(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240709BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240709BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240709BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J2/175 175
B41J2/175 167
B41J2/01 401
B41J2/175 119
G03G21/00 390
(21)【出願番号】P 2020064039
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴史
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-31023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0063646(US,A1)
【文献】特開2010-50564(JP,A)
【文献】特開2008-137333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0134829(US,A1)
【文献】特開2022-006784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 2/175
B41J 2/01
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
本体メモリを有する本体筐体と、
前記本体筐体に装着可能なカートリッジであって、
前記カートリッジが、前記画像形成装置に対してサービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品、または、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品のいずれであるかを示す識別情報を記憶するカートリッジメモリを有するカートリッジと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記サービスの契約を解除する解除指示を受信した場合、前記本体筐体に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示すとき、前記識別情報を、前記カートリッジが前記通常品であることを示す情報に書き換える書換処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記解除指示を受信した場合、前記本体筐体に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示すのか、または、前記カートリッジが前記通常品であることを示すのかを判定する判定処理を実行し、
前記識別情報について前記カートリッジが前記契約品であると前記判定処理にて判定された場合、前記書換処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記解除指示を受信すると共に、前記カートリッジの使用を継続することを指示する使用継続指示を受信した場合、前記書換処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記解除指示を受信すると共に、前記カートリッジの使用を停止することを指示する使用停止指示を受信した場合、前記書換処理を実行しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、ネットワークを介してサーバと接続されるネットワークインターフェースを備え、
前記コントローラは、前記ネットワークインターフェースを介して前記解除指示を前記サーバから受信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記ネットワークインターフェースを介して、未使用であり、且つ、前記契約品である前記カートリッジの数としての未使用品数の情報を前記サーバから受信し、
前記未使用品数が1つ以上である場合、前記カートリッジメモリに対する前記書換処理の回数を所定回数に制限することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置を制御する制御方法であって、
前記画像形成装置がサービスの契約を解除する解除指示を受信するステップと、
前記画像形成装置に装着されたカートリッジが有するカートリッジメモリに記憶された識別情報が、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品を示す識別情報である場合に、前記識別情報を、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品を示す情報に書き換えるステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
カートリッジであって、
前記カートリッジが、画像形成装置に対してサービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品、または、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品のいずれであるかを示す識別情報を記憶するカートリッジメモリと、
前記カートリッジメモリが設けられたカートリッジ筐体と、を備え、
前記サービスの契約を解除する解除指示に応じて、前記画像形成装置に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示す場合、前記識別情報が、前記カートリッジが前記通常品であることを示す情報へ書き換え可能であることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、制御方法及びカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている技術では、サブスクリプションプランにユーザが加入した場合、プリンタに装着されるインクカートリッジ、または、トナーカートリッジが、サブスクリプション用のカートリッジとして定期的にユーザに配送される。この場合、サブスクリプション用のカートリッジは、サブスクリプションに加入したプリンタのみでしか使えないように制限されている。一方、トレードユース用のカートリッジには、サブスクリプション用のカートリッジのような制限がなく、サブスクリプションに加入したプリンタとサブスクリプションに加入していないプリンタの両方で使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2018/0131831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、ユーザがサブスクリプションプランに加入することに応じて、プリンタに装着されているカートリッジを、サブスクリプション用のカートリッジに設定することが開示されている。しかし、特許文献1に開示されている技術では、プリンタがサブスクリプションプランの解除指示を受けた場合については、開示されていない。本開示は、ユーザがサービスの契約(例えば、サブスクリプションプラン)を解除した場合であっても、サブスクリプション用のカートリッジからトレードユース用のカートリッジに変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様の画像形成装置は、本体メモリを有する本体筐体と、前記本体筐体に装着可能なカートリッジであって、前記カートリッジが、前記画像形成装置に対してサービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品、または、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品のいずれであるかを示す識別情報を記憶するカートリッジメモリを有するカートリッジと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記サービスの契約を解除する解除指示を受信した場合、前記本体筐体に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示すとき、前記識別情報を、前記カートリッジが前記通常品であることを示す情報に書き換える書換処理を実行する。
