(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 9/06 20060101AFI20240709BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20240709BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240709BHJP
C08K 5/18 20060101ALI20240709BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C08L9/06
C08L9/00
C08K3/04
C08K5/18
B60C1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020123062
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】河地 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】松井 僚児
(72)【発明者】
【氏名】中島 郭葵
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 昴
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-057398(JP,A)
【文献】特開2019-112599(JP,A)
【文献】特開2019-194289(JP,A)
【文献】特表2019-523805(JP,A)
【文献】特開2016-204503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2/g以上であるカーボンブラックとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、
前記ゴム成分中のスチレン骨格量×2<前記カーボンブラックの含有量<前記ゴム成分中のブタジエン骨格量であるタイヤ用ゴム組成物
であって、
前記ゴム成分が、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムを含み、
ジベンジルアミン化合物を含有するタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/g以上であるカーボンブラックとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、
前記ゴム成分中のスチレン骨格量×2<前記カーボンブラックの含有量<前記ゴム成分中のブタジエン骨格量であるタイヤ用ゴム組成物(ただし、下記(1)~(24)のタイヤ用ゴム組成物を除く)。
(1)(A)リニアリティ指数が110~140でかつニュートン流動性指数(n)が2.2~3.0
(ここで、リニアリティ指数はポリマーの5重量%トルエン溶液の30℃での溶液粘度(センチポイズ)であり、ニュートン流動指数は式:γ=K・τ
n
(式中、γ=K・τ
n
(γはせん断速度(単位:1/sec)、τはせん断応力(Pa)、Kは1/η(η:ポリマーの粘度(Pa・sec))の定数である)で示される)のポリブタジエンゴム10質量部以上を含むジエン系ゴム100質量部、
(B)(i)セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が70m
2
/g以上のカーボンブラック及び/又は(ii)BET比表面積が100m
2
/g以上のシリカを成分(B)(i)及び(ii)の合計量で30~150質量部含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
(2)スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム30質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が140m
2
/gのカーボンブラック50質量部、シリカ25質量部、アロマオイル45質量部、酸化亜鉛2.5質量部、ステアリン酸1.0質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン1.5質量部、硫黄1.5質量部、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジンを1.0質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(3)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ120質量部、シランカップリング剤12質量部、オイル30質量部、C5系樹脂20質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(4)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ110質量部、シランカップリング剤11質量部、オイル25質量部、C5系樹脂15質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(5)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ100質量部、シランカップリング剤10質量部、オイル20質量部、C5系樹脂10質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(6)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル15質量部、C5系樹脂10質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(7)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ120質量部、シランカップリング剤12質量部、オイル30質量部、C5系樹脂15質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(8)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ120質量部、シランカップリング剤12質量部、オイル30質量部、C5系樹脂10質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(9)天然ゴム40質量部、スチレンブタジエンゴム20質量部、ブタジエンゴム40質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック5質量部、シリカ120質量部、シランカップリング剤12質量部、オイル50質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(10)天然ゴム15質量部、スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック60質量部、シリカ65質量部、シランカップリング剤6質量部、オイル30質量部、C5系樹脂20質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(11)天然ゴム40質量部、スチレンブタジエンゴム20質量部、ブタジエンゴム40質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック60質量部、シリカ65質量部、シランカップリング剤6質量部、オイル50質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(12)天然ゴム25質量部、スチレンブタジエンゴム50質量部、ブタジエンゴム25質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック10質量部、シリカ80質量部、シランカップリング剤7質量部、オイル28質量部、C5系樹脂2質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(13)天然ゴム25質量部、スチレンブタジエンゴム50質量部、ブタジエンゴム25質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック10質量部、シリカ80質量部、シランカップリング剤7質量部、オイル24質量部、C5系樹脂6質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(14)天然ゴム25質量部、スチレンブタジエンゴム50質量部、ブタジエンゴム25質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック10質量部、シリカ80質量部、シランカップリング剤7質量部、オイル22質量部、C5系樹脂8質量部、ワックス2質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)1質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛2質量部、硫黄1.5質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1.5質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン2質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(15)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック30質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が111m
