(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240709BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240709BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20240709BHJP
H01R 12/77 20110101ALN20240709BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/249
H01M50/517
H01R12/77
(21)【出願番号】P 2020102114
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2019189919
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】董 雪清
(72)【発明者】
【氏名】平光 宏臣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠人
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/113455(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/024477(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03432409(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの蓄電モジュールを構成する複数の蓄電素子の積層体に取り付けられる配線モジュールであ
り且つ配線モジュールの外部に設けられた2つの相手側コネクタに接続される配線モジュールであって、
第1のフレキシブルプリント基板と、
前記第1のフレキシブルプリント基板とは別体に設けられた第2のフレキシブルプリント基板と、を備え、
前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板は、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の長尺方向である第1の方向に連なるように配され、かつ、前記第1の方向に延びる帯状とされ、
前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板には、それぞれコネクタが装着されており、
前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが
前記2つの相手側コネクタ
の一方と嵌合する嵌合方向と、
前記第2のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが
前記2つの相手側コネクタ
の他方と嵌合する嵌合方向とが、異なっている、配線モジュール。
【請求項2】
前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板のうち前記第2のフレキシブルプリント基板と反対側の端部に装着されている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記第2のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第2のフレキシブルプリント基板のうち前記第1のフレキシブルプリント基板と反対側の端部に装着されている、請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記コネクタは、前記第1の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板又は前記第2のフレキシブルプリント基板の内側に配されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記コネクタは、前記第1の方向に直交する第2の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板又は前記第2のフレキシブルプリント基板の内側に配されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板のうち前記第2のフレキシブルプリント基板と反対側の端部に装着されており、
前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第1の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板の内側に配されており、
前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第1の方向に直交する第2の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板の内側に配されており、
前記第1のフレキシブルプリント基板は、前記コネクタの両側を分断する一対のスリット部を有する、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項7】
