IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ファイル 図1
  • 特許-ファイル 図2
  • 特許-ファイル 図3
  • 特許-ファイル 図4
  • 特許-ファイル 図5
  • 特許-ファイル 図6
  • 特許-ファイル 図7
  • 特許-ファイル 図8
  • 特許-ファイル 図9
  • 特許-ファイル 図10
  • 特許-ファイル 図11
  • 特許-ファイル 図12
  • 特許-ファイル 図13
  • 特許-ファイル 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B42F7/00 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020114931
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021035762
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019150226
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 正輝
(72)【発明者】
【氏名】神 教雄
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-148105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0320074(US,A1)
【文献】実開昭61-028566(JP,U)
【文献】特開2019-043038(JP,A)
【文献】特開2013-075493(JP,A)
【文献】実開昭60-060274(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0114704(US,A1)
【文献】登録実用新案第3195817(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
B42D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢と前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢との間で開閉動作可能に構成されたファイルであって、
前記表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に、一端側が閉塞されているとともに他端側が開放された収容部が設けられており、
前記表表紙及び裏表紙における他端側の端部に、前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動し、前記閉じ姿勢において前記収容部に収容された書類の脱落を防止し得る脱落防止部が設けられたものであり、
前記脱落防止部が、前記見開き姿勢において展開した姿勢をとり得るものであり、且つ、前記閉じ姿勢において二つ折り状態で前記表表紙及び裏表紙の内側に折りたたまれた姿勢をとり得るものであるファイル。
【請求項2】
前記脱落防止部が、前記閉じ姿勢において、前記表表紙及び裏表紙における前記一方側の端縁側に折りたたまれる請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、前記表表紙及び裏表紙と重ならない位置に突出したものである請求項1又は2記載のファイル。
【請求項4】
前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしている請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしているものであり、
前記表表紙及び裏表紙における前記脱落防止部に隣接する部分が、前記脱落防止部側に突出した形態をなしている請求項1、2、3又は4記載のファイル。
【請求項6】
前記表表紙及び裏表紙が、同一のシート材により一体に形成されてなる表表紙本体及び裏表紙本体を備えたものであり、
前記脱落防止部が、前記表表紙本体及び裏表紙本体と同一のシート材により一体に形成されている請求項1、2、3、4又は5記載のファイル。
【請求項7】
前記脱落防止部は、前記折りたたまれた姿勢において、前記表表紙と前記裏表紙との間に設けられた折り線に対して略平行又は当該折り線に対して離れる方向に延びてなるものである請求項1、2、3、4、5又は6記載のファイル。
【請求項8】
前記表表紙及び裏表紙と前記脱落防止部との間に、前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動して前記脱落防止部の姿勢を変更し得る姿勢変更部が設けられたものであって、
前記表表紙及び前記裏表紙との間に上下方向に延びてなる折り線が設けられたものであり、
前記姿勢変更部は、前記収容部に収納されたA4サイズの前記書類における前記折り線に隣接するとともに平行な辺よりも前記折り線に直交する方向において前記書類の中央部側に位置付けられている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のファイル。
【請求項9】
前記収容部が、前記他端側、及び、前記表表紙と前記裏表紙との境界部側の二方向が開放されてなるポケットである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のファイル。
【請求項10】
前記収容部が、前記表表紙の内面に設けられた一方のポケット、及び、前記裏表紙の内面に設けられた他方のポケットであり、これら一方及び他方のポケットが前記表表紙及び裏表紙にかけ渡すように設けられている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のファイル。
【請求項11】
前記一方のポケット及び前記他方のポケットの間を繋ぐ連結部が設けられている請求項10記載のファイル。
【請求項12】
