IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図1
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図2
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図3
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図4
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図5
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図6
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図7
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図8
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図9
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図10
  • 特許-アタッチメントの目標軌跡変更システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】アタッチメントの目標軌跡変更システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20240709BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
E02F3/43 E
E02F9/20 Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020138452
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034650
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】秋山 将貴
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕治
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-001968(JP,A)
【文献】特開2019-039279(JP,A)
【文献】特開2008-095307(JP,A)
【文献】実開昭61-050159(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、を有する作業機械における、アタッチメントの目標軌跡変更システムであって、
前記アタッチメントの特定部位の目標軌跡上の、特定時間毎の目標点を、前記アタッチメントの姿勢に関連付けた情報として設定する目標点設定手段と、
前記目標軌跡および前記目標点を表示する表示装置と、
複数の前記目標点のいずれかを変更対象点として作業者に選択させる対象点選択手段と、
前記変更対象点の前方に位置する前記目標点である変更開始点、および、前記変更対象点の後方に位置する前記目標点である変更終了点の少なくとも一方における前記アタッチメントの姿勢の情報に基づいて、前記変更対象点を移動可能な範囲を移動可能範囲として設定する範囲設定手段と、
前記移動可能範囲内において前記変更対象点を前記作業者に移動させる対象点移動手段と、
を有することを特徴とするアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項2】
前記アタッチメントは、
上下方向に回動可能に前記上部旋回体に取り付けられたブームと、
上下方向に回動可能に前記ブームに取り付けられたアームと、
前記アームに回動可能に取り付けられた先端アタッチメントと、
を有し、
前記対象点移動手段は、
前記ブーム、前記アーム、および、前記先端アタッチメントの少なくとも1つを対象アタッチメントとして前記作業者に選択させる対象アタッチメント選択手段と、
前記対象アタッチメントの目標姿勢を前記作業者に変更させることで、前記変更対象点を移動させる目標姿勢変更手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項3】
前記変更対象点の前方に位置する複数の前記目標点のいずれかを前記変更開始点として前記作業者に選択させる開始点選択手段と、
前記変更対象点の後方に位置する複数の前記目標点のいずれかを前記変更終了点として前記作業者に選択させる終了点選択手段と、
前記変更開始点と移動後の前記変更対象点との間に前記目標点がある場合に、その目標点を、前記変更開始点と移動後の前記変更対象点とを結ぶ線上にずらす第1目標点移動手段と、
前記変更終了点と移動後の前記変更対象点との間に前記目標点がある場合に、その目標点を、前記変更終了点と移動後の前記変更対象点とを結ぶ線上にずらす第2目標点移動手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項4】
前記作業機械と相互に通信可能な携帯端末を有し、
前記携帯端末は、前記表示装置と、前記対象点選択手段と、前記対象点移動手段と、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項5】
前記作業機械の周囲状況を取得する周囲状況取得装置を有し、
