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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】保険料算出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20240709BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q40/08
G06Q50/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019211727
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021082216
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】村松 奈美
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-032578(JP,A)
【文献】特開2002-140780(JP,A)
【文献】特開2004-078515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 40/08
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の損害項目が設定されて対象の住宅について契約されている損害保険の保険料の算出に用いられる保険料算出システムであって、
前記住宅に在宅している居住者の各々について少なくとも住宅における動作を検出する動作検出手段と、
前記動作検出手段によって検出された前記居住者の動作を監視し、その動作が原因となって前記居住者又は前記住宅に生じる可能性のある動作について、前記損害項目のうちで対応する損害項目に仕分けする監視手段と、
前記監視手段による仕分けに基づいて、前記損害項目ごとに該損害項目に対応する前記居住者の動作の回数及び動作の時間の少なくとも一方を積算し、前記損害保険において設定されている前記損害項目ごとの積算値を出力する積算手段と、
前記損害保険において設定されている前記損害項目の各々について前記積算手段から出力される前記損害項目ごとの前記積算値を用いて前記保険料を算出する算出手段と、
を備える保険料算出システム
【請求項2】
前記動作検出手段は、前記住宅の設備の使用を検出することを含み、
前記損害保険において設定されている前記損害項目には、前記居住者が不在となることに起因する盗難、前記居住者の外出に起因する携行品の損害、前記居住者の水を使用する動作に起因する水漏れ、前記居住者の火気を使用する動作に起因する火災、前記居住者の家財に衝撃を与える動作に起因する家財の損傷、前記居住者の動作により該居住者が受傷する傷害、及び前記居住者の動作により前記住宅が受ける衝撃に起因する該住宅の損傷の何れか少なくとも一つが含まれる請求項1に記載の保険料算出システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険料算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅に対する損害保険には、建物や建物内に収容されている家財等に対する火災による損害を補償する火災保険(住宅火災保険や普通火災保険)があり、火災保険の補償範囲を広げた総合保険(住宅総合保険や店舗総合保険)がある。また、損害保険には、地震に対する損害を補償する地震保険があり、住宅についての地震に対する被害には、火災保険に付帯する特約として契約可能になっている。
【0003】
ここで、特許文献1には、災害時に利用者に対して支払われる保険金額と、割引率及び適用料率とに基づいて利用者が支払う保険料を算出する保険料算出システムが記載されている。この保険料算出システムでは、適用料率を建物の構造情報に基づいて算出し、利用者が支払う保険料の割引率を、建物の所在地情報に基づいて取得した建物の電力使用状況に関する情報に基づいて算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-027175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅などにおいては、火災、地震や水害等の自然災害などの損害のみならず、水漏れ(漏水)や家財の破損等の人的な損害が生じることがある。住宅火災保険や住宅総合保険では、これらの損害に対する補償のための特約が付帯されて契約されることがある。
【0006】
しかしながら、火災保険や各種の特約が付帯された損害保険などは、利用者が支払う保険料が予め設定された規定等に応じて一律に加算されるため、被保険者にとっては補償内容に対して保険料が割高となって感じられることがある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、住宅における損害に対するリスクを可視化して、更には、利用者が損害補償内容に対して保険料が割高と感じてしまうのを抑制できる保険料算出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様のリスク監視装置は、在宅している居住者の各々について住宅における居住者の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段によって検出された前記居住者の動作を該動作が原因となって損害を受ける可能性のある損害項目ごとに仕分けして監視する監視手段と、前記損害項目ごとに、前記監視手段によって監視されている前記居住者の動作の回数及び動作の時間の少なくとも一方を積算し、前記損害項目ごとの積算値を出力する積算手段と、を備える。