前記連結部が、左右方向中央部に設けられた山折り線と、左右の側端部に設けられた谷折り線とを備えたものであり、これら山折り線及び谷折り線が前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動して屈伸し得るように構成されている請求項11記載のファイル。
【請求項13】
前記収容部に、マチが設けられたものである請求項9、10、11又は12記載のファイル。
【請求項14】
前記脱落防止部が、前記表表紙及び裏表紙から延出した基端延出部分を備えてなるものであり、前記見開き姿勢において、前記基端延出部分における前記表表紙及び裏表紙側の端縁が水平線に対して急こう配をなしており、
前記閉じ姿勢において、前記端縁が略水平な姿勢をなすように設定されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類を収容し得るファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファイルには、表表紙と裏表紙との境界部分の上端部に舌片状のストッパーが設けられたものが存在する。かかるファイルは、ストッパーを各表紙側に向かって折り返すことにより収容された書類の脱落を防止することが可能なものとなっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、かかる構成のファイルでは、使用者がストッパーを直接的に摘み持ちつつ当該ストッパーを各表紙側に折り返さない限り、書類の脱落を防止し得る機能を発揮させることができない。その一方で、使用者がストッパーを折り返さなかった場合は、閉じ姿勢において各表紙の上縁からストッパーが突出してしまうことになり、著しく見栄えを損ねるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-148105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、書類を好適に収容し得るとともに閉じ姿勢において書類の脱落を好適に抑制し得るファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢と前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢との間で開閉動作可能に構成されたファイルであって、前記表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に、一端側が閉塞されているとともに他端側が開放された収容部が設けられており、前記表表紙及び裏表紙における他端側の端部に、前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動し、前記閉じ姿勢において前記収容部に収容された書類の脱落を防止し得る脱落防止部が設けられたものであり、前記脱落防止部が、前記見開き姿勢において展開した姿勢をとり得るものであり、且つ、前記閉じ姿勢において二つ折り状態で前記表表紙及び裏表紙の内側に折りたたまれた姿勢をとり得るものであるファイルである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記脱落防止部が、前記閉じ姿勢において、前記表表紙及び裏表紙における前記一方側の端縁側に折りたたまれる請求項1記載のファイルである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、前記表表紙及び裏表紙と重ならない位置に突出したものである請求項1又は2記載のファイルである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしている請求項1、2又は3記載のファイルである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記脱落防止部は、前記見開き姿勢において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしているものであり、前記表表紙及び裏表紙における前記脱落防止部に隣接する部分が、前記脱落防止部側に突出した形態をなしている請求項1、2、3又は4記載のファイルである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記表表紙及び裏表紙が、同一のシート材により一体に形成されてなる表表紙本体及び裏表紙本体を備えたものであり、前記脱落防止部が、前記表表紙本体及び裏表紙本体と同一のシート材により一体に形成されている請求項1、2、3、4又は5記載のファイルである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記脱落防止部は、前記折りたたまれた姿勢において、前記表表紙と前記裏表紙との間に設けられた折り線に対して略平行又は当該折り線に対して離れる方向に延びてなるものである請求項1、2、3、4、5又は6記載のファイルである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記表表紙及び裏表紙と前記脱落防止部との間に、前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動して前記脱落防止部の姿勢を変更し得る姿勢変更部が設けられたものであって、前記表表紙及び前記裏表紙との間に上下方向に延びてなる折り線が設けられたものであり、前記姿勢変更部は、前記収容部に収納されたA4サイズの前記書類における前記折り線に隣接するとともに平行な辺よりも前記折り線に直交する方向において前記書類の中央部側に位置付けられている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のファイルである。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記収容部が、前記他端側、及び、前記表表紙と前記裏表紙との境界部側の二方向が開放されてなるポケットである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のファイルである。