IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-包装箱 図1
  • 特許-包装箱 図2
  • 特許-包装箱 図3
  • 特許-包装箱 図4
  • 特許-包装箱 図5
  • 特許-包装箱 図6
  • 特許-包装箱 図7
  • 特許-包装箱 図8
  • 特許-包装箱 図9
  • 特許-包装箱 図10
  • 特許-包装箱 図11
  • 特許-包装箱 図12
  • 特許-包装箱 図13
  • 特許-包装箱 図14
  • 特許-包装箱 図15
  • 特許-包装箱 図16
  • 特許-包装箱 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/468 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B65D5/468 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020066126
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021160815
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0197770(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0300231(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248557(US,A1)
【文献】特開2019-094109(JP,A)
【文献】特開2013-203472(JP,A)
【文献】特開2019-073320(JP,A)
【文献】中国実用新案第201111488(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の縁部に連設された筒状の壁部と、
前記壁部の上側の開口部に設けられた頂板と、を備え、
前記壁部には、手掛け穴が形成され、
前記手掛け穴は、折り返し片によって閉塞されており、
前記折り返し片は、
前記手掛け穴の上縁部に第一折れ線を介して連設された下枠部と、
前記下枠部の下縁部に第二折れ線を介して連設された内板部と、を備え、
前記第一折れ線および前記第二折れ線は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲または屈曲し、
前記下枠部は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲または屈曲しており、
前記下枠部の上下方向の幅は、前記下枠部の横方向の中央部よりも両端部の方が大きく形成され、
前記折り返し片を前記壁部に対して内側に折り返し、前記下枠部を前記手掛け穴の上縁部から前記壁部の内部に突出させ、前記下枠部の先端縁部から上方に向けて前記内板部を立ち上げたときに、前記内板部の先端縁部が前記頂板の内面に接触するとともに、前記下枠部の横方向の中央部が、前記壁部の外側に向けて突出した形状となることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記下枠部の横方向の中央部における上下方向の幅は、前記下枠部の横方向の端部における上下方向の幅の0.4倍から0.8倍の間であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記下枠部は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲しており、
前記折り返し片を前記壁部に対して内側に折り返し、前記下枠部を前記手掛け穴の上縁部から前記壁部の内部に突出させ、前記下枠部の先端縁部から上方に向けて前記内板部を立ち上げたときに、前記内板部の先端縁部が前記頂板の内面に接触するとともに、前記下枠部の横方向の中央部が、前記壁部の外側に向けて円弧状に突出した形状となることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記下枠部には、前記第一折れ線の端部から前記第二折れ線に至る第三折れ線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記壁部には、前記第一折れ線の端部から上方に向けて延びるスリットが形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱としては、壁部に形成された手掛け穴が折り返し片によって閉塞されているものがある。このような包装箱を持ち運ぶときには、壁部に対して折り返し片を上方に向けて内側に折り返して、手掛け穴を開口させることで、作業者は折り返し片に指を掛けて包装箱を持ち上げることができる。
【0003】
