(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】用紙搬送システム、画像形成装置、情報処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240709BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2020141712
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢一
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部によって搬送される用紙を積載する
一の用紙積載装置、及び、他の用紙積載装置と、
前記
一の用紙積載装置に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示、または、前記
一の用紙積載装置の動作の中断を指示する動作中断指示を受け付ける指示受付部と、
前記一の用紙積載装置と他の用紙積載装置とが連携するか否かを判断する連携判断部と、
前記指示受付部が前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を受け付けた場合に、当該受け付けた前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を、前記用紙積載装置と連携する
前記他の用紙積載装置に与える連携制御部と、を備え
、
前記連携判断部は、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた操作者と前記他の用紙積載装置に対応付けられた操作者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者と前記他の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた後工程と前記他の用紙積載装置に対応付けられた後工程とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定と前記他の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報とが同一である場合、及び、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた識別情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた識別情報とが同一である場合、から選ばれる少なくともいずれか1以上の場合に、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携すると判断する
る用紙搬送システム。
【請求項2】
複数の前記用紙積載装置を備える
請求項1に記載の用紙搬送システム。
【請求項3】
用紙搬送システム内で通信するシステム内通信部、および、用紙搬送システム間で通信するシステム間通信部のうち、少なくとも一方を備える
請求項1または2に記載の用紙搬送システム。
【請求項4】
前記指示受付部は、前記用紙積載装置に設けられている
請求項1から3のいずれか一項に記載の用紙搬送システム。
【請求項5】
前記用紙搬送部を有する画像形成装置および前記用紙積載装置のうち少なくも一方とネットワークを介して接続された携帯端末をさらに備え、
前記指示受付部は、前記携帯端末に設けられている
請求項1から4のいずれか一項に記載の用紙搬送システム。
【請求項6】
前記連携判断部は、前記用紙積載装置同士の連携が禁止されている場合に、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携しないと判断する
請求項1に記載の用紙搬送システム。
【請求項7】
前記連携判断部が連携すると判断した用紙積載装置の一覧を表示する一覧表示部を備える
請求項1に記載の用紙搬送システム。
【請求項8】
前記
一覧表示部に表示された前記用紙積載装置の一覧において、連携指定の有無を用紙積載装置ごとに変更可能な入力部を備え、
前記連携判断部は、前記入力部によって変更された前記連携指定の有無に基づいて、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携するか否かを判断する
請求項7に記載の用紙搬送システム。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
一の用紙積載装置に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示、または、前記
一の用紙積載装置の動作の中断を指示する動作中断指示を受け付ける指示受付部と、
前記一の用紙積載装置と他の用紙積載装置とが連携するか否かを判断する連携判断部と、
前記指示受付部が前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を受け付けた場合に、当該受け付けた前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を、前記
一の用紙積載装置と連携する
前記他の用紙積載装置に与える連携制御部と、を備え
、
前記連携判断部は、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた操作者と前記他の用紙積載装置に対応付けられた操作者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者と前記他の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた後工程と前記他の用紙積載装置に対応付けられた後工程とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定と前記他の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報とが同一である場合、及び、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた識別情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた識別情報とが同一である場合、から選ばれる少なくともいずれか1以上の場合に、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携すると判断する
画像形成装置。
【請求項10】
用紙搬送システムに用いられる情報処理装置であって、
一の用紙積載装置と他の用紙積載装置とが連携するか否かを判断する連携判断部と、
用紙取り出し指示または動作中断指示を受けた
前記一の用紙積載装置と、前記一の用紙積載装置と連携する
前記他の用紙積載装置とに、前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を与える連携制御部を備え
、
前記連携判断部は、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた操作者と前記他の用紙積載装置に対応付けられた操作者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者と前記他の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた後工程と前記他の用紙積載装置に対応付けられた後工程とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定と前記他の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定とが同一である場合、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報とが同一である場合、及び、
前記一の用紙積載装置に対応付けられた識別情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた識別情報とが同一である場合、から選ばれる少なくともいずれか1以上の場合に、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携すると判断する
情報処理装置。
【請求項11】
用紙搬送システムに用いられる情報処理装置のコンピュータを、
一の用紙積載装置に対応付けられた操作者と他の用紙積載装置に対応付けられた操作者とが同一である場合、前記一の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者と前記他の用紙積載装置に対応付けられたジョブ投入者とが同一である場合、前記一の用紙積載装置に対応付けられた後工程と前記他の用紙積載装置に対応付けられた後工程とが同一である場合、前記一の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定と前記他の用紙積載装置に対応付けられた用紙設定とが同一である場合、前記一の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた設置場所情報とが同一である場合、及び、前記一の用紙積載装置に対応付けられた識別情報と前記他の用紙積載装置に対応付けられた識別情報とが同一である場合、から選ばれる少なくともいずれか1以上の場合に、前記一の用紙積載装置に前記他の用紙積載装置が連携すると判断する連携判断部と、
用紙取り出し指示または動作中断指示を受けた
前記一の用紙積載装置と、前記一の用紙積載装置と連携する
前記他の用紙積載装置とに、前記用紙取り出し指示または前記動作中断指示を与える連携制御部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送システム、画像形成装置、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙を積載する用紙積載装置とを備える用紙搬送システムが知られている。この用紙搬送システムにおいて、用紙積載装置に積載された用紙を機外に取り出す場合は、用紙搬送システム内の所定の位置に設けられた取り出しボタンを操作者が押下し、この押下操作によって用紙取り出し動作の指示を用紙積載装置に与えることにより、用紙を機外に取り出せる状態になる。
