(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240709BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240709BHJP
F25B 5/00 20060101ALI20240709BHJP
F25B 40/00 20060101ALI20240709BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20240709BHJP
F25B 41/42 20210101ALI20240709BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
F25B1/00 304B
F25B1/00 311Z
F25B1/00 331B
F25B1/00 385Z
F25B5/00 B
F25B40/00 V
F25B41/20 Z
F25B41/42
F25B43/00 L
(21)【出願番号】P 2020002876
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019080064
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 祐司
(72)【発明者】
【氏名】山田 悦久
(72)【発明者】
【氏名】安野 真士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】川久保 昌章
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 淳
(72)【発明者】
【氏名】加見 祐一
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081159(JP,A)
【文献】特開2018-071829(JP,A)
【文献】国際公開第2011/016264(WO,A1)
【文献】特開2019-045034(JP,A)
【文献】特開2014-001917(JP,A)
【文献】特開2018-118540(JP,A)
【文献】特開2019-026118(JP,A)
【文献】特開2012-176659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
F25B 5/00
F25B 41/20
F25B 43/00
F25B 41/42
F25B 1/00
F25B 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、
サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、
前記冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、
前記第1減圧部から流出した前記冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、
前記冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、
前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、
冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14c)と、を備え、
前記冷媒回路切替部は、
前記放熱部から流出した前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第1減圧部へ流入させ、さらに、前記第1減圧部にて減圧された前記冷媒を前記室外熱交換器へ流入させる第1回路と、
前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第2減圧部へ流入させ、さらに、前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を前記蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
さらに、前記冷媒回路切替部は、前記第1回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向と前記第2回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向が一致するように前記冷媒回路を切り替え
、
前記冷媒回路切替部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を、前記貯液部側および前記室外熱交換器側の少なくとも一方へ導く第1切替部(22a)と、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記室外熱交換器側へ導く継手部(13b)と、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を、前記圧縮機の吸入口側および前記貯液部側の少なくとも一方へ導く第2切替部(22b)と、を有し、
前記第1減圧部と前記第2切替部は、前記第1減圧部へ流入する前記冷媒と前記第2切替部から前記圧縮機の吸入口側へ導かれる前記冷媒との熱交換が可能に一体化されている冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記貯液部へ流入する前記冷媒を減圧させる貯液部側減圧部(23a~23c)を備える請求項
1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、
サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、
前記冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、
前記第1減圧部から流出した前記冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、
前記冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、
前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、
冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14c)と、
前記貯液部へ流入する前記冷媒を減圧させることによって、前記貯液部における前記冷媒のエンタルピを低下させる貯液部側減圧部(
23a)と、を備え、
前記冷媒回路切替部は、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記放熱部へ流入させ、前記放熱部から流出した前記冷媒を
前記貯液部側減圧部へ流入させ、前記貯液部側減圧部にて減圧された前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第1減圧部へ流入させ、さらに、前記第1減圧部にて減圧された前記冷媒を前記室外熱交換器へ流入させる第1回路と、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室外熱交換器へ流入させ、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を
前記貯液部側減圧部へ流入させ、前記貯液部側減圧部にて減圧された前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第2減圧部へ流入させ、さらに、前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を前記蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
さらに、前記冷媒回路切替部は、前記第1回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向と前記第2回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向が一致するように前記冷媒回路を切り替え
るとともに、前記第1回路に切り替えた際の前記貯液部側減圧部における前記冷媒の流れ方向と前記第2回路に切り替えた際の前記貯液部側減圧部における前記冷媒の流れ方向が一致するように前記冷媒回路を切り替え、
前記貯液部側減圧部は、前記冷媒回路切替部が前記第1回路および前記第2回路の
いずれに切り替えている際にも、前記貯液部へ流入する前記冷媒を減圧させる冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記冷媒回路切替部は、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒を、前記貯液部側および前記室外熱交換器側の少なくとも一方へ導く第1切替部(22a)と、
前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記室外熱交換器側へ導く継手部(13b)と、
前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を、前記圧縮機の吸入口側および前記貯液部側の少なくとも一方へ導く第2切替部(22b)と、を有している請求項
3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記第1切替部は、前記放熱部から流出した前記冷媒を、前記貯液部側および前記継手部側の少なくとも一方へ導き、
前記継手部は、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記第1減圧部側へ導く請求項
1、2、4のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第1切替部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を、前記放熱部側および前記継手部側の少なくとも一方へ導き、
前記継手部は、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記第1減圧部側へ導く請求項
1、2、4のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記第1切替部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を、前記放熱部側および前記継手部側の少なくとも一方へ導き、
前記継手部は、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記第1減圧部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記室外熱交換器側へ導く請求項
1、2、4のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記第1切替部は、前記放熱部から流出した前記冷媒を、前記貯液部側および前記継手部側の少なくとも一方へ導き、
前記継手部は、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記第1減圧部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記室外熱交換器側へ導く請求項
1、2、4のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記貯液部から流出して前記第1減圧部および前記第2減圧部の少なくとも一方にて減圧される前の前記冷媒と、前記蒸発部から流出して前記圧縮機へ吸入される前の前記冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(26)を備える請求項1ないし
8のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記貯液部側減圧部は、前記冷媒回路切替部が前記第1回路に切り替えている際に、前記貯液部へ流入する前記冷媒を減圧させる第1貯液部側減圧部(23b)を含んでいる請求項
2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記貯液部側減圧部は、前記冷媒回路切替部が前記第2回路に切り替えている際に、前記貯液部へ流入する前記冷媒を減圧させる第2貯液部側減圧部(23c)を含んでいる請求項
2または10に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
低圧冷媒を吸入する吸入口(111a)、中間圧冷媒を吸入する中間圧吸入口(111b)、および圧縮した冷媒を吐出する吐出口(111c)を有する圧縮機(111)と、
前記吐出口から吐出された前記冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、
サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、
前記冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、
前記第1減圧部から流出した前記冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、
前記冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、
前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、
前記貯液部の上流側の前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒のいずれか一方の少なくとも一部を減圧させて前記中間圧吸入口側へ流出させる第3減圧部(16e)と、
冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14d)と、を備え、
前記冷媒回路切替部は、
前記放熱部から流出した前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第1減圧部へ流入させ、前記第1減圧部にて減圧された前記冷媒を前記室外熱交換器へ流入させる第1回路と、
前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した前記冷媒を前記第2減圧部へ流入させ、前記第2減圧部にて減圧された前記冷媒を前記蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
前記冷媒回路切替部は、前記第1回路および前記第2回路の少なくとも一方の回路に切り替えた際に、前記第3減圧部にて減圧された前記冷媒を前記中間圧吸入口から吸入させる冷媒回路に切り替え、
さらに、前記冷媒回路切替部は、前記第1回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向と前記第2回路に切り替えた際の前記室外熱交換器における前記冷媒の流れ方向が一致するように前記冷媒回路を切り替え
、
前記冷媒回路切替部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を、前記貯液部側および前記室外熱交換器側の少なくとも一方へ導く第1切替部(22a)と、前記第1切替部から流出した前記冷媒および前記貯液部から流出した前記冷媒の少なくとも一方を、前記室外熱交換器側へ導く継手部(13b)と、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を、前記圧縮機の吸入口側および前記貯液部側の少なくとも一方へ導く第2切替部(22b)と、を有し、
前記第1減圧部と前記第2切替部は、前記第1減圧部へ流入する前記冷媒と前記第2切替部から前記圧縮機の吸入口側へ導かれる前記冷媒との熱交換が可能に一体化されている冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記貯液部から流出した前記冷媒と前記第3減圧部にて減圧された前記冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(26)を備える請求項12に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項14】
前記冷媒回路切替部は、前記第1回路では、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を前記吸入口から吸入させるとともに、前記第3減圧部にて減圧された前記冷媒を前記中間圧吸入口から吸入させる冷媒回路に切り替える請求項12または13に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項15】
前記冷媒回路切替部は、前記第2回路では、前記蒸発部から流出した前記冷媒を前記吸入口から吸入させるとともに、前記第3減圧部にて減圧された前記冷媒を前記中間圧吸入口から吸入させる冷媒回路に切り替える請求項12または13に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項16】
前記冷媒回路切替部は、前記第1回路および前記第2回路の少なくとも一方の回路に切り替えた際に、前記第3減圧部にて減圧された前記冷媒を前記貯液部へ流入させ、前記貯液部から流出した気相冷媒を前記中間圧吸入口から吸入させる冷媒回路に切り替える請求項12に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒回路を切替可能に構成された冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、冷媒を循環させる冷媒回路を切替可能に構成された冷凍サイクル装置が開示されている。特許文献1の冷凍サイクル装置は、車両用空調装置に適用されている。特許文献1の冷凍サイクル装置は、送風空気を加熱して車室内に吹き出す暖房モードの冷媒回路、送風空気を冷却して車室内へ吹き出す冷房モードの冷媒回路等を切替可能に構成されている。
【0003】
さらに、特許文献1の冷凍サイクル装置は、アキュムレータを備えている。アキュムレータは、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する熱交換部の冷媒出口側から圧縮機の吸入側へ至る冷媒流路に配置されて、サイクル内の余剰冷媒を液相冷媒として蓄える低圧側の貯液部である。これにより、特許文献1の冷凍サイクル装置では、運転モードを切り替えた際等に余剰冷媒の量が変化しても、適切な流量の冷媒を循環させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のように、アキュムレータを備える冷凍サイクル装置では、サイクルの成績係数(COP)を向上させることが難しい。換言すると、アキュムレータを備える冷凍サイクル装置では、送風空気の冷却能力を向上させることが難しい。
【0006】
その理由は、アキュムレータを備える冷凍サイクル装置では、蒸発器として機能する熱交換部から流出する冷媒の状態が飽和気相冷媒に近づくため、蒸発器として機能する熱交換部における冷媒の吸熱量を増大させにくいからである。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、冷媒回路を切替可能に構成され、成績係数を向上可能な冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、第1減圧部から流出した冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14c)と、を備え、
冷媒回路切替部は、放熱部から流出した冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第1減圧部へ流入させ、さらに、第1減圧部にて減圧された冷媒を室外熱交換器へ流入させる第1回路と、室外熱交換器から流出した冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第2減圧部へ流入させ、さらに、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
さらに、冷媒回路切替部は、第1回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と第2回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が一致するように冷媒回路を切り替える。
また、冷媒回路切替部は、圧縮機から吐出された冷媒を、貯液部側および室外熱交換器側の少なくとも一方へ導く第1切替部(22a)と、第1切替部から流出した冷媒および貯液部から流出した冷媒の少なくとも一方を、室外熱交換器側へ導く継手部(13b)と、室外熱交換器から流出した冷媒を、圧縮機の吸入口側および貯液部側の少なくとも一方へ導く第2切替部(22b)と、を有している。第1減圧部と第2切替部は、第1減圧部へ流入する冷媒と第2切替部から圧縮機の吸入口側へ導かれる冷媒との熱交換が可能に一体化されている。
【0009】
これによれば、冷媒回路切替部(14a~14c)を備えているので、第1回路と第2回路とを切り替えることができる。
【0010】
そして、第1回路に切り替えた際には、第1減圧部(16a)にて減圧させた冷媒を室外熱交換器(18)にて蒸発させることができる。この際、放熱部(12、62)にて凝縮させた高圧液相冷媒を余剰冷媒として貯液部(15)に蓄えることができる。従って、室外熱交換器(18)の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
【0011】
また、第2回路に切り替えた際には、第2減圧部(16b~16d)にて減圧させた冷媒を蒸発部(19…72)にて蒸発させることができる。この際、室外熱交換器(18)にて凝縮させた高圧液相冷媒を余剰冷媒として貯液部(15)に蓄えることができる。従って、蒸発部(19…72)の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
【0012】
つまり、請求項1に記載の冷凍サイクル装置によれば、いずれの冷媒回路に切り替えた際にも、蒸発器として機能する室外熱交換器(18)あるいは蒸発部(19…72)の出口側の冷媒に過熱度を持たせることができる。これにより、蒸発器として機能する室外熱交換器(18)あるいは蒸発部(19…72)における冷媒の吸熱量を増大させることができる。
【0013】
その結果、冷媒回路を切替可能に構成されていても、成績係数を向上可能な冷凍サイクル装置を提供することができる。
また、請求項3に記載の冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、第1減圧部から流出した冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14c)と、貯液部へ流入する冷媒を減圧させることによって、貯液部における冷媒のエンタルピを低下させる貯液部側減圧部(23a)と、を備え、
