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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】超音波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240709BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
A61B8/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155376
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049264
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松田 洋史
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 摂内
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029315(JP,A)
【文献】特開2018-029147(JP,A)
【文献】特開2018-079042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
A61B 1/00- 8/15
G01S 1/00-15/96
B06B 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波素子を含む第1基板と、
前記第1基板上の電極と、
貫通孔を有する第2基板と、
前記電極と前記第2基板との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを離間させる
ギャップ材と、
前記第1基板上の電極と、前記貫通孔と、前記ギャップ材とで囲まれる空間に配置され
、前記第1基板上の電極と電気的に接続された導電性樹脂と、を備え、
前記第2基板は、前記第1基板に対して第1方向に積層され、
前記導電性樹脂は、前記第2基板から前記第1方向に突出し、
前記第1方向からの平面視にて、
前記貫通孔は、前記電極と重なり、
前記ギャップ材は、前記貫通孔を囲むと共に、前記貫通孔とは重ならないことを特徴と
する超音波デバイス。
【請求項2】
前記第1方向と直交する第2方向から見たとき、前記貫通孔に続く前記ギャップ材の側
面は、前記第1方向に向かって窄まることを特徴とする、請求項1に記載の超音波デバイ
ス。
【請求項3】
前記第2方向から見たとき、前記貫通孔に続く前記ギャップ材の前記側面は、前記第1
方向に向かってテーパー状に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の超音波デバ
イス。
【請求項4】
前記超音波素子は、前記第1方向からの平面視にて前記貫通孔とは重ならないことを特
徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波素子を備えた超音波デバイスが知られていた。このような超音波デバイスでは、素子基板に複数の素子および複数の端子部が設けられ、複数の端子部とFPC(Flexible Printed Circuits)などの電極とが電気的に接続される。例えば、特許文献1には、複数の素子を保護する封止板に設けられた貫通孔を介して、素子基板の端子部とFPCの電極とが電気的に接続される超音波デバイスの配線構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-29270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の配線構造では、製造コストが増加し易いという課題があった。詳しくは、端子領域の貫通孔にFPCを屈曲させて挿入し、接点を保護部材で覆っている。そのため、実装工程が複雑となり自動化が難しかった。また、貫通孔を介してFPCが実装されるため、FPCに引張り力などの力が作用すると貫通孔からFPCが抜け易くなるという課題もあった。すなわち、簡易な構成で製造コストを低減すると共に、着実な実装を可能とする超音波デバイスが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
超音波デバイスは、超音波素子を含む第1基板と、前記第1基板上の電極と、貫通孔を有する第2基板と、前記電極と前記第2基板との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを離間させるギャップ材と、を備え、前記第2基板は、前記第1基板に対して第1方向に積層され、前記第1方向からの平面視にて、前記貫通孔は、前記電極と重なり、前記ギャップ材は、前記貫通孔を囲むと共に、前記貫通孔とは重ならないことを特徴とする。
【0006】
超音波デバイスは、超音波素子を含む第1基板と、前記第1基板上の電極と、貫通孔を有する第2基板と、前記電極と前記第2基板との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを離間させるギャップ材と、を備え、前記第2基板は、前記第1基板に対して第1方向に積層され、前記第1方向からの平面視にて、前記貫通孔は、前記電極と重なり、前記ギャップ材は、前記貫通孔を囲み、前記第1方向と直交する第2方向から見たとき、前記貫通孔に続く前記ギャップ材の側面は、前記第1方向に向かって窄まることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る超音波デバイスとしての超音波センサーの機能を示す模式図。
