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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240709BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20240709BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
F24F11/56
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020065361
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164084
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小塩 智弘
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182697(JP,A)
【文献】特開2011-116286(JP,A)
【文献】特開2006-059155(JP,A)
【文献】特開2006-164074(JP,A)
【文献】特開平09-212324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24F 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
入力操作部と、
当該入力操作部に対する操作を行うことにより設定が行われる複数の設定画面を、前記入力操作部に対する第一の操作に応じて所定の表示順で切り替えて前記表示部に表示する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記設定画面のうち、前記設定が行われた回数が予め設定した規定数に達した設定画面が表示される順番を、前記設定が行われた回数が前記規定数に達していない設定画面が表示される順番よりも後の順番に変更し、
前記規定数は、機械学習において、ユーザの好みを反映した学習モデルを生成するために必要十分な数であることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
表示部と、
入力操作部と、
当該入力操作部に対する操作を行うことにより設定が行われる複数の設定画面を、前記入力操作部に対する第一の操作に応じて所定の表示順で切り替えて前記表示部に表示する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第一の操作に応じて前記所定の表示順で前記複数の設定画面を切り替えて表示する第一表示モードと、
前記第一の操作とは異なる第二の操作に応じて前記設定画面を切り替えて表示する第二表示モードと、を有し、
前記第一表示モードに属する前記複数の設定画面のうち、前記設定が行われた回数が予め設定した規定数に達した設定画面の属性を、前記第一表示モードに替えて前記第二表示モードに変更し、
前記規定数は、機械学習において、ユーザの好みを反映した学習モデルを生成するために必要十分な数であることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
表示部と、
入力操作部と、
当該入力操作部に対する操作を行うことにより設定が行われる複数の設定画面を、前記入力操作部に対する第一の操作に応じて所定の表示順で切り替えて前記表示部に表示する制御部と、を有し、
前記設定画面で設定される情報は、機械学習を行う人工知能装置用の情報であって、
前記制御部は、前記設定画面毎に前記人工知能装置での前記機械学習の終了が通知されたとき、前記機械学習の終了が通知された設定画面が、前記機械学習が終了していない設定画面よりも後に表示されるように、前記設定画面を表示する順番を変更することを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機のリモートコントローラ(以下、リモコン装置ともいう。)においては、表示画面上に各種設定メニューを表示し、ユーザが各種設定メニュー画面をスクロールさせることで、所望の設定項目の設定メニュー画面を選択し、所望の設定項目を設定できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-115224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、機械学習を行うことにより、ユーザが快適になるように空調機を自動制御する場合、機械学習を行うためには、空調機の各種設定項目が、自分の好みに応じた設定となるように、ユーザが手動で一定回数各種設定項目の設定操作を行う必要がある。
