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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20240708BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20240708BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
G02B26/08 E
H02K33/16 B
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023501983
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007501
(87)【国際公開番号】W WO2022180822
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 新吾
(72)【発明者】
【氏名】大島 清朗
(72)【発明者】
【氏名】矢部 友崇
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特許第5720673(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0063997(KR,A)
【文献】特許第6014234(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08
H02K 33/16
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石が設けられ、基準面に対し、第1の軸と前記第1の軸に非平行な第2の軸とを揺動軸として揺動可能なミラーと、
前記ミラーを、前記第1の軸に対して揺動させる第1の電磁石と、
前記ミラーを、前記第2の軸に対して揺動させる第2の電磁石とを備え、
(A)前記基準面に垂直な方向から見て、前記第1の電磁石は前記第1の軸に対して線対称ではない、および(B)前記基準面に垂直な方向から見て、前記第2の電磁石は前記第2の軸に対して線対称ではない、の少なくともいずれかが成り立つ
アクチュエーター。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエーターにおいて、
前記第1の電磁石および前記第2の電磁石はそれぞれコイルとヨークとを有し、
前記第1の電磁石のヨークの両端は、前記基準面に垂直な方向から見て、前記永久磁石の少なくとも一部を挟んで互いに対向し、
前記第2の電磁石のヨークは、前記基準面に平行な方向から見て、前記第2の電磁石のコイルを基準に、前記基準面側に位置する第1端部と、前記基準面側とは反対側に位置する第2端部とを有する
アクチュエーター。
【請求項3】
請求項2に記載のアクチュエーターにおいて、
前記第2の電磁石は前記ミラーを共振周波数で揺動するよう駆動する
アクチュエーター。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアクチュエーターにおいて、
前記基準面に垂直な方向から見て、前記第1端部の中心と前記ミラーの中心とが重ならない
アクチュエーター。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載のアクチュエーターにおいて、
前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方には、前記基準面に垂直な方向から見て前記永久磁石側に突き出た突出部が設けられている
アクチュエーター。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載のアクチュエーターにおいて、
前記第2の電磁石においてコイルが巻かれている部分のヨークの断面は長方形である
アクチュエーター。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか一項に記載のアクチュエーターにおいて、
前記第2の電磁石において、コイルは重ね巻きされている
アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエーターに関する。
【背景技術】
【0002】
光で所定の領域を走査して測定する測定装置等では、光の出射方向を可変とするために可動ミラーが用いられる。
【0003】
特許文献1には、ミラーに固定された永久磁石と、電磁石とを相互作用させて、ミラーに駆動トルクを生じさせる光走査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-69676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミラーを駆動するアクチュエーターの小型化が、それを含む測定装置等の全体の小型化のために重要である。一方、ミラーを二軸に対して駆動しようとすると、二組の電磁石が必要となり、アクチュエーターが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、ミラーを二軸駆動するアクチュエーターを小型化することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
永久磁石が設けられ、基準面に対し、第1の軸と前記第1の軸に非平行な第2の軸とを揺動軸として揺動可能なミラーと、
