(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】箱選定装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20240709BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240709BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240709BHJP
【FI】
B65B57/00 Z
G06Q50/04
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2020132369
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】小出 幸和
(72)【発明者】
【氏名】岡部 大輔
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001846(JP,A)
【文献】特開平04-023088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
G06Q 50/04
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、
前記箱選定装置の制御部は、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、
前記入力情報を変換する入力情報変換部と、
変換された前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、
前記ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定部と、を有し、
変換前の前記入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、
前記入力情報変換部は、
前記梱包実績に基づいて前記ニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出部と、
前記重要度に基づいて、前記入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理部と、を有し、
前記重要度は、各物品のベクトルと、全物品のベクトルとのユークリッド距離に基づいて設定される、箱選定装置。
【請求項2】
前記重要度算出部は、各箱に対して各物品が梱包された割合と、全物品において各箱に梱包される割合を示す確率分布との乖離に基づいて、前記重要度を算出する、請求項1に記載の箱選定装置。
【請求項3】
予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、
物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、
前記入力情報を変換する入力情報変換ステップと、
変換された前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって
、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、
前記ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定ステップと、を有する箱選定方法で用いられる情報処理方法であって、
変換前の前記入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、
前記梱包実績に基づいて前記ニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップと、
前記重要度に基づいて、前記入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップと、有し、
前記重要度は、各物品のベクトルと、全物品のベクトルとのユークリッド距離に基づいて設定される、情報処理方法。
【請求項4】
予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、
物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、
前記入力情報を変換する入力情報変換ステップと、
変換された前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって
、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、
前記ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定ステップと、をコンピュータシステムに実行させる箱選定プログラムで用いられる情報処理プログラムであって、
変換前の前記入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、
前記梱包実績に基づいて前記ニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップと、
前記重要度に基づいて、前記入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップと、をコンピュータシステムに実行させ、
