(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】可塑化装置、射出成形装置、及び、三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20240709BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20240709BHJP
B29C 45/46 20060101ALI20240709BHJP
B29C 48/505 20190101ALI20240709BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240709BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20240709BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20240709BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240709BHJP
【FI】
B29C64/209
B29B7/42
B29C45/46
B29C48/505
B29C64/106
B29C64/241
B29C64/295
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2020093026
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】姉川 賢太
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-306028(JP,A)
【文献】特開2010-000752(JP,A)
【文献】特開2009-269182(JP,A)
【文献】特開2019-202458(JP,A)
【文献】特開昭60-154027(JP,A)
【文献】特開2020-075395(JP,A)
【文献】特開2020-075396(JP,A)
【文献】特開2020-075397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00-27/96
B29B 7/00-7/94
B29C 45/00-45/84
B29C 48/00-48/96
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転し、溝が形成された溝形成面を有するローターと、
前記溝形成面に対向し、連通孔を有するバレルと、
前記ローターと前記バレルとの間に供給された材料を加熱する第1加熱部と、を備え、
前記ローターの回転と、前記第1加熱部による加熱によって、前記ローターと前記バレ
ルとの間に供給された前記材料を可塑化して前記連通孔から排出する可塑化装置であって
、
前記第1加熱部は、
第1熱源を収容する第1部分と、
前記回転軸の軸方向において前記第1部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前
記軸方向に沿って見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第1部分とつながる第2
部分と、を有し、
前記第1熱源による熱が、前記第2部分を介して、前記ローターと前記バレルとの間
の前記材料に伝達するように構成され、
前記軸方向に沿ってみたときに、前記ローターと前記バレルとの間における熱分布が
、前記第2部分の形状に対応した分布となっている、
可塑化装置。
【請求項2】
回転軸を中心に回転し、溝が形成された溝形成面を有するローターと、
前記溝形成面に対向し、連通孔を有するバレルと、
前記ローターと前記バレルとの間に供給された材料を加熱する第1加熱部と、を備え、
前記ローターの回転と、前記第1加熱部による加熱によって、前記ローターと前記バレ
ルとの間に供給された前記材料を可塑化して前記連通孔から排出する可塑化装置であって
、
前記第1加熱部は、
第1熱源を収容する第1部分と、
前記回転軸の軸方向において前記第1部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前
記軸方向に沿って見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第1部分とつながる第2
部分と、を有し、
前記第1熱源による熱が、前記第2部分
のみを介して、前記ローターと前記バレルと
の間の前記材料に伝達するように構成される、可塑化装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の可塑化装置であって、
前記第2部分は、前記軸方向に沿って見たときに円環形状を有する、可塑化装置。
【請求項4】
請求項
1から請求項3までのいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記第1熱源は、棒状のヒーターである、可塑化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記第1部分と前記ローター及び前記バレルとの間に断熱部を有する、可塑化装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の可塑化装置であって、
前記断熱部には空隙が設けられている、可塑化装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記溝形成面は、前記軸方向に沿って見たときに、第1領域と、第1領域よりも前記連
通孔から遠い第2領域と、を有し、
前記第2部分は、前記軸方向に沿って見たときに、前記第1領域と重なり、前記第2領
域と重ならない、可塑化装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7までのいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記溝と前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱する第2加熱部を備え、
前記第2加熱部は、
第2熱源を収容する第3部分と、
前記軸方向において前記第3部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前記軸方向
に沿って見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第3部分とつながる第4部分と、
を有し、
前記第2熱源による熱が、前記第4部分を介して、前記溝と前記バレルとの間に供給
された前記材料に伝達するように構成されており、
前記第4部分は、前記軸方向に沿って見たときに、前記第2部分よりも前記連通孔に近
い位置に位置し、
前記第1熱源と前記第2熱源とは、それぞれ個別に制御可能に構成されている、可塑化
装置。
【請求項9】
請求項1から請求項
8までのいずれか一項に記載の可塑化装置と、
前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料を成形型に射出する射出ノズルと、を備え
る、射出成形装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の射出成形装置であって、
前記射出ノズルは、前記射出ノズルの前記軸方向における少なくとも一部において、前
記第1部分によって囲まれている、射出成形装置。
【請求項11】
請求項1から請求項
8までのいずれか一項に記載の可塑化装置と、
前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料をステージに向けて吐出する吐出ノズルと
、を備える、三次元造形装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の三次元造形装置であって、
前記吐出ノズルは、前記吐出ノズルの前記軸方向における少なくとも一部において、前
