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特許7516880製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法
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  • 特許-製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法 図1
  • 特許-製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法 図2
  • 特許-製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/64 20170101AFI20240709BHJP
   B31B 155/00 20170101ALN20240709BHJP
   B31B 160/10 20170101ALN20240709BHJP
【FI】
B31B70/64
B31B155:00
B31B160:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020097223
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021187123
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-170989(JP,A)
【文献】特開2012-224029(JP,A)
【文献】特開2009-137078(JP,A)
【文献】特開2013-163268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050510(US,A1)
【文献】特開2013-193108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって袋状の包装容器を製造するための製袋装置であって、
前記フィルムの送り方向に沿って、第一ヒートシールユニットと、第二ヒートシールユニットと、裁断ユニットとを順に備え、
前記第一ヒートシールユニットと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された中間送りローラと、前記第二ヒートシールユニットと前記裁断ユニットとの間に設置された下流側送りローラとにより前記フィルムを間欠送りし、
前記第一ヒートシールユニットの上流側に、前記フィルムに間欠送り毎にマークを付すマーカー部が設置されているとともに、
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記マーカー部と前記第一ヒートシールユニットとの間に設置された第一撮像部を有するフィードバック制御部を備え、
前記フィードバック制御部が、前記第一撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記中間送りローラの回転量を調整して、前記中間送りローラによる前記フィルムの送りピッチをフィードバック制御することを特徴とする製袋装置。
【請求項2】
前記第一撮像部が、前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの1ピッチ分の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように設置されている請求項1に記載の製袋装置。
【請求項3】
前記フィードバック制御部が、
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、
前記中間送りローラと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された第二撮像部と、
前記第二ヒートシールユニットと前記下流側送りローラとの間に設置された第三撮像部と
のいずれか一方、又は両方を有する請求項1又は2に記載の製袋装置。
【請求項4】
前記フィードバック制御部が、前記第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記下流側送りローラの回転量を調整して、前記下流側送りローラによる前記フィルムの送りピッチをフィードバック制御する請求項3に記載の製袋装置。
【請求項5】
前記中間送りローラが、前記フィルムの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置され、
前記フィードバック制御部が、前記第二撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記中間送りローラの旋回角を調整して、前記中間送りローラによる前記フィルムの送り方向をフィードバック制御する請求項3又は4に記載の製袋装置。
【請求項6】
前記下流側送りローラが、前記フィルムの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置され、
