(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240709BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201K
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G2/06 500
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 513
(21)【出願番号】P 2020107068
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082983
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウー チュル
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112163(JP,A)
【文献】特開2018-148118(JP,A)
【文献】特開2016-001721(JP,A)
【文献】特開2019-102798(JP,A)
【文献】特開2018-133501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面と前記第1面から第4面と連結され、且つ互いに対向する第5面及び第6面を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の内部に配置され、前記第5面及び第6面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面に配置される第1及び第2外部電極と、
前記第5面及び第6面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1及び第2サイド部と、を含み、
前記第1及び第2サイド部は、前記キャパシタ本体と密接するよう形成される内部層と、前記内部層上に形成される外部層とに分かれ、前記内部層の誘電率が前記外部層の誘電率
及び前記キャパシタ本体の誘電率より低く、
前記第1及び第2サイド部の平均厚さが10μm以下であり、
前記第1及び第2サイド部は、前記外部層の平均厚さに対して前記内部層の平均厚さの比が0.08~0.15である、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2サイド部は、前記外部層の誘電率に対して前記内部層の誘電率の比が0.5以下である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記誘電体層の平均厚さは0.4μm以下である、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記内部電極の平均厚さは0.41μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記誘電体層の平均厚さは0.4μm以下であり、前記内部電極の平均厚さは0.41μm以下である、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記内部電極の積層数が400層以上である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記キャパシタ本体の上部及び下部カバー領域がそれぞれ20μm以下である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1及び第2外部電極の平均厚さが10μm以下である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1及び第2サイド部は、内部層と外部層の厚さが異なるように形成される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて前記内部電極と接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、
前記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される請求項1から
10のいずれか一項に記載の積層型キャパシタと、を含む、積層型キャパシタの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタまたはサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体、本体の内部に形成された内部電極及び上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設置された外部電極と、を備える。
【0003】
最近、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあることから、積層型キャパシタもサイズが小さく、容量の大きい高容量製品が求められている。
【0004】
積層型キャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極有効面積の最大化により、容量実現に必要な有効体積分率の増加が求められる。
【0005】
上記のように小型かつ高容量の積層型キャパシタを実現するために、積層型キャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計により内部電極の幅方向の面積を最大化し、且つこのようなチップ製作後、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成させる方法が適用されている。
【0006】
しかし、上記のように積層型キャパシタを製作する場合、従来はサイドマージン部形成用誘電体組成をセラミック本体の誘電体組成と差別化せず、セラミック本体の誘電体組成物をそのまま用いていた。
【0007】
積層型キャパシタの主な不良の一つである絶縁破壊は、内部電極の先端部に集中する電界によって発生している。
【0008】
上記積層型キャパシタの主な不良の一つである絶縁破壊を防止するためには、内部電極の先端部に集中する電界を緩和しなければならない。
【0009】
したがって、内部電極の先端部に集中する電界を緩和することができる研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-001721号公報
【文献】特開2017-147429号公報