【0009】
第1の態様では、動作検出手段が在宅している居住者の各々について動作を検出する。監視手段は、動作検出手段によって検出された居住者の動作を該動作が原因となって損害を受ける可能性のある損害項目ごとに仕分けして監視する。これにより、損害項目ごとに居住者の動作が監視される。
【0010】
ここで、積算手段は、損害項目ごとに、監視手段によって監視されている居住者の動作の回数及び動作の時間の少なくとも一方を積算し、損害項目ごとの積算値を出力する。これにより、住宅における損害に対するリスクを可視化でき、居住者の動作に応じた損害項目ごとの積算値から、損害項目に対するリスクを把握できる。
【0011】
第2の態様のリスク監視装置は、第1の態様において、前記損害項目には、前記居住者が不在となることに起因する盗難、前記居住者の外出に起因する携行品の損害、前記居住者の水を使用する動作に起因する水漏れ、前記居住者の火気を使用する動作に起因する火災、前記居住者の家財に衝撃を与える動作に起因する家財の損傷、前記居住者の動作により該居住者が受傷する傷害、及び前記居住者の動作により住宅が受ける衝撃に起因する住宅の損傷の何れか少なくとも一つが含まれる。
【0012】
第2の態様では、損害項目に、居住者が不在となることに起因する盗難、居住者の外出に起因する携行品の損害、居住者の水を使用する動作に起因する水漏れ、居住者の火気を使用する動作に起因する火災、居住者の家財に衝撃を与える動作に起因する家財の損傷、居住者の動作により該居住者が受傷する傷害、及び居住者の動作により住宅が受ける衝撃に起因する住宅の損傷の何れか少なくとも一つが含まれる。
【0013】
これにより、盗難、携行品損害、水漏れ、火災、家財の損傷、居住者の傷害及び住宅の損傷等の人為的な損害の損害項目に対するリスクを把握できる。しかも、保険料が居住者の動作に影響するので、居住者の動作(生活パターン)により損害が生じるリスクを把握できるので、損害項目ごとにリスクに応じた損害保険契約をすれば、保険料の抑制が可能になる。
【0014】
第3の態様の保険料算出システムは、請求項1又は請求項2に記載のリスク監視装置と、前記損害項目の各々について前記リスク監視装置から出力される該損害項目ごとの前記積算値を用いて保険料を算出する算出手段と、を備える。
【0015】
第3の態様では、算出手段が、リスク監視装置から出力される該損害項目ごとの積算値を用いて、損害項目の各々について保険料を算出する。このため、損害項目の積算値を損害項目に対する保険料に反映されるので、保険料が割高と感じるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明の第1の態様のリスク監視装置によれば、住宅における損害に対するリスクを可視化できるので、居住者の動作に応じた損害項目ごとの積算値から、損害項目に対するリスクを把握できる、という効果がある。
【0017】
第2の態様のリスク監視装置によれば、盗難、水漏れ、火災、家財の損傷、居住者の傷害及び住宅の損傷等の人為的な損害の損害項目に対する保険料の適正化を図ることができる、という効果がある。
【0018】
第3の態様の保険料算出システムによれば、損害項目についての保険料を適正に算出できて、保険料が割高と感じるのを抑制できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る住宅監視システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る保険料算出システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】損害項目監視処理の概略を示す流れ図である。
図4】居住者の外出に関連する損害項目監視処理の一例を示す流れ図である。
図5】調理に関連する損害項目監視処理の一例を示す流れ図である。
図6】子供の遊びに関連する損害項目監視処理の一例を示す流れ図である。
図7】屋外の作業に関連する損害項目監視処理の一例を示す流れ図である。
図8】損害項目ごとの積算値と保険料の関係を示す図表である。
図9】保険料の算出処理の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態では、リスク監視装置として住宅監視システム10を適用している。住宅監視システム10は、本実施形態に係る建物としての住宅12に設けられ、住宅12において損害の原因となる居住者の動作を監視する。住宅監視システム10は、保険料算出システム14に用いることができる。図1には、住宅監視システム10の概略構成がブロック図にて示され、図2には、保険料算出システム14の概略構成がブロック図にて示されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、住宅監視システム10は、監視コントローラ16を備えている。監視コントローラ16は、電源が供給されることで動作して、住宅監視システム10の作動を制御する。なお、住宅監視システム10は、蓄電池などの非常用電源を備え、非常用電源によって動作可能にされてもよい。
【0022】