冷媒回路切替部は、圧縮機から吐出された冷媒を放熱部へ流入させ、放熱部から流出した冷媒を貯液部側減圧部へ流入させ、貯液部側減圧部にて減圧された前記冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第1減圧部へ流入させ、さらに、第1減圧部にて減圧された冷媒を室外熱交換器へ流入させる第1回路と、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器へ流入させ、室外熱交換器から流出した冷媒を貯液部側減圧部へ流入させ、貯液部側減圧部にて減圧された冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第2減圧部へ流入させ、さらに、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
さらに、冷媒回路切替部は、第1回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と第2回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が一致するように冷媒回路を切り替えるとともに、第1回路に切り替えた際の貯液部側減圧部における冷媒の流れ方向と第2回路に切り替えた際の貯液部側減圧部における冷媒の流れ方向が一致するように冷媒回路を切り替える。
貯液部側減圧部は、冷媒回路切替部が第1回路および第2回路のいずれに切り替えている際にも、貯液部へ流入する冷媒を減圧させる。
これによれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0014】
また、請求項12に記載の冷凍サイクル装置は、低圧冷媒を吸入する吸入口(111a)、中間圧冷媒を吸入する中間圧吸入口(111b)、および圧縮した冷媒を吐出する吐出口(111c)を有する圧縮機(111)と、吐出口から吐出された冷媒を放熱させる放熱部(12、62)と、サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液部(15)と、冷媒を減圧させる第1減圧部(16a)と、第1減圧部から流出した冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(18)と、冷媒を減圧させる第2減圧部(16b~16d)と、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発部(19、19a、30a、72)と、貯液部の上流側の冷媒および貯液部から流出した冷媒のいずれか一方の少なくとも一部を減圧させて中間圧吸入口側へ流出させる第3減圧部(16e)と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部(14a~14d)と、を備え、
冷媒回路切替部は、放熱部から流出した冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第1減圧部へ流入させ、第1減圧部にて減圧された冷媒を室外熱交換器へ流入させる第1回路と、室外熱交換器から流出した冷媒を貯液部へ流入させ、貯液部から流出した冷媒を第2減圧部へ流入させ、第2減圧部にて減圧された冷媒を蒸発部へ流入させる第2回路と、を切替可能に構成されており、
冷媒回路切替部は、第1回路および第2回路の少なくとも一方の回路に切り替えた際に、第3減圧部にて減圧された冷媒を中間圧吸入口から吸入させる冷媒回路に切り替え、
さらに、冷媒回路切替部は、第1回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と第2回路に切り替えた際の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が一致するように冷媒回路を切り替える。
冷媒回路切替部は、圧縮機から吐出された冷媒を、貯液部側および室外熱交換器側の少なくとも一方へ導く第1切替部(22a)と、第1切替部から流出した冷媒および貯液部から流出した冷媒の少なくとも一方を、室外熱交換器側へ導く継手部(13b)と、室外熱交換器から流出した冷媒を、圧縮機の吸入口側および貯液部側の少なくとも一方へ導く第2切替部(22b)と、を有し、
第1減圧部と第2切替部は、第1減圧部へ流入する冷媒と第2切替部から圧縮機の吸入口側へ導かれる冷媒との熱交換が可能に一体化されている。
【0015】
これによれば、冷媒回路切替部(14a~14d)を備えているので、請求項1に記載の発明と同様に、第1回路と第2回路とを切り替えることができる。そして、第1回路に切り替えた際には、蒸発器として機能する室外熱交換器(18)の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。また、第2回路に切り替えた際には、蒸発器として機能する蒸発部(19…72)の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
【0016】
つまり、請求項12に記載の冷凍サイクル装置によれば、いずれの冷媒回路に切り替えた際にも、蒸発器として機能する室外熱交換器(18)あるいは蒸発部(19…72)の出口側の冷媒に過熱度を持たせることができる。これにより、蒸発器として機能する室外熱交換器(18)あるいは蒸発部(19…72)における冷媒の吸熱量を増大させることができる。
【0017】
その結果、冷媒回路を切替可能に構成されていても、成績係数を向上可能な冷凍サイクル装置を提供することができる。
【0018】
さらに、第1回路および第2回路の少なくとも一方の回路に切り替えた際に、第3減圧部(16e)にて減圧された冷媒を圧縮機(111)の中間圧吸入口(111b)から吸入させる。これによれば、いわゆるガスインジェクションサイクルを構成することができるので、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図2】第1実施形態の室内空調ユニットの模式的な構成図である。
【
図3】第1実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。
【
図4】第2実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図5】第3実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図6】第4実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図7】第5実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図8】第5実施形態の冷凍サイクル装置における冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。
【
図9】第5実施形態の変形例の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図10】第5実施形態の別の変形例の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図11】第6実施形態の統合弁の模式的な断面図である。
【
図12】第6実施形態の冷凍サイクル装置における冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。
【
図13】第7実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図14】第8実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図15】第9実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図16】第9実施形態の変形例の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図17】第9実施形態の別の変形例の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図18】第10実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図19】第11実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図20】第12実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図21】第13実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図22】第14実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図23】第15実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図24】第16実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図25】他の実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図26】他の実施形態の四方継手を備える冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図27】他の実施形態の冷凍サイクル装置における内部熱交換器の熱交換態様を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0022】
(第1実施形態)
図1~
図3を用いて、本発明に係る冷凍サイクル装置10の第1実施形態を説明する。冷凍サイクル装置10は、電気自動車に搭載された車両用空調装置に適用されている。電気自動車は、電動モータから走行用の駆動力を得る車両である。本実施形態の車両用空調装置は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行うとともに、車載機器であるバッテリ30を冷却する車載機器冷却機能付きの空調装置である。
【0023】
冷凍サイクル装置10は、車両用空調装置において、車室内へ送風される送風空気を冷却あるいは加熱する。さらに、冷凍サイクル装置10は、バッテリ30を冷却する。従って、冷凍サイクル装置10の温度調整対象物は、送風空気およびバッテリ30である。また、冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリ30の冷却を行うために、冷媒回路を切替可能に構成されている。
【0024】
冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油(具体的には、PAGオイル)が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
【0025】
圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11は、車室の前方側の駆動装置室内に配置されている。駆動装置室は、走行用の駆動力を出力するための駆動用装置(例えば、電動モータ)の少なくとも一部が配置される空間を形成している。
【0026】
圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出圧力)が制御される。
【0027】
圧縮機11の吐出口には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と、送風空気とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させる放熱部である。換言すると、室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部である。
【0028】
室内凝縮器12の冷媒出口には、互いに連通する3つの流入出口を有する第1三方継手13aの流入口側が接続されている。このような三方継手としては、複数の配管を接合して形成されたものや、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けることによって形成されたものを採用することができる。
【0029】
さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第2三方継手13b~第8三方継手13hを備えている。第2三方継手13b~第8三方継手13hの基本的構成は、いずれも第1三方継手13aと同様である。
【0030】
第1三方継手13a~第8三方継手13hは、3つの流入出口のうち1つが流入口として用いられ、2つが流出口として用いられた際には、1つの流入口から流入した冷媒の流れを分岐する分岐部として機能させることができる。また、3つの流入出口のうち2つが流入口として用いられ、1つが流出口として用いられた際には、2つの流入口から流入した冷媒の流れを合流させる合流部として機能させることができる。
【0031】
本実施形態では、第1三方継手13a、第3三方継手13c、第6三方継手13f、および第7三方継手13gが、分岐部として機能可能に接続されている。また、第2三方継手13b、第4三方継手13d、第5三方継手13e、および第8三方継手13hが、合流部として機能可能に接続されている。
【0032】
第1三方継手13aの一方の流出口には、第1開閉弁14aおよび第5三方継手13eを介して、レシーバ15の入口側が接続されている。第1三方継手13aの他方の流出口には、第2開閉弁14bおよび第2三方継手13bを介して、暖房用膨張弁16aの入口側が接続されている。
【0033】
第1開閉弁14aは、第1三方継手13aの一方の流出口からレシーバ15の入口へ至る入口側通路21aを開閉する電磁弁である。第1開閉弁14aは、制御装置50から出力される制御電圧によって、その開閉作動が制御される。さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第3開閉弁14cを備えている。第2開閉弁14bおよび第3開閉弁14cの基本的構成は、第1開閉弁14aと同様である。
【0034】
第5三方継手13eは、入口側通路21aにおいて、一方の流入口が第1開閉弁14aの出口側に接続されている。さらに、第5三方継手13eは、入口側通路21aにおいて、流出口がレシーバ15の入口側に接続されている。
【0035】
レシーバ15は、気液分離機能を有する貯液部である。すなわち、レシーバ15は、冷凍サイクル装置10において冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する熱交換部から流出した冷媒の気液を分離する。そして、レシーバ15は、分離された液相冷媒の一部を下流側に流出させ、残余の液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として蓄える。
【0036】
第2開閉弁14bは、第1三方継手13aの他方の流出口から第2三方継手13bの一方の流入口へ至る外気側通路21cを開閉する電磁弁である。第2三方継手13bの他方の流入口には、レシーバ15の出口側が接続されている。レシーバ15の出口と第2三方継手13bの他方の流入口とを接続する出口側通路21bには、第6三方継手13fおよび第1逆止弁17aが配置されている。
【0037】
第6三方継手13fは、出口側通路21bにおいて、流入口がレシーバ15の出口側に接続されている。第6三方継手13fは、出口側通路21bにおいて、一方の流出口が第1逆止弁17aの入口側に接続されている。さらに、第6三方継手13fの他方の流出口には、第7三方継手13gの流入口側が接続されている。
【0038】
第2三方継手13bの流出口には、暖房用膨張弁16aを介して、室外熱交換器18の冷媒入口側が接続されている。このため、出口側通路21bに配置された第1逆止弁17aは、レシーバ15の出口側から暖房用膨張弁16a側へ冷媒が流れることを許容し、暖房用膨張弁16a側からレシーバ15の出口側へ冷媒が流れることを禁止している。
【0039】
暖房用膨張弁16aは、少なくとも後述する外気暖房モードの冷媒回路に切り替えられた際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第1減圧部である。
【0040】
暖房用膨張弁16aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体、および弁体を変位させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)を有する電動式の可変絞り機構である。暖房用膨張弁16aは、制御装置50から出力される制御信号(具体的には、制御パルス)によって、その作動が制御される。
【0041】
暖房用膨張弁16aは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
【0042】
さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、冷房用膨張弁16bおよび冷却用膨張弁16cを備えている。冷房用膨張弁16bおよび冷却用膨張弁16cの基本的構成は、暖房用膨張弁16aと同様である。もちろん、暖房用膨張弁16a等を、全閉機能を有していない可変絞り機構と開閉弁とを組み合わせて形成してもよい。
【0043】
室外熱交換器18は、暖房用膨張弁16aから流出した冷媒と、図示しない外気ファンから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器18は、駆動装置室内の前方側に配置されている。このため、車両走行時には、室外熱交換器18に走行風を当てることができる。
【0044】
室外熱交換器18の冷媒出口には、第3三方継手13cの流入口側が接続されている。第3三方継手13cの一方の流出口には、第3開閉弁14cを介して、第4三方継手13dの一方の流入口側が接続されている。第3三方継手13cの他方の流出口には、第2逆止弁17bを介して、第5三方継手13eの他方の流入口側が接続されている。
【0045】
第3開閉弁14cは、第3三方継手13cの一方の流出口から第4三方継手13dの一方の流入口へ至る吸入側通路21dを開閉する電磁弁である。第4三方継手13dの流出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。第2逆止弁17bは、室外熱交換器18の冷媒出口側からレシーバ15の入口側へ冷媒が流れることを許容し、レシーバ15の入口側から室外熱交換器18の冷媒出口側へ冷媒が流れることを禁止している。
【0046】
前述の如く、出口側通路21bに配置された第6三方継手13fの他方の流出口には、第7三方継手13gの流入口側が接続されている。第7三方継手13gの一方の流出口には、冷房用膨張弁16bの入口側が接続されている。第7三方継手13gの他方の流出口には、冷却用膨張弁16cの入口側が接続されている。
【0047】
冷房用膨張弁16bは、少なくとも後述する冷房モードの冷媒回路に切り替えられた際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2減圧部である。
【0048】
冷房用膨張弁16bの出口には、室内蒸発器19の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器19は、室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。室内蒸発器19は、冷房用膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒を、室内送風機42から送風された送風空気と熱交換させて蒸発させる蒸発部である。室内蒸発器19は、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する送風空気用冷却部である。室内蒸発器19の冷媒出口には、第8三方継手13hの一方の流入口が接続されている。
【0049】
冷却用膨張弁16cは、バッテリ30を冷却する際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2減圧部である。冷却用膨張弁16cの出口には、バッテリ30の冷媒通路30aの入口側が接続されている。
【0050】
バッテリ30は、電動モータ等の電動式の車載機器に電力を供給する。バッテリ30は、複数の電池セルを電気的に直列的あるいは並列的に接続することによって形成された組電池である。電池セルは、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)である。バッテリ30は、複数の電池セルを略直方体形状となるように積層配置して専用ケースに収容したものである。
【0051】
この種のバッテリは、低温になると化学反応が進行しにくく出力が低下しやすい。バッテリは、作動時(すなわち、充放電時)に発熱する。さらに、バッテリは、高温になると劣化が進行しやすい。このため、バッテリの温度は、バッテリの充放電容量を充分に活用することのできる適切な温度範囲内(本実施形態では、15℃以上、かつ、55℃以下)に維持されていることが望ましい。
【0052】
バッテリ30の冷媒通路30aは、バッテリ30の専用ケースに形成されている。冷媒通路30aは、冷却用膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒とバッテリ30とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させる蒸発部である。つまり、冷媒通路30aは、低圧冷媒にバッテリ30の有する熱(すなわち、バッテリ30の廃熱)を吸熱させてバッテリ30を冷却する、いわゆる直冷式の電池用冷却部である。
【0053】
ここで、冷媒通路30aの通路構成は、専用ケースの内部で複数の通路を並列的に接続した通路構成となっている。これにより、冷媒通路30aは、バッテリ30の全域からバッテリ30の廃熱を均等に吸熱できるように形成されている。換言すると、冷媒通路30aは、全ての電池セルの有する熱を均等に吸熱して、全ての電池セルを均等に冷却できるように形成されている。
【0054】
バッテリ30の冷媒通路30aの出口には、第8三方継手13hの他方の流入口が接続されている。第8三方継手13hの流出口には、第4三方継手13dを介して、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
【0055】
以上の説明から明らかなように、冷凍サイクル装置10では、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14cが冷媒通路を開閉することによって、冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14c等は、冷媒回路切替部に含まれる。
【0056】
そして、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、および第1三方継手13aは、圧縮機11から吐出された冷媒を、レシーバ15側および室外熱交換器18側の一方へ導く冷媒回路切替部の第1切替部22aを構成している。より具体的には、本実施形態の第1切替部22aは、室内凝縮器12から流出した冷媒を、レシーバ15側および第2三方継手13b側の一方へ導いている。