従来の折り返し片としては、手掛け穴の上縁部に第一折れ線を介して連設された下枠部と、下枠部の下縁部に第二折れ線を介して連設された内板部と、を備えているものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3205213号公報
【文献】実用新案登録第3216583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の包装箱における下枠部の上下方向の幅は、横方向の中央部よりも両端部の方が小さく形成されている。
【0006】
前記した従来の折り返し片の形状では、内容物が軽い場合など、作業者が折り返し片の下枠部に、指の先端から第一関節を掛けて包装箱を持ち上げる場合には、指の痛みを軽減できる。
【0007】
しかしながら、内容物が重くなり、作業者が折り返し片の下枠部に、指の第二関節から第三関節を掛けて包装箱を持ち上げざるを得ない場合には、前記した従来の折り返し片の形状では、指の痛みが軽減され難いという問題がある。
【0008】
本発明は、前記した問題を解決し、内容物が重い場合でも、折り返し片に指を掛けて持ち上げたときの指の痛みを軽減できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、底板と、前記底板の縁部に連設された筒状の壁部と、前記壁部の上側の開口部に設けられた頂板と、を備え、前記壁部には、手掛け穴が形成され、前記手掛け穴は、折り返し片によって閉塞されている。前記折り返し片は、前記手掛け穴の上縁部に第一折れ線を介して連設された下枠部と、前記下枠部の下縁部に第二折れ線を介して連設された内板部と、を備えている。前記第一折れ線および前記第二折れ線は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲または屈曲している。前記下枠部は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲または屈曲しており、前記下枠部の上下方向の幅は、前記下枠部の横方向の中央部よりも両端部の方が大きく形成されている。前記折り返し片を前記壁部に対して内側に折り返し、前記下枠部を前記手掛け穴の上縁部から前記壁部の内部に突出させ、前記下枠部の先端縁部から上方に向けて前記内板部を立ち上げたときに、前記内板部の先端縁部が前記頂板の内面に接触するとともに、前記下枠部の横方向の中央部が、前記壁部の外側に向けて突出した形状となるように構成されている。
【0010】
本発明の包装箱では、壁部に対して折り返し片を上方に向けて内側に折り返すことで、手掛け穴を開口させることができる。そして、作業者は、手掛け穴に指を差し込んで、折り返し片に指を掛けて、包装箱を持ち上げることになる。
本発明の包装箱では、壁部に対して折り返し片を折り返すと、下枠部は手掛け穴の上縁
部から壁部の内側に突出し、内板部は下枠部の先端縁部から上方に向けて立ち上がった状態となる。
本発明の下枠部の形状では、作業者が折り返し片に指を掛けて包装箱を持ち上げたときの指の痛みを軽減できる。特に、本発明の下枠部の形状では、内容物が重くて、指の第二関節から第三関節を下枠部に掛けて包装箱を持ち上げざるを得ない場合に、指の痛みを効果的に軽減できる。
本発明の包装箱では、手掛け穴の上縁部が折り返し片によって支持されるため、手掛け穴を安定させることができる。また、下枠部が内板部に支持されるため、下枠部の変形を抑えて、下枠部の強度を維持できる。
【0011】
前記した包装箱において、前記下枠部の横方向の中央部における上下方向の幅を、前記下枠部の横方向の端部における上下方向の幅の0.4倍から0.8倍の間に形成することが好ましい。
この構成では、作業者が折り返し片に指を掛けて包装箱を持ち上げたときの指の痛みを軽減する効果が大きくなる。
【0012】
前記した包装箱において、前記下枠部は、横方向の中央部よりも両端部が下がるように湾曲しており、前記折り返し片を前記壁部に対して内側に折り返し、前記下枠部を前記手掛け穴の上縁部から前記壁部の内部に突出させ、前記下枠部の先端縁部から上方に向けて前記内板部を立ち上げたときに、前記内板部の先端縁部が前記頂板の内面に接触するとともに、前記下枠部の横方向の中央部が、前記壁部の外側に向けて円弧状に突出した形状となるように構成することが好ましい
【0013】
前記した包装箱において、前記下枠部には、前記第一折れ線の端部から前記第二折れ線に至る第三折れ線を形成することが好ましい。
作業者が折り返し片に指を掛けると、多くの場合は下枠部の両端部に人差し指および小指が掛かる。そして、前記した構成では、下枠部の両端部が人差し指および小指に押されて、第三折れ線において折れ曲がる。このように、前記した構成では、下枠部が手の形状に合わせて変形するため、作業者が折り返し片を安定して持つことができる。
【0014】
前記した包装箱において、前記壁部には、前記第一折れ線の端部から上方に向けて延びるスリットを形成することが好ましい。