図2に示すように、住宅監視システム10は、監視コントローラ16がインターネットなどの公衆通信回線網や専用通信回線などの通信ネットワーク18に接続されている。住宅監視システム10は、監視コントローラ16が通信ネットワーク18を介して損害保険会社20の保険管理システム22に接続されて保険料算出システム14を構成している。なお、住宅監視システム10は、監視コントローラ16が住宅12に設置されているHEMS(Home Energy Management System)24に接続され、HEMS24から各種の情報を取得することもできる。
【0023】
損害保険会社20は、住宅12について損害保険契約を締結することで、住宅12に損害保険契約に規定される損害を受けた際、保険金を支払うことで損害補償する。保険管理システム22は、締結された損害保険契約に基づいて住宅12ごとの保険料の管理を行う機能を備える。
【0024】
損害保険契約は、一つ又は複数の損害項目ごとに契約されているか、住宅総合保険等の基本契約に一つ又は複数の損害項目が付帯されている。本実施形態では、損害項目として、火災、盗難、携行品損害、水漏れ、家財、居住者の傷害、及び住宅(建物)の損傷などが含まれる。本実施形態では、一例として基本契約が火災、及び自然災害などについて住宅の損害を補償する住宅総合保険とされている。また、保険契約には、基本契約において補償されていない人為的な損害とされる盗難、水漏れ、家財(家財の損傷)、居住者の傷害、及び住宅の損傷などが特約として付帯されている。なお、水漏れには、自然災害に起因する雨漏りや浸水(基本契約において補償される項目)などではなく、人為的あるいは設備劣化等による漏水などが含まれる。
【0025】
図1に示すように、住宅監視システム10の監視コントローラ16には、居住者設定部30、動作検出部32、水使用検出部34、電気使用検出部36、ガス使用検出部38、損害項目監視部40、積算部42、及び通知部(通信部)44が形成されている。監視コントローラ16は、CPU、ROM、RAM、不揮発性のストレージ及び入出力インターフェイス等がバスによって接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)を備えている。監視コントローラ16では、CPUがROM及びストレージ等に記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開しながら実行することで、居住者設定部30、動作検出部32、水使用検出部34、電気使用検出部36、ガス使用検出部38、損害項目監視部40、積算部42、及び通知部44の各機能が実現される。
【0026】
一方、住宅監視システム10には、居住者検出手段としての居住者センサ50が設けられている。居住者センサ50は、例えば、住宅12の玄関52(図2参照)などに設置され、外出する居住者及び帰宅する居住者を検出する。居住者センサ50は、監視コントローラ16の居住者設定部30に接続されている。
【0027】
監視コントローラ16には、予め住宅12の居住者が登録されており、監視コントローラ16には、登録されている居住者を特定するための居住者情報が記憶されている。居住者情報には、居住者について防犯に関する判断のための属性情報が含まれ、属性情報により居住者の各々について、例えば、子供(中学生以下の学童及び幼児)、男性(成人男性、子供に含まれない男性)、及び女性(成人女性、子供に含まれない女性)の何れであるか特定可能にされている。
【0028】
また、居住者情報には、監視コントローラ16において少なくとも居住者を他の居住者と識別するための各種の情報が含まれる。居住者情報には、例えば、居住者の体形(身長、体重など)や体格、髪型(長髪か短髪かなど)等が含まれてもよく、居住者についての平常時における心拍や体温などのバイタル情報(生体情報)、顔認証のための顔画像(顔認証用画像)、虹彩認証のための虹彩画像(目の画像、虹彩認証用画像)等が含まれてもよい。
【0029】
監視コントローラ16の居住者設定部30は、例えば、居住者センサ50の検出結果と予め登録されている居住者情報とを照合することで、居住者ごとの在宅/不在が設定される。また、居住者設定部30は、住宅12に居住者の何れも在宅していない場合、住宅12において全居住者が留守であると設定する。
【0030】
このような居住者センサ50としては、顔認証を行う顔認証センサ(顔の撮像手段)であってもよい。顔認証センサには、玄関52を通る居住者の顔画像を取得し、取得した顔画像を居住者情報として登録されている顔画像(顔認証用画像)と照合することで居住者を特定する構成を適用できる。
【0031】
また、居住者センサ50は、虹彩認証を行う虹彩認証センサであってもよい。虹彩認証センサでは、玄関52を通る居住者の虹彩画像(目の画像)を取得し、取得した虹彩画像を居住者情報として登録されている虹彩画像(虹彩認証用画像)と照合することで、居住者を特定する構成を適用できる。
【0032】
また、居住者センサ50には、RFID(Radio Frequency Identification:RFタグ)に用いるリーダ/ライター等が適用されてもよい。この場合、居住者情報として居住者ごとにID(識別符号)を設定する共に、居住者が外出時に携帯する玄関ドアのキーにID(RFID)を付与しておく。これにより、居住者が玄関52を通るときに、リーダ/ライターによってRFIDを読み取ることで居住者を特定できる。また、RFIDを付与したキー(玄関ドアのキーなど)が住宅12内に持ち込まれていることで、該RFIDにより特定される居住者が在宅していると判断することができる。
【0033】
さらに、居住者センサ50には、カメラなどの撮像手段が用いられてもよい。この場合、居住者センサ50は、撮影画像から体形(身長など)や体格、髪型等の情報(又は画像)を抽出して、抽出した情報と居住者情報とを照合することで、検出した居住者を識別すればよい。
