罹患している被験体が含まれる)に適用することができる。かかるケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタのGRMとの併用投与は、例えば、添加したGRMに起因するステロイド生成インヒビタ代謝に及ぼす有害作用に起因する有毒な副作用を生じることが予想されていたであろう(例えば、ステロイド生成インヒビタがケトコナゾールである場合、それまで安全であったケトコナゾール用量は、GRM(例えば、ミフェプリストン)を添加すると有毒な用量になることが予想されていたであろう)。
【0064】
特に、出願人は、疾患または障害を罹患しており、かつケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者にケトコナゾールまたはイトラコナゾール投与と併用してミフェプリストンを安全に投与することができることを本明細書中に開示する。かかるミフェプリストンのケトコナゾールまたはイトラコナゾールとの併用投与は、驚いたことに、患者における毒性リスクを増加させず、患者に安全であると考えられる。特に、出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けているクッシング症候群患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの投与と併用してミフェプリストンを安全に投与することができることを本明細書中に開示する。かかるケトコナゾールまたはイトラコナゾールのミフェプリストンとの併用投与は、驚いたことに、ヒトにおける毒性リスクを増加させず、クッシング症候群を罹患している患者に安全であると考えられる。
【0065】
したがって、出願人は、処置による有害な副作用のリスクを実質的に増加させない改善された処置の利点を提供する、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)およびGRM(例えば、ミフェプリストンなど)の驚くべき有用な併用投与方法を本明細書中に開示する。例えば、出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールのミフェプリストンとの驚くべき有用な併用投与方法であって、肝臓に重篤な有害作用を及ぼし得るケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクを実質的に増加させることなく両薬物の利点を提供する方法を本明細書中に提供する。
【0066】
したがって、出願人は、処置による有害な副作用のリスクを実質的に増加させない改善された処置の利点を提供する、ステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)およびGRM(例えば、ミフェプリストンなど)の驚くべき有用な併用投与方法を本明細書中に開示する。例えば、出願人は、ケトコナゾールおよびミフェプリストンの驚くべき有用な併用投与方法であって、肝臓に重篤な有害作用を及ぼし得るケトコナゾールの毒性リスクを実質的に増加させることなく両薬物の利点を提供する方法を本明細書中に提供する。
【0067】
したがって、患者におけるミフェプリストンなどのGRMのステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾール)との共存がかかるステロイド生成インヒビタのみの用量で予想される毒性を超えてステロイド生成インヒビタの毒性が増加するであろうという予想に反して、出願人は、a)GRM(例えば、ミフェプリストン)およびステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾール)の両方の被験体への投与、またはb)ステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾール)を直近に投与されている被験体へのGRM(例えば、ミフェプリストン)の投与、またはc)GRM(例えば、ミフェプリストン)投与の直後の被験体へのステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾール)の投与というGRMおよびステロイド生成インヒビタの併用投与がステロイド生成インヒビタの毒性を予想される毒性まで増加させないことを発見した。複数の実施形態では、ステロイド生成インヒビタおよびGRMの併用投与により、ステロイド生成インヒビタの非存在下でのGRMの投与用量と比較して減少させたGRM用量である有効用量のGRMを投与することが可能である。
【0068】
複数の実施形態では、ケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与により、ケトコナゾールの非存在下でのミフェプリストンの投与用量と比較して減少させた用量のミフェプリストンである有効用量のミフェプリストンを投与することが可能である。例えば、出願人は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与が、患者の有効な治療に十分なミフェプリストンレベルを維持しながら、ミフェプリストン用量を減少させることを可能にすることを発見した。かかるミフェプリストン用量の減少は、被験体へのミフェプリストンの投与量が減少するという利点を提供する。被験体にケトコナゾールおよびミフェプリストンを併用投与する実施形態により、(ケトコナゾールの非存在下でのミフェプリストン用量と比較して)ミフェプリストン用量を減少させることが可能であり、前記実施形態には、例えば、クッシング症候群およびホルモン感受性癌(乳癌、卵巣癌、および前立腺癌など)、ならびにミフェプリストンによる処置に感受性を示す他の障害が含まれる。
【0069】
複数の実施形態では、ケトコナゾールも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの最初の用量より少なくとも約5%少ないミフェプリストンの用量であり、ここで、ミフェプリストンの最初の用量は、被験体にケトコナゾール共投与の非存在下で投与されていたか、投与されていたであろう用量である。複数の実施形態では、減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの最初の用量より少なくとも約10%少ないミフェプリストン用量であり;ミフェプリストンの最初の用量より少なくとも約15%、または約20%、または約22%、または約23%、または約25%、または約28%、または約29%、または約33%、または約38%、または約40%、または約50%、または約66%、または約75%少ないミフェプリストン用量であり得る。
【0070】
複数の実施形態では、ケトコナゾールも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの最初の用量の量よりミフェプリストンが300mg少ないミフェプリストン用量である。複数の実施形態では、ケトコナゾールも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの最初の用量の量より300mgの整数倍のミフェプリストンが少ないミフェプリストン量であるミフェプリストン用量である。複数の実施形態では、整数倍の整数は、1、2、3、4、および5から選択される。
【0071】
複数の実施形態では、ケトコナゾールも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のミフェプリストンは、約900mgミフェプリストンであり;または約600mgミフェプリストンであり;または約300mgミフェプリストンであるミフェプリストン用量である。複数の実施形態では、ケトコナゾールも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のミフェプリストンは、1日おきのみに投与される約300mgミフェプリストンである;または2日おきに投与される約300mgミフェプリストンである;または3日おきに投与される約300mgミフェプリストンであるミフェプリストン用量である。例えば、ミフェプリストンの最初の用量が約1500mg/日である場合、減少させた用量のミフェプリストンは、毎日投与される約1200mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約900mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約600mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約300mgのミフェプリストンであり得る。例えば、ミフェプリストンの最初の用量が約1200mg/日である場合、減少させた用量のミフェプリストンは、毎日投与される約900mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約600mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約300mgのミフェプリストンであり得る。例えば、ミフェプリストンの最初の用量が約900mg/日である場合、減少させた用量のミフェプリストンは、毎日投与される約600mgのミフェプリストンであり得る;または毎日投与される約300mgのミフェプリストンであり得る;または1日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る。例えば、ミフェプリストンの最初の用量が約600mg/日である場合、減少させた用量のミフェプリストンは、毎日投与される約300mgのミフェプリストンであり得る;または1日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る。例えば、ミフェプリストンの最初の用量が約300mg/日である場合、減少させた用量のミフェプリストンは、1日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る;または3日おきに投与される約300mgのミフェプリストンであり得る。
【0072】
被験体が約1800mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、約1500mgミフェプリストン/日であり得る;約1200mgミフェプリストン/日であり得る;約900mgミフェプリストン/日であり得る;800mg/日超であり得る;約600mgミフェプリストン/日であり得る;約300mgミフェプリストン/日であり得る;1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。被験体が約1500mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、約1200mgミフェプリストン/日であり得る;約900mgミフェプリストン/日であり得る;800mg/日超であり得る;約600mgミフェプリストン/日であり得る;約300mgミフェプリストン/日であり得る;1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。被験体が約1200mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、約900mgミフェプリストン/日であり得る;800mg/日超であり得る;約600mgミフェプリストン/日であり得る;約300mgミフェプリストン/日であり得る;1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。被験体が約900mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、800mg/日超であり得る;約600mgミフェプリストン/日であり得る;約300mgミフェプリストン/日であり得る;1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;または2日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。被験体が約600mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、約300mgミフェプリストン/日であり得る;1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;2日おきに約300mgであり得る;または3日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。被験体が約300mgミフェプリストン/日を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のミフェプリストンは、1日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る;2日おきに約300mgであり得る;または3日おきに約300mgのミフェプリストンであり得る。
【0073】
被験体が第1の用量のミフェプリストン(例えば、約1800mg/日、または約1500mg/日、または約1200mg/日、または約900mg/日、800mg/日超、または約600mg/日、または約300mg/日の1日用量のミフェプリストン)を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、被験体に減少させた用量のミフェプリストンを投与することができ、ここで、減少させた用量の量は最初のミフェプリストン用量より約300mgミフェプリストン/日少なく、被験体を、薬物の臨床効果についてモニタリングすることができる(ミフェプリストンに対する臨床奏効のモニタリングが含まれる)。被験体が第1の用量のミフェプリストン(例えば、約1800mg/日、または約1500mg/日、または約1200mg/日、または約900mg/日、800mg/日超、または約600mg/日、または約300mg/日の1日用量のミフェプリストン)を受けており、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、被験体に減少させた用量のミフェプリストンを投与することができ、ここで、減少させた用量の量は最初のミフェプリストン用量より約300mgミフェプリストン/日少なく、減少させた用量のミフェプリストンを、その後に約300mgミフェプリストンずつ漸増する(すなわち、その後の投薬用量を増加させる)ことができる。複数の実施形態では、かかる減少させた用量の300mg/日ずつの漸増を、約600mg/日、または800mg/日超、または約900mg/日、または約1200mg/日、または約1500mg/日の最大1日投薬量に供することができる。複数の実施形態では、かかる1日あたりに投与されるミフェプリストンの減少させた1日用量の投薬量の漸増を最大1日用量に制限し、ここで、前記最大1日用量は、900ミリグラム(mg)ミフェプリストン/日、800mgミフェプリストン/日超、および600mgミフェプリストン/日からなる群から選択される。
【0074】
被験体を、かかるミフェプリストン投薬量の漸増の、任意の病期または全ての病期における薬物の臨床効果(例えば、GRM(例えば、ミフェプリストン)に対する臨床奏効、任意の薬物の有害事象、副作用)についてモニタリングすることができる。ミフェプリストンの減少させた用量または漸増した減少させた用量の投与と、ある用量の漸増との間の時間間隔は、2日間、4日間、1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、および3ヶ月間から選択される間隔であり得る。複数の実施形態では、ミフェプリストンの減少させた用量または漸増した減少させた用量の漸増と、減少させた用量の投薬量のその後の漸増との間の時間間隔は、1週間、2週間、3週間、および4週間から選択される。臨床奏効ついての患者のモニタリングには、グルコース調節、抗糖尿病薬の必要性、インスリンレベル、精神症状、クッシング様外観、ざ瘡、男性型多毛についての患者のモニタリング(例えば、これらに変化があるかどうかを同定または判定するため)、および患者の体重のモニタリング(例えば、これらの症状および特徴のうちの1つまたは複数のいずれかに変化があるかどうかを同定または判定するため)が含まれ得る。
【0075】
被験体が第1の用量のミフェプリストン(例えば、約1800mg/日、または約1500mg/日、または約1200mg/日、または約900mg/日、800mg/日超、または約600mg/日、または約300mg/日の1日用量のミフェプリストン)を受けおり、ミフェプリストンおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、被験体に減少させた用量のミフェプリストンを投与することができ、ここで、減少させた用量の量は最初のミフェプリストン用量より少なく、減少させた用量のミフェプリストンは、約1500mgミフェプリストン/日、または約1500mg/日、または約1200mg/日、または約900mg/日、または800mg/日超、または約600mg/日、または約300mg/日であり得る;被験体を、GRMに対する臨床奏効または薬物の他の臨床効果についてモニタリングすることができる。かかる複数の実施形態では、減少させた用量のミフェプリストンを、その後に約300mgミフェプリストンずつ漸増する(すなわち、その後の投薬用量を増加させる)ことができる。複数の実施形態では、かかる減少させた用量の300mg/日ずつの漸増を、約600mg/日、または800mg/日超、または約900mg/日、または約1200mg/日、または約1500mg/日の最大1日投薬量に供することができる。複数の実施形態では、かかる1日あたりに投与されるミフェプリストンの減少させた1日用量の投薬量の漸増を最大1日用量に制限し、ここで、前記最大1日用量は、900ミリグラム(mg)ミフェプリストン/日、800mgミフェプリストン/日超、および600mgミフェプリストン/日からなる群から選択される。
【0076】
被験体を、かかるミフェプリストン投薬量の漸増の、任意の病期または全ての病期における薬物に対する臨床奏効(例えば、GRM(例えば、ミフェプリストン)に対する臨床奏効が含まれる)、任意の薬物の有害事象、副作用についてモニタリングすることができる。減少させた用量のミフェプリストンの漸増を、1日おきに、または3日おきに、または毎週、または1週間おきに、または毎月、または1ヶ月おきに行うことができる。複数の実施形態では、ミフェプリストンの減少させた用量または漸増した減少させた用量の漸増と、減少させた用量の投薬量のその後の漸増との間の時間間隔は、1週間、2週間、3週間、および4週間から選択される。
【0077】
出願人は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの両方での併用処置ならびにミフェプリストンおよびイトラコナゾールの両方での併用処置により、CmaxおよびAUCによって測定したところ、ミフェプリストンの血漿レベルの増加を少なくできることを本明細書中に開示する。例えば、以下の表3に開示するように、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与により、ミフェプリストンのCmaxが約28%(27.59%、または約30%)増加し、ミフェプリストンのAUCが約38%(38.01%、約40%)増加する。したがって、複数の実施形態では、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与を受けている被験体へのミフェプリストンの投与用量を、かかるミフェプリストン血漿レベルのわずかな増加に応じて減少させることができる。さらに、以下の表9に開示するように、ミフェプリストンおよびイトラコナゾールの併用投与により、ミフェプリストンのCmaxが約20%増加し、ミフェプリストンのAUCが約10%増加する。したがって、複数の実施形態では、ミフェプリストンおよびイトラコナゾールの併用投与を受けている被験体へのミフェプリストンの投与用量を、かかるミフェプリストン血漿レベルのわずかな増加に応じて減少させることができる。
【0078】
被験体がGRM(例えば、ミフェプリストンなど)を受けており、GRMおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のGRMを、GRMの最初の用量の、例えば、約20%~約22%減少させることができる。被験体がGRMを受けており、GRMおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のGRMを、GRMの最初の用量の約23%減少させることができる。被験体がGRMを受けており、GRMおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のGRMを、GRMの最初の用量の約28%減少させることができる。被験体がGRMを受けており、GRMおよびCYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)の併用投与を示す複数の実施形態において、減少させた用量のGRMを、GRMの最初の用量の約29%減少させることができる。複数の実施形態では、減少させた用量のGRMは、GRMの最初の用量の少なくとも約90%であるGRM用量である;GRMの最初の用量の少なくとも約85%、または約80%、または約78%、または約77%、または約75%、または約72%、または約71%、または約67%、または約62%、または約60%、または約50%、または約34%、または約25%であるGRM用量であり得る。
【0079】
出願人は、さらに、ミフェプリストンがステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾール、レボケトコナゾール、メチラポン、エトミデート、ミトタン、オシロドロスタット(LCI699)など)と協力して付加的な治療上の利点を提供するので、ミフェプリストンおよびかかるステロイド生成インヒビタの併用投与により、患者の治療に有効なミフェプリストンレベルを維持しながらステロイド生成インヒビタの用量を減少させることが可能となることを本明細書中に開示する。例えば、ケトコナゾール用量のかかる減少は、全てのケトコナゾール処置に関連する有毒な副作用のリスクを減少させるという利点を提供する。したがって、ステロイド生成インヒビタ用量を減少させることによるステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)のミフェプリストンとの併用投与は、改善された相乗的な治療上の利点を提供する。複数の実施形態では、かかるステロイド生成インヒビタ用量の減少を使用して患者からステロイド生成インヒビタを離脱させてステロイド生成インヒビタの用量を徐々に低下させ、それにより、ステロイド生成インヒビタの毒性リスクを減少させることができる。ステロイド生成インヒビタがケトコナゾールである複数の実施形態では、かかるケトコナゾール用量の減少を使用して患者からケトコナゾールを離脱させてケトコナゾールの用量を徐々に低下させ、必要に応じてミフェプリストン投薬量の漸増的調整を併用して、最終的にミフェプリストンのみで処置し、ケトコナゾール処置を中止することができる(肝損傷および他の毒性のリスクが軽減される)。ケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与により(ミフェプリストンの非存在下でのケトコナゾール用量と比較して)ケトコナゾール用量が減少し得る実施形態には、例えば、クッシング症候群およびホルモン感受性癌(乳癌、卵巣癌、および前立腺癌など)、ならびにミフェプリストンによる処置に感受性を示す他の障害が含まれる。
【0080】
複数の実施形態では、ステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)およびミフェプリストンの併用投与により、ミフェプリストンの非存在下で投与したステロイド生成インヒビタの用量と比較して減少させた用量のステロイド生成インヒビタである有効用量のステロイド生成インヒビタを投与することが可能である。例えば、出願人は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールの併用投与により、患者への有効な治療を維持しながらケトコナゾール用量を減少させることが可能になることを本明細書中に開示する。かかるケトコナゾール用量の減少は、被験体へのケトコナゾールの投与量が減少するという利点を提供する。被験体へのケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与により(ミフェプリストンの非存在下でのケトコナゾール用量と比較して)ケトコナゾール用量を減少させることが可能である実施形態には、例えば、クッシング症候群、ホルモン感受性癌(乳癌、卵巣癌、および前立腺癌など)、ならびにケトコナゾールおよび他のステロイド生成インヒビタによる治療に感受性を示す他の障害が含まれる。
【0081】
複数の実施形態では、ミフェプリストンも併用して受けている被験体に投与される減少させた用量のステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールなど)は、ステロイド生成インヒビタの最初の用量より少なくとも約5%少ないステロイド生成インヒビタの用量であり、ここで、ステロイド生成インヒビタの最初の用量は、被験体にミフェプリストン共投与の非存在下で投与されていたか、投与されていたであろう用量である。複数の実施形態では、減少させた用量のステロイド生成インヒビタは、ステロイド生成インヒビタの最初の用量より少なくとも約10%少ないステロイド生成インヒビタ用量であり;ステロイド生成インヒビタの最初の用量より少なくとも約15%、または約20%、または約25%、または約33%、または約50%、または約66%、または約75%少ないステロイド生成インヒビタ用量であり得る。
【0082】
出願人は、患者におけるクッシング症候群を処置するための糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)の使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の用量を、最初の1日に1回の(OD)用量から、前記最初のOD用量より少ない調整されたOD用量に減少させる工程を含む。1日に1回の用量のGRMを使用し、GRMおよびCYP3Aインヒビタの併用投与を示す実施形態において、減少させた用量のGRMは、GRMの最初の用量より少なくとも約15%、または約20%、または約22%、または約23%、または約25%、または約28%、または約29%、または約33%、または約38%、または約40%、または約50%、または約66%、または約75%少なくてよい。前記GRMの1日に1回の用量が約1200mgGRM/日であり、GRMおよびCYP3Aインヒビタの併用投与を示す複数の実施形態では、減少させた用量のGRMは、約900mgGRM/日であり得る;800mgGRM/日超であり得る;約600mgGRM/日であり得る;または約300mgGRM/日であり得る。
【0083】
複数の実施形態では、出願人は、患者におけるクッシング症候群を処置するための糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)の使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の用量を、最初の1日に1回の(OD)用量から、前記最初のOD用量より少なくとも約25%少ない調整されたOD用量に減少させる工程を含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量は、800mg/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記調整されたOD用量は、800mg/日超および600mg/日の前記GRMから選択される。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、調整されたOD用量を600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMはミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタは強力CYP3Aインヒビタである。かかる使用の複数の実施形態では、前記CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。
【0084】
出願人はまた、患者におけるコルチゾールレベルの上昇に関連する症状を処置するための糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)の使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の(OD)用量を、最初のOD用量から、前記最初のOD用量より少なくとも約25%少ない調整された用量に減少させる工程を含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量は、800mg/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記GRMの調整されたOD用量は、600mg/日の前記GRMである。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、調整されたOD用量を600mg/日の前記GRMに用量設定する工程をさらに含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMはミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタは強力CYP3Aインヒビタである。かかる使用の複数の実施形態では、前記CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。