前記表示装置は、取得した前記周囲状況を、前記目標軌跡および前記目標点に重畳させて表示することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項6】
前記周囲状況に含まれる障害物と前記目標軌跡との距離が所定値以下の場合に、警告を発生する警告装置を有することを特徴とする請求項5に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項7】
前記表示装置は、前記特定部位を前記目標軌跡上に位置させながら前記アタッチメントが動く動画を表示することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項8】
前記表示装置は、
前記アタッチメントの前記特定部位が前記変更対象点に位置する画像を表示するとともに、
前記作業者の操作に応じて、前記画像における前記特定部位の位置が移動するように表示し、
前記対象点移動手段は、移動された前記特定部位の位置に応じて、前記変更対象点を移動させることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項9】
前記表示装置は、前記画像における前記特定部位の位置が前記移動可能範囲内から前記移動可能範囲外に移動した場合に、前記画像の表示態様を変化させることを特徴とする請求項8に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項10】
前記特定時間を前記作業者に変更させる時間変更手段を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のアタッチメントの特定部位の目標軌跡を変更する、アタッチメントの目標軌跡変更システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、予め教示した掘削位置と放土位置とに基づいて、ショベルに一連の繰り返し動作を自動で行わせることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-182091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転では、アタッチメントの特定部位(例えば、バケットの先端)が、目標軌跡を描くように繰り返し動作される。しかし、作業現場によっては、目標軌跡の一部を、その作業現場に即したものに変更したい場合がある。この場合に、ティーチングし直すなどして、目標軌跡のすべてを設定し直すのは、作業効率が悪い。
【0005】
本発明の目的は、作業効率を向上させることが可能なアタッチメントの目標軌跡変更システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、を有する作業機械における、アタッチメントの目標軌跡変更システムであって、前記アタッチメントの特定部位の目標軌跡上の、特定時間毎の目標点を、前記アタッチメントの姿勢に関連付けた情報として設定する目標点設定手段と、前記目標軌跡および前記目標点を表示する表示装置と、複数の前記目標点のいずれかを変更対象点として作業者に選択させる対象点選択手段と、前記変更対象点の前方に位置する前記目標点である変更開始点、および、前記変更対象点の後方に位置する前記目標点である変更終了点の少なくとも一方における前記アタッチメントの姿勢の情報に基づいて、前記変更対象点を移動可能な範囲を移動可能範囲として設定する範囲設定手段と、前記移動可能範囲内において前記変更対象点を前記作業者に移動させる対象点移動手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、作業機械のアタッチメントの特定部位の目標軌跡上の、特定時間毎の目標点が、アタッチメントの姿勢に関連付けられた情報として設定される。目標軌跡および目標点は、表示装置に表示される。アタッチメントの特定部位の目標軌跡の一部を、その作業現場に即したものに変更したい場合、作業者は、複数の目標点のいずれかを変更対象点として選択する。すると、変更対象点を移動可能な範囲が移動可能範囲として設定されるので、作業者は、移動可能範囲内において変更対象点を移動させることができる。変更対象点が移動されると、移動後の変更対象点を通るように、目標軌跡が変更される。よって、目標軌跡の一部を変更するために、目標軌跡のすべてを設定し直さなくて済むので、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】目標軌跡変更システムの構成図である。
図2】目標軌跡変更システムの回路図である。
図3】第1実施形態におけるディスプレイの表示画面を示す図である。
図4】第1実施形態におけるディスプレイに表示された目標軌跡および目標点を示す図であり、変更対象点が移動される前の状態を示す図である。
図5】第1実施形態におけるディスプレイに表示された目標軌跡および目標点を示す図であり、変更対象点が移動された後の状態を示す図である。
図6】ディスプレイに表示された、アタッチメントが動く動画を示す図である。
図7】第1実施形態におけるディスプレイに表示された目標軌跡および目標点を示す図であり、変更対象点の移動の前後の状態を示す図である。
図8】目標軌跡変更処理のフローチャートである。
図9】第2実施形態におけるディスプレイの表示画面を示す図である。
図10】第2実施形態におけるディスプレイに表示された目標軌跡および目標点を示す図であり、特定時間が短くされた場合の図である。
