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  • 特許-姿勢制御装置及び姿勢制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】姿勢制御装置及び姿勢制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/02 20060101AFI20240709BHJP
   B63B 39/04 20060101ALI20240709BHJP
   B64C 17/06 20060101ALI20240709BHJP
   G05D 1/49 20240101ALI20240709BHJP
   G01C 19/18 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01C19/02 B
B63B39/04
B64C17/06
G05D1/49
G01C19/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020088306
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181964
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 孝義
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-143390(JP,A)
【文献】米国特許第05655412(US,A)
【文献】特表2017-500257(JP,A)
【文献】特開平04-272542(JP,A)
【文献】特開2007-183356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0076726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0309191(US,A1)
【文献】米国特許第04976163(US,A)
【文献】特開平09-144806(JP,A)
【文献】特開2008-052362(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195491(WO,A1)
【文献】特開2002-281694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
姿勢を制御する対象装置に設ける姿勢制御装置であって、
円板形状のフライホイールと、
前記フライホイールを回転させる駆動モータと、
前記フライホイールを回転可能に支持し、前記フライホイールの直径方向で外側に延在する傾動軸が固定された第1ジンバルと、
前記傾動軸を回動可能に支持し、前記傾動軸と直交する方向に延在する取付軸が固定された第2ジンバルと
前記第1ジンバルと前記第2ジンバルとの間に設けた第1スリップリングと、
前記第2ジンバルと前記対象装置との間に設けた第2スリップリングとを備え、
前記取付軸を回動可能に前記対象装置に取り付けられ、
前記第1ジンバルは、前記フライホイールの直径方向の外周を囲む帯形状を有し、
前記第2ジンバルは、前記傾動軸の両側をそれぞれ両端部で支持するU字形状を有し、
前記駆動モータは、前記第1ジンバルに取り付けられて、前記帯形状及び前記U字形状に沿って配置された電力線により給電され、
前記取付軸は、前記フライホイール中心線の直下に設けられ
前記第1スリップリングは、リング部を貫通した状態で前記傾動軸に固定されるとともに、ブラシ部が前記第2ジンバルの一端部に固定されていることを特徴とする姿勢制御装置。
【請求項2】
記第2ジンバルには、前記取付軸の中心線における前記第2ジンバルの左右の重さのバランスを取るために、前記取付軸に対して反対方向に離間した複数のウェイトが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の姿勢制御装置。
【請求項3】
前記取付軸は、支持板に回転可能に取り付けられ、
前記支持板に設けられた支持台が前記対象装置に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の姿勢制御装置。
【請求項4】
フライホイールと、前記フライホイールを回転させる駆動モータと、前記フライホイールを回転可能に支持し、前記フライホイールの直径方向で外側に延在する傾動軸が固定された第1ジンバルとを備えた姿勢制御装置を有し、回転させた前記フライホイールを傾動させて生じるジャイロ効果を利用して、対象装置の姿勢を制御する姿勢制御方法であって、