【0057】
また、第2三方継手13bは、第1三方継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の少なくとも一方を、室外熱交換器18側へ導く冷媒回路切替部の継手部を形成している。より具体的には、本実施形態の継手部は、第1三方継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の一方を、暖房用膨張弁16a側へ導いている。
【0058】
また、第3開閉弁14cおよび第3三方継手13cは、室外熱交換器18から流出した冷媒を、圧縮機11の吸入口側およびレシーバ15側の一方へ導く冷媒回路切替部の第2切替部22bを構成している。
【0059】
次に、
図2を用いて、室内空調ユニット40について説明する。室内空調ユニット40は、車両用空調装置において、適切に温度調整された送風空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すためのユニットである。室内空調ユニット40は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
【0060】
室内空調ユニット40は、送風空気の空気通路を形成するケーシング41を有している。ケーシング41内に形成された空気通路には、室内送風機42、室内蒸発器19、室内凝縮器12等が配置されている。ケーシング41は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて形成されている。
【0061】
ケーシング41の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置43が配置されている。内外気切替装置43は、ケーシング41内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。内外気切替装置43の駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0062】
内外気切替装置43の送風空気流れ下流側には、室内送風機42が配置されている。室内送風機42は、内外気切替装置43を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。室内送風機42は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。室内送風機42は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
【0063】
室内送風機42の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器19と室内凝縮器12が、送風空気流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器19は、室内凝縮器12よりも、送風空気流れ上流側に配置されている。ケーシング41内には、室内蒸発器19を通過した送風空気を、室内凝縮器12を迂回させて下流側へ流す冷風バイパス通路45が形成されている。
【0064】
室内蒸発器19の送風空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア44が配置されている。エアミックスドア44は、室内蒸発器19を通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量と冷風バイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整する。エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0065】
室内凝縮器12の送風空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路45を通過して室内凝縮器12にて加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間46が設けられている。さらに、ケーシング41の送風空気流れ最下流部には、混合空間46にて混合された送風空気(空調風)を、車室内へ吹き出す図示しない開口穴が配置されている。
【0066】
従って、エアミックスドア44が室内凝縮器12を通過させる風量と冷風バイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間46にて混合される空調風の温度を調整することができる。そして、各開口穴から車室内へ吹き出される送風空気の温度を調整することができる。
【0067】
開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
【0068】
これらの開口穴の上流側には、図示しない吹出モード切替ドアが配置されている。吹出モード切替ドアは、各開口穴を開閉することによって、空調風を吹き出す開口穴を切り替える。吹出モード切替ドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0069】
次に、
図3を用いて、車両用空調装置の電気制御部の概要について説明する。制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置50は、ROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、14a~14c、16a~16c、31、42、43、44等の作動を制御する。
【0070】
制御装置50の入力側には、
図3に示すように、各種の制御用センサが接続されている。制御用センサとしては、内気温センサ51a、外気温センサ51b、日射量センサ51cが含まれる。さらに、制御用センサとしては、高圧圧力センサ51d、空調風温度センサ51e、蒸発器温度センサ51f、蒸発器圧力センサ51g、室外器温度センサ51h、室外器圧力センサ51i、バッテリ温度センサ51jが含まれる。
【0071】
内気温センサ51aは、車室内の温度である内気温Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ51bは、車室外の温度である外気温Tamを検出する外気温検出部である。日射量センサ51cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。
【0072】
高圧圧力センサ51dは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力である高圧圧力Pdを検出する高圧圧力検出部である。空調風温度センサ51eは、混合空間46から車室内へ吹き出される吹出空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
【0073】
蒸発器温度センサ51fは、室内蒸発器19における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Teを検出する蒸発器温度検出部である。本実施形態の蒸発器温度センサ51fは、具体的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の温度を検出している。
【0074】
蒸発器圧力センサ51gは、室内蒸発器19における冷媒蒸発圧力Peを検出する蒸発器圧力検出部である。本実施形態の蒸発器圧力センサ51gは、具体的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の圧力を検出している。
【0075】
室外器温度センサ51hは、室外熱交換器18を流通する冷媒の温度である室外器冷媒温度T1を検出する室外器温度検出部である。本実施形態の室外器温度センサ51hは、具体的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の温度を検出している。
【0076】
室外器圧力センサ51iは、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力である室外器冷媒圧力P1を検出する室外器温度検出部である。本実施形態の室外器圧力センサ51iは、具体的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の圧力を検出している。
【0077】
バッテリ温度センサ51jは、バッテリ30の温度であるバッテリ温度TBを検出するバッテリ温度検出部である。バッテリ温度センサ51jは、複数の温度検出部を有し、バッテリ30の複数の箇所の温度を検出している。このため、制御装置50では、バッテリ30の各部の温度差を検出することもできる。さらに、バッテリ温度TBとしては、複数の温度センサの検出値の平均値を採用している。
【0078】
さらに、制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル52が接続され、この操作パネル52に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。
【0079】
操作パネル52に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、オートスイッチ、エアコンスイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ等がある。
【0080】
オートスイッチは、冷凍サイクル装置10の自動制御運転を設定あるいは解除する操作スイッチである。エアコンスイッチは、室内蒸発器19で送風空気の冷却を行うことを要求する操作スイッチである。風量設定スイッチは、室内送風機42の風量をマニュアル設定する操作スイッチである。温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetを設定する操作スイッチである。
【0081】
また、本実施形態の制御装置50は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。従って、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(すなわち、ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
【0082】
例えば、制御装置50のうち、冷媒回路切替部である第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14cの作動を制御する構成は、冷媒回路制御部50aを構成している。
【0083】
次に、上記構成の本実施形態の車両用空調装置の作動について説明する。冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリ30の冷却を行うために、冷媒回路を切替可能に構成されている。
【0084】
具体的には、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、車室内の空調を行うために、外気暖房モードの冷媒回路、冷房モードの冷媒回路、外気並列除湿暖房モードの冷媒回路を切り替えることができる。外気暖房モードは、加熱された送風空気を車室内へ吹き出す運転モードである。冷房モードは、冷却された送風空気を車室内へ吹き出す運転モードである。外気並列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。
【0085】
これらの運転モードの切り替えは、予め制御装置50に記憶されている空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル52のオートスイッチが投入(ON)されると実行される。空調制御プログラムでは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号に基づいて、運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0086】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態として、冷房用膨張弁16bを全閉状態とする。
【0087】
これにより、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→レシーバ15→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機11の吸入口の順に循環する第1回路に切り替えられる。
【0088】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、制御装置50は、高圧圧力センサ51dによって検出された高圧圧力Pdが目標高圧PDOに近づくように吐出能力を制御する。目標高圧PDOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置50に記憶されている外気暖房モード用の制御マップを参照して決定される。目標吹出温度TAOは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号を用いて算定される。
【0089】
また、暖房用膨張弁16aについては、制御装置50は、室外熱交換器18の出口側冷媒の過熱度SH1が、予め定めた目標過熱度KSH(本実施形態では、5℃)に近づくように絞り開度を制御する。過熱度SH1は、室外器温度センサ51hによって検出された室外器冷媒温度T1および室外器圧力センサ51iによって検出された室外器冷媒圧力P1から算定される。
【0090】
また、エアミックスドア44については、制御装置50は、空調風温度センサ51eによって検出された吹出空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように開度を制御する。外気暖房モードでは、室内蒸発器19を通過した送風空気の全風量を室内凝縮器12へ流入させるようにエアミックスドア44の開度を制御してもよい。
【0091】
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した送風空気に放熱して凝縮する。これにより、送風空気が加熱される。
【0092】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13aおよび入口側通路21aを介してレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第2三方継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
【0093】
暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、暖房用膨張弁16aの絞り開度は、室外熱交換器18の出口側冷媒の過熱度SH1が目標過熱度KSHに近づくように制御される。外気暖房モードでは、実質的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の過熱度が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
【0094】
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3三方継手13c、吸入側通路21d、および第4三方継手13dを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
【0095】
従って、外気暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0096】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とする。
【0097】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する第2回路に切り替えられる。
【0098】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、蒸発器温度センサ51fによって検出された蒸発器温度Teが目標蒸発器温度TEOに近づくように吐出能力を制御する。目標蒸発器温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置50に記憶されている冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
【0099】
この制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標蒸発器温度TEOが上昇するように決定される。さらに、目標蒸発器温度TEOは、室内蒸発器19の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。
【0100】
また、冷房用膨張弁16bについては、制御装置50は、室内蒸発器19の出口側冷媒の過熱度SH2が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を制御する。過熱度SH2は、蒸発器温度Teおよび蒸発器圧力センサ51gによって検出された冷媒蒸発圧力Peから算定される。また、エアミックスドア44については、室内蒸発器19を通過した送風空気の全風量を冷風バイパス通路45へ流入させるようにエアミックスドア44の開度を制御する。
【0101】
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。冷房モードでは、室内蒸発器19を通過した送風空気の全風量が冷風バイパス通路45へ流入する。このため、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、送風空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
【0102】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13aおよび外気側通路21cを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。冷房モードでは、暖房用膨張弁16aが全開状態となっている。このため、暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、減圧されることなく暖房用膨張弁16aから流出する。つまり、冷房モードでは、室内凝縮器12および暖房用膨張弁16aは、単なる冷媒通路となる。
【0103】
暖房用膨張弁16aから流出した冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気へ放熱して凝縮する。
【0104】
室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3三方継手13c、第5三方継手13eおよび入口側通路21aを介してレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第6三方継手13fを介して冷房用膨張弁16bへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
【0105】
冷房用膨張弁16bへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、冷房用膨張弁16bの絞り開度は、過熱度SH2が目標過熱度KSHに近づくように制御される。冷房モードでは、実質的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の過熱度が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
【0106】
冷房用膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器19へ流入する。室内蒸発器19へ流入した冷媒は、室内送風機42から送風された送風空気と熱交換し、送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器19から流出した冷媒は、第8三方継手13hおよび第4三方継手13dを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
【0107】
従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0108】
(c)外気並列除湿暖房モード
外気並列除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とする。
【0109】
これにより、外気並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→レシーバ15の順に流れる。さらに、レシーバ15→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機11の吸入口の順に循環するとともに、レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する第3回路が構成される。
【0110】
すなわち、外気並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18と室内蒸発器19が並列的に接続される回路に切り替えられる。
【0111】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、冷房モードと同様に吐出能力を制御する。また、暖房用膨張弁16aについては、外気暖房モードと同様に絞り開度を制御する。また、冷房用膨張弁16bについては、冷房モードと同様に絞り開度を制御する。また、エアミックスドア44については、制御装置50は、空調風温度センサ51eによって検出された吹出空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように開度を制御する。
【0112】
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した送風空気に放熱して凝縮する。これにより、室内蒸発器19を通過する際に冷却された送風空気が加熱される。
【0113】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13aおよび入口側通路21aを介してレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。
【0114】
レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第2三方継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。レシーバ15にて分離された別の一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第6三方継手13fを介して冷房用膨張弁16bへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
【0115】
