(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】測定装置、情報処理装置、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/30 20060101AFI20240709BHJP
G01N 21/47 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01B11/30 Z
G01N21/47 B
(21)【出願番号】P 2020058149
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】平松 崇
(72)【発明者】
【氏名】針貝 潤吾
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-206810(JP,U)
【文献】国際公開第2016/194939(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/112055(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194698(WO,A1)
【文献】特開2003-269931(JP,A)
【文献】特開昭62-22009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01N 21/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、当該測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、プロセッサと、を備え、
前記移動体に、前記光源および前記受光部が設けられ、当該移動体の移動に伴い、当該光源および当該受光部が、当該移動体の移動方向における下流側へ移動し、
前記移動体に設けられた前記光源および前記受光部は、当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ、
前記プロセッサは、
前記交差方向に延びる形で設けられた前記光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにし、その後、
当該交差方向に延びる当該光源の他の一部である第2部分
であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、
前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、
前記交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とを取得する、
測定装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する前記光の情報と、前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する前記光の情報とに基づき、当該特定部分の表面の傾きについての情報をさらに取得する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、
前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、
前記プロセッサは、
前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯を行う際、前記他方側光源を点灯させる、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、
前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、
前記プロセッサは、
前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯よりも前のタイミングである前タイミングに又は後のタイミングである後タイミングに、当該一方側光源および前記他方側光源のうちの一方の光源の点灯が行われるようにし、次いで、他方の光源の点灯が行われるようにして、複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、
前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とをさらに取得する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、
前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、
前記プロセッサは、
前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯よりも前のタイミングである前タイミングに又は後のタイミングである後タイミングに、当該一方側光源および前記他方側光源のうちの一方の光源の点灯が行われるようにし、次いで、他方の光源の点灯が行われるようにして、複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、
前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とをさらに取得し、
前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とに基づき、当該特定部分の表面の傾きについての情報をさらに取得し、前記第1部分および前記第2部分を点灯させることにより取得される前記傾きについての情報である第1の傾きについての情報に加えて、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に当該一方の光源および当該他方の光源を点灯させることにより取得される当該傾きについての情報である第2の傾きについての情報を取得する、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記交差方向に延びる形で設けられた前記光源の長手方向における一端部の点灯が行われるようにし、その後、他端部の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々からの前記特定部分への光の照射が順に行われるようにする請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記支持面に対する垂線を回転中心として前記測定対象物が回転するように当該測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行う請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記垂線を回転中心として前記測定対象物が90°回転するように当該測定対象物を回転させる前記指示をユーザに対して行う請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
共通の被照射体に対して前記一方側光源から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該共通の被照射体に対して前記他方側光源から光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とに基づき、当該一方側光源から前記特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報の補正に用いる補正用情報を生成し、当該他方側光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報の補正に用いる補正用情報を生成する請求項4に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定装置により測定される測定対象物の色についての情報である色情報が、予め定められた形式で当該測定装置から出力され、
前記プロセッサは、
前記特定部分の前記表面の傾きについての前記情報である傾き情報を、前記色情報が出力される際に用いられる前記予め定められた形式で出力する請求項2に記載の測定装置。
【請求項11】
測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、コンピュータと、を備える装置にて用いられるプログラムであり、
前記交差方向に延びる前記光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにし、その後、
当該交差方向に延びる当該光源の他の一部である第2部分
であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々からの前記特定部分への光の照射が順に行われるようにする機能と、
前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、
前記交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とを取得する機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項12】
測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにした後に当該光源の他の一部である第2部分
であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして当該測定対象物の当該特定部分に対する光の照射が複数の方向から行われるようにするプロセッサと、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、を備える装置からの情報を処理する情報処理装置であり、
