(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】レバー装置及び作業機
(51)【国際特許分類】
G05G 5/06 20060101AFI20240708BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20240708BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20240708BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
G05G5/06
G05G1/04
E02F9/16 B
E02F9/20
(21)【出願番号】P 2023529600
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022015011
(87)【国際公開番号】W WO2022270095
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2021104982
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八田 和之
(72)【発明者】
【氏名】西郡 洋一
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116753(JP,A)
【文献】実開昭57-006627(JP,U)
【文献】実開昭57-005327(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/06
G05G 1/04
E02F 9/16
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース台と、
前記ベース台に設けられた支軸と、
前記支軸に、下げ位置と前記下げ位置から上方に回動した上げ位置とに回動可能に支持された可動ブラケット及びレバーと、
前記可動ブラケットに設けられた少なくとも一つの第1係合部と、
前記レバーに設けられた少なくとも一つの第2係合部と、
前記第1係合部及び前記第2係合部に係合するカム体であって、前記支軸に軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能に装着されたカム体と、
前記カム体を前記第1係合部及び前記第2係合部に係合する方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第1係合部は、前記下げ位置と前記上げ位置とにおいて、前記カム体に係合することで前記可動ブラケットの回動を規制し、
前記第2係合部は、前記レバーを前記下げ位置から上方に回動或いは前記上げ位置から下方に回動させることで、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除すべく前記カム体を前記付勢部材に抗して移動させるレバー装置。
【請求項2】
前記カム体は、前記下げ位置と前記上げ位置とにおいて、前記第1係合部及び前記第2係合部のそれぞれが嵌まる複数の係合溝を有し、
前記第1係合部が嵌まる前記係合溝に、当該第1係合部が当接することで前記可動ブラケットの回動を規制する回動規制面が形成され、
前記第2係合部が嵌まる前記係合溝に、当該第2係合部が前記レバーと一体回動する際に前記カム体を前記付勢部材に抗して移動させるように、当該第2係合部が摺動するカム面が形成されている請求項1に記載のレバー装置。
【請求項3】
前記複数の係合溝は、前記下げ位置において、前記第1係合部が嵌まる第1係合溝と、前記第2係合部が嵌まる第2係合溝と、前記第1係合部及び前記第2係合部が嵌まらない第3係合溝とを含み、
前記上げ位置において、前記第2係合溝に前記第1係合部が嵌まり、前記第3係合溝に前記第2係合部が嵌まる請求項2に記載のレバー装置。
【請求項4】
前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ一対設けられ、
一対の前記第1係合部は、前記支軸の中心を対称点とする点対称位置に配置され、
一対の前記第2係合部は、前記支軸の中心を対称点とする点対称位置に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載のレバー装置。
【請求項5】
前記レバーは、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除する間、前記可動ブラケットに対して相対回動し、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除した後に、前記可動ブラケットと一体回動する請求項1~4のいずれか1項に記載のレバー装置。
【請求項6】
前記可動ブラケットと前記レバーとの一方に形成されたガイド溝と、
前記可動ブラケットと前記レバーとの他方に設けられていて前記ガイド溝に挿入されたピンと、
を備え、
前記ガイド溝は、前記支軸の軸心を中心とする円弧状に形成され、
前記ピンが前記ガイド溝の一端と他端との間を移動する間は前記レバーが前記可動ブラケットに対して相対回動し、前記ピンが前記ガイド溝の一端又は他端にあるときに前記可動ブラケットが前記レバーと一体回動する請求項5に記載のレバー装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のレバー装置を備えている作業機。
【請求項8】
前記レバーは、前記作業機に備えられるアクチュエータを、操作可能状態と操作不能状態とに切り替える操作ロックレバーである請求項7に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー装置及び作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたレバー装置が知られている。
