(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】磁気吸着式クローラ型移動装置、多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置、および発電機点検ロボット
(51)【国際特許分類】
B62D 57/024 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B62D57/024 L
(21)【出願番号】P 2022560587
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041473
(87)【国際公開番号】W WO2022097256
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】324003956
【氏名又は名称】三菱ジェネレーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大智
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 栄次
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-24181(JP,A)
【文献】特開平6-144313(JP,A)
【文献】特開2018-118733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0308324(US,A1)
【文献】中国実用新案第207089479(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 57/024
B62D 55/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆極性の磁石が配置されている磁石対と、前記磁石対の各磁石に隣接して配置されたヨークと、を有する磁力発生装置、
異なる側面が前記磁石対の各磁石に接すると共に、底面が前記ヨークに接して取り付けられるか、あるいは、底面が前記磁石対に接すると共に、異なる側面が前記ヨークに接して取り付けられた非磁性の案内体、
前記磁力発生装置に対し非接触で移動するとともに、前記案内体の長手方向に沿って回転移動するクローラベルト、
を備えたことを特徴とする磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項2】
前記案内体は、エンジニアリングプラスチック製であり、
前記ヨークは前記磁石対を離間させて配置され、かつ、前記案内体は前記磁石対に挟まれて配置されており、
前記クローラベルトは、前記案内体の表面を摺動しつつ、前記磁力発生装置、および前記案内体の表面よりも突き出て回転移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項3】
前記案内体は、エンジニアリングプラスチック製であり、
前記ヨークは対として前記磁石対を挟んで配置され、かつ、前記案内体は前記磁石対の上面に前記ヨークに挟まれて配置されており、
前記クローラベルトは、前記案内体の表面を摺動しつつ、前記磁力発生装置、および前記案内体の表面よりも突き出て回転移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項4】
前記磁石対は、表面側に配置された異なる極性の磁石ごとに、当該表面側の磁石とは極性の異なる磁石が、裏面側に組み合わされて構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項5】
前記クローラベルトの走行方向に沿って、前記磁石対を複数有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項6】
前記クローラベルトの走行方向に、互いに平行に設置された複数の縦フレームを有し、
前記クローラベルトは、隣接する2つの前記縦フレームの間に設置されているとともに、当該クローラベルトの表面は、前記縦フレームの表面よりも高い位置に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項7】
前記縦フレームは、切欠き、を有し、
前記磁力発生装置は、前記切欠きに装着されていることを特徴とする請求項6に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項8】
前記磁石対は、磁石ごとに、隣接する2つの前記縦フレームに設けられた切欠きのいずれかに分かれて装着されていることを特徴とする請求項7に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項9】
前記クローラベルトはモータで駆動され、当該モータは、切欠きを有する前記縦フレームの外側に、当該縦フレームに平行に設置された別の縦フレームと、当該別の縦フレームに近い側に配置された前記縦フレームとで対を構成する、二つの縦フレームに挟まれて設置されているとともに、前記対を構成する二つの縦フレームの高さの範囲内に配置されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置を、複数、並列あるいは縦列に連結したことを特徴とする多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の磁気吸着式クローラ型移動装置、および請求項10に記載の多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置のうち、選択されたいずれか一の移動装置と、
