(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G03G15/08 343
(21)【出願番号】P 2020101466
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】池端 芳彰
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090271(JP,A)
【文献】特開2011-170218(JP,A)
【文献】特開2020-154262(JP,A)
【文献】特開昭61-005264(JP,A)
【文献】特開2004-284793(JP,A)
【文献】特開2017-058488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部にトナー流出口を有するトナー容器と、
前記トナー容器に設けられ、内部のトナーを前記トナー流出口へ向けて搬送するトナー搬送部と、
前記トナー容器を支持する容器装着部と、
前記トナー搬送部による搬送動作に応じて、前記トナー容器を水平姿勢から前記トナー流出口が斜め下方へ向けられる傾斜姿勢に変化させる付勢力を付与する付勢機構と、
前記トナー搬送部に前記搬送動作に要する力を付与する駆動伝達部と、を備え
、
前記付勢機構は、前記駆動伝達部から分岐する力を受けて、前記トナー容器を前記水平姿勢から前記傾斜姿勢に変化させる画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー搬送部は、
前記トナー容器の内面に設けられた螺旋形状の山形リブを含み、
前記駆動伝達部は、
前記トナー容器の外周面に設けられたウォームホイールと、
所定の回転駆動力を前記ウォームホイールに伝達するウォームギヤと、を含み、
前記ウォームギヤから前記回転駆動力を受けるとともに前記回転駆動力を減速して前記付勢機構に伝達する減速ギヤを更に備える、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー容器は、
先端部に前記トナー流出口が形成され、内部にトナーが収容される筒状の容器本体と、
前記容器本体の先端部にシール部材を介して設けられた連結部材と、を有し、
前記容器装着部は、前記トナー容器が前記容器装着部に装着された状態で前記連結部材と連結可能に構成されており、
前記ウォームホイールは、前記容器本体の外周面に設けられており、
前記付勢機構は、前記ウォームホイールよりも後端部側の所定位置で前記付勢力を前記容器本体に付与する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢機構は、
前記減速ギヤから減速後の前記回転駆動力を受けることにより上昇して前記容器本体を押圧して姿勢変化させる、請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢機構は、
前記トナー容器の下方に設けられ、上下方向に延出する回転軸と、
前記回転軸に回転可能に支持され、螺旋形状の係合部が上面に形成された第1平歯車と、
前記第1平歯車の上側に設けられ、前記回転軸に回転可能に支持され、前記係合部が挿入可能な螺旋形状の被係合部が下面に形成された第2平歯車と、を含み、
前記第1平歯車及び前記第2平歯車それぞれは、前記減速ギヤと噛合しており、
前記第2平歯車は、少なくとも一つの歯欠け部を有する、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記容器本体は、前記トナー流出口よりも径大な第1筒部と、前記第1筒部に連続し、前記トナー流出口と同等の外径の第2筒部と、を有し、
前記連結部材は、前記第2筒部に装着されている、請求項
3から
5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー容器を支持可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には現像装置が搭載されている。現像装置の内部にはトナーを含む現像剤が収容されている。画像形成装置は、トナー容器が装着される容器装着部を有しており、前記トナー容器が前記容器装着部に装着されると、前記トナー容器から前記現像装置にトナーが補給可能となる。
【0003】