この構成では、第一折れ線において壁部に対して下枠部を折り返したときに、第一折れ線の端部から壁部が不特定の方向に引き裂かれるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装箱では、内容物が重い場合でも、作業者が折り返し片に指を掛けて包装箱を持ち上げたときの指の痛みを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る包装箱を示した正面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る包装箱を示した左側面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る包装箱を示した右側面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る包装箱を示した平面図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る包装箱を示した底面図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る包装箱において、壁部に対して折り返し片を折り返した状態を壁部の内側から見た斜視図である。
図9】本発明の第一実施形態に係る包装箱において、壁部に対して折り返し片を折り返した状態を示した側断面図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図11】本発明の第二実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図12】本発明の第二実施形態に係る包装箱を示した正面図である。
図13】本発明の第二実施形態に係る包装箱において、壁部に対して折り返し片を折り返した状態を壁部の内側から見た斜視図である。
図14】本発明の第三実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図15】本発明の第三実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図16】本発明の第三実施形態に係る包装箱を示した正面図である。
図17】本発明の第三実施形態に係る包装箱において、壁部に対して折り返し片を折り返した状態を壁部の内側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0018】
[第一実施形態]
第一実施形態の包装箱1Aは、図1に示すように、底板30と、底板30の縁部に連設された角筒状の壁部10と、壁部10の上縁部に連設された頂板20と、を備えているラップアラウンド方式の段ボール箱である。
壁部10は、平面視で四角形の角筒状に形成されており、前後一対の端壁11,12と、左右一対の側壁13,14と、を備えている。
【0019】
第一実施形態の包装箱1Aは、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0020】
底板30は、図1に示すように、四角形の平板である(図7参照)。底板30の左縁部には、折れ線を介して左側の側壁13が連設され、底板30の右縁部には、折れ線を介して右側の側壁14が連設されている。左右の側壁13,14は、同じ四角形の壁体であり(図4および図5参照)、底板30に対して垂直に形成されている。
【0021】
左側の側壁13の上縁部には、折れ線を介して頂板20が連設されている。頂板20は、底板30と同じ四角形の平板であり(図6参照)、左側の側壁13に対して垂直に形成されている。
ブランクシートS1(図2参照)を各罫線で折り曲げつつ、右側の側壁14の上縁部に連設された接合片15を頂板20の内面に接合することで、右側の側壁14、底板30、左側の側壁13および頂板20が角筒状に形成されている。
【0022】
包装箱1Aの前側の端壁11は、頂板20および底板30の前縁部に連設された上下一対の外フラップ16,16と、左右の側壁13,14の前縁部に連設された左右一対の内フラップ17,17と、を備えている。
左右の内フラップ17,17の外面に上下の外フラップ16,16が重ねられて接合されている。
上下の外フラップ16,16は、上下方向に間隔を空けて配置され、左右の内フラップ17,17は、左右方向に間隔を空けて配置されている。これにより、前側の端壁11の中央部には、四角形の開口部が形成されている。
【0023】
包装箱1Aの後側の端壁12は、前側の端壁11と前後対称な構成であり、上下一対の外フラップ16,16と、左右一対の内フラップ17,17と、によって構成されており、中央部に開口部が形成されている。
【0024】
包装箱1Aでは、図3に示すように、上側の外フラップ16に手掛け穴50が貫通している。手掛け穴50は、外フラップ16の左右方向の中央部に形成されており、左右の内フラップ17,17の間に配置されている。また、手掛け穴50は、外フラップ16の上下方向の中間部に形成されている。