特許文献1に開示されたレバー装置は、固定のベース台に設けられた第1支軸に、可動ブラケットを下げ位置と該下げ位置から上方に回動した上げ位置とに回動可能に支持し、可動ブラケット設けられた第2支軸にレバーを回動可能に支持し、レバーを上げ下げすることにより、可動ブラケットを、下げ位置と上げ位置とに位置変更させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許公開公報「2019-116753号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のレバー装置は、レバーと可動ブラケットとの回動中心が異なるため支軸が二カ所必要であり、また、第1支軸と第2支軸との間に、可動ブラケットを下げ位置と上げ位置とに位置規制すると共にレバーの回動操作で位置規制を解除して可動ブラケットを回動させる機構が必要であるため、サイズが大きいという問題がある。また、高重量であることから、大きな操作力が必要となるという問題もある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、レバー装置の小型化、軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るレバー装置は、ベース台と、前記ベース台に設けられた支軸と、前記支軸に、下げ位置と前記下げ位置から上方に回動した上げ位置とに回動可能に支持された可動ブラケット及びレバーと、前記可動ブラケットに設けられた少なくとも一つの第1係合部と、前記レバーに設けられた少なくとも一つの第2係合部と、前記第1係合部及び前記第2係合部に係合するカム体であって、前記支軸に軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能に装着されたカム体と、前記カム体を前記第1係合部及び前記第2係合部に係合する方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記第1係合部は、前記下げ位置と前記上げ位置とにおいて、前記カム体に係合することで前記可動ブラケットの回動を規制し、前記第2係合部は、前記レバーを前記下げ位置から上方に回動或いは前記上げ位置から下方に回動させることで、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除すべく前記カム体を前記付勢部材に抗して移動させる。
【0007】
また、前記カム体は、前記下げ位置と前記上げ位置とにおいて、前記第1係合部及び前記第2係合部のそれぞれが嵌まる複数の係合溝を有し、前記第1係合部が嵌まる前記係合溝に、当該第1係合部が当接することで前記可動ブラケットの回動を規制する回動規制面が形成され、前記第2係合部が嵌まる前記係合溝に、当該第2係合部が前記レバーと一体回動する際に前記カム体を前記付勢部材に抗して移動させるように、当該第2係合部が摺動するカム面が形成されている。
【0008】
また、前記複数の係合溝は、前記下げ位置において、前記第1係合部が嵌まる第1係合溝と、前記第2係合部が嵌まる第2係合溝と、前記第1係合部及び前記第2係合部が嵌まらない第3係合溝とを含み、前記上げ位置において、前記第2係合溝に前記第1係合部が嵌まり、前記第3係合溝に前記第2係合部が嵌まる。
また、前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ一対設けられ、一対の前記第1係合部は、前記支軸の中心を対称点とする点対称位置に配置され、一対の前記第2係合部は、前記支軸の中心を対称点とする点対称位置に配置されている。
【0009】
また、前記レバーは、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除する間、前記可動ブラケットに対して相対回動し、前記第1係合部と前記カム体との前記係合を解除した後に、前記可動ブラケットと一体回動する。
また、前記レバー装置は、前記可動ブラケットと前記レバーとの一方に形成されたガイド溝と、前記可動ブラケットと前記レバーとの他方に設けられていて前記ガイド溝に挿入されたピンと、を備え、前記ガイド溝は、前記支軸の軸心を中心とする円弧状に形成され、前記ピンが前記ガイド溝の一端と他端との間を移動する間は前記レバーが前記可動ブラケットに対して相対回動し、前記ピンが前記ガイド溝の一端又は他端にあるときに前記可動ブラケットが前記レバーと一体回動する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る作業機は、前記レバー装置を備えている。
また、前記レバーは、前記作業機に備えられるアクチュエータを、操作可能状態と操作不能状態とに切り替える操作ロックレバーである。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成によれば、可動ブラケット及びレバーを支軸に回動可能に支持し、可動ブラケットに第1係合部を設けると共にレバーに第2係合部を設け、これら第1係合部及び第2係合部が係脱するカム体を支軸に装着することによって、可動ブラケットを下げ位置と上げ位置とに位置規制すると共にレバーの回動操作で位置規制を解除して可動ブラケットを回動させる機構を構成しているので、レバー装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3A】レバー装置を正面側からみた斜視図である。
【
図3B】レバー装置を背面側からみた斜視図である。
【
図4B】下げ位置から上げ位置へのピンの移動を示す側面図である。
【
図5B】上げ位置から下げ位置へのピンの移動を示す側面図である。
【
図6】ベース台と可動ブラケットとの関係を示す背面左斜視図である。
【
図7】ベース台と可動ブラケットとの関係を示す背面右斜視図である。
【
図8】可動ブラケットとレバーとの関係を示す左側方斜視図である。
【
図9】可動ブラケットとレバーとの関係を示す右側方斜視図である。
【
図11】下げ位置におけるカム体、第1係合部及び第2係合部の側面図である。
【
図14】上げ位置におけるカム体、第1係合部及び第2係合部の側面図である。図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図1に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6が搭載されている。
【0014】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(
図1の矢印A1方向)を前方(機体前方)、オペレータの後側に向かう方向(
