(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201N
H01G4/30 515
(21)【出願番号】P 2018207607
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0102000
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、フィ デ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】畑中 博幸
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209539(JP,A)
【文献】特開2013-102123(JP,A)
【文献】特開2016-1721(JP,A)
【文献】特開2011-249525(JP,A)
【文献】特開2018-37492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面、及び前記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の側部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、
前記誘電体層の厚さは0.4μm以下であり、
前記誘電体層内には、金属または金属酸化物が配置され、前記誘電体層の厚さに対する前記金属または金属酸化物の直径比が0.8以下である、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記金属はニッケル(Ni)であり、前記金属酸化物は、ニッケル(Ni)及びマグネシウム(Mg)を含む酸化物である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記金属または金属酸化物は、前記誘電体層領域のうち前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に隣接した領域内に配置される、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記複数の内部電極のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さ比は、0.9以上1.0以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記複数の内部電極のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対する、前記セラミック本体の角と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さ比は、0.9以上1.0以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記内部電極の厚さは0.4μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の平均厚さが2μm以上10μm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記セラミック本体は、前記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極を含んで容量が形成される活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、を含み、
前記カバー部の厚さは20μm以下を満たす、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記第1内部電極パターンと前記第2内部電極パターンが交差するように、前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、
前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、前記セラミックグリーンシート積層体を切断する段階と、
前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、
前記切断された積層体を焼成して誘電体層と内部電極を含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、
前記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さは0.6μm以下であり、
前記誘電体層内には、金属または金属酸化物が配置され、前記誘電体層の厚さに対する前記金属または金属酸化物の直径比が0.8以下である、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記金属はニッケル(Ni)であり、前記金属酸化物は、ニッケル(Ni)及びマグネシウム(Mg)を含む酸化物である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記金属または金属酸化物は、前記誘電体層領域のうち前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に隣接した領域内に配置される、請求項9または10に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
第1及び第2内部電極パターンの厚さは0.5μm以下である、請求項9から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記内部電極のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さ比は、0.9以上1.0以下である、請求項9から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記内部電極のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対する、前記セラミックグリーンシート積層体の角と接する前記第1または第2サイドマージン部領域の厚さ比は、0.9以上1.0以下である、請求項9から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の平均厚さが2μm以上10μm以下である、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記セラミック本体は、前記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極を含んで容量が形成される活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、を含み、