【0085】
出願人は、さらに、患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためのGRMの使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、前記GRMの1日に1回の(OD)用量を、最初のOD用量から、前記最初のOD用量より少なくとも約25%少ない調整されたOD用量に減少させる工程を含む。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量は1200ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記GRMの調整されたOD用量は900mg/日の前記GRMである。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量は、800mg/日超、900mg/日、および1200mg/日の前記GRMから選択され、前記GRMの調整されたOD用量は、800mg/日超および600mg/日の前記GRMから選択される。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMの1日に1回の用量を、800mg/日超まで(例えば、900mg/日に)漸増する。かかる使用の複数の実施形態では、前記最初の1日に1回の(OD)用量が600ミリグラム(mg)/日の前記GRMであり、前記調整されたOD用量が300mg/日の前記GRMであり、調整されたOD用量は、600mg/日の前記GRMまたは800mg/日超の前記GRMにさらに漸増される。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMはミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタは強力CYP3Aインヒビタである。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMはミフェプリストンであり、前記CYP3Aインヒビタは強力CYP3Aインヒビタである。かかる使用の複数の実施形態では、前記CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。
【0086】
出願人は、なおさらに、内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためのGRMの使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、600ミリグラム(mg)GRM(例えば、ミフェプリストンなど)の1日に1回の用量を投与する工程を含む。かかる使用の複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMの1日に1回の用量を、600mgで1日1回の単数の用量または複数の用量の投与後に800mg/日超まで(例えば、900mg/日に)漸増する。かかる使用の複数の実施形態では、前記GRMの1日に1回の用量を、300mg/日から600mg/日まで漸増する。
【0087】
出願人は、なおさらに、内因性クッシング症候群を有する患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためのGRMの使用を本明細書中に開示し、ここで、GRMは1日に1回の投与のためのものであり、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、800mg超のミフェプリストン(例えば、900mgミフェプリストン)の1日に1回の用量を投与する工程を含む。かかる使用の複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。かかる使用の複数の実施形態では、前記ミフェプリストンの1日に1回の用量を、300mg/日から800mg/日超まで(例えば、900mg/日に)漸増する。
【0088】
出願人は、本開示で使用したいくつかの用語の定義を提供する。
【0089】
定義
【0090】
本明細書中で使用した略語は、化学分野および生物学分野内のその従来の意味を有する。
【0091】
「患者」、「必要とする患者」、「被験体」、および「必要とする被験体」などは、治療薬の投与によって処置することができる疾患または容態を有するか、有する疑いのある者を指す。
【0092】
本明細書中で使用する場合、用語「クッシング症候群」は、過剰なコルチゾールに原因する一連の症状を指す。クッシング症候群には、内因性クッシング症候群および異所性クッシング症候群が含まれる。かかる症状には、例えば、血圧上昇、血糖上昇、体重増加(典型的には、中間部および特徴的な「満月様顔貌」を生じる顔貌)、免疫抑制、菲薄皮膚、ざ瘡、鬱病、男性型多毛、および他の症状が含まれる。
【0093】
本明細書中で使用する場合、「クッシング病」は、下垂体依存性クッシング症候群(例えば、下垂体異常(典型的には、下垂体腫瘍)に原因する過剰なコルチゾール)を指す。したがって、クッシング病は、特定のタイプのクッシング症候群である疾患である。したがって、クッシング症候群という用語には、クッシング病への言及も含まれる。
【0094】
本明細書中で使用する場合「クッシング症候群を罹患している患者」は、クッシング症候群(内因性クッシング症候群;クッシング病;またはクッシング症候群に関連する容態が含まれる)を罹患している任意の患者を指す。クッシング症候群に関連する容態は、制限されないが、内因性クッシング症候群に関連する容態;高コルチコイド症に続発する高血糖;内因性クッシング症候群患者(2型真性糖尿病または耐糖能障害を有する患者)における高コルチコイド症の容態;内因性クッシング症候群患者(2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、かつ手術を失敗している患者)における高コルチコイド症に続発する高血糖の容態;内因性クッシング症候群患者(2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、かつ手術を失敗しているか、手術候補者でない患者)における高コルチコイド症に続発する高血糖;およびクッシング症候群に関連する他の容態であり得る。
【0095】
「処置する」、「処置(treating)」、および「処置(treatment)」は、病態または容態の処置または回復における任意の成功の徴候(任意の客観的または主観的なパラメータ(寛解;緩解;症候を減少させること、または病態もしくは容態を患者にとってより容認可能であるものにすること;変性または減退の速度を遅くすること;変性の最終点をより低い消耗性にすること;または、患者の身体的もしくは精神的幸福を改善することなど)が含まれる)を指す。症候の処置または回復は、客観的または主観的なパラメータ(理学的検査;組織病理学的検査(例えば、生検組織の分析);尿、唾液、組織検体、血清、血漿、または血液の研究室分析;または画像化の結果が含まれる)に基づき得る。
【0096】
本明細書中で使用する場合、「クッシング症候群を罹患している患者の処置」または「クッシング症候群を罹患している被験体の処置」または類似の句は、制限されないが、クッシング症候群(内因性クッシング症候群が含まれる)を罹患している患者の処置;クッシング病を罹患している患者の処置;またはクッシング症候群に関連する容態を罹患している患者の処置を指す。クッシング症候群に関連する容態は、上で考察されている。例えば、クッシング症候群を罹患している患者の処置は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、且つ手術を失敗したか、手術候補者でない成人内因性クッシング症候群患者において高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するためのミフェプリストンまたは他のGRAの投与を含み得る。
【0097】
本明細書中で使用する場合、用語「投与」は、治療効果を達成するのに有効な薬物または他の治療薬による処置を必要とする患者の体内への前記薬物または他の治療薬の送達を指す。投与は、任意の適切な投与経路(例えば、経口投与;静脈内投与;皮下投与;非経口投与;動脈内投与;鼻腔投与;局所投与;および他の投与経路が含まれる)による投与であり得る。
【0098】
本明細書中で使用する場合、被験体に投与した投薬量に適用するときの用語「パーセント」、「%」、および「重量パーセント」は全て、第1の用量の重量を第2の用量の重量と比較し、そして得られた小数に100を掛けることによって得られる百分率を指す。したがって、例えば、最初のミフェプリストン用量が1200ミリグラム(mg)である場合、50%減少した用量は600mgミフェプリストン用量であり;最初のミフェプリストン用量が600ミリグラム(mg)である場合、50%減少した用量は300mgミフェプリストン用量である。
【0099】
本明細書中で使用する場合、句「xより少なくとも~少ない」および「xより少なくとも約~少ない」などは、xまたはそれより少ない量を指し、ここで、xは数値である。例えば、句「最初の投薬量より少なくとも25%少ない」は、最初の投薬量より25%少ない投薬量および最初の投薬量より他の百分率(例えば、26%、28%など)だけ少ない投薬量を指す。
【0100】
本明細書中で使用する場合、用語「有効量」、「有効な量」、「治療量」、および「治療有効量」は、処置される疾患の少なくとも1つの症状の処置、排除、または緩和に有効な1つまたは複数の薬理学的因子の量を指す。場合によっては、「有効量」、「有効な量」、「治療量」、および「治療有効量」は、検出可能な治療効果または阻害効果を示すのに有用な機能因子または医薬組成物の量を指し得る。
【0101】
本明細書中で使用する場合、用語「同時または順次投与する」は、2つの化合物(GRAおよびCYP3Aインヒビタなど)が治療有効量で同時に体内に存在するような2つの化合物の投与を指す。
【0102】
本明細書中で使用する場合、「併用の」は、同時またはほぼ同時を意味し、「併用して」は、同時またはほぼ同時に行われた動作を指す。本明細書中で使用する場合、用語「共同の」および「併用の」は等価であり、互換的に使用することができる。副詞「共同に」および「併用して」は等価であり、互換的に使用することができる。
【0103】
本明細書中で使用する場合、2つまたはそれを超える薬物の「併用投与」という用語は、2つまたはそれを超える薬物の同時またはほぼ同時の投与を意味する。2つまたはそれを超える薬物の併用投与は、治療有効量の2つまたはそれを超える薬物を被験体の系内に同時に提供する。併用投与には、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタなどの薬物が事前に投与されていた患者へのGRAの投与が含まれ、ここで、治療有効レベルのCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタは、患者にGRAを投与したときに(例えば、患者にミフェプリストンを投与したときに)患者の体内に残存し、GRAなどの薬物が事前に投与されていた患者へのCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの投与が含まれ、ここで、治療有効レベルのGRAは、患者にCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタを投与したときに患者の体内に残存している。
【0104】
本明細書中で使用する場合、「併用投与される薬物」は、2つまたはそれを超える薬物を被験体に同時またはほぼ同時に投与することを意味する。併用投与される薬物は、各々が被験体の系内に治療有効量で同時に存在するであろう。ほぼ同時は、2つの事象(第1の薬物の投与および第2の薬物の投与など)を短期間でのみ分離していることを意味する。
【0105】
「同時」であるか、「同時に」起こるか行われる事象または動作は、同時に起こるか同時に行われる事象である。
【0106】
本明細書中で使用する場合、「同時」は、2つの事象が相互に約5分以内に起こるか行われることを意味する。
【0107】
本明細書中で使用する場合、「ほぼ同時」は、2つの事象が相互におよそ短時間以内で起こるか行われることを意味する。
【0108】
本明細書中で使用する場合「短期」、「短時間」、および「短期間」などは、約2時間より短い、または約1時間より短い、または約45分より短い、または約30分より短い、または約20分より短い、または約10分より短い、または約7分より短い時間を意味する。
【0109】
本明細書中で使用する場合、用語「臨床効果」は、臨床症状または障害に特徴的であるか、臨床症状または障害を示す症状または徴候の変化を意味する。例えば、被験体のクッシング症候群(クッシング病が含まれる)を処置する場合、臨床効果は、1つまたは複数の血圧、血糖、他の前糖尿病症状、体重、中間部周界、顔の特徴(例えば、「満月様顔貌」の外観の変化)、免疫機能、皮膚の厚さ、ざ瘡、鬱病または他の気分症状、男性型多毛、および他の症状のいずれかの変化であり得る。
【0110】
本明細書中で使用する場合、「臨床奏効についてのモニタリング」(例えば、ミフェプリストンなどのGRAに対する臨床奏効についての患者のモニタリング)には、グルコース調節、抗糖尿病薬の必要性、インスリンレベル、精神症状、クッシング様外観、ざ瘡、男性型多毛についての患者のモニタリング(例えば、これらに変化があるかどうかを同定または判定するため)、および患者の体重のモニタリング(例えば、これらの症状および特徴のうちの1つまたは複数のいずれかに変化があるかどうかを同定または判定するため)が含まれ得る。臨床奏効についてのモニタリングには、任意の薬物(GRA、CYP3Aインヒビタ、ステロイド生成インヒビタ、およびこれらの組み合わせが含まれる)の有害事象、副作用についての患者のモニタリングも含まれ得る。したがって、臨床奏効についてのモニタリングには、GRMなどの薬物の臨床効果(GRMの臨床的有効性が含まれる);ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの臨床効果;ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタに対する有害反応の可能性;GRMと組み合わせたステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの使用に対する有害反応の可能性;ステロイド生成インヒビタまたはCYP3Aインヒビタの副作用の可能性、もしくはGRMと組み合わせたその使用;またはこれらの組み合わせについてのモニタリングが含まれ得る。
【0111】
本明細書中で使用する場合、用語「AUC」は、血漿濃度-時間曲線下面積を意味し、薬物を投与された被験体における薬物の血漿レベルの尺度として役立つ。
【0112】
本明細書中で使用する場合、用語「Cmax」は、薬物を投与された被験体における薬物の最大実測血漿濃度を意味する。
【0113】
本明細書中で使用する場合、用語「結合」は、2化合物間の持続的接触、すなわち、接着(しかし、短期または断続的)を指す。
【0114】
本明細書中で使用する場合、用語「親和性」、「結合親和性」、および関連する用語は、結合(リガンドとその受容体との間の結合など)の強度および得意性を指す。「より高い親和性」は、2つのリガンド間の受容体への結合の比較に関して使用され、より高い親和性で結合するリガンドは、「より低い親和性」リガンドよりも低い濃度で結合する。例えば、競合的結合実験では、高親和性リガンドは、低親和性リガンドが受容体への結合を競合する濃度よりも低い濃度で、基準リガンドと受容体への結合を競合するであろう。
【0115】
用語「特異的結合」は、化合物間の単なる非特異的接着より選択的で、典型的には強力な結合を指す。特異的結合を、リガンドとその受容体との間に起こる結合によって例示することができる。
【0116】
本明細書中に開示の方法で有用であり、本明細書中に開示の医薬組成物に適切な化合物を、当業者に公知の化学結合の原理にしたがって記載する。したがって、ある基をいくつかの置換基のうちの1つまたは複数に置換することができる場合、かかる置換を、化学結合の原理に従い、化合物自体は不安定でなく、そして/または水性条件、中性条件、または生理学的条件などの周囲条件下で不安定である可能性が高いことが当業者に知られている化合物が得られるように選択する。
【0117】
置換基が左から右に記載するその従来の化学式によって特定される場合、化学式は、構造を右から左に記載することに起因すると考えられる化学的に同一の置換基を同等に含む(例えば、-CHO-は-OCH-と等価である)。
【0118】
「アルキル」は、示した炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族ラジカルを指す。アルキルは、任意の数の炭素を含み得る(C1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6、およびC5~6など)。例えば、C1~6アルキルには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
「アルコキシ」は、結合点でアルキル基に連結した酸素原子を有するアルキル基(アルキル-O-)を指す。アルキル基に関して、アルコキシ基は、任意の適切な数の炭素原子を有し得る(C1~6など)。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。
【0120】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0121】
「ハロアルキル」は、いくつかまたは全ての水素原子がハロゲン原子に置換した上記定義のアルキルを指す。アルキル基に関して、ハロアルキル基は、任意の適切な数の炭素原子を有し得る(C1~6など)。例えば、ハロアルキルには、トリフルオロメチル、フルオロメチルなどが含まれる。いくつかの例では、用語「ペルフルオロ」を、全ての水素がフッ素と置換された化合物またはラジカルを定義するために使用することができる。例えば、ペルフルオロメタンには、1,1,1-トリフルオロメチルが含まれる。
【0122】
「ハロアルコキシ」は、いくつかまたは全ての水素原子がハロゲン原子と置換されたアルコキシ基を指す。アルキル基に関して、ハロアルコキシ基は、任意の適切な数の炭素原子を有し得る(C1~6など)。アルコキシ基を、1、2、3、またはそれを超えるハロゲンと置換することができる。全ての水素がハロゲン(例えば、フッ素)と置換される場合、化合物は、全置換されている(例えば、全フッ素置換されている)。ハロアルコキシには、トリフルオロメトキシ、2,2,2,-トリフルオロエトキシ、ペルフルオロエトキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
「シクロアルキル」は、3~12個の環原子または示した数の原子を含む飽和または部分不飽和で、単環、縮合環、または架橋多環のアセンブリを指す。シクロアルキルは、任意の数の炭素を含み得る(C3~6、C4~6、C5~6、C3~8、C4~8、C5~8、C6~8、C3~9、C3~10、C3~11、およびC3~12など)。単環式の飽和シクロアルキル環には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが含まれる。単環式および多環式の飽和シクロアルキル環には、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレン、およびアダマンタンが含まれる。シクロアルキル基はまた、環内に1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する部分不飽和であり得る。代表的な部分不飽和のシクロアルキル基には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-および1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-、1,4-、および1,5-異性体)、ノルボルネン、およびノルボルナジエンが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルが単環式飽和C3~8シクロアルキルである場合、例示的な基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルが単環式飽和C3~6シクロアルキルである場合、例示的な基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
「ヘテロシクロアルキル」は、3~12個の環員ならびにN、O、およびSの1~4個のヘテロ原子を有する飽和環系を指す。さらなるヘテロ原子も有用であり得る(B、Al、Si、およびPが含まれるが、これらに限定されない)。ヘテロ原子はまた、酸化され得る(-S(O)-および-S(O)-などであるが、これらに限定されない)。ヘテロシクロアルキル基は、任意の数の環原子を含み得る(3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、または3~12個の環員など)。任意の適切な数のヘテロ原子を、ヘテロシクロアルキル基内に含めることができる(1、2、3、もしくは4、または1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、もしくは3~4個など)。ヘテロシクロアルキル基には、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、キヌクリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン(1,2-、1,3-、および1,4-異性体)、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキサン(テトラヒドロピラン)、オキセパン、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、オキサゾリジン、イソキサリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、またはジチアンなどの基が含まれ得る。ヘテロシクロアルキル基を芳香環系または非芳香環系と縮合して、環員(インドリンが含まれるが、これに限定されない)を形成することもできる。
【0125】
ヘテロシクロアルキルが3~8個の環員および1~3個のヘテロ原子を含む場合、代表的な環員には、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、オキサン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、およびジチアンが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルは、5~6個の環員および1~2個のヘテロ原子を有する環を形成することもでき、代表的な環員には、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、およびモルホリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
「アリール」は、任意の適切な数の環原子および任意の適切な数の環を有する芳香環系を指す。アリール基は、任意の適切な数の環原子(6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個の環原子など)および6~10、6~12、または6~14個の環員を含み得る。アリール基は、単環であり得るか、縮合して二環または三環の基を形成することができるか、結合によって連結されてビアリール基を形成することができる。代表的なアリール基には、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが含まれる。他のアリール基には、メチレン連結基を有するベンジルが含まれる。いくつかのアリール基は、6~12個の環員を有する(フェニル、ナフチル、またはビフェニルなど)。他のアリール基は、6~10個の環員を有する(フェニルまたはナフチルなど)。いくつかの他のアリール基は、6個の環員を有する(フェニルなど)。アリール基は、置換または非置換であり得る。
【0127】
「ヘテロアリール」は、5~16個の環原子を含む単環または縮合した二環または三環の芳香環アセンブリを指し、ここで、1~5個の環原子は、ヘテロ原子(N、O、またはSなど)である。さらなるヘテロ原子も有用であり得る(B、Al、Si、およびPが含まれるが、これらに限定されない)。ヘテロ原子はまた、酸化され得る(窒素酸化物、-S(O)-、および-S(O)-などであるが、これらに限定されない)。ヘテロアリール基は、任意の数の環原子を含み得る(3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、または3~12個の環員など)。任意の適切な数のヘテロ原子を、ヘテロアリール基内に含めることができる(1、2、3、4、もしくは5、または1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5、3~4、もしくは3~5個など)。ヘテロアリール基は、5~8個の環員および1~4個のヘテロ原子、または5~8個の環員および1~3個のヘテロ原子、または5~6個の環員および1~4個のヘテロ原子、または5~6個の環員および1~3個のヘテロ原子を有し得る。ヘテロアリール基には、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソキサゾールなどの基が含まれ得る。ヘテロアリール基を、芳香環系(フェニル環など)と縮合して、環員(ベンゾピロール(インドールおよびイソインドールなど)、ベンゾピリジン(キノリンおよびイソキノリンなど)、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン(フタラジンおよびシンノリンなど)、ベンゾチオフェン、ならびにベンゾフランが含まれるが、これに限定されない)を形成することもできる。他のヘテロアリール基には、結合によって連結されたヘテロアリール環(ビピリジンなど)が含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。
【0128】
ヘテロアリール基を、環上の任意の位置を介して連結することができる。例えば、ピロールには、1-、2-、および3-ピロールが含まれ、ピリジンには、2-、3-、および4-ピリジンが含まれ、イミダゾールには、1-、2-、4-、および5-イミダゾールが含まれ、ピラゾールには、1-、3-、4-、および5-ピラゾールが含まれ、トリアゾールには、1-、4-、および5-トリアゾールが含まれ、テトラゾールには、1-および5-テトラゾールが含まれ、ピリミジンには、2-、4-、5-、および6-ピリミジンが含まれ、ピリダジンには、3-および4-ピリダジンが含まれ、1,2,3-トリアジンには、4-および5-トリアジンが含まれ、1,2,4-トリアジンには、3-、5-、および6-トリアジンが含まれ、1,3,5-トリアジンには2-トリアジンが含まれ、チオフェンには、2-および3-チオフェンが含まれ、フランには、2-および3-フランが含まれ、チアゾールには、2-、4-、および5-チアゾールが含まれ、イソチアゾールには、3-、4-、および5-イソチアゾールが含まれ、オキサゾールには、2-、4-、および5-オキサゾールが含まれ、イソキサゾールには、3-、4-、および5-イソキサゾールが含まれ、インドールには、1-、2-、および3-インドールが含まれ、イソインドールには、1-および2-イソインドールが含まれ、キノリンには、2-、3-、および4-キノリンが含まれ、イソキノリンには、1-、3-、および4-イソキノリンが含まれ、キナゾリンには、2-および4-キナゾリン(quinoazoline)が含まれ、シンノリンには、3-および4-シンノリンが含まれ、ベンゾチオフェンには、2-および3-ベンゾチオフェンが含まれ、ベンゾフランには、2-および3-ベンゾフランが含まれる。
【0129】
いくつかのヘテロアリール基には、5~10個の環員および1~3個の環原子(N、O、またはSが含まれる)を有するヘテロアリール基が含まれる(ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、およびベンゾフランなど)。他のヘテロアリール基には、5~8個の環員および1~3個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基が含まれる(ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソキサゾールなど)。いくつかの他のヘテロアリール基には、9~12個の環員および1~3個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基が含まれる(インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、およびビピリジンなど)。さらなる他のヘテロアリール基には、5~6個の環員および1~2個の環ヘテロ原子(N、O、またはSが含まれる)を有するヘテロアリール基が含まれる(ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソキサゾールなど)。