レシーバ15から暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、暖房用膨張弁16aの絞り開度は、室外器冷媒温度T1が外気温Tamよりも低くなるように制御される。
【0116】
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3三方継手13cおよび吸入側通路21dを介して第4三方継手13dへ流入する。
【0117】
レシーバ15から冷房用膨張弁16bへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、冷房用膨張弁16bの絞り開度は、過熱度SH2が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
【0118】
冷房用膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器19へ流入する。室内蒸発器19へ流入した冷媒は、室内送風機42から送風された送風空気と熱交換し、送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器19から流出した冷媒は、第8三方継手13hを介して第4三方継手13dへ流入する。
【0119】
第4三方継手13dでは、室外熱交換器18から流出した冷媒の流れと室内蒸発器19から流出した冷媒の流れが合流する。第4三方継手13dから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
【0120】
従って、外気並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
【0121】
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置では、冷凍サイクル装置10が各運転モードに応じて冷媒回路を切り替えることによって、車室内の快適な空調を実現することができる。
【0122】
なお、上述した(a)外気暖房モード、(b)冷房モード、(c)外気並列除湿暖房モードでは、バッテリ30の冷却を行っていないが、本実施形態の車両用空調装置では、バッテリ30を冷却する運転モードを実行することができる。
【0123】
バッテリ30を冷却する運転モードは、冷凍サイクル装置10の作動時であれば、空調の各運転モードが実行されているか否かの影響を受けることなく実行することができる。つまり、バッテリ30を冷却する運転モードは、空調用の各運転モードと並行して実行することもできるし、単独で実行することもできる。
【0124】
つまり、本実施形態の車両用空調装置では、車室内の空調を行うことなく、バッテリ30の冷却のみを行う電池単独モードを実行することができる。さらに、車室内の空調を行うと同時にバッテリ30の冷却を行う各種運転モードを実行することができる。
【0125】
バッテリ30を冷却する運転モードは、バッテリ温度センサ51jによって検出されたバッテリ温度TBが、予め定めた基準バッテリ温度KTB以上となった際に実行される。以下、バッテリ30を冷却する運転モードの作動について説明する。
【0126】
(d)電池単独モード
電池単独モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0127】
これにより、電池単独モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→レシーバ15→冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に循環する第2回路に切り替えられる。
【0128】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、バッテリ温度TBが目標バッテリ温度KTB2に近づくように吐出能力を制御する。目標バッテリ温度KTB2は、バッテリ温度TBに基づいて、予め制御装置50に記憶されている電池単独モード用の制御マップを参照して決定される。
【0129】
また、冷却用膨張弁16cについては、制御装置50は、バッテリ30の冷媒通路30aの出口側冷媒の過熱度SH3が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を制御する。また、制御装置50は、室内送風機42を停止させる。
【0130】
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。電池単独モードでは、室内送風機42が停止している。このため、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、送風空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
【0131】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、冷房モードと同様に、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気へ放熱して凝縮する。さらに、室外熱交換器18から流出した冷媒は、冷房モードと同様に、第3三方継手13c、第5三方継手13eおよび入口側通路21aを介してレシーバ15へ流入する。
【0132】
レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21b、第6三方継手13f、および第7三方継手13gを介して冷却用膨張弁16cへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。冷却用膨張弁16cへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、冷却用膨張弁16cの絞り開度は、過熱度SH3が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
【0133】
冷却用膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒は、バッテリ30の冷媒通路30aへ流入する。冷媒通路30aへ流入した冷媒は、バッテリ30の有する熱(すなわち、バッテリ30の廃熱)を吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ30が冷却される。バッテリ30の冷媒通路30aから流出した冷媒は、第8三方継手13hおよび第4三方継手13dを介して圧縮機11へ吸入される。
【0134】
従って、電池単独モードでは、車室内の空調を行うことなく、バッテリ30の冷却のみを行うことができる。
【0135】
上述した(d)電池単独モードでは、車室内の空調を行わないことを前提として、室内送風機42を停止させた例を説明したが、(d)電池単独モードの実行時に、室内送風機42を作動させてもよい。この場合は、バッテリ30の冷却を行うと同時に、送風空気の温度調整を行うことなく車室内へ吹き出す送風モードの運転を行うことができる。
【0136】
また、車室内の空調を行うと同時にバッテリ30の冷却を行う運転モードでは、制御装置50が、空調用の各運転モードと同様の制御対象機器を制御することに加えて、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0137】
これにより、冷凍サイクル装置10では、空調用の運転モードによらず、レシーバ15から流出した冷媒が、冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に流れるバッテリ冷却用の回路が追加される。
【0138】
すなわち、外気暖房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18とバッテリ30の冷媒通路30aが並列的に接続される回路に切り替えられる。以下の説明では、外気暖房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される運転モードを、(e)外気廃熱暖房モードと記載する。
【0139】
また、冷房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室内蒸発器19とバッテリ30の冷媒通路30aが並列的に接続される回路に切り替えられる。以下の説明では、冷房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される運転モードを、(f)冷房電池モードと記載する。
【0140】
また、外気並列除湿暖房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18、室内蒸発器19およびバッテリ30の冷媒通路30aが並列的に接続される回路に切り替えられる。以下の説明では、外気並列除湿暖房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される運転モードを、(g)外気廃熱並列除湿暖房モードと記載する。
【0141】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、冷却用膨張弁16cについては、制御装置50は、電池単独モードと同様にバッテリ30の冷媒通路30aの出口側冷媒の過熱度SH3が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を制御する。
【0142】
冷凍サイクル装置10では、レシーバ15から流出した冷媒が、第6三方継手13fおよび第7三方継手13gを介して、冷却用膨張弁16cへ流入する。レシーバ15から冷却用膨張弁16cへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。
【0143】
冷却用膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒は、バッテリ30の冷媒通路30aへ流入する。冷媒通路30aへ流入した冷媒は、バッテリ30の有する熱(すなわち、バッテリ30の廃熱)を吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ30が冷却される。バッテリ30の冷媒通路30aから流出した冷媒は、第8三方継手13hおよび第4三方継手13dを介して圧縮機11へ吸入される。
【0144】
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置では、(e)外気廃熱暖房モード、(f)冷房電池モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モードを実行することによって、車室内の空調を行うと同時に、バッテリ30を冷却することができる。さらに、(e)外気廃熱暖房モードおよび(g)外気廃熱並列除湿暖房モードでは、バッテリ30の廃熱を、送風空気を加熱するための熱源として用いることができる。
【0145】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、(a)外気暖房モードで説明したように、第1回路に切り替えた際に、暖房用膨張弁16aにて減圧させた冷媒を室外熱交換器18にて蒸発させることができる。この際、室内凝縮器12にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室外熱交換器18の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
【0146】
これによれば、貯液部として低圧側の貯液部であるアキュムレータを備える冷凍サイクル装置(以下、比較例の冷凍サイクル装置と記載する。)よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室外熱交換器18における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
【0147】
従って、(a)外気暖房モードの冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置よりもサイクルの成績係数を向上させることができる。
【0148】
ここで、アキュムレータは、冷媒を蒸発させる熱交換部の冷媒出口側から圧縮機の吸入側へ至る冷媒流路に配置されて、サイクル内の余剰冷媒を液相冷媒として蓄える低圧側の貯液部である。また、冷媒を蒸発させる熱交換部における冷媒の吸熱量は、冷媒を蒸発させる熱交換部の出口側冷媒のエンタルピから入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差で定義される。
【0149】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、(b)冷房モードで説明したように、第2回路に切り替えた際に、冷房用膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。この際、室外熱交換器18にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室内蒸発器19の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
【0150】
これによれば、比較例の冷凍サイクル装置よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内蒸発器19における送風空気の冷却能力を向上させることができる。
【0151】
従って、(b)冷房モードの冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置よりもサイクルの成績係数を向上させることができる。
【0152】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、(c)外気並列除湿暖房モードで説明したように、第3回路に切り替えた際には、冷房用膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。さらに、冷房用膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。
【0153】
この際、室内凝縮器12にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室外熱交換器18の出口側冷媒および室内蒸発器19の出口側冷媒の双方に過熱度を持たせることができる。
【0154】
これによれば、比較例の冷凍サイクル装置よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室外熱交換器18における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
【0155】
さらに、比較例の冷凍サイクル装置よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内蒸発器19における送風空気の冷却能力を向上させることができる。
【0156】
従って、(c)外気並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置よりもサイクルの成績係数を向上させることができる。つまり、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、冷媒回路を切替可能に構成されていても、成績係数を向上させることができる。
【0157】
また、本実施形態では、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、および第1三方継手13aによって第1切替部22aが構成されている。そして、本実施形態の第1切替部22aは、具体的に、室内凝縮器12から流出した冷媒を、レシーバ15側および第2三方継手13b側の一方へ導いている。
【0158】
さらに、本実施形態の継手部を構成する第2三方継手13bは、具体的に、第1三方継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の一方を、暖房用膨張弁16a側へ導いている。
【0159】
さらに、第3開閉弁14c、第3三方継手13c、および第2逆止弁17bによって第2切替部22bが構成されている。そして、本実施形態の第2切替部22bは、具体的に、室外熱交換器18から流出した冷媒を、圧縮機11の吸入口側およびレシーバ15側の一方へ導いている。
【0160】
これによれば、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15内の冷媒の流れ方向が変化しない冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。従って、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15の気液分離性能が変化しにくい。さらに、冷媒回路を切り替えても、共通するレシーバ15にサイクル内の余剰冷媒を蓄える冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。従って、冷凍サイクル装置10全体としての大型化を抑制することができる。
【0161】
また、冷凍サイクル装置10の運転モードは、上述した運転モードに限定されない。例えば、以下に説明する、(h)エバ単独除湿暖房モード、(i)廃熱暖房モード、(j)廃熱並列除湿暖房モードを実行してもよい。(h)エバ単独除湿暖房モード、(i)廃熱暖房モード、(j)廃熱並列除湿暖房モードは、室外熱交換器18に冷媒を流通させない運転モードである。
【0162】
(h)エバ単独除湿暖房モード
エバ単独除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全閉状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態として、冷却用膨張弁16cを全閉状態とする。
【0163】
これにより、エバ単独除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路に切り替えられる。
【0164】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11および冷房用膨張弁16bについては、冷房モードと同様に制御する。
【0165】
このため、エバ単独除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0166】
従って、エバ単独除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
【0167】
(i)廃熱暖房モード
廃熱暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全閉状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態として、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0168】
これにより、廃熱暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→レシーバ15→冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路に切り替えられる。
【0169】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、外気暖房モードと同様に制御する。この際、車室内の暖房よりもバッテリ30の冷却を優先する場合は、電池単独モードと同様に圧縮機11の作動を制御してもよい。また、冷却用膨張弁16cについては、電池単独モードと同様に制御する。
【0170】
このため、廃熱暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、バッテリ30の冷媒通路30aを蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0171】
従って、廃熱暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。さらに、バッテリ30の冷媒通路30aを流通する冷媒がバッテリ30から吸熱することによって、バッテリ30を冷却することができる。そして、冷媒がバッテリ30から吸熱した熱を、送風空気の加熱源とすることができる。
【0172】
(j)廃熱並列除湿暖房モード
廃熱並列除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全閉状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態として、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0173】
これにより、廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→レシーバ15の順に流れる。さらに、レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環するとともに、レシーバ15→冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路が構成される。
【0174】
すなわち、廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室内蒸発器19とバッテリ30の冷媒通路30aが並列的に接続される回路に切り替えられる。つまり、廃熱並列除湿暖房モードは、エバ単独除湿暖房モードとバッテリ30の冷却が並行して実行される運転モードである。
【0175】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11および冷房用膨張弁16bについては、冷房モードと同様に制御する。冷却用膨張弁16cについては、電池単独モードと同様に制御する。
【0176】
このため、廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19およびバッテリ30の冷媒通路30aを蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0177】
従って、廃熱並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。さらに、バッテリ30の冷媒通路30aを流通する冷媒がバッテリ30から吸熱することによって、バッテリ30を冷却することができる。そして、冷媒がバッテリ30から吸熱した熱を、送風空気の加熱源とすることができる。
【0178】
また、冷凍サイクル装置10の運転モードとして、例えば、以下に説明する、(k)直列エバ単独除湿暖房モード、(m)直列廃熱暖房モード、(n)直列廃熱並列除湿暖房モードを実行してもよい。(k)直列エバ単独除湿暖房モード、(m)直列廃熱暖房モード、(n)直列廃熱並列除湿暖房モードは、室内凝縮器12および室外熱交換器18が、暖房用膨張弁16aを介して、直接的に接続される運転モードである。
【0179】
(k)直列エバ単独除湿暖房モード