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記収容部が、前記表表紙の内面に設けられた一方のポケット、及び、前記裏表紙の内面に設けられた他方のポケットであり、これら一方及び他方のポケットが前記表表紙及び裏表紙にかけ渡すように設けられている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のファイルである。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記一方のポケット及び前記他方のポケットの間を繋ぐ連結部が設けられている請求項10記載のファイルである。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記連結部が、左右方向中央部に設けられた山折り線と、左右の側端部に設けられた谷折り線とを備えたものであり、これら山折り線及び谷折り線が前記表表紙及び裏表紙の開閉動作に連動して屈伸し得るように構成されている請求項11記載のファイルである。
【0019】
請求項13に記載の発明は、前記収容部に、マチが設けられたものである請求項9、10、11又は12記載のファイルである。
【0020】
請求項14に記載の発明は、前記脱落防止部が、前記表表紙及び裏表紙から延出した基端延出部分を備えてなるものであり、前記見開き姿勢において、前記基端延出部分における前記表表紙及び裏表紙側の端縁が水平線に対して急こう配をなしており、前記閉じ姿勢において、前記端縁が略水平な姿勢をなすように設定されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載のファイルである。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、書類を好適に収容し得るとともに閉じ姿勢において書類の脱落を好適に抑制し得るファイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図2】同実施形態における正面図(見開き姿勢)。
図3】同実施形態における左側面図(閉じ姿勢)。
図4】同実施形態における部分拡大正面図(見開き姿勢)。
図5図4におけるW方向矢視図(見開き姿勢)。
図6】同実施形態における図5対応の作動説明図。
図7】同実施形態における図5対応の作動説明図。
図8図3におけるZ-Z線概略端面図。
図9図1におけるX-X線概略端面図。
図10図1におけるY-Y線概略端面図。
図11】同実施形態における収容部を説明するための展開図。
図12】本発明の他の実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図13】同実施形態における左側面図(閉じ姿勢)。
図14】同実施形態における収容部を説明するための展開図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図1~11を参照して説明する。なお、図11は、収容部たる第一、第二のポケットP1、P2を説明するための部分的な展開図である。
【0024】
この実施形態は、本発明を、書類たる用紙Sを収容し得るファイルAに適用したものである。このファイルAは、例えば、学童向けのものとして好適に使用される。
【0025】
ファイルAは、表表紙1及び裏表紙2を有してなり、表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢(B)と表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢(C)との間で開閉動作可能に構成されたものである。ファイルAは、表表紙1及び裏表紙2の各内面に、一端側たる下端側が閉塞されているとともに他端側たる上端側が開放された収容部たる第一、第二のポケットP1、P2が設けられている。
【0026】
そして、ファイルAは、表表紙1及び裏表紙2における上端部に、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動し、閉じ姿勢(C)において第一、第二のポケットP1、P2に収容された用紙Sの脱落を防止し得る脱落防止部3が設けられている。
【0027】
ファイルAは、図1及び図2に明示するように、左右方向中間部の上下方向に延びる仮想中心線Rを中心にして左右対称形状をなしたものである。なお、以下の説明において、仮想中心線Rに対して直交する左右方向を「水平線」と称することがある。
【0028】
以下、ファイルAについて詳述する。
【0029】
表表紙1及び裏表紙2は、同一の合成樹脂製のシート材により一体に形成されてなる表表紙本体11及び裏表紙本体21と、表表紙本体11の内面側に取り付けられた第一、第二のポケットP1、P2と、裏表紙本体21の内面側に取り付けられた第一、第二のポケットP1、P2とを備えたものである。
【0030】
表表紙本体11の内側端縁と裏表紙本体21の内側端縁とは、上下方向に直線状に延びてなる折り線fを介して一体に接続したものとなっている。折り線fは、仮想中心線Rと合致する位置に設けられている。折り線fの左右には所定の間隔をあけて背幅を拡張させ得る補助折り線fsが折り線fに対して平行に形成されている。
【0031】
表表紙本体11と裏表紙本体21は、それぞれ外部に露出した下端縁11e21e、外側端縁11g、21g、及び、上端縁11j、21jを備えているとともに内側端縁同士が折り線fにおいて一体に連結したものとなっている。各表紙本体11、21の外側端縁11g、21gは、折り線fと平行をなしており、各表紙本体11、21の上端縁11j、21j及び下端縁11e、21eは水平線と合致している。
【0032】
表表紙本体11と裏表紙本体21は、それぞれ全体として概略縦長矩形状をなしているが、上端部における内側部分11B、21Bに下方に凹んでなる凹陥部Gが形成されている。凹陥部Gは、表表紙本体11及び裏表紙本体21の上縁部間に亘るように設けられている。凹陥部Gの凹み空間には、見開き姿勢(B)において帯状をなす脱落防止部3の下部が部分的に配設されている。なお、後で詳述するが、表表紙本体11及び裏表紙本体21における脱落防止部3の下に隣接する部分tsは、脱落防止部3側に突出した形態をなしている。
