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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H02K5/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020026444
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021132465
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祥平
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-005175(JP,A)
【文献】実開平05-041364(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転するロータを有するモータと、
前記モータに供給される電流を制御するインバータと、
前記モータおよび前記インバータを収容するハウジングと、
前記モータおよび前記インバータのうち一方に繋がる第1バスバーおよび他方に繋がる第2バスバーと、
前記ハウジングに固定され前記第1バスバーを保持するバスバーホルダと、
前記第1バスバーと前記第2バスバーとを接続する接続ネジと、
ネジ孔が設けられ前記接続ネジが挿入される端子台と、を備え、
前記端子台は、前記第1バスバーに位置調整可能に取り付けられる取付部を有し、
前記第1バスバーは、
前記バスバーホルダの上端面から上側に延び出る立設部と、
前記立設部の上端から折り曲げられる平板部と、
を有し、
前記端子台は、
前記ネジ孔が設けられるナット体と、
前記ナット体を保持する端子台本体と、
を有し、
前記端子台本体には、前記ナット体が挿入される凹部が設けられ、
前記平板部は、前記ナット体、前記端子台の下面、および前記バスバーホルダの上端面と上下方向に重なり、
前記端子台の下面は、前記バスバーホルダの上端面と接触し、
前記取付部は、前記第1バスバーに対し第1方向両側に位置する一対の爪部を有し、
前記爪部は、互いに離間する方向に弾性変形可能であり、
前記立設部には、前記取付部が取り付けられ、
前記立設部と、前記端子台の前記第1方向と直交する第2方向側の端面と、の間には、前記第2方向に隙間があり、
前記立設部には、前記接続ネジが挿入される固定孔が設けられる、モータユニット。
【請求項2】
一対の前記爪部は、それぞれ、互いに並行して延びる爪本体部、および前記爪本体部の先端から互いに対向する方向に突出する突起を有し、
並行して延びる前記爪本体部同士の距離は、前記第1バスバーの前記第1方向の寸法より大きく、
互いに対向する前記突起同士の距離は、前記第1バスバーの前記第1方向の寸法より小さい、
請求項に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記第1方向において、前記第1バスバーと前記爪本体部との間には、隙間が設けられ、
前記第1方向と直交する方向において、前記第1バスバーと前記突起との間には、隙間が設けられる、
請求項に記載のモータユニット。
【請求項4】
モータ軸線を中心として回転するロータを有するモータと、
前記モータに供給される電流を制御するインバータと、
前記モータおよび前記インバータを収容するハウジングと、
前記モータおよび前記インバータのうち一方に繋がる第1バスバーおよび他方に繋がる第2バスバーと、
前記ハウジングに固定され前記第1バスバーを保持するバスバーホルダと、
前記第1バスバーと前記第2バスバーとを接続する接続ネジと、
ネジ孔が設けられ前記接続ネジが挿入される端子台と、を備え、
前記端子台は、前記第1バスバーに位置調整可能に取り付けられる取付部を有し、
前記第1バスバーは、
前記バスバーホルダの上端面から上側に延び出る立設部と、
前記立設部の上端から軸方向に折り曲げられる平板部と、
を有し、
前記端子台は、
前記ネジ孔が設けられるナット体と、
前記ナット体を保持する端子台本体と、
を有し、
前記端子台本体には、前記ナット体が挿入される凹部が設けられ、
前記平板部は、前記ナット体、前記端子台の下面、および前記バスバーホルダの上端面と上下方向に重なり、
前記端子台の下面は、前記バスバーホルダの上端面と接触し、
前記取付部は、前記第1バスバーに対し第2方向両側に位置し互いに対向する爪部および対向部を有し、
前記爪部は前記対向部から離間する方向に弾性変形可能であり、
前記立設部には、前記取付部が取り付けられ、
前記立設部と、前記端子台の前記第2方向と直交する第1方向側の端面と、の間には、前記第1方向に隙間があり、
前記立設部には、前記接続ネジが挿入される固定孔が設けられる、モータユニット。
【請求項5】
前記爪部は、前記第2方向と直交する方向に延びる爪本体部および前記爪本体部の先端から前記対向部側に突出する突起を有し、
前記爪本体部と前記対向部との距離は前記第1バスバーの前記第2方向の寸法より大きく、
前記突起と前記対向部との距離は前記第1バスバーの前記第2方向の寸法より小さい、
請求項に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記第2方向において、前記第1バスバーと前記爪本体部および前記対向部との間には、隙間が設けられ、
前記第2方向と直交する方向において、前記第1バスバーと前記突起との間には、隙間が設けられる、
請求項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記凹部は、前記ナット体の外周面を囲む内周面に、深さ方向に延びるクラッシュリブを有する、
請求項1~の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記バスバーホルダと前記端子台との、前記ネジ孔周りの相対的な回転を規制する回転規制部を備える、