画像形成装置に装着されるトナー容器の一例として、画像形成装置に横置きにされる長尺なトナー容器が知られている(特許文献1参照)。この種のトナー容器は、先端部にトナー流出口が形成されており、トナー容器が横置きにされた状態でトナー流出口から外部にトナーが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトナー容器では、トナーの残量が少なくなるにつれてトナーの搬送効率が低下し、少量ではあるがトナー容器にトナーが残存している状態でトナーの搬送ができなくなり、最後までトナーを使い切ることができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、トナーの残量が少なくなった場合でもトナーの搬送効率の低下を防止し、トナー容器内のトナーを最後まで使い切ることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、トナー容器と、トナー搬送部と、容器装着部と、付勢機構と、を備える。前記トナー容器は、先端部にトナー流出口を有する。前記トナー搬送部は、前記トナー容器に設けられ、内部のトナーを前記トナー流出口へ向けて搬送する。前記容器装着部は、前記トナー容器を支持する。前記付勢機構は、前記トナー搬送部による搬送動作に応じて、前記トナー容器を水平姿勢から前記トナー流出口が斜め下方へ向けられる傾斜姿勢に変化させる付勢力を付与する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナーの残量が少なくなった場合でもトナーの搬送効率の低下を防止し、トナー容器内のトナーを最後まで使い切ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、画像形成装置が備えるトナー補給装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、トナー補給装置に着脱可能なトナー容器を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、トナー容器の先端部の構成を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、トナー容器の先端部と押上機構を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、トナー容器の先端部と押上機構を示す側面図である。
【
図7】
図7は、トナー容器の先端部と押上機構の断面構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は、押上機構によってトナー容器が傾斜された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、以下の説明において、各図に示す上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を用いる場合がある。
【0011】
[画像形成装置]
画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えた装置であり、例えば、カラープリンターである。画像形成装置10は、トナーを含む現像剤を用いて、シート部材である印刷用紙に画像を印刷する。画像形成装置10の具体例は、例えばプリンターや複写機、ファクシミリ、又は、これらの各機能を備えた複合機である。また、画像形成装置10は、カラー画像を形成可能なものであるが、トナー容器41を用いるものであれば、モノクロの画像を形成可能に構成されたものであってもよい。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置10は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置10は、複数の画像形成部1~4と、中間転写ユニット5と、露光装置14と、二次転写装置15と、定着装置16と、トナー補給装置40と、ベルトクリーニング装置6と、タッチパネルや液晶表示部などを有する操作表示部9と、制御部8と、給紙トレイ17と、排紙トレイ18とを備えている。これらの構成要素は、画像形成装置10の外部フレーム(不図示)や内部フレームなどを構成する筐体11に設けられている。
【0013】
画像形成部1~4は、複数の感光体ドラム21それぞれに色の異なるトナー像を所謂電子写真方式によって形成する。前記トナー像は、走行中(移動中)の中間転写ベルト5Aに順次重ね合わさるように転写される。
図1に示す例では、中間転写ベルト5Aの移動方向(矢印19方向)の下流側から順に、黒色用の画像形成部1、イエロー用の画像形成部2、シアン用の画像形成部3、及びマゼンタ用の画像形成部4がその順番で一列に配置されている。
【0014】
