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▶ パルフィンガー アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】支持部摩擦を特定する方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/04 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B66C23/04 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023550608
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 AT2022060042
(87)【国際公開番号】W WO2022178561
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】GM50029/2021
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518129329
【氏名又は名称】パルフィンガー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】PALFINGER AG
【住所又は居所原語表記】Lamprechtshausener Bundesstrasse 8, 5101 Bergheim bei Salzburg, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンネス ラオヒェンシュヴァントナー
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0031474(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018216718(DE,A1)
【文献】特開2007-326680(JP,A)
【文献】中国実用新案第201567165(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第02202194(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06;19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、1つの第1のクレーンブーム(9,10)と、1つの第2のクレーンブーム(10,11)とを有するクレーンブーム(3)のブームシステム内の支持部摩擦を特定する方法であって、前記第2のクレーンブーム(10,11)は、少なくとも一部区間、前記第1のクレーンブーム(10)内に少なくとも1つの支持箇所(4)を介して摺動可能に支持されており、または前記第2のクレーンブーム(10)は、前記第1のクレーンブーム(9)に少なくとも1つの支持箇所(5)を介して関節式に支持されており、前記ブームシステムは、少なくとも前記第1および第2のクレーンブーム(9,10,11)用の少なくとも1つの駆動部(6)を有し、
第1の把握の方法ステップ(i)において、少なくとも前記第2のクレーンブーム(10,11)を前記第1のクレーンブーム(9,10)に対して相対的に動かす、前記ブームシステムの少なくとも1つの前記駆動部(6)の第1の作動時の、少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の支持部摩擦にとって特徴的である、少なくとも1つの第1の値の把握を実施し、
駆動の方法ステップ(ii)において、少なくとも前記第2のクレーンブーム(10,11)の、前記第1のクレーンブーム(9,10)に対して相対的な運動が実施される、前記ブームシステムの少なくとも1つの前記駆動部(6)の第2の作動を実施し、
第2の把握の方法ステップ(iii)において、少なくとも1つの前記駆動部(6)の前記第2の作動中、少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の支持部摩擦にとって特徴的な測定値である少なくとも1つの第2の値の把握を実施し、かつ
評価の方法ステップ(iv)において、少なくとも1つの前記第1の値と、前記駆動部(6)の前記第2の作動中に把握した少なくとも1つの前記第2の値との評価により、少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の前記支持部摩擦の特性評価を実施する、
方法。
【請求項2】
前記第1の把握の方法ステップ(i)において、
少なくとも前記第2のクレーンブーム(10,11)の、前記第1のクレーンブーム(9,10)に対して相対的な運動が実施される、前記ブームシステムの少なくとも1つの前記駆動部(6)の第1の作動を実施し、かつ前記第1の把握の方法ステップ(i)において、前記駆動部(6)の前記第1の作動中、少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の支持部摩擦にとって特徴的な少なくとも1つの測定値の形態の少なくとも1つの前記第1の値の把握を実施し、かつ/または
シミュレーションから得られた少なくとも1つの値の形態の少なくとも1つの前記第1の値の把握を実施し、かつ/または
経験的に得られた少なくとも1つの値の形態の少なくとも1つの前記第1の値の把握を実施し、かつ/または
公称値の形態の少なくとも1つの前記第1の値の把握を実施する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記評価の方法ステップ(iv)のための算出の方法ステップ(v)において、少なくとも1つの前記第1の値と、少なくとも1つの前記第2の値とから、前記支持部摩擦の少なくとも1つの第1および第2の特性数を計算する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記支持部摩擦の少なくとも1つの前記第1および第2の特性数が、少なくとも1つの第1および第2の摩擦値(μ)である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の作動時には、前記ブームシステムの前記クレーンブーム(7,8,9,10,11)の第1のコンフィギュレーションにあり、前記第1の値は、前記第1のコンフィギュレーションに関し、前記第2の作動時には、前記ブームシステムの前記クレーンブーム(7,8,9,10,11)は、第2のコンフィギュレーションにあり、前記第2の値は、前記第2のコンフィギュレーションに関し、前記第1および第2のコンフィギュレーションは、略同じであるか、または相違している、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記駆動部の第1の作動に関する前記ブームシステムの前記クレーンブーム(7,8,9,10,11)の前記運動、および前記駆動の方法ステップ(ii)における前記ブームシステムの前記クレーンブーム(7,8,9,10,11)の前記運動は、略同じであるか、または前記運動は相違している、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1の把握の方法ステップ(i)および/または前記第2の把握の方法ステップ(iii)において、