前記ミラーを、前記第1の軸に対して揺動させる第1の電磁石と、
前記ミラーを、前記第2の軸に対して揺動させる第2の電磁石とを備え、
(A)前記基準面に垂直な方向から見て、前記第1の電磁石は前記第1の軸に対して線対称ではない、および(B)前記基準面に垂直な方向から見て、前記第2の電磁石は前記第2の軸に対して線対称ではない、の少なくともいずれかが成り立つ
アクチュエーターである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るアクチュエーターの構成を例示する図である。
図2】第1の実施形態に係るアクチュエーターの構成を例示する図である。
図3】ミラー、外側フレーム、および内側フレームを含む構造体を例示する平面図である。
図4】第1の電磁石および第2の電磁石の構造を例示する斜視図である。
図5】電磁石の配置の比較例を示す図である。
図6】電磁石の配置の比較例を示す図である。
図7】第2の電磁石のヨークの断面形状の変形例を示す図である。
図8】コイルの巻き方の変形例を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状を例示する図である。
図10】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図12】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図13】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図14】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図15】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図16】第2の実施形態に係る第2の電磁石の形状の変形例を示す図である。
図17】第3の実施形態に係るアクチュエーターの構成を例示する図である。
図18】第4の実施形態に係る第1の電磁石の構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1および図2は、第1の実施形態に係るアクチュエーター10の構成を例示する図である。図1はアクチュエーター10の平面図であり、図2は、アクチュエーター10の側面図である。各図には互いに直交する3軸としてx軸、y軸、およびz軸をあわせて示している。本実施形態において、x軸は第1の軸201に平行であり、y軸は第2の軸202に平行である。また、図3は、ミラー20、外側フレーム50、および内側フレーム60を含む構造体12を例示する平面図である。図4は、第1の電磁石30および第2の電磁石40の構造を例示する斜視図である。
【0011】
本実施形態に係るアクチュエーター10は、ミラー20、第1の電磁石30、および第2の電磁石40を備える。ミラー20には、永久磁石21が設けられている。ミラー20は、基準面101に対し、第1の軸201と第2の軸202とを揺動軸として揺動可能である。第1の軸201と第2の軸202とは非平行である。第1の電磁石30は、ミラー20を、第1の軸201に対して揺動させる。第2の電磁石40は、ミラー20を、第2の軸202に対して揺動させる。そして、アクチュエーター10において、以下の(A)および(B)の少なくともいずれかが成り立つ。
(A)基準面101に垂直な方向(z軸方向)から見て、第1の電磁石30は第1の軸201に対して線対称ではない。
(B)基準面101に垂直な方向から見て、第2の電磁石40は第2の軸202に対して線対称ではない。
以下に詳しく説明する。
【0012】
ミラー20は、反射面22を有し、反射面22とは反対側の面の中心には永久磁石21が固定されている。永久磁石21の一方の極である第1の極211がミラー20側に向き、他方の極である第2の極212がミラー20とは反対側、すなわち、第1の電磁石30および第2の電磁石40が設けられている側に向いている。基準面101は、アクチュエーター10に設けられた全ての電磁石においてコイルに電流が流れていない状態、すなわち、永久磁石21が力を受けていない基準状態における、ミラー20の反射面22を含む平面である。なお、図1および図2はいずれも基準状態を示している。基準面101はxy平面に平行である。
【0013】
アクチュエーター10は2軸アクチュエーターであり、ミラー20を第1の軸201と第2の軸202に対して揺動させる事ができる。それにより、ミラー20の反射面22で反射された光の方向を2次元的に変化させることができる。本実施形態において、第1の軸201と第2の軸202とは略垂直または垂直である。
【0014】
第1の電磁石30では、コイル32がヨーク34の少なくとも一部に巻きつけられている。コイル32に電流が流れることにより、端部341と端部342との間に磁束が発生する。この磁束が永久磁石21に作用することにより、ミラー20を第1の軸201に対して揺動させる事ができる。また、第2の電磁石40では、コイル42がヨーク44の少なくとも一部に巻きつけられている。コイル42に電流が流れることにより、第1端部441および第2端部442から伸びる磁束が発生する。この磁束が永久磁石21に作用する事により、ミラー20を第2の軸202に対して揺動させる事ができる。
【0015】
上記した通り、本実施形態のアクチュエーター10では、上記(A)および(B)の少なくともいずれかが成り立つ。このように複数の電磁石を非対称に配置することにより、アクチュエーター10の小型化を実現できる。
【0016】