【文献】特開2017-147358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、信頼性の向上した積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面と上記第1面~第4面と連結され、且つ互いに対向する第5面及び第6面を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の内部に配置され、上記第5及び第6面に露出し、且つ上記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記キャパシタ本体の第3面及び第4面に配置される第1及び第2外部電極と、上記第5面及び第6面に露出した上記内部電極の端部上に配置された第1サイド部及び第2サイド部と、を含み、上記第1及び第2サイド部は、上記キャパシタ本体と密接するように形成される内部層と、上記内部層上に形成される外部層と、に分かれ、上記内部層の誘電率が上記外部層の誘電率より低い積層型キャパシタを提供する。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2サイド部は、上記外部層の誘電率に対して上記内部層の誘電率の比が0.5以下であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2サイド部は、上記外部層の平均厚さに対して上記内部層の平均厚さの比が0.08~0.15であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層の平均厚さは0.4μm以下であり、上記内部電極の平均厚さは0.41μm以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記第1及び2サイド部の平均厚さが10μm以下であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記内部電極の積層数が400層以上であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体の上部及び下部カバー領域がそれぞれ20μm以下であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極の平均厚さが10μm以下であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2サイド部は、内部層と外部層の厚さが異なるように形成されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて上記内部電極と接続される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【0022】
本発明の他の側面は、一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、上記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシタと、を含む積層型キャパシタの実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によると、サイド部の内部層と外部層の誘電率を異なるようにして界面で電界の屈折を発生させることにより、積層型キャパシタの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す概略的な斜視図である。
【
図3】(a)及び(b)は、
図1の積層型キャパシタに適用される第1及び第2内部電極をそれぞれ示した平面図である。
【
図4】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図5】
図1のIII-III'線に沿った断面図である。
【
図6】Ni粒子のサイズによる電界を示したグラフである。
【
図7】
図2の積層型キャパシタが基板に実装された状態を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す概略的な斜視図であり、
図2は
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3(a)及び(b)は
図1の積層型キャパシタに適用される第1及び第2内部電極をそれぞれ示した平面図であり、
図4は
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図5はIII-III'線に沿った断面図である。
【0028】
本発明の実施形態を明確に説明するために、方向を定義すると、図面に示されたX、Y及びZは、それぞれ積層型キャパシタの長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。
【0029】
また、ここで、Z方向は、本実施形態において、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0030】
図1~
図5を参照すると、本実施形態の積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110と、複数の内部電極と、第1及び第2サイド部と、キャパシタ本体110の外表面に形成される第1及び第2外部電極131、132と、を含む。
【0031】
また、キャパシタ本体110は、活性領域115と、上部及び下部カバー領域112、113と、を含む。
【0032】
この際、上記第1及び第2サイド部は、キャパシタ本体110と密接するように形成される第1及び第2内部層141、142と、第1及び第2内部層141、142上に形成される第1及び第2外部層151、152と、に分かれ、第1及び第2内部層141、142の誘電率が第1及び第2外部層151、152の誘電率より低い。
【0033】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであって、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0034】
また、キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に挟んでZ方向に交互に配置される互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極121、122と、を含む。
【0035】
また、キャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分として誘電体層111を間に挟んで第1及び第2内部電極121、122がZ方向に交互に配置される活性領域115と、マージン部としてZ方向に活性領域115の上下面にそれぞれ設けられる上部及び下部カバー領域112、113と、を含むことができる。
【0036】
この際、キャパシタ本体110の上部及び下部カバー領域112、113はそれぞれ20μm以下であってもよい。
【0037】
キャパシタ本体110の上部及び下部カバー領域112、113がそれぞれ20μmを超えると、設計された積層型キャパシタのサイズ・スペック(size spec)を超えるようになるため、積層型キャパシタが高容量を形成する際に問題が発生し得る。
【0038】
このようなキャパシタ本体110は、その形状に特に制限はないが、六面体状であってもよく、Z方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と互いに連結され、X方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、互いに対向する第5及び第6面5、6と、を含むことができる。この際、第1面1が実装面であってもよい。
【0039】
誘電体層111は、セラミック粉末、例えば、BaTiO3系セラミック粉末などを含むことができる。
【0040】
また、上記BaTiO3系セラミック粉末としては、BaTiO3にCaまたはZrなどが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0042】
上記セラミック添加剤には、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが含まれることができる。