【0034】
住宅監視システム10には、居住者の動作(挙動)を検出する動作検出手段としての複数の動作検出センサ54が設けられていると共に、水使用センサ56、電気使用センサ58、及びガス使用センサ60が設けられている。監視コントローラ16には、動作検出部32に動作検出センサ54の各々が接続され、水使用検出部34に水使用センサ56の各々が接続され、電気使用検出部36に電気使用センサ58の各々が接続され、ガス使用検出部38にガス使用センサ60の各々が接続されている。
【0035】
動作検出センサ54には、カメラなどの撮像手段が用いられており、動作検出センサ54は、可視画像(カラー画像又は白黒画像)を撮像してもよく、赤外線画像を撮像してもよい。動作検出センサ54は、住宅12内のキッチン、リビング、寝室、子供部屋等の居室の各々、廊下及び玄関(玄関52の屋内側)などに設けられている。また、動作検出センサ54は、住宅12の敷地内及び住宅12の周囲の撮像可能となるように、住宅12の屋外に設置されている。これにより、住宅監視システム10では、動作検出センサ54により住宅12内における居住者の動作、及び住宅12の屋外における居住者の動作を撮像可能になっている。
【0036】
動作検出部32は、動作検出センサ54の撮影画像から居住者を抽出して、抽出した居住者の動作(挙動)を検出する。また、動作検出部32は、居住者の動作に伴う周囲の変化を抽出可能になっている。動作検出部32は、例えば、居住者がボール等を投げた場合に、ボールを投げた居住者を識別できると共に、投げたボールの行き先等を識別できる。
【0037】
水使用センサ56には、例えば、水量計などが用いられており、水使用センサ56は、水が流れているか否かを示す電気信号を出力すると共に、水量に応じた電気信号を出力できる。水使用センサ56は、風呂釜、浴室、キッチン、洗面台、トイレなどの水(水道水)が使用される設備機器において水道栓の各々に対応して(例えば、水道栓の直前の配管など)設けられており、水使用センサ56により水が使用されている場所を特定できる。
【0038】
また、電気使用センサ58には、例えば、電流センサや電力計などが用いられており、電気使用センサ58は、電気が使用されているか否か、及び電気が使用されている際には使用された電力量が把握できる電気信号を出力できる。電気使用センサ58は、住宅12に設置されている電気設備の各々又は電気設備が接続されるコンセントに設けられており、電気使用センサ58により電気が使用された電気機器及び電気機器の場所の特定が可能になっている。
【0039】
ガス使用センサ60には、例えば、ガス流量計などが用いられており、ガス使用センサ60は、ガスが使用されているか否かに応じた電気信号、及びガスが使用されている際のガス使用量に応じた電気信号を出力する。ガス使用センサ60は、風呂釜、キッチンのガスコンロ、ガス暖房機器などのガス設備機器の各々に対応して設けられており、ガス使用センサ60により使用されているガス設備機器及びガス設備機器の場所の特定が可能になっている。
【0040】
水使用検出部34は、水使用センサ56の検出結果から居住者が水を使用する動作を行っているか否か、及び居住者が水を使用する動作を行っている場所(居住者が使用している設備機器)を検出する。また、電気使用検出部36は、電気使用センサ58の検出結果から居住者が電気を使用する動作を行っているか否か、及び居住者が電気を使用している場所(居住者が使用している電気機器)を検出する。さらに、ガス使用検出部38は、ガス使用センサ60の検出結果から居住者がガスを使用する動作を行っているか否か、及び居住者がガスを使用している場所(居住者が使用しているガス機器)を検出する。
【0041】
一方、損害項目監視部40には、複数の損害項目、及び損害項目の各々に関連する居住者の動作が予め設定されている。損害項目監視部40は、居住者の動作を監視し、居住者の動作が損害項目に何れかに該当する動作であるか否かを監視する。
【0042】
この際、損害項目監視部40は、居住者設定部30における設定あるいは、動作検出部32の検出結果から住宅12における居住者の在宅又は不在(留守)を判定する。また、損害項目監視部40は、動作検出部32の検出結果や、動作検出部32、水使用検出部34、電気使用検出部36及びガス使用検出部38の各々の検出結果を用いて居住者の動作を判定する。また、損害項目監視部40では、居住者の動作が損害項目の何れかに関連する動作であるか否かを判定する。
【0043】
ここで、損害項目監視部40において判定する損害項目には、損害保険契約において契約されている損害項目が含まれる。本実施形態では、損害項目として盗難、携行品損害、水漏れ、家財の損傷(家財損傷)、居住者の傷害(居住者障害)、及び住宅の損傷(住宅損傷)が設定されている。なお、損害項目には、盗難、携行品損害、水漏れ、家財損傷、居住者傷害、及び住宅損傷の少なくとも一つが含まれていればよい。
【0044】
また、損害項目の各々について関連する居住者の動作が設定されており、損害項目監視部40では、居住者の動作が、損害項目において設定されている動作の何れかに該当するか否かを判定する。
【0045】
損害項目に関連する居住者の動作は、居住者がその動作を行うことで、居住者の行った動作が原因となって住宅や住宅内(屋内)の家財などに損害補償の対象となる損傷が生じる可能性が高くなると設定された動作であり、居住者の動作が起因して損害項目に規定する受損が生じ可能性のある動作を設定している。
【0046】