【0033】
第一、第二のポケットP1、P2は、合成樹脂製のものである。第一、第二のポケットP1、P2は、上端部側、及び、表表紙1と裏表紙2との境界部側(折り線f側)の二方向が開放されてなるものである。換言すれば、第一、第二のポケットP1、P2は、下端部側と外側部側が閉止されている。第一のポケットP1には下端部側と外側部側にマチである第一、第二のマチp11、p12が設けられている。一方で、第二のポケットP2にはマチが設けられていない。
【0034】
第一のポケットP1は、第二のポケットP2よりも大きく形成されている。第一のポケットP1は、略扇形をなした第一のポケット本体p10と、第一のポケット本体p10の下端に連設された第一のマチp11と、第一のポケット本体p10の外側端に連設された第二のマチp12と、第一のマチp11に連設され表表紙本体11及び裏表紙本体21の下部にそれぞれ添設される第一の本体添接部p13と、第二のマチp12に連設され表表紙本体11及び裏表紙本体21の外側端縁11g、21gに沿ってそれぞれ添設される第二の本体添接部p14とを備えたものである。
【0035】
第一、第二のマチp11、p12は、第一のポケットP1に複数枚の用紙Sを収容し易くするべく、第一のポケット本体p10と各表紙本体11、12との間の隙間を拡張し得るものである。
【0036】
第一の本体添接部p13は、図11に示すように、その外周囲部分を溶着することによって表表紙本体11及び裏表紙本体21における下部の内面に取り付けられている。なお、第一の本体添接部p13の上端縁p13eは、挿入される用紙Sの下端縁seとの引っ掛かりを抑制するため、内側端側から外側端側に向かって漸次下方に位置する曲線状の形態をなしている。
【0037】
第一の本体添接部p13における上端縁p13eの内側端部分nsの高さ位置は、A4サイズの用紙Sの下端縁seが引っ掛かった場合に、当該用紙Sが第一のポケットP1内に適切に入り込んでいないことが明確に分かり得る位置に設定されている。つまり、A4サイズの用紙Sの下端縁seが、第一の本体添接部p13における上端縁p13eの内側端部分nsに引っかかった場合には、当該用紙Sの上部が各表紙本体11、12及び脱落防止部3よりも上方に突出した状態になる。
【0038】
第二の本体添接部p14は、溶着によって表表紙本体11及び裏表紙本体21における外側端縁11g、21gの内面に取り付けられる。
【0039】
第二のポケットP2は、第一のポケットP1よりも小さく形成されている。第二のポケットP2は、第一のポケット本体p10の外面側に溶着されている。すなわち、第二のポケットP2は、略扇形をなした第二のポケット本体p20と、第二のポケット本体p20の下端縁に左右方向に長手をなすように設けられた下端溶着部p21と、第二のポケット本体p20の外側端に上下方向に長手をなすように設けられた外側端溶着部p22とを備えたものである。
【0040】
続いて、脱落防止部3について詳述する。
【0041】
脱落防止部3は、閉じ姿勢(C)において各ポケットP1、P2に収容された用紙Sの上方への移動を阻止し、当該用紙Sが各ポケットP1、P2から脱落することを防止し得るものである。一方で、脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において各表紙本体11、12と同様に展開した姿勢をなし、用紙Sを各ポケットP1、P2に挿入する際の邪魔になり難いように構成されている。
【0042】
換言すれば、脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において拡がった姿勢すなわち展開した姿勢(D)をとり得るものであり、且つ、閉じ姿勢(C)において二つ折り状態で表表紙1及び裏表紙2の内側に折りたたまれた姿勢(E)をとり得るものとなっている。
【0043】
脱落防止部3は、表表紙本体11及び裏表紙本体21と同一のシート材を用いて一体に形成されている。すなわち、各表紙本体11、12及び脱落防止部3は、一枚のシート材を所定の形状に打ち抜くことにより作られている。
【0044】
脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において、表表紙1及び裏表紙2における上端部間を跨ぐように設けられている。換言すれば、脱落防止部3は、表表紙本体11における上部の所定位置と裏表紙本体21における上部の所定位置との間に架設されたものである。
【0045】
脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において左右方向に長手をなす帯状をなしたものである。脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において上方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしている。脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において、表表紙1及び裏表紙2と重ならない位置に突出したものとなっている。
【0046】
次に脱落防止部3の構造についてより具体的に説明する。
【0047】
脱落防止部3は、帯状をなし基端である左側端縁31eが表表紙本体11に対して折り曲げ可能に接合した左帯状部31と、帯状をなし基端である右側端縁32eが裏表紙本体21に対して折り曲げ可能に接合した右帯状部32と、左帯状部31と右帯状部32の先端同士が接合する部分を折り曲げ可能に構成した中央折り線33とを備えたものである。
【0048】
左帯状部31は、各表紙本体11、12間に亘るように形成された凹陥部Gの内側縁に折り曲げ可能に接合した左側端縁31eを備えている。左側端縁31eは、見開き姿勢(B)において、正面から見て下端が上端よりも内側(すなわち折り線f側)に位置するように斜め方向に直線状に延びてなるものである。
【0049】