2
/gのカーボンブラック0質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル20質量部、C5系樹脂15質量部、スチレン系樹脂25質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(16)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/gのカーボンブラック15質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル20質量部、C5系樹脂10質量部、スチレン系樹脂30質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(17)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/gのカーボンブラック15質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル20質量部、C5系樹脂20質量部、スチレン系樹脂20質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(18)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/gのカーボンブラック30質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル20質量部、C5系樹脂15質量部、スチレン系樹脂25質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(19)スチレンブタジエンゴム60質量部、ブタジエンゴム40質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が111m
2
/gのカーボンブラック15質量部、シリカ80質量部、シランカップリング剤7質量部、オイル20質量部、C5系樹脂5質量部、スチレン系樹脂25質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(20)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/gのカーボンブラック15質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が111m
2
/gのカーボンブラック20質量部、シリカ85質量部、シランカップリング剤8質量部、オイル20質量部、C5系樹脂10質量部、スチレン系樹脂25質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(21)スチレンブタジエンゴム70質量部、ブタジエンゴム30質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック25質量部、シリカ100質量部、シランカップリング剤10質量部、オイル25質量部、C5系樹脂15質量部、スチレン系樹脂20質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(22)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック30質量部、シリカ90質量部、シランカップリング剤9質量部、オイル20質量部、C5系樹脂35質量部、スチレン系樹脂5質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(23)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック70質量部、シリカ50質量部、シランカップリング剤5質量部、オイル20質量部、C5系樹脂15質量部、スチレン系樹脂25質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
(24)スチレンブタジエンゴム65質量部、ブタジエンゴム35質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が180m
2
/gのカーボンブラック70質量部、シリカ50質量部、シランカップリング剤5質量部、オイル20質量部、C5系樹脂35質量部、スチレン系樹脂5質量部、ワックス3質量部、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン2.5質量部、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)0.5質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛2.5質量部、硫黄2質量部、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド1質量部、及び1,3-ジフェニルグアニジン1質量部からなるタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/g以上であるカーボンブラックとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、
前記ゴム成分中のスチレン骨格量×2<前記カーボンブラックの含有量<前記ゴム成分中のブタジエン骨格量であるタイヤ用ゴム組成物であって、
前記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量は、30質量%以上であり、
セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/g以上であるカーボンブラックの含有量/(ゴム成分中のスチレン骨格量×2)は、1.90以下であり、
ゴム成分中のブタジエン骨格量/セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m
2
/g以上であるカーボンブラックの含有量は、1.20以下であり、
環状構造を有する樹脂の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、30質量部以下
であるタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分中のスチレン骨格量が25質量%以下である請求項1
~3のいずれかに記載記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が60~90質量部である請求項1
~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
可塑剤を含有し、
前記ゴム成分の含有量<前記カーボンブラックの含有量+前記可塑剤の含有量である請求項1~
5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
前記可塑剤が、環状構造を有する樹脂を含む請求項
6記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項8】
前記樹脂の含有量/前記カーボンブラックの含有量が0.1以上である請求項
7記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記ゴム成分が、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムを含む請求項
2~
8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
ジベンジルアミン化合物を含有する請求項
2~
9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、グリップ性能を改善する手法や、耐摩耗性を改善する手法が種々検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、近年では、これらの総合性能について、更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6033786号公報
【文献】特開2017-141405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題を解決し、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m2/g以上であるカーボンブラックとを含有し、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、前記ゴム成分中のスチレン骨格量×2<前記カーボンブラックの含有量<前記ゴム成分中のブタジエン骨格量であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0006】
前記ゴム成分中のスチレン骨格量が25質量%以下であることが好ましい。
【0007】
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が60~90質量部であることが好ましい。
【0008】
前記ゴム組成物が可塑剤を含有し、前記ゴム成分の含有量<前記カーボンブラックの含有量+前記可塑剤の含有量であることが好ましい。
【0009】
