(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20240708BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240708BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20240708BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B41J2/447 101Z
B41J29/00 D
B41J2/45
G03G21/16 161
(21)【出願番号】P 2023093119
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2019086822の分割
【原出願日】2019-04-26
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】細井 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩井 斉
(72)【発明者】
【氏名】百家 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】石館 毅洋
(72)【発明者】
【氏名】有賀 泰祐
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-145883(JP,A)
【文献】特開2012-144019(JP,A)
【文献】特開2009-157138(JP,A)
【文献】特開2015-205497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 29/00
B41J 2/45
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像形成を行う画像形成装置であって、
収容された前記記録材を送り出す給紙ローラを有する給紙部と、
回転する複数の感光体と、
前記複数の感光体の回転軸線方向に沿って配列された複数の発光部をそれぞれ有する複数の光プリントヘッドであって、前記複数の感光体のうち異なる一つをそれぞれ露光する複数の光プリントヘッドと、
前記複数の感光体のうち異なる一つにそれぞれトナーを供給して潜像に対応するトナー像を形成する複数の現像部と、
前記複数の感光体のそれぞれに当接し、前記トナー像を担持する中間転写体と、
前記中間転写体が担持する前記トナー像を前記記録材に転写する二次転写部と、
前記記録材を
前記給紙ローラから前記二次転写部へ送る
搬送経路の一部をなすレジストローラ対であって、前記
記録材を前記二次転写部へ送るタイミングを制御するレジストローラ対と、
前記複数の光プリントヘッドの点灯と消灯とを制御する制御信号を出力する制御部と、
前記制御部と第1のケーブルを介して接続され、複数の第2のケーブルのうち異なる一つを介して前記複数の光プリントヘッドのそれぞれと接続され、前記制御部が出力した前記制御信号を前記複数の光プリントヘッドへ伝送する中継基板と、
を備え、
前記複数の光プリントヘッドが配列された配列方向において、前記複数の光プリントヘッドのうち
前記搬送経路から最も遠い前記光プリントヘッドは、前記中継基板と前記搬送
経路との間に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
前記複数の感光体のうち異なる一つと、前記複数の光プリントヘッドのうち異なる一つと、をそれぞれ支持する複数の支持部材と、
前記画像形成装置の前側の側面に設けられ、開状態で前記複数の支持部材のうち少なくとも一つを前記画像形成装置の外部に引き出すことが可能な第1の扉部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中継基板は前記配列方向において前記搬送
経路から最も離れた前記支持部材に固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の前側に設けられ、前記複数の支持部材の一端を支持する前側板と、
前記前側板に対向するように設けられ、前記複数の支持部材の他端を支持する後側板と、
を備え、
前記光プリントヘッドは、前記画像形成装置に装着された状態では、前記前側板及び前記後側板に対して固定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記後側板よりも前記前側板とは反対側に向かう方向に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中継基板は、前記配列方向において前記複数の光プリントヘッドのうち前記搬送
経路から最も遠い前記光プリントヘッドと前記配列方向において前記複数の光プリントヘッドに対して前記搬送
経路の反対側に設けられた側板との間に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、デジタル複写機や、ファクシミリ装置等の電子写真方式の画像形成装置に備えられる、光プリントヘッドによって感光ドラムを露光する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタやデジタル複写機などの電子写真方式の画像形成装置の中には、感光体を露光する手段として、LED露光ヘッドを用いている画像形成装置がある。LED露光ヘッドは、所定数量のLEDを略直線状に並べて、画像幅に対応する感光体の表面を一括して露光する露光装置である。LED露光ヘッドは、回転多面鏡を用いて感光体の表面を露光するレーザスキャナユニットに比べて、必要な筐体の体積が小さく、かつ回転多面鏡を駆動する駆動部も不要なことから、画像形成装置の小型化や低騒音化の面で有利である。
【0003】
LED露光ヘッドを備えた画像形成装置は、LED露光ヘッドを動作させるため、画像形成装置の制御部からフレキシブルフラットケーブルを介して、LED露光ヘッドに制御信号を送信する構成を有している。例えば、特許文献1には、フレキシブルフラットケーブルが接続されたLED露光ヘッドを画像形成装置から取り外す際の作業方法について記載されている。特許文献1に記載された作業方法では、作業者は、最初に、LED露光ヘッドを画像形成装置から装置の手前側に少し引き出す。そして、作業者は、画像形成装置の側面側に移動して、側面方向から装置内部にアクセスして、制御部と接続されているフレキシブルフラットケーブルをLED露光ヘッドから取り外す。作業者は、再度、画像形成装置の手前側に移動して、LED露光ヘッドを画像形成装置の手前側に引き出す。このようにして、作業者はLED露光ヘッドを画像形成装置から取り外すことができる。
