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  • 特許-光走査装置、画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光走査装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/12 20060101AFI20240709BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240709BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240709BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G02B26/12
G02B26/10 F
B41J2/47 101D
H04N1/113
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020140723
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036492
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】三村 大輔
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-003137(JP,A)
【文献】特開2011-186428(JP,A)
【文献】特開2015-200848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/12
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体の表面にビーム光を走査する光走査装置であって、
回転しつつ前記ビーム光を反射するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーの両側に配置され、前記ポリゴンミラーで反射した前記ビーム光をそれぞれ通過させる2つのfθレンズと、
それぞれ平板状であり、前記2つのfθレンズの間に間隔を開けて配置され、前記2つのfθレンズの一方で反射し他方へ向かう前記ビーム光の一部である不要光を遮る複数の遮光板と、を備え、
前記複数の遮光板は、
相互に対向して配置され、それぞれ前記ポリゴンミラーの外周において前記ポリゴンミラーの回転方向の上流側から下流側へ向かって前記ポリゴンミラーから遠ざかる側へ傾斜して形成されるとともに前記2つのfθレンズが対向する方向に対して傾斜して形成された第1遮光板および第2遮光板と、
前記第1遮光および前記第2遮光板の間に配置され、前記第1遮光板および前記第2遮光板が対向する方向に沿って形成された第3遮光板と、を含み、
前記第1遮光板および前記第2遮光板は、前記ポリゴンミラーの回転により生じる風を前記2つのfθレンズの一方の側から他方の側へ向かって通過させる風路を形成し、
前記第1遮光板および前記第2遮光板と前記第3遮光板との間の隙間が、前記風路の入口を形成している、光走査装置。
【請求項2】
前記ポリゴンミラーおよび前記レンズを支持するユニット筐体と、
前記ユニット筐体に取り付けられ、電線を保持する電線保持部および前記複数の遮光板を有する架設部材と、を備える、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
複数の感光体と、
前記複数の感光体の表面にビーム光を走査することにより前記複数の感光体の表面に静電潜像を書き込む請求項1または請求項2に記載の光走査装置と、
前記複数の感光体の表面の前記静電潜像をトナー像へ現像する複数の現像装置と、
前記複数の感光体の表面の前記トナー像をシートへ転写する転写装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム光を走査するポリゴンミラーを備える光走査装置およびそれを含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、ビーム光を走査ミラーで反射することによって感光体の表面に前記ビーム光を走査する光走査装置を備える。前記ビーム光は、前記走査ミラーで反射し、fθレンズを通過した後に前記感光体に向かう。
【0003】
例えば、前記光走査装置は、ポリゴンミラーによって前記ビーム光を走査する(例えば、特許文献1参照)。前記ポリゴンミラーは、回転しつつ前記ビーム光を反射することによって前記ビーム光を走査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-198888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記ポリゴンミラーで反射した前記ビーム光の一部は、前記fθレンズの表面で反射し他の光学機器へ向かう不要光となる場合がある。この場合、前記不要光が前記画像形成装置に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
例えば、前記光走査装置が、前記ポリゴンミラーの両側に配置された2つの前記fθレンズを備え、前記ポリゴンミラーが、2つの前記fθレンズへ向けて前記ビーム光を走査する場合がある。この場合、一方の前記fθレンズで反射した前記不要光が他方の前記fθレンズへ向かい、前記静電潜像の書き込みに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
そこで、前記不要光を遮る遮光部材が、前記不要光の進路に配置されることが考えられる。
【0008】
一方、前記光走査装置は、前記ポリゴンミラーを駆動するモーターなどの発熱体を備える。前記ポリゴンミラーは、回転することによって装置内に気流を発生させ、この気流は、前記発熱体を冷却する冷却風として作用する。
【0009】