図11】第2実施形態におけるディスプレイに表示された目標軌跡および目標点を示す図であり、特定時間が長くされた場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
[第1実施形態]
(目標軌跡変更システムの構成)
本発明の第1実施形態によるアタッチメントの目標軌跡変更システム(目標軌跡変更システム)は、作業機械のアタッチメントの特定部位の目標軌跡を変更するものである。目標軌跡変更システム1の構成図である図1に示すように、目標軌跡変更システム1は、作業機械2と、携帯端末3と、カメラ4と、を有している。
【0011】
(作業機械の構成)
図1に示すように、作業機械2は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械2は、下部走行体21と、上部旋回体22と、旋回装置24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0012】
下部走行体21は、作業機械2を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。旋回装置24は、上部旋回体22を旋回させることが可能である。
【0013】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット(先端アタッチメント)33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、上下方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、作業対象(土砂など)の、掘削、ならし、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33は、アーム32に取り付けられる先端アタッチメントの一例であり、先端アタッチメントはこれに限定されず、ニブラやクランプアーム等であってもよい。
【0014】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0015】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回転駆動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0016】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回転駆動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0017】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回転駆動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0018】
また、作業機械2は、操作レバー51(図2参照)と、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0019】
操作レバー51は、旋回装置24およびアタッチメント30を動作させるためにオペレータにより操作される。操作レバー51は、キャブ23内に設けられている。
【0020】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0021】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0022】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
(携帯端末の構成)
図1に示すように、携帯端末3は、作業現場にいる作業者により操作される端末であり、例えばタブレット端末である。携帯端末3は、作業機械2と相互に通信可能である。なお、携帯端末3は、スマートフォン等であってもよい。
【0026】
(カメラの構成)
図1に示すように、カメラ(周囲状況取得装置)4は、作業機械2の周囲状況を取得するものである。本実施形態において、カメラ4は、アタッチメント30の後方から、アタッチメント30の周囲状況を取得できる位置に配置されている。なお、カメラ4は周囲状況取得装置の一例であり、周囲状況取得装置はこれに限定されず、ライダ(LIDAR)等であってもよい。また、カメラ4は、作業機械2に設けられていてもよいし、作業機械2から離れた場所に設置されていてもよい。
【0027】
(目標軌跡変更システムの回路構成)
目標軌跡変更システム1の回路図である図2に示すように、作業機械2は、コントローラ11と、作業機械側通信装置12と、記憶装置13と、を有している。
【0028】
コントローラ11は、バケット33の先端の目標軌跡を設定する。なお、バケット33の先端は、アタッチメント30の特定部位の一例であり、アタッチメント30の特定部位はこれに限定されず、例えば、アーム32の先端等であってもよい。また、コントローラ(目標点設定手段)11は、目標軌跡上の、特定時間毎の目標点を、アタッチメント30の姿勢に関連付けた情報として設定する。ここで、アタッチメント30の姿勢には、上部旋回体22の旋回角度も含まれる。本実施形態において、特定時間は1秒である。
【0029】
ここで、本実施形態では、実際に作業機械2を動作させるティーチングにより、目標軌跡を設定している(オンラインティーチング)。具体的には、オペレータが操作レバー51を操作することで、旋回装置24およびアタッチメント30を動作させる。このときの上部旋回体22の旋回角度が、角度センサ52により検出される。また、このときのアタッチメント30の姿勢が、傾斜角センサ60により検出される。コントローラ11は、検出した上部旋回体22の旋回角度、および、検出したアタッチメント30の姿勢に基づいて、目標軌跡を設定する。ここでの特定時間は、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出値のサンプリング時間である。