【0004】
しかしながら、従来の構成は、例えば市場でフレキシブルフラットケーブルを交換する際、次のような手順が必要となる。すなわち、作業者は画像形成装置の側面方向から内部にアクセスして、LED露光ヘッドからフレキシブルフラットケーブルを取り外した後に、画像形成装置の外部にフレキシブルフラットケーブルを引き出す必要がある。このような手順では、作業が煩雑となる。フレキシブルフラットケーブルの取り外し作業を簡易にするためには、LED露光ヘッド全体を画像形成装置の外部に取り出した後でフレキシブルフラットケーブルを取り外す構成が好ましい。そこで、例えば特許文献2では、フレキシブルフラットケーブルを収容するガイド部材を設け、LED露光ヘッドとフレキシブルフラットケーブルとを一体化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-205497号公報
【文献】特開2017-151413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、制御部の制御基板は、画像形成装置の後側板よりも後方に設けられているため、従来例のようにガイド部材にフレキシブルフラットケーブルの全域を這わせることは難しい。したがって、画像形成装置の外部にLED露光ヘッドを取り出す際、フレキシブルフラットケーブルが画像形成装置の枠体等に擦れるおそれがあり、やはり作業が煩雑となり、作業性が低下する。
【0007】
本発明は、このような状況でなされたもので、光プリントヘッドに接続されたフレキシブルフラットケーブルの交換時の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0009】
(1)記録材に画像形成を行う画像形成装置であって、収容された前記記録材を送り出す給紙ローラを有する給紙部と、回転する複数の感光体と、前記複数の感光体の回転軸線方向に沿って配列された複数の発光部をそれぞれ有する複数の光プリントヘッドであって、前記複数の感光体のうち異なる一つをそれぞれ露光する複数の光プリントヘッドと、前記複数の感光体のうち異なる一つにそれぞれトナーを供給して潜像に対応するトナー像を形成する複数の現像部と、前記複数の感光体のそれぞれに当接し、前記トナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体が担持する前記トナー像を前記記録材に転写する二次転写部と、前記記録材を前記給紙ローラから前記二次転写部へ送る搬送経路の一部をなすレジストローラ対であって、前記記録材を前記二次転写部へ送るタイミングを制御するレジストローラ対と、前記複数の光プリントヘッドの点灯と消灯とを制御する制御信号を出力する制御部と、前記制御部と第1のケーブルを介して接続され、複数の第2のケーブルのうち異なる一つを介して前記複数の光プリントヘッドのそれぞれと接続され、前記制御部が出力した前記制御信号を前記複数の光プリントヘッドへ伝送する中継基板と、を備え、前記複数の光プリントヘッドが配列された配列方向において、前記複数の光プリントヘッドのうち前記搬送経路から最も遠い前記光プリントヘッドは、前記中継基板と前記搬送経路との間に位置する、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光プリントヘッドに接続されたフレキシブルフラットケーブルの交換時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施例1、2の画像形成装置の構成を示す断面図
【
図4】実施例1、2の光プリントヘッドを示す斜視図
【
図5】実施例1、2の光プリントヘッドの構成を示す図
【
図6】実施例1、2の露光ユニット、FFC、トレーを示す斜視図
【
図7】実施例1、2の露光ユニット、FFC、トレーを示す断面図
【
図8】実施例1のトレー、FFC、中継基板の配置を示す底面図
【
図9】実施例1のトレー、トレー連結部材、FFCレール、中継基板ユニットの構成を示す分解斜視図、露光ユニット群200を示す斜視図
【
図10】実施例1の画像形成装置の左後方を示す斜視図、中継基板から本体制御基板までのFFCの配置を示す斜視図
【
図11】実施例1のトレーと中継基板の組み付け状態を示す斜視図
【
図12】実施例1のトレーの底面斜視図、中継基板保持部材の斜視図
【
図13】実施例1の中継基板ユニットの構成を示す分解斜視図
【
図14】実施例1のトレーとトレー連結部材の固定方法を示す図
【
図15】実施例1のトレーとFFCレールを示す分解斜視図
【
図16】実施例1の左側面カバーの開状態時の露光ユニット近傍を示す斜視図
【
図17】実施例1のドラムユニット及び現像ユニットを取り外した状態を示す図
【
図18】実施例1のカートリッジカバーの構成を示す斜視図
【
図19】実施例1の露光ユニット群を画像形成装置手前側に引き出した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するにあたり好ましい実施の形態を、添付の図面を用いて説明する。ただし、本説明に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明を本説明に記載した実施の形態だけに限るものではない。
【実施例1】
【0013】
[画像形成装置の外観]
図1は、実施例1の電子写真方式の画像形成装置1の全体を示す斜視図である。
図1に示す画像形成装置1は、原稿を読み取る読取装置を備えた複合機(MFP:Multi Function Printer)である。画像形成装置1本体の前側(所定の側)には、開閉可能なフロントカバー6が設けられている。第1の扉部であるフロントカバー6は、後述するトレー(702)を画像形成装置1の外に引き出すときに画像形成装置1の前側を開放するためのカバーである。ユーザやサービスマン等の作業者は、カートリッジ交換等のメンテナンス作業を行う場合には、フロントカバー6を開けて作業を行う。
【0014】
なお、
図1に示す両方向の矢印の「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」は、以降の説明で使用する
図1に示す画像形成装置1での方向を示している。「前」は、画像形成装置1のフロントカバー6が装着された側を指し正面ということもある。「後」は、画像形成装置1のフロントカバー6と反対側の背面側を指し背面ということもある。また、「上」は、画像形成装置1の上側を指し、「下」は、画像形成装置1の下側を指している。更に、「右」は、画像形成装置1をフロントカバー6側から見たときの右側を指し、「左」は、画像形成装置1をフロントカバー6側から見たときの左側を指している。
【0015】
[画像形成装置の構成]
