(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240709BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240709BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06F3/12 359
B41J29/38 201
H04N1/00 127B
G06F3/12 310
G06F3/12 303
G06F3/12 384
(21)【出願番号】P 2020098385
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 紀彦
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-015362(JP,A)
【文献】特開2012-061713(JP,A)
【文献】特開2002-342055(JP,A)
【文献】特開2013-232117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータに、
前記情報処理装置が備える通信インタフェースを介して、画像形成装置から画像形成ジョブの実行状況を示す実行情報を取得し、取得した前記実行情報に基づいて前記画像形成ジョブの実行完了を検知する完了検知処理を実行させ、前記画像形成ジョブは、前記通信インタフェースを介して、前記情報処理装置から前記画像形成装置に送信されたジョブであり、
さらに前記コンピュータに、
前記完了検知処理にて前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合に、前記画像形成ジョブの実行完了を示す完了情報を、前記情報処理装置が備えるユーザインタフェースに報知させる完了報知処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記画像形成装置の利用状況を示す利用情報を取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得した前記利用情報が制限条件を満たす場合、前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合であっても、前記完了報知処理による前記完了情報の報知を制限する制限処理と、
を実行さ
せ、
前記取得処理では、
前記画像形成装置を利用するユーザ数を、前記利用情報として取得し、
前記制限処理では、
前記取得処理にて取得した前記ユーザ数が所定人数よりも少ない場合に前記制限条件を満たし、前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合であっても、前記完了報知処理による前記完了情報の報知を制限する、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【請求項2】
情報処理装置のコンピュータに、
前記情報処理装置が備える通信インタフェースを介して、画像形成装置から画像形成ジョブの実行状況を示す実行情報を取得し、取得した前記実行情報に基づいて前記画像形成ジョブの実行完了を検知する完了検知処理を実行させ、前記画像形成ジョブは、前記通信インタフェースを介して、前記情報処理装置から前記画像形成装置に送信されたジョブであり、
さらに前記コンピュータに、
前記完了検知処理にて前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合に、前記画像形成ジョブの実行完了を示す完了情報を、前記情報処理装置が備えるユーザインタフェースに報知させる完了報知処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記画像形成装置の利用状況を示す利用情報を取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得した前記利用情報が制限条件を満たす場合、前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合であっても、前記完了報知処理による前記完了情報の報知を制限する制限処理と、
を実行さ
せ、
前記取得処理では、
前記画像形成ジョブによって前記画像形成装置に画像形成を行わせたページ数を、前記利用情報として取得し、
前記制限処理では、
前記取得処理にて取得した前記ページ数が所定ページ数よりも少ない場合に前記制限条件を満たし、前記画像形成ジョブの実行完了を検知した場合であっても、前記完了報知処理による前記完了情報の報知を制限し、
さらに前記コンピュータに、
前記画像形成装置から取得した前記実行情報に基づいて、前記画像形成装置に送信した前記画像形成ジョブによる画像形成の開始を検知する開始検知処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記開始検知処理にて前記画像形成ジョブによる画像形成の開始を検知し、かつ前記取得処理にて取得した前記利用情報が前記制限条件を満たさない場合、前記画像形成ジョブの実行完了時に前記完了情報が報知されることを示す予告情報を、前記ユーザインタフェースに報知させる予告処理を実行させる、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する報知用のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記画像形成装置から取得した前記実行情報に基づいて、前記画像形成装置が別の画像形成ジョブを実行中であることを示すビジーを検知するビジー検知処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記ビジー検知処理にてビジーを検知した場合に、ビジーを示すビジー情報を、前記ユーザインタフェースに報知させるビジー報知処理を実行させる、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載する報知用のプログラムにおいて、
前記ビジー報知処理では、
前記ビジー検知処理にてビジーを検知した場合に、前記ビジー情報の報知を有効とするか無効とするかの設定であるビジー報知設定が有効であれば、前記ビジー情報を前記ユーザインタフェースに報知させ、前記ビジー報知設定が無効であれば、前記ビジー情報を報知せず、前記ビジー報知設定を有効にすることを案内する案内情報を前記ユーザインタフェースに報知させる、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【請求項5】