【0030】
なお、作業機械2を実際に動作させることなく、上部旋回体22の旋回角度の情報およびアタッチメント30の姿勢の情報をコントローラ11に入力することで、目標軌跡を設定してもよい(オフラインティーチング)。この場合、特定時間毎の情報をコントローラ11に入力することで、目標軌跡を設定してよい。
【0031】
作業機械側通信装置12は、携帯端末3の後述する携帯端末側通信装置16と通信可能である。記憶装置13は、コントローラ11が設定した目標軌跡および目標点を記憶可能である。
【0032】
コントローラ11は、目標軌跡および目標点に基づいて、自動運転指令を生成する。自動運転指令は、旋回装置24およびアタッチメント30を自動で動作させるための指令である。そして、コントローラ11は、自動運転指令に基づいて、旋回装置24およびアタッチメント30を自動で動作させることが可能である。作業機械2は、自動運転指令に基づいて自動運転されることになる。
【0033】
図2に示すように、携帯端末3は、携帯端末側コントローラ15と、携帯端末側通信装置16と、携帯端末側記憶装置17と、タッチパネル18と、ディスプレイ19と、スピーカ20と、を有している。
【0034】
携帯端末側通信装置16は、作業機械2の作業機械側通信装置12と通信可能である。携帯端末側コントローラ15は、携帯端末側通信装置16を介して、作業機械2から目標軌跡および目標点を受信する。ディスプレイ19の表示画面を示す図である図3に示すように、ディスプレイ(表示装置)19は、目標軌跡71および目標点を表示する。なお、図3では、目標点を図示していない。また、図3に示すように、ディスプレイ19は、カメラ4が取得した周囲状況76を、目標軌跡71および目標点に重畳させて表示する。
【0035】
なお、図3に示す目標軌跡71は、持ち上げ旋回時のものであるが、これに限定されず、復帰旋回時のもの等であってもよい。持ち上げ旋回とは、バケット33で掬った土砂等を保持した状態で、上部旋回体22を旋回させる動作である。復帰旋回とは、バケット33で保持していた土砂等を排出した後に、上部旋回体22を旋回させて、バケット33を掘削位置に復帰させる動作である。
【0036】
図2に戻って、携帯端末側記憶装置17は、作業機械2から受信した目標軌跡および目標点を記憶可能である。タッチパネル(入力装置)18は、作業者からの入力を受け付ける。なお、タッチパネル18は、入力装置の一例であり、入力装置はこれに限定されず、例えば、キーボード等であってもよい。
【0037】
スピーカ(警告装置)20は、周囲状況76に含まれる障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下の場合に、音声で警告を発生する。例えば、周囲状況76が更新された際に、新たに出現した障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下の場合に、警告が発生される。なお、スピーカ20は、警告装置の一例であり、警告装置はこれに限定されず、例えば、バイブレータによる振動や、ディスプレイ19の表示形態によって警告を行なうものであってもよい。
【0038】
ディスプレイ19に表示された目標軌跡71および目標点72を図4に示す。ティーチングによって設定された目標軌跡71ではあるが、作業現場によっては、障害物を避ける等の理由によって、目標軌跡71の一部を、その作業現場に即したものに変更したい場合がある。
【0039】
このような場合、携帯端末3において、変更モードが起動される。この変更モードにおいて、携帯端末側コントローラ(対象点選択手段)15は、複数の目標点72のいずれかを変更対象点73として作業者に選択させる。スピーカ20からの警告により、障害物に接触しそうな目標点72の移動が、作業者に促される。作業者は、タッチパネル18を操作して、変更対象点73を選択する。具体的には、作業者は、変更対象点73としたい目標点72が表示されたタッチパネル18の部位をタッチする。図4においては、矢印Aで示す目標点72が変更対象点73として選択されている。
【0040】
次に、携帯端末側コントローラ(開始点選択手段)15は、変更対象点73の前方に位置する複数の目標点72のいずれかを変更開始点74として作業者に選択させる。作業者は、タッチパネル18を操作して、変更開始点74を選択する。図3においては、矢印Bで示す、変更対象点73の1つ隣りの目標点72が変更開始点74として選択されている。
【0041】
次に、携帯端末側コントローラ(終了点選択手段)15は、変更対象点73の後方に位置する複数の目標点72のいずれかを変更終了点75として作業者に選択させる。作業者は、タッチパネル18を操作して、変更終了点75を選択する。図3においては、矢印Cで示す、変更対象点73のすぐ隣りの目標点72が変更終了点75として選択されている。
【0042】
次に、携帯端末側コントローラ(範囲設定手段)15は、変更対象点73を移動可能な範囲を移動可能範囲として設定する。移動可能範囲は、変更開始点74および変更終了点75の少なくとも一方におけるアタッチメント30の姿勢の情報に基づいて設定される。
【0043】