前記コネクタは、前記第1の方向に開口している、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項8】
前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、帯状に延びる第1延び部と、前記第1延び部に沿い、前記第1延び部に対して間隔を空けて帯状に延びる第2延び部とを備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項9】
前記第1のフレキシブルプリント基板が配される第1の領域と、前記第2のフレキシブルプリント基板が配される第2の領域とを有する絶縁性のプロテクタを備え、
前記第1のフレキシブルプリント基板と前記第2のフレキシブルプリント基板とは、それぞれ前記プロテクタに対して固定される被固定部を備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項10】
前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板は前記コネクタが装着される装着面を有し、
前記プロテクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の少なくとも一方における前記装着面に対応する領域に、前記コネクタと反対側に窪んだ装着凹部を有する、請求項9に記載の配線モジュール。
【請求項11】
前記プロテクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の双方における前記装着面に対応する領域に、前記コネクタと反対側に窪んだ装着凹部を有する、請求項10に記載の配線モジュール。
【請求項12】
車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールであって、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、配線モジュールに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される配線モジュールが知られている。特開2013-45508号公報(特許文献1)の配線モジュールは、複数の導電路が形成されたフレキシブルプリント基板を備えている。フレキシブルプリント基板の端部にはコネクタ部が設けられ、車両の状態に関する情報を外部に送出可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構成において、車両用ワイヤーハーネスの高圧化等に伴い、電線の本数が多くなると、コネクタ部が多極化し、大型化してしまう。このため、配線モジュールの低背化が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載された配線モジュールは、第1のフレキシブルプリント基板と、前記第1のフレキシブルプリント基板とは別体に設けられた第2のフレキシブルプリント基板と、を備え、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板は、第1の方向に連なるように配され、かつ、前記第1の方向に延びる帯状とされ、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板には、それぞれコネクタが装着されており、前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが相手側コネクタと嵌合する嵌合方向と、前記第2のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが相手側コネクタと嵌合する嵌合方向とが、異なっている。
【発明の効果】
【0006】
本明細書に記載された技術によれば、低背化が可能な配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1の蓄電モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、配線モジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、配線モジュールを示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1FPC及び第2FPCをプロテクタに組み付ける工程を説明する斜視図である。
【
図9】
図9は、第1FPC及び第2FPCをプロテクタに組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態2の蓄電モジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の配線モジュールは、第1のフレキシブルプリント基板と、前記第1のフレキシブルプリント基板とは別体に設けられた第2のフレキシブルプリント基板と、を備え、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板は、第1の方向に連なるように配され、かつ、前記第1の方向に延びる帯状とされ、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板には、それぞれコネクタが装着されており、前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが相手側コネクタと嵌合する嵌合方向と、前記第2のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタが相手側コネクタと嵌合する嵌合方向とが、異なっている、配線モジュールである。