請求項3または
請求項4に記載する報知用のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記ビジー報知処理にて前記ビジー情報を報知した場合に、前記ビジー情報を報知したことを示す報知履歴情報を記憶する記憶処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記画像形成装置から取得した前記実行情報に基づいて、前記画像形成装置に送信した前記画像形成ジョブによる画像形成の開始を検知する開始検知処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記開始検知処理にて前記画像形成ジョブによる画像形成の開始を検知し、かつ前記報知履歴情報が記憶されている場合に、前記画像形成ジョブによる画像形成の開始を示す開始情報を、前記ユーザインタフェースに報知させる開始報知処理を実行させる、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【請求項6】
請求項1から
請求項5のいずれか1つに記載する報知用のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置が備える前記通信インタフェースに、前記画像形成装置から送信される通知を受信するための受信ポートを開放させる開放処理を実行させ、
前記完了検知処理では、
前記情報処理装置が前記画像形成ジョブを前記画像形成装置に送信した後に、前記受信ポートを開放された前記通信インタフェースが、前記情報処理装置あての前記実行情報を受信することで、前記実行情報を取得し、前記情報処理装置から送信される前記画像形成ジョブは、前記情報処理装置を識別する装置識別情報と共に前記画像形成装置に送信され、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から受信した前記画像形成ジョブに基づく画像形成を完了した場合に、前記画像形成ジョブと共に受信した前記装置識別情報を用いて、前記画像形成ジョブの実行完了を示す前記実行情報を、前記画像形成ジョブの送信元である前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする報知用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムおよびプログラムに関する。さらに詳細には、画像形成装置に入力された画像形成ジョブに関する情報を、情報処理装置で報知する報知技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置と接続する情報処理装置では、画像形成ジョブに関する情報を報知する技術が知られている。例えば、特許文献1には、エラー情報を報知する技術として、1台のデジタル複合機に少なくとも1台のホストPCが接続されている画像形成システムであって、デジタル複合機にエラーが発生した場合、そのエラーを回復させるための情報をデジタル複合機からホストPCに送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報処理装置は、画像形成装置に画像形成ジョブを送信した後、その画像形成ジョブが完了したか否かを知ることができない。そのため、利用者は自身の画像形成ジョブが完了するタイミングが分からず、例えば画像形成装置がプリンタであれば、プリンタに移動した際に印刷ジョブが完了しておらず、完了するまで待たされる、印刷物を取りに行くことを忘れてしまう、といった問題が生じる。引用文献1のように、エラーが発生したときの報知については知られているが、エラーが発生していないときの報知については改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、画像形成装置に入力された画像形成ジョブに関する情報の、情報処理装置での報知を改善させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたシステムは、画像形成装置と、前記画像形成装置に画像形成ジョブを送信する情報処理装置と、を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、前記情報処理装置を識別する装置識別情報を関連付けた画像形成ジョブを、前記情報処理装置が備える通信インタフェースを介して、前記画像形成装置に送信し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から送信された前記画像形成ジョブを受信した場合に、前記画像形成ジョブに基づく画像形成を開始し、前記画像形成ジョブに基づく前記画像形成の完了後、前記画像形成ジョブと関連付けられた前記装置識別情報を用いて、前記画像形成ジョブに基づく前記画像形成の実行完了を示す完了通知を、前記画像形成ジョブの送信元である前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記画像形成ジョブを前記画像形成装置に送信した後、前記通信インタフェースを介して、前記情報処理装置あての前記完了通知を前記画像形成装置から受信した場合に、前記画像形成ジョブに基づく前記画像形成の実行完了を示す完了情報を、前記情報処理装置が備えるユーザインタフェースに報知させ、さらに前記情報処理装置は、前記画像形成装置の利用状況を示す利用情報を取得し、取得した前記利用情報が制限条件を満たす場合、前記完了通知を受信した場合であっても、前記画像形成ジョブに基づく前記完了情報を、前記ユーザインタフェースに報知させない、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるシステムによれば、画像形成装置は、情報処理装置から送信された画像形成ジョブに基づく画像形成の実行完了を示す完了通知を情報処理装置に送信し、情報処理装置は、その完了通知を受信した場合に完了情報を報知するので、ユーザは、画像形成ジョブに基づく画像形成が完了したことを知ることができる。さらに、情報処理装置は、画像形成装置の利用状況によっては、完了通知を受信した場合であっても完了情報を報知しないので、完了情報が頻繁に報知されてしまうことのユーザの煩わしさを軽減できる。
【0008】