矢印Aで示す変更対象点73の場合、その前方および後方にそれぞれ目標点72がある。よって、移動可能範囲は、変更開始点74および変更終了点75の両方におけるアタッチメント30の姿勢の情報に基づいて設定される。ただし、変更対象点73が、目標軌跡71の両端のどちらかに位置する目標点72である場合、その前方および後方のどちらかにしか目標点72がないので、移動可能範囲は、変更開始点74および変更終了点75のどちらか一方におけるアタッチメント30の姿勢の情報に基づいて設定される。
【0044】
ここで、上述したように、特定時間は1秒である。そのため、アタッチメント30の姿勢は、変更開始点74の姿勢から1秒で移動後の変更対象点73の姿勢に変化した後に、移動後の変更対象点73の姿勢から1秒で変更終了点75の姿勢に変化する必要がある。このような制約の上で、変更対象点73を移動させることが可能な範囲が、移動可能範囲である。移動可能範囲は、変更開始点74および変更終了点75における、シリンダ40のロッドの伸縮速度や、上部旋回体22の旋回速度、シリンダ40のロッドの可動範囲に基づいて設定される。
【0045】
次に、携帯端末側コントローラ(対象点移動手段)15は、移動可能範囲内において変更対象点73を作業者に移動させる。これは、以下のようにして行われる。
【0046】
まず、携帯端末側コントローラ(対象アタッチメント選択手段)15は、ブーム31、アーム32、および、バケット33の少なくとも1つを対象アタッチメントとして作業者に選択させる。作業者は、タッチパネル18を操作して、対象アタッチメントを選択する。ここで、持ち上げ旋回においては、土砂等を保持した状態のバケット33を上下方向に回動させると、土砂等がこぼれる恐れがある。そこで、図3においては、アーム32に対応するアーム画像78が選択されることで、アーム32が対象アタッチメントとして選択されている。なお、ブーム31にはブーム画像77が対応し、バケット33にはバケット画像79が対応している。
【0047】
アーム32が対象アタッチメントとして選択されると、図3に示すように、ディスプレイ19の表示画面に、対象アタッチメントがアーム32であることを示す文字画像81と、現在設定されているアーム角度の数値を示す数値画像82と、アーム角度の数値を増加させるための増加ボタン画像83と、アーム角度の数値を減少させるための減少ボタン画像84と、が表示される。図3においては、アーム角度の数値は「100」になっている。
【0048】
次に、携帯端末側コントローラ(目標姿勢変更手段)15は、対象アタッチメントの目標姿勢を作業者に変更させることで、変更対象点73を移動させる。作業者は、増加ボタン画像83や減少ボタン画像84をタッチして、アーム角度の数値を変更する。これにより、対象アタッチメントの目標姿勢が変更される結果、変更対象点73が移動する。
【0049】
変更対象点73が移動された後における、ディスプレイ19に表示された目標軌跡71および目標点72を図5に示す。変更対象点73が移動された結果、目標軌跡71の一部が変更される。
【0050】
このように、バケット33の先端の目標軌跡71の一部を、その作業現場に即したものに変更したい場合、作業者は、複数の目標点72のいずれかを変更対象点73として選択する。すると、変更対象点73を移動可能な範囲が移動可能範囲として設定されるので、作業者は、移動可能範囲内において変更対象点73を移動させることができる。変更対象点73が移動されると、移動後の変更対象点73を通るように、目標軌跡71が変更される。よって、目標軌跡71の一部を変更するために、目標軌跡71のすべてを設定し直さなくて済むので、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、ブーム31、アーム32、および、バケット33の少なくとも1つが対象アタッチメントとして作業者により選択される。そして、作業者により、対象アタッチメントの目標姿勢が変更されることで、変更対象点73が移動する。このように、作業者が所望する対象アタッチメントの目標姿勢を変更することで、変更対象点73を移動させることができる。
【0052】
また、携帯端末3に、目標軌跡71および目標点72が表示される。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、バケット33の先端の目標軌跡71を確認することができる。作業者は、携帯端末3を操作して、変更対象点73を選択し、移動可能範囲内において変更対象点73を移動させる。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、目標軌跡71の一部を変更することができる。
【0053】
また、作業機械2の周囲状況76が目標軌跡71および目標点72に重畳されてディスプレイ19に表示される。よって、作業者は、目標軌跡71と周囲状況76との重なり具合から、目標軌跡71と周囲状況76との相対位置を容易に把握することができる。その結果、作業者は、例えば障害物に接触しそうな目標点72を、容易に見つけることができる。
【0054】
また、障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下の場合に、スピーカ20から警告が発生される。これにより、障害物に接触しそうな目標点72の移動を、作業者に促すことができる。
【0055】
ディスプレイ19の表示画面を示す図である図6に示すように、目標軌跡71の一部の変更後、ディスプレイ19は、バケット33の先端を目標軌跡71上に位置させながらアタッチメント30が動く動画を表示する。よって、変更後の目標軌跡71に沿って動くアタッチメント30の動きを動画で確認することができる。これにより、作業者は、変更対象点73の移動結果がアタッチメント30の動きにどのように影響するのかを確認することができる。