前記重要度は、各物品のベクトルと、全物品のベクトルとのユークリッド距離に基づいて設定される、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱選定装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるような箱選定装置が知られている。箱選定装置は、対象となる積荷の容積などのデータに基づいて、積荷とコンテナの組み合わせを選んでいる。この箱選定装置は、コンテナの総容量が積荷の総容積以上となるようなコンテナの組み合わせを全て選んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような箱選定装置は、条件を満たすようなコンテナ(箱)の組み合わせを全て選んでいる。しかし、このような方法を採用した場合、箱の種類数が増えると組合せの数が急増し、組合せの全てに対して、全物品が積載可能かどうかを毎回計算する必要が生じる。この場合、当該方法を採用することが、計算コストなどの観点から困難になるという問題がある。更に、このような計算コストは、物品の種類数の増加に対しても増加する。すなわち、物品の種類数が多かったり、箱の選択肢が多いような現場に対しては、上述のような箱選定装置を適用することが困難になるという問題がある。このような課題に対して、梱包実績に基づいて予め部品がリスト化された情報を用いてニューラルネットワーク演算部を学習させる場合、箱の選定精度を向上できるように学習を行うこと求められる。
【0005】
本発明の目的は、箱の選定精度を向上できるようにニューラルネットワーク演算部の学習を行うことができる箱選定装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る箱選定装置は、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、箱選定装置の制御部は、学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、入力情報を変換する入力情報変換部と、変換された入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された前記評価値に基づいて箱を選定する選定部と、を有し、変換前の入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、入力情報変換部は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出部と、重要度に基づいて、入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理部と、を有する。
【0007】
箱選定装置において、ニューラルネットワーク演算部は、物品に関する入力情報を入力層に入力し、学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行う。そして、選定部は、ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された評価値に基づいて、梱包の対象となる物品に適した箱を選定することができる。ここで、学習情報は、梱包実績に基づいて予め学習されたものである。すなわち、ニューラルネットワーク演算部は、例えば物品の形状、梱包先の環境情報などの複雑な条件を考慮することを省略し、過去の梱包実績に基づく学習を行うだけで、梱包する物品に適した箱を選定するための評価値を出力することができる。ここで、入力情報変換部は、ニューラルネットワーク演算部に入力される入力情報を変換することができる。変換前の入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有する。例えば、物品一覧の物品の種類が膨大になるなどの場合、あらゆる物品の組み合わせについて梱包実績を取得することが難しくなる可能性がある。これに対し、入力情報変換部は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出部を有する。重要度算出部は、箱の選定の際に、選定に対する影響が大きい部品と、影響が小さい部品とを、重要度で現すことができる。また、入力情報変換部は、重要度に基づいて、入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理部を有する。これにより、重要度反映処理部は、選定に対する影響の大きさを反映した形に入力情報を変換することができる。これにより、ニューラルネットワーク演算部は、箱の選定の際に重視すべき部品を把握した態様で学習を行うことができる。以上により、箱の選定精度を向上できるようにニューラルネットワーク演算部の学習を行うことができる。
【0008】
重要度は、各物品のベクトルと、全物品のベクトルとのユークリッド距離に基づいて設定されてよい。箱の選定において部品固有の特徴を有することで重要度が高い部品のベクトルは、全物品のベクトルとのユークリッド距離が大きい。従って、重要度がユークリッド距離に基づいて設定されることで、重要度算出部が適切に重要度を算出することができる。
【0009】