上記構成によれば、第1のフレキシブルプリント基板及び第2のフレキシブルプリント基板にそれぞれコネクタが装着され、配線モジュール全体では2つのコネクタが設けられるため、1つのフレキシブルプリント基板に1つのコネクタが設けられる構成と比較して、コネクタの寸法(例えば、高さや幅)を小さくすることができる。これにより、配線モジュールの低背化が可能になる。
【0009】
(2)前記第1のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板のうち前記第2のフレキシブルプリント基板と反対側の端部に装着されている。
このようにすれば、第1のフレキシブルプリント基板に装着されたコネクタと相手側コネクタとの嵌合が容易になる。
【0010】
(3)前記第2のフレキシブルプリント基板に装着された前記コネクタは、前記第2のフレキシブルプリント基板のうち前記第1のフレキシブルプリント基板と反対側の端部に装着されている。
このようにすれば、第2のフレキシブルプリント基板に装着されたコネクタと相手側コネクタとの嵌合が容易になる。
【0011】
(4)前記コネクタは、前記第1の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板又は前記第2のフレキシブルプリント基板の内側に配されている。
このようにすれば、第1の方向について配線モジュールのサイズを小さくすることができる。
【0012】
(5)前記コネクタは、前記第1の方向に直交する第2の方向について、前記第1のフレキシブルプリント基板又は前記第2のフレキシブルプリント基板の内側に配されている。
このようにすれば、第2の方向について配線モジュールのサイズを小さくすることができる。
【0013】
(6)前記コネクタは、前記第1の方向に開口している。
このようにすれば、コネクタと相手側コネクタとを第1の方向に嵌合することができる。
【0014】
(7)前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、帯状に延びる第1延び部と、前記第1延び部に沿い、前記第1延び部に対して間隔を空けて帯状に延びる第2延び部とを備える。
このようにすれば、第1延び部と第2延び部との間の領域にフレキシブルプリント基板を配することができない構成であっても、配線モジュールの低背化が可能になる。
【0015】
(8)前記第1のフレキシブルプリント基板が配される第1の領域と、前記第2のフレキシブルプリント基板が配される第2の領域とを有する絶縁性のプロテクタを備え、前記第1のフレキシブルプリント基板と前記第2のフレキシブルプリント基板とは、それぞれ前記プロテクタに対して固定される被固定部を備える。
このようにすれば、第1のフレキシブルプリント基板と第2のフレキシブルプリント基板とをプロテクタに固定し一体化できるため、搬送や取付等が容易になる。
【0016】
(9)前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板は前記コネクタが装着される装着面を有し、前記プロテクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の少なくとも一方における前記装着面に対応する領域に、前記コネクタと反対側に窪んだ装着凹部を有する。
このようにすれば、コネクタが装着された部分について、配線モジュールの高さ寸法を小さくすることが可能になる。
【0017】
(10)前記プロテクタは、前記第1のフレキシブルプリント基板及び前記第2のフレキシブルプリント基板の双方における前記装着面に対応する領域に、前記コネクタと反対側に窪んだ装着凹部を有する。
このようにすれば、コネクタが装着された部分について、配線モジュールの高さ寸法をさらに小さくすることが可能になる。
【0018】
(11)上記の配線モジュールは、車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールである。
このようにすれば、配線モジュールを低背化させ、車両内で蓄電パック等の占めるスペースを減少させることができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1~
図10を参照しつつ説明する。
本実施形態の蓄電モジュール10は、例えば、
図10に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車、またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0021】
(全体構成)
図10に示されるように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。蓄電モジュール10(及び配線モジュール20)は、任意の向きで搭載可能であるが、以下では、
図1のX方向を前方、Y方向を左方、Z方向を上方として説明する。なお、前後方向は第1の方向の一例であり、左右方向は第2の方向の一例である。