【0056】
ここで、ディスプレイ19に表示された目標軌跡71および目標点72を示す図である図7に示すように、変更対象点73から2つ前の目標点72が変更開始点74として選択され、変更対象点73から2つ後ろの目標点72が変更終了点75として選択された場合を考える。
【0057】
変更対象点73の前方や後方に近い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択するのに比べて、変更対象点73から前方や後方に遠い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択する方が、変更開始点74から変更対象点73を経由して変更終了点75まで移動する時間が長くなる。この時間が長いほど、変更対象点73の移動可能範囲が広くなる。よって、変更対象点73から前方や後方に遠い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択することで、変更対象点73の移動可能範囲を広くすることができる。
【0058】
携帯端末側コントローラ(第1目標点移動手段)15は、変更開始点74と移動後の変更対象点73との間に目標点72がある場合に、その目標点72を、変更開始点74と移動後の変更対象点73とを結ぶ線上にずらす。また、携帯端末側コントローラ(第2目標点移動手段)15は、変更終了点75と移動後の変更対象点73との間に目標点72がある場合に、その目標点72を、変更終了点75と移動後の変更対象点73とを結ぶ線上にずらす。これにより、変更対象点73と変更開始点74との間の目標点72や、変更対象点73と変更終了点75との間の目標点72を、作業者が移動させる手間を省くことができる。
【0059】
(目標軌跡変更システムの動作)
次に、目標軌跡変更処理のフローチャートである図8を用いて、目標軌跡変更システム1の動作を説明する。
【0060】
まず、携帯端末3の携帯端末側コントローラ15は、変更モードを起動させる(ステップS1)。携帯端末3の携帯端末側記憶装置17には、作業機械2から受信した目標軌跡71および目標点72が記憶されている。次に、携帯端末側コントローラ15は、目標軌跡71および目標点72をディスプレイ19に表示させる(ステップS2)。このとき、ディスプレイ19には、周囲状況76が重畳されて表示される。次に、携帯端末側コントローラ15は、周囲状況76に含まれる障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0061】
ステップS3において、周囲状況76に含まれる障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下であると判定した場合には(S3:YES)、携帯端末側コントローラ15は、スピーカ20から警告を発生させ(ステップS4)、ステップS5に進む。一方、ステップS3において、周囲状況76に含まれる障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下でないと判定した場合には(S3:NO)、携帯端末側コントローラ15は、ステップS5に進む。
【0062】
ステップS5では、携帯端末側コントローラ15は、変更対象点73を作業者に選択させる(ステップS5)。次に、携帯端末側コントローラ15は、変更開始点74および変更終了点75を作業者に選択させる(ステップS6)。
【0063】
次に、携帯端末側コントローラ15は、移動可能範囲を設定する(ステップS7)。次に、携帯端末側コントローラ15は、対象アタッチメントを作業者に選択させる(ステップS8)。そして、携帯端末側コントローラ15は、対象アタッチメントの目標姿勢を作業者に変更させる(ステップS9)。
【0064】
次に、携帯端末側コントローラ15は、変更後の対象アタッチメントの目標姿勢が移動可能範囲内であるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、変更後の対象アタッチメントの目標姿勢が移動可能範囲内でないと判定した場合には(S10:NO)、携帯端末側コントローラ15は、ステップS8に戻る。作業者は、変更後の対象アタッチメントの目標姿勢が移動可能範囲内に収まるように、対象アタッチメントの目標姿勢をさらに変更することになる。
【0065】
一方、ステップS10において、変更後の対象アタッチメントの目標姿勢が移動可能範囲内であると判定した場合には(S10:YES)、携帯端末側コントローラ15は、バケット33の先端を目標軌跡71上に位置させながらアタッチメント30が動く動画をディスプレイ19に表示させる(ステップS11)。
【0066】
次に、携帯端末側コントローラ15は、目標軌跡71の変更の終了を作業者が指示したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、変更の終了を作業者が指示していないと判定した場合には(S12:NO)、携帯端末側コントローラ15は、ステップS8に戻る。一方、ステップS12において、変更の終了を作業者が指示したと判定した場合には(S12:YES)、携帯端末側コントローラ15は、変更内容を携帯端末側記憶装置17に保存し(ステップS13)、本フローを終了する。