重要度算出部は、各箱に対して各物品が梱包された割合と、全物品において各箱梱包される割合を示す確率分布との乖離に基づいて、重要度を算出してよい。例えば、箱の選定において部品固有の特徴が小さい部品の確率分布は、全物品の確率分布と類似することになるため、乖離が小さい。一方、箱の選定において部品固有の特徴が大きい部品の確率分布は、特有の分布を描くため、全物品の確率分布との乖離が大きくなる。このように、重要度算出部が、確率分布の乖離に基づいて適切に重要度を算出することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、入力情報を変換する入力情報変換ステップと、変換された入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップと、を有する箱選定方法で用いられる情報処理方法であって、変換前の入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップと、重要度に基づいて、入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップと、を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理プログラムは、予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、入力情報を変換する入力情報変換ステップと、変換された入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップと、をコンピュータシステムに実行させる箱選定プログラムで用いられる情報処理プログラムであって、変換前の入力情報は、予め定められた物品一覧における各物品の個数に関する情報を有し、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップと、重要度に基づいて、入力情報における各物品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップと、をコンピュータシステムに実行させる。
【0012】
これらの情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、上述の箱選定装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、箱の選定精度を向上できるようにニューラルネットワーク演算部の学習を行うことができる箱選定装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る箱選定装置を示す概略構成図である。
【
図2】箱選定装置がニューラルネットワークを用いて輸送箱の選定を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【
図3】箱選定装置のニューラルネットワーク演算部が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【
図4】箱選定装置の処理内容の具体例を示す模式図である。
【
図5】重要度算出部の処理内容を説明するための図である。
【
図6】重要度反映処理部の処理内容を説明するための図である。
【
図7】箱選定装置の制御部による学習時における制御処理の内容を示すフローチャートである。
【
図8】箱選定装置の制御部による制御処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る箱選定装置100を示す概略構成図である。箱選定装置100は、倉庫などの物流現場において、複数の物品を箱に梱包する際に、どの箱に梱包すべきかを選定する装置である。なお、箱を選定した後、当該箱に物品をどのような位置、順序で梱包するかについては、他の方法によって自動的に決定がなされる。なお、本実施形態では、梱包対象となる物品として部品を例示しており、箱として輸送箱を例示している。ただし、物品及び箱の種類は特に限定されるものではない。
【0017】
図1に示すように、箱選定装置100は、情報入力部2と、情報出力部3と、制御部10と、を備える。箱選定装置100は、予め学習された学習情報に基づき、部品を梱包する輸送箱を選定する装置である。なお、箱選定装置100の各構成要素を説明するために、
図2及び
図3を参照する場合がある。
図2は、箱選定装置100がニューラルネットワークを用いて輸送箱の選定を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
図3は、箱選定装置100のニューラルネットワーク演算部12が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【0018】
情報入力部2は、各種情報を入力するインターフェースである。例えば、情報入力部2は、キーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成される。あるいは、情報入力部2は、記憶媒体や通信を介して情報を入力されてもよい。情報出力部3は、各種情報を出力するインターフェースである。例えば、情報出力部3は、モニタ、スピーカーなどによって情報を出力してよい。あるいは、情報出力部3は、記憶媒体や通信を介して情報を出力してもよい。
【0019】
制御部10は、CPU、RAM、ROM等により構成されている。制御部10は、入力情報受付部11と、ニューラルネットワーク演算部12と、選定部13と、記憶部14と、入力情報変換部31と、を有している。制御部10は、プログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサはCPU、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリには、情報の処理を行うための種々のプログラムが記憶され、CPUは各種プログラムの読み出し、による演算を行う。
【0020】
入力情報受付部11は、部品に関する入力情報を作成する。入力情報受付部11は、情報入力部2にて入力された情報を取得し、当該情報を用いて入力情報を作成する。入力情報受付部11は、複数の部品にそれぞれ紐付けられた識別情報、及び部品の個数などに関する情報を取得する。入力情報は、部品に関する情報をニューラルネットワーク演算を行い易い態様に調整された情報である。