【0003】
特許文献1には、操作者が取り出しボタンを押すことにより、用紙を積載した用紙積載台を下降させて台車に用紙積載台を乗せた後、台車を引き出すことで用紙の取り出しを可能とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の用紙搬送システムにおいては、用紙積載装置ごとに設けられた取り出しボタンのうち、操作者が、所望の用紙積載装置の取り出しボタンを押下している。一方で、プロダクションプリントにおいては、複数の用紙積載装置を同時並行的に用いて印刷処理を行うことが一般的になりつつある。このような状況において、操作者が、用紙積載装置ごとに取り出しボタンを押下する方式では、操作者の作業が繁雑になる。
【0006】
本発明の目的は、用紙積載装置から用紙を取り出す際の操作者の作業を簡略化することができる用紙搬送システム、画像形成装置、情報処理装置、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る用紙搬送システムは、用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙搬送部によって搬送される用紙を積載する用紙積載装置と、用紙積載装置に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示、または、用紙積載装置の動作の中断を指示する動作中断指示を受け付ける指示受付部と、指示受付部が用紙取り出し指示または動作中断指示を受け付けた場合に、当該受け付けた用紙取り出し指示または動作中断指示を、用紙積載装置と連携する他の用紙積載装置に与える連携制御部と、を備える。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙積載装置に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示、または、用紙積載装置の動作の中断を指示する動作中断指示を受け付ける指示受付部と、指示受付部が用紙取り出し指示または動作中断指示を受け付けた場合に、当該受け付けた用紙取り出し指示または動作中断指示を、用紙積載装置と連携する他の用紙積載装置に与える連携制御部と、を備える。
【0009】
本発明に係る情報処理装置は、用紙搬送システムに用いられる情報処理装置であって、用紙取り出し指示または動作中断指示を受けた一の用紙積載装置と、一の用紙積載装置と連携する他の用紙積載装置とに、用紙取り出し指示または動作中断指示を与える連携制御部を備える。
【0010】
本発明に係るプログラムは、用紙搬送システムに用いられる情報処理装置のコンピュータを、用紙取り出し指示または動作中断指示を受けた一の用紙積載装置と、一の用紙積載装置と連携する他の用紙積載装置とに、用紙取り出し指示または動作中断指示を与える連携制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、用紙積載装置から用紙を取り出す際の操作者の作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの概略斜視図である。
【
図2】用紙積載装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図2に示す用紙積載装置の動作を説明する概略図である。
【
図4】画像形成システムと後処理装置の第1設置例を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成システムによって行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】画像形成システムと後処理装置の第2設置例を示す概略図である。
【
図8】画像形成システムと後処理装置の第3設置例を示す概略図である。
【
図9】連携する用紙積載装置の一覧を表示部に表示した例を示す図である。
【
図10】連携指定の有無を入力するための画面の一例を示す図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る画像形成システムを含む情報処理システムの構成を示す概略図である。
【
図12】用紙積載装置の第1変形例を示す概略図である。
【
図13】用紙積載装置の第2変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの概略斜視図である。
図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置10と、用紙積載装置20と、を備えている。画像形成装置10は、図示しない用紙に画像を形成する装置である。用紙積載装置20は、画像形成装置10から送り出される用紙、すなわち画像形成済の用紙を積載する装置である。画像形成装置10および用紙積載装置20は、それぞれ用紙搬送部を有する。用紙搬送部は、たとえば、用紙搬送路を形成するガイド部材と、複数の用紙搬送ローラとを用いて構成される。用紙搬送部を備える画像形成装置10は、用紙搬送装置として機能し、用紙搬送部を備える画像形成システム100は、用紙搬送システムとして機能する。用紙積載装置20には操作パネル21が設けられている。操作パネル21には取り出しボタン22が設けられている。取り出しボタン22は、操作者によって押下操作されるボタンである。操作者は、用紙積載装置20に積載された用紙を取り出す場合に、この取り出しボタン22を押下する。
【0015】
(用紙積載装置の構成)
ここで、用紙積載装置の構成について説明する。
図2は、用紙積載装置の構成の一例を示す概略図である。
図2に示すように、用紙積載装置20は、用紙積載トレイ24を有する用紙積載部16と、用紙積載トレイ24を昇降させる昇降機37とを備えている。用紙積載トレイ24および昇降機37は、用紙積載装置20の筐体で囲まれた密閉空間に配置されている。昇降機37は、図示しない昇降モータの駆動にしたがって用紙積載トレイ24を矢印方向(上下方向)に移動させる。昇降機37の駆動源には、高いトルクを出力可能なモータが用いられる。
【0016】
用紙積載装置20の内部には台車38が配置されている。台車38は、用紙積載トレイ24に積載された用紙2を、用紙積載トレイ24から受け取って機外に排出するためのものである。台車38は、荷台部38aと、ハンドル部38bと、キャスター部38cとを有する。荷台部38aは、用紙積載トレイ24の下方に配置されている。ハンドル部38bは、操作者が台車38を移動する際に操作する部分である。キャスター部38cは、操作者が台車38を移動する際の抵抗を小さくする部分である。
【0017】
また、用紙積載装置20には開閉扉39が取り付けられている。開閉扉39は、台車38を出し入れするために用紙積載装置20に設けられた開口部を開閉するものである。開閉扉39は、たとえば蝶番(図示せず)を用いて用紙積載装置20に取り付けられている。また、用紙積載装置20には、開閉扉39を閉じ状態に施錠する施錠機構(図示せず)と、施錠機構による施錠を解除する解除機構(図示せず)とが設けられている。
【0018】
用紙積載トレイ24の移動方向である上下方向には用紙取り出し位置Pが設定されている。用紙取り出し位置Pは、用紙積載トレイ24に積載された用紙2を機外に取り出すために設定される位置である。用紙取り出し位置Pは、用紙積載トレイ24の移動方向の最下部またはその近傍の位置に設定される。用紙2が積載された用紙積載トレイ24を用紙取り出し位置Pまで下降させると、用紙積載トレイ24から台車38へと用紙2が受け渡される。このため、用紙取り出し位置Pは、用紙積載トレイ24に積載された用紙2を台車38に受け渡し可能な位置とも言える。施錠機構は、用紙積載トレイ24が用紙取り出し位置Pよりも上方に配置されている場合に、開閉扉39を閉じ状態に施錠する。解除機構は、用紙積載トレイ24を用紙取り出し位置Pに配置した場合に、施錠機構の施錠を解除する。
【0019】
上記構成からなる用紙積載装置20において、用紙積載トレイ24に積載された用紙2を用紙積載装置20の機外(装置の外側)に取り出す場合、まず、操作者は、用紙積載装置20に設けられている取り出しボタン22(
図1参照)を押す。そうすると、
図3に示すように、昇降機37の駆動によって用紙積載トレイ24が用紙取り出し位置P1まで下降する。用紙積載トレイ24と台車38の荷台部38aとは、互いに干渉しないように櫛歯構造になっている。このため、用紙積載トレイ24を用紙取り出し位置P1に移動させると、用紙2は、用紙積載トレイ24から台車38の荷台部38aへと受け渡される。また、開閉扉39の施錠が解除機構によって解除される。
【0020】
次に、操作者は、開閉扉39をF方向に開ける。そうすると、用紙積載装置20の開口部が開放される。次に、操作者は、台車38のハンドル部38bを把持して台車38をH方向に移動させる。これにより、台車38の荷台部38aに載せた用紙2が、台車38と共に用紙積載装置19の機外に引き出される。以上の手順により、用紙2を用紙積載装置19の機外に取り出すことができる。なお、操作者は、用紙2を機外に取り出した後、空の台車38を用紙積載装置19の機内に移動させ、その後、開閉扉39を閉じる。そうすると、昇降機37の駆動によって用紙積載トレイ24が上昇すると共に、開閉扉39が施錠機構によって閉じ状態に施錠される。
【0021】
なお、用紙積載装置20は、
図2に示す構成に限らず、他の構成であってもよい。いずれの構成を採用した場合でも、操作者が用紙積載装置20の取り出しボタン22を押してから、用紙2を機外に取り出せる状態になるまでに所定の時間がかかる。また、用紙積載トレイ24を下降させる場合は、下降中に用紙2の位置がずれないよう、用紙積載トレイ24を低速で下降させる必要がある。このため、上記所定の時間として数十秒程度の時間が必要になる。さらに、用紙積載トレイから用紙を受け取り、かつ、受け取った用紙を自動で機外に排出する水平移動式のトレイを備える用紙積載装置(図示せず)では、トレイの水平移動にも時間がかかる。
【0022】
