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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240709BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/232 B
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020113513
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2021048388
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0115392
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジョン モ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒュン ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウン ヒ
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-023271(JP,A)
【文献】特開2004-186602(JP,A)
【文献】特開2010-232320(JP,A)
【文献】特開2017-191880(JP,A)
【文献】特開2017-118087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
H01C 7/02-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで第3方向に積層されるように配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第3面及び第4面、第2方向に対向する第5面及び第6面、前記第3方向に対向する第1面及び第2面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の前記第3面及び第4面上にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極は、前記セラミック本体に接して配置され、第1導電性金属を有する第1及び第2ベース電極と、前記第1及び第2ベース電極上に配置され、第2導電性金属を有する第1及び第2導電層と、前記第1及び第2導電層を覆うように配置される第1及び第2端子電極と、を含み、
前記第1及び第2導電層の平均表面粗さ(Ra)は10.0μm以上である、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1及び第2ベース電極と、前記第1及び第2導電層とは互いに異なる導電性金属を含む、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2ベース電極は第1導電性金属とガラスとを含む、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記第1及び第2ベース電極は銅(Cu)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1及び第2ベース電極の平均表面粗さ(Ra)は1.0μm以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記第2導電性金属の標準還元電位は、前記第1導電性金属の標準還元電位よりも高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記第2導電性金属は標準還元電位が0.1V以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記第1及び第2導電層は前記第2導電性金属の単一組成層である、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記第1及び第2導電層は前記第2導電性金属の還元層である、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第1及び第2ベース電極と前記第1及び第2導電層との界面に、前記第1導電性金属と前記第2導電性金属とが接する領域、及び前記ガラスと前記第2導電性金属とが接する領域がランダムに配置される、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第1及び第2導電層は、ナノ粒子(nanoparticle)、ナノワイヤ(nanowire)、ナノロッド(nanorod)、ナノバー(nanobar)、ナノベルト(nanobelt)、ナノディスク(nanodisk)、ナノチューブ(nanotube)、及びノテトラポッド(nanotetrapod)からなる群より選択される1つ以上の構造体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品の小型化の傾向に伴い、積層セラミック電子部品に対しても小型化及び高容量化が求められている。そして、積層セラミック電子部品の小型化及び高容量化の要求に合わせて積層セラミック電子部品の外部電極も薄層化しつつある。
【0003】
上記外部電極を形成するために、従来では一般に、導電性金属にガラス及びベース樹脂や有機溶剤などを混合して外部電極ペーストを製造し、セラミック本体の両端面に上記外部電極ペーストを塗布した後、上記セラミック本体を焼成して上記外部電極内の金属を焼結させた。上記外部電極ペーストは、主材料として導電性金属を用いてチップ密閉性及びチップとの電気的連結性を確保し、補助材料としてガラスを用いて上記金属の焼結収縮時の空き領域を満たすとともに、外部電極とチップの結合力を付与する役割を果たす。
【0004】
しかし、上記積層セラミック電子部品が小型化及び高容量化するにつれて、容量を確保するために、内部電極の積層数を増加させ、それに応じて、上下カバー層の厚さを減少させる設計が一般的に適用されている。そのため、外部電極を形成するにあたり、厚さが薄くなり、多層構造の外部電極を適用する場合には外部電極の各層の厚さがさらに薄くなる。
【0005】
かかる多層構造の外部電極を適用した積層セラミック電子部品は、外部からの物理的又は化学的衝撃に弱い構造を有するようになり、機械的強度の低下による製品の品質低下の主な原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外部電極を薄く形成しても、順に積層された多層構造の外部電極間の結合力を向上させて機械的強度を向上させることができ、外部電極間の浮きやデラミネーションなどの不良を防止することができる積層セラミック電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで第3方向に積層されるように配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第3及び第4面、第2方向に対向する第5及び第6面、第3方向に対向する第1及び第2面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の第3面及び第4面上にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極は、上記セラミック本体に接して配置され、第1導電性金属を有する第1及び第2ベース電極と、上記第1及び第2ベース電極上に配置され、第2導電性金属を有する第1及び第2導電層と、を含み、上記第1及び第2導電層の平均表面粗さ(Ra)は10.0μm以上である積層セラミック電子部品を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によると、薄く形成しながらも、外部電極間の結合力を向上させることができる積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0009】