しかしながら、リモコン装置の初期画面に表示されていないメニュー、つまり、初期画面をスクロールさせないと表示されない設定メニュー画面についてはアクセス性が悪い。そのため、アクセス性の悪い設定メニュー画面で設定が行われる項目については、ユーザが設定操作をなかなか行わず、その結果、機械学習が進まないおそれがある。つまり、ユーザの好みに沿った自動制御を行うことができないという問題がある。
そこで、この発明は、従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、機械学習をより確実に実行し、ユーザの好みに応じた自動制御をより早く実現することの可能な操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る操作装置は、表示部と、入力操作部と、当該入力操作部に対する操作を行うことにより設定が行われる複数の設定画面を、前記入力操作部に対する第一の操作に応じて所定の表示順で切り替えて前記表示部に表示する制御部と、を有し、前記設定画面に対する設定操作に基づいて前記設定画面を表示する順番を変更することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、ユーザの好みに応じた自動制御をより早く実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機システムの一例を示す概略構成図である。
図2】室内機及び操作装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】学習前の画面遷移の一例である。
図4】室内機制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】学習済みの設定画面の属性の変更方法を説明するための説明図である。
図6】学習済みの設定画面が存在する場合の画面遷移の一例である。
図7】学習済みの設定画面が存在する場合の画面遷移の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ここでは、本発明に係る操作装置を、空気調和機を制御するための条件設定等を行う操作装置に適用した場合について説明する。
図1は、本発明を適用した空気調和機1を有する空気調和機システム100の一例を示す概略構成図である。
空気調和機システム100は、空気調和機1とAIクラウド(人工知能装置)3とを備え、空気調和機1はAIクラウド3と例えばインターネット等の通信により接続されている。
空気調和機1は、室内機11と室外機12と操作装置13とを備える。
【0010】
AIクラウド3は、冷房、暖房、除湿等の運転を設定する「運転モード」、室内の温度を設定する「温度」、吹き出す風の量を設定する「風量」、風向きを設定する「風向」、冷暖房能力を上限まで上げた運転である「ハイパワー運転」等、空気調和機1を動作させる際に、ユーザが操作装置13を操作することにより設定した各種項目の設定情報と、そのときの空気調和機1の運転状況、および室内の各種環境情報等を空気調和機1から取得し、取得した情報を基に機械学習を行う。この学習した結果に基づき、空気調和機1が自動制御することにより、ユーザの好みにあった自動制御が行われるようになっている。
【0011】
AIクラウド3は、具体的には、学習部3aと記憶部3bとを有し、空気調和機1から受信した後述の収集データは記憶部3bに記憶される。また、学習部3aは、ユーザの好みにあった自動制御ができる程度に十分な収集データが記憶部3bに格納されたとき、収集データを用いて学習モデルを作成し、作成した学習モデルを含む学習結果と学習が終了した項目を特定する情報とを学習データとして空気調和機1に送信する。
【0012】
室内機11は、図2に示すように、室内機制御部11aと、操作装置13の後述の装置通信部13bとの間で双方向通信を行う室内機通信部11bと、AIクラウド3から受信した学習データを格納する記憶部11cと、を備える。
室内機制御部11aは、操作装置13による操作情報を室内機通信部11bを介して受け付け、受け付けた操作情報に基づいて空気調和機1を制御する。また、室内機制御部11aは、操作情報に基づいて表示部13fに表示される後述の設定画面を特定する情報と、表示中の設定画面においてユーザにより行われた設定操作と、センサ情報とを収集データとしてAIクラウド3に送信する。センサ情報は、室内機11や室外機12等に設けられた図示しない各種センサの検出情報であって、例えば、室温、湿度、室外温、天候情報等を含む。