前記フィードバック制御部が、前記第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記下流側送りローラの旋回角を調整して、前記下流側送りローラによる前記フィルムの送り方向をフィードバック制御する請求項3~5のいずれか一項に記載の製袋装置。
【請求項7】
前記フィードバック制御部が、前記第二撮像部が撮像した前記マークの位置情報と、前記第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報とに基づいて、前記第二ヒートシールユニットによるシール位置をフィードバック制御する請求項3~6のいずれか一項に記載の製袋装置。
【請求項8】
長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、第一ヒートシールユニットと、第二ヒートシールユニットと、裁断ユニットとに順に、前記第一ヒートシールユニットと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された中間送りローラと、前記第二ヒートシールユニットと前記裁断ユニットとの間に設置された下流側送りローラとにより間欠送りしつつ、袋状の包装容器を製造するにあたり、
前記第一ヒートシールユニットの上流側に設置されたマーカー部により、間欠送り毎に、前記フィルムにマークを付し、
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記マーカー部と前記第一ヒートシールユニットとの間に設置された第一撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、適正な送りピッチに対する誤差を計測し、当該誤差が修正されるように前記中間送りローラの回転量を調整するフィードバック制御を行いながら、前記フィルムを間欠送りすることを特徴とする袋状の包装容器の製造方法。
【請求項9】
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記第二ヒートシールユニットと前記下流側送りローラとの間に設置された第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記フィルムの送り方向下流側における適正な送りピッチに対する誤差を計測し、当該誤差が修正されるように、前記中間送りローラとは別に、前記下流側送りローラの回転量を制御するフィードバック制御を行いながら、前記フィルムを間欠送りする請求項8に記載の袋状の包装容器の製造方法。
【請求項10】
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記中間送りローラと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された第二撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記フィルムの蛇行が認められた場合に、前記フィルムの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置された前記中間送りローラの旋回角を調整して、前記フィルムの送り方向をフィードバック制御する請求項8又は9に記載の袋状の包装容器の製造方法。
【請求項11】
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記第二ヒートシールユニットと前記下流側送りローラとの間に設置された第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記フィルムの蛇行が認められた場合に、前記フィルムの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置された前記下流側送りローラの旋回角を調整して、前記フィルムの送り方向をフィードバック制御する請求項8~10のいずれか一項に記載の袋状の包装容器の製造方法。
【請求項12】
前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記中間送りローラと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された第二撮像部が撮像した前記マークの位置情報と、前記第二ヒートシールユニットと前記下流側送りローラとの間に設置された第三撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記フィルムの伸縮が認められた場合に、前記第二ヒートシールユニットによるシール位置をフィードバック制御する請求項8~11のいずれか一項に記載の袋状の包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって袋状の包装容器を製造するための製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法に関し、特に、フィルムを精度よく間欠送りして、シール位置や裁断位置の位置ずれを抑制することができる製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性フィルムの周縁がヒートシールされた袋状の包装容器が知られている。このような袋状の包装容器は、一般に、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって製造されるが、その歩留まりを向上させるために、フィルムを精度よく間欠送りして、シール位置や裁断位置の位置ずれを抑制することが要求される。