点検、あるいは検査用の機器を搭載した点検ロボット本体と、
前記選択されたいずれか一の移動装置と前記点検ロボット本体とに接続され、前記選択されたいずれか一の移動装置と前記点検ロボット本体との相対位置を調整可能な連結脚と、
を備え、
前記選択されたいずれか一の移動装置、前記点検ロボット本体、および前記連結脚を一体として、発電機の固定子と回転子の間に形成された隙間を走行可能に構成されていることを特徴とする発電機点検ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、磁気吸着式クローラ型移動装置、多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置、および発電機点検ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、橋梁、あるいは高架の老朽化対策が繰り返し求められており、特に、橋梁、高架の下面部分、あるいは垂直面の検査または補修手段の検討が求められている。
検査手段は、下面を下からの目視、高所作業車などの移動可能なものによる接近した目視、あるいは吊り足場による目視、さらに、ごく最近では、撮影手段を搭載したドローンの採用が検討されている。
【0003】
具体的には、例えば、車両の屋上に、昇降装置を前後方向に移動可能に搭載し、この昇降装置の上端部に設けた基台に、水平方向に折り曲げ可能にしたリンク機構の基端部を水平方向に回動可能に連結し、このリンク機構の先端部に、センサ台を昇降及び水平方向に回転可能に設け、このセンサ台に、レーザヘッドから入射されたレーザ光を所定の振り幅で上方へ向けて走査するレーザスキャナと、このレーザスキャナにて走査されたレーザ光の反射光量を検出する光検出センサからなるレーザ計測装置を支持したことを特徴とする高架橋点検装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、赤外線カメラを備えた検査用ドローンが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、車軸と、車軸回りに配置される永久磁石および車輪とを備えるとともに、前記の永久磁石と車軸との間に空隙を設け、さらに前記車輪の内周部に非磁性部材、あるいは弱磁性部材が配置されるとともに、前記車輪の外周部に強磁性部材が配置された、永久磁石の体積当たりの磁気吸着力が大きく、かつ走行時の機械発生音の小さい磁石車輪が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、壁面の検査手段として、壁面吸着用の磁石の表面側に走行ベルトを設けた壁面吸着走行機が開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、多数の磁石を貼り付けた磁石ベルトを用いた吸着走行装置が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
また、壁面走行用に、この壁面にその表面が接触して走行する走行ベルトと、この接触走行面である走行ベルト表面に対して逆側である走行ベルト裏面の側に板状部材を設けた、無限軌道走行装置が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平3-260206号公報
【文献】特開2017-54486号公報
【文献】特開平9-267606号公報
【文献】特開平04-24181公報
【文献】特開2004-148893号公報
【文献】国際公開2018/134991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1-3に採用されている検査手段は、構造が複雑であり、かつ装置全体として大型である。また、上記の特許文献4に採用されている壁面吸着走行機では、壁面に対して吸着力を作用させる磁石は、壁面に直接対向させる配置ではなく、壁面を走行するための走行ベルトを介して壁面に対向して配置されているため、磁石からの磁力線が壁面に直接届かないため、用いた磁石による壁面吸着力が減じられるという問題がある。また、上記の特許文献5で採用されている壁面吸着走行機では、壁面を走行するための走行ベルトは、当該走行ベルトの表面全体に多数の磁石を張り付けた構成のものであるため、装置構造が複雑になり、装置全体の重量が大きくなるという問題があった。
【0009】
さらに、上記の特許文献6で採用されている壁面吸着走行機では、壁面吸着走行機が走行する走行面に穴、あるいは凹凸が存在するため、走行時に発生する振動を抑制するため、磁石と走行ベルト間に走行ベルトを走行面に押し付けるための板状部材を採用している。
【0010】
本願は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、壁面に沿って移動する移動機の走行面に、穴、あるいは凹凸が存在する場合であっても、移動による振動を抑制した、軽量で、装置高さサイズが小さい、簡素な構造の磁気吸着式クローラ型移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に開示される磁気吸着式クローラ型移動装置は、