記第1部分によって囲まれている、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は可塑化装置、射出成形装置、及び、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、材料を可塑化して可塑化材料として送出する可塑化装置に関して、螺旋溝が形成された端面を有するローターと、中心に連通孔を有しローターの端面と当接するバレルと、を備える装置が開示されている。このような可塑化装置では、材料は、ローターとバレルとの間において、ローターの回転によってローターの外周から中央部に向かって搬送されつつ、ヒーター等の加熱手段によって加熱されることで、可塑化されて連通孔から送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のような可塑化装置では、例えば、ヒーターの形状や配置場所によっては、ローターとバレルとの間において、ローターの周方向に温度ムラが生じる場合がある。ローターとバレルとの間において、ローターの周方向に温度ムラが生じている場合、例えば、ローターの中央部からの距離が同じであっても、ローターの中央部からの方位によって材料の可塑化状態が変化し、生成される可塑化材料の可塑化状態や送出量が安定しない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、回転軸を中心に回転し、溝が形成された溝形成面を有するローターと、前記溝形成面に対向し、連通孔を有するバレルと、前記ローターと前記バレルとの間に供給された材料を加熱する第1加熱部と、を備え、前記ローターの回転と、前記第1加熱部による加熱によって、前記ローターと前記バレルとの間に供給された前記材料を可塑化して前記連通孔から排出する可塑化装置が提供される。この可塑化装置において、前記第1加熱部は、第1熱源を収容する第1部分と、前記回転軸の軸方向において前記第1部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前記軸方向に見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第1部分とつながる第2部分と、を有し、前記第1熱源による熱が、前記第2部分を介して、前記ローターと前記バレルとの間の前記材料に伝達するように構成されている。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記第1の形態における可塑化装置と、前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料を成形型に射出する射出ノズルと、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記第1の形態における可塑化装置と、前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料をステージに向けて吐出する吐出ノズルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における射出成形装置の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における射出成形装置の概略構成を示す断面図である。
【
図3】ローターの溝形成面側の構成を示す斜視図である。
【
図4】バレルの対向面側の構成を示す説明図である。
【
図5】第1実施形態の第1加熱部の断面を示す図である。
【
図7】第2部分が溝形成面に重なる位置を説明する図である。
【
図8】第2実施形態の第1加熱部および第2加熱部の断面を示す図である。
【
図9】
図8のIX-IX断面線における第1加熱部および第2加熱部の断面図である。
【
図10】第2部分および第4部分が溝形成面に重なる位置を説明する図である。
【
図11】第3実施形態における射出成形装置の概略構成を示す断面図である。
【
図12】第4実施形態としての三次元造形装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における射出成形装置100の概略構成を示す図である。
図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。X軸及びY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。
図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。
【0010】
射出成形装置100は、射出ユニット105と、材料供給部110と、型部160と、型締装置170と、制御部500と、を備えている。射出成形装置100は、射出ユニット105によって、材料供給部110から供給される材料を可塑化して可塑化材料を生成し、可塑化材料を型部160へと射出して成形品を成形する。
【0011】
図2は、射出成形装置100の概略構成を示す断面図である。
図2には、射出成形装置100の、射出ユニット105と、型部160と、型締装置170と、制御部500とが示されている。射出ユニット105は、可塑化装置120と、射出制御部150と、射出ノズル156とを、備えている。
【0012】
制御部500は、射出ユニット105や型締装置170の制御を行う装置である。制御部500は、例えば、1以上のプロセッサーと主記憶装置と入出力インターフェースとを備えるコンピューターや、複数の回路の組み合わせによって構成される。
【0013】
図1に示した材料供給部110は、
図2に示した可塑化装置120に連通している。材料供給部110は、可塑化装置120に材料を供給する。本実施形態の材料供給部110は、ホッパーによって構成されている。材料供給部110には、ペレットや粉末等の状態の材料が収容される。
【0014】
図2に示すように、可塑化装置120は、ローターケース121と、駆動モーター122と、ローター130と、バレル140と、逆止弁149と、第1加熱部180とを、備えている。可塑化装置120は、材料供給部110から供給された材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して射出制御部150へと導く。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料が、ガラス転移点以上の温度に加熱されることにより軟化し、流動性を発現することを意味する。「溶融」とは、熱可塑性を有する材料が融点以上の温度に加熱されて液状になることのみならず、熱可塑性を有する材料が可塑化することをも意味する。なお、本実施形態のローター130のことを、「スクロール」や「フラットスクリュー」と呼ぶこともあり、単に「スクリュー」と呼ぶこともある。
【0015】
ローター130は、その中心軸RXに沿った方向の高さが直径よりも小さい略円柱形状を有している。ローター130は、ローターケース121とバレル140とによって囲まれた空間に収容されている。ローター130は、バレル140に対向する面に、溝135が設けられた溝形成面132を有している。溝形成面132は、具体的には、バレル140の対向面142と対向する。溝形成面132には、曲線状の凸条部136が形成されている。なお、中心軸RXを、ローター130の回転軸と呼ぶこともある。
図2において、中心軸RXは一点鎖線で示されている。また、中心軸RXに沿った方向を軸方向と呼ぶこともある。
【0016】
ローター130の、溝形成面132とは反対側の面には、駆動モーター122が接続されている。ローター130は、駆動モーター122が発生させるトルクによって、回転軸である中心軸RXを中心に回転する。駆動モーター122は、制御部500の制御下で駆動される。なお、駆動モーター122は、直接、ローター130と接続されていなくてもよい。例えば、ローター130と駆動モーター122とは、減速機を介して接続されていてもよい。この場合、例えば、遊星歯車機構を有する減速機の遊星ギアに駆動モーター122が接続され、太陽ギアにローター130が接続されていてもよい。
【0017】
図3は、ローター130の溝形成面132側の構成を示す斜視図である。
図3には、ローター130の中心軸RXの位置が一点鎖線で示されている。上述したように、溝形成面132には、溝135が設けられている。
【0018】
ローター130の溝135は、いわゆるスクロール溝を構成する。溝135は、中央部137から、ローター130の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝135は、インボリュート曲線状や、螺旋状に延びるように構成されてもよい。溝形成面132には、溝135の側壁部を構成し、各溝135に沿って延びている凸条部136が設けられている。溝135は、ローター130の側面133に設けられた材料導入口134まで連続している。この材料導入口134は、溝135に材料を受け入れる部分である。材料供給部110から供給された材料は、材料導入口134を介して、ローター130とバレル140との間に供給される。