前記可塑剤が、環状構造を有する樹脂を含むことが好ましい。
【0010】
前記樹脂の含有量/前記カーボンブラックの含有量が0.1以上であることが好ましい。
【0011】
前記ゴム成分が、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムを含むことが好ましい。
【0012】
前記ゴム組成物がジベンジルアミン化合物を含有することが好ましい。
【0013】
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積が130m2/g以上であるカーボンブラック(微粒子カーボンブラック)とを含有し、ゴム成分100質量部に対する微粒子カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、ゴム成分中のスチレン骨格量×2<微粒子カーボンブラックの含有量<ゴム成分中のブタジエン骨格量であるタイヤ用ゴム組成物であるので、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が130m2/g以上であるカーボンブラック(微粒子カーボンブラック)とを含有し、ゴム成分100質量部に対する微粒子カーボンブラックの含有量が30質量部以上であり、ゴム成分中のスチレン骨格量×2<微粒子カーボンブラックの含有量<ゴム成分中のブタジエン骨格量である。
【0016】
上記ゴム組成物で前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
上記ゴム組成物では、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含むゴム成分と、CTAB吸着比表面積が130m2/g以上のカーボンブラック(微粒子カーボンブラック)とを配合し、微粒子カーボンブラックの量を所定の範囲に調整しながら、ゴム成分中のスチレン骨格量×2<微粒子カーボンブラックの含有量<ゴム成分中のブタジエン骨格量との関係を満たすことで、ゴム成分と微粒子カーボンブラックとの相互作用が生じやすくなり、微粒子カーボンブラックの分散が促進される。これにより、微粒子カーボンブラックの補強効果が向上することで、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善されると考えられる。
【0017】
本明細書において、スチレン骨格とは、スチレンを重合した際に形成される繰り返し単位の構造を意味し、ブタジエン骨格とは、1,3-ブタジエンを重合した際に形成される繰り返し単位の構造を意味する。ブタジエン骨格は、1,4結合、1,2結合のいずれであってもよいし、水素添加されていてもよい。また、スチレン骨格、ブタジエン骨格は、置換基を有していてもよい。
【0018】
上記ゴム組成物は、ゴム成分を含有する。
ここで、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のものである。
【0019】
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0020】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0021】
ゴム成分中のスチレン骨格量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0022】
ここで、ゴム成分中のスチレン骨格量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン骨格の合計含有量(単位:質量%)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分中のスチレン骨格量/100)で算出できる。例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン骨格量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン骨格量:25質量%のSBRが5質量%、スチレン骨格量:0質量%のBRが10質量%である場合、ゴム成分中のスチレン骨格量は、35.25質量%(=85×40/100+5×25/100+10×0/100)である。
【0023】
ゴム成分中のブタジエン骨格量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは74質量%以上、特に好ましくは76量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0024】
ここで、ゴム成分中のブタジエン骨格量は、ゴム成分全量中に含まれるブタジエン部の合計含有量(単位:質量%)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分中のブタジエン骨格量/100)で算出できる。例えば、ゴム成分100質量%中、ブタジエン骨格量:60質量%のSBRが85質量%、ブタジエン骨格量:75質量%のSBRが5質量%、ブタジエン骨格量:100質量%のBRが10質量%である場合、ゴム成分中のブタジエン骨格量は、64.75質量%(=85×60/100+5×75/100+10×100/100)である。
【0025】
耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能等の観点から、上記ゴム組成物では、ゴム成分中のスチレン骨格量<ゴム成分中のブタジエン骨格量であることが好ましい。
【0026】
ゴム成分中のブタジエン骨格量/ゴム成分中のスチレン骨格量は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは2.8以上、特に好ましくは3.0以上であり、また、好ましくは5.5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは3.8以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0027】
なお、各ゴム成分中のスチレン骨格量、ブタジエン骨格量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定できる。
また、ゴム成分中のスチレン骨格量、ブタジエン骨格量について、本明細書の実施例では、上述の計算式に沿って算出しているが、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(Py-GC/MS)等により、タイヤから分析してもよい。
【0028】
上記ゴム組成物は、ゴム成分として、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体を含有する。
当該共重合体としては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR))、スチレン-イソプレン共重合体ゴム(SIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、SBRが好ましい。
【0029】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
【0030】
SBRのスチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、SBRのスチレン量は、NMR法によって測定できる。
【0031】
SBRのビニル量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、SBRのビニル量は、NMR法によって測定できる。
【0032】
なお、上述のSBRのスチレン量、ビニル量は、SBRが1種である場合、当該SBRのスチレン量、ビニル量を意味し、複数種である場合、平均スチレン量、平均ビニル量を意味する。
SBRの平均スチレン量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのスチレン量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均スチレン量は、39.2質量%(=(85×40+5×25)/(85+5))である。
同様に、SBRの平均ビニル量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのビニル量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、ビニル量:30質量%のSBRが85質量%、ビニル量:20質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均ビニル量は、29.4質量%(=(85×30+5×20)/(85+5))である。
【0033】
ゴム成分100質量%中、スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0034】
スチレン骨格及びブタジエン骨格を有する共重合体以外に使用できるゴム成分としては、ブタジエンゴム(BR)イソプレン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRが好ましい。
【0035】
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、希土類系BRが好ましい。
【0036】
希土類系BRの合成に使用される希土類元素系触媒としては、公知のものを使用できるが、ランタン系列希土類元素化合物が好ましく、ネオジム含有化合物(Nd系触媒)がより好ましい。
【0037】
