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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B60C11/03 100A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020082055
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021176724
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英駿
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095079(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0121304(KR,A)
【文献】特開2015-107712(JP,A)
【文献】特開2002-254905(JP,A)
【文献】特開2010-208474(JP,A)
【文献】特開2009-096255(JP,A)
【文献】特開2010-105445(JP,A)
【文献】特開平02-283504(JP,A)
【文献】特開2009-001173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドに、4つの周方向溝と、5つの陸部とが設けられたタイヤであって、
前記周方向溝が、タイヤ赤道の両側に配置される一対のクラウン周方向溝と、前記クラウン周方向溝の外側に配置される一対のショルダー周方向溝とを含み、
前記陸部が、前記クラウン周方向溝で区分されるクラウン陸部と、前記クラウン周方向溝と前記ショルダー周方向溝とで区分される一対のミドル陸部とを含み、
前記クラウン陸部が、前記タイヤ赤道に延びるメインクラウン浅溝と、前記クラウン周方向溝と前記メインクラウン浅溝とに連通して延びる少なくとも2つのサブクラウン浅溝とを含み、
一対の前記ミドル陸部が、それぞれトレッド面から凹んだV字形のスロットを含み、
前記サブクラウン浅溝及び前記スロットが、隣接する前記サブクラウン浅溝が前記メインクラウン浅溝に連通する位置の中間点を中心として、実質的に点対称に配置されており、
前記メインクラウン浅溝及びサブクラウン浅溝の深さは、前記周方向溝の深さの1%以上35%以下であり、
前記スロットが、前記サブクラウン浅溝が前記クラウン周方向溝に連通する位置を通るタイヤ軸方向と平行な基準線と、交わるように配置され、
前記基準線と交わるように配置される、一対の前記ミドル陸部の前記スロットは、一方のスロットが前記クラウン周方向溝側に配置され、他方のスロットが前記ショルダー周方向溝側に配置される、
タイヤ。
【請求項2】
前記スロットの開口縁から、前記ミドル陸部の縁までの最短の長さが、前記ミドル陸部の幅の5%以上75%以下である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記スロットのV字形に屈曲する屈曲部から、前記スロットの長手方向の両端である第一端と第二端とを結ぶ直線までの最短の長さが、前記ミドル陸部の幅の0.1%以上80%以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記メインクラウン浅溝、及び前記サブクラウン浅溝の幅が、前記クラウン陸部の幅の1%以上30%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記スロットの屈曲部と、前記サブクラウン浅溝が前記クラウン周方向溝に連通する位置とを結ぶ直線が、前記基準線に対して0°以上15°以下の角度をなす、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
一対の前記ミドル陸部が、周方向において、隣り合う前記スロットを含み、
隣り合う前記スロット間の最短の長さが、タイヤ周の長さの0.1%以上2.5%以下である、請求項1からのいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トレッドの陸部に、幅の小さい溝を有するタイヤが知られている。このような溝の開口縁は、路面を引掻いて摩擦力を高める。開口縁のタイヤ軸方向成分は、路面での制動性を高める。開口縁の周方向成分は、路面での旋回走行時の耐横滑り性を高める。従って、溝の設けられたタイヤは、路面に対して優れた制動性及び耐横滑り性を有する。
【0003】
これら溝の構成、すなわち、トレッドパターンは、排水性や偏摩耗の発生に影響する。このトレッドパターンは、様々な検討が行われている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-95079公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の溝が設けられたタイヤは、陸部の剛性が低下する。そのため、溝を起点とするパンチング摩耗が促進され、耐偏摩耗性能が悪化しやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、耐偏摩耗性能が向上するタイヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トレッドに、4つの周方向溝と、5つの陸部とが設けられたタイヤであって、前記周方向溝が、タイヤ赤道の両側に配置される一対のクラウン周方向溝と、前記クラウン周方向溝の外側に配置される一対のショルダー周方向溝とを含み、前記陸部が、前記クラウン周方向溝で区分されるクラウン陸部と、前記クラウン周方向溝と前記ショルダー周方向溝とで区分される一対のミドル陸部とを含み、前記クラウン陸部が、前記タイヤ赤道に延びるメインクラウン浅溝と、前記クラウン周方向溝と前記メインクラウン浅溝とに連通して延びる少なくとも2つのサブクラウン浅溝とを含み、一対の前記ミドル陸部が、それぞれトレッド面から凹んだV字形のスロットを含み、前記サブクラウン浅溝及び前記スロットが、隣接する前記サブクラウン浅溝が前記メインクラウン浅溝に連通する位置の中間点を中心として、実質的に点対称に配置されているタイヤである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタイヤは、耐偏摩耗性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッドが示された展開図である。