画像形成部1~4それぞれは、中間転写ベルト5Aの下側に設けられている。画像形成部1~4それぞれは、トナー像を担持する感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、一次転写装置24等を備えている。感光体ドラム21の表面は帯電装置22によって帯電され、その後、露光装置14によって感光体ドラム21の表面が露光走査される。これにより、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。現像装置23は、前記静電潜像をトナーによって現像する。そして、一次転写装置24によって、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト5Aに転写される。
【0015】
中間転写ユニット5は、中間転写ベルト5Aと、駆動ローラー7Aと、従動ローラー7Bとを有する。中間転写ベルト5Aは、複数色(本実施形態では4色)のトナー像からなるトナー像を担持する。中間転写ベルト5Aは、駆動ローラー7A及び従動ローラー7Bによって回転駆動可能に支持されることにより、その表面が各感光体ドラム21の表面に接しながら移動可能となる。中間転写ベルト5Aが回転駆動されると、その表面が感光体ドラム21と一次転写装置24との間を通過する。その際に、複数の感光体ドラム21に担持された各色のトナー像が重ね合わさるように順に中間転写ベルト5Aに転写される。
【0016】
中間転写ユニット5の上方にトナー補給装置40が設けられている。トナー補給装置40は、黒、シアン、イエロー、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41が装着される容器装着部42を有している。容器装着部42は、トナー容器41を着脱可能に構成されている。トナー補給装置40の構成については後述する。
【0017】
二次転写装置15は、中間転写ベルト5Aに転写されたトナー像を給紙トレイ17から搬送されてきた印刷用紙に転写する。トナー像が転写された印刷用紙は、図示しない搬送部によって定着装置16に搬送される。定着装置16は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとを有する。定着装置16は、トナー像が転写された印刷シートに対して熱と圧力を加えながら搬送する。これにより、トナー像が溶融して印刷シートに定着される。トナー像が定着された印刷シートは、更に下流側へ搬送されて、中間転写ユニット5の上方に配置されたトレイ状の排紙トレイ18に排出されて保持される。
【0018】
ベルトクリーニング装置6は、中間転写ベルト5Aの表面に残存した廃トナーを除去して回収し、回収した廃トナーを廃トナー容器79に排出する。
【0019】
制御部8は、画像形成装置10における画像形成動作を統括的に制御する。制御部8は、CPU、ROM、RAMなどを有する。
【0020】
[トナー補給装置]
以下、
図2乃至
図11を参照して、トナー補給装置40について説明する。
【0021】
図2に示すように、トナー補給装置40は、トナー容器41と、トナー容器41が装着される容器装着部42とを有する。なお、
図2は、黒色用のトナー容器41だけが容器装着部42に装着された状態を示す。また、各図では、画像形成装置10の筐体11にトナー補給装置40が取り付けられた取付姿勢を基準にして、上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3が定められている。また、各図では、トナー容器41の挿入方向が符号D21で示されており、取り外し方向が符号D22で示されている。
【0022】
トナー容器41は、現像装置23に補給するためのトナーを収容する。本実施形態では、黒、イエロー、シアン、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41がトナー補給装置40に設けられている。なお、黒色用のトナー容器41は、他の色のトナー容器41に比べて外径が大きく形成されているが、この点を除き、全てのトナー容器41は同じ構成である。
【0023】
図3に示すように、トナー容器41は、前後方向D2に長い形状に形成されている。トナー容器41は、主として、容器本体52、ウォームホイール55、連結部材56を有する。
【0024】
容器本体52は、概ね円筒形状に形成されている。容器本体52の内部にトナーが収容されている。容器本体52は、一方側(後方側)の端部(先端部の一例)に、トナーの流出が可能な流出口51(