少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の動き始めの力および/もしくは動き始めのトルクの把握ならびに/または
少なくとも1つの前記駆動部(6)の少なくとも1つのパラメータの把握ならびに/または
少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の摩擦力の把握ならびに/または
前記駆動部(6)の液圧シリンダの液圧の把握、
を実施する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
比較の方法ステップ(vi)において、前記クレーンブームの前記ブームシステム(7,8,9,10,11)内の前記支持部摩擦の時間的な進展を特定すべく、少なくとも1つの前記第1の値および少なくとも1つの前記第2の値の前記評価に関する時間的な推移を作成する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
比較の方法ステップ(vi)において、少なくとも1つの前記第1の値および少なくとも1つの前記第2の値の前記評価に関する時間的な変化を特定する、請求項記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記第1の値および少なくとも1つの前記第2の値の前記評価に関する前記時間的な変化の勾配を特定する、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記比較の方法ステップ(vi)において、少なくとも1つの前記第1の値および少なくとも1つの前記第2の値の前記評価の、プリセットされたまたはプリセット可能な閾値(S)との比較を実施する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
クレーンブーム(3)を備えるクレーン(16)用の演算ユニット(17)を備える制御部(1)であって、前記制御部(1)は、前記クレーンブーム(3)の前記ブームシステム内の支持部摩擦を特定する請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実施すべく形成されており、前記制御部(1)により、
駆動の運転モードにおいて、それぞれ、少なくとも前記第2のクレーンブーム(10,11)の、前記第1のクレーンブーム(9,10)に対して相対的な運動が実施される、前記ブームシステムの少なくとも1つの前記駆動部(6)の第1および第2の作動が実施可能であり、
把握の運転モードにおいて、前記駆動部(6)の前記第1および第2の作動中、それぞれ、少なくとも1つの前記支持箇所(4,5)の支持部摩擦にとって特徴的である少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の把握が実施可能であり、かつ
評価の運転モードにおいて、把握した少なくとも1つの前記第1の値と、把握した少なくとも1つの前記第2の値との評価により、前記クレーンブーム(3)の前記ブームシステム内の前記支持部摩擦の特性評価が実施可能である、
制御部(1)。
【請求項13】
前記クレーンブーム(3)の前記ブームシステム内の、前記評価の方法ステップ(iv)において特性評価された前記支持部摩擦に対する評価が、前記演算ユニット(17)と通信する表示部(21)に表示可能である、請求項12記載の演算ユニット(17)を備える制御部(1)。
【請求項14】
請求項12または13記載の制御部(1)用のコンピュータプログラムであって、演算ユニット(17)による実行時、前記演算ユニット(17)に、前記演算ユニット(17)とデータ接続されているまたはデータ接続可能な記憶装置ユニット(18)から、前記制御部(1)が請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実施させる指令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
クレーン(16)であって、請求項12または13記載の演算ユニット(17)を備える制御部(1)を備える、クレーン(16)。
【請求項16】
前記クレーン(16)が、車両(2)用のローダクレーンである、請求項15記載のクレーン(16)。
【請求項17】
前記クレーン(16)が、ナックルブームクレーンである、請求項15記載のクレーン(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の支持部摩擦を特定する方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、このような方法を実施するコンピュータプログラム製品、このような方法を実施する制御部およびこのような制御部を備えるクレーンに関する。
【0003】
従来技術において、クレーンブームの支持箇所に摩耗現象が発生することが知られている。運転信頼性を保証すべく、支持箇所は、予防的に保守または更新され、このことは、摩耗現象の実際の発生前に不必要に早く実施されてしまうことが多々ある。他方では、摩耗現象の発生の認識が遅すぎることが多々あり、このことは、クレーンブームの損傷、性能の大幅な悪化または予期しない失陥に至らしめることがある。
【0004】
本発明の課題は、クレーンブームの支持箇所にまつわる上述の問題点を回避することである。特に保守インターバルを正しく見積もることができ、かつ損傷を予見し、場合によってはその場所を特定することが可能であることが望ましい。
【0005】
上記課題は、請求項1記載の方法、このような方法を実施するコンピュータプログラム製品、このような方法を実施すべく形成されている演算ユニットを備える制御部およびこのような制御部を備えるクレーンにより解決される。
【0006】
有利な構成は、従属請求項に規定されている。
【0007】
本方法は、クレーンブームのブームシステムの少なくとも1つの支持箇所内の支持部摩擦を特定するために用いられる。
【0008】
支持部摩擦の特定は、支持部摩擦の定性的かつ/または定量的な把握を包含し得る。
【0009】
支持部摩擦は、ブームシステムの単独の支持箇所に関していることもあれば、複数の支持箇所に関していることもある。
【0010】
クレーンブームは、少なくとも、1つの第1のクレーンブームと、1つの第2のクレーンブームとを有していることができ、第2のクレーンブームは、少なくとも一部区間、第1のクレーンブーム内に少なくとも1つの支持箇所を介して摺動可能に支持されており、かつ/または第2のクレーンブームは、第1のクレーンブームに少なくとも1つの支持箇所を介して関節式に支持されている。
【0011】
クレーンブームが、関節式に互いに結合される複数のクレーンブームを有することを排除するものではない。
【0012】