請求項1~の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記インバータを収容する箱状部を有するハウジング本体と、
前記箱状部の開口を覆うインバータカバーと、を有し、
前記バスバーホルダは、前記箱状部の内壁面に固定され、
前記インバータカバーには、前記接続ネジを露出させる窓部が設けられる、請求項1~の何れか一項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
交流モータでは、ステータから延び出るコイル線を、複数の導電性の板部(バスバー)を介してインバータに接続する構造が知られている。特許文献1には、バスバー同士の接続構造に関し、各板部に設けられた挿通孔にボルトを通し一方の板部を支持するベース部に設けられたネジ孔に締結する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-079531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の締結構造では、ベース部と一方の板部とが互いに固定される。このため、板部同士の相対的な位置調整が困難な場合、一対の板部の挿通孔およびベース部のネジ孔が一致せずボルトの挿入が困難となる虞がある。
【0005】
本発明の一つの態様は、バスバー同士の接続が容易となるモータユニットの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、モータと、前記モータに供給される電流を制御するインバータと、前記モータおよび前記インバータを収容するハウジングと、前記モータおよび前記インバータのうち一方に繋がる第1バスバーおよび他方に繋がる第2バスバーと、前記ハウジングに固定され前記第1バスバーを保持するバスバーホルダと、前記第1バスバーと前記第2バスバーとを接続する接続ネジと、ネジ孔が設けられ前記接続ネジが挿入される端子台と、を備える。前記端子台は、前記第1バスバーに位置調整可能に取り付けられる取付部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、バスバー同士の接続が容易となるモータユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニットの概略模式図である。
図2図2は、一実施形態のモータユニットの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態のモータユニットの断面図である。
図4図4は、一実施形態のバスバーユニットの斜視図である。
図5図5は、一実施形態のインバータ側端子接続部および端子台の分解斜視図である。
図6図6は、一実施形態の端子台の断面図である。
図7図7は、変形例1の端子台の断面図である。
図8図8は、変形例2の端子台の断面図である。
図9図9は、変形例3のバスバーホルダおよび端子台の分解斜視図である。
図10図10は、変形例4のバスバーホルダおよび端子台の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータユニットについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
以下の説明では、各図に示す本実施形態のモータユニット1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータユニット1が搭載される車両の前後方向である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向(車幅方向)である。本実施形態において、+Y側はモータ軸線Jの軸方向一方側であり、-Y側はモータ軸線Jの軸方向他方側である。
【0011】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸線Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線Jを中心とする周方向、すなわち、モータ軸線Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
以下、本発明の例示的な一実施形態に係るモータユニット1について説明する。
本実施形態のモータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0013】
図1は、モータユニット1の概略模式図である。図2は、モータユニット1の分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、モータユニット1は、モータ2と、サブバスバーユニット70と、バスバーユニット77と、ハウジング6と、インバータ8と、を備える。なお、モータユニット1は、モータ2の回転を減速して外部に出力する減速装置(図示略)を有していてもよい。
【0015】
<モータ>
本実施形態のモータ2は、3相モータである。モータ2は、ハウジング6の内部に収容される。モータ2は、水平方向に延びるモータ軸線Jを中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、ロータ20を回転可能に支持するベアリング26,27と、を備える。本実施形態のモータ2は、インナーロータ型モータである。
【0016】
ロータ20は、インバータ8からステータ30に交流電流が供給されることで回転する。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、ロータマグネット(図示略)と、を有する。
【0017】