図2に示すように、入力情報受付部11は、梱包作業の前段階において、梱包する部品の部品リスト、すなわち、どの部品が何個、梱包対象となっているかを示すリストを取得する。また、
図3に示すように、入力情報受付部11は、学習時において、実際に梱包された部品の部品リスト、及びどの輸送箱が梱包に用いられたかの情報を取得する。なお、部品に紐付けられた識別情報の具体的な内容、及び入力情報の具体的な内容については後述する。なお、本実施形態では、入力情報受付部11が作成した入力情報は、入力情報変換部31によって変換された状態で、ニューラルネットワーク演算部12へ入力される。
【0021】
ニューラルネットワーク演算部12は、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、輸送箱に関する評価値の算出を行う。ニューラルネットワーク演算部12は、過去の梱包実績に基づく教師データを用いて学習を行うことで学習情報を取得する(
図3参照)。また、ニューラルネットワーク演算部12は、当該学習情報を用いて実際の作業現場において梱包する部品リストに適した輸送箱として、どの輸送箱がよいかを選定するための評価値を演算する(
図2参照)。
【0022】
ニューラルネットワーク演算部12は、学習部16を有する。学習部16は、機械学習のモデルを学習情報として生成する。学習段階(
図3参照)において、学習部16は、最も予測精度が高いと推定される最良のニューラルネットワークをモデルとして生成する。学習部16は、教師データ(過去の梱包実績のサンプル)を記憶部14などから読み出し、学習をさせるニューラルネットワークに個々のサンプルを逐次入力しながら機械学習を実行する。なお、このようなニューラルネットワークは、例えば、ニューロンのモデルを模した演算部や記憶部等によって構成できる。例えば、学習部16は、多層ニューラルネットワークを用いる深層学習を実行することでモデルを生成してもよい。機械学習の種類は深層学習に限定されず、学習部16は他の手法を用いてモデルを生成してもよい。なお、ニューラルネットワーク演算部12の具体的な構成、及び処理内容については後述する。
【0023】
選定部13は、ニューラルネットワーク演算部12の出力層から出力された評価値に基づいて輸送箱を選定する。選定部13は、評価値を取得して、当該評価値を用いて、部品を梱包する上で、最も適した輸送箱を選定する。選定部13は、予め記憶部14に記憶された輸送箱リスト(箱情報)の中から、最も適した輸送箱を選定する。なお、選定部13の具体的な処理内容については、後述する。
【0024】
記憶部14は、箱選定装置100における各種情報を記憶する部分である。記憶部14は、少なくとも学習情報(ニューラルネットワークのモデル)、及び箱情報を記憶している。箱情報は、作業現場において用いられる複数の輸送箱に関する情報であり、箱選定作業の前段階で事前に記憶部14に記憶される。記憶部14は、複数の輸送箱のそれぞれの大きさや形状等の情報を含んだ輸送箱リスト(
図2参照)の形態で、箱情報を記憶する。
【0025】
入力情報変換部31は、入力情報受付部11が作成した入力情報を変換する。入力情報変換部31は、重要度算出部32と、重要度反映処理部33と、を有する。重要度算出部32は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各部品の箱選定での重要度を算出する。重要度反映処理部33は、重要度に基づいて、入力情報における各部品の個数に対する重み付けを行う。
【0026】
次に、
図2及び
図3を参照して、ニューラルネットワーク演算部12の処理の具体例について説明する。まず、
図3を参照して、箱選定装置100のニューラルネットワーク演算部12が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合について説明する。ここでは、梱包実績として、「部品aが2個」「部品bが1個」「部品cが2個」「部品dが1個」という部品リストの場合に、「輸送箱Z」が用いられたというデータが用いられる。なお、この場合の部品リストを「部品リストPL1」と称する場合がある。また、梱包に用いることができる輸送箱は、「輸送箱U,V,W,X,Y,Z」という6種類(
図2参照)の輸送箱が登録された輸送箱リストの中から、選定されるものとする。当該輸送箱リストを「輸送箱リストBL1」と称する場合がある。
【0027】
図3に示すように、ニューラルネットワーク演算部12は、梱包実績のデータから、梱包した部品リストPL1を抽出し、当該部品リストに対し、梱包した輸送箱として「輸送箱Z」が選定されたことを抽出する。ニューラルネットワーク演算部12の学習部16(
図1参照)は、当該部品リストPL1が抽出された場合に、輸送箱Zが選定されるような評価値が出力されるように、ニューラルネットワークのモデルMを適宜更新する。ニューラルネットワーク演算部12は、複数種類の部品リストと、当該部品リストに対して選定された輸送箱に関する多数の梱包実績に基づく教師データを用いて学習を行う。
【0028】
ここで、重要度算出部32は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各物品の箱選定での重要度を算出する。重要度算出部32は、梱包実績に含まれる部品リストの各部品の個数の情報、及び選定された輸送箱の情報を用いて、各部品の重要度を算出する。抽出された部品リストPL1は、重要度反映処理部33で重要度を反映された状態で、ニューラルネットワーク演算部12に入力される。
【0029】
次に、