【0130】
いくつかのヘテロアリール基は、5~10個の環員および窒素ヘテロ原子のみを含む(ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、およびシンノリンなど)。他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および酸素ヘテロ原子のみを含む(フランおよびベンゾフランなど)。いくつかの他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および硫黄ヘテロ原子のみを含む(チオフェンおよびベンゾチオフェンなど)。さらなる他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および少なくとも2個のヘテロ原子を含む(イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、およびシンノリンなど)。
【0131】
「ヘテロ原子」は、O、S、またはNを指す。
【0132】
「塩」は、本発明の方法で使用される化合物の酸および塩基の塩を指す。薬学的に許容され得る塩の実例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、およびリン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、およびクエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチルおよびヨウ化エチルなど)の塩である。薬学的に許容され得る塩は無毒であると理解される。適切な薬学的に許容され得る塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985(本明細書中で参考として援用される)に見出すことができる。
【0133】
「異性体」は、同一の化学式を有するが、構造的に区別することができる化合物を指す。
【0134】
「互変異性体」は、平衡状態で存在し、一方の異性体から他方の異性体に容易に変換される、2つまたはそれを超える構造異性体のうちの1つを指す。
【0135】
本明細書中で使用する場合、用語「ケトコナゾール」は、化学名「1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジン)」を有する分子を指し;臨床用として商品名「ニゾラール(登録商標)」で販売されており、略称「keto」とも呼ばれ得る。
【0136】
本明細書中で使用する場合、用語「ステロイド(単数)」および「ステロイド(複数)」ならびに句「ステロイド骨格」は、これらを含む糖質コルチコイド受容体アンタゴニストの文脈において、コルチゾールの基本構造が改変された糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(内因性ステロイド性糖質コルチコイド受容体リガンド)を指す。ステロイド骨格の基本構造を、以下の式Iとして提供する:
【化1】
糖質コルチコイドアンタゴニストを作製するためのコルチゾールステロイド骨格の2つの最も広く知られている構造改変クラスには、11-βヒドロキシ基の改変および17-β側鎖の改変が含まれる(例えば、Lefebvre(1989)J.Steroid Biochem.33:557-563を参照のこと)。
【0137】
本明細書中で使用する場合、用語「プロゲステロン受容体」および「PR」は、プロゲステロンに結合する天然に存在する受容体を指す。
【0138】
用語「アルドステロン」は、以下の構造:
【化2】
を有する天然に存在する鉱質コルチコイドホルモンを指す。
【0139】
鉱質コルチコイド受容体(MR)(タイプI糖質コルチコイド受容体(GR I)としても公知)は、ヒトにおいてアルドステロンによって活性化される。
【0140】
用語「コルチゾール」は、以下の構造:
【化3】
を有する天然に存在する糖質コルチコイドホルモン(ヒドロコルチゾンとしても公知)を指す。
【0141】
本明細書中で使用する場合、糖質コルチコイド受容体(GR)という用語は、糖質コルチコイド(コルチゾール、デキサメタゾン、または他の分子など)に結合する受容体を指す。糖質コルチコイド受容体(コルチコステロイド受容体またはタイプII糖質コルチコイド受容体(GR II)、およびヒトにおけるコルチゾール受容体としても公知)は、ヒトにおいてコルチゾールによって活性化される(または、例えば、ラットおよびマウスなどのいくつかの他の動物においては、コルチコステロン(「コルチゾン」)によって活性化される)。ヒトコルチゾール受容体(GR II受容体、Genbank:P04150)は、コルチゾールおよび/またはコルチゾールアナログ(例えば、デキサメタゾン)に特異的に結合する。この用語には、GR IIのイソ型、組換えGRII、および変異GRIIが含まれる。
【0142】
本明細書中で使用する場合、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)という用語は、糖質コルチコイド受容体(GR)の作用に影響を及ぼす薬剤を指す。かかる調整には、活性化(アゴニスト作用)、部分的活性化(部分的アゴニスト作用)、阻害(コルチゾールの存在下などでは活性化されるであろう条件下における受容体の活性化の減少)、および遮断(コルチゾールの存在下などでは活性化されるであろう条件下における受容体の活性化の完全なまたはほぼ完全な抑制)が含まれ得る。GRMは、GR活性の増加または減少によってGR活性に影響を及ぼし得る。GRMにはステロイドが含まれ、複数の実施形態では、ピリミジンジオン;アザデカリン;縮合環アザデカリン;ヘテロアリール-ケトン縮合環アザデカリン;および他の化合物が含まれる。
【0143】
本明細書中で使用する場合、用語「糖質コルチコイドアゴニスト」、「糖質コルチコイド受容体アゴニスト」、「糖質コルチコイド受容体タイプIIアゴニスト」、および「GRIIアゴニスト」は、コルチゾール受容体に結合して活性化することができる化合物または薬剤を指す。かかる薬物には、例えば、コルチゾール、デキサメタゾン(dexamethosone)、プレドニゾン、ならびにGRIIに結合して活性化させる他の化合物および薬剤が含まれる。
【0144】
本明細書中で使用する場合、用語「糖質コルチコイドアンタゴニスト」、「糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」、「糖質コルチコイドアンタゴニスト」、「糖質コルチコイド受容体タイプIIアンタゴニスト」、「GRIIアンタゴニスト」、および「GRA」は、コルチゾール受容体の作用を阻害する薬剤を指し;かかる阻害には、糖質コルチコイドアゴニスト(コルチゾール、デキサメタゾン(dexamethosone)、またはコルチゾール受容体に結合して活性化することができる他の化合物もしくは薬剤など)への結合の妨害が含まれ得る。GRAは、糖質コルチコイド受容体モジュレータである。ヒトコルチゾール受容体に対するGRAの阻害定数(K)は、約0.0001nMと約1,000nMとの間であり得る;好ましくは、約0.0005nMと約10nMとの間、最も好ましくは約0.001nMと約1nMとの間であり得る。
【0145】
用語「糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」は、糖質コルチコイド受容体(GR)アゴニスト(コルチゾールまたはコルチゾールアナログ(合成または天然)など)のGRへの結合を部分的または完全に阻害する(拮抗する)任意の組成物または化合物を指す。「特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」は、GRのアゴニストへの結合に関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の組成物または化合物を指す。「特異的な」は、薬物が別の核内受容体(鉱質コルチコイド受容体(MR)またはプロゲステロン受容体(PR)など)よりもむしろGRに優先的に結合することを意図する。
【0146】
「特異的な」は、薬物が、他の核内受容体(鉱質コルチコイド受容体(MR)、アンドロゲン受容体(AR)、またはプロゲステロン受容体(PR)など)よりもむしろGRに優先的に結合することである。特異的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストが、MR、AR、またはPRに対する親和性よりも10倍の親和性(1/10のK値)でGRに結合することが好ましい。より好ましい実施形態では、特異的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、MR、AR、またはPRの親和性よりも100倍の親和性(1/100のK値)でGRに結合する。
【0147】
複数の実施形態では、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)は、糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)である。複数の実施形態では、GRAは、糖質コルチコイドタイプII(GRII)受容体のアンタゴニストである。複数の実施形態では、GRAは、糖質コルチコイドタイプI(GRI)受容体への結合と比較して、GRII受容体に優先的に結合する。複数の実施形態では、GRAは、GRII受容体の活性化を減少させる。複数の実施形態では、GRAは、GRII受容体の活性化を減少させる。複数の実施形態では、GRAは、プロゲステロン受容体(PR)に結合することができ、PRへの結合より高い親和性で糖質コルチコイド受容体に結合することができる。複数の実施形態では、GRAはミフェプリストンである。複数の実施形態では、GRAは、糖質コルチコイド受容体の選択的インヒビタである。複数の実施形態では、GRAは、PRに不十分にしか結合することができないか、PRに測定可能な程度に結合することができない。
【0148】
本明細書中で使用する場合「ステロイド性糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」は、コルチゾール、コルチコステロン、またはデキサメタゾンの糖質コルチコイド受容体への結合を拮抗するか、コルチゾール、コルチコステロン、またはデキサメタゾンによる糖質コルチコイド受容体の活性化を減少させるか遮断するステロイド骨格構造を含む分子を意味する。ステロイド性糖質コルチコイド受容体アンタゴニストの例には、ミフェプリストン、モノ脱メチル化ミフェプリストン、二脱メチル化ミフェプリストン、17-α-[3’-ヒドロキシ-プロピニル]ミフェプリストン、ウリプリスタル(CDB-2914)、CDB-3877、CDB-3963、CDB-3236、CDB-4183、コルテキソロン、デキサメタゾン-オキセタノン、19-ノルデオキシコルチコステロン、19-ノルプロゲステロン、コルチゾール-21-メシラート;デキサメタゾン-21-メシラート、11(-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-17(-プロピニル-17(-ヒドロキシ-4,9-エストラジエン-3オン、および17(-ヒドロキシ-17(-19-(4-メチルフェニル)アンドロスタ-4,9(11)-ジエン-3-オンが含まれる。
【0149】
ミフェプリストンは、糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)であり、特に、GRIIに結合する(そして、プロゲステロン受容体にも結合する)糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)である。本明細書中で使用する場合、用語「ミフェプリストン」は、11β-(4-ジメチルアミノフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1-プロピニル)-エストラ-4,9-ジエン-3-オン)(RU486またはRU38.486とも呼ばれる)または17-β-ヒドロキシ-11-β-(4-ジメチル-アミノフェニル)-17-α-(1-プロピニル)-エストラ-4,9-ジエン-3-オン)を指す。ミフェプリストンは、典型的には高親和性で糖質コルチコイド受容体(GR)に結合し、任意のコルチゾールまたはコルチゾール類似体のGR受容体への結合によって開始/媒介される生物学的影響を阻害する。ミフェプリストンの塩、水和物、およびプロドラッグは全て、本明細書中で使用される用語「ミフェプリストン」に含まれる。したがって、本明細書中で使用される「ミフェプリストン」は、以下の構造:
【化4】
を有する分子、その塩、水和物、およびプロドラッグ、ならびにその医薬組成物を指す。ミフェプリストンは、時折、「mife」および「MIFE」とも略される。
【0150】
ミフェプリストンの代謝産物には、RU42633(デスメチルミフェプリストン:(8S,11R,13S,14S,17S)-17-ヒドロキシ-13-メチル-11-[4-(メチルアミノ)フェニル]-17-プロプ-1-イニル-1,2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン);RU42698(22-ヒドロキシミフェプリストン:(8S,11R,13S,14S,17S)-11-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-17-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)-13-メチル-1,2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン);およびRU42848(ジデスメチルミフェプリストン:(8S,11R,13S,14S,17S)-11-(4-アミノフェニル)-17-ヒドロキシ-13-メチル-17-プロプ-1-イニル-1,2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン)などが含まれる。
【0151】
いくつかの実施形態では、GRAは、ステロイド骨格の11-β位中に少なくとも1つのフェニル含有部分を有するステロイド骨格を含む。場合によっては、ステロイド骨格の11-β位中のフェニル含有部分は、ジメチルアミノフェニル部分である。場合によっては、GRAはミフェプリストンである。いくつかの実施形態では、GRAは、11β-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-17α-プロピニル-17β-ヒドロキシ-4,9エストラジエン-3-オンおよび(17α)-17-ヒドロキシ-19-(4-メチルフェニル)アンドロスタ-4,9(11)-ジエン-3-オンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、GRAは、(11β,17β)-11-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-17-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オンである。
【0152】
本明細書中で使用する場合、句「非ステロイド骨格」は、かかる非ステロイド骨格を含む糖質コルチコイド受容体アンタゴニストの文脈において、コルチゾールと構造的相同性を共有しないか、コルチゾールの改変物ではない糖質コルチコイド受容体アンタゴニストを指す。かかる化合物には、例えば、タンパク質の小分子、合成模倣物、およびアナログ(部分的ペプチド性、偽ペプチド性、および非ペプチド性の分子的実体が含まれる)が含まれる。
【0153】
いくつかの実施形態では、GRAは、非ステロイド性化合物である。複数の実施形態では、非ステロイド性GRA化合物には、シクロヘキシル-ピリミジン骨格を有する化合物;融合アザデカリン骨格を有する非ステロイド性GRA化合物;ヘテロアリールケトン融合アザデカリン骨格を有する非ステロイド性GRA化合物;およびオクタヒドロ融合アザデカリン骨格を有する非ステロイド性GRA化合物が含まれる。シクロヘキシル-ピリミジン骨格を有する例示的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストには、米国特許第8,685,973号に記載のものが含まれる。融合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストには、米国特許第7,928,237号;および同第8,461,172号に記載のものが含まれる。ヘテロアリールケトン融合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストには、米国特許第8,859,774号に記載のものが含まれる。オクタヒドロ(octohydro)融合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイド受容体アンタゴニストには、米国特許出願公開第20150148341号に記載のものが含まれる。
【0154】
場合によっては、非ステロイド骨格を有するGRAは、シクロヘキシルピリミジンである。場合によっては、シクロヘキシルピリミジンは、以下の式:
【化5】
【0155】
(式中、破線は、存在しないか、結合であり;Xは、OおよびSからなる群から選択され;Rは、1~3個のR1a基に必要に応じて置換されたシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;各R1aは、H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルOR1b、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルオキシ、OR1b、NR1b1c、C(O)R1b、C(O)OR1b、OC(O)R1b、C(O)NR1b1c、NR1bC(O)R1c、SO1b、SONR1b1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;R1bおよびR1cは、HおよびC1~6アルキルからなる群から各々独立して選択され;Rは、H、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OR1b、C1~6アルキルNR1b1c、およびC1~6アルキレンヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;Rは、HおよびC1~6アルキルからなる群から選択され;Arは、1~4個のR基に必要に応じて置換されたアリールであり;各Rは、H、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、およびC1~6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され;Lは、結合またはC1~6アルキレンであり;下付き文字nは0~3の整数である)を有し、またはその塩または異性体である。
【0156】
場合によっては、非ステロイド骨格を有するGRAは、縮合アザデカリンである。場合によっては、縮合アザデカリンは、以下の式:
【化6】
(式中、LおよびLは、結合および非置換アルキレンから独立して選択されるメンバーであり;Rは、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR1A、NR1C1D、-C(O)NR1C1D、および-C(O)OR1Aから選択されるメンバーであり、ここで、R1Aは、水素、非置換アルキル、および非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、R1CおよびR1Dは、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、ここで、R1CおよびR1Dは、必要に応じて連結して、これらが付着する窒素と非置換基を形成し、ここで、前記環は、さらなる環窒素を必要に応じて含み;Rは、式:
【化7】
を有し、ここで、R2Gは、水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、および-CFから選択されるメンバーであり;Jはフェニルであり;tは、0~5の整数であり;Xは-S(O)-であり;Rは、1~5個のR5A基に必要に応じて置換されたフェニルであり、ここで、R5Aは、水素、ハロゲン、-OR5A1、S(O)NR5A25A3、-CN、および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ここで、R5A1は、水素および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、R5A2およびR5A3は、水素および非置換アルキルから独立して選択されるメンバーである)を有する化合物、またはその塩および異性体である。
【0157】
場合によっては、非ステロイド骨格を有するGRAは、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンである。場合によっては、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、式:
【化8】
【0158】
(式中、Rは、5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、R1aから各々独立して選択される1~4個の基に必要に応じて置換されたヘテロアリール環であり;各R1aは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、CN、窒素酸化物、C3~8シクロアルキル、およびC3~8ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され;J環は、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、およびヘテロアリール環からなる群から選択され、ここで、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール環は、5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し;各Rは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン、C1 6ハロアルキル、C1 6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキル-C1~6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3~8シクロアルキル、およびC3~8ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、ヘテロシクロアルキル基は、1~4個のR2c基に必要に応じて置換され;あるいは、同一の炭素に連結した2個のR基が組み合わせられてオキソ基(=O)を形成し;あるいは、2個のR基が組み合わせられて、5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、ヘテロシクロアルキル環は、1~3個のR2d基に必要に応じて置換され;R2aおよびR2bは、水素およびC1~6アルキルからなる群から各々独立して選択され;各R2cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、CN、およびNR2a2bからなる群から独立して選択され;各R2dは、水素およびC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、または、同一の環原子に付着した2つのR2d基が組み合わせられて(=O)を形成し;Rは、1~4個のR3a基に各々が必要に応じて置換されたフェニルおよびピリジルからなる群から選択され;各R3aは、水素、ハロゲン、およびC1~6ハロアルキルからなる群から独立して選択され;下付き文字nは0~3の整数である)を有するか、その塩および異性体である。
【0159】
場合によっては、オクタヒドロ縮合アザデカリンは、以下の式:
【化9】
【0160】
(式中、Rは、R1aから各々独立して選択される1~4個の基に必要に応じて置換された5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり;各R1aは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、窒素酸化物、およびC3~8シクロアルキルからなる群から独立して選択され;J環は、5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するアリール環およびヘテロアリール環からなる群から選択され;各Rは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキル-C1~6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3~8シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するC3~8ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され;あるいは、隣接する環原子上の2個のR基が組み合わせられて、5~6個の環員ならびにN、O、およびSからなる群から各々独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、ヘテロシクロアルキル環は、1~3個のR2c基に必要に応じて置換され;R2a、R2b、およびR2cは、水素およびC1~6アルキルからなる群から各々独立して選択され;各R3aは独立してハロゲンであり;下付き文字nは0~3の整数である)を有するか、その塩および異性体である。
【0161】
非ステロイド性糖質コルチコイド受容体アンタゴニストのさらなる例には、例えば、N-(2-[4,4’,441-トリクロロトリチル]オキシエチル)モルホリン;1-(2[4,4’,4’’-トリクロロトリチル]オキシエチル)-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンジマレアート;N-([4,4’,4’’]-トリクロロトリチル)イミダゾール;9-(3-メルカプト-1,2,4-トリアゾリル)-9-フェニル-2,7-ジフルオロフルオレン;1-(2-クロロトリチル)-3,5-ジメチルピラゾール;4-(モルホリノメチル)-A-(2-ピリジル)ベンズヒドロール;5-(5-メトキシ-2-(N-メチルカルバモイル)-フェニル)ジベンゾスベロール;N-(2-クロロトリチル)-L-ピロリノールアセタート;1-(2-クロロトリチル)-1,2,4-トリアゾール;1,S-ビス(4,4’,4’’-トリクロロトリチル)-1,2,4-トリアゾール-3-チオール;4α(S)-ベンジル-2(R)-クロロエチニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)--オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオール(「CP394531」)、4α(S)-ベンジル-2(R)-プロプ-1-イニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオール(「CP-409069」)、trans-(1R,2R)-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-1ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゼンアセトアミド、ブレマゾシン、およびエチルケトシクラゾシンが含まれる。
【0162】
本明細書中で使用する場合、用語「ホルモン感受性癌」は、ホルモンに影響を受け得る任意の癌を指す;ホルモンは、典型的には、ホルモン感受性癌の増殖を増加させる。ホルモン感受性癌には、例えば、前立腺癌および他のアンドロゲン感受性癌;乳癌、卵巣癌、および他のエストロゲン感受性癌またはプロゲステロン感受性癌が含まれる。
【0163】
本明細書中で使用する場合、用語「化学療法」は、癌を処置するために典型的に使用される医学的処置を指す。化学療法による処置には、癌性の組織および細胞に有毒であるか、癌性の組織および細胞の成長または拡大を遅延または減少させるように作用する薬剤の使用を含む。化学療法剤には、抗新生物剤が含まれ、化学療法剤は、天然化合物(例えば、タキソール)に由来し得る;天然に存在するホルモン、成長因子、または免疫学的に活性な分子であり得るか、これらを模倣し得るか、これらの作用を減少または遮断することができる;合成小分子であり得る;抗体または抗体抱合体であり得る;他の薬剤であり得る。例示的な化学療法剤には、当該分野でとりわけ、タキサン、タキソール、ドセタキセル、パクリタキセル、アクチノマイシン、アントラサイクリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン、ブレオマイシン、シスプラチン、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トラスツズマブエムタシン(KADCYLA(登録商標))、イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、エリブリン(HALAVEN(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0164】