【0013】
また室内機制御部11aは、AIクラウド3から学習データを受信し、学習データを記憶部11cに格納すると共に、学習データに基づいて空気調和機1を自動制御するための自動制御信号を生成し、生成した自動制御信号にしたがって空気調和機1の各部を制御する。また、室内機制御部11aは、AIクラウド3から受信した学習データをもとに、学習が終了した項目を特定し、特定した項目を含む学習終了情報を操作装置13に送信する。
【0014】
操作装置13は、装置制御部(制御部)13aと、室内機通信部11bとの間で双方向通信を行う装置通信部13bと、近接センサ13cと、入力操作部13eと、表示部13fと、記憶部13gと、を備える。
装置制御部13aは、入力操作部13eから、入力操作部13eに対する操作に応じた操作信号を受け付け、受け付けた操作信号と、後述の記憶部13gに格納された設定画面とをもとに、入力操作部13eに対する操作に応じた表示情報を生成して表示部13fに出力する。また、装置制御部13aは、操作信号に基づき、設定画面を特定する情報と、この設定画面が表示部13fに表示されている状態で入力操作部13eに対して行われた操作内容と、を含む操作情報を生成し、生成した操作情報を、装置通信部13bを介して室内機11に送信する。
【0015】
また、装置制御部13aは、機械学習が終了した設定画面について、表示部13fに表示される順番を変更する処理(以下、表示順変更処理ともいう。)を行う)。この機械学習と表示順変更処理については後述する。
また、装置制御部13aは、近接センサ13cの検出信号に基づき、装置制御部13aに対する起動操作が行われたか否か、また、空気調和機1に対する起動又は停止の操作が行われたか否かを判定し、判定結果に応じて、装置制御部13aまたは操作装置13を起動させると共に、空気調和機1に対する起動及び停止を指示する信号を装置通信部13bを介して室内機11に送信する。
【0016】
記憶部13gには、図3に示すように、機械学習の対象となる項目である、運転モード、風量、風向、ハイパワー運転の各項目の運転条件を設定するための設定画面SP1~SP5と、機械学習の対象とならない項目である、タイマー、機能、お知らせの各項目に関する設定画面SP11~SP13と、を含む複数の設定画面SPが記憶されている。なお、図3は、操作装置13の表示部13fに表示される、設定画面SPの画面遷移の一例を示したものである。起動時には、「温度」の設定画面SP1が初期画面P0として表示される。
【0017】
設定画面SPのそれぞれは、各項目について設定可能な項目一覧を表示する画面や、各項目について設定操作を行うための画面である。各設定画面SPは、例えば、各設定画面SPに示される設定可能な項目一覧の中から、項目を選択すること等により、順に下位の階層の画面が表示されるようになっている。尚、階層については後述する。
操作装置13は、図1に示すように、据置型のリモートコントローラである。操作装置13の筐体130は、円筒形状を有し、筐体130の上面は、ユーザが操作装置13を操作する際の手前側から奥側に向かって傾斜し、筐体130の奥側が筐体130の手前側よりも高い位置にある。筐体130の上面には、その中央に矩形状の表示部13fが配置され、表示部13fの周囲を取り囲むように入力操作部13eが配置されている。
【0018】
入力操作部13eは、選択キー131と決定キー132とを含み、これら選択キー131及び決定キー132はタッチセンサで形成されている。選択キー131は、4つの選択キー131a~131dを含む。表示部13fを基準にして、選択キー131aは奥側に、選択キー131bは手前側に、選択キー131cは左側に、選択キー131dは右側にそれぞれ配置される。また、決定キー132は表示部13fの右下コーナーに配置される。
【0019】
選択キー131aは、ユーザの選択画面や選択項目を現在のものより上に位置するものに切り替えるためのキーである。選択キー131bは、ユーザの選択画面や選択項目を現在のものより左に位置するものに切り替えるためのキーである。選択キー131cは、ユーザの選択画面や選択項目を現在のものより下に位置するものに切り替えるためのキーである。選択キー131dは、ユーザの選択画面や選択項目を現在のものより右に位置するものに切り替えるためのキーである。
【0020】
決定キー132は、選択キー131の操作により設定された情報等を確定するためのキーである。装置制御部4aは、決定キー132に対する操作が行われたとき、選択キー131の操作により設定された情報などが確定されたことを認識する。
また、筐体130の上面の、表示部13fの手前側には、近接センサ13cが設けられている。近接センサ13cは、2つの非接触式センサ13ca、13cbが、左右方向に間隔をあけて配置されている。