【0006】
上記構成によれば、識別情報についてカートリッジが契約品であることを示す情報が、コントローラによってカートリッジが通常品であることを示す情報に書き換えられる。これにより、ユーザは、サービスの契約を解除した後であっても、カートリッジを継続して使用することができる。
【0007】
前記コントローラは、前記解除指示を受信した場合、前記本体筐体に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示すのか、または、前記カートリッジが前記通常品であることを示すのかを判定する判定処理を実行し、前記識別情報について前記カートリッジが前記契約品であると前記判定処理にて判定された場合、前記書換処理を実行してもよい。
【0008】
上記構成によれば、コントローラは、カートリッジが契約品または通常品のいずれであるのかを判定することにより、契約品であると判定されたカートリッジに対して書換処理を実行することができる。
【0009】
前記コントローラは、前記解除指示を受信すると共に、前記カートリッジの使用を継続することを指示する使用継続指示を受信した場合、前記書換処理を実行してもよい。上記構成によれば、コントローラは、サービスの契約が解除された後であっても、カートリッジの使用を継続する指示に基づき、カートリッジの使用を継続することができる。
【0010】
前記コントローラは、前記解除指示を受信すると共に、前記カートリッジの使用を停止することを指示する使用停止指示を受信した場合、前記書換処理を実行しなくてもよい。上記構成によれば、コントローラは、サービスの契約が解除された後であっても、カートリッジの使用を停止する指示に基づき、カートリッジの使用を停止することができる。
【0011】
前記画像形成装置は、ネットワークを介してサーバと接続されるネットワークインターフェースを備え、前記コントローラは、前記ネットワークインターフェースを介して前記解除指示を前記サーバから受信してもよい。
【0012】
上記構成によれば、ユーザがサーバに対してサービスの契約の解除を指示した場合、コントローラは、サービスの契約を解除する解除指示をサーバから受信することにより、ユーザがカートリッジを継続して使用することを実現させることができる。
【0013】
前記コントローラは、前記ネットワークインターフェースを介して、未使用であり、且つ、前記契約品である前記カートリッジの数としての未使用品数の情報を前記サーバから受信し、前記未使用品数が1つ以上である場合、前記カートリッジメモリに対する前記書換処理の回数を所定回数に制限してもよい。上記構成によれば、カートリッジメモリに対する書換処理の回数を制限することにより、継続して使用可能となるカートリッジの数を制限することができる。
【0014】
本開示の一態様の制御方法は、画像形成装置を制御する制御方法であって、前記画像形成装置がサービスの契約を解除する解除指示を受信するステップと、前記画像形成装置に装着されたカートリッジが有するカートリッジメモリに記憶された識別情報が、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品を示す識別情報である場合に、前記識別情報を、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品を示す情報に書き換えるステップと、を含む。
【0015】
本開示の一態様のカートリッジは、前記カートリッジが、画像形成装置に対してサービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、前記画像形成装置に対して前記サービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能な契約品、または、前記画像形成装置が前記契約状態と前記通常状態との両方の状態で使用可能な通常品のいずれであるかを示す識別情報を記憶するカートリッジメモリと、前記カートリッジメモリが設けられたカートリッジ筐体と、を備え、前記サービスの契約を解除する解除指示に応じて、前記画像形成装置に装着された前記カートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記識別情報が、前記カートリッジが前記契約品であることを示す場合、前記識別情報が、前記カートリッジが前記通常品であることを示す情報へ書き換え可能である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、ユーザがサービスの契約を解除した後であっても、カートリッジを継続して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態1の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置の本体筐体へのドラムカートリッジ及びトナーカートリッジの装着を示す図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す画像形成装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す画像形成装置による処理手順の続きを示すフローチャートである。
【
図5】
図4に示す画像形成装置による処理手順の続きを示すフローチャートである。
【
図6】
図2に示す本体メモリに記憶されている本体メモリ情報を示す図である。
【
図7】
図1及び
図2に示すトナーメモリに記憶されているトナーメモリ情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
<画像形成装置1の構成>
図1は、本開示の実施形態1の画像形成装置1の構成を示す概略図である。
図2は、
図1に示す画像形成装置1の本体筐体10へのドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30の装着を示す図である。なお、
図1において、ドラムカートリッジ20が並ぶ方向をX方向、カバー11が閉じている状態で転写ベルト40からカバー11に向かう方向をZ方向、X方向及びZ方向の両方に直交する方向をY方向とする。
【0019】
画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置1の一例としては、LED(Light Emitting Diode)プリンタが挙げられる。
図1及び
図2に示すように、画像形成装置1は、本体筐体10と、カバー11と、ドラムカートリッジ20と、トナーカートリッジ30と、転写ベルト40と、光源ユニット50と、通信インターフェース60と、ネットワークインターフェース70と、コントローラ80と、を備える。
【0020】
<本体筐体10の構成>
本体筐体10は、矩形の箱状に形成されている。本体筐体10には、4つのドラムカートリッジ20、4つのトナーカートリッジ30、転写ベルト40及びコントローラ80が収容されている。本体筐体10には、4つのカートリッジ保持部12が凹状に形成されている。ドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30は、カートリッジ保持部12のそれぞれに保持されることで本体筐体10に装着される。