前記カバー部の厚さは20μm以下を満たす、請求項9から15のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック本体の側面に配置されたサイドマージン部に隣接した誘電体層内に配置されたニッケル粒子またはニッケル酸化物のサイズを制御することにより、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどのセラミック材料を使用する電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体、本体内部に形成された内部電極、及び上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設置された外部電極を備える。
【0003】
最近では、電子製品が小型化及び多機能化するにつれて、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタもサイズが小さく、且つ容量が大きい高容量製品が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極の有効面積を極大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加)することが求められる。
【0005】
上記のように小型及び高容量積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造する際に、内部電極を本体の幅方向に露出させてマージンがないように設計することで、内部電極の幅方向の面積を極大化し、且つかかるチップを作製した後、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0006】
しかし、上記方法を介してサイドマージン部を形成する過程で、内部電極に含まれる金属または上記金属の酸化物が誘電体層の内部に配置されることがあり、上記金属または金属の酸化物によって信頼性が低下し得る。
【0007】
具体的に、誘電体層の内部に生成された金属または金属の酸化物によって内部電極間の距離を減少させる現象が現れて電界集中が発生し、これによってショート不良が発生し得る。
【0008】
したがって、超小型及び高容量製品におけるショート不良を防止して信頼性を向上させることができる研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第2010-0136917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、セラミック本体の側面に配置されたサイドマージン部に隣接した誘電体層内に配置されたニッケル粒子またはニッケル酸化物のサイズを制御することにより、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面、及び上記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1面及び第2面に露出し、且つ上記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出した上記内部電極の側部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、上記誘電体層内には、金属または金属酸化物が配置され、上記誘電体層の厚さに対する上記金属または金属酸化物の直径比が0.8以下である、積層セラミックキャパシタを提供する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンが交差するように、上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層体を切断する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、上記切断された積層体を焼成して誘電体層と内部電極を含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、上記誘電体層内には、金属または金属酸化物が配置され、上記誘電体層の厚さに対する上記金属または金属酸化物の直径比が0.8以下である、積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によると、セラミック本体の側面に配置されたサイドマージン部に隣接した誘電体層内に配置されたニッケル粒子またはニッケル酸化物のサイズを制御することにより、内部電極間の電界集中を防止してショート不良を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図1のセラミック本体の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図2のセラミック本体を焼成する前のセラミックグリーンシート積層体を示す斜視図である。
【
図6a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
【
図6b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
【
図6c】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
【
図6d】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
【
図6e】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
【
図6f】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。また、図面上に同一符号で表示される要素は同一要素である。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【0017】
図2は
図1のセラミック本体の外観を示す斜視図である。
【0018】
図3は
図2のセラミック本体を焼成する前のセラミックグリーンシート積層体を示す斜視図である。
【0019】
【0020】
図1~
図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0021】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面及び第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面と下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0022】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の第2方向であって、幅方向に向かい合う面、上記第3面3及び第4面4は第1方向であって、長さ方向に向かい合う面、上記第5面5及び第6面6は第3方向であって、厚さ方向に向かい合う面と定義することができる。
【0023】
上記セラミック本体110の形状に特に制限はないが、図示のように直方体形状であることができる。
【0024】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3または第4面4に一端が露出する。