【0021】
このような構成を有する操作装置13において、ユーザが近接センサ13cを覆うように手をかざすことにより、近接センサ13cから検出信号が出力される。この検出信号を受けて、装置制御部13aでは、操作装置13の起動が指示されたと判定する。また、ユーザが近接センサ13cの上を、手を振るように往復させることにより、2つの非接触式センサ13ca、13cbから間隔をあけて検出信号が出力される。この2つの非接触式センサ13ca、13cbそれぞれから異なるタイミングで出力される検出信号を受けて、装置制御部13aでは、例えば、非接触式センサ13caから非接触式センサ13cb方向へ、続いてその逆の方向へと、ユーザが手を往復させたと判定し、空気調和機1の起動又は停止が指示されたと判定する。
【0022】
また、図3に示すように、操作装置13において、初期画面P0(図3では設定画面SP1)が表示部13fに表示されている状態で、選択キー131dがタッチされると、設定画面SP2が表示され、再度選択キー131dがタッチされると、設定画面SP3が表示される。設定画面SP3が表示されている状態で、選択キー131cがタッチされると、設定画面SP2が表示され、再度選択キー131cがタッチされると、設定画面SP1が表示される。同様に、初期画面P0(図3では設定画面SP1)が表示されている状態で、選択キー131cがタッチされると、設定画面SP11が表示され、再度選択キー131cがタッチされると、設定画面SP12が表示される。
【0023】
このように、初期画面P0が表示されている状態で、選択キー131c又は131dを操作することにより、設定画面SP1~SP5、SP11~SP13が順に表示される。このように、選択キー131c又は131dを操作することにより順に表示される設定画面SPを、第1階層の画面という。また、第1階層の画面において、その下の階層に位置する下位の設定画面を第2階層の画面といい、同様に第2階層の画面において、その下に位置する下位の設定画面を第3階層の画面という。
【0024】
図3において、初期画面P0から選択キー131dを繰り返し操作すること(第一の操作)により順に表示される設定画面、すなわち設定画面SP1~SP5を、第一表示モードに属する画面という。AIクラウド3での機械学習の対象となる項目に対応する設定画面が、第一表示モードに属する。第一表示モードに属する設定画面SP1~SP5は、初期画面P0から選択キー131dを繰り返し操作することにより、初期画面P0に近いものから、SP1、SP2、SP3、SP4、SP5の表示順で、順に切り替えて表示部13fに表示される。図3において、第一表示モードに属する画面を除く設定画面、つまり、初期画面P0から選択キー131cを操作すること(第二の操作)により表示される設定画面SP11~SP13を、第二表示モードに属する画面という。AIクラウド3での機械学習の対象とならない項目に対応する設定画面や、お知らせ等の設定画面が、第二表示モードに属する。
【0025】
第一表示モードに属する設定画面である、機械学習の対象となる項目に対応する設定画面としては、「温度」SP1、「運転モード」SP2、「風量」SP3、「風向」SP4、「ハイパワー運転」SP5がある。第二表示モードに属する設定画面としては、運転の開始や停止の時刻の設定を行う「タイマー」SP11、その他の詳細な設定を行う「機能」SP12、例えば室内機11内にある図示しないフィルタの清掃等をユーザに促す表示を行う「お知らせ」SP13を行うための設定画面がある。
【0026】
次に、空気調和機システム100の動作を説明する。
操作装置13の装置制御部13aでは、入力操作部13eに対して操作が行われると、通常モードで動作し、表示部13fに、入力操作部13eに対する操作に応じた設定画面を表示する。また、装置制御部13aは、入力操作部13eに対する操作に応じた操作情報を、装置通信部13bを介して室内機11に送信する。また、装置制御部13aは、操作情報及び記憶部13gに格納された設定画面をもとに、操作信号に応じた表示情報を生成し表示部13fに出力する。
【0027】
また、室内機11の室内機制御部11aでは、装置制御部13aから操作情報を受信し、図4に示すフローチャートにしたがって処理を行い、AIクラウド3から学習データを取得する。
具体的には、室内機制御部11aでは、まず、データのセンシングが行われる。すなわち、室内機制御部11aは、室内機11或いは室外機12等に設けられた各種センサから、室温、湿度、室外温度、天候情報等のセンサ情報を入力する(ステップS1)。室内機制御部11aは、操作装置13において、ユーザによる入力操作部13eに対する操作が行われず、装置制御部13aからの操作情報(例えば温度設定の変更)を受信しなければ(ステップS2-N)、ステップS1に戻り、ステップS1の処理を繰り返し行う。