図2A図2Aは、図1のクラウン陸部、クラウン周方向溝、第一ミドル陸部、第二ミドル陸部及びショルダー周方向溝を示す拡大図である。
図2B図2Bは、図2Aのスロットの配置を変更した、第一の変更例を示す図である。
図2C図2Cは、図2Aのスロットの配置を変更した、第二の変更例を示す図である。
図3A図3Aは、図1のミドル陸部の拡大図である。
図3B図3Bは、図3Aのタイヤ軸方向に対するスロットの角度を変更した、第三の変更例を示す図である。
図3C図3Cは、図3Aのミドル陸部のスロットの配置を変更した、第四の変更例を示す図である。
図3D図3Dは、図3Aのミドル陸部のスロットの配置を変更した、第五の変更例を示す図である。
図4図4は、図1のクラウン陸部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、トレッドに、4つの周方向溝と、5つの陸部とが設けられたタイヤであって、
前記周方向溝が、タイヤ赤道の両側に配置される一対のクラウン周方向溝と、前記クラウン周方向溝の外側に配置される一対のショルダー周方向溝とを含み、
前記陸部が、前記クラウン周方向溝で区分されるクラウン陸部と、前記クラウン周方向溝と前記ショルダー周方向溝とで区分される一対のミドル陸部とを含み、
前記クラウン陸部が、前記タイヤ赤道に延びるメインクラウン浅溝と、前記クラウン周方向溝と前記メインクラウン浅溝とに連通して延びる少なくとも2つのサブクラウン浅溝とを含み、
一対の前記ミドル陸部が、それぞれトレッド面から凹んだV字形のスロットを含み、
前記サブクラウン浅溝及び前記スロットが、隣接する前記サブクラウン浅溝が前記メインクラウン浅溝に連通する位置の中間点を中心として、実質的に点対称に配置されているタイヤである。
【0012】
上記の(1)のタイヤは、耐偏摩耗性能が向上する。
【0013】
(2)前記スロットの開口縁から、前記ミドル陸部の縁までの最短の長さは、前記ミドル陸部の幅の5%以上75%以下である、(1)に記載のタイヤである。
【0014】
(3)前記スロットのV字形に屈曲する屈曲部から、前記スロットの長手方向の両端である第一端と第二端とを結ぶ直線までの最短の長さは、前記ミドル陸部の幅の0.1%以上80%以下である、(1)又は(2)に記載のタイヤである。
【0015】
(4)前記メインクラウン浅溝、及び前記サブクラウン浅溝の幅は、前記クラウン陸部の幅の1%以上30%以下である、(1)から(3)のいずれかに記載のタイヤである。
【0016】
(5)前記スロットは、前記サブクラウン浅溝が前記クラウン周方向溝に連通する位置を通るタイヤ軸方向と平行な基準線と、交わるように配置される、(1)から(4)のいずれかに記載のタイヤである。
【0017】
(6)前記スロットの屈曲部と、前記サブクラウン浅溝が前記クラウン周方向溝に連通する位置とを結ぶ直線は、前記基準線に対して0°以上15°以下の角度をなす、(5)に記載のタイヤである。
【0018】
(7)前記基準線と交わるように配置される、一対の前記ミドル陸部の前記スロットは、一方のスロットが前記クラウン周方向溝側に配置され、他方のスロットが前記ショルダー周方向溝側に配置される、(5)又は(6)に記載のタイヤである。
【0019】
(8)一対の前記ミドル陸部は、周方向において、隣り合う前記スロットを含み、
隣り合う前記スロット間の最短の長さは、タイヤ周の長さの0.1%以上2.5%以下である、(1)から(7)のいずれかに記載のタイヤである。
【0020】
(2)から(8)のタイヤは、さらに耐偏摩耗性能が向上する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド2の展開図を示す。本発明は、例えば、乗用車用や重荷重用の空気入りタイヤ、及びタイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の、様々なタイヤに用いることができる。本実施形態のタイヤ1は、重荷重用の空気入りタイヤである。
【0022】
本実施形態は、トレッド2に、4つの周方向溝3と、5つの陸部4とが設けられたタイヤ1に関する。周方向溝3は、タイヤ赤道Cの両側に配置される一対のクラウン周方向溝30と、クラウン周方向溝30の外側に配置される一対のショルダー周方向溝31とを含む。陸部4は、クラウン周方向溝30で区分されるクラウン陸部40と、クラウン周方向溝30とショルダー周方向溝31とで区分される第一ミドル陸部41及び第二ミドル陸部42とを含む。クラウン陸部40は、タイヤ赤道Cに延びるメインクラウン浅溝100と、クラウン周方向溝30とメインクラウン浅溝100とに連通して延びる第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102とを含む。第一ミドル陸部41は、トレッド面Tsから凹んだV字形の第一スロット201を含む。第二ミドル陸部42は、トレッド面Tsから凹んだV字形の第二スロット202を含む。第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102、並びに第一スロット201及び第二スロット202は、第一サブクラウン浅溝101がメインクラウン浅溝100に連通する第一位置100aと、第二サブクラウン浅溝102がメインクラウン浅溝100に連通する第二位置100bとの中間点100cを中心として実質的に点対称に配置されている。