(画像形成システムと後処理装置の第1設置例)
図4は、画像形成システムと後処理装置の第1設置例を示す概略図である。
図4においては、2つの画像形成システム100-1,100-2と、1つの後処理装置30とが設置されている。画像形成システム100-1は、1つの画像形成装置10-1と、2つの用紙積載装置20-1a,20-1bとを備えている。画像形成システム100-2は、1つの画像形成装置10-2と、1つの用紙積載装置20-2とを備えている。画像形成システム100-1,100-2は、それぞれ用紙搬送システムとして機能する。この点は、後述する画像形成システム100-3~100-6についても同様である。後処理装置30は、2つの画像形成システム100-1,100-2に対して1つ設けられている。
【0023】
ここで、一人の操作者40が、2つの画像形成システム100-1,100-2と1つの後処理装置30とを担当している状況で、2つの画像形成システム100-1,100-2が、いずれも後処理装置30による後工程を必要とするジョブを実行している場合を考える。この場合、操作者40は、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2に積載されているすべての用紙を順次、後処理装置30に運んで後工程を実行させる必要がある。その際、操作者40が用紙積載装置20ごとに取り出しボタン22(
図1参照)を押下する方式では、操作者40の作業が繁雑になる。その理由は以下のとおりである。
【0024】
後工程の対象となる用紙を後処理装置30に運ぶには、各々の用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2から用紙を取り出す必要がある。用紙の取り出しおよび運搬は、次の手順で行われる。
まず、操作者40は、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2のうち、いずれか1つの用紙積載装置20の前まで行き、その用紙積載装置20に設けられている取り出しボタン22(
図1参照)を押す。そうすると、取り出しボタン22が押された用紙積載装置20は、用紙を機外に取り出すための動作(以下、「用紙取り出し動作」という。)を開始する。用紙取り出し動作には、上記
図2および
図3に示す用紙積載トレイ24を下降させる動作や開閉扉39の施錠を解錠する動作などが含まれる。
次に、操作者40は、用紙積載装置20の用紙取り出し動作が終了するのを待つ。
その後、用紙積載装置20の用紙取り出し動作が終了すると、操作者40は、所定の取り出し作業を行う。所定の取り出し作業には、上記
図2および
図3に示す開閉扉39を開ける作業や台車38を機外に引き出す作業などが含まれる。これにより、用紙積載装置20から用紙が取り出される。
その後、操作者40は、取り出した用紙を後処理装置30へと運ぶ。
【0025】
用紙積載装置20ごとに取り出しボタン22(
図1参照)を押下する方式では、このような一連の作業を操作者40が用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2ごとに繰り返し行って、後処理装置30に後工程を実行させる必要がある。したがって、操作者40の作業が繁雑になってしまう。また、操作者40は、取り出しボタン22を押すたびに用紙積載装置20の用紙取り出し動作が終了するのを待つ必要があるため、トータルの待ち時間が長くなり、その分だけ作業効率が低下してしまう。
【0026】
そこで、本発明の第1実施形態においては、操作者40が、用紙積載装置20ごとに取り出しボタン22を押さなくても済むように、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2を連携させるシステム構成を採用している。以下に具体的なシステム構成について記述する。
【0027】
(画像形成システムの制御構成)
図5は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
図5において、画像形成システム100-1における画像形成装置10-1の制御構成と、画像形成システム100-2における画像形成装置10-2の制御構成は、基本的に同一である。また、画像形成システム100-1における用紙積載装置20-1a,20-1bの制御構成と、画像形成システム100-2における用紙積載装置20-2の制御構成は、基本的に同一である。このため、ここでは画像形成システム100-2における画像形成装置10-2の制御構成と用紙積載装置20-1の制御構成について詳しく説明し、画像形成システム100-1における画像形成装置10-1の制御構成と用紙積載装置20-1a,20-1bの制御構成については説明を省略する。また、以降の説明では、画像形成システム100-1と画像形成システム100-2を区別する必要がない場合は単に画像形成システム100と記載し、画像形成装置10-1と画像形成装置10-2を区別する必要がない場合は単に画像形成装置10と記載し、用紙積載装置20-1aと用紙積載装置20-1bと用紙積載装置20-2を区別する必要がない場合は単に用紙積載装置20と記載する。
【0028】
(画像形成装置の制御構成)
図5に示すように、画像形成装置10-2は、画像形成制御部41と、システム内通信部42と、システム間通信部43と、用紙搬送部44と、画像形成部45と、記憶部46と、連携判断部47と、連携制御部48と、操作表示部49とを備えている。
【0029】
画像形成制御部41は、画像形成装置10-2の各部の動作を制御する部分である。システム内通信部42は、画像形成システム100-2内で通信する部分である。画像形成システム100-2は、画像形成装置10-2と用紙積載装置20-2とによって構成されている。このため、画像形成装置10-2のシステム内通信部42は、用紙積載装置20-2が備えるシステム内通信部52との間で、各種の情報(データ)の送受信を行う。
【0030】
システム間通信部43は、画像形成システム100-1と画像形成システム100-2との間で通信する部分である。
図5においては、2つの画像形成システム100-1,100-2を設置しているが、たとえば3つの画像形成システム100を設置した場合、システム間通信部43は、3つの画像形成システム100の間で通信する部分となる。この点は、4つ以上の画像形成システム100を設置した場合も同様である。
【0031】
用紙搬送部44は、画像形成装置10-2で取り扱う用紙を搬送する部分である。用紙搬送部44は、たとえば、用紙搬送路を形成するガイド部材と、複数の用紙搬送ローラとによって構成される。画像形成部45は、用紙搬送部44によって搬送される用紙に画像を形成する部分である。画像形成部45は、たとえば電子写真方式によって用紙に画像を形成する。
【0032】
記憶部46は、たとえば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などによって構成される。記憶部46は、画像形成の対象となる画像データを記憶する。また、記憶部46は、画像形成制御部41が画像形成装置10-2の各部の動作を制御する際に参照する各種のデータを記憶する。さらに、記憶部46は、連携判断部47の処理に用いられるデータや、連携制御部48の処理に用いられるデータを記憶する。
【0033】
連携判断部47は、
図4および
図5に示す3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2のうち、一の用紙積載装置に他の用紙積載装置が連携するか否かを所定の条件に基づいて判断する部分である。本発明の第1実施形態において、画像形成システム100-2が備える用紙積載装置20-2は、一の用紙積載装置に相当し、画像形成システム100-1が備える用紙積載装置20-1a,20-1bは、他の画像形成装置に相当する。なお、画像形成システム100-2が複数の用紙積載装置20を備える場合は、複数の用紙積載装置20のうちいずれか1つが、一の用紙積載装置に相当し、それ以外の用紙積載装置20は、他の用紙積載装置に相当する。
【0034】
連携制御部48は、後述する指示受付部55が用紙取り出し指示を受け付けた場合に、この受け付けた用紙取り出し指示を、一の用紙積載装置と連携する他の用紙積載装置に与える部分である。また、連携制御部48は、連携判断部47が連携すると判断した他の用紙積載装置に対して用紙取り出し指示を与える部分である。
【0035】
操作表示部49は、たとえばタッチパネル付の液晶ディスプレイを用いて構成される。操作表示部49は、表示部および操作部として機能する。表示部は、画像形成制御部41または連携制御部48から入力される表示制御信号に従って、各種の操作画面、設定画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部は、テンキー、スタートキー等の各種の操作キー、操作ボタン、操作スイッチ等を備え、操作者による各種の入力操作を受け付けて、操作信号を画像形成制御部41または連携制御部48に出力する。
【0036】
(用紙積載装置の制御構成)
用紙積載装置20-2は、用紙積載制御部51と、システム内通信部52と、用紙搬送部53と、用紙積載部54と、指示受付部55とを備えている。
【0037】
用紙積載制御部51は、用紙積載装置20-2の各部の動作を制御する部分である。システム内通信部52は、画像形成システム100-2内で通信する部分である。用紙積載装置20-2のシステム内通信部52は、画像形成装置10-2が備えるシステム内通信部42との間で、各種の情報の送受信を行う。
【0038】
用紙搬送部53は、画像形成装置10-2から用紙積載装置20-2へと送り込まれる用紙を搬送する部分である。用紙搬送部53は、たとえば、用紙搬送路を形成するガイド部材と、複数の用紙搬送ローラとによって構成される。用紙積載部54は、用紙搬送部53によって搬送される用紙を積載する部分である。用紙積載部54は、たとえば上記
図2に示した用紙積載部16と同様の構成を有する。なお、画像形成システム100-2が複数の用紙積載装置20を備える場合、用紙搬送部53は、次に述べる3つの機能を備える。第1の機能は、画像形成装置10-2から送り込まれる用紙を用紙積載部54の用紙積載トレイ(図示せず)に向けて搬送する機能である。第2の機能は、画像形成装置10-2から送り込まれる用紙を下流側(後段)の用紙積載装置20に向けて搬送する機能である。第3の機能は、画像形成装置10-2から送り込まれる用紙の搬送先を切り替える機能である。