【0025】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対に構成することができる。
【0026】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。
【0027】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3または第4面4から一定の間隔を置いて形成される。
【0028】
上記セラミック本体の第3面3及び第4面4には、第1及び第2外部電極131、132が形成されて上記内部電極と電気的に連結されることができる。
【0029】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1面及び第2面1、2に露出し、且つ第3面3又は第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122、及び上記第1面1及び第2面2に露出した上記内部電極121、122の側部上に配置される第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113を含む。
【0030】
上記セラミック本体110の内部には複数の内部電極121、122が形成されており、上記複数の内部電極121、122の各側部は、上記セラミック本体110の幅方向面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した側部上に第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が配置される。
【0031】
第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の平均厚さは2μm以上10μm以下であることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層体と、上記積層体の両側面に配置される第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113で構成されることができる。
【0033】
上記複数の誘電体層111は焼結された状態であり、隣接する誘電体層間の境界は確認できないほど一体化することができる。
【0034】
上記セラミック本体110の長さは、セラミック本体の第3面3から第4面4までの距離に該当する。
【0035】
上記誘電体層111の長さは、セラミック本体の第3面3と第4面4との間の距離を形成する。
【0036】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の長さは400~1400μmであることができる。より具体的に、セラミック本体の長さは400~800μm又は600~1400μmであることができる。
【0037】
上記誘電体層111上には内部電極121、122が形成されることができる。また、内部電極121、122は、焼結によって一誘電体層を挟んで上記セラミック本体の内部に形成されることができる。
【0038】
図3を参照すると、誘電体層111に第1内部電極121が形成されている。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向全体には形成されない。即ち、第1内部電極121の一端は、第3面3まで形成されて第3面3に露出し、第1内部電極121の他端は、セラミック本体の第4面4から所定の間隔を置いて形成されることができる。
【0039】
セラミック本体の第3面3に露出した第1内部電極の端部は、第1外部電極131と連結される。
【0040】
第1内部電極とは反対に、第2内部電極122の一端は、第4面4に露出して第2外部電極132と連結され、第2内部電極122の他端は、第3面3から所定の間隔を置いて形成される。
【0041】
上記内部電極は、高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、400層以上積層されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0042】
上記誘電体層111は、第1内部電極121の幅と同一の幅を有することができる。即ち、上記第1内部電極121は、誘電体層111の幅方向全体に形成されることができる。
【0043】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~900μmであることができる。より具体的に、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~500μm又は100~900μmであることができる。
【0044】
セラミック本体が小型化するほど、サイドマージン部の厚さが積層セラミックキャパシタの電気的特性に影響を与えることができる。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部の厚さが10μm以下に形成されることにより、小型化した積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができる。
【0045】
即ち、サイドマージン部の厚さを10μm以下に形成して、容量を形成する内部電極の重なり面積を最大に確保することにより、高容量及び小型の積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【0046】
かかるセラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性部Aと、上下マージン部として、活性部Aの上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー部114、115で構成されることができる。
【0047】
上記活性部Aは、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0048】
上記上部及び下部カバー部114、115は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0049】
即ち、上記上部及び下部カバー部114、115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0050】
上記上部及び下部カバー部114、115はそれぞれ、20μm以下の厚さを有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0051】
本発明の一実施形態において、内部電極と誘電体層は同時に切断されて形成されるものであって、内部電極の幅と誘電体層の幅は同一に形成されることができる。これに対するより具体的な事項は後述する。
【0052】
本実施形態において、誘電体層の幅は内部電極の幅と同一に形成され、これにより、セラミック本体110の幅方向の第1面及び第2面に内部電極121、122の側部が露出することができる。
【0053】