【0021】
本体筐体10の外表面には、液晶ディスプレイまたはランプ等の表示部、及び、ボタン等の入力部が設けられていてもよい。液晶ディスプレイは、タッチパネルを有することにより、入力部として機能するように構成されてもよい。
【0022】
<カバー11の構成>
カバー11は、本体筐体10の上端に形成された開口10Aを開閉する。カバー11は、
図1において実線で示す開口10Aを開ける開位置と、
図1において二点鎖線で示す開口10Aを閉じる閉位置と、の間で、Y方向に延びる回動軸11Aを中心に回動可能である。
【0023】
カバー11が開位置に配置されたときには、カートリッジ保持部12のそれぞれの開口が開放される。カバー11が閉位置に配置されたときには、カートリッジ保持部12のそれぞれの開口が、カバー11により覆われる。本体筐体10には、開口10Aに図示しない閉センサが設けられている。閉センサは、カバー11が閉位置にあることを検知するセンサである。閉センサは、例えば接触型のセンサであってもよいし、光学型のセンサであってもよい。
【0024】
<ドラムカートリッジ20の構成>
ドラムカートリッジ20はカートリッジの一例であり、本体筐体10に装着可能である。ドラムカートリッジ20は、カートリッジ筐体21と、感光体ドラム22と、ドラムメモリ23と、を有する。カートリッジ筐体21には、感光体ドラム22及びドラムメモリ23が設けられる。
【0025】
感光体ドラム22は、画像形成を行うために使用される部品であり、使用に伴って表面の磨耗等の劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。感光体ドラム22は、Y方向に延びる円筒状の感光体であり、Y方向に延びるドラム軸を中心に回転可能である。感光体ドラム22の外周面は感光材料に覆われている。
【0026】
ドラムメモリ23はカートリッジメモリの一例であり、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。ドラムメモリ23は、例えばフラッシュROM(Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標,Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。ドラムメモリ23は、感光体ドラム22に関する情報として、例えばドラムID、ドラム寿命情報及びドラム識別情報を記憶している。
【0027】
ドラムIDは、個々のドラムカートリッジ20を識別するための固有のシリアルナンバーである。ドラム寿命情報は、例えば感光体ドラム22の累積回転数、及び、感光体ドラム22を用いての累積印刷枚数のうち少なくとも1つである。感光体ドラム22の累積回転数、及び、感光体ドラム22を用いての累積印刷枚数はそれぞれ、ドラムIDにより特定されるドラムカートリッジ20において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。
【0028】
ドラム識別情報は識別情報の一例である。ドラム識別情報は、ドラムカートリッジ20が契約品または通常品のいずれであるかを示す情報である。契約品は、画像形成装置1に対してサービスの契約が締結されている契約状態で使用可能であり、且つ、画像形成装置1に対してサービスの契約が締結されていない通常状態では使用不可能なものである。通常品は、画像形成装置1が契約状態と通常状態との両方の状態で使用可能なものである。
【0029】
サービスは、本体メモリ13に記憶されている寿命情報に基づき、ユーザにドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30が自動的に配送されると共に、ユーザが契約品を使用することが可能であるというものである。
【0030】
ドラムメモリ23は、ドラムID、ドラム寿命情報及びドラム識別情報以外に、次のような他の情報を記憶していてもよい。他の情報は、ドラムカートリッジ20の適合機種、ドラムカートリッジ20の仕様、ドラムカートリッジ20が未使用品であるか否かを示す情報、ドラムカートリッジ20のエラー履歴等の情報である。これらの情報は、トナーメモリ33にも同様に記憶されていてもよい。
【0031】
<トナーカートリッジ30の構成>
トナーカートリッジ30はカートリッジの一例であり、本体筐体10に装着可能である。トナーカートリッジ30は、ドラムカートリッジ20に装着されることで、ドラムカートリッジ20と一体となる。つまり、トナーカートリッジ30は、トナーカートリッジ30がドラムカートリッジ20に装着された状態で、ドラムカートリッジ20と共に、本体筐体10へ装着される。トナーカートリッジ30は、カートリッジ筐体31と、現像ローラ32と、トナーメモリ33と、を有する。カートリッジ筐体31には、現像ローラ32及びトナーメモリ33が設けられる。カートリッジ筐体31はトナーを収容する。
【0032】
4つのカートリッジ筐体31は、画像形成を行うために使用される材料として、互いに異なる色のトナーを収容する。例えば、4つのカートリッジ筐体31のそれぞれは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを収容する。1つのカートリッジ筐体31には1色のトナーが収容される。トナーは使用に伴ってなくなる消耗品である。
【0033】
現像ローラ32はY方向に延びる円筒状の部材であり、Y方向に延びる現像軸を中心に回転可能である。トナーカートリッジ30がドラムカートリッジ20に装着されると、現像ローラ32の外周面は感光体ドラム22の外周面と接触する。
【0034】
トナーメモリ33はカートリッジメモリの一例であり、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。トナーメモリ33は、例えばフラッシュROMまたはEEPROMである。トナーメモリ33は、トナーカートリッジ30に関する情報として、例えばトナーID、トナー寿命情報及びトナー識別情報を記憶している。
【0035】
トナーIDは、個々のトナーカートリッジ30を識別するための固有のシリアルナンバーである。トナー寿命情報は、例えば現像ローラ32の累積回転数、現像ローラ32を用いての累積印刷枚数、及び、現像ローラ32を用いての累積ドット数のうち少なくとも1つである。
【0036】
現像ローラ32の累積回転数は、トナーIDにより特定される1つのトナーカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。現像ローラ32を用いての累積印刷枚数、及び、現像ローラ32を用いての累積ドット数についても、現像ローラ32の累積回転数と同様に算出される。
【0037】
トナー識別情報は識別情報の一例である。トナー識別情報は、トナーカートリッジ30が契約品または通常品のいずれであるかを示す情報である。トナーカートリッジ30における契約品及び通常品の意味は、ドラムカートリッジ20における契約品及び通常品の意味と同様である。
【0038】
図1に示すように、ドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30は、カバー11が開位置に配置された状態で、本体筐体10に装着される。この状態で、ドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30は、開口10Aからカートリッジ保持部12に挿入される。
【0039】
図2に示すように、本体筐体10はコネクタ101とコネクタ102とを有する。ドラムカートリッジ20がカートリッジ保持部12に挿入された状態で、コネクタ101がドラムメモリ23と電気的に接続されることより、本体筐体10のコントローラ80がドラムカートリッジ20のドラムメモリ23と通信可能になる。