直列エバ単独除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、冷却用膨張弁16cを全閉状態とする。
【0180】
これにより、直列エバ単独除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路に切り替えられる。
【0181】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11および冷房用膨張弁16bについては、冷房モードと同様に制御する。
【0182】
暖房用膨張弁16aについては、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒の温度が基準温度となるように絞り開度が調整される。より具体的には、高圧圧力センサ51dによって検出された高圧圧力Pdが予め定めた基準高圧KPdとなるように絞り開度が調整される。さらに、暖房用膨張弁16aの絞り開度は、室外熱交換器18へ流入する冷媒の温度が外気温よりも高くなる範囲で調整される。
【0183】
このため、直列エバ単独除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12および室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0184】
従って、直列エバ単独除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
【0185】
これに加えて、直列エバ単独除湿暖房モードでは、暖房用膨張弁16aの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を調整することができる。従って、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を適切に調整することができる。
【0186】
(m)直列廃熱暖房モード
直列廃熱暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0187】
これにより、直列廃熱暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→レシーバ15→冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路に切り替えられる。
【0188】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、外気暖房モードと同様に制御する。この際、車室内の暖房よりもバッテリ30の冷却を優先する場合は、電池単独モードと同様に圧縮機11の作動を制御してもよい。また、暖房用膨張弁16aについては、直列エバ単独除湿暖房モードと同様に制御する。冷却用膨張弁16cについては、電池単独モードと同様に制御する。
【0189】
このため、直列廃熱暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12および室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、バッテリ30の冷媒通路30aを蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0190】
従って、直列廃熱暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。さらに、バッテリ30の冷媒通路30aを流通する冷媒がバッテリ30から吸熱することによって、バッテリ30を冷却することができる。そして、冷媒がバッテリ30から吸熱した熱を、送風空気の加熱源とすることができる。
【0191】
これに加えて、直列廃熱暖房モードでは、暖房用膨張弁16aの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を調整することができる。従って、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を適切に調整することができる。
【0192】
(n)直列廃熱並列除湿暖房モード
直列廃熱並列除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、冷却用膨張弁16cを絞り状態とする。
【0193】
これにより、直列廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→レシーバ15の順に流れる。さらに、レシーバ15→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環するとともに、レシーバ15→冷却用膨張弁16c→バッテリ30の冷媒通路30a→圧縮機11の吸入口の順に循環する冷媒回路が構成される。
【0194】
すなわち、直列廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室内蒸発器19とバッテリ30の冷媒通路30aが並列的に接続される回路に切り替えられる。
【0195】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11および冷房用膨張弁16bについては、冷房モードと同様に制御する。冷却用膨張弁16cについては、電池単独モードと同様に制御する。暖房用膨張弁16aについては、直列エバ単独除湿暖房モードと同様に制御する。
【0196】
このため、直列廃熱並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12および室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19およびバッテリ30の冷媒通路30aを蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
【0197】
従って、直列廃熱並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。さらに、バッテリ30の冷媒通路30aを流通する冷媒がバッテリ30から吸熱することによって、バッテリ30を冷却することができる。そして、冷媒がバッテリ30から吸熱した熱を、送風空気の加熱源とすることができる。
【0198】
これに加えて、直列廃熱並列除湿暖房モードでは、暖房用膨張弁16aの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を調整することができる。従って、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を適切に調整することができる。
【0199】
ところで、上述した(a)外気暖房モード、(c)外気並列除湿暖房モード、(e)外気廃熱暖房モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18における冷媒蒸発温度が外気温以下となる。このため、低外気温時に、これらの運転モードが実行されると、室外熱交換器18に着霜が生じてしまうおそれがある。
【0200】
そこで、室外熱交換器18に着霜が生じていると推定される着霜条件が成立した際に、室外熱交換器18の除霜を行うために、予め定めた所定時間の間、(b)冷房モード、(d)電池単独モード、(f)冷房電池モードに切り替えてもよい。これによれば、室外熱交換器18に、圧縮機11から吐出された高温冷媒を流入させて、室外熱交換器18の除霜を行うことができる。
【0201】
さらに、制御装置50は、室外熱交換器18の除霜を行うために、(b)冷房モード、(d)電池単独モード、(f)冷房電池モードに切り替える場合は、予め定めた除霜用の能力を発揮するように、圧縮機11の作動を制御してもよい。また、着霜条件については、例えば、室外器冷媒温度T1が基準着霜温度(例えば、-5℃)以下となっている時間が、基準着霜時間(例えば、5分)以上となった際に成立したとすればよい。
【0202】
また、(c)外気並列除湿暖房モードの実行中に着霜条件が成立した場合は、(b)冷房モードに切り替えて、室外熱交換器18の除霜を行えばよい。これによれば、冷房用膨張弁16bおよび冷却用膨張弁16cの制御態様を変更しなくてもよいので、速やかに室外熱交換器18の除霜を行うことができる。
【0203】
同様に、(e)外気廃熱暖房モードの実行中に着霜条件が成立した場合は、室外熱交換器18の除霜を行うために、(d)電池単独モードに切り替えればよい。同様に、(g)外気廃熱並列除湿暖房モードの実行中に着霜条件が成立した場合は、室外熱交換器18の除霜を行うために、(f)冷房電池モードに切り替えればよい。
【0204】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、
図4の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10のサイクル構成を変更した例を説明する。
【0205】
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を入口側通路21aに配置している。室内凝縮器12の冷媒入口は、入口側通路21aにおいて、第1開閉弁14aの出口側に接続されている。さらに、室内凝縮器12の冷媒出口は、入口側通路21aにおいて、第5三方継手13eの一方の流入口側に接続されている。
【0206】
このため、本実施形態の冷媒回路切替部の第1切替部22aは、具体的に、圧縮機11から吐出された冷媒を、室内凝縮器12側および第2三方継手13b側の一方へ導いている。また、継手部を構成する第2三方継手13bは、具体的に、第1三方継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の一方を、暖房用膨張弁16a側へ導いている。その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
【0207】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様に作動して、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0208】
さらに、本実施形態のように、第1切替部22aおよび継手部を接続しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15内の冷媒の流れ方向が変化せず、さらに、共通するレシーバ15にサイクル内の余剰冷媒を蓄える冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。
【0209】
これに加えて、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷房モード時に冷媒を室内凝縮器12へ流入させない。従って、冷房モード時には、冷媒が室内凝縮器12を流通する際に生じる圧力損失が発生しない。これにより、冷房モード時に圧縮機11の消費動力を低減し、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0210】
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に対して、
図5の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10のサイクル構成を変更した例を説明する。
【0211】
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、暖房用膨張弁16aを出口側通路21bに配置している。暖房用膨張弁16aの入口は、出口側通路21bにおいて、第6三方継手13fの一方の流出口側に接続されている。さらに、暖房用膨張弁16aの出口は、出口側通路21bにおいて、第2三方継手13bの他方の流入口側に接続されている。また、第1逆止弁17aを廃止している。
【0212】
このため、本実施形態の冷媒回路切替部の第1切替部22aは、具体的に、圧縮機11から吐出された冷媒を、室内凝縮器12側および第2三方継手13b側の一方へ導いている。また、継手部を構成する第2三方継手13bは、具体的に、第1三方継手13aから流出した冷媒および暖房用膨張弁16aから流出した冷媒の一方を、室外熱交換器18側へ導いている。その他の構成および作動は、第2実施形態と同様である。
【0213】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第2実施形態と同様に作動して、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0214】
さらに、本実施形態のように、第1切替部22aおよび継手部を接続しても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15内の冷媒の流れ方向が変化せず、さらに、共通するレシーバ15にサイクル内の余剰冷媒を蓄えることのできる冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。
【0215】
これに加えて、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷房モード時に冷媒を室内凝縮器12へ流入させない。従って、第2実施形態と同様に、冷房モード時には、より一層、成績係数を向上させることができる。さらに、第1逆止弁17aを廃止することができるので、サイクル構成を簡素化することができる。
【0216】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、
図6の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10のサイクル構成を変更した例を説明する。
【0217】
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第3実施形態と同様に、暖房用膨張弁16aを出口側通路21bに配置している。また、第1逆止弁17aを廃止している。
【0218】
このため、本実施形態の冷媒回路切替部の第1切替部22aは、具体的に、室内凝縮器12から流出した冷媒を、レシーバ15側および第2三方継手13b側の一方へ導いている。また、継手部を構成する第2三方継手13bは、具体的に、第1三方継手13aから流出した冷媒および暖房用膨張弁16aから流出した冷媒の一方を、室外熱交換器18側へ導いている。その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
【0219】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様に作動して、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0220】
さらに、本実施形態のように、第1切替部22aおよび継手部を接続しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15内の冷媒の流れ方向が変化せず、さらに、共通するレシーバ15にサイクル内の余剰冷媒を蓄えることのできる冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。
【0221】
これに加えて、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第3実施形態と同様に、第1逆止弁17aを廃止することができるので、サイクル構成を簡素化することができる。
【0222】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、
図7の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10のサイクル構成を変更した例を説明する。
【0223】
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、入口側通路21aに固定絞り23aを配置している。固定絞り23aは、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる貯液部側減圧部である。固定絞り23aは、入口側通路21aのうち、第5三方継手13eの流出口からレシーバ15の入口へ至る範囲に配置されている。このような固定絞り23aとしては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
【0224】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様に作動して、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0225】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、固定絞り23aを備えているので、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0226】
このことを
図8を用いて説明する。
図8は、外気暖房モード時の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態を示すモリエル線図である。なお、外気暖房モードでは、室内凝縮器12が、冷媒を凝縮させる熱交換部となる。さらに、室外熱交換器18が、冷媒を蒸発させる熱交換部となる。
【0227】
また、
図8では、固定絞り23aを備える本実施形態の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態の変化を太実線で示している。さらに、固定絞り23aを備えていない比較例の冷凍サイクル装置における冷媒の状態の変化を細破線で示している。
【0228】
また、
図8では、本実施形態の冷凍サイクル装置10におけるレシーバ15内の冷媒の状態を点Lq1で示している。さらに、
図8では、比較例の冷凍サイクル装置におけるレシーバ15内の冷媒の状態を点Lqexで示している。
【0229】
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、固定絞り23aを備えているので、レシーバ15内の冷媒の圧力が冷媒を凝縮させる熱交換部における高圧冷媒の圧力よりも低くなる。このため、
図8に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置10の点Lq1の冷媒の圧力は、比較例の冷凍サイクル装置の点Lqexの冷媒の圧力よりも低い圧力となる。
【0230】
さらに、モリエル線図の飽和液線の傾きに沿って、本実施形態の冷凍サイクル装置10の点Lq1の冷媒のエンタルピは、比較例の冷凍サイクル装置の点Lqexの冷媒のエンタルピよりも低い値となる。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒を凝縮させる熱交換部の出口側の冷媒が過冷却液相冷媒SC1となる。
【0231】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置10よりも冷媒を蒸発させる熱交換部へ流入する冷媒のエンタルピを低下させることができる。その結果、冷媒を蒸発させる熱交換部における冷媒の吸熱量を増大させて、成績係数を向上させることができる。この効果は、他の運転モードでも得ることができる。
【0232】
ここで、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、貯液部側減圧部として固定絞り23aを採用した例を説明したが、貯液部側減圧部はこれに限定されない。
【0233】
例えば、
図9に示すように、入口側通路21aのうち、第1開閉弁14aの出口から第5三方継手13eの一方の流入口へ至る範囲に固定絞り23bを配置してもよい。固定絞り23bは、冷媒回路切替部が第1回路あるいは第3回路に切り替えている際に、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる第1貯液部側減圧部となる。これによれば、外気暖房モード時および外気並列除湿暖房モード時に、成績係数を向上させることができる。
【0234】
例えば、
図10に示すように、第3三方継手13cの他方の流出口から第5三方継手13eの他方の流入口へ至る範囲に固定絞り23cを配置してもよい。固定絞り23cは、冷媒回路切替部が第2回路に切り替えている際に、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる第2貯液部側減圧部となる。これによれば、冷房モード時に、成績係数を向上させることができる。
【0235】
もちろん、第1貯液部側減圧部である固定絞り23bおよび第2貯液部側減圧部である固定絞り23cの双方を採用してもよい。本実施形態の冷凍サイクル装置10では、貯液部側減圧部として固定絞りを採用した例を説明したが、これに限定されることなく、可変絞り機構を採用してもよい。
【0236】
(第6実施形態)
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第1実施形態に対して、
図11に示すように、暖房用膨張弁16aおよび第2切替部22bの一部である第3開閉弁14cを統合弁24として一体化させた例を説明する。なお、
図11では、外気暖房モード時および外気並列除湿暖房モード時の統合弁24における冷媒の流れを示している。
【0237】
統合弁24は、ボデー240を有している。ボデー240は、伝熱性に優れる金属(本実施形態では、アルミニウム)で形成されている。ボデー240には、第1入口部24a、第1出口部24b、第2入口部24c、第2出口部24dが形成されている。
【0238】
第1入口部24aは、第2三方継手13bの流出口側に接続される冷媒入口部である。第1出口部24bは、室外熱交換器18の冷媒入口側に接続される冷媒出口部である。第1入口部24aと第1出口部24bは、ボデー240内で連通している。
【0239】
ボデー240内の第1入口部24aから第1出口部24bへ至る冷媒通路には、絞り通路161が形成されている。さらに、第1入口部24aから第1出口部24bへ至る冷媒通路には、絞り通路161の絞り通路断面積を変化させる弁体部162が配置されている。弁体部162は、シャフトを介してステッピングモータ163に連結されている。ステッピングモータ163は、弁体部162を変位させて絞り通路断面積を変化させる。
【0240】
つまり、統合弁24では、絞り通路161、弁体部162、ステッピングモータ163等によって暖房用膨張弁16aが形成されている。
【0241】
第2入口部24cは、室外熱交換器18の冷媒出口側に接続される冷媒入口部である。第2出口部24dは、第4三方継手13dの一方の流入口側に接続される冷媒出口部である。第2入口部24cと第2出口部24dは、ボデー240内で連通している。
【0242】
ボデー240内の第2入口部24cから第2出口部24dへ至る冷媒通路には、この冷媒通路を開閉する弁体部141が配置されている。弁体部141は、シャフトを介してソレノイド142に連結されている。ソレノイド142は、弁体部141を変位させて第2入口部24cから第2出口部24dへ至る冷媒通路を開閉する。
【0243】
つまり、統合弁24では、弁体部141、ソレノイド142等によって第3開閉弁14cが形成されている。