前記姿勢制御装置は、前記傾動軸を回動可能に支持し、前記傾動軸と直交する方向に延在する取付軸が固定された第2ジンバルを更に備え、前記取付軸を回動可能に前記対象装置に取り付け、
前記第1ジンバルと前記第2ジンバルとの間に第1スリップリングを設けるとともに、
前記第2ジンバルと前記対象装置との間に第2スリップリングを設け、
前記第1ジンバルは、前記フライホイールの直径方向の外周を囲む帯形状を有し、
前記第2ジンバルは、前記傾動軸の両側をそれぞれ両端部で支持するU字形状を有し、
前記駆動モータは、前記第1ジンバルに取り付けられて、前記帯形状及び前記U字形状に沿って配置された電力線により給電され、
前記取付軸は、前記フライホイール中心線の直下に設けられ、
前記第1スリップリングは、リング部を貫通した状態で前記傾動軸に固定されるとともに、ブラシ部が前記第2ジンバルの一端部に固定され、
前記ジャイロ効果によって、前記対象装置に生じる傾きを打ち消すように作用する力を用いて、前記対象装置の姿勢を制御することを特徴とする姿勢制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜する装置の姿勢を維持するために制御する姿勢制御装置及び姿勢制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダムや港湾構造物などの水中点検を、遠隔操作によって行なう無人潜水機が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。この非特許文献に記載された無人潜水機においては、水面に生じた波によって姿勢が変化しても所定の姿勢に制御する姿勢制御装置を備える。この姿勢制御装置は、無人潜水機に搭載された耐圧容器内に設けられ、ジャイロ効果を用いた2つの1軸回りの旋回制御装置を備える。2つの旋回制御装置は、それぞれフライホイール、駆動モータ及びジンバルを備え、ジンバルの支持軸が直交するように配置される。そして、駆動モータによって、フライホイールが高速回転した状態でジンバルが傾くと、ジャイロ効果によって、ジンバルの傾斜を打ち消す力が旋回制御装置に発生し、姿勢制御装置の姿勢が一定となるように制御される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】大林組、「アクアジャスターRを搭載した水中インフラ点検ロボット「ディアグTM」を開発」、[online]、[令和2年5月9日検索]、インターネット〈URL:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20170510_01.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の姿勢制御装置は、2軸方向の傾斜に対応するために、各軸の傾斜にそれぞれ対応する2つの旋回制御装置を備えていた。このため、姿勢制御装置が大型化するとともに、重量が重くなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための姿勢制御装置は、姿勢を制御する対象装置に設ける姿勢制御装置であって、円板形状のフライホイールと、前記フライホイールを回転させる駆動モータと、前記フライホイールを回転可能に支持し、前記フライホイールの直径方向で外側に延在する傾動軸が固定された第1ジンバルと、前記傾動軸を回動可能に支持し、前記傾動軸と直交する方向に延在する取付軸が固定された第2ジンバルと、前記第1ジンバルと前記第2ジンバルとの間に設けた第1スリップリングと、前記第2ジンバルと前記対象装置との間に設けた第2スリップリングとを備え、前記取付軸を回動可能に前記対象装置に取り付けられ、前記第1ジンバルは、前記フライホイールの直径方向の外周を囲む帯形状を有し、前記第2ジンバルは、前記傾動軸の両側をそれぞれ両端部で支持するU字形状を有し、前記駆動モータは、前記第1ジンバルに取り付けられて、前記帯形状及び前記U字形状に沿って配置された電力線により給電され、前記取付軸は、前記フライホイール中心線の直下に設けられ、前記第1スリップリングは、リング部を貫通した状態で前記傾動軸に固定されるとともに、ブラシ部が前記第2ジンバルの一端部に固定されている
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、2軸方向における姿勢制御装置を軽量で小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態における姿勢制御装置を搭載した無人潜水機の概略斜視図。
図2】実施形態における姿勢制御装置の正面図。