【0022】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、
図1に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える。蓄電素子11は、内部に図示しない蓄電要素が収容された扁平な直方体状であって、上面に正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する。
【0023】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、
図2,
図3に示すように、第1のフレキシブルプリント基板(以下、「第1FPC21」とする)と、第2のフレキシブルプリント基板(以下、「第2FPC22」とする)と、複数のバスバー35と、第1FPC21、第2FPC22及び複数のバスバー35を保持するプロテクタ40と、を備える。
【0024】
(第1FPC21及び第2FPC22)
第1FPC21及び第2FPC22は、共に、撓み変形可能なFPC本体23と、FPC本体23の一方の端末部に装着されるコネクタ30とを備える。FPC本体23は、絶縁性の合成樹脂からなるベースフィルムと、ベースフィルムに配線される導電路と、ベースフィルムを覆う絶縁性のオーバーレイフィルムや塗膜などからなる絶縁層と、を有する。第1FPC21及び第2FPC22は、例えば印刷、エッチング、メッキ等を用いて形成することができる。
【0025】
ベースフィルムや絶縁層の材料としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、液晶ポリマー(LCP)等、必要に応じて任意の合成樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)等、必要に応じて任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。導電路は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属箔からなり、電子部品が実装される。電子部品は、FET(Field Effect Transistor)、抵抗、コンデンサ、コイル、サーミスタ等からなる。
【0026】
第1FPC21及び第2FPC22の各FPC本体23は、コネクタ30が装着される領域を有する基部24と、基部24に対して前後方向に帯状に並んで延びる一対の延び部26A,26Bと、を備える。基部24は、コネクタ30の両側を分断する一対のスリット部25を有する。一対のスリット部25の内側の装着面24A(
図5)には、コネクタ30が装着される。一対の延び部26A,26Bは、
図2に示すように、前後方向(延び方向)の長さの異なる第1延び部26Aと第2延び部26Bとを備え、共に基部24に対して幅寸法が小さくされ、互いに間隔を空けて平行に延びている。第1FPC21の一対の延び部26A,26Bと第2FPC22の一対の延び部26A,26Bとの間には、プロテクタ40が露出する隙間が設けられている。
【0027】
第1FPC21及び第2FPC22の各FPC本体23には、
図8に示すように、複数の第1貫通孔27及び複数の第2貫通孔28が貫通形成されている。複数の第1貫通孔27は、前後方向に長い長円形状とされ、各FPC本体23の一対の延び部26A,26Bを通るように、前後方向に所定の間隔を空けて並んで設けられている。また、第1貫通孔27は、基部24の中央部側に1つ設けられている。第1貫通孔27の長径方向(前後方向)の孔径は、各FPC本体23の延び方向(前後方向)の長さに応じて生じるプロテクタ40の後述する凸部43との間の公差に応じて適宜設定される。
【0028】
複数の第2貫通孔28は、
図5,
図7に示すように、共に第1貫通孔27の前後方向の径よりも小さい径の真円形状であって、コネクタ30の近傍に設けられている。具体的には、一対の第2貫通孔28がコネクタ30の両側のスリット部25の内側であって、コネクタ30の背面側に並んで設けられている。
図4,
図5に示すように、FPC本体23における第1貫通孔27及び第2貫通孔28の近傍(孔縁部)は、プロテクタ40に対して固定される被固定部29とされる。FPC本体23の前後の端部の下には、
図5に示すように、補強板33が重ねられている。補強板33には、第2貫通孔28に連なる通し孔33Aが貫通形成されており、接着剤等によりFPC本体23に固定される。
【0029】
(コネクタ30)
コネクタ30は、合成樹脂製のハウジング31と、ハウジング31に保持されるコネクタ端子32とを備える。コネクタ端子32は、FPC本体23の導電路に連なるランドに半田付けされる。コネクタ30は、電線の端末部に接続された相手側コネクタに接続される。相手側コネクタは、電線を介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されている。バスバー35の電圧は、FPC本体23の導電路を介してECUに出力される。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0030】