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0038】
なお、上述のBRのシス量は、BRが1種である場合、当該BRのシス量を意味し、複数種である場合、平均シス量を意味する。
BRの平均シス量は、{Σ(各BRの含有量×各BRのシス量)}/全BRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、シス量:90質量%のBRが20質量%、シス量:40質量%のBRが10質量%である場合、BRの平均シス量は、73.3質量%(=(20×90+10×40)/(20+10))である。
【0039】
ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0040】
耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能等の観点から、上記ゴム組成物では、ゴム成分中のスチレン骨格量<BRの含有量であることが好ましい。
【0041】
BRの含有量/ゴム成分中のスチレン骨格量は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上であり、また、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0042】
なお、これらの関係において、ゴム成分中のスチレン骨格量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン骨格の合計含有量(単位:質量%)であり、BRの含有量は、ゴム成分100質量中の含有量(単位:質量%)である。
【0043】
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0044】
上記官能基を有する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0045】
上記ゴム組成物は、CTAB吸着比表面積が130m2/g以上のカーボンブラック(微粒子カーボンブラック)を含有する。
微粒子カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
微粒子カーボンブラックのCTAB比表面積は、130m2/g以上であればよいが、好ましくは160m2/g以下、より好ましくは150m2/g以下、更に好ましくは140m2/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのCTAB比表面積は、JIS K6217-3:2001に準拠して測定される値である。
【0047】
微粒子カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上であればよいが、好ましくは60質量部以上、より好ましくは65質量部以上、更に好ましくは70質量部以上であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0048】
上記ゴム組成物は、微粒子カーボンブラックとともに、他のカーボンブラック(CTAB吸着比表面積が130m2/g未満のカーボンブラック)を含有してもよい。他のカーボンブラックのCTAB吸着比表面積は、好ましくは110m2/g以下であり、また、好ましくは80m2/g以上である。
【0049】
上記ゴム組成物では、ゴム成分中のスチレン骨格量×2<微粒子カーボンブラックの含有量<ゴム成分中のブタジエン骨格量である。
【0050】
微粒子カーボンブラックの含有量/(ゴム成分中のスチレン骨格量×2)は、好ましくは1.10以上、より好ましくは1.30以上、更に好ましくは1.40以上、特に好ましくは1.60以上であり、また、好ましくは3.50以下、より好ましくは2.50以下、更に好ましくは2.20以下、特に好ましくは1.90以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0051】
ゴム成分中のブタジエン骨格量/微粒子カーボンブラックの含有量は、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.03以上であり、また、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.30以下、特に好ましくは1.20以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0052】
なお、これらの関係において、ゴム成分中のスチレン骨格量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン骨格の合計含有量(単位:質量%)であり、ゴム成分中のブタジエン骨格量は、ゴム成分全量中に含まれるブタジエン骨格の合計含有量(単位:質量%)であり、微粒子カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。
【0053】
上記ゴム組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、オイル(油展ゴム中のオイル分を含む)、樹脂、液状ポリマー、エステル系可塑剤等を使用することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、特に好ましくは30質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0055】
耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能等の観点から、上記ゴム組成物では、ゴム成分の含有量<微粒子カーボンブラックの含有量+可塑剤の含有量であることが好ましい。
【0056】
(微粒子カーボンブラックの含有量+可塑剤の含有量)/ゴム成分の含有量は、好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0057】
なお、これらの関係において、微粒子カーボンブラックの含有量、可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)であり、ゴム成分の含有量は、各ゴムの合計含有量(単位:質量部)で、通常100である。
【0058】
上記ゴム組成物において、可塑剤の含有量/微粒子カーボンブラックの含有量は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.8以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、カーボンブラックの含有量、可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。
【0059】
耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能等の観点から、可塑剤としては、オイル、樹脂が好ましい。
【0060】
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、JXTGエネルギー(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、また、好ましくは45質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0062】
樹脂としては、環状構造を有する樹脂を好適に使用できる。
環状構造としては、例えば、芳香環、脂環や、これらの複素環、多環等が挙げられる。なかでも、芳香環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
【0063】
芳香環を有する樹脂としては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体を主成分とするスチレン系樹脂;フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール等のフェノール系単量体を主成分とするフェノール系樹脂;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール等のナフトール系単量体を主成分とするナフトール系樹脂;ビニルトルエン、インデン等のC9留分を主成分とするC9系樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレン系樹脂が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。
【0064】
環状構造を有する樹脂の市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0065】
環状構造を有する樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0066】
上記ゴム組成物において、環状構造を有する樹脂の含有量/微粒子カーボンブラックの含有量は、好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、環状構造を有する樹脂の含有量、微粒子カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。
【0067】
上記ゴム組成物は、ジベンジルアミン化合物を含有することが好ましい。
ジベンジルアミン化合物は、下記式で表される基(ジベンジルアミン基)を少なくとも1つ有する化合物である。
【化1】
【0068】