シャフト21は、モータ軸線Jを中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸線Jを中心として回転する。シャフト21は、ベアリング26、27により回転可能に支持される。ベアリング26、27は、ロータコア24を挟んでシャフト21の軸方向両側にそれぞれ位置する。ベアリング26、27は、ハウジング6に保持される。
【0018】
ロータコア24は、珪素鋼板を積層して構成される。ロータコア24は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア24には、図示略の複数のロータマグネットが固定される。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0019】
ステータ30は、ステータコア32と、ステータコア32に巻き付けられるコイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ30は、ハウジング6に保持される。
【0020】
ステータコア32は、モータ軸線Jを中心とする環状である。ステータコア32は、環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(図示略)を有する。磁極歯の間には、コイル線が掛けまわされる。磁極歯に掛けまわされたコイル線は、コイル31を構成する。すなわち、コイル31は、インシュレータを介してステータコア32に巻き付けられる。
【0021】
コイル31の軸方向一方側(+Y側)の端部からは、U相、V相およびW相に対応する3本の接続コイル線31cが延び出る。接続コイル線31cは、撚り合わせられたコイル線と、その先端に圧着された圧着端子31aと、コイル線の外周を覆う絶縁チューブと、を有する。接続コイル線31cは、圧着端子31aにおいて、サブバスバーユニット70に接続される。
【0022】
<ハウジング>
ハウジング6は、モータ2、インバータ8、サブバスバーユニット70およびバスバーユニット77を収容する。ハウジング6の内部には、モータ2を収容するモータ収容空間60Aと、インバータ8を収容するインバータ収容空間60Bと、が設けられる。インバータ収容空間60Bは、モータ収容空間60Aの径方向外側に位置する。
【0023】
なお、詳細な図示を省略するが、ハウジング6の内部には、さらにギヤ収容空間60Cが設けられている。ギヤ収容空間60Cは、モータ収容空間60Aの軸方向他方側(-Y側)に位置する。ギヤ収容空間60Cには、複数のギヤ(図示略)が配置される。各ギヤは、シャフト21に接続されて、減速機構を構成し出力シャフト(図示略)からモータ2の動力を出力する。
【0024】
ハウジング6は、ハウジング本体65と、閉塞部材61と、インバータカバー63と、を有する。ハウジング本体65、閉塞部材61およびインバータカバー63は、例えばアルミダイカスト製である。
【0025】
ハウジング本体65は、モータ軸線Jに沿って延びる筒状部66と、筒状部66の軸方向他方側(-Y側)の端部に位置する底部67と、筒状部66の径方向外側に配置される箱状部68と、を有する。
【0026】
筒状部66は、軸方向一方側(+Y側)に開口する。筒状部66の開口は、閉塞部材61によって塞がれる。閉塞部材61は、軸方向において底部67と対向する。底部67および閉塞部材61は、ベアリング26、27を介してシャフト21を支持する。モータ収容空間60Aは、筒状部66と底部67と閉塞部材61とによって囲まれた空間である。
【0027】
筒状部66は、軸方向一方側(+Y側)の端部において、周方向の一部が径方向外側に広がる拡張部66aを有する。拡張部66aの内側には、拡張空間60Aaが設けられる。
【0028】
拡張空間60Aaは、モータ収容空間60Aの一部である。また、拡張空間60Aaは、インバータ収容空間60Bの軸方向一方側に位置する。拡張空間60Aaには、サブバスバーユニット70の一部が配置される。
【0029】
拡張空間60Aaとインバータ収容空間60Bとの間には、箱状部68の一部である隔壁部68aが位置する。隔壁部68aは、モータ軸線Jと直交する平面に沿って延びる。隔壁部68aは、拡張空間60Aaとインバータ収容空間60Bとを区画する。
【0030】
隔壁部68aには、貫通孔68hが設けられる。貫通孔68hは、拡張空間60Aa(すなわち、モータ収容空間60A)とインバータ収容空間60Bとを連通させる。貫通孔68hには、サブバスバーユニット70が挿入される。
【0031】
箱状部68は、上側に開口する。箱状部68の開口は、インバータカバー63によって塞がれる。インバータ収容空間60Bは、箱状部68とインバータカバー63とによって囲まれた空間である。
【0032】
インバータカバー63は、水平方向に沿って延びる天板部63aを有する。天板部63aは、インバータ収容空間60Bを上側から覆う。天板部63aには、上下方向に貫通する窓部63wが設けられる。窓部63wは、蓋部材63cによって塞がれる。蓋部材63cは、天板部63aに対し着脱可能である。後述するように、窓部63wの直下には、インバータバスバー8dとバスバー78との接続部8jが配置される。
【0033】
<インバータ>
インバータ8は、インバータカバー63の天板部63aの裏面に固定される。インバータ8は、サブバスバーユニット70およびバスバーユニット77を介してモータ2と電気的に接続される。インバータ8は、モータ2に供給される電流を制御する。
【0034】
インバータ8は、インバータ本体8aと、インバータ本体8aから延び出る3つのインバータバスバー8dを有する。すなわち、モータユニット1は、インバータバスバー(第2バスバー)8dを有する。インバータ本体8aは、例えば、パワー基板、コンデンサ、スイッチング素子などを有し、図示略のバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換する。インバータバスバー8dは、インバータ収容空間60B内において、バスバーユニット77のバスバー78に接続される。