【0023】
図1において、上下方向がタイヤ1の周方向であり、左右方向がタイヤ1の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ1の半径方向である。この図1において、一点鎖線Cは、タイヤ1のタイヤ赤道を表す。
【0024】
トレッド2は、タイヤ1の周方向に連続して延びる4本の周方向溝3を有する。本実施形態では、周方向溝3は、タイヤ赤道Cの両側に配される一対のクラウン周方向溝30、及び、クラウン周方向溝30とトレッド端Teとの間に配置される一対のショルダー周方向溝31を含んでいる。
【0025】
「トレッド端」Teは、正規リムにリム組みされ、且つ正規内圧が充填された無負荷である正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷して、キャンバー角0度で平面に接地させた時の、最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、両トレッド端Te間のタイヤ軸方向の距離が、トレッド幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法及び角度は、正規状態で測定された値である。
【0026】
「正規リム」とは、タイヤ1が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
【0027】
「正規内圧」とは、タイヤ1が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。タイヤ1が乗用車用である場合、正規内圧は180kPaである。
【0028】
「正規荷重」とは、タイヤ1が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0029】
クラウン周方向溝30、及びショルダー周方向溝31は、直線状にのびている。このような周方向溝3は、ウェット路面の走行時、溝内の水を効果的に進行方向の後方に排出できる。そのため、タイヤ1は、優れたウェット性能を発揮する。
【0030】
周方向溝3の溝幅Wgは、トレッド幅TWの2%~8%が望ましい。また、周方向溝3の深さは、例えば、10~20mmが望ましい。
【0031】
トレッド2は、クラウン周方向溝30とショルダー周方向溝31とで区分される第一ミドル陸部41と第二ミドル陸部42、クラウン周方向溝30で区分される1本のクラウン陸部40、及び、ショルダー周方向溝31とトレッド端Teとの間で区分される一対のショルダー陸部43を有する。
【0032】
クラウン陸部40、第一ミドル陸部41、第二ミドル陸部42、及びショルダー陸部43は、周方向溝3側の縁に、サイプ5を有する。このようなサイプ5は、そのエッジや溝縁の引掻き力によって、タイヤ1のウェット性能を向上させる。なお、「サイプ」とは、幅が2mm未満の切込みである。
【0033】
クラウン陸部40は、タイヤ赤道Cにおいて周方向に連続して延びるメインクラウン浅溝100と、クラウン周方向溝30とメインクラウン浅溝100とに連通して延びる第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102とを含んでいる。第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、メインクラウン浅溝100に対して角度αで連通している。
【0034】
本実施形態の第一ミドル陸部41は、トレッド面Tsから凹んだV字形の第一スロット201及び第三スロット203を有する。第二ミドル陸部42は、トレッド面Tsから凹んだV字形の第二スロット202及び第四スロット204を有する。第一スロット201、第二スロット202、第三スロット203、及び第四スロット204は、それぞれ長手方向の両端である第一端200a、及び第二端200bを有している。また、第一スロット201、第二スロット202、第三スロット203、及び第四スロット204は、それぞれトレッド面Tsにおいて第一端200aと第二端200bとを継ぐ開口縁Oeを有している。第一スロット201、第二スロット202、第三スロット203、及び第四スロット204は、第一ミドル陸部41及び第二ミドル陸部42に作用する荷重を多方向に分散できる。そのため、第一ミドル陸部41及び第二ミドル陸部42の変形が抑制される。その結果、タイヤ1の耐偏摩耗性能が向上する。ここで、第一端200a及び第二端200bは、トレッド面Tsにおける第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線上に、第一端200a及び第二端200b以外の開口縁Oeが存在しない、開口縁Oeの位置である。
【0035】
図2Aは、本実施形態の図1のクラウン陸部40、クラウン周方向溝30、第一ミドル陸部41、第二ミドル陸部42、及びショルダー周方向溝31を示す拡大図である。図2Bは、図2Aのスロットの配置を変更した、第一の変更例を示す図である。図2Cは、図2Aのスロットの配置を変更した、第二の変更例を示す図である。図2A図2B、及び図2Cに示される、第一スロット201、第二スロット202、第三スロット203、及び第四スロット204、並びに図2Cに示される、第五スロット205、及び第六スロット206は、各スロットの長手方向の中央に位置する屈曲部200cに向かって延びるV字形である。なお、本実施形態では、屈曲部200cは、スロットの長手方向の中央に位置しているが、これに限られない。例えば、屈曲部200cは、スロットの長手方向の中央から、スロットの長手方向の長さの10%以内に位置すれば良い。
【0036】