図3】実施形態における姿勢制御装置の背面斜め方向から見た斜視図。
図4】実施形態における姿勢制御装置の上面図。
図5】実施形態における姿勢制御装置の第1ジンバルが回転した斜視図。
図6】実施形態における姿勢制御装置の第2ジンバルが回転した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図6を用いて、姿勢制御装置及び姿勢制御方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、従来技術と同様に、対象装置としての無人潜水機の姿勢を制御する姿勢制御装置として説明する。
【0009】
図1に示すように、姿勢制御装置を搭載する無人潜水機10は、略直方体形状を構成するフレーム11、複数の浮力体12、水中撮影装置13及び耐圧容器15を備える。フレーム11には、浮力体12、水中撮影装置13及び耐圧容器15が取り付けられる。浮力体12は、無人潜水機10を浮かせる。水中撮影装置13は、メインカメラ14を備え、水中のダムの壁面等、水中において撮影を行なう。耐圧容器15は、無人潜水装置のほぼ中央に配置され、姿勢制御装置が内蔵される。
【0010】
図2図4は、それぞれ、耐圧容器に内蔵された姿勢制御装置20の正面図、斜視図及び上面図である。
図2に示すように、姿勢制御装置20は、円板形状のフライホイール21、第1ジンバル24、駆動モータ27、第2ジンバル31を備える。
【0011】
第1ジンバル24は、フライホイール21の直径方向の外周を囲む帯形状を有する。具体的には、第1ジンバル24は、フライホイール21の中心線C1を含む平面を中央として、駆動モータ27の直径に対応する高さH1を有する。これにより、フライホイール21は、対向する両端部(上端部及び下端部)が、第1ジンバル24よりも露出した状態で、第1ジンバル24に支持される。
更に、図4に示すように、第1ジンバル24は、前側の中央部分が突出した厚さW1の板形状を有する。
【0012】
図3に示すように、第1ジンバル24の後側には、駆動モータ27が、取付部材26を介して取り付けられている。取付部材26は、中央にリブが形成されたLアングルを備え、第1ジンバル24に固定されるとともに、駆動モータ27を固定する。
【0013】
図4に示すように、フライホイール21の中心線C1には、駆動モータ27の回転軸27aが貫通固定されている。回転軸27aの先端(前側)は、ベアリング(図示せず)を介して第1ジンバル24に回転可能に支持される。回転軸27aには、フライホイール21と第1ジンバル24との間に、ウェイト23が固定されている。このウェイト23は、第1ジンバル24の傾動軸25に対して、駆動モータ27側とのバランスをとる。
【0014】
図2に示すように、第1ジンバル24の外側には、中心線C2に沿って反対方向に延在する2つの傾動軸25が固定されている。中心線C2は、中心線C1を含む平面において中心線C1と直交する。
第2ジンバル31は、U字形状を有し、両端部には、傾動軸25を回転可能に支持するベアリング(図示せず)がそれぞれ固定されている。このため、第1ジンバル24は、傾動軸25を介して、第2ジンバル31の端部に回転可能に取り付けられ、中心線C2を中心として傾動する。
【0015】
更に、第1ジンバル24の一端部と第2ジンバル31との間には、スリップリング29が設けられている。具体的には、一方の傾動軸25に、スリップリング29のリング部が、貫通した状態で固定される。
図3に示すように、スリップリング29のリング部は、駆動モータ27と、電力線28a,28bを介して接続されている。更に、第2ジンバル31の一端部(スリップリング29側の端部)には、スリップリング29のブラシ部が固定されている。
【0016】
第2ジンバル31には、取付軸32とウェイト30wとが固定されている。
ウェイト30wは、取付軸32の中心線C3における第2ジンバル31の左右の重さのバランスを取るように設けられる。これにより、第2ジンバル31を円滑に回動させることができる。
【0017】
取付軸32は、フライホイール21の直下であって、第2ジンバル31の中央部で、第2ジンバル31のU字形状の外側に突出して設けられている。取付軸32は、支持部40の中央部において、中心線C3回りに回転可能に支持される。この中心線C3は、支持板41に垂直な方向であって、中心線C2と直交し、中心線C1,C2の交点を通過する。
第2ジンバル31と支持部40との間には、スリップリング34が設けられる。具体的には、取付軸32には、支持部40の上で支持部40側において、スリップリング34のリング部が貫通した状態で固定される。なお、スリップリング34のブラシ部は、支持部40の支持板41の中心に固定される。