前記不要光を遮る前記遮光部材は、前記ポリゴンミラーの回転により生じる風の流れを妨げ、前記風による前記発熱体の冷却作用を妨げるおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、ポリゴンミラーの回転により生じる風の円滑な流れを維持しつつ、レンズで反射したビーム光の一部が他の光学機器へ入射することを防止できる光走査装置およびそれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に係る光走査装置は、1つ以上の感光体の表面にビーム光を走査する。前記光走査装置は、ポリゴンミラーと、1つ以上のレンズと、複数の遮光板と、を備える。前記ポリゴンミラーは、回転しつつ前記ビーム光を反射する。前記レンズは、前記ポリゴンミラーで反射した前記ビーム光を通過させる。前記複数の遮光板は、間隔を開けて配置され、前記レンズの少なくとも1つで反射し他の光学機器へ向かう前記ビーム光の一部である不要光を遮る。前記複数の遮光板は、前記ポリゴンミラーの回転により生じる風を通過させる風路を形成する。
【0012】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、1つ以上の感光体と、前記感光体の表面にビーム光を走査することにより前記感光体の表面に静電潜像を書き込む前記光走査装置と、前記感光体の表面の前記静電潜像をトナー像へ現像する現像装置と、前記感光体の表面の前記トナー像をシートへ転写する転写装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポリゴンミラーの回転により生じる風の円滑な流れを維持しつつ、レンズで反射したビーム光の一部が他の光学機器へ入射することを防止できる光走査装置およびそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る光走査装置を備える画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る光走査装置における走査ユニットの本体部の平面図である。
図3図3は、実施形態に係る光走査装置における走査ユニットの平面図である。
図4図4は、実施形態に係る光走査装置における架設部材の斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る光走査装置における架設部材の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る光走査装置46は、画像形成装置10の一部を構成している。画像形成装置10は、電子写真方式でプリント処理を実行するプリント装置4を備える。
【0017】
前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。
【0018】
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート収容部2と、装置本体1内に設けられたシート搬送装置3およびプリント装置4とを備える。装置本体1は、プリント装置4を収容する主筐体である。
【0019】
シート搬送装置3は、不図示のモーターによって駆動されるシート送出装置30および複数組の搬送ローラー対31を備える。シート送出装置30は、シート収容部2に収容されたシート9を装置本体1内の搬送路300へ送り出す。
【0020】
複数組の搬送ローラー対31は、シート9を搬送路300に沿って搬送し、さらにシート9を搬送路300の出口から排出トレイ100へ排出する。
【0021】
プリント装置4は、搬送路300に沿って搬送されるシート9に画像を形成する。プリント装置4は、作像装置4x、光走査装置46、転写装置47および定着装置48を備える。作像装置4xは、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。
【0022】
図1に示される画像形成装置10は、タンデム式のカラー画像形成装置である。そのため、プリント装置4は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4色のトナーに対応した4つの作像装置4xを備える。
【0023】
さらに、転写装置47は、中間転写ベルト471と、4つの作像装置4xに対応する4つの第1転写部472と、第2転写部473と、ベルトクリーニング部474とを備える。
【0024】
作像装置4xにおいて、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。さらに、光走査装置46が、感光体41の表面にビーム光L1を走査することにより、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0025】
さらに、現像装置43が、感光体41の表面に前記トナーを供給することにより、前記静電潜像をトナー像へ現像する。前記トナーは粒状の現像剤の一例である。
【0026】
転写装置47は、搬送路300において前記トナー像をシート9に転写する。第1転写部472は、感光体41の表面の前記トナー像を中間転写ベルト471の表面へ転写する。これにより、中間転写ベルト471の表面にカラーの前記トナー像が形成される。
【0027】
第2転写部473は、搬送路300において、中間転写ベルト471に形成された前記トナー像をシート9に転写する。以上に示されるように、転写装置47は、感光体41の表面の前記トナー像をシート9へ転写する。
【0028】
なお、画像形成装置10が、モノクロ画像形成装置である場合、第2転写部473が、搬送路300において感光体41上の前記トナー像をシート9へ転写する。
【0029】
ドラムクリーニング装置45は、感光体41の表面に残存する廃トナーを除去する。ベルトクリーニング部474は、中間転写ベルト471に残存する廃トナーを除去する。
【0030】
定着装置48は、シート9に転写された前記トナー像を、加熱および加圧することによってシート9に定着させる。
【0031】
本実施形態において、光走査装置46は、2つの走査ユニット46xを含む。2つの走査ユニット46xのうちの一方は、4つの感光体41のうちの2つに対してビーム光L1を走査する。2つの走査ユニット46xのうちの他方は、4つの感光体41のうちの残り2つに対してビーム光L1を走査する。
【0032】
図2に示されるように、走査ユニット46x各々は、ユニット筐体50と、2つの光源51と、2つのシリンドリカルレンズ52と、1つのポリゴンミラー53と、1つのポリゴンモーター53aと、2つのfθレンズ54とを備える。
【0033】
光源51各々は、ビーム光L1を出射するレーザー光源である。ビーム光L1はレーザー光である。ポリゴンモーター53aは、ポリゴンミラー53を回転駆動する。ポリゴンミラー53は、回転しつつビーム光L1を反射する。