前記受光部からの情報を処理するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
測定対象物の前記特定部分に対して前記第1部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第1の情報を取得し、
測定対象物の前記特定部分に対して前記第2部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第2の情報を取得し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき、前記特定部分の表面の傾きについての情報を得る、
情報処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記第1の情報および前記第2の情報として、前記受光部が受光した光の強度についての情報を取得し、
前記第1の情報として取得した光の強度についての情報と、前記第2の情報として取得した光の強度についての情報とに基づき、前記特定部分の前記表面の傾きについての情報を得る、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにした後に当該光源の他の一部である第2部分
であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして当該測定対象物の当該特定部分に対する光の照射が複数の方向から行われるようにするプロセッサと、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、を備える装置からの情報を処理するコンピュータにて用いられるプログラムであり、
測定対象物の前記特定部分に対して前記第1部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第1の情報を取得する機能と、
測定対象物の前記特定部分に対して前記第2部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第2の情報を取得する機能と、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき、前記特定部分の表面の傾きについての情報を得る機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、情報処理装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測定対象物の特性に応じてライン光源の走査距離を設定し、ライン光源の移動および撮影部による撮影を制御し、撮影部が撮影した複数の画像から測定対象物の反射特性を推定する処理が開示されている。
特許文献2には、複数の反射特性モデルを記憶したメモリと、複数の撮影画像から被写体の輝度情報を取得する輝度情報取得部と、輝度情報に基づいて複数の反射特性モデルのうち特定モデルを選択する選択部と、光源条件に応じた輝度情報の変化と特定モデルとを用いて法線情報を取得する法線推定部とを有する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-240830号公報
【文献】特開2017-134561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定対象物の特定部分の表面の傾きを把握するにあたっては、例えば、この特定部分に対して一方向から光を照射するとともに、この特定部分からの反射光を受光し、受光したこの反射光の強度を把握することで、この特定部分の表面の傾きの把握を行える。
ところで、受光部が受光する反射光の強度は、特定部分の色の影響を受けるものであり、特定部分の色に応じて反射光の強度が変化し、特定部分の表面の傾きを正確に把握できなくなるおそれがある。
本発明の目的は、一方向のみから光を照射して特定部分の表面の傾きを把握する場合に比べ、測定対象物の特定部分の表面の傾きをより精度よく得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、当該測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、プロセッサと、を備え、前記移動体に、前記光源および前記受光部が設けられ、当該移動体の移動に伴い、当該光源および当該受光部が、当該移動体の移動方向における下流側へ移動し、前記移動体に設けられた前記光源および前記受光部は、当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ、前記プロセッサは、前記交差方向に延びる形で設けられた前記光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにし、その後、当該交差方向に延びる当該光源の他の一部である第2部分であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、前記交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とを取得する、測定装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する前記光の情報と、前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する前記光の情報とに基づき、当該特定部分の表面の傾きについての情報をさらに取得する、請求項1に記載の測定装置である。
請求項3に記載の発明は、前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、前記プロセッサは、前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯を行う際、前記他方側光源を点灯させる、請求項1に記載の測定装置である。
請求項4に記載の発明は、前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、前記プロセッサは、前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯よりも前のタイミングである前タイミングに又は後のタイミングである後タイミングに、当該一方側光源および前記他方側光源のうちの一方の光源の点灯が行われるようにし、次いで、他方の光源の点灯が行われるようにして、複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とをさらに取得する、請求項1に記載の測定装置である。
請求項5に記載の発明は、前記移動体の移動方向において、前記光源は、前記受光部よりも、当該移動方向における上流側および下流側のうちの一方側に設けられ、前記上流側および前記下流側のうちの他方側には、前記交差方向に延びる形で設けられた光源である他方側光源がさらに設けられ、前記プロセッサは、前記一方側に設けられた前記光源である一方側光源の前記第1部分および前記第2部分の点灯よりも前のタイミングである前タイミングに又は後のタイミングである後タイミングに、当該一方側光源および前記他方側光源のうちの一方の光源の点灯が行われるようにし、次いで、他方の光源の点灯が行われるようにして、複数の方向の各々から前記特定部分への光の照射が順に行われるようにし、前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とをさらに取得し、前記前タイミング又は前記後タイミングの際に前記一方の光源から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に前記他方の光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とに基づき、当該特定部分の表面の傾きについての情報をさらに取得し、前記第1部分および前記第2部分を点灯させることにより取得される前記傾きについての情報である第1の傾きについての情報に加えて、当該前タイミング又は当該後タイミングの際に当該一方の光源および当該他方の光源を点灯させることにより取得される当該傾きについての情報である第2の傾きについての情報を取得する、請求項2に記載の測定装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記交差方向に延びる形で設けられた前記光源の長手方向における一端部の点灯が行われるようにし、その後、他端部の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々からの前記特定部分への光の照射が順に行われるようにする請求項1に記載の測定装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記支持面に対する垂線を回転中心として前記測定対象物が回転するように当該測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行う請求項1に記載の測定装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記垂線を回転中心として前記測定対象物が90°回転するように当該測定対象物を回転させる前記指示をユーザに対して行う請求項7に記載の測定装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、共通の被照射体に対して前記一方側光源から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、当該共通の被照射体に対して前記他方側光源から光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とに基づき、当該一方側光源から前記特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報の補正に用いる補正用情報を生成し、当該他方側光源から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報の補正に用いる補正用情報を生成する請求項4に記載の測定装置である。