本発明の他の実施形態によると、機械的強度を向上させた積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態によると、外部電極間の浮き現象やデラミネーションを防止することができる積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0011】
但し、本発明の多様でありながら有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のセラミック本体を概略的に示す斜視図である。
図3図1のI-I'線に沿った断面図である。
図4図1のA領域の拡大図である。
図5図1のB領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、X方向は、第1方向、L方向又は長さ方向、Y方向は、第2方向、W方向又は幅方向、Z方向は、第3方向、T方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0016】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100について詳細に説明する。
【0017】
図1図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、誘電体層111、上記誘電体層111を間に挟んで第3方向(Z方向)に積層されるように配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向(X方向)に対向する第3及び第4面S3、S4、第2方向(Y方向)に対向する第5及び第6面S5、S6、第3方向(Z方向)に対向する第1及び第2面S1、S2を含むセラミック本体110と、上記セラミック本体110の第3面S3及び第4面S4上にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極131、132と、を含み、上記第1及び第2外部電極131、132は、上記セラミック本体110に接して配置され、第1導電性金属を有する第1及び第2ベース電極131a、132aと、上記第1及び第2ベース電極131a、132a上に配置され、第2導電性金属を有する第1及び第2導電層131b、132bと、を含むことができる。このとき、上記第1及び第2導電層131b、132bの平均表面粗さ(Ra)は10.0μm以上であることができる。
【0018】
本発明において、ある表面の平均表面粗さ(Ra)は、ジゴコーポレーション(Zygo Corporation)社製の7300 Optical Surface Profilerのような光学表面プロフィラーを用いて測定するか、又はミツトヨ(mitutoyo)社製の表面粗さ計SV-3200などを用いて測定した値であることができる。本発明による積層セラミック電子部品100の第1及び第2導電層131b、132bの平均表面粗さ(Ra)の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、100μm以下であってもよい。第1及び第2導電層131b、132bの平均表面粗さ(Ra)が上記範囲を満たす場合には、後述のように、第1及び第2ベース電極131a、132aとの接触性を向上させるとともに、第1及び第2端子電極131c、132cとの結合力を向上させることができる。
【0019】
上記セラミック本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、セラミック本体110は、六面体状又はこれと類似した形状からなることができる。上記セラミック本体110は、焼成過程において、上記セラミック本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、完全な直線の六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。セラミック本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面S1、S2、第1及び第2面S1、S2に連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面S5、S6、第1及び第2面S1、S2に連結され、第5及び第6面S5、S6に連結され、且つ長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面S3、S4を有することができる。
【0020】
上記セラミック本体110は、誘電体層111に第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、誘電体層111に第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを厚さ方向(Z方向)に交互に積層して形成することができる。
【0021】
上記セラミック本体110には、誘電体層111及び内部電極121、122が第3方向に交互に積層されていることができる。セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0023】
また、上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0024】
誘電体層111は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、複数個のセラミックシートを設けることによって形成することができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーを、ドクターブレード法を介して数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することにより形成することができるが、これに限定されない。
【0025】
本発明の積層セラミック電子部品100は、複数の内部電極121、122が誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0026】
上記第1内部電極121は、上記セラミック本体110の上記第1方向(X方向)の一面に露出することができ、上記第1方向(X方向)の一面に露出する部分が第1外部電極131と連結されることができる。上記第2内部電極122は、上記セラミック本体110の第1方向(X方向)の他面に露出することができ、上記第1方向(X方向)の他面に露出する部分が第2外部電極132と連結されることができる。第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0027】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうちいずれか1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0028】