図5および図6はそれぞれ、電磁石の配置の比較例を示す図である。図5および図6には、それぞれ、ミラー(不図示)を2軸について揺動させるための2つの電磁石が示されている。図5において、電磁石91は軸910を揺動軸としてミラーの駆動を行い、電磁石92は軸920を揺動軸としてミラーの駆動を行う。2つの電磁石をz軸方向から見ると、電磁石91は軸910に対して線対称であり、かつ、電磁石92は軸920に対して線対称である。また図6において、電磁石93は軸930を揺動軸としてミラーの駆動を行い、電磁石94は軸940を揺動軸としてミラーの駆動を行う。2つの電磁石をz軸方向から見ると、電磁石93は軸930に対して線対称であり、かつ、電磁石94は軸940に対して線対称である。これらの例では、揺動軸に対して磁束発生端部を2つずつ設け、対称的に配置している。その結果、互いの構造的な干渉を避けるために一方の電磁石を他方の電磁石がまたぐ必要が生じる。このような構造では、全体として大型化が避けられない。
【0017】
それに対し、本実施形態に係るアクチュエーター10では、複数の電磁石を非対称に配置する事により、アクチュエーター10の大型化を避けることができる。
【0018】
図1図2、および図4を参照し、第1の電磁石30および第2の電磁石40についてさらに説明する。本実施形態に係るアクチュエーター10では、第1の電磁石30および第2の電磁石40はそれぞれコイルとヨークとを有する。具体的には、第1の電磁石30はコイル32およびヨーク34を備える。第2の電磁石40は、コイル42およびヨーク44を備える。第1の電磁石30はU字型またはC字型であり、第2の電磁石40はI字型である。具体的には、第1の電磁石30のヨーク34の両端(端部341および端部342)は、基準面101に垂直な方向から見て、永久磁石21の少なくとも一部を挟んで互いに対向している。第2の電磁石40のヨーク44は、基準面101に平行な方向から見て、第2の電磁石40のコイル42を基準に、基準面101側に位置する第1端部441と、基準面101側とは反対側に位置する第2端部442とを有する。基準面101に垂直な方向から見て、第1端部441は少なくとも一部が第2端部442に重なる。端部341、端部342、第1端部441、および第2端部442はいずれも磁束発生端部である。
【0019】
図1の例においては、上記の(A)が成り立たず、(B)が成り立つ。ただし、(A)が成り立ち、(B)が成り立たない構成であっても良いし、(A)と(B)の両方が成り立つ構成であっても良い。
【0020】
本実施形態において、第1の電磁石30は第2の電磁石40を囲っていない。具体的には、基準面101に平行な少なくともいずれかの方向(たとえばy軸方向)から見て、第1の電磁石30と第2の電磁石40とは互いに重ならない。本実施形態において、第1の電磁石30のヨーク34のうちコイル32が巻かれている部分は基準面101に平行に延在している。基準面101に垂直な方向から見て、コイル32は、第2の軸202を基準に第2の電磁石40とは反対側に位置している。また、端部341および端部342はコイル32よりもミラー20に近い。第2の電磁石40のヨーク44は、基準面101に垂直な方向に延在しており、ヨーク44の両端のうち、一方のみがミラー20に対向している。本図の例において、コイル42が巻かれている部分のヨーク44の断面は正方形である。構造体12に対向する磁束発生端部の数は、第1の電磁石30と第2の電磁石40とで異なっている。
【0021】
次に、図1および図3を参照し、ミラー20、外側フレーム50、および内側フレーム60を含む構造体12について説明する。アクチュエーター10は、外側フレーム50、トーションバー52、内側フレーム60、およびトーションバー62をさらに備える。外側フレーム50と内側フレーム60は2つのトーションバー52を介して接続されている。内側フレーム60とミラー20とは、2つのトーションバー62を介して接続されている。外側フレーム50、トーションバー52、内側フレーム60、トーションバー62およびミラー20は、たとえば半導体ウエハを微細加工することにより一体に構成されており、アクチュエーター10はMEMSアクチュエーターである。本実施形態において、第1の電磁石30および第2の電磁石40は、外側フレーム50、トーションバー52、内側フレーム60、トーションバー62、およびミラー20を含む構造体12の一方の面側に、全体が位置している。
【0022】
たとえば外側フレーム50は、アクチュエーター10の筐体(不図示)に対して固定されている。内側フレーム60は外側フレーム50に対して第1の軸201を揺動軸として揺動可能である。2つのトーションバー52は第1の軸201に一致する。すなわち2つのトーションバー52は第1の軸201に沿って重なり、トーションバー52のねじれを伴って内側フレーム60が外側フレーム50に対して揺動する。また、ミラー20は内側フレーム60に対して第2の軸202を揺動軸として揺動可能である。2つのトーションバー62は第2の軸202に一致する。すなわち2つのトーションバー62は第2の軸202に沿って重なり、トーションバー62のねじれを伴ってミラー20が内側フレーム60に対して揺動する。上記した基準状態において、トーションバー52およびトーションバー62にはねじれが生じておらず、外側フレーム50、内側フレーム60およびミラー20の一方の面は基準面101と同一平面上に位置する。
【0023】