互いに逆極性の磁石が配置されている磁石対と、前記磁石対の各磁石に隣接して配置されたヨークと、を有する磁力発生装置、
異なる側面が前記磁石対の各磁石に接すると共に、底面が前記ヨークに接して取り付けられるか、あるいは、底面が前記磁石対に接すると共に、異なる側面が前記ヨークに接して取り付けられた非磁性の案内体、
前記磁力発生装置に対し非接触で移動するとともに、前記案内体の長手方向に沿って回転移動するクローラベルト、
を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示される磁気吸着式クローラ型移動装置によれば、壁面に沿って移動する移動機の走行面に、穴、あるいは凹凸が存在する場合であっても、移動による振動を抑制した、軽量で、装置高さサイズが小さい、簡素な構造の磁気吸着式クローラ型移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の代表的な2種類の磁力発生装置の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図2Aに示す磁気吸着式クローラ型移動装置の磁力発生装置の断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の磁力発生装置の作用を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の機器構成の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置のフレームに設けられた切欠きを説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の適用例を説明するための断面図である。
【
図8】実施の形態2に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の磁力発生装置の別の構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態3に係る多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置の一例を示す図である。
【
図10】実施の形態4に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の適用例を説明するための斜視図である。
【
図12】実施の形態4に係る磁気吸着式クローラ型移動装置の適用例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置を、図に基づいて説明する。
図1は、磁気吸着式クローラ型移動装置の概略図である。
【0015】
図1において、磁気吸着式クローラ型移動装置100は、平行に配置された3本の縦フレーム61、62、63と数本の横フレーム64でフレーム6が構成され、2本の縦フレーム61、62の間には、磁力発生装置3とクローラベルト4を備えた磁気吸着走行機構10が設置され、2本の縦フレーム62、63の間にモータ7が設置されており、モータ7と磁気吸着走行機構10の間にはモータの駆動力を磁気吸着走行機構に伝える駆動力伝達機構71が設けられている。さらに、フレームを構成する縦フレームあるいは横フレームの本数を増やすことにより、磁気吸着式クローラ型移動装置の高さ方向のサイズを維持したままで、搭載機器を増やすこともできる。
【0016】
上記磁気吸着走行機構10の走行方式はクローラ方式であり、上述したように、磁気吸着走行機構10は、クローラベルト4を備えている。クローラベルト4には、ゴム製ベルトあるいはポリウレタンなどの樹脂製ベルトが使用され、プーリで駆動される。なお、クローラベルトは、回転方向を正逆に反転して回転させることもできる。なお、磁気吸着走行機構10に隣接する縦フレーム61、62には、上記磁力発生装置3を装着するための切欠き65が使用する磁石の数に応じて設けられている(この切欠きについては、後ほど詳述する)。また、フレームの素材はアルミニウムなどの非磁性体である。
【0017】
図2(
図2A、
図2B)、および
図3に、上記磁気吸着式クローラ型移動装置100に用いられる磁力発生装置3の概略図を示す。
図2(
図2A、
図2B)には、この磁力発生装置3の2種類の斜視図を示し、
図3には断面図を示す。ここで、
図2Aには、磁力発生装置3Aの斜視図を、
図2Bには、磁力発生装置3Bの斜視図を示す。
【0018】
これらの図において示したように、間隔を離して配置した磁石1a、1bおよび磁石1c、1dの2組の磁石対と、磁石の背面に配置されたヨーク2、上記2組の磁石対を構成する各磁石の間(磁石1aと磁石1bの磁石の間、及び、磁石1cと磁石1dの間)には、一部に縁5aを形成した案内体5が配置されている。なお、上記では、配置する磁石の組数が2組の場合を例に説明したが、配置する磁石の組数は、1組またはそれ以上であれば良く、使用目的に応じてこの組数を任意に決めることができる。