例えば、居住者が水を使用する動作(洗面や入浴等)を行うことで、水を使用していない場合に比して水漏れが生じる可能性が高くなる。ここから、損害項目における水漏れに関連する居住者の動作には、水を使用する動作が含まれる。また、居住者の全員が外出することで、住宅12が留守になることにより、盗難の危険性が高まる。さらに、居住者が外出することで、外出時に居住者が携行する携行品に対する損害発生の可能性が高まる。損害項目に関連する動作には、これらの動作が適用される。
【0047】
積算部42は、損害項目監視部40の判定結果が入力される。積算部42では、損害項目監視部40において居住者の動作が損害項目の何れかに関連する動作であると判定されていると、該動作の回数や該動作が継続されている時間を積算する。
【0048】
通知部44は、損害項目ごとの積算値を居住者或いは予め指定された通知先に通知する。また、通知部44は、通信ネットワーク18を介して保険管理システム22に接続されている。
【0049】
図2に示すように、保険管理システム22には、通信部62、保険料算出部64及び出力部66が形成されている。通信部62は、通信ネットワーク18に接続されている。住宅監視システム10の通知部44は、予め設定されたタイミング又は保険管理システム22からの要求により、積算部42の積算結果を保険管理システム22に通知する。
【0050】
保険管理システム22の通信部62は、住宅監視システム10の通知部44から出力された情報を受信する。保険料算出部64は、住宅12について、通信部62において受信された情報、及び損害保険契約に基づき、住宅12について損害項目ごとの保険料を算出する。出力部66は、保険料算出部64の算出結果を出力する。なお、保険料算出部64は、保険料に対する適用料率や割引率等を算出して、保険料を算出してもよい。
【0051】
次に、住宅監視システム10及び保険料算出システム14における処理を説明する。
住宅監視システム10では、住宅12についての損害保険契約が締結されることで、監視コントローラ16に損害保険契約における損害項目及び損害項目に関連する居住者の動作が設定される。
【0052】
監視コントローラ16は、住宅12における居住者の動作を監視し、損害項目に関連する居住者の動作を検出すると、検出した居住者の動作に関連する損害項目について、居住者の動作の回数或いは動作している時間を積算する。
【0053】
図3には、監視コントローラ16において、予め設定された時間間隔で実行される監視処理が示されており、複数の居住者がいる場合、監視処理は、各々の居住者について実行される。このフローチャートでは、最初のステップ100において居住者センサ50及び動作検出センサ54の何れかにおいて居住者の動作が検出されたか否かを確認し、居住者の動作が検出されると、ステップ100において肯定判定してステップ102に移行する。ステップ102では、居住者の動作が、損害項目の何れかに関連する動作であるか否かを確認する。
【0054】
ここで、居住者の動作が、損害項目の何れかに関連する動作に該当していると、ステップ102において肯定判定してステップ104に移行する。このステップ104では、関連する動作が検出された損害項目に設定する。これにより、損害項目についてカウントされる。なお、損害項目について時間を積算する場合、時間計測を開始する。
【0055】
次のステップ106では、検出している動作、即ち、損害項目に関連する動作が終了したか否かを確認し、動作が終了するとステップ106において肯定判定して、ステップ108に移行し、損害項目の設定を解除する。この際、損害項目について時間を積算している場合、時間計測を終了して、損害項目の積算時間に加算する。
【0056】
この後、ステップ110では、損害項目の各々について、居住者の関連する動作が検出されたこと、及び積算時間等の損害項目についての情報を出力する。このステップ110は、何れかの損害項目が発生するごと、発生した損害項目が終了するごと、1日ごと、1週間ごと、一カ月ごとなどの何れのタイミングであってもよく、通知先ごと設定されたタイミングであってもよい。
【0057】
また、情報の通知先としては、居住者の中で予め設定されている人の携帯端末にメール等によって通知してもよく、ディスプレイに表示することで通知してもよく、印刷出力することで通知してもよい。これにより、損害に対するリスクを可視化できて、居住者は、損害項目に対応する損害の発生するリスク(確率)が高くなったことや、損害が発生するリスクが生じたことなどを把握できる。
【0058】
さらに、通知先は、保険管理システム22であってもよく、保険管理システム22では、損害項目の発生の通知を受けることで、該当する損害項目についての保険料の算出に用いることができる。
【0059】
次に、図4から図7を参照しながら損害項目についての具体例を説明する。なお、図4から図7の各々は、図3におけるステップ100~ステップ108の処理に対応する(ステップ110の処理を省略している)。
【0060】
図4には、居住者の外出に関連する損害項目についての監視処理が示されている。このフローチャートでは、最初のステップ120において、居住者センサ50により外出する居住者が検出されたか否かを確認し、ステップ122では、帰宅した居住者が検出されたか否かを確認する。
【0061】
ここで、外出する居住者が検出されると、ステップ120において肯定判定してステップ124に移行する。このステップ124では、外出した居住者を識別して、損害項目として携行品損害を設定し、携行品損害についてカウントする。なお、時間積算を行う場合、積算のための時間計測を開始する。
【0062】