図2A図2B、及び図2Cでは、タイヤ赤道Cにおいて、第一サブクラウン浅溝101がメインクラウン浅溝100に連通する第一位置100aと、第二サブクラウン浅溝102がメインクラウン浅溝100に連通する第二位置100bとの中間点100cを中心として、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、実質的に点対称に配置されている。また、第一スロット201及び第二スロット202、第三スロット203及び第四スロット204、並びに第五スロット205及び第六スロット206も、 中間点100cを中心として、実質的に点対称に配置されている。ここで、「実質的に点対称」とは、トレッド面Tsにおいて点対称の関係となる二つの位置を結ぶ直線が、中間点100cを中心とする半径がトレッド幅TWの1%の長さである円と交わることを示す。例えば、第一スロット201の屈曲部200cと第二スロット202の屈曲部200cとを結ぶ直線は、中間点100cを中心とするトレッド幅TWの1%の半径の円と交わる(図示せず)。中間点100cを中心として、サブクラウン浅溝及びスロットが、実質的に点対称に配置されることで、走行時にタイヤ1に作用する力が効果的に分散される。その結果、タイヤ1の耐偏摩耗性能が向上する。
【0037】
図2A及び図2Bに示される、第一スロット201及び第四スロット204は、第一サブクラウン浅溝101がクラウン周方向溝30に連通する第三位置100dを通るタイヤ軸方向と平行な第一基準線L1と、交わるように配置されている。また、第二スロット202及び第三スロット203は、第二サブクラウン浅溝102がクラウン周方向溝30に連通する第四位置100eを通るタイヤ軸方向と平行な第二基準線L2と、交わるように配置されている。図2A及び図2Bに示されるサブクラウン浅溝及びスロットの配置は、走行時にタイヤ1に作用する力を効果的に分散することができる。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能がさらに向上する。
【0038】
図2A及び図2Bに示される、第一スロット201の屈曲部200cと、第三位置100dとを結ぶ直線L3は、第一基準線L1に対して角度β1aをなしている。第二スロット202の屈曲部200cと、第四位置100eとを結ぶ直線L4は、第二基準線L2に対して角度β2aをなしている。第三スロット203の屈曲部200cと、第四位置100eとを結ぶ直線L5は、第二基準線L2に対して角度β1bをなしている。第四スロット204の屈曲部200cと、第三位置100dとを結ぶ直線L6は、第一基準線L1に対して角度β2bをなしている。上述のように、第一スロット201及び第二スロット202、並びに第三スロット203及び第四スロット204は、中間点100cを中心として、実質的に点対称に配置されている。そのため、角度β1a及び角度β2a、並びに角度β1b及び角度β2bは、実質的に同一である。
【0039】
図2Aに示される、角度β1a及び角度β2aは8°、及び角度β1b及び角度β2bは、2°であり、いずれも0°以上15°以下である。また、図2Bに示される、角度β1a及び角度β2aは6°、及び角度β1b及び角度β2bは、4°であり、いずれも0°以上15°以下である。すなわち、本実施形態、及び第一の変更例では、屈曲点200cは、第一基準線L1又は第二基準線L2の近傍に位置している。そのため、旋回時にクラウン陸部40、第一ミドル陸部41及び第二ミドル陸部42に生じる力が、サブクラウン浅溝及びスロットにより効果的に緩和される。その結果、タイヤ1の耐摩耗性能がさらに向上する。
【0040】
図2Aに示される、基準線L1と交わるように配置されている、第一スロット201及び第四スロット204は、第一スロット201が第一ミドル陸部41のクラウン周方向溝30側に配置され、第四スロット204が第二ミドル陸部42のショルダー周方向溝31側に配置されている。また、図2Aに示される、基準線L2と交わるように配置されている、第二スロット202及び第三スロット203は、第二スロット202が第二ミドル陸部42のクラウン周方向溝30側に配置され、第三スロット203が第一ミドル陸部41のショルダー周方向溝31側に配置されている。図2Bに示される、基準線L1と交わるように配置されている、第一スロット201及び第四スロット204は、第一スロット201が第一ミドル陸部41のショルダー周方向溝31側に配置され、第四スロット204が第二ミドル陸部42のクラウン周方向溝30側に配置されている。また、図2Bに示される、基準線L2と交わるように配置されている、第二スロット202及び第三スロット203は、第二スロット202が第二ミドル陸部42のショルダー周方向溝31側に配置され、第三スロット203が第一ミドル陸部41のクラウン周方向溝30側に配置されている。すなわち、本実施形態、及び第一の変更例では、各基準線と交わるように配置されている各スロットは、クラウン周方向溝30側及びショルダー周方向溝31側に交互に配置されている。そのため、走行時にタイヤ1に作用する力が、各スロットにより効果的に分散される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能がさらに向上する。
【0041】
図3Aは、第一ミドル陸部41の拡大図である。Meは、第一ミドル陸部41の縁を示す。以下、図3Aに基づき、第一ミドル陸部41の第一スロット201及び第三スロット203の説明を行う。上述のように、第一ミドル陸部41の第一スロット201及び第三スロット203は、第二ミドル陸部42の第二スロット202及び第四スロット204と、中間点100cを中心として、実質的に点対称の関係である。そのため、第一ミドル陸部41を第ミドル陸部42に、第一スロット201を第二スロット202に、及び第三スロット203を第四スロット204に読み替えることで、第一ミドル陸部41の第一スロット201及び第三スロット203の説明は、第二ミドル陸部42の第二スロット202及び第四スロット204の説明に代えることができる。