本明細書中で使用する場合、「減少させた用量のZは、最初の用量より少なくともX%少ない用量である」(ここで、「Z」は医薬化合物または医薬組成物を表し、「X」は数値を表す)という形態の表現を、減少させた用量が、1)最初の用量におけるZの量にX%を掛けて乗法の積を得ること、および2)最初の用量から前記積を引くことによって計算されたZの量であることを示すために使用する。したがって、例えば、最初の用量が600mgであり、かつX%が50%である場合、600mgと50%の乗法の積は300mgであり、減少させた用量は300mgである;例えば、最初の用量が900mgであり、かつX%が66%である場合、900mgと66%の乗法の積は約600mg(594mg)であり、減少させた用量は約300mg(306mg)である。
【0165】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬組成物」および「処方物」は、病状の処置または病状の症状の回復のための患者への投与に適した組成物を指す。本明細書中に開示の医薬組成物は、有効成分(例えば、GRA(例えば、ミフェプリストンなど);またはGRAとSIの組み合わせ、ここで、SIは、例えば、ケトコナゾールであり得る)および薬学的に許容され得る賦形剤を含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の有効成分および1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤を含む。
【0166】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る賦形剤」および「薬学的に許容され得るキャリア」は、被験体への活性薬剤の投与および被験体による吸収を補助し、患者に有意に有害な毒物学的影響を及ぼすことなく本発明の組成物に含めることができる物質を指す。薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、規定食塩液、乳酸加リンゲル液、規定スクロース、規定グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、フレーバー、および着色料などが含まれる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明で有用であると認識するであろう。
【0167】
本明細書中で使用する場合、用語「徐放」、「遅滞放出」、「長時間作用」、および「延長放出」などは、かかる徐放用に設計されていない処方物と比較して、長期間にわたって患者内での有効成分(単数または複数)の治療濃度を維持するように処方されている、少なくとも1つの有効成分(例えば、GRA、SI、またはその組み合わせ)を含む医薬組成物または処方物を指す。場合によっては、徐放処方物は、1つまたは複数の有効成分の治療濃度を、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、もしくは6週間、または少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、もしくは少なくとも6週間維持する。場合によっては、徐放処方物を、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎に患者に投与する。
【0168】
本明細書中で使用する場合「ステロイド生成インヒビタ」は、動物または被験体に投与したときに、通常はステロイドを生成するステロイド分子の合成を減少または遮断する化合物である。ステロイド生成インヒビタには、例えば、ケトコナゾール、レボケトコナゾール、メチラポン、エトミデート、ミトタン、オシロドロスタット(LCI699)、および他の薬物が含まれる。ステロイド生成インヒビタは、いくつかの機序(例えば、ステロイド分子(例えば、ケトコナゾール、メチラポン)の合成の遮断が含まれる)のうちの1つまたは複数によって作用し得る。
【0169】
本明細書中で使用する場合、用語「CYP酵素」は、シトクロムP450酵素を指す。シトクロムP450酵素は、ヒトおよび他の動物における多数の代謝反応および異化反応で重要であり、薬物の代謝および作用において重要な役割を果たす。一方の薬物の投与が他方の薬物の濃度、半減期、活性、または他の影響に影響を及ぼす薬物-薬物相互作用には、CYP酵素の誘導(1つまたは複数のCYP酵素の量および活性の増加);阻害(1つまたは複数のCYP酵素の活性の減少);競合(1つまたは複数のCYP酵素の、例えば、基質としての部位の競合または部位の占有);または他の手段によるCYP酵素に及ぼす影響が含まれ得る。特定のCYP酵素には、例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A酵素が含まれる。
【0170】
本明細書中で使用する場合「CYP3Aインヒビタ」は、シトクロムCYP3Aの活性を減少または遮断するか、CYP3A遺伝子の遺伝子産物の発現を減少または遮断する(例えば、CYP3A遺伝子の転写または翻訳を阻害する)化合物である。CYP3Aインヒビタを、CYP3A酵素によって代謝されることが公知の試験薬(例えば、ミダゾラムなど)との投与によって、試験薬のAUC(濃度曲線下面積)が5倍超(強力CYP3Aインヒビタ)または2倍と5倍との間(中程度のCYP3Aインヒビタ)に上昇する場合、強力または中程度と呼ぶことができる。CYP3Aのインヒビタには、例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、シメチジン、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、ボセプレビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テラプレビル、テリスロマイシン、およびボリコナゾールが含まれる。
【0171】
強力CYP3Aインヒビタには、例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびホスアンプレナビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル/リトナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テリスロマイシン、ならびにボリコナゾールが含まれる。
【0172】
メチラポン(METOPIRONE(登録商標)としても公知)は、2-メチル-1,2-ビス-(3-ピリジル)-1-プロパノンである。メトピロンは、副腎皮質における11-β-ヒドロキシル化反応の阻害によってコルチゾールおよびコルチコステロンの生成を減少させると考えられている。
【0173】
エトミデート(AMIDATE(登録商標)としても公知)は、R-(+)-エチル-1-(1-フェニルエチル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシラートである。エトミデートは迅速に作用する麻酔剤として主に使用されているが、血漿コルチゾールレベルも低下させる。これは、11β-ヒドロキシラーゼの阻害によって副腎皮質におけるコルチコステロイド合成を減少させると考えられている。
【0174】
ケトコナゾール(1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3--ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジン)は、真菌感染を処置するためにしばしば使用される(例えば、真菌感染の処置のための(ニゾラール(登録商標)))。さらに、ケトコナゾールは、ステロイド生成インヒビタであり、典型的にはコレステロール代謝の遮断によってステロイド分子(例えば、ステロイドホルモンなど)の生成を減少させることができる。したがって、ケトコナゾールを、例えば、過剰なコルチゾール生成を処置するためか(例えば、クッシング病およびクッシング症候群を処置するため)、(例えば、前立腺癌などのホルモン感受性癌患者における)アンドロゲン生成を減少させるためか、(例えば、乳癌などのホルモン感受性癌患者における)エストロゲンまたはプロゲステロンの生成を減少させるために使用することができる。
【0175】
しかし、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールは、しばしば、肝臓および他の臓器に重篤な悪影響を及ぼす。したがって、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの患者への投与用量を最小にすることが望ましく、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量を減少させる方法が望まれる。
【0176】
処置方法
【0177】
本明細書中に開示の方法には、過剰なステロイドレベルまたはステロイドに起因する過剰な活性を特徴とする疾患を処置する方法が含まれる。本明細書中に開示の方法には、ステロイドホルモンなどのステロイドの作用の減少または遮断によって処置することができる疾患を処置する方法も含まれる。複数の実施形態では、疾患は、過剰なコルチゾールレベルを特徴とする(例えば、クッシング症候群、特に、クッシング病など)(上述のとおり、クッシング症候群およびクッシング病の両方は、過剰なコルチゾールを特徴とする;クッシング病は、クッシング症候群の特定のタイプまたは例としてクッシング症候群の定義内に含まれる;したがって、クッシング症候群に関する全ての考察および開示にはクッシング病が含まれる)。本明細書中に開示の方法には、GRMおよびケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタを併用投与し、それにより、有利な治療効果を得る、併用投与する工程を含む、癌および癌性腫瘍(前立腺癌が含まれるホルモン感受性癌など)を処置する方法も含まれる。本明細書中に開示の方法、組成物、およびキットは、2017年3月1日出願の米国特許仮出願第62/465,772号および2017年3月3日出願の米国特許仮出願第62/466,867号(これらの出願は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に開示の方法、組成物、ならびにキットおよび組成物に関連する。
【0178】
例えば、本発明の方法は、CYP3Aインヒビタおよび糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)などの糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に併用投与する工程を含む。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタはケトコナゾールまたはイトラコナゾールであり、GRAはミフェプリストンである。複数の実施形態では、患者は、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)を受けており、クッシング症候群を処置するために有効な(例えば、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者において高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するのに有効な)量のGRM(例えば、ミフェプリストンなど)を併用投与される。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有する。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、手術を失敗したか、手術候補者でない(例えば、クッシング症候群の外科的処置を指す)。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、手術を失敗したか、手術候補者でない(例えば、クッシング症候群の外科的処置を指す)。
【0179】
複数の実施形態では、本発明の方法には、GRMを服用している患者におけるクッシング症候群を処置する方法であって、患者がCYP3Aインヒビタの併用投与を受けているときに、GRMの1日投薬量を、最初のGRM用量から調整されたGRM用量に減少させる工程を含む方法が含まれる。複数の実施形態では、GRMの調整された用量は、最初の用量より少なくとも20%少ない。複数の実施形態では、GRMの調整された用量は、最初の用量より少なくとも25%少ない。複数の実施形態では、GRMの調整された用量は、最初の用量より少なくとも33%少ない。複数の実施形態では、GRMの調整された用量は、10%、20%、25%、30%、33%、331/3%、および50%から選択される最初の用量の分率が最初の用量より少ない。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、調整されたミフェプリストン用量は、300mg/日、600mg/日、および900mg/日から選択される。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールである。複数の実施形態では、CYP3Aインヒビタはケトコナゾールであり、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、患者は、CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールなど)を受けており、クッシング症候群を処置するために有効な(例えば、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者において高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するのに有効な)量のGRM(例えば、ミフェプリストンなど)を併用投与される。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有する。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、手術を失敗したか、手術候補者でない(例えば、クッシング症候群の外科的処置を指す)。複数の実施形態では、内因性クッシング症候群を罹患している成人患者は、2型真性糖尿病または耐糖能障害を有し、手術を失敗したか、手術候補者でない(例えば、クッシング症候群の外科的処置を指す)。
【0180】
例えば、本開示の方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者に有効量のGRAなどのGRMを投与する工程を含む。複数の実施形態では、患者はケトコナゾールを受けている。複数の実施形態では、患者はケトコナゾールを受けており、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、患者はケトコナゾールを受けており、患者におけるコルチゾールなどのステロイドの影響を減少させるのに有効な量のミフェプリストンを投与される。複数の実施形態では、患者はイトラコナゾールを受けている。複数の実施形態では、患者はイトラコナゾールを受けており、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、患者はイトラコナゾールを受けており、患者におけるコルチゾールなどのステロイドの影響を減少させるのに有効な量のミフェプリストンを投与される。
【0181】
したがって、複数の実施形態では、本明細書中に開示の方法には、過剰なステロイドレベルに対するケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けている患者を処置する方法であって、前記ケトコナゾール処置が、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを前記患者に投与する工程を含み、前記方法が、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者にGRMを投与し、それにより、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者に過剰なステロイドレベルを処置するためのGRMが投与される、投与する工程を含む方法が含まれる。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、疾患はクッシング症候群である。複数の実施形態では、疾患はクッシング病である。
【0182】
したがって、複数の実施形態では、本明細書中に開示の方法には、ステロイドの影響を減少または遮断するためにケトコナゾール処置を受けている患者を処置する方法であって、前記ケトコナゾール処置が、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法が、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者にGRMを投与し、それにより、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている患者に、患者におけるステロイドの影響を処置するためにGRMが投与される、投与する工程を含む方法が含まれる。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、ステロイドの影響には、高コルチゾール症の影響(クッシング症候群の影響など)が含まれる。複数の実施形態では、ステロイドの影響には、ホルモンの影響(ホルモン感受性癌に及ぼす影響など)が含まれる。
【0183】
出願人は、ケトコナゾール(ketoconzole)またはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法をさらに開示し、前記ケトコナゾール(ketoconzole)またはイトラコナゾール処置は、最初の用量のケトコナゾール(ketoconzole)またはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法が、ケトコナゾール(ketoconzole)またはイトラコナゾールを受けている患者にGRMを投与する工程を含み、ここで、GRMの投与量が第1の用量のGRMであり、それにより、ケトコナゾール(ketoconzole)またはイトラコナゾールを受けている患者に、クッシング症候群を処置するためのGRMが投与される。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、クッシング症候群患者はクッシング病を罹患している。
【0184】
例えば、本開示の方法は、a)有効量のGRAなどのGRM、およびb)有効量のケトコナゾールもしくはイトラコナゾールなどのCYP3Aインヒビタまたはケトコナゾールなどのステロイド生成インヒビタを必要とする患者に併用投与し、それにより、患者におけるコルチゾールなどのステロイドの影響、量、またはその両方が減少する、併用投与する工程を含む。例えば、クッシング症候群患者は、コルチゾールの血中レベルを低下させる必要があり得るか、被験体におけるコルチゾールの影響を低下させる必要があり得る。例えば、癌患者は、ステロイド(アンドロゲン、プロゲストゲン、エストロゲンなど)または他のステロイドの血中レベルを低下させる必要があり得る。
【0185】
したがって、本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールをその時点で受けている被験体に、GRMを投与する。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールをその時点で受けている被験体に、過剰なステロイドレベルを特徴とする容態の処置またはステロイドレベルの低下もしくはステロイド効果の低下によって処置される容態の処置としてGRMを投与し、それにより、患者はその容態が処置される。複数の実施形態では、容態は、過剰なコルチゾールレベルを特徴とする。複数の実施形態では、容態は、クッシング症候群である。複数の実施形態では、容態は、細胞(癌細胞など)に及ぼすステロイドホルモンの有害な作用を特徴とする癌である;癌は、患者におけるステロイドレベルの低下によって処置することができるホルモン感受性癌であり得る。複数の実施形態では、ホルモン感受性癌は、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である。
【0186】
したがって、出願人は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている、ステロイドレベルを低下させる必要がある患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に投与する工程を含み、ここで、前記第1のGRM用量を前記用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールと併用投与し、それにより、患者に、患者におけるステロイドレベルを低下させるための最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMの両方が投与される。かかる方法の複数の実施形態では、前記第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが最初の用量のケトコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなく患者におけるステロイドレベルの低下を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のGRMが投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。
【0187】
したがって、出願人は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている、過剰なステロイドレベルを罹患している患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に投与する工程を含み、ここで、前記第1のGRM用量を前記用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールと併用投与し、それにより、患者に、患者におけるステロイドのレベルおよび影響を低下させるための最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMが投与される。かかる方法の複数の実施形態では、前記第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなく患者におけるステロイドのレベルまたは影響の低下を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のGRMが投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。複数の実施形態では、過剰なステロイドは、過剰なアンドロゲンを含む。複数の実施形態では、過剰なステロイドは、過剰なプロゲストゲンを含む。複数の実施形態では、過剰なステロイドは、過剰なエストロゲンを含む。複数の実施形態では、過剰なステロイドは、過剰なコルチゾールを含む。
【0188】
したがって、さらなる実施形態では、出願人は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けている、クッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に投与する工程を含み、ここで、前記第1のGRM用量を前記用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールと併用投与し、それにより、患者に、クッシング症候群を処置するための最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMが投与される。かかる方法の複数の実施形態では、前記第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のGRMが投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。
【0189】
複数の実施形態では、出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法を開示し、前記ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法は、前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを前記患者に投与する工程および第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を前記患者に投与する工程を含み、ここで、前記第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、クッシング症候群処置のためのケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMが投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。複数の実施形態では、前記GRMはミフェプリストンである。複数の実施形態では、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMを、相互に短期間以内に投与する。複数の実施形態では、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMを、実質的に同時に投与する。複数の実施形態では、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMを、併用投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0190】
したがって、これらの方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの投与は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMの併用投与を含む。併用投与の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、被験体に同時投与する。かかるGRMの併用投与は、経口投与;静脈内投与;皮下投与;非経口投与;動脈内投与;鼻腔投与;局所投与;もしくは他の投与経路、またはこれらの組み合わせによる併用投与であり得る。
【0191】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬で患者に投与するか、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0192】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、約25ミリグラム(mg)、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約900mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、および約2000mgから選択される用量である。複数の実施形態では、GRMの用量は、約300mg、約600mg、約900mg、約1200mg、および約1500mgから選択されるミフェプリストンの用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、800mgGRM/日超の用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、第1の用量のミフェプリストンは800mgミフェプリストン/日超の用量である。
【0193】
本明細書中に開示の方法は、処置を必要とする患者へのGRMの反復投与(ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの反復併用投与が含まれる)を含む。
【0194】
例えば、なおさらなる複数の実施形態では、第2の用量のGRMを投与し、ここで、前記第2の用量を、第1の用量のGRMの投与後に投与する。第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量の前記GRMを含むことができ;第1の用量のGRMより多量の前記GRMを含むことができ;あるいは、第1の用量のGRMより少量のGRMを含むことができる。これらの方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0195】
