(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240708BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240708BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240708BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240708BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/06
A61K8/894
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/29
A61K8/19
A61Q1/02
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2023512811
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021025054
(87)【国際公開番号】W WO2022004865
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-11-08
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】P 2020111555
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大上 和則
(72)【発明者】
【氏名】岡本 まり子
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0070177(US,A1)
【文献】特表平06-506487(JP,A)
【文献】特表2018-537429(JP,A)
【文献】特表2018-537487(JP,A)
【文献】特開平10-306014(JP,A)
【文献】国際公開第2019/243613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性相及び水性相を含む油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、
(a)組成物の総質量に対して、5質量%以上45質量%以下の量である、少なくとも1種の油と、
(b)多糖脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)組成物の総質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下の量である、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と、
(e)水溶性多糖から選択される、少なくとも1種の親水性ゲル化剤と
を含み、
(b)親油性ゲル化剤の量が、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量が、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である、
組成物。
【請求項2】
多糖脂肪酸エステルがデキストリンエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の顔料が、金属酸化物から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以上15質量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
水性相の量が、組成物の総質量に対して、90質量%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(a)油の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上40質量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(d)水の量が、組成物の総質量に対して、20質量%以上70質量%以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
油性相の量が、組成物の総質量に対して、5質量%以上49質量%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ケラチン物質のための美容方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【請求項11】
油性相及び水性相を含む油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、
(a)組成物の総質量に対して、5質量%以上45質量%以下の量である、少なくとも1種の油と、
(b)多糖脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)組成物の総質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下の量である、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と、
(e)グリコサミノグリカン及びその塩、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と
を含み、
(b)親油性ゲル化剤の量が、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量が、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である、
組成物。
【請求項12】
(b)親油性有機ゲル化剤が、デキストリンエステルである、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等のケラチン物質のための、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料を含む組成物、特に油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションは、美容分野において公知であり、皮膚等のケラチン物質に均一な色を付与するために使用される。エマルションは、それらが、水性相がもたらすことができるさっぱり感及び水分のために使用して快いので、液体ファンデーション製品の形態で一般に使用されている。また、良好な被覆性及び安定性が液体ファンデーション製品において必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、皮膚等のケラチン物質のための油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、改善された被覆性及び安定性を有し、ケラチン物質にさっぱり感をもたらすことができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記の目的は、水性相及び油性相を含む油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と
を含み、
(b)親油性有機ゲル化剤の量が、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量が、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である、
組成物によって達成することができる。
【0005】
(b)親油性有機ゲル化剤は、多糖脂肪酸エステル、半結晶性ポリマー、ポリアミド、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0006】
(b)親油性有機ゲル化剤は、多糖脂肪酸エステルから選択されうる。
【0007】
多糖脂肪酸エステルは、デキストリンエステルであってもよい。
【0008】
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の顔料は、金属酸化物、好ましくは二酸化チタン、酸化鉄、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0009】
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、最も好ましくは4質量%以上であってもよく、且つ20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは8質量%以下であってもよい。
【0010】
水性相の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましく70質量%以下、更により好ましくは60質量%以下であってもよい。
【0011】
(a)油の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上であってもよく、且つ45質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、最も好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0012】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは32質量%以上、更により好ましくは35質量%以上であってもよく、且つ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更により好ましくは45質量%以下であってもよい。
【0013】
本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤を更に含んでもよい。
【0014】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を更に含んでよい。
【0015】
油性相の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更により好ましくは30質量%以上であってもよく、且つ49質量%以下、好ましくは45質量%以下であってもよい。
【0016】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【0017】
本発明はまた、油性相及び水性相を含む油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と、