一構成において、クレーンブームは、クレーンブームとして、少なくとも1つのクレーンコラムと、関節式にクレーンコラムに支持される昇降ブームと、関節式に昇降ブームに支持されるナックルブームとを有していることができる。ナックルブームは、長さ可変に、互いに摺動可能な複数のエクステンションを有して形成されていてもよい。ナックルブームには、別のクレーンブーム、例えば別のナックルブームの形態の別のクレーンブームが、関節式に配置されていてもよい。昇降ブームが、互いに摺動可能なエクステンションを有することを排除するものではない。
【0013】
一般的に、少なくとも1つの第1のクレーンブームと、少なくとも1つの第2のクレーンブームとは、関節式に互いに1つの支持箇所を介して結合されていることができる。
【0014】
ブームシステムは、少なくとも第1および第2のクレーンブーム用の少なくとも1つの駆動部を有している。
【0015】
ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の作動時、一般的に、少なくとも1つの第1および第2のクレーンブーム間の相対運動が引き起こされ得る。特にこのような運動は、能動的に駆動され得る。運動をこの作動により許可することも可能であり、この場合、駆動は、例えば重力の作用により実施され得る。
【0016】
少なくとも1つの駆動部の作動は、一般的に、ユーザによる1つまたは複数の駆動部への制御指令の発出によるクレーンブームのブームシステムの制御を包含し得る。例えばこのために形成された演算ユニットによるクレーンブームのブームシステムの自律の制御が、同じく可能である。
【0017】
方法の第1の把握の方法ステップにおいて、少なくとも第2のクレーンブームを第1のクレーンブームに対して相対的に動かす、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の第1の作動時の、特に第1の作動中の、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦にとって特徴的である、少なくとも1つの第1の値の把握を実施し得る。
【0018】
値の把握は、本方法のために一般的に、
記憶装置からの、好ましくは、方法を実施すべく形成された演算ユニットと通信する記憶装置からの、値の読み出し、および/または
このような記憶装置内への、好ましくは、ユーザインタフェースを介した、値の格納および/または
値の測定技術的な把握
を包含し得る。
【0019】
第1の把握の方法ステップにおいて把握される第1の値は、一般的に、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動時に発生し得るまたは発生する支持部摩擦にとって特徴的であり得る。
【0020】
第1の把握の方法ステップにおいて把握される第1の値は、支持部摩擦にとっての特徴的な基準値または参照値であり得る。
【0021】
第1の把握の方法ステップにおいて把握される第1の値は、例えば実際の値、例えば測定値であることもあれば、仮定の値、例えば表またはシミュレーションまたは算出に由来する値であることもある。
【0022】
第1の把握の方法ステップは、一般的に、複数の測定からなる測定列のための出発点であり得る。
【0023】
方法の駆動の方法ステップにおいて、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動が実施される、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の第2の作動を実施し得る。
【0024】
少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な、第2の作動により引き起こされる相対運動時、少なくとも1つの支持箇所においてかつ/または少なくとも1つの支持箇所内に支持部摩擦が発生する。
【0025】
方法の第2の把握の方法ステップにおいて、少なくとも1つの駆動部の第2の作動中、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦にとって特徴的な測定値である少なくとも1つの第2の値の把握を実施し得る。
【0026】
第1の値および/または第2の値の測定技術的な把握は、好適なセンサを介して実施可能である。
【0027】
一般的に、第1および/または第2の値は、個々の値であることもあれば、値の集合、特に時間的または空間的な順序関係にしたがって整理された集合であることもある。特に値または集合は、時間、角度または行程にしたがって整理されていてもよい。
【0028】
第2の把握の方法ステップにおいて、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な、第2の作動により引き起こされる相対運動中、発生する支持部摩擦にとって特徴的な第2の値の、測定値の形態での把握を実施するようにしてもよい。
【0029】
本方法は、作動を伴う類似に構成される別の方法ステップと、この作動時および/またはこの作動中に行われる、支持部摩擦にとって特徴的な値、特に測定値の把握を包含しているようにしてもよい。
【0030】
これらの別の方法ステップは、測定列のさらなる部分であり得る。
【0031】
方法の評価の方法ステップにおいて、少なくとも1つの第1の値と、駆動部の第2の作動中に把握した少なくとも1つの第2の値との評価により、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦の特性評価を実施し得る。
【0032】
評価は、原則的には、少なくとも1つの第1の値と、少なくとも1つの第2の値との比較を包含し得る。
【0033】
支持部摩擦の特性評価は、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦の定性的かつ/または定量的な特定を包含し得る。
【0034】
評価は、少なくとも第1および第2の値を取り込んだ算出を包含し得る。
【0035】
一般的に、評価は、支持部摩擦にとって特徴的な値の、個々の値であることもあれば、集合、特に時間的または空間的な順序関係にしたがって整理された集合であることもある。特にこれらの値または集合は、時間、角度または行程にしたがって整理されていてもよい。
【0036】
評価は、類似に構成される別の方法ステップにおいて把握される値を包含し得る。
【0037】
評価は、例えば、方法を実施すべく形成された演算ユニットにより実施し得る。
【0038】
第1の把握の方法ステップにおいて、一構成では、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動が実施される、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の第1の作動を実施し得る。このとき、駆動部の第1の作動中、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦にとって特徴的な少なくとも1つの測定値の形態の少なくとも1つの第1の値の把握を実施し得る。このような把握は、例えばクレーンブームの通常の運転中に実施し得る。
【0039】
代替的または補足的に、一構成では、
シミュレーションから得られた少なくとも1つの値の形態の少なくとも1つの第1の値の把握を実施し、かつ/または