【0043】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、誘電体層111上に形成されてZ方向に積層されることができ、一つの誘電体層111を間に挟んでキャパシタ本体110の内部にZ方向に沿って互いに対向するように交互に配置されることができる。
【0044】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0045】
また、第1内部電極121は、誘電体層111の第3、第5及び第6面3、5、6に露出し、この際、第1内部電極121は、キャパシタ本体110の第3面3と第5面5を連結するコーナー、及びキャパシタ本体110の第3面3と第6面6を連結するコーナーにも露出することができる。
【0046】
第2内部電極122は、誘電体層111の第4、第5及び第6面4、5、6に露出し、この際、第2内部電極122は、キャパシタ本体110の第4面4と第5面5を連結するコーナー、及びキャパシタ本体110の第4面4と第6面6を連結するコーナーにも露出することができる。
【0047】
この際、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110のX方向の両端部に配置される第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0048】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0049】
この際、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域115においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0050】
本実施形態のように、第1及び第2内部電極121、122を構成すると、第1及び第2内部電極121、122の基本面積が増加するだけでなく、上下に重なる面積も増加するため、積層型キャパシタ100の容量を増加させることができる。
【0051】
また、内部電極による段差を減少させることで絶縁抵抗の加速寿命を向上させることができるため、容量特性に優れながらも、信頼性の向上した積層型キャパシタを提供することができる。
【0052】
この際、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されないが、貴金属材料またはニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0053】
また、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
また、第1及び第2内部電極121、122は、平均厚さ(D)が0.4μm以下であってもよい。
【0055】
第1及び第2内部電極121、122の平均厚さが0.4μmを超えると、積層型キャパシタ100の容量を向上させることは難しい。
【0056】
また、第1及び第2内部電極121、122の積層数が400層以上であってもよい。
【0057】
第1サイド部は、キャパシタ本体110の第5面5に配置され、第2サイド部は、キャパシタ本体110の第6面6に配置される。
【0058】
第1及び第2サイド部は、第1及び第2内部電極121、122においてキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に露出する部分の先端をカバーするようにそれぞれ接するようになる。
【0059】
このような第1及び第2サイド部は、キャパシタ本体110と第1及び第2内部電極121、122を外部衝撃などから保護し、キャパシタ本体110の周囲の絶縁性及び耐湿信頼性を確保する役割を果たすことができる。
【0060】
第1サイド部は、キャパシタ本体110の第5面5に密接する第1内部層141と、第1内部層141上に形成される第1外部層151と、を含む。
【0061】
そして、第1内部層141の誘電率が第1外部層151の誘電率より低くてもよい。
【0062】
第2サイド部は、キャパシタ本体110の第6面6に密接する第2内部層142と、第2内部層142上に形成される第2外部層152と、を含む。
【0063】
そして、第2内部層142の誘電率が第2外部層152の誘電率より低くてもよい。
【0064】
また、上記第1及び第2サイド部は、第1及び第2外部層151、152の誘電率に対して第1及び第2内部層141、142の誘電率の比が0.5以下であってもよい。
【0065】
この際、第1及び第2外部層151、152の誘電率に対して第1及び第2内部層141、142の誘電率の比が0.5を超えると、層間誘電率の差が大きくないため、第1及び第2外部層151、152と第1及び第2内部層141、142が共に高誘電率領域に含まれて電界集中を誘発させるため、ショート発生率が増加するという問題が発生することがある。
【0066】
電界は、導体の表面に一般的な方向に直交し、導体内で等電位を有する導体の内部電界は0として相殺される。
【0067】
電位差のある電極の間に中性導体が浸透すると、導体の性質に応じて導体内の電荷が再配列される。
【0068】
電荷が再配列された中性導体は、電極と同じ効果を有し、電極間の距離を減少させる効果を奏するため、下記式のように電界の強度は強くなる。
[数学式1]
【数1】
【0069】
したがって、第1及び第2内部層141、142の誘電率が第1及び第2外部層151、152の誘電率より低くなると、電界を下げ、絶縁破壊確率を下げることにより、積層型キャパシタの信頼性を高めることができる。
【0070】
この際、上記第1及び第2サイド部は、第1及び第2外部層151、152の誘電率に対して第1及び第2内部層141、142の誘電率の比を0.5以下にすると、電界をさらに下げ、積層型キャパシタの信頼性をさらに高めることができる。
【0071】
また、上記第1及び第2サイド部の平均厚さは10μm以下であってもよい。
【0072】
キャパシタ本体110が小型化するほど、サイド部の厚さが積層型キャパシタ100の電気的特性に影響を及ぼすことができる。
【0073】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2サイド部の平均厚さが10μm以下に形成されて小型化した積層型キャパシタの特性を向上させることができる。
【0074】
すなわち、第1及び第2サイド部の平均厚さが10μm以下に形成されることで、容量を形成する内部電極の重なり面積を最大に確保することにより、高容量及び小型の積層型キャパシタを実現することができる。
【0075】
また、上記第1及び第2サイド部は、第1及び第2内部層141、142と第1及び第2外部層151、152の平均厚さが異なるように形成されることができる。
【0076】
高誘電率材料からなる層と、低誘電率材料からなる層との界面では、電界の屈折が発生する。電界が高誘電率の層から低誘電率の層に移動すると、電界の速度が速くなるため、電界の相殺量が小さくなって電界の入射角より屈折角がさらに大きくなり、電界が低誘電率の層から高誘電率の層に移動すると、電界の速度が遅くなるため、電界の相殺量が多くなって電界の入射角より屈折角が小さくなる。
【0077】
キャパシタ本体110は高誘電率を有しているため、上記原理により、本実施形態の積層型キャパシタは、高誘電率、低誘電率、高誘電率の順に配置される組み合わせとなり、屈折した電界によって低誘電率を有する第1及び第2内部層141、142に電界が集中する形態となる。