【0003】
例えば、特許文献1では、フィルムの送り方向上流側から順に、フィルム送りロール(2)、縦シール装置(5)、フィルム送りロール(8)、横シール装置(10)、送り量調整ロール(16)、裁断装置(17)を設けた製袋装置において、縦シール装置(5)の上流側に、フィルムに検出用マーク(4)を付するマーカー(3)を設けるとともに、横シール装置(10)と送り量調整ロール(16)との間に、マーク検出器(13)を設けている(特許文献1の図面など参照;括弧内の符号は特許文献1で付された符号を援用する)。
そして、送り量調整ロール(16)によってフィルムを間欠送りするにあたり、マーク検出器(13)がマーク(4)を検出すると、送り量調整ロール(16)がフィルムの送り量を調整して、フィルムを停止させるようにしている。
【0004】
また、特許文献2では、フィルムの送り方向上流側から順に、縦ヒータ(10)、中間送りローラ(14)、横ヒータ(11)、下流送りローラ(19)、カッタ(20)を設けた製袋機において、縦ヒータ(10)の上流側に、フィルムにマーク(29)を施すマーキング装置(26)を設けるとともに、横ヒータ(11)と下流送りローラ(19)との間に、マーク(29)を検出するセンサ(27)を設けている(特許文献2の図1など参照;括弧内の符号は特許文献2で付された符号を援用する)。
そして、送り量が設定値に保たれるようにプログラム制御された中間送りローラ(14)により、フィルムを間欠送りし、センサ(27)がマーク(29)を検出すると、下流送りローラ(19)をプログラム制御して、フィルムの適正位置が横ヒータ(11)の位置に合致したときに、フィルムが停止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭59-19322号公報
【文献】特開平6-170989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、送り量調整ロール(16)でフィルムの送り量を調整するとしているものの、どのようにして調整するかは不明であり、一定の速度で送られているフィルムを、マーク検出器(13)がマーク(4)を検出してから瞬時に停止させるのは困難である。
このため、フィルムの送り量にばらつきが生じてしまうだけでなく、フィルムに付される検出用マーク(4)の間隔にもばらつきが生じてしまう虞があった。さらに、マーク検出器(13)は、マーカー(3)に対して、縦シール装置(5)と横シール装置(10)とを経た遥か下流側に設けられており、ヒートシールによるフィルムの伸縮の影響を考慮して、送り量調整ロール(16)でフィルムの送り量を調整するのは困難であることからも、特許文献1の製袋装置には、フィルムを精度よく間欠送りする上で改善すべき余地があった。
【0007】
また、特許文献2にあっても、中間送りローラ(14)や下流送りローラ(19)をどのようにプログラム制御するかは不明であり、センサ(27)がマーク(29)を検出してからフィルムを停止するようにしていることや、マーキング装置(26)に対して、縦ヒータ(10)と横ヒータ(11)とを経た遥か下流側にセンサ(27)を設けていることからも、フィルムを精度よく間欠送りする上で改善すべき余地があるのは、特許文献1と同様である。
【0008】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって袋状の包装容器を製造するにあたり、フィルムを精度よく間欠送りして、シール位置や裁断位置の位置ずれを抑制して、袋状の包装容器を歩留まりよく製造することができる製袋装置、及び袋状の包装容器の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る製袋装置は、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって袋状の包装容器を製造するための製袋装置であって、前記フィルムの送り方向に沿って、第一ヒートシールユニットと、第二ヒートシールユニットと、裁断ユニットとを順に備え、前記第一ヒートシールユニットと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された中間送りローラと、前記第二ヒートシールユニットと前記裁断ユニットとの間に設置された下流側送りローラとにより前記フィルムを間欠送りし、前記第一ヒートシールユニットの上流側に、前記フィルムに間欠送り毎にマークを付すマーカー部が設置されているとともに、前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記マーカー部と前記第一ヒートシールユニットとの間に設置された第一撮像部を有するフィードバック制御部を備え、前記フィードバック制御部が、前記第一撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、前記中間送りローラの回転量を調整して、前記中間送りローラによる前記フィルムの送りピッチをフィードバック制御する構成としてある。