(e)グリコサミノグリカン及びその塩、並びにそれらの誘導体、好ましくはヒアルロン酸及びその塩、並びにそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウム及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と
を含み、
(b)親油性有機ゲル化剤の量が、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量が、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である、
組成物にも関する。
【0018】
この実施形態では、(b)親油性有機ゲル化剤は、デキストリンエステルであってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
鋭意検討の結果、本発明者らは、少なくとも50質量%の水性相、及び特定の量の少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤とトリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料との組合せを含むW/Oエマルション組成物が、安定性を保ちながら、改善されたさっぱり感及び被覆効果を、皮膚等のケラチン物質にもたらすことができることを発見した。
【0020】
そのため、本発明による組成物、好ましくは、皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物は、水性相及び油性相を含むW/Oエマルションの形態にあり、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と
を含み、
(b)親油性有機ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量は、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である。
【0021】
以下、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0022】
[組成物]
本発明の組成物は、水性相及び油性相を含むW/Oエマルションの形態にある。
【0023】
この組成物は、化粧用組成物、好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物、より好ましくはスキンケア化粧用組成物とすることができる。好ましくは、本発明による組成物は、液体ファンデーション、メイクアップベース、及びスキンケアクリーム組成物、特に液体ファンデーションとして使用することができる。この組成物は、ローション、ミルキーローション、クリーム、液体ジェル、ペースト、又はセラムの形態を取ることができる。
【0024】
水性相の量は、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である。水性相の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましく70質量%以下、更により好ましくは60質量%以下であってもよい。
【0025】
油性相の量は、特に限定されない。一般に、油性相の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更により好ましくは30質量%以上であってもよく、且つ49質量%以下、好ましくは45質量%以下であってもよい。油性相は、親油性、脂溶性又は油分散性(lipodispersible)成分を含むことができる。
【0026】
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油、(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤、(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料、及び(d)水を含む。組成物中の成分については、以下でより詳細に説明することにする。
【0027】
(油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。2種以上の(a)油を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの油、又は異なるタイプの油の組合せを使用することができる。(a)油は、本発明による組成物中の油性相を形成する。
【0028】
本明細書では、「油」という表現は、大気圧(760mmHg)下の室温(25℃)で、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは不揮発性である。
【0029】
(a)油は、炭化水素油、若しくはシリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はこれらの混合物であってもよい。
【0030】
(a)油が、植物又は動物由来の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0031】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0033】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0034】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0035】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。
【0036】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0037】
一酸及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0038】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールのエステル、及び、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用できる。
【0039】
特に挙げることができるのは以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0040】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基を含む又は含まない、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を有する炭化水素系化合物であって、少なくとも4個の炭素原子を含む化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0041】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0042】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0043】
人工トリグリセリドの例として挙げることができるのは、例えば、カプリルカプリル酸トリグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルである。
【0044】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸2-エチルヘキシル/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
シリコーン油の例として、例えば、アルキルジメチコン等の直鎖状オルガノポリシロキサン、特にジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサン;ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等のフェニルメチコン;並びにシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;並びにこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液状ポリジメチルシロキサン(PDMS、ジメチコン)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1個又は複数の有機官能基を含む。
【0046】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状の、C6~C16低級アルカン。挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン、及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアランが含まれる。
【0047】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
(a)油が、室温で液体の形態の非極性炭化水素油から選択されることが好ましいことがある。
【0049】
(a)油が、炭化水素油、C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、C1~C22アルコールとのエステル、及びC4~C22モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、C4~C15トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることもまた、好ましい。
【0050】
(a)油は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上であって、45質量%以下、好ましくは40量%以下、より好ましくは35質量%以下、最も好ましくは30質量%以下の量で存在し得る。
【0051】
(親油性有機ゲル化剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤を含む。2種以上の(b)親油性有機ゲル化剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの親油性有機ゲル化剤、又は異なるタイプの親油性有機ゲル化剤の組合せを使用することができる。
【0052】