請求項10に記載の発明は、前記測定装置により測定される測定対象物の色についての情報である色情報が、予め定められた形式で当該測定装置から出力され、前記プロセッサは、前記特定部分の前記表面の傾きについての前記情報である傾き情報を、前記色情報が出力される際に用いられる前記予め定められた形式で出力する請求項2に記載の測定装置である。
請求項11に記載の発明は、測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、コンピュータと、を備える装置にて用いられるプログラムであり、前記交差方向に延びる前記光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにし、その後、当該交差方向に延びる当該光源の他の一部である第2部分であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして、前記複数の方向の各々からの前記特定部分への光の照射が順に行われるようにする機能と、前記第1部分から前記特定部分に光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報と、前記交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる前記第2部分から当該特定部分に光が照射された際に当該受光部が受光する光の情報とを取得する機能と、を前記コンピュータに実現させるためのプログラムである。
請求項12に記載の発明は、測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにした後に当該光源の他の一部である第2部分であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして当該測定対象物の当該特定部分に対する光の照射が複数の方向から行われるようにするプロセッサと、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、を備える装置からの情報を処理する情報処理装置であり、前記受光部からの情報を処理するプロセッサを備え、前記プロセッサは、測定対象物の前記特定部分に対して前記第1部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第1の情報を取得し、測定対象物の前記特定部分に対して前記第2部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第2の情報を取得し、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき、前記特定部分の表面の傾きについての情報を得る、情報処理装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第1の情報および前記第2の情報として、前記受光部が受光した光の強度についての情報を取得し、前記第1の情報として取得した光の強度についての情報と、前記第2の情報として取得した光の強度についての情報とに基づき、前記特定部分の前記表面の傾きについての情報を得る、請求項12に記載の情報処理装置である。
請求項14に記載の発明は、測定対象物を支持する支持面と、当該支持面に沿って移動する移動体と、当該移動体に設けられ当該移動体の移動方向と交差する方向である交差方向に延びる形で設けられ当該測定対象物の特定部分に対する光の照射を複数の方向から行える光源と、当該光源の一部である第1部分の点灯が行われるようにした後に当該光源の他の一部である第2部分であって当該交差方向における位置が当該第1部分の位置とは異なる当該第2部分の点灯が行われるようにして当該測定対象物の当該特定部分に対する光の照射が複数の方向から行われるようにするプロセッサと、当該移動体に設けられ当該交差方向に延びる形で設けられ当該特定部分からの反射光を受光する受光部と、を備える装置からの情報を処理するコンピュータにて用いられるプログラムであり、測定対象物の前記特定部分に対して前記第1部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第1の情報を取得する機能と、測定対象物の前記特定部分に対して前記第2部分から光が照射された際に前記受光部が受光する光の情報である第2の情報を取得する機能と、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき、前記特定部分の表面の傾きについての情報を得る機能と、を前記コンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1~6の発明によれば、一方向のみから光を照射して特定部分の表面の傾きを把握する場合に比べ、測定対象物の特定部分の表面の傾きをより精度よく得られるようにすることができる。
請求項7の発明によれば、測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行わない場合に比べ、より多くの方向からの特定の部分への光の照射を行える。
請求項8の発明によれば、特定部分の表面の傾きのうちの、一の方向における成分と、この一の方向と直交する方向における成分の両者を取得することが可能になる。
請求項9の発明によれば、補正用情報を生成しない場合に比べ、特定部分の表面の傾きについての情報の精度を上げることができる。
請求項10の発明によれば、表面の傾きについての情報である傾き情報を独自の形式で出力する場合に比べ、傾き情報の活用の幅を拡げることができる。
請求項11の発明によれば、一方向のみから光を照射して特定部分の表面の傾きを把握する場合に比べ、測定対象物の特定部分の表面の傾きをより精度よく得られるようにすることができる。
請求項12の発明によれば、一方向のみから光を照射して特定部分の表面の傾きを把握する場合に比べ、測定対象物の特定部分の表面の傾きをより精度よく得られるようにすることができる。
請求項13の発明によれば、受光部が受光した光の強度についての情報に基づき、特定部分の表面の傾きについての情報を得ることができる。
請求項14の発明によれば、一方向のみから光を照射して特定部分の表面の傾きを把握する場合に比べ、測定対象物の特定部分の表面の傾きをより精度よく得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像読み取り装置の全体構成を示す図である。
【
図3】読み取りユニット等の構成を説明する図である。
【
図4】(A)、(B)は、読み取りユニットの状態を示した図である。
【
図5】法線の傾斜角度と画素値の関係を説明する図である。
【
図6】
図3の矢印VIで示す方向から、センサ、第1光源、第2光源、および、測定対象物の特定部分を見た場合の図である。
【
図7】(A)、(B)は、
図3の矢印VIIで示す方向からセンサ等を見た場合の図である。
【
図8】
図3の矢印VIIIで示す方向から測定対象物を見た場合の図ある。
【
図9】
図3の矢印IVで示す方向から第3光源等を見た場合の図である。
【
図10】読み取りユニットの他の構成例を示した図である。
【
図12】第1プラテンガラスを上方から見た場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、画像読み取り装置1の全体構成を示す図である。
画像読み取り装置1は、原稿を走査(スキャン)することによって原稿についての画像を取得するスキャナ装置10と、原稿をスキャナ装置10へ搬送する原稿送り装置20Aとを備える。
【0009】
原稿送り装置20Aには、複数枚の原稿からなる原稿束が積載される原稿積載部21が設けられている。また、原稿送り装置20Aには、原稿積載部21の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿を積載する排紙積載部22が設けられている。
さらに、原稿送り装置20Aには、原稿積載部21の原稿を送りだす送り出しロール23、原稿を一枚ずつに捌く捌き機構24が設けられている。
【0010】
さらに、原稿が搬送される搬送路25には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールに向けて搬送する搬送ロール26、スキャナ装置10に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール27が設けられている。
また、スキャナ装置10にて読み込み中の原稿の搬送を助けるシュート28、読み込まれた原稿をさらに下流へ搬送するアウトロール29が設けられている。更に、原稿を排紙積載部22に排出する排出ロール30が設けられている。
【0011】
スキャナ装置10には、収容筐体13と、上部カバー14とが設けられている。
上部カバー14には、静止した状態の原稿が載せられる第1プラテンガラス11A、原稿送り装置20Aによって搬送される原稿を読み取るための光を透過させる第2プラテンガラス11Bが取り付けられている。
また、第1プラテンガラス11Aと第2プラテンガラス11Bとの間には、原稿送り装置20Aにより搬送される原稿を案内する案内部材68が設けられている。
【0012】
また、案内部材68の下部には、白色の基準板71(被照射体の一例)が設けられている。基準板71は、シェーディング補正(後述)を行う際の基準となる白色の面を有する。
また、収容筐体13の内部には、第1プラテンガラス11Aに載せられた原稿や、原稿送り装置20Aによって搬送される原稿の読み取りを行う読み取りユニット12が設けられている。