図1の矢印A2方向)を後方(機体後方)、
図1の矢印K1方向を前後方向(機体前後方向)として説明する。また、オペレータの左側に向かう方向(
図1の手前側)を左方、オペレータの右側に向かう方向(
図1の奥側)を右方として説明する。
【0015】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。つまり、機体幅方向外方は、機体2の幅方向の中心から機体幅方向に離れる方向である。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。つまり、機体幅方向内方は、機体幅方向において機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0016】
図1に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持するクローラ式の走行装置であって、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。本実施形態ではクローラ式の走行装置3を用いているが、これに限らず、ホイール式等の走行装置を用いてもよい。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されるドーザシリンダによって駆動可能である。
【0017】
図1に示すように、機体2は、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して上下方向に延伸する軸心である旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。また、機体2は、前部に、作業装置4を支持する支持ブラケット9及びスイングブラケット10を有している。支持ブラケット9は、機体2から前方に突出状に設けられている。スイングブラケット10は、支持ブラケット9の前部に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに揺動可能に取り付けられている。
【0018】
図1に示すように、作業装置4は、ブーム11、アーム12及びバケット13を有している。ブーム11の基部は、スイングブラケット10の上部に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。アーム12は、ブーム11の先端側に横軸回りに回動可能に枢着されている。バケット13は、アーム12の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。スクイ動作とは、バケット13をブーム11に近づける方向に揺動させる動作であり、例えば、土砂等を掬う場合の動作である。また、ダンプ動作とは、バケット13をブーム11から遠ざける方向に揺動させる動作であり、例えば、掬った土砂等を落下(排出)させる場合の動作である。
【0019】
作業機1は、バケット13に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
スイングブラケット10は、図示しないスイングシリンダの伸縮によって揺動可能とされている。ブーム11は、ブームシリンダC2の伸縮によって揺動可能とされている。アーム12は、アームシリンダC3の伸縮によって揺動可能とされている。バケット13は、バケットシリンダC4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作可能とされている。スイングシリンダ、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0020】
図1に示すように、機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、ガソリンエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。機体2の原動機E1より前方側には、運転席6、運転席6の前方に配置された走行レバー16、運転席6の左側に配置された操縦装置(左操縦装置)17L及び右側に配置された操縦装置(右操縦装置)17R等、を含む運転部18が搭載されている。走行レバー16は、走行装置3を操作する操作部材である。操縦装置17L,17Rは、例えば、ブーム11の揺動操作、アーム12の揺動操作、バケット13のスクイ動作及びダンプ動作の操作、機体2の旋回操作等を行う装置である。機体2の上面側且つ運転席6の前方側には、床面を構成するステップ21が設けられている。
【0021】
図2、
図3Aに示すように、運転席6の左方に配置された左操縦装置17Lは、コンソールカバー66、操縦レバー(左操縦レバー)67L、リモコン弁68、アームレスト69L及びレバー装置70を有している。
コンソールカバー66は、第1カバー66Aと、第2カバー66Bとを有している。左操縦レバー67Lは、左操縦装置17Lの前部且つ上部に配置され、前方及び後方と左方及び右方に傾動操作可能である。リモコン弁68は、左操縦レバー67Lで操作されるパイロット弁であり、左操縦レバー67Lの下方に配置されている。リモコン弁68は、第1カバー66A内に収容されている。アームレスト69Lは、オペレータの肘等を置く部材であり、左操縦レバー67Lの後方に配置されている。
【0022】
レバー装置70は、
図3A、
図3Bに示すように、ベース台71、可動ブラケット72及びレバー73を含む。
図2に示すように、ベース台71及び可動ブラケット72は、コンソールカバー66で覆われている。第1カバー66Aは、可動ブラケット72等を覆い、可動ブラケット72と共に回動する。レバー73は、コンソールカバー66から前方側に突出している。
【0023】
図2に示すように、運転席6の右方に配置された右操縦装置17Rは、コンソールカバー74、操縦レバー(右操縦レバー)67R、リモコン弁(図示省略)、アームレスト69R、ドーザレバー75及び複数のスイッチ76を有している。