また、ステップ126では、居住者の全員が外出しているか否かを確認し、居住者の全員が外出して、住宅12が留守となっていると、ステップ126において肯定判定してステップ128に移行する。このステップ128では、居住者の全員が外出して住宅12が留守となっているので損害項目として盗難を設定する。なお、時間積算を行う場合、盗難についての積算のための時間計測を開始する。
【0063】
これに対して、帰宅した居住者が検出されると、ステップ120で否定判定された後にステップ122において肯定判定されて、ステップ130に移行する。このステップ130では、帰宅した居住者について携行品損害の設定を解除する。この際、携行品損害について時間積算が行われている場合、時間計測を終了し、計測された時間を携行品損害に対する積算時間に加算する。
【0064】
次のステップ132では、損害項目として盗難が設定されているか否かを確認する。すなわち、住宅12が留守となっていたか否かを確認する。住宅12が留守となっていた場合、損害項目として盗難が設定されている(ステップ128参照)ので、盗難が設定されていると、ステップ132において肯定判定してステップ134に移行する。このステップ134では、損害項目としての盗難(留守)の設定を解除する。なお、盗難について時間積算が行われている場合、時間計測を終了し、計測された時間を盗難に対する積算時間に加算する。
【0065】
図5には、キッチンにおいて居住者が調理をしている場合を例に示している。このフローチャートでは、最初のステップ140において、キッチンに設置している動作検出センサ54によりキッチンに居る居住者(居住者の動作)が検出されているか否かを確認する。動作検出センサ54により居住者の動作が検出されると、ステップ140で肯定判定されてステップ142に移行する。このステップ142では、居住者の動作が調理(洗い物を含む)をしている動作であるか否かを確認し、居住者の動作が調理をしている動作であると、ステップ142において肯定判定される。
【0066】
ステップ142において肯定判定されると、ステップ144では、水を使用しているか否かを確認し、ステップ146では、火気を使用しているか否かを確認し、ステップ148では、電気機器を使用しているか否かを確認する。また、ステップ150では、居住者が包丁等の刃物を使用しているか否かを確認する。
【0067】
ここで、水使用センサ56によりキッチンにおいて水が使用されていると検出されると、ステップ144において肯定判定してステップ152に移行する。このステップ152では、水が使用されることで水漏れが生じる可能性があることで、損害項目として水漏れを設定する(水漏れのカウントあるいは時間計測の開始、以下、カウントという)。次のステップ154では、水の使用が終了したか否かを確認し、水の使用が終了するとステップ154において肯定判定してステップ156に移行し、水漏れの設定を解除する(カウントとしての時間計測終了、以下、カウント終了という)。
【0068】
また、ガス使用センサ60によりキッチンにおいてガス設備機器(ガスコンロなど)が使用されていると検出されると、ステップ146において肯定判定してステップ158に移行する。このステップ158では、ガスが使用されることで火災が生じる可能性があることで、損害項目として火災を設定する(火災のカウント)。次のステップ160では、ガスの使用が終了したか否かを確認し、ガスの使用が終了するとステップ160において肯定判定してステップ162に移行し、火災の設定を解除する(カウント終了)。
【0069】
さらに、電気使用センサ58によりキッチンにおいて電気設備(電気炊飯器、電子レンジ、オーブン、IHヒータなど)が使用されていると検出されると、ステップ148において肯定判定してステップ164に移行する。このステップ164では、電気が使用されることで火災が生じる可能性があることから、損害項目として火災を設定する(火災のカウント)。次のステップ166では、電気の使用が終了したか否かを確認し、電気の使用が終了するとステップ166において肯定判定してステップ168に移行し、火災の設定を解除する(カウント終了)。
【0070】
一方、動作検出センサ54に撮影画像を解析することで、居住者の動作が包丁等の刃物を使用している動作が否かを判断できる。ここから、居住者が刃物を使用していると判断されると、ステップ150において肯定判定してステップ170に移行する。このステップ170では、刃物が使用されることで居住者がけがをする可能性が生じることから、損害項目として傷害(居住者障害)を設定する(傷害のカウント)。次のステップ172では、刃物の使用が終了したか否かを確認し、刃物が使用されなくなる(終了する)とステップ172において肯定判定してステップ174に移行し、傷害の設定を解除する(カウント終了)。なお、図5の損害項目監視処理は、調理が終了することで処理が終了する。
【0071】
なお、図5では、水、ガス、電気及び刃物の使用を個別に検出してカウントしているが、水、ガス、電気及び刃物の何れか少なくとも2つが並行して使用されている場合には、並行して使用されている各々について損害項目のカウント(積算)が行われればよい。また、図5では、キッチンにおける居住者の動作(調理)を例に説明したが、例えば、水の使用には、浴槽へのお湯張り、入浴、洗顔などがある。ここから、居住者の動作からお湯張り、入浴、洗顔などが検出された場合には、損害項目として水漏れを設定し、水漏れについて積算すると共に、積算結果を合算すればよい。
【0072】