【0244】
さらに、ボデー240内では、上流側通路241と下流側通路242が、互いに隣り合うように配置されている。上流側通路241は、第1入口部24aから第1出口部24bへ至る冷媒通路のうち、絞り通路161よりも冷媒流れ上流側の部位である。下流側通路242は、第2入口部24cから第2出口部24dへ至る冷媒通路のうち、弁体部141よりも冷媒流れ下流側の部位である。
【0245】
換言すると、上流側通路241を流通する冷媒は、暖房用膨張弁16aへ流入する冷媒である。また、下流側通路242を流通する冷媒は、第2切替部から第4三方継手13dを介して圧縮機11の吸入口側へ導かれる冷媒である。
【0246】
これにより、統合弁24では、
図11の細破線矢印に示すように、ボデー240を介して、上流側通路241を流通する冷媒と下流側通路242を流通する冷媒との間で熱移動が可能となっている。換言すると、統合弁24では、暖房用膨張弁16aへ流入する冷媒と第2切替部から圧縮機11の吸入口側へ導かれる冷媒と熱交換させることができる。その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
【0247】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様に作動して、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードの冷媒回路に切り替えても、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0248】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、統合弁24を備えているので、外気暖房モード時および外気並列除湿暖房モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0249】
このことを
図12を用いて説明する。
図12は、外気暖房モード時の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態を示すモリエル線図である。また、
図12では、統合弁24を備える本実施形態の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態の変化を太実線で示している。さらに、統合弁24を備えていない比較例の冷凍サイクル装置における冷媒の状態の変化を細破線で示している。
【0250】
また、
図12では、本実施形態の冷凍サイクル装置10における室外熱交換器18の入口側の冷媒の状態を点Evで示している。さらに、
図12では、比較例の冷凍サイクル装置における室外熱交換器18の入口側の冷媒の状態を点Evexで示している。
【0251】
統合弁24では、上流側通路241を流通する冷媒と下流側通路242を流通する冷媒と熱交換させることができる。このため、
図12に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置10の点Evの冷媒のエンタルピは、比較例の冷凍サイクル装置の点Evexの冷媒のエンタルピよりも低い値となる。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒を凝縮させる熱交換部の出口側の冷媒が過冷却液相冷媒SC2となる。
【0252】
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置10よりも冷媒を蒸発させる熱交換部へ流入する冷媒のエンタルピを低下させることができる。その結果、冷媒を蒸発させる熱交換部における冷媒の吸熱量を増大させて、成績係数を向上させることができる。この効果は、外気並列除湿暖房モードでも得ることができる。
【0253】
ここで、冷房モードでは、第3開閉弁14cが閉じる。すなわち、弁体部141が、第2入口部24cから第2出口部24dへ至る冷媒通路を閉じる。従って、下流側通路242に冷媒が流通することがない。つまり、冷房モードでは、上流側通路241を流通する冷媒と下流側通路242を流通する冷媒との熱交換は行われない。
【0254】
(第7実施形態)
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第1実施形態に対して、
図13に示すように、室外熱交換器18に、第2切替部22bの第3三方継手13cに対応する構成を一体化させた例を説明する。
【0255】
より具体的には、本実施形態では、室外熱交換器18として、複数のチューブおよび複数のチューブの両端部に接続される一対のタンクを有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。そして、複数のチューブを流通して外気と熱交換した冷媒を集合させる集合空間を形成するタンクに2つの冷媒出口を設けることによって、第3三方継手13cと同様に冷媒の流れを分岐させている。
【0256】
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0257】
さらに、本実施形態の室外熱交換器18のタンク内に第3開閉弁14cを収容することによって、室外熱交換器18と第2切替部22bとを一体化させてもよい。また、本実施形態の室外熱交換器18のタンク内に第6実施形態で説明した統合弁を収容することによって、室外熱交換器18と統合弁24を一体化させてもよい。
【0258】
(第8実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、
図14の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10のサイクル構成を変更した例を説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第9三方継手13i、第10三方継手13j、リア冷房用膨張弁16d、およびリア室内蒸発器19aが追加されている。
【0259】
第9三方継手13iおよび第10三方継手13jの基本的構成は、第1三方継手13a等と同様である。第9三方継手13iの流入口には、第7三方継手13gの他方の流出口側が接続されている。第9三方継手13iの一方の流出口には、リア冷房用膨張弁16dの入口側が接続されている。第9三方継手13iの他方の流出口には、冷却用膨張弁16cの入口側が接続されている。
【0260】
リア冷房用膨張弁16dは、第9三方継手13iの一方の流出口から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2減圧部である。リア冷房用膨張弁16dの基本的構成は、暖房用膨張弁16a等と同様である。
【0261】
リア冷房用膨張弁16dの出口には、リア室内蒸発器19aの冷媒入口側が接続されている。リア室内蒸発器19aは、リア冷房用膨張弁16dにて減圧された低圧冷媒を、後席側へ送風される送風空気と熱交換させて蒸発させる蒸発部である。リア室内蒸発器19aは、後席側へ送風される送風空気を冷却する後席側送風空気冷却部である。このため、本実施形態では、室内蒸発器19を前席側送風空気冷却部として用いている。
【0262】
リア室内蒸発器19aの冷媒出口には、第10三方継手13jの一方の流入口が接続されている。第10三方継手13jの他方の流入口には、バッテリ30の冷媒通路30aの出口側が接続されている。第10三方継手13jの流出口には、第8三方継手13hの他方の流入口が接続されている。
【0263】
つまり、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aが、冷媒流れに対して並列的に接続されている。その他の冷凍サイクル装置10の構成は、第1実施形態と同様である。
【0264】
次に、上記構成の本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10の基本的作動は、第1実施形態と同様である。さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、(b)冷房モード、(f)冷房電池モード等に、リア冷房用膨張弁16dを絞り状態とすることで、前席側のみならず後席側へ送風される送風空気も冷却することができる。
【0265】
これらの運転モード時に、後席側へ送風される送風空気を冷却する際には、制御装置50は、リア室内蒸発器19aの出口側冷媒の過熱度SH4が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を制御する。また、これらの運転モード時であって、車両停車時等に後席にのみ乗員が搭乗している場合には、冷房用膨張弁16bを全閉状態として、後席側へ送風される送風空気のみを冷却するようにしてもよい。
【0266】
その他の作動は第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えても、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0267】
なお、本実施形態では、冷房用膨張弁16b、リア冷房用膨張弁16d、冷却用膨張弁16cとして、いずれも電力が供給されることによって作動する電動式の可変絞り機構を採用した例を説明したが、これに限定されない。
【0268】
例えば、冷房用膨張弁16bとして、室内蒸発器19の出口側冷媒の過熱度SH2が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を変化させる温度式膨張弁を採用してもよい。さらに、温度式膨張弁の加えて、冷媒が室内蒸発器19へ流入することを禁止するために冷媒流路を開閉する開閉弁を備えていてもよい。
【0269】
温度式膨張弁は、室内蒸発器19の出口側冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材(具体的には、ダイヤフラム)を有する感温部と、変形部材の変形に応じて変位して絞り開度を変化させる弁体部とを有する機械式の可変絞り機構である。
【0270】
同様に、リア冷房用膨張弁16dとして、リア室内蒸発器19aの出口側冷媒の過熱度SH4が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を変化させる温度式膨張弁を採用してもよい。これに加えて、冷媒がリア室内蒸発器19aへ流入することを禁止するために冷媒流路を開閉する開閉弁を備えていてもよい。
【0271】
同様に、冷却用膨張弁16cとして、バッテリ30の冷媒通路30aの出口側冷媒の過熱度SH3が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を変化させる温度式膨張弁を採用してもよい。これに加えて、冷媒が冷媒通路30aへ流入することを禁止するために冷媒流路を開閉する開閉弁を備えていてもよい。
【0272】
(第9実施形態)
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第1実施形態に対して、
図15に示すように、内部熱交換器26を追加した例を説明する。内部熱交換器26は、レシーバ15から流出した高圧冷媒と、圧縮機11へ吸入させる低圧冷媒とを熱交換させる。このため、内部熱交換器26では、高圧冷媒が冷却されてエンタルピを減少させ、低圧冷媒が加熱されてエンタルピを増加させる。
【0273】
内部熱交換器26は、レシーバ15から流出した高圧冷媒を流通させる高圧冷媒通路26a、および圧縮機11へ吸入させる低圧冷媒を流通させる低圧冷媒通路26bを有している。高圧冷媒通路26aは、第7三方継手13gの一方の流出口から冷房用膨張弁16bの入口へ至る冷媒通路に配置されている。低圧冷媒通路26bは、室内蒸発器19の冷媒出口から第8三方継手13hの一方の流入口へ至る冷媒通路に配置されている。
【0274】
ここで、
図15では、図示の明確化のために、内部熱交換器26を模式的に図示している。より詳細には、
図15では、冷凍サイクル装置10における高圧冷媒通路26aおよび低圧冷媒通路26bの配置を模式的に示している。そして、高圧冷媒通路26aを流通する高圧冷媒と低圧冷媒通路26bを流通する低圧冷媒との熱交換を太線矢印で示している。このことは、後述する
図16、
図17等においても同様である。
【0275】
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、いずれの運転モードに切り替えた際にも、高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができるので、成績係数を向上させることができる。
【0276】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、少なくとも(b)冷房モード、(c)外気並列除湿暖房モード、(f)冷房電池モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。換言すると、冷房用膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させる運転モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0277】
より詳細には、これらの運転モードでは、内部熱交換器26にてレシーバ15から流出した高圧冷媒を過冷却することができる。これによれば、室内蒸発器19へ流入する冷媒のエンタルピを減少させて、室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、これらの運転モードでは、成績係数を向上させることができる。
【0278】
なお、本実施形態では、冷房用膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させる運転モード時に、成績係数が向上するように、内部熱交換器26を配置した例を説明したが、内部熱交換器26の配置は、これに限定されない。
【0279】
例えば、
図16に示す変形例のように、内部熱交換器26の配置を変更してもよい。すなわち、高圧冷媒通路26aが、第7三方継手13gの他方の流出口からバッテリ30の冷媒通路30aの入口へ至る冷媒通路に配置されていてもよい。さらに、低圧冷媒通路26bが、バッテリ30の冷媒通路30aの入口から第8三方継手13hの他方の流入口へ至る冷媒通路に配置されていてもよい。
【0280】
これによれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、少なくとも(d)電池単独モード、(e)外気廃熱暖房モード、(f)冷房電池モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。換言すると、冷却用膨張弁16cにて減圧させた冷媒をバッテリ30の冷媒通路30aにて蒸発させる運転モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0281】
また、例えば、
図17に示す変形例のように、内部熱交換器26の配置を変更してもよい。すなわち、高圧冷媒通路26aが、第2三方継手13bの流出口から暖房用膨張弁16aの入口へ至る冷媒通路に配置されていてもよい。さらに、低圧冷媒通路26bが、吸入側通路21dのうち第3開閉弁14cの出口から第4三方継手13dの一方の流入口へ至る冷媒通路に配置されていてもよい。
【0282】
これによれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、少なくとも(a)外気暖房モード、(c)外気並列除湿暖房モード、(e)外気廃熱暖房モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。換言すると、暖房用膨張弁16aにて減圧させた冷媒を室外熱交換器18にて蒸発させる運転モード時に、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0283】
(第10実施形態)
本実施形態では、第5実施形態の冷凍サイクル装置10に対して、
図18の全体構成図に示すように、サイクル構成を変更した冷凍サイクル装置10aについて説明する。冷凍サイクル装置10aは、所定の運転モードの冷媒回路に切り替えた際に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。
【0284】
このため、冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機として、二段昇圧式の圧縮機111が採用されている。圧縮機111は、吐出容量が固定された低段側圧縮機構および高段側圧縮機構の双方を共通する電動モータにて回転駆動する二段昇圧式の電動圧縮機である。圧縮機111は、制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出圧力)が制御される。
【0285】
さらに、圧縮機111は、低段側圧縮機構、高段側圧縮機構、および電動モータ等を収容するハウジングを有している。ハウジングは、圧縮機111の外殻を形成している。ハウジングには、吸入口111a、中間圧吸入口111b、および吐出口111cが形成されている。
【0286】
吸入口111aは、ハウジングの外部から低段側圧縮機構へ低圧冷媒を吸入させる開口穴である。中間圧吸入口111bは、ハウジングの外部から内部へ中間圧冷媒を流入させて、低圧から高圧への圧縮過程の冷媒に合流させるための開口穴である。中間圧吸入口111bは、ハウジングの内部で低段側圧縮機構の吐出口側及び高段側圧縮機構の吸入口側に接続されている。吐出口111cは、高段側圧縮機構から吐出された高圧冷媒をハウジングの外部へ吐出させる開口穴である。吐出口111cには、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。
【0287】
また、冷凍サイクル装置10aは、第11三方継手13k、中間圧膨張弁16e、内部熱交換器26を備えている。
【0288】
第11三方継手13kは、出口側通路21bのうち第1逆止弁17aの出口から第2三方継手13bの他方の流入口へ至る冷媒通路に配置されている。第11三方継手13kの一方の流出口には、第11三方継手13kにて分岐された冷媒の流れを圧縮機111の中間圧吸入口111bへ導く、インジェクション通路21eが接続されている。
【0289】
中間圧膨張弁16eは、インジェクション通路21eに配置されている。中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、外気暖房モード)に切り替えた際に、レシーバ15から流出した冷媒の一部を減圧させる第3減圧部である。中間圧膨張弁16eの基本的構成は、暖房用膨張弁16a等と同様である。
【0290】
内部熱交換器26は、第11三方継手13kの他方の流出口から流出した高圧冷媒と、中間圧膨張弁16eにて減圧された中間圧冷媒とを熱交換させる。内部熱交換器26では、高圧冷媒が冷却されてエンタルピを減少させ、中間圧冷媒が加熱されてエンタルピを増加させる。
【0291】
本実施形態の内部熱交換器26の高圧冷媒通路は、出口側通路21bのうち第11三方継手13kの他方の流出口から第2三方継手13bの他方の流入口へ至る冷媒通路に配置されている。内部熱交換器26の中間圧冷媒通路は、インジェクション通路21eのうち中間圧膨張弁16eの出口から圧縮機111の中間圧吸入口111bへ至る冷媒通路に配置されている。
【0292】
また、冷凍サイクル装置10aの制御装置50の入力側には、図示しない中間温度センサおよび中間圧力センサが接続されている。
【0293】
中間温度センサは、内部熱交換器26の中間圧冷媒通路から流出して、圧縮機111の中間圧吸入口111bへ吸入される冷媒の温度を検出する中間圧温度検出部である。中間圧力センサは、内部熱交換器26の中間圧冷媒通路から流出して、圧縮機111の中間圧吸入口111bへ吸入される冷媒の圧力を検出する中間圧圧力検出部である。
【0294】
その他の冷凍サイクル装置10aの構成は、第5実施形態で説明した冷凍サイクル装置10と同様である。
【0295】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0296】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0297】
これにより、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第1回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15から流出した冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0298】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、中間圧膨張弁16eについては、制御装置50は、圧縮機111の中間圧吸入口111bへ吸入される冷媒の過熱度SH5が、予め定めた中間圧冷媒用の目標過熱度KSH5に近づくように絞り開度を制御する。過熱度SH5は、中間温度センサの検出信号および中間圧力センサの検出信号を用いて算定される。その他の制御は、第5実施形態の外気暖房モードと同様である。
【0299】
冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111が作動すると、圧縮機111の吐出口111cから吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した送風空気に放熱して凝縮する。これにより、送風空気が加熱される。
【0300】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第5実施形態の外気暖房モードと同様に固定絞り23aにて減圧されて、レシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒の流れは、出口側通路21bに配置された第11三方継手13kにて分岐される。
【0301】
第11三方継手13kにて分岐された一方の冷媒は、インジェクション通路21eに配置された中間圧膨張弁16eへ流入する。中間圧膨張弁16eへ流入した冷媒は、中間圧冷媒となるまで減圧される。中間圧膨張弁16eにて減圧された中間圧冷媒は、内部熱交換器26の中間圧冷媒通路へ流入する。
【0302】
第11三方継手13kにて分岐された他方の冷媒は、内部熱交換器26の高圧冷媒通路へ流入する。このため、内部熱交換器26では、高圧冷媒通路を流通する高圧冷媒がエンタルピを減少させ、中間圧冷媒通路を流通する中間圧冷媒がエンタルピを増加させる。
【0303】
内部熱交換器26の中間圧冷媒通路から流出した冷媒は、圧縮機111の中間圧吸入口111bから吸入される。内部熱交換器26の高圧冷媒通路から流出した冷媒は、出口側通路21bおよび第2三方継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、第5実施形態の外気暖房モードと同様に、低圧冷媒となるまで減圧される。
【0304】
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3三方継手13c、吸入側通路21d、および第4三方継手13dを介して圧縮機111の吸入口111aから吸入されて再び圧縮される。