【0019】
ローター130の溝形成面132の中央部137は、溝135の一端が接続されている窪みとして構成されている。中央部137は、
図2に示すように、バレル140の対向面142に設けられた連通孔146に対向する。中央部137は、中心軸RXと交差する。
【0020】
本実施形態のローター130は、中央部137に、連通孔146に向けて突出する滞留抑制部138を備えている。本実施形態では、滞留抑制部138は、略円錐形状を有しており、滞留抑制部138の中心軸は、ローター130の中心軸RXと略一致する。滞留抑制部138の先端は、対向面142の連通孔146の開口端よりも、連通孔146の内部に配置されている。滞留抑制部138によって中央部137内の可塑化材料は、効率よく連通孔146へと導かれるため、可塑化材料の滞留が防止される。可塑化材料の滞留のことを「淀み」と呼ぶこともある。
【0021】
図3には、2つの溝135と、2つの凸条部136と、を有するローター130の例が示されている。ローター130に設けられる溝135や凸条部136の数は、2つには限定されない。ローター130には、1つの溝135のみが設けられていてもよいし、3以上の複数の溝135が設けられていてもよい。また、溝135の数に合わせて任意の数の凸条部136が設けられてもよい。
【0022】
図3には、材料導入口134が2箇所に形成されているローター130の例が図示されている。ローター130に設けられる材料導入口134の数は、2箇所に限定されない。ローター130には、材料導入口134が1箇所にのみ設けられていてもよいし、3箇所以上の複数の箇所に設けられていてもよい。
【0023】
図4は、バレル140の対向面142側の構成を示す説明図である。上述したように、対向面142は、ローター130の溝形成面132に対向する面である。対向面142の中央には、
図2に示した射出ノズル156に連通する連通孔146が設けられている。対向面142における連通孔146の周りには、複数の案内溝144が設けられている。それぞれの案内溝144は、一端が連通孔146に接続され、連通孔146から渦状に延びている。それぞれの案内溝144は、可塑化材料を連通孔146に導く機能を有している。なお、バレル140に案内溝144が形成されていなくてもよい。
【0024】
図2に示すように、逆止弁149は、連通孔146内に設けられている。逆止弁149は、連通孔146からローター130の中央部137や溝135への、可塑化材料の逆流を抑制する。
【0025】
図2に示すように、第1加熱部180は、第1部分181と、第2部分182と、第1熱源183とを、有している。第1加熱部180は、第1熱源183の熱によって、ローター130とバレル140との間に供給された材料を加熱する。本実施形態では、第1熱源183の出力は、制御部500によって制御される。第1加熱部180の構成の詳細については後述する。
【0026】
可塑化装置120は、上述したローター130の回転および第1加熱部180による加熱によって、材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して可塑化材料を生成し、生成した可塑化材料を連通孔146から排出する。連通孔146内の可塑化材料は、具体的には、射出制御部150によって計量され、射出ノズル156へと送出される。
【0027】
図2に示すように、射出制御部150は、シリンダー151と、プランジャー152と、プランジャー駆動部153とを、備えている。シリンダー151は、バレル140の連通孔146に接続された略円筒状の部材である。プランジャー152は、シリンダー151の内部を移動する。プランジャー152は、モーターやギア等によって構成されたプランジャー駆動部153により駆動される。プランジャー駆動部153は、制御部500によって制御される。
【0028】
射出制御部150は、制御部500の制御下で、プランジャー152をシリンダー151内で摺動させることによって、計量操作と射出操作とを実行する。計量操作とは、連通孔146から離れる+X方向にプランジャー152を移動させることによって、連通孔146内の可塑化材料をシリンダー151内へと導いて、シリンダー151内で計量する操作を指す。射出操作とは、連通孔146へ近付く-X方向にプランジャー152を移動させることによって、シリンダー151内の可塑化材料を、射出ノズル156を介して成形型に射出する操作を指す。
【0029】
上述したように、射出ノズル156は、連通孔146と連通する。上述した計量操作と射出操作とが実行されることによって、シリンダー151内で計量された可塑化材料が、射出制御部150から連通孔146を介して射出ノズル156へと送られ、射出ノズル156から型部160へと射出される。なお、例えば、射出成形装置100には、射出ノズル156を加温するヒーターが設けられていてもよい。射出ノズル156を適切に加温することによって、射出ノズル156内における可塑化材料の流動性を保持し、成形品の成形精度を高めることができる。
【0030】
型部160は、成形型161を有している。射出ノズル156へと送られた可塑化材料は、射出ノズル156から成形型161のキャビティーCvへと射出される。具体的には、成形型161は、互いに対面する可動型162および固定型163を有し、両者の間にキャビティーCvを有している。キャビティーCvは、成形品の形状に相当する空間である。本実施形態では、可動型162及び固定型163は、金属材料によって形成されている。尚、可動型162及び固定型163は、セラミックス材料や樹脂材料によって形成されてもよい。
【0031】
型締装置170は、型駆動部171と、ボールネジ部172とを備えている。型駆動部171は、モーターやギア等によって構成され、ボールネジ部172を介して可動型162に接続されている。型駆動部171の駆動は、制御部500によって制御される。ボールネジ部172は、型駆動部171の駆動による動力を可動型162に伝達する。型締装置170は、制御部500の制御下で、型駆動部171およびボールネジ部172によって可動型162を移動させることによって、型部160の開閉を行う。
【0032】
図5は、第1加熱部180の断面を示す図である。
図6は、第1加熱部180の斜視図である。なお、
図6では、構成の理解を容易にするために、射出ノズル156は省略されている。また、
図6では、第1熱源183の一部が破線によって示されている。
【0033】
図2及び
図5に示すように、本実施形態の第1加熱部180は、バレル140の下部に配置されている。上述したように、第1加熱部180は、第1部分181と第2部分182と第1熱源183とを備えている。
【0034】
第1部分181は、第1熱源183を収容している。具体的には、第1部分181は、第1収容部185と、第1連続部186とを有している。第1収容部185は、第1熱源183を収容する部分である。第1連続部186は、第1部分181の第1収容部185と第2部分182とをつなぐ部分である。すなわち、本実施形態では、第1部分181と第2部分182とは、第1連続部186を介してつながっている。
【0035】
図5及び
図6に示すように、本実施形態の第1部分181の第1収容部185は、軸方向であるY方向に沿った高さが小さい扁平な四角柱形状を有している。第1収容部185には、第1収容部185をZ方向に貫通する4つの第1貫通孔184が設けられている。4つの第1貫通孔184は、それぞれ、略円柱形状を有し、X方向に沿って配列されている。また、第1収容部185をY方向に沿って見たときの第1収容部185の中央部分には、第1収容部185をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP1aが形成されている。
【0036】
図2及び
図5に示すように、本実施形態の第1部分181は、バレル140に接することなく、バレル140の+Y方向に配置されている。より詳細には、第1部分181とバレル140及びローター130との間には、断熱部187が設けられている。具体的には、断熱部187として、第1部分181とバレル140との間に空隙が設けられている。
【0037】
第1熱源183は、第1部分181に収容される、第1加熱部180の熱源である。本実施形態では、第1熱源183は、第1収容部185に収容されている。なお、