【0040】
トナーカートリッジ30が本体筐体10に装着された状態で、コネクタ102がトナーメモリ33と電気的に接続されることより、本体筐体10のコントローラ80がトナーカートリッジ30のトナーメモリ33と通信可能になる。
【0041】
<転写ベルト40の構成>
転写ベルト40は、感光体ドラム22の表面にあるトナーを印刷用紙へ転写する部品である。転写ベルト40は、使用に伴って表面の磨耗等の劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。転写ベルト40は、感光体ドラム22と接触可能な環状のベルトである。感光体ドラム22の外周面は、転写ベルト40の外周面と接触可能である。印刷処理時には、印刷用紙が転写ベルト40と感光体ドラム22との間へ搬送される。
【0042】
転写ベルト40は、駆動ローラ41と従動ローラ42との間に掛け渡されている。駆動ローラ41は転写ベルト40を駆動する。コントローラ80は駆動ローラ41を回転させる。従動ローラ42は、駆動ローラ41の駆動に伴う転写ベルト40の移動に従って回転する。
【0043】
<光源ユニット50の構成>
4つの光源ユニット50は、カバー11の内表面に取り付けられており、各ドラムカートリッジ20に対応している。光源ユニット50は、本体筐体10にドラムカートリッジ20が装着されて、カバー11が閉位置にある状態で、感光体ドラム22の表面と向かい合って配置されている。また、4つの光源ユニット50のそれぞれは、Y方向に配列された複数の光源を有する。光源は、感光体ドラム22の外周面に光を照射可能である。光源は、例えばLEDである。
【0044】
光源ユニット50は、コントローラ80と電気的に接続されている。コントローラ80は、入力された画像データに応じて、光源ユニット50の複数の光源を発光させる。これにより、光源は、感光体ドラム22の外周面に向けて光を照射する。その結果、感光体ドラム22の外周面の感光材料が、画像データに応じて露光される。
【0045】
<通信インターフェース60の構成>
通信インターフェース60には、USBケーブルが接続される。通信インターフェース60にUSBケーブルが接続された場合、コントローラ80は、通信インターフェース60及びUSBケーブルを介して、PC(Personal Computer)2から印刷ジョブを受信することができる。印刷ジョブは、コントローラ80がPC2等の外部機器から受信する印刷指示である。なお、コントローラ80は無線通信を用いて、通信インターフェース60を介してPC2と通信を行ってもよい。
【0046】
<ネットワークインターフェース70の構成>
ネットワークインターフェース70は、ネットワークNWを介してサーバ3と接続される。ネットワークインターフェース70にはLAN(Local Area Network)ケーブルが接続される。ネットワークインターフェース70にLANケーブルが接続された場合、コントローラ80は、ネットワークインターフェース70、LANケーブル及びネットワークNWを介して、サーバ3と通信を行うことができる。なお、ネットワークインターフェース70は、無線通信によってネットワークNWに接続されてもよい。
【0047】
PC2にはLANケーブルが接続される。PC2にLANケーブルが接続された場合、PC2は、LANケーブル及びネットワークNWを介して、サーバ3と通信を行うことができる。なお、PC2は無線通信を用いて、ネットワークNWを介してサーバ3と通信を行ってもよい。また、本実施形態で説明するPC2による処理は、スマートフォン等の携帯情報端末で実行されてもよい。
【0048】
<コントローラ80の構成>
コントローラ80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有する。コントローラ80は、本体筐体10の本体メモリ13と電気的に接続されている。コントローラ80は、種々の処理を実行することによって、画像形成装置1に印刷処理及びそれに付随する処理を行わせる。
【0049】
なお、コントローラ80は、CPU等のプロセッサを備えてもよい。この場合、本体メモリ13に、画像形成装置1の制御方法を実現する制御プログラムが保存され、プロセッサが制御プログラムに従って動作することによって、コントローラ80が画像形成装置1に処理を行わせてもよい。
【0050】
また、コントローラ80は、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていてもよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリまたはプログラマブルな論理回路等を用いることができる。
【0051】
また、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等を使用してもよい。制御プログラムは、制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークまたは放送波等)を介してコントローラ80が備えるコンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0052】
ドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30が本体筐体10のカートリッジ保持部12に装着されると、
図2に示すように、ドラムメモリ23及びトナーメモリ33は、コントローラ80と電気的に接続される。これにより、コントローラ80は、ドラムメモリ23及びトナーメモリ33からの情報の読出処理と、ドラムメモリ23及びトナーメモリ33への情報の書込処理と、を実行することが可能となる。
【0053】
また、本体筐体10は本体メモリ13を有する。本体メモリ13は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。本体メモリ13は、例えばフラッシュROMまたはEEPROMである。本体メモリ13は、登録情報及び寿命情報を記憶する。登録情報は、ドラムメモリ23から読み出されるドラムIDと、トナーメモリ33から読み出されるトナーIDと、を含む。
【0054】
寿命情報は、ドラム寿命情報とトナー寿命情報とを含む。本体メモリ13に記憶されるドラム寿命情報は、ドラムメモリ23に記憶されるドラム寿命情報と同一である。本体メモリ13に記憶されるトナー寿命情報は、トナーメモリ33に記憶されるトナー寿命情報と同一である。また、本体メモリ13はプリンタIDを記憶してもよい。プリンタIDは、個々の画像形成装置1を識別するための識別情報であって、例えばシリアルナンバーである。
【0055】
<画像形成装置1による処理>
図3は、
図1及び
図2に示す画像形成装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図4は、
図3に示す画像形成装置1による処理手順の続きを示すフローチャートであり、
図5は、
図4に示す画像形成装置1による処理手順の続きを示すフローチャートである。
図6は、
図2に示す本体メモリ13に記憶されている本体メモリ情報を示す図であり、
図7は、
図1及び
図2に示すトナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報を示す図である。
【0056】
図3から
図5では、トナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報に関する処理を含む画像形成装置1による処理手順について説明する。ここで説明する処理手順は、コントローラ80による画像形成装置1を制御する制御方法の一例である。ドラムメモリ23に記憶されている情報に関する処理は、トナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報に関する処理と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