【0035】
<サブバスバーユニット>
図2に示すように、サブバスバーユニット70は、複数(3個)のサブバスバー75と、複数のサブバスバー75を保持するサブバスバーホルダ76と、シール部材70Aと、を有する。すなわち、モータユニット1は、複数のサブバスバー75と、複数のサブバスバー75を保持するサブバスバーホルダ76と、シール部材70Aと、を備える。
【0036】
サブバスバー75は、板状の導体(導電性の板部)からなる。3つのサブバスバー75は、コイル31からそれぞれ延び出る接続コイル線31cに接続される。また、3つのサブバスバー75は、それぞれ、バスバー78を介してインバータ8に接続される。
【0037】
サブバスバー75は、軸方向に沿って延びるサブバスバー本体部75aと、サブバスバー本体部75aの軸方向一方側に位置する端子接続部75bと、を有する。
【0038】
サブバスバー本体部75aは、サブバスバーホルダ76に保持される。サブバスバー本体部75aの軸方向他方側の端部は、サブバスバーホルダ76から露出する。サブバスバー75は、サブバスバー本体部75aの軸方向他方側の端部において、バスバー78に接続される。
【0039】
端子接続部75bは、サブバスバー本体部75aの板厚方向に折り曲げられる。端子接続部75bの板厚方向は、軸方向と一致する。端子接続部75bは、サブバスバーホルダ76から露出する。端子接続部75bは、接続コイル線31cに接続される。
【0040】
サブバスバーホルダ76は、絶縁性の材料からなる。本実施形態において、サブバスバーホルダ76は、樹脂材料からなる。サブバスバーホルダ76は、サブバスバー75を保持するホルダ本体部76aと、ホルダ本体部76aから突出するホルダフランジ部76bと、を有する。
【0041】
ホルダ本体部76aは、軸方向に沿って延びる四角柱形状である。ホルダ本体部76aは、隔壁部68aに設けられた貫通孔68hに挿入される。ホルダ本体部76aは、軸方向直交する方向を向く外周面76abを有する。ホルダ本体部76aには、軸方向に貫通する3つの保持孔76cを有する。
【0042】
1つの保持孔76cには、1つのサブバスバーホルダ76が挿入される。保持孔76cの内周面とサブバスバーホルダ76との間には、例えば接着剤が注入される。接着剤は、保持孔76cの内周面とサブバスバーホルダ76との隙間とを塞いでシールする。
【0043】
ホルダフランジ部76bは、ホルダ本体部76aの軸方向一方側の端部に位置する。ホルダフランジ部76bは、ホルダ本体部76aの外周面76abから軸方向と直交する平面に沿って突出する。ホルダフランジ部76bは、ホルダ本体部76aの周囲に一周に亘って延びる。
【0044】
ホルダフランジ部76bには、軸方向に貫通する固定孔が設けられる。固定孔には、サブバスバーユニット70をハウジング本体65の隔壁部68aに固定する固定ネジが挿入される。
【0045】
ホルダフランジ部76bは、軸方向他方側を向く対向面76bbを有する。対向面76bbは、隔壁部68aの軸方向一方側を向く面とは、シール部材70Aを介して対向する。シール部材70Aは、対向面76bbと隔壁部68aの軸方向一方側を向く面とによって、軸方向に挟み込まれる。シール部材70Aは、サブバスバーホルダ76と隔壁部68aとの間をシールする。
【0046】
<バスバーユニット>
図3は、バスバーユニット77を含むモータユニット1の断面図である。また、図4は、バスバーユニット77の斜視図である。
【0047】
図4に示すように、バスバーユニット77は、複数(3個)のバスバー(第1バスバー)78と、複数のバスバー78を保持するバスバーホルダ79と、複数(3個)の端子台80と、を有する。すなわち、モータユニット1は、複数のバスバー78と、バスバーホルダ79と、複数の端子台80と、を備える。バスバーユニット77は、インバータ8とともにインバータ収容空間60Bに配置される。バスバーユニット77は、バスバーホルダ79においてハウジング6に固定される。
【0048】
3個のバスバー78は、インサート成形によってバスバーホルダ79に埋め込まれる。バスバーホルダ79は、絶縁性の樹脂材料からなる。
なお、3個のバスバー78はインサート成型によってバスバーホルダ79に埋め込まれているが、これに限定されるものではない。たとえば、バスバーホルダ79をベース部材およびカバー部材で構成し、カバー部材とベース部材との間に、3個のバスバー78各々が挟み込まれていてもよい。すなわち、バスバーホルダ79は、ベース部材とカバー部材との間にバスバー78を挟み込んで支持するようにしてもよい。
【0049】
バスバー78は、板状の導体(導電性の板部)からなる。3つのバスバー78は、それぞれU相のサブバスバー75、V相のサブバスバー75およびW相のサブバスバー75に接続される。すなわち、3つのバスバー78は、サブバスバー75を介してステータ30に接続される。また、バスバー78は、インバータ8のインバータバスバー8dに接続される。すなわち、バスバー78は、サブバスバー75とインバータ8との間を中継して電気的に繋ぐ。バスバー78は、インバータ8から出力される交流電流をモータ2に供給する。バスバー78は、インバータ収容空間60B内に配置される。
【0050】
バスバー78は、インバータ収容空間60Bの内側面に沿って延びるバスバー本体部78aと、バスバー本体部78aの一方の端部に位置するインバータ側端子接続部78cと、バスバー本体部78aの他方の端部に位置するモータ側端子接続部78dと、を有する。インバータ側端子接続部78cは、インバータ8に接続される。また、モータ側端子接続部78dは、サブバスバー75に接続される。