コンソールカバー74は、右操縦装置17Rのフレームを覆うカバーである。右操縦装置17Rのフレームは、機体2側に取り付けられている。右操縦レバー67Rは、右操縦装置17Rの前部且つ上部に配置され、前方及び後方と左方及び右方に傾動操作可能である。リモコン弁は、右操縦レバー67Rで操作されるパイロット弁であり、右操縦レバー67Rの下方に配置され、コンソールカバー74で覆われている。アームレスト69Rは、オペレータの肘等を置く部材であり、右操縦レバー67Rの後方に配置されている。ドーザレバー75は、ドーザ装置7を操作するレバーである。複数のスイッチ76は、コンソールカバー74の上面側に配置され、作業機1に装備された各種機器を操作するスイッチである。
【0024】
左操縦レバー67L(リモコン弁68)は、作業機1に装備された2つの操作対象(油圧アクチュエータ)を操作可能である。例えば、左操縦レバー67Lは、機体2を旋回させる旋回モータを操作可能(機体2を旋回操作可能)であり且つアームシリンダC3を操作可能(アーム12を揺動操作可能)である。
右操縦レバー67Rも、作業機1に装備された2つの操作対象(油圧アクチュエータ)を操作可能である。例えば、右操縦レバー67Rは、ブームシリンダC2を操作可能(ブーム11を揺動操作可能)であり且つバケットシリンダC4を操作可能(バケット13を揺動操作可能)である。
【0025】
次に、本実施形態のレバー装置70について、先ず概略的に説明する。
前記レバー73は作業機1の油圧アクチュエータを操作可能状態と操作不能状態とに切り替えるアンロードレバー(操作ロックレバー)であり、レバー装置70は当該アンロードレバーを備えたアンロードレバー装置(操作ロックレバー装置)である。そのため、以下、レバー装置70がアンロードレバー装置であり、レバー73がアンロードレバーであるとして説明するが、レバー装置70はアンロードレバー装置に限定されず、レバー73はアンロードレバーには限定されない。例えば、レバー73は、上述した油圧アクチュエータに代えて、或いは上述した油圧アクチュエータに加えて作業機1に備えられる電動アクチュエータ(図示せず)を操作可能状態と操作不能状態とに切り替える操作ロックレバーであってもよい。また、レバー73は、作業機1に備えられるアクチュエータの動作を制御する制御装置に対して当該アクチュエータを操作可能状態と操作不能状態とに切り替えさせるための信号を出力する操作ロックレバーであってもよい。また、レバー73は、アクチュエータの操作ロックを行うための用途に限らず、他の用途に用いられるものであってもよい。
【0026】
図4Aに示すように、ベース台71は、機体2に取り付けられて固定された部材90に取り付けられる。アンロードレバー73及び可動ブラケット72は、ベース台71に取り付けられた支軸77に、軸心回りに回動可能に支持されている。支軸77は、ベース台71に回動不能に取り付けられている。可動ブラケット72には、左操縦レバー67L、リモコン弁68及びアームレスト69Lが取り付けられている。
【0027】
アンロードレバー73及び可動ブラケット72は、
図4Aに示す下げ位置P1と、下げ位置P1から支軸77回りに上方に回動した、
図5Aに示す上げ位置P2とに位置変更可能である。上げ位置P2では、例えば、作業装置4(ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4)及び機体2(旋回モータ)が操作不能であり、下げ位置P1にすると、作業装置4の操作及び機体2の旋回操作が可能となる。
【0028】
なお、上げ位置P2において、作業機1の全ての或いは主要な油圧アクチュエータ(ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4、スイングシリンダ、ドーザシリンダ、走行モータM1、旋回モータ、及びサービスポートに着脱可能に接続される油圧アクチュエータ等)について操作不能、つまり、作動油を供給しないようにしてもよい。
【0029】
以下の説明において、アンロードレバー73及び可動ブラケット72が下げ位置P1から上方に回動する方向(
図4Aに矢印D1で示す方向)を上げ方向D1といい、アンロードレバー73及び可動ブラケット72が上げ位置P2から下方に回動する方向(
図5Bに矢印D2で示す方向)を下げ方向D2という。
次に、アンロードレバー装置70について詳細に説明する。
図3A、
図3B、
図3Cに示すように、アンロードレバー装置70は、上述したベース台71、可動ブラケット72、アンロードレバー73及び支軸77のほか、位置規制部材78、付勢体79、検出スイッチ80、カム体81を含む。
【0030】
図6、
図7に示すように、ベース台71は、板材によって形成され、左側の壁部である第1側壁71Lと、右側の壁部である第2側壁71Rと、第1側壁71Lと第2側壁71Rとを下部側で連結する連結板71Aとを有している。連結板71Aが、機体2に固定された部材90に取り付けられる。第1側壁71Lと第2側壁71Rとにわたって支軸77が設けられている。支軸77は、第1側壁71L及び第2側壁71Rに支持されると共に第1側壁71Lに取り付けられてベース台71に固定されている。第1側壁71Lの上部には、第1枢支部71Bが設けられている。第2側壁71Rの内面側(第1側壁71Lとの対向側)に取付ステー71Cが固定され、この取付ステー71Cに位置規制部材78が取り付けられている。第2側壁71Rにおける支軸77の下方側には、支軸77の軸心を中心とする円弧状の挿通溝71Dが形成されている。
【0031】
図4Aに示すように、可動ブラケット72は、下げ位置P1において、ベース台71の上部から前方に突出するようにベース台71側に支持されている。可動ブラケット72の前部には、リモコン弁68が取り付けられるバルブ取付部82と、アームレスト69Lが取り付けられる取付ステー83とが設けられている。
図6、
図7に示すように、可動ブラケット72は、板材によって形成され、左側の壁部である第1壁部72Lと、右側の壁部である第2壁部72Rと、第1壁部72Lと第2壁部72Rとを連結する一対の連結ステー72A、72Bとを有している。第1壁部72Lの後部は、第1側壁71Lの上部の内側に配置され、第2壁部72Rの後部は、第2側壁71Rの内側に配置されている。第1壁部72Lと第2壁部72Rとにわたって支軸77が挿通されている。第1壁部72Lは、該第1壁部72Lを貫通し且つ該第1壁部72Lに溶接等によって固定されたボス部72Cを介して支軸77に軸心回りに回動可能に支持されている。第2壁部72Rの外側(第1壁部72Lの対向側とは反対側)には、軸受け部材84が取り付けられている。第2壁部72Rは、軸受け部材84を介して支軸77に軸心回りに回動可能に支持されている。軸受け部材84を取り付ける二つのボルトのうち一方のボルト84Aの頭部は、挿通溝71Dに挿通され且つ可動ブラケット72の支軸77回りの可動に伴って挿通溝71D内を移動可能である。