上記システムの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、画像形成装置に入力された画像形成ジョブに関する情報の、情報処理装置での報知を改善させる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかるシステムの概略構成図である。
【
図2】通知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】セットアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】報知設定の選択受付画面の例を示す説明図である。
【
図5】報知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、システムおよびプログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、印刷機能を有する複合機(以下、「MFP」とする)と、MFPと接続されるパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)と、を含むシステムを開示するものである。
【0012】
本形態のシステム100は、
図1に示すように、PC1~4と、MFP5~6と、を含み、これらが通信可能に接続されている。PC1~4は、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を実行可能な装置である。PC1~4は、情報処理装置の一例である。PC1~4は、同様の機能を備える装置であり、以下では、PC1にて代表して説明する。MFP5~6は、少なくとも印刷機能を有する装置である。MFP5~6は、画像形成装置の一例である。MFP5~6は、同様の機能を備える装置であり、以下では、MFP5にて代表して説明する。
【0013】
本形態のPC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は、コンピュータの一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、
図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0014】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12は、例えば、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリであり、PC1を起動するための起動プログラム等の各種のプログラムや、画像データ、文書データ、各種の設定情報等の各種のデータ、が記憶される記憶領域である。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0015】
メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
ユーザIF13は、情報を画面に表示するハードウェアと、ユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF13は、表示用のディスプレイと、キーボード、マウス等との組み合わせであっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0017】
通信IF14は、MFP5等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信方式は、有線でも無線でも良いし、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、LAN等、どのような規格の方式でもよい。また、通信IF14は、複数の方式の構成を含んでいても良い。
【0018】
PC1のメモリ12には、
図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、編集アプリ22と、通知アプリ23と、が組み込まれている。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Linux(登録商標)である。
【0019】
編集アプリ22は、画像データや文書データ等の編集指示、編集済みのデータに基づく印刷指示等の各種の指示を受け付け、受け付けた指示に基づく処理を実行するプログラムである。編集アプリ22は、MFP5に対応するプリンタドライバ等を含む複数のアプリの組み合わせであってもよい。本形態では、編集アプリ22は、印刷指示を受け付けると、印刷ジョブを生成し、OS21および通信IF14を介してMFP5に印刷ジョブを送信する。印刷ジョブは、画像形成ジョブの一例である。PC1から送信される印刷ジョブには、送信元のPC1を示す情報である装置識別情報と、印刷ジョブを識別する情報であるジョブ識別情報と、が含まれる。装置識別情報は、例えば、PC1のIPアドレスまたはMacアドレスである。装置識別情報は、送信元の装置を識別できる情報であればよく、PC1のシリアルナンバやPC1を使用するユーザを示す情報であってもよい。
【0020】
通知アプリ23は、編集アプリ22等によって生成された印刷ジョブをMFP5に送信した後、MFP5からその印刷ジョブに関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、ユーザIF13に各種の情報を報知させるプログラムである。通知アプリ23は、報知用のプログラムの一例である。通知アプリ23による報知は、例えば、所定の表示時間の間、ポップアップ表示をすることによって行われる。通知アプリ23が報知させる情報には、例えば、印刷ジョブの実行完了を示す完了情報、印刷ジョブによる印刷開始を示す開始情報、別の印刷ジョブを実行中であることを示すビジー情報、がある。通知アプリ23は、編集アプリ22やプリンタドライバ等の一部として提供されるものでもよいし、独立したプログラムとして提供されてもよい。
【0021】
なお、PC1に通知アプリ23を組み込む際には、例えば、
図1に破線で示すように、通知アプリ23をインストールするためのインストーラ24をメモリ12に組み込む。インストーラ24は、通知アプリ23のインストールと、インストールした通知アプリ23に対する各種の設定のセットアップと、を行うプログラムである。インストーラ24は、セットアップ用のプログラムの一例である。