本発明による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体110の第2方向の両面にマージン部が配置されることができる。上記マージン部は、上記セラミック本体110の第1及び第3方向(X方向及びZ方向)と垂直な第2方向(Y方向)の両面にそれぞれ配置されることができる。上記マージン部は、物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0029】
マージン部は絶縁材料からなることができ、チタン酸バリウムなどのセラミック材料からなることができる。この場合、マージン部は、誘電体層111に含まれるものと同一のセラミック材料を含むか、又は誘電体層111と同一の材料からなることができる。
【0030】
上記マージン部を形成する方法は、特に制限されない。例えば、セラミック本体110に含まれる誘電体層の面積を内部電極の面積よりも大きく形成し、内部電極のうち外部電極と連結される部分を除いた残りの周囲の部分にマージン領域を形成したり、セラミックを含むスラリーを塗布して形成したり、又は誘電体シートをセラミック本体110の第2方向(Y方向)の両面に付着して形成することができる。
【0031】
本発明による積層セラミック電子部品100はカバー部を含むことができる。上記カバー部は、第1及び第2内部電極121、122の最外側に配置されることができる。上記カバー部は、セラミック本体110の最下部の内部電極の下部、及び最上部の内部電極の上部に配置されることができる。このとき、カバー部は、誘電体層111と同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電体層をセラミック本体110の最上部の内部電極の上部、及び最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも1つ以上積層して形成することができる。上記カバー部は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
本発明による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体の第1方向(X方向)の両面に第1外部電極131及び第2外部電極132が配置されることができる。第1外部電極131は、第1内部電極121と電気的に連結され、第2外部電極132は、第2内部電極122と電気的に連結されることができる。
【0033】
上記第1及び第2外部電極131、132は、上記セラミック本体110の第3面S3及び第4面S4に配置され、第1導電性金属を含む第1及び第2ベース電極131a、132aと、第1及び第2ベース電極131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含む第1及び第2導電層131b、132bと、をそれぞれ含むことができる。このとき、上記第1導電性金属と第2導電性金属は互いに異なる成分であることができる。
【0034】
本発明において、第1導電性金属と第2導電性金属が互いに異なる成分を有するとは、第1導電性金属と第2導電性金属が互いに異なる化合物からなることを意味することができ、第2導電性金属が第1導電性金属と同一の成分を含まないことを意味することができる。一例として、本発明の第1及び第2ベース電極131a、132aに含まれる第1導電性金属は銅(Cu)を含むことができ、この場合、第2導電性金属は銅(Cu)を含まない。
【0035】
本発明の一実施形態において、第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aは、第1導電性金属とガラスを含むことができる。上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aに含まれる第1導電性金属は、銅(Cu)であってもよいが、これに制限されるものではなく、例えば、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、及びこれらの合金のうち1つ以上の導電性の金属であることができる。
【0036】
また、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aに含まれるガラス成分は、酸化物が混合された組成を有することができる。上記ガラス成分は、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であることができるが、これらに制限されるものではない。上記遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)からなる群より選択され、上記アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)からなる群より選択され、上記アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であることができる。
【0037】
上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの形成方法は、特に限定されない。例えば、導電性金属とガラスを含む導電性ペーストにセラミック本体をディッピングして形成したり、導電性ペーストをセラミック本体の表面にスクリーン印刷法又はグラビア印刷法などで印刷したり、導電性ペーストをセラミック本体の表面に塗布したり、又は導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をセラミック本体上に転写して形成したりするなど、様々な方法を用いることができ、これらに制限されるものではない。
【0038】
本発明の一例において、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの平均表面粗さ(Ra)は1.0μm以上であることができる。上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの平均表面粗さ(Ra)の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、100μm以下であることができる。第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの平均表面粗さ(Ra)が上記範囲を満たす場合には、第1導電層131b及び第2導電層132bとの接着性を向上させることができる。
【0039】
本発明の一実施形態において、第1導電層132a及び第2導電層132bに含まれる第2導電性金属は、第1導電性金属よりも標準還元電位が高くてもよい。本発明において、標準還元電位(Standard Reduction Potential)とは、25℃、電解質濃度1M、及び1気圧の条件下で酸化還元反応に関与するすべての化学種の活動度が1であるときの電位を意味することができ、標準水素電極を0.00Vにして測定された値を意味することができる。標準還元電位は、互いに異なる物質間の還元/酸化の相対的な傾向を示したものであって、標準還元電位が高いほど還元される傾向が強くなり、標準還元電位が低いほど酸化する傾向が強くなる。これにより、本実施形態の場合、第1導電性金属に比べて第2導電性金属の標準還元電位が高いということは、相対的に第1導電性金属は酸化する傾向が強く、第2導電性金属は還元される傾向が強いことを意味することができる。
【0040】
