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  • 特許-容器支持システム 図1
  • 特許-容器支持システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】容器支持システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 17/06 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B66C17/06
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023513140
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2021047684
(87)【国際公開番号】W WO2022046986
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】63/071,400
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/411,794
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518344265
【氏名又は名称】レス・ポリフロー・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】1725 Montgomery Street, FL3, San Francisco, California 94111, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストレカル、ジョージ・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】シャベル、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ、リチャード・エー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンサー、メーメット、エー
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-027391(JP,A)
【文献】特開昭59-176175(JP,A)
【文献】特開平08-271670(JP,A)
【文献】特開昭60-156161(JP,A)
【文献】米国特許第05893471(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 9/00-11/26
B66C 13/00-15/06
B66C 17/00-17/26
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を選択的に支持するための支持構造であって、
前記容器の上方に配置されたオーバーヘッドフレームと、
複数のサスペンションケーブルと、
前記オーバーヘッドフレームに取り付けられた複数のトロリー装置であって、前記複数のトロリー装置の各々は、独立して、作動的に、移動可能に前記複数のサスペンションケーブルのうち異なる1つを前記オーバーヘッドフレームに固定し、前記複数の前記サスペンションケーブルの少なくとも一部は、その上の様々な長手方向の位置で前記容器に作動的に、独立して接続され、前記複数のトロリー装置は、前記個々のケーブルの張力を独立して増加または減少させることができる、前記トロリー装置と、を備えている支持構造。
【請求項2】
記複数のトロリー装置は、前記1つ以上のケーブルの前記張力を増加または減少させるケーブル張力調整装置を備えている、請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
容器を選択的に支持するための支持構造であって、
前記容器の上方に配置されたオーバーヘッドフレームと、
複数のサスペンションケーブルと、
前記オーバーヘッドフレームに取り付けられた1つ以上のトロリー装置であって、前記1つ以上のトロリー装置は、独立して、作動的に、移動可能に前記複数のサスペンションケーブルを前記オーバーヘッドフレームに固定し、前記複数の前記サスペンションケーブルの少なくとも一部は、その上の様々な長手方向の位置で前記容器に作動的に接続され、前記1つ以上のトロリー装置は、前記個々のケーブルの張力を独立して増加または減少させることができる、前記トロリー装置と、を備え、
前記1つ以上のトロリー装置は、前記1つ以上のケーブルの張力を増加または減少させるケーブル張力調整装置を備え、
前記ケーブル張力調整装置は、その中に圧縮空気を有する空気袋を備え、前記空気袋内の増加した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を増加させ、前記空気袋内の減少した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を減少させる、支持構造。