図1では、通知アプリ23のインストールおよびセットアップが終了した状態を示しており、インストーラ24は、メモリ12に含まれていなくても良い。
【0022】
本形態のMFP5は、PC1~4から送信される印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブに基づく印刷を実行する装置である。MFP5は、受信した印刷ジョブの実行状況を示す実行情報を、その印刷ジョブを送信したPC1~4に通知する機能を有する。MFP5がPC1~4に送信する実行情報には、例えば、印刷ジョブの実行完了を示す完了通知、印刷ジョブによる印刷開始を示す開始通知、印刷ジョブの受信時に別の印刷ジョブを実行中であることを示すビジー通知、がある。なお、MFP5から送信される実行情報には、印刷ジョブに付されたジョブ識別情報が含まれる。
【0023】
本形態のMFP5は、
図1に示すように、不揮発性のメモリ52を備える。メモリ52には、ユーザ数521と、実行回数522と、が記憶される。ユーザ数521は、例えば、MFP5を利用するユーザの人数であり、実行回数522は、例えば、MFP5にて実行した印刷に関するログ情報である。ユーザ数521と実行回数522との詳細については、後述する。なお、MFP5の初期状態では、ユーザ数521と実行回数522との値は、いずれも0である。
【0024】
次に、通知アプリ23による通知手順について、フローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0025】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0026】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0027】
以下、通知処理の手順について、
図2のフローチャートを参照して説明する。この処理は、PC1にて通知アプリ23が起動されたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。通知アプリ23は、例えば、PC1の起動時に起動され、PC1に常駐する。通知アプリ23は、印刷を実行する装置としてMFP5が選択された際、MFP5を指定した印刷指示を受け付けた際、印刷ジョブをMFP5に送信する際、ユーザの起動指示を受け付けた際、に起動されてもよい。
【0028】
通知処理では、CPU11は、まず、今回が通知アプリ23の初回起動時であるか否かを判断する(S101)。CPU11は、例えば、通知アプリ23にて使用できる記憶領域に、初回起動を示す情報が記憶されているか否かを判断する。初回起動を示す情報は、例えば、通知アプリ23に予めセットされているフラグであり、初回の起動後、CPU11は、このフラグをクリアする。フラグのセットとクリアとは逆でもよい。また、通知アプリ23は、このフラグの状態を変更するユーザの操作を受け付けても良い。
【0029】
初回の起動であると判断した場合(S101:YES)、CPU11は、通知アプリ23による制御対象のデバイス、すなわち、印刷ジョブの送信相手のMFPが選択済みであるか否かを判断する(S102)。例えば、インストーラ24によって通知アプリ23のセットアップが完了している場合、初回の起動時であっても、デバイスは選択済みである。
【0030】
初回の起動ではないと判断した場合(S101:NO)、CPU11は、制御対象のデバイス変更の指示を受け付けたか否かを判断する(S103)。初回に起動であってデバイスが未選択であると判断した場合(S102:NO)、または、デバイス変更の指示を受け付けたと判断した場合(S103:YES)、CPU11は、ユーザIF13を介して、デバイスの選択を受け付ける(S104)。S104は、デバイス選択処理の一例である。CPU11は、例えば、選択可能なMFP5~6の一覧をユーザIF13に表示させて、制御対象のデバイスの選択を受け付ける。CPU11は、選択されたデバイスを識別する情報を、通知アプリ23にて使用できる記憶領域に記憶する。
【0031】
デバイスの選択を受け付けた後、CPU11は、セットアップ処理を実行する(S105)。初回起動であってデバイスが未選択の場合、および、デバイス変更の指示を受け付けた場合は、セットアップを行うタイミングの一例である。セットアップ処理の手順について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
セットアップ処理では、CPU11は、選択されたデバイス、例えばMFP5との通信に使用する通信IFの種類の情報を取得する(S201)。通信IFの種類は、例えば、LAN、USBであり、デバイスの選択や変更の際にユーザによって選択される。S201にて取得する通信IFの種類の情報は、接続態様の情報であり、利用情報の一例である。S201は、セットアップ時取得処理の一例である。
【0033】
なお、通知アプリ23は、編集アプリ22等にて印刷指示を受け付けた場合、印刷を実行させる装置として選択されているデバイスを制御対象のデバイスとしてもよい。例えば、編集アプリ22等は、OS21に登録されているプリントキューの選択を受け付け、選択されたプリントキューに関連付けて記憶されている情報を用いて、MFP等に印刷を指示する。各プリントキューには、対象のデバイスの情報とそのデバイスとの通信に使う通信IFの情報とが関連付けて記憶されている。通知アプリ23は、編集アプリ22等にて印刷実行の指示を受け付けた場合、その編集アプリ22等にて選択されたプリントキューの情報を取得し、取得した情報に基づいて、制御対象のデバイスやそのデバイスとの通信に使う通信IFの情報を取得しても良い。
【0034】
CPU11は、S201にて取得した情報に基づいて、選択されている通信IFがUSB等のローカル接続であるか否かを判断する(S202)。ローカル接続であると判断した場合(S202:YES)、CPU11は、報知設定をオフとする(S203)。S203は、セットアップ時設定処理の一例である。
【0035】
報知設定は、PC1がMFP5等から印刷ジョブに関する通知を受信した場合に、受信した通知に関する報知を行うか否かを決定するための情報の1つである。報知設定がオフであれば、通知アプリ23は、通知を受信しても報知を行わない。ローカル接続であれば、そのMFPがPC1の近くに配置されている可能性が高く、他のPCとそのMFPを共用している可能性が低いことから、報知の必要性は小さい。そこで、報知設定をオフとすることで、処理の負荷を小さくするとともに、表示の煩わしさを低減する。