次に、画像形成装置1の概略構成について説明する。
図2は、
図1に示した画像形成装置1の構成を示す概略断面図であり、画像形成装置1をフロントカバー6側から見たときの構成を示している。なお、実施例1が適用される画像形成装置1は読取装置を備えた複合機であるが、読取装置を備えていないプリンタであってもよい。また、画像形成装置1は、
図2に示すような複数の感光体である感光ドラムを備える、所謂タンデム方式のカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラムを備え、モノクロ画像を形成する画像形成装置でもよい。
【0016】
図2に示すように、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成する4つの画像形成部102Y、102M、102C、102K(複数の画像形成部)を備えている。各画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、同一の構成を有しており、以下では、特定の画像形成部、又は特定の画像形成部を構成する部材を指す場合を除き、トナーの色を示す符号末尾のY、M、C、Kの記載を省略する。なお、画像形成部102をステーションという場合もある。画像形成部102は、感光ドラム103、感光ドラム103を帯電する帯電器104を備えている。また、各画像形成部102は、感光ドラム103を露光する光を出射する露光光源としてLEDを用いる露光ユニット500を備えている。
図2に示すように、露光ユニット500は、感光ドラム103を下方向から露光する、所謂「下面露光方式」の露光ユニットである。露光ユニット500により露光されることにより、感光ドラム103上に静電潜像(潜像)が形成される。また、画像形成部102は、感光ドラム103上に形成された静電潜像にトナーを付着させることにより現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を形成する現像器106を備えている。
【0017】
画像形成装置1は、各感光ドラム103上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107と、感光ドラム103に対向して設けられ、感光ドラム103上に形成されたトナー像を中間転写ベルト107に転写する1次転写ローラ108を備えている。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送された記録材Sに転写する2次転写ローラ109と、記録材Sに転写されたトナー像を記録材Sに定着させる定着器100を備えている。
【0018】
中間転写ベルト107に転写された後の感光ドラム103の表面に残留したトナーは、ドラムクリーニング装置8によって除去され、除去されたトナーは回収トナー容器5に蓄積される。また、記録材Sに転写された後の中間転写ベルト107の表面に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置7によって除去され、除去されたトナーは回収トナー容器5に蓄積される。
【0019】
[画像形成プロセスの概要]
続いて、画像形成装置1における画像形成プロセスについて説明する。画像形成装置1において、画像形成が行われる場合には、まず、帯電器104により、感光ドラム103の表面が一様な電位に帯電される。そして、露光ユニット500が、画像データに応じて感光ドラム103の表面を露光することにより、感光ドラム103上には静電潜像が形成される。そして、感光ドラム103上の静電潜像は、現像器106によりトナーが付着されることによりトナー像が形成される。各画像形成部102の感光ドラム103上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ108によって中間転写ベルト107上に順次、重畳転写され、カラーのトナー像となる。
【0020】
記録材Sは、給紙部101内に積載されており、画像形成タイミングに合わせて搬送路20へと給送される。記録材Sの給送方法は、まず給紙ローラ80により記録材Sの先端が跳ね上げられ、記録材Sの二重送りを防止するための用紙分離用搬送ローラ対9により、1枚の記録材Sが搬送路20へ搬送される。その後、搬送ローラ対10で引き抜かれた記録材Sは、搬送路20を通り、レジストレーションローラ対(以下、レジストローラ対という)11まで搬送され、一旦停止される。そして、レジストローラ対11では、記録材Sの斜行補正やタイミング補正が行われた後、記録材Sは2次転写部T2へと搬送される。
【0021】
中間転写ベルト107上に重畳転写されたカラーのトナー像は、中間転写ベルト107と2次転写ローラ109により記録材Sが挟持される2次転写部T2まで搬送される。2次転写ローラ109に転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト107上のトナー像は、給紙部101から搬送されてきた記録材Sに転写される。2次転写部T2にてトナー像が転写された記録材Sは、定着器100に搬送され、定着器100は、記録材S上の未定着のトナー像を加熱、加圧することにより、記録材Sにトナー像を定着させる。そして、定着器100によってトナー像の定着処理がなされた記録材Sは、排出部111に排出される。
【0022】
また、
図2に示すように、画像形成装置1は、各画像形成部102に対応して設けられたトナー容器4を備えている。画像形成を行うことにより、後述する現像ユニット641内のトナー量が減少すると、各画像形成部102に対応するトナー容器4からパイプ(不図示)を介して、各現像ユニット641に供給される。すなわち、実施例1の画像形成装置1が備える現像ユニット641では、トナー容器4から新たなトナーが補給されるとともに、過剰となったトナーの一部は残留トナーとして回収トナー容器5へ搬送される。
【0023】
[ドラムユニット及び現像ユニット]
図2に示す画像形成装置1の各画像形成部102には、交換可能なユニットであるドラムユニット518が取り付けられている。ドラムユニット518は、ドラムユニット518の枠体に対して回転可能に支持された感光ドラム103を備えている。ドラムユニット518は、ユーザやサービスマン等の作業者によって交換されるカートリッジである。
【0024】
また、画像形成装置1の各画像形成部102には、ドラムユニット518とは別体の、交換可能なユニットである現像ユニット641が取り付けられている。現像ユニット641は、