【0039】
指示受付部55は、用紙積載装置20-2に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示を受け付ける部分である。指示受付部55は、たとえば、用紙積載装置20-2が備える操作パネル21(
図1参照)によって構成される。操作パネル21には取り出しボタン22(
図1参照)が設けられている。取り出しボタン22は、操作者から用紙取り出し指示を受け付けるための操作ボタンである。
【0040】
(画像形成システムの処理手順)
図6は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システムによって行われる処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理手順は、画像形成システムの制御方法を含む。
まず、操作者は、用紙積載装置20-2の用紙積載部54に積載された用紙を取り出す場合、用紙積載装置20-2の操作パネル21に設けられた取り出しボタン22を押す。そうすると、指示受付部55は、操作者による用紙取り出し指示を受け付ける(ステップS1)。これにより、用紙積載装置20-2は、用紙積載制御部51の制御下で用紙取り出し動作を開始する。また、指示受付部55は、用紙取り出し指示を受け付けたことを、システム内通信部52およびシステム内通信部42を通じて、連携制御部48に通知する。
【0041】
次に、連携制御部48は、用紙積載装置20-1と連携可能な用紙積載装置20に関する情報を含むリストを作成する(ステップS2)。連携可能な用紙積載装置20とは、システム内通信部42,52およびシステム間通信部43を通じて通信可能な用紙積載装置20をいう。本発明の第1実施形態において、用紙積載装置20-2と連携可能な用紙積載装置20は、用紙積載装置20-1aおよび用紙積載装置20-1bである。このため、連携制御部48は、用紙積載装置20-1aに関する情報と、用紙積載装置20-1bに関する情報とを含むリストを作成する。
【0042】
次に、連携制御部48は、リストが空になったか否かを確認する(ステップS3)。そして、リストが空になっている場合は、その時点で一連の処理を終了する。また、連携制御部48は、リストが空になっていない場合は、リストの中から、いずれか1つの用紙積載装置20に関する情報を取り出す(ステップS4)。こうして用紙積載装置20に関する情報をリストから取り出すと、リストに含まれる用紙積載装置20の情報が1つ減る。本発明の第1実施形態においては、まず、用紙積載装置20-1aに関する情報がリストから取り出され、その後、用紙積載装置20-1bに関する情報がリストから取り出されるものとする。ただし、リストからの情報の取り出し順は適宜、変更可能である。
【0043】
その後、連携判断部47は、上記ステップS4で取り出された用紙積載装置20-1aに関する情報を用いて、その用紙積載装置20-1aが用紙積載装置20-2と連携する装置であるか否かを判断する処理(以下、「連携判断処理」という。)を行う。以下に、連携判断処理の一例を述べる。
【0044】
まず、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた操作者と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた操作者とが同一であるか否かを判断する(ステップS5)。そして、連携判断部47は、双方の操作者が異なる場合はステップS5でNOと判断する。ステップS5でNOと判断した場合は、上記ステップS3の処理に戻る。また、連携判断部47は、双方の操作者が同一である場合はステップS5でYESと判断する。ステップS5でYESと判断した場合は、次のステップS6に進む。
【0045】
上記ステップS5において、用紙積載装置20-2に対応付けられた操作者とは、用紙積載装置20-2の操作パネル21に設けられた取り出しボタン22を押して用紙取り出し指示を出した操作者をいう。この操作者については、取り出しボタン22を押す前に操作者が画像形成システム100-2にログインするために入力する情報(以下、「ログイン情報」という。)によって特定可能である。ログイン情報は、たとえば、ユーザーIDおよびパスワードである。また、操作者がジョブチケットを発行する場合は、ジョブチケットに含まれる情報によって操作者を特定可能である。これに対し、用紙積載装置20-1aに対応付けられた操作者とは、予め用紙積載装置20-1aに対応付けて登録された操作者をいう。操作者の登録は、たとえば、画像形成システム100-1を所定の場所に設置した際に行われ、その際の登録情報は、各々の画像形成装置10が備える記憶部(図示せず)に記憶される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0046】
ジョブチケットは、操作者に関する情報の他に、ジョブ投入者に関する情報、画像形成の対象となる画像データ、画像形成に使用する用紙の種類やサイズ、画像形成済みの用紙に施す後工程(後処理)の内容など、画像形成に関する各種の設定や条件、後処理に関する各種の設定や条件などを指定する電子ファイルである。ジョブチケットは、画像形成システム100の画像形成装置10が備える操作表示部(図示せず)を操作者が操作することで発行される場合と、画像形成システム100とネットワークを介して通信する外部の装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)によって発行される場合がある。また、ジョブチケットは1つのジョブごとに発行される。
【0047】
次に、ステップS6において、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられたジョブ投入者と、用紙積載装置20-1aに対応付けられたジョブ投入者とが同一であるか否かを判断する。そして、連携判断部47は、双方のジョブ投入者が異なる場合はステップS6でNOと判断する。ステップS6でNOと判断した場合は、上記ステップS3の処理に戻る。また、連携判断部47は、双方のジョブ投入者が同一である場合は、ステップS6でYESと判断する。ステップS6でYESと判断した場合は、次のステップS7に進む。
【0048】
上記ステップS6において、ジョブ投入者とは、画像形成システム100(100-1,100-2)と後処理装置30とを用いて行われるジョブを投入する者をいう。用紙積載装置20-2に対応付けられたジョブ投入者とは、画像形成装置10の操作表示部49を用いてジョブを投入した者、あるいは、画像形成装置10-2に対して外部の端末装置(図示せず)からジョブを投入した者をいう。ジョブ投入者は、当該ジョブ投入者が画像形成システム100-2にログインするために入力するログイン情報によって特定可能である。また、ジョブ投入者がジョブチケットを発行する場合は、ジョブチケットに含まれる情報によってジョブ投入者を特定可能である。これに対し、用紙積載装置20-1aに対応付けられたジョブ投入者とは、画像形成システム100-1を所定の場所に設置した際などに、用紙積載装置20-1aに対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-1の記憶部に記憶されたジョブ投入者をいう。こうして画像形成装置10-1の記憶部に記憶されたジョブ投入者は、システム間通信部43を通じて、画像形成装置10-2の記憶部46にも記憶される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0049】
次に、ステップS7において、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた後工程と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた後工程とが同一であるか否かを判断する。後工程が同一であるか否かは、後工程で行われる後処理の内容が同一であるか否かによって判断する。後処理には、たとえば、中綴じ処理、断裁処理などがある。連携判断部47は、双方の後工程が異なる場合はステップS7でNOと判断する。ステップS7でNOと判断した場合は、上記ステップS3の処理に戻る。また、連携判断部47は、双方の後工程が同一である場合はステップS7でYESと判断する。ステップS7でYESと判断した場合は、次のステップS8に進む。
【0050】
上記ステップS7において、用紙積載装置20-2に対応付けられた後工程とは、画像形成装置10の操作表示部49を用いて指定された後工程、あるいは、画像形成装置10-2に対して外部の端末装置(図示せず)により指定された後工程をいう。操作者またはジョブ投入者がジョブチケットを発行する場合は、ジョブチケットに含まれる情報によって後工程を特定可能である。これに対して、用紙積載装置20-1aに対応付けされた後工程とは、画像形成システム100-1を所定の場所に設置した際などに、用紙積載装置20-1aに対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-1の記憶部に記憶された後工程をいう。こうして画像形成装置10-1の記憶部に記憶された後工程は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-2の記憶部46にも記憶される。また、画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される後工程に関する情報は、ステップS6の処理を行うために連携判断部47によって読み出される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0051】