【0051】
3つのインバータ側端子接続部78cは、軸方向に沿って並ぶ。一方で、3つのモータ側端子接続部78dは、上下方向に沿って並ぶ。バスバー本体部78aは、インバータ側端子接続部78cからモータ側端子接続部78dの間で、湾曲する。バスバー78は、バスバー本体部78aにおいて、バスバーホルダ79に埋め込まれる。また、バスバー78は、モータ側端子接続部78dおよびインバータ側端子接続部78cにおいて、バスバーホルダ79から露出する。
【0052】
バスバーホルダ79は、互いに隣り合うモータ側端子接続部78d同士の間に位置する仕切り壁部79wを有する。仕切り壁部79wは、一対のモータ側端子接続部78dの間に配置される。バスバーユニット77には、3つのモータ側端子接続部78dが設けられるため、バスバーホルダ79はこれらの間に位置する2つの仕切り壁部79wを有する。仕切り壁部79wは、モータ側端子接続部78dの板厚方向に突出する。仕切り壁部79wは、互いに隣接するモータ側端子接続部78dの間の沿面距離を長くすることができる。これにより、モータ側端子接続部78d同士を近づけてバスバーユニット77を小型化しつつ、バスバーユニット77の絶縁性能を確保できる。
【0053】
3つのインバータ側端子接続部78cの上下方向位置は、互いに一致する。インバータ側端子接続部78cは、水平方向に沿って延びる。インバータ側端子接続部78cには、板厚方向に貫通する固定孔78ccが設けられる。
【0054】
インバータ側端子接続部78cは、インバータバスバー8dと重ね合わされる。インバータ側端子接続部78cの固定孔78ccは、インバータバスバー8dの固定孔8daと重なる。固定孔78cc、8daには、接続ネジ89が挿入される。接続ネジ89が後述する端子台80に締結されることで、バスバー78とインバータバスバー8dとは互いに接続されて接続部8jを構成する。
【0055】
図3に示すように、インバータカバー63の窓部63wは、接続ネジ89を露出させる。このため、窓部63wを介してインバータ収容空間60Bに工具をアクセスすることが容易となり、ステータ30とインバータ8とを電気的に接続する工程を容易に行うことができる。
【0056】
図5は、インバータ側端子接続部78cと端子台80の分解斜視図である。
インバータ側端子接続部78cは、バスバーホルダ79の上端面79aから上側に延び出る立設部78caと、立設部78caの上端から水平方向に折り曲げられる平板部78cbと、を有する。立設部78caには、端子台80が取り付けられる。平板部78cbには、固定孔78ccが設けられる。インバータ側端子接続部78cは、平板部78cbにおいてインバータバスバー8dに接続される。
【0057】
端子台80は、ナット体81と、ナット体81を保持する端子台本体82と、を有する。ナット体81は、平面視四角形状である。ナット体81の平面視中央には、接続ネジ89が挿入されるネジ孔81aが設けられる。ネジ孔81aは、中心軸線J1に沿って延びる。端子台80を立設部78caに取り付けた状態で、ネジ孔81a固定孔78ccの直下に配置される。端子台本体82は、例えば樹脂材料から構成される。端子台本体82の上面には、ナット体81が挿入される凹部83が設けられる。
【0058】
なお、本実施形態では、端子台80は、ネジ孔81aが設けられたナット体81を有する。しかしながら、端子台80は、ネジ孔81aが直接的に設けられていてもよい。
【0059】
凹部83は、平面視四角形状である。凹部83は、ナット体81の外周面81bを囲む内周面83aを有する。内周面83aは、凹部83の深さ方向に延びる複数のクラッシュリブ83bを有する。本実施形態では、凹部83が四角形状であるため、内周面83aは、4つの平面を有する。クラッシュリブ83bは、それぞれの平面に2つずつ設けられる。
【0060】
凹部83にナット体81が挿入されると、クラッシュリブ83bがナット体81の外周面81bに接触し塑性変形および弾性変形する。これにより、クラッシュリブ83bは、ナット体81の外周面81bに押し付けられた状態となり、ナット体81が凹部83から離脱することを抑制する。
【0061】
端子台80は、端子台80を立設部78caの厚さ方向に移動させることで立設部78caに取り付けられる。端子台80は、インバータ側端子接続部78cに取り付けられた状態で、バスバーホルダ79の上端面79aに搭載される。すなわち、端子台80の下面80aは、バスバーホルダ79の上端面79aに面接触する。端子台80の下面80aは、後述するネジ孔81aの中心軸線J1と直交する平面である。端子台80は、下面80aにおいて、上端面79aに接触することで、中心軸線J1に沿う方向に位置決めされる。
【0062】
端子台本体82は、ベース部82bと取付部84とを有する。端子台80は、取付部84においてバスバー78に取り付けられる。すなわち、端子台80は、バスバー78に取り付けられる取付部84を有する。
【0063】
なお、取付部84によるバスバー78への取り付けは、組み立て工程を簡素化するための仮固定である。端子台80のネジ孔81aに接続ネジ89が締結されることで、取付部84は、バスバー78に強固に固定される。
【0064】
ベース部82bは、平面視矩形状である。上述の凹部83は、ベース部82bの上面に設けられる。ベース部82bには、端子台本体82のヒケ等を抑制する肉抜きが設けられていてもよい。
【0065】
取付部84は、ベース部82bから延び出る一対の爪部85を有する。一対の爪部85は、それぞれ、爪本体部85aと突起85bとを有する。一対の爪部85の爪本体部85aは、ベース部82bから互いに平行して延びる。一対の爪部85の突起85bは、爪本体部85aの先端から互いに対向する方向に突出する。
【0066】