図6では、第1熱源183のうち、第1収容部185に収容され外部に露出していない部分が破線によって示されている。
図6に示すように、本実施形態の第1熱源183は、棒状のヒーターである。具体的には、第1熱源183は、上述した第1貫通孔184の形状に対応する略円柱形状を有している。第1熱源183は、第1貫通孔184それぞれに1本ずつ挿入されることによって、第1収容部185に収容される。なお、例えば、第1収容部185に対して第1熱源183が脱着可能に構成されていてもよい。
【0038】
図5及び
図6に示すように、第2部分182は、軸方向であるY方向に沿った高さが小さい扁平な略円柱形状を有している。第2部分182をY方向に沿って見たときの第2部分182の中央部分には、第2部分182をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP1cが形成されている。
図2及び
図5に示すように、第2部分182は、軸方向であるY方向において、第1部分181よりも溝形成面132の近くに配置されている部分である。本実施形態の第2部分182は、その一部がバレル140内に埋設されることによって固定されている。
【0039】
図5および
図6に示すように、本実施形態の第1連続部186は、第1収容部185と第2部分182との間に配置された部分であり、略円錐台形状を有している。第1連続部186をY方向に沿って見たときの第1連続部186の中央部分には、第1連続部186をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP1bが形成されている。
【0040】
図5及び
図6に示すように、第1加熱部180には、第1加熱部180をY方向に貫通する空間SP1が設けられている。具体的には、上述した、第1部分181に設けられた空間SP1aおよび空間SP1bと、第2部分182に設けられた空間SP1cと、が連通することによって、空間SP1が形成されている。本実施形態では、この空間SP1には、射出ノズル156が挿通されている。従って、射出ノズル156のY方向における少なくとも一部において、射出ノズル156のX方向およびZ方向の周囲が、第1部分181によって囲まれている。これによって、第1部分181に収容された第1熱源183の熱が射出ノズル156へと伝わるため、第1熱源183の熱によって射出ノズル156を加温することができる。また、例えば、射出ノズル156を加温するノズルヒーターが設けられている場合には、ノズルヒーターの出力を抑えつつ射出ノズル156を加温できるため、射出成形装置100全体の熱効率を高めることができる。なお、本実施形態では、射出ノズル156と第1部分181との間には隙間Gp1が設けられている。隙間Gp1が設けられることによって、第1加熱部180から射出ノズル156への過度な伝熱が抑制され、射出ノズル156の温度が高まりすぎることが抑制される。
【0041】
第1加熱部180は、上述した構成により、第1熱源183による熱を、第2部分182を介して、ローター130とバレル140との間に供給された材料に伝達するように構成されている。具体的には、本実施形態では、第1熱源183による熱は、まず、第1熱源183を収容する第1部分181へと伝わる。第1部分181へ伝わった熱は、第2部分182へと伝わる。第2部分182へ伝わった熱は、バレル140へと伝わり、更に、バレル140の対向面142へと伝わる。これによって、第1熱源183による熱は、ローター130とバレル140との間に伝わり、ローター130とバレル140との間に供給された材料へと伝わる。
【0042】
なお、上述したように、本実施形態では、第1部分181とバレル140及びローター130との間には、断熱部187が設けられている。そのため、第1熱源183からローター130とバレル140との間の材料への、第2部分182を介さない伝熱が抑制される。また、
図2に示すように、本実施形態では、第1部分181の周囲全体に空隙が設けられているため、射出成形装置100を構成する種々の部品への意図しない伝熱による熱的影響が抑制される。
【0043】
また、上述したように、本実施形態の第2部分182は、その一部がバレル140内に埋設されている。これに対して、他の実施形態では、第2部分182はバレル140に埋設されていなくてもよく、例えば、バレル140の対向面142と反対側の面に+Y方向から接するように、接着剤やボルトを介して固定されていてもよいし、溶接されていてもよい。この場合であっても、第1熱源183による熱は、第2部分182を介して、ローター130とバレル140との間に供給された材料へと伝わる。
【0044】
本実施形態では、第1加熱部180を構成する第1部分181と第2部分182とは、ステンレス鋼によって一体に成形されている。他の実施形態では、第1加熱部180がステンレス鋼によって形成されていなくてもよく、例えば、他の金属等によって構成されていてもよい。例えば、ローター130やバレル140がステンレス鋼によって形成され、第1加熱部180がステンレスよりも高い熱伝導率を有するアルミニウムによって形成されてもよい。この場合、第1加熱部180は、第1熱源183による熱を、第2部分182を介して、より効率良く材料へと伝達できる。また、第1加熱部180を構成する第1部分181や第2部分182が、それぞれ別体で構成され、別体で構成された部材同士がボルトや接着剤によって固定されていてもよい。この場合、第1部分181と第2部分182とが、それぞれ異なる材料によって形成されていてもよい。同様に、第1部分181を構成する第1収容部185と第1連続部186とが、それぞれ別体で構成されてもよいし、それぞれ異なる材料によって形成されていてもよい。この場合、例えば、第1連続部186を、高い熱伝導率を有する材料によって形成することで、第1熱源183の熱を、第1連続部186を介して効率的に第2部分182へと伝達できる。
【0045】
図7は、第2部分182が溝形成面132に重なる位置を説明する図である。
図7には、溝形成面132を、軸方向であるY方向に沿って、バレル140側から見たときの様子が示されている。
図7には、軸方向に沿って見たときに、溝形成面132と連通孔146とが重なる位置が破線で示され、溝形成面132と第2部分182とが重なる位置が一点鎖線および網点模様のハッチングによって示されている。なお、
図7では、構成の理解を容易にするために、滞留抑制部138は省略されている。
【0046】
図7に示すように、第2部分182は、軸方向であるY方向に沿って見たときに、連通孔146を囲う形状を有している。具体的には、本実施形態の第2部分182は、Y方向に沿って見たときに円環形状を有している。連通孔146は、Y方向に沿って見たときに、この第2部分182の円環内に配置されている。上述したように、第1熱源183の熱は第2部分182を介してバレル140の対向面142に伝達されるため、対向面142における熱分布は、Y方向に沿って見たときに連通孔146の中心を囲う分布となる。これによって、対向面142において、ローター130の周方向における温度ムラが抑制される。
【0047】
図7に示すように、本実施形態の溝形成面132は、第1領域R1と第2領域R2を有している。第2領域R2は、軸方向であるY方向に沿って見たときに、第1領域R1よりも連通孔146から遠い領域である。具体的には、溝形成面132をY方向に沿って見たときに、溝形成面132における、境界BRよりも内側の領域が第1領域R1であり、境界BRよりも外側の領域が第2領域R2である。
図7に示すように、第2部分182は、Y方向に沿って見たときに、第1領域R1と重なるのに対し、第2領域R2とは重ならない。これによって、対向面142をY方向に沿って見たときの、対向面142の第1領域R1と重なる部分には、対向面142の第2領域R2と重なる部分よりも、第1熱源183の熱が第2部分182を介して伝わりやすいため、対向面142の第1領域R1と重なる部分の温度が高くなりやすい。そのため、材料の可塑化時に、ローター130とバレル140との間において、ローター130の外周部分における材料の流動性が、ローター130の中央部137における材料の流動性より低く保たれやすく、材料をローター130の中心に向かって搬送する搬送力が得られやすい。
【0048】