【0010】
また、本発明に係る袋状の包装容器の製造方法は、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、第一ヒートシールユニットと、第二ヒートシールユニットと、裁断ユニットとに順に、前記第一ヒートシールユニットと前記第二ヒートシールユニットとの間に設置された中間送りローラと、前記第二ヒートシールユニットと前記裁断ユニットとの間に設置された下流側送りローラとにより間欠送りしつつ、袋状の包装容器を製造するにあたり、前記第一ヒートシールユニットの上流側に設置されたマーカー部により、間欠送り毎に、前記フィルムにマークを付し、前記マーカー部による前記マークのマーキング位置に対して、前記フィルムの送り方向に沿って適正な送りピッチの正整数倍の距離を以て離れた位置を撮像視野に含むように、前記マーカー部と前記第一ヒートシールユニットとの間に設置された第一撮像部が撮像した前記マークの位置情報に基づいて、適正な送りピッチに対する誤差を計測し、当該誤差が修正されるように前記中間送りローラの回転量を調整するフィードバック制御を行いながら、前記フィルムを間欠送りする方法としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長尺状のフィルムを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって袋状の包装容器を製造するにあたり、フィルムを精度よく間欠送りして、シール位置や裁断位置の位置ずれを抑制して、袋状の包装容器を歩留まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る製袋装置の概略を模式的に示す説明図である。
図2】製造対象となる袋状の包装容器の一例を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る製袋装置において、第一撮像部、第二撮像部、及び第三撮像部のそれぞれの撮像視野内に設定されるXY座標系の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る製袋装置の概略を模式的に示す説明図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は要部平面図である。
【0014】
図1に示す製袋装置1は、長尺状のフィルムFを繰り出しながら重ね合せて、間欠送りしつつ、ヒートシールすることによって、例えば、図2に示すような袋状の包装容器100を製造するためのものである。
【0015】
図2には、ボトムシール部101とサイドシール部102とにより三方がヒートシールされた平袋タイプの例を示すが、本発明は、スタンディングタイプの包装容器などを製造する場合にも適用できるのはいうまでもない。
なお、図2に示す例にあっては、容器頂部が未シール部とされており、通常、この種の包装容器100は、未シール部から内容物が充填された後に、未シール部にトップシールが施される。
【0016】
製袋装置1は、特に図示しないが、原反ロールから巻き出された幅広のフィル原反を、その幅方向中央を長手方向に沿ってスリットしつつ供給するフィルム供給ユニットを備え、切り離された二枚のフィルムFを、ガイドロール2で重ね合せながら繰り出すように構成することができる。フィルム供給ユニットの具体的な構成は、特に限定されないが、スタンディングタイプの包装容器を製造する場合には、二枚のフィルムFとともに、その間に、容器底部を形成する幅細のフィルムが二つ折りにして供給されるように構成することができる。
【0017】
また、製袋装置1は、フィルムFの送り方向に沿って、第一ヒートシールユニット3と、第二ヒートシールユニット5と、裁断ユニット7とを順に備えている。
これらは、フィルムFの間欠送り毎に動作して、第一ヒートシールユニット3がフィルムFを長手方向にヒートシールしてボトムシール部101を形成し、第二ヒートシールユニット5がフィルムFを長手方向に直交する方向にヒートシールしてサイドシール部102を形成し、裁断ユニット7がフィルムFを所定形状(図2参照)に切り揃えるように構成されるが、その具体的な構成は、特に限定されない。製造対象となる包装容器100の寸法や形状などに応じて、従来装置が備えるものを適宜改造して用いてもよい。
【0018】
また、製袋装置1は、第一ヒートシールユニット3と第二ヒートシールユニット5との間に設置された中間送りローラ4と、第二ヒートシールユニット5と裁断ユニット7との間に設置された下流側送りローラ6の駆動を制御することによって、フィルムFを間欠送りするように構成されている。
中間送りローラ4と下流側送りローラ6には、一対のロールが任意の支点を中心に旋回可能に支持された、いわゆる、ロールガイダーを用いるのが好ましい。これにより、中間送りローラ4と下流側送りローラ6のそれぞれを、フィルムFの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置して、走行中のフィルムFの蛇行を修正できるようにすることができる。