図7参照)を有している。流出口51は、本発明のトナー流出口の一例である。流出口51は、トナー補給装置40に対するトナー容器41の挿入方向D21側(後方側)の端部に形成されている。内部に収容されたトナーは、流出口51から外部に流出可能である。なお、容器本体52の他方側(前方側)の端部は閉塞されており、したがって、容器本体52は、円筒状のボトル形状に形成されている。
【0025】
図7に示すように、容器本体52は、前方側の第1筒部52Aと、挿入方向D21側(後方側)の第2筒部52Bとを有する。容器本体52は、樹脂成型品であり、例えばポリエチレンテレフタラート(PET樹脂)などの合成樹脂を材料として、ブロー成形法又はインジェクション成形法によって形成される。そのため、第1筒部52Aと第2筒部52Bは一体に形成される。第1筒部52Aは、流出口51よりも大きい外径の円筒形状の部分であり、ほとんどのトナーは第1筒部52Aに収容される。第2筒部52Bは、容器本体52の後方端部に位置しており、第1筒部52Aと連続して設けられている。第2筒部52Bは、搬送されるトナーが通過する通路であり、概ね流出口51と同じ外径に形成されている。第2筒部52Bも円筒形状に形成されている。
【0026】
第1筒部52A及び第2筒部52Bそれぞれの中心線は、容器本体52の中心線と共通している。そのため、容器本体52は、第1筒部52Aと第2筒部52Bとの境界部分に、段差59を有する。
【0027】
図3に示すように、容器本体52は、容器本体52の内部のトナーを流出口51へ向けて搬送するトナー搬送部としての、螺旋形状の山形の搬送リブ53を有する。つまり、搬送リブ53は、本発明のトナー搬送部の一例である。搬送リブ53は容器本体52の内面から容器本体52の中心へ向けて突出している。この搬送リブ53は、容器本体52内のトナーを流出口51(
図5参照)側へ搬送する役割を担う。
【0028】
図4に示すように、容器本体52の後方端部には、ウォームホイール55(本発明の駆動伝達部の一例)が装着されている。ウォームホイール55は、搬送リブ53によるトナーの搬送動作に必要とする回転駆動力を容器本体52に付与する。ウォームホイール55は、第2筒部52Bの外周面に固定されている。ウォームホイール55は、第2筒部52Bに装着可能な環状の部材であり、その周面に後述のウォームギヤ64と噛合可能なギヤ54が形成されている。ウォームホイール55は、第2筒部52Bに嵌め入れられて、その外周面に固定されている。ウォームホイール55は、後述のモータ65から回転駆動力を受けて、トナー容器41に矢印D11の回転駆動力を伝達する。
【0029】
図5に示すように、トナー補給装置40には、ウォームホイール55のギヤ54に噛合されるウォームギヤ64(本発明の駆動伝達部の一例)と、ウォームギヤ64を駆動させる回転駆動力を出力するモータ65とが設けられている。ウォームギヤ64は、搬送リブ53によるトナーの搬送動作に必要とする回転駆動力を、ウォームホイール55を介して容器本体52に付与する。トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、制御部8から駆動信号がモータ65に入力されると、モータ65が駆動して、ウォームギヤ64に回転駆動力を入力する。これにより、ウォームギヤ64が回転し、更に、ウォームホイール55が回転して、容器本体52が矢印D11の方向に回転する。容器本体52が回転することにより、搬送リブ53がトナーを流出口51へ向けて搬送する。
【0030】
モータ65は、駆動信号が入力していない状態や、電源が遮断された状態においても、出力軸がフリー状態にならないように停止維持を保持可能な保持機構を有する。保持機構としては、例えば、非通電時に前記出力軸を保持する周知の電磁ブレーキや電磁クラッチなどである。なお、モータ65は、前記保持機構が搭載されたものに限られず、前記保持機構が設けられていないものであってもよい。この場合、後述する減速ギヤ90又は押上機構80に、非通電時にこれらの回転動作を直前の停止位置に保持する電磁ブレーキや電磁クラッチなどの保持機構が設けられていればよい。
【0031】
容器本体52において、ウォームホイール55よりも前記挿入方向D21側(後方側)に連結部材56が設けられている。連結部材56は、流出口51を覆うものであり、容器本体52の前記挿入方向D21側の端部に取り付けられている。連結部材56は、樹脂成型品であり、熱可塑性を有する合成樹脂を射出成形などによって形成されたものである。
【0032】
図6に示すように、連結部材56は、容器本体52に取り付けられた状態で、流出口51を含む第2筒部52B(