図2に示す現像器106とトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。現像器106は、トナー(現像剤)を担持する現像剤担持体である現像スリーブを備えている。現像ユニット641には、トナーとキャリアとを攪拌するスクリューを回転させるためのギアが複数設けられており、これらのギアが経年劣化等した際には、サービスマンが現像ユニット641を画像形成装置1の本体から取り外して交換する。また、現像ユニット641からは、一定量のトナーが残留トナーとして除去され、除去されたトナーは回収トナー容器5へと搬送される。なお、上述したドラムユニット518及び現像ユニット641は、ドラムユニット518と現像ユニット641とが一体化されたプロセスカートリッジでもよい。
【0025】
[前側板及び後側板]
図3は、画像形成装置1が備える前側板642及び後側板643を説明する要部の斜視図である。画像形成装置1は、板金で形成される前側板642と、板金で形成される後側板643とを備える。前側板642は画像形成装置1の前側に設けられた側壁である。後側板643は画像形成装置1の後側に設けられた側壁である。
図3に示すように、前側板642と後側板643とは対面して配置され、両者の間には梁としての板金(不図示)が橋架されている。前側板642と後側板643と梁(不図示)とはそれぞれ画像形成装置1の枠体の一部を構成する。前側板642及び後側板643は、ドラムユニット518、現像ユニット641及び露光ユニット500を支持する。すなわち、前側板642及び後側板643は、感光ドラム103及び光プリントヘッド105を支持している。光プリントヘッド105は、画像形成装置1に装着された状態では、前側板642及び後側板643に対して固定されている。なお、画像形成装置1を制御する制御部(後述する本体制御基板)は、画像形成装置1の後側板643よりも更に後方、すなわち後側板643と背面(後述する後上カバー)との間に配置されている。
【0026】
画像形成装置1の前側からドラムユニット518、現像ユニット641及び露光ユニット500を挿抜できるように、前側板642には開口6425が形成されている。ドラムユニット518、現像ユニット641及び露光ユニット500は、開口6425を介して画像形成装置1本体の所定の位置に装着される。カートリッジカバー558は、各色のカートリッジに対応してそれぞれ設けられている。カートリッジカバー558は、装着位置に装着されたドラムユニット518、現像ユニット641及び露光ユニット500の前側を覆うカバーである。カートリッジカバー558は、一端がヒンジ(不図示)によって画像形成装置1本体に固定されており、ヒンジによって画像形成装置1本体に対して回動可能となっている。
図3では、全てのカートリッジカバー558が開状態となり、ドラムユニット518、現像ユニット641及び露光ユニット500にアクセス可能となっている様子を示す。
【0027】
[光プリントヘッドの構成]
次に、露光ユニット500が備える光プリントヘッド105について、
図4、
図5を用いて説明する。
図4は光プリントヘッド105を示す図である。
図5は、実施例1の画像形成装置1が備える光プリントヘッド105の概略構成を示す図である。電子写真方式の画像形成装置で用いられる露光方式の中には、半導体レーザから出射されたビーム光を回転多面鏡などで偏向し、f-θレンズ等を介して感光ドラムに照射して露光するレーザビーム走査露光方式がある。実施例1で説明する「光プリントヘッド105」は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って配列されたLED等の発光素子を用いて、感光ドラム103を露光するLED露光方式を用いており、上述したレーザビーム走査露光方式とは異なる露光方式である。
【0028】
上述したように、実施例1の露光ユニット500は、感光ドラム103を下方向から露光する露光ユニットである。そのため、光プリントヘッド105は、感光ドラム103の回転軸線よりも上下方向における下側に設けられており、光プリントヘッド105が有するLED503は感光ドラム103の表面を下方向から露光する。
図4に示すように、光プリントヘッド105は、レンズアレイ506と、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、を有している。また、光プリントヘッド105は、LED503が実装された基板502(
図5参照)を保持する保持体505と、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCとする)コネクタ504と、を有している。
【0029】
次に、保持体505に保持される基板502について説明する。
図5(a)は、基板502の形状を示す概略斜視図である。
図5(b1)は基板502上に複数個設けられたLEDチップ639の配列を示す。
図5(b2)は
図5(b1)の拡大図である。基板502には、複数のLED503を有するLEDチップ639が実装されている。
図5(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が実装され、他方の面(LED503が並べられている側とは反対側の面)には長尺のFFCコネクタ504が設けられている。FFCコネクタ504は、その長手方向が基板502の長手方向に沿うように、基板502の下側の面に取り付けられている。基板502には、FFCコネクタ504から各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。また、FFCコネクタ504には、ケーブルの一例としてのFFCの一端が接続されている。
【0030】
画像形成装置1本体には、画像形成装置1を制御する制御部とコネクタとを有する基板を備えている。FFCの他端は、制御部の基板に設けられたコネクタと接続され、FFCは制御部と基板502との間を電気的に接続している。基板502には、画像形成装置1本体の制御部から出力された制御信号(駆動信号)が、FFC及びFFCコネクタ504を介して入力される。そして、基板502に実装されたLEDチップ639は、入力された制御信号によって駆動される。なお、実施例1の画像形成装置1は、制御部と基板502との間に配置された中継基板と2つのFFCとを備える構成であり、詳細は後述する。
【0031】
基板502に実装されたLEDチップ639について更に詳しく説明する。