図2を参照して、箱選定装置100が輸送箱の選定を行う場合について説明する。
図2に示すように、箱選定装置100は、予め輸送箱リストBL1を取得しておく。そして、輸送箱の選定を行うときには、箱選定装置100は、梱包の対象となる部品を示す情報として、前述の部品リストPL1を取得する。このとき、部品リストPL1に係る入力情報は、重要度反映処理部33で重要度を反映された状態でニューラルネットワーク演算部12に入力される。ニューラルネットワーク演算部12は、
図3に示す学習によって更新したニューラルネットワークのモデルMを用いて輸送箱に関する評価値を算出する。ニューラルネットワーク演算部12は、学習の結果、輸送箱リストBL1のうち、輸送箱Zが最も選定され易くなるような評価値を出力する。従って、選定部13は、当該評価値に基づいて、輸送箱Zを選定する。箱選定装置100は、輸送箱Zを選定した旨を出力する。
【0030】
次に、
図4を参照して、箱選定装置100のより詳細な処理内容、ニューラルネットワーク演算部12の詳細な構成、及びその処理内容について説明する。
図4は、箱選定装置100の処理内容の具体例を示す模式図である。まず、入力情報受付部11が入力情報を作成する際の処理について説明する。
【0031】
変換前の入力情報は、予め定められた部品一覧における各部品の個数に関する情報を有する。部品一覧は、梱包実績から、輸送箱に梱包され得る部品を全て抽出することで予め設定される。従って、変換前の入力情報は、部品一覧に含まれる部品の種類数、すなわち梱包の対象となる部品の種類数に対応する行(列でもよい)を有する情報テーブル60を有する。すなわち、部品の種類がN種類であった場合、情報テーブル60は、N行の格納部61を有する。なお、各行における格納部61は、1個だけである(すなわち1列)。入力情報受付部11は、輸送箱の選定対象となる部品リストを取得したら、情報テーブル60にそれぞれの種類に係る部品の個数を入力する。例えば、
図6(b)に示す例では、「部品bが2個、部品dが1個、部品eが3個、部品fが2個…」をいう部品リストを取得している。従って、情報テーブル60の部品bに対応する2行目の格納部61には「2」が格納され、部品dに対応する4行目の格納部61には「1」が格納され、部品eに対応する5行目の格納部61には「3」が格納され、部品fに対応する6行目の格納部61には「2」が格納される。0個の部品に対応する格納部61には「0」が格納される。
【0032】
なお、新規部品のように詳細を把握できていない「未知部品x」が存在している場合、入力情報受付部11は、次のような前処理を行ってよい。例えば、入力情報受付部11は、情報テーブル60に「未知部品」を示す行を追加し、当該行に全ての未知部品xの個数を入力してよい。入力情報受付部11は、「未知部品x」に対応する行を破棄してよい。
【0033】
まず、重要度算出部32について説明する。
図5(a)に示すように、梱包実績は、部品リスト、及び選定された輸送箱の組み合わせに係る情報を複数含んでいる。各部品リストは、N種類の部品の組み合わせによって構成されているものとする。また、輸送箱は、M種類の中から選定されるものとする。この場合、重要度算出部32は、N種類の各部品が、M種類のそれぞれの輸送箱に梱包される割合算出する。例えば、重要度算出部32は、部品aを含む部品リストを抽出し、抽出された部品リストにおいて選定された輸送箱の種類及び選定された回数を把握する。重要度算出部32は、部品aを含む部品リストの合計個数と、各種類の輸送箱の選定回数と、を把握し、部品aが梱包される割合をそれぞれの種類の輸送箱について算出する。これにより、重要度算出部32は、輸送箱種類数分の割合を要素として持つ部品aのベクトル(
図5(a)のB1参照)を算出できる。例えば、重要度算出部32は、以下の式(1)を用いて各部品のそれぞれの輸送箱に梱包される割合を算出する。また、重要度算出部32は、以下の式(2)を用いて、梱包実績に基づいて、全物品が各搬送箱に梱包された割合を算出する。これにより、重要度算出部32は、輸送箱種類数分の割合を要素として持つ全部品のベクトル(
図5(a)のB2参照)を算出できる。
【数1】
p
ij:各部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
d
ij:部品iが輸送箱jに梱包された回数
i :部品の種類を示す番号
j :輸送箱の種類を示す番号
n :輸送箱の種類の総数
【数2】
s
j :全部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
d
ij:部品iが輸送箱jに梱包された回数
i :部品の種類を示す番号
m :部品の種類の総数
j :輸送箱の種類を示す番号
n :輸送箱の種類の総数
【0034】
例えば、部品aを含む部品リストが100個存在しており、それに対し、輸送箱Bが50回選定され、輸送箱Cが50回選定されたとする。この場合、重要度算出部32は、部品aが輸送箱Bに梱包される割合は50%であり、輸送箱Cに梱包される割合は50%であると算出する。この場合、「輸送箱B:50%、輸送箱C:50%、他の種類の輸送箱:0%」という確率分布が部品aのベクトルとして算出される。同様に、「輸送箱A:100%、他の種類の輸送箱:0%」という確率分布が部品bのベクトルとして算出される。このように、重要度算出部32は、N種類全ての部品に対するベクトルを算出する。
【0035】
次に、重要度算出部32は、各部品のベクトルと、全部品のベクトルとのユークリッド距離を算出し、当該値を各部品における重要度とする。重要度算出部32は、以下の式(3)を用いて各部品における重要度を算出する。ユークリッド距離を重要度とすることについて、
図5(b)を参照して説明する。