【0025】
手掛け穴50は、図2に示すブランクシートS1の状態では、折り返し片60によって閉塞されている。ブランクシートS1から図1に示す包装箱1Aを組み立てた後に、作業者が包装箱1Aを持ち運ぶときには、図8に示すように、外フラップ16に対して折り返し片60を上方に向けて内側に折り返して、手掛け穴50を開口させる。なお、図8は包装箱1Aの内部から手掛け穴50およびその周囲を見た斜視図である。
そして、作業者は、手掛け穴50に指を差し込み、折り返し片60に指を掛けて、包装箱1Aを持ち上げる。
【0026】
手掛け穴50の上縁部51は、図3に示すように、中央部よりも左右の端部が下がるように円弧状に湾曲している。
手掛け穴50の左右の側縁部52,52は、上縁部51の両端部から下方に向けて延びている。両側縁部52,52の間隔は、下方に向かうに連れて小さくなるように形成されている。
手掛け穴50の下縁部53は、左右の側縁部52,52の下端部の間に直線状に形成されている。
【0027】
折り返し片60は、第一折れ線L1を介して手掛け穴50の上縁部51に連設されるとともに、第一スリットL10を介して手掛け穴50の左右の側縁部52,52および下縁部53に連設されている。
第一実施形態の第一折れ線L1は、外フラップ16の内面に形成された罫線である。また、第一スリットL10は、外フラップ16を貫通している切れ込み線またはハーフカット線である。
【0028】
折り返し片60は、手掛け穴50を閉塞している平板である。折り返し片60は、手掛け穴50の上縁部に第一折れ線L1を介して連設された下枠部61と、下枠部61の下縁部に第二折れ線L2を介して連設された内板部62と、を備えている。第一実施形態の第二折れ線L2は、折り返し片60の内面に形成された罫線である。
【0029】
第一折れ線L1は、手掛け穴50の上縁部51に形成されており、中央部よりも左右の端部が下がるように円弧状に湾曲している。
第二折れ線L2は、第一折れ線L1の下方に間隔を空けて形成されており、中央部よりも左右の端部が下がるように円弧状に湾曲している。
【0030】
第二折れ線L2の曲率は、第一折れ線L1の曲率よりも大きく形成されている。これにより、第一折れ線L1と第二折れ線L2との上下方向の間隔は、左右方向(横方向)の中央部から両端部に向かうに連れて大きく形成されている。
【0031】
また、外フラップ16では、第一折れ線L1の左右の端部から上方に向けて延びている左右の第二スリットL20,L20が形成されている。第二スリットL20は、外フラップ16を貫通している切れ込み線またはハーフカット線である。
【0032】
下枠部61は、第一折れ線L1と第二折れ線L2との間に形成された帯状の部位である。下枠部61は、左右方向(横方向)に延びており、左右の縁部は第一スリットL10を介して手掛け穴50の両側縁部52,52に連設されている。
【0033】
下枠部61は、左右方向(横方向)の中央部よりも左右の端部が下がるように円弧状に湾曲している。下枠部61の上下方向の幅は、左右方向の中央部の幅H1よりも両端部の幅H2の方が大きく形成されている。第一実施形態では、下枠部61の上下方向の幅は、左右方向の中央部から両端部に向かうに連れて大きく形成されている。
また、第一実施形態では、下枠部61の左右方向の中央部における上下方向の幅H1は、左右方向の端部における上下方向の幅H2に対して、0.4倍から0.8倍の間に形成されている。
【0034】
内板部62は、第二折れ線L2と第一スリットL10の下部とによって区画された部位である。内板部62の上縁部は、第二折れ線L2を介して下枠部61の下縁部に連設されている。また、内板部62の左右の縁部は、第一スリットL10を介して手掛け穴50の両側縁部52,52に連設されている。また、内板部62の下縁部は、第一スリットL10を介して手掛け穴50の下縁部53に連設されている。
内板部62の左右の縁部の下部には、円弧状に窪んだ左右の窪み部63,63が形成されている。
【0035】
次に、包装箱1Aの手掛け穴50を開口する手順について説明する。
図2に示すブランクシートS1の状態では、手掛け穴50は折り返し片60によって閉塞されている。ブランクシートS1から図1に示す包装箱1Aを組み立てた後に、作業者が包装箱1Aを持ち運ぶときには、作業者が折り返し片60を外側から包装箱1Aの内側に押し込む。
【0036】
これにより、図8に示すように、第一スリットL10が切り開かれて、折り返し片60の左右の縁部および下縁部が外フラップ16から切り離される。また、折り返し片60は、第一折れ線L1において外フラップ16に対して包装箱1Aの内側に折れ曲がり、手掛け穴50が開口する。
【0037】
さらに、作業者が手掛け穴50に指を差し込み、第二折れ線L2において下枠部61に対して内板部62を上方に向けて折り曲げる。これにより、折り返し片60が上側の外フラップ16の内面側に上向きに折り返される。