【0013】
さらに、読み取りユニット12を図中左右方向に移動させる移動機構(不図示)が設けられている。移動機構は、特に限定されず、公知の機構により構成される。
読み取りユニット12は、第1プラテンガラス11Aに載せられた原稿の読み取りを行う際には、第1プラテンガラス11Aの下方を右方向へ移動する。
また、原稿送り装置20Aにより搬送される原稿の読み取りが行われる際には、読み取りユニット12は、第2プラテンガラス11Bの下方に、静止した状態で配置される。
【0014】
読み取りユニット12の内部には、LEDなどにより構成される光源(詳細は後述)、原稿からの反射光を集光する結像光学系、および、結像光学系により集光された光を受光するセンサが設けられている。
画像読み取り装置1のリア側には、原稿送り装置20Aの開閉のためのヒンジ(不図示)が設けられ、本実施形態では、画像読み取り装置1のリア側への原稿送り装置20Aの回転を行える。
【0015】
第1プラテンガラス11Aに原稿が載せられる際には、ユーザが、原稿送り装置20Aを、画像読み取り装置1のリア側へ回転させる。
そして、ユーザによって、原稿が第1プラテンガラス11Aの上に置かれると、ユーザにより、画像読み取り装置1のフロント側へ原稿送り装置20Aが回転され、原稿送り装置20Aは元の位置に戻される。
その後、本実施形態では、不図示のスタートボタンが押圧され、原稿の読み取りが開始される。
【0016】
また、本実施形態の画像読み取り装置1では、画像読み取り装置1の各部を制御する制御部60が設けられている。
また、画像読み取り装置1には、情報を表示する表示装置61が設けられている。この表示装置61は、液晶ディスプレイなどの公知の装置により構成される。
【0017】
図2は、制御部60の構成を示した図である。
制御部60には、装置全体の動作を制御する制御ユニット101と、データ等を記憶する記憶部102と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース103とを有している。
ここで、制御ユニット101の部分は、受光部であるセンサ(後述)からの情報を処理する情報処理装置として捉えることができる。
【0018】
制御ユニット101は、プロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)111と、基本ソフトウエアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)112と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)113とを有している。
制御ユニット101は、いわゆるコンピュータである。
【0019】
記憶部102は、半導体メモリなどにより構成される。
制御ユニット101と、記憶部102と、ネットワークインターフェース103は、バス104や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0020】
ここで、CPU111によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、画像読み取り装置1へ提供しうる。
また、CPU111によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、画像読み取り装置1へ提供してもよい。
【0021】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0022】
〔読み取りユニット12等の構成〕
図3は、読み取りユニット12等の構成を説明する図である。
読み取りユニット12には、光照射手段の一部として機能する光照射部12Aが設けられている。本実施形態では、この光照射部12Aに、CPU111からの信号が入力され、原稿に対する光の照射が行われる。
【0023】
光照射部12Aには、光源が設けられている。具体的には、本実施形態では、光源として、第1光源16、第2光源18、第3光源20の3つの光源が設けられている。
また、光照射部12Aには、第1光源16、第2光源18、第3光源20の各々の点灯を制御するための制御ユニット(不図示)が設けられている。なお、制御ユニットの位置は特に問わず、スキャナ装置10の本体側に設けてもよい。
【0024】
また、読み取りユニット12には、原稿からの反射光を集光する結像光学系31、および、結像光学系31により集光された光を受光するセンサ32が設けられている。
読み取りユニット12は、移動体であり、図中矢印3Aで示す方向へ移動する。
第1プラテンガラス11Aは、板状に形成された透明のガラス板により構成されている。また、第1プラテンガラス11Aは、水平方向に沿って配置されている。第1プラテンガラス11Aは、原稿を下方から支持する。
【0025】
より具体的には、第1プラテンガラス11Aは、上方を向き平面となっている支持面11Dを有し、この支持面11Dを用いて、原稿を下方から支持する。なお、第1プラテンガラス11Aは、ガラス板に限らず、例えばアクリル板などであってもよい。
スキャナ装置10によって、原稿の読み取りが行われる際、この原稿は、支持面11Dにより支持され平面に沿って配置される。
【0026】
本実施形態の画像読み取り装置1では、一般的な原稿の読み取りだけではなく(色情報の取得だけではなく)、被読み取り物の各部分の表面の傾きについての情報も得られる。言い換えると、本実施形態の画像読み取り装置1は、測定装置として捉えることもでき、画像読み取り装置1では、被読み取り物の各部分の表面の傾きの測定も行える。
以下では、この表面の傾きについての情報を得る際の処理を説明する。
また、以下では、表面の傾きについての情報を得る被読み取り物(対象物)を、「測定対象物」と称する。
【0027】
ここで、測定対象物は、特に制限されず、紙、布、金属、樹脂、ゴムなどが一例に挙げられる。また、測定対象物の形状も特に問わない。紙や布などの場合は、丸めた形状とすることができる。
本実施形態では、丸めることができる測定対象物の場合、第1プラテンガラス11Aの上にこの測定対象物を置くことで、この測定対象物は、支持面11Dに沿って平面状に配置される。
【0028】
第1光源16、第2光源18、第3光源20の各々は、互いに異なる位置に配置され、本実施形態の光照射部12Aは、測定対象物の特定部分40に対する光の照射を複数の方向から行える。
言い換えると、本実施形態では、測定対象物のうちの、表面の傾きの把握を行う部分を特定部分40として捉えた場合に、この特定部分40に対する光の照射を複数の方向から行える。
【0029】
第1光源16、第2光源18、第3光源20の各々は、
図3の紙面に垂直な方向に沿って延びている。また、第1光源16、第2光源18、第3光源20の各々は、読み取りユニット12の移動方向と交差(直交)する方向に沿って延びている。
また、第1光源16、第2光源18、第3光源20の各々では、白色のLED(点光源)が主走査方向に複数並んでいる。
なお、第1光源16、第2光源18、第3光源20は、蛍光ランプや、希ガス蛍光ランプなどにより構成してもよい。
【0030】
また、読み取りユニット12には、上記の通り、結像光学系31およびセンサ32が設けられている。
受光部の一例としてのこのセンサ32は、測定対象物の特定部分40からの反射光を受光する。
センサ32は、図中紙面に垂直な方向に沿って延びている。言い換えると、センサ32は、読み取りユニット12の移動方向と交差(直交)する方向に沿って延びており、この方向を主走査方向と称する。センサ32は、受光素子32Aが列状に配列されたラインセンサであり、測定対象物からの主走査方向の反射光が結像光学系31に受光素子32Aに結像され、測定対象物の主走査方向の所定範囲を一度に読み取ることができる。
【0031】
ここで、本実施形態では、第1光源16、第2光源18、第3光源20、および、センサ32が延びる方向を主走査方向と称する。
また、本実施形態では、この主走査方向と交差する方向(読み取りユニット12が移動する移動方向)を、副走査方向と称する。
【0032】
読み取りユニット12は、測定対象物についての読み取りを行う際、予め定められた速度で副走査方向に移動する。より具体的には、図中矢印3Aで示す方向へ移動する。
結像光学系31は、反射ミラーや結像レンズで構成され、測定対象物の特定部分40(被読み取部分)からの反射光をセンサ32に結像させる。
センサ32は、結像光学系31により結像された反射光を受け、受けた反射光の強度に応じた情報(反射光の強度についての情報)を生成して出力する。
【0033】
センサ32は、CCDリニアイメージセンサやCMOSイメージセンサ等により構成され、受光した光の強度について情報を出力する。
センサ32には、受光素子32Aが複数設けられている。また、センサ32では、この受光素子32Aが主走査方向に並んでいる。
【0034】
また、センサ32は、カラーフィルタを備え、原稿や測定対象物の色を表す画像信号を生成する。そして、本実施形態の画像読み取り装置1では、この画像信号を基に、RGB(165,42,42)などの3つの値からなるRGB値が生成され、画像読み取り装置1からは、このRGB値が出力される。
言い換えると、本実施形態では、原稿や測定対象物の色についての情報である色情報が、画像読み取り装置1にて取得され、さらに、3つの値が並ぶデータ形式(予め定められたデータ形式)で、この色情報が画像読み取り装置1から出力される。
【0035】
第1光源16は、読み取りユニット12の移動方向(測定対象物の読み取りを行う際の移動方向)において、読み取りを行う特定部分40よりも上流側に位置し、下流側に位置する特定部分40に向けて光を照射する。
第2光源18、第3光源20は、読み取りユニット12の移動方向において、特定部分40よりも下流側に位置し、上流側に位置する特定部分40に向けて光を照射する。
【0036】