【請求項4】
前記支持構造は、1つ以上のロードセルを更に備え、それぞれの前記ロードセルは、個々のケーブルの荷重を決定することができ、それぞれのケーブルの荷重は、実質的に同じである、請求項3に記載の支持構造。
【請求項5】
前記それぞれの1つ以上のロードセルは、前記容器の総荷重を計算する制御装置と通信している、請求項4に記載の支持構造。
【請求項6】
前記制御装置は、それぞれ、前記個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させるために、前記空気袋内の圧力を増加または減少させるように、個別のトロリーに信号を送ることができる、請求項5に記載の支持構造。
【請求項7】
前記1つ以上の個々のケーブルの前記張力は、独立して、ターンバックルによって増加または減少させることができる、請求項1に記載の支持構造。
【請求項8】
前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域における個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれている、請求項2に記載の支持構造。
【請求項9】
前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域の個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれている、請求項5に記載の支持構造。
【請求項10】
前記複数の実質的に全ての前記ケーブルでの張力は、実質的に同じである、請求項5に記載の支持構造。
【請求項11】
容器を選択的に支持するための支持構造であって、
前記容器の上方に配置されたオーバーヘッドフレームと、
複数のサスペンションケーブルと、
前記オーバーヘッドフレームに取り付けられた1つ以上のトロリー装置であって、前記1つ以上のトロリー装置は、独立して、作動的に、移動可能に前記複数のサスペンションケーブルを前記オーバーヘッドフレームに固定し、前記複数の前記サスペンションケーブルの少なくとも一部は、その上の様々な長手方向の位置で前記容器に作動的に接続され、前記1つ以上のトロリー装置は、前記個々のケーブルの張力を独立して増加または減少させることができる、前記トロリー装置と、を備え、
前記容器は、プラスチック供給原料変換容器を備えている、支持構造。
【請求項12】
前記容器は、熱容器反応器を備えている、請求項3に記載の支持構造。
【請求項13】
前記ケーブル張力調整装置は、下端および上端を有する内部下部ボックスを備え、空気袋はその間に配置されている、請求項6に記載の支持構造。
【請求項14】
前記ケーブル張力調整装置は、下端および上端を有する内部下部ボックスを備え、空気袋はその間に配置されている、請求項3に記載の支持構造。
【請求項15】
オーバーヘッドフレームから容器を支持するためのプロセスであって、
前記フレームで異なる長手方向の位置に、複数のトロリー装置を独立して追加するステップと、
1つ以上のサスペンションケーブルを、それぞれ独立して、前記容器上の異なる長手方向の位置に動作的に接続するステップと、を備え、
複数のサスペンションケーブルであって、それぞれの前記サスペンションケーブルが独立して異なる前記トロリーに接続される、前記複数のサスペンションケーブルと、
個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させる、少なくとも1つのケーブル張力調整装置と、を備えているプロセス。
【請求項16】
オーバーヘッドフレームから容器を支持するためのプロセスであって、
前記フレームで異なる長手方向の位置に、複数のトロリー装置を独立して追加するステップと、
1つ以上のサスペンションケーブルを、それぞれ独立して、前記容器上の異なる長手方向の位置に動作的に接続するステップと、を備え、
複数のサスペンションケーブルであって、それぞれの前記サスペンションケーブルが独立して異なる前記トロリーに接続される、前記複数のサスペンションケーブルと、
個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させる、少なくとも1つのケーブル張力調整装置と、を備え、
前記ケーブル張力調整装置が、その中に圧縮空気を有する空気袋を備え、前記空気袋内の増加した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を増加させ、前記空気袋内の減少した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を減少させる、プロセス。
【請求項17】