図5(b)は、輸送箱A~Gに対して部品x,yがそれぞれ梱包された割合を確率で示したグラフである。全部品の確率分布に対して、部品xの確率分布は完全に一致しているため、部品xは、当該部品xと特定の輸送箱との間に相関無く輸送箱が選定されていることが分かる。それに対し、部品yの確率分布は全部品の確率分布と大きく乖離しており、輸送箱Aに偏っている。このことより、部品yは、輸送箱の選定に関して部品固有の特徴を持っていることが分かる。部品xのユークリッド距離は小さく、部品yのユークリッド距離は大きい。輸送箱の選定においては、部品固有の特徴を有し、重要度が高い部品の方がユークリッド距離が大きくなると見なすことができる。
【数3】
s
j:全部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
p
ij:各部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
i :部品の種類を示す番号
m :部品の種類の総数
j :輸送箱の種類を示す番号
n :輸送箱の種類の総数
【0036】
次に、重要度反映処理部33について説明する。重要度反映処理部33は、
図6(a)の左側に示すような各部品の重要度を示す情報テーブルを取得したら、正規化することで、
図6(a)の右側に示すような、各部品の重みの情報テーブル70に変換する。全部品のベクトルに対して部品のベクトルが完全に一致する場合、重みは0となり、重要度が最も高くなる部品について重みが1となる(ここでは重要度3が最大)。
【0037】
次に、
図6(b)及び
図4に示すように、重要度反映処理部33は、入力情報の情報テーブル60に格納された各部品の個数に対して、情報テーブル70の各部品の重みを乗じる。これによって、重要度反映処理部33は、重要度反映後の部品個数が格納された情報テーブル80を作成することができる。なお、重要度反映処理部33は、未知部品xが属する未知部品の格納部を情報テーブル70,80に準備し、未知部品の個数は全て未知部品用の格納部に集約してよい。なお、未知部品に対しては、任意の重みを設定してよい。この場合、情報テーブル70,80はN+1行となる。あるいは、未知部品の情報を加えた学習データを用いて、ニューラルネットワーク演算部12を再学習させてよい。あるいは、未知部品の個数を破棄してもよい。
【0038】
重要度反映処理部33は、情報テーブル80に各部品の重要度反映後の個数を格納して入力情報を変換したら、各行に格納された個数の情報をニューラルネットワーク演算部12へ入力する。なお、重要度反映処理部33は、学習時においても、梱包実績に係る入力情報をニューラルネットワーク演算部12へ入力する前段階において、入力情報の各部品に重要度を反映する。
【0039】
ニューラルネットワーク演算部12は、ニューラルネットワークのモデルとして、入力層21と、中間層22と、出力層23と、を有する。入力層21は、ニューラルネットワーク演算を行うためのパラメータを入力するための層である。中間層22は、入力されたパラメータに対して所定の演算を行う層である。出力層23は、評価値を出力する層である。入力層21は、入力されるパラメータの数に応じたノードNDを有している。また、中間層22は任意の数のノードNDを有し、出力層23は、出力されるパラメータの数に応じたノードNDを有する。例えば、入力層21は、m個のパラメータを成分とする入力ベクトルx=(x
1,x
2,…x
m)をそのまま中間層22に出力する。中間層22は各層の重みと活性化関数により総入力を出力に変換してその出力を出力層23に渡す。出力層23も各層の重みと活性化関数により総入力を出力に変換する。この出力は、n個のパラメータを成分とするニューラルネットワークの出力ベクトルy=(y
1,y
2,…,y
n)である。この出力ベクトルyは評価値を示す。なお、学習時においては(
図3参照)一つの入力ベクトルxに対する出力ベクトルの正解をd=(d
1,d
2,…,d
n)とすると、その出力ベクトルyが正解dに近くなるように各層の重みwが更新される。これが学習という情報処理である。なお、各層21~23のノードNDの数は特に限定されるものではなく、各層21~23が入力されるパラメータの数に応じたノードNDを有してよい。
【0040】
本実施形態においては、入力層21のノードNDの数は、情報テーブル80の行の数(N+1)と同じに設定される。中間層22は、全結合、畳込み層、プーリング層などのニューラルネットワークにおける一般的な層によって構成され、作業現場に応じて適切に構成される。ニューラルネットワーク演算部12は、比例関数を利用して評価値を算出する。具体的には、出力層23が、比例関数を利用して評価値を算出する。比例関数を以下の数式(4)に示す。出力層23は、輸送箱の各辺における寸法を評価値として出力する。すなわち、出力層23の各ノードNDには、輸送箱の長辺、短辺、及び高さが割り当てられ、各辺の寸法が出力される。
yk=zk …(4)
yk:出力層のk番目のノードの出力
zk:出力層のk番目のノードの値
【0041】
選定部13は、出力層23から出力された評価値としての各辺の寸法を取得する。そして、選定部13は、選定可能な輸送箱(輸送箱リストBL1における輸送箱)の各辺の寸法と、評価値に係る寸法とを比較して誤差を演算する。そして、選定部13は、評価値に係る寸法との誤差が最小となる輸送箱を選定する。ここで、選定部13は、選定時の評価関数として、各辺の誤差の二乗和(以下の式(5)を参照)等を用いてよい。
【数4】
【0042】
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態に係る箱選定方法について説明する。