図5(b1)、(b2)に示すように、基板502の一方の面には、複数のLED503を有する例えば29個のLEDチップ639-1~639-29が配置されている。各LEDチップ639の内部では、長手方向に516個のLED503が一列に配列されている。LEDチップ639内部の長手方向において、隣り合うLED503の中心間距離k2は、画像形成装置1の解像度に対応している。実施例1の画像形成装置1の解像度は例えば1200dpiであり、各LEDチップ639内部の長手方向において、隣接するLED503との中心間距離k2が21.16μmとなるように、LED503は配置されている。その結果、実施例1の光プリントヘッド105の露光範囲は約316mm(≒21.16μm×516個×29個)となる。一方、光プリントヘッド105により露光される感光ドラム103表面の感光層は316mm以上の幅で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さ及びA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、実施例1の光プリントヘッド105は、A4サイズの記録紙及びA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
【0032】
LEDチップ639-1~639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、
図5(b1)に示すように、図中、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装されている。また、図中、左側から数えて偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28も基板502の長手方向に一列に実装されている。すなわち、奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29と偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28とは、長手方向に直交する方向において所定の間隔で配置されている。このように配置することで、LEDチップ639の長手方向において、互いに隣り合うLEDチップ639の端部に配置されたLED503の中心間距離k2と、LEDチップ639内の隣り合うLED503の中心間距離k1とを等しくすることができる。なお、実施例1では、光源にLED503を用いる構成を示しているが、LEDに限定されるものではなく、例えば光源として有機EL(Organic Electro Luminescence)を用いてもよい。
【0033】
次に、レンズアレイ506について説明する。
図5(c1)は、光プリントヘッド105に実装されたレンズアレイ506を感光ドラム103側から見たときの構成を示す模式図である。また、
図5(c2)は、レンズアレイ506の概略形状を示す斜視図(模式図)である。
図5(c1)に示すように、レンズアレイ506内の各レンズは、対応するLEDチップ639内のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。レンズアレイ506内の各レンズは、同じ列の隣り合うレンズに接するように、更に、他方の列のレンズの一つとも接するように、交互に配置されている。実施例1では、レンズアレイ506内の各レンズは円柱状の硝子製のロッドレンズであるが、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でもよいし、レンズの形状についても円柱状に限定されるものではなく、例えば六角柱等の多角柱でもよい。
【0034】
また、
図5(c2)に示す点線Zは、レンズアレイ506のレンズの光軸を示している。光プリントヘッド105は、移動機構(不図示)によって点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向(上下方向)に移動可能である。ここでいう「レンズの光軸」とは、レンズの光出射面の中心とレンズの焦点とを結ぶ線を意味する。LED503から出射されたビーム光は、レンズアレイ506が有するレンズに入射する。レンズアレイ506のレンズは、入射したビーム光を感光ドラム103の表面上に集光させる機能を有している。そのため、レンズアレイ506は、次のような位置となるように、光プリントヘッド105の組立て時において、レンズ取付部701(
図4参照)に対する取付位置が調整される。すなわち、レンズアレイ506の取付位置は、LEDチップ639のLED503の発光面とレンズアレイ506のレンズの光入射面との距離と、レンズアレイ506のレンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離と、が略等しくなるように調整される。
【0035】
[光プリントヘッドの着脱構成]
次に光プリントヘッド105の感光ドラム103に対する着脱機構について説明する。光プリントヘッド105は、画像形成装置1の前側から画像形成装置1の外に引き出すことが可能である。前述した通り、光プリントヘッド105は感光ドラム103に近接して配置され、感光ドラム103を露光する機能を有する。光プリントヘッド105が感光ドラム103に近接して配置され感光ドラム103に静電潜像を形成することができる状態に配置されている位置を、以下、露光位置という。また、光プリントヘッド105を画像形成装置1の外部に取り出すことができる状態となっている位置を、以下、退避位置という。画像形成装置1のメンテナンス等のためにドラムユニット518を画像形成装置1本体から取り出す際、光プリントヘッド105が露光位置の場所に留まっていると、次のような課題が生じる。すなわち、ドラムユニット518を取り外す際に光プリントヘッド105が取り出し動作を妨げるおそれがある。このため、実施例1の光プリントヘッド105は、露光時には近接された場所(露光位置)にあるが、画像形成装置1のメンテナンス時には退避位置に移動するように、着脱機能を有している。
【0036】
[光プリントヘッドと中継基板とのFFCによる接続]
次に光プリントヘッド105のFFCコネクタ504と画像形成装置1の制御部とを中継基板211を介して接続するFFC160、FFC161の経路について説明する。まず、光プリントヘッド105と中継基板211とを第2のケーブルであるFFC160によって接続する構成について説明する。中継基板211は、制御部から出力された制御信号を光プリントヘッド105に伝送するための基板である。中継基板211は、後述するトレー702に固定されている。
図6(a)は露光ユニット500に対するFFC160の接続と配置を示す斜視図である。
図6(b)は露光ユニット500及びトレー702に対する配置を示す斜視図である。
図7は露光ユニット500及びトレー702に対する配置を示す断面図である。
図8はトレー702に対するFFC160、中継基板211の配置を示す底面図である。なお、
図6、
図7は説明の都合上、ブラック(K)のステーションのみを表している。
【0037】
(トレー)