ジベンジルアミン化合物の具体例としては、ジベンジルアミン、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。市販品としては、三新化学工業(株)、大内新興化学工業(株)、ランクセス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジベンジルアミン基を2つ有する化合物が好ましく、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンがより好ましい。
【0069】
ジベンジルアミン化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0070】
上記ゴム組成物は、シリカを含有してもよい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、Rhodia社、EVONIK社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0072】
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0074】
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0076】
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0078】
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0080】
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0082】
上記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.8質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0084】
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0085】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0086】
上記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物;タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤;等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
【0087】
上記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0088】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
【0089】
上記ゴム組成物は、例えば、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、ショルダー、クリンチ、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層などのタイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)用いることができる。なかでも、トレッドに好適である。
【0090】
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを得る。
【0091】
上記タイヤ(空気入りタイヤ等)は、乗用車用タイヤ;トラック・バス用タイヤ;二輪車用タイヤ;高性能タイヤ;スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤ;サイド補強層を備えるランフラットタイヤ;スポンジ等の吸音部材をタイヤ内腔に備える吸音部材付タイヤ;パンク時に封止可能なシーラントをタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える封止部材付タイヤ;センサや無線タグ等の電子部品をタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える電子部品付タイヤ等に使用可能であり、乗用車用タイヤに好適である。
【0092】
上記タイヤのサイズは特に限定されず、例えば、タイヤ幅は100~400mmの範囲内で、扁平率は25~85%の範囲内で、リム径は10~25インチの範囲内で、適宜選択可能である。具体例としては、105/50R16、115/50R17、125/55R20、135/45R21、145/45R21、155/45R18、165/45R22、175/45R23、185/60R20、195/55R14、205/40R16、215/40R16、225/40R17、235/40R17、245/40R16、255/40R17、265/40R17、275/35R18、285/30R19、295/45R20等が挙げられる。
【0093】
上記タイヤは、タイヤ外径Dt及びタイヤ断面幅Wtが下記式の関係式を満たすことが好ましい。
【数1】
なお、タイヤ外径(Dt)とは、タイヤを適用リムに装着して内圧250kPa・無負荷とした状態のタイヤの外径である。タイヤ断面幅(Wt)とは、タイヤを適用リムに装着して内圧250kPa・無負荷とした状態のタイヤ側面の模様又は文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離、つまり総幅からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。
【0094】
上記式を満たしうるタイヤとしては、具体的には、145/60R18、145/60R19、155/55R18、155/55R19、155/70R17、155/70R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/55R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20等が挙げられる。
【0095】
上記式を満たすタイヤは、乗用車用空気入りタイヤに適用することが好ましい。上記式を満たす乗用車用空気入りタイヤは、本件の課題解決により好適となる傾向があるためである。
【実施例】
【0096】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0097】
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
【0098】
(ゴム成分)
SBR:JSR(株)製のJSR0122(スチレン量(スチレン骨格量):37質量%、ブタジエン量(ブタジエン骨格量):63質量%、ビニル量:14質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分34質量部含有)
BR1:宇部興産(株)製のBR150B(ブタジエン量(ブタジエン骨格量):100質量%、シス量:97質量%、ビニル量:1質量%)
BR2:JSR(株)製のBR730(Nd系触媒を用いて合成されたBR、ブタジエン量(ブタジエン骨格量):100質量%、シス量:97質量%、ビニル量:0.9質量%)
【0099】
(ゴム成分以外の薬品)
カーボンブラック1:N134(CTAB:135m2/g)
カーボンブラック2:N220(CTAB:111m2/g)
オイル:三共油化工業(株)製のA/Oミックス
樹脂:アリゾナケミカル社製のSylvatraxx4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
ジベンジルアミン化合物:ランクセス社製のVulcuren VP KA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
【0100】
(実施例及び比較例)
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、ジベンジルアミン化合物、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物にジベンジルアミン化合物、硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造した。得られた試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表1に示した。
なお、表1において、油展ゴム中のゴム分はゴムの欄に記載し、油展ゴム中のオイル分はオイルの欄に加算している。
また、表1において、オイル、樹脂が可塑剤に該当する。
【0101】
(耐摩耗性)
各試験用タイヤを車両に装着して、50,000km走行後のトレッド部の溝深さを測定した。測定値から、トレッド部の摩耗量を算出し、比較例2を100として指数表示した。指数が大きいほど、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0102】
(ウェットグリップ性能)
各試験用タイヤを車両に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度80km/hからの制動距離を求め、比較例2を100として指数表示した。指数が大きいほど、制動距離が短く、ウェットグリップ性能が良好であることを示す。
【0103】
【0104】
表1より、実施例は、目的とする耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能(各指数の合計)が比較例より優れていた。