本明細書中に開示の方法は、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第2の用量のGRMを投与する工程をさらに含むことができ、ここで、前記次の用量および前記第2の用量の両方を、第1の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含み、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。複数の実施形態では、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。これらの方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0196】
複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、前記第1の用量のGRMより多量のGRMを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、前記第1の用量のGRMより多量のGRMを含み、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。これらの方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0197】
処置を必要とする患者へのGRMの反復投与(ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの反復併用投与が含まれる)を含む実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、同時投与することができる。かかる方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり得る。
【0198】
複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールおよびGRMまたはイトラコナゾールの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0199】
本明細書中に開示の方法のさらなる複数の実施形態は、さらなる工程を含むことができ、例えば、第3の用量のGRMの投与を含むことができ、ここで、前記第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含む。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMより多量のGRMを含む。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量とほぼ同量のGRMを含む。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量より少ないGRMを含む。複数の実施形態では、かかる第3の用量のGRAは、前記第2の用量のGRMの量より多いGRMを含む。かかる複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり得る。
【0200】
複数の実施形態では、本明細書中に開示の方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第3の用量のGRMの併用投与を含む。かかる併用投与の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。かかる併用投与の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0201】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態は、クッシング症候群を罹患している患者の処置を含む;複数の実施形態では、クッシング症候群患者は、クッシング病を罹患している。かかるクッシング症候群の処置は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの患者への併用投与を含む。
【0202】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を用いた患者の併用処置を含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを用いた患者の併用処置を含み、ここで、GRMと併用投与されるケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを用いた併用処置を実施しない患者に投与されたケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量に対して減少されない。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、GRMおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを用いた患者の併用処置を含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0203】
出願人は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、第1の用量の糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に投与する工程であって、ここで、前記第1のGRM用量を前記用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールと併用投与し、それにより、患者に、クッシング症候群を処置するための最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMの両方が投与される、投与する工程を含む。複数の実施形態では、患者はクッシング病を罹患している。
【0204】
複数の実施形態では、出願人は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、第1の用量のGRMを患者に投与する工程であって、ここで、第1のGRM用量を前記用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールと併用投与し、それにより、患者に、クッシング症候群を処置するための最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMの両方が投与される、投与する工程を含む。複数の実施形態では、患者はクッシング病を罹患している。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0205】
かかる方法のさらなる複数の実施形態では、前記第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のGRMの両方が投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの投与は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のGRMの併用投与を含む。複数の実施形態では、GRMの投与は、GRMの経口投与を含む。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0206】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約900mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2100mg、約2400mg、約2700mg、および約3000mgから選択される。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、800mgのGRM/日超の用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、約1500mgミフェプリストン、約1200mgミフェプリストン、約900mgミフェプリストン、約600mgミフェプリストン、および約300mgミフェプリストンから選択されるミフェプリストン用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、第1の用量のミフェプリストンは、800mgのミフェプリストン/日超の用量である。
【0207】
本明細書中に開示の方法のさらなる複数の実施形態は、第2の用量のGRMの投与を含み、ここで、前記第2の用量を第1の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量の前記GRMを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMより多量の前記GRMを含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0208】
本明細書中に開示の方法のさらなる複数の実施形態は、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第2の用量のGRMの投与を含み、ここで、次のケトコナゾールまたはイトラコナゾール用量および第2のGRM用量の両方を、第1の用量のGRMの後に投与する。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含み、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。複数の実施形態では、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、前記第1の用量のGRMの量より多いGRMを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRAは、第1の用量のGRMの量より多いGRMを含み、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0209】
複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、患者に同時投与する。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、患者に同時投与する。複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。
【0210】
本明細書中に開示の方法の複数の実施形態は、第3の用量のGRMの投与をさらに含み、ここで、前記第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含む。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMより多量のGRMを含む。複数の実施形態では、方法は、第3の用量のGRMの投与をさらに含み、ここで、第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量とほぼ同量のGRMを含む。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量より少ないGRMを含む。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量より多いGRMを含む。複数の実施形態では、第3のGRM用量の投与は、ケトコナゾールおよび第3の用量のGRMの併用投与を含む。かかる複数の実施形態では、ケトコナゾールおよびGRMを患者に同時投与する。かかる第3の用量のGRMを含む方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の液体処方物で患者に投与する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0211】
出願人は、GRM(ミフェプリストンなど)およびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを用いてクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示する。複数の実施形態では、患者はクッシング病を罹患している。
【0212】
出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法は、前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを前記患者に投与する工程;および糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)を患者に投与する工程を含み、ここで、GRMの投与量は第1の用量のGRMであり、それにより、患者に、クッシング症候群を処置するためのケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの両方が投与される。複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないGRMである。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0213】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者のかかる処置方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なGRM量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のGRMの両方が投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないGRMである。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0214】
ケトコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの投与は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量の前記GRMの併用投与を含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、GRMの投与は、GRMの経口投与を含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬で患者に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で投与する。
【0215】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約900mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2100mg、約2400mg、約2700mg、および約3000mgから選択されるGRMの用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のGRMは、800mgのGRM/日超の用量である。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、第1の用量のGRMは、約1500mgミフェプリストン、約1200mgミフェプリストン、約900mgミフェプリストン、約600mgミフェプリストン、および約300mgミフェプリストンから選択されるミフェプリストンの用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、第1の用量のミフェプリストンは、800mgのミフェプリストン/日超の用量である。
【0216】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、第2の用量のGRMを投与する工程をさらに含み、ここで、前記第2の用量を、第1の用量の前記GRMの投与後に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量の前記GRMを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMより少量の前記GRMを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないGRMである。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMより多量の前記GRMを含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0217】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第2の用量のGRMを投与する工程をさらに含み、ここで、次のケトコナゾールまたはイトラコナゾール用量および第2のGRM用量の両方を、第1の用量のGRMの後に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、第1の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含み、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないGRMである。
【0218】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、前記第1の用量のGRMの量より多いGRMを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、第2の用量のGRMは、前記第1の用量のGRMの量より多いGRMを含み、前記次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMを含む単一の液体処方物で患者に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で患者に投与する。
【0219】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、第3の用量のGRMの投与をさらに含み、ここで、第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、ケトコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないGRMである。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMとほぼ同量のGRMを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、第2の用量のGRMより多量のGRMを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、第3の用量のGRMを、第2の用量のGRMの投与後に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量とほぼ同量のGRMを含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量より少ないGRMを含む。ケトコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる実施形態では、第3の用量のGRMは、前記第2の用量のGRMの量より多いGRMを含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0220】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法のかかる複数の実施形態では、方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第3の用量のGRMの併用投与を含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、患者に同時投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびGRMを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびGRMを含む単一の液体処方物で患者に投与する。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で患者に投与する。
【0221】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを用いた患者の併用処置を含む。ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、ミフェプリストンおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを用いた患者の併用処置を含み、ここで、ミフェプリストンと併用投与されるケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量は、ケトコナゾールおよびミフェプリストンを用いた併用処置を実施しない患者に投与されたケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量に対して減少されない。
【0222】
出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法は、前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを前記患者に投与する工程;およびミフェプリストンを患者に投与する工程を含み、ここで、ミフェプリストンの投与量は第1の用量のミフェプリストンであり、それにより、患者に、クッシング症候群を処置するためのケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方が投与される。複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。
【0223】
ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、方法は、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なミフェプリストン量を含む第1の用量のミフェプリストンを投与する工程を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のミフェプリストンの両方が投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの投与は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のミフェプリストンの併用投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、ミフェプリストンの投与は、ミフェプリストンの経口投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、患者に同時投与する。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で患者に投与する。かかる方法の複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、約300ミリグラム(mg)、約600mg、約900mg、約1200mg、または約1500mgの用量である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、800mgのミフェプリストン/日超の用量である。
【0224】
複数の実施形態では、かかる方法は、第2の用量のミフェプリストンの投与をさらに含み、ここで、前記第2の用量を、第1の用量のミフェプリストンの投与後に投与する。複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンより多量のミフェプリストンを含む。複数の実施形態では、かかる方法は、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第2の用量のミフェプリストンを投与する工程をさらに含み、ここで、前記次の用量および前記第2の用量の両方を、第1の用量のミフェプリストンの投与後に投与する。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含み、前記次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。かかる方法の複数の実施形態では、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、前記第1の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、前記第1の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含み、前記次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、患者に同時投与する。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で患者に投与する。
【0225】
複数の実施形態では、かかる方法は、第3の用量のミフェプリストンの投与をさらに含み、ここで、前記第3の用量のミフェプリストンを、第2の用量のミフェプリストンの投与後に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、第2の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、第2の用量のミフェプリストンより多量のミフェプリストンを含む。複数の実施形態では、かかる方法は、第3の用量のミフェプリストンの投与をさらに含み、ここで、前記第3の用量のミフェプリストンを、第2の用量のミフェプリストンの投与後に投与する。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量とほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量より少ないミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含む。複数の実施形態では、かかる方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第3の用量のミフェプリストンの併用投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、患者に同時投与する。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを、ケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの両方を含む単一の丸薬、またはケトコナゾールもしくはイトラコナゾールおよびミフェプリストンを含む単一の液体処方物で患者に投与する。
【0226】
最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールでケトコナゾールまたはイトラコナゾール処置を受けているクッシング症候群患者を処置する方法の複数の実施形態では、方法は、第1の用量のミフェプリストンを患者に投与する工程および患者が受けるケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量を、最初のケトコナゾールまたはイトラコナゾール用量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾール用量に減少させる工程を含み、ここで、ミフェプリストンの用量は、患者の血中のケトコナゾールまたはイトラコナゾールレベルが前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールによって得られるレベルを超えて実質的に増加することなくクッシング症候群の処置を補助するのに有効なミフェプリストン量を含み、それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび有効用量のミフェプリストンの両方が投与され、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの毒性リスクの増加に曝されない。
【0227】