図7は、箱選定装置100の制御部10による学習時における制御処理の内容を示すフローチャートである。
図8は、箱選定装置100の制御部10による輸送箱の選定時における制御処理の内容を示すフローチャートである。箱選定方法は、予め学習された学習情報に基づき、部品を梱包する輸送箱を選定する方法である。なお、各ステップにおける詳細な処理内容は、箱選定装置100の各構成要素の説明においてなされたものと同様であるため、説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、重要度算出部32は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各部品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップS100を実行する。重要度反映処理部33は、重要度に基づいて、入力情報における各部品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップS110を実行する。ニューラルネットワーク演算部12は、各部品の重要度が反映された変換後の入力情報に基づいて、学習を行う学習ステップS120を実行する。なお、S110の処理は、ニューラルネットワーク演算部12へ入力情報受付部11が梱包実績に含まれる部品リストを入力する毎に実行されてもよいし、学習ステップS120が実行される前段階で、梱包実績に含まれる全ての部品リストに基づく入力情報に対し、まとめて実行されてもよい。
【0044】
箱選定方法においては、
図8に示すように、記憶部14に学習情報及び輸送箱の箱情報を記憶させる記憶ステップS10が実行される。なお、記憶ステップS10は、
図8の処理が実行される前段階において予め実行されてよい。ここでは、
図3で説明したように、学習情報として、ニューラルネットワークのモデルが生成、または更新される。
【0045】
次に、入力情報受付部11は、部品に関する情報を取得すると共に、取得した情報に基づいて入力情報を作成する入力情報受付ステップS20を実行する。次に、入力情報変換部31は、入力情報を変換する入力情報変換ステップS25を実行する。ここでは、
図7の重要度反映処理ステップS110と同趣旨の処理が行われる。次に、ニューラルネットワーク演算部12は、入力情報変換ステップS25で変換された入力情報を入力層21に入力し、記憶部14に記憶された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、輸送箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30を実行する。次に、選定部13は、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層23から出力された評価値に基づいて輸送箱を選定する選定ステップS40を実行する。以上により、
図7に示す制御処理が終了する。なお、別の部品リストに対する輸送箱の選定を行うときは、入力情報受付ステップS20から再び処理を繰り返してよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る箱選定装置100の作用・効果について説明する。
【0047】
箱選定装置100において、ニューラルネットワーク演算部12は、部品に関する入力情報を入力層21に入力し、学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行う。そして、選定部13は、ニューラルネットワーク演算部12の出力層23から出力された評価値に基づいて、梱包の対象となる部品に適した箱を選定することができる。ここで、学習情報は、梱包実績に基づいて予め学習されたものである。すなわち、ニューラルネットワーク演算部12は、例えば部品の形状、梱包先の環境情報などの複雑な条件を考慮することを省略し、過去の梱包実績に基づく学習を行うだけで、梱包する部品に適した箱を選定するための評価値を出力することができる。ここで、入力情報変換部31は、ニューラルネットワーク演算部12に入力される入力情報を変換することができる。変換前の入力情報は、予め定められた部品一覧における各部品の個数に関する情報を有する。例えば、部品一覧の部品の種類が膨大になるなどの場合、あらゆる部品の組み合わせについて梱包実績を取得することが難しくなる可能性がある。これに対し、入力情報変換部31は、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各部品の箱選定での重要度を算出する重要度算出部32を有する。重要度算出部32は、箱の選定の際に、選定に対する影響が大きい部品と、影響が小さい部品とを、重要度で現すことができる。また、入力情報変換部31は、重要度に基づいて、入力情報における各部品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理部33を有する。これにより、重要度反映処理部33は、選定に対する影響の大きさを反映した形に入力情報を変換することができる。これにより、ニューラルネットワーク演算部12は、箱の選定の際に重視すべき部品を把握した態様で学習を行うことができる。以上により、箱の選定精度を向上できるようにニューラルネットワーク演算部12の学習を行うことができる。
【0048】
また、従来の手法のように、部品形状のような追加データを追加して学習を行う場合、部品一覧の部品の種類が膨大になるため、追加データの取得に膨大な手間が係る。一方、本実施形態に係る箱選定装置100は、そのような追加データを用いることなく、箱の選定精度を向上できる。