【0032】
図7に示すように、一対の連結ステー72A、72Bは、可動ブラケット72の後部側に、支軸77を挟むように配置され且つ第1壁部72Lと第2壁部72Rとにわたって設けられている。各連結ステー72A、72Bには、それぞれ第1係合部86が設けられている。つまり、本実施形態では、第1係合部86は一対設けられている。なお、第1係合部86は、一つでもよい。言い換えると、第1係合部86は、少なくとも一つあればよい。一対の第1係合部86は、
図11に示すように、支軸77の中心(軸心X2)を対称点とする点対称位置に配置されている。第1係合部86は、連結ステー72A、72Bに固定された軸部86Aと、軸部86Aの外側に該軸部86Aの軸心回りに回動自在に嵌められたローラ86Bとを有している。軸部86Aは、連結ステー72A、72Bから支軸77に向けて突出するように連結ステー72A、72Bに固定されている。ローラ86Bは、筒状に形成され、連結ステー72A、72Bと支軸77との間で、軸部86Aに嵌められている。
【0033】
図6、
図7に示すように、第1壁部72Lの後部且つ上部には、支軸77の軸心を中心とする円弧状のガイド溝72Dが形成されている。第2壁部72Rの後部には当接部材72Eが固定されている。当接部材72Eは、可動ブラケット72を上げ位置P2に回動したときに、ベース台71に設けられた位置規制部材78に当接して、可動ブラケット72の上げ方向D1の回動を規制する。
図6に示すように、第1壁部72Lの前部には、第2枢支部72Fが設けられている。
【0034】
図8、
図9に示すように、アンロードレバー73は、レバー本体73Aと、レバー基部73Bと、当接ステー73Cと、ピン73Dとを有している。レバー本体73Aの基部73aは、レバー基部73Bに形成された切欠き溝73bに挿入されて該レバー基部73Bに溶接等によって固定されている。レバー本体73Aの基部73aの下面側に当接ステー73Cが固定されている。レバー基部73Bは、可動ブラケット72の第1壁部72Lの内側に配置されている。レバー基部73Bは、該レバー基部73Bを貫通し且つ該レバー基部73Bに溶接等によって固定されたボス部73Eを介して支軸77に軸心回りに回動可能に支持されている(
図10参照)。
【0035】
図9に示すように、レバー基部73Bには、第1壁部72Lとは反対側の面に一対の支持ステー87A、87Bが固定されている。一対の支持ステー87A、87Bは、支軸77を挟むように設けられている。各支持ステー87A、87Bには、それぞれ第2係合部88が設けられている。つまり、本実施形態では、第2係合部88は一対設けられている。なお、第2係合部88は、一つでもよい。言い換えると、第2係合部88は、少なくとも一つあればよい。一対の第2係合部88は、
図11に示すように、支軸77の中心(軸心)を対称点とする点対称位置に配置されている。第2係合部88は、支持ステー87A、87Bに固定された軸部88Aと、軸部88Aの外側に該軸部88Aの軸心回りに回動自在に嵌められたローラ88Bとを有している。軸部88Aは、支持ステー87A、87Bから支軸77に向けて突出するように支持ステー87A、87Bに固定されている。ローラ88Bは、筒状に形成され、支持ステー87A、87Bと支軸77との間で、軸部88Aに嵌められている。一対の第1係合部86(ローラ86B)及び一対の第2係合部88(ローラ88B)は、支軸77の軸心X2を中心とする同一円周上に配置されている(
図11参照)。
【0036】
図4B、
図8に示すように、ピン73Dは、第1壁部72Lに形成されたガイド溝72Dを挿通している。ピン73Dは、アンロードレバー73の支軸77回りの回動に伴ってガイド溝72Dの一端72Daと他端72Dbとの間を移動可能である。
なお、ピン73Dを第1壁部72Lに設け、ガイド溝72Dをアンロードレバー73側に形成してもよい。
【0037】
図4A、
図6に示すように、付勢体79は、ガススプリングによって構成されている。付勢体79は、一端側が第1枢支部71Bに枢支され、他端側が第2枢支部72Fに枢支されている。したがって、付勢体79は、可動ブラケット72を上げ方向D1に付勢している。
検出スイッチ80は、アンロードレバー73(及び可動ブラケット72)が下げ位置P1の状態か、下げ位置P1から上方に回動した状態であるかを検出するセンサである。
図3Aに示すように、検出スイッチ80は、ベース台71の前部の第1側壁71L寄りに配置され、ベース台71に取り付けられている。下げ位置P1において、アンロードレバー73に設けられた当接ステー73Cが検出スイッチ80の接触子を押圧することで、アンロードレバー73が下げ位置P1に在ることが検出される。また、下げ位置P1からアンロードレバー73を上げ方向D1に回動して当接ステー73Cによる接触子の押圧が解除されると、アンロードレバー73下げ位置P1から上方に回動した状態であることが検出される。
【0038】
図10に示すように、カム体81は、レバー基部73Bと第2壁部72Rとの間で、支軸77に軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能に装着されている。詳しくは、カム体81の中心側の中心壁81Aには、支軸77に挿通される挿通孔81Bが軸心方向(機体幅方向)に貫通して形成されている。挿通孔81Bの内周面には、挿入溝81Cがカム体81の軸心方向にわたって形成されている。挿入溝81Cには、支軸77に形成されたキー溝77Aに嵌まるキー89が挿入されている。これによって、カム体81は、支軸77に対して、軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能とされている。なお、カム体81を、支軸77に対して、軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能とするのに、キー結合に限定されることはない。例えば、カム体81の第2壁部72R側の端面(右端面)81Dから支軸77に沿ってスライド板を突出すると共に、第2壁部72Rからも支軸77に沿ってスライド板を突出し、これらスライド板の板面同士を摺動可能に当接させることにより、支軸77に対して、カム体81が、軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能となるように構成してもよい。また、支軸77とカム体81の中心壁81Aとをスプライン結合することによって、支軸77に対して、カム体81が、軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能となるように構成してもよい。