前記ケーブル張力調整装置が、1つ以上のロードセルを備え、それぞれの前記ロードセルは、個々のケーブルの荷重を決定することができ、それぞれのケーブルの荷重は、実質的に同じである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記1つ以上のロードセルの各々は、独立して、前記容器の総荷重を計算する制御装置と通信している、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記制御装置は、コンピュータである、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域における個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれる、請求項19に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱分解を含むプラスチック変換容器は、ポリマーおよび/または炭素係材料のようなプラスチック廃棄物を、望ましい最終用途を有する他の化学化合物および/またはガスに変換するために利用される。このような容器は、地上施設、または海および/もしくは湖などの水中ロケーションにおける望ましくないゴミなどの環境問題を解消するのに役立つ。本発明の吊り下げ式(suspended)容器は、容器のためのオーバーヘッドフレームワークとサスペンション(suspension)システムとからなる支持システムに関するものである。サスペンションケーブルの下端は、容器の側面に交互に定められた間隔であるように作動的に接続され、上部のケーブルの端は、トロリーに取り付けられる。トロリーは、ロード(load)センサと、個々のサスペンションケーブルでの荷重を独立して増加または減少させるケーブル調整装置とを備え、容器の各間隔での応力または荷重が望ましく均衡するように、または支持された容器がほぼ自然長の長手方向の形状または向きを有するように、同様の荷重を有するように手動または望ましくは自動的に調整可能である。従って、容器に供給される廃棄物の量は、制御され、定常状態で存在することができ、それによって廃棄物の様々なガスおよび/または化学化合物への効率的な変換が行われる。
【背景技術】
【0002】
プラスチック変換容器は、加熱され、そこで様々な化学的および物理的反応が行われると、その長手方向の長さに沿って本質的に膨張し、一般に容器の幾何学的形状を変形させる結果となる。例えば、その高熱領域は、容器の下部および上部の面の間の応力および温度差によって変形する。この事実は、化学物質やガスなどに変化する容器内の廃棄物の望ましい一定または定常的な流れを妨げるという点で好ましくない。言い換えれば、廃棄物の流路は、一定のほぼ水平方向または僅かに上方向に流れないで、容器の効率が低下し、適切な生成物出力が得られない場合があるため、中断される。また、冷却時の容器の収縮は、容器の荷重や歪みの問題を引き起こす。このような熱および応力差は、容器の寿命を縮め、故障につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、廃棄物が他の材料又は化合物に変換されるまで、容器底に沿って、滑らかで、均一で、効率的な移送又は流れを提供することである。すなわち、本発明の支持システムは、サスペンションケーブルが、動的な動作であり、それによってサスペンションケーブルは、容器の様々な接触点でのサスペンション荷重を増加または減少させることによって応力をほぼ均衡させるだけでなく、容器の長さ(すなわち長手方向)に沿った応力を最小化するのに役立つ。
【0004】
要約すると、本発明の支持機構は、フレームワークの長さ(長手方向)に沿って移動可能なトロリーから吊り下げられたサスペンションケーブルによって支持される容器を備えている。この支持システムは、廃棄物の塊が、加熱、冷却などの際、システム全体を通じて常に円滑に移動または流動することができるようになっており、容器は一般に、自然で均衡した形状を有している。
【0005】
一般に、容器を選択的に支持するための支持構造であって、前記容器の上方に配置されたオーバーヘッドフレームと、複数のサスペンションケーブルと、前記オーバーヘッドフレームに取り付けられた1つ以上のトロリー装置であって、前記1つ以上のトロリー装置は、独立して、作動的に、移動可能に前記サスペンションケーブルを前記オーバーヘッドフレームに固定し、前記複数の前記サスペンションケーブルの少なくとも一部は、その上の様々な長手方向の位置で前記容器に作動的に接続され、前記1つ以上のトロリー装置は、前記個々のケーブルの前記張力を独立して増加または減少させることができる、前記トロリー装置と、を備えている支持構造。
【0006】