また、本実施形態では、支持面11Dに対する垂線であって特定部分40を通る垂線70と、第1光源16から特定部分40に光が照射される際にこの光が通る光路R1とのなす角度(光の入射角度)θ1が45°となっている。
また、本実施形態では、垂線70と、第2光源18から特定部分40に光が照射される際にこの光が通る光路R2とのなす角度(光の入射角度)θ2が45°となっている。
【0037】
この結果、本実施形態では、第1光源16から特定部分40に向かう光が通る光路R1と垂線70とのなす角度θ1と、第2光源18から特定部分40に向かう光が通る光路R2と垂線70とのなす角度θ2とが等しくなっている。
言い換えると、本願発明では、第1光源16が設置された一の箇所から特定部分40に向かう光が通る光路R1と垂線70とのなす角度θ1と、第2光源18が設置された他の箇所から特定部分40に向かう光が通る光路R2と垂線70とのなす角度θ2とが等しくなっている。
【0038】
さらに、本実施形態では、垂線70と、第3光源20から特定部分40に光が照射される際にこの光が通る光路R3とのなす角度θ3が5°となっている。
本実施形態では、第2光源18、第3光源20が設けられている結果、本実施形態の光照射部12Aは、垂線70に対する角度が互いに異なる複数の方向の各々から、特定部分40に対する光の照射を行える。
【0039】
第3光源20は、特定部分40からセンサ32に向かう反射光を遮ることがない位置に設けられる。言い換えると、第3光源20は、垂線70から外れた位置に設けられている。
言い換えると、本実施形態では、垂線70が通る部分が、特定部分40からセンサ32に向かう反射光の光路となっており、本実施形態では、この光路から外れた位置に、第3光源20が設けられている。
【0040】
なお、本実施形態では、上記のとおり、垂線70と、第3光源20から特定部分40に光が照射される際にこの光が通る光路R3とのなす角度θ3が5°となっているが、これに限らず、なす角度θ3は、5°~10°程度であってもよい。
本実施形態では、特定部分40からの反射光は、垂線70が延びる方向に進行してセンサ32に達し、この反射光は、センサ32により受光される。
【0041】
〔測定対象物の読み取り、法線角度の取得〕
測定対象物の読み取り処理、および、法線角度の取得処理について説明する。
本実施形態では、まず、CPU111が、光照射手段の一例としての光照射部12Aへ制御信号を出力して、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を順に行わせる。
【0042】
次いで、CPU111は、一の方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報と、他の方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報とに基づき、特定部分40の表面の傾きについての情報を得る。
言い換えると、CPU111は、一の方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32から出力される情報と、他の方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32から出力される情報とに基づき、特定部分40の表面の傾きについての情報を得る。
【0043】
特定部分40への光の照射について詳細に説明する。
本実施形態では、まず、CPU111は、
図4(読み取りユニット12の状態を示した図)の(A)に示すように、第1光源16のみを点灯させた状態で、読み取りユニット12を図中右方向に移動させる。
この場合、特定部分40に対しては、図中、左下方向から光が照射される。
【0044】
なお、本実施形態では、読み取りユニット12の移動に応じて、特定部分40が順次移動する。
本実施形態において、「特定部分40」とは、測定対象物の一部分を指す。より具体的には、「特定部分40」とは、測定対象物の一部分であって、センサ32に設けられた複数の受光素子32Aのうちの1つの受光素子32Aにより読み取られる部分を指す。
本実施形態では、読み取りユニット12の移動に応じて、この1つの受光素子32Aが移動し、これに伴い、この1つの受光素子32Aにより読み取られる部分である特定部分40も、順次移動する。
【0045】
次いで、本実施形態では、CPU111は、
図4(B)に示すように、第2光源18のみを点灯させた状態で、読み取りユニット12を図中右方向に移動させる。この場合、特定部分40に対しては、図中、右下方向から光が照射される。
このように、第1光源16、第2光源18の各々を順に点灯させる場合、複数の方向からの特定部分40への光の照射が順に行われる。具体的には、左下方向からの特定部分40への光の照射がまず行われ、次いで、右下方向からの特定部分40への光の照射が行われる。
【0046】
なお、本実施形態では、読み取りユニット12が、図中右方向へ移動する際に、第1光源16、第2光源18の各々を順に点灯させる場合を説明した。
ところで、これに限らず、読み取りユニット12が、図中右方向へ移動する際に、第1光源16を点灯させ、読み取りユニット12が、図中左方向へ移動する際に、第2光源18を点灯させてもよい。
また、各光源を点灯させる順序も特に問わず、第2光源18を先に点灯させ、次いで、第1光源16を点灯させてもよい。
【0047】
CPU111は、左下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報を得る。また、CPU111は、右下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報を得る。
言い換えると、CPU111は、左下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32から出力される出力値を得る。また、CPU111は、右下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32から出力される出力値を得る。
【0048】
そして、CPU111は、左下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報(センサ32からの出力値)と、右下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報(センサ32からの出力値)とに基づき、特定部分40の表面の傾きについての情報を得る。
【0049】
より具体的には、CPU111は、例えば、左下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光した光の情報(以下、「第1情報」と称する)により特定される値と、右下方向から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光した光の情報(以下、「第2情報」と称する)により特定される値とが等しい場合、特定部分40の表面の傾きは0°であると判断する。
【0050】
より具体的には、支持面11Dに対する垂線であって特定部分40を通る垂線70(
図4(A)参照)を想定した場合に、CPU111は、第1情報と第2情報とが等しい場合、特定部分40の表面40Aの法線40Xの傾きであって垂線70に対する傾きが、0°であることを示す情報を出力する。
また、CPU111は、第1情報と第2情報とが異なっている場合、法線40Xの垂線70に対する傾きを、0°以外の値として出力する。
【0051】
ここで、本実施形態では、例えば、第1情報により特定される値の方が第2情報により特定される値よりも大きい場合、法線40Xが、
図4(A)における矢印4Eで示す方向を向いていることになる。
また、本実施形態では、この場合、CPU111は、第1情報により特定される値と第2情報により特定される値とに基づき、この法線40Xの、垂線70に対する具体的な角度(以下、「法線角度」と称する)を得る(詳細は後述)。
【0052】
また、例えば、第1情報により特定される値の方が第2情報により特定される値よりも小さい場合、法線40Xが、
図4(A)における矢印4Fで示す方向を向いていることになる。
また、本実施形態では、この場合、CPU111は、第1情報により特定される値と第2情報により特定される値とに基づき、この法線40Xの、垂線70に対する具体的な角度(法線角度)を得る(詳細は後述)。
【0053】
〔処理の詳細〕
特定部分40への光の照射から、法線角度の取得までの処理の詳細を説明する。
本実施形態では、最初に、第1光源16、第2光源18のシェーディング補正を行う。なお、このシェーディング補正については後述する。
次いで、本実施形態では、第1光源16、第2光源18の各々を個別に点灯させて、2つのスキャン画像を取得する。
【0054】
より具体的には、まず、上記の通り、第1光源16を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させて、特定部分40の各々への光の照射を左下方向から行うことにより得られる、1つの目のスキャン画像を得る。
次いで、第2光源18を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させて、特定部分40の各々への光の照射を右下方向から行うことにより得られる、2つの目のスキャン画像を得る。
次いで、本実施形態では、この2つのスキャン画像をグレースケール化する。
【0055】
その後、2つのスキャン画像から、同一の画素についての2つの画素値を得る。言い換えると、同一の特定部分40についての2つの画素値を得る。
より具体的には、同一の特定部分40について、第1光源16から光が照射された際にセンサ32から出力された出力値と、第2光源18から光が照射された際にセンサ32から出力された出力値との両者を得る。
【0056】