【0018】
第2ジンバル31から取付軸32の先端に沿って、電力線33a,33bが配置される。電力線33a,33bの両端部は、スリップリング29のブラシ部とスリップリング34のリング部とに接続される。
【0019】
支持部40は、略正方形の板形状の支持板41と、直方体形状の支持台42と、円筒形状の支持台45とを備える。支持板41の裏面(第2ジンバル31とは反対側)には、前後方向に対する両側に支持台42が設けられ、中央部に支持台45が設けられる。支持台45には、取付軸32を支持するベアリング(図示せず)と、スリップリング34のブラシ部とが設けられる。このスリップリング34のブラシ部は、電力線38a,38bが接続され、電力線38a,38bは、バッテリー装置(図示せず)に接続される。
そして、支持部40の支持台42,45は、無人潜水機10の耐圧容器15の内部に固定される。これにより、姿勢制御装置20は、支持部40を介して無人潜水機10に取り付けられる。
【0020】
(姿勢制御方法)
次に、上述した姿勢制御装置20を取り付けた無人潜水機10の姿勢制御方法について説明する。
【0021】
姿勢制御装置20を動作させる場合には、電力線38a,38b、スリップリング34、電力線33a,33b、スリップリング29、電力線28a,28bを介して駆動モータ27に電力を供給する。これにより、駆動モータ27の回転軸27aが回転して、フライホイール21を中心線C1回りに回転させる。
【0022】
その後、波等により無人潜水機10及びこれに固定した姿勢制御装置20が傾斜する。この場合、姿勢制御装置20のフライホイール21が回転しているため、フライホイール21の遠心力による慣性力(ジャイロ効果)により、フライホイール21の姿勢が元の位置に戻るように力が作用する。これにより、第2ジンバル31に対して第1ジンバル24が回動したり、支持部40に対して第2ジンバル31が回動したりして、支持部40を介して無人潜水機10には、姿勢を維持するように力が作用する。
【0023】
例えば、図2図4に示す位置において、姿勢制御装置20の支持部40の後方が高くなるように無人潜水機10が傾斜した場合を想定する。この場合、傾斜したフライホイール21は、元の位置に戻ろうとして、第2ジンバル31に対して第1ジンバル24の上部が後方に倒れるように傾斜するとともに、この傾斜に伴って支持板41が元の位置に戻る方向に傾斜する。これにより、支持部40及び無人潜水機10は、姿勢を維持する。
そして、図5に示すように、後方が高くなる傾斜が数回連続した場合には、第1ジンバル24が支持板41とほぼ平行となるように位置することもある。
【0024】
更に、図2図4に示す位置において、姿勢制御装置20の支持部40の左側が高くなるように傾斜した場合を想定する。この場合、回転したフライホイール21が元の位置に戻ろうとして、支持部40に対して第2ジンバル31が回動しながら、支持部40及び無人潜水機10は、姿勢を維持する。
そして、図6に示すように、左側が高くなる傾斜が数回連続した場合には、第2ジンバル31が、支持台42の延在方向とほぼ平行になるように位置することもある。
【0025】
以上のようにして、回転するフライホイール21のジャイロ効果により、無人潜水機10が傾斜した場合、この傾斜を打ち消そうとする力が支持部40に働くため、無人潜水機10の姿勢を一定に保つことができる。
【0026】
(作用)
駆動モータ27によって回転するフライホイール21を回転可能に支持する第1ジンバル24は、第2ジンバル31に中心線C2回りに回転可能に支持される。更に、第2ジンバル31は、支持部40に、中心線C2と直交する中心線C3回りに回転可能に支持される。これにより、一つのフライホイール21のジャイロ効果によって、2軸でピッチングとローリングを抑制して姿勢制御することができる。
【0027】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、フライホイール21を回転可能に支持する第1ジンバル24が傾動する中心線C2と直交する取付軸32の中心線C3を中心として第2ジンバル31を回転可能に支持する。これにより、1つのフライホイール21を有する姿勢制御装置20の支持部40に2軸方向において傾斜する力が生じた場合には、回転するフライホイール21のジャイロ効果によって、生じた力を打ち消す力が発生し、省スペースで軽量化した仕組みで姿勢を維持することができる。
【0028】