本発明の親油性有機ゲル化剤は、脂溶性又は油分散性である。
【0053】
本発明の目的のために、本明細書における「親油性」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)下の油中で、少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも10g/L、より好ましくは少なくとも100g/Lの溶解度を有する物質を意味することができる。別の態様では、用語「親油性」は、25℃及び大気圧下で、水に可溶性でない又は水中で1g/L以下若しくは0.1g/L以下の溶解度を有する物質を指すことができる。
【0054】
本発明の目的のために、「親油性ゲル化剤」という用語は、本発明による組成物の油性相をゲル化できる化合物を意味する。ゲル化剤は親油性であり、そのため、ゲル化剤は組成物の油性相中に存在することができる。
【0055】
親油性有機ゲル化剤は、有利には、多糖脂肪酸エステル、半結晶性ポリマー、ポリアミド、及びこれらの混合物から選択される。
【0056】
・多糖脂肪酸エステル
多糖脂肪酸エステル中の多糖には、限定されるものではないが、デキストリン及びイヌリンが含まれる。好ましくは、多糖脂肪酸エステルはデキストリンエステルである。
【0057】
多糖脂肪酸エステル中の脂肪酸には、限定されるものではないが、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のC10~C24、好ましくはC12~C20の脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソパルミチン酸及びイソステアリン酸が含まれる。
【0058】
好ましくは、多糖脂肪酸エステルは、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0059】
好ましい実施形態によれば、デキストリンエステルはパルミチン酸デキストリンである。この製品は、例えば、千葉製粉株式会社によって名称Rheopearl TL(登録商標)、Rheopearl KL(登録商標)及びRheopearl(登録商標)KL2で販売されているものから選択されうる。
【0060】
・半結晶性ポリマー
用語「半結晶性ポリマー」は、本発明の意味の範囲内において、結晶性部分、主鎖中のペンダント鎖又はブロック、及び主鎖中の非晶質部分を含み、一次可逆的相転移温度、特に融点(固液転移)を示すポリマーを意味すると理解される。結晶性部分が、ポリマー主鎖のブロックであるとき、この結晶性ブロックは、非晶質ブロックのものとは異なる化学的性質を有し、この場合において、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプのブロックポリマーである。
【0061】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは150℃未満である。
【0062】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上であって100℃未満である。より好ましくは、半結晶性ポリマーの融点は、30℃以上であって70℃未満である。融点は、特に任意の公知の方法によって、とりわけ示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0063】
有利には、本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、2,000以上、例えば2,000~800,000、好ましくは3,000~500,000、例えば4,000~150,000、更に良好には4,000~99,000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0064】
本発明による組成物において、半結晶性ポリマーは、有利には、その融点より高い温度で、少なくとも1質量%まで油性相に可溶性である。結晶性鎖又はブロック以外に、ポリマーのブロックが非晶質である。本発明の趣旨の範囲内において、「結晶性鎖又はブロック」という表現は、それが単独だった場合に、温度が融点を上回るか下回るかに応じて、非晶質状態から結晶状態へと可逆的に変化すると思われる鎖又はブロックを意味すると理解される。本発明の趣旨の範囲内において、「鎖」は、ポリマー主鎖に対してペンダントである又は側方にある原子団である。「ブロック」は、主鎖に属する原子団であり、この原子団は、ポリマーの繰り返し単位のうちの1つを構成する。
【0065】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶性ブロック又は鎖は、各ポリマーの総質量の少なくとも30%、更により良好には少なくとも40%を占める。本発明に従って使用される結晶性ブロックを有する半結晶性ポリマーは、ブロック又はマルチブロックポリマーである。それらは、反応性二重結合(又はエチレン結合)を含むモノマーの重合によって又は重縮合によって得ることができる。本発明のポリマーが結晶性側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は、有利には、ランダム形態又は統計的形態にある。
【0066】
本発明の半結晶性ポリマーは、合成由来である。その上、それらは、多糖主鎖を含まない。
【0067】
本発明において使用することができる半結晶性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つの結晶性側鎖を担持するポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)及び主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持するポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)から選択される。結晶性側鎖又はブロックは、疎水性である。
【0068】
本発明の特定の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、特に少なくとも11個の炭素原子、最大40個の炭素原子、更に良好には最大24個の炭素原子を含むアルキル鎖から選択される結晶性鎖を有する少なくとも1種のモノマーの重合から生じるホモポリマー及びコポリマーから選択される。これらは、特に少なくとも12個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、好ましくは14~24個の炭素原子を含むアルキル鎖(C14~C24)である。これらは、炭化水素アルキル鎖(炭素原子及び水素原子)又はフルオロアルキル鎖若しくはペルフルオロアルキル鎖(炭素原子、フッ素原子及び場合によっては水素原子)であってもよい。これらがフルオロアルキル鎖又はペルフルオロアルキル鎖であるとき、少なくとも11個の炭素原子を含むが、それらのうちの少なくとも6個の炭素原子はフッ素化されている。
【0069】
本発明の特定の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14~C24アルキル(メタ)アクリレート、C11~C15ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、フッ素原子を含む又は含まないN-(C14~C24アルキル)(メタ)アクリルアミド、C14~C24アルキル鎖又はペルフルオロアルキル鎖を有するビニルエステル、C14~C24アルキル鎖又はペルフルオロアルキル鎖を有するビニルエーテル、C14~C24アルキル基を有するC14~C24α-オレフィン又はパラ-アルキルスチレン、及びこれらのモノマーと、好ましくは、例えば、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリル酸等のメタクリル酸以外の親水性モノマーとの共重合によって得られるこれらのモノマーのコポリマーから選択される、結晶性鎖を有する少なくとも1種のモノマーの重合によって得られるホモポリマーから選択される。そのようなコポリマーは、例えば、C14~C24-アルキルアクリレート、C14~C24-アルキルメタクリレート、C14~C24-アルキルアクリルアミド又はC14~C24-アルキルメタクリルアミドと、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート若しくはアクリル酸、又はこれらの混合物とのコポリマーであってもよい。
【0070】
本発明の特定の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14~C24アルキルアクリレート及びC14~C24アルキルメタクリレートから選択される結晶性鎖を有するモノマーの重合から得られるホモポリマーである。特に、冊子Intelimer(登録商標)Polymers, Landec IP22に記載の、Landec社から名称Intelimer(登録商標)で販売されているものを挙げることができる。これらのポリマーは、室温で固体の形態にある。これらは、結晶性鎖を担持し、飽和C14~C24アルキルアクリレート又はメタクリレートホモポリマーに相当する。より具体的には、ステアリルアクリレートホモポリマー(Intelimer IPA-13.1)(INCI名:ポリC10~30アルキルアクリレート)又はベヘニルアクリレートホモポリマー(Intelimer IPA-13.6)(INCI名:ポリC10~30アルキルアクリレート)を挙げることができる。
【0071】
本発明の別の特定の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14~C24アルキルアクリレート又はC14~C24アルキルメタクリレートとアクリル酸とのコポリマーである。このタイプのコポリマーとして、ベヘニルアクリレートとアクリル酸との共重合によって得られるコポリマー及びステアリルアクリレートとアクリル酸との共重合によって得られるコポリマーを挙げることができる。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によれば、半結晶性ポリマーはホモポリマーであり、ステアリルアクリレートホモポリマー(Intelimer IPA-13.1)(INCI名:ポリC10~30アルキルアクリレート)、ベヘニルアクリレートホモポリマー(Intelimer IPA-13.6)(INCI名:ポリC10~30アルキルアクリレート)、及びこれらの混合物から選択される。
【0073】
・ポリアミド