次に、ステップS8において、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた用紙設定と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた用紙設定とが同一であるか否かを判断する。用紙設定とは、用紙のサイズ、坪量、種類などに関する設定をいう。連携判断部47は、双方の用紙設定が異なる場合はステップS8でNOと判断する。ステップS8でNOと判断した場合は、上記ステップS3の処理に戻る。また、連携判断部47は、双方の用紙設定が同一である場合はステップS8でYESと判断する。ステップS8でYESと判断した場合は、次のステップS9に進む。
【0052】
上記ステップS8において、用紙積載装置20-2に対応付けられた用紙設定とは、画像形成装置10の操作表示部49を用いて指定された用紙設定、あるいは、画像形成装置10-2に対して外部の端末装置(図示せず)により指定された用紙設定をいう。操作者またはジョブ投入者がジョブチケットを発行する場合は、ジョブチケットに含まれる情報によって用紙設定を特定可能である。これに対して、用紙積載装置20-1aに対応付けされた用紙設定とは、画像形成システム100-1を所定の場所に設置した際などに、用紙積載装置20-1aに対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-1の記憶部に記憶された用紙設定をいう。こうして画像形成装置10-1の記憶部に記憶された用紙設定は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-2の記憶部46にも記憶される。また、画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される用紙設定に関する情報は、ステップS8の処理を行うために連携判断部47によって読み出される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0053】
次に、ステップS9において、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた設置場所情報と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた設置場所情報とが同一であるか否かを判断する。設置場所情報は、画像形成システム100の設置場所に関する情報であり、たとえば、複数階建ての建物であれば、画像形成システム100の設置階を特定可能な情報を含む。連携判断部47は、双方の設置場所情報が異なる場合はステップS9でNOと判断する。ステップS9でNOと判断した場合は、上記ステップS3の処理に戻る。また、連携判断部47は、双方の設置場所情報が同一である場合はステップS9でYESと判断する。ステップS9でYESと判断した場合は、次のステップS10に進む。
【0054】
上記ステップS9において、用紙積載装置20-2に対応付けられた設置場所情報とは、用紙積載装置20-2を備える画像形成システム100-2の設置場所に関する情報をいう。画像形成システム100-2の設置場所に関する情報は、画像形成システム100-2を設置した際に、用紙積載装置20-2に対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される。こうして画像形成装置10-2の記憶部46に記憶された設置場所情報は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-1の記憶部にも記憶される。これに対し、用紙積載装置20-1aに対応付けられた設置場所情報とは、用紙積載装置20-1aを備える画像形成システム100-1の設置場所に関する情報をいう。画像形成システム100-1の設置場所に関する情報は、画像形成システム100-1を設置した際に、用紙積載装置20-1aに対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-1の記憶部に記憶される。こうして画像形成装置10-1の記憶部に記憶された設置場所情報は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-2の記憶部46にも記憶される。また、画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される画像形成システム100-1の設置場所に関する情報および画像形成システム100-2の設置場所に関する情報は、ステップS9の処理を行うために連携判断部47によって読み出される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0055】
連携判断部47は、上述のような連携判断処理(ステップS5~S9)を行うことにより、用紙積載装置20-1aが用紙積載装置20-2と連携する装置であるか否かを判断する。そして、連携判断部47は、ステップS5~S9のすべてのステップでYESと判断した場合に、用紙積載装置20-1aが用紙積載装置20-2と連携する装置であると判断する。
【0056】
その後、ステップS10において、連携制御部48は、用紙積載装置20-1aに用紙取り出し指示を与える。このとき、連携制御部48は、画像形成装置10-1と画像形成装置10-2とをつなぐシステム間通信部43、および、画像形成装置10-1と用紙積載装置20-1aとをつなぐシステム内通信部を通じて、用紙積載装置20-1aに用紙取り出し指示を与える。これにより、用紙取り出し指示を受けた用紙積載装置20-1aは用紙取り出し動作を開始する。
【0057】
ステップS10の処理を終えた後は、上記ステップS3の処理に戻る。ステップS3の処理に戻った場合、連携制御部48は、リストが空になったか否かを確認する。本発明の第1実施形態においては、上述したとおり、用紙積載装置20-1aに関する情報がリストから先に取り出される。このため、用紙積載装置20-1aを対象に連携判断処理を終えた段階では、用紙積載装置20-1bに関する情報がリストに残っている。したがって、ステップS3に続くステップS4において、連携制御部48は、用紙積載装置20-1bに関する情報をリストから取り出し、連携判断部47は、この用紙積載装置20-1bを対象に連携判断処理(ステップS5~S9)を行う。そして、用紙積載装置20-1bが用紙積載装置20-2と連携する装置であると連携判断部47が判断した場合、連携制御部48は、用紙積載装置20-1bに用紙取り出し指示を与える。また、用紙積載装置20-1bに関する情報をリストから取り出した後は、リストが空になる。その場合、連携制御部48は、リストが空になったと判断して、一連の処理を終える。
【0058】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態においては、用紙積載装置20-2の指示受付部55が用紙取り出し指示を受け付けた場合に、画像形成装置10-2の連携制御部48は、用紙積載装置20-2と連携する他の用紙積載装置20に用紙取り出し指示を与える。これにより、たとえば用紙積載装置20-1aおよび用紙積載装置20-1bが、用紙積載装置20-2と連携する装置である場合、連携制御部48は、用紙積載装置20-1aおよび用紙積載装置20-1bに用紙取り出し指示を与える。このため、
図4に示すように、一人の操作者40が2つの画像形成システム100-1,100-2と1つの後処理装置30とを担当している状況下で、操作者40による用紙取り出し指示を用紙積載装置20-2の指示受付部55で受け付けた場合、操作者40は、用紙積載装置20-2だけでなく、用紙積載装置20-1aおよび用紙積載装置20-1bでも用紙取り出し動作を開始させることができる。したがって、操作者40が用紙取り出し指示を行う操作回数を減らすことができる。また、操作者40は、用紙積載装置20-1aおよび用紙積載装置20-1bが用紙取り出し動作を終えるのを待つ必要がなくなる。これにより、用紙積載装置20から用紙を取り出す際の操作者40の作業を簡略化することができると共に、操作者40のトータルの待ち時間を短縮して作業効率を向上させることができる。
【0059】
なお、上記
図6に示すフローチャートのステップS9において、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた設置場所情報と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた設置場所情報とが同一であるか否かを判断するとしたが、これ以外にも、たとえば、設置場所情報に代えて識別情報を適用してもよい。ステップS9に識別情報を適用する場合、連携判断部47は、用紙積載装置20-2に対応付けられた識別情報と、用紙積載装置20-1aに対応付けられた識別情報とが同一であるか否かを判断する。識別情報は、画像形成システム100ごとに付与される固有の情報である。
【0060】
また、用紙積載装置20-2に対応付けられた識別情報とは、用紙積載装置20-2を備える画像形成システム100-2に付与された識別情報をいう。画像形成システム100-2の識別情報は、画像形成システム100-2を設置した際に、用紙積載装置20-2に対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される。こうして画像形成装置10-2の記憶部46に記憶された識別情報は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-1の記憶部にも記憶される。これに対し、用紙積載装置20-1aに対応付けられた識別情報とは、用紙積載装置20-1aを備える画像形成システム100-1に付与された識別情報をいう。画像形成システム100-1の識別情報は、画像形成システム100-1を設置した際に、用紙積載装置20-1aに対応付けて登録され、かつ画像形成装置10-1の記憶部に記憶される。こうして画像形成装置10-1の記憶部に記憶された識別情報は、システム間通信部43を通じて画像形成装置10-2の記憶部46にも記憶される。また、画像形成装置10-2の記憶部46に記憶される画像形成システム100-1の識別情報および画像形成システム100-2の識別情報は、ステップS9の処理を行うために連携判断部47によって読み出される。以上の点は、他の用紙積載装置20についても同様である。
【0061】