【0305】
つまり、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器18を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、外気暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0306】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを全閉状態とする。
【0307】
ここで、中間圧膨張弁16eが全閉状態になると、冷媒がインジェクション通路21eへ流入しなくなる。このため、圧縮機111では、中間圧吸入口111bから中間圧冷媒を吸入することができなくなる。その結果、圧縮機111は、単段昇圧式の圧縮機として機能する。さらに、中間圧冷媒が内部熱交換器26の中間圧冷媒通路を流通しなくなる。その結果、内部熱交換器26では、高圧冷媒と中間圧冷媒との熱交換が行われない。
【0308】
このため、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、第5実施形態の冷房モードと全く同様に冷媒が循環する第2回路に切り替えられる。さらに、冷房モードでは、制御装置50が、第5実施形態と同様に各種制御対象機器の作動を制御する。従って、冷房モードでは、第5実施形態と同様に、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0309】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が中間圧膨張弁16eを全閉状態として、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0310】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、(a)外気暖房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。ガスインジェクションサイクルでは、圧縮機111にて昇圧過程の冷媒に中間圧冷媒を合流させることによって、圧縮機111の圧縮効率を向上させることができる。従って、(a)外気暖房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0311】
(第11実施形態)
本実施形態では、
図19の全体構成図に示すように、第10実施形態に対して、第11三方継手13kの配置を変更した冷凍サイクル装置10aについて説明する。
【0312】
本実施形態の第11三方継手13kは、入口側通路21aのうち第1開閉弁14aの出口から第5三方継手13eの一方の流入口へ至る冷媒通路に配置されている。本実施形態の中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、外気暖房モード)に切り替えた際に、レシーバ15の上流側の冷媒の一部を減圧させる第3減圧部である。その他の冷凍サイクル装置10aの構成および基本的な作動は、第10実施形態と同様である。
【0313】
従って、本実施形態の外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第1回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の上流側の冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0314】
つまり、本実施形態の外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、第10実施形態と同様に、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器18を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションが構成される。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第10実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0315】
(第12実施形態)
本実施形態では、
図20の全体構成図に示すように、第10実施形態に対して、内部熱交換器26の配置を変更した例を説明する。本実施形態の内部熱交換器26の高圧冷媒通路は、第6三方継手13fの他方の流出口から第7三方継手13gの流入口へ至る冷媒通路に配置されている。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
【0316】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0317】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを全閉状態とする。
【0318】
このため、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、第5実施形態の外気暖房モードと全く同様に冷媒が循環する第1回路に切り替えられる。さらに、外気暖房モードでは、制御装置50が、第5実施形態と同様に各種制御対象機器の作動を制御する。従って、外気暖房モードでは、第5実施形態と同様に、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0319】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0320】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第2回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15から流出した冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0321】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、中間圧膨張弁16eについては、制御装置50は、圧縮機111の中間圧吸入口111bへ吸入される冷媒の過熱度SH5が、目標過熱度KSH5に近づくように絞り開度を制御する。その他の制御は、第5実施形態の冷房モードと同様である。
【0322】
つまり、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0323】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が中間圧膨張弁16eを全閉状態として、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0324】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、(b)冷房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。従って、(b)冷房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0325】
(第13実施形態)
本実施形態では、
図21の全体構成図に示すように、第10実施形態に対して、第11三方継手13kおよび内部熱交換器26の配置を変更した冷凍サイクル装置10aについて説明する。
【0326】
本実施形態の第11三方継手13kは、入口側通路21aのうち第5三方継手13eの流出口から固定絞り23aの入口へ至る冷媒通路に配置されている。従って、本実施形態の中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、冷房モード)に切り替えた際に、レシーバ15の上流側の冷媒の一部を減圧させる第3減圧部である。
【0327】
また、本実施形態の内部熱交換器26の高圧冷媒通路は、第12実施形態と同様に、第6三方継手13fの他方の流出口から第7三方継手13gの流入口へ至る冷媒通路に配置されている。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
【0328】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0329】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを全閉状態とする。
【0330】
このため、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、第5実施形態の外気暖房モードと全く同様に冷媒が循環する第1回路に切り替えられる。さらに、外気暖房モードでは、制御装置50が、第5実施形態と同様に各種制御対象機器の作動を制御する。従って、外気暖房モードでは、第5実施形態と同様に、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0331】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0332】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第2回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の上流側の冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0333】
この回路構成で、制御装置50は、第12実施形態の冷房モードと同様に、各種制御対象機器の作動を制御する。
【0334】
つまり、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0335】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が中間圧膨張弁16eを全閉状態として、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0336】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、(b)冷房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。従って、(b)冷房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0337】
(第14実施形態)
本実施形態では、
図22の全体構成図に示すように、第10実施形態に対して、第11三方継手13kおよび内部熱交換器26の配置を変更した冷凍サイクル装置10aについて説明する。
【0338】
本実施形態の第11三方継手13kは、入口側通路21aのうち第5三方継手13eの流出口から固定絞り23aの入口へ至る冷媒通路に配置されている。従って、本実施形態の中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、外気暖房モードおよび冷房モード)に切り替えた際に、レシーバ15の上流側の冷媒の一部を減圧させる第3減圧部である。
【0339】
また、本実施形態の内部熱交換器26の高圧冷媒通路は、出口側通路21bのうちレシーバ15の出口から第6三方継手13fの流入口へ至る冷媒通路に配置されている。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
【0340】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0341】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0342】
これにより、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第1回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の上流側の冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0343】
この回路構成で、制御装置50は、第10実施形態の外気暖房モードと同様に、各種制御対象機器の作動を制御する。
【0344】
つまり、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器18を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、外気暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0345】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0346】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第2回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の上流側の冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0347】
この回路構成で、制御装置50は、第12実施形態の冷房モードと同様に、各種制御対象機器の作動を制御する。
【0348】
つまり、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0349】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が中間圧膨張弁16eを全閉状態として、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0350】
さらに、冷凍サイクル装置10aでは、(a)外気暖房モード時および(b)冷房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。従って、(a)外気暖房モードおよび(b)冷房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0351】
(第15実施形態)
本実施形態では、
図23の全体構成図に示すように、第13実施形態に対して、第11三方継手13kおよび内部熱交換器26の配置を変更した冷凍サイクル装置10aについて説明する。
【0352】
本実施形態の第11三方継手13kは、出口側通路21bのうちレシーバ15の出口から第6三方継手13fの流入口へ至る冷媒通路に配置されている。従って、本実施形態の中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、外気暖房モードおよび冷房モード)、レシーバ15から流出した冷媒の一部を減圧させる第3減圧部である。
【0353】
また、本実施形態の内部熱交換器26の高圧冷媒通路は、出口側通路21bのうち第11三方継手13kの他方の流出口から第6三方継手13fの流入口へ至る冷媒通路に配置されている。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
【0354】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0355】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0356】
これにより、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第1回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15から流出した冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0357】
この回路構成で、制御装置50は、第10実施形態の外気暖房モードと同様に、各種制御対象機器の作動を制御する。
【0358】
つまり、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器18を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、外気暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0359】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0360】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→固定絞り23a→レシーバ15→内部熱交換器26の高圧冷媒通路→冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第2回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15から流出した冷媒の一部が、中間圧膨張弁16e→内部熱交換器26の中間圧冷媒通路→圧縮機111の中間圧吸入口111bの順に流れる。
【0361】
この回路構成で、制御装置50は、第12実施形態の冷房モードと同様に、各種制御対象機器の作動を制御する。
【0362】
つまり、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる内部熱交換方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0363】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が中間圧膨張弁16eを全閉状態として、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0364】
さらに、冷凍サイクル装置10aでは、(a)外気暖房モードおよび(b)冷房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。従って、(a)外気暖房モードおよび(b)冷房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0365】
(第16実施形態)
本実施形態では、
図24の全体構成図に示すように、第10実施形態に対して、冷凍サイクル装置10aのサイクル構成を変更した例を説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、第4開閉弁14dが追加されており、固定絞り23a、第11三方継手13kおよび内部熱交換器26が廃止されている。さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、中間圧膨張弁16eの配置が変更されている。
【0366】
第4開閉弁14dは、インジェクション通路21eを開閉する電磁弁である。第4開閉弁14dの基本的構成は、第1開閉弁14a等と同様である。本実施形態の中間圧膨張弁16eは、入口側通路21aのうち第5三方継手13eの流出口からレシーバ15の入口へ至る冷媒通路に配置されている。
【0367】
さらに、本実施形態のレシーバ15は、分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒流出口を有している。本実施形態の気相冷媒流出口には、インジェクション通路21eの入口側が接続されている。従って、本実施形態の中間圧膨張弁16eは、所定の運転モード(本実施形態では、外気暖房モードおよび冷房モード)に切り替えた際に、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる第3減圧部である。
【0368】
また、本実施形態の中間温度センサは、中間圧膨張弁16eへ流入する冷媒の温度を検出するように配置されている。本実施形態の圧力センサは、中間圧膨張弁16eへ流入する冷媒の圧力を検出するように配置されている。その他の冷凍サイクル装置10aの構成は、第10実施形態と同様である。
【0369】
次に、上記構成の冷凍サイクル装置10aの作動について説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10aにおいても、第1実施形態と同様に運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
【0370】
(a)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開き、第4開閉弁14dを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、冷房用膨張弁16bを全閉状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0371】
これにより、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111の吐出口111cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12→中間圧膨張弁16e→レシーバ15の順に流れ、レシーバ15の液相冷媒出口から流出した冷媒が、室外熱交換器18→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第1回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の気相冷媒出口から流出した冷媒が、インジェクション通路21eを介して、圧縮機111の中間圧吸入口111bから吸引される。
【0372】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、中間圧膨張弁16eについては、制御装置50は、中間圧膨張弁16eへ流入する冷媒の過冷却度SCが予め定めた目標過冷却度KSCに近づくように絞り開度を制御する。過冷却度SCは、中間温度センサの検出信号および中間圧力センサの検出信号を用いて算定される。その他の制御は、第10実施形態の外気暖房モードと同様である。
【0373】
冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111が作動すると、圧縮機111の吐出口111cから吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した送風空気に放熱して凝縮する。これにより、送風空気が加熱される。室内凝縮器12から流出した冷媒は、中間圧膨張弁16eへ流入して中間圧冷媒となるまで減圧される。
【0374】
中間圧膨張弁16eにて減圧された中間圧冷媒は、レシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の気相冷媒は、インジェクション通路21eを介して、圧縮機111の中間圧吸入口111bから吸入される。
【0375】
レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第2三方継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。
【0376】