【0028】
ユーザにより入力操作部13eに対して操作が行われ(ステップS2-Y)、装置制御部13aから操作情報(温度設定の変更)を受信すると、室内機制御部11aは、ステップS2からステップS3に移行し、受信した操作情報とステップS1で取得したセンサ情報とを収集データとしてAIクラウド3に出力する(ステップS3)。AIクラウド3では、収集データを記憶部3bに格納する。
【0029】
そして、操作装置13において、例えば「温度」についてAIクラウド3への送信が規定の回数(20回)に満たない場合(ステップS4-N)は、ステップS1に戻り、「温度」について規定回数の操作が行われ、室内機制御部11aが「温度」の設定画面SP1に対する操作収集データを20回、AIクラウド3に送信した状態となると(ステップS4-Y)、AIクラウド3では、記憶部3bに格納した「温度」に関する規定数の収集データをもとに、学習部3aで機械学習を行い、学習モデルを作成する。そして、AIクラウド3は、作成した学習モデルを含む学習データを室内機制御部11aに送信する。
【0030】
室内機制御部11aでは、AIクラウド3から学習データを受信すると、「温度」について学習が終了したことを認識し(ステップS5)、受信した学習データを記憶部11cに格納すると共に、学習データと、ステップS1で収集したセンサ情報とをもとに、温度を制御する。
また、室内機制御部11aは、「温度」について機械学習が終了したことを表す学習終了情報を操作装置13に送信する(ステップS6)。これにより、室内機制御部11aでの「温度」に関する操作が入力されたときの処理が終了する。
室内機制御部11aでは、以後、ユーザにより操作装置13において「温度」の設定操作が行われないときには、記憶部11cに格納された「温度」の学習データに基づき、温度制御を行う。
【0031】
装置制御部13aでは、室内機制御部11aから、「温度」についての学習終了情報を受信すると、表示順変更処理を実行し、「温度」を設定するための設定画面SP1を表示する順番を変更する。つまり、「温度」について学習が終了していない場合、図3では、初期画面P0として設定画面SP1が設定されているため、操作装置13が起動されたときには設定画面SP1が初期画面P0として常に表示されることになる。そのため、仮に、表示順変更処理を行わなければ、機械学習が終了した設定画面SP1が初期画面P0として常に表示されることになる。
【0032】
そこで、第一表示モードに属する設定画面SP1の属性を、第二表示モードに変更する。つまり、図5(a)に示すように、例えば、第二表示モードに属する「学習済み」を表す設定画面SP21を、設定画面SP12と設定画面SP13との間に新たに設け、その下位の階層に機械学習が終了した設定画面、すなわち設定画面SP1を移動(変更)する。また、図5(b)に示すように、第一表示モードにおいて、表示部13fに表示される順番が、設定画面SP1の次の順番であった設定画面SP2を新たに初期画面P0とする。これにより、第一表示モードで表示される機械学習の対象となる設定画面を表示するときには、選択キー131dを繰り返し操作することにより、設定画面SP2、設定画面SP3、設定画面SP4、設定画面SP5の順に表示部13fに表示される。
【0033】
このように、設定画面SP1の属性を、第二表示モードに属する「学習済み」を表す設定画面SP21の下位の階層に変更することで、第一表示モードに属する設定画面を表示するための選択キー131dの操作を行ったとしても設定画面SP1は表示されない。つまり、機械学習が終了した設定画面SP1は表示されない。
また、機械学習が終了した設定画面SP1の属性を第二表示モードに変更した後、操作装置13を起動したときには、図6に示すように、まず、新たに「学習」を案内する設定画面SP22を表示部13fに表示した後、初期画面P0に自動的に遷移して、初期画面P0として「運転モード」の設定画面SP2を表示する。設定画面SP22は、学習が必要なユーザ設定項目をユーザに知らせるためのガイド画面である。
【0034】
ユーザは、「学習」の設定画面SP22を見ることにより、その次に表示される「運転モード」等について入力を行い、学習をさせることが必要であることを認識させることができる。