以上で説明した可塑化装置120によれば、第1部分181に収容された第1熱源183による熱が、軸方向に沿って見たときに連通孔146を囲う形状を有する第2部分182を介して、ローター130とバレル140との間の材料に伝達するように構成されている。これによって、軸方向に沿って見たときに、ローター130とバレル140との間における熱分布が、連通孔146を囲う第2部分182の形状に対応した分布となるため、ローター130の周方向における温度ムラが抑制されやすい。そのため、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。
【0049】
また、本実施形態では、第2部分182は、軸方向に沿って見たときに円環形状を有している。そのため、ローター130とバレル140との間において、ローター130の周方向における温度ムラがより抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量がより安定する。
【0050】
また、本実施形態では、第1熱源183は、棒状のヒーターである。これによって、第1熱源183が棒状の形状を有している場合でも、ローター130とバレル140との間における熱分布が第2部分182の形状に対応した分布となる。そのため、第1熱源183の調達に要するコストを削減でき、かつ、ローター130とバレル140との間において、ローター130の周方向における温度ムラを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、第1部分181とローター130及びバレル140との間に、断熱部187が設けられている。これによって、第1部分181に収容された第1熱源183の熱は、第2部分182を介してローター130とバレル140との間により伝達されやすくなる。そのため、ローター130とバレル140との間において、ローター130の周方向における温度ムラがより抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量がより安定する。
【0052】
また、本実施形態では、断熱部187には空隙が設けられている。そのため、簡易な構成によって、第1部分181とローター130及びバレル140との間における伝熱を抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、軸方向に沿って見たときに、第1加熱部180の第2部分182と溝形成面132の第1領域R1とが重なり、第2部分182と溝形成面132の第2領域R2とは重ならない。これによって、材料の可塑化時に、ローター130とバレル140との間における、軸方向に沿って見たときに第1領域R1と重なる部分の温度が第2領域R2と重なる部分の温度よりも高くなりやすい。従って、ローター130とバレル140との間において、ローター130の外周部分における材料の流動性がローター130の中心部における材料の流動性より低く保たれやすい。そのため、材料をローター130の中心に向かって搬送する搬送力が得られやすく、生成される可塑化材料の量がより安定する。
【0054】
また、本実施形態の射出成形装置100では、射出ノズル156は、射出ノズル156の軸方向における少なくとも一部において、第1部分181によって囲まれている。そのため、第1加熱部180によって射出ノズル156を加温することで射出ノズル156内における可塑化材料の流動性を保持し、成形品の成形精度を高めることができる。
【0055】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態における第1加熱部180bおよび第2加熱部190の断面を示す図である。
図9は、
図8のIX-IX断面線における第1加熱部180bおよび第2加熱部190の断面図である。
図8および
図9に示すように、本実施形態の可塑化装置120bは、第1加熱部180bに加え、第2加熱部190を備えている。なお、第2実施形態の射出成形装置100や可塑化装置120bの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1部分181bは第1収容部185bをY方向に貫通する略四角柱状の空間SP3aと、第1連続部186bをY方向に貫通する略円柱状の空間SP3bと、を有し、第2部分182bは第2部分182bをY方向に貫通する略円柱状の空間SP3cを有している。空間SP3aと空間SP3bと空間SP3cとによって、第1加熱部180bをY方向に貫通する空間SP3が形成されている。
【0057】
第1熱源183bは、第1実施形態と同様に、第1部分181bの第1収容部185bに収容されている。
図8に示すように、本実施形態では、第1収容部185bには2つの第1貫通孔184が設けられており、それぞれの第1貫通孔184に、棒状のヒーターである第1熱源183bが1本ずつ挿入されている。
【0058】
第2加熱部190は、第3部分191と、第4部分192と、第2熱源193と、を有している。
図8および
図9に示すように、本実施形態の第2加熱部190は、第1加熱部180bに囲まれるように配置されている。具体的には、第2加熱部190は、上述した空間SP3内に配置されている。また、
図8および
図9に示すように、本実施形態の第1加熱部180bと第2加熱部190とは、互いに隙間を介して配置されている。これによって、第1加熱部180bと第2加熱部190との間における伝熱が抑制される。第1加熱部180bと第2加熱部190との間には、例えば、グラスウール等の断熱材が設けられていてもよい。
【0059】
第3部分191は、第2熱源193を収容している。具体的には、第3部分191は、第2収容部195と、第2連続部196とを有している。第2収容部195は、第2熱源193を収容する部分である。第2連続部196は、第3部分191の第2収容部195と第4部分192とをつなぐ部分である。すなわち、本実施形態では、第3部分191と第4部分192とは、第2連続部196を介してつながっている。
【0060】
本実施形態の第3部分191の第2収容部195は、軸方向であるY方向に沿った高さが小さい扁平な四角柱形状を有している。
図8および
図9に示すように、第2収容部195には、第2収容部195をZ方向に貫通する2つの第2貫通孔194が設けられている。2つの第2貫通孔194は、それぞれ、略円柱形状を有し、X方向に沿って配列されている。また、第2収容部195をY方向に見たときの中央部分には、第2収容部195をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP2aが形成されている。
【0061】
第3部分191とバレル140及びローター130との間には空隙が設けられており、第3部分191はバレル140に接することなく、バレル140の+Y方向に配置されている。
【0062】
第2熱源193は、第3部分191に収容される、第2加熱部190の熱源である。本実施形態では、第2熱源193は、第2収容部195に収容されている。
図8および
図9に示すように、本実施形態の第2熱源193は、第1熱源183bと同様に、棒状のヒーターである。第2熱源193は、上述した第2貫通孔194の形状に対応する略円柱形状を有しており、第2貫通孔194に1本ずつ挿入されている。本実施形態では、第2熱源193の出力は、制御部500によって制御される。なお、本実施形態の第2貫通孔194のZ方向の長さは第1貫通孔184のZ方向の長さよりも短く、第2熱源193のZ方向の長さは第1熱源183bのZ方向の長さよりも短い。また、例えば、第2収容部195に対して第2熱源193が脱着可能に構成されていてもよい。
【0063】
第4部分192は、軸方向であるY方向に沿った高さが小さい扁平な略円柱形状を有している。第4部分192をY方向に沿って見たときの第4部分192の中央部分には、第4部分192をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP2cが形成されている。
図8に示すように、第4部分192は、軸方向であるY方向において、第3部分191よりも溝形成面132の近くに配置されている部分である。
図8に示すように、本実施形態の第4部分192は、第2部分182bと同様に、その一部がバレル140内に埋設されることによって固定されている。
【0064】
第2連続部196は、第3部分191と第4部分192との間に配置された部分であり、略円錐台形状を有している。第2連続部196をY方向に沿って見たときの第2連続部196の中央部分には、第2連続部196をY方向に貫通する略円柱形状の空間SP2bが形成されている。