また、上記第1実施形態においては、連携判断部47が連携判断処理に適用する判断条件の一例として、操作者、ジョブ投入者、後工程、用紙設定、設置場所情報など計5つの条件(識別情報を含めると6つの条件)を挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、連携判断部47が行う連携判断処理には、いずれか1つの条件を適用してもよいし、いずれか2つ、3つ、または4つの条件を適用してもよい。以下に、各々の条件を適用した場合に得られる効果について説明する。
【0062】
(連携判断の条件に後工程を適用する場合)
連携判断の条件に後工程を適用して連携判断部47が連携判断処理を行う場合、操作者40は、いずれか1つの用紙積載装置20に用紙取り出し指示を与えるだけで、後工程が同じ用紙を積載するすべての用紙積載装置20に用紙取り出し動作を実行させることができる。以下に具体例を挙げて説明する。
【0063】
(画像形成システムと後処理装置の第2設置例)
図7は、画像形成システムと後処理装置の第2設置例を示す概略図である。
図7においては、4つの画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4と、2つの後処理装置30-1,30-2とが設置されている。画像形成システム100-1,100-2については、前述したとおりである。画像形成システム100-3は、1つの画像形成装置10-3と、2つの用紙積載装置20-3a,20-3bとを備えている。画像形成システム100-4は、1つの画像形成装置10-4と、1つの用紙積載装置20-4とを備えている。後処理装置30-1は、2つの画像形成システム100-1,100-2に対して1つ設けられ、後処理装置30-2は、2つの画像形成システム100-3,100-4に対して1つ設けられている。
【0064】
ここで、一人の操作者40が、4つの画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4と2つの後処理装置30-1,30-2とを担当している状況で、2つの画像形成システム100-1,100-2が後処理装置30-1による後工程を必要とするジョブを実行し、2つの画像形成システム100-3,100-4が後処理装置30-2による後工程を必要とするジョブを実行している場合を考える。この場合、操作者40は、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2に積載されているすべての用紙を順次、後処理装置30-1に運んで後工程を実行させる一方、3つの用紙積載装置20-3a,20-3b,20-4に積載されているすべての用紙を順次、後処理装置30-2に運んで後工程を実行させる必要がある。その際、操作者40が用紙積載装置20ごとに取り出しボタン22(
図1参照)を押下する方式では、既述した理由により操作者40の作業が繁雑になる。
【0065】
これに対し、上述した後工程を適用して連携判断部47が連携判断処理を行う場合、操作者40は、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2のうち、いずれか1つの用紙積載装置20に対して用紙取り出し指示を行うだけで、3つの用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2に用紙取り出し動作を実行させることができる。また、操作者40は、3つの用紙積載装置20-3a,20-3b,20-4のうち、いずれか1つの用紙積載装置20に対して用紙取り出し指示を行うだけで、3つの用紙積載装置20-3a,20-3b,20-4に用紙取り出し動作を実行させることができる。このため、操作者40の操作回数を減らして作業の簡略化を図ることができると共に、操作者40のトータルの待ち時間を減らして作業効率を向上させることができる。
【0066】
また、操作者40は、後工程が同じ用紙を積載する用紙積載装置20がどの装置であるかを確認または判断する必要がなくなる。このため、操作者40の作業効率が向上するだけでなく、人為的な操作ミスを減らすことができる。人為的な操作ミスとは、本来であれば、まだ用紙を取り出すタイミングではない用紙積載装置20に対し、操作者40が誤って用紙取り出し指示の操作を行うことをいう。このような操作ミスが発生すると、意図しない用紙取り出し動作が行われてしまうが、後工程を適用して連携判断部47が連携判断処理を行えば、意図しない用紙取り出し動作を避けることができる。
【0067】
なお、
図7においては、画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4ごとに、後工程を行う後処理装置30-1,30-2が異なる場合を示しているが、後工程を適用した連携判断部47による連携判断処理は、これ以外にも、複数の用紙積載装置20を備える画像形成システム100において、用紙積載装置20ごとに、後工程を行う後処理装置30が異なる場合にも適用可能である。具体例を挙げると、画像形成システム100-3は、1つの画像形成装置10-3に複数(図例では2つ)の用紙積載装置20-3a,20-3bが接続された構成になっているが、後工程を適用した連携判断部47による連携判断処理は、用紙積載装置20-3aに積載される用紙の後工程を後処理装置30-1が行い、用紙積載装置20-3bに積載される用紙の後工程を後処理装置30-2が行う場合にも適用可能である。
【0068】
(連携判断の条件に操作者を適用する場合)
連携判断の条件に操作者を適用して連携判断部47が連携判断処理を行う場合、操作者40は、いずれか1つの用紙積載装置20に用紙取り出し指示を与えるだけで、対応する操作者が同じすべての用紙積載装置20に用紙取り出し動作を実行させることができる。以下に具体例を挙げて説明する。
【0069】
(画像形成システムと後処理装置の第3設置例)
図8は、画像形成システムと後処理装置の第3設置例を示す概略図である。
図8においては、6つの画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4,100-5,100-6と、3つの後処理装置30-1,30-2,30-3とが設置されている。画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4については、前述したとおりである。画像形成システム100-5は、1つの画像形成装置10-5と、2つの用紙積載装置20-5a,20-5bとを備えている。画像形成システム100-6は、1つの画像形成装置10-6と、1つの用紙積載装置20-6とを備えている。
【0070】
ここで、一人の操作者40-1が、4つの画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4と2つの後処理装置30-1,30-2とを担当し、もう一人の操作者40-2が、2つの画像形成システム100-5,100-6と1つの後処理装置30-3とを担当している状況を考える。この場合、操作者40-1は、自身が担当する4つの画像形成システム100-1,100-2,100-3,100-4に属する複数の用紙積載装置20のうち、いずれか1つの用紙積載装置20に対して用紙取り出し指示を行うだけで、担当するすべての用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2,20-3a,20-3b,20-4に用紙取り出し動作を実行させることができる。これと同様に、操作者40-2は、自身が担当する2つの画像形成システム100-5,100-6に属する複数の用紙積載装置20のうち、いずれか1つの用紙積載装置20に対して用紙取り出し指示を行うだけで、担当するすべての用紙積載装置20-5a,20-5b,20-6に用紙取り出し動作を実行させることができる。このため、各々の操作者40-1,40-2の操作回数を減らして作業の簡略化を図ることができると共に、操作者40-1,40-2のトータルの待ち時間を減らして作業効率を向上させることができる。また、各々の操作者40-1,40-2の操作ミスに起因する意図しない用紙取り出し動作を避けることができる。以上の効果は、連携判断の条件にジョブ投入者を適用する場合にも同様に得られる。
【0071】
(連携判断の条件に用紙設定を適用する場合)
連携判断の条件に用紙設定を適用して連携判断部47が連携判断処理を行う場合、操作者40は、いずれか1つの用紙積載装置20に用紙取り出し指示を与えるだけで、対応する用紙設定が同じすべての用紙積載装置20に用紙取り出し動作を実行させることができる。また、後処理装置30で用紙の断裁処理を行う場合は、操作者40による断裁準備作業をまとめて実施することができるため、効率的である。断裁準備作業は、後処理装置30で行われる作業であって、用紙のサイズによって変わる用紙の断裁位置に合わせて、用紙位置決め部材の位置を手動で変更する作業である。
【0072】
(連携判断の条件に設置場所情報を適用する場合)
連携判断の条件に設置場所情報を適用して連携判断部47が連携判断処理を行う場合、操作者40は、いずれか1つの用紙積載装置20に用紙取り出し指示を与えるだけで、対応する設置場所情報が同じすべての用紙積載装置20に用紙取り出し動作を実行させることができる。大規模な印刷工場では、複数の画像形成装置10が異なる階に分かれて設置される場合があり、このような場合、連携判断の条件に設置場所情報を適用すれば、設置場所情報が同じ用紙積載装置20を連携させて用紙取り出し動作を実行させることができる。このため、設置場所情報が、画像形成システム100の設置階を特定可能な情報であれば、建物の同じ階に設置された画像形成システム100の後処理装置30同士を連携させることができる。これにより、操作者40は、異なる階を行き来することなく、所定の取り出し作業を行うことができる。このため、用紙積載装置20の用紙取り出し動作が終了してから、操作者40が取り出し作業を行うまでの時間を短く抑えることができる。
【0073】