経験的に得られた少なくとも1つの値の形態の少なくとも1つの第1の値の把握を実施し、かつ/または
公称値の形態の少なくとも1つの第1の値の把握を実施し得る。
【0040】
このような構成では、第1の把握の方法ステップにおいて、把握される第1の値が、このような仮定の第1の作動時に発生する支持部摩擦にとって特徴的であるとき、第1の値の把握を、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の実際に行われる第1の作動なしに実施し得る。このような把握は、例えばクレーンブームのメーカまたはビルダにおいて、クレーンブームを規定する際に、実施し得る。
【0041】
シミュレーションから得られた少なくとも1つの値の形態の第1の値は、計算により得られた目標値であり得る。
【0042】
経験的に得られた少なくとも1つの値の形態の第1の値は、一般的に、測定値であり得る。このような経験的な値は、例えば同じ構造の支持箇所または同じ構造のクレーンブームにおける測定に由来し得る。
【0043】
公称値の形態の第1の値は、プリセットされた値であり得る。この値は、例えば表から取り出されていてもよい。
【0044】
一構成において、評価の方法ステップは、算出の方法ステップを包含していてもよく、算出の方法ステップにおいて、少なくとも1つの第1の値と、少なくとも1つの第2の値とから、支持部摩擦の少なくとも1つの第1および第2の特性数を計算する。
【0045】
支持部摩擦の特性数は、評価される支持部摩擦の直接的な比較を容認し得る、場合によっては1つの度量単位を有する定量的な大きさであり得る。
【0046】
支持部摩擦の特性数は、第1および/または第2の値の把握とは無関係に、支持部摩擦の特性評価を可能にし得る。この場合、例えば、第1および/または第2の値が把握される少なくとも1つの支持箇所の角度範囲および/または行程量とは無関係に、特性数を算出し得る。
【0047】
好ましくは、特性数として、少なくとも1つの第1および第2の摩擦値を算出する。摩擦値(摩擦係数または摩擦数ともいう)を介して、支持箇所内の圧接力に対する支持箇所内の摩擦力の比として、支持部摩擦の特性評価を実施し得る。
【0048】
支持箇所内の圧接力は、例えばクレーンブームの質量および重心位置が既知で、ブームシステムの幾何学形状を把握していれば算出し得る。力の測定を排除するものではない。
【0049】
支持箇所内の摩擦力は、例えば駆動部のパラメータ、例えば液圧駆動部内を支配している圧力または電気式の駆動部の消費電力から算出し得る。
【0050】
方法の一構成において、第1の値は、ブームシステムのクレーンブームの第1のコンフィギュレーションに関し得る。第2の駆動の方法ステップにおける駆動部の第2の作動時のブームシステムのクレーンブームは、第2のコンフィギュレーションにあり得る。クレーンブームの第1および第2のコンフィギュレーションは、略同じであることもあれば、相違していることもある。
【0051】
クレーンブームのコンフィギュレーション(Konfiguration)とは、一般的に、ブーム相互の相対位置と解され得る。ブーム相互の相対的な位置は、ブームが関節式に支持されている場合は、ある角度位置により、かつ/またはブームが互いに摺動可能に支持されている場合は、ある摺動位置により提供可能である。
【0052】
方法の一構成において、少なくとも1つの駆動部の第1の作動に関するブームシステムのクレーンブームの運動、および駆動の方法ステップにおけるブームシステムのクレーンブームの運動は、略同じであることもあれば、運動は相違していることもある。
【0053】
クレーンブームの運動は、ブームが関節式に支持されている場合であれば、角度位置の変化の点で、かつ/またはブームが互いに摺動可能に支持されている場合であれば、摺動位置の変化の点で相違していることがある。
【0054】
駆動部の作動時、同じ運動、例えば所定の行程量に沿った摺動または所定の角度分の旋回が行われ得るが、相対運動の出発点は、相違していることがある。
【0055】
而して、例えば関節式に昇降ブームに支持され、エクステンションを有するナックルブームは、それぞれ異なる作動時、同じ運動で水平の位置から所定の角度分旋回され得るが、エクステンションの、運動中は静止しているそれぞれ異なる摺動位置があり、ひいては支持部のそれぞれ異なる負荷が発生することがある。クレーンブームのコンフィギュレーションは、而して、把握される第1および/または第2の値に対して影響を有し得る。
【0056】
駆動部の作動時、同じコンフィギュレーションのために行われ得るが、発生する相対運動は、相違していることがある。
【0057】
而して、例えば関節式に昇降ブームに支持され、エクステンションを有するナックルブームは、それぞれ異なる作動時、エクステンションの同じ位置で動かされ得るが、それぞれ異なる運動、ひいては支持部のそれぞれ異なる負荷が発生し得る。クレーンブームの運動は、而して、把握される第1および/または第2の値に対して影響を有し得る。
【0058】
一構成において、クレーンブームのコンフィギュレーションおよび/または運動の好適な選択により、第1および第2の値のために、支持部摩擦の、直接的に互いに比較可能な特性評価を実施し得る。
【0059】
少なくとも1つの支持箇所の運動が実施されるインターバルは、例えば関節式の支持の場合であれば、ある角度範囲、および/または摺動可能な支持の場合であれば、ある行程量であり得る。
【0060】
有利には、少なくとも1つの第1の駆動部および少なくとも1つの第2の駆動部の作動のために、少なくとも1つの支持箇所の運動が実施されるインターバルの少なくとも1つの部分的なオーバラップが生じ得る。
【0061】
支持部摩擦の第1および第2の特性数が計算される一構成において、それぞれ異なるコンフィギュレーションおよび/またはそれぞれ異なる運動のために、第1および第2の値の把握のために、支持部摩擦の互いに比較可能な特性評価を実施し得る。
【0062】
方法のために、有利には、第1および第2の把握の方法ステップにおいて、第1および/または第2の値として、
少なくとも1つの支持箇所の動き始めの力および/もしくは動き始めのトルクならびに/または
少なくとも1つの駆動部の少なくとも1つのパラメータ、好ましくは、消費エネルギもしくはポンプ出力ならびに/または
少なくとも1つの支持箇所の摩擦力ならびに/または
駆動部の液圧シリンダの液圧
を把握し得る。
【0063】
特に、少なくとも1つの駆動部は、液圧シリンダとして形成されており、液圧シリンダの少なくとも1つの液圧を把握し得る。有利には、駆動部は、複動式の液圧シリンダとして形成されており、ロッド側および/またはピストン側の液圧を把握し得る。
【0064】
第1および/または第2の値として個々のパラメータしか把握しない場合、これは、それぞれの把握のために、少なくとも1つの第1の駆動部および少なくとも1つの第2の駆動部の作動のために、少なくとも1つの支持箇所の運動が実施されるインターバルの少なくとも1つの部分的なオーバラップが生じるとき、有利であり得る。
【0065】
方法のために、有利には、第1および第2の把握の方法ステップにおいて、支持部摩擦のパラメータとして、