以上は、「温度」について機械学習を行う場合であるが、他の項目についても同様に機械学習が行われる。例えば、「風向」の設定画面SP4について、風向の設定が行われると、操作装置13での操作と、室内機11で検出したセンサ情報とが収集データとして室内機11からAIクラウド3に送信され、AIクラウド3では、収集データを順次記憶部3bに記憶する。そして、AIクラウド3は、規定数の収集データが取得できたとき、機械学習を行い、生成した学習モデルを含む学習データを室内機11に送信する。室内機制御部11aでは、学習データと最新のセンサ情報とをもとに、自動制御信号を生成し、風向制御を行う。
【0035】
また、室内機制御部11aは、風向について学習終了情報を操作装置13に送信し、装置制御部13aでは、「風向」の設定画面SP4を、図7に示すように、「学習済み」の設定画面SP21の下位の階層に移動する。例えば、「学習済み」の設定画面SP21に既に属している設定画面SP1を第3階層に変更し、新たに機械学習が終了した「風向」の設定画面SP4を第2階層に属する設定画面として設定する。これにより、第一表示モードに属する「ハイパワー運転」の設定画面SP5の表示順が「風量」の設定画面SP3の次になる。
なお、AIクラウド3で学習に必要な収集データ数は、機械学習の対象の設定画面で設定される項目で同一の操作回数(規定数)であってもよく、また、項目毎に異なる規定数であってもよい。規定数は機械学習において、ユーザの好みを反映した学習モデルを生成するために必要十分な数であればよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る操作装置13の効果を説明する。
機械学習の対象となる項目に対応する設定画面SP1~SP5が、図3に示す並び順で表示される場合、起動時には、初期画面P0として「温度」の設定画面SP1が表示部13fに表示される。そのため、例えば、表示部13fに「温度」の設定画面SP1以外の設定画面を表示させるためには、選択キー131dを複数回操作しなければならない、表示順が最後の「ハイパワー運転」の設定画面SP5に比較して、「温度」の設定画面SP1は選択キー131dを操作しなくとも表示されるため操作されやすく、収集データは比較的早い段階で規定数に達しやすい。つまり、設定画面SP2~SP5に比較してより早い段階で学習が完了する可能性が高い。一方、「ハイパワー運転」の設定画面SP5は複数回選択キー131dを操作しなければならないため、ユーザは、「ハイパワー運転」について設定や変更を敬遠しがちになり、設定操作が行われにくい。つまり、収集データが集まりにくく、設定操作が機械学習を行うために必要な規定数に達しにくい。
【0037】
ここで、操作装置13では、機械学習が終了したユーザ設定項目、例えば「温度」及び「風向」については、図6図7に示すように、その設定画面SP1、SP4の属性を、選択キー131dを操作することにより順に設定画面SPが表示される第一表示モードから、選択キー131dを繰り返し操作しても表示されない第二表示モードに変更している。
そのため、第一表示モードに属する設定画面SPは、機械学習を行う必要のある第1表示モード側の設定画面のみとなる。つまり、起動後、初期画面P0として機械学習を行う必要のある設定画面が表示部13fに表示されるため、ユーザは、選択キー131dを操作しなくても、設定操作を行うことができる。
【0038】
例えば、機械学習を行う必要のある設定画面が「ハイパワー運転」の設定画面SP5のみである場合、図3に示すように、選択キー131dを操作することにより最後に表示される場合に比較して、初期画面P0として「ハイパワー運転」の設定画面SP5が表示される方が、ユーザは設定操作をし易くなり、結果的に、設定操作をするように仕向けることができる。つまり、収集データを収集しやすくすることができ、機械学習を促進することができる。
【0039】
また、機械学習が終了した設定画面は、その属性を第二表示モードに変更しているため、機械学習が終了した設定画面が増えるほど、選択キー131dの操作により表示される設定画面の数は減少する。そのため、機械学習が終了していない設定画面に対する設定操作を、ユーザがより行い易くすることができ、結果的に、設定操作を行うように仕向けることができる。
さらに、いずれかの設定画面に対する機械学習が終了した後は、図6図7に示すように、まず、「学習」の設定画面SP22を表示することで、ユーザに対して、機械学習が終了していない設定画面での操作を促すようにし、さらに、より少ない操作で、目的の設定画面SPを表示部13fに表示することができるため、ユーザに対して、機械学習が終了していない設定画面SPへの設定をより一層行うように仕向けることができる。
【0040】