オーバーヘッドフレームから容器を支持するためのプロセスであって、前記フレームで異なる長手方向の位置に、複数のトロリー装置を独立して追加することと、複数のサスペンションケーブルであって、それぞれの前記サスペンションケーブルが独立して異なる前記トロリーに接続される、複数のサスペンションケーブルと、前記1つ以上のサスペンションケーブルを、それぞれ独立して、前記容器上の異なる位置に作動的に接続することと、個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させる、少なくとも1つのケーブル調整装置と、を含む、プロセス。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上記および他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより、本開示が関連する技術分野の当業者には明らかになるであろう。
図1図1は、オーバーヘッドフレームからサスペンションケーブルを介して、容器を支持するためのサスペンション構造の概略図である。
図2図2は、ロードセルまたはセンサ、エアバッグ、およびサスペンションケーブルを含むトロリーシステムの概略図であり、その張力は、自動的に調整されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の支持構造10は、一般に、プラスチック変換容器300の上方に位置するオーバーヘッドフレームワーク100と、容器300を選択的に支持するための1つ以上の、例えば複数のサスペンションケーブル210を有するサスペンションシステム200とを備えている。フレームワーク100は、三次元における強力で頑丈な上からの支持を提供する従来のトラス110のような任意の従来のオーバーヘッドフレームワークである得る。トラス110は、その上に車輪222を有する1つ以上のトロリー220が乗る支持レール230を含む。レール230は、一般に長手方向、すなわち容器300の長さに沿って、ボルト、ファスナー、または溶接によるように任意の従来の方法でフレームワーク100に接続される。サスペンションケーブル210は、独立しており、すなわち、少なくとも一部、および好ましくは全てのケーブルが、トロリー220によってフレームワーク110に接続されている。トロリー車輪222は、様々なサスペンションケーブルが前方又は後方に、すなわち反応容器300の長さに沿って長手方向に移動できるように、レール230に沿って又は上に乗っている。トロリー220は、手動で、しかし好ましくは自動的に、任意の個々のケーブル210の張力を調整するケーブル張力調整装置215を含み、容器300の応力を最小化するだけでなく全ての容器接続点での疲労をほぼ均衡するために、一般に、様々なケーブルでの応力を補うための手段を提供する。容器接続点の一例は、溶接、ボルト等によるような任意の従来の方法で容器接続プレート250に固定される下部ケーブルファスナ212である。ケーブル張力調整装置は、当技術分野および文献に公知の市販の荷重軽減または増加装置を備えている。このような張力装置の例としては、電動ラックおよびピニオン装置、電動歯車減速システム、油圧シリンダ、空気加圧シリンダ、電動リフトジャッキなどがある。
【0009】
好ましい張力調整装置215は、図2に示すような空気袋アセンブリであって、1つ以上のトロリー220は、レール230の下に存在する内部下部ボックス225を含む。空気袋226は、上部支持体218に接続されている下端227を有するボックス225内に存在し、ボックス上端228は、トロリー220内に存在する。空気袋は、空気または他のガス、例えば窒素に不浸透性であり、したがって、ゴム、またはポリプロピレンなどの可撓性材料で作られている。空気袋226は、サスペンションケーブル210及びその様々な構成要素だけでなく容器300の重量に応じて、一般に約10から約90psig、望ましくは約15から約60psig、好ましくは約20から約40psigの範囲であり得る空気などの加圧ガスで充填される。ケーブル210の張力に対する荷重が低いと考えられる場合、内部下部ボックス225が上昇し、サスペンションケーブル210に追加の張力をはたらかせるように、空気袋226内の圧力を増加することができる。逆に、ケーブル210の荷重が大きすぎると考えられる場合、ケーブル210の張力が減少するように、その中の空気圧を減少することができる。本明細書を通して述べた通り、容器支持システムの望ましい態様は、全てのケーブルで均衡したほぼ均衡した荷重を達成するために、一般に、各ケーブルの荷重が残りのケーブルと同様であることである。すなわち、様々な1つ以上のトロリーは、独立して(すなわち、少なくとも一部)、および好ましくは全て、ケーブルの張力を増加または減少させることが可能である。
【0010】
図2に示すように、下部ボックス225に取り付けられたフランジ又はタブとすることができる上部支持体218は、前記トロリー上に配置され、望ましくは、個々のケーブル上の圧力を自動的に分析および監視し、コンピュータのような制御装置に読出しを送る監視ロードセルまたはセンサ240にも取り付けられている。したがって、任意の1つ以上の個々の空気袋の圧力は、任意の1つ以上のセンサロードセル上の張力が、例えば、任意の所定の領域において、またはすべての前記ケーブルについて、残りのケーブルのいずれかの他のロードセルセンサと同様になるように調整されることが可能である。これは、フレームワーク100上に配置されることができるコンピュータ(図示せず)が、特定の空気袋に信号を送り、その中の圧力を増加または減少させ、それによって容器の一部を上昇または下降させることによって達成される。