上記内部電極121、122の側部が露出したセラミック本体110の幅方向の両側面には、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が形成されることができる。
【0054】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは10μm以下であることができる。上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さが小さいほど、セラミック本体内に形成される内部電極の重なり面積が相対的に広くなり得る。
【0055】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは、セラミック本体110の側面に露出する内部電極のショートを防止できる厚さであれば、特に制限されないが、例えば、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは2μm以上であることができる。
【0056】
上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが2μm未満の場合、外部衝撃に対する機械的強度が低下する恐れがあり、上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが10μmを超える場合、内部電極の重なり面積が相対的に減少して積層セラミックキャパシタの高容量を確保することが困難となり得る。
【0057】
積層セラミックキャパシタの容量を極大化するためには、誘電体層を薄膜化する方法、薄膜化した誘電体層を高積層化する方法、内部電極のカバレッジを向上させる方法などが考えられている。
【0058】
また、容量を形成する内部電極の重なり面積を向上させる方法が考えられている。
【0059】
内部電極の重なり面積を増加させるためには、内部電極が形成されていないマージン部領域を最小化する必要がある。
【0060】
特に、積層セラミックキャパシタが小型化するほど、内部電極の重なり面積を増加させるためには、マージン部領域を最小化する必要がある。
【0061】
本実施形態によると、誘電体層の幅方向全体に内部電極が形成され、サイドマージン部の厚さが10μm以下に設定されることにより、内部電極の重なり面積が広い特徴を有する。
【0062】
一般的に、誘電体層が高積層化するほど誘電体層及び内部電極の厚さは薄くなる。したがって、内部電極がショートする現象が頻繁に発生し得る。また、誘電体層の一部にのみ内部電極が形成される場合、内部電極による段差が発生して絶縁抵抗や信頼性が低下し得る。
【0063】
しかし、本実施形態によると、薄膜の内部電極及び誘電体層を形成しても、内部電極が誘電体層の幅方向全体に形成されるため、内部電極の重なり面積が大きくなって積層セラミックキャパシタの容量を大きくすることができる。
【0064】
また、内部電極による段差を減少させて絶縁抵抗を向上させることにより、容量特性に優れながらも信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0065】
【0066】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、上記誘電体層111内には、金属または金属酸化物21が配置され、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下を満たす。
【0067】
本発明の一実施形態のように、積層セラミックキャパシタの作製過程における焼成前の段階で、セラミック本体の幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着する場合、サイドマージン部の形成過程で、内部電極に含まれる金属または金属の酸化物が誘電体層の内部に配置されることがあり、上記金属または金属の酸化物によって信頼性が低下し得る。
【0068】
具体的に、誘電体層の内部に生成された金属または金属の酸化物によって内部電極間の距離を減少させる現象が現れて電界集中が発生し、これにより、ショート不良が発生し得る。
【0069】
即ち、電位差のある内部電極間に中性導体が浸透する場合、導体の性質によって導体内の電荷が再配列される。このように再配列された中性導体は電極と同一の効果を有し、結果的に内部電極間の距離を減少させるため、内部電極間の電界強度が増加する。
【0070】
このように誘電体層内に中性導体である金属または金属の酸化物が浸透する場合、内部電極間の電界強度が増加する効果によってショート不良が発生する可能性が高くなる。
【0071】
本発明の一実施形態によると、誘電体層内に生成された金属または金属酸化物の粒子サイズを制御することにより電界集中量を予測できるため、ショート不良を減少させることができる。
【0072】
具体的に、上記誘電体層111内には、金属または金属酸化物21が配置され、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下を満たすように調節することにより、内部電極内に増加する電界を制御してショート不良を減少させることができる。
【0073】
上記誘電体層111内には、金属または金属酸化物21が配置され、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8を超える場合、電極と同一の効果を有する金属または金属酸化物21の直径Dが大きくなり、内部電極間の距離が短くなる効果によってショート不良が発生し得る。
【0074】
これに対し、本発明の一実施形態において、上記金属または金属酸化物21の直径Dは小さいほどショート不良の可能性は低くなるため、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比の下限値は、特別に特定しない。
【0075】
上記金属または金属酸化物21において、上記金属はニッケル(Ni)であり、上記金属酸化物は、ニッケル(Ni)とマグネシウム(Mg)を含む酸化物であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0076】
上記第1及び第2内部電極121、122がニッケル(Ni)を含む場合には、上記誘電体層111内に配置された金属または金属酸化物21は、上記のようにニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)とマグネシウム(Mg)を含む酸化物であることができる。
【0077】
他の例として、上記第1及び第2内部電極121、122がニッケル(Ni)以外の他の金属を含む場合には、上記誘電体層111内に配置された金属または金属酸化物21も、ニッケル(Ni)以外の他の金属またはその金属の酸化物であることができる。
【0078】
上記金属または金属酸化物21は、上記誘電体層111の領域のうち上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113に隣接した領域内に配置されることができる。