図5参照)が挿入される円筒形状の収容フレーム58を有する。収容フレーム58の内部に流出口51が挿入されており、これにより、流出口51が収容フレーム58によって覆われる。収容フレーム58は、第2筒部52Bを周方向に回動可能に支持している。このため、収容フレーム58に第2筒部52Bが挿入された状態で、容器本体52が周方向に回動可能である。
【0033】
図7に示すように、連結部材56は、シール部材72を介して容器本体52の第2筒部52Bに取り付けられている。シール部材72は、第2筒部52Bの外周面に装着された環状の部材であり、スポンジ部材やゴム部材などの弾性を有する部材で構成されている。シール部材72は、ウォームホイール55の内側に配置されており、また、収容フレーム58と第2筒部52Bの外周面との隙間を埋めるように設けられている。
【0034】
トナー容器41が容器装着部42(
図2参照)に挿入されると、連結部材56が備える連結部60(
図3参照)と、容器装着部42が備える被連結部(不図示)とが連結し、トナー容器41が容器装着部42に定められた装着位置に装着されて支持される。連結部60が前記被連結部に連結することによって、連結部材56は、トナー容器41の周方向への回転が規制される。本実施形態では、トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、連結部材56は前記周方向に回転できないが、容器本体52は容器装着部42内において前記周方向に回動可能に支持される。
【0035】
トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、ウォームホイール55に回転駆動力が伝達されると、容器本体52は、その回転駆動力によって矢印D11(
図3参照)に示す回転方向へ回転する。つまり、トナー容器41は、現像装置23にトナーを供給可能な状態で、その長手方向を回転中心として回転する。このようにトナー容器41の容器本体52が回転することによって、搬送リブ53により押されつつトナーが流出口51側(後方側)へ搬送される。
【0036】
図7に示すように、連結部材56は、トナー排出口74を有する。トナー排出口74は、容器本体52に収容されたトナーを外側へ排出するためのものであり、連結部材56の外周壁に設けられている。トナー排出口74は、
図5において、連結部材56の下側に設けられている。トナー排出口74は、連結部材56の外周壁を貫通する矩形状の貫通孔である。連結部材56の内部には、流出口51とトナー排出口74との間にトナー流通路75が形成されている。トナー容器41がトナー排出口74を下側にして容器装着部42(
図2参照)に装着されると、容器本体52の流出口51から流出したトナーは、トナー流通路75を通って下方へ移動して、トナー排出口74に達する。そして、トナー排出口74が開放されている場合はトナー排出口74から下方外側へトナーが排出される。これにより、トナーが現像装置23に補給される。一方、トナー排出口74がシャッター部材76によって閉塞されている場合、トナーは排出されず、トナー流通路75がトナーで満たされた状態となる。
【0037】
図2に示すように、容器装着部42は、4つの収容部44を有する収容ケース43と、収容ケース43の後背面に取り付けられた連結支持部45とを備える。なお、
図2では、連結支持部45は二点鎖線で示されている。
【0038】
収容ケース43の各収容部44には、予め定められた色のトナー容器41が収容される。収容部44は、収容部44における装着位置へ向けてトナー容器41を挿入可能に支持している。本実施形態では、容器装着部42は、各収容部44において、トナー容器41を横置きにされた状態、つまり、水平状態で支持する。
【0039】
連結支持部45は、収容部44に挿入されたトナー容器41の連結部60と連結してトナー容器41の後方端部を固定するとともに、収容部44における装着位置にトナー容器41を位置決めするためのものである。連結支持部45は、収容ケース43とは別部材として構成されており、収容ケース43や筐体11内の内部フレームに取り付けられている。連結支持部45に、4つの収容部44に対応する4つの前記被連結部が設けられている。なお、容器装着部42は、連結支持部45と収容ケース43とが一体に構成されたものであってもよい。
【0040】
本実施形態では、トナー補給装置40は、装着されているトナー容器41を傾斜させる押上機構80(本発明の付勢機構の一例)を更に備えている。トナー容器41の容器本体52は、上述したように、第1筒部52Aと第2筒部52Bとを有しており、これらの境界部分に段差59(
図7参照)が形成されている。トナーの搬送が進み、残量が少なくなってくると、段差59よりも前側の部分(