ここで、上記の案内体5には低摩擦材が用いられ、クローラベルトの摺動面となっている。また、図示の例では、上記案内体の縁5aは凸になっていて、クローラベルトが直進して移動する際の誘導に役立っている。また、低摩擦材としては、非磁性体であるエンジニアリングプラスチックが耐摩耗性を有し軽量である点で適している。なお、磁石1a、1b、1c、1dを、総称して磁石1と呼ぶ。
【0019】
ここで、磁力発生装置3Aと磁力発生装置3Bの違いは、磁力発生装置の上面側から見た場合に、磁力発生装置3Aでは、案内体の各側面に同極の磁石が配置されているのに対して、磁力発生装置3Bでは、案内体の各側面に異極の磁石が配置されている点であるが、いずれの配置に構成してもよい。
【0020】
また、
図3の磁力発生装置の断面図においては、
図2Aの斜視図で示した磁力発生装置3Aに加え、クローラベルト4も追加して示す。
磁石1aと磁石1bがクローラベルトの主走行部4aを案内する案内体5を配置する間隔を置いて設けられて、磁石1aと磁石1bを通して後面にヨーク2が配置されている。左右の磁石の間には、縁が凸に形成された案内体5が配置され、案内体5の表面をクローラベルトの主走行部4aが走行する。ヨーク2の背面をクローラベルトの従走行部4bが走行する。ここで、主走行部とは、クローラベルトの走行部分のうち、磁気吸着走行機構10に設けられている駆動側のプーリ(後述)によって主に移送される部分を意味し、従走行部とは、磁気吸着走行機構10に設けられている従動側のプーリ(後述)によって主に移送される部分を意味する。
【0021】
本実施の形態では、ヨーク2の中央部を案内体5の幅分盛り上げて(ここで幅とは
図3の左右方向のサイズのことである。また、「盛り上げて」とは、中央部の高さのサイズをその左右の高さのサイズより大きくして、図に示すような凸状とすることである)、左右に低い段差部を設けて、磁石1aと磁石1bの載置部としている。このヨークの(凸状に形成された)断面形状によって、ヨーク、磁石、案内体の配置関係を決めることができ、ブレードなどの他の位置決め部材を必要としない。クローラベルトの主走行部4a(の表面)が、磁石1a、1b、1c、1d(の表面)よりも高い位置にあって、磁石が磁性体である被吸着体P(ここで、被吸着体は被検査体でもある)に接触しないように構成してある。また、磁石とヨークの配置構成により、左右の磁石間に磁束が集中し、クローラベルトの主走行部4aの上面部で強力な吸着力が発生する。他の周囲には強い磁界が発生しない。
【0022】
磁力発生装置をこのような構成にした理由について、
図4を用いてさらに詳しく説明する。磁力発生装置にヨークがなく磁石とクローラベルトが
図4Aに示す構成になっている場合には、漏れ磁束(図示せず。以下同様)が多いので、磁力発生装置が被吸着体から少しでも離れると吸着力が急激に落ちる。また、磁石とクローラベルトが直列的に配置されているため、装置全体の高さサイズが大きくなる。
【0023】
磁力発生装置にヨークがなく磁石とクローラベルトが
図4Bに示す構成になっている場合にも、上記と同様、漏れ磁束が多いので、磁力発生装置が被吸着体から少しでも離れると吸着力が急激に落ちる。
【0024】
また、磁力発生装置にヨーク20がある場合でも、磁石とクローラベルト4の主走行部4a、従走行部4bが
図4Cに示す構成になっている場合、すなわち、左右に配置した磁石にそれぞれヨーク20が設置され、左右に配置した磁石間の離間が小さい場合にも、
図3の場合と比較して、漏れ磁束の割合が増える傾向となる。
【0025】
以上、
図4A~
図4Cで説明したように、磁力発生装置からの漏れ磁束を、被吸着体を吸着する吸着力として効率よく作用させるためには、
図4A~
図4Cに示したような磁力発生装置の構成ではなく、
図3に示した構成とすることが必要となる。
【0026】
ここで、磁石には、永久磁石を使用する。例えば、希土類磁石およびフェライト磁石、アルニコ磁石、Mn-Al-C磁石等の公知の永久磁石材である。希土類磁石としては、R-Fe-B系、R-Co
5
系、R
2
-Co
17
系(RはYを含む希土類元素の1種または2種以上)が使用可能である。例えば、R-Fe-B系の永久磁石(R:Nd、Pr等の希土類元素の1種以上)を使用できる。例えば、ネオジウム、サマリウムコバルト磁石などである。
【0027】
また、ヨークには、公知の軟質磁性材料を使用する。例えば、公知の鉄鋼材料である、純鉄、軟鉄、炭素鋼、あるいは低合金鋼等の普通鋼、構造用の特殊鋼、工具鋼、フェライト系、またはマルテンサイト系のステンレス鋼等を挙げることができる。また、鋳鉄、あるいは鋳鋼等の公知の鉄系鋳物も挙げることができる。Mn-Zn系フェライト等の公知のソフトフェライトおよびパーマロイ等のFe-Ni系合金、コバルト等のFe-Ni-Co系合金およびこれらの公知の軟質磁性材料粉末を熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂で結合させたボンド型の軟質磁性材料も使用することができる。
【0028】
さらに、案内体に使用する低摩擦のエンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール・ポリオキメチレン(Polyoxymethylene。略称はPOM)、ポリブチレンテレフタレート(poly butylene terephthalate。略称はPBT)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylene sulfide。略称はPPS)、ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene。略称はPTPE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EXTRUDING FEP POWDER。Fluorinated ethylene-propylene resin)などがあげられる。