一例として、本発明による積層セラミック電子部品100の第2導電性金属は、標準還元電位が0.1V以上であることができる。上記第2導電性金属は、標準還元電位が、0.1V以上、0.15V以上、0.20V以上、0.25V以上、又は0.30V以上であってもよく、2.87V以下又は1.99V以下であってもよい。第2導電性金属の標準還元電位が上記範囲を満たすことにより、後述のように、第1及び第2導電層を形成することができ、第1及び第2導電層131b、132bと第1及び第2端子電極131a、132aの結合力を向上させることができる。
【0041】
第2導電性金属が第1導電性金属よりも高い標準還元電位を有する場合には、第2導電性金属を第1導電性金属上に還元させることができる。例えば、第2導電性金属がイオンの形で溶解している水溶液に、第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aが形成されるセラミック本体110を浸漬させると、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に第2導電性金属が還元されて析出される。上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に析出された第2導電性金属は、全体的に見ると膜の形を有するようになり、第1導電層131b及び第2導電層132bを形成するようになる。すなわち、上記第1導電層131b及び第2導電層132bは、第2導電性金属の還元層であってもよい。
【0042】
ある物質の水溶液状における酸化還元反応は、固相を有する物質の表面からランダムに行われる。例えば、第1導電性金属よりも標準還元電位が高い第2導電性金属が溶解している水溶液状に第1導電性金属を含む第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aを浸漬させる場合には、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの第1導電性金属がランダムに酸化し、同時に第2導電性金属はランダムに上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に還元される。このとき、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に還元される第1導電層131b及び第2導電層132bは、上記第2導電性金属の単一組成層であってもよい。また、第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aに含まれる第1導電性金属がランダムに酸化することにより、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの表面は、上述した平均表面粗さ(Ra)を有することができる。
【0043】
本発明の一実施形態によると、第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aが第1導電性金属とガラスを含む場合には、第1導電層131b及び第2導電層132bと上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの界面に、上記第1導電性金属と第2導電性金属が接する領域、及び上記ガラスと第2導電性金属が接する領域がランダムに配置されることができる。上述のように、第1導電性金属よりも標準還元電位が高い第2導電性金属が溶解している水溶液状に第1導電性金属を含む第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aを浸漬させる場合には、第1導電性金属がランダムに酸化し、同時に第2導電性金属が上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に還元される。このとき、第2導電性金属が還元される第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの表面には、第1導電性金属とガラスがランダムに配置される。
【0044】
これにより、上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に第1導電層131b及び第2導電層132bが還元によって形成される場合には、第1導電層131b及び第2導電層132bと上記第1ベース電極131a及び第2ベース電極132aの界面に、上記第1導電性金属と第2導電性金属が接する領域、及び上記ガラスと第2導電性金属が接する領域がランダムに配置されることができる。
【0045】
本発明の一実施形態において、第1及び第2導電層131b、132bは、ナノ粒子(nanoparticle)、ナノワイヤ(nanowire)、ナノロッド(nanorod)、ナノバー(nanobar)、ナノベルト(nanobelt)、ナノディスク(nanodisk)、ナノチューブ(nanotube)、及びナノテトラポッド(nanotetrapod)からなる群より選択される1つ以上の構造体を含むことができる。上記第1導電層131b及び第2導電層132bが水溶液状における液相還元によって形成される場合には、第1ベース電極131a及び第2ベース電極132a上に還元される第2導電性金属が微細なサイズの構造体を形成するようになる。上記構造体は、ランダムに選択された形を有することができ、上述した構造体のうち1つ以上の形を有することができる。上記第1導電層131b及び第2導電層132bが上記構造体のうち1つ以上を含む場合には、後述する端子電極との接着性を向上させることができる。これにより、外部電極の浮きやデラミネーションを防止することができる。
【0046】
本発明の一実施形態において、本発明による積層セラミック電子部品100は、第1導電層131b上に配置される第1端子電極131cと、第2導電層132b上に配置される第2端子電極132cと、を含むことができる。上記第1及び第2端子電極131c、132cは、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成したり、導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をセラミック本体上に転写して形成したり、又はスパッタ又は電解めっき(Electric Deposition)によって形成することができるが、これらに制限されるものではない。
【0047】
上記第1及び第2端子電極131c、132cを形成する材料は、特に制限されるものではなく、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)又は鉛(Pb)などの単独又はこれらの合金を含むことができる。上記第1及び第2端子電極131c、132cを含むことで、基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久性、耐熱性、及び/又は等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を向上させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0049】
100 積層セラミック電子部品
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1及び第2ベース電極
131b、132b 第1及び第2導電層
131c、132c 第1及び第2端子電極
図1
図2
図3
図4
図5