本発明の目的のために、用語「ポリアミド」は、少なくとも2つのアミド繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つのアミド繰り返し単位、更により良好には10個のアミド繰り返し単位を含有する化合物を意味する。
【0074】
ポリアミドは、親油性ゲル化剤として、炭化水素系ポリアミド及びシリコーンポリアミド、並びにこれらの混合物から選択される。
【0075】
用語「炭化水素系ポリアミド」は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素又は窒素原子から本質的に形成される又は構成されさえする、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しないポリアミドを意味する。これは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有してもよい。
【0076】
有利には、本発明による組成物のポリアミドは、100,000g/mol未満(とりわけ1,000~100,000g/molの範囲)、特に50,000g/mol未満(とりわけ1,000~50,000g/molの範囲)、より具体的には1,000~30,000g/mol、好ましくは2,000~20,000g/mol、更により良好には2,000~10,000g/molの範囲の質量平均分子量を有する。
【0077】
本発明において使用する炭化水素系ポリアミドとしては、脂肪族ポリアミド、例えばポリアミド-4、ポリアミド-6、ポリアミド-8、ポリアミド-11、ポリアミド-12、ポリアミド-4,6、ポリアミド-6,6、ポリアミド-6,9、ポリアミド-6,10及びポリアミド-6,12;脂肪族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸から誘導されるポリアミド、例えばポリアミド-4,T、ポリアミド-6,T、ポリアミド-4,I等(ここでTはテレフタレートを表し、Iはイソフタレートを表す);直鎖状ポリアミドのコポリアミド並びに脂肪族及び一部が芳香族ポリアミドのコポリアミド、例えば6/6,T、6/6,6/6,T、並びにTrogamid(登録商標)PA6-3-T及びGrilamid(登録商標)TR55のタイプの非晶質ポリアミドが挙げられる。
【0078】
好ましくは、炭化水素系ポリアミドは、ポリアミド-4、ポリアミド-6、ポリアミド-8、ポリアミド-11、ポリアミド-12、ポリアミド-4,6、ポリアミド-6,6、ポリアミド-6,9及びポリアミド-6,10、ポリアミド-6,12等の脂肪族ポリアミドから選択される。
【0079】
好ましくは、炭化水素系ポリアミドは、ダイマー酸を含有する脂肪族ポリアミドとすることができる。脂肪族ポリアミド中に含まれるダイマー酸は、好ましくは脂肪酸のダイマーであり、好ましくは、任意選択により1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されている、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30脂肪酸のダイマーである。より好ましくは、ダイマー酸は、非置換の直鎖状飽和C6~C30脂肪酸、例えば水添リノール酸等のダイマーである。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、ポリアミドは、(a)一価の酸及び/又は(a)一価のアルコールで終端している脂肪族ポリアミドである。一価の酸は、一価の脂肪酸、好ましくは、任意選択により1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されている、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30脂肪酸とすることができる。一価のアルコールは、一価の脂肪族アルコール、好ましくは、オキシアルキレン化されていない、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C6~C30脂肪族アルコールとすることができる。より好ましくは、一価のアルコールは、オキシアルキレン化されていない、飽和直鎖状C6~C30脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコールとすることができる。
【0081】
優先的には、ポリアミドは、一価のアルコールで終端している脂肪族ポリアミドである。
【0082】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリアミドは、式(I)のアミドエステル末端基を含むポリアミドである。
【0083】
【0084】
[式中、Xは、-OR1基(式中、R1は、同一であっても異なっていてもよい、直鎖状又は分枝状のC8~C22、好ましくはC16~C22アルキル基である)を表し、R2は、C28~C42二酸ダイマー残基であり、R3は、エチレンジアミン基であり、nは、2から5の間である]
【0085】
式(I)のポリアミド化合物として、Arizona Chemical社により名称Uniclear 80及びUniclear 100で販売されている、又はUniclear 80 V、Uniclear 100 V及びUniclear 100 VGでも販売されている、そのINCI名が「エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマーである市販製品を挙げることができる。これらは、それぞれ、鉱油中の活性材料の80%及び100%を占めるゲルの形態で販売されている。これらは、88~94℃の軟化点を有する。市販製品は、約6,000g/molの質量平均分子量を有する、エチレンジアミンで縮合されたC36二酸のコポリマーの混合物である。末端エステル基は、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はこれらの混合物(セチルステアリルアルコールとしても公知である)を用いた残留酸末端基のエステル化から得られる。
【0086】
シリコーンポリアミドとして、式(II)又は(III)のうちの少なくとも1つの単位を含むポリマーを挙げることができる。
【0087】
【0088】
[式中、
R4、R5、R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、以下から選択される基を表し:
- それらの鎖内に、1個又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を含有することができ、部分的に又は完全にフッ素原子で置換されていてもよい、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状のC1~C40炭化水素系基、
- 1つ又は複数のC1~C4アルキル基で任意選択により置換されているC6~C10アリール基、
- 1個又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子をおそらくは含有するポリオルガノシロキサン鎖、
- 同一であっても異なっていてもよく、その鎖内に1個又は複数の酸素原子及び/又は窒素原子をおそらくは含有する直鎖状又は分枝状C1~C30アルキレンジイル基を表す基X、
- Yは、1個若しくは複数の酸素原子、硫黄原子及び/若しくは窒素原子を含んでもよく、且つ/又は以下の原子若しくは原子団:フッ素、ヒドロキシル、C3~C8シクロアルキル、C1~C40アルキル、C5~C10アリール、任意選択により1~3つのC1~C3アルキルで置換されているフェニル、C1~C3ヒドロキシアルキル及びC1~C6アミノアルキル基のうちの1つを置換基として含有しうる、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、二価の、C1~C50アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレン基であり、或いは
Yは、次式に対応する基を表し:
【0089】
【0090】
(式中、
- Tは、任意選択によりポリオルガノシロキサンで置換され、O、N及びSから選択される1個若しくは複数の原子をおそらくは含有している、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和の、三価若しくは四価のC3~C24炭化水素系基を表し、又はTは、N、P及びAlから選択される三価の原子を表し、
- R8は、別のポリマー鎖におそらくは連結されていてもよい1つ又は複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素及び/又はスルホンアミド基をおそらくは含む、直鎖状又は分枝状C1~C50アルキル基又はポリオルガノシロキサン鎖を表す)、
- nは、2~500、好ましくは2~200の範囲の整数であり、mは、1~1,000、好ましくは1~700、更により良好には6~200の範囲の整数である]
【0091】
(b)親油性有機ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満である。(b)親油性有機ゲル化剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、最も好ましくは1質量%以上の量で存在してもよく、4.5質量%以下、好ましくは4量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下の量で存在し得る。
【0092】
(トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料)
本発明による組成物は、(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料を含む。2種以上の(b)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのトリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料又は異なるタイプのトリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の組合せを使用することができる。
【0093】
「顔料」という用語は、水性媒体に不溶性であり、且つ結果として得られる組成物を着色及び/又は不透明化することを意図した、白色又は有色の、無機又は有機粒子を意味する。これらの顔料は、白色であっても有色であってもよく、無機及び/又は有機であり得る。
【0094】