図6は、バスバー78の立設部78caに取り付けられた端子台80の断面図である。
ここで、図6に示すように、立設部78caの幅方向を第1方向D1とし、立設部78caの厚さ方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、第1方向D1およびネジ孔81aの中心軸線J1と直交する方向である。端子台80を立設部78caに取り付けた状態で、一対の爪部85は、バスバー78に対し幅方向両側に位置する。
【0067】
並行して延びる爪本体部85a同士の距離a1は、立設部78caの幅寸法A1(すなわち、第1方向D1の寸法)より大きい。このため、立設部78caを一対の爪本体部85aの間に配置することで、立設部78caの幅方向両側に隙間が設けられる。すなわち、第1方向D1において、バスバー78と爪本体部85aとの間には、隙間が設けられる。これにより、端子台80は、立設部78caに取り付けられた状態で第1方向D1に位置調整可能となる。
【0068】
第2方向D2において、ベース部82bから突起85bまでの距離b1は、立設部78caの厚さ寸法B1(すなわち、第2方向D2の寸法)より大きい。このため、立設部78caを一対の爪本体部85aの間に配置することで、立設部78caと突起85bとの間および立設部78caとベース部82bとの間に隙間が設けられる。すなわち、第2方向D2において、バスバー78と突起85bとの間には、隙間が設けられる。これにより、端子台80は、立設部78caに取り付けられた状態で第2方向D2に位置調整可能となる。
【0069】
図3に示すように、本実施形態によれば、バスバーホルダ79は、インバータ8を収容する箱状部68の内壁面に固定される。一方で、インバータ8は、箱状部68の開口を覆うインバータカバー63に固定される。すなわち、バスバーユニット77とインバータ8とは、それぞれ、ハウジング本体65とインバータカバー63とに固定され、さらに、ハウジング本体65とインバータカバー63とは互いに固定される。このため、積み上げられた交差関係によって、バスバーユニット77とインバータバスバー8dとは、相対的な位置が互いに一致しない場合がある。
【0070】
一方で、図4に示すように、バスバー78とインバータバスバー8dとは、それぞれの固定孔78cc、8daに接続ネジ89を挿入して締結することで固定される。バスバー78とインバータバスバー8dとの相対的な位置ずれは、固定孔78ccの接続ネジの径の差分だけ許容されうる。
【0071】
また、本実施形態において、ネジ孔81aが設けられ接続ネジ89が挿入される端子台80が、バスバー78に位置調整可能に取り付けられる。したがって、端子台80の移動可能な範囲内において、バスバー78およびインバータバスバー8dの固定孔78cc、8daに対するネジ孔81aの位置を調整することができる。このため、固定孔78cc、8da同士に位置ずれが生じて、固定孔78cc、8daに対して接続ネジ89が移動し難い場合であっても、ネジ孔81aを位置調整することができる。これにより、バスバー78およびインバータバスバー8dの接続工程が容易となる。
【0072】
図6に示すように、互いに対向する突起85b同士の距離a2は、立設部78caの幅寸法A1(すなわち、第1方向D1の寸法)より小さい。したがって、立設部78caに対し端子台80が移動しても、立設部78caが突起85bに干渉し、端子台80がバスバー78から離脱することを抑制できる。
【0073】
一対の突起85bは、それぞれ傾斜面85cを有する。一対の突起85bの傾斜面85cは、爪部85の先端側に向かうに従い、互いに離間する方向に傾斜する。端子台80を立設部78caに組み付ける工程において、立設部78caは、一対の傾斜面85cに接触する。これにより、一対の爪本体部85aが互いに離間する方向に弾性変形し、立設部78caが突起85bを乗り上げて、一対の爪本体部85a同士の間に配置される。すなわち、本実施形態の爪部85がスナップフィット構造を有する。これにより、バスバー78に端子台80を簡易な工程で取り付けることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、一対の爪部85が立設部78caの幅方向両側に配置される場合について説明したが、一対の爪部が立設部78caの厚さ方向両側に配置される構成も採用可能である。すなわち、立設部78caの厚さ向を第1方向D1とし、立設部78caの幅方向を第2方向D2として上述の構成を採用してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、バスバー同士を接続する接続部8jにおいて、モータ2に繋がるバスバー78に端子台80が取り付けられる場合について説明した。しかしながら、例えば、インバータバスバー8dに端子台80が取り付けられている構成も採用可能である。また、バスバー78とサブバスバー75との接続部において、何れか一方に同様の構成の端子台が取り付けられていてもよい。すなわち、端子台80が取り付けられるバスバーは、モータ2およびインバータ8のうち一方に繋がるバスバーであればよい。
【0076】
(変形例1)
図7は、本実施形態に採用可能な変形例1の端子台180の断面図である。
本変形例の端子台180は、立設部78caの幅方向に沿って移動させることで立設部78caに取り付けられる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
上述の実施形態と同様に、端子台180は、ナット体81と、ナット体81を保持する端子台本体182と、を有する。ナット体81にはネジ孔81aが設けられる。端子台本体182は、バスバー78に取り付けられる取付部184を有する。
【0078】