このとき、折り返し片60は、下枠部61が手掛け穴50の上縁部から包装箱1Aの内部に突出し、下枠部61の先端縁部から上方に向けて内板部62が立ち上がった状態となる。
【0038】
包装箱1Aでは、内板部62の左右の縁部に窪み部63,63が形成されている。これにより、折り返し片60を上側の外フラップ16の内側に折り返したときに、内板部62の縁部が内容物に擦れるのを防ぐことができるため、内容物を保護することができる。例えば、内容物がペットボトルである場合には、キャップに印字されたロット番号など、ペットボトルの表面に印字された記号や模様が剥げるのを防ぐことができる。
【0039】
また、包装箱1Aでは、図9に示すように、折り返し片60を外フラップ16に対して折り返したときに、内板部62の先端部が頂板20の内面に接触するように、内板部62の上下方向の高さが形成されている。
【0040】
以上のような包装箱1Aでは、図8に示すように、外フラップ16に対して折り返し片60を上方に向けて内側に折り返すことで、手掛け穴50を開口させることができる。そして、作業者は、手掛け穴50に指を差し込み、折り返し片60に下側から指を掛けて、包装箱1Aを持ち上げることができる。
【0041】
包装箱1Aでは、折り返し片60の下枠部61が円弧状に湾曲している(図3参照)。これにより、第一折れ線L1において外フラップ16に対して包装箱1Aの内側に折り曲げられた下枠部61は、左右方向の中央部が包装箱1Aの外側に向けて円弧状に突出した形状となる。
【0042】
このような下枠部61の形状では、作業者が折り返し片60に指を掛けて包装箱1Aを持ち上げたときに、指の痛みを軽減できる。特に、内容物が重い場合には、指の第二関節から第三関節を下枠部61に掛けて包装箱1Aを持ち上げることが多いが、第一実施形態の下枠部61の形状であれば、指の痛みを効果的に軽減できる。
【0043】
また、包装箱1Aでは、図3に示すように、下枠部61の左右方向の中央部における上下方向の幅H1を、左右方向の端部における上下方向の幅H2の0.4倍から0.8倍の間に形成している。このように下枠部61を形成することで、作業者が折り返し片60に指を掛けて包装箱1Aを持ち上げたときの指の痛みを軽減する効果が大きくなる。
【0044】
また、包装箱1Aでは、図9に示すように、折り返し片60を上側の外フラップ16の内側に折り返したときに、内板部62の先端縁部が頂板20の内面に接触する。これにより、手掛け穴50の上縁部が折り返し片60によって支持されるため、手掛け穴50を安定させることができる。また、下枠部61が内板部62に支持されるため、下枠部61の変形を抑えて、下枠部61の強度を維持できる。
【0045】
また、包装箱1Aでは、図8に示すように、第一折れ線L1の両端部から第二スリットL20,L20が形成されているため、第一折れ線L1において上側の外フラップ16に対して下枠部61を折り返したときに、第一折れ線L1の両端部から外フラップ16が不特定の方向に引き裂かれるのを防ぐことができる。
【0046】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図3に示す手掛け穴50および折り返し片60の形状は限定されるものではなく、内容物の形状や壁部10の強度に合わせて適宜に形成する。
【0047】
第一実施形態の折り返し片60では、内板部62の左右の縁部に窪み部63,63が形成されているが、内板部62の縁部の一方のみに窪み部63を形成してもよい。また、窪み部63の形状は限定されるものではなく、内容物の形状に合わせて適宜に形成する。
【0048】
第一実施形態の包装箱1Aでは、手掛け穴50が外フラップ16の中央部に形成されているが、手掛け穴50の位置は限定されるものではない。例えば、手掛け穴50の下端部を外フラップ16の下縁部まで延ばして、手掛け穴50を上向きに窪んでいる凹形状に形成してもよい。
【0049】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図1に示すように、前後の端壁11,12の両方に手掛け穴50および折り返し片60が形成されているが、前後の端壁11,12の一方のみに手掛け穴50および折り返し片60を形成してもよい。また、左右の側壁13,14の一方または両方に手掛け穴50および折り返し片60を形成してもよい。
【0050】
第一実施形態の包装箱1Aでは、上下の外フラップ16,16が上下方向に間隔を空けて配置されているが、上下の外フラップ16,16を突き合わせてもよい。
【0051】
第一実施形態の包装箱1Aは、ラップアラウンド方式の段ボール箱であるが、本発明の包装箱の形式や形状は限定されるものではない。例えば、A式のダンボール箱の壁部に手掛け穴50および折り返し片60を形成してもよい。
【0052】