【0019】
また、製袋装置1は、第一ヒートシールユニット3の上流側に、間欠送り毎にフィルムFにマークを付すマーカー部8を備えている。
マーカー部8は、間欠送りが停止したタイミングで、フィルムFにマークMを付すことができれば、その具体的な構成は、特に限定されない。フィルムFに非接触でマークMを付すことができ、高レスポンス、メンテナンスフリーであることから、レーザーマーカーを用いるのが好ましい。
なお、フィルムFに付すマークMは、例えば、図1(b)に示すようなドット状に付すことができるが、識別可能に付されていれば、その大きさや形状は、特に限定されない。
【0020】
また、製袋装置1は、製袋装置1の運転をフィードバック制御するフィードバック制御部9を備えている。
図示する例において、フィードバック制御部9は、第一撮像部10と、第二撮像部11と、第三撮像部12とを有しており、マーカー部8と第一ヒートシールユニット3との間に第一撮像部10が設置され、中間送りローラ4と第二ヒートシールユニット5との間に第二撮像部11が設置され、第二ヒートシールユニット5と下流側送りローラ6との間に第三撮像部12が設置されている。そして、それぞれが設置された位置でフィルムFに付されたマークMを撮像し、フィードバック制御部9に格納された画像解析プログラムによって、その画像データを解析することで、間欠送りが停止したときのマークMの位置情報を導出し、当該位置情報に基づいて、製袋装置1の運転をフィードバック制御するように構成されている。
【0021】
第一撮像部10、第二撮像部11、及び第三撮像部12のそれぞれは、マーカー部8によるマークMのマーキング位置に対して、製造対象となる包装容器100の寸法や形状などに応じた適正な送りピッチPの正整数倍(図示する例では、第一撮像部10が1ピッチ分(P×1)、第二撮像部11が8ピッチ分(P×8)、第三撮像部12が12ピッチ分(P×12))の距離を以て、フィルムFの送り方向に沿って離れた位置を撮像視野に含むように設置するのが好ましい。
【0022】
その際に、フィルムFの間欠送りが適正な送りピッチPでなされていれば、間欠送りが停止したときに、それぞれの撮像視野内に任意に設定したXY座標系の原点に、フィルムFに付されたマークMが位置するように設置するのが好ましい。このようにすることで、撮像部10,11,12が実際に撮像したマークMの位置が、原点からどれだけ離れているかによって、適正な送りピッチPに対する誤差(以下、「送りピッチ誤差」ともいう)や、蛇行発生時のフィルムFの蛇行幅を計測することができる。これらの撮像視野内にXY座標系を設定するにあたり、例えば、図3に示すように、フィルムFの送り方向にX軸、フィルムFの送り方向に直交する方向にY軸をとれば、X座標の値によって送りピッチ誤差を計測することができ、Y座標の値によってフィルムFの蛇行幅を計測することができる。
なお、図3は、撮像視野内(View Area)に設定されたXY座標系の原点にマークMが位置する状態を示しており、図中矢印でフィルムFの送り方向(Feed Direction)を示している。
【0023】
フィードバック制御部9は、このように設置された撮像部10,11,12のそれぞれが撮像したマークMの位置情報に基づいて、次のようにして、製袋装置1の運転をフィードバック制御する。
【0024】
[送りピッチ誤差の修正]
製袋装置1を用いて包装容器100を製造するには、先ず、フィルム供給ユニットから供給される二枚のフィルムFを、端縁を揃えてガイドロール2で重ね合わさせながら繰り出して製袋装置1にセットする。
【0025】
次いで、中間送りローラ4と下流側送りローラ6とを駆動して、予め設定された送りピッチ(初期値)でフィルムFを間欠送りし、その間欠送り毎に、マーカー部8によりフィルムFの端縁側にマークMを付していく。これにより、フィルムFには、フィルムFの送りピッチに対応した所定の間隔でマークMが付されることになる(図1(b)参照)。
なお、図示する例では、マークMが付されたフィルムFの端縁側を避けてボトムシール101が形成され、当該端縁側は、フィルムFを所定形状に切り揃える際に除去されるように製袋装置1を構成しているが、製造される包装容器100の外観をマークMが害することがなければ、これに限定されない。
【0026】
このようにして、製袋装置1の運転が開始されると、第一撮像部10、第二撮像部11、及び第三撮像部12のそれぞれは、フィルムFに付されたマークMを撮像し、その画像データを、フィードバック制御部9に格納された画像解析プログラムによって解析して、撮像部10,11,12のそれぞれが撮像したマークMの位置情報を導出する。
【0027】
そして、第一撮像部10が撮像したマークMの位置情報に基づいて、間欠送り毎に適正な送りピッチPに対する誤差を計測する。その結果、実際の送りピッチが大きい場合(第一撮像部10の撮像視野内に設定したXY座標系において、X>0の場合)には、それに応じて中間送りローラ4の回転量を減少させ、実際の送りピッチが小さい場合(同XY座標系において、X<0の場合)には、それに応じて中間送りローラ4の回転量を増加させて、送りピッチ誤差が修正されるように、中間送りローラ4の駆動をフィードバック制御する。