【0042】
本実施形態では、第一ミドル陸部41のタイヤ軸方向の幅Waは、トレッド幅TW(図1に示す)の13%~16%が望ましい。
【0043】
第一スロット201及び第三スロット203のトレッド面Tsにおける開口縁Oeから、第一ミドル陸部41の縁Meまでの最短の長さWbは、第一ミドル陸部41の幅Waの5%以上75%以下でも良い。
【0044】
本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の屈曲部200cの、タイヤ軸方向に最も突出している側の開口縁Oeから、第一ミドル陸部41の縁Meまでの最短の長さが、長さWbである。第一スロット201及び第三スロット203の長さWbは、いずれも第一ミドル陸部41の幅Waの25%である。なお、本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の長さWbは、同じ長さになっているが、これに限られない。第一スロット201及び第三スロット203の長さWbは、それぞれ異なっていても良い。上述のように、第一ミドル陸部41の第一スロット201及び第三スロット203は、第二ミドル陸部42の第二スロット202及び第四スロット204と、中間点100cを中心として、実質的に点対称の関係である。よって、第一スロット201及び第二スロット202の長さWbは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の長さWbも、実質的に同じである。長さWbが、Waの5%以上75%以下であれば、第一スロット201及び第三スロット203による第一ミドル陸部41の剛性の低下が抑制される。そのため、走行時にタイヤ1に作用する力による、第一ミドル陸部41の局所的な偏摩耗や裂けが低減される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。局所的な偏摩耗や裂けの効果的な低減の観点から、長さWbは、Waの15%以上35%以下がより好ましい。
【0045】
第一スロット201及び第三スロット203のトレッド面Tsにおける第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線L7に対し、V字形の屈曲が最も突出する側の第一スロット201及び第三スロット203の開口縁Oeから、トレッド面Tsにおける第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線L7までの最短の長さWcは、第一ミドル陸部41の幅Waの0.1%以上80%以下でも良い。
【0046】
本実施形態では、長さWcは、第一スロット201及び第三スロット203それぞれのタイヤ軸方向の幅である。本実施形態において、第一スロット201及び第三スロット203の屈曲部200cの、タイヤ軸方向に最も突出している側の開口縁Oeから、第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線までの最短の長さWcは、いずれも第一ミドル陸部41の幅Waの25%である。なお、第一スロット201及び第三スロット203の長さWcは、それぞれ異なっていても良い。また、第一スロット201及び第二スロット202の長さWcは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の長さWcも、実質的に同じである。長さWcが、Waの0.1%以上であれば、タイヤ1の回転方向に対して斜め方向からの力が緩和される。そのため、レーンチェンジや旋回時における、第一ミドル陸部41の偏摩耗が低減される。また、長さWcが、Waの80%以下であれば、タイヤ1の回転方向に対する、第一端200aから屈曲部200c、及び第二端200bから屈曲部200cに延びる開口縁Oeの傾斜が確保される。そのため、走行時における、引っ掛かりやリブパンチング等の偏摩耗の発生が抑制される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。偏摩耗の発生の効果的な抑制の観点から、長さWcは、Waの15%以上35%以下が好ましい。
【0047】
第一スロット201及び第三スロット203の幅Wdは、第一ミドル陸部41の幅Waの1%以上50%以下でも良い。
【0048】
本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の幅Wdは、いずれも幅Waの3.3%である。なお、第一スロット201及び第三スロット203の幅Wdは、それぞれ異なっていても良い。また、第一スロット201及び第二スロット202の幅Wdは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の幅Wdも、実質的に同じである。長さWdが、Waの1%以上50%以下であれば、旋回時に第一ミドル陸部41に生じる力を、第一スロット201及び第三スロット203が緩和することができる。そのため、第一ミドル陸部41の偏摩耗が抑制される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。偏摩耗を効果的に抑制する観点から、長さWdは、Waの3%以上7%以下が好ましい。
【0049】
第一スロット201及び第三スロット203のトレッド面Tsにおける第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線L7の長さLaは、タイヤ周の長さの0.4%以上0.8%以下でも良い。
【0050】