【0036】
ローカル接続ではないと判断した場合(S202:NO)、CPU11は、MFP5から、メモリ52に記憶されているユーザ数521の情報を取得する(S205)。ユーザ数521は、例えば、MFP5を利用するユーザの数、MFP5を制御対象として通知アプリ23がセットアップされたPCの数、である。ユーザ数521は、後述するように、通知アプリ23のセットアップ完了時にカウントアップされる。ユーザ数521は、利用情報の一例である。S205は、セットアップ時取得処理の一例である。MFP5がユーザ数521を記憶することで、MFPごとにそのMFPを利用するユーザの数を容易に管理できる。そして、CPU11は、MFP5のユーザの数が1以上であるか否かを判断する(S206)。1は、所定数の一例である。
【0037】
ユーザの数が1以上ではないと判断した場合(S206:NO)、CPU11は、報知設定をオフとする(S203)。ユーザの数が0である場合、MFP5を利用するユーザが他にいないことを示している。ユーザが1人のみであれば、他のユーザのジョブによって自分のジョブの実行待ちとなることはなく、報知の必要性は小さい。
【0038】
ユーザの数が1以上であると判断した場合(S206:YES)、CPU11は、MFP5から実行回数522の情報を取得する(S210)。実行回数522は、例えば、MFP5にて過去に印刷を実行した印刷ジョブの情報である。MFP5は、印刷ジョブを受信してその印刷を実行した場合、実行回数522として、例えば、その実行日時と印刷ページ数とをメモリ52に記憶する。実行回数522は、利用情報または実行量情報の一例である。S210は、セットアップ時取得処理の一例である。
【0039】
そして、CPU11は、MFP5から取得した実行回数522の情報に基づいて、1日当たりの印刷ページ数の平均値を取得する(S211)。1日当たりの印刷ページ数の平均値は、実行量の一例である。CPU11は、例えば、直近1週間分等と期間を限定して、その期間中の平均値を取得しても良い。なお、CPU11は、MFP5から1日当たりの印刷ページ数、または、その平均値の情報を取得できる場合には、S210にてその情報を取得すればよい。
【0040】
CPU11は、1日当たりの印刷ページ数の平均値が1000ページより多いか否かを判断する(S212)。1000ページは、所定量の一例である。1000ページより多いと判断した場合(S212:YES)、CPU11は、報知設定をオンとする(S213)。S213は、セットアップ時設定処理の一例である。報知設定がオンであれば、通知アプリ23は、例えば、完了通知をMFP5から受信した場合に、完了を報知する。他のユーザと共用されるMFP5であって、1日当たりの印刷ページ数が多い場合、印刷ジョブの実行待ちとなる可能性があり、印刷の進行状況についての通知の必要性が高い傾向にある。
【0041】
1日当たりの印刷ページ数の平均値が1000ページより多くないと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、報知設定をオートとする(S214)。S214は、セットアップ時設定処理の一例である。オートは、報知するか否かを、その時点での状況に応じて通知アプリ23が決定する設定である。報知設定がオートの場合の報知の処理についての詳細は、後述する。
【0042】
S203、S213、S214のいずれかの後、CPU11は、ユーザ数521をカウントアップする指示をMFP5に送信して(S215)、セットアップ処理を終了する。S215は、カウントアップ処理の一例である。MFP5は、S215にて送信される指示に基づいて、ユーザ数521に記憶される値をカウントアップする。
【0043】
なお、通知アプリ23は、例えば、ユーザIF13を介して、ユーザによる報知設定の変更指示を受け付けてもよい。その場合、通知アプリ23は、例えば、
図4に示すように、完了時、開始時、ビジー時、のそれぞれについて、報知設定の変更指示を受け付けてもよい。前述したように、MFP5から受信する通知には、完了通知、開始通知、ビジー通知が含まれることから、このようにすれば、ユーザの好みに応じて、受信した通知の種類ごとに、報知を行うか否かを指定できる。
【0044】
S203にて報知設定がオフとされた場合、完了時、開始時、ビジー時の、すべての通知についてオフの設定となる。S213にて報知設定がオンとされた場合、すべての通知についてオンの設定となる。S214にて報知設定がオートとされた場合、
図4に示すように、完了時と開始時とはオート、ビジー時はオンの設定となる。S203、S213、S214のいずれかにて決定した報知設定のうち、完了時の設定が完了報知設定の一例であり、オンは、有効を示す値の一例であり、オフは、無効を示す値の一例であり、オートは、自動を示す値の一例である。
【0045】
図2の通知処理の説明に戻る。S105のセットアップ処理の終了後、または、初回の起動であってデバイスが選択済みであると判断した場合(S102:YES)、または、デバイス変更の指示を受け付けていないと判断した場合(S103:NO)、CPU11は、報知設定がオフであるか否かを判断する(S106)。報知設定がオフであると判断した場合(S106:YES)、すなわち、すべての種類の報知についてオフが設定されている場合、CPU11は、報知を行わないことから、通知処理を終了する。
【0046】
報知設定がオフではないと判断した場合(S106:NO)、CPU11は、通信IF14の所定の受信ポートを開放する(S110)。S110は、開放処理の一例である。なお、通知アプリ23とMFP5~6は、所定のポート番号の受信ポートを利用するよう、あらかじめ設定されている。CPU11は、その受信ポートを開放するようOS21に指示する。OS21は、開放を指示したプログラムとポート番号とを関連付けて記憶し、そのポート番号の受信ポートにて受信した情報を、開放を指示したプログラムである通知アプリ23に渡す。S110にて受信ポートを開放することで、CPU11は、通信IF14を介して、MFP5~6からの通知を受信できる。MFP5とMFP6とで異なる受信ポートを使用してもよい。
【0047】
受信ポートを開放した後、CPU11は、その受信ポートを介して通知を受信したか否かを判断する(S111)。通知を受信していないと判断した場合(S111:NO)、CPU11は、通知アプリ23を終了する指示を受け付けたか否かを判断する(S112)。終了指示を受け付けていないと判断した場合(S112:NO)、CPU11は、通知の受信と終了指示とのいずれかを受け付けるまで待機する。