特定の実施形態によれば、本発明において使用される顔料は、鉱物顔料から選択される。「鉱物顔料」という用語は、任意の無機顔料を意味する。本発明において有用である鉱物顔料の中でも、金属酸化物、例えば、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、二酸化チタン及びまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、並びにマンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、並びに金属粉末、例としては、アルミニウム粉末若しくは銅粉末、又はこれらの任意の組合せを挙げることができる。以下の鉱物顔料: Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、又はZnSも使用することができる。本発明の文脈において、鉱物顔料は、より具体的には酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。
【0095】
被覆顔料の平均粒径は、一般に100nm以上である。本発明による被覆顔料の平均粒径は、100nm~25μm、好ましくは200nm~10μmの範囲であってもよい。本発明の目的のために、D50サイズ又は体積平均サイズは、粒子の50体積%がD50超のサイズを有するように規定された粒径に相当する。体積平均サイズは、Malvern社のMasterSizerというレーザー粒度分布計を使用した光回折によって評価することができ、評価される前記粒子は、液体媒体、例えばオクチルドデシルネオペンタノエート中に分散される。
【0096】
顔料はまた、真珠光沢剤及び/又は金属的な輝きを有する粒子であってもよい。「真珠光沢剤」という用語は、任意の形状の虹色又は非虹色の有色粒子を意味すると理解すべきであり、これらは、特に、ある特定の軟体動物によってその殻中で生成されるか、又は合成され、光学干渉を介して色彩効果を有する。
【0097】
真珠光沢剤は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたチタンマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、有機染料で被覆されたチタンマイカ、更にはオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択することができる。それらはまた、金属酸化物及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続層が表面に重ねられたマイカ粒子であってもよい。
【0098】
本発明における顔料は、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆されており、すなわち、顔料の表面は、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆又は処理される。
【0099】
表面処理された顔料は、当業者には周知である、化学的、電子的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技法に従って調製することができる。また、市販の製品を使用してもよい。トリイソステアリン酸イソプロピルチタンの表面剤は、溶媒の蒸発、化学反応、及び共有結合の形成によって、顔料の表面上に吸収、吸着、又はグラフト化されうる。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングから構成される。本発明の目的では、顔料の「コーティング」は、概して、表面剤が前記顔料上に吸収、吸着又はグラフト化されることによる、顔料の全体的又は部分的表面処理を表す。コーティングは、被覆顔料の総質量に対して0.1質量%~20質量%、具体的には0.5質量%~5質量%を占めてもよい。
【0101】
トリイソステアリン酸イソプロピルチタンによる表面処理は、顔料に疎水性の特徴を与える。したがって、本発明の(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料は、疎水性及び親油性の性質を示す。これに応じて、(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料は、本発明による組成物の油性相中に分散されて含まれ得る。
【0102】
本発明の好ましい一実施形態において、(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料は、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された二酸化チタン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された酸化鉄、及びこれらの組合せから選択することができる。
【0103】
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、最も好ましくは4質量%以上の量で存在していてよく、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは8質量%以下の量で存在していてもよい。
【0104】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。(d)水は、本発明による組成物中の水性相を形成する。
【0105】
水の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましく32質量%以上、更により好ましくは35質量%以上であってもよい。
【0106】
水の量は、組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましく50質量%以下、更により好ましくは45質量%以下であってもよい。
【0107】
(他の成分)
・乳化剤
本発明による組成物は、単独で又は混合物として使用される、両性、陰イオン性、陽イオン性、又は非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の乳化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。特に、乳化剤は、非イオン性界面活性剤から選択することができる。
【0108】
本発明の組成物中に使用可能な非イオン性界面活性剤の例としては、ポリエトキシル化脂肪族アルコール又はポリグリセロール化脂肪族アルコール、例えばエチレンオキシドとラウリルアルコールとの付加物、とりわけ9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(INCI名はラウレス-9~ラウレス-50)、特にラウレス-9;ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和鎖を持つ脂肪酸とのエステル、及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、すなわちオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含むもの、例えばグリセロールとC8~C24脂肪酸とのエステル、及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、特にポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(モノ、ジ及び/又はトリステアリン酸エステル)、例えばトリイソステアリン酸PEG-20グリセリル;モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪酸エステル;糖とC8~C24脂肪酸とのエステル、例えばパルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24脂肪酸のポリエトキシル化ソルビトールエステル、特にポリソルベート80、例えばCroda社によって名称「TWEEN(登録商標) 80」で市販されている製品;糖とC8~C24脂肪族アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;アルキルアミンオキシド;アルキルポリグリコシド及びシリコーン界面活性剤、例えばオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばPEG-10ジメチコン、セチル-PEG/PPG-10/1ジメチコン、ビス-PEG/PPG-14/14ジメチコン、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びPEG/PPG-20/6ジメチコン;並びにポリグリセリル脂肪酸エステル、例えばジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-2、及びポリリシノール酸ポリグリセリル-6;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0109】
ポリオキシエチレン化脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコールと脂肪酸のジエステル、例えば1つ又は複数のヒドロキシル基等の1つ又は複数の置換基を有し得る飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C8~C30酸から選択することもできる。脂肪酸は、それぞれが1つ又は複数のヒドロキシル基を有する脂肪酸のポリマーの形態であってもよい。そのようなポリマーは、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する別の脂肪酸の1つ又は複数のヒドロキシル基を有する一脂肪酸のカルボキシル基のエステル化によって形成されうる。そのようなポリマーの例として、ポリヒドロキシステアレートが挙げられる。したがって、ポリオキシエチレン化脂肪酸エステルとして、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を挙げることができる。
【0110】
加えて、乳化剤は、シリコーン架橋乳化剤、例えばポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマー及びポリグリセロール化シリコーンエラストマーであってもよい。