【0011】
容器300および空気袋226の間のケーブル210の初期張力は、ターンバックル(turn buckle)216又は他の同様の装置を通して調整することができる。さらに、サスペンションケーブル210の上端は、ケーブル端部をロードセルに固定するための溶接、ボルト及びU字型クランプの使用等によるように、任意の従来の方法でロードセル又はセンサ240に取り付けられることができる。
【0012】
ケーブル210は、金属棒、金属管等とすることができ、柔軟な鋼のいくつかのストランド(strands)からなる鋼のような金属ケーブルが好ましい。柔軟なケーブル210は、容器300の長手方向軸310に対するその垂直方向の動き(すなわち、横方向および側方)だけでなく、容器300の長手方向の動きを提供する程度まで、望まれる。
【0013】
個々のケーブルにかかる不均一な長手方向および垂直方向(横方向)荷重は、容器300の長手方向に沿って容器300内に位置する溶融材料の不均一な量、容器300の様々な部分の異なる熱温度による不均一な膨張、強い風による容器300の横方向応力などを含む多くの項目によって引き起こされ得る。
【0014】
容器300のそのような長手方向および横方向の動きは、サスペンションシステム200によって個別に、作動的に、および移動可能に容易に管理される。したがって、その様々な場所での容器300の応力は、トロリー装置220及び袋226を介して、最小化、減少、もしくは軽減され、または代わりに、必要に応じて、増加もしくは増幅されることができる。
【0015】
すなわち、空気袋226及び一般にロードセル240を介したトロリー装置220は、任意の特定または複数のケーブルの荷重を均衡および/または最小化し、より均衡した荷重分布を達成するので、ペンダント容器は、それによって容器全体の熱及び機械応力を減少させ、容器300内に溶融廃棄物のより均一なフローを生成し、減少した応力形状を維持する。
【0016】
前述のように、サスペンションケーブル210の少なくとも一部の底又は下端、すなわち独立して、および好ましくは全ての前記ケーブルは、当技術分野および文献に知られている任意の従来の方法で、容器300の長手方向長さの交互の側面に沿った特定の、望ましくは等しい距離で容器300に作動的に接続される。例えば、第1の接続プレートは、容器の左前側に取り付けられ、第2の接続プレートは、第1の接続プレートから下流方向(長手方向)に容器の右側に取り付けられ、残りの接続プレートは、望ましくは、そのようなプレートが反応器の長手方向の長さに沿って互いに直接に反対(横方向)に位置しないように容器に交互に接続されている。そのような交互の接続は、容器の横方向の偏差を調整するのに役立つ。
【0017】
前述のように、本発明のサスペンションシステム200の重要な目的は、その加熱およびその後のクールダウン、すなわち容器の操作終了、温度を操作しているときの変化などの際に、形状を変化するので、容器300に対する均衡した支持を維持することである。容器の底は頂上部よりも加熱されるので、底が容器の頂上よりも大きな距離で膨張するため、「湾曲」、すなわち、わずかに曲がった「U」字形状を有する。ロードセンサ240を介した本発明の容器支持システムは、均衡したシステムを達成するために反応し、それによって、本質的にその中で溶けた廃棄物だけでなく半溶融廃棄物の均一な流速が維持され、円筒形の容器底の幾何学的形状が、正確に直線ではないが、典型的にはその自然の元の形状に向かって適度に曲がるように、様々なケーブルの荷重が最小化され、および/またはケーブルの長さが増加または減少される。また、1つ以上のトロリーは、個別に、レール230上を、容器300の供給方向(長手方向)に沿って前進するか、またはその後方に移動して、一般にケーブルを垂直位置に維持し、その底などの容器の自然の、おおよその、直線形状を達成および/または維持することが可能である。例えば、様々な個々のケーブルの荷重は、多くの場合、個別および作動的に、一般に廃棄物のごく一部のみ蒸発させているので、容器供給口においてより大きくなる。したがって、トロリーの移動は、供給口に位置するケーブルの荷重をさらに調整でき、廃棄物のより直線的な流れもその均一な流速も提供する。したがって、廃棄物の効率的な熱および化学変換が得られる。
【0018】