【0029】
図5に磁気吸着式クローラ型移動装置100の機器構成の一例を示す。
図5Aは、磁気吸着式クローラ型移動装置100の機器構成の一例を示す平面図、
図5Bは、磁気吸着式クローラ型移動装置100の機器構成の一例を示す側面図、
図5Cは、
図5BのC-C断面図、
図5Dは、
図5AのB-B断面図である。
図5は、
図1、2、3に示された機器の概略図をまとめて構成した装置全体の構成の一例であり、ここでは、その詳細構造を示している。
【0030】
上記
図5Aに示した、3本の縦フレーム61、62、63と横フレーム64とで、磁気吸着式クローラ型移動装置100のフレーム6が構成されている。縦フレーム61の切欠き65に、磁石1bと磁石1dがはめ込まれており、縦フレーム61と縦フレーム63の中間に位置する縦フレーム62の切欠き65に、磁石1aと磁石1cがはめ込まれている。この状態について、
図6を用いてさらに以下詳しく説明する。
【0031】
図6は、実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置のフレームに設けられた切欠きを説明するための図である。
図6Aは上記の切欠き65の詳細を説明するため、
図5Aに対応させて切欠きの位置と形状を示した平面図である。この図に示したように、楕円状の長孔が4個、上記の磁石1a~磁石1dの配置位置に対応させて設けられている。
図6Bは、
図6AのD-D断面図であり、縦フレーム61、あるいは縦フレーム62の高さ方向における上記切欠き65の断面形状を示している。また、
図6Cは、上記4個の切欠きを用いて配置された4個の磁石の平面上の配置図であり、
図6Dは、この
図6CのE-E断面図である。
【0032】
上記4個のいずれの磁石も、上述の切欠き65を用いて、縦フレームの外周から飛び出さない態様で、対応する切欠きの位置に設置されていることが判る。これにより磁気吸着式クローラ型移動装置の装置全体としてのサイズ(高さ方向のサイズを含む)を抑制することができる。そこで次に、磁気吸着式クローラ型移動装置の装置全体としてのサイズについて、以下、
図5に戻って具体的に説明する。
【0033】
図5Aに示したように、磁石1aと磁石1b、磁石1cと磁石1dは、それぞれ対として構成されている。ここで、縦フレーム61と62の間に配置された磁気吸着走行機構10、およびクローラベルトの主走行部4aが示されている。側面図である
図5Bでは、縦フレーム61の上端からわずかに飛び出した高さ位置に、クローラベルトの主走行部4aの表面が設定されている状態が示されている。すなわち、
図5Bにおいて、縦フレーム61の高さサイズ(フレーム高さ)はfhであり、クローラベルトの主走行部4aの上端は、この縦フレーム61の上端から上側に位置し、クローラベルトの占める全高さサイズfcは、本装置の使用対象となる隙間の大きさ(例えば20mm)より小さく設定される。また、このfcは、上記fhに比べ、例えば約3mm程度大きく設定されている。なお、他の機器は、縦フレーム61の高さ内に納められている。
【0034】
縦フレーム61と縦フレーム63の中間に位置する縦フレーム62と(破線で示した)縦フレーム63の間に駆動用のモータ7が配置され、モータ7からクローラベルト4を駆動する駆動側のプーリ42に駆動力を伝達する駆動力伝達機構71が設けられている(
図5C参照)。また、
図5CのC-C断面図に示すように、駆動側のプーリ42と従動側のプーリ43が、案内体5の両端側に設けられている。これら2つのプーリ42、43に、クローラベルト4が掛けまわされている。これら2つのプーリは歯付きであって、クローラベルト4も歯付きベルトである。これらの構成にはタイミングベルトが利用されている。
【0035】
図5DのB-B断面図には、磁石1c、および磁石1dの背面にヨーク2が設けられ、ヨークの背面をクローラベルト4の従走行部4bが通過しており、縦フレーム61、62、63の表面からクローラベルト4の主走行部4aの表面が飛び出している状態が示されており、クローラベルト以外の機器はフレームの高さに納まっている状態が示されている。
【0036】
磁気吸着式クローラ型移動装置100は、強力な磁界を発生する磁力発生装置3によって、鉄鋼などの被吸着体にクローラベルトを接触させた状態で、磁気的に吸着させて当該装置を移動させる走行装置である。磁石の表面はクローラベルト4の主走行部4aよりも低い位置にあって、被吸着面とは非接触状態での走行が可能である。
【0037】
上述のように、磁気吸着式クローラ型移動装置100は、クローラベルトの主走行部4aが、フレームよりもわずかに飛び出た状態で、他の機器類がフレームの高さ内に納められている。すなわち、フレームによって、各機器は異物が侵入しないように保護されている。なお、必要があれば、薄い表面保護板を設けて走行機構の表面を保護することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態1に係る磁気吸着式クローラ型移動装置100は、わずかな隙間にも、設置できる高さのフレームを用いて走行できる磁気吸着式クローラ型移動装置となっており、20mm程度未満の小さな隙間に進入して走行可能な構成となっている。