図6には、リビングなどの住宅12の屋内で居住者(子供)が遊んでいる場合を例に示している。このフローチャートでは、最初のステップ180において、動作検出センサ54により子供(居住者)の動作が検出されたか否かを確認し、子供の動作が検出されると、ステップ180において肯定判定されてステップ182に移行する。このステップ182では、検出された子供の動作が物を投げる動作か否かを確認する。
【0073】
ここで、子供が屋内で物を投げて遊んでいる場合、家具(例えばサイドボードのガラスが割れるなどの損傷の可能性(危険性)が高まる。ここから、子供の動作が物を投げる動作(子供が物を投げて遊んでいる)であると、ステップ182において肯定判定してステップ184に移行する。
【0074】
ステップ184では、損害項目として家財の損傷が設定する(家財の損傷のカウント又は時間計測の開始)。この後、ステップ186では、子供の動作、すなわち子供の遊びが終わったか否かを確認し、子供の遊びが終わるとステップ186において肯定判定してステップ188に移行する。このステップ188では、損害項目としての家財の損傷の設定を解除する(時間計測の終了)。
【0075】
図7には、屋外(住宅12の外)で居住者が日曜大工などの作業をしている場合を例に示している。このフローチャートでは、最初のステップ200において動作検出センサ54の検出結果(撮影画像)から居住者の屋外で作業(所謂日曜大工などの作業に伴う動作)が検出されたか否かを確認する。これにより、ステップ200で肯定判定され、作業内容の確認を行う。作業内容の確認では、ステップ202において住宅12(建物)に対する作業か否かを確認し、ステップ204において工具を使用する作業であるか否かを確認する。
【0076】
ここで、住宅12の外壁に梯子を掛けるなどして行われる作業であると、ステップ202において肯定判定されてステップ206に移行する。住宅12の外壁に梯子を掛ける作業であると、住宅12の外壁に損傷が生じる可能性があると共に、居住者が足を踏み外すなどの可能性がある。ここから、ステップ206では、損害項目として住宅の損傷、及び居住者についての傷害が設定される(住宅損傷及び居住者障害のカウント)。
【0077】
この後、ステップ208では、住宅12に対する作業が終了したか否かを確認し、作業が終了すると、ステップ208において肯定判定されてステップ210に移行する。このステップ210では、住宅損傷及び居住者傷害の設定を解除する(カウント終了)。
【0078】
一方、居住者の作業(動作)が、のこぎりやハンマーなどの工具を使用したに所謂日曜大工であるとステップ202において否定判定されると共に、ステップ204において肯定判定されて、ステップ212に移行する。ここで、工具を使用する作業の場合、作業する居住者が怪我をする可能性が生じるので、ステップ212では、損害項目として居住者の傷害が設定される(居住者傷害のカウント)。
【0079】
この後、ステップ214では、工具を使用した作業が終了したか否かを確認し、工具を使用した作業が終了すると、ステップ214において肯定判定してステップ216に移行する。このステップ216では、居住者の傷害の設定を解除する(時間計測の終了)。
【0080】
このようにして、居住者の動作を検出し、検出した居住者の動作が損害項目に関連する動作であると、損害項目について回数や時間の積算を行い、積算結果を出力する(図3のステップ110)。図8には、出力される積算結果の概略が図表にて示されている。
【0081】
図8に示すように、住宅監視システム10では、水漏れ、火災、盗難(及び携行品損害)等の損害項目の各々について時間積算される。これにより、損害項目の各々について可視化でき、例えば、一月ごとの発生度合いなどを把握できる。また、損害項目ごとの発生度合いを保険料として算出することもできる。
【0082】
図9には、保険料算出システム14に設けられる保険管理システム22における処理の概略が示されている。このフローチャートは、一月ごと(毎日又は一週間ごとや半月ごとなどであってもよい)などの予め設定されたタイミング実行され、最初のステップ220では、住宅監視システム10の監視コントローラ16から損害項目及び損害項目ごとの積算値を読み込む。すなわち、図3のステップ110において出力される情報を読み込む。
【0083】
次のステップ222では、損害項目ごとの積算値に基づいて保険料を算出する。保険料の算出においては、積算値から割引率(又は加算率)を算出し、基本保険料から割引率に応じた減額(又は加算)してもよく、積算値から適用料率を設定し、設定した適用料率を用いて保険料を算出してもよい。また、保険料の算出においては、損害項目ごとの積算値に応じて課金するようにしてもよく、保険料を予め前払いしておき、前払いした保険料から損害項目ごとの積算値に応じて減額するようにしてもよい。
【0084】
ステップ224では、算出した保険料を出力し、損害保険契約の契約者(住宅12の居住者に通知する)。
【0085】
このように、住宅監視システム10では、居住者の動作が影響して生じる可能性のある損害を損害項目とし、損害を生じさせる可能性のある居住者の動作を損害項目に関連した動作に設定し、居住者の動作が損害項目に関連する動作であるか否かを監視する。また、住宅監視システム10では、損害項目に関連する居住者の動作を検出すると、損害項目ごとに関連した動作が検出されたことをカウントするか、居住者の動作時間を積算する。
【0086】
これにより、居住者は、どのような動作が損害保険の保険料に影響するかを把握できる。また、居住者は、損害項目ごとのどのような動作が保険料に影響するかを把握できるので、保険料を抑制するための生活パターンを認識できて、保険契約をした場合に、保険料の抑制を可能にできる。
【0087】