しかしながら、場合によっては、全てのケーブルのほぼ均衡した荷重が得られないことがある。例えば、その一端で容器300への廃棄供給流410の流入により、前記ケーブルの張力はより高くなる傾向がある。この状況では、容器タンク300内のケーブルの任意の所定領域の追加の荷重が、当該任意の所定領域における追加のケーブルだけでなく元のケーブルによっても等しく支えられるように、吊りケーブル210の数を増加することができ、また増加するべきである。すなわち、各ケーブルにかかる荷重(すなわち重量)は、廃棄供給流領域425内のように、望ましくは、実質的に同じである。用語「実質的に」によって、その上で最も高い張力を有するケーブルと最も低い張力を有するケーブルとの間の差は、前記容器を支持する好ましい平均ケーブル張力の約20または約10または望ましくは約5重量%以内であることを意味する。
【0019】
プラスチック変換容器300は、一般に、空気中に含まれるような酸素を本質的に含まない熱分解容器のような、当技術分野及び文献に知られている任意の化学容器とすることができる。すなわち、容器300の自由体積内の任意の酸素の量は、一般に3体積%未満、望ましくは約2体積%未満、好ましくは少なくとも1体積%、非常に望ましくはゼロであり、任意の空気または酸素を含まない。自由体積は、その中の廃棄物の溶融塊以外の容器300内の蒸気空間によって定義される。好ましいプラスチック変換容器は、RES Polyflow LLCに付与された米国特許10,711,202号に記載されており、その全ての様態を含めて、参照によりここに完全に本明細書に組み込まれるものとする。しかしながら、多くの他のタイプの容器が存在し得ることが理解されよう。
【0020】
容器300は、容器300の全周に実質的に配置されているシュラウド(shroud)360を含む。複数の内壁365は、容器300のシュラウド360を接続し、容器内に加熱ゾーンおよび/または反応ゾーンを形成する。熱は、一般に、内壁365によって分離される容器の各セクション内に存在する標準的または従来の加熱ユニット370を介して容器に供給される。したがって、熱は、一般に、ほぼ円筒形の容器300の円周を移動し、容器の頂上で熱排出チャネル(図示せず)を介してそこから出る。容器300の異なるセクションにおける熱は、一般に、廃棄物425を揮発させ、そこから発生したガスは、図示しない生成物排出チャネルを通って容器から出て行き、そこで図示しない凝縮ユニットに供給され、多くの異なる種類の生成物を形成する。好ましい生成物は、ナフサ、ディーゼルなどの留分、ジェット燃料、重油などの軽油、ワックス、触媒クラッカーフィード、蒸気クラッカーフィードなどの様々な種類の石油生成物を含む。
【0021】
好ましい熱または化学変換容器300は、1つ以上のプラスチックポリマー、または炭化水素系廃棄物425、またはそれらの任意の組み合わせを備える供給原料を含む。そのような廃棄物は、一般に、ペレット、細断された物質などの任意の形状又は形態であることができる。廃棄物425は、プラスチックボトル、コンテナ、シート、家具、袋、ポリマースクラップなどの多くの供給源から得られる。そのような廃棄物は、廃棄供給流410を介して容器入力320に供給され、その後、熱分解反応を含む様々な化学反応を引き起こすために加熱される。米国特許第10,711,202号に記載されているように、容器は、クラッキング(cracking)、再結合、改質、リクラッキング(recracking)などの多くの反応を繰り返し、脂肪族および芳香族化合物を形成するのに役立つ異なる加熱ゾーンを有している。容器は、一般に、熱的または化学的に変換された相当量の化学化合物が、図示しない各加熱ゾーンにおける1つのベントなどの1つまたは複数の生成物排出ベントを介して容器から出る気体の形態となるように、熱風、蒸気、輻射熱、油、または電熱によって高温に加熱される。廃棄移送装置430を介して、容器300に供給される廃棄物は、多くの場合、様々な充填剤、顔料、補強材、粘土、シリカ、アルミナ、タルク、ガラスなどの不活性物質を含むので、それらは一般に容器300内に残り、容器内に位置する螺旋スクリュー440の手段によって容器排出ユニット330を通して除去される。
【0022】
望ましくは、前述のように、容器300に供給される廃棄流は、1つ以上のポリマー、および/または炭化水素系物質とすることができる。本質的に水素および炭素原子のみを含む好ましい廃棄物ポリマーの例としては、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直線低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレンなどが挙げられる。他の適切な市販ポリマーとしては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)コポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ(酸化物)、ポリ(硫酸化物)、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、およびジエン、ビニルエステル、アクリレート、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリロニトリル、二酸、ジオール、またはラクトン、またはそれらの任意の組み合わせの重合によって形成されるポリマーが含まれる。