【0067】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る目標軌跡変更システム1によれば、作業機械2のバケット33の先端の目標軌跡71上の、特定時間毎の目標点72が、アタッチメント30の姿勢に関連付けられた情報として設定される。目標軌跡71および目標点72は、ディスプレイ19に表示される。バケット33の先端の目標軌跡71の一部を、その作業現場に即したものに変更したい場合、作業者は、複数の目標点72のいずれかを変更対象点73として選択する。すると、変更対象点73を移動可能な範囲が移動可能範囲として設定されるので、作業者は、移動可能範囲内において変更対象点73を移動させることができる。変更対象点73が移動されると、移動後の変更対象点73を通るように、目標軌跡71が変更される。よって、目標軌跡71の一部を変更するために、目標軌跡71のすべてを設定し直さなくて済むので、作業効率を向上させることができる。
【0068】
また、ブーム31、アーム32、および、バケット33の少なくとも1つが対象アタッチメントとして作業者により選択される。そして、作業者により、対象アタッチメントの目標姿勢が変更されることで、変更対象点73が移動する。このように、作業者が所望する対象アタッチメントの目標姿勢を変更することで、変更対象点73を移動させることができる。
【0069】
また、変更対象点73の前方に位置する複数の目標点72のいずれかが変更開始点74として作業者に選択される。また、変更対象点73の後方に位置する複数の目標点72のいずれかが変更終了点75として作業者に選択される。変更対象点73の前方や後方に近い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択するのに比べて、変更対象点73から前方や後方に遠い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択する方が、変更開始点74から変更対象点73を経由して変更終了点75まで移動する時間が長くなる。この時間が長いほど、変更対象点73の移動可能範囲が広くなる。よって、変更対象点73から前方や後方に遠い目標点72を変更開始点74や変更終了点75として選択することで、変更対象点73の移動可能範囲を広くすることができる。そして、変更対象点73から前方に遠い目標点72を変更開始点74として選択した場合には、変更開始点74と変更対象点73との間にある目標点は、変更開始点74と移動後の変更対象点73とを結ぶ線上にずらされる。変更対象点73から後方に遠い目標点72を変更終了点75として選択した場合も同様である。これにより、変更対象点73と変更開始点74との間の目標点72や、変更対象点73と変更終了点75との間の目標点72を、作業者が移動させる手間を省くことができる。
【0070】
また、携帯端末3に、目標軌跡71および目標点72が表示される。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、バケット33の先端の目標軌跡71を確認することができる。作業者は、携帯端末3を操作して、変更対象点73を選択し、移動可能範囲内において変更対象点73を移動させる。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、目標軌跡71の一部を変更することができる。
【0071】
また、作業機械2の周囲状況76が目標軌跡71および目標点72に重畳されてディスプレイ19に表示される。よって、作業者は、目標軌跡71と周囲状況76との重なり具合から、目標軌跡71と周囲状況76との相対位置を容易に把握することができる。その結果、作業者は、例えば障害物に接触しそうな目標点72を、容易に見つけることができる。
【0072】
また、障害物と目標軌跡71との距離が所定値以下の場合に、スピーカ20から警告が発生される。これにより、障害物に接触しそうな目標点72の移動を、作業者に促すことができる。
【0073】
また、バケット33の先端を目標軌跡71上に位置させながらアタッチメント30が動く動画がディスプレイ19に表示される。よって、変更対象点73を移動させた場合には、変更後の目標軌跡71に沿って動くアタッチメント30の動きを動画で確認することができる。これにより、作業者は、変更対象点73の移動結果がアタッチメント30の動きにどのように影響するのかを確認することができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の目標軌跡変更システムについて、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0075】
(目標軌跡変更システムの構成)
第1実施形態の目標軌跡変更システム1では、図3に示すように、対象アタッチメントを作業者に選択させ、その目標姿勢を作業者に変更させることで、目標軌跡71の一部を変更していた。
【0076】
本実施形態の目標軌跡変更システム101では、携帯端末3のディスプレイ19の表示画面を示す図である図9に示すように、ディスプレイ19は、バケット33の先端が変更対象点73に位置する画像を表示する。そして、ディスプレイ19は、作業者のタッチパネル18への操作に応じて、その画像におけるバケット33の先端の位置が移動するように表示する。図9においては、バケット33の先端の位置が右に移動するように作業者に操作されると、画像におけるバケット33の先端の位置が右に移動されて表示される。ただし、この表示は、移動可能範囲内での移動の場合である。
【0077】
携帯端末3の携帯端末側コントローラ15は、移動されたバケット33の先端の位置に応じて、変更対象点73を移動させる。これにより、作業者は、画像の視覚的変化に基づいて、直感的に変更対象点73を移動させることができる。