第一実施形態の包装箱1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【0053】
[第二実施形態]
第二実施形態の包装箱1Bは、図10に示すように、第一実施形態の包装箱1A(図1参照)と略同様な構成であり、折り返し片60の下枠部61に左右の第三折れ線L3,L3が形成されている点が異なる。
【0054】
第二実施形態の包装箱1Bは、図11に示すブランクシートS2を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図11に示すブランクシートS2は内面側が見えるように配置されている。
【0055】
第二実施形態の包装箱1Bの下枠部61には、図12に示すように、第一折れ線L1の両端部から第二折れ線L2に至る左右の第三折れ線L3,L3が形成されている。第三折れ線L3は、折り返し片60の内面に形成された罫線である。
【0056】
左側の第三折れ線L3は、第一折れ線L1の左端部から右斜め下向きに延びている。左側の第三折れ線L3の下端部は、第二折れ線L2の中央部よりも左側の領域に接続されている。右側の第三折れ線L3は、左側の第三折れ線L3と左右対称に形成されている。
【0057】
第二実施形態の包装箱1Bでは、図13に示すように、作業者が折り返し片60に指を掛けると、多くの場合は下枠部61の両端部に人差し指および小指が掛かる。そして、下枠部61の両端部は、人差し指および小指に押されて、両第三折れ線L3,L3において折れ曲がる。このように、第二実施形態の包装箱1Bでは、下枠部61が手の形状に合わせて変形するため、作業者が折り返し片60を安定して持つことができる。
【0058】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【0059】
[第三実施形態]
第三実施形態の包装箱1Cは、図14に示すように、第一実施形態の包装箱1A(図1参照)と略同様な構成であり、第一折れ線L100および第二折れ線L200の形状が異なる。
【0060】
第三実施形態の包装箱1Bは、図15に示すブランクシートS3を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図15に示すブランクシートS3は内面側が見えるように配置されている。
【0061】
第三実施形態の第一折れ線L100には、図16に示すように、外フラップ16の上縁部に平行している直線部L110と、直線部L110の左右の端部から斜め下向きに直線状に延びている傾斜部L120,L120と、が形成されている。このように、第三実施形態の第一折れ線L100は、中央の直線部L110よりも左右の傾斜部L120,L120が下がるように屈曲している。
【0062】
第三実施形態の第二折れ線L200は、第一折れ線L100の下方に間隔を空けて形成されている。
第三実施形態の第二折れ線L200には、外フラップ16の上縁部に平行している直線部L210と、直線部L210の左右の端部から斜め下向きに直線状に延びている傾斜部L220,L220と、が形成されている。このように、第三実施形態の第二折れ線L200は、中央の直線部L210よりも左右の傾斜部L220,L220が下がるように屈曲している。
【0063】
第三実施形態において、第二折れ線L200の直線部210に対する傾斜部L220の傾斜角度は、第一折れ線L100の直線部L110に対する傾斜部L120の傾斜角度よりも大きく形成されている。これにより、第一折れ線L100と第二折れ線L200との間に形成された下枠部61の上下方向の幅は、左右方向の中央部よりも両端部の方が大きく形成されている。
【0064】
このような第三実施形態の下枠部61の形状においても、図17に示すように、作業者が折り返し片60に指を掛けて包装箱1Cを持ち上げたときの指の痛みを軽減できる。
【0065】
以上、本発明の第三実施形態について説明したが、本発明は前記第三実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1A 包装箱(第一実施形態)
1B 包装箱(第二実施形態)
1C 包装箱(第三実施形態)
10 壁部
11 前側の端壁
12 後側の端壁
13 左側の側壁
14 右側の側壁
15 接合片
16 外フラップ
17 内フラップ
20 頂板
30 底板
50 手掛け穴
51 上縁部
52 側縁部
53 下縁部
60 折り返し片
61 下枠部
62 内板部
62a 窪み部
L1 第一折れ線
L2 第二折れ線
L3 第三折れ線
L10 第一スリット
L20 第二スリット
L100 第一折れ線(第三実施形態)
L110 直線部
L120 傾斜部
L200 第二折れ線(第三実施形態)
L210 直線部
L220 傾斜部
S1 ブランクシート(第一実施形態)
S2 ブランクシート(第二実施形態)
S3 ブランクシート(第三実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17