また、左帯状部31は、左側端縁31eから斜め内側上方に延出した基端延出部分31aと、基端延出部分31aに連続して設けられ当該基端延出部分31aよりも緩やかに斜め内側上方に延出した中央延出部分31bとを備えている。なお、基端延出部分31aにおける表表紙1側の端縁である下端縁31cは、見開き姿勢(B)をなすときに急こう配すなわち水平線に対して傾いたものとなっている。この下端縁31cは、閉じ姿勢(C)をなすときに水平線に略合致する姿勢すなわち表表紙本体11の下端縁11eと略平行をなすように設定されている。
【0050】
右帯状部32は、各表紙本体11、12間に亘るように形成された凹陥部Gの内側縁に折り曲げ可能に接合した右側端縁32eを備えている。右側端縁32eは、見開き姿勢(B)において、正面から見て下端が上端よりも内側(すなわち折り線f側)に位置するように斜め方向に直線状に延びてなるものである。
【0051】
また、右帯状部32は、右側端縁32eから斜め内側上方に延出した基端延出部分32aと、基端延出部分32aに連続して設けられ当該基端延出部分32aよりも緩やかに斜め内側上方に延出した中央延出部分32bとを備えている。なお、基端延出部分32aにおける裏表紙2側の端縁である下端縁32cは、見開き姿勢(B)をなすときに急こう配すなわち水平線に対して傾いたものとなっている。この下端縁32cは、閉じ姿勢(C)をなすときに水平線に略合致する姿勢すなわち裏表紙本体21の下端縁21eと略平行をなすように設定されている。
【0052】
中央折り線33は、仮想中心線Rと合致する位置に設けられており、見開き姿勢(B)において上下方向に延びている。中央折り線33は、あらかじめ、表表紙1と裏表紙2との間の折り線fとは逆方向の折り癖が付与されている。すなわち、図1図2、及び、図4の正面図において、中央折り線33は手前側に向かって凸をなすように折り癖が付与されており、各表紙1、2間の折り線fは奥側に向かって凸をなすように折り癖が付与されている。
【0053】
本実施形態のファイルAには、各表紙本体11、12と脱落防止部3との間に、各表紙本体11、12の開閉動作に連動して脱落防止部3の姿勢を変更し得る姿勢変更部Hが設けられている。より具体的に言えば、脱落防止部3の両側端に設けられた斜め方向に延びる左側端縁31e及び右側端縁32eが、脱落防止部3における左帯状部31と右帯状部32の相対位置を変更し得る姿勢変更部Hを構成している。姿勢変更部Hは、第一、第二のポケットP1、P2に収納されたA4サイズの用紙Sの内側端部よりも内側すなわち用紙Sの中央部側に位置付けられている。
【0054】
左右に対をなして設けられた姿勢変更部Hは、表表紙1及び裏表紙2の見開き姿勢(B)と閉じ姿勢(C)との間で行われる開閉動作に伴って相対位置が変化することにより、脱落防止部3を、図1図2図4図5に示すような展開した姿勢(D)と、図3、及び、図8に示すような折りたたまれた姿勢(E)との間で姿勢変更させ得るものとなっている。
【0055】
脱落防止部3は、姿勢変更部Hによる変形惹起作用により表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動して変形し得るものとなっている。表表紙1及び裏表紙2が見開き姿勢(B)から閉じ姿勢(C)に姿勢変更する過程に沿って順に説明すると、図5に示すように、脱落防止部3は展開した姿勢(D)をとり、その後、図6に示すように姿勢変更部Hが相寄ることにより各表紙本体11、21間の空間に向かって脱落防止部3を構成する左帯状部31及び右帯状部32が起立しつつ下方に移動し、姿勢変更部Hがさらに相寄ることにより左帯状部31と右帯状部32との相対位置が幅広なV字形状(図6)から幅狭なV字形状(図7)に漸次変化しつつ下方に移動し、最終的に図3、及び、図8に示すように左帯状部31と右帯状部32とが最も下方に位置するとともに中央折り線33を基準にして折りたたまれた姿勢(E)に遷移することになる。
【0056】
なお、表表紙1及び裏表紙2が閉じ姿勢(C)から見開き姿勢(B)に姿勢変更する場合には、前述した流れが逆転して行われることになる。
【0057】
表表紙1及び裏表紙2が閉じ姿勢(C)をとる際の脱落防止部3は、図3に示すように、表表紙1及び裏表紙2における下端側に向かって延びるように左帯状部31と右帯状部32とが中央折り線33を介して折りたたまれた姿勢(E)をなしている。
【0058】
この実施形態では、脱落防止部3は、折りたたまれた姿勢(E)において、表表紙1と裏表紙2との間に設けられた折り線fに対して離れる方向に延びている。つまり、折りたたまれた姿勢(E)をなす脱落防止部3は、基端である左側端縁31e及び右側端縁32eから中央折り線33に向かって延びる方向が、折り線fに対して離れる方向、且つ、各表紙本体11、12の上端縁11j、21jに対して離れる方向に設定されている。換言すれば、姿勢変更部Hを構成する左側端縁31e及び右側端縁32eの向きによって、折りたたまれた姿勢(E)における脱落防止部3の姿勢が規定されている。
【0059】
ところで、表表紙本体11及び裏表紙本体21における脱落防止部3の下に隣接する部分tsは、脱落防止部3側に近接するように突出した形態をなしている。このように構成することにより、表表紙本体11及び裏表紙本体21における上端部の内側部分11B、21B(各表紙本体11、21における上端部の背側部分)の高さが他の表紙本体11、21の構成部分と比較して極端に低くなることが好適に抑制されることになり、例えば、他のファイルと一緒に整然と並べても違和感の無い外観を構成し得るものとなっている。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るファイルAは、表表紙1及び裏表紙2を有してなり、表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢(B)と表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢(C)との間で開閉動作可能に構成されたものである。そして、表表紙1及び裏表紙2の各内面に、一端側たる下端側が閉塞されているとともに他端側たる上端側が開放された収容部たる第一、第二のポケットP1、P2が設けられている。