図2】超音波素子周辺の構成を示す概略断面図。
図3】ギャップ材の形態を示す概略平面図。
図4】ギャップ材の形態を示す概略断面図。
図5】第2実施形態に係るギャップ材の形態を示す概略断面図。
図6】第3実施形態に係るギャップ材の形態を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の各図においては、必要に応じて相互に直交するXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。+Z方向を上方、-Z方向を下方ということもある。なお、本明細書における第1方向とは+Z方向を指す。第1方向と直交する第2方向とは、Z軸に沿う方向と直交する方向であり、例えば、-Y方向をいう。
【0009】
また、以下の説明において、例えば基板に対して「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
【0010】
1.第1実施形態
本実施形態では、振動することによって超音波を発生させる超音波素子を1つ以上有する超音波デバイスとして、超音波センサーを例示する。第1実施形態に係る超音波センサー1の構成について図1および図2を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、超音波センサー1は、超音波の送信受信部100とタイマー200とを備える。送信受信部100は、超音波を送信方向D1に送信し、対象物Oにて受信方向D2に反射された超音波を受信する。送信受信部100が送信する超音波は、後述する送信側の超音波素子によって生成される。また、送信受信部100が受信する超音波は、後述する受信側の超音波素子によって受信される。
【0012】
タイマー200は、送信受信部100が超音波を送信してから対象物Oにて反射された超音波を受信するまでの時間を計測する。これにより、超音波センサー1は、超音波センサー1から対象物Oまでの距離Loを計測する。
【0013】
図2に示すように、送信受信部100は、超音波素子113を含む第1基板110、電極としての第1電極111および第2電極112、ギャップ材114、および第2基板115を備える。超音波素子113は、送信側の超音波素子113と受信側の超音波素子113とを含む。送信側の超音波素子113および受信側の超音波素子113は、同様の構成であるため、以降は総称して単に超音波素子113ということもある。
【0014】
送信受信部100では、第1基板110から上方に向かって、振動板110a、第1電極111または第2電極112、ギャップ材114、および第2基板115がこの順番にて積層される。第2基板115は、ギャップ材114などを介して第1基板110に対して+Z方向に積層される。
【0015】
第1基板110には開口部110bが形成される。開口部110bは、第1基板110を貫通する。第1基板110の上方には振動板110aが積層される。そのため、開口部110bに対応する領域の振動板110aは、-Z方向に露出して振動可能な膜として機能する。
【0016】
第1電極111に電圧が印加されると、送信側の超音波素子113がX軸に沿う方向およびY軸に沿う方向に伸縮する。これにより、上記領域の振動板110aが振動して超音波が生成される。該超音波は、送信側の超音波素子113に対応する開口部110bから対象物Oへ向けて送信される。超音波は、対象物Oで反射された後、開口部110bを介して振動板110aを振動させ、この振動が受信側の超音波素子113に伝達されることによって受信される。したがって、超音波センサー1を用いる際には、開口部110bを対象物Oに対向させる。
【0017】
第1基板110の材料には、例えば、シリコン(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、サファイア、ヒ化ガリウム(GaAs)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、および酸化アルミニウム(Al23)などが適用される。振動板110aの材料には、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、および酸化ハフニウム(HfO2)などが適用される。
【0018】
第1基板110上には、振動板110aを介して第1電極111または第2電極112が配置される。開口部110bの上方には、超音波素子113が配置される。超音波素子113の下方は、一部が振動板110aに接し、他部が第1電極111に接して配置される。超音波素子113の-X方向の側面および上方は第2電極112と接する。すなわち、超音波素子113の一端と第1電極111と、および超音波素子113の多端と第2電極112とは各々電気的に接続される。超音波素子113が第1電極111および第2電極112と電気的に接続されるため、超音波素子113を駆動して超音波を発生させたり、超音波を受信させたりすることが可能となる。
【0019】