【0048】
通知を受信したと判断した場合(S111:YES)、CPU11は、報知処理を実行する(S113)。報知処理は、受信した通知に基づいて、ユーザIF13に報知させる処理である。報知処理の手順について、
図5のフローチャートを参照して説明する。S111にて受信する通知は、MFP5における印刷ジョブの実行状況を示す情報であり、実行情報の一例である。
【0049】
なお、MFP5から受信する通知には、通知の種類を示す情報と、通知の対象である印刷ジョブのジョブ識別情報と、その印刷ジョブの印刷ページ数の情報と、が含まれる。前述したように、MFP5から受信する通知には、完了通知、開始通知、ビジー通知等の種類があり、CPU11は、受信した通知に含まれる情報に基づいて、通知の種類を取得できる。また、通知を受信したPC1からMFP5に送信した印刷ジョブが複数あっても、CPU11は、受信した通知に含まれるジョブ識別情報に基づいて、どの印刷ジョブに関する通知であるかを判断できる。
【0050】
報知処理では、CPU11は、まず、受信した通知が完了通知であるか否かを判断する(S301)。S301は、完了検知処理の一例である。完了通知であると判断した場合(S301:YES)、CPU11は、完了設定がオン、オフ、オートのいずれであるかを判断する(S302)。完了設定は、前述した報知設定のうち、完了時の報知設定である。
【0051】
完了設定がオフであると判断した場合(S302:オフ)、CPU11は、今回の通知に関する報知を行わずに、報知処理を終了する。完了設定がオンであると判断した場合(S302:オン)、CPU11は、今回の通知に基づいて、ユーザIF13に印刷ジョブの印刷完了を示す完了情報を報知させ(S303)、報知処理を終了する。S303は、完了報知処理の一例である。なお、CPU11は、完了情報の報知として、例えば、印刷が完了した旨のメッセージを含むポップアップ表示やトースト表示を行う。ポップアップ表示やトースト表示は、画面内の所定の位置に所定時間の間だけメッセージを表示する表示態様である。完了情報以外の情報の報知を行う場合も同様である。
【0052】
完了設定がオートであると判断した場合(S302:オート)、CPU11は、通知の対象の印刷ジョブのページ数を取得する(S304)。ページ数は、利用情報および第2利用情報の一例であり、S304は、取得処理の一例である。CPU11は、受信した通知に基づいて、ページ数を取得する。なお、印刷ジョブを送信する際に、CPU11は、送信対象の印刷ジョブのページ数の情報をジョブ識別情報に関連付けてメモリ12に記憶しても良く、その場合、S304では、通知に含まれるジョブ識別情報に基づいて、ページ数の情報をメモリ12から取得しても良い。そして、CPU11は、取得したページ数が、100ページより少ないか否かを判断する(S305)。100ページは、所定ページ数の一例である。
【0053】
100ページより少ないと判断した場合(S305:YES)、CPU11は、通知を送信したMFP5から、ユーザ数521に記憶されているユーザ数を取得する(S306)。ユーザ数は、利用情報および第2利用情報の一例であり、S306は、取得処理の一例である。そして、CPU11は、取得したユーザ数が2より少ないか否かを判断する(S307)。「2」は、所定人数の一例である。
【0054】
完了設定がオートであって、印刷ジョブが100ページ以上であると判断した場合(S305:NO)、または、ユーザ数が2以上であると判断した場合(S307:NO)、CPU11は、印刷完了を報知して(S303)、報知処理を終了する。100ページ以上の印刷ジョブであれば、印刷が完了するまでにある程度時間がかかるため、報知の必要性が高い。また、ユーザ数が2以上であれば、PC1以外のPCからもMFP5に印刷ジョブが送信される可能性があることから、報知の必要性が高い。
【0055】
一方、100ページ未満の印刷ジョブであり、ユーザ数が1であると判断した場合(S307:YES)、CPU11は、印刷完了を報知せずに報知処理を終了する。完了設定がオフである条件、ページ数が100ページ未満である条件、ユーザ数が1である条件、は、制限条件の一例であり、S305とS307は、制限処理の一例である。完了設定がオンである条件、ページ数が100ページ以上である条件、ユーザ数が2以上である条件、は、報知条件の一例である。
【0056】
受信した通知が完了通知ではないと判断した場合(S301:NO)、CPU11は、ビジー通知であるか否かを判断する(S311)。S311は、ビジー検知処理の一例である。ビジー通知であると判断した場合(S311:YES)、CPU11は、ビジー設定が、オンであるかオフであるかを判断する(S312)。ビジー設定は、報知設定のうち、ビジー時の報知設定であり、ビジー報知設定の一例である。
【0057】
ビジー設定がオンであると判断した場合(S312:オン)、CPU11は、ユーザIF13にビジーであることを示すビジー情報を報知させる(S313)。S313は、ビジー報知処理の一例である。ビジー情報を報知することで、ユーザは、印刷ジョブに基づく印刷が直ぐには開始されないことを知ることができる。
【0058】
さらに、CPU11は、報知済みフラグをセットして(S314)、報知処理を終了する。S314は、記憶処理の一例である。報知済みフラグは、ビジーの報知を行ったことを示す情報であり、報知履歴情報の一例である。CPU11は、報知済みフラグを、印刷ジョブを示すジョブ識別情報に関連付けて、メモリ12の通知アプリ23が利用できる領域に記憶する。
【0059】
ビジー設定がオフであると判断した場合(S312:オフ)、CPU11は、案内不要がメモリ12に記憶されているか否かを判断する(S315)。案内は、例えば、
図6に示すように、ビジーの報知を選択できることをユーザに知らせる案内情報である。案内情報には、ビジーを通知するかしないかを選択可能なボタンと、以後のメッセージの表示が不要であることを示すチェックボックスと、が含まれる。チェックボックスにチェックが入れられた場合、CPU11は、案内不要をメモリ12に記憶する。ビジーを報知可能であることを案内することで、ユーザがビジー設定をオンに切り換えることが期待できる。
【0060】