【0078】
ここで、ディスプレイ19は、画像におけるバケット33の先端の位置が移動可能範囲内から移動可能範囲外に移動した場合に、画像の表示態様を変化させる。本実施形態では、バケット33の先端の位置が移動可能範囲外に移動した場合に、画像を半透明にして表示する。これにより、この位置に変更対象点73を移動できないことを、作業者に直感的に認識させることができる。
【0079】
また、作業機械2のコントローラ(時間変更手段)11は、特定時間を作業者に変更させる。特定時間の変更は、作業機械2が備える入力装置および表示装置を用いて行われる。例えば、特定時間が1秒から0.5秒に変更された場合、ディスプレイ19に表示された目標軌跡71および目標点72を示す図である図10に示すように、一定時間における目標点72の数が2倍になる。このように、特定時間を短くすれば、一定時間における目標点72の数が増加するので、目標軌跡71を細かく変更することができる。
【0080】
また、例えば、特定時間が1秒から2秒に変更された場合、ディスプレイ19に表示された目標軌跡71および目標点72を示す図である図11に示すように、一定時間における目標点72の数が半分になる。このように、特定時間を長くすれば、変更開始点74から変更対象点73を経由して変更終了点75まで移動する時間が長くなる。この時間が長いほど、変更対象点73の移動可能範囲が広くなる。よって、特定時間を長くすることで、変更対象点73の移動可能範囲を広くすることができる。
【0081】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る目標軌跡変更システム101によれば、ディスプレイ19に、バケット33の先端が変更対象点73に位置する画像が表示される。作業者の操作により、画像におけるバケット33の先端の位置が移動される。移動されたバケット33の先端の位置に応じて、変更対象点73が移動される。これにより、作業者は、画像の視覚的変化に基づいて、直感的に変更対象点を移動させることができる。
【0082】
また、ディスプレイ19において、画像におけるバケット33の先端の位置が移動可能範囲内から移動可能範囲外に移動された場合に、画像の表示態様が変化される。例えば、バケット33の先端の位置が移動可能範囲外に移動された場合に、画像が半透明にされることで、この位置に変更対象点73を移動できないことを、作業者に直感的に認識させることができる。
【0083】
また、作業者により特定時間が変更される。特定時間を短くすれば、一定時間における目標点72の数が増加するので、目標軌跡71を細かく変更することができる。また、特定時間を長くすれば、変更開始点74から変更対象点73を経由して変更終了点75まで移動する時間が長くなる。この時間が長いほど、変更対象点73の移動可能範囲が広くなる。よって、特定時間を長くすることで、変更対象点73の移動可能範囲を広くすることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0085】
例えば、携帯端末3の携帯端末側コントローラ15は、変更対象点73を移動可能な範囲を移動可能範囲として設定しているが、移動可能範囲の設定は、作業機械2のコントローラ11や、図示しないサーバが行ってもよい。
【0086】
また、携帯端末3のディスプレイ19を表示装置として説明したが、表示装置はこれに限定されない。ディスプレイ19に表示されると説明した上述の内容が、作業機械2のキャブ23内に設けられた表示装置や、図示しないサーバに接続されたモニター等に表示されてもよい。同様に、携帯端末3のタッチパネル18を入力装置として説明したが、入力装置はこれに限定されない。タッチパネル18が受け付けると説明した上述の操作が、作業機械2のキャブ23内に設けられた入力装置や、図示しないサーバに接続されたキーボード等に対して行われてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,101 目標軌跡変更システム
2 作業機械
3 携帯端末
4 カメラ(周囲状況取得装置)
11 コントローラ(目標点設定手段、時間変更手段)
12 作業機械側通信装置
13 記憶装置
15 携帯端末側コントローラ(対象点選択手段、範囲設定手段、対象点移動手段、対象アタッチメント選択手段、目標姿勢変更手段、開始点選択手段、終了点選択手段、第1目標点移動手段、第2目標点移動手段)
16 携帯端末側通信装置
17 携帯端末側記憶装置
18 タッチパネル(入力装置)
19 ディスプレイ(表示装置)
20 スピーカ(警告装置)
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 旋回装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット(先端アタッチメント)
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
51 操作レバー
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
71 目標軌跡
72 目標点
73 変更対象点
74 変更開始点
75 変更終了点
76 周囲状況
77 ブーム画像
78 アーム画像
79 バケット画像
81 文字画像
82 数値画像
83 増加ボタン画像
84 減少ボタン画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11