ここで、トレー702について説明する。支持部材であるトレー702は、光プリントヘッド105を画像形成装置1の外に引き出すときに光プリントヘッド105を支持する。トレー702は、4つの画像形成部102に対応してそれぞれ設けられており、4つのトレー702が連結され一体となっている。なお、トレー702は、画像形成装置1の内部に装着され、引き出し動作が行われないときには、前側板642及び後側板643に固定されている。
【0038】
トレー702は、前側板642、後側板643(
図3参照)に対して位置決めが成されている。トレー702は、露光ユニット500、ドラムユニット518、現像ユニット641を画像形成装置1に対して挿抜する際のガイドの役割を果たす。なお、トレー702は、光プリントヘッド105が画像形成装置1に装着された状態(露光位置にある状態)では、光プリントヘッド105を支持していない。一方、光プリントヘッド105が退避位置に移動すると、トレー702は光プリントヘッド105を支持する。
【0039】
(中継基板)
実施例1では、中継基板211は、
図8に示すようにイエローの画像形成部102に対応するトレー702に固定され、更に、前後方向においては背面側に固定されている。FFC160は、
図6に示すように一端がFFCコネクタ504に接続され、光プリントヘッド105の直下に配置される。FFCガイド713は、
図7に示すようにコの字フレーム526に装着される。FFC160は、FFCガイド713の内部で、コの字フレーム526の前後方向に沿うように折り曲げられる。具体的には、FFC160は、まずコの字フレーム526に沿い、かつ、後方向に向かうように折り曲げられる。FFC160は、所定の距離だけ後方向に向かうと、撓み領域Cにループが形成されることで向きを変え、今度はコの字フレーム526の前方向に向かうように配線される。また、
図6に示すように、FFCガイド713には光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に移行したときに、FFC160の下方向への移動を規制するためのFFCカバー714が設けられている。
図7に示すように、コの字フレーム526の前方向に向かうように配線されたFFC160は、FFCガイド713を通過し、トレー702に設けられるFFC開口715を通る。これにより、FFC160は、トレー702の内部から下方に出る。
【0040】
ここで、トレー702、FFC160、中継基板211が一体化されたユニットを、露光ユニット群200とする。
図9(a)は、下側から見た露光ユニット群200の構成を示す分解斜視図である。また、
図9(b)は露光ユニット群200の斜視図である。トレー702の下部には、Yステーション、Mステーション、Cステーション、Kステーションに跨るようにFFCレール716が配置される。FFC開口715を通過したFFC160は、FFCレール716に這わされる。これにより、FFC160は、Kステーションのトレー702KからYステーションのトレー702Kまでの下部を通り、その後Yステーションのトレー702Yに沿って画像形成装置1の後方向に向かう。KステーションのFFCコネクタ504Kに一端が接続されたFFC160は、Yステーションと画像形成装置1の左側壁部との間に配置された中継基板211(
図8参照)のコネクタ212に他端が接続される。コネクタ213、214、215にはそれぞれ、Cステーション、Mステーション、YステーションのFFC160C、160M、160Yが接続される。ここまでが、光プリントヘッド105から中継基板211までのFFC160の配線経路である(
図8参照)。なお、
図8のコネクタ216及びFFC161については後述する。また、
図9(a)のトレー連結部材230及び中継基板ユニット210については後述する。
【0041】
[中継基板と制御部とのFFCによる接続]
続いて、中継基板211から画像形成装置1の制御部までの第1のケーブルであるFFC161の配線経路について説明する。
図10(a)は画像形成装置1の左側面及び背面を示す図であり、左側面に設けられた左側カバー1001、左側面の後部に設けられた左後カバー1002、背面の上部に設けられた後上カバー1003を示す。第2の扉部である左側カバー1001は、中継基板211及びFFC161にアクセスするために搬送路20が設けられた側とは反対側を開放するためのカバーである。なお、左側カバー1001は、フロントカバー6と同様に下部の軸を中心に回動し上部を作業者の手前側(図中左側)に引き下ろすことで開状態となる。一方、左後カバー1002及び後上カバー1003は、画像形成装置1から取り外すことができるカバーである。
【0042】
図10(b)は、画像形成装置1の左側カバー1001を開状態とし、左後カバー1002及び後上カバー1003を取り外した状態を示す図である。画像形成装置1の制御部は、画像形成装置1の後側(背面側)に配置された本体制御基板170に実装されている。FFC161は、一端が中継基板211上のコネクタ216に接続される。FFC161はコネクタ216から画像形成装置1の後方向に向かい、部分161aで左側壁部に沿うように折り曲げられ上方に向かう。FFC161は、その後、部分161bで更に折り曲げられて左方向に向かい、後上方向に設けられた本体制御基板170のコネクタ171に接続される。ここで、画像形成装置1には、FFC161の両端が未接続状態となっても画像形成装置1の内部に落下したりしないように、FFC161をガイドするガイド部650が設けられている。FFC161は、部分161aから部分161bまでガイド部650にガイドされている。
【0043】
[トレー、FFC、中継基板を一体化したユニット]
上述した
図9(a)に示すように、露光ユニット群200は、4つのステーションに対応した4つのトレー702、4本のFFC160、FFCレール716、中継基板ユニット210、トレー連結部材230から構成されている。露光ユニット群200は、すべてトレー702の下側(底面側)に配置されている。
【0044】
図11は中継基板ユニット210と中継基板保持部材220を示す斜視図である。
図12(a)はYステーションのトレー702Yを示す斜視図である。
図12(b)は中継基板保持部材220を示す斜視図である。中継基板ユニット210は、中継基板保持部材220がYステーションのトレー702Yに係合することで支持される。具体的には、トレー702Yの爪7021、7022が、中継基板保持部材220の角穴221、222に嵌ることで、中継基板ユニット210がYステーションのトレー702Yに支持される。
【0045】
図13は、中継基板211と中継基板保持部材220を有する中継基板ユニット210の分解斜視図である。中継基板211は、中継基板保持部材220に対してビス217、218で固定されている。また、後述する交換作業時に、画像形成装置1の他の部品に接触しにくくするよう、シート240を設けて中継基板211を保護している。なお、シート240は中継基板保持部材220にビス219で固定されている。