したがって、出願人は、最初の用法でケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記最初の用法は、最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの前記患者への投与を含み、前記方法は、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを前記患者に投与する工程であって、ここで、前記減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールが、最初の用量の少なくとも約5%の量だけ前記最初の用量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールの用量である、投与する工程;および、ミフェプリストンを患者に投与する工程であって、ここで、ミフェプリストンの投与量は第1の用量のミフェプリストンである、投与する工程を含み、それにより、患者に、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のミフェプリストンの両方が投与される。かかる方法の複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、クッシング症候群の処置を補助するのに有効なミフェプリストン量を含み、それにより、患者に、減少させた用量のケトコナゾールおよび有効用量のミフェプリストンの両方が投与される。複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの投与は、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のミフェプリストンの併用投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、ミフェプリストンの投与は、ミフェプリストンの経口投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、第1の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、前記最初の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールより、最初の用量より約10%、約15%、約25%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約75%、または約90%である量だけ少ない。かかる方法の複数の実施形態では、第1の用量のミフェプリストンは、約300mg、約600mg、約900mg、約1200mg、および約1500mgから選択される用量である。
【0228】
複数の実施形態では、かかる方法は、第2の用量のミフェプリストンを投与する工程をさらに含み、ここで、前記第2の用量を、第1の用量のミフェプリストンの投与後に一度に投与する。複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンより少量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンより多量のミフェプリストンを含む。複数の実施形態では、かかる方法は、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第2の用量のミフェプリストンを投与する工程をさらに含み、ここで、前記次の用量および前記第2の用量の両方を、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび第1の用量のミフェプリストンの両方の投与後に一度に投与する。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、第1の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含み、前記次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。かかる方法の複数の実施形態では、次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、前記減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの量より少ないケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、前記第1の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第2の用量のミフェプリストンは、前記第1の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含み、前記次の用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールは、減少させた用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールとほぼ同量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む。
【0229】
複数の実施形態では、かかる方法は、第3の用量のミフェプリストンの投与をさらに含み、ここで、前記第3の用量のミフェプリストンを、第2の用量のミフェプリストンの投与後に一度に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、第2の用量のミフェプリストンより少量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、第2の用量のミフェプリストンとほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、第2の用量のミフェプリストンより多量のミフェプリストンを含む。
【0230】
複数の実施形態では、かかる方法は、第3の用量のミフェプリストンの投与をさらに含み、ここで、前記第3の用量のミフェプリストンを、第2の用量のミフェプリストンの投与後に一度に投与する。複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの非存在下で投与されると考えられる量より少ないミフェプリストンである。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量とほぼ同量のミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量より少ないミフェプリストンを含む。かかる方法の複数の実施形態では、第3の用量のミフェプリストンは、前記第2の用量のミフェプリストンの量より多いミフェプリストンを含む。複数の実施形態では、かかる方法は、第3の用量のミフェプリストンの投与時の投与用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの投与を含む。
【0231】
出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの併用投与も受けている、ミフェプリストンを用いてクッシング症候群を罹患している患者を処置する方法を本明細書中にさらに開示し、前記方法は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを併用して受けている患者に、患者がミフェプリストンのみを受けたときに有効なミフェプリストン用量である用量より少ない用量のミフェプリストンであるミフェプリストン用量を経口投与する工程を含む。クッシング症候群処置のために患者がミフェプリストンのみを受けているときのミフェプリストンの有効用量は、ミフェプリストンの「単独用量」と呼ばれる。例えば、ケトコナゾールを併用して受けてないクッシング症候群患者の処置またはクッシング症候群のための他の処置に有効なミフェプリストンの用量は、ミフェプリストンの「単独用量」である。本明細書中に開示の方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールの併用投与を受けているクッシング症候群患者のために、ミフェプリストンの用量は、ミフェプリストンの単独用量と比較して少なくとも約5%減少している。したがって、出願人は、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールを受けているクッシング症候群患者を処置する方法を本明細書中に開示し、前記方法は、減少させた用量のミフェプリストンを前記患者に投与する工程を含み、ここで、前記減少させた用量のミフェプリストンは、本明細書中で定義のミフェプリストンの単独用量より少ないミフェプリストン用量であり;それにより、患者に、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび減少させた用量のミフェプリストンの両方が投与される。複数の実施形態では、かかる減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの単独用量より単独用量の少なくとも約5%である量が少ないミフェプリストンの量である。かかる方法の複数の実施形態では、減少させた用量のミフェプリストンは、クッシング症候群の処置を補助するのに有効なミフェプリストン量を含み、それにより、患者に、減少させた用量のミフェプリストンおよびある用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの両方が投与される。かかる方法の複数の実施形態では、ケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよびミフェプリストンの投与は、減少させた用量のミフェプリストンおよびある用量のケトコナゾールまたはイトラコナゾールの併用投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、ミフェプリストンの投与は、ミフェプリストンの経口投与を含む。かかる方法の複数の実施形態では、減少させた用量のミフェプリストンは、ミフェプリストンの前記単独用量より約10%、約15%、約25%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約75%、または約90%の量が少ない。かかる方法の複数の実施形態では、減少させた用量のミフェプリストンは、約900mg、800mg超、約600mg、約300mgから選択される1日用量であるか、1日おきに投与される約300mgのミフェプリストン、2日おきに投与される約300mgのミフェプリストンの用量、および3日おきに投与される約300mgのミフェプリストンの用量から選択されるミフェプリストンの用量である。
【0232】
組成物
【0233】
出願人は、例えば、クッシング症候群を罹患している患者における過剰なコルチゾールを罹患している患者の処置において使用することができる糖質コルチコイド受容体モジュレータ(GRM)(糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト(GRA)(例えば、ミフェプリストンなど)など)を含む組成物を本明細書中に開示する。複数の実施形態では、GRMを含む組成物を、高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するのに有効な量で提供することができるか、内因性クッシング病を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するのに有効な量で提供することができる。複数の実施形態では、GRMを含む組成物を、内因性クッシング病を罹患している患者における高コルチコイド症に続発する高血糖を制御するのに有効な量で提供することができ、ここで、患者は、手術を失敗したか、手術候補者でない。
【0234】
出願人はまた、GRMおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含む組成物を本明細書中に開示する。GRMおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを含むこれらの組成物を、クッシング症候群患者の処置で使用することができる。
【0235】
本明細書中に開示の化合物を、広範な種々の経口、非経口、および局所投薬形態で調製することができる。経口調製物には、患者による摂取に適切な錠剤、丸薬、散剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ロゼンジ、カシェ、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などが含まれる。本発明の組成物を、注射(すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、または腹腔内)によって投与することもできる。また、本明細書中に開示の組成物を、吸入、例えば、鼻腔内に投与することができる。さらに、本発明の組成物を、経皮投与することができる。本明細書中に開示の組成物を、眼内、膣内、および直腸内経路(坐剤、通気、散剤、およびエアロゾル処方物(例えば、ステロイド吸入剤のエアロゾル処方物、Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187-1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107-111,1995を参照のこと)が含まれる)によって投与することもできる。
【0236】
本明細書中に開示の複数の実施形態では、組成物には、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤、GRM、およびCYP3Aインヒビタを含む医薬組成物が含まれる。CYP3Aインヒビタには、例えば、強力CYP3Aインヒビタ(ケトコナゾール、イトラコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびホスアンプレナビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル/リトナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テリスロマイシン、ならびにボリコナゾールなど)が含まれる。本明細書中に開示の複数の実施形態では、組成物には、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤、GRM、およびステロイド生成インヒビタ(SI)を含む医薬組成物が含まれる。SIには、例えば、ケトコナゾール、レボケトコナゾール、メチラポン、アミノグルテチミド、エトミデート、およびLCI699(Osilodrostat)などが含まれる。
【0237】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容され得るキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物には、散剤、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ、坐剤、および分散性顆粒剤が含まれる。固体キャリアは、希釈剤、香味物質、結合剤、防腐剤、錠剤の崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1つまたは複数の物質であり得る。処方技術および投与技術に関する詳細は、科学文献および特許文献に十分に記載されている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co,Easton Pa.(「Remington’s」)の最新版を参照のこと)。
【0238】
散剤では、キャリアは、微粉固体であり、これは微粉活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分は、適切な比率で必要な結合特性を有するキャリアと混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは、5%または10%~70%のケトコナゾールまたはイトラコナゾールおよび/またはGRMを含む。
【0239】
適切な固体賦形剤には、炭酸マグネシウム;ステアリン酸マグネシウム;タルク;ペクチン;デキストリン;デンプン;トラガカント;低融点ワックス;カカオバター;炭水化物;糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが含まれるが、これらに限定されない)、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ、または他の植物由来のデンプン;セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなど);およびゴム(アラビアゴムおよびトラガカントが含まれる);ならびにタンパク質(ゼラチンおよびコラーゲンが含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。必要に応じて、崩壊剤または溶解補助剤(架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)など)を添加することができる。
【0240】
糖衣錠コアに、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物も含み得る糖濃縮液などの適切なコーティングを提供する。染料または顔料を、製品の識別または活性化合物の量(すなわち、投薬量)の特徴付けのために錠剤または糖衣錠のコーティングに添加することができる。本発明の薬学的調製物を、例えば、ゼラチンでできた押し込み式カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティングでできた密封された軟質カプセルを使用して経口で使用することもできる。押し込み式カプセルは、充填剤または結合剤(ラクトースまたはデンプンなど)、潤滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および必要に応じた安定剤と混合したケトコナゾールおよび/またはGRMを含み得る。軟質カプセルでは、ケトコナゾールおよび/またはGRMを、安定剤を用いるか用いずに適切な液体(脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁することができる。
【0241】
坐剤の調製のために、低融点ワックス(脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物など)を最初に融解し、ケトコナゾールおよび/またはGRMを撹拌などによって低融点ワックス中に均一に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を、都合の良いサイズの鋳型に注ぎ、冷却し、それにより、固化させる。
【0242】
液体形態の調製物には、液剤、懸濁剤、および乳剤(例えば、水溶液または水/プロピレングリコール溶液)が含まれる。非経口注射のために、液体調製物を、ポリエチレングリコール水溶液に処方することができる。
【0243】
経口使用に適切な水溶液を、ケトコナゾールおよび/またはGRMを水に溶解し、適切な着色剤、フレーバー、安定剤、および増粘剤を必要に応じて添加することによって調製することができる。経口使用に適切な水性懸濁液を、微粉活性成分を粘稠性材料(天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなど)および分散剤または湿潤剤(天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドの脂肪酸(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)との縮合生成物、エチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコール(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)との縮合生成物、エチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)との縮合生成物、またはエチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)との縮合生成物など)と共に水中に分散させることによって作製することができる。水性懸濁液はまた、1つまたは複数の防腐剤(エチルまたはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾアートなど)、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味物質、および1つまたは複数の甘味剤(スクロース、アスパルテーム、またはサッカリンなど)を含むことができる。処方物を、容量オスモル濃度について調整することができる。
【0244】
使用直前に経口投与のための液体形態の調製物に変換されることが意図される固体形態調製物も含まれる。かかる液体形態には、液剤、懸濁剤、および乳剤が含まれる。これらの調製物は、活性成分に加えて、着色剤、フレーバー、安定剤、緩衝液、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘薬、および溶解補助剤などを含むことができる。
【0245】
油性懸濁剤を、ケトコナゾールおよび/またはGRAを植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油など)、または鉱油(流動パラフィンなど);またはこれらの混合物に懸濁することによって処方することができる。油性懸濁剤は、増粘剤(蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコールなど)を含むことができる。美味な経口調製物を得るために甘味剤(グリセロール、ソルビトール、またはスクロースなど)を添加することができる。これらの処方物を、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。注射用油性ビヒクルの例として、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93-102,1997を参照のこと。本発明の薬学的処方物はまた、水中油型乳剤の形態であり得る。油相は、上記の植物油または鉱油、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤には、天然に存在するゴム(アカシアゴムおよびトラガカントゴムなど)、天然に存在するホスファチド(ダイズレシチンなど)、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来のエステルまたは部分エステル(ソルビタンモノオレアートなど)、およびこれらの部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなど)が含まれる。乳剤はまた、シロップおよびエリキシルの処方物の場合ように、甘味剤および香味物質を含むことができる。かかる処方物はまた、粘滑剤、防腐剤、または着色剤を含むことができる。
【0246】
本発明の組成物を、体内の遅滞放出用のミクロスフェアとして送達させることもできる。例えば、ミクロスフェアを、皮下にゆっくり放出される薬物含有ミクロスフェアの皮内注射による投与のため(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623-645,1995を参照のこと);生分解性で注射用のゲル処方物として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857-863,1995を参照のこと);または経口投与のためのミクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669-674,1997を参照のこと)処方することができる。経皮経路および皮内経路の両方により、数週間または数ヶ月間一定に送達される。
【0247】
別の実施形態では、本発明の組成物を、非経口投与(静脈内(IV)投与または体腔または臓器の内腔への投与など)のために処方することができる。投与のための処方物は、一般に、薬学的に許容され得るキャリアに溶解された本発明の組成物の溶液を含むであろう。使用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水およびリンゲル液、等張塩化ナトリウムである。さらに、滅菌固定油を、溶媒または懸濁媒として慣習的に使用することができる。この目的のために、任意の無刺激の固定油(合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる)を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を、注射液の調製で同様に使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般に、望ましくない物質を含まない。これらの処方物を、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。処方物は、生理学的条件に近づけるために、必要に応じて、薬学的に許容され得る補助剤(pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および乳酸ナトリウムなど)など)を含むことができる。これらの処方物中の本発明の組成物の濃度を大きく変動させることができ、選択される特定の投与様式および患者の必要性にしたがって、主に液量、粘度、および体重などに基づいて選択されるであろう。IV投与のために、処方物は、滅菌注射用調製物(滅菌注射用の水性懸濁剤または油性懸濁剤など)であり得る。この懸濁剤を、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術にしたがって処方することができる。この滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口で許容可能な希釈剤または溶媒(1,3-ブタンジオール溶液など)の滅菌注射溶液または懸濁液であり得る。
【0248】
別の実施形態では、本発明の組成物の処方物を、細胞膜に融合するか、エンドサイトーシスによって取り込まれる(すなわち、リポソームに付着するか、オリゴヌクレオチドに直接付着した、細胞の表面膜タンパク質受容体に結合してエンドサイトーシスを生じるリガンドの使用による)リポソームの使用によって送達させることができる。リポソームの使用により、特に、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを保有するか、そうでなければ、特定の器官に優先的に方向づけられる場合、in vivoで標的細胞内へ本発明の組成物を集中的に送達させることができる(例えば、Al-Muhammed,J.Microencapsul.13:293-306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698-708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576-1587,1989を参照のこと)。
【0249】
投与
【0250】
本明細書中に開示の組成物を、任意の適切な手段(経口、非経口、および局所的な方法が含まれる)によって送達させることができる。局所経路による経皮投与法を、塗布用スティック、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、散剤、およびエアロゾルとして処方することができる。
【0251】
薬学的調製物は、好ましくは、単位投薬形態である。かかる形態では、調製物を、適量のGRMおよびケトコナゾールを含む単位用量に分割する。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。単位投薬形態は、包装された調製物、個別の量の調製物を含む小包(パケット錠剤など)、カプセル、および散剤を含むバイアルまたはアンプルであり得る。また、単位投薬形態は、カプセル、錠剤、カシェ、またはロゼンジ自体であり得るか、これらのいずれかのうちの適当な数を包装形態にしたものであり得る。
【0252】
GRMおよびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタを、共投与するか個別に投与することができる。GRMおよびケトコナゾールまたはイトラコナゾールを、共投与するか個別に投与することができる。併用投与には、GRMの0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、または24時間以内のCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの投与が含まれる。併用投与には、GRMおよびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの同時投与、ほぼ同時の投与(例えば、相互の約1、5、10、15、20、または30分以内)、または任意の順序の順次の投与も含まれる。さらに、GRMおよびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタを、好ましい1日あたりの投薬レベルを得るために、1日に1回、2日に1回、3日に1回、1日により多くの回数で各々を投与することができる。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0253】