【0079】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層111内に配置された金属または金属酸化物21は、上述のように、焼成前の段階でセラミック本体の幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着する場合、誘電体層内に浸透することがあり、上記金属または金属酸化物21の誘電体層内への拡散には限界があるため、金属または金属酸化物21は、上記誘電体層111の領域のうち上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113に隣接した領域内に配置されることができる。
【0080】
換言すると、従来の積層セラミックキャパシタの製造方法のように、別のサイドマージン部を付着しない場合には、誘電体層内に金属または金属酸化物が配置される可能性は低く、特にセラミック本体の幅方向のマージン部に隣接した誘電体層の領域内に金属または金属酸化物が配置される可能性は低い。
【0081】
また、セラミック本体の幅方向の側面であるサイドマージン部から離れたセラミック本体の中央部領域における誘電体層の内部にも、金属または金属酸化物が配置される可能性は低い。
【0082】
したがって、 金属または金属酸化物21が、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113に隣接した誘電体層111領域内に配置される特徴は、本発明の固有の現象であり、本発明の一実施形態では、かかる金属または金属酸化物21の直径を制御することにより、内部電極間の電界集中を調節してショート不良を減少させることを主要な特徴とする。
【0083】
特に、本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111の厚さは0.4μm以下であり、上記内部電極121、122の厚さは0.4μm以下である超小型及び高容量積層セラミックキャパシタを特徴とする。
【0084】
本発明の一実施形態のように、上記誘電体層111の厚さは0.4μm以下であり、上記内部電極121、122の厚さは0.4μm以下である薄膜の誘電体層と内部電極が適用された超小型及び高容量積層セラミックキャパシタの場合、内部電極間の電界集中によるショート不良の信頼性問題が非常に重要な争点である。
【0085】
即ち、従来の積層セラミックキャパシタの場合に比べて本発明の一実施形態は、誘電体層111と内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である超小型及び高容量積層セラミックキャパシタに適用される技術である。したがって、誘電体層の厚さが薄くて内部電極間の距離が近くなるため、電界が集中する可能性が高い。
【0086】
かかる薄膜の超小型高容量積層セラミックキャパシタに加えて、本発明の一実施形態では、焼成前の段階でセラミック本体の幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着するため、サイドマージン部の形成過程で、内部電極に含まれる金属または金属の酸化物が誘電体層の内部に配置されることがある。
【0087】
この場合、上述のように、上記金属または金属の酸化物が電極の役割を果たし、内部電極間の距離はより近くなるという現象が現れるため、電界集中によるショート不良の可能性はさらに高くなり得る。
【0088】
しかし、本発明の一実施形態のように、別のサイドマージン部が付着された超小型及び高容量積層セラミックキャパシタにおいて、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下を満たすように調節することにより、誘電体層111と、第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である薄膜の場合にも信頼性を向上させることができる。
【0089】
但し、上記薄膜は、誘電体層111と、第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下であることを意味するものではなく、従来の製品よりも薄い厚さの誘電体層と内部電極を含む概念として理解することができる。
【0090】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下を満たすように調節する方法は、セラミック本体の幅方向の側面に第1及び第2サイドマージン部を形成した後、焼成過程で焼成温度プロファイルを調節するか、または昇温速度を調節することにより、上記金属または金属酸化物21の直径Dを制御することができる。
【0091】
図4を参照すると、上記複数の内部電極121、122のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2比は、1.0以下であることができる。
【0092】
中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2比の下限値は、特に制限されるものではないが、0.9以上であることが好ましい。
【0093】
本発明の一実施形態によると、上記第1または第2サイドマージン部は、従来とは異なり、セラミックグリーンシートをセラミック本体の側面に付着して形成されるため、第1または第2サイドマージン部の位置毎の厚さが一定である。
【0094】
即ち、従来はセラミックスラリーを塗布または印刷する方式でサイドマージン部を形成したため、サイドマージン部の位置毎の厚さのばらつきが大きかった。
【0095】
具体的に、従来の場合には、セラミック本体の中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さが、他の領域の厚さに比べて厚く形成された。
【0096】
例えば、従来の場合、中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さ比は、0.9未満程度と、そのばらつきが大きい。
【0097】
このように、サイドマージン部の位置毎の厚さのばらつきが大きい従来の場合、同一サイズの積層セラミックキャパシタにおいてサイドマージン部の占める部分が大きいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができず、高容量の確保が困難である。
【0098】
これに対し、本発明の一実施形態は、第1及び第2サイドマージン部112、113の平均厚さが2μm以上10μm以下であり、上記複数の内部電極121、122のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対する、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2比は、0.9以上1.0以下であるため、サイドマージン部の厚さが薄く、且つ厚さのばらつきが少なくて、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0099】
本発明の一実施形態では、従来と異なり、セラミックグリーンシートをセラミック本体の側面に付着して形成するため、第1または第2サイドマージン部の位置毎の厚さが一定である。