さらに他のポリマーは、前記のブロックコポリマーおよびそれらの合金が含まれる。ポリマー材料はまた、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、架橋ポリウレタン、およびまた架橋エラストマー、例えばポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン、スチレンイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエンおよびこれらのブレンドが含まれるがこれらに限らない、を含むことが可能である。
【0023】
炭化水素系物質の例としては、鉱山からのビチューメン鉱くずを含む様々なビチューメン、様々な重油、グリース、半アスファルト化合物などを含む分別カラムの様々な重質留分が含まれ、本発明により、より軽い成分に還元され、ほとんどが様々なタイプの炭化水素含有ガスである。
【0024】
バイオポリマー、すなわち、持続可能、カーボンニュートラル、または再生可能であるバイオマテリアルは、無限に栽培可能な植物材料から作られるため、利用されない。そのようなバイオポリマーの例としては、食品包装用途の多層シート、農業用フィルム、産業機器ラッピングフィルムなどに使用されるポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などがあるが、これらに限定されるものではない。 他のバイオポリマーとしては、ポリブチレンサクシネート-コ-アジペート(PBSA)、ポリブチレンセバケート-コ-テレフタレート(PBST)、ポリブチレンアジペート-コ-テレフタレート(PBAT)などがある。バイオポリマーのさらに他の例としては、ゴム、スベリン、メラニン、およびリグニンが挙げられる。 利用される場合、バイオポリマーと供給原料の重量に基づく任意の所定の時点での反応器内の供給原料は、本質的にそれを含まない。すなわち、一般に、前記供給原料中に約5重量%未満、望ましくは約3重量%未満、好ましくはゼロ、すなわちバイオポリマーの量はゼロである。
【0025】
プラスチックまたは炭化水素系廃棄物を熱分解するための容器300の起動または開始に関して、容器は加熱され、上述のように、その底部および一般にその中央底部が容器の他の部分よりも膨張するので、容器は変形する。このため、変形した容器中央部の近傍に配置されたサスペンションケーブルに応力が加わる。これを補うために、応力を加えられたサスペンションケーブルのセンサまたはロードセル240は、通常の荷重よりも高い応力の増加を記録し、コンピュータにメッセージを送信する。前述したサスペンションケーブルのより高い応力を感知すると、コンピュータのような制御装置(図示せず)は、トロリー220に信号を送って空気袋226の空気圧を下げ、それによってケーブル張力調整装置224に、容器までの距離を伸ばすことによってその荷重を減らさせる。支持システムの併合されたロードセルは、容器に供給される材料の蓄積または過剰な材料が連続的に監視され得るように、容器の正確な重量も提供する。必要な場合、例えば過剰な廃棄物が加えられた場合、容器内の材料の所望の重量を維持するために、供給速度は、同じように減少または増加することによって調整され得る。これらおよび他の状況に対する応答によって、廃棄物の速度がそこからわずかな変動しかない定常状態に平衡するように、一般に、様々なサスペンションケーブルでの均衡した荷重を得る。言い換えれば、滑らかで、ほぼ均一で、かつ効率的な廃棄物425の移送は、容器300を介して進行する際に達成される。その結果、生成されるナフサ、ガス油、ディーゼル燃料などのような適切な最終使用生成物に廃棄物を変換することに関する容器の使用の最大効率が得られ、そのような廃棄物の適切な処分の問題は改善され、それによって地球への生態学的害の低減が達成される。
【0026】
容器での最小化された応力と同様に、ケーブルの各々にほぼ均衡した荷重を提供するという本発明の上述の態様は、容器の様々な横方向部分への過剰な荷重が、その故障および破損を引き起こすことを防止するのに役立つ。個々のサスペンションケーブル210に適用される管理された荷重はまた、容器内の異なる部分で廃棄物の過度の蓄積を防ぐのに役立ち、そこから所望の及び/又は量の特定のガスの生産に悪影響を与える可能性がある。
【0027】
特許法に従って、最良の態様及び好ましい実施形態が示されたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、むしろ添付の請求項の範囲によって限定されるものである
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]容器を選択的に支持するための支持構造であって、