いくつかの実施形態では、同時処方物(すなわち、GRMおよびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの両方を含む単一の医薬組成物の調製)によって併用投与することができる。適切な同時処方物には、GRM、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタ、および薬学的に許容され得る賦形剤を含む単一の医薬組成物が含まれる。実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0254】
他の実施形態では、GRMおよびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタを、個別に処方することができる。
【0255】
CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタは、任意の適切な量で存在することができ、種々の要因(被験体の体重および年齢、疾患の状態などが含まれるが、これらに限定されない)に依存し得る。GRMと組み合わせたCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの適切な投薬量範囲には、約0.1mg~約10,000mg、または約1mg~約1000mg、または約10mg~約750mg、または約25mg~約500mg、または約50mg~約250mgが含まれる。GRMと組み合わせたCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタの適切な投薬量には、約1mg、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000mgが含まれる。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0256】
同様に、GRMは、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタとの組み合わせ中に任意の適切な量で存在し得る。GRMの量は、種々の要因(被験体の体重および年齢、疾患の状態などが含まれるが、これらに限定されない)に依存し得る。CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタと組み合わせたGRMの適切な投薬量範囲には、約0.1mg~約10,000mg、または約1mg~約1000mg、または約10mg~約750mg、または約25mg~約500mg、または約50mg~約250mgが含まれる。CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタと組み合わせたGRMの適切な投薬量には、約1mg、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または約1000mgが含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0257】
CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびGRMは、本発明の組成物中に任意の適切な重量比で存在し得る(約1:100~約100:1(w/w)、または約1:50~約50:1、または約1:25~約25:1、または約1:10~約10:1、または約1:5~約5:1(w/w)など)。CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびGRMは、任意の適切な重量比で存在し得る(約1:100(w/w)、1:50、1:25、1:10、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、25:1、50:1、または100:1(w/w)など)。ケトコナゾールおよびGRMの他の投薬量および投薬比が本明細書中に開示の組成物および方法で適切である。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0258】
組成物はまた、他の適合可能な治療剤を含むことができる。本明細書中に記載の化合物を、相互に組み合わせて使用することができるか、単独では有効でないかもしれないが、活性薬剤の有効性に寄与し得る補助剤と組み合わせて使用することができる。
【0259】
キット
【0260】
出願人は、さらに、本明細書中に開示の組成物を含むキットを提供する。キットはまた、組成物の使用説明書を含み得る。
【0261】
複数の実施形態では、キットは、以下を含む:CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタ(例えば、ケトコナゾールまたはイトラコナゾール)を含む医薬組成物およびGRMを含む医薬組成物。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。
【0262】
複数の実施形態では、キットは、以下を含む:CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタを含む医薬組成物;およびGRMを含む医薬組成物;およびCYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびGRMの使用(例えば、投与)のための説明書。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、説明書は、ミフェプリストン投与の説明書を含む。複数の実施形態では、説明書は、毎日服用すべき医薬組成物の数、かかる投与のタイミング、医薬品を食事中または空腹時のどちらで服用するのか、禁忌、副作用の可能性、医薬組成物での処置中に避けるべき行動(あれば)、および医薬組成物での処置中に避けるべき食品(あれば)のうちの1つまたは複数に関する説明書を含む。
【0263】
複数の実施形態では、キットは、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびGRMを含む医薬組成物を含む。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンであり、医薬組成物は、ケトコナゾールおよびミフェプリストンを含む。
【0264】
複数の実施形態では、キットは、以下を含む:CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびGRMを含む医薬組成物;および医薬組成物の使用(例えば、投与)のための説明書。複数の実施形態では、GRMはミフェプリストンである。本明細書中に開示のキットの複数の実施形態では、医薬組成物は、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびミフェプリストンを含み、説明書は、CYP3Aインヒビタまたはステロイド生成インヒビタおよびミフェプリストンを含む医薬品の投与のための説明書を含む。複数の実施形態では、説明書は、毎日服用すべき医薬組成物の数、かかる投与のタイミング、医薬品を食事中または空腹時のどちらで服用するのか、禁忌、副作用の可能性、医薬組成物での処置中に避けるべき行動(あれば)、および医薬組成物での処置中に避けるべき食品(あれば)のうちの1つまたは複数に関する説明書を含む。
【実施例
【0265】
実施例
【0266】
以下の実施例は、本明細書中に開示の方法の実施形態の例示のために示しており、本実施例は、制限されないが、クッシング症候群(クッシング病が含まれる);または前立腺癌および他のアンドロゲン感受性癌;または乳癌、卵巣癌、もしくは他のホルモン感受性癌(例えば、エストロゲンまたはプロゲステロンに感受性を示す癌)を罹患している患者;ならびに他の疾患、障害、または症状を罹患している患者を処置する方法の開示を例証する役割を果たしている。
【0267】
実施例1
【0268】
以前の研究データと比較した、絶食被験体に与えられた300mgの単回用量のミフェプリストンの血漿薬物動態学に及ぼす400mg1日1回(OD)または200mg1日2回(BID)の用量の経口ケトコナゾールの影響を決定するための研究を行った。この研究は、健康な男性被験体における非盲検研究であった。
【0269】
体型指数(BMI)が19kg/m2と32kg/m2との間の範囲であり、体重が少なくとも60kg(132lbs)である18~45歳の健康な男性ボランティアを登録した。被験体は、スクリーニング中に身体検査、ECG、血圧、心拍数、病歴、または臨床検査の結果に関して臨床的に有意な異常所見は認められなかった。スクリーニング時の補正QT間隔は、450m秒より短かった。
【0270】
コホート1では、6人の被験体に、ケトコナゾール400mgをODで14日間受けさせた。コホート1の被験体は、適格性を評価するためのスクリーニングのための来院、および適格性を再確認し、第1の用量の400mg経口ケトコナゾールをおよそ午後8時(予想される1日目のミフェプリストン服薬時間の12時間前)に与える診察日に参加した。
【0271】
1日目の朝に、被験体は、絶食時に400mgの経口ケトコナゾールを受け、その0.5時間後に絶食時に300mgの単回用量のミフェプリストンを受けた。被験体は、2日目および3日目にクリニックに滞在し、絶食時に400mgODの経口ケトコナゾールを受け、安全性評価を行い、薬物動態学(PK)用の血液検体を採取した。被験体を、絶食時の400mgODの経口ケトコナゾールの投与後の4日目にクリニックを退院し、5~13日目の朝にクリニックに再来院して絶食時に400mgODの経口ケトコナゾールを受けた。
【0272】
コホート2では、6人の被験体は、ケトコナゾール200mgをBIDで14日間を受けた。300mgの単回用量のミフェプリストンを、1日目に全ての被験体に与えた。12人の被験体全員が研究を完了した。コホート2の被験体は、適格性を評価するためのスクリーニングのための来院および適格性を再確認する診察日(-1日目)に参加した。0日目に、被験体は、以下のように200mgBIDの経口ケトコナゾールを受けた:一晩の絶食後の朝の服薬および予想される1日目のミフェプリストン服薬時間の12時間前の夕方の服薬。1日目の朝に、被験体は、絶食時に200mgの経口ケトコナゾールを受け、その0.5時間後に絶食時に300mgの単回用量のミフェプリストンを受けた。1日目の夕方に、被験体は、200mgの経口ケトコナゾールを受けた。被験体は、2、3、および4日目にクリニックに滞在し、200mgBIDの経口ケトコナゾールを受け、安全性評価を行い、薬物動態学(PK)の血液検体を採取した。被験体は、200mgの経口ケトコナゾールの夕方の投与後の4日目にクリニックを退院し、5~13日目の朝および夕方にクリニックに再来院して200mgBIDの経口ケトコナゾールを受けた。0~13日目の朝の用量のケトコナゾールを、絶食状態で投与した。
【0273】
両コホートの被験体に対して、ミフェプリストン服薬前30分以内、ならびにミフェプリストン服薬の0.5、1、2、4、6、8、12、24、36、48、60、72(4日目)、120(6日目)、192(9日目)、264(12日目)、および336(15日目)時間後に、ミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿濃度を決定するために採血した。両コホートの被験体は、15日目に安全性モニタリングおよび来院終了手順のために研究センターに再来院し、その後に研究を終了した。安全性を、自発的に報告された有害事象、身体検査、および日常的な臨床検査によって評価した。可能な限り、研究薬に関連し、研究終了時に生じていたと考えられる任意の有害事象を、解決するまでか、未解決の事象が安定したと判定されるまで追跡した。
【0274】
被験体は、研究を中断させる重篤有害作用(SAE)や有害事象(AE)は認められなかった。3人の被験体(25%)に、少なくとも1つの処置誘発有害事象(TEAE)が認められた。全てのTEAEの強度は軽度であった。治験責任医師は、TEAEがミフェプリストンに関連しないと見なした。治験責任医師は、1つの不眠症のTEAEがケトコナゾールに関連すると見なした。
【0275】
一連の研究中の臨床試験結果の変化は、ごくわずかであった。治験責任医師は、臨床試験結果がTEAEではないと見なした。ベースラインからの任意の異常な値またはシフトは、臨床的に有意ではないとみなされた。いかなる心電図(ECG)パラメータにも臨床的に有意な変化は認められなかった。
【0276】
薬物動態学(PK):血液検体を、ミフェプリストン服薬前30分以内、ならびにミフェプリストン服薬の0.5、1、2、4、6、8、12、24、36、48、60、72(4日目)、120(6日目)、192(9日目)、264(12日目)、および336(15日目)時間後に採取した。薬物動態学パラメータを、1日目の単回服薬後のミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿濃度について計算した。記述統計学(回数、平均、中央値、標準偏差、最小、最大、および%変動係数)を得た。ミフェプリストン/代謝産物濃度を列挙し、まとめた。前の研究データと比較した。この研究由来の平均PKパラメータを、表1に示す(「MIFE」はミフェプリストンを示す)。表1中で使用した略称および記号は、以下の意味を有する:「Tmax」は、最大実測血漿濃度に到達するまでの時間を示す;「Tmin」は、24時間の服薬間隔内の最小実測濃度までの時間を示す;「Cmax」は、最大実測血漿濃度を示す;「Cmin」は、24時間の服薬間隔内の最小実測濃度を示す;「Cavg」は、定常状態平均濃度を示し、これは、薬物投入率(Ro)を薬物除去率(CLss)で割ったもの(Cavg=Ro/CLss、ここで、f(吸収率)は相殺される(fは、RoおよびCLssの両方の係数である)と定義される;この式は、Cavg=AUCτ/τに変換される);「AUC0-24」は、血漿濃度下面積対服薬後0から24時間までの時間曲線を示し、線形台形公式(これは、AUCτ(τは24時間または1日である)と同一である)を使用して計算される;「%Fluct」は、定常状態での薬物濃度の変動率を示し、%Fluct=100×(Cmax-Cmin)/Cavgとして算出される。
【0277】
薬物動態学(PK)の結果:ミフェプリストン血漿濃度は、急速な初期低下およびその後の経時的なゆっくりとした低下を示した。その後の時点で、濃度は、非線形的動態を示す低下の加速を示した。予想されるように、代謝産物は親ミフェプリストンと比較して遅延してピークに達した。ミフェプリストン代謝産物RU42633の曝露は、ミフェプリストンに類似するかさらに大きく、一方で、RU42698(ミフェプリストン代謝産物)の曝露は、ミフェプリストンと比較しておよそ0.74~0.94であり、RU42848(これもミフェプリストン代謝産物である)の曝露は、ミフェプリストンと比較して0.53~0.68であった。時間間隔が増加するにつれて、代謝産物が占めるミフェプリストンと比較したAUCの割合は増加した。
【0278】
コホート2のCmax(ここで、Cmaxは最大実測血漿濃度である)およびAUCinf(ここで、AUCinfは、最終服薬時間から無限大までの濃度-時間曲線下面積である)は、コホート1における対応パラメータに類似していた。Cmaxの幾何平均比(GMR)は、1.15であり、AUCinfでは1.05であった。しかし、GMRあたりの90%信頼区間は、標準的な80:125の基準範囲より高かった。したがって、ケトコナゾールの分割用量を用いるとミフェプリストン曝露が少し増加し得るが(200mgBID対400mgOD)、これは軽微であった。終末半減期は、コホート2においてコホート1とおよそ同一であり、Tmaxは、コホート2においてコホート1より短かった。
【0279】
安全性の結果:ミフェプリストンを受けた12人の被験体のうち、3人(25%)に、少なくとも1つの処置誘発有害事象(TEAE)が認められた。全てのTEAEの強度は軽度であった。治験責任医師は、TEAEがミフェプリストンに関連しないと見なした。治験責任医師は、1つの不眠症のTEAEがケトコナゾールに関連すると見なした。被験体において、研究を中断させるSAEや有害事象AEは認められなかった。一連の研究中の被験体についての臨床試験結果の変化は、ごくわずかであった。治験責任医師は、臨床試験結果がTEAEではないと見なした。ベースライン値からの任意の異常な値またはシフトは、臨床的に有意ではないとみなされた。いかなるECGパラメータにも臨床的に有意な変化は認められなかった。
【0280】
コホート2におけるPKパラメータがコホート1に類似していたが、GMRあたりの90%信頼区間は、生物学的同等性試験のために使用される標準的な80:125の基準範囲より高かった。したがって、ケトコナゾールの分割用量を用いるとミフェプリストン曝露が小さく副次的に増加し得る(200mgBID対400mgOD)。終末半減期は、コホート2においてコホート1とおよそ同一であり、Tmaxは、コホート2においてコホート1より短かった。ミフェプリストン300mgは、以下の処置レジメン下で健康なボランティアにおいて安全であり、高い忍容性が認められた:ケトコナゾール400mgをODで14日間またはケトコナゾール200mgをBIDで14日間との絶食時の単回用量。
【0281】
実施例2
【0282】
この研究の主要目的は、中程度の脂肪を含む(34%)朝食後に与えられた300mgまたは600mgでODのミフェプリストンの8日間レジメンのPKに及ぼす400mgの単回用量のケトコナゾールの影響を判定することであった。これは、健康な男性被験体における非盲検研究であった。コホート1では、6人の被験体がミフェプリストン300mgをODで8日間受けた。コホート2では、6人の被験体がミフェプリストン600mgをODで8日間受けた。400mgの単回用量のケトコナゾールを、8日目に全ての被験体に与えた。以下の3人の被験体は、早期に研究を中断した:新規の洞性徐脈の発症に起因するコホート1の1人の被験体、および同意取り消しに起因するコホート2の2人の被験体。
【0283】
方法論:12人の被験体(コホート1の6人およびコホート2の6人)を登録した。3人の被験体が早期に研究を中断した(洞性徐脈の有害事象に起因するコホート1の1人の被験体、および同意取り消しに起因するコホート2の2人の被験体)。
【0284】
コホート1:被験体は、適格性を評価するためのスクリーニングのための来院に参加し、1~6日目にクリニックに再来院して中程度の脂肪を含む朝食の後に300mgの経口ミフェプリストンを受けた。7日目に、被験体は、服薬前PKのための採血のために絶食状態でクリニックに入院し、その後に中程度の脂肪を含む朝食の後に300mgの経口ミフェプリストンを受けた。7日目の服薬から0.5、1、2、4、6、8、および12時間後のミフェプリストンおよびその代謝産物の判定のために被験体から血液検体を連続的に採取した。8日目に、ミフェプリストンおよびその代謝産物およびケトコナゾールの血漿濃度の判定のために、服薬前PK検体を、ケトコナゾール服薬の30分前以内に採取した。8日目の中程度の脂肪を含む朝食の後、被験体は、400mgのケトコナゾールの0.5時間後に300mgのミフェプリストンを受け、ミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿濃度の判定のためにミフェプリストン服薬から0.5、1、2、4、6、8、12、24、36、48、60、72、および120時間後に;および、ケトコナゾールの血漿濃度の判定のためにケトコナゾール服薬から0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、24、36、および48時間後に血液検体を連続的に採取した。被験体は、11日目に退院した。
【0285】
コホート2:被験体は、適格性を評価するためのスクリーニングのための来院に参加し、1~6日目にクリニックに再来院して中程度の脂肪を含む朝食の後に600mgの経口ミフェプリストンを受けた。7日目に、被験体は、服薬前PKのための採血のために絶食状態でクリニックに入院し、その後に中程度の脂肪を含む朝食の後に600mgの経口ミフェプリストンを受けた。7日目の服薬から0.5、1、2、4、6、8、および12時間後のミフェプリストンおよびその代謝産物の判定のために被験体から血液検体を連続的に採取した。8日目に、ミフェプリストンおよびその代謝産物およびケトコナゾールの血漿濃度の判定のために、服薬前PK検体を、ケトコナゾール服薬の30分前以内に採取した。8日目の中程度の脂肪を含む朝食の後、被験体は、400mgのケトコナゾールの0.5時間後に600mgのミフェプリストンを受け、ミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿濃度の判定のためにミフェプリストン服薬から0.5、1、2、4、6、8、12、24、36、48、60、72、および120時間後に;および、ケトコナゾールの血漿濃度の判定のためにケトコナゾール服薬から0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、24、36、および48時間後に血液検体を連続的に採取した。被験体は、11日目に退院した。両コホートの被験体は、13日目に安全性モニタリング、120時間のPK図の収集、および来院終了手順のために研究センターに再来院し、その後に研究を終了した。可能な限り、研究薬に関連し、研究終了時に生じていたと考えられる任意の有害事象を、解決するまでか、未解決の事象が安定したと判定されるまで追跡した。
【0286】
診断および主要選択基準:体型指数(BMI)が19kg/m2と32kg/m2との間の範囲であり、体重が少なくとも60kg(132lbs)である18~45歳の健康な男性ボランティアを登録した。被験体は、スクリーニング中に身体検査、ECG、血圧、心拍数、病歴、または臨床検査の結果に関して臨床的に有意な異常所見は認められなかった。スクリーニング時の補正QT間隔は、450m秒より短かった。
【0287】
処置の持続時間:合計28日間まで(2週間までのスクリーニング、1~8日目の服薬、安全性の観察、および13日目のPK用検体の採取が含まれる)。ミフェプリストンの薬物動態学を測定するために、7日目のミフェプリストン服薬前30分以内ならびに7日目のミフェプリストン服薬の0.5、1、2、4、6、8、および12時間後;8日目のケトコナゾール服薬前30分以内ならびに8日目のミフェプリストン服薬の0.5、1、2、4、6、8、12、24、36、48、60、72、および120時間後に検体を採取した。ケトコナゾールの薬物動態学を測定するために、8日目の服薬前(7日目から24時間の検体)、ならびにケトコナゾール服薬の0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、24、36、および48時間後に検体を採取した。
【0288】
自発的に報告された有害事象、身体検査、および日常的な臨床検査によって安全性を評価した。有害事象データを表にした。身体的所見および臨床試験の結果を、被験体別に列挙した。
【0289】
安全性の結果:被験体にSAEは認められなかった。ミフェプリストンを受けた12人の被験体のうち、6人の被験体(50%)に少なくとも1つのTEAEが認められた。TEAEの強度は主に軽度であった。TEAEを有する被験体の大部分(5/6)はコホート2に属し、8日目または8日目後のケトコナゾールおよびミフェプリストン600mgの両方の処置中にTEAEの大部分が生じた。コホート2の4人の被験体におけるミフェプリストン投与におそらくまたはほぼ確実に関連するとみなされるTEAEは、眩暈、嘔気、嘔吐、口内乾燥、および発疹であった。治験責任医師は、1つの頭痛のTEAEがケトコナゾールおよびミフェプリストンの両方の投与におそらく関連すると見なした。8日目の結節性不整脈のTEAEを有するコホート1の1人の被験体は、治験責任医師によって処置を中止した。この事象は、重症度としては軽度であり、試験薬に関連しないとみなされた。「洞性徐脈」として知られている対応するECG異常は、臨床的に有意でないとみなされた。被験体にSAEは認められなかった。
【0290】
一連の研究中の被験体についての臨床試験結果の変化は、ごくわずかであった。治験責任医師は、臨床試験結果がTEAEではないと見なした。研究中に生命徴候、身体検査、または体重の臨床的に有意な変化または異常は認められなかった。4人の被験体において異常なECGが生じたが、この異常は臨床的に有意とみなされなかった。
【0291】
統計学的方法:薬物動態学(PK):7日目および8日目の服薬後のミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿濃度についての薬物動態学パラメータCmax、Ctrough、および服薬間区間AUCを計算した。記述統計学(回数、平均、中央値、標準偏差、最小、最大、および%変動係数)を得た。ミフェプリストン/代謝産物濃度を列挙し、まとめた。CmaxおよびAUC0-24のGM平均を、本研究の8日目と7日目とで比較し、以前の多用量研究における300mgでODのミフェプリストンの組み合わせデータとも比較した。さらに、コホート1と2の間のPKの結果を比較した。8日目の単回服薬後のケトコナゾールの血漿濃度についての薬物動態学パラメータCmax、T1/2、および総AUCを計算した。記述統計学(回数、平均、中央値、標準偏差、最小、最大、および%変動係数)を得た。ケトコナゾール濃度を列挙し、まとめた。本研究における単回服薬と、文献由来の報告された健康な被験体のケトコナゾールの400mg単回服薬の組み合わせデータとを、Cmaxおよび総AUCのGM平均について比較した。
【0292】
スクリーニング時の被験体の平均(±SD)年齢は29.4±6.8歳であり、平均BMIは25.61±3.27kg/m2であった。12人中7人の被験体(58.3%)は白人であり、5/12人(41.7%)は黒人/アフリカ系アメリカ人であった。12人中5人の被験体(41.7%)は、ヒスパニック系またはラテン系であった。
【0293】
薬物動態学(PK)の結果:ミフェプリストンおよび代謝産物のPKデータは、12人中11人の登録被験体のデータが利用可能であり、ケトコナゾールPKの分析データは、10人の被験体のデータが利用可能であった。ミフェプリストンおよび各代謝産物の濃度は、7日目の投薬前から13日目(研究終了)までの全採取期間中で検出限界を超えていた。ミフェプリストン血漿濃度は、急速な初期低下およびその後の経時的なゆっくりとした低下を示し、予想どおり、代謝産物は親ミフェプリストンと比較して遅延してピークに達した。RU42633およびRU42848の平均曝露は、ミフェプリストンに類似するかさらに大きく、一方で、RU42698曝露はより低かった。8日目の単回服薬後のケトコナゾールPKを直ちに算出した。ケトコナゾールの共投与によりミフェプリストンおよび代謝産物の曝露が増加した。8日目の400mgケトコナゾールの存在下で、コホート1におけるミフェプリストンCmaxおよびAUC0-24は、ケトコナゾールを用いない事前の7日目と比較して20%および25%増加した。この影響は、コホート2における600mgでODのミフェプリストンでわずかにより大きく、CmaxおよびAUC0-24は、7日目と8日目との間で39%および28%増加した。600mgの用量でODのミフェプリストン(コホート2)により、300mgの用量のOD(コホート1)のみおよび400mgケトコナゾールの存在下と比較してミフェプリストンおよび代謝産物の曝露はより高かった。この増加は、用量の2倍増加分より少なかった。ケトコナゾールを用いない7日目に、600mgODでのミフェプリストンのCmaxおよびAUC0-24は、300mgODより42%および48%多かった。この用量の影響は、400mgケトコナゾールの存在下でより大きかった。8日目のミフェプリストンCmaxおよびAUC0-24は、600mgODで300mgODより65%および52%高かった。400mgケトコナゾール存在下で8日目のミフェプリストンの半減期は、2つのミフェプリストン用量レベル間で類似していた。8日目の半減期は、600mgODで300mgODより13%長かった。600mgODのミフェプリストンレジメンの8日目の8日目の400mg単回用量後のケトコナゾール曝露は、300mgODのミフェプリストンレジメンと比較して37%および36%高かった(CmaxおよびAUCinf)。いずれかのミフェプリストンレジメンについてのケトコナゾール半減期は、あまり異ならなかった。8日目の300mgまたは600mgODのミフェプリストンへの単回用量の400mgケトコナゾールの添加により、CmaxおよびAUC0-24の曝露が増加し、これは、絶食状態での600mgまたは1200mgODおよび摂食状態での1200mgODの過去の値にそれぞれ類似していた。ケトコナゾール添加に起因する曝露の増加が絶対値で20%と39%との間でしかなかったが、得られた曝露は2~3倍の用量の曝露に類似していた。これは、ミフェプリストンの動態学が用量に比例しないことに起因すると考えられる。
【0294】
本研究由来の平均PKパラメータおよび結果を、表2に示す。
【0295】
表2中で使用した略称および記号は、以下の意味を有する:
【0296】
「Tmax」は、最大実測血漿濃度に到達するまでの時間を示す;「Tmin」は、は、24時間の服薬間隔内の最小実測濃度までの時間を示す;「Cmax」は、最大実測血漿濃度を示す;「Cmin」は、24時間の服薬間隔内の最小実測濃度を示す;「Cavg」は、定常状態平均濃度を示し、薬物投入率(Ro)を薬物除去率(CLss)で割ったもの(Cavg=Ro/CLss、ここで、f(吸収率)は相殺される;この式は、Cavg=AUCτ/τに変換される)と定義される;「AUC0-24」は、血漿濃度下面積対服薬後0から24時間までの時間曲線を示し、線形台形公式(これは、AUCτ(τは24時間または1日である)と同一である)を使用して計算される;「%Fluct」は、定常状態での薬物濃度の変動率を示し、%Fluct=100×(Cmax-Cmin)/Cavgとして算出される。