【0039】
また、磁力発生装置3が磁石とヨークを組み合わせて、クローラベルトの主走行部側に磁束を集中させ走行する磁性体と磁路を形成することで、強い吸着力を実現している。加えて、ヨークを配置したことにより、磁石によって発生する磁束の多くが鉄などの強磁性体の内部を通過する率が増えるため、他の方向では磁束密度が非常に小さくなるので、モータなどの磁力に影響を受ける機器も磁界遮蔽を設けることなく隣接配置することができる(
図3参照)。
【0040】
また、磁石型のクローラベルト(特許文献5参照)ではないので、クローラベルトは薄く軽量にすることができ、アイドラプーリを用いずに低摩擦の摺動面でクローラベルトが走行案内されるので、複雑な機器構造を必要しない薄層の案内摺動構成を実現している。
【0041】
上記のように、装置の高さサイズが20mm程度であると、
図7に示す発電所の発電機の回転子60と鉄製の固定子50の間の狭い隙間(
図7B参照)を走行して、コイル51、あるいは樹脂部材52の状態などを点検し、調査することが可能となる(詳細内容は後述する)。
そのほか、橋桁は一般的に鉄鋼の梁でできているため、実施の形態1の磁気吸着式クローラ型移動装置が適用可能であり、橋脚と床板の隙間などに侵入して点検する磁気吸着式クローラ型移動装置を任意に設計することができる。もちろん、隙間ではない表面部分も走行して点検できる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2に係る磁力発生装置3aの構成の一例を
図8に示す。この磁力発生装置3a以外の構成は、基本的に実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0043】
左右に配置した磁石1a、1bと、その外側に1つずつ、ヨーク2がそれぞれ配置されている。磁石1a、1bの上面には案内体5が設けられ、クローラベルト4の主走行部4aが案内体の表面を摺動しつつ走行し、従走行部4bが、磁石1a、1bで構成された磁石対の背面を走行する構成となっている。
【0044】
この構成によって、左右のヨーク間に磁束が集中し、クローラの主走行部4aの上面側に強力な磁力を発生させ、被吸着体を吸着するため(被吸着体に近接させるため)の大きな力を得ることができる。
なお、左右のフレームに設けた切欠き(
図5参照)を用いて、この切欠きにヨーク部分を装着する構造とすることで、装置の小型化を図ることができる。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態3の多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置を
図9に示す。
図9Aは、磁気吸着式クローラ型移動装置100aと磁気吸着式クローラ型移動装置100bの2機を、横連結部材101a、101bで並列に連結した多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置(並列連結型)200を示す。磁気吸着式クローラ型移動装置100aと磁気吸着式クローラ型移動装置100bは、実施の形態1で示した磁気吸着式クローラ型移動装置100を用いることができるので説明は省略する。2つのクローラベルトの走行方向が互いに平行になるよう構成した走行機構を備えることにより、左右のクローラベルトのスピードをコントロールして、多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置200の進行方向を制御することができる。
【0046】
図9Bは、磁気吸着式クローラ型移動装置100a、100b、100c、100dの4機を、横連結部材101a、101bと縦連結部材102a、102bで並列及び縦列に連結した多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置(並列・縦列連結型)210を示す。4機の磁気吸着式クローラ型移動装置100a、100b、100c、100dは、実施の形態1で示した磁気吸着式クローラ型移動装置100を用いることができるので説明は省略する。並列・縦列連結型の多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置210は、さらに、搭載機器能力をアップすることができる。
【0047】
以上説明したように、磁気吸着式クローラ型移動装置100を並列あるいは縦列に連結した構造にして、多連型のクローラ型走行装置とすることにより、装置自体を大型化することができ、大型の機器を搭載することも可能となる。また、並列にすることにより、左右のクローラベルトの回転スピードを制御して、進行方向を制御することができるようにもなる。従って、例えば天井壁面など重力の影響が大きい場合でも、直進できるように制御することができる。
【0048】
また斜面などの傾斜のある壁面を水平方向に磁力で吸着して走行する場合、車体が引力の影響を受け、ずれ落ちる傾向があるが、直進性を維持することができる。
さら連結することにより多種のセンサなどの搭載できるなど搭載能力を向上させることができる。
【0049】
実施の形態4.