【0065】
図8に示すように、第2加熱部190には、第2加熱部190をY方向に貫通する空間SP2が設けられている。具体的には、上述した、第3部分191に設けられた空間SP2aおよび空間SP2bと、第4部分192に設けられた空間SP2cと、が連通することによって、空間SP2が形成されている。本実施形態では、この空間SP2には、射出ノズル156が挿通されている。なお、
図9に示すように、射出ノズル156と第2加熱部190との間には隙間が形成されている。
【0066】
本実施形態の第2加熱部190は、第3部分191と第4部分192とがステンレス鋼によって一体に成形されて構成されている。他の実施形態では、第2加熱部190は、例えば、アルミ等の他の金属等によって構成されていてもよい。また、第3部分191と第4部分192とが、それぞれ別体で構成されていてもよいし、それぞれ異なる材料によって形成されていてもよい。同様に、第3部分191を構成する第2収容部195と第2連続部196とが、それぞれ別体で構成されてもよいし、それぞれ異なる材料によって形成されていてもよい。
【0067】
第2加熱部190は、上述した構成により、第2熱源193による熱を、第4部分192を介して、ローター130とバレル140との間に供給された材料に伝達するように構成されている。具体的には、第2熱源193による熱は、まず、第2熱源193を収容する第3部分191へと伝わる。第3部分191へ伝わった熱は、第4部分192へと伝わる。第4部分192へ伝わった熱は、バレル140へと伝わり、更に、バレル140の対向面142へと伝わる。これによって、第2熱源193による熱は、ローター130とバレル140との間に供給された材料へと伝わる。
【0068】
なお、上述したように、本実施形態の第3部分191とバレル140およびローター130との間には隙間が設けられているため、第2熱源193からローター130とバレル140との間の材料への、第4部分192を介さない伝熱が抑制される。
【0069】
図10は、第2部分182bおよび第4部分192が溝形成面132に重なる位置を説明する図である。
図10には、
図7と同様に、溝形成面132を、軸方向であるY方向に沿って、バレル140側から見たときの様子が示されている。
図10には、連通孔146が重なる位置と第2部分182bが重なる位置とが
図7と同様に示されているのに加え、第4部分192が重なる位置が一点鎖線および網点模様のハッチングによって示されている。
【0070】
図10に示すように、第4部分192は、第2部分182bと同様に、軸方向であるY方向に沿って見たときに、バレル140の連通孔146を囲う形状を有している。また、第4部分192は、Y方向に沿って見たときに、第2部分182bよりも連通孔146に近い位置に位置している。具体的には、本実施形態において、第2部分182bは、溝形成面132の第2領域R2と重なり第1領域R1と重ならない円環形状を有しており、第4部分192は、第1領域R1と重なり第2領域R2と重ならない円環形状を有している。また、連通孔146は、Y方向に沿って見たときに第4部分192の円環内に配置されており、連通孔146を囲う第4部分192は、Y方向に沿って見たときに第2部分182bの円環内に配置されている。
【0071】
上述した第1加熱部180bの第1熱源183bと、第2加熱部190の第2熱源193とは、それぞれ個別に制御可能に構成されている。第1熱源183bと第2熱源193とは、制御部500によって、それぞれ個別に制御される。上述したように、本実施形態では、第1熱源183bの熱は第2部分182bを介してバレル140の対向面142へと伝わり、第2熱源193の熱は第4部分192を介して対向面142へと伝わる。そのため、制御部500は、第1熱源183bと第2熱源193とを個別に制御することによって、ローター130とバレル140との間において、例えば、ローター130の中央部137に近い部分の温度を、ローター130の中央部137から遠い部分の温度よりも高めることができる。なお、制御部500は、例えば、対向面142の第1領域R1と重なる部分や第2領域R2と重なる部分の温度を熱電対等で構成された温度センサーによって取得し、取得した温度に応じて第1熱源183bと第2熱源193とを制御してもよい。
【0072】
以上で説明した第2実施形態の可塑化装置120bによっても、ローター130とバレル140との間において、ローター130の周方向における温度ムラが抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。特に本実施形態では、第2加熱部190の第4部分192は、軸方向に沿って見たときに第1加熱部180bの第2部分182bよりも連通孔146に近い位置に位置し、第1加熱部180bの第1熱源183bと、第2加熱部190の第2熱源193とは、それぞれ個別に制御可能に構成されている。これによって、第1熱源183bと第2熱源193とをそれぞれ個別に制御することで、ローター130とバレル140との間において、ローター130の中央部137により近い部分の温度と中央部137からより遠い部分の温度とを異ならせることができる。そのため、例えば、ローター130の中央部137により近い部分の温度を、中央部137からより遠い部分の温度よりも高く制御することによって、生成される可塑化材料の量をより安定させることができる。
【0073】
なお、第2実施形態では、第2加熱部190の第3部分191は、軸方向に沿って見たときに、第1加熱部180bの第1部分181bよりも連通孔146に近い位置に位置している。これに対して、他の実施形態では、第3部分191は、軸方向に沿って見たときに、第1部分181bよりも連通孔146に近い位置に位置していなくてもよい。例えば、第2加熱部190が第1加熱部180bに対して-Y方向から挿入され、X方向およびY方向において第1部分181bよりも大きな寸法を有するように形成された第3部分191が、第1部分181bの-Y方向に位置するように構成されていてもよい。この場合であっても、第2加熱部190の第4部分192が軸方向に沿って見たときに第1加熱部180bの第2部分182bよりも連通孔146に近い位置に位置し、第1熱源183bと第2熱源193とがそれぞれ個別に制御可能に構成されていることによって、生成される可塑化材料の量をより安定させることができる。
【0074】
C.第3実施形態:
図11は、第3実施形態における射出成形装置100の概略構成を示す断面図である。本実施形態の第1加熱部180cは、第1実施形態と異なり、バレル140c内に設けられている。なお、第3実施形態の射出成形装置100や可塑化装置120cの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0075】
本実施形態のバレル140cには、空間SP4が形成されている。空間SP4は、バレル140c内部に形成された略円柱状の空間である。本実施形態の第1加熱部180cは、この空間SP4内に配置されている。第1加熱部180cの第1部分181とバレル140cとの間には、第1実施形態と同様に断熱部187cが設けられている。具体的には、本実施形態の断熱部187cは、第1部分181の外縁を覆うように配置されている。本実施形態の断熱部187cはグラスウール等の断熱材によって構成されている。なお、断熱部187cには、例えば、第1実施形態と同様に空隙が設けられていてもよい。
【0076】
以上で説明した第3実施形態の可塑化装置120cによっても、ローター130の周方向における温度ムラが抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。特に本実施形態では、第1加熱部180cをバレル140c内に設ける場合であっても、生成される可塑化材料の可塑化状態や量を安定させることができる。
【0077】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態としての三次元造形装置10の概略構成を示す説明図である。三次元造形装置10は、吐出ノズル61、材料供給部110、可塑化装置120、ステージ300、移動機構400、及び、制御部500dを備えている。本実施形態の三次元造形装置10は、材料供給部110から供給された材料を可塑化装置120によって可塑化し、可塑化した材料を吐出ノズル61からステージ300に向けて吐出する。
【0078】