(2)本実施形態においては、第1ジンバル24の一端部と第2ジンバル31との間、及び第2ジンバル31と支持部40との間に、スリップリング29,34をそれぞれ設ける。この場合、姿勢制御装置20の姿勢維持のために、発生した傾斜を打ち消す力を発生する方向に応じて第1ジンバル24及び第2ジンバル31が回転する。このため、受ける力によっては第1ジンバル24や第2ジンバル31が同じ方向に回転し続けても、電力線28a,28b,33a,33bを介して、駆動モータ27に電力を供給することができる。
【0029】
(3)本実施形態においては、駆動モータ27に電力を供給する電力線28a,28b,33a,33bを、第1ジンバル24及び第2ジンバル31に沿って配置する。これにより、電力線28a,28b,33a,33bを固定できるので、電力線28a,28b,33a,33bに無理な力が加わることを抑制することができる。
【0030】
(4)本実施形態では、第1ジンバル24は、フライホイール21の中央部分のみを覆う帯形状を有する。これにより、第1ジンバル24がフライホイール21の全体を覆う場合に比べて、第1ジンバル24の重量を低減することができるので、姿勢制御装置20を更に軽量化することができる。
【0031】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、電力線28a,28b,33a,33b,38a,38b及びスリップリング29,34を介して、駆動モータ27に電力を供給した。駆動モータ27に電力を供給する方法は、スリップリング29,34を用いた場合に限られない。例えば、スリップリングの位置にコイル等を配置して、ワイヤレスにより電力を駆動モータに供給してもよい。更に、スリップリング29を、第1ジンバル24と第2ジンバル31との間に設けたが、第2ジンバル31の外側に設けてもよい。この場合においても、スリップリングのリング部を傾動軸25に設け、スリップリングのブラシ部を第2ジンバル31の先端部に設ける。
【0032】
・上記実施形態では、スリップリング29を一方の傾動軸25に設けた。これに加えて、スリップリング29を設けていない他方の傾動軸25には、スリップリング29の重さに対応するウェイトを設けてもよい。また、スリップリング29を設けていない他方の傾動軸25を長くして、取付軸32を第2ジンバル31の中心に配置してもよい。
【0033】
・上記実施形態では、第1ジンバル24は、フライホイール21の中央部分のみを覆う帯形状を有する。第1ジンバル24の形状は、これに限られず、例えば、フライホイール21の全体を覆う形状であってもよい。
【0034】
更に、第2ジンバル31は、U字形状を有し、中央に取付軸32を設けた。第2ジンバル31の形状は、これに限られず、例えば、半円弧形状や逆π形状を有してもよいし、取付軸32を、フライホイール21の中心線C1の直下ではなく、フライホイール21や第2ジンバル31の重心位置に応じた位置に設けてもよい。
【0035】
・上記実施形態の姿勢制御装置20の支持部40は、略正方形状の支持板41を備える。姿勢を制御する対象装置としての無人潜水機10に固定される支持部40は、この形状に限られない。例えば、支持部40の形状を、傾斜を打ち消す方向に力が働くジャイロ効果が期待できる形状であれば、例えば、円板形状の支持板を備えた形状や、固定する部分の形状に応じたブロック形状でもよい。更に、姿勢制御装置20の支持部40を省略して、姿勢を制御する対象装置に、直接、取付軸32を回動可能に支持させて、姿勢制御装置20を固定してもよい。
【0036】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記第1ジンバルは、前記フライホイールの対向する両端部を露出した状態で、前記フライホイールにおける中央部を支持するとともに、前記駆動モータを固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の姿勢制御装置。
(b)前記第2ジンバルは、前記傾動軸の両側をそれぞれ支持する形状を有し、
前記取付軸は、前記第2ジンバルの中央部に設けられ、
前記第2ジンバル及び前記取付軸に沿って、前記駆動モータには電力を供給する電力線を配置したことを特徴とする請求項1、2又は前記(a)に記載の姿勢制御装置。
【符号の説明】
【0037】
C1,C2,C3…中心線、10…対象装置としての無人潜水機、11…フレーム、12…浮力体、13…水中撮影装置、14…メインカメラ、15…耐圧容器、20…姿勢制御装置、21…フライホイール、23,30w…ウェイト、24…第1ジンバル、25…傾動軸、26…取付部材、27…駆動モータ、27a…回転軸、28a,28b,33a,33b,38a,38b…電力線、29,34…スリップリング、31…第2ジンバル、32…取付軸、40…支持部、41…支持板、42,45…支持台
図1
図2
図3
図4
図5
図6