図1および図2を参照し、第1の電磁石30によるアクチュエーター10の駆動について以下に説明する。第1の電磁石30のコイル32に電流が流れると、端部341と端部342との間に磁束が発生する。このとき端部341と端部342とは互いに異なる極となる。そして、端部341と端部342の内、第2の極212とは異極である端部側へ永久磁石21が向くように、ミラー20の向きが変化する。コイル32に流す電流の向きおよび大きさを変化させることによりミラー20の反射面22の向きを制御する事ができる。なお、磁束は、端部341と端部342との互いに向かい合う面(本図の例においてy軸に垂直な面)のみならず、端部341および端部342の各側面(本図の例においてx軸に垂直な面)や上面(本図の例においてz軸に垂直な面)からも伸びうる。これらの磁束が永久磁石21に作用してミラー20を駆動する。
【0024】
第2の電磁石40によるアクチュエーター10の駆動について以下に説明する。基準面101に垂直な方向から見て、第1端部441の中心とミラー20の中心とは重なっていない。すなわち、第1端部441とミラー20とがずれている。本図の例において、具体的には、第1端部441の中心は、ミラー20の中心から、第2の軸202と垂直な方向(x軸方向)にずれている。一方、第1端部441の中心は、ミラー20の中心から、第2の軸202と平行な方向(y軸方向)にはずれていない。第2の電磁石40のコイル42に電流が流れると、第1端部441から伸びる磁束が発生する。この第1端部441からの磁束が永久磁石21に作用する事によりミラー20を第2の軸202に対して揺動させる。具体的には、第1端部441の極性が第2の極212と異極である場合、永久磁石21が第1端部441側に向くようにミラー20の向きが変化する。一方、第1端部441の極性が第2の極212と同極である場合、永久磁石21が第1端部441から離れる方向に向くようにミラー20の向きが変化する。コイル42に流す電流の向きおよび大きさを変化させることによりミラー20の反射面22の向きを制御する事ができる。なお、磁束は、第1端部441の上面(本図の例においてz軸に垂直な面)、第2端部442の下面(本図の例においてz軸に垂直な面)や第1端部441および第2端部442の側面(本図の例においてy軸またはx軸に垂直な面)から伸びうる。これらの磁束が永久磁石21に作用してミラー20を駆動する。
【0025】
上記した第1の電磁石30と第2の電磁石40による駆動を同時に行うことにより、反射面22を所望の方向へ向ける事ができる。
【0026】
本実施形態において、第2の電磁石40はミラー20を共振周波数で揺動するよう駆動する。第2の電磁石40のように1つの磁束発生端部のみを永久磁石21側に向けて駆動する場合、第1の電磁石30のように2つの磁束発生端部を永久磁石21に向けて駆動する場合よりも、駆動力が小さくなりやすい。それに対し、ミラー20を共振周波数で揺動するよう駆動することで、小さな力でも十分にミラー20を駆動する事ができる。
【0027】
図7は、第2の電磁石40のヨークの断面形状の変形例を示す図である。本図の例では、第2の電磁石40においてコイル42が巻かれている部分のヨーク44の断面は長方形である。そうすることにより、ヨークの断面積を大きくして第2の電磁石40が発生させる磁力を強める事ができる。その結果、1つの磁束発生端部のみを永久磁石21側に向けて駆動する場合でも、ミラー20を十分に駆動することができる。
【0028】
図8は、コイル42の巻き方の変形例を示す図である。本図の例では、第2の電磁石40において、コイル42はヨーク44に対して重ね巻きされている。そうすることにより、第2の電磁石40が発生させる磁力を強める事ができる。その結果、1つの磁束発生端部のみを永久磁石21側に向けて駆動する場合でも、ミラー20を十分に駆動することができる。
【0029】
以上、本実施形態によれば、上記した(A)および(B)の少なくともいずれかが成り立つ。そうすることにより、設計における2つの電磁石の配置自由度が増し、アクチュエーター10を小型化することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る第2の電磁石40の形状を例示する図である。本実施形態に係るアクチュエーター10は、以下に説明する第2の電磁石40の形状を除いて第1の実施形態に係るアクチュエーター10と同じである。以下に説明する図9図16において、各図の上部分には第2の電磁石40の平面図を示し、下部分には側面を示している。
【0031】
本実施形態において、第1端部441および第2端部442の少なくとも一方には、基準面101に垂直な方向から見て永久磁石21側に突き出た突出部444が設けられている。突出部444が設けられていることにより、ヨーク44の磁束発生端部と永久磁石21とをより近づけて、ミラー20の駆動力を強めることができる。また、コイル42を重ね巻きした場合、コイル42が巻かれた部分が太くなり、ヨーク44の中心軸を永久磁石21から離す必要が生じる。その場合でも、突出部444を設けることにより、永久磁石21へ十分に磁束を作用させる事ができる。
【0032】
図9の例では、第1端部441のみに突出部444が設けられている。第1端部441に突出部444を設ける事により、より効果的に駆動力を強める事ができる。また、第2端部442に突出部444を設けない事により、設ける場合よりもアクチュエーター10の小型化および軽量化を図れる。
【0033】
図10図16は、本実施形態に係る第2の電磁石40の形状の変形例をそれぞれ示す図である。以下に順に説明する。
【0034】