移動機構400は、吐出ノズル61とステージ300との相対的な位置を変更可能に構成されている。本実施形態では、移動機構400は、吐出ノズル61を移動させることなく、ステージ300を移動させる。移動機構400は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ300をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。移動機構400は制御部500dによって制御される。なお、他の実施形態では、ステージ300を移動させることなく、吐出ノズル61を移動させることによって、吐出ノズル61とステージ300との相対的な位置を変更してもよい。また、移動機構400は、吐出ノズル61とステージ300との両方を移動させてもよい。
【0079】
制御部500dは、制御部500と同様に、コンピューター等によって構成される。制御部500dは、予め取得した造形データに従って移動機構400および可塑化装置120を制御することにより、吐出ノズル61からステージ300上の任意の位置に、可塑化した材料を吐出させることで、三次元造形物を造形する。なお、三次元造形物のことを、単に造形物と呼ぶこともある。
【0080】
可塑化装置120は、第1実施形態と同様に、駆動モーター122と、駆動モーター122によって回転軸を中心に回転するローター130と、バレル140と、第1加熱部180と、を備えている。可塑化装置120は、第1実施形態と同様に、ローター130の回転と、第1加熱部180による加熱によって、材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して材料を可塑化し、連通孔146から排出する。連通孔146から排出された可塑化材料は、吐出ノズル61へと流れる。
【0081】
なお、三次元造形装置10には、吐出ノズル61を加温するノズルヒーターが設けられていてもよい。吐出ノズル61を適切に加温することによって、吐出ノズル61内における可塑化材料の流動性を保持し、造形物の造形精度を高めることができる。
【0082】
第1加熱部180は、第1実施形態と同様に、第1部分181と、第2部分182と、第1熱源183とを、有している。なお、本実施形態の第1部分181は、バレル140に接することなく、バレル140の-Z方向に配置されている。第1部分181の第1収容部185には、Y方向に延在し、X方向に沿って配列された4つの第1貫通孔184が設けられている。第1熱源183は、第1実施形態と同様に、この第1貫通孔184に収容されている。
【0083】
本実施形態においても、第1加熱部180は、第1実施形態と同様に、第1熱源183による熱を、第2部分182を介して、ローター130とバレル140との間に供給された材料に伝達するように構成されている。
【0084】
なお、
図12に示すように、本実施形態では、第1加熱部180の空間SP1には、吐出ノズル61が挿通されている。従って、吐出ノズル61の周囲が、軸方向であるZ方向の一部において、第1部分181によって囲まれている。これによって、第1部分181に収容された第1熱源183の熱が吐出ノズル61へと伝わるため、第1熱源183の熱によって吐出ノズル61を加温することができる。また、例えば、吐出ノズル61を加温するノズルヒーターが設けられている場合であっても、ノズルヒーターの出力を抑えつつ吐出ノズル61を加温できるため、三次元造形装置10全体の熱効率を高めることができる。なお、本実施形態では、吐出ノズル61と第1部分181との間には隙間Gp2が設けられている。隙間Gp2が設けられることによって、第1加熱部180から吐出ノズル61への過度な伝熱が抑制され、吐出ノズル61の温度が高まりすぎることが抑制される。
【0085】
以上で説明した第4実施形態の三次元造形装置10によれば、第1実施形態と同様に可塑化装置120を有し、可塑化装置120は、第1部分181に収容された第1熱源183による熱が、軸方向に見て連通孔146を囲う形状を有する第2部分182を介して、ローター130とバレル140との間の材料に伝達するように構成されている。これによって、軸方向に沿って見たときに、ローター130とバレル140との間における熱分布が、連通孔146を囲う第2部分182に対応した分布となるため、ローター130の周方向における温度ムラが抑制されやすい。そのため、可塑化材料の可塑化状態や可塑化量が安定する。
【0086】
また、本実施形態の三次元造形装置10では、吐出ノズル61の周囲は、吐出ノズル61の軸方向における少なくとも一部において、第1部分181によって囲まれている。そのため、第1加熱部180によって吐出ノズル61を加温することで吐出ノズル61内における可塑化材料の流動性を保持し、造形物の造形精度を高めることができる。
【0087】
E.他の実施形態:
(E-1)上記実施形態では、第1加熱部180は、バレル140に配置されている。これに対して、第1加熱部180は、バレル140ではなく、ローター130に配置されてもよい。例えば、第2部分182の一部がローター130に接するように配置されてもよいし、第2部分182がローター130に埋設されて配置されてもよい。また、第1加熱部180がローター130内に配置されてもよい。この場合、第1熱源183による熱は、第2部分182を介してローター130へと伝わり、更に、溝形成面132へと伝わる。これによって、ローター130とバレル140との間に伝わり、ローター130とバレル140との間に供給された材料へと伝わる。
【0088】
(E-2)上記実施形態では、第2部分182は、軸方向に沿って見たときに円環形状を有している。これに対して、第2部分182は、軸方向に沿って見たときに円環形状を有していなくてもよい。例えば、第2部分182を軸方向に沿って見たときの第2部分182の外周縁や内周縁が、3以上の角を有する多角形によって構成されていてもよい。また、第2部分182を軸方向に沿って見たときの第2部分182の外周縁や内周縁の形状が、例えば、直線と曲線とを組み合わせた形状であってもよい。更に、第2部分182を軸方向に見たときの第2部分182の外周縁と内周縁とが、相似の形状を有していなくてもよい。なお、同様に、第4部分192は、軸方向に沿って見たときに円環形状を有していなくてもよい。
【0089】
(E-3)上記実施形態では、第1熱源183は棒状のヒーターである。これに対して、第1熱源183は、棒状のヒーターでなくてもよい。第1熱源183は、例えば、他の形状のヒーターであってもよい。同様に、第2熱源193は棒状のヒーターでなくてもよい。
【0090】
(E-4)上記実施形態では、第1部分181とローター130及びバレル140との間に断熱部187として空隙が設けられている。これに対して、断熱部187に空隙が設けられていなくてもよい。例えば、断熱部187は、第1部分181とローター130及びバレル140とを断熱するための、グラスウール等の断熱材によって構成されていてもよい。また、第1部分181とローター130及びバレル140との間に断熱部187が設けられていなくてもよく、第1部分181とローター130またはバレル140とが直接、接していてもよい。
【0091】
(E-5)上記実施形態では、第2部分182は、軸方向に沿って見たときに、第1領域R1と重なり、第2領域R2とは重ならない。これに対して、第2部分182は、例えば、軸方向に沿って見たときに、第1領域R1と重なっていなくてもよいし、また、第2領域R2と重なっていてもよい。この場合、第2部分182は、例えば、軸方向に沿って見たときに、溝形成面132の外周縁と重なるように配置されていてもよい。
【0092】
(E-6)上記実施形態では、射出ノズル156の軸方向における少なくとも一部において、射出ノズル156の周囲は、第1部分181によって囲まれている。これに対して、射出ノズル156は、第1部分181によって囲まれていなくてもよい。同様に、吐出ノズル61は、第1部分181によって囲まれていなくてもよい。
【0093】
(E-7)上記実施形態では、第1部分181は第1連続部186を有している。これに対して、第1部分181は第1連続部186を有していなくてもよい。例えば、第1部分181の第1収容部185に相当する部分と、第2部分182とが、直接、つながっていてもよい。また、例えば、第2部分182が、第1部分181と第2部分182とをつなぐ連続部分を有し、この連続部分によって第1部分181と第2部分182とがつながっていてもよい。同様に、第3部分191は第2連続部196を有していなくてもよい。
【0094】