【0034】
2つの光源51と、2つのシリンドリカルレンズ52と、1つのポリゴンミラー53と、ポリゴンモーター53aと、2つのfθレンズ54とは、ユニット筐体50によって支持されている。2つの光源51、2つのシリンドリカルレンズ52および2つのfθレンズ54は、それぞれポリゴンミラー53の両側に配置されている。
【0035】
一方の光源51から出射されたビーム光L1は、一方のシリンドリカルレンズ52を通過した後にポリゴンミラー53に到達し、ポリゴンミラー53で反射した後に一方のfθレンズ54を通過する。
【0036】
他方の光源51から出射されたビーム光L1は、他方のシリンドリカルレンズ52を通過した後にポリゴンミラー53に到達し、ポリゴンミラー53で反射した後に他方のfθレンズ54を通過する。fθレンズ54は、ビーム光L1を通過させることにより、感光体41へ向かうビーム光L1の走査速度を一定にする。
【0037】
fθレンズ54各々を通過したビーム光L1は、不図示の2つのミラー各々で反射した後に2つの感光体41各々の表面に到達する。以上に示されるように、1つのポリゴンミラー53が、2つの感光体41の表面に向かう2つのビーム光L1を走査する。
【0038】
走査ユニット46x各々は、ユニット筐体50に取り付けられた架設部材55をさらに備える(図3~5参照)。なお、図2は、走査ユニット46xにおける架設部材55を除いた本体部の平面図である。
【0039】
架設部材55は、2つのfθレンズ54の間においてユニット筐体50に架設されている。架設部材55は、電線500を保持する電線保持部55aを有する。
【0040】
電線保持部55aは、電線500の配線経路に沿って形成されている。電線500は、画像形成装置10の装置本体1に設けられた不図示の給電回路と、ポリゴンモーター53aなどの光走査装置46が備える電子機器とを電気的に接続する。
【0041】
ところで、ポリゴンミラー53で反射したビーム光L1の一部は、fθレンズ54の表面で反射し他の光学機器へ向かう不要光L11となる場合がある(図3,5参照)。この場合、不要光L11が画像形成装置10に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0042】
例えば、本実施形態のように、光走査装置46が、ポリゴンミラー53の両側に配置された2つのfθレンズ54を備え、ポリゴンミラー53が、2つのfθレンズ54へ向けてビーム光L1を走査する場合がある。この場合、一方のfθレンズ54で反射した不要光L11が他方のfθレンズ54へ向かい、前記静電潜像の書き込みに悪影響を及ぼすおそれがある(図3参照)。
【0043】
そこで、不要光L11を遮る遮光部材が、不要光L11の進路に配置されることが考えられる。
【0044】
一方、光走査装置46は、ポリゴンミラー53を駆動するポリゴンモーター53aなどの発熱体を備える。ポリゴンミラー53は、回転することによってユニット筐体50内に気流を発生させ、この気流は、前記発熱体を冷却する冷却風として作用する。
【0045】
前記不要光を遮る前記遮光部材は、ポリゴンミラー53の回転により生じる風の流れを妨げ、前記風による前記発熱体の冷却作用を妨げるおそれがある。光走査装置46は、そのような課題を解決する構造を備える。以下、その構造について説明する。
【0046】
光走査装置46の走査ユニット46x各々において、架設部材55は、図3~5に示される複数の遮光板56を有する。複数の遮光板56各々は、架設部材55からユニット筐体50側へ垂下したリブである。
【0047】
複数の遮光板56は、2つのfθレンズ54の間における不要光L11の経路において、間隔を開けて配置されている。複数の遮光板56は、2つのfθレンズ54の一方で反射し他方へ向かう不要光L11を遮る(図3,5参照)。なお、fθレンズ54は、光学機器の一例である。
【0048】
複数の遮光板56は、ポリゴンミラー53の回転により生じる風を通過させる風路560を形成している(図4,5参照)。本実施形態において、複数の遮光板56は、第1遮光板56a、第2遮光板56bおよび第3遮光板56cを含む。
【0049】
第1遮光板56aおよび第2遮光板56bは、相互に対向して配置されている。第1遮光板56aおよび第2遮光板56bは、それぞれポリゴンミラー53の外周においてポリゴンミラー53の回転方向R1の上流側から下流側へ向かってポリゴンミラー53から遠ざかる側へ傾斜して形成されている。
【0050】
第1遮光板56aおよび第2遮光板56bは、ポリゴンミラー53の外周において、ポリゴンミラー53の回転方向R1の上流側から下流側へ向かってポリゴンミラー53から遠ざかる側へ傾斜した風路560を形成している。
【0051】
ポリゴンミラー53の回転によって生じる風は、ポリゴンミラー53の回転方向R1の上流側から下流側へ向かってポリゴンミラー53から遠ざかる側へ流れる。従って、ポリゴンミラー53の回転によって生じる風は、複数の遮光板56が形成する風路560に沿って円滑に流れる。
【0052】
第3遮光板56cは、第1遮光板56aおよび第2遮光板56bの間に配置されている。第3遮光板56cは、第1遮光板56aおよび第2遮光板56bが対向する方向に沿って形成されている。
【0053】
第3遮光板56cは、第1遮光板56aおよび第2遮光板56bの間に入射する不要光L11を遮る。また、第1遮光板56aおよび第2遮光板56bと第3遮光板56cとの間の隙間が、風路560の入口を形成している。
【0054】
複数の遮光板56は、ポリゴンミラー53の回転により生じる風の円滑な流れを維持しつつ、一方のfθレンズ54で反射した不要光L11が他方のfθレンズ54へ入射することを防ぐ。即ち、複数の遮光板56は、ポリゴンミラー53の周囲の風によるポリゴンモーター53aなどの前記発熱体の冷却作用を妨げない。
【符号の説明】
【0055】
1 :装置本体
2 :シート収容部
3 :シート搬送装置
4 :プリント装置
41 :感光体
50 :ユニット筐体
51 :光源
52 :シリンドリカルレンズ
53 :ポリゴンミラー
54 :fθレンズ
55 :架設部材
55a :電線保持部
56 :遮光板
56a :第1遮光板
56b :第2遮光板
56c :第3遮光板
560 :風路
L1 :ビーム光
L11 :不要光
図1
図2
図3
図4
図5