本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の長さLaは、タイヤ周の長さの0.6%である。なお、第一スロット201及び第三スロット203の長さLaは、それぞれ異なっていても良い。また、第一スロット201及び第二スロット202の長さLaは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の長さLaも、実質的に同じである。長さLaが、タイヤ周の長さの0.4%以上であれば、旋回時に第一ミドル陸部41に生じる力を、第一スロット201及び第三スロット203が緩和することができる。長さLaが、タイヤ周の長さの0.8%以下であれば、第一ミドル陸部41の剛性が維持される。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。
【0051】
トレッド面Tsにおける第一スロット201の第二端200bを通るタイヤ軸方向と平行な直線L8から、トレッド面Tsにおける第三スロット203の第一端200aを通るタイヤ軸方向と平行な直線L9までの最短の長さLbは、タイヤ周の長さの0.1%以上2.5%以下でも良い。
【0052】
本実施形態では、長さLbは、タイヤ周の長さの0.6%である。長さLbが、タイヤ周の長さの0.1%以上であれば、第一ミドル陸部41の容積が確保され、第一ミドル陸部41の剛性が維持される。長さLbが、タイヤ周の長さの2.5%以下であれば、旋回時に第一ミドル陸部41に生じる力を、第一スロット201及び第三スロット203が緩和できる。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。効果的な、剛性の維持、及び旋回時に生じる力の緩和の観点から、長さLbは、タイヤ周の長さの0.4%以上0.8%以下が好ましい。
【0053】
第一スロット201及び第三スロット203の深さは、周方向溝3の深さの1%以上35%以下でも良い。
【0054】
本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の深さは、周方向溝3の深さの6.6%である。なお、第一スロット201及び第三スロット203の深さは、それぞれ異なっていても良い。また、第一スロット201及び第二スロット202の深さは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の深さも、実質的に同じである。第一スロット201及び第三スロット203の深さが、周方向溝3の深さの1%以上であれば、第一ミドル陸部41の変形が適度に許容される。そのため、第一ミドル陸部41への局所的な力の負荷を緩和することができる。また、第一スロット201及び第三スロット203の深さが、周方向溝3の深さの35%以下であれば、第一ミドル陸部41の剛性が維持される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。効果的な、局所的な力の負荷の緩和、及び剛性の維持の観点から、第一スロット201及び第三スロット203の深さは、周方向溝3の深さの5%以上14%以下が好ましい。
【0055】
第一スロット201及び第三スロット203のトレッド面Tsにおける第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線L7は、タイヤ軸方向に対して45°以上90°以下の角度γをなしても良い。
【0056】
本実施形態では、第一スロット201及び第三スロット203の角度γは90°である。なお、第一スロット201及び第三スロット203の角度γは、それぞれ異なっていても良い。また、第一スロット201及び第二スロット202の角度γは、実質的に同じである。同様に、第三スロット203及び第四スロット204の角度γも、実質的に同じである。角度γが、45°以上90°以下であれば、走行時にタイヤ1に作用する力が効果的に分散される。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。タイヤ1の耐摩耗性能の効果的な向上の観点から、角度γは、タイヤ軸方向に対して80°以上が好ましい。
【0057】
第一スロット201及び第三スロット203のトレッド面Tsにおける、第一端200aから屈曲部200cに延びる直線L10、及び第二端200bから屈曲部200cに延びる直線L11は、それぞれタイヤ軸方向に対して45°以上90°以下の角度をなしても良い。
【0058】
図3Aに示される、角度δ1aは、第一スロット201の直線L10のタイヤ軸方向に対する角度を示す。角度δ1bは、第一スロット201の直線L11のタイヤ軸方向に対する角度を示す。角度δ2aは、第三スロット203の直線L10のタイヤ軸方向に対する角度を示す。角度δ2bは、第三スロット203の直線L11のタイヤ軸方向に対する角度を示す。本実施形態では、角度δ1a、角度δ1b、角度δ2a、及び角度δ2bはいずれも、タイヤ軸方向に対して60°である。なお、角度δ1a、角度δ1b、角度δ2a、及び角度δ2bはそれぞれ異なっていても良い。上述のように、第一ミドル陸部41の第一スロット201及び第三スロット203は、第二ミドル陸部42の第二スロット202及び第四スロット204と、中間点100cを中心として、実質的に点対称の関係である。よって、第一スロット201の角度δ1a及び角度δ1bに対応する、第二スロット202の角度は、実質的に同じである。同様に、第三スロット203の角度δ2a及び角度δ2bに対応する、第四スロット204の角度も、実質的に同じである。角度δ1a、角度δ1b、角度δ2a、及び角度δ2bが、タイヤ軸方向に対して45°以上90°以下であれば、走行時における、引っ掛かりやリブパンチング等の偏摩耗の発生が抑制される。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。
【0059】