【0297】
ミフェプリストンに及ぼすケトコナゾールおよびケトコナゾールに及ぼすミフェプリストンの薬物-薬物相互作用(DDI)の影響を研究した。ケトコナゾールの400mg単回用量により、300および600mgODのミフェプリストンでミフェプリストン曝露が検出可能に増加し、これらの用量のミフェプリストンにより、ケトコナゾール曝露が検出可能に増加した。ケトコナゾール添加に起因するミフェプリストン曝露の増加が絶対値で20%と39%との間でしかなかったが、得られた曝露は2~3倍の用量の曝露に類似していた。これは、ミフェプリストンの動態学が用量に比例しないことに起因すると考えられる。主に軽度のAEが生じ、このAEは、主にケトコナゾールおよびミフェプリストン600mgを投与した被験体で認められた。
【0298】
実施例3
【0299】
第1相単一施設非盲検研究を、健康な男性ボランティアにおける複数の経口で1日に1回の用量の600mgのミフェプリストンを与えた経口で1日2回の用量の200mgのケトコナゾールの影響を研究するために行い、研究中、全ての薬物投与を典型的な食事(脂肪含有率34%)の後に行った。この研究の目的は、両方の薬物を食物と共に投与したときの1日1回のミフェプリストン600mgのPKに及ぼす1日2回のケトコナゾール200mgの影響を判定することであった。-1日目に単回用量のケトコナゾールを投与した。複数回用量の投与中、ミフェプリストンを1~17日目に投与し、ケトコナゾールを13~17日目に投与した;18~31日目まで追跡を継続した。16人の被験体を登録し(平均年齢31.9歳;黒人8人、白人6人、その他2人)、ミフェプリストン/ケトコナゾールの組み合わせ処置の開始前に2人の被験体が研究を中断した。
【0300】
研究は、2期間研究デザインであった。期間1:600mgミフェプリストンを1日目から12日目まで1日1回投与した;薬物動態学用検体を、各服薬前に定常状態が達成されたことを確認するためのミフェプリストンおよび活性代謝産物(モノ脱メチル化代謝産物、RU42633;ヒドロキシル化代謝産物、RU42698;およびジ脱メチル化代謝産物、RU42848)のアッセイ、ならびに12日目の服薬区間濃度プロフィールのために採取した。期間2:1日1回の600mgミフェプリストンを1日2回の200mgケトコナゾールと組み合わせて13から17日目まで継続した;薬物動態学用検体を、13~17日目の服薬前のミフェプリストンおよび代謝産物ならびにケトコナゾールの両方のアッセイ、ならびに17日目の服薬区間濃度-時間プロフィールのために採取した。
【0301】
副次目的は、定常状態で共投与した600mgODのミフェプリストンのPKに及ぼす200mgBIDケトコナゾールの影響が、食事を伴う1200mgODのミフェプリストン(健康な被験体における最高の実測平均曝露を有する表示服薬レジメン)と比較してミフェプリストンおよび代謝産物への曝露を超えるかどうかを判定することであった。
【0302】
ミフェプリストンおよび代謝産物に及ぼすケトコナゾールとの共投与の影響:ミフェプリストンおよびヒドロキシル化代謝産物(RU42698)の濃度は、12日目(ミフェプリストンのみ)より17日目(1日2回の200mgケトコナゾールとの1日1回の600mgミフェプリストンの共投与)で高かった。RU42633およびRU42848の濃度は、17日目および12日目で類似していた。正式な統計解析の結果を、表3に示す。
【0303】
ミフェプリストンについて、Cmaxについての試験薬に対する基準薬の幾何平均比は127.59%(90%CI:116.66、139.54、ここで、「CI」は「信頼区間」を意味し、「90%CI」は「90%信頼区間」を意味する)であり、AUC0-24については、138.01%(90%CI:127.12、149.84)であった。90%信頼区間の下限は100%を超えており、上限は125%を超えていた。したがって、ケトコナゾールとの共投与によりミフェプリストン曝露が増加した。同様に、代謝産物RU42698について、90%信頼区間の下限は100%を超えており、幾何平均比および90%信頼区間の上限の両方は125%を超えており、したがって、この代謝産物への曝露は、ケトコナゾールによって増加した。
【0304】
代謝産物RU42848およびRU42633について、曝露比の幾何平均比の計算値および90%信頼区間は、標準的な80:125比較区間の範囲内であり、したがって、ケトコナゾールの影響を受けていなかった。
【0305】
ケトコナゾールに及ぼすミフェプリストンとの共投与の影響:17日目にミフェプリストンを1日2回与えられたケトコナゾールの血漿濃度-時間プロフィールは、-1日目に単回用量のみとして与えられたケトコナゾールよりはるかに高かった。正式な統計解析の結果を、表4に示す。
【0306】
maxについての試験薬に対する基準薬の幾何平均比は252.71%(90%CI:214.85、297.26)であり、AUCについては365.36%(90%CI:333.78、399.93)であった。したがって、幾何平均比ならびに90%信頼区間の下限および上限の両方は、全体的に標準的な80:125比較区間を超えており、17日目の曝露(ミフェプリストンを用いた)は、-1日目(ケトコナゾールのみ)より高かった。
【0307】
ミフェプリストン表示用量を用いたミフェプリストン曝露の比較:濃度-時間プロットは、本研究における17日目の平均ミフェプリストン濃度が被験体に7日間にわたって1200mgミフェプリストンを1日1回受けさせた以前に行われた「過去の」研究における摂食状態のものより低いことを示していた。本研究および過去の研究の両方において、ミフェプリストンを、典型的な食事(34%脂肪)の30分後以内に被験体に投与した。正式な統計解析の結果を、表5に示す。
【0308】
ミフェプリストンについて、Cmaxについての試験薬に対する基準薬の幾何平均比は、84.64%(90%CI:72.92、98.23)であり;AUC0-24については87.27%(90%CI:74.72、101.94)であった。90%信頼区間は、標準的な80:125比較区間より短くかつ重複していた。34%脂肪食後に600mgミフェプリストンを受けた被験体における平均ミフェプリストン濃度は、過去の研究におけるミフェプリストン濃度より低かった。表5に示すように、摂食状態でのケトコナゾールとの600mgミフェプリストンの投与により、ケトコナゾールの非存在下で1日1回1200mgミフェプリストンを受けている被験体で測定されたミフェプリストン濃度より低いミフェプリストン濃度が得られた。表5中の幾何平均比(GMR)値は、ミフェプリストン600mgのケトコナゾールとの共投与はケトコナゾールの非存在下での1200mgミフェプリストンよりミフェプリストン曝露が13~15%低く;代謝産物については、対応する値は、18~19%の減少から17~18%の増加までの範囲であることを示唆している。したがって、ケトコナゾールとの1日1回の600mgミフェプリストンの投与により、1200mgミフェプリストンでの平均実測曝露より高くないミフェプリストン濃度が得られた;両方の処置は、典型的な34%脂肪食後に行った。AUCのGMRについての87%という値は、ケトコナゾールの存在下での900mgミフェプリストンがケトコナゾールの存在下での600mgミフェプリストンより1200mgミフェプリストンのみへの被験体の曝露により適合することを示唆している。したがって、これらのデータは、ケトコナゾールの存在下での900mgミフェプリストンの使用、およびより高い用量での使用も支持している。
【0309】
代謝産物RU42633について、90%信頼区間は、Cmax(幾何平均比96.31%)の標準区間内にあり、AUC0-24の標準区間の下限にちょうど重複していた(幾何平均比91.34%)。代謝産物RU42698については、CmaxおよびAUC0-24の両方についての信頼区間は、標準区間に重複し、そして超えていた(幾何平均比Cmax:116.55%;AUC0-24:118.18%)。代謝産物RU42848については、90%信頼区間は、Cmax(幾何平均比82.45%)およびAUC0-24(比81.43%)の標準区間に重複し、そしてそれより短かった。
【0310】
RU42698は、比較的重要でない代謝産物であり、ミフェプリストン、RU42633、RU42698、RU42848のみの総定常状態AUC0-24の9%およびケトコナゾールの非存在下での総定常状態AUC0-24の13%を占める。したがって、ケトコナゾールの存在下でのRU42698のAUC0-24の増加は、重要でないとみなされる。
【0311】
図1は、ミフェプリストン、RU42633、RU42698、およびRU42848の血漿レベルの測定結果を示す。これらの測定を、被験体へのミフェプリストンの1日1回の投与前に行った;したがって、ミフェプリストンおよび代謝産物の濃度は、「トラフ」濃度である。これらの結果は、ケトコナゾール投与の開始(13日目)によってミフェプリストンおよびRU42848のトラフ濃度が日毎に増加していることを示す。これは、ケトコナゾール投与時点で(13日目に開始した)定常状態が達成されていなかったことを示す。
【0312】
図2は、ケトコナゾールによるCYP3Aの阻害前および阻害後のミフェプリストンの血漿濃度プロフィールを示す。出願人は、時間0の値(服薬前)が約500ng/ml異なり、この相違は、24時間の検体採取区画の大部分をとおして比較的一定に維持されていることに留意している。したがって、7日目と12日目の間のトラフ濃度の毎日の増加が17日目まで維持される場合、12日目と17日目との間のAUC(およびCmax)の増加の未知の部分はケトコナゾールのみの影響よりもむしろさらなるミフェプリストン投与に起因し得る。したがって、表3中に報告した値は、ミフェプリストン(およびRU42848)への曝露に及ぼすCYP3A阻害の影響を誇張している可能性がある。
【0313】
考察:1日2回の200mgケトコナゾールとの1日1回の600mgミフェプリストンの共投与により、ミフェプリストンへの曝露が平均しておよそ28%(Cmax:幾何平均比127.59%[90%CI:116.66、139.54])および38%(AUC0-24:幾何平均比138.01%[90%CI:127.12、149.84])増加した。これらの曝露は、最高表示用量のミフェプリストン(1日1200mg)後に認められた曝露のおよそ85%である。
【0314】
ヒドロキシル化代謝産物RU42698への平均曝露の増加(およそ70%)は、親物質への曝露の増加よりいくらか大きく、曝露は、最高表示用量のミフェプリストン後よりもおよそ15~20%高かった。対照的に、ケトコナゾールとの共投与により、モノ脱メチル化代謝産物(RU42633)またはジ脱メチル化代謝産物(RU42848)への曝露の変化はほとんどなかった;これらの代謝産物への曝露は、最高表示用量後の曝露に類似するかそれよりわずかに低かった。
【0315】
この実施例に示した結果は、CYP3Aの阻害(例えば、ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタの共投与による)を用いて、900mgミフェプリストンを1日1回投与した被験体は、ミフェプリストンのCmaxおよびAUCの対応する増加がそれぞれ27.59%および38.01%であり、1日1回の1200mgで以前に達成された全身曝露に類似の規模の全身曝露が得られるはずであるということを示す。したがって、これらの測定の結果は、ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタをレジメンに加えたときに、1日1回の1200mgミフェプリストンの用量を事前に受けている被験体に、1日1回の900mgミフェプリストンの用量を安全に投与することができることを示す。同様に、これらの測定の結果は、ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタをレジメンに加えたときに、1日1回900mgミフェプリストンの用量を事前に受けている被験体に、1日1回の600mgミフェプリストンの用量を安全に投与することができることを示す。さらに、これらの測定の結果は、ケトコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタをレジメンに加えたときに、1日1回の600mgミフェプリストンの用量を事前に以前に受けている被験体に、1日1回の300mgミフェプリストンの用量を安全に投与することができることを示す。
【0316】
研究中に死亡やSAEは報告されなかった。2人の被験体は、AE(中等度高血圧症の被験体1人ならびに上腕および大腿部の中等度両側性発疹の被験体1人、共にミフェプリストンのみの処置期間中)のために中断した。ミフェプリストンのみでの処置中の被験体の55.6%(16人中9人)、ミフェプリストン/ケトコナゾール処置期間中の被験体の57.1%(14人中8人)、および休薬期間中の被験体の7.1%(14人中1人)で少なくとも1つのTEAEが報告された。
【0317】
TEAEの大部分は軽度であった。4人の被験体に、以下の中等度TEAEが報告された:ミフェプリストンのみでの処置中の3人の被験体(それぞれ、高血圧症、発疹、および嘔吐を1人ずつ)およびミフェプリストン/ケトコナゾールでの処置中の1人の被験体(頭痛)。4つ全ての中等度AEは、ミフェプリストン処置におそらくまたはほぼ確実に関連するとみなされた。中等度AEのうちの1人のみがケトコナゾール処置におそらく関連するとみなされた。重症TEAEは報告されなかった。
【0318】
3人の被験体は、臨床試験の結果が上昇し、この上昇が薬物関連TEAEとして報告された。14日目の朝に開始した1人の被験体について肝臓酵素の穏やかな上昇が認められ、14日目の朝に開始した2人の被験体についてクレアチニンレベルの穏やかな上昇が認められた。いかなる被験体についての服薬は中断せず、この事象は、続発症を伴わずに解消された。
【0319】
血液学もしくは尿検査のパラメータ、生命徴候、またはECGに及ぼす複数回用量のケトコナゾール処置を用いるか用いない複数回用量のミフェプリストン処置の臨床的に有意な影響は認められなかった。
【0320】
実施例4
【0321】
この実施例は、第1相単一施設非盲検固定順序薬物-薬物相互作用研究を記載し、この研究では、健康な男性被験体における1日1回(OD)のミフェプリストン900mgと共に与えた複数回の1日用量の経口イトラコナゾール200mg(CYP酵素の強力インヒビタ)の影響を研究した。この研究を、施設内審査委員会のガイダンスの下の臨床試験実施基準ならびに適用される法および規制上の要件にしたがって行った。この研究中に使用したスケジュールを、表6に示す。
【0322】
KORLYM(登録商標)は、経口投与用の300mg錠剤で供給された。900mgまたは1200mg/日の用量のいずれかを得るために、3~4錠を1日1回(OD)投与した。
【0323】
イトラコナゾールは、
【0324】
経口投与用の100mgカプセルで供給された。200mg/日用量を得るために、2錠を1日1回(OD)投与した。
【0325】
全ての薬物投与は経口であり、朝食後に与えられた。ミフェプリストンは、単独で与えられるとき(1~14日目に1200mg;15~28日目に900mg)、朝食後30分以内に投与し;イトラコナゾール(200mg)を朝食後30分以内に投与し、次いで、ミフェプリストン(900mg)をイトラコナゾール投与(29~42日目)のおよそ5分後に投与した。
【0326】
いくつかある基準のうちで必要とされる選択基準は、年齢が18歳と65歳との間であり、体重が110ポンドを超えており、体型指数(BMI)が18~32kg/mである健康な男性の被験体であることである。デザインには、3週間までのスクリーニング期間(被験体を、第1の処置期間前の-21日目~-1日目のあるときにスクリーニングした)、3つの14日間の処置期間、および安全性の観察のための14日間の追跡(FU)期間が含まれていた。
【0327】
選択基準を満たす被験体(n=22)に、薬物を1日1回投与し、血液検体を、期間1~3中の以下に記載の日数および追跡期間の43日目に採取した。被験体を、-1~1日目(第1のミフェプリストン用量の投与日以前および当日);13~15日目;27~29日目;および42~43日目に臨床研究施設に拘束した。
【0328】
処置レジメンおよび処置期間は以下の通りであった:
・期間1、1~14日目:ミフェプリストン1200mgを食後に1日1回(OD)。
(1、2、4、6、8、11、12、および13日目);薬物の30分前にPK検体を採取した。
(14日目)24時間PK検体採取プロフィールを得た。
・期間2、15~28日目:ミフェプリストン900mgを食後にOD。
(15、16、18、20、22、25、26、および27日目);薬物の30分前にPK検体を採取した。
(28日目)24時間PK検体採取プロフィールを得た。
・期間3、29~42日目:食後にミフェプリストン900mgOD+イトラコナゾール200mgOD。
(29、30、32、34、36、39、40、および41日目);薬物の30分前にPK検体を採取した。
(42日目)24時間PK検体採取プロフィールを得た。
【0329】
被験体は、一晩の8時間絶食後に臨床研究施設(CRU)に来院し、ついで、服薬前のPK検体を採取し、他の評価(服薬前の心電図(ECG)、血漿コルチゾールおよびACTH、血清化学試験)を行った。被験体は朝食を摂取し、薬物(単数または複数)(ミフェプリストン単剤療法またはイトラコナゾールとの組み合わせ)を、朝食摂取後約30分以内に投与した。上記の特定の日に、24時間PKプロフィールの判定のためにさらに採血した。
【0330】
安全性および忍容性を、有害事象(AE)のモニタリング、生命徴候の測定、12誘導ECGの記録、身体検査、および臨床安全検査によって評価した。
【0331】
測定および算出した薬物動態学(PK)パラメータには、AUC(濃度-時間曲線下面積)、AUC0-24(服薬後0から24時間までのAUC値)、Cmax(最高濃度)、およびCss(AUC0-24/24として計算した定常状態平均濃度)が含まれていた。
【0332】
ミフェプリストンおよびその3つの主な代謝産物(RU-42633、RU-42698、およびRU-42848)についてのPKパラメータを、線形台形公式を使用してAUC0-24を算出するノンコンパートメント解析法を使用して算出した。
【0333】
図3は、14日目(来院1;1200mgミフェプリストンのみの1日1回の投与;三角);28日目(来院2;900mgミフェプリストンのみの1日1回の投与;円);および42日目(来院3;900mgミフェプリストンおよび200mgイトラコナゾールの1日1回の投与;四角)の服薬後24時間にわたる健康な男性ボランティアにおいて測定したミフェプリストンの血漿濃度プロフィールを示す。最大曝露(ミフェプリストン血漿濃度)は、ミフェプリストンのみの薬物投与の約4時間後に認められ、イトラコナゾールと共に投与されたミフェプリストンについても同様であった。
【0334】
ミフェプリストンを併用したイトラコナゾールの投与により、ミフェプリストンのみと比較してミフェプリストンの曝露(血漿レベル)が増加し、その結果、予想どおり、900mgミフェプリストンのみについての最大曝露は、1200ミフェプリストンのみについての最大曝露より低かった。しかし、驚いたことに、200mgイトラコナゾールを併用した900mgミフェプリストンについて測定した最大曝露は、1200ミフェプリストンのみについての最大曝露とあまり差がなかった。これを表7に示す。表中、200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを投与した被験体において測定したミフェプリストンおよび3つのその代謝産物、RU-42633、RU-42698、およびRU-42848の血漿レベルならびに1200mgミフェプリストンODのみを投与した被験体において測定した血漿レベルを示す。(900mgミフェプリストン+200mgイトラコナゾール)/(1200mgミフェプリストン)についてのCmaxおよびAUC0-24の比(百分率として)を、「比(%)」(90%信頼区間の限度内で決定されたCmaxおよびAUC0-24の幾何平均の比)と表示したカラムに示す。
【0335】
max(900mgミフェプリストンODおよび200mgイトラコナゾールODを受けている被験体について認められたミフェプリストンCmax)を(1200mgミフェプリストンODのみを受けている被験体について認められたミフェプリストンCmax)で割った幾何平均比(%)は、約98%であった。(900mgミフェプリストンODおよび200mgイトラコナゾールODを受けている被験体について認められたミフェプリストンAUC0-24)を(1200mgミフェプリストンODのみを受けている被験体について認められたミフェプリストンAUC0-24)で割ったAUC幾何平均比(%)は、約97%であった。これらのデータは、200mgイトラコナゾールODを用いた900mgミフェプリストンODについてのミフェプリストン最大曝露が1200mgミフェプリストンODについてのミフェプリストン最大曝露以下であるが、ほぼ等価であることを証明している。
【0336】
したがって、驚いたことに、200mgイトラコナゾールODと投与したときの900mgミフェプリストンODについての最大曝露は、1200mgミフェプリストンODのみについての最大曝露とほぼ同一であった。これは、イトラコナゾールの併用投与が非常に高レベルのミフェプリストンを生じなかったことを示す。
【0337】
表8は、200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを投与した被験体において測定したミフェプリストンおよび3つのその代謝産物(RU-42633、RU-42698、およびRU-42848)の血漿レベルならびに900mgミフェプリストンODのみを投与した被験体において測定した血漿レベルを示す。表8はまた、ミフェプリストンおよびその代謝産物についての90%信頼区間の限度内で決定された幾何平均比を示す「比(%)」と表示したカラムを含み、したがって、ミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿レベルの相対尺度(200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを用いて得た血漿レベルを、900mgミフェプリストンODを用いて得た血漿レベルで割ったもの)が提供される。
【0338】
表8は、200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを投与した被験体において測定した幾何平均血漿レベルを、900mgミフェプリストンODのみを投与した被験体において測定した幾何平均血漿レベルと比較したミフェプリストンおよび3つのミフェプリストン代謝産物(RU-42633、RU-42698、およびRU-42848)についてのこの幾何平均比(%)データを示す。ミフェプリストンCmaxの比は約120%っであった(200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを投与した被験体において測定したCmaxを、900mgミフェプリストンODのみを投与した被験体において測定したCmaxで割ったもの)。ミフェプリストンAUC0-24の比は約110%であった(200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを投与した被験体において測定したAUC0-24を、900mgミフェプリストンODのみを投与した被験体において測定したAUC0-24で割ったもの)。
【0339】
ミフェプリストンおよびミフェプリストン代謝産物(RU-42633、RU-42698、およびRU-42848)について表7および表8に示すように、900mgミフェプリストンODおよび200mgイトラコナゾールODについて得た血漿レベルは、1200mgミフェプリストンODのみによって得た血漿レベルに近く、900mgミフェプリストンODのみによって得たレベルよりたった約20%しか高く(または低く)なかった。したがって、200mgODのイトラコナゾールなどの強力CYP3Aインヒビタとの900mgのミフェプリストンODの投与により、1200mgミフェプリストンのみの投与とほぼ同一の血漿ミフェプリストンレベルが得られる。
【0340】
1200mgODのミフェプリストンは、米国食品医薬品局(FDA)によってその使用が承認された安全な用量である。1200mgミフェプリストンODのみを用いて得た血漿レベルと比較した、200mgイトラコナゾールODと共に900mgミフェプリストンODを使用して得たミフェプリストンおよびその代謝産物についての血漿レベルの類似性は、900mgミフェプリストンODをイトラコナゾールと共に安全に投与することができることを示す。
【0341】
イトラコナゾールが強力CYP3Aインヒビタであり、さらに、イトラコナゾールが模範となる強力CYP3Aインヒビタと見なされており、強力CYP3Aインヒビタクラスの効果を判定するために使用することができるので(FDA “Clinical Drug Interaction Studies-Study Design,Data
Analysis,and Clinical Implications Guidance for Industry”,pages 10-11(https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm292362.pdfを参照のこと)、これらの結果は、ミフェプリストンを他の強力CYP3Aインヒビタ(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびホスアンプレナビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、ロピナビル/リトナビル、ポサコナゾール、サキナビル、テリスロマイシン、およびボリコナゾールなど)と共に安全に投与することもできることを示す。さらに、強力CYP3Aインヒビタが弱いほどミフェプリストンおよびその代謝産物の血漿レベルに及ぼす影響は小さいと予想されるので、これらの結果は、ミフェプリストンを、上に列挙したCYP3Aインヒビタに加えて他のCYP3Aインヒビタ(強力CYP3Aインヒビタ(例えば、フルコナゾール、シメチジン、ボセプレビル、およびテラプレビルなど)が含まれる)でないCYP3Aインヒビタと共に安全に投与することもできることを示す。
【0342】
実施例5
【0343】
1日用量の1200mgミフェプリストンでミフェプリストンを用いた処置を受けている過剰なコルチゾールを患っている患者の処置レジメンを、有効量のケトコナゾールおよび減少させた1日用量のミフェプリストンの併用投与を含むように変更し、ここで、減少させた1日用量のミフェプリストンは900mgであり、その結果、患者はケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与を受ける。測定は、患者の肝機能がケトコナゾールおよび減少させた用量のミフェプリストンの併用投与によって有意に損なわれないことを示す。
【0344】
実施例6
【0345】
1日用量の900mgミフェプリストンでミフェプリストンを用いた処置を受けている過剰なコルチゾールを患っている患者の処置レジメンを、有効量のケトコナゾールおよび減少させた1日用量のミフェプリストンの併用投与を含むように変更し、ここで、減少させた1日用量のミフェプリストンは600mgであり、その結果、患者はケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与を受ける。測定は、患者の肝機能がケトコナゾールおよび減少させた用量のミフェプリストンの併用投与によって有意に損なわれないことを示す。
【0346】
実施例7
【0347】
1日用量の600mgミフェプリストンでミフェプリストンを用いた処置を受けている過剰なコルチゾールを患っている患者の処置レジメンを、有効量のケトコナゾールおよび減少させた1日用量のミフェプリストンの併用投与を含むように変更し、ここで、減少させた1日用量のミフェプリストンは300mgであり、その結果、患者はケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与を受ける。測定は、患者の肝機能がケトコナゾールおよび減少させた用量のミフェプリストンの併用投与によって有意に損なわれないことを示す。
【0348】
実施例8
【0349】
1日用量の1500mgミフェプリストンでミフェプリストンを用いた処置を受けている過剰なコルチゾールを患っている患者の処置レジメンを、有効量のケトコナゾールおよび減少させた1日用量のミフェプリストンの併用投与を含むように変更し、ここで、減少させた1日用量のミフェプリストンは1200mgであり、その結果、患者はケトコナゾールおよびミフェプリストンの併用投与を受ける。測定は、患者の肝機能がケトコナゾールおよび減少させた用量のミフェプリストンの併用投与によって有意に損なわれないことを示す。
【0350】
本明細書中で特定した全ての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
図1
図2
図3