少なくとも1つの支持箇所内の支持力の把握ならびに/または
少なくとも第1および第2のクレーンブームの摺動位置の把握ならびに/または
少なくとも1つの支持箇所のモーメント負荷の把握ならびに/または
少なくとも第1および第2のクレーンブームの屈曲角度位置の把握ならびに/または
ブームシステムにかかる荷重の把握
を実施し得る。
【0066】
別のパラメータ、特にクレーンブームの幾何学形状のパラメータの把握により、それぞれ異なるコンフィギュレーションおよび/またはそれぞれ異なる運動のために、第1および第2の値の把握のために、支持部摩擦の互いに比較可能な特性評価を実施し得る。
【0067】
一般的に、第1および第2の値、ならびに場合によっては算出される支持部摩擦の特性数を1つの集合、特に、時間的な順序関係にしたがって整理した集合にまとめてもよい。
【0068】
方法の比較の方法ステップにおいて、クレーンブームのブームシステム内の支持部摩擦の時間的な進展を特定すべく、少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の評価に関する時間的な推移を作成し得る。
【0069】
支持部摩擦の時間的な進展の作成により、第1の把握の方法ステップと第2の把握の方法ステップとの間における支持箇所の変化、例えば支持部摩擦の連続的な増加を特性評価し得る。
【0070】
時間的な推移の特定時、有利には、比較の方法ステップにおいて、少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の評価に関する時間的な変化を特定し得る。
【0071】
時間的な変化の特定時、有利には、少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の評価に関する時間的な変化の勾配、つまり、どの程度速くまたはどの程度遅く変化が実施されるかを特定し得る。これにより、傾向、例えば支持部摩擦の進行の速い悪化を認識し得る。
【0072】
方法の有利な一構成では、比較の方法ステップにおいて、少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の評価の、プリセットされたまたはプリセット可能な閾値との比較を実施し得る。特に支持部摩擦の定量的な特性評価時、プリセットされたまたはプリセット可能な閾値との比較を実施し得る。閾値は、個々のパラメータおよび/または支持部摩擦の特性数に関し得る。
【0073】
コンピュータプログラム製品であって、演算ユニットによる実行時、演算ユニットに、演算ユニットとデータ接続されているまたはデータ接続可能な記憶装置ユニットから、前述したような方法を実施させる指令を含む、コンピュータプログラム製品についても、保護を請求する。
【0074】
コンピュータプログラム製品は、例えば制御部の少なくとも1つの記憶装置ユニット内に格納されており、制御部の少なくとも1つの演算ユニットにより実行され得る。
【0075】
クレーンブームを備えるクレーン用の演算ユニットを備える制御部であって、クレーンブームのブームシステム内の支持部摩擦を特定する前述したような方法を実施すべく形成されている、制御部についても、保護を請求する。
【0076】
制御部により、駆動の運転モードにおいて、それぞれ、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動が実施される、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の第1および第2の作動が実施可能であり得る。ブームシステムの少なくとも1つの駆動部の作動時、個々のブームは、ユーザによる制御指令の発出により略自由に動かされ得るか、または制御部の演算ユニットによりプリセットされたシーケンスの運動が実施され得る。
【0077】
把握の運転モードにおいて、駆動部の第1および第2の作動中、それぞれ、少なくとも1つの支持箇所の支持部摩擦にとって特徴的である少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の把握が実施可能であり得る。少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値は、制御部の演算ユニットと通信する記憶装置ユニット内に記憶され得る。
【0078】
評価の運転モードにおいて、把握した少なくとも1つの第1の値と、把握した少なくとも1つの第2の値との評価により、クレーンブームのブームシステム内の支持部摩擦の特性評価が実施可能であり得る。支持部摩擦の特性評価時、少なくとも1つの第1の値と、少なくとも1つの第2の値とを取り込んだ算出が実施され得る。
【0079】
制御部の有利な一構成では、クレーンブームのブームシステム内の、評価の方法ステップにおいて特性評価された支持部摩擦に対する評価が、演算ユニットと通信する表示部に表示可能であり得る。
【0080】
表示は、例えば支持部摩擦の定性的な特性評価、例えばポジティブまたはネガティブの判断、保守の要求または問題のある支持箇所の表示を包含し得る。
【0081】
表示は、例えば支持部摩擦の定量的な特性評価、例えば摩擦係数、動き始めの力および/もしくは動き始めのトルク、摩擦力の明示、または支持箇所の品質の相対的な数値による明示を包含し得る。
【0082】
クレーン、好ましくは、車両用のローダクレーン、特に好ましくは、ナックルブームクレーンであって、前述したような演算ユニットを備える制御部を備える、クレーンについても、保護を請求する。
【0083】
本発明の実施例について図面を参照しながら論説する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】支持部摩擦のパラメータを把握するセンサを有するブームシステムの一構成の側面図である。
図2】ブームシステムの別の一構成の側面図である。
図3】クレーンの一構成を有する車両の側面図である。
図4】関節式に支持されるナックルブームを有するブームシステムの一構成の側面図である。
図5】摺動可能に支持される複数のエクステンションを有する長さ可変のナックルブームを有するブームシステムの一構成の側面図である。
図6】クレーンブームと、制御部と、選択された、支持部摩擦のパラメータを把握するセンサとを備えるクレーンの一構成の側面図である。
図7a】方法の構成の概略図である。
図7b】方法の構成の概略図である。
図8a】運動中のブームシステムの概略図である。
図8b】運動中のブームシステムの概略図である。
図8c】運動中のブームシステムの概略図である。
図9a】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図9b】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図9c】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図9d】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図10a】運動中のブームシステムの概略図である。
図10b】運動中のブームシステムの概略図である。
図10c】運動中のブームシステムの概略図である。