【0039】
カム体81は、円筒の端面の外周側に溝をつくって形成された端面カムによって構成されている。カム体81に形成された溝(係合溝91)は複数あり、複数の係合溝91は、カム体81の外周壁81Eのレバー基部73Bを向く側(左側)に形成されている。複数の係合溝91には、第1係合部86、第2係合部88が嵌まる(係合する)。
図11は、下げ位置P1で第1係合部86及び第2係合部88が係合されているカム体81の側面を示し、
図12は、上げ位置P2で第1係合部86及び第2係合部88が係合されているカム体81の側面を示す。
図11、
図12に示すように、複数の係合溝91に第1係合部86(ローラ)及び第2係合部88(ローラ)が嵌まる。つまり、カム体81は、下げ位置P1と上げ位置P2とにおいて、第1係合部86及び第2係合部88のそれぞれが嵌まる複数の係合溝91を有している。
【0040】
図11に示すように、複数の係合溝91は、第1係合溝91Aと、第2係合溝91Bと、第3係合溝91Cとを含む。第1係合溝91A、第2係合溝91B及び第3係合溝91Cは、一対の第1係合部86と一対の第2係合部88に対応して、それぞれ一対形成されている。したがって、第1係合部86と第2係合部88とが一つの場合は、第1係合溝91A、第2係合溝91B及び第3係合溝91Cは、それぞれ一つずつ形成される。
【0041】
図11に示すように、下げ位置P1においては、第1係合溝91Aに第1係合部86(ローラ86B)が嵌まり、第2係合溝91Bに第2係合部88(ローラ88B)が嵌まり、第3係合溝91Cには、第1係合部86(ローラ86B)及び第2係合部88(ローラ88B)のいずれも嵌まらない。また、
図14に示すように、上げ位置P2においては、第1係合溝91Aには、第1係合部86(ローラ86B)及び第2係合部88(ローラ88B)のいずれも嵌まらず、第2係合溝91Bに第1係合部86(ローラ86B)が嵌まり、第3係合溝91Cに第2係合部88(ローラ88B)が嵌まる。したがって、第2係合溝91Bは、第1係合部86が嵌まる係合溝と第2係合部88が嵌まる係合溝とに兼用されている。一部の係合溝を共通化することにより、カム体81(アンロードレバー装置70)の小型化、簡素化を図ることができる。なお、これに限定されることはなく、上げ位置P2において、第1係合部86が嵌まる係合溝を第2係合溝91Bとは別に形成してもよい。言い換えると、一つの第1係合部86に対して係合溝を二つ形成し、一つの第2係合部88に対して係合溝を二つ形成してもよい。つまり、本実施形態では、一つの第1係合部86及び一つの第2係合部88に対して係合溝は3つ形成されているが、一つの第1係合部86及び一つの第2係合部88に対して係合溝は4つ形成されてもよい。
【0042】
図10に示すように、カム体81と第2壁部72Rとの間には、カム体81を第1係合部86及び第2係合部88に係合する方向に付勢する付勢部材92が設けられている。詳しくは、付勢部材92は、コイルスプリングによって構成され、支軸77の外周側を取り巻くように配置されている。本実施形態では、付勢部材92(コイルスプリング)は、カム体81の端面81Dと軸受け部材84との間に圧縮状に配置され、一端がカム体81の端面81Dに当接し、他端が軸受け部材84に当接されている。なお、付勢部材92の他端は、第2壁部72Rに当接させてもよい。
【0043】
図12に示すように、下げ位置P1において、第1係合部86の上げ方向D1の端部86aが係合(当接)する第1係合溝91Aの係合面(第1係合面91a)は、可動ブラケット72を強制的に上げ方向D1に回動させようとしても可動ブラケット72を回動させない(第1係合部86を第1係合溝91Aから離脱させない)回動規制面93とされている。つまり、回動規制面93は、可動ブラケット72の回動を規制する面である。言い換えると、第1係合部86は、下げ位置P1において、カム体81(第1係合溝91A)に係合することで可動ブラケット72の上げ方向D1の回動を規制する。回動規制面93は、カム体81の周方向に直交する面、或いは、上げ方向D1に向かうにつれて溝の開口側に移行する傾斜面であって、可動ブラケット72(第1係合部86)の回動を阻止することができる角度に傾斜した面である。なお、第1係合溝91Aの第1係合面91aとは反対側(カム体81の周方向の反対側)の係合面(第2係合面91b)も回動規制面93とされている。
【0044】
図13に示すように、下げ位置P1において、第2係合部88の上げ方向D1の端部88aが係合(当接)する第2係合溝91Bの係合面(第3係合面91c)は、アンロードレバー73を上げ方向D1に回動したときに第2係合部88が摺動することでカム体81を付勢部材92の付勢力に抗して移動させることができるカム面94とされている。カム面94は、上げ方向D1に向かうにつれて溝の開口側に移行する傾斜面であって、アンロードレバー73を回動させて第2係合部88を押しつけることにより、カム体81を付勢部材92の付勢力に抗して移動させることができる緩やかな傾斜角度の傾斜面である。本実施形態では、カム面94の傾斜角度は、限定されることはないが、例えば、略45°に設定される。第2係合溝91Bの第3係合面91cとは反対側(カム体81の周方向の反対側)の係合面(第4係合面91d)は回動規制面93とされている。
【0045】
即ち、第1係合部86が嵌まる係合溝91に、当該第1係合部86が当接することで可動ブラケット72の回動を規制する回動規制面93が形成され、第2係合部88が嵌まる係合溝91に、当該第2係合部88がアンロードレバー73と一体回動する際にカム体81を付勢部材92に抗して移動させるように、当該第2係合部88が摺動するカム面94が形成されている。