【0061】
そして、表表紙1及び裏表紙2における上端部に、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動し、閉じ姿勢(C)において第一、第二のポケットP1、P2に収容された用紙Sの脱落を防止し得る脱落防止部3が設けられたものであり、脱落防止部3が、見開き姿勢(B)において展開した姿勢(D)をとり得るものであり、且つ、閉じ姿勢(C)において二つ折り状態で表表紙1及び裏表紙2の内側に折りたたまれた姿勢(E)をとり得るものである。
【0062】
このため、第一、第二のポケットP1、P2に用紙Sを好適に収容し得るとともに閉じ姿勢(C)において用紙Sの脱落を好適に抑制し得るファイルAを提供することができるものとなる。
【0063】
つまり、脱落防止部3が、見開き姿勢(B)において展開した姿勢(D)をとり得るものとなっているため、第一、第二のポケットP1、P2に用紙Sを挿入する際に、邪魔になり難いものとなっている。その一方で、脱落防止部3が、閉じ姿勢(C)において二つ折り状態で表表紙1及び裏表紙2の内側に折りたたまれた姿勢(E)をとり得るものとなっているため、第一、第二のポケットP1、P2に収容された用紙Sが外部に脱落することを好適に阻止し得るものとなっている。
【0064】
脱落防止部3は、表表紙1及び裏表紙2における上端部に設けられており、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動し得るものとなっているため、脱落防止部3に対して直接的に触れて操作力を及ぼすことなく、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動させて所期の目的を達成し得るものとなっている。換言すれば、脱落防止部3は、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動して自動的に展開した姿勢(D)と折りたたまれた姿勢(E)との間で動作し得るものとなっている。
【0065】
脱落防止部3が、閉じ姿勢(C)において、表表紙1及び裏表紙2における一方側の端縁側である下端縁11e、21e側に向かって折りたたまれるものとなっている。このため、脱落防止部3は、閉じ姿勢(C)において表表紙1及び裏表紙2の内面側に収まるように位置し、閉じ姿勢(C)において脱落防止部3が表表紙1及び裏表紙2から突出して邪魔になるようなことが好適に抑制されたものとなっている。
【0066】
脱落防止部3が、見開き姿勢(B)において、表表紙1及び裏表紙2と重ならない位置に突出したものである。換言すれば、脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしている。このため、用紙Sを、各表紙1、2における第一、第二のポケットP1、P2に入れようとする際に、脱落防止部3が邪魔になり難いものとなっている。
【0067】
しかも、ファイルA全体の上下寸法は、一般的なランドセル等の鞄に入れることができるようにするために一定の大きさに制限される場合が多い。しかしながら、本実施形態のファイルAであれば、閉じ姿勢(C)をとる場合に一般的なランドセル等の鞄に無理なく入れることができる限られた全体の上下寸法を維持しつつ、見開き姿勢(B)をとる場合に各表紙1、2においてA4サイズの用紙Sを脱落防止部3に干渉されずに各ポケットP1、P2に収容し得る上下寸法を好適に確保し得るものとなっている。
【0068】
脱落防止部3は、見開き姿勢(B)において、外方に向かって凸をなすように湾曲した形態をなしているものであり、表表紙1及び裏表紙2における脱落防止部3に隣接する部分が、脱落防止部3側に突出した形態をなしている。
【0069】
このため、表表紙1及び裏表紙2における上端部の内側部分11B、21B(上端部の背側部分)の高さが各表紙1、2における上端部の外側部分と比較して極端に低く見えることが好適に抑制されることになる。これにより、閉じ姿勢(C)におけるファイルAの外観は、上端部において凹みが露骨に存在することに起因する違和感を与え難いものとなっている。すなわち、本実施形態のファイルAであれば、他のファイルと一緒に整然と並べても違和感の無い外観を提供し得るものとなっている。
【0070】
表表紙1及び裏表紙2が、同一のシート材により一体に形成されてなる表表紙本体11及び裏表紙本体21を備えたものであり、且つ、脱落防止部3が、表表紙本体11及び裏表紙本体21と同一のシート材により一体に形成されているものである。このため、各表紙本体11、21及び脱落防止部3は、同一のシート材を種々の方法により成形して作ることができるため、比較的容易に製造し得るものとなっているだけでなく、各表紙本体11、21と脱落防止部3との連結強度も優れたものとなる。
【0071】
脱落防止部3は、折りたたまれた姿勢(E)において、表表紙1と裏表紙2との間に設けられた折り線fに対して離れる方向に延びてなるものである。このため、脱落防止部3により、収容された用紙Sが抜け出ることを好適に抑制し得るものとなっている。つまり、第一、第二のポケットP1、P2の開放側に脱落防止部3が適切に位置し得ることになるため、用紙Sが第一、第二のポケットP1、P2から抜け出ようとしてもその移動を開放側に位置する脱落防止部3が好適に阻止し得るものとなっている。
【0072】
表表紙1及び裏表紙2と脱落防止部3との間に、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動して脱落防止部3の姿勢を変更し得る姿勢変更部Hが設けられている。そして、姿勢変更部Hは、第一、第二のポケットP1、P2に収納されたA4サイズの用紙Sの内側端部よりも内側に位置付けられている。このため、脱落防止部3の姿勢を変更し得る姿勢変更部Hが、A4サイズの用紙Sの抜け出しを好適に阻止できるように表表紙1及び裏表紙2における好適な位置に配設されたものとなっている。
【0073】