図5に示すように、第1FPC21に設けられたコネクタ30は、後方に開口し、第1FPC21の後端部に装着されているため、相手側コネクタは後方から前方に向かってコネクタ30に挿入され、嵌合される。一方、第2FPC22に設けられたコネクタ30は、前方に開口し、第2FPC22の前端部に装着されているため、相手側コネクタは前方から後方に向かってコネクタ30に挿入され、嵌合される。すなわち、配線モジュール20(及び蓄電モジュール10)の前端部及び後端部に配されたコネクタ30に対して、前方及び後方から相手側コネクタを嵌合させることができる。また、各コネクタ30は、
図3に示すように、第1FPC21又は第2FPC22の外縁より内側に配されているため、配線モジュール20の前後方向及び左右方向の寸法を小さくすることができる。
【0031】
コネクタ30は、第1FPC21及び第2FPC22にそれぞれ装着されているため、配線モジュール20全体では、2つのコネクタ30が設けられている。このため、1つのFPCに1つのコネクタが装着された配線モジュールの構成に比べると、コネクタ1つ当たりのコネクタ端子の数(極数)を減らすことができ、コネクタの寸法を小さくすることができる。例えば、本実施形態の
図5では、コネクタ30は、ハウジング31の内部において、コネクタ端子32の先端部が同一の高さで並べられた、いわゆる一段型となっており、配線モジュール20の高さ方向の低背化につながっている。一方で、仮にコネクタが1つのみであった場合、コネクタ端子が一極集中することにより、コネクタは二段型になり、コネクタ(及び配線モジュール)の高さ寸法が倍増することが考えられる。
【0032】
(バスバー35)
バスバー35は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板材からなる長方形状であって、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する。バスバー35の周縁部には、第1FPC21及び第2FPC22の導電路に連なるランドに接続可能な接続片36が設けられている。接続片36とランドとは半田付け等により接続される。
【0033】
(プロテクタ40)
プロテクタ40は、絶縁性の合成樹脂製であって、
図8に示すように、板状のプロテクタ本体41と、プロテクタ本体41の両側に連なり、バスバー35が配設されるバスバー配設部46と、を備える。プロテクタ本体41の前後方向の両端部には、上面側が窪んだ装着凹部45が形成されている。装着凹部45にコネクタ30が装着されることで配線モジュール20の端部が低背化される。
【0034】
プロテクタ本体41は、第1FPC21が載置される第1の領域42Aと、第2FPC22が載置される第2の領域42Bと、第1の領域42Aと第2の領域42Bとの間に囲まれる通気領域42Cと、を有する。通気領域42Cは、前後方向に帯状に延びる領域であって、プロテクタ本体41を貫通する複数の通気穴44が前後方向に並んで設けられている。通気穴44は、例えば、蓄電素子11から発生するガスを外部に排出可能とされる。
【0035】
第1の領域42A及び第2の領域42Bには、第1FPC21及び第2FPC22を位置決めするための凸部43が板面から起立している。凸部43は、各第1貫通孔27及び各第2貫通孔28内に挿通可能な円柱状とされ、複数の第1貫通孔27及び複数の第2貫通孔28に対応する位置に設けられる。具体的には、プロテクタ本体41の周縁部側等において前後方向に間隔を空けて並んで設けられているとともに、装着凹部45内、及び、装着凹部45の近傍にも形成されている。複数の凸部43は、例えば熱溶着で変形することにより、プロテクタ40に対して第1FPC21及び第2FPC22を固定する。凸部43は、溶着前には、第1FPC21及び第2FPC22がプロテクタ40の所定の位置に載置された状態で貫通孔27,28を貫通して貫通孔27,28の上方に突出する高さ(軸方向の寸法)とされる。一方、凸部43が熱溶着により溶けて固化すると、
図4,
図5に示すように、FPC本体23の上には、第1貫通孔27及び第2貫通孔28よりも径が大きいリベット状の係止部43Aが形成される。
【0036】
各バスバー配設部46は、前後方向に並べられる複数のバスバー35を保持するものであり、
図8に示すように、蓄電素子11の電極端子12A,12Bを通す複数の通し孔47と、バスバー35の離脱を規制する規制爪48と、並び方向に隣り合うバスバー35を絶縁する絶縁壁49とが設けられている。
【0037】
配線モジュール20の組付けについて説明する。
図8に示すように、プロテクタ40の前後方向の端部の4つ(複数)の凸部43を、第1FPC21及び第2FPC22の一方の対応する2つ(複数)の第1貫通孔27及び2つ(複数)の第2貫通孔28に挿入する。ここで、各第2貫通孔28と対応する凸部43との間のクリアランスは小さいため、第1FPC21及び第2FPC22の一方の端部(コネクタ30側の端部)は、第2貫通孔28の位置を基準として位置決めされる。そして、FPC本体23について、コネクタ30に近い側の第1貫通孔27から順番に対応する凸部43を挿入していく。このとき、第1FPC21の長さに応じて凸部43の位置と第1貫通孔27の位置との間に公差が生じるが、プロテクタ40の前後方向の全体の長さと比較すると、第1FPC21及び第2FPC22の一方の長さは、短くなる。これにより、凸部43と第1貫通孔27との間の公差は、全ての第1貫通孔27に対応する凸部43を挿入するのに支障が生じない公差の範囲とされる。すなわち、本実施形態では、第1FPC21及び第2FPC22が前後方向に連なるように配され、かつ前後方向に延びる帯状をなしているため、第1FPC21及び第2FPC22とプロテクタ40との公差が大きくなりやすい第1FPC21及び第2FPC22の延びる方向(前後方向)について、プロテクタ40との公差を吸収することができる。