本実施の形態4の磁気吸着式クローラ型移動装置301を適用した例として、
図10に示す発電機点検ロボット300が挙げられる。
この発電機点検ロボット300は、点検ロボット本体310と、この点検ロボット本体310の左右に配置した磁気吸着式クローラ型移動装置301と、上記点検ロボット本体310および左右に配置した磁気吸着式クローラ型移動装置301をそれぞれ連結する連結脚320から構成される。
【0050】
さらに詳しくは、
図10に示したように、点検ロボット本体310の左右に磁気吸着式クローラ型移動装置301A、301Bをそれぞれ備え、点検ロボット本体310と磁気吸着式クローラ型移動装置301A、点検ロボット本体310と磁気吸着式クローラ型移動装置301Bが、それぞれ、前脚321と後脚322からなる連結脚320(脚の数は計4本)で連結されている。
【0051】
また、
図11に示すように、この前脚321は、点検ロボット本体310に近い側に設けられた本体側枝部321aと磁気吸着式クローラ型移動装置に近い側に設けられた走行側枝部321bとで構成されている。同様に、後脚322は、点検ロボット本体310に近い側に設けられた本体側枝部322aと磁気吸着式クローラ型移動装置に近い側に設けられた走行側枝部322bとで構成されている。
【0052】
また、上記の前脚と後脚は、脚調整器330が備える、脚回転調整軸331、脚昇降調整部332によって、その取り付け角度、位置が、それぞれ調整可能に設定されており、走行側枝部の収納部である伸縮脚収納部333も設けられている。
【0053】
連結脚は以上説明したように構成されているので、点検ロボット本体310とその左右に配置された磁気吸着式クローラ型移動装置301との相対位置を自在に調整して発電機点検ロボットを全体として所望の位置に設定可能である。
また、点検ロボット本体310、磁気吸着式クローラ型移動装置301、連結脚320を一体として構成した発電機点検ロボット300として、点検の対象となる発電機の固定子と回転子の間に形成された隙間を走行して、当該発電機を点検することができる。
【0054】
以上について、
図12を用いてさらに詳しく説明する。
図12は、
図7Bで示した発電機の断面図において、上記一体として構成した発電機点検ロボット300を発電機の回転子60と固定子50の間に形成された隙間に設置した際の、上記発電機点検ロボット300の配置位置を、発電機の回転子60と固定子50とともに、断面図で示したものである。
【0055】
発電機を点検する際、発電機点検ロボット300は、全体として、点検対象となる発電機の回転子60と固定子50の間に形成された隙間に配置されて、この隙間を走行しつつ、当該発電機の点検を行う。
【0056】
詳しくは、
図12に示すように、点検、あるいは検査用の機器を搭載した点検ロボット本体310は、発電機の固定子50の櫛の歯状の突起の間の凹部(上記隙間の一部を構成)を含む、上記隙間に配置される。
また、この点検ロボット本体310の両側には、2つの磁気吸着式クローラ型移動装置301Aおよび301Bが、それぞれ、連結脚の1つである後脚322を用いて、点検ロボット本体310に接続される。
以上により、点検ロボット本体、磁気吸着式クローラ型移動装置、および連結脚が一体となった発電機点検ロボット300が、点検対象となる発電機の回転子と固定子の間に形成された隙間に配置され、
図12の紙面に垂直な方向に、この発電機点検ロボット300が移動して、点検対象となる発電機の点検を行う。
【0057】
ここで、
図12に示すように、上記後脚322は、点検ロボット本体に接続された本体側枝部322aと磁気吸着式クローラ型移動装置に接続された走行側枝部322bとで構成されており、かつ、発電機の回転子と固定子の間に形成された円筒状の隙間に配置されるべく、上記本体側枝部322aと走行側枝部322bとは、適切な角度θ(この
図12ではθは鈍角)に設定されて繋がっている。この場合において、上記角度θは隙間の形状(ここでは円筒状の隙間の形状)により、適宜調整される。
【0058】
なお、上記の点検ロボット本体310には、必要に応じて、点検、あるいは検査用の機器を搭載することができる。本実施の形態では、一例として、撮像用のカメラ111と、打音検査用の加速度センサ120と、ハンマー121と、を搭載している(
図11参照)。また、上記では、連結脚が後脚の場合について説明したが、連結脚が前脚の場合についても同様である。
【0059】
以上説明したように、発電機点検ロボット300は、発電機を点検する際、円筒状の隙間に侵入するので、点検ロボット本体310と、その左右に配置された磁気吸着式クローラ型移動装置301A、301Bが、この隙間をスムースに移動できるように、上述の走行側枝部と本体側枝部が、「くの字」形になる所定の角度θに、調整可能に構成されている(