また、
図3から
図5では、4つのトナーカートリッジ30のうち1つのトナーカートリッジ30のトナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報に関する処理を含む画像形成装置1による処理手順について説明する。他のトナーカートリッジ30のトナーメモリ情報に関する処理は、以下に説明する1つのトナーカートリッジ30のトナーメモリ情報に関する処理と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
コントローラ80は、画像形成装置1の電源がオフからオンしたこと、または、画像形成装置1がオンしている状態でカバー11が開位置から閉位置に回動したことをトリガーとして、以下のステップS1の処理を開始する。
【0059】
図3に示すように、まず、コントローラ80は、本体筐体10にトナーカートリッジ30が装着されると、トナーメモリ33からトナーメモリ情報を読み出す(S1)。トナーメモリ情報として、
図7のF4で示すように、トナーカートリッジ30の種別と、トナーIDと、プリンタIDと、使用継続可能フラグと、がトナーメモリ33に記憶されている。
図7のF4で示されるトナーメモリ33の状態は、トナーカートリッジ30の配送時の状態である。トナーカートリッジ30の種別、トナーID及び使用継続可能フラグは、トナーカートリッジ30の製造時にトナーメモリ33に予め記憶されている。
【0060】
トナーカートリッジ30の種別は、トナーカートリッジ30が契約品または通常品のいずれであるかを示す情報の一例である。つまり、ここではトナー識別情報がトナーカートリッジ30の種別であるものとする。トナーカートリッジ30が未使用である場合、トナーメモリ33にはプリンタIDは記憶されておらず、トナーカートリッジ30が未使用であるという情報が記憶されている。使用継続可能フラグは、サーバの契約が解除されている状態であっても、トナーカートリッジ30が継続して使用可能であることを示すフラグである。
【0061】
コントローラ80は、ステップS1にて読み出したトナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報をサーバ3に送信する。また、コントローラ80がトナーメモリ情報をサーバ3に送信するタイミングは、画像形成装置1の電源がオンしたときにステップS1の処理を実行した後に限られない。画像形成装置1の電源がオンしている間、コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されているトナーメモリ情報をサーバ3に定期的に送信してもよい。
【0062】
一方、本体メモリ情報として、
図6のF1で示すように、コントローラ80の制御モード情報と、プリンタIDと、履歴情報と、使用モード情報と、トナーカートリッジ30の未使用品数と、が本体メモリ13に記憶されている。
【0063】
コントローラ80の制御モード情報は、コントローラ80により実行される制御が、画像形成装置1による契約状態での制御または画像形成装置1による通常状態での制御のいずれであるかを示す情報である。プリンタIDは、画像形成装置1の製造時に本体メモリ13に予め記憶されている。
【0064】
履歴情報は、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30のトナーメモリ33に記憶されたトナーIDが、コントローラ80により本体メモリ13に順番に記憶され、履歴として管理される情報である。
【0065】
使用モード情報は、画像形成装置1の第1モードまたは第2モードのいずれかを表す情報である。第1モードは、画像形成装置1が、未使用品の契約品のトナーカートリッジ30を使用可能であり、且つ、履歴情報にトナーIDが記憶されている契約品のトナーカートリッジ30を使用可能であるモードである。また、第2モードは、画像形成装置1が、未使用品の契約品のトナーカートリッジ30を使用不可能であり、且つ、履歴情報にトナーIDが記憶されている契約品のトナーカートリッジ30を使用可能であるモードである。
【0066】
なお、トナーカートリッジ30の未使用品数は、ユーザに配送された契約品のトナーカートリッジ30であって、本体筐体10に装着されたことがない未使用のトナーカートリッジ30の数である。
【0067】
図6のF1で示される本体メモリ13の状態は、ステップS1において、画像形成装置1の電源がオンされており、且つ、画像形成装置1が契約状態である、言い換えれば、制御モード情報が契約状態を表す場合に、本体筐体10にトナーカートリッジ30が装着された状態である。なお、画像形成装置1が出荷された時点では、制御モード情報として、通常状態が本体メモリ13に記憶され、画像形成装置1に対してサービスの契約が締結されると、制御モード情報が、契約状態へ変更される。
【0068】
なお、本実施形態では、画像形成装置1が契約状態の場合、コントローラ80が、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別について契約品から通常品へ書き換える書換処理を実行可能である。
【0069】
コントローラ80は、トナーメモリ33から読み出したトナーカートリッジ30の種別及びトナーIDを本体メモリ13のトナー履歴領域に記憶する(S2)。トナー履歴領域は、本体メモリ13の記憶領域のうちトナーカートリッジ30の種別及びトナーIDが記憶される領域である。コントローラ80は、トナーメモリ33から読み出したトナーカートリッジ30の種別及びトナーIDを本体メモリ13に記憶した後、待機制御を実行する(S3)。
【0070】
ステップS4において、コントローラ80は、待機制御を実行する間にカバー11が開いていると判定した場合、コントローラ80は、エラー制御を実行する(S5)。なお、ステップS4において、コントローラ80がトナーメモリ情報を読み取ることができなかった場合、ステップS5の処理に進んでもよい。
【0071】
例えば、コントローラ80は、エラー制御として、表示部にカバー11が開いている旨を示す内容を表示する。カバー11が開位置から閉位置に回動した場合、つまり、エラーの原因が解消した場合、ステップS1の処理に戻る。コントローラ80は、カバー11が閉じていると判定している場合、コントローラ80は、ステップS5のエラー制御を実行しない。
【0072】
また、ステップS4において、コントローラ80は、待機制御を実行している間にPC2から印刷ジョブを受信して印刷を開始する場合、コントローラ80は、印刷制御を実行する(S6)。印刷制御については本開示の本質とは直接関連しないため、詳細な説明を省略する。
【0073】
コントローラ80によって印刷制御が実行された後、ステップS3の処理が継続される。コントローラ80は、PC2から印刷ジョブを受信していない場合、コントローラ80は、ステップS6の印刷制御を実行しない。
【0074】
さらに、ステップS4において、コントローラ80は、待機制御を実行している間にサーバ3からサービスの契約を解除する解除指示を受信した場合、コントローラ80は、契約解除制御を開始する(S7)。コントローラ80は、契約解除制御として、ステップS8以降の制御を実行する。
【0075】
ステップS7について、ユーザがPC2を用いてPC2をサーバ3に接続し、PC2を操作することによりサーバ3に対して解除指示を送信した場合、サーバ3は、コントローラ80に解除指示を送信する。このとき、画像形成装置1のプリンタIDはサーバ3に記憶されており、コントローラ80は、ネットワークインターフェース70を介して解除指示をサーバ3から受信する。