より具体的には、本実施形態では、上記の通り、1つの受光素子32Aにより特定部分40の読み取りが行われる。
本実施形態では、第1光源16から特定部分40に光が照射された際にこの1つの受光素子32Aから出力された出力値と、第2光源18から特定部分40に光が照射された際にこの1つの受光素子32Aから出力された出力値との2つの出力値を得る。
【0057】
より具体的には、本実施形態では、各スキャン画像にて、同一画素位置(x、y)の画素値を抽出する。
ここで、本実施形態では、一方のスキャン画像から得られた画素値を、D_-45(x、y)とし、他方のスキャナ画像から得られた画素値を、D_45(x、y)とする。
ここで、「-45」という数値は、第1光源16からの光の入射角度を示す。また、「45」という数値は、第2光源18からの光の入射角度を示す。
【0058】
次いで、本実施形態では、第1光源16から光が照射された際に得られた上記の画素値(D_-45)と、入射角度「-45°」とを対応付け、第2光源18から光が照射された際に得られた上記の画素値(D_45)と、入射角度「+45°」とを対応付ける。
また、本実施形態では、入射角度が、垂線70に対して±180°の場合は、センサ32からの出力値が零になる事から、画素値「0」と入射角度「-180°」とを対応付け、画素値「0」と入射角度「+180°」とを対応付ける。
【0059】
次いで、CPU111は、入射角度を独立変数(例えば、-180°~+180°)とし、画素値を従属変数(例えば0~255)としたうえでフィッティングを行う。
より具体的には、CPU111は、-180°、-45°、+45°、+180°の4つの入射角度と、この4つの入射角度の各々に対応付けられた4つの画素値とを基に、BRDFモデル(Cook-Torranceなど)や、スプライン補間を用いてフィッティングする。
【0060】
より具体的には、CPU111は、例えば、スプライン曲線を4つの上記画素値にフィッティングさせる処理を行う。
次いで、フィッティング後のスプライン曲線からピークを抽出し、このピークに対応した独立変数(入射角度)を、対象となっている特定部分40の表面40Aの入射角度として把握する。
そして、CPU111は、把握したこの入射角度を基に、特定部分40の表面40Aの法線角度を得る。
CPU111は、以上の処理を、全ての特定部分40の各々について行い、各特定部分40についての法線角度を得る。
【0061】
図5は、入射角度と法線角度との関係を示した図である。
図5では、符号αで示す角度が、フィッティング後のスプライン曲線のピークを基に得た入射角度の一例を示している。具体的には、この例では、入射角度として、30°という入射角度が得られた場合を例示している。
CPU111は、この入射角度である30°を把握すると、この入射角度の半分の値を、特定部分40の表面40Aの法線角度βとして得る。この例では、CPU111は、15°を、特定部分40の表面40Aの法線角度βとして得る。
【0062】
図6は、
図3の矢印VIで示す方向から、測定対象物に対しセンサ32で一度に読み取れる範囲32´、第1光源16、第2光源18、および、測定対象物の特定部分40を見た場合の図である。
本実施形態では、上記のように、第1光源16、第2光源18の各々から順に光が照射される結果、垂線70の周囲に位置する複数箇所の各々から、特定部分40への光の照射が行われる。
【0063】
より具体的には、例えば、第1の箇所6Aと、第2の箇所6Bとから特定部分40への光の照射が順に行われる。
ここで、本実施形態では、垂線70を基準として、この垂線70から第1の箇所6Aを見た場合の方位と、この垂線70から第2の箇所6Bを見た場合の方位とが異なっている。
【0064】
本実施形態では、複数箇所の各々からの特定部分40への光の照射が行われるが、垂線70を基準としてこれらの箇所の各々を見た場合の方位が互いに異なっている。
そして、本実施形態では、方位が互いに異なるこの複数箇所の各々から、特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0065】
本実施形態では、第1光源16、第2光源18を順に点灯させると、第1の箇所6A、第2の箇所6Bから特定部分40への光の照射が順に行われる。
この場合、垂線70から第1の箇所6Aを見た場合の方位と垂線70から第2の箇所6Bを見た場合の方位とのなす角度が180°となる関係を有する、この第1の箇所6Aと第2の箇所6Bとから、特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0066】
より具体的には、本実施形態では、CPU111(
図2参照)による光源の点灯制御によって、なす角度が180°となるこの第1の箇所6A、第2の箇所6Bの各々から、特定部分40への光の照射が順に行われる。
このように、なす角度が180°となる2箇所から特定部分40への光の照射を順に行うと、特定部分40の表面40Aの傾き(法線角度)をより精度よく得られる。
より具体的には、本実施形態では、
図11に示すように、第1光源16、第2光源18の点灯時には、第1光源16、第2光源18の各々は、主走査方向の全体に亘って点灯する。そして、本実施形態では、第1光源16、第2光源18の各々の点灯時に、主走査方向の1ライン分の画素の画像が読み取られる。この点灯処理が行われる場合、本実施形態では、特定部分40の各々に対し、この特定部分40の両側に位置する、なす角度が180°となる第1の箇所6A、第2の箇所6Bの各々から、光の照射が順に行われる。
【0067】
ここで、特定部分40の表面40Aの傾きを把握するにあたっては、例えば、この特定部分40に対し、例えば、1箇所のみから光を照射する態様が考えられる。
この場合、この特定部分40からの反射光を受光し、受光したこの反射光の強度を把握することで、この特定部分40の表面40Aの傾きの把握を一応行える。
【0068】
ところで、反射光の強度は、特定部分40の色の影響を受けるものであり、特定部分40の色に応じて反射光の強度が変化し、特定部分40の表面40Aの傾きを正確に把握できなくなるおそれがある。
これに対して、本実施形態のように、2箇所の各々からの特定部分40への光の照射を順に行うと、色の影響が小さくなり、特定部分40の表面40Aの傾きをより精度よく得られる。
【0069】
ここで、支持面11Dに対して直交し且つ主走査方向に沿った面であって、特定部分40を通る面90(
図6参照)を想定する。
本実施形態では、この面90の両側の位置する第1領域AR1、第2領域AR2の各々に、光源(第1光源16、第2光源18)が設けられた構成となっている。
そして、本実施形態では、この第1領域AR1、第2領域AR2の各々から特定部分40への光の照射を順に行う。これにより、特定部分40の色の影響が小さくなり、特定部分40の表面40Aの傾きをより精度よく得られる。
【0070】
なお、上記では、なす角度が180°である場合を説明したが、なす角度は180°に限らず、なす角度が90°よりも大きくなる関係を有する2箇所から特定部分40への光の照射を行ってもよい。
言い換えると、特定部分40への光の照射は、なす角度が180°となる関係を有する2箇所からに限らず、なす角度が90°よりも大きく且つ180°よりも小さい関係を有する2箇所から行ってもよい。
ここで、本実施形態の画像読み取り装置1では、装置の構成上、なす角度が180°である2箇所から、特定部分40への光の照射が行われるが、その他の装置構成として、例えば、点光源を用意し、この点光源を、法線回りに移動させる構成も考えられる。
この場合、なす角度は180°に限らず、180°よりも小さいなす角度となる2箇所の各々から光の照射を行える。
この場合に、なす角度が90°よりも小さいと、法線に対して同じ側から光の照射が行われることになり、特定部分40の表面40Aの傾きの把握精度が低下しやすい。これに対し、なす角度が90°を超えると、90°よりも小さい場合に比べ、特定部分40の表面40Aの傾きの把握精度が向上する。
【0071】
また、その他に、CPU111は、光照射部12A(
図3参照)に、一方向に沿って配置された光源の一部の点灯を行わせ、その後、他の一部の点灯を行わせることで、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行ってもよい。
【0072】
より具体的には、本実施形態では、例えば、第1光源16は、主走査方向に沿った一方向に沿っている。
図7(
図3の矢印VIIで示す方向からセンサ32等を見た場合の図)の(A)に示すように、この第1光源16の長手方向における一部分の点灯を行い、その後、(B)に示すように、この第1光源16の長手方向における他の一部分の点灯を行うことで、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行ってもよい。
【0073】
より具体的には、
図7に示す例では、第1光源16の長手方向における一部分の点灯を行い、その後、この一部分との間に間隙を有して配置された他の一部分の点灯を行うことで、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行っている。
より具体的には、
図7に示す例では、
図7(A)に示すように、第1光源16の長手方向における一端部16Aの点灯を行い、その後、他端部16Bの点灯を行い、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行っている。
【0074】
このように、第1光源16の長手方向における一部分、他の一部分の点灯を順に行うと、この一部分と、この他の一部分との間に位置する特定部分40に対して、互いに異なる複数の方向の各々からの光の照射を行える。
より具体的には、主走査方向における一方側から、また、主走査方向における他方側から、特定部分40への光の照射を行える。
【0075】