図3Bは、図3Aの、タイヤ軸方向に対する第一スロット201及び第三スロット203の角度を変更した、第三の変更例を示す図である。図3Bに示される、第一スロット201の角度δ1b及び第三スロット203の角度δ2aは、それぞれタイヤ軸方向に対して35°である。また、第一スロット201の角度δ1a及び第三スロット203の角度δ2bは、それぞれタイヤ軸方向に対して85°である。第三の変更例の角度δ1a、角度δ1b、角度δ2a、及び角度δ2bはいずれも、45°以上90°以下である。そのため、走行時における、引っ掛かりやリブパンチング等の偏摩耗の発生が抑制される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。
【0060】
図3Cは、図3Aの第一ミドル陸部41の、スロットの配置を変更した、第四の変更例を示す図である。図3Cに示される第一ミドル陸部41は、第一スロット201、第三スロット203及び第五スロット205を有している。図3Cに示される、第一スロット201、第三スロット203及び第五スロット205は、略連続して第一ミドル陸部41に配置されている。なお、第一ミドル陸部41の第五スロット205は、第二ミドル陸部42の第六スロット206と、中間点100cを中心として、実質的に点対称に配置されている(図示せず)。
【0061】
図3Dは、図3Aの第一ミドル陸部41の、スロットの配置を変更した、第五の変更例を示す図である。図3Dに示される第一ミドル陸部41は、第一スロット201、第三スロット203、第五スロット205、第七スロット207及び第九スロット209を有している。図3Dに示される第五スロット205、第七スロット207及び第九スロット209は、第一スロット201及び第三スロット203に対し、タイヤ周方向において並列で、タイヤ軸方向において重なるように、配置されている。なお、第一ミドル陸部41の第七スロット207及び第九スロット209は、第二ミドル陸部42の第八スロット208及び第十スロット210と、中間点100cを中心として、実質的に点対称に配置されている(図示せず)。
【0062】
図4は、図1のクラウン陸部40の拡大図である。タイヤ赤道Cにおける、第一サブクラウン浅溝101がメインクラウン浅溝100に連通する第一位置100aから、第二サブクラウン浅溝102がメインクラウン浅溝100に連通する第二位置100bまでの長さLcは、タイヤ周の長さの1.5%以上2.5%以下でも良い。
【0063】
本実施形態の第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、平面視、クラウン周方向溝30からタイヤ軸方向に直線状に延びる直線部103と、直線部103の内端103eからタイヤ赤道Cに対し傾斜して延びる傾斜部104とを含んでいる。直線部103は、溝内の排水抵抗が小さいので、ウェット性能を向上する。傾斜部104は、その溝縁によって、路面での制動性や耐横滑り性を向上する。なお、本実施形態では、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、直線部103と傾斜部104とを含んでいるが、これに限られない。例えば、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、直線部103を含まない構成とすることもできる。また、例えば、タイヤ赤道Cに対する傾斜部104の傾斜が、徐々に大きく又は小さくなるように、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102を構成することともできる。
【0064】
本実施形態では、長さLcは、タイヤ周の長さの1.9%である。長さLcが、タイヤ周の長さの1.5%以上であれば、クラウン陸部40の容積が確保される。そのため、クラウン陸部40の剛性が維持される。長さLcが、タイヤ周の長さの2.5%以下であれば、走行時にクラウン陸部40に生じる力が、クラウン陸部40内で緩和される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。
【0065】
メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の幅Wfは、クラウン陸部40の幅Weの1%以上30%以下でも良い。
【0066】
本実施形態のメインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の幅Wfは、幅Weの3.3%である。Wfが、Weの1%以上30%以下であれば、メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102が、旋回時にクラウン陸部40に生じる力を緩和できる。そのため、クラウン陸部40の偏摩耗が抑制される。結果として、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。偏摩耗を効果的に抑制する観点から、Wfは、Weの3%以上7%以下が好ましい。
【0067】
本実施形態では、クラウン陸部40のタイヤ軸方向の幅Weは、トレッド幅TW(図1に示す)の13%~16%が望ましい。
【0068】
第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102は、メインクラウン浅溝100に対して40°以上60°以下の角度αで連通しても良い。
【0069】
本実施形態では、角度αは45°である。角度αが、40°以上であれば、タイヤ1の回転方向に対して斜め方向からの力が緩和される。角度αが、60°以下であれば、走行時における第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の、引っ掛かりやリブパンチング等の偏摩耗の発生が抑制される。そのため、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。偏摩耗を効果的に抑制する観点から、角度αは、50°以下が好ましい。
【0070】
メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の深さは、周方向溝3の深さの1%以上35%以下でも良い。
【0071】
本実施形態では、メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の深さは、周方向溝3の深さの6.6%である。メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の深さが、周方向溝3の深さの1%以上であれば、クラウン陸部40の変形が、適度に許容される。そのため、クラウン陸部40への局所的な力の負荷を緩和することができる。また、メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の深さが、周方向溝3の深さの35%以下であれば、クラウン陸部40の剛性が維持される。その結果、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。効果的な、局所的な力の負荷の緩和、及び剛性の維持の観点から、メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の深さは、周方向溝3の深さの5%以上14%以下が好ましい。
【0072】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、タイヤの耐偏摩耗性能が向上する。
【実施例
【0073】
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されない。
【0074】
図1の基本パターンを有するサイズ295/75R22.5のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの耐偏摩耗性能がテストされた。各試供タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
ミドル陸部の幅Wa/TW:13.6%
クラウン陸部の幅We/TW:13.6%
周方向溝の溝深さD1:14.6mm
サブクラウン浅溝のメインクラウン浅溝への連通角度α:45°
【0075】
<耐偏摩耗性能>
各試供タイヤをリム組みして、10トントラック(2DD車)に牽引される2軸トレーラーの8輪に装着し、アスファルト路面のテストコースを20000km走行し、ミドル陸部の摩耗量が測定された。摩耗量は、左右のミドル陸部の両側縁を周方向で各々6カ所測定し、それらの平均値(n=24)とした。結果は、平均の摩耗量の逆数を求め、比較例1の値を100とした指数で表示している。数値が大きいほど、耐偏摩耗性能が良好であることを示している。
リム:22.5×8.25
内圧:830kPa
荷重:27.46kN
テストの結果が表1に示される。
なお、表1において、Daは「V字形」のスロットの深さを示し、Dbはメインクラウン浅溝及びサブクラウン浅溝の深さを示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から、「V字形」のスロットと、メインクラウン浅溝及びサブクラウン浅溝とを有し、且つ中間点100cを中心として点対称なパターンを有する、実施例1~6のタイヤの偏摩耗性能は向上したことが分かる。一方、「V字形」のスロット、メインクラウン浅溝及びサブクラウン浅溝、並びに中間点100cを中心とする点対称なパターンの内、少なくとも一つが欠損した、比較例1~4のタイヤの偏摩耗性能は、実施例1~6のタイヤの偏摩耗性能に比べ、向上しなかったことが分かる。この結果から、「V字形」のスロット、メインクラウン浅溝及びサブクラウン浅溝、並びに中間点100cを中心とする点対称なパターンの組み合わせは、タイヤの偏摩耗性能の向上に効果的であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明されたタイヤの耐偏摩耗性能の向上に関する技術は、種々のタイヤに適用されうる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・タイヤ
2・・・トレッド
3・・・周方向溝
30・・・クラウン周方向溝
31・・・ショルダー周方向溝
4・・・陸部
40・・・クラウン陸部
41・・・第一ミドル陸部
42・・・第二ミドル陸部
43・・・ショルダー陸部
100・・・メインクラウン浅溝
100a・・・第一位置
100b・・・第二位置
100c・・・中間点
100d・・・第三位置
100e・・・第四位置
101・・・第一サブクラウン浅溝
102・・・第二サブクラウン浅溝
201・・・第一スロット
202・・・第二スロット
203・・・第三スロット
204・・・第四スロット
200a・・・第一端
200b・・・第二端
200c・・・屈曲部
C・・・タイヤ赤道
L1・・・第一基準線
L2・・・第二基準線
L3・・・第一スロット201の屈曲部200cと、第三位置100dとを結ぶ直線
L4・・・第二スロット202の屈曲部200cと、第四位置100eとを結ぶ直線
L5・・・第三スロット203の屈曲部200cと、第四位置100eとを結ぶ直線
L6・・・第四スロット204の屈曲部200cと、第三位置100dとを結ぶ直線
L7・・・第一端200aと第二端200bとを結ぶ直線
Lb・・・直線L8から、直線L9までの最短の長さ
Wb・・・第一ミドル陸部41の縁までの最短の長さ
Wc・・・第一スロット201及び第三スロット203のタイヤ軸方向の幅
Wf・・・メインクラウン浅溝100、第一サブクラウン浅溝101及び第二サブクラウン浅溝102の幅
β1a・・・直線L3の第一基準線L1に対する角度
β1b・・・直線L5の第二基準線L2に対する角度
β2a・・・直線L4の第二基準線L2に対する角度
β2b・・・直線L6の第一基準線L1に対する角度
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4