【0049】
重要度は、各部品のベクトルと、全部品のベクトルとのユークリッド距離に基づいて設定されてよい。箱の選定において部品固有の特徴を有することで重要度が高い部品のベクトルは、全部品のベクトルとのユークリッド距離が大きい。従って、重要度がユークリッド距離に基づいて設定されることで、重要度算出部32が適切に重要度を算出することができる。
【0050】
重要度算出部32は、各箱に対して各部品が梱包された割合と、全部品において各箱梱包される割合を示す確率分布との乖離に基づいて、重要度を算出してよい。例えば、箱の選定において部品固有の特徴が小さい部品の確率分布は、全部品の確率分布と類似することになるため、乖離が小さい。一方、箱の選定において部品固有の特徴が大きい部品の確率分布は、特有の分布を描くため、全部品の確率分布との乖離が大きくなる。このように、重要度算出部32が、確率分布の乖離に基づいて適切に重要度を算出することができる。
【0051】
本実施形態に係る情報処理方法は、予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップS10と、部品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップS20と、入力情報を変換する入力情報変換ステップS25と、変換された入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30と、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップS40と、を有する箱選定方法で用いられる情報処理方法であって、変換前の入力情報は、予め定められた部品一覧における各部品の個数に関する情報を有し、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各部品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップS100と、重要度に基づいて、入力情報における各部品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップS110と、を有する。
【0052】
本実施形態に係る情報処理プログラムは、予め学習された学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップS10と、部品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップS20と、入力情報を変換する入力情報変換ステップS25と、変換された入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30と、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップS40と、をコンピュータシステムに実行させる箱選定プログラムで用いられる情報処理プログラムであって、変換前の入力情報は、予め定められた部品一覧における各部品の個数に関する情報を有し、梱包実績に基づいてニューラルネットワーク演算での学習における各部品の箱選定での重要度を算出する重要度算出ステップS100と、重要度に基づいて、入力情報における各部品の個数に対する重み付けを行う重要度反映処理ステップS110と、をコンピュータシステムに実行させる。
【0053】
これらの情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、上述の箱選定装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0055】
上述の実施形態では、重要度算出部はユークリッド距離を使用して重要度を算出したが、重要度の算出方法は特に限定されるものではない。例えば、マンハッタン距離、KLダイバージェンス、ヒストグラムインターセクション、コサイン類似度など、様々な手法を用いて重要度が算出されてよい。
【0056】
例えば、重要度算出部がマンハッタン距離によって重要度を算出する場合、以下の式(6)を用いて重要度を算出してよい。また、重要度算出部がKLダイバージェンスによって重要度を算出する場合、以下の式(7)を用いて重要度を算出してよい。
【数5】
s
j:全部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
p
ij:各部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
i :部品の種類を示す番号
m :部品の種類の総数
j :輸送箱の種類を示す番号
n :輸送箱の種類の総数
【数6】
s
j:全部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
p
ij:各部品がそれぞれの輸送箱に梱包された割合
i :部品の種類を示す番号
m :部品の種類の総数
j :輸送箱の種類を示す番号
n :輸送箱の種類の総数
【0057】
また、ニューラルネットワーク演算部の各層の構成は特に限定されない、例えば中間層は、全結合、畳み込み等、種類が限定されることなく採用可能である。また、出力層は3辺を出力するものでなくてもよく、ワンホット出力の形式であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…制御部、11…入力情報受付部、12…ニューラルネットワーク演算部、13…選定部、14…記憶部、21…入力層、23…出力層、31…入力情報変換部、32…重要度算出部、33…重要度反映処理部、100…箱選定装置。