【0076】
ステップS7の構成によれば、ユーザがサーバ3に対してサービスの契約の解除を指示した場合、コントローラ80は、サービスの契約を解除する解除指示をサーバ3から受信する。これにより、ユーザがトナーカートリッジ30を継続して使用することを実現させることができる。
【0077】
なお、ステップS7において、コントローラ80は、本体筐体10の外表面に設けられると共にタッチパネルを有する液晶ディスプレイから解除指示を受信してもよい。この場合、ユーザが液晶ディスプレイを操作することによりコントローラ80に解除指示を送信する。コントローラ80は、後述する使用継続指示及び使用停止指示も液晶ディスプレイから受信してもよく、サーバ3に代えて液晶ディスプレイと通信を行ってもよい。
【0078】
なお、ステップS1にてコントローラ80が、契約状態で本体筐体10に通常品であるトナーカートリッジ30が装着されたことをサーバ3に送信した場合、サーバ3は、コントローラ80に解除指示を送信してもよい。
【0079】
コントローラ80は、
図4に示すように、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が契約品または通常品のいずれであるかを判定する(S8)。コントローラ80は、本体メモリ13に記憶されたトナーメモリ情報を参照することにより、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別を認識する。これにより、コントローラ80は、ステップS8の処理を実行することができる。
【0080】
コントローラ80は、ステップS8の処理を実行することにより、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30のトナーメモリ33に記憶されたトナー識別情報が以下の第1情報または第2情報のいずれであるのかを判定する判定処理を実行することになる。第1情報はトナーカートリッジ30が契約品であることを示す情報であり、第2情報はトナーカートリッジ30が通常品であることを示す情報である。
【0081】
ステップS8において、コントローラ80が、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が契約品であると判定した場合を考える。この場合、コントローラ80は、
図7のF7及びF8で示すように、トナーカートリッジ30の種別について契約品から通常品へ書き換える書換処理を実行する(S11)。換言すると、トナー識別情報が、トナーカートリッジ30が契約品であることを示すとき、コントローラ80は、トナー識別情報を、トナーカートリッジ30が通常品であることを示す情報に書き換える書換処理を実行する。
【0082】
よって、トナー識別情報についてトナーカートリッジ30が契約品であることを示す情報が、コントローラ80によってトナーカートリッジ30が通常品であることを示す情報に書き換えられる。これにより、ユーザは、サービスの契約を解除した後であっても、トナーカートリッジ30を継続して使用することができる。
【0083】
これにより、従来の技術においてサービスの契約が解除された後にトナーカートリッジが使用できなくなる場合に比べて、品質に問題がないトナーカートリッジ30を捨てる必要がないため、画像形成装置1を環境に配慮した構成とすることができる。従来の技術において使用できなくなったトナーカートリッジをメーカに返却する場合に比べて、トナーカートリッジの輸送及びリサイクルに起因する環境に対する負荷及び費用が不要となり、ユーザはトナーカートリッジ30をメーカに返却する必要がなくなる。
【0084】
また、コントローラ80は、ステップS8においてトナー識別情報についてトナーカートリッジ30が契約品であると判定処理にて判定された場合、コントローラ80は、ステップS11において書換処理を実行する。これにより、コントローラ80は、トナーカートリッジ30が契約品または通常品のいずれであるのかを判定することにより、契約品であると判定されたトナーカートリッジ30に対して書換処理を実行することができる。
【0085】
さらに、ステップS8において、画像形成装置1に装着されたトナーカートリッジ30のトナーメモリ33に記憶されたトナー識別情報が、トナーカートリッジ30が契約品であることを示す場合を考える。この場合、サービスの契約を解除する解除指示に応じて、トナー識別情報は、トナーカートリッジ30が通常品であることを示す情報へ書き換え可能である。
【0086】
ステップS11において、
図6のF1及びF2で示すように、コントローラ80は、本体メモリ13に記憶されている本体メモリ情報について、コントローラ80の制御モード情報を、契約状態を示す情報から通常状態を示す情報に書き換える。
【0087】
なお、ステップS11において、コントローラ80は、
図7のF4及びF5で示すように、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30のトナーメモリ33に記憶されている使用継続可能フラグをFALSEからTRUEに書き換えてもよい。
【0088】
また、ステップS11において、コントローラ80が、サーバ3からトナーカートリッジ30の使用を継続することを指示する使用継続指示を受信した場合に、コントローラ80は、書換処理を実行してもよい。これにより、コントローラ80は、サービスの契約が解除された後であっても、トナーカートリッジ30の使用を継続する指示に基づき、トナーカートリッジ30の使用を継続することができる。
【0089】
具体的には、ユーザがPC2を用いてPC2をサーバ3に接続し、
図6のF2並びに
図7のF5及びF8で示すように、ユーザがPC2を操作することによりサーバ3上で所有品継続使用を選択した場合を考える。この場合、サーバ3は、コントローラ80に使用継続指示を送信する。
【0090】
また、ステップS11において、コントローラ80が、サーバ3からトナーカートリッジ30の使用を停止することを指示する使用停止指示を受信した場合、コントローラ80は、ステップS11の書換処理を実行しなくてもよい。これにより、コントローラ80は、サービスの契約が解除された後であっても、トナーカートリッジ30の使用を停止する指示に基づき、トナーカートリッジ30の使用を停止することができる。
【0091】
具体的には、ユーザがPC2を用いてPC2をサーバ3に接続し、
図6のF3及び
図7のF6で示すように、ユーザがPC2を操作することによりサーバ3上で即使用終了を選択した場合を考える。この場合、サーバ3は、コントローラ80に使用停止指示を送信する。さらに、
図6のF3で示すように、コントローラ80が使用停止指示を受信した場合、コントローラ80は、使用モード情報を、第1モードを示す情報から、継続使用を行わないことを示す情報に書き換える。コントローラ80は、トナーカートリッジ30の未使用品数を、制限なしという情報から0に書き換える。
【0092】
一方、ステップS8において、コントローラ80が、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が通常品であると判定した場合、コントローラ80は、本体メモリ13のトナー履歴領域から直近のトナーメモリ情報のトナーIDを読み出す(S9)。直近のトナーメモリ情報のトナーIDは、ステップS8においてコントローラ80によって通常品であると判定されたトナーカートリッジ30のトナーIDの直前に、ステップS2において履歴情報に記憶されたトナーIDである。
【0093】
また、コントローラ80は、本体メモリ13に記憶されている種別書き換え予定リストに、直近のトナーメモリ情報のトナーIDを記憶する(S10)。ステップS10の処理の後、ステップS12の処理に進む。種別書き換え予定リストは、種別が通常品となっているトナーカートリッジ30のトナーIDが記憶されるリストである。また、種別書き換え予定リストは、後述するステップS21の処理に用いられる。