また、延べ床面積の広い1階建てまたは複数階建ての建物に複数の画像形成システム100を設置する場合、設置階が同じでも各々の画像形成システム100の設置場所が離れることがある。このような場合は、画像形成システム100の設置場所情報に、設置階と設置部屋などを特定可能な情報を含めて、設置階と設置部屋の両方が同一である用紙積載装置20同士を連携させることが好ましい。また、連携判断の条件として識別情報を適用する場合は、設置部屋が同じ画像形成システム100、または、設置部屋が近い画像形成システム100に対して、同じ識別情報を付与することにより、設置部屋が同じ画像形成システム100の後処理装置30同士、または、設置部屋が近い画像形成システム100の後処理装置30同士を連携させることが好ましい。
【0074】
さらに、上述した条件以外にも、連携判断の条件の1つに、連携禁止の有無を含めてもよい。連携禁止の有無は、用紙積載装置20同士の連携が禁止されているか否かを判断するための指標であり、連携禁止が有り場合は用紙積載装置20同士の連携が禁止され、連携禁止が無し場合は用紙積載装置20同士の連携が許可される。連携禁止の有無は、たとえば、ジョブチケットに連携禁止の情報を含めておき、この情報を連携判断部47が参照することにより、連携判断部47で判別することが可能である。また、連携判断部47は、
図6に示すフローチャートにおいて、たとえば、ステップS1の後で、かつ、ステップS2の前に、連携禁止の有無を判別すればよい。そして、その判別結果において、用紙積載装置20同士の連携が禁止されている場合、すなわち連携禁止が有り場合は、そのまま一連の処理を終了し、用紙積載装置20同士の連携が禁止されていない場合、すなわち連携禁止が無し場合は、ステップS2の処理に進むようにすればよい。
【0075】
このように、連携判断部47が連携禁止の有無を判別する構成を採用すれば、次のような効果が得られる。たとえば機密性の高い印刷物(以下、「機密文書」ともいう。)を複数の用紙積載装置20に分けて積載する場合は、あらかじめジョブチケットに連携禁止の情報を含めることにより、操作者40が用紙取り出し指示の操作を行った用紙積載装置20に限定して用紙取り出し動作を実行させることができる。このため、操作者40は、用紙取り出し指示の操作を行った用紙積載装置20の用紙取り出し動作が終了して時点、すなわち機密文書を取り出せる状態になった時点で、直ちに取り出し作業を開始することができる。したがって、用紙積載装置20に積載された機密文書が用紙積載装置20から取り出せる状態で放置される時間を短縮することができる。
【0076】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態に係る画像形成システム100は、上述した第1実施形態のシステム構成と比較して、連携判断部47が連携すると判断した用紙積載装置20の一覧を表示する一覧表示部を備える点が異なる。この一覧表示部は、画像形成装置10が備える操作表示部49によって構成してもよいし、用紙積載装置20が備える操作パネル21によって構成してもよい。また、画像形成システム100の構成として、画像形成装置10および用紙積載装置20のうち少なくとも一方とネットワークを介して接続された携帯端末(図示せず)を備える場合は、この携帯端末が備える表示パネルによって一覧表示部を構成してもよい。また、連携判断部47が連携すると判断した用紙積載装置20の一覧は、たとえば、上述した操作表示部49、操作パネル21または表示パネルに設けられた一覧表示ボタン(図示せず)を操作者が押すことにより、一覧表示部に表示される構成とすればよい。本発明の第2実施形態においては、一例として、用紙積載装置20の操作パネル21によって一覧表示部が構成されると共に、操作パネル21の画面表示が用紙積載制御部51によって制御されるものとする。
【0077】
図9は、連携する用紙積載装置の一覧を表示部に表示した例を示す図である。
図9においては、指示時刻、設置場所情報、操作者、後工程、および、積載枚数の各情報が、一覧で表示されている。指示時刻は、用紙取り出し指示を受けた時刻である。設置場所情報は、画像形成システム100が備える用紙積載装置20の設置場所を示す情報である。操作者は、画像形成システム100が備える用紙積載装置20に対応付けられた操作者を示す情報である。後工程は、画像形成システム100が備える用紙積載装置20に対応付けられた後工程を示す情報である。積載枚数は、画像形成システム100が備える用紙積載装置20によって積載される用紙の枚数を示す情報である。
【0078】
図9に示す一覧表示は、複数の用紙積載装置20を連携させて用紙取り出し動作を実行させた過去の履歴を表示している。この一覧表示を見ると、次のことが分かる。まず、5月13日の10時30分に用紙取り出し指示を受けて連携した用紙積載装置20は3台存在すること、3台の用紙積載装置20はいずれも建物の2階(2F)に設置されていること、3台の用紙積載装置20に対応付けられた操作者はいずれもUserAであること、3台の用紙積載装置20に対応付けられた後工程はいずれも中綴じ処理であることが分かる。また、5月13日の11時15分に用紙取り出し指示を受けて連携した用紙積載装置20は2台存在すること、2台の用紙積載装置20はいずれも建物の3階(3F)に設置されていること、2台の用紙積載装置20に対応付けられた操作者はいずれもUserBであること、2台の用紙積載装置20に対応付けられた後工程はいずれも断裁処理であることが分かる。
【0079】
このような一覧表示部を画像形成システム100の用紙積載装置20が備えることにより、次のような効果が得られる。
まず、上記第1実施形態においては、いずれか1つの用紙積載装置20が用紙取り出し指示を受け付けた場合に、この用紙積載装置20に他の用紙積載装置20が連携するか否かを、所定の条件に基づいて連携判断部47が自動的に判断する。このため、用紙取り出し指示の操作を行う操作者は、連携する用紙積載装置20がどれであるかを把握できない可能性がある。したがって、たとえば
図8に示すように4つの用紙積載装置20-1a,10-1b,20-2,20-3aが連携して用紙取り出し動作を実行したにもかかわらず、用紙積載装置20-3aが用紙取り出し動作を実行したことを操作者が認識できない可能性がある。そのような場合は、用紙積載装置20-3が用紙取り出し動作を終えても、作業者はそのことに気づかないまま時間が経過する。このため、用紙積載装置20-3は、用紙が取り出せる状態で放置される。したがって、用紙積載装置20-3に積載される用紙が機密文書である場合は、機密文書に印刷された情報が外部に漏れるおそれが高まるなど、セキュリティ上の問題が生じる。また、用紙積載装置20-3において、用紙が取り出せる状態で長い時間放置されると、その間、用紙積載装置20-3では次の用紙を積載できなくなるため、用紙積載装置20-3の停止時間が長くなって生産性が低下してしまう。
【0080】
これに対し、本発明の第2実施形態においては、画像形成システム100の用紙積載装置20が一覧表示部を備えているため、用紙取り出し指示の操作を行う操作者は、連携する用紙積載装置20がどれであるかを事前に把握することができる。このため、用紙取り出し動作を終えたすべての用紙積載装置20から確実に用紙を取り出して、後処理装置30へと用紙を運び込むことができる。したがって、上述したセキュリティ上の問題を解消することができる。また、用紙積載装置20の停止時間を短縮して生産性を高めることができる。
【0081】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
本発明の第3実施形態に係る画像形成システム100は、上述した第2実施形態のシステム構成と比較して、以下の2つの点が異なる。1つは、一覧表示部に表示された用紙積載装置20の一覧において、連携指定の有無を用紙積載装置20ごとに変更可能な入力部を備える点である。もう1つは、連携判断部47は、上記の入力部によって変更された連携指定の有無に基づいて、一の用紙積載装置に他の用紙積載装置が連携するか否かを判断する点である。以下、具体例を挙げて説明する。
【0082】
まず、上記第2実施形態において、操作者は、用紙取り出し指示の操作を行う前に、連携する用紙積載装置20がどれであるかを把握することができるが、連携する用紙積載装置20が多く存在する場合は、用紙の取り出し作業を担当する操作者の時間の都合により、一部の用紙積載装置20のみ連携させ、それ以外の用紙積載装置20を連携させたくないことがある。たとえば、一覧表示部に表示された内容を確認したときに、連携する用紙積載装置20が5台存在したとしても、操作者の勤務時間が終了するまでの残り時間を考えると、用紙の取り出し作業を終えることができる用紙積載装置20の台数が2台に制限されることがある。その一方で、連携判断部47が自動で連携すると判断した用紙積載装置20以外にも、操作者の希望で連携させたい用紙積載装置20が存在することがある。その場合、連携判断部47が連携しないと判断した用紙積載装置20については、操作者が個別に用紙取り出し指示のための操作を行う必要がある。このため、操作者の作業が煩雑になり、作業効率も低くなる。そのような場合に、たとえば一覧表示部の表示画面に連携変更ボタン(図示せず)を設けておき、この連携変更ボタンを操作者が押したときに、用紙積載制御部51が、一覧表示部の表示画面を
図10に示すような画面に切り替える。なお、
図10には、連携判断部47が連携すると判断した用紙積載装置20の一覧を表示しているが、連携判断部47が連携しないと判断した用紙積載装置20を含めて、連携可能なすべての用紙積載装置20を表示することが可能である。
【0083】
図10に示す画面には、上述した設置場所情報、操作者、後工程、および、積載枚数の各欄に加えて、「元に戻す」ボタン57、「取り出し」ボタン58、および、連携指定の欄が設けられている。そして、連携指定の欄にチェックボックスが設けられている。連携指定の欄は、連携指定の有無を用紙積載装置20ごとに変更可能な入力部として機能する。具体的には、
図10に示す画面をタッチパネルに表示する場合は、このタッチパネル上で操作者が連携指定の欄のチェックボックスをタッチすることにより、対応する用紙積載装置20の連携指定が有りから無しに、または、無しから有りに変更される。