図12参照)。
【0060】
また、発電機のサイズに合わせて、発電機点検ロボット300を調整できるように、脚調整器330を介して本体側枝部が取り付けられている。さらに、磁気吸着式クローラ型移動装置301A、301Bの筐体には走行側枝部の伸縮脚収納部333が設けられている(以上については
図11参照)。
【0061】
本実施の形態の磁気吸着走行機構は、磁石の磁束がクローラベルトの主走行部側(被吸着体P)に集中する構成であり、クローラベルトが被吸着体Pに接触し、ヨーク、あるいは磁石が接触しない構成としたので、強い吸着力を維持しつつ、走行可能な装置構成を実現可能である(
図3参照)。また、本実施の形態の磁気吸着走行機構のサイズについては、基本的には、ヨークと磁石の厚みとクローラベルトの主走行部の高さ(厚さ)分のサイズがあれば十分であるので、簡素で装置高さを抑えた小型の磁気吸着移動装置を実現できる。
【0062】
実施の形態4に係る磁気吸着式クローラ型移動装置は、当該装置を被吸着体Pに吸着させるための磁石とクローラベルトとを左右のフレームの間に設け、クローラベルトを案内体に摺動させるという構成を実現した簡素な構造の走行装置である。吸着用の磁石をヨークと組み合わせて、磁束の方向を被吸着体側に集中させて吸着力を高めている。また、ベルトの案内体として摺動抵抗が小さく耐摩耗性があるエンジニアリングプラスチックを採用して走行性能を高めた。したがって、軽量で簡素な走行体を実現でき、検査機器、あるいは補修用機器を搭載する能力が向上する。
【0063】
以上、実施の形態1~4に係る磁気吸着式クローラ型移動装置は、フレームに切欠きを設けて
磁力発生装置を設置するようにしたので、装置全体をコンパクトにすることができる。また、磁石の表面に、厚さfa(
図5Dのfa参照)の薄い案内体を配置し、クローラベルトの側部にヨークの先端を露出させ、ヨークからの磁束が被吸着面に集中する構成としたので、吸着力が十分確保できる。
【0064】
また、実施の形態1~4に係る磁気吸着式クローラ型移動装置は、フレームの外側に駆動用モータを配置することにより、走行体であるクローラベルトの高さ(
図5のfcの大きさのことを言う)を抑えることにより、装置全体の高さを抑えた装置として構成できるので、サイズの小さい隙間内でも走行可能な装置とすることができる。また、吸着力を発生する磁石の磁束をクローラベルトの主走行部側(被吸着体側)に集中させる構成としたので、クローラベルトを駆動するためのモータを上記吸着用の磁石に隣接して配置しても、上記磁石の強磁界の影響を受け難いため、モータの誤作動を防止することが可能となった。
【0065】
また、実施の形態1~3に係る磁気吸着式クローラ型移動装置は、単独でもセンサなどを搭載して、調査用の装置、あるいは検査用の装置とすることができる。また、上記の実施の形態4の磁気吸着式クローラ型移動装置では、複数台の磁気吸着式クローラ型移動装置を並列、あるいは縦列に連結して、装置全体を大型化することができる。また、並列に連結した場合において、所定のクローラベルト(例えば、検査装置を本体としてその左右に設置したクローラベルト)の移動スピードを互いに調整することにより、並列に連結した磁気吸着式クローラ型移動装置全体の進行方向を制御することができる。
【0066】
また、本願には、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0067】
1、1a、1b、1c、1d 磁石、2、20 ヨーク、3、3A、3B、3a 磁力発生装置、4 クローラベルト、4a 主走行部、4b 従走行部、5 案内体、6 フレーム、7 モータ、10 磁気吸着走行機構、42、43 プーリ、50 固定子、51 コイル、52 樹脂部材、60 回転子、61、62、63 縦フレーム、64 横フレーム、65 切欠き、71 駆動力伝達機構、100、100a、100b、100c、100d、301A、301B 磁気吸着式クローラ型移動装置、101a、101b 横連結部材、102a、102b 縦連結部材、111 カメラ、120 加速度センサ、121 ハンマー、200 多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置(並列連結型)、210 多連タイプ磁気吸着式クローラ型移動装置(並列・縦列連結型)、300 発電機点検ロボット、310 点検ロボット本体、320 連結脚、321 前脚、321a 本体側枝部、321b 走行側枝部、322 後脚、322a 本体側枝部、322b 走行側枝部、330 脚調整器、331 脚回転調整軸、332 脚昇降調整部、333 伸縮脚収納部