【0111】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとして、以下のINCI名を有するものを使用することができる:ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、PEG-15/ラウリルジメチコンクロスポリマー、PEG-10/ラウリルジメチコンクロスポリマー、PEG-12ジメチコンクロスポリマー、PEG-10ジメチコンクロスポリマー、PEG-10ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー、及びこれらの混合物。
【0112】
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーとして、以下のINCI名を有する化合物を挙げることができる:
ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、及びこれらの混合物。これらは、特に以下の名称で信越化学工業株式会社によって販売されている:KSG-710(登録商標);INCI名:ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー及びジメチコン;KSG-810(登録商標);INCI名:鉱油及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー;KSG-820(登録商標);INCI名:イソドデカン及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー;KSG-830(登録商標);INCI名:トリエチルヘキサノイン及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー;KSG-840(登録商標);INCI名:スクアラン及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー。
【0113】
組成物中の乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、且つ10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0114】
・化粧料として許容される親水性有機溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1種の化粧料として許容される親水性有機溶媒を含んでもよい。化粧料として許容される親水性有機溶媒には、例えば、1~8個の炭素原子を有する実質的に直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、及びイソブタノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、カプリリルグリコール、ソルビトール、エチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル;ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6及びPEG-8、並びにそれらの誘導体、並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0115】
本発明による組成物中の化粧料として許容される親水性有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、且つ25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0116】
・有機UV遮蔽剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含んでもよい。2つ以上のタイプの有機UV遮蔽剤を組み合わせて含んでもよい。
【0117】
有機UV遮蔽剤は、アントラニル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体、例えばメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;ホモサラート(サリチル酸ホモメンチル)及びサリチル酸エチルヘキシル等のサリチル酸誘導体;カンフル誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン誘導体;ビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体;遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン;α-アルキルスチレン由来のダイマー;4,4-ジアリールブタジエン;オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基を有するペプチド、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0118】
組成物中の有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%であってもよい。
【0119】
・無機UV遮蔽剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含んでもよい。2つ以上のタイプの無機UV遮蔽剤を組み合わせて含んでもよい。
【0120】
無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子直径が1nmから50nm、好ましくは5nmから40nm、より好ましくは10nmから30nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
【0121】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていても被覆されていなくてもよい金属酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0122】
好ましくは、無機UV遮蔽剤は、金属酸化物(平均一次粒径:一般的に5nmから50nm、好ましくは10nmから50nm)、例えば、酸化チタン(非晶質又はルチル及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム等から選択することができ、これらはすべて、それ自体が周知のUV光保護剤である。好ましくは、無機UV遮蔽剤は、酸化チタン、酸化亜鉛から選択することができ、より好ましくは酸化チタンである。
【0123】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていてもいなくてもよい。無機UV遮蔽剤は、少なくとも1つのコーティングを有してもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩等)、脂肪族アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ワックス、例えばビーズワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0124】
被覆無機UV遮蔽剤は、以下:
シリカで被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil」、
シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil F」、
シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社製の製品「Tioveil」、及びRhodia社製の製品「Mirasun TiW 60」、
アルミナで被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(B)」及び「Tipaque TTO-55(A)」、並びにKemira社製の「UVT 14/4」、
アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」、Uniqema社製の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社製の製品「Eusolex T-AVO」、
アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」、
酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」、
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「BR351」、
シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」、
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-30-DS」、
シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばKemira社製の製品「UV-Titan X 195」、
アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(S)」若しくはKemira社製の製品「UV Titan M 262」、
トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-65-S」、
ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55 (C)」、又は
ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」、
ステアリン酸及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 TV」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン及びステアリン酸及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S4」、平均一次粒子直径15nm、
シリカで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 WP」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン及びシリカ及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」、平均一次粒子直径10nm、