なお、このように、第1光源16の互いに異なる部分を順に点灯させる場合は、第1光源16とともに第2光源18も点灯させることが好ましい。第2光源18も点灯させると、法線角度をより精度よく得られる。
ここで、第1光源16のみを点灯させると、特定部分40に、副走査方向に延びる陰影が生じるおそれがあり、この陰影によって、法線角度の把握精度が低下するおそれがある。
これに対し、第2光源18も点灯させると、この陰影が生じにくくなり、法線角度の把握精度の低下を抑えられる。
【0076】
なお、第2光源18も点灯させる場合は、第1光源16の点灯箇所と同じ箇所を点灯させるようにする。より具体的には、第2光源18も点灯させる場合は、主走査方向における第1光源16の点灯箇所と、主走査方向における第2光源18の点灯箇所とを一致させる。
より具体的には、例えば、第1光源16の長手方向における一端部16Aを点灯させる際には、第2光源18の長手方向における一端部18A(
図7(A)参照)を点灯させる。
また、第1光源16の長手方向における他端部16Bを点灯させる際には、第2光源18の長手方向における他端部18B(
図7(B)参照)を点灯させる。
【0077】
図6にて示した処理では、特定部分40の表面40Aの法線角度のうちの、副走査方向における成分の取得を行える。これに対して、
図7に示した処理では、特定部分40の表面40Aの法線角度のうちの、主走査方向における成分の取得を行える。
本実施形態では、上記
図6に示した処理に加え、
図7にて示した処理を行うと、測定対象物の向きを変更せずに、法線角度の、副走査方向における成分、主走査方向における成分の取得を行える。
【0078】
また、その他に、CPU111は、測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行ってもよい。
より具体的には、CPU111は、支持面11D(
図3参照)に対する垂線70を回転中心として測定対象物が回転するように測定対象物を回転させる指示を、ユーザに対して行ってもよい。
【0079】
ここで、本実施形態では、スキャナ装置10により測定対象物の読み取りが行われる際、測定対象物は、第1プラテンガラス11A(
図3参照)の支持面11Dに沿って配置され、平面に沿って配置される。
CPU111は、この支持面11Dに対する垂線70を回転中心として測定対象物が回転するように測定対象物を回転させる指示を、ユーザに対して行う。
より具体的には、例えば、CPU111は、垂線70を回転中心として測定対象物が90°回転するように測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行う。
【0080】
図8は、
図3の矢印VIIIで示す方向から測定対象物を見た場合の図ある。
図8における符号8Aが、支持面11Dに対する垂線70を示しており、CPU111は、例えば、この垂線70を回転中心として測定対象物が90°回転するように測定対象物を回転させる指示をユーザに対して行う。
より具体的には、CPU111は、表示装置61(
図1参照)に、例えば、「測定対象物を90°回転させてください。」という表示を行う。
【0081】
そして、本実施形態では、ユーザによって、測定対象物が回転された後、CPU111は、上記と同様に、第1光源16を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させ、次いで、第2光源18を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させる。
より具体的には、本実施形態では、
図12(第1プラテンガラス11Aを上方から見た場合の図)に示すように、第1プラテンガラス11Aの左上の角部に対して長方形の測定対象物の角部を合わせるようになっている。ユーザによって測定対象物が回転されると、測定対象物は、例えば、
図12(A)に示す状態から、
図12(B)に示す状態とされる。その後、CPU111は、第1光源16を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させ、次いで、第2光源18を点灯させた状態で読み取りユニット12を移動させる。
これにより、特定部分40の表面40Aの法線角度についての、長方形の測定対象物の長辺に沿った方向と短辺に沿った方向とを考慮した成分が取得されるようになる。
【0082】
特定部分40の表面40Aの法線角度についての、主走査方向における成分を取得する方法としては、上記のように、第1光源16の複数箇所を点灯させる方法が挙げられる。
また、この方法以外に、上記のように、測定対象物を回転させることによっても、法線角度についての、主走査方向における成分の取得を行える。
なお、このように、測定対象物を回転させる場合は、位置の基準となる画像を測定対象物に予め付与しておき、この位置の基準となる画像を基に、特定部分40の各々について、副走査方向における成分と、主走査方向における成分とを取得する。
【0083】
また、その他に、スキャナ装置10にて、測定対象物が90°回転したか否かを判断し、90°回転していない場合には、表示装置61(
図1参照)を通じて、測定対象物の再セットをユーザに促す通知を行ってもよい。
ここで、測定対象物が90°回転したか否かは、例えば、回転が終了した後の測定対象物の辺が、主走査方向や副走査方向に沿って配置されているか否かにより判断する。
【0084】
回転が終了した後の測定対象物の辺が、主走査方向や副走査方向に沿って配置されている場合、測定対象物が90°回転したと判断される。
また、回転が終了した後の測定対象物の辺が、主走査方向や副走査方向に沿って配置されていない場合、測定対象物が90°回転したと判断されず、この場合は、例えば、表示装置61を通じて、測定対象物の再セットをユーザに促す通知が行われる。
【0085】
また、CPU111は、第3光源20を点灯させた状態(第1光源16、第2光源18を点灯させずに、第3光源20のみを点灯させた状態)で、読み取りユニット12を移動させて、特定部分40からの反射光をさらに得てもよい。
この場合、本実施形態では、垂線70に対する角度が互いに異なる複数の方向の各々から、特定部分40への光の照射が順に行われることになる。
より具体的には、この場合、第2光源18に加え、第3光源20も点灯されることになり、垂線70に対する角度が互いに異なる複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0086】
本実施形態では、
図3に示すように、第2光源18から特定部分40へ向かう光の光路R2と垂線70とのなす角度θ2と、第3光源20から特定部分40へ向かう光の光路R3と垂線70とのなす角度θ3とが異なっている。
この場合、第2光源18、第3光源20を順に点灯させると、垂線70に対する角度が互いに異なる複数の方向の各々から、特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0087】
言い換えると、第2光源18、第3光源20を順に点灯させると、第2光源18が設置された箇所(以下、「第2光源設置箇所」と称する)、第3光源20が設置された箇所(以下、「第3光源設置箇所」と称する)の2箇所の各々から特定部分40への光の照射が順に行われる。
この場合、垂線70に対する角度が互いに異なる複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0088】
図9は、
図3の矢印IVで示す方向から第3光源20等を見た場合の図である。
図9では、符号9Aで示す点光源(以下、「第1点光源9A」と称する)と、符号9Bで示す点光源(以下、「第2点光源9B」と称する)とに着目する。
この場合に、本実施形態では、垂線70から第1点光源9Aを見た場合の方位と、垂線70から第2点光源9Bを見た場合の方位とのなす角度が90°よりも小さくなっている。
より具体的には、本実施形態では、垂線70から第1点光源9Aを見た場合の方位と、垂線70から第2点光源9Bを見た場合の方位とが揃っており、なす角度が、90°よりも小さい0°となっている。
【0089】
本実施形態では、第2光源18、第3光源20の両者を順に点灯させると、第1点光源9Aから特定部分40へ光が照射され、また、第2点光源9Bから特定部分40へ光が照射される。
この場合は、垂線70から第1点光源9Aを見た場合の方位と、垂線70から第2点光源9Bを見た場合の方位とのなす角度が0°となる関係を有する2つの点光源(2つの箇所)から、特定部分40への光の照射が順に行われる。
【0090】
本実施形態では、第3光源20も点灯させると、設置位置が互いに異なる3つの光源(第1光源16、第2光源18、第3光源20)から特定部分40への光の照射が行われることになり、2つの光源から光の照射を行う場合に、法線角度の把握精度が向上する。
より具体的には、第3光源20も点灯させると、5つの入射角度の各々に対応付いた画素値(5つの画素値)を基に、上記のフィッティングを行うことになり、法線角度の把握精度が向上する。
【0091】
即ち、上記では、-180°、-45°、+45°、+180°の4つの入射角度に対応する画素値(4つの画素値)の各々を基に、フィッティングした。
これに対し、第3光源20も点灯させると、「+5°」も加えた5つの入射角度に対応する画素値(5つの画素値)の各々を基に、フィッティングすることになり、法線角度の把握精度が向上する。
【0092】
より具体的には、特定部分40に急峻な凹凸がある場合や、特定部分40が非常に黒い場合は、例えば、「-45°」、「+45°」の2つの入射角度に対応する画素値(2つの画素値)が互いに近くなることがある。この場合、フィッティング後のスプライン曲線のピークの位置が、明確に現れなくなるおそれがある。
これに対し、本実施形態のように、第3光源20も点灯させると、フィッティング後のスプライン曲線のピークの位置がより明確に現れやすくなり、法線角度の把握精度が向上する。
【0093】
〔シェーディング補正〕