前記容器の上方に配置されたオーバーヘッドフレームと、
複数のサスペンションケーブルと、
前記オーバーヘッドフレームに取り付けられた1つ以上のトロリー装置であって、前記1つ以上のトロリー装置は、独立して、作動的に、移動可能に前記サスペンションケーブルを前記オーバーヘッドフレームに固定し、前記複数の前記サスペンションケーブルの少なくとも一部は、その上の様々な長手方向の位置で前記容器に作動的に接続され、前記1つ以上のトロリー装置は、前記個々のケーブルの前記張力を独立して増加または減少させることができる、前記トロリー装置と、を備えている支持構造。
[2]前記1つ以上のトロリー装置は、前記1つ以上のケーブルの前記張力を増加または減少させるケーブル張力調整装置を備えている、[1]に記載の支持構造。
[3]前記ケーブル張力調整装置は、その中に圧縮空気を有する空気袋を備え、前記空気袋内の増加した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を増加させ、前記空気袋内の減少した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を減少させる、[2]に記載の支持構造。
[4]前記支持構造は、1つ以上のロードセルを更に備え、それぞれの前記ロードセルは、個々のケーブルの荷重を決定することができ、それぞれのケーブルの荷重は、実質的に同じである、[3]に記載の支持構造。
[5]前記それぞれの1つ以上のロードセルは、前記容器の総荷重を計算する制御装置と通信している、[4]に記載の支持構造。
[6]前記制御装置は、それぞれ、前記個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させるために、前記空気袋内の圧力を増加または減少させるように、個別のトロリーに信号を送ることができる、[5]に記載の支持構造。
[7]前記1つ以上の個々のケーブルの前記張力は、独立して、ターンバックルによって増加または減少させることができる、[1]に記載の支持構造。
[8]前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域における個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれている、[2]に記載の支持構造。
[9]前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域の個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれている、[5]に記載の支持構造。
[10]前記複数の実質的に全ての前記ケーブルでの張力は、実質的に同じである、[5]に記載の支持構造。
[11]前記容器は、プラスチック供給原料変換容器を備えている、[1]に記載の支持構造。
[12]前記容器は、熱容器反応器を備えている、[3]に記載の支持構造。
[13]前記ケーブル調整装置は、下端および上端を有する内部下部ボックスを備え、空気袋はその間に配置されている、[6]に記載の支持構造。
[14]前記ケーブル調整装置は、下端および上端を有する内部下部ボックスを備え、空気袋はその間に配置されている、[13]に記載の支持構造。
[15]オーバーヘッドフレームから容器を支持するためのプロセスであって、
前記フレームで異なる長手方向の位置に、複数のトロリー装置を独立して追加するステップと、
1つ以上のサスペンションケーブルを、それぞれ独立して、前記容器上の異なる位置に動作的に接続するステップと、を備え、
複数のサスペンションケーブルであって、それぞれの前記サスペンションケーブルが独立して異なる前記トロリーに接続される、前記複数のサスペンションケーブルと、
個々のサスペンションケーブルの張力を増加または減少させる、少なくとも1つのケーブル調整装置と、を備えているプロセス。
[16]前記ケーブル調整装置が、その中に圧縮空気を有する空気袋を備え、前記空気袋内の増加した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を増加させ、前記空気袋内の減少した圧力は、それが接続されているサスペンションケーブルの張力を減少させる、[15]に記載のプロセス。
[17]前記ケーブル調整装置が、1つ以上のロードセルを備え、それぞれの前記ロードセルは、個々のケーブルの荷重を決定することができ、それぞれのケーブルの荷重は、実質的に同じである、[16]に記載のプロセス。
[18]前記1つ以上のロードセルの各々は、独立して、前記容器の総荷重を計算する制御装置と通信している、[17]に記載のプロセス。
[19]前記制御装置は、コンピュータである、[18]に記載のプロセス。
[20]前記容器の任意の所定領域に対して、前記所定領域における個々のケーブルでのおおよその張力が実質的に同じになるように、1つ以上のサスペンションケーブルの追加の量が含まれる、[19]に記載のプロセス。
図1
図2