【0028】
このようにして、第一撮像部10が撮像したマークMの位置情報に基づいて、間欠送り毎に、中間送りローラ4の回転量を調整して、中間送りローラ4によるフィルムの送りピッチをフィードバック制御することによって、適正な送りピッチPと等しい間隔でフィルムFにマークMを付しながら、中間送りローラ4によるフィルムFの間欠送りを適正な送りピッチPで精度よく行うことができる。その結果、第一ヒートシールユニットと第二ヒートシールユニット5によるシール位置や、裁断ユニット7による裁断位置の位置ずれを抑制することが可能になる。
【0029】
その際、第一撮像部10は、第一ヒートシールユニット3よりも上流側に設置されているため、ヒートシールによるフィルムFの伸縮の影響を受けることなく、送りピッチ誤差を精度良く計測して、中間送りローラ4のフィードバック制御に反映させることができる。
【0030】
また、フィルムFが蛇行していると、前述したように設定したXY座標系において、マークMの位置がY軸方向にずれることになる。この場合には、Y座標の値を考慮して送りピッチ誤差を計測することになり、送りピッチ誤差を精度良く計測する上で好ましくない。
【0031】
したがって、フィルムFの蛇行が発生する前に、送りピッチ誤差を計測できるように、第一撮像部10は、できるだけマーカー部8に近い位置に設置するのが好ましい。このため、図示する例では、マーカー部8によるマークMのマーキング位置に対して第一撮像部10が設置される位置を、適正な送りピッチPの1ピッチ分としており、このような態様は、フィルムFの搬送経路を短縮して、送りピッチ誤差や蛇行の発生要因を極力排除するとともに、装置の省スペース化を図る上でも好ましい。
【0032】
一方、中間送りローラ4によるフィルムFの間欠送りを適正な送りピッチPで精度よく行っても、第一ヒートシールユニット3と第二ヒートシールユニット5によるヒートシール工程を経た下流側では、ヒートシールによるフィルムFの伸縮に起因する送りピッチ誤差が新たに生じてしまう虞がある。このため、第二ヒートシールユニット5と下流側送りローラ6との間に設置された第三撮像部12が撮像したマークMの位置情報に基づいて、間欠送り毎にフィルムFの送り方向下流側における送りピッチ誤差を計測し、当該誤差が修正されるように、中間送りローラ4とは別に、下流側送りローラ6をフィードバック制御するのが好ましい。
【0033】
前述したような中間送りローラ4のフィードバック制御により、フィルムFには、適正な送りピッチPと等しい間隔でマークMが付されている。このことから、第三撮像部12の撮像視野内に設定したXY座標系において、その原点にマークMが位置するように、下流側送りローラ6の駆動をフィードバック制御して、間欠送り毎に、その回転量を調整することで、フィルムFの送り方向下流側における送りピッチ誤差を修正することができる。
すなわち、第三撮像部12の撮像視野内に設定したXY座標系において、X>0の場合には、それに応じて下流側送りローラ6の回転量を減少させ、X<0の場合には、それに応じて下流側送りローラ6の回転量を増加させるように、下流側送りローラ6の駆動をフィードバック制御する。
【0034】
このようにして、中間送りローラ4とは別に、下流側送りローラ6をフィードバック制御することによって、フィルムFの送り方向下流側において、ヒートシールによるフィルムFの伸縮に起因する送りピッチ誤差が生じた場合でも、かかる誤差を修正しながら、適正な送りピッチPで裁断ユニット7にフィルムF5送り出すことが可能になる。これにより、裁断ユニット7による裁断位置の位置ずれをより確実に抑制して、包装容器100を所定形状により精度よく切り揃えることができる。
【0035】
なお、特に図示しないが、下流側送りローラ6は、中間送りローラ4と同期して同じ回転量で駆動するように構成するとともに、第三撮像部12が撮像したマークMの位置情報に基づいて計測されたフィルムFの送り方向下流側における送りピッチ誤差に応じて、裁断ユニット7をフィルムFの送り方向又は反送り方向に移動可能に構成することで、裁断工程における位置ずれを抑制することもできる。
このような態様は、フィルムFの伸縮に起因する送りピッチ誤差が大きく、下流側送りローラ6の回転量の調整だけでは修正できない場合に有効である。
【0036】
[蛇行の修正]
また、フィードバック制御部9は、走行中のフィルムFに蛇行が発生したときに、フィルムFの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置された中間送りローラ4と下流側送りローラ6の旋回角度を、それぞれをフィードバック制御することによって、フィルムFの蛇行を修正することができる。
【0037】
例えば、第二撮像部11が撮像したマークMの位置情報に基づいて、間欠送り毎にフィルムFの蛇行幅を計測して、送り方向に対して左にそれる蛇行が認められた場合(第二撮像部11の撮像視野内に設定したXY座標系において、Y>0の場合)には、その蛇行幅に応じた角度で、中間送りローラ4がフィルムFの送り方向に旋回し、送り方向に対して右にそれる蛇行が認められる場合(同XY座標系において、Y<0の場合)には、その蛇行幅に応じた角度で、中間送りローラ4がフィルムFの反送り方向に旋回するように、その旋回角度を調整して、中間送りローラ4によるフィルムFの送り方向をフィードバック制御することによって、フィルムFの蛇行を修正することができる。