図7の破線囲み部分参照)に、搬送リブ53では搬送しきれないトナーが残存する場合がある。このようなトナーが残存すると、トナーを最後まで使い切ることができなくなる。これに対して、本実施形態では、トナー補給装置40に押上機構80が設けられているため、トナーの残量が少なくなった場合でも搬送リブ53によるトナーの搬送が可能となり、トナーの搬送効率の低下が防止される。また、使用しきれないトナーがトナー容器41内に残存する量が減少する。
【0041】
以下、押上機構80の構成について説明する。
【0042】
押上機構80は、容器装着部42の4つの収容部44それぞれに設けられている。押上機構80は、搬送リブ53による搬送動作に応じて、トナー容器41の容器本体52を水平姿勢から後述の傾斜姿勢に変化させる付勢力をトナー容器41に付与するものである。本実施形態では、
図6及び
図7に示すように、押上機構80は、収容部44の底面44Aに設置されている。
【0043】
押上機構80は、容器本体52の回転に伴う搬送リブ53によって搬送動作が行われる場合に、ウォームギヤ64から前記回転駆動力を分岐させて、その回転駆動力を受けることにより、トナー容器41の容器本体52を水平姿勢から傾斜姿勢に変化させる。
【0044】
ここで、前記水平姿勢は、
図7に示される姿勢であり、トナー容器41が水平にされた姿勢である。より詳細には、前記水平姿勢は、容器本体52の中心線と水平線とが概ね一致した状態である。また、前記傾斜姿勢は、
図10に示される姿勢であり、トナー容器41の連結部材56が容器装着部42によって固定された状態のままで、容器本体52だけが連結部材56と第2筒部52Bとの取付位置を支点として上方へ変位した姿勢である。より詳細には、容器本体52が前記水平姿勢から角度θ(
図10参照)だけ傾斜した姿勢である。前記傾斜姿勢において、流出口51が後方斜め下方へ向けられる。ここで、前記取付位置は、連結部材56が第2筒部52Bに取り付けられている位置であり、詳細には、シール部材72によるシール位置(シール部材72が設けられている位置)である。また、前記角度θは、シール部材72によるシール効果が損なわない範囲内で定められており、また、収容部44とトナー容器41とが干渉しない範囲で定められている。
【0045】
図7に示すように、押上機構80は、容器本体52の下側に設けられており、回転軸83と、回転軸83に回転可能に支持される第1平歯車81と、回転軸83に回転可能に支持される第2平歯車82と、を有する。回転軸83は、底面44Aに立設されており、上下方向D2に延出する丸棒状の部材である。第1平歯車81及び第2平歯車82は、それぞれ、同径同大に形成されており、その外周面にギヤ81A,82Aが形成されている。第1平歯車81及び第2平歯車82それぞれに、ウォームギヤ64からの前記回転駆動力が伝達される。
【0046】
本実施形態では、ウォームギヤ64からの前記回転駆動力が直接に第1平歯車81及び第2平歯車82に伝達されるのではなく、容器本体52の上方への押上量に応じた回転速度に減速して伝達される。そのため、第1平歯車81及び第2平歯車82と、ウォームギヤ64との間に、所定の減速比となるように設計された減速ギヤ90が設けられている。減速ギヤ90は、ウォームギヤ64と、第1平歯車81及び第2平歯車82それぞれのギヤとに噛合している。なお、減速ギヤ90は、底面44Aに立設された回転軸91に回転可能に支持されている。
【0047】
回転軸83において、第1平歯車81は下側に配置されており、第2平歯車82が第1平歯車81の上側に配置されている。第1平歯車81は、その下面の中心部から下方へ突出する筒状の支持部87が設けられており、支持部87の内孔に回転軸83が挿入された状態で、支持部87が底面44Aに支持されている。
【0048】
図9に示すように、第1平歯車81の上面には、回転軸83を中心点とする螺旋形状に形成された断面三角形状の螺旋リブ85(本発明の係合部の一例)が形成されている。また、第2平歯車82の下面には、螺旋リブ85が挿入可能に形成された螺旋形状の螺旋溝86(本発明の被係合部の一例、
図7参照)が形成されている。螺旋溝86は、断面が逆三角形状に形成されている。このため、第1平歯車81の上面と第2平歯車82の下面とが合わせられると、螺旋リブ85が螺旋溝86に挿入され、互いの面が隙間なく接合する。
【0049】