図11a】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図11b】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図12a】運動中のブームシステムの概略図である。
図12b】運動中のブームシステムの概略図である。
図13a】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図13b】把握した値および把握した値の評価のグラフである。
図14a】無線遠隔制御部と制御部とからなるアッセンブリの一構成を示す図である。
図14b】表示部上の描写の一構成を示す図である。
【0085】
図1は、支持部摩擦のパラメータとして援用可能な運転パラメータを把握するセンサを有するクレーンブーム3のブームシステムの一構成の側面図を示している。クレーンブーム3は、クレーンブームとして、旋回可能にベース7に支持される少なくとも1つのクレーンコラム8と、関節式にクレーンコラム8に支持される昇降ブーム9と、関節式に昇降ブーム9に支持されるナックルブーム10とを有していることができる。ナックルブーム10は、長さ可変に、互いに摺動可能な複数のエクステンションを有して形成されていてもよい。本図には、最前のエクステンション11が看取可能である。ナックルブーム10には、図1に示すように、別のクレーンブーム、例えば別のナックルブーム12の形態の別のクレーンブームが、関節式に配置されていてもよい。昇降ブーム9が、図示したものとは異なり、互いに摺動可能なエクステンションを有することを排除するものではない。
【0086】
ブームシステムは、クレーンブーム7,8,9,10,11,12,13,14相互の相対運動のための駆動部6を有していることができる。このような駆動部6は、例えば液圧シリンダとして、互いに可動の2つのクレーンブーム間にあってもよい。
【0087】
ブームシステムの、支持部摩擦のパラメータとして援用可能な運転パラメータを把握すべく、駆動部6の液圧を把握する圧力センサP1,P2,P3,P4,P5と、角度位置を把握する角度センサK1,K2,K3と、長手方向延在寸法を把握する摺動位置センサS1,S2とが設けられていてもよい。圧力センサP1,P2,P3,P4,P5が、液圧シリンダのピストン側の液圧とロッド側の液圧とを把握するものであってもよいことを排除するものではない。ブームシステムが、別のセンサ、例えば駆動部6の動き始めの力、摩擦力または別のパラメータを把握する別のセンサを有することを排除するものではない。
【0088】
支持部摩擦の特定に際し、一般的に見て、少なくとも1つの第1のクレーンブームと、少なくとも1つの第2のクレーンブームとは、関節式に互いに支持箇所4,5を介して結合されていることがある。長さ可変性のために、2つのクレーンブームは、支持箇所4を介して摺動可能に支持されていることもある。互いに可変の角度で配置するために、2つのクレーンブームは、支持箇所5を介して関節式に支持されていることもある。
【0089】
このように見たとき、例えば第1のクレーンブームとしてのクレーンコラム8は、関節式に支持箇所5を介して第2のクレーンブームとしての昇降ブーム9に結合されていることができる。これに類似して、ベース7とクレーンコラム8とは、昇降ブーム9とナックルブーム10とは、そしてナックルブーム10は別のナックルブーム12と、関節式に支持箇所5を介して、それぞれ第1および第2のクレーンブームとして識別されて、互いに支持されていることができる。
【0090】
長さ可変のナックルブーム10は、このように見たとき、第1のクレーンブームとして支持箇所4を介してエクステンション11に対して摺動可能に支持されていることができる。これに類似して、別のナックルブーム12は、支持箇所4を介して別のエクステンション13に対して摺動可能に支持されていることができる。長さ可変のクレーンブームの複数のエクステンションは、一般的に支持箇所4を介して、それぞれ第1および第2のクレーンブームとして識別されて、互いに摺動可能に支持されていることができる。
【0091】
少なくとも、1つの第1のクレーンブームと、1つの第2のクレーンブームとを有するクレーンブーム3のブームシステムの、図1の構成にしたがい模式化した対応する概略図は、図8図10および図12に示してある。
【0092】
図2は、クレーンブーム3のブームシステムの一構成の別の側面図を示しており、本構成は、図1に示した構成に対して付加的にさらに1つの、エクステンション15を有する別のナックルブーム14を有している。
【0093】
図3は、車両2に架装されたクレーン16(加えて例えば図6参照)を示しており、クレーン16のクレーンブーム3は、図3におけるように構成されている。
【0094】
図4は、旋回可能なクレーンコラム8と、上げ下げ可能な昇降ブーム9と、関節式に昇降ブーム9に支持されるナックルブーム10とを有するクレーンブーム3の、図1の構成に似た構成を示している。本図には、鉛直の旋回軸線v1回りのベース7に対するクレーンコラム8の旋回角度φの旋回角度範囲と、クレーンコラム8に対する昇降ブーム9の屈曲角度θの屈曲角度範囲とを示してある。ブームシステムの2つのクレーンブーム相互のこのような運動は、少なくとも一部区間、ブームシステムの対応する駆動部6(クレーンコラム8用は、図示せず。昇降ブーム9用は、例えば液圧シリンダの形態)の作動時に生じ得る。ベース7に対するクレーンコラム8の旋回角度φは、角度センサK4によって把握し得る。
【0095】
図5は、水平にセットされたナックルブーム10と、略完全に進出した複数のエクステンションとを有する図4のクレーンブーム3の構成を示しており、これらのエクステンションのうち、エクステンション11は、その中で最前のエクステンションを形成している。ナックルブーム10の、これにより生じる長手方向延在寸法Lは、摺動位置センサS1、例えば測定索の形態の摺動位置センサS1を介して把握し得る。
【0096】
図6は、図1の構成と類似に構成されるクレーンブーム3と、制御部1とを備えるクレーン16の一構成を示している。制御部1は、演算ユニット17と、演算ユニット17とデータ接続されているまたはデータ接続可能な記憶装置ユニット18とを備えている。制御部1は、液圧シリンダの形態の駆動部6の作動のために、かつ測定値の形態のブームシステムの運転パラメータの把握のために、形成されていることができる。制御部1は、本構成では、さらにユーザインタフェース19を備え、ユーザインタフェース19を介して、クレーン16は、ユーザにより制御可能であり得る。ユーザインタフェース19を介して、少なくとも第2のクレーンブーム11を第1のクレーンブーム10に対して相対的に動かす、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部6の作動時の、少なくとも1つの支持箇所4,5の支持部摩擦にとって特徴的である値が入力可能であることも、可能である。制御部1、特に制御部1の記憶装置ユニット18に、制御部1の少なくとも1つの別のデータインタフェースを介して、測定値に対して付加的または代替的に、別ソースに由来する値が供給可能であることを排除するものではない。