【0094】
ステップS11の処理の後、コントローラ80は、サーバ3からの指示に基づき、本体メモリ13におけるトナーカートリッジ30の未使用品数を設定する(S12)。具体的には、コントローラ80は、ネットワークインターフェース70を介して、未使用であり、且つ、契約品であるトナーカートリッジ30の数としての未使用品数の情報をサーバ3から受信する。コントローラ80は、サーバ3から受信した未使用品数の情報を本体メモリ13に記憶する。
【0095】
なお、ステップ12に関して、サーバ3は、ユーザに配送された契約品のトナーカートリッジ30の数から、配送後に本体筐体10に装着された未使用のトナーカートリッジ30の数を差し引くことにより、トナーカートリッジ30の未使用品数を算出する。また、サーバ3は、ステップS1において未使用のトナーカートリッジ30が配送後に本体筐体10に装着されたという情報をコントローラ80から受信する。これにより、サーバ3は、配送後に本体筐体10に装着された未使用のトナーカートリッジ30の数を管理することができる。
【0096】
コントローラ80は、未使用品数が1つ以上であるか否かを判定する(S13)。コントローラ80が、未使用品数が1つ以上であると判定した場合(S13にてYES)を考える。この場合、コントローラ80は、未使用のトナーカートリッジ30の種別について契約品から通常品への書き換えをN本まで書き換え可能という情報を本体メモリ13に記憶する(S14)。Nは自然数である。
【0097】
換言すると、コントローラ80は、トナーメモリ33に対する書換処理の回数を所定回数に制限する。トナーメモリ33に対する書換処理の回数を制限することにより、継続して使用可能となるトナーカートリッジ30の数を制限することができる。一方、コントローラ80が、未使用品数が0であると判定した場合(S13にてNO)、コントローラ80は、ステップS14の処理を実行しない。
【0098】
ステップS14の処理の後、または、ステップS13にてNOの場合を考える。この場合において、画像形成装置1の電源がオフからオンしたこと、または、カバー11が開位置から閉位置に回動したことをトリガーとして、コントローラ80は、以下のステップS15以降の処理を行ってもよい。
【0099】
コントローラ80は、本体メモリ13から本体メモリ情報を読み出すと共にトナーメモリ33からトナーメモリ情報を読み出す(S15)。コントローラ80が本体メモリ情報及びトナーメモリ情報を読み出した後、コントローラ80は、ステップS8と同様に、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が契約品または通常品のいずれであるかを判定する(S16)。
【0100】
コントローラ80が、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が通常品であると判定した場合、ステップS3の処理に戻る。コントローラ80は、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の種別が契約品であると判定した場合を考える。この場合、コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されているプリンタIDが未使用または設定済のいずれであるかを判定する(S17)。
【0101】
なお、ステップS17において、コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されている未使用品フラグがTRUEまたはFALSEのいずれであるかを判定してもよい。この場合、コントローラ80が、未使用品フラグがTRUEであると判定したとき、ステップS22の処理に進む。コントローラ80が、未使用品フラグがFALSEであると判定したとき、ステップS18の処理に進む。未使用品フラグは、トナーカートリッジ30が未使用であることを示すフラグである。
【0102】
コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されているプリンタIDを参照することにより、ステップS17の処理を実行する。トナーメモリ33のプリンタIDが未使用である場合、
図7のF4で示すように、トナーカートリッジ30が未使用であるという情報がトナーメモリ33に記憶されていることになる。
【0103】
ステップS17において、コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されているプリンタIDが設定済であると判定した場合を考える。この場合、コントローラ80は、本体メモリ13に記憶されているプリンタIDと、トナーメモリ33に記憶されているプリンタIDと、が一致しているか否かを判定する(S18)。なお、トナーメモリ33にプリンタIDが記憶されない場合、ステップS18の処理は省略される。
【0104】
コントローラ80が、本体メモリ13のプリンタIDと、トナーメモリ33のプリンタIDと、が一致していないと判定した場合(S18にてNO)、コントローラ80はエラー停止を実行する(S19)。
【0105】
例えば、コントローラ80は、ステップS19のエラー停止として、表示部にエラーが発生した旨を示す内容を表示する。また、コントローラ80は、ステップS19のエラー停止として以下の処理を実行する。具体的には、コントローラ80は、液晶ディスプレイに、本体メモリ13のプリンタIDと、トナーメモリ33のプリンタIDと、が一致していない旨を示す内容を表示させてもよい。ステップS19の処理の後、ステップS3の処理に戻る。
【0106】
コントローラ80が、本体メモリ13のプリンタIDと、トナーメモリ33のプリンタIDと、が一致すると判定した場合(S18にてYES)、ステップS20の処理に進む。ステップS18の処理が実行されることにより、以下の効果がある。
【0107】
具体的には、本体筐体10にプリンタIDが設定済であるトナーカートリッジ30が装着されている場合において、トナーカートリッジ30が、サービスの契約が締結されていた画像形成装置1で継続使用されるべきものであるか否かを確認することができる。よって、別の画像形成装置1で継続使用されるべきトナーカートリッジ30が使用されることを防ぐことができる。
【0108】
ステップS20において、コントローラ80は、トナーメモリ33に記憶されている使用継続可能フラグがTRUEまたはFALSEのいずれであるかを判定する(S20)。コントローラ80が、使用継続可能フラグがTRUEであると判定した場合、ステップS3の処理に戻る。コントローラ80が、使用継続可能フラグがFALSEであると判定した場合、コントローラ80は、ステップS19と同様のエラー停止を実行する(S21)。
【0109】
なお、ステップS21において、コントローラ80は、種別書き換え予定リストに記憶されたトナーIDに対応するトナーカートリッジ30については使用継続を許容する処理を実行してもよい。具体的には、コントローラ80は、ステップS15にて読み出されたトナーメモリ情報のトナーIDが、種別書き換え予定リストに記憶されているか否かを判定する。コントローラ80は、ステップS15にて読み出されたトナーメモリ情報のトナーIDが、種別書き換え予定リストに記憶されていると判定した場合、ステップS3の処理に戻る。
【0110】
ステップS17において、コントローラ80が、トナーメモリ33に記憶されているプリンタIDが未使用であると判定した場合を考える。この場合、コントローラ80は、使用モード情報が第1モードまたは第2モードのいずれを示すかを判定する(S22)。コントローラ80が、使用モード情報が第2モードを示すと判定した場合、コントローラ80は、ステップS19と同様のエラー停止を実行する(S23)。ステップS23の処理の後、ステップS3の処理に戻る。