【0100】
これにより、高容量積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0101】
一方、
図4を参照すると、上記複数の内部電極121、122のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対する、上記セラミック本体110の角と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3比は、1.0以下であることができる。
【0102】
中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対する、上記セラミック本体110の角と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3比の下限値は、0.9以上であることが好ましい。
【0103】
上記特徴により、サイドマージン部の領域毎の厚さのばらつきが少なくて容量形成部のサイズを大きく確保することができ、これにより、高容量積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0104】
図6a~
図6fは本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図及び斜視図である。
【0105】
本発明の他の実施形態によると、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンが交差するように、上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層体を切断する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、上記切断された積層体を焼成して誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、上記誘電体層内には、金属または金属酸化物が配置され、上記誘電体層の厚さに対する上記金属または金属酸化物の直径比が0.8以下である積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0106】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0107】
図6aに示されたように、セラミックグリーンシート211上に所定の間隔を置いて複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する。上記複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221は、互いに平行に形成されることができる。
【0108】
上記セラミックグリーンシート211は、セラミックパウダー、有機溶剤、及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。
【0109】
上記セラミックパウダーは、高い誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO3)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系材料などを使用することができ、好ましくは、チタン酸バリウム(BaTiO3)パウダーが使用されることができる。上記セラミックグリーンシート211が焼成されると、セラミック本体110を構成する誘電体層111となる。
【0110】
ストライプ状の第1内部電極パターン221は、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはそれらの合金であることができる。
【0111】
上記セラミックグリーンシート211上にストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法のような印刷法によって形成されることができる。
【0112】
また、図示されていないが、さらに他のセラミックグリーンシート211上に所定の間隔を置いて複数個のストライプ状の第2内部電極パターン222を形成することができる。
【0113】
以下、第1内部電極パターン221が形成されたセラミックグリーンシートは、第1セラミックグリーンシート、第2内部電極パターン222が形成されたセラミックグリーンシートは、第2セラミックグリーンシートと称することができる。
【0114】
次に、
図6bに示されたように、ストライプ状の第1内部電極パターン221とストライプ状の第2内部電極パターン222が交差積層されるように、第1及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0115】
以後、上記ストライプ状の第1内部電極パターン221は、第1内部電極121となり、ストライプ状の第2内部電極パターン222は、第2内部電極122となり得る。
【0116】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtd'は0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは、0.5μm以下である。
【0117】
本発明は、誘電体層の厚さが0.4μm以下であり、内部電極の厚さは0.4μm以下である薄膜を有する超小型高容量積層セラミックキャパシタを特徴とするため、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtd'は0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは0.5μm以下であることを特徴とする。
【0118】
図6cは本発明の他の実施形態によって第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体220を示す断面図であり、
図6dは第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体220を示す斜視図である。
【0119】
図6c及び
図6dを参照すると、複数個の平行なストライプ状の第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシートと、複数個の平行なストライプ状の第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシートは、互いに交互に積層されている。
【0120】
より具体的に、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221の中央部と第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222との間隔が重なるように積層されることができる。
【0121】
次に、