【0046】
(トレー連結部材)
図14(a)は、トレー連結部材230の前側の構成を示す斜視図である。トレー連結部材230は、前後方向のそれぞれにおいてトレー702に対して位置決めと固定が行われる。具体的には、前側連結部2301に設けられた孔2302と、トレー702のボス7023とが嵌め合うことで位置が決まる。また、前側連結部2301に設けられた孔2303及びトレー702の孔7024に、ビス2310が挿入されることで締結固定される。
【0047】
図14(b)は、トレー連結部材230の後側の構成を示す斜視図である。トレー連結部材230の後側も前側同様、後側連結部2304に設けられた孔2305とトレー702のボス7025とが嵌め合うことで位置が決まる。また、後側連結部2304に設けられた孔2306とトレー702の孔7026に、ビス2311が挿入されることで締結固定される。
【0048】
(FFCレール)
図15は、FFCレール716の構成を示す斜視図である。FFCレール716とトレー702の位置決めと固定は、FFCレール716に設けられた孔7161とトレー702のボス7027が嵌め合うことで位置が決まる。また、FFCレール716に設けられた孔7162とトレー702の孔7028に、ビス7163が挿入されることで締結固定される。
【0049】
[FFC161交換の手順]
中継基板211と本体制御基板170とを接続しているFFC161の交換手順について説明する。
【0050】
<手順1>
図10(a)で説明したように、作業者は、画像形成装置1の左側面に設けられた左側カバー1001を開状態にする。
【0051】
<手順2>
図16(a)は画像形成装置1の左側カバー1001を開けた状態を示す図であり、画像形成装置1の内部が見えた状態を示す。左側カバー1001を開けると、画像形成装置1の前側板642が露出する。左側カバー1001が開放されると、中継基板211のコネクタ216が露出するため、中継基板211のコネクタ216に接続されているFFC161を外すことができる。作業者はFFC161をコネクタ216から外す。
【0052】
<手順3>
作業者は、
図10(a)で説明した左後カバー1002及び後上カバー1003を外す。左後カバー1002が外されると、
図10(b)で説明したように、FFC161が中継基板211から本体制御基板170に向かって下から上に配線された部分が露出する。後上カバー1003が外されると、
図10(b)で説明したように、本体制御基板170及びコネクタ171が露出する。
【0053】
<手順4>
手順3において本体制御基板170のコネクタ171が露出するため、作業者は、本体制御基板170のコネクタ171に接続されているFFC161をコネクタ171から外す。なお、手順2でFFC161の一端はコネクタ216から外され、手順4でFFC161の他端はコネクタ171から外されるため、手順4が終了した段階では、FFC161は両端とも未接続状態となっている。しかし、
図10(b)で説明したように、FFC161は、ガイド部650によってガイドされているため、両端が未接続状態となっても画像形成装置1内に落下することはない。
【0054】
<手順5>
作業者は、FFC161をガイド部650から外して画像形成装置1外に取り出す。FFC161は両端とも未接続状態となっているため、FFC161をガイド部650から取り外すことができる。また、手順5においては、トレー702等は画像形成装置1内に装着されたままの状態である。
【0055】
上述したように、中継基板211は、Yステーションと画像形成装置1の左側壁との間に配置されている(
図16(a)等参照)。このため、左側カバー1001が開状態となると、左側面から見て手前側に中継基板211とFFC161とが露出する。すなわち、従来のように、フロントカバー6を開状態として画像形成装置1の内部にアクセスしてFFC161を光プリントヘッド105のFFCコネクタ504から外し、画像形成装置1外へ引き出す作業が不要になる。このため、実施例1ではFFC161の交換作業性が向上する。実施例1では、左側カバー1001を最初に外したが、左後カバー1002及び後上カバー1003を最初に外してもよい。例えば、手順3→手順4→手順1→手順2→手順5という順番で作業してもよい。
【0056】
[露光ユニット群200交換の手順]
次に、露光ユニット群200の交換作業の手順について説明する。
【0057】
<手順1>
図10(a)で説明したように、作業者は、画像形成装置1の左側面に設けられた左側カバー1001を開状態にする。これにより、
図16(a)で説明したように、中継基板211のコネクタ216及びFFC161が露出する。
【0058】
<手順2>
作業者は、
図16(a)で説明したように、中継基板211上のコネクタ216に接続されているFFC161を、コネクタ216から外す。
【0059】
<手順3>
作業者は、フロントカバー6及びカートリッジカバー558を開状態にして、露光ユニット群200を画像形成装置1から取り出すことができる状態にする。ここで、露光ユニット500は退避位置に移動し、トレー702は露光ユニット500(光プリントヘッド105)を支持する。ここで
図16(b)は、画像形成装置1の左側から見た図であり、フロントカバー6及び左側カバー1001が開放された状態(開状態)を示す。左側カバー1001を開状態とすると、FFC161及び露光ユニット群200の左側が露出する。メンテナンスを行う作業者は、フロントカバー6を開状態とし、更にすべてのカートリッジカバー558を開状態として、画像形成装置1内のドラムユニット518又は現像ユニット641を取り出す。
【0060】
<手順4>
作業者は、画像形成装置1の前側から、ドラムユニット518及び現像ユニット641を取り外す。これにより、ドラムユニット518及び現像ユニット641の下に配置されている露光ユニット群200にアクセスすることが可能となる。
【0061】
<手順5>
図17は、手順4の途中までの作業が行われた状態を示す斜視図であり、ブラックのステーションのカートリッジカバー558Kが開状態となっている状態を示している。また、ブラックのドラムユニット518K及び現像ユニット641Kが取り外され、露光ユニット500Kが露出している状態を示す。
図17では見やすさのため、ブラックのカートリッジカバー558Kを不図示としている。作業者は、固定用ビス710を外す。固定用ビス710は、トレー702(ここでは、ブラック用)と露光ユニット500(ここでは、ブラック用)を共に、前側板642に締結するためのビスである。
【0062】
(カートリッジカバー)