案内不要が記憶されていないと判断した場合(S315:NO)、CPU11は、ユーザIF13に案内情報を表示させる(S316)。さらに、CPU11は、表示させた案内情報中へのユーザ操作による指示を受け付ける(S317)。例えば、通知するボタンが選択された場合、CPU11は、ビジー設定をオンに変更する。なお、ビジー設定をオンに変更した場合、CPU11は、報知済みフラグのセットも行うとよい。S317の後、または、案内不要が記憶されていると判断した場合(S315:YES)、CPU11は、報知処理を終了する。
【0061】
受信した通知がビジー通知でもないと判断した場合(S311:NO)、CPU11は、開始通知であるか否かを判断する(S321)。S321は、開始検知処理の一例である。開始通知であると判断した場合(S321:YES)、CPU11は、開始設定がオン、オフ、オートのいずれであるかを判断する(S322)。開始設定は、報知設定のうち、開始時の報知設定である。開始設定がオフであると判断した場合(S322:オフ)、CPU11は、今回の通知に関する報知を行わずに、報知処理を終了する。
【0062】
開始設定がオートであると判断した場合(S322:オート)、CPU11は、ビジーを報知済みであるか否かを判断する(S323)。CPU11は、今回の開始通知の対象である印刷ジョブのジョブ識別情報と関連付けて、報知済みフラグがセットされているか否かに基づいて、S323の判断を行う。ビジーを報知済みであると判断した場合(S323:YES)、報知済みフラグをクリアする(S324)。S324の後、または、開始設定がオンであると判断した場合(S322:オン)、CPU11は、ユーザIF13に印刷開始を示す開始情報を報知させる(S325)。S325は、開始報知処理の一例である。ビジーを報知した場合、印刷開始のタイミングが分かり難いことから、開始情報を報知することで、ユーザは、印刷が開始されたことを知ることができる。
【0063】
S325の後、または、ビジーを報知済みではないと判断した場合(S323:NO)、CPU11は、今回の通知の対象である印刷ジョブの印刷ページ数が100ページ未満であるか否かを判断する(S326)。S326は、S304とS305との処理と同様の処理である。100ページ未満ではないと判断した場合(S326:NO)、CPU11は、完了設定がオフであるか否かを判断する(S327)。そして、ページ数が100ページ未満であると判断した場合(S326:YES)、または、完了設定がオフであると判断した場合(S327:YES)、CPU11は、報知処理を終了する。
【0064】
一方、印刷ページ数が100ページ以上であって、完了設定がオフではない、すなわち、オートかオンのいずれかであると判断した場合(S327:NO)、CPU11は、印刷ジョブの実行完了時に完了情報を報知することを予告する予告情報を、ユーザIF13に報知させて(S328)、報知処理を終了する。S328は、予告処理の一例である。100ページ以上の印刷であれば、完了設定がオートであっても、S305にてNOと判断され、印刷完了が報知される。また、ページ数が多い印刷ジョブでは、印刷を開始してから完了するまでに時間がかかることから、印刷完了時に完了情報が報知されることを印刷開始のタイミングで予告することで、ユーザに好適な報知となる。
【0065】
受信した通知が開始通知でもないと判断した場合(S321:NO)、CPU11は、受信した通知に対応する動作を行い(S331)、報知処理を終了する。CPU11は、例えば、受信した通知がMFP5のエラーを示す通知であった場合、報知設定に関わらず、ユーザIF13にエラーを示す情報を報知させる。
【0066】
図2の通知処理の説明に戻る。S113の報知処理の後、CPU11は、S111に戻り、さらに通知の受信または終了の指示を待機する。そして、通知アプリ23を終了する指示を受け付けたと判断した場合(S112:YES)、CPU11は、S110にて開放した受信ポートを閉止する指示をOS21に渡し(S114)、通知処理を終了する。
【0067】
なお、通知アプリ23の報知設定のセットアップを行う処理は、通知処理のS105にて通知アプリ23自身で行う以外に、他のプログラムが行っても良い。例えば、通知アプリ23のインストーラ24は、通知アプリ23による制御対象であるデバイスの選択を受け付け、選択されたデバイスに対応する通知アプリ23をPC1にインストールした後、インストールした通知アプリ23のセットアップの処理として、
図3に示したセットアップ処理を実行する。
【0068】
あるいは、インストーラ24とは別に、セットアップ用のプログラムが用意されてもよい。例えば、モバイル装置等ではインストールの処理をOSによって提供されるプログラムが行うことから、インストーラによるセットアップは行われない。そこで、インストーラ24ではなく、通知アプリ23のセットアップのためのプログラムを用意しても良い。そして、インストールされた通知アプリ23は、初回の起動時などに、そのセットアップ用のプログラムを起動するとしても良い。また、ユーザが、そのセットアップ用のプログラムを起動しても良い。この場合、セットアップ用のプログラムは、通知アプリ23の制御対象であるデバイスの選択を受け付け、
図3に示したセットアップ処理を実行する。
【0069】
インストーラ24など、通知アプリ23以外のプログラムによるセットアップ処理にて決定した報知設定は、通知アプリ23にて利用可能な形式で記憶される。通知アプリ23以外のプログラムにてセットアップ処理が実行される場合、
図3中のS201とS205とS210とは、第1取得処理の一例であり、S203とS213とS214とは、設定処理の一例である。また、S201にて取得する通信IFの種類の情報、S205にて取得するユーザ数の情報、S210にて取得する実行回数の情報は、いずれも、第1利用情報の一例である。また、通知アプリ23以外のプログラムによってセットアップが行われる構成であれば、通知処理のS101とS102は無くても良い。
【0070】
なお、通知アプリ23は、アンインストールの指示を受け付けた場合、制御対象として選択されているMFP、例えば、MFP5にユーザ数をカウントダウンする指示を送信する。MFP5は、カウントダウンの指示を受信すると、ユーザ数521に記憶されているユーザ数の値をカウントダウンする。通知アプリ23がアンインストールされた場合、以後、そのMFPを利用しない可能性が高く、カウントダウンすることで実情に合ったユーザ数が記憶される可能性が高い。
【0071】