図6dに示されたように、上記セラミックグリーンシート積層体220は、複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222を横切るように切断されることができる。即ち、上記セラミックグリーンシート積層体220は、互いに直交するC1-C1及びC2-C2切断線に沿って切断されて積層体210となり得る。
【0122】
より具体的に、ストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222は、長さ方向に切断されて一定の幅を有する複数個の内部電極に分割されることができる。このとき、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンと共に切断される。これにより、誘電体層は、内部電極の幅と同一の幅を有するように形成されることができる。
【0123】
また、C2-C2切断線に沿って個々のセラミック本体サイズに合わせて切断することができる。即ち、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、棒状積層体をC2-C2切断線に沿って個々のセラミック本体サイズに切断して複数の積層体210を形成することができる。
【0124】
即ち、棒状積層体を、重なった第1内部電極の中心部と第2内部電極との間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は、切断面に交互に露出することができる。
【0125】
以後、上記積層体210の第1及び第2側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。
【0126】
次に、
図6eに示されたように、上記積層体210の第1及び第2側面のそれぞれに第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部(図示せず)を形成することができる。
【0127】
具体的に、第1サイドマージン部212の形成方法は、接着剤(図示せず)が塗布された側面用セラミックグリーンシート212をラバー素材のパンチング弾性材300の上部に配置する。
【0128】
次に、上記積層体210の第1側面が、上記接着剤(図示せず)が塗布された側面用セラミックグリーンシート212と向かい合うように上記積層体210を90度回転させた後、上記積層体210を上記接着剤(図示せず)が塗布された側面用セラミックグリーンシート212に加圧密着させる。
【0129】
上記積層体210を上記接着剤(図示せず)が塗布された側面用セラミックグリーンシート212に加圧密着させて側面用セラミックグリーンシート212を上記積層体210に転写する場合、上記ラバー素材のパンチング弾性材300によって、上記側面用セラミックグリーンシート212は上記積層体210の側面角部まで形成され、残りの部分は切断されることができる。
【0130】
図6fは側面用セラミックグリーンシート212が上記積層体210の側面角部まで形成されていることを示している。
【0131】
その後、上記積層体210を回転させることにより、積層体210の第2側面に第2サイドマージン部を形成することができる。
【0132】
次に、上記積層体210の両側面に第1及び第2サイドマージン部が形成された積層体を仮焼及び焼成することで、誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を形成することができる。
【0133】
本発明の他の実施形態によると、側面用セラミックグリーンシート212の上部に接着剤が塗布されているため、従来とは異なり、低い温度と低い圧力条件で側面用セラミックグリーンシート212を積層体210の側面に転写することができる。
【0134】
これにより、積層体210に加えられるダメージを最小化することができるため、焼成後の積層セラミックキャパシタの電気的特性の低下を防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
【0135】
また、接着剤が塗布された側面用セラミックグリーンシート212を積層体210の側面に転写して焼成過程で加圧することにより、積層体と側面用セラミックグリーンシートとの間の密着力を上昇させることができる。
【0136】
以後、上記第1内部電極が露出したセラミック本体の第3側面と、上記第2内部電極が露出したセラミック本体の第4側面にそれぞれ外部電極を形成することができる。
【0137】
本発明の他の実施形態によると、側面用セラミックグリーンシートは、薄くて厚さのばらつきが小さいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0138】
具体的に、焼成後の第1及び第2サイドマージン部112、113の平均厚さが2μm以上10μm以下であり、位置毎の厚さのばらつきが小さいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0139】
これにより、高容量積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0140】
その他、上述の本発明の一実施形態による特徴と同一の部分に対しては、説明の重複を避けるためにここでは省略する。
【0141】
以下、実験例を介して本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0142】
実験例
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下となるように実施例による積層セラミックキャパシタを設け、比較例による積層セラミックキャパシタは従来の方法で製造した。
【0143】
そして、幅方向に内部電極が露出してマージンがないグリーンチップの電極露出部に、上記比較例と実施例のように側面用セラミックグリーンシートを付着し、サイドマージン部を形成できるようにセラミックグリーンシート積層体を形成した。
【0144】
チップの変形を最小化した条件で、一定温度と圧力を加えてセラミックグリーンシート積層体の両面に側面用セラミックグリーンシートを付着し、0603サイズ(横×縦×高さ:0.6mm×0.3mm×0.3mm)の積層セラミックキャパシタグリーンチップを作製した。
【0145】
このように作製が完了した積層セラミックキャパシタ試片は、400℃以下、窒素雰囲気下で可塑工程を経て、焼成温度1200℃以下、水素濃度0.5%H2以下の条件で焼成した後、ショート不良などの電気的特性を総合的に確認した。
【0146】
上記実験により測定した結果、従来の比較例の場合、ショート不良率が高いことを確認した。
【0147】
これに対し、誘電体層111の厚さtdに対する上記金属または金属酸化物21の直径D比が0.8以下を満たす実施例の場合、不良率が5%未満と、信頼性に優れることが確認できる。
【0148】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0149】
110 セラミック本体
111 誘電体層
112、113 第1及び第2サイドマージン部
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極