取付部184は、第2方向D2に沿って延びる爪部185と、第1方向D1において爪部185と対向する対向部188と、連結部187と、を有する。連結部187は、爪部185の基端において、爪部185と対向部188とを連結する。爪部185および対向部188は、バスバー78に対し厚さ方向(すなわち、第2方向D2)両側に位置し互いに対向する。
【0079】
爪部185は、爪本体部185aと突起185bとを有する。爪本体部185aは、連結部187から第1方向D1に延びる。また、爪本体部185aは、対向部188と平行に延びる。突起185bは、爪本体部185aの先端から対向部188側の突出する。
【0080】
爪本体部185aと対向部188との距離b3は、立設部78caの厚さ寸法B1(すなわち、第2方向D2の寸法)より大きい。このため、立設部78caを爪本体部185aと対向部188との間に配置することで、立設部78caの厚さ方向両側に隙間が設けられる。すなわち、第2方向D2において、バスバーと爪本体部185aおよび対向部188との間には、隙間が設けられる。これにより、端子台180は、立設部78caに取り付けられた状態で第1方向D1に位置調整可能となる。
【0081】
第1方向D1において、連結部187から突起185bまでの距離a3は、立設部78caの幅寸法A1(すなわち、第1方向D1の寸法)より大きい。このため、立設部78caを爪本体部185aと対向部188との間に配置することで、立設部78caと突起185bとの間および立設部78caと連結部187との間に隙間が設けられる。すなわち、第1方向D1において、バスバー78と突起185bとの間には、隙間が設けられる。これにより、端子台180は、立設部78caに取り付けられた状態で第1方向D1に位置調整可能となる。
【0082】
突起185bと対向部188との距離b4は、立設部78caの厚さ寸法B1(すなわち、第2方向D2の寸法)より小さい。したがって、立設部78caに対し端子台180が移動しても、立設部78caが突起185bに干渉し、端子台180がバスバー78から離脱することを抑制できる。
【0083】
突起185bは、傾斜面185cを有する。突起185bの傾斜面185cは、爪部185の先端側に向かうに従い、対向部188から離間する方向に傾斜する。端子台180を立設部78caに組み付ける工程において、立設部78caは、傾斜面185cに接触する。これにより、爪本体部185aが対向部188から離間する方向に弾性変形し、立設部78caが突起185bを乗り上げて、爪本体部185aと対向部188との間に配置される。
【0084】
本変形例によれば、バスバー78およびインバータバスバー8dに対しネジ孔81aを位置調整することができる。これにより、バスバー78およびインバータバスバー8dの接続工程が容易となる。
【0085】
なお、本変形例では、爪部185と対向部188とが立設部78caの厚さ方向両側に配置される場合について説明したが、爪部185と対向部188とが立設部78caの幅方向両側に配置される構成も採用可能である。すなわち、立設部78caの厚さ向を第1方向D1とし、立設部78caの幅方向を第2方向D2として上述の構成を採用してもよい。
【0086】
(変形例2)
図8は、本実施形態に採用可能な変形例2の端子台280の断面図である。
本変形例の端子台280は、変形例1と同様に、端子台280を立設部78caの幅方向に移動させることで立設部78caに取り付けられる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
上述の実施形態と同様に、端子台280は、ナット体81と、ナット体81を保持する端子台本体282と、を有する。ナット体81にはネジ孔81aが設けられる。端子台本体282は、バスバー78に取り付けられる取付部284を有する。
【0088】
取付部284は、第2方向D2に沿って延びる把持部285と、第1方向D1において把持部285と対向する対向部288と、連結部287と、を有する。連結部287は、把持部285の基端において、把持部285と対向部288とを連結する。把持部285および対向部288は、バスバー78に対し厚さ方向(すなわち、第2方向D2)両側に位置し互いに対向する。
【0089】
把持部285と対向部288との距離は、立設部78caの厚さ寸法B1(すなわち、第2方向D2の寸法)より若干小さい。このため、立設部78caを把持部285と対向部288との間に配置することで、把持部285が弾性変形して立設部78caを対向部288に押し付ける。すなわち、把持部285は、弾性変形することでバスバー78を挟み込む。本変形例によれば、端子台280をバスバー78に容易に取り付けることができる。
【0090】
本変形例において、取付部284は、立設部78caを弾性によって挟み込んでおり、強固に固定しない。このため、立設部78caに対して、取付部284は第1方向D1に滑って移動することができる。すなわち、端子台280は、立設部78caに取り付けられた状態で第1方向D1に位置調整可能となる。また、端子台280は、把持部285をさらに弾性変形させるなどして、第2方向D2にも移動可能である。すなわち、本変形例によれば、バスバー78およびインバータバスバー8dに対しネジ孔81aを位置調整することができる。これにより、バスバー78およびインバータバスバー8dの接続工程が容易となる。
【0091】
(変形例3)
図9は、本実施形態に採用可能な変形例3のバスバーホルダ379および端子台380の分解斜視図である。
本変形例においてモータユニット1は、バスバーホルダ379と端子台380との相対的な回転を規制する回転規制部305を備える。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