【0038】
同様に、第三撮像部12が撮像したマークMの位置情報に基づいて、間欠送り毎にフィルムFの蛇行幅を計測して、送り方向に対して左にそれる蛇行が認められた場合(第三撮像部12の撮像視野内に設定したXY座標系において、Y>0の場合)には、その蛇行幅に応じた角度で、下流側送りローラ6がフィルムFの送り方向に旋回し、送り方向に対して右にそれる蛇行が認められる場合(同XY座標系において、Y<0の場合)には、その蛇行幅に応じた角度で、下流側送りローラ6がフィルムFの反送り方向に旋回するように、その旋回角度を調整して、下流側送りローラ6によるフィルムFの送り方向をフィードバック制御することによって、フィルムFの蛇行を修正することができる。
【0039】
なお、蛇行発生時にフィルムFの蛇行を修正するにあたっては、中間送りローラ4と下流側送りローラ6のそれぞれを、フィルムFの送り方向及び反送り方向に旋回可能に設置するのに代えて、例えば、特に図示しないが、フィルムFの両側端縁に当接して、フィルムFの送り方向に直交する方向に移動可能に構成された搬送ガイドユニットを設置するなどしてもよい。このような態様とした場合には、第二撮像部11や第三撮像部12が撮像したマークMの位置情報に基づいて計測された蛇行幅に応じて、当該搬送ガイドユニットを移動させることによって、フィルムFの蛇行を修正することができる。
【0040】
[第二ヒートシールユニットによるシール位置の修正]
また、第一ヒートシールユニット3によるヒートシール工程を経たフィルムFに、ヒートシールによる伸縮が生じると、第二ヒートシールユニット5によりサイドシール部102を形成する際に、第一ヒートシールユニット3により形成されたボトムシール部101に対して、そのシール位置がずれてしまう虞がある。このような不具合を防ぐために、フィードバック制御部9は、第二撮像部11が撮像したマークMの位置情報と、第三撮像部12が撮像したマークMの位置情報とに基づいて、当該フィルムFの伸縮が認められた場合には、その伸縮率を計測し、これに応じて、第二ヒートシールユニット5によるシール位置を修正するように、フィードバック制御することもできる。
【0041】
例えば、第三撮像部12の撮像視野内に設定したXY座標系におけるX座標の値(X3)から、第二撮像部11の撮像視野内に設定したXY座標系におけるX座標の値(X2)を減算した値(X3-X2)がフィルムFの伸縮量となり、図示する例では、第三撮像部12と第二撮像部11との設置間隔がP×12-P×8であるから、フィルムFの伸縮率は、((P×12-P×8)+(X3-X2))/(P×12-P×8)となる。間欠送り毎に、かかる伸縮率から、第二ヒートシールユニット5によりサイドシール部102を形成する適正位置を算出して、それに応じて第二ヒートシールユニット5をフィルムFの送り方向又は反送り方向に移動させることによって、そのシール位置を修正するようにフィードバック制御することができる。
【0042】
このようにして、間欠送り毎に、第二ヒートシールユニット5によるシール位置を修正しながら、第二ヒートシールユニットを動作させることにより、第二ヒートシールユニット5によるシール位置の位置ずれをより確実に抑制して、第一ヒートシールユニット3により形成されたボトムシール部101に対する適正な位置に、より正確にサイドシール部102が形成されるようにすることができる。
【0043】
本実施形態によれば、以上のようにして、製袋装置1の運転をフィードバック制御することにより、製造対象となる包装容器100の寸法や形状などに応じた適正な送りピッチで、フィルムFを精度よく間欠送りすることができる。その結果、第一ヒートシールユニット3と第二ヒートシールユニット5によるシール位置や、裁断ユニット7による裁断位置の位置ずれを抑制して、袋状の包装容器100を歩留まりよく製造することができる。さらに、製袋装置1の運転が安定した後も間欠送り毎のフィードバック制御を継続することで、運転中のフィルムFの送りピッチの変動や蛇行の発生などを抑制することができるため、オペレーターの負担を格段に軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態では、マーカー部8によりフィルムFに付されたマークMによって、前述したようにして、製袋装置1の運転をフィードバック制御していることから、特に、フィルムFの送りピッチを検知する目印になるような図柄印刷が施されていない無地のフィルムFや、長手方向に沿って変化のない帯模様の印刷が施されたフィルムFなどを用いて、袋状の包装容器100を製造する場合に好適である。
【0045】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 製袋装置
3 第一ヒートシールユニット
4 中間送りローラ
5 第二ヒートシールユニット
6 下流側送りローラ
7 裁断ユニット
8 マーカー部
9 フィードバック制御部
10 第一撮像部
11 第二撮像部
12 第三撮像部
F フィルム
M マーク
P 適正な送りピッチ
図1
図2
図3