図10の例では、突出部444は永久磁石21側のみならず、y軸方向側にも突出している。また、図11の例では、突出部444はさらに永久磁石21側とは反対側へも突出している。突出部444を広げる事により、駆動力をより強くする事ができる。
【0035】
図12の例では、第2端部442のみに突出部444が設けられている。このような構成でも第2の電磁石40によるミラー20の駆動力を強める事ができる。なお、第2端部442側の突出部444の形状も特に限定されず、たとえば図10または図11の様であってもよい。
【0036】
図13図16の例では、第1端部441と第2端部442の両方に突出部444が設けられている。そうすることにより、どちらか一方のみに突出部444を設ける場合よりも駆動力を強める事ができる。 図13図15の例では、第1端部441側の突出部444と第2端部442側の突出部444とは、同じ形状である。図16の例では、第1端部441側の突出部444と第2端部442側の突出部444とは、形状が異なる。
【0037】
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。くわえて、第1端部441および第2端部442の少なくとも一方に、基準面101に垂直な方向から見て永久磁石21側に突き出た突出部444が設けられている。そうすることにより、第2の電磁石40の磁束をより強く永久磁石21に作用させてミラー20の駆動力を強めることができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態に係るアクチュエーター10の構成を例示する図である。本実施形態に係るアクチュエーター10は、第1の電磁石30がミラー20を共振周波数で揺動するよう駆動する点を除いて、第1および第2の実施形態の少なくともいずれかに係るアクチュエーター10と同じである。
【0039】
本実施形態において、内側フレーム60は外側フレーム50に対して第2の軸202を揺動軸として揺動可能である。2つのトーションバー52は第2の軸202に一致する。すなわち2つのトーションバー52は第2の軸202に沿って重なり、トーションバー52のねじれを伴って内側フレーム60が外側フレーム50に対して揺動する。また、ミラー20は内側フレーム60に対して第1の軸201を揺動軸として揺動可能である。2つのトーションバー62は第1の軸201に一致する。すなわち2つのトーションバー62は第1の軸201に沿って重なり、トーションバー62のねじれを伴ってミラー20が内側フレーム60に対して揺動する。
【0040】
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。
【0041】
(第4の実施形態)
図18は、本実施形態に係る第1の電磁石30の構造を例示する図である。本実施形態に係るアクチュエーター10は、以下に説明する点を除いて第1から第3の実施形態の少なくともいずれかに係るアクチュエーター10と同じである。本図において、永久磁石21を破線で示している。
【0042】
本実施形態において、第1の電磁石30は、電磁石70および電磁石80の2つの電磁石からなる。言い換えると、第1の電磁石30のヨーク34は2つに別れている。第1の電磁石30は、全体として第1の軸201に対し線対称である。電磁石70および電磁石80は、それぞれ、基準面101に垂直な方向から見て第1の軸201に平行に延在している。基準面101に垂直な方向から見て、第1の電磁石30は第1の軸201と重なっていない。
【0043】
電磁石70はコイル72およびヨーク74を備え、電磁石80はコイル82およびヨーク84を備える。コイル72はヨーク74の少なくとも一部に巻きつけられている。コイル82はヨーク84の少なくとも一部に巻きつけられている。本実施形態に係る構成でも、第1の電磁石30は、第1の実施形態に係る第1の電磁石30と同様に機能する。具体的には、端部741と端部841が対向して対を構成する。電磁石70の端部741が第1の実施形態で説明した端部341として機能し、電磁石80の端部841が第1の実施形態で説明した端部342として機能する。
【0044】
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。くわえて、第1の電磁石30のヨーク34は2つに別れている。そうすることにより、設計における2つの電磁石の配置自由度がさらに増し、アクチュエーター10をより小型化することができる。
【0045】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえばアクチュエーター10は、図に示した構成要素の他、各構成要素を支持する部分や配線、制御部等をさらに含んでも良い。また、ミラー20、第1の電磁石30、第2の電磁石40、構造体12等の形状は本実施形態の例に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
10 アクチュエーター
12 構造体
20 ミラー
21 永久磁石
22 反射面
30 第1の電磁石
32 コイル
34 ヨーク
40 第2の電磁石
42 コイル
44 ヨーク
50 外側フレーム
52 トーションバー
60 内側フレーム
62 トーションバー
70 電磁石
72 コイル
74 ヨーク
80 電磁石
82 コイル
84 ヨーク
101 基準面
201 第1の軸
202 第2の軸
211 第1の極
212 第2の極
341 端部
342 端部
441 第1端部
442 第2端部
444 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図16
図17
図18