第一、第二のポケットP1、P2が、他端側たる上端側、及び、表表紙1と裏表紙2との境界部側の二方向が開放されてなるものである。このため、各表紙1、2の上端側に設けた脱落防止部3が機能することにより、第一、第二のポケットP1、P2から収納された用紙Sが抜け出ることが好適に抑制されるものとなる。
【0074】
第一のポケットP1にマチである第一、第二のマチp11、p12が設けられたものである。このため、複数枚の用紙Sを好適に収容し得るものとなっている。なお、第一、第二のマチp11、p12を有した第一のポケットP1は、複数枚の用紙Sを好適に収容し得る一方で、収容された用紙Sが外部に抜け出し易い構成になるが、この実施形態では、脱落防止部3が作用することにより、第一のポケットP1からの用紙Sの脱落が適切に抑制されるものとなる。
【0075】
脱落防止部3が、表表紙1及び裏表紙2から斜め上方に延出した基端延出部分31a、32aを備えてなるものである。そして、見開き姿勢(B)において、基端延出部分31a、32aにおける表表紙1及び裏表紙2側の端縁たる下端縁31c、32cが急こう配をなしており、閉じ姿勢(C)において、基端延出部分31a、32aの下端縁31c、32cが略水平な姿勢すなわち各表紙1、2の下端縁11e、21eに略平行をなす姿勢を採り得るように設定されている。
【0076】
このため、各表紙1、2を見開き姿勢(B)から閉じ姿勢(C)に遷移する間の動作中に、脱落防止部3の基端延出部分31a、32aと各表紙1、2との間で収容すべき用紙Sの上端部を噛み込み難いものとなる。換言すれば、収容すべき用紙Sが各ポケットP1、P2の下端縁にまで適切に入れられていなかった場合に、基端延出部分31a、32aの下端縁31c、32cが展開した姿勢(D)から折りたたまれた姿勢(E)に遷移する過程において用紙Sの上端部を好適に下方に押し下げて当該用紙Sを好適に案内することができるようになっている。
【0077】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0078】
ファイルは、表表紙と裏表紙との間に背表紙が設けられたものであってもよい。この場合、背表紙と表表紙との間、及び、背表紙と裏表紙との間にそれぞれ折り線が形成されるものとなる。
【0079】
表表紙及び裏表紙の見開き姿勢とは、完全に面一に展開されるものに限られるものではない。換言すれば、見開き姿勢とは、部材の折り癖等に起因する凸凹の形態が出現している状態を含んだ意味である。
【0080】
収容部は、表表紙及び裏表紙における双方の内面側に設けられたものに限られず、表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に設けられたものであればよい。
【0081】
収容部は、上端側が閉塞されているとともに下端側が開放されたものであってもよい。
【0082】
脱落防止部は、表表紙及び裏表紙における下端部に設けられたものであってもよい。
【0083】
脱落防止部は、表表紙本体や裏表紙本体と同一のシート材により一体に形成されているものでなくてもよく、表表紙や裏表紙に対して後付けにより設けられるものであってもよい。
【0084】
脱落防止部は、折りたたまれた姿勢において、表表紙と裏表紙との間に設けられた折り線に対して略平行に延びてなるものであってもよい。
【0085】
収容部は、一端側のみが閉塞されたものであってもよいし、一端側及び両側端側の三方向が閉塞されたものであってもよい。
【0086】
収容部は、マチが設けられたものでなくてもよいし、第一、第二のポケットの双方にマチが設けられていてもよい。
【0087】
収容部に収容され得る書類は用紙に限定されるものではなく、例えば、冊子であってもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、収容部に収容される書類の一例としてA4サイズの用紙を示していたが、A4サイズとは異なるサイズ(例えば、A3サイズやB5サイズ等)のものであってもよいのはもちろんのことである。
【0089】
例えば、表表紙及び裏表紙にかけ渡すように、A3サイズの書類を収納するようにしてもよい。すなわち、表表紙及び裏表紙にそれぞれ設けられた収容部の二方向が開放されているため、かかる構成をA3サイズの書類の収納に好適に利用し得るものとなっている。
【0090】
更に、収容部を表表紙及び裏表紙にかけ渡すように設けたものでもよい。
【0091】
ここで、図12~14では、他の実施形態であるファイルAを示している。なお、図14は、収容部である第一のポケットP1(M)、P1(N)を説明するための部分的な展開図である。
【0092】
他の実施形態であるファイルAは、図1~11に示された実施形態のものと比較して、収容部の構成が異なっている。収容部は、表表紙1の内面に設けられた一方のポケットである第一のポケットP1(M)、及び、裏表紙2の内面に設けられた他方のポケットである第一のポケットP1(N)であり、且つ、これら第一のポケットP1(M)、P1(N)が表表紙1及び裏表紙2にかけ渡すように設けられている。
【0093】
ファイルAには、左右に対をなして配された第一のポケットP1(M)、P1(N)の間を繋ぐ連結部4が設けられている。ファイルAは、収容部たる第一のポケットP(M)、P(N)を連結部4を介して一体化したものを表表紙1及び裏表紙2にかけ渡すように設けている。表表紙側の第一のポケットP(M)、連結部4、及び、裏表紙側の第一のポケットP(N)は、同一の合成樹脂製のシート材により一体に形成されている。
【0094】
ファイルAは、表表紙1の内面に設けられ下端部及び外側部が閉止された表表紙側の第一のポケットP1(M)と、裏表紙2の内面に設けられ下端部及び外側部が閉止された裏表紙側の第一のポケットP1(N)と、表表紙側の第一のポケットP1(M)及び裏表紙側の第一のポケットP1(N)の各内側縁部p10e間に介在しこれら表表紙側の第一のポケットP1(M)と裏表紙側の第一のポケットP1(N)とを繋ぐ連結部4とを備えている。
【0095】
表表紙側の第一のポケットP1(M)の外面側には、上方及び内側方にのみ開放された第二のポケットP2が設けられている。
【0096】