【0078】
したがって、第1及び第2サイド部において、第1及び第2内部層141、142の厚さと、第1及び第2外部層151、152の平均厚さを異なるようにすると、電界のサイズを減少させることができ、特に第1及び第2外部層151、152の厚さを第1及び第2内部層141、142の厚さより厚くすると、電界が集中する現象を最小化して全体的に電界が減少することで、積層型キャパシタの信頼性をさらに向上させることができる。
【0079】
第1及び第2外部電極131、132には、互いに異なる極性の電圧が提供され、本体110のX方向の両端部に配置され、第1及び第2内部電極121、122においてキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0080】
第1外部電極131は、第1接続部131aと第1バンド部131bとを含むことができる。
【0081】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に配置され、第1内部電極121においてキャパシタ本体110の第3面3に外部に露出する端部と接触して第1内部電極121と第1外部電極131とを互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0082】
第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0083】
この際、第1バンド部131bは、必要に応じて、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長されて第1及び第2サイド部141、142の一端部を覆うように形成されることができる。
【0084】
第2外部電極132は、第2接続部132aと第2バンド部132bとを含むことができる。
【0085】
第2接続部132aは、キャパシタ本体110の第4面4に配置され、第2内部電極122においてキャパシタ本体110の第4面4に外部に露出する端部と接触して第2内部電極122と第2外部電極132とを互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0086】
第2バンド部132bは、第2接続部132aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0087】
この際、第2バンド部132bは、必要に応じて、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長されて第1及び第2サイド部141、142の他端部を覆うように形成されることができる。
【0088】
また、第1及び第2外部電極131、132は、平均厚さが10μm以下であってもよい。
【0089】
第1及び第2外部電極131、132の平均厚さが10μmを超えると、設計された積層型キャパシタのサイズ・スペック(size spec)を超えるようになるため、積層型キャパシタが高容量を形成する際に問題が発生し得る。
【0090】
また、本実施形態によると、誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であり、第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは0.41μm以下である超小型の積層型キャパシタを特徴とする。
【0091】
但し、上記薄膜の意味は、必ずしも誘電体層111の厚さが0.4μm以下であり、第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.41μm以下であることを意味するものではなく、従来の製品より薄い厚さの誘電体層と内部電極を含む概念として理解することができる。
【0092】
また、上記第1及び第2サイド部は、第1及び第2外部層151、152の平均厚さに対して第1及び第2内部層141、142の平均厚さの比が0.08~0.15であってもよい。
【0093】
第1及び第2外部層151、152の平均厚さに対して第1及び第2内部層141、142の平均厚さの比が0.08未満であると、電界(E-Field)値が収束し、厚さの減少によって誘電体の役割を十分に果たせないという問題が発生することがある。
【0094】
第1及び第2外部層151、152の平均厚さに対して第1及び第2内部層141、142の平均厚さの比が0.15を超えると、電界が高誘電率領域に含まれるため、ショート率が増加するという問題が発生することがある。
【0095】
したがって、第1及び第2外部層151、152の平均厚さに対して第1及び第2内部層141、142の平均厚さの比を0.08~0.15に設定すると、ショート不良率を著しく減少させることができる。
【0096】
Y-Z面において、誘電体層には、ニッケル(Ni)粒子またはニッケル酸化物が含まれることができる。
【0097】
図6は、このような誘電体層に含まれているニッケル粒子またはニッケル酸化物のサイズによる電界を示したグラフであって、
図6においてy軸の座標はMaxwellでのモデリング座標を示す。
【0098】
誘電体層に残存するニッケル粒子またはニッケル酸化物のサイズは、ショート発生を防止するために誘電体層より小さくしなければならず、本実験において誘電体層の厚さは5μmであり、ニッケル粒子またはニッケル酸化物の最大直径は4μmとする。
【0099】
すなわち、
図6は、y=90μmの位置におけるサイド部の内部層の厚さによる電界を示し、電界はyが90μmから離れるほど減少することが分かる。
【0100】
サイド部を低誘電率の単一層としたものよりも、本実施形態のように二重層となったサイド部の電界がより小さくしなる。さらに、サイド部の内部層の厚さが2μm以上であるときに収束するため、最適な厚さに設定されることができる。
【0101】
したがって、上記第1及び第2サイド部は、第1及び第2外部層151、152の平均厚さに対して第1及び第2内部層141、142の平均厚さの比が、好ましくは0.08~0.15であってもよい。
【0102】
図7を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタの実装基板は、一面に第1及び第2電極パッド221、222を有する基板210と、基板210の上面において第1及び第2外部電極131、141が第1及び第2電極パッド221、222上にそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタ100と、を含む。
【0103】
本実施形態において、積層型キャパシタ100は、はんだ231、232によって基板210に実装されることを図示且つ説明しているが、必要に応じて、はんだの代わりに導電性ペーストを用いることができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0105】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
112、113 上部及び下部カバー領域
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1及び第2接続部
131b、132b 第1及び第2バンド部
141、142 第1及び第2内部層
151、152 第1及び第2外部層
210 基板
221、222 第1及び第2電極パッド
231、232 はんだ