【0097】
図7aには、概略的にクレーンブーム3のブームシステム内の支持部摩擦を特定する方法の一構成を示してある。
【0098】
ブームシステムは、少なくとも、1つの第1のクレーンブームと、1つの第2のクレーンブームとを有し、ただし(図8)、エクステンション11の形態の第2のクレーンブームは、少なくとも一部区間、ナックルブーム10の形態の第1のクレーンブーム内に、少なくとも1つの支持箇所4を介して摺動可能に支持されており、かつ/または(図10および図12)、ナックルブーム10の形態の第2のクレーンブームは、昇降ブーム9の形態の第1のクレーンブームに、少なくとも1つの支持箇所5を介して関節式に支持されている。ブームシステムは、少なくとも第1および第2のクレーンブームのための液圧シリンダの形態の少なくとも1つの駆動部6を有し、駆動部6の作動時には、少なくとも1つの第1のクレーンブームと、少なくとも1つの第2のクレーンブームとの間の相対運動が実施され得る。
【0099】
第1の把握の方法ステップiにおいて、少なくとも第2のクレーンブームを第1のクレーンブームに対して相対的に動かす、ブームシステムの液圧シリンダの形態の少なくとも1つの駆動部6の第1の作動時の、少なくとも1つの支持箇所4,5の支持部摩擦にとって特徴的である、少なくとも1つの第1の値の把握を実施し得る。
【0100】
第1の把握の方法ステップにおいて、この少なくとも1つの第1の値を、
少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動が実施される、ブームシステムの液圧シリンダの形態の少なくとも1つの駆動部6の第1の作動中、測定技術的に、少なくとも1つの支持箇所4,5の支持部摩擦にとって特徴的な少なくとも1つの測定値の形態で把握し、かつ/または
シミュレーションから得られ、例えば制御部1、特に記憶装置ユニット18に、対応するデータインタフェースを介して供給可能であり得る少なくとも1つの値の形態で把握し、かつ/または
経験的に得られ、例えば制御部1、特に記憶装置ユニット18に、対応するデータインタフェースを介して供給可能であり得る少なくとも1つの値の形態で把握し、かつ/または
例えば制御部1、特に記憶装置ユニット18に、対応するデータインタフェースを介して供給可能であり得る公称値の形態で把握し得る。
【0101】
少なくとも1つの第1の値は、制御部1の記憶装置ユニット18内に記憶され得る。
【0102】
駆動の方法ステップiiにおいて、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部6の第2の作動を実施し得る。作動時、図8図10および図12に例示的に示すように、少なくとも第2のクレーンブームの、第1のクレーンブームに対して相対的な運動が実施され得る。
【0103】
第2の把握の方法ステップiiiにおいて、液圧シリンダの形態の少なくとも1つの駆動部6の第2の作動中、少なくとも1つの支持箇所4,5の支持部摩擦にとって特徴的な測定値である少なくとも1つの第2の値の把握を実施し得る。
【0104】
少なくとも1つの第2の値は、制御部1の記憶装置ユニット18内に記憶され得る。
【0105】
評価の方法ステップivにおいて、少なくとも1つの第1の値と、駆動部6の第2の作動中に把握した少なくとも1つの第2の値との評価であって、評価に際してこれらの値を記憶装置ユニット18から読み出すことが可能な評価により、少なくとも1つの支持箇所4,5の支持部摩擦の特性評価を実施し得る。
【0106】
評価は、例えば制御部1の演算ユニット17により実施し得る。
【0107】
図7bには、方法の一発展形を示してあり、この発展形では、算出の方法ステップvにおいて、支持部摩擦の少なくとも1つの第1および第2の特性数が算出可能であり(例えば図13参照)、代替的には、または組み合わせて、比較の方法ステップviにおいて、クレーンブームのブームシステム内の支持部摩擦の時間的な進展が特定可能である(例えば図9参照)。
【0108】
図8および図10には、それぞれ概略的にクレーンブーム3の運動を示してあり、それぞれ、少なくとも1つの駆動部6の第1の作動に関するブームシステムのクレーンブームの運動の種類、および駆動の方法ステップにおけるブームシステムのクレーンブームの運動は、同じである。クレーンブームのそれぞれのコンフィギュレーションも同等であって、つまり、それぞれ異なる運動の重畳は行われない。
【0109】
図8aないし図8cには、運動中のブームシステムの概略図を示してある。概略的に示したクレーンブーム3の構成は、実質的に図1図4図5および図6の構成に相当し得る。
【0110】
図示してあるのは、例えば液圧シリンダの形態のここには図示しない駆動部6により駆動される、エクステンション11の形態の第2のクレーンブームの、ナックルブーム10の形態の第1のクレーンブームに対する相対運動である。摺動位置センサS1によって把握される摺動位置x11,x12,x13を有する3つのそれぞれ異なる長手方向延在寸法Lを示してある。この運動中に対応して生じる液圧p41,p42,p43は、圧力センサP4によって把握される。このことは、例えば第1および/または第2の把握の方法ステップi,iiiにおいて実施し得る。センサデータは、制御部1に供給可能であり得る。
【0111】
図8aないし図8cに概略的に示した運動は、第1の把握の方法ステップiにおける少なくとも1つの駆動部6の作動に対応し得る。図示の運動は、駆動の方法ステップiiにおける作動にも対応し得る。
【0112】
クレーンブーム3の作業運転中、運動は、何度も繰り返され得る。この場合、その都度、センサデータの記録を実施し得る。
【0113】
図9aは、摺動位置センサS1によって把握される摺動位置に対する、圧力センサP4によって把握される液圧の推移を示している。
【0114】
液圧の把握は、第1の把握の方法ステップiで実施し得る。少なくともエクステンション11の形態の第2のクレーンブームをナックルブーム10の形態の第1のクレーンブームに対して相対的に動かす、ブームシステムの少なくとも1つの駆動部6の第1の作動時の、少なくとも1つの支持箇所4の支持部摩擦にとって特徴的である、液圧の形態の少なくとも1つの第1の値の把握は、測定技術的に、例えば図8に示したような運動時に、または値のプリセットによって実施し得る。
【0115】
少なくとも1つの第1および/または第2の値の把握は、原則的には、少なくとも1点でまたは連続的に実施し得る。
【0116】
図9bは、図9aに示した推移(点線)に対して付加的に、圧力センサP4によって把握される液圧の形態の第2の値の推移を示している。液圧の形態の第2の値の付加的に示した推移は、より後の時間tで、例えばクレーンブーム3のある回数の運転時間後、第2の把握の方法ステップiiiにおいて、少なくとも1つの駆動部6の図8に示した第2の作動中、把握したものであり得る。
【0117】
評価の方法ステップivにおける評価に際し、少なくとも1つの支持箇所4の支持部摩擦の特性評価を実施し得る。
【0118】
本構成では同じ運動のために、一般的により高い液圧が必要とされることによって、定性的に、支持部摩擦が上昇したことを確認し得る。
【0119】