超音波素子113に対して、側方である-X方向および+X方向にはギャップ材114が配置され、上方には超音波素子113の保護基板である第2基板115が配置される。超音波素子113は上下および側方を略囲まれた空間に収容される。なお、ギャップ材114は、+Z方向からの平面視にて貫通孔115aを枠状に囲む。ギャップ材114の詳細な形態は後述する。
【0020】
超音波素子113には公知の圧電体が適用される。圧電体の材料としては、例えば、ペロブスカイト(ABO3)構造を有する複合酸化物を用いる。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの鉛系複合酸化物、鉄酸ビスマス(BFO)系材料およびニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)などの非鉛系複合酸化物が挙げられる。鉛系複合酸化物を用いると、超音波素子113における振動の変位量を確保し易くなる。非鉛系複合酸化物を用いると、環境対応を促進し易くなる。
【0021】
BFO系材料では、ペロブスカイト構造のAサイトにBi(ビスマス)が位置し、Bサイトに鉄(Fe)が位置する。BFO系材料には、Bi、FeおよびO(酸素)以外の元素が添加されてもよい。該元素としては、例えば、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)、La(ランタン)、Ba(バリウム)、Ti(チタン)、Co(コバルト)、Ce(セリウム)、Sm(サマリウム)、Cr(クロム)、K(カリウム)、Li(リチウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、およびEu(ユーロビウム)が挙げられ、これらのうちの1種類以上が含まれてよい。
【0022】
KNN系材料には、K、Na(ナトリウム)、NbおよびO以外の元素が添加されてもよい。該元素としては、例えば、Mn、Li、Ba、Ca、Sr、Zr(ジルコニウム)、Ti、Bi、Ta、Sb(アンチモン)、Fe、Co、Ag(銀)、Mg(マグネシウム)、Zn、Cu(銅)、V、Cr、Mo、W、Ni、Al、Si(シリコン)、La、Ce、Pr、Nd、Pm(プロメチウム)、Sm、およびEuが挙げられ、これらのうちの1種類以上が含まれてよい。
【0023】
なお、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物には、結晶構造中における原子の欠損または過剰な原子の存在によって化学量論的組成からずれたもの、元素の一部が他の元素に置換されたものも含まれる。つまり、ペロブスカイト構造をとり得る限りにおいて、格子不整合、酸素欠損などによる不可避な組成のずれ、および元素の一部置換なども許容される。
【0024】
第1電極111および第2電極112の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されない。第1電極111および第2電極112の材料としては、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Au(金)、Al、Cu、Ti、ステンレス鋼などの金属材料、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)などの酸化錫系導電材料、酸化亜鉛系導電材料、ルテニウム系ストロンチウム、ニッケル酸ランタン、元素ドープチタン酸ストロンチウムなどの酸化物導電材料、および導電性ポリマーなどが適用可能である。
【0025】
ギャップ材114は、第1電極111上および第2電極112上に配置される。ギャップ材114は、第1電極111および第2電極112と、第2基板115との間に介在する。第1基板110と第2基板115とは、ギャップ材114によって離間され、超音波素子113が収容される上述した空間が形成される。
【0026】
詳しくは後述するが、ギャップ材114は、+Z方向からの平面視にて超音波素子113および開口部110bと重ならない位置にあって、第1電極111および第2電極112の各々の一部を個別に枠状に囲んで形成される。第1電極111および第2電極112において、ギャップ材114によって枠状に囲まれた領域は、後述する導電性樹脂との電気的な接点となる。すなわち、第1電極111および第2電極112の各々において、枠状のギャップ材114に囲まれた領域は、簡素で小型化が容易な電極端子となる。ギャップ材114の詳細な形態については後述する。
【0027】
ギャップ材114は、例えば、光硬化型などの硬化性を有する樹脂によって形成される。これにより、第1基板110と第2基板115との間の、Z軸に沿う方向の間隔が高精度に形成される。
【0028】
第2基板115は、超音波素子113、第1電極111、および第2電極112に対して、上方でギャップ材114に支持される。第2基板115の材料には、例えば、第1基板110と同様な材料が適用される。
【0029】
第2基板115は貫通孔115aを有する。貫通孔115aは、枠状のギャップ材114の各々に対応して配置され、+Z方向からの平面視にて超音波素子113とは重ならない。超音波素子113は、第1基板110、第2基板115、およびギャップ材114から形成される空間に配置されるため、超音波素子113が発信または受信する振動が妨げられない。
【0030】
ギャップ材114にて枠状に囲まれた領域および貫通孔115aによって上方が開放された凹部119