【0111】
コントローラ80は、使用モード情報が第1モードを示すと判定した場合(S22にてYES)、
図7のF5で示すように、トナーメモリ33にプリンタIDを記憶する(S24)。これに加えて、コントローラ80は、本体メモリ13の本体メモリ情報を書き換える(S25)。
【0112】
ステップS25について、具体的に以下に説明する。ステップS1の処理より前においてユーザに配送された契約品かつ未使用のトナーカートリッジ30が本体筐体10に装着されることにより、トナーカートリッジ30の未使用品数が1から0になった場合を考える。この場合、
図6のF2で示すように、コントローラ80は、本体メモリ13に記憶されている本体メモリ情報について、使用モード情報を、第1モードを示す情報から第2モードを示す情報に書き換える。なお、ステップS24において、コントローラ80は、未使用品フラグをTRUEからFALSEに書き換えてもよい。
【0113】
<定額印刷制御について>
コントローラ80は、ステップS6の印刷制御として定額印刷制御を行う。定額印刷制御とは、契約状態では、所定期間ごとに一定の金額で予め設定された枚数の印刷用紙に対して印刷制御を行うことが可能な制御である。ユーザがPC2を用いてPC2をサーバ3に接続し、PC2を操作することにより画像形成装置1に対して所定の金額でサービスの契約を締結した場合を考える。
【0114】
この場合、サーバ3を管理しているメーカは、画像形成装置1を使用しているユーザに1つの未使用のトナーカートリッジ30を配送する。1つの未使用のトナーカートリッジ30については、トナーメモリ33に記憶されているトナー識別情報が、トナーカートリッジ30が契約品であることを示す情報となっている。
【0115】
また、コントローラ80は、ステップS6の印刷制御を行った後、トナーカートリッジ30のトナー寿命情報をサーバ3に送信する。さらに、コントローラ80は、印刷制御を行う場合に限らず、トナーカートリッジ30のトナー寿命情報をサーバ3に定期的に送信してもよい。
【0116】
サーバ3は、コントローラ80から受信したトナー寿命情報を参照し、本体筐体10に装着されたトナーカートリッジ30の寿命が所定期間以下となったことを判定した場合を考える。この場合において、トナーカートリッジ30の寿命が、トナーカートリッジ30が使用可能な期間であるとすると、メーカは、未使用のトナーカートリッジ30をユーザに配送する。
【0117】
トナーカートリッジ30の寿命が所定期間以下となる毎にトナーカートリッジ30は、ユーザに配送される。そして、画像形成装置1は、メーカから配送されるトナーカートリッジ30を用いて、例えば、1か月間で200枚の印刷用紙までの印刷制御を行うことができる。なお、印刷された印刷用紙が200枚を超えた場合は、ユーザは所定の金額に加えて、追加の料金を支払うことで追加の印刷が可能である。
【0118】
<トナーカートリッジの支払額の決定について>
コントローラ80がステップS12の処理を実行するとき、サーバ3が、トナーカートリッジ30の未使用品数が1つ以上であると判定した場合、サーバ3は、3つの選択肢を提示する内容をPC2に表示する。1つ目の選択肢は、ユーザが未使用のトナーカートリッジ30と、使用途中のトナーカートリッジ30と、の両方をメーカに返却することである。
【0119】
2つ目の選択肢は、ユーザが使用途中のトナーカートリッジ30のみを買い取ると共に未使用のトナーカートリッジ30をメーカに返却することである。3つ目の選択肢は、ユーザが未使用のトナーカートリッジ30と、使用途中のトナーカートリッジ30と、の両方を買い取ることである。
【0120】
コントローラ80がステップS12の処理を実行するとき、サーバ3が、未使用品数が0であると判定した場合、サーバ3は、2つの選択肢を提示する内容をPC2に表示する。1つ目の選択肢は、ユーザが使用途中のトナーカートリッジ30をメーカに返却することである。2つ目の選択肢は、ユーザが使用途中のトナーカートリッジ30を買い取ることである。
【0121】
ユーザがPC2を操作することによって3つまたは2つの選択肢のうち1つを選択すると、サーバ3は、トナーカートリッジ30について支払額を請求する内容をPC2に表示する。サーバ3は、ユーザに買い取られるトナーカートリッジ30のトナーの残量に応じてトナーカートリッジ30の支払額を決定する。これにより、メーカは、トナーカートリッジ30について対価を得ることができ、ユーザは過剰な支払いを回避することができる。
【0122】
〔付記事項〕
なお、上述した画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタであるが、インクジェット方式のプリンタであってもよい。インクジェット方式のプリンタの場合、インクを供給するインクカートリッジをカートリッジとしてもよい。この場合、本開示の内容が、インクカートリッジに適用される。また、印刷基材としてテープを供給するテープカセットをカートリッジとしてもよい。この場合、本開示の内容がテープカートリッジに適用される。また、上述したような、ドラムカートリッジ20が感光体ドラム22を有すると共にトナーカートリッジ30が現像ローラ32を有する形態に限定されない。
【0123】
<第1変形例>
例えば、第1変形例として、ドラムカートリッジ20は、カートリッジ筐体21、感光体ドラム22及びドラムメモリ23に加えて、現像ローラ32を有してもよい。この場合、カートリッジ筐体21には、感光体ドラム22、ドラムメモリ23及び現像ローラ32が設けられる。また、第1変形例では、トナーカートリッジ30は、カートリッジ筐体31及びトナーメモリ33を有するが、現像ローラ32を有しない。カートリッジ筐体31はトナーを収容する。現像ローラ32の外周面は、ドラムカートリッジ20の内部で感光体ドラム22の外周面と接触する。
【0124】
<第2変形例>
また、第2変形例として、画像形成装置1は、現像ローラ32を有する図示しない現像カートリッジをさらに備えてもよい。この場合、ドラムカートリッジ20は、カートリッジ筐体21と、感光体ドラム22と、ドラムメモリ23と、を有する。トナーカートリッジ30は、カートリッジ筐体31及びトナーメモリ33を有するが、現像ローラ32を有しない。カートリッジ筐体31はトナーを収容する。第2変形例では、カートリッジ保持部12にドラムカートリッジ20、トナーカートリッジ30及び現像カートリッジの3つの部品が保持されることにより、3つの部品が本体筐体10に装着される。
【0125】
<第3変形例>
さらに、第3変形例として、画像形成装置1は、ドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ30に代えて、図示しない1つのカートリッジを備えてもよい。この場合、1つのカートリッジは、カートリッジ筐体と、感光体ドラム22と、メモリと、現像ローラ32と、を有する。現像ローラ32の外周面は、1つのカートリッジの内部で感光体ドラム22の外周面と接触する。1つのカートリッジのカートリッジ筐体はトナーを収容する。
【0126】
<第4変形例>
さらに、第4変形例として、トナーカートリッジ30の代わりに、ドラムカートリッジ20または転写ベルト40が、カートリッジとして本開示の内容が適用されてもよい。
【0127】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
3 サーバ
10 本体筐体
13 本体メモリ
20 ドラムカートリッジ(カートリッジ)
21、31 カートリッジ筐体
23 ドラムメモリ(カートリッジメモリ)
30 トナーカートリッジ(カートリッジ)
33 トナーメモリ(カートリッジメモリ)
70 ネットワークインターフェース
80 コントローラ
NW ネットワーク