ジメチコン及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S3」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばSachtleben社製の製品「UV TITAN M170」、平均一次粒子直径15nm、
シリカ及び水酸化アルミニウム及びアルギン酸で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 AQ」、平均一次粒子直径15nm、並びに
水酸化アルミニウム及びジメチコン及び水素ジメチコンで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の「SAS-UT-A30」であってもよい。
【0125】
組成物中の無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量であってもよい。
【0126】
・シリコーンエラストマー
本発明による組成物は、少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含んでもよい。2つ以上のタイプのシリコーンエラストマーを組み合わせて含んでもよい。
【0127】
用語「シリコーンエラストマー」は、本明細書において、粘弾性、特にスポンジ又は柔軟な球体の粘稠度を有する柔軟で変形可能なシリコーンを意味することを意図したものである。シリコーンエラストマーは、特に架橋シリコーンエラストマーであってもよい。
【0128】
シリコーンエラストマーは、有利には、非乳化性エラストマーである。「非乳化性」という用語は、本明細書において、親水性鎖を含有せず、特にポリオキシアルキレン単位(とりわけポリオキシエチレン若しくはポリオキシプロピレン単位)又はポリグリセリル単位を含有しないシリコーンエラストマーを定義する。したがって、本発明の特定の一形態によれば、組成物は、ポリオキシアルキレン単位及びポリグリセリル単位を含まないシリコーンエラストマーを含む。
【0129】
特に、本発明において用いられるシリコーンエラストマーは、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)又はジメチコンクロスポリマー-3(INCI名)から選択される。
【0130】
本発明の特定の実施形態によれば、シクロペンタジメチルシロキサン、ジメチコン、ジメチルシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン及びシクロメチコンを含む非限定的なリストから選択されるシリコーン油、好ましくは25℃での粘度が1~500cStの範囲の、任意選択でフッ素化された脂肪族基で又はヒドロキシル基、チオール基及び/若しくはアミン基等の官能基で任意選択により修飾された、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はジメチコンから選択される直鎖状シリコーン油中に分散されるシリコーンエラストマーのゲルが使用される。
【0131】
特に挙げることができるのは、以下のINCI名を有する化合物である:
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、例えば信越化学工業株式会社からのUSG-105及びUSG-107A、Dow Corning社からのDC9506及びDC9701、
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)ジメチコン、例えば信越化学工業株式会社からのKSG-6及びKSG-16、
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)シクロペンタシロキサン、例えばKSG-15、
- シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社からのDC9040、DC9045及びDC5930、
- ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社からのDC9041、
- ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社製のDow Corning EL-9240(登録商標)Silicone Elastomer Blend[ヘキサジエン/ポリジメチルシロキサンで架橋されたポリジメチルシロキサンの混合物(2cSt)]、
- C4~24アルキルジメチコン/ジビニルジメチコンクロスポリマー、例えばAlzo社からのNuLastic Silk MA、
- ポリシリコーン-11及びシクロヘキサシロキサン、例えばGrant Industries社製のGransil RPS-D6(登録商標)(87%のシクロヘキサシロキサン及び13%のポリシリコーン-11を含む)、ポリシリコーン-11及びイソドデカン、例えばGrant Industries社製のGransil PC-12(登録商標)(13:87のポリシリコーン-11:イソドデカンの質量比を有する)。
【0132】
組成物中のシリコーンエラストマーの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、且つ10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0133】
・親水性ゲル化剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含んでもよい。2つ以上のタイプの親水性ゲル化剤を組み合わせて含んでもよい。
【0134】
「親油性」という用語は、本明細書において、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)下の水中で、少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも10g/L、より好ましくは少なくとも100g/Lの溶解度を有する物質を意味する。好ましくは、親水性ゲル化剤は、油中に不溶性であり、すなわち、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)下の油中で1g/L未満、好ましくは0.1g/L未満の溶解度を有する。
【0135】
本発明による組成物中で使用することができる親水性ゲル化剤としては、水溶性ポリマー、例えばSalcare(登録商標)AST等の陰イオン性のアクリレートポリマー、及びSalcare(登録商標)SC96等の陽イオン性のアクリレートポリマー;アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミド;メタクリル酸ヒドロキシエチルポリマー、ステアレス-10アリルエーテル/アクリレートコポリマー;Aculyn(登録商標)28として公知のアクリレート/メタクリル酸ベヘネス-25コポリマー;ポリメタクリル酸グリセリル、アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー;ベントナイト;ガム、例えばセルロースガム、アルギネート、カラゲナン、アカシアガム、アラビアゴム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、グアーガム;グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キサンタンガム又はゲランガム;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、エチルセルロース、硫酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース;寒天;ペクチン;ゼラチン;デンプン及びその誘導体;キトサン及びその誘導体、例えばヒドロキシエチルキトサン;ポリビニルアルコール、PVM/MAコポリマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ポリ(エチレンオキシド)系ゲル化剤、カルボマーナトリウム、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0136】
組成物中の親水性ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、且つ5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であってもよい。
【0137】
本発明の好ましい一実施形態において、組成物は、水溶性多糖、好ましくはグリコサミノグリカン及びその塩、並びにそれらの誘導体から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む。本発明のより好ましい一実施形態において、組成物は、ヒアルロン酸及びその塩、並びにそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウム及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む。
【0138】
したがって、本発明はまた、油性相及び水性相を含む油中水型(W/O)エマルションの形態の組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤と、
(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料と、
(d)水と、
(e)グリコサミノグリカン及びその塩、並びにそれらの誘導体、好ましくはヒアルロン酸及びその塩、並びにそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウム及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と
を含み、
(b)親油性ゲル化剤の量が、組成物の総質量に対して0質量%超且つ5質量%未満であり、
水性相の量は、組成物の総質量に対して少なくとも50質量%である、
組成物にも関する。
【0139】
この実施形態では、(b)親油性有機ゲル化剤は、好ましくは、多糖脂肪酸エステル、半結晶性ポリマー、ポリアミド、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくは多糖脂肪酸エステル、特にデキストリンエステルである。
【0140】
これに応じて、本発明の特定の実施形態において、組成物は、