表表紙側の第一のポケットP1(M)、及び、裏表紙側の第一のポケットP1(N)は、第一のポケット本体p10と、第一のポケット本体p10の下端に連設された第一のマチp11と、第一のポケット本体p10の外側端に連設された第二のマチp12と、第一のマチp11に連設され表表紙本体11及び裏表紙本体21の下部にそれぞれ添設される第一の本体添接部p13と、第二のマチp12に連設され表表紙本体11及び裏表紙本体21の外側端縁11g、21gに沿ってそれぞれ添設される第二の本体添接部p14とを備えたものである。第一、第二のマチp11、p12、及び、第一、第二の本体添接部p13、p14は、先に説明した実施形態のものと同様のものであるため説明を省略する。
【0097】
表表紙側の第一のポケットP1(M)、及び、裏表紙側の第一のポケットP1(N)は、それぞれ上端部側のみが開放されている。各第一のポケットP1(M)、P1(N)には、下端部側と外側部側にマチである第一、第二のマチp11、p12が設けられている。第二のポケットP2にはマチが設けられていない。第二のポケットP2は、第一のポケットP1(M)よりも小さく形成されている。
【0098】
表表紙側の第一のポケットP1(M)と裏表紙側の第一のポケットP1(N)とは、仮想中心線Rを中心にして略左右対称の形状をなしている。各第一のポケットP1(M)、P1(N)における第一のポケット本体p10は、上端縁の位置が外側部側から内側部側に向かって漸次低くなるように形成された傾斜上端縁e1を有してなる外側のポケット構成部分p101と、外側のポケット構成部分p101の内側縁部から内方に向かって延設され上端縁に左右方向に略水平に延びてなる水平上端縁e2を有してなる内側のポケット構成部分p102とを備えてなる。
【0099】
外側のポケット構成部分p101に設けられた傾斜上端縁e1は、表表紙1及び裏表紙2における上下方向中間部よりも上側に位置しているため、第一のポケットP1(M)、P1(N)に収容された用紙Sが落下することを好適に抑制し得るものとなっている。
【0100】
また、内側のポケット構成部分p102における水平上端縁e2及び連結部4の上端縁4eは、表表紙1及び裏表紙2における上下方向中間部に位置しているため、連結部4により連結された一方及び他方の第一のポケットP1(M)、P1(N)に対して用紙Sを出し入れし易いものとなっている。
【0101】
連結部4は、表表紙側の第一のポケットP1(M)の内側縁部p10eと裏表紙側の第一のポケットP1(N)の内側縁部p10eとの間に介設されたシート状のものである。連結部4は、図12に示すように、展開状態において、全体として下向きに凸をなす二等辺三角形に近似した形状をなしている。
【0102】
連結部4は、左右方向中央部すなわち正面視において表表紙1と裏表紙2の間の仮想中心線Rに合致する位置に設けられた上下方向に直線状に延びてなる山折り線41と、左右の側端部に対をなして設けられた谷折り線42とを備えたものである。連結部4の山折り線41及び谷折り線42は、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動して屈伸し得るように構成されている。つまり、連結部4は、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作に連動して山折り線41及び谷折り線42が屈伸することにより、姿勢変更し得るものとなっている。
【0103】
連結部4は、表表紙側の第一のポケットP1(M)の内側縁部p10eとの連結部分及び裏表紙側の第一のポケットP1(N)の内側縁部p10eとの連結部分に設けられた左右一対の谷折り線42とを備えている。左右一対の谷折り線42は、上から下に向かって漸次左右方向中央部に設けられた山折り線41側に近接するように傾斜した姿勢をなしている。
【0104】
連結部4により連結された表表紙側の第一のポケットP1(M)及び裏表紙側の第一のポケットP1(N)は、表表紙1及び裏表紙2と協働して、上端部側のみが用紙Sを出し入れ可能な大きさに開放された一つの大きな収容空間spを形成し得るものとなっている。そのため、用紙Sを収容し易いだけでなく、両側部及び下部から用紙Sが出ないように構成されているため、収容された用紙Sが収容空間spから落下し難いものとなっている。
【0105】
連結部4は、ファイルAにおける見開き姿勢(B)と閉じ姿勢(C)に連動して、図12に示すような展開した姿勢(J)と、図13に示すような折りたたまれた姿勢(K)との間で変形し得るものとなっている。
【0106】
すなわち、連結部4は、図12に示される見開き姿勢(B)において、左右方向に拡がった姿勢である展開した姿勢(J)を採り得るものとなっている。また、連結部4は、図13に示される閉じ姿勢(C)において、山折り線41及び谷折り線42が折れ曲がり、山折り線41を中心に二つ折り状態で表表紙1及び裏表紙2の内面間、及び、対向する第一のポケットP1(M)、P1(N)の間に折りたたまれた姿勢(K)を採り得るものとなっている。
【0107】
このため、表表紙側の第一のポケットP1(M)と、裏表紙側の第一のポケットP1(N)とが、表表紙1及び裏表紙2の開閉動作を損ねることなく、用紙Sを収容し得るものとなっている。
【0108】
さらに、連結部4は、表表紙1及び裏表紙2に連動して、脱落防止部3と近似した姿勢を採り得るものとなっている。ファイルAが閉じ姿勢(C)をなす場合には、脱落防止部3は平面視において前方に凸をなす折りたたまれた姿勢(E)を採り得るものであり、連結部4も平面視において前方に凸をなす折りたたまれた姿勢(K)を採り得るものとなっている。
【0109】
このため、表表紙1及び裏表紙2は、折りたたまれた姿勢(E)の脱落防止部3及び折りたたまれた姿勢(K)の連結部4による部材の弾性復帰力を利用して、閉じ姿勢(C)から展開姿勢(E)への姿勢変更を好適に補助し得るものとなっている。
【0110】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0111】
A…ファイル
1…表表紙
2…裏表紙
3…脱落防止部
11…表表紙本体
21…裏表紙本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14