また、損害項目ごとに居住者の動作を検出して保険料に反映できるので、居住者(被保険者)は、不必要な保険料を払う必要がなくなるので、保険料が割高と感じるのを抑制できる。
【0088】
なお、図4では、外出及び帰宅する居住者を居住者センサ50によって検出したが、居住者センサ50を使用しないで動作検出センサ54を用いてもよい。動作検出センサ54は、住宅12に在宅している居住者の各々の動作を検出しており、動作検出センサ54によって検出されていない居住者が不在(外出している)と判断できる。ここから、不在の居住者を判断できるので、動作検出センサ54を用いて住宅12が留守であるか否か、外出している居住者、及び帰宅した居住者を判断することができる。
【0089】
また、図5では、居住者が水、電気及びガス等を使用する動作を行っているか否かを、水使用センサ56、電気使用センサ58及びガス使用センサ60を用いて検出した。しかしながら、水使用センサ56、電気使用センサ58及びガス使用センサ60を用いずに動作検出センサ54によって検出される撮影画像から刃物等の使用の検出と並行して水、電気(電気設備機器)及びガス(ガス設備機器)が使用されているか否かを検出してもよい。
【0090】
すなわち、動作検出センサ54の撮影画像を解析することで、刃物を使用しているかのみならず、居住者が水を使用しているか、電気設備機器を使用しているか、あるいはガス設備機器を使用しているかを判断してもよい。なお、住宅12に設けているHEMS24によって水、電気あるいはガスの何れかの使用状況を検出できる場合、水、電気及びガスの使用状況は、HESM24から取得してもよい。
【0091】
一方、調理などにおいて刃物を使用する際、刃物の使用に慣れていない子供と、刃物の使用に慣れている大人とでは、傷害についての危険度(傷害が発生する可能性)が異なる。また、調理において刃物の使用に慣れている人(例えば、女性など)と、刃物の使用になれているとは言えない人(例えば、男性)では、傷害が生じるリスクが異なる。
【0092】
また、調理等において火気(ガス設備機器、電気設備機器など)を使用する際、調理内容によっては、大きな炎が上がることがあり、揚げ物を調理する場合には、油を使用することがある。このため、例えば、火災などについては、調理内容によって発生するリスク(危険度)が高くなる。また、電子レンジなどの電気設備機器を使用する場合に比して、ガス設備機器を使用している場合のほうが火災発生のリスクが低くなる。
【0093】
ここから、損害項目における危険度(損害が発生する可能性)について複数のレベル(段階)を設定し、損害項目についてレベルごとに積算してもよい。
【0094】
例えば、調理において刃物の使用の慣れの度合いを居住者情報として設定し、調理において刃物の使用に慣れている居住者については、傷害のレベルを低くし(レベル低)、子供については、傷害のレベルを高くし(レベル高)、慣れているとまでは言えない居住者については、障害のレベルを中間に設定し(レベル中)、居住者傷害についてレベルごとに積算(集計)するようにしてもよい。
【0095】
また、調理における火災については、電気設備機器を使用している場合には、レベルを低くし、ガス設備機器を使用している場合や油を使用している場合などでは、レベルを高くしてもよい。
【0096】
さらに、水漏れについては、浴室におけるお湯張りや入浴に比して、洗顔における水の使用量は少なくなる。ここから、水漏れについては、キッチンで水を使用するレベル(例えば、レベル低)に比して、洗顔のレベルが高くし(例えば、レベル中)、洗顔のレベル(例えば、レベル中)に比して、お湯張りや入浴のレベルを高くし(レベル高)、レベルごとに積算してもよい。
【0097】
また、屋外で作業する日曜大工などにおいては、作業内容によって予測される居住者の傷害の大きさ(傷害の程度)が異なる可能性がある。ここから、居住者の傷害については、重量物を扱う作業のレベルを、軽量物を扱う作業のレベルよりも高くしてもよく、高所の作業のレベルを、低所の作業のレベルよりも高くしてもよく、作業内容によってレベルを異ならせてもよい。
【0098】
損害項目について、複数段階にレベルを設定した場合、設定したレベルに応じて保険料を異ならせることができる。例えば、保険料の算出においては、損害項目についてレベルごとに課金する金額を異ならせるか、割引率や適用料率を異ならせることができる。これにより、損害が生じ難い場合や、損害が軽微で済むと予測されるにもかかわらず、損害が生じ易い場合や重大な損害(損害額が大きい損害)と保険料が同様となることに起因する割高感を抑制できる。
【0099】
なお、以上説明した本実施形態では、住宅監視システム10が保険管理システム22に接続し、保険管理システム22において保険料の算出を行った。しかしながら、住宅監視システム10に保険料の算出を行う算出部及び算出結果を保険料として出力する出力部を設けてもよい。すなわち、住宅監視システム10において監視コントローラ16が、損害項目ごとの積算値から保険料を算出して出力してもよい。これにより、住宅12内において保険料として支払うべき金額が出力されるので、保険料の請求のためのコストを抑制できる。
【符号の説明】
【0100】
10 住宅監視システム(リスク監視装置)
12 住宅
14 保険料算出システム
16 監視コントローラ
22 保険管理システム
32 動作検出部(動作検出手段、監視手段)
40 損害項目監視部(監視手段)
42 積算部(積算手段)
50 居住者センサ
54 動作検出センサ(動作検出手段)
64 保険料算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9