次に、シェーディング補正について説明する。
本実施形態では、上記のように、白色の基準板71(
図1参照)が設けられている。
シェーディング補正が行われる場合、まず、被照射体の一例としての、この白色の基準板71に対して、第1光源16および第2光源18の各々から光が照射される。言い換えると、共通のこの基準板71に対して、第1光源16および第2光源18の各々から光が照射される。
【0094】
より具体的には、本実施形態では、上記のように、法線角度の把握にあたって、まず、第1光源16、第2光源18のシェーディング補正が行われるが、このシェーディング補正では、まず、この白色の基準板71に対して、第1光源16および第2光源18の各々から光が照射される。
より具体的には、白色の基準板71の対向位置に読み取りユニット12を配置した状態で、白色の基準板71に対して、第1光源16および第2光源18の各々から順に光が照射される。
【0095】
そして、本実施形態では、CPU111は、基準板71に対して第1光源16から光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報(以下、「第1光情報」と称する)と、基準板71に対して第2光源18から光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報(以下、「第2光情報」と称する)とを得る。
そして、本実施形態では、CPU111は、この第1光情報と第2光情報とに基づき、2つの補正用情報を生成する。
【0096】
具体的には、CPU111は、この第1光情報と第2光情報とに基づき、第1の光源から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報の補正に用いる第1補正用情報を生成する。
また、CPU111は、この第1光情報と第2光情報とに基づき、第2の光源から特定部分40に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報の補正に用いる第2補正用情報を生成する。
これにより、本実施形態では、光源の違いに起因してセンサ32からの出力値が異なる事態が生じにくくなる。
【0097】
第1光源16、第2光源18の各々に光量むらなどがある場合は、法線角度が0°である特定部分40を読み取ったとしても(同一の条件にある同一の特定部分40を読み取ったとしても)、第1光源16から特定部分40へ光を照射した際のセンサ32の出力値と、第2光源18から特定部分40へ光を照射した際のセンサ32の出力値とが異なってしまう。
【0098】
そこで、本実施形態では、第1光源16から、共通の基準板71(法線角度が0°となっている基準板71)に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報と、第2光源18から、この共通の基準板71に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報とが等しくなるようにする、上記の2つの補正用情報を生成する。
より具体的には、本実施形態では、センサ32に設けられた複数の受光素子32A毎に、この2つの補正用情報を生成する。
【0099】
そして、本実施形態では、特定部分40への光の照射が行われ、センサ32が特定部分40からの反射光を受光する度に、センサ32に設けられた受光素子32Aの各々からの出力値を、上記の2つの補正用情報の何れかを用いて補正する。
より具体的には、CPU111は、第1光源16から特定部分40への光の照射が行われ、センサ32が特定部分40からの反射光を受光すると、第1の補正用情報を用いて、受光素子32Aの各々からの出力値の補正を行う。
【0100】
また、CPU111は、第2光源18から特定部分40への光の照射が行われ、センサ32が特定部分40からの反射光を受光すると、第2の補正用情報を用いて、受光素子32Aの各々からの出力値の補正を行う。
これにより、本実施形態では、光源の違いに起因して法線角度の把握精度が低下することが抑制される。
【0101】
なお、上記では、第1光源16および第2光源18についてのシェーディング補正を行う場合を説明したが、第3光源20についても、同様の手法により、シェーディング補正を行う。
より具体的には、例えば、第1光源16から基準板71に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報と、第3光源20から基準板71に光が照射された際にセンサ32が受光する光の情報とが等しくなるようにする、補正用情報を生成する。
【0102】
〔傾き情報の出力〕
本実施形態では、上記のとおり、画像読み取り装置1によって、測定対象物の色についての情報である色情報が取得され、この色情報が、予め定められたデータ形式でこの画像読み取り装置1から出力される。
また、本実施形態では、CPU111は、特定部分40の表面40Aの傾きについての情報(法線角度を得ると)、この傾きについての情報(以下、「傾き情報」と称する)を、色情報が出力される際に用いられる上記の予め定められたデータ形式で出力する。
【0103】
より具体的には、本実施形態では、色情報は、RBGの各々の値が3つ連続して並んだデータ形式で出力される。そして、本実施形態では、傾き情報についても3つの値が並んだ形式で出力される。
より具体的には、傾き情報を出力するにあたっては、X成分(法線角度の副走査方向における成分)、Y成分(法線角度の主走査方向における成分)、Z成分(主走査方向および副走査方向の両者に直交する方向における、法線角度の成分)の3つの値が並んだ形式で、傾き情報が出力される。
【0104】
このように、傾き情報を、色情報が出力される際に用いられるデータ形式で出力すると、この傾き情報を取得する他のコンピュータでは、特別なソフトウエアを用意せずに、各特定部分40の傾きの程度を色の違いで表示できるようになる。
より具体的には、傾き情報を取得する他のコンピュータでは、RBG値に基づき各画素の色を視覚的に表示するソフトウエアを用いて、各特定部分40の傾きの程度を、色を用いて表示できるようになる。
【0105】
ここで、色情報が出力される際に用いられるデータ形式で、傾き情報を出力するにあたっては、まず、CPU111は、副走査方向について得た法線角度から、副走査方向の接線ベクトルNx=(1,0,X’)を取得する。
また、CPU111は、主副走査方向について得た法線角度から、主走査方向の接線ベクトルNy=(0,1,Y’)を取得する。
【0106】
次いで、CPU111は、この二つの接線ベクトルの外積を求めることで、三次元法線ベクトルNを求める。次いで、CPU111は、この三次元法線ベクトルNのノルムを算出し、三次元法線ベクトルNを規格化する(n=N/|N|)。
次いで、CPU111は、このnの各成分に1を足し、2で割り、さらに255をかけることで、XYZ成分の各々に対応する値を得る。
そして、CPU111は、XYZ成分の各々に対応するこの値(3つの値)を、値が3つ並んだ上記のデータ形式で出力する。
【0107】
〔色情報の取得〕
上記では、主に、傾き情報を取得する場合の処理を説明した。この場合は、上記のように、グレースケール化などを行って色の情報を除去したうえで、傾き情報を取得する。
これに対して、測定対象物の色情報を取得する際には、例えば、第1光源16、第2光源18の両者を点灯させた状態で、読み取りユニット12を移動させて、測定対象物の読み取りを行う。
即ち、被測定対象の色情報を取得する際には、傾き情報の取得のためのスキャンとは別に、第1光源16、第2光源18の両者を点灯させて、色情報を取得するためのスキャンを行う。
【0108】
第1光源16、第2光源18の両者を点灯させた状態で、スキャンを行うと、測定対象物に生じうる陰影を抑えることができ、この陰影に起因する読み取り精度の低下を抑えられる。
なお、色情報を取得するためのスキャンのタイミングは特に問わず、法線情報を取得するためのスキャンよりも前に行ってもよいし、法線情報を取得するためのスキャンよりも後に行ってもよい。
【0109】
〔その他〕
上記では、第1光源16、第2光源18の2つの光源を設け、第1光源16、第2光源18を順に点灯させることで、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行った。
ところで、光源を複数設けることは必須ではなく、
図10(読み取りユニット12の他の構成例を示した図)に示すように、光源が1つであっても、複数の方向の各々からの特定部分40への光の照射を行える。
【0110】
図10に示す構成例では、面90(支持面11Dに対して直交し且つ主走査方向に沿った面であって特定部分40を通る面90)よりも右側に位置する領域に、光源180が設けられている。
また、面90よりも左側に位置する領域には、光源180からの光を特定部分40に向けて反射させるミラーなどの光反射部181が設けられている。
【0111】
さらに、この構成例では、光源180から出射された光を遮る光遮り部材182が設けられている。
光遮り部材182は、移動可能となっており、光源180から特定部分40に向かう第1光路R11上、および、光源180から光反射部181に向かう第2光路R12上へ移動する。
【0112】
この構成例では、特定部分40の左下方向から特定部分40に光を照射する際には、光遮り部材182を、第1光路R11上に位置させる。これにより、特定部分40に対しては、光反射部181から光が照射される。
また、この構成例では、特定部分40の右下方向から特定部分40に光を照射する際には、光遮り部材182を、第2光路R12上に位置させる。これにより、特定部分40に対しては、光源180から光が照射される。
【符号の説明】
【0113】
1…画像読み取り装置、11D…支持面、12A…光照射部、16…第1光源、18…第2光源、20…第3光源、32…センサ、40…特定部分、70…垂線、71…基準板、101…制御ユニット、111…CPU