第1FPC21及び第2FPC22の他方についても同様に、プロテクタ40の端部側の4つ(複数)の凸部43を、第2FPC22の対応する第1貫通孔27及び第2貫通孔28に挿入し、第2貫通孔28及び対応する凸部43により位置決めした後、コネクタ30に近い側の第1貫通孔27から順番に対応する凸部43を第1貫通孔27に挿入していく(
図9)。
【0038】
そして、プロテクタ40上における所定の位置に第1FPC21及び第2FPC22が載置された状態で、第1貫通孔27及び第2貫通孔28を貫通する凸部43を工具等を用いて熱溶着する(
図4,
図5参照)。これにより、凸部43の先端側が溶けて係止部43Aとなり、FPC本体23がプロテクタ40に対して固定された状態となる。次に、複数のバスバー35をバスバー配設部46に並べて配置し、接続片36を各FPC本体23のランドに半田付けする。これにより、配線モジュール20が形成される(
図2)。
次に、配線モジュール20を複数の蓄電素子11の上に配し、各バスバー35を隣り合う電極端子12A,12Bに対して溶接等により接続することにより、蓄電モジュール10が形成される(
図1)。
【0039】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
配線モジュール20は、第1FPC21と、第1FPC21とは別体に設けられた第2FPC22と、を備え、第1FPC21及び第2FPC22は、前後方向に連なるように配され、かつ、前後方向に延びる帯状とされ、第1FPC21及び第2FPC22には、それぞれコネクタ30が装着されており、第1FPC21に装着されたコネクタ30が相手側コネクタと嵌合する嵌合方向と、第2FPC22に装着されたコネクタ30が相手側コネクタと嵌合する嵌合方向とが、異なっている、配線モジュール20である。
本実施形態によれば、第1FPC21及び第2FPC22にそれぞれコネクタ30が装着され、配線モジュール20全体では2つのコネクタ30が設けられるため、1つのFPCに1つのコネクタが設けられる構成と比較して、コネクタ30の寸法(例えば、高さや幅)を小さくすることができる。これにより、配線モジュール20の低背化が可能になる。
【0040】
また、第1FPC21に装着されたコネクタ30は、第1FPC21のうち第2FPC22と反対側の端部に装着されている。
このようにすれば、第1FPC21に装着されたコネクタ30と相手側コネクタとの嵌合が容易になる。
【0041】
また、第2FPC22に装着されたコネクタ30は、第2FPC22のうち第1FPC21と反対側の端部に装着されている。
このようにすれば、第2FPC22に装着されたコネクタ30と相手側コネクタとの嵌合が容易になる。
【0042】
また、コネクタ30は、前後方向について、第1FPC21又は第2FPC22の内側に配されている。
このようにすれば、前後方向について配線モジュール20のサイズを小さくすることができる。
【0043】
また、コネクタ30は、左右方向について、第1FPC21又は第2FPC22の内側に配されている。
このようにすれば、左右方向について配線モジュール20のサイズを小さくすることができる。
【0044】
また、コネクタ30は、前後方向に開口している。
このようにすれば、コネクタ30と相手側コネクタとを前後方向に嵌合することができる。
【0045】
また、第1FPC21及び第2FPC22の少なくとも一方は、帯状に延びる第1延び部26Aと、第1延び部26Aに沿い、第1延び部26Aに対して間隔を空けて帯状に延びる第2延び部26Bとを備える。
このようにすれば、第1延び部26Aと第2延び部26Bとの間の領域にFPCを配することができない構成であっても、配線モジュール20の低背化が可能になる。
【0046】
また、第1FPC21が配される第1の領域42Aと、第2FPC22が配される第2の領域42Bとを有する絶縁性のプロテクタ40を備え、第1FPC21と第2FPC22とは、それぞれプロテクタ40に対して固定される被固定部29を備える。
このようにすれば、第1FPC21と第2FPC22とをプロテクタ40に固定し一体化できるため、搬送や取付等が容易になる。
【0047】
また、第1FPC21及び第2FPC22はコネクタ30が装着される装着面24Aを有し、プロテクタ40は、第1FPC21及び第2FPC22の少なくとも一方における装着面24Aに対応する領域に、コネクタ30と反対側に窪んだ装着凹部45を有する。
このようにすれば、コネクタ30が装着された部分について、配線モジュール20の高さ寸法を小さくすることが可能になる。
【0048】
また、プロテクタ40は、第1FPC21及び第2FPC22の双方における装着面24Aに対応する領域に、コネクタ30と反対側に窪んだ装着凹部45を有する。
このようにすれば、コネクタ30が装着された部分について、配線モジュール20の高さ寸法をさらに小さくすることが可能になる。
【0049】
また、上記の配線モジュール20は、車両1に搭載されて用いられる車両用の配線モジュール20である。