【0046】
本実施形態のアンロードレバー装置70にあっては、可動ブラケット72及びアンロードレバー73が下げ位置P1にあるときには、
図12に示すように、第2係合面91b(回動規制面93)に第1係合部86が係合することよって可動ブラケット72の下方への回動が規制され、
図13に示すように、第4係合面91d(回動規制面93)に第2係合部88が係合することによってアンロードレバー73の下方への回動が規制される。これによって、可動ブラケット72及びアンロードレバー73の下げ位置P1から下方への回動が規制されている。
【0047】
図4Aに示す下げ位置P1からアンロードレバー73を上げ方向D1に回動すると、
図13に示すように、第2係合部88が第2係合溝91Bの第3係合面91c(カム面94)を上げ方向D1に摺動し、カム体81を矢示Y1方向に移動させる(
図13の2点鎖線参照)。一方、
図12に示すように、下げ位置P1では、第1係合部86が第1係合溝91Aの回動規制面93(第1係合面91a)に係合(当接)していて可動ブラケット72は回動しないことから、アンロードレバー73は、下げ位置P1から上方に回動する際に、可動ブラケット72に対して相対回動する。詳しくは、アンロードレバー73が下げ位置P1に在るときには、
図4Bの左側の図に示すように、ピン73Dがガイド溝72Dの一端72Daに在り、アンロードレバー73が下げ位置P1から上方に回動するのに伴って、
図4Bの右側の図に示すように、ピン73Dがガイド溝72Dの他端72Dbに移動する。これによって、アンロードレバー73が可動ブラケット72に対して相対回動する。
【0048】
第2係合部88が第2係合溝91Bから離脱してカム体81の左側の端面に乗り上げると、
図12に2点鎖線で示すように、第1係合溝91Aが第1係合部86から離脱し、第1係合部86と第1係合溝91Aとの係合が解除される。第1係合部86と第1係合溝91Aとの係合が解除されると、可動ブラケット72が上げ方向D1に回動可能となる。また、第1係合部86と第1係合溝91Aとの係合が解除された状態で、ピン73Dはガイド溝72Dの他端72Dbに位置する。
【0049】
即ち、アンロードレバー73は、第1係合部86とカム体81(第1係合溝91A)との係合を解除する間、可動ブラケット72に対して相対回動し、第1係合部86とカム体81との係合を解除した後に、可動ブラケット72と一体回動する。
アンロードレバー73を下げ位置P1から上げ方向D1に回動して可動ブラケット72を上げ位置P2に回動させる場合、アンロードレバー73によって可動ブラケット72を回動させるようにしてもよいが、本実施形態では、可動ブラケット72が下げ位置P1から上げ位置P2に回動する場合、可動ブラケット72はガススプリング79の付勢力によって上げ方向D1に回動する。
【0050】
アンロードレバー73及び可動ブラケット72が上げ位置P2に回動すると、
図14に示すように、第1係合部86が第2係合溝91Bに嵌まり、第2係合部88が第3係合溝91Cに嵌まる。また、上げ位置P2では、当接部材72Eが位置規制部材78に当接することにより可動ブラケット72の上げ方向D1への回動が規制され、ピン73Dがガイド溝72Dの他端72Dbに在ることからアンロードレバー73の上げ方向D1への回動が規制される。
【0051】
図15に示すように、上げ位置P2では、第1係合部86が第4係合面91d(回動規制面93)に係合(当接)し、可動ブラケット72を下げ方向D2に回動させようとしても、可動ブラケット72は回動しない。
図16に示すように、第2係合部88の下げ方向D2の端部88bが係合(当接)する第3係合溝91Cの係合面(第5係合面91e)は、カム面94に形成されている。この第3係合溝91Cのカム面94は、下げ方向D2に向かうにつれて溝の開口側に移行する傾斜面であって、アンロードレバー73を強制的に回動させて第2係合部88を押しつけることにより、カム体81を付勢部材92の付勢力に抗して移動させることができる緩やかな傾斜角度の傾斜面である。第3係合溝91Cの第5係合面91eとは反対側(カム体81の周方向の反対側)の係合面(第46合面91f)は回動規制面93とされている。
【0052】
アンロードレバー73を上げ位置P2から下げ方向D2に回動すると、
図16に示すように、第2係合部88が第3係合溝91Cの第5係合面91e(カム面94)を下げ方向D2に摺動し、カム体81を矢示Y1方向に移動させる(
図16の2点鎖線参照)。
一方、
図15に示すように、上げ位置P2では、第1係合部86が第2係合溝91Bの第4係合面91d(回動規制面93)に係合(当接)していて可動ブラケット72は回動しないことから、アンロードレバー73は、上げ位置P2から下方に回動する際に、可動ブラケット72に対して相対回動する。詳しくは、アンロードレバー73が上げ位置P2に在るときには、
図5Bの左側の図に示すように、ピン73Dがガイド溝72Dの他端72Dbに在り、アンロードレバー73が上げ位置P2から下方に回動するのに伴ってピン73Dがガイド溝72Dの一端72Daに移動する(
図5Bの右側の図を参照)。これによって、アンロードレバー73が可動ブラケット72に対して相対回動する。
【0053】
第2係合部88が第3係合溝91Cから離脱してカム体81の左側の端面に乗り上げると、
図15に2点鎖線で示すように、第2係合溝91Bが第1係合部86から離脱し、第1係合部86と第2係合溝91Bとの係合が解除される。第1係合部86と第2係合溝91Bとの係合が解除されると、可動ブラケット72が下げ方向D2に回動可能となる。即ち、アンロードレバー73は、第1係合部86とカム体81(第2係合溝91B)との係合を解除する間、可動ブラケット72に対して相対回動し、第1係合部86とカム体81との係合を解除した後に、可動ブラケット72と一体回動する。
【0054】
アンロードレバー73を下げ位置P1から上げ方向D1に回動して可動ブラケット72を上げ位置P2に回動させる場合は、可動ブラケット72はガススプリング79の付勢力によって上げ方向D1に回動するが、アンロードレバー73を上げ位置P2から下げ方に回動して可動ブラケット72を下げ位置P1に回動させる場合は、アンロードレバー73によって可動ブラケット72を回動させる。即ち、アンロードレバー73を下方に回動させる力は、ピン73Dを介して可動ブラケット72に伝わり、ガススプリング79の付勢力に抗して可動ブラケット72を押し下げる。