比較の方法ステップviにおいて、少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値の評価の、プリセットされたまたはプリセット可能な閾値Sとの比較を実施し得る。
【0120】
評価の方法ステップivのための算出の方法ステップvにおいて、少なくとも1つの第1の値と、少なくとも1つの第2の値とから、支持部摩擦の少なくとも1つの第1および第2の特性数を計算し得る。圧力センサP4によって、例えばロッド側とピストン側との液圧が把握されるとき、エクステンション4の運動のために必要とされる力を、支持箇所4の支持部摩擦の特性数として算出し得る。
【0121】
図9cは、圧力センサP4によって把握される液圧の推移の群を示している。個々の推移は、第1の把握の方法ステップiから出発し、それぞれ異なる時間tでの、有利には、例えば規則的な間隔を置いた、またはクレーンブーム3の運転時間から相応に決定された間隔を置いた、駆動の方法ステップiiおよび第2の把握の方法ステップiiiの繰り返しで、把握されたものであり得る。
【0122】
図9dには、点状に摺動位置x12で把握された液圧p42の圧力増加Δp42の時間的な推移を示してある。
【0123】
評価の方法ステップivにおいて、このために、その都度、第2の把握の方法ステップiiiにおいて摺動位置x12で把握された液圧p42から、第1の把握の方法ステップiにおいて把握された対応する液圧p42を引くことができる。比較の方法ステップviにおいて、クレーンブーム3のブームシステム内の支持部摩擦の時間的な進展を特定すべく、液圧p42の形態の少なくとも1つの第1の値および少なくとも1つの第2の値のこのような例示的な評価に関する時間的な推移を作成し得る。これにより、評価に関する時間的な変化も特定し得る。特に評価に関する時間的な変化の勾配、つまり増加率を特定し得る。
【0124】
図10aないし図10cには、支持箇所5を中心とする運動中のブームシステムの概略図を示してある。概略的に示したクレーンブーム3の構成は、実質的に図1図4図5および図6の構成に相当し得る。
【0125】
図示してあるのは、例えば液圧シリンダの形態のここには図示しない駆動部6により駆動される、ナックルブーム10の形態の第2のクレーンブームの支持箇所5を中心とする、昇降ブーム9の形態の第1のクレーンブームに対する相対運動である。角度センサK2によって把握される3つのそれぞれ異なる屈曲角度位置θ21,θ22,θ23を示してある。この運動中に対応して生じる液圧p21,p22,p23は、圧力センサP2によって把握される。
【0126】
図11aは、角度センサK2によって把握される角度位置に対する、圧力センサP2によって把握される液圧の推移を示している。
【0127】
図11bは、図11aに示した推移(点線)に対して付加的に、圧力センサP2によって把握される液圧の形態の第2の値の推移を示している。
【0128】
支持箇所5を中心とする図10aないし図10cに示した運動と、図11aおよび図11bにおける対応する評価とについては、図8aないし図8cおよび図9aないし図9dにおいてしたのと類似の説明および推論が可能であり、この箇所で明示的に繰り返すことはしない。
【0129】
図12aおよび図12bには、概略的にクレーンブーム3の運動を示してある。この運動においては、先に論じた例とは異なり、少なくとも1つの駆動部の第1の作動に関するブームシステムのクレーンブームの運動、および駆動の方法ステップにおけるブームシステムのクレーンブームの運動は相違している。クレーンブームのコンフィギュレーションも相違している。つまり、図12aから図12bへの移行時、複数のそれぞれ異なる運動のそれぞれ異なる重畳が実施され得る。
【0130】
有利には、このような運動のために、第1および/または第2の値の把握により、支持部摩擦の特性数、特に、支持箇所4,5内の圧接力に対する支持箇所4,5内の摩擦力の比としての少なくとも1つの無次元の摩擦値μの形態の特性数を、支持部摩擦の特性評価のために算出し得る。
【0131】
支持箇所4,5内の圧接力は、例えばクレーンブーム3の複数のクレーンブームの質量および重心位置が既知で、ブームシステムの幾何学形状を把握していれば算出し得る。支持箇所4,5内の摩擦力は、例えば駆動部6のパラメータ、例えば支配している液圧から算出し得る。
【0132】
図13aは、ナックルブーム10と昇降ブーム9との間の液圧シリンダの形態の駆動部6内の、圧力センサP2によって把握される液圧に対する、摩擦値μの形態の第1の値の推移を示している。P2によって把握される圧力は、支持箇所5に作用するモーメント負荷に比例しており、ひいては支持箇所5内の摩擦値μの推移を描写し得る。把握される圧力が、支持箇所4に作用する摺動負荷に比例している圧力センサP4については、類似の描写および特性評価を実施し得る。摩擦値μは、一般的に評価の方法ステップivのための算出の方法ステップvにおいて算出し得る。
【0133】
図13bは、図13aに示した推移(点線)に対して付加的に、摩擦値μの形態の第2の値の推移を示している。摩擦値μの形態の第2の値の付加的に示した推移は、より後の時間tで、例えばクレーンブーム3のある回数の運転時間後、第2の把握の方法ステップiiiにおいて、少なくとも1つの駆動部6の図12に示した第2の作動中、把握したものであり得る。
【0134】
図14aおよび図14bは、無線遠隔制御部20と、制御部1の一構成とからなるアッセンブリの一構成、および無線遠隔制御部20の表示部21上の描写の一構成を示している。
【0135】
無線遠隔制御部21は、様々なボタンを有するユーザインタフェース19を有し、かつワイヤレスにかつ/または有線で制御部1と通信し得る。
【0136】
無線遠隔制御部20の表示部21上には、クレーンブーム3のブームシステム内の特性評価された支持部摩擦に対する評価が表示可能であり得る。
【0137】
表示部21においては、例えば支持部摩擦の定性的な特性評価、例えばポジティブもしくはネガティブの判断または保守の要求を実施することができ、または図示したように、問題のある支持箇所4の表示を包含していることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 制御部
2 車両
3 クレーンブーム
4 支持箇所
5 支持箇所
6 液圧シリンダ
7 ベース
8 クレーンコラム
9 昇降ブーム
10 ナックルブーム
11 エクステンション
12 ナックルブーム
13 エクステンション
14 ナックルブーム
15 エクステンション
16 クレーン
17 演算ユニット
18 記憶装置ユニット
19 ユーザインタフェース
20 無線遠隔制御部
21 表示部
P1,P2,P3,P4,P5 圧力センサ
p21,p22,p23 液圧
p41,p42,p43 液圧
S1,S2 摺動位置センサ
x12,x22,x23 摺動位置
K1,K2,K3,K4 角度センサ
φ 旋回角度
θ 屈曲角度
θ21,θ22,θ23 屈曲角度位置
v1 旋回軸線
L 長手方向延在寸法
t 時間
S 閾値
Δp42 圧力増加
μ 摩擦値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b