(b)デキストリンエステルから選択される少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤;並びに(e)グリコサミノグリカン及びその塩、並びにそれらの誘導体から選択される、特にヒアルロン酸及びその塩、並びにそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウム及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む。
【0141】
本発明の好ましい一実施形態において、組成物中のグリコサミノグリカン及びその塩、並びにそれらの誘導体から選択される親水性ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に0.7質量%以上、且つ5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0142】
・補助剤
本発明による組成物は、化粧料のための組成物中に従来から使用されている様々な補助剤も含有してもよく、補助剤は、生理的に許容される媒体、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、両性、両性イオンポリマー又はこれらの混合物、有機フィラー、トコフェロール等の酸化防止剤、エタノールアミン等の塩基性化剤、酸性化剤、トリエタノールアミン等の中和剤、EDTA二ナトリウム等の金属イオン封鎖剤、センチフォリアバラ花エキス等の植物エキス、香料、皮膚軟化剤、分散剤、染料、成膜剤及び/又は増粘剤、セラミド、フェノキシエタノール及びクロルフェネシン等の防腐剤、硫酸マグネシウム等の電解質、デシレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、及びカプリリルグリコール等の副次的防腐剤、並びに乳白剤から選択することができる。
【0143】
追加の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%とすることができる。
【0144】
この組成物は、好ましくは皮膚に適合するpH、一般に3~9、好ましくは4~8の範囲のpHを呈する。
【0145】
本発明による組成物の粘度は特に限定されない。粘度は、好ましくはコーンプレート又はパラレルプレートジオメトリを備えた粘度計又はレオメータを用いて、25℃にて測定することができる。好ましくは、組成物の粘度は、例えば25℃で且つ21s-1で、1~5000Pa.sの範囲とすることができる。加えて、該組成物は、ニュートン流体の性質を有することができる。
【0146】
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油、(b)少なくとも1種の親油性有機ゲル化剤、(c)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された少なくとも1種の顔料、及び(d)水、並びに1種以上の上記の任意選択の成分を混合することによって製造することができる。
【0147】
[美容方法]
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、ケラチン物質に本発明による組成物を適用する工程を含む、美容方法にも関する。
【0148】
本発明による組成物は、魅力的な外観を作るために、また、染み、しわ、毛穴等の欠点を隠すために、例えば、顔、首及び身体の皮膚等のケラチン物質に塗布するように意図されうる。組成物は一般に、皮膚等のケラチン物質に、手で、又は塗布具、例えばスポンジ塗布具を用いて塗布される。
【0149】
本発明による組成物は、ローション、ミルキーローション、クリーム、液体ジェル、ペースト、セラム、又はスプレーの形態の局所用スキンケア組成物中で使用することができる。
【0150】
美容方法は、好ましくは、皮膚、好ましくは顔面皮膚をメイクアップ及び/又はケアすることが意図される。本発明に従って使用される組成物は、好ましくはリーブインタイプの化粧用組成物として使用するように意図されている。「リーブイン」という用語は、塗布直後に洗い落としたり除去したりすることを意図していない組成物を意味する。
【0151】
好ましくは、本発明による組成物は、液体ファンデーション、メイクアップベース、及びスキンケアクリーム組成物、特に液体ファンデーションとして使用することができる。したがって、本発明は、液体ファンデーション、メイクアップベース、及びスキンケアクリーム等の化粧用液体組成物中のメイクアップ有効成分としての、本発明による組成物の使用にも関する。
【実施例】
【0152】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0153】
(実施例1及び比較例1~6)
Table 1(表1)に示した実施例1及び比較例1~6による以下の組成物を、以下の通りに調製した。先ず、混合物が均一になるまで、以下のTable 1(表1)中の「水性相」に列挙した全成分を45℃で混合して溶解することによって、水性相を調製した。次いで水性混合物を室温まで冷却した。Table 1(表1)中の「油性相」に列挙した全成分を90℃で10分間混合することによって、油性相を調製した。得られた油性混合物に、顔料及びシリコーンエラストマーを添加し、よく分散させた。油性混合物を室温まで冷却し、次いで水性混合物を油性混合物に添加した。得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて3,000rpmで10分間乳化して、W/O型エマルション組成物を得た。
【0154】
Table 1(表1)中の成分の量についての数値はすべて、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0155】
【0156】
【0157】
[評価]
実施例1及び比較例1~6による組成物を、以下の態様において評価した。
【0158】
(官能試験)
実施例1及び比較例1~6による各組成物を、5名のパネリストの顔に塗布し、さっぱり感及びしっとり感並びに被覆効力を評価した。各組成物は、パネリストら自身によってパネリストらの顔に塗布され、パネリストらは、さっぱり感及びしっとり感並びに被覆効力について以下の採点を付けることによって評価した: 1 (非常に不良)~5 (非常に良好)。スコアの平均を計算し、以下の基準に従って分類した。
良好≧4
4>不良≧3
3>非常に不良
【0159】
(安定性)
実施例1及び比較例1~6による各組成物を45℃で2ヶ月間放置し、次いで各組成物の外観を目視観察し、以下の基準に従って分類した。
良好:分離なし
不良:油性相が若干分離した
非常に不良:油性相が分離した
【0160】
これらの評価の結果を、以下のTable 2(表2)に示す。
【0161】
【0162】
実施例1による組成物は、安定性を維持しながら、皮膚等のケラチン物質に、改善されたさっぱり感及びしっとり感並びに被覆効果を与えることができた。
【0163】
一方で、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料を含まない比較例1及び2による組成物は、極めて不良な被覆効力を示した。加えて、本発明のトリイソステアリン酸イソプロピルチタンで被覆された顔料の代わりに被覆されていない顔料を含む比較例1による組成物は、極めて不良な安定性を示した。
【0164】
親油性有機ゲル化剤を含まない比較例3による組成物は、極めて不良な安定性を示し、組成物の5質量%の量の親油性有機ゲル化剤を含む比較例4による組成物は、極めて不良なさっぱり感を与えた。
【0165】
25質量%の水性相を含む比較例5による組成物は、極めて不良なさっぱり感及び不良な被覆効力をもたらした。30質量%さえの水性相を含む比較例6による組成物は、不良なさっぱり感をもたらした。
【0166】
(実施例2~6)
Table 3(表3)に示す、実施例2~6による以下の組成物を、以下の通り調製した。先ず、混合物が均一になるまで、以下のTable 3(表3)中の「水性相」に列挙した全成分を45℃で混合して溶解することによって、水性相を調製した。次いで水性混合物を室温まで冷却した。Table 3(表3)中の「油性相」に列挙した全成分を90℃で10分間混合することによって、油性相を調製した。得られた油性混合物に、顔料及びシリコーンエラストマーを添加し、よく分散させた。油性混合物を室温まで冷却し、次いで水性混合物を油性混合物に添加した。得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて3,000rpmで10分間乳化して、W/O型エマルション組成物を得た。
【0167】
Table 3(表3)中の成分の量についての数値はすべて、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0168】
【0169】
[評価]
実施例2~6による組成物を、以下の態様において評価した。
【0170】
(官能試験)
実施例2~6による各組成物を、5名のパネリストの顔に塗布し、さっぱり感及びしっとり感並びに被覆効力を評価した。各組成物は、パネリストら自身によってパネリストらの顔に塗布され、パネリストらは、さっぱり感及びしっとり感並びに被覆効力について以下の採点を付けることによって評価した:1(非常に不良)~5(非常に良好)。スコアの平均を計算し、以下の基準に従って分類した。
非常に良好≧4.5
良好≧4
4>不良≧3
3>非常に不良
【0171】
(安定性)
実施例2~6による各組成物を45℃で2ヶ月間放置し、次いで各組成物の外観を目視観察し、以下の基準に従って分類した。
非常に良好:分離なし且つ粘度の低下なし
良好:分離なし
不良:油性相が若干分離した
非常に不良:油性相が分離した
【0172】
これらの評価の結果を、以下のTable 4(表4)に示す。
【0173】
【0174】
実施例1の配合物に加えてヒアルロン酸ナトリウム又はアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを含む実施例2~6による組成物は、安定性を維持しながら、皮膚等のケラチン物質に、改善されたさっぱり感及びしっとり感並びに被覆効果を与えることもできた。特に、これらの組成物は、非常に良好な安定性及び非常に良好な被覆性を示した。
【0175】
したがって、本発明による組成物は、安定性を維持しながら、さっぱり感及びしっとり感並びに良好な被覆性をもたらす等、優れた美容特性をもたらすことができるため、大きな利益を有すると結論付けることができる。したがって、本発明による組成物は、化粧用液体組成物として非常に有用である。