【0055】
本実施形態では、可動ブラケット72及びアンロードレバー73を一本の支軸77に回動可能に支持し、可動ブラケット72に設けた第1係合部86及びアンロードレバー73に設けた第2係合部88が係脱するカム体81を支軸77に装着することによって、可動ブラケット72を下げ位置P1と上げ位置P2とに位置規制すると共にアンロードレバー73の回動操作で前記位置規制を解除して可動ブラケット72を回動させる機構を構成しているので、アンロードレバー装置(レバー装置)70の小型化、軽量化を図ることができる。それ故、ガススプリング79の付勢力も小さくてすみ、アンロードレバー73の操作力を小さくすることができる。
【0056】
本実施形態のレバー装置(アンロードレバー装置)70は、ベース台71と、ベース台71に設けられた支軸77と、支軸77に、下げ位置P1と下げ位置P1から上方に回動した上げ位置P2とに回動可能に支持された可動ブラケット72及びレバー73と、可動ブラケット72に設けられた少なくとも一つの第1係合部86と、レバー73に設けられた少なくとも一つの第2係合部88と、第1係合部86及び第2係合部88に係合するカム体81であって、支軸77に軸心回りに回動不能で且つ軸心方向に移動可能に装着されたカム体81と、カム体81を第1係合部86及び第2係合部88に係合する方向に付勢する付勢部材92と、を備え、第1係合部86は、下げ位置P1と上げ位置P2とにおいて、カム体81に係合することで可動ブラケット72の回動を規制し、第2係合部88は、レバー73を下げ位置P1から上方に回動或いは上げ位置P2から下方に回動させることで、第1係合部86とカム体81との係合を解除すべくカム体81を付勢部材92に抗して移動させる。
【0057】
これによれば、可動ブラケット72及びレバー73を支軸77に回動可能に支持し、可動ブラケット72に第1係合部86を設けると共にレバー73に第2係合部88を設け、これら第1係合部86及び第2係合部88が係脱するカム体81を支軸77に装着することによって、可動ブラケット72を下げ位置P1と上げ位置P2とに位置規制すると共にレバー73の回動操作で位置規制を解除して可動ブラケット72を回動させる機構を構成しているので、レバー装置70の小型化、軽量化を図ることができる。
【0058】
また、カム体81は、下げ位置P1と上げ位置P2とにおいて、第1係合部86及び第2係合部88のそれぞれが嵌まる複数の係合溝91を有し、第1係合部86が嵌まる係合溝91に、当該第1係合部86が当接することで可動ブラケット72の回動を規制する回動規制面93が形成され、第2係合部88が嵌まる係合溝91に、当該第2係合部88がレバー73と一体回動する際にカム体81を付勢部材92に抗して移動させるように、当該第2係合部88が摺動するカム面94が形成されている。
【0059】
これによれば、可動ブラケット72を下げ位置P1と上げ位置P2とに位置規制できると共にレバー73の回動操作で位置規制を解除して可動ブラケット72を回動させることができる機構を、簡単に構成できると共にコンパクトに構成することができる。
また、複数の係合溝91は、下げ位置P1において、第1係合部86が嵌まる第1係合溝91Aと、第2係合部88が嵌まる第2係合溝91Bと、第1係合部86及び第2係合部88が嵌まらない第3係合溝91Cとを含み、上げ位置P2において、第2係合溝91Bに第1係合部86が嵌まり、第3係合溝91Cに第2係合部88が嵌まる。
【0060】
これによれば、一部の係合溝91を共通化することにより、カム体81の小型化、簡素化を図ることができる。
また、第1係合部86及び第2係合部88は、それぞれ一対設けられ、一対の第1係合部86は、支軸77の中心X2を対称点とする点対称位置に配置され、一対の第2係合部88は、支軸77の中心を対称点とする点対称位置に配置されている。
【0061】
これによれば、可動ブラケット72及びレバー73を安定的に回動させることができる。
また、レバー73は、第1係合部86とカム体81との係合を解除する間、可動ブラケット72に対して相対回動し、第1係合部86とカム体81との係合を解除した後に、可動ブラケット72と一体回動する。
【0062】
これによれば、レバー73の連続的な回動操作で可動ブラケット72を下げ位置P1と上げ位置P2とに位置変更することができる。
また、可動ブラケット72とレバー73との一方に形成されたガイド溝72Dと、可動ブラケット72とレバー73との他方に設けられていてガイド溝72Dに挿入されたピン73Dと、を備え、ガイド溝72Dは、支軸77の軸心を中心とする円弧状に形成され、ピン73Dがガイド溝72Dの一端72Daと他端72Dbとの間を移動する間はレバー73が可動ブラケット72に対して相対回動し、ピン73Dがガイド溝72Dの一端72Da又は他端72Dbにあるときに可動ブラケット72がレバー73と一体回動する。
【0063】
これによれば、第1係合部86とカム体81との係合を解除する間、レバー73が可動ブラケット72に対して相対回動し、第1係合部86とカム体81との係合を解除した後に、レバー73が可動ブラケット72と一体回動する構造を簡単な構成で実現することができる。
また、上記のレバー装置70は、作業機1に設けられていてもよい。
【0064】
また、レバー73は、作業機1に備えられるアクチュエータを、操作可能状態と、操作不能状態とに切り替える操作ロックレバー(アンロードレバー73)であってもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 作業機
6 運転席
70 レバー装置(アンロードレバー装置、操作ロックレバー装置)
71 ベース台
72 可動ブラケット
72D ガイド溝
72Da 一端
72Db 他端
73 レバー(アンロードレバー、操作ロックレバー)
73D ピン
77 支軸
81 カム体
86 第1係合部
88 第2係合部
91 係合溝
91A 第1係合溝
91B 第2係合溝
91C 第3係合溝
92 付勢部材
93 回動規制面
94 カム面
P1 下げ位置
P2 上げ位置
X2 中心