本実施形態では、第1平歯車81及び第2平歯車82それぞれのギヤに減速ギヤ90から回転駆動力が入力されると、第2平歯車82が第1平歯車81に対して相対的に上方へ徐々に上昇する。第2平歯車82の上面の中心部には、上方へ突出する凸状の押圧部88が設けられている。そのため、第2平歯車82が上方へ上昇すると、押圧部88が容器本体52の外周面を上方へ押圧する。押圧部88が容器本体52を上方へ徐々に押圧することにより、容器本体52が連結部材56と第2筒部52Bとの前記取付位置を支点として、徐々に上昇(傾斜)する。
【0050】
押圧部88による押圧位置は、ウォームホイール55よりも前方側の所定位置に定められている。この押圧位置は、容器本体52の前記傾斜姿勢における角度θに応じた位置に定められる。
【0051】
第2平歯車82が上昇する動作を実現させるために、
図8に示すように、上側の第2平歯車82のギヤ82Aは、少なくとも一つ分の歯が欠けた歯欠け部89を有する。一方、第1平歯車81のギヤ81Aには歯が欠けている部分は設けられていない。
なお、
図8では、ギヤ81A,82Aにおいて、一部の歯が示されており、他の歯の図示は省略されている。
【0052】
本実施形態では、第2平歯車82だけに刃欠け部89が設けられているため、減速ギヤ90から回転駆動力が押上機構80に伝達されると、第1平歯車81及び第2平歯車82が一周するたびに、第2平歯車82は第1平歯車81に対して一つの歯に相当する回転量だけ遅れが生じる。この回転遅れにより、螺旋溝86の内面に螺旋リブ85の外面が押し付けられて、上方への力が生じ、この力によって、第2平歯車82はわずかに上昇することになる。
【0053】
ウォームギヤ64の回転駆動力によって容器本体52が回転して、搬送リブ53によってトナーが搬送されると、その搬送動作に応じて第2平歯車82も上昇する。つまり、第1平歯車81及び第2平歯車82が回転して、第2平歯車82が1周分回転するたびに第2平歯車82が徐々に上昇する。このため、容器本体52内のトナーが搬送動作によって徐々に少なくなると、それに伴い、容器本体52が前記水平姿勢から前記傾斜姿勢へ向けて変位する。そして、トナーの搬送動作がさらに継続されると、容器本体52は前記傾斜姿勢となる。このように、トナーの搬送動作に応じて容器本体52が姿勢変化するため、容器本体52のトナーの残量が減少しても容器本体52が傾斜するため、容器本体52が常に前記水平姿勢である場合に比べて、トナーの搬送力が低下せず、トナーの搬送効率の低下を防止できる。また、容器本体52の段差59によって使い切れなかったトナーが搬送されやすくなるため、容器本体52内の容器が実質的に空になったと評価されたとき、つまり、トナー容器41の交換タイミングが到来したときに、内部にトナーがほとんど残存しなくなる。すなわち、容器本体52内のトナーをできる限り最後まで使い切ることが可能となる。
【0054】
なお、上述の実施形態では、第1平歯車81及び第2平歯車82を有する押上機構80を例示したが、押上機構80は、この構成に限られない。例えば、押上機構80は、減速ギヤ90の回転に伴い入力される回転駆動力を受けることによって容器本体52を徐々に上昇させるカム機構を含むものであってもよい。前記カム機構としては、周知の板カム(周縁カム)、正面カム(溝カム)、回転板カム、円筒カム、球面カム、端面カムなどを適用することができる。
【0055】
また、トナー容器41のトナーが空になったことによりトナー容器41が交換のために引き抜かれた場合に、容器本体52を前記傾斜姿勢から前記水平姿勢に戻す必要がある。そのため、制御部8は、センサーなどの出力信号に基づいてトナー容器41が引き抜かれたと判定した場合に、モータ65をトナーの搬送動作とは逆の方向に所定量回転させる駆動信号をモータ65に出力して、押上機構80の第2平歯車82を第1平歯車81に接触する初期位置に戻させることが好ましい。
【0056】
また、本実施形態では、第1平歯車81に螺旋リブ85を設け、第2平歯車82に螺旋溝86を設けた構成を例示したが、例えば、第1平歯車81に螺旋溝86が設けられ、第2平歯車82に螺旋リブ85が設けれた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 :画像形成装置
11 :筐体
40 :トナー補給装置
41 :トナー容器
42 :容器装着部
44 :収容部
44A :底面
51 :流出口
52 :容器本体
52A :第1筒部
52B :第2筒部
53 :搬送リブ
54 :ギヤ
55 :ウォームホイール
56 :連結部材
64 :ウォームギヤ
80 :押上機構
81 :第1平歯車
81A :ギヤ
82 :第2平歯車
82A :ギヤ
83 :回転軸
85 :螺旋リブ
86 :螺旋溝
87 :支持部
88 :押圧部
89 :歯欠け部
90 :減速ギヤ