このようにすれば、配線モジュール20を低背化させ、車両1内で蓄電パック2等の占めるスペースを減少させることができる。
【0050】
<実施形態2>
実施形態2について、
図11を参照しつつ説明する。以下の説明においては、実施形態1と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。
本実施形態の蓄電モジュール110は、複数の蓄電素子11に配線モジュール120が装着されて構成されている。蓄電モジュール110(及び配線モジュール120)は、任意の向きで搭載可能であるが、以下では、
図11のX方向を前方、Y方向を左方として説明する。なお、前後方向は第1の方向の一例であり、左右方向は第2の方向の一例である。
【0051】
(蓄電モジュール110)
蓄電モジュール110は、
図11に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール120とを備える。
【0052】
(配線モジュール120)
配線モジュール120は、
図11に示すように、第1FPC121と、第2FPC122と、複数のバスバー35と、を備えている。配線モジュール120は、実施形態1の配線モジュール20とは異なり、プロテクタを備えていないが、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0053】
(第1FPC121及び第2FPC122)
第1FPC121及び第2FPC122は、共に、撓み変形可能なFPC本体123と、FPC本体123の一方の端末部に装着されるコネクタ30とを備える。
【0054】
第1FPC121及び第2FPC122の各FPC本体123は、コネクタ30が装着される領域を有する基部124と、基部124に対して前後方向に帯状に並んで延びる一対の延び部126A,126Bと、を備える。コネクタ30は、基部124に対し、一対の延び部126A,126Bと反対側に開口し、前後方向に相手側コネクタと嵌合されるようになっている。
【0055】
配線モジュール120の組付けについて説明する。
複数のバスバー35を各FPC本体123のランドに半田付けする。これにより、配線モジュール120が形成される。
次に、コネクタ30が蓄電モジュール110の前端部及び後端部に配されるように、配線モジュール120が複数の蓄電素子11の上に載置される。各バスバー35を隣り合う電極端子に対して溶接等により接続することにより、蓄電モジュール110が形成される。
【0056】
なお、上記以外の配線モジュール120の組付け方法として、各バスバー35を蓄電素子11に接続した後で、第1FPC121及び第2FPC122を複数の蓄電素子11の上に配し、複数のバスバー35を各FPC本体123に接続する方法も採用することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)コネクタ30は、前後方向及び左右方向について、第1FPC21,121又は第2FPC22,122の内側に配される構成としたが、コネクタは前後方向及び左右方向について第1FPC及び第2FPCの外側に突出している構成としてもよい。
(2)配線モジュール20,120は、バスバー35を有する構成としたが、バスバーを備えない配線モジュールとしてもよい。
【0058】
(3)第1貫通孔27及び第2貫通孔28の形状は、上記実施形態の形状に限られない。例えば、第1貫通孔は、公差を吸収可能な大きさ(径)の真円形状としてもよい。
(4)第1FPC21及び第2FPC22の第1貫通孔27及び第2貫通孔28に凸部43が挿通される構成としたが、これに限られない。例えば、第1FPCや第2FPCに凸部を設け、プロテクタの凹部に挿通される構成としてもよい。また、例えば、第1FPCや第2FPCの端部を固定手段(テープ巻き等)によりプロテクタに固定するようにしてもよい。
【0059】
(5)配線モジュール20,120は、第1FPC21,121及び第2FPC22,122以外のFPC(第3FPC等)を備える構成としてもよい。
(6)第1FPC21,121及び第2FPC22,122は、第1延び部26A,126A及び第2延び部26B,126Bを備える構成としたが、これに限られない。例えば、第1FPC及び第2FPCについて、全体が基部の幅寸法で延びる形状としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10,110: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極端子
20,120: 配線モジュール
21,121: 第1FPC(第1のフレキシブルプリント基板)
22,122: 第2FPC(第2のフレキシブルプリント基板)
23,123: FPC本体
24,124: 基部
24A: 装着面
25: スリット部
26A,126A: 第1延び部
26B,126B: 第2延び部
27: 第1貫通孔
28: 第2貫通孔
29: 被固定部
30: コネクタ
31: ハウジング
32: コネクタ端子
33: 補強板
33A: 通し孔
35: バスバー
36: 接続片
40: プロテクタ
41: プロテクタ本体
42A: 第1の領域
42B: 第2の領域
42C: 通気領域
43: 凸部
43A: 係止部
44: 通気穴
45: 装着凹部
46: バスバー配設部
47: 通し孔
48: 規制爪
49: 絶縁壁