図18(a)は、カートリッジカバー558が開状態となっている様子を示す図である。カートリッジカバー558は右側回転軸559及び左側回転軸560が、トレー702に設けられた右側軸受711及び左側軸受712にそれぞれ嵌合している。右側軸受711及び左側軸受712は同軸上に配置されているため、カートリッジカバー558は右側回転軸559及び左側回転軸560の軸中心周りに回転可能である。
【0063】
カートリッジカバー558には右側から左側に向けて円筒状のスライド加圧軸561が突出している。
図18(b)は、カートリッジカバー558と露光ユニット500とを示す斜視図である。スライド加圧軸561は露光ユニット500のスライド移動カム部材539の下部に設けられた軸収納スペース562に収まっている。露光ユニット群200を取り外すときには、前側板642に固定された固定用ビス710を取り外す。このとき、カートリッジカバー558のスライド加圧軸561と露光ユニット500のスライド移動カム部材539との係合が無くなるため、光プリントヘッド105は退避状態となる。これにより、露光ユニット群200を引き出すことが可能となる。
【0064】
<手順6>
手順5により、トレー702及び露光ユニット500と前側板642との締結が解除されたため、露光ユニット群200を画像形成装置1から引き出すことが可能となる。作業者は、露光ユニット群200を画像形成装置1の前側(手前側)に引き出し、画像形成装置1外部に取り出す。
図19は、露光ユニット群200を画像形成装置1の前方向に引き出した状態を示す斜視図である。上述したように、4つのステーションがトレー連結部材230(
図9(a))により固定されているため、4つのステーションが一体化されて前方向へ引き出される。このとき、FFC160はFFCレール716や中継基板211に沿って配線されているため、露光ユニット群200の内側に収まっている(
図8、
図9(b)参照)。これにより、FFC160が画像形成装置1の枠体等に擦れたり、挟まったりすることを無くしている。露光ユニット群200が前側板642から完全に引き出されると、露光ユニット群200は画像形成装置1の他の部品の影響を受けることなく、FFC160や光プリントヘッド105の交換作業が可能になる。
【0065】
実施例1では、中継基板211は、4つの画像形成部102の中で搬送路20が設けられた側から最も離れた画像形成部であるイエローの画像形成部102Yに対応するトレー702Yに固定されている。中継基板211の配置に関しては、上述した配置に限定されるものではない。例えば、給紙ローラ80から2次転写部T2までの搬送路が画像形成装置1の左側にある場合は、画像形成装置1の右側壁と、右側壁に隣接するステーションとの間に配置すれば良い。つまり、給紙ローラ80から2次転写部T2までの搬送路から、画像形成装置1の水平方向に最も離れたステーションと、そのステーションと隣接する側壁との間に中継基板を配置すればよい。このように、中継基板211は、画像形成装置1の特徴に合わせて様々な配置を取ることが可能である。また、中継基板211の画像形成装置1の前後方向の配置に関しては、実施例1のように前側板642と後側板643との間の、後側板643側に配置されていることが望ましいが、前側板642と後側板643との間であればどこでも良い。
【0066】
以上、実施例1によれば、光プリントヘッドに接続されたフレキシブルフラットケーブルの交換時の作業性を向上させることができる。
【実施例2】
【0067】
実施例2では、中継基板211のコネクタ216が設けられている位置が実施例1と異なる。実施例1と同一箇所には同一の符号を付し説明は省略する。
図20は、孔6421の所定位置における水平断面図である。実施例2では、中継基板211上のコネクタ216を、実施例1が左側面の後側に配置していたのに対して、左側面の前側に配置すると共に、前側板642の左側に孔6421を設けている。このように、実施例2では、中継基板211は、イエローの画像形成部102Yに対応するトレー702Yに固定され、更に、前後方向においては正面側に固定されている。孔6421は作業者の手を挿入することができる程度の大きさである。これにより、作業者は、孔6421から手を挿入して、FFC161を中継基板211上のコネクタ216から外すことが可能となる。
図20に示すように、中継基板211のコネクタ216が、実施例2では前側、すなわちフロントカバー6側に配置されている。また、孔6421は、左側面側に設けられ、作業者が
図20の左側から右側に向かって手を挿入し、コネクタ216からFFC161を取り外したり、コネクタ216にFFC161を接続したりすることができる。
【0068】
[露光ユニット群200交換の手順]
実施例2の作業手順について説明する。
【0069】
<手順1>
作業者は、画像形成装置1の正面に配置されたフロントカバー6を開状態とし、更にすべてのカートリッジカバー558を開状態とする。露光ユニット500は退避位置に移動し、トレー702は露光ユニット500を支持する。
【0070】
<手順2>
作業者は、ドラムユニット518及び現像ユニット641を取り外す。
【0071】
<手順3>
作業者は、左側カバー1001を外し、孔6421に手を挿入して、中継基板211上のコネクタ216に接続されたFFC161を、コネクタ216から外す。
図21は画像形成装置1の左側面を示す図であり、左側カバー1001が外され、中継基板211、コネクタ216、FFC161、孔6421が露出した状態を示す。
【0072】
<手順4>
作業者は、固定用ビス710を外し、トレー702及び露光ユニット500と前側板642との締結を解除する。
【0073】
<手順5>
作業者は、露光ユニット群200を画像形成装置1の前側(手前側)に引き出し、画像形成装置1の外部に取り出す。
【0074】
上述したように、実施例2では、露光ユニット群200の引き出し手順が5つとなり、実施例1で説明した手順よりも1つ手順を削減させることが可能となる。中継基板211の画像形成装置1の前後方向の配置に関しては、コネクタ216が前側板642と後側板643との間の前側板642側にあることが望ましい。しかし、孔6421から作業者が手や工具等の作業手段を挿入して、コネクタ216にアクセス可能な場所であれば、前側板642と後側板643の間のどこでも良い。
【0075】
以上、実施例2によれば、光プリントヘッドに接続されたフレキシブルフラットケーブルの交換時の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0076】
103 感光ドラム
105 光プリントヘッド
160 フレキシブルフラットケーブル
161 フレキシブルフラットケーブル
170 本体制御基板
211 中継基板
702 トレー