ここで、バスバー78に対して、端子台380が取り付ける方向を第3方向D3と呼び、第3方向D3およびネジ孔81aの中心軸線Jに直交する方向を第4方向D4と呼ぶ。本変形例の端子台380は、上述の実施形態と同様に、端子台380を立設部78caの厚さ方向に移動させることで立設部78caに取り付けられる。すなわち、本変形例において、第3方向D3は、立設部78caの厚さ方向一致し、第4方向D4は、立設部78caの幅方向と一致する。
【0093】
バスバーホルダ379は、バスバー78の立設部78caが延び出る上端面379aを有する。上端面379aには下側に向かって窪む凹部305aが設けられる。また、凹部305aは、第3方向D3の一方側に開口する。凹部305aは、第4方向D4の一方側および他方側を向く一対の保持面305pを有する。一対の保持面305pは、第3方向D3に沿って延び、第4方向D4において互いに対向する。
【0094】
端子台380は、ナット体81と、ナット体81を保持する端子台本体382と、を有する。また、端子台本体382は、ベース部82bと、取付部84と、ベース部82bの下端面380aに設けられる凸部305bと、を有する。端子台380は、取付部84においてバスバー78に取り付けられる。
【0095】
凸部305bは、下端面380aから下側に突出する。凸部305bは、第4方向D4の一方側および他方側を向く一対の被保持面305qを有する。一対の305qは、第3方向D3に沿って延び、第4方向D4において互いに反対側を向く。
【0096】
端子台380は、インバータ側端子接続部78cに取り付けられた状態で、バスバーホルダ379の上端面379aに搭載される。また、端子台380の凸部305bは、バスバーホルダ379の凹部305aに挿入される。凸部305bの一対の被保持面305qは、それぞれ凹部305aの保持面305pに、隙間を介して対向する。被保持面305qと保持面305pとの間に隙間が設けられることで、端子台380は、バスバーホルダ379に対する第4方向D4のがたつきが許容される。
また、凸部305bと凹部305aは、第3方向D3において十分な大きさの隙間を介して対向する面をそれぞれ有する。このため、端子台380は、バスバーホルダ379に対する第3方向D3のがたつきも許容される。
【0097】
端子台380のネジ孔81aに接続ネジ89を締結過程で、端子台380には接続ネジ89とともに供回りしようとするトルクが付与される。凸部305bが凹部305aに挿入されることで、被保持面305qが保持面305pに干渉し、端子台380の回転が規制される。すなわち、凸部305bおよび凹部305aは、バスバーホルダ379と端子台380との、ネジ孔81a周りの相対的な回転を規制する回転規制部305を構成する。なお、回転規制部305を有さない場合、端子台380の回転は、取付部84によって規制される。このため、取付部84に十分な剛性が必要となり、端子台を大型化せざるを得なくなる場合がある。
【0098】
本変形例では、回転規制部305は、矩形状の凹部305aと、当該凹部305aに嵌る矩形状の凸部305bとから構成される場合について説明した。しかしながら、回転規制部305は、ネジ孔81aの周方向に干渉して端子台380の回転を規制するものであれば、本変形例に限定されない。
【0099】
(変形例4)
図10は、本実施形態に採用可能な変形例4のバスバーホルダ479の分解斜視図である。
本変形例において、バスバーホルダ479は被覆部を備える。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
上述の実施形態と同様に、本変形例において、バスバー78のインバータ側端子接続部78cは、固定孔78ccが設けられる平板部78cbと、平板部78cbの一端から下側に折り曲がる立設部78caとを有する。
【0101】
本変形例のバスバーホルダ479は、バスバー78の立設部78caを被覆する被覆部479bを有する。被覆部479bは、上端面479aから上側に延びる。
【0102】
端子台80は、取付部84において、被覆部479bに取り付けられる。したがって、取付部84は、バスバーホルダ479を介してバスバー78に取り付けられる。被覆部479bと取付部84との間には、隙間が設けられる。これにより、取付部84は、バスバー78に位置調整可能に取り付けられる。
【0103】
本変形例に示すように、端子台80は、バスバー78に直接的に取り付けられていなくても、バスバー78に対し位置調整可能に取り付けられていればよい。
なお、本変形例では、被覆部479bがバスバーホルダ479の一部である場合について示したが、被覆部は他部材であってもよい。また、テープなどを立設部78caの周囲に巻き付けることで、被覆部を設けてもよい。
【0104】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および各変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0105】
1…モータユニット、2…モータ、6…ハウジング、8…インバータ、8d…インバータバスバー(第2バスバー)、63…インバータカバー、63w…窓部、65…ハウジング本体、68…箱状部、76ab,81b…外周面、78…バスバー、78…バスバー(第1バスバー)、78cb…端子、79,379,479…バスバーホルダ、80,180,280,380…端子台、81…ナット体、81a…ネジ孔、82,182,282,382…端子台本体、83…凹部、83a…内周面、83b…クラッシュリブ、84,184,284…取付部、85,185…爪部、85a,185a…爪本体部、85b,185b…突起、89…接続ネジ、188,288…対向部、285…把持部、305…回転規制部、a1,a2,a3,b1,b3,b4…距離、D1…第1方向、D2…第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10