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0095】
(1)本開示の第1の形態によれば、回転軸を中心に回転し、溝が形成された溝形成面を有するローターと、前記溝形成面に対向し、連通孔を有するバレルと、前記ローターと前記バレルとの間に供給された材料を加熱する第1加熱部と、を備え、前記ローターの回転と、前記第1加熱部による加熱によって、前記ローターと前記バレルとの間に供給された前記材料を可塑化して前記連通孔から排出する可塑化装置が提供される。この可塑化装置において、前記第1加熱部は、第1熱源を収容する第1部分と、前記回転軸の軸方向において前記第1部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前記軸方向に沿って見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第1部分とつながる第2部分と、を有し、前記第1熱源による熱が、前記第2部分を介して、前記ローターと前記バレルとの間の前記材料に伝達するように構成されている。
このような形態によれば、軸方向に沿って見たときに、ローターとバレルとの間における熱分布が、連通孔を囲う第2部分の形状に対応した分布となるため、ローターの周方向における温度ムラが抑制されやすい。そのため、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。
【0096】
(2)上記形態の可塑化装置において、前記第2部分は、前記軸方向に沿って見たときに円環形状を有していてもよい。このような形態によれば、ローターとバレルとの間において、ローターの周方向における温度ムラがより抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量がより安定する。
【0097】
(3)上記形態の可塑化装置において、前記第1熱源は、棒状のヒーターであってもよい。このような形態によれば、第1熱源が棒状の形状を有している場合でも、ローターとバレルとの間における熱分布が第2部分の形状に対応した分布となる。そのため、第1熱源183の調達に要するコストを削減し、かつ、ローターとバレルとの間において、ローターの周方向における温度ムラを抑制できる。
【0098】
(4)上記形態の可塑化装置において、前記第1部分と前記ローター及び前記バレルとの間に断熱部を有していてもよい。このような形態によれば、第1部分に収容された第1熱源の熱は、第2部分を介してローターとバレルとの間により伝達されやすくなる。そのため、ローターとバレルとの間において、ローターの周方向における温度ムラがより抑制され、生成される可塑化材料の可塑化状態や量がより安定する。
【0099】
(5)上記形態の可塑化装置において、前記断熱部には空隙が設けられていてもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、第1部分とローター及びバレルとの間における伝熱を抑制できる。
【0100】
(6)上記形態の可塑化装置において、前記溝形成面は、前記軸方向に沿って見たときに、第1領域と、第1領域よりも前記連通孔から遠い第2領域と、を有し、前記第2部分は、前記軸方向に沿って見たときに、前記第1領域と重なり、前記第2領域と重ならなくてもよい。このような形態によれば、材料の可塑化時に、ローターとバレルとの間において、軸方向に沿って見たときに第1領域と重なる部分の温度が第2領域と重なる部分の温度よりも高くなりやすいため、ローターの外周部分における材料の流動性がローターの中心部における材料の流動性より低く保たれやすい。そのため、材料をローターの中心に向かって搬送する搬送力が得られやすく、生成される可塑化材料の量がより安定する。
【0101】
(7)上記形態の可塑化装置において、前記溝と前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱する第2加熱部を備え、前記第2加熱部は、第2熱源を収容する第3部分と、前記軸方向において前記第3部分よりも前記溝形成面の近くに配置され、前記軸方向に沿って見たときに前記連通孔を囲う形状を有し、前記第3部分とつながる第4部分と、を有し、前記第2熱源による熱が、前記第4部分を介して、前記溝と前記バレルとの間に供給された前記材料に伝達するように構成されており、前記第4部分は、前記軸方向に沿って見たときに、前記第2部分よりも前記連通孔に近い位置に位置し、前記第1熱源と前記第2熱源とは、それぞれ個別に制御可能に構成されていてもよい。このような形態によれば、第1熱源と第2熱源とをそれぞれ個別に制御することで、ローターとバレルとの間において、ローターの中央部により近い部分の温度と、中央部からより遠い部分の温度とを、異ならせることができる。そのため、例えば、ローターの中央部により近い部分の温度を、中央部からより遠い部分の温度よりも高く制御することによって、生成される可塑化材料の量をより安定させることができる。
【0102】
(8)本開示の第2の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記第1の形態における可塑化装置と、前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料を成形型に射出する射出ノズルと、を備える。
このような形態によれば、軸方向に沿って見たときに、ローターとバレルとの間における熱分布が、連通孔を囲う第2部分の形状に対応した分布となるため、ローターの周方向における温度ムラが抑制されやすい。そのため、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。
【0103】
(9)上記形態の射出成形装置は、前記射出ノズルは、前記射出ノズルの前記軸方向における少なくとも一部において、前記第1部分によって囲まれていてもよい。このような形態によれば、第1加熱部によって射出ノズルを加温することで射出ノズル内における可塑化材料の流動性を保持し、成形品の成形精度を高めることができる。
【0104】
(10)本開示の第3の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記第1の形態における可塑化装置と、前記連通孔に連通し、可塑化された前記材料をステージに向けて吐出する吐出ノズルと、を備える。
このような形態によれば、軸方向に沿って見たときに、ローターとバレルとの間における熱分布が、連通孔を囲う第2部分の形状に対応した分布となるため、ローターの周方向における温度ムラが抑制されやすい。そのため、生成される可塑化材料の可塑化状態や量が安定する。
【0105】
(11)上記形態の三次元造形装置は、前記吐出ノズルは、前記吐出ノズルの前記軸方向における少なくとも一部において、前記第1部分によって囲まれていてもよい。このような形態によれば、第1加熱部によって吐出ノズルを加温することで吐出ノズル内における可塑化材料の流動性を保持し、造形物の造形精度を高めることができる。
【0106】
本開示は、上述した可塑化装置、射出成形装置や三次元造形装置としての形態に限らず、種々の態様で実現可能である。例えば、押出成形装置や、可塑化装置を備える各種の装置として実現可能である。
【符号の説明】
【0107】
10…三次元造形装置、61…吐出ノズル、100…射出成形装置、105…射出ユニット、110…材料供給部、120,120b,120c…可塑化装置、121…ローターケース、122…駆動モーター、130…ローター、132…溝形成面、133…側面、134…材料導入口、135…溝、136…凸条部、137…中央部、138…滞留抑制部、140,140c…バレル、142…対向面、144…案内溝、146…連通孔、149…逆止弁、150…射出制御部、151…シリンダー、152…プランジャー、153…プランジャー駆動部、156…射出ノズル、160…型部、161…成形型、162…可動型、163…固定型、170…型締装置、171…型駆動部、172…ボールネジ部、180,180b,180c…第1加熱部、181,181b…第1部分、182,182b…第2部分、183,183b…第1熱源、184…第1貫通孔、185,185b…第1収容部、186,186b…第1連続部、187,187c…断熱部、190…第2加熱部、191…第3部分、192…第4部分、193…第2熱源、194…第2貫通孔、195…第2収容部、196…第2連続部、300…ステージ、400…移動機構、500,500d…制御部