図10においては、設置場所情報が2F-201、2F-202、2F-203である3台の用紙積載装置20については、連携指定が有りに設定されている。このため、現状の設定の下で、設置場所情報が2F-201、2F-202、2F-203である3台の用紙積載装置20のうちいずれか1つに操作者が用紙取り出し指示を与えると、3台の用紙積載装置20が連携して用紙取り出し動作を実行することになる。また、設置場所情報が3F-302、3F-303である2台の用紙積載装置20については、連携指定が無しに設定されている。現状の設定の下で、設置場所情報が3F-302、3F-303である2台の用紙積載装置20のうちいずれか1つに操作者が用紙取り出し指示を与えると、用紙取り出し指示を受け付けた用紙積載装置20だけが用紙取り出し動作を実行することになる。
【0084】
「元に戻す」ボタン57は、連携指定の有無を、変更前のデフォルトの状態に戻す場合に操作者によって押下操作されるボタンである。デフォルトの状態とは、連携判断部47の判断結果に基づく状態である。このため、実際に操作者が「元に戻す」ボタン57を押すと、連携判断部47が連携すると判断した用紙積載装置20については、連携指定が有りの状態に戻り、連携判断部47が連携しないと判断した用紙積載装置20については、連携指定が無しの状態に戻る。一方、「取り出し」ボタン58は、上記
図1に示す取り出しボタン22と同様に、用紙積載装置20に積載された用紙を取り出す場合に操作者によって押下操作されるボタンである。実際に操作者が「取り出し」ボタン58を押した場合、その時点で連携指定の有無が確定する。このため、連携判断部47は、「取り出し」ボタン58が押された時点の、連携指定の有無に基づいて、一の用紙積載装置に他の用紙積載装置が連携するか否かを判断する。
【0085】
本発明の第3実施形態においては、連携指定の有無を用紙積載装置20ごとに変更可能となるため、操作者は、自身の時間の都合などにより、連携させたい用紙積載装置20を減らして用紙取り出し動作を実行させたり、連携させたい用紙積載装置20を追加して用紙取り出し動作を実行させたりすることができる。このため、使い勝手のよい画像形成システム100を提供することができる。また、用紙取り出し動作を終えた用紙積載装置20から用紙が取り出されないまま放置される状況が避けられるため、機密文書を取り扱う場合のセキュリティ上の安全性を確保することができる。また、連携判断部47が連携しないと判断した用紙積載装置20について、操作者が個別に用紙取り出し指示のための操作を行う必要がなくなる。このため、操作者の作業を簡略化して作業効率を高めることができる。
【0086】
<第4実施形態>
図11は、本発明の第4実施形態に係る画像形成システムを含む情報処理システムの構成を示す概略図である。
図11に示すように、本発明の第4実施形態に係る情報処理システムは、2つの画像形成システム100-1,100-2と、1つの後処理装置30とが設置されており、この点は上記第1実施形態の場合(
図4参照)と同様である。さらに、本発明の第4実施形態に係る情報処理システムは、携帯端末60と、情報処理装置70とを備えている。携帯端末60と情報処理装置70とは、ネットワークを介して通信可能に構成され、情報処理装置70と画像形成システム100-1,100-2とは、ネットワークを介して通信可能に構成されている。
【0087】
携帯端末60は、操作者40が携帯して操作する端末である。携帯端末60は、携帯電話でもよいし、スマートフォンでもよいし、タブレット端末でもよい。携帯端末60は、操作者40から用紙取り出し指示を受け付ける指示受付部(図示せず)を有する。携帯端末60を用いた用紙取り出し指示は、いずれかの用紙積載装置20を指定して行われる。携帯端末60は、操作者40から用紙取り出し指示を受け付けると、その旨を情報処理装置70に通知する。
【0088】
情報処理装置70は、画像形成システム100に用いられる情報処理装置であって、コンピュータのハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMから所定のプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムにしたがって所定の処理を行うことにより、後述する連携判断部および連携制御部として機能する。
【0089】
情報処理装置70は、用紙取り出し指示を受け付けた旨の通知を携帯端末60から受けた場合に、用紙取り出し指示を受けた一の用紙積載装置に他の用紙積載装置が連携するか否かを所定の条件に基づいて判断する連携判断部と、用紙取り出し指示を受けた一の用紙積載装置と、これに連携する他の用紙積載装置とに、用紙取り出し指示を与える連携制御部と、連携判断部による連携判断処理に用いられる種々の情報を記憶する記憶部とを備える。つまり、情報処理装置70は、上記第1実施形態に係る画像形成装置10が備える記憶部46、連携判断部47および連携制御部48と同様の機能部を備える。なお、各々の機能部の詳細については、上記第1実施形態の内容と重複するため説明を省略する。
【0090】
続いて、本発明の第4実施形態に係る情報処理システムの処理手順について説明する。
まず、携帯端末60は、操作者40による用紙取り出し指示を受け付ける。ここでは一例として、操作者40が、用紙積載装置20-1aを指定して用紙取り出し指示を行ったものとする。次に、携帯端末60は、操作者40から用紙取り出し指示を受け付けた旨を情報処理装置70に通知する。
【0091】
次に、情報処理装置70の連携判断部は、操作者40から用紙取り出し指示を受けた一の用紙積載装置である用紙積載装置20-1aに、他の用紙積載装置である用紙積載装置20-1b,20-2が連携するか否かを判断する。ここでは一例として、情報処理装置70の連携判断部は、用紙積載装置20-1aに用紙積載装置20-1b,20-2が連携すると判断したものとする。
【0092】
次に、情報処理装置70の連携制御部は、一の用紙積載装置である用紙積載装置20-1aと、他の用紙積載装置である用紙積載装置20-1b,20-2とに、用紙取り出し指示を与える。これにより、各々の用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2は、用紙取り出し動作を実行する。その後、操作者40は、各々の用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2から順に、用紙を取り出すと共に、取り出した用紙を後処理装置30へと運び込み、後処理装置30による後工程を実行させる。
【0093】
このように、本発明の第4実施形態に係る情報処理システムにおいて、携帯端末60は、操作者40から用紙取り出し指示を受け付ける処理を行い、情報処理装置70は、各々の用紙積載装置20-1a,20-1b,20-2に用紙取り出し指示を与える処理を行う。このため、上記第1実施形態に係る画像形成システム100のように画像形成装置10が連携判断部47および連携制御部48を備えていなくても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
なお、上記第4実施形態においては、操作者40による用紙取り出し指示を携帯端末60で受け付ける構成になっているが、本発明はこれに限らない。たとえば、画像形成システム100-1,100-2と後処理装置30とがネットワークを介して通信可能である場合は、所定のタイミングで後処理装置30が用紙積載装置20に用紙取り出し指示を発信するようにしてもよい。所定のタイミングは、たとえば、後処理装置30が後工程を終えたタイミングである。後処理装置30が用紙積載装置20に用紙取り出し指示を発信した場合は、この用紙取り出し指示を受け付けた旨を用紙積載装置20が情報処理装置70に通知し、この通知を受けて情報処理装置70が上記同様の処理を行う。
【0095】
<変形例等>
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件、あるいは、その構成要件の組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0096】
たとえば、上記第1実施形態においては、操作者40による用紙取り出し指示を用紙積載装置20で受け付ける構成となっているが、本発明はこれに限らず、操作者40による用紙取り出し指示を画像形成装置10で受け付ける構成であってもよい。また、画像形成装置10および用紙積載装置20のうち少なくとも一方とネットワークを介して接続されている場合は、操作者40による用紙取り出し指示をその携帯端末で受け付ける構成であってもよい。
【0097】
また、上記第1実施形態においては、画像形成システム100(100-2)が、システム内通信部42,52とシステム間通信部43とを備える構成となっているが、いずれか一方の通信部のみを備えた構成であってもよい。
【0098】
また、上記各実施形態においては、用紙積載装置20に積載された用紙の取り出しを指示する用紙取り出し指示を用紙積載装置20等で受け付ける構成について説明したが、本発明はこれに限らず、用紙積載装置20の動作の中断を指示する動作中断指示を用紙積載装置20等で受け付ける構成に適用してもよい。用紙取り出し指示に代えて動作中断指示を適用する場合は、連携制御部から用紙積載装置20に与えられる指示が動作中断指示となる。
【0099】
また、連携判断処理に必要な情報をネットワーク上のサーバーに記憶し、そのサーバーから連携判断部が情報を読み出すように構成してもよい。
【0100】
また、用紙積載装置20は、
図12に示すように複数の用紙積載トレイ24a,24bを備えた構成でもよいし、
図13に示すように用紙積載トレイ24cが用紙積載装置20の筐体から斜めに突き出した構成、すなわち外部に開放された位置に用紙積載トレイ24cが配置された構成でもよい。
【符号の説明】
【0101】
10,10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6…画像形成装置
20,20-1a,20-1b,20-2,20-3a,20-3b,20-4,20-5a,20-5b,20-6…用紙積載装置
30,30-1,30-2,30-3…後処理装置
40,40-1,40-2…操作者
44,53…用紙搬送部
47…連携判断部
48…連携制御部
55…指示受付部
70…情報処理装置
100,100-1,100-2,100-3,100-4,100-5,100-6…画像形成システム(用紙搬送システム)