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3三方継手13c、吸入側通路21d、および第4三方継手13dを介して圧縮機111の吸入口111aから吸入されて再び圧縮される。
【0377】
つまり、外気暖房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器18を蒸発器として機能させる気液分離方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、外気暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0378】
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じ、第4開閉弁14dを開く。さらに、制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、冷房用膨張弁16bを絞り状態とし、中間圧膨張弁16eを絞り状態とする。
【0379】
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、圧縮機111から吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→中間圧膨張弁16e→レシーバ15の順に流れ、レシーバ15の液相冷媒出口から流出した冷媒が、冷房用膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機111の吸入口111aの順に循環する第2回路に切り替えられる。さらに、レシーバ15の気相冷媒出口から流出した冷媒が、インジェクション通路21eを介して、圧縮機111の中間圧吸入口111bから吸引される。
【0380】
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、中間圧膨張弁16eについては、制御装置50は、外気暖房モードと同様に、中間圧膨張弁16eへ流入する冷媒の過冷却度SCが目標過冷却度KSCに近づくように絞り開度を制御する。その他の制御は、第12実施形態の冷房モードと同様である。
【0381】
つまり、冷房モードの冷凍サイクル装置10aでは、室外熱交換器18を凝縮器として機能させ、室内蒸発器19を蒸発器として機能させる気液分離方式のガスインジェクションサイクルが構成される。従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0382】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10aでは、その他の運転モード時に、制御装置50が第4開閉弁14dを閉じて、第5実施形態の冷凍サイクル装置10と同様に作動させる。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10aによれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる
さらに、冷凍サイクル装置10aでは、(a)外気暖房モード時および(b)冷房モード時に、ガスインジェクションサイクルを構成することができる。従って、(a)外気暖房モードおよび(b)冷房モードでは、より一層、成績係数を向上させることができる。
【0383】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0384】
(1)上述の実施形態では、冷凍サイクル装置10を、車載機器冷却機能付きの空調装置に適用した例を説明したが、冷凍サイクル装置10の適用はこれに限定されない。車両用に限定されることなく、定置型の空調装置等に適用してもよい。例えば、サーバとして機能するコンピュータを冷却するとともに、サーバが収容される室内の空調を行うサーバ温度調整機能付きの空調装置等に適用してもよい。
【0385】
また、上述の実施形態では、車載機器としてバッテリ30を採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、モータジェネレータ、電力制御ユニット(いわゆる、PCU)、先進運転支援システム(いわゆる、ADAS)用の制御装置等のように作動時に発熱する車載機器を採用すればよい。
【0386】
また、冷凍サイクル装置10を、車載機器等の冷却機能を有していない空調装置に適用してもよい。この場合は、第7三方継手13g、冷却用膨張弁16c、第8三方継手13hを廃止すればよい。
【0387】
(2)冷凍サイクル装置10、10aの各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
【0388】
例えば、上述の実施形態では、高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部として室内凝縮器12を採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、
図25に示すように、第1実施形態で説明した冷凍サイクル装置10に対して、高温側熱媒体を循環させる高温側熱媒体回路60を追加することによって、加熱部を形成してもよい。
【0389】
より具体的には、高温側熱媒体回路60には、高温側水ポンプ61、熱媒体-冷媒熱交換器62、ヒータコア63等を配置すればよい。
【0390】
熱媒体-冷媒熱交換器62は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と高温側熱媒体とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させる放熱部である。高温側水ポンプ61は、高温側熱媒体回路60を循環する高温側熱媒体を熱媒体-冷媒熱交換器62へ圧送する電動ポンプである。高温側水ポンプ61は、制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、水圧送能力)が制御される。ヒータコア63は、熱媒体-冷媒熱交換器にて加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する熱交換部である。
【0391】
また、例えば、上述の実施形態では、冷却用膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒とバッテリ30と熱交換させる直冷式の電池用冷却部(換言すると、車載機器用冷却部)を採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、
図25に示すように、低温側熱媒体回路70を追加することによって、車載機器用の冷却部を形成してもよい。
【0392】
より具体的には、低温側熱媒体回路70には、低温側水ポンプ71、チラー72、車載機器の熱媒体通路(
図25では、バッテリ30の冷媒通路30a)等を配置すればよい。
【0393】
チラー72は、冷却用膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒と低温側熱媒体とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させる蒸発部である。低温側水ポンプ71は、低温側熱媒体回路70を循環する低温側熱媒体を車載機器の熱媒体通路へ圧送する電動ポンプである。低温側水ポンプ71の基本的構成は、高温側水ポンプ61と同様である。
【0394】
そして、低温側熱媒体回路70を採用する場合には、例えば、(d)電池単独モード時に、チラー72から流出する低温側熱媒体の温度が予め定めた基準熱媒体温度に近づくように、制御装置50が冷却用膨張弁16cの絞り開度を制御してもよい。このことは、(e)外気廃熱暖房モード、(f)冷房電池モード、(g)外気廃熱並列除湿暖房モード等においても同様である。
【0395】
さらに、高温側熱媒体あるいは低温側熱媒体としては、エチレングリコール、ジメチルポリシロキサン、ナノ流体等を含む溶液、不凍液、アルコール等を含む水系の液媒体、オイル等を含む液媒体等を採用することができる。
【0396】
また、冷媒回路切替部に含まれる各構成機器は、第6実施形態で説明した統合弁24のように、一体化してもよい。
【0397】
例えば、第1切替部22aを構成する第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、および第1三方継手13aを一体化した第1三方弁を採用してもよい。例えば、第2切替部22bを構成する第3開閉弁14cおよび第3三方継手13cを一体化した第2三方弁を採用してもよい。
【0398】
さらに、第6実施形態の統合弁24のように、暖房用膨張弁16aと上記の第2三方弁とを一体化させてもよい。同様に、暖房用膨張弁16aと上記の第1三方弁とを一体化させてもよい。
【0399】
また、上述の第5実施形態では、各貯液部側減圧部23a~23bとして固定絞りを採用した例を説明したが、これに限定されない。各貯液部側減圧部23a~23bとして可変絞り機構を採用してもよい。
【0400】
また、上述の実施形態で説明した冷凍サイクル装置10に対して、蒸発圧力調整弁を追加してもよい。蒸発圧力調整弁は、その上流側の冷媒圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する圧力調整弁である。このような蒸発圧力調整弁としては、蒸発部の出口側冷媒の圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構を採用することができる。
【0401】
例えば、室内蒸発器19の冷媒出口と第8三方継手13hの一方の流入口との間に蒸発圧力調整弁を追加してもよい。これによれば、室内蒸発器19における冷媒蒸発温度を着霜を抑制可能な温度(例えば、0℃以上)に維持することができ、室内蒸発器19の着霜を抑制することができる。
【0402】
また、上述の第8実施形態では、蒸発部として、冷媒流れに対して互いに並列的に接続された室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aを備える冷凍サイクル装置10について説明した。室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aの接続態様は、第8実施形態に開示された例に限定されない。
【0403】
例えば、第8実施形態では、第7三方継手13gで分岐された一方の冷媒を冷房用膨張弁16bを介して室内蒸発器19へ流入させ、他方の冷媒を第9三方継手13iへ流入させている。そして、第9三方継手13iで分岐された一方の冷媒を冷却用膨張弁16cを介してバッテリ30の冷媒通路30aへ流入させ、他方の冷媒をリア冷房用膨張弁16dを介してリア室内蒸発器19aへ流入させている。
【0404】
これに対して、第7三方継手13gで分岐された一方の冷媒を冷却用膨張弁16cを介してバッテリ30の冷媒通路30aへ流入させ、他方の冷媒を第9三方継手13iへ流入させてもよい。そして、第9三方継手13iで分岐された一方の冷媒を冷房用膨張弁16bを介して室内蒸発器19へ流入させ、他方の冷媒をリア冷房用膨張弁16dを介してリア室内蒸発器19aへ流入させてもよい。
【0405】
例えば、第8実施形態では、バッテリ30の冷媒通路30aから流出した冷媒とリア室内蒸発器19aから流出した冷媒とを第10三方継手13jにて合流させている。そして、室内蒸発器19から流出した冷媒と第10三方継手13jから流出した冷媒とを第8三方継手13hにて合流させている。
【0406】
これに対して、室内蒸発器19から流出した冷媒とリア室内蒸発器19aから流出した冷媒とを第10三方継手13jにて合流させてもよい。そして、バッテリ30の冷媒通路30aから流出した冷媒と第10三方継手13jから流出した冷媒とを第8三方継手13hにて合流させてもよい。
【0407】
さらに、
図26に示すように、室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aの冷媒流れ上流側に第1四方継手27aを配置して、第1使用継手27aにて冷媒の流れを分岐してもよい。また、室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aの冷媒流れ下流側に第2四方継手27bを配置して、第2四方継手27bにて蒸発部から流出した冷媒の流れを合流させてもよい。
【0408】
このように、室内蒸発器19、リア室内蒸発器19a、およびバッテリ30の冷媒通路30aの冷媒流れ下流側の接続態様を変更することで、上述した蒸発圧力調整弁の配置自由度を向上させることができる。
【0409】
また、上述の第10~第16実施形態では、2つの圧縮機構を1つのハウジング内に収容した圧縮機111を採用しているが、第10~第16実施形態に適用可能な二段昇圧式の圧縮機はこれに限定されない。
【0410】
例えば、中間圧吸入口111bから流入させた中間圧冷媒を低圧から高圧へ圧縮過程の冷媒に合流させることができれば、1つの固定容量型の圧縮機構と、この圧縮機構を回転駆動する電動モータとを、ハウジングの内部に収容して構成された電動圧縮機であってもよい。
【0411】
さらに、低段側圧縮機および高段側圧縮機の2つの圧縮機を直列に接続することによって、二段昇圧式の圧縮機を構成してもよい。この場合は、低段側に配置される低段側圧縮機の吸入口を二段昇圧式の圧縮機全体としての吸入口111aとする。高段側に配置される高段側圧縮機の吐出口を二段昇圧式の圧縮機全体としての吐出口111cとする。さらに、低段側圧縮機の吐出口と高段側圧縮機との吸入口とを接続する冷媒通路に二段昇圧式の圧縮機全体としての中間圧吸入口111bを設ければよい。
【0412】
また、上述の第10~第16実施形態では、中間圧膨張弁16eとして、電動式の可変絞り機構を採用した例を説明したが、これに限定されない。
【0413】
例えば、第10~第15実施形態では、中間圧膨張弁16eとして、圧縮機111の中間圧吸入口111bへ吸入される冷媒の過熱度SH5が、目標過熱度KSH5に近づくように絞り開度を変化させる温度式膨張弁を採用してもよい。さらに、温度式膨張弁に加えて、インジェクション通路21eを開閉する第4開閉弁14dを備えていてもよい。
【0414】
例えば、第16実施形態では、中間圧膨張弁16eとして、高圧制御弁を採用してもよい。高圧制御弁は、中間圧膨張弁16eへ流入する高圧冷媒の圧力が、高圧冷媒の温度に応じて決定される目標高圧となるように絞り開度を変化させる機械式の可変絞り機構である。さらに、高圧制御弁に加えて、インジェクション通路21eを開閉する第4開閉弁14dを備えていてもよい。
【0415】
また、上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C等を採用してもよい。または、これらのうち複数の冷媒を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
【0416】
(3)上述の第9実施形態では、冷凍サイクル装置10における内部熱交換器26の配置例を説明したが、内部熱交換器26の配置は、これに限定されない。
【0417】
例えば、
図27の全体構成図に示すように、高圧冷媒通路26aは、レシーバ15の出口から第6三方継手13fの流入口へ至る冷媒通路(
図27の領域HA)に配置されていてもよい。また、高圧冷媒通路26aは、第6三方継手13fの他方の流出口から第7三方継手13gの流入口へ至る冷媒通路(
図27の領域HB)に配置されていてもよい。また、高圧冷媒通路26aは、第6三方継手13fの一方の流出口から第2三方継手13bの他方の流入口へ至る出口側通路21b(
図27の領域HC)に配置されていてもよい。
【0418】
一方、低圧冷媒通路26bは、第4三方継手13dの流出口から圧縮機11の吸入口へ至る冷媒通路(
図27の領域LA)に配置されていてもよい。また、第8三方継手13hの流出口から第4三方継手13dの他方の流入口へ至る冷媒通路(
図27の領域LB)に配置されていてもよい。
【0419】
すなわち、内部熱交換器26は、レシーバ15から流出して暖房用膨張弁16a、冷房用膨張弁16b、冷却用膨張弁16c、およびリア冷房用膨張弁16dにて減圧される前の冷媒と、蒸発器として機能する熱交換器から流出して圧縮機11へ吸入される前の冷媒とを熱交換可能に配置されていればよい。
【0420】
(4)上述の第10~第16実施形態で説明した冷凍サイクル装置10aでは、(a)外気暖房モード、あるいは、(b)冷房モード時にガスインジェクションサイクルを構成するように、冷媒回路を切り替える例を説明したが、これに限定されない。
【0421】
例えば、第13実施形態で説明した冷凍サイクル装置10aでは、(d)電池単独モード時に、中間圧膨張弁16eを絞り状態として、ガスインジェクションサイクルを構成してもよい。その他の運転モードにおいても、可能な範囲でガスインジェクションサイクルを構成してもよい。
【0422】
(5)制御用のセンサは、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
【0423】
例えば、第2三方継手13bから流出して暖房用膨張弁16aへ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、サイクルを循環する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0424】
また、暖房用膨張弁16aから流出して室外熱交換器18へ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、サイクルを循環する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0425】
また、吸入側通路21dのうち第3開閉弁14cの出口から第4三方継手13dの一方の流入口へ至る冷媒通路を流通する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室外熱交換器18の出口側の冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0426】
また、レシーバ15へ流入する冷媒あるいはレシーバから流出する冷媒の圧力を検出する圧力検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、レシーバ15内の圧力を検知するために用いることができる。
【0427】
また、第3三方継手13cの他方の流出口から第5三方継手13eの他方の流入口へ至る冷媒通路を流通する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室外熱交換器18から流出した冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0428】
また、入口側通路21aのうち第1三方継手13aの一方の流出口から第5三方継手13eの一方の流入口へ至る冷媒通路を流通する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室内凝縮器12の出口側の冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0429】
また、第7三方継手13gから流出して冷房用膨張弁16bへ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室内蒸発器19を流通する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0430】
また、冷房用膨張弁16bから流出して室内蒸発器19へ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室内蒸発器19を流通する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0431】
また、室内蒸発器19から流出して第8三方継手13hへ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、室内蒸発器19の出口側の冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0432】
また、第7三方継手13gから流出して冷却用膨張弁16cへ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、バッテリ30の冷媒通路30a(あるいは、チラー72の冷媒通路)を流通する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0433】
また、冷却用膨張弁16cから流出してバッテリ30の冷媒通路30a(あるいは、チラー72の冷媒通路)へ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、バッテリ30の冷媒通路30a(あるいは、チラー72の冷媒通路)を流通する冷媒流量の推定等に用いることができる。
【0434】
また、バッテリ30の冷媒通路30a(あるいは、チラー72の冷媒通路)から流出して第8三方継手13hへ流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、バッテリ30の冷媒通路30a(あるいは、チラー72の冷媒通路)の出口側の冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0435】
また、第4三方継手13dの出口から流出して圧縮機11の吸入口、あるいは、圧縮機111の吸入口111aへ吸入される冷媒の圧力を検出する圧力検出部、および当該冷媒の温度を検出する温度検出部を採用してもよい。これらの検出部の検出信号は、圧縮機11、111へ吸入される冷媒の状態を検知するために用いることができる。
【0436】
(6)また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0437】
例えば、第5実施形態で説明した各貯液部側減圧部23a~23bを、第2~第4、第7~第9実施形態で説明した冷凍サイクル装置10に適用してもよい。例えば、第6実施形態で説明した統合弁24を、第2~第4、第7~第16実施形態で説明した冷凍サイクル装置10、10aに適用してもよい。
【0438】
また、第10~第16実施形態で説明した冷凍サイクル装置10aに対して、第8実施形態と同様にリア冷房用膨張弁16dおよびリア室内蒸発器19aを追加してもよい。また、第10~第16実施形態で説明した冷凍サイクル装置10aにおいて、
図25を用いて説明したように、高温側熱媒体回路60によって加熱部を形成してもよいし、低温側熱媒体回路70によって冷却部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0439】
10、10a 冷凍サイクル装置
11、111 圧縮機
12 室内凝縮器(放熱部)
13a~13k 第1三方継手~第11三方継手
14a~14d 第1開閉弁~第4開閉弁(冷媒回路切替部)
15 レシーバ(貯液部)
16a 暖房用膨張弁(第1減圧部)
16b~16d 冷房用膨張弁、冷却用膨張弁、リア冷房用膨張弁(第2減圧部)
16e 中間圧膨張弁(第3減圧部)
19、19a 室内蒸発器、リア室内蒸発器(蒸発部)
30a、72 冷媒通路、チラー(蒸発部)
22a、22b 第1切替部、第2切替部