以上、詳細に説明したように、本形態の通知アプリ23は、MFP5~6から出力される完了通知に基づいて完了情報を報知するので、ユーザは印刷ジョブに基づく印刷が完了したことを知ることができる。しかし、対象のMFPの利用状況によっては、完了情報の報知の必要性が低い場合があるため、通知アプリ23は、そのMFPの利用状況を示す利用情報が制限条件を満たした場合には、完了通知を受信した場合であってもその完了情報を報知しない。これにより、完了情報が頻繁に報知されてしまうことの煩わしさを軽減でき、PC1での報知が改善される。
【0072】
さらに本形態では、ユーザ数が少ない場合や印刷ジョブのページ数が少ない場合に、制限条件を満たすとしているので、完了情報の報知の必要性が低い傾向にある状況では、完了情報の報知が制限される。これにより、完了情報が頻繁に報知されてしまうことの煩わしさの軽減が期待できる。一方、ユーザ数が多く、ページ数が多い印刷ジョブの場合、印刷開始が待たされる場合があり、また、印刷に時間がかかる可能性が高いことから、完了情報の報知の必要性が高い傾向にある。本形態では、このような状況では、報知条件を満たすとしているので、ユーザに好適な報知となる。
【0073】
さらに本形態では、PC1は、通知アプリ23の初回の起動時等にセットアップ処理を実行し、セットアップ時のMFP5~6の利用状況に基づいて報知設定の値を設定するので、通知を受信する度に利用情報を取得する場合に比較して、処理の負荷が小さい。また、通知アプリ23のインストーラ24またはセットアップ用のプログラムが、MFP5~6の利用状況に基づいて、報知設定の値を設定すれば、通知アプリ23の初回の起動時等にセットアップ処理を行う必要が無く、通知アプリ23の起動にかかる時間が短縮される。また、本形態では、ユーザの指示に基づいて、報知設定の変更を受け付けるので、ユーザの好みに応じた報知設定とすることができる。
【0074】
さらに本形態では、完了設定や開始設定としてオートの設定を受け付け、オートが設定されている場合、PC1は、その時点での利用状況や印刷ジョブのページ数に応じて報知をするか否かを決定する。これにより、MFP5~6のその時点での利用状況に応じた報知も可能となり、報知がさらに改善される。例えば、ユーザ数521が多くても実行回数522が多くない場合には、オートの設定とするので、実情に応じた報知となることが期待できる。
【0075】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PCやMFPの数、各種の報知メッセージの文言等は、いずれも、図示の例に限らない。情報処理装置の一例は、PCに限らず、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等のモバイル装置であっても良い。また、通知アプリ23の制御対象となるデバイスは、MFPに限らず、プリンタ、コピー機、FAX装置、ミシン等であっても良い。また、ユーザ数の閾値である所定数、平均実行量の閾値である所定量、印刷ジョブのページ数の閾値である所定ページ数等の数値は、いずれも一例であり、明細書に記載した数に限らない。
【0076】
また、本形態では、PC1にて、報知設定に基づいて、MFP5から受信した通知に関する報知を行うか否かを判断しているが、これに限らない。例えば、報知設定がオフの場合、MFP5に通知を行わない指示を送信して、MFP5からの通知が送信されないようにしてもよい。あるいは、完了設定,開始設定、ビジー設定をそれぞれMFP5に渡し、送信する設定である通知のみを送信させるようにしてもよい。
【0077】
また、本形態では、セットアップ処理を通知アプリ23の起動時のみに実行しているが、例えば、起動後であっても、編集アプリ22等にて印刷ジョブを送信するMFPが変更された場合、再度セットアップ処理を実行しても良い。また、通知アプリ23は、複数のデバイスについて実行状況を通知可能であっても良く、その場合、対象のデバイスごとに報知設定を記憶しておき、通知を送信したデバイスに対応する報知設定に基づいて、通知を行っても良い。
【0078】
また、本形態では、利用情報として、ユーザ数521の情報や実行回数522の情報をMFP5から取得するとしているが、MFP5から直接取得する例に限らず、OS21やプリントサーバ等を介して取得しても良い。また、ユーザ数521は、PC1からのカウントアップによって記憶される値に限らず、例えば、管理者によってMFP5に登録されたユーザの数であっても良い。また、ユーザ数や実行回数を管理する装置は、MFP自体に限らず、プリントサーバやPC等、MFP以外の装置であってもよい。PC1は、必要に応じて、その装置から情報を取得すればよい。
【0079】
また、本形態では、完了設定がオートである場合、報知処理のS306にて、完了通知を受信する度にユーザ数521をMFP5から取得するとしたが、これに限らない。例えば、起動時等に取得して記憶しておき、その値を使用し続けるとしても良い。
【0080】
また、本形態では、ビジーの報知が可能であることを案内する案内情報として、以後のメッセージの表示が不要であることを示すチェックボックスが含まれる例を開示したが、チェックボックスは無くても良い。例えば、案内情報は、ビジー設定がオフであった場合、ビジー通知を受信する度に報知してもよいし、所定回数のビジー通知を受信した場合に報知してもよいし、ビジー通知を受信した最初の一回のみ報知してもよい。
【0081】
また、本形態では、ビジーの案内情報中に、通知を行う設定を受け付けるボタンを設けるとしたが、ボタンは無くても良い。つまり、案内情報では、設定の変更を受け付けなくても良い。その場合、案内情報に、例えば、通知設定を変更する手順についての案内も表示しても良い。
【0082】
また、本形態では、開始設定がオフであれば、予告情報も表示しないとしているが、予告の条件を満たしている場合に予告情報を表示しても良い。具体的には、S322にてオフと判断した場合、CPU11は、S326に進むとしても良い。
【0083】
また、本形態では、報知を制限する例として、報知しないとしているが、これに限らず、例えば、ポップアップ表示の表示時間を短時間にしても良いし、表示の場所を隅の方にしても良いし、表示を小さくしても良い。
【0084】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0085】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2、3、4 PC
5、6 MFP
11 CPU
13 ユーザIF
14 通信IF
23 通知アプリ
100 システム