このように、ユーザに対し、機械学習が終了していない設定画面SPに対する設定操作を行うように仕向けることができるため、より早い段階で、規定数の収集データを収集することができ、より早い段階で機械学習を終了することができる。その結果、より早い段階でユーザの好みに応じた運転条件で、室内機11を自動制御することができる。
また、ユーザによっては、空気調和機1の機能を十分に理解しない状態で空気調和機1を運転させることがあり、例えば、設定操作を規定数行わないと機械学習がなされないことや、機械学習が可能な項目として、温度だけではなく、風向や風量等、他にも機械学習が可能な項目があることを知らずに、空気調和機1を動作させる等、複数の項目についてユーザの好みに沿うように自動制御するという機能を、十分に活用していないこともある。
【0041】
上記実施形態によれば、ユーザに対して、機械学習が終了していない設定画面に対して設定操作を行うように仕向けることができる。そのため、表示部13fに表示される設定画面を参照しつつ空気調和機1を運転させるうちに、意図せず、機械学習を行うために必要な回数の設定操作を行わせることができ、結果的に、空気調和機1で自動制御可能な項目全てについて機械学習を行わせることができる。そのため、空気調和機1に搭載された、ユーザの好みに沿って自動制御を行うという機能を十分活用させることができる。
なお、学習済みの設定画面は、「学習済み」の設定画面SP21の下位の階層に属するようにしているため、選択キー131cの操作により、「学習済み」の設定画面SP21を表示させ、「学習済み」の設定画面SP21から、下位の目的の設定画面SPを表示させることができる。
【0042】
上記実施形態においては、学習済みの設定画面SPを、「学習済み」の設定画面SP21の下位の階層に属するようにした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、機械学習が終了した設定画面を引き続き機械学習の対象として第一表示モードに属したままとし、さらに選択キー131dの操作により表示される順番が最後となるように、表示される順番を変更してもよい。要は、第一表示モードに属する設定画面のうち、機械学習が終了した設定画面SPが、機械学習が終了していない設定画面SPよりも後に表示されるようにすればよく、すなわち、機械学習が終了していない設定画面SPが、初期画面P0が表示された状態からより少ない操作で表示部13fに表示されるようにすればよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、操作装置13は、機械学習が必要な項目に対応する設定画面についての設定操作が規定数行われたときに、第一表示モードに属する設定画面の表示順を変更する場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、操作装置13は、AIクラウド3から機械学習が必要な項目に対応する設定画面について、機械学習が終了したことを室内機11経由で通知されたときに、設定画面の表示順を変更してもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、各設定画面において、設定操作が行われたときにその操作情報を収集する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、表示部13fに表示された設定画面SPに対し、ユーザが設定操作を行わない場合には、ユーザが、この時点で設定されている内容に満足している(設定を変更する必要がない)とみなして、このとき設定されている情報も操作情報として収集するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、AIクラウド3で収集データを蓄積する場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば、操作装置13で収集データを蓄積し、規定数の収集データが蓄積された時点で、規定数の収集データをまとめてAIクラウド3に送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、AIクラウド3で機械学習を行う場合について説明したが、例えば操作装置13内で、機械学習を行うようにしてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 空気調和機
11 室内機
11a 室内機制御部
11b 室内機通信部
11c 記憶部
12 室外機
13 操作装置
13a 装置制御部
13b 装置通信部
13c 近接センサ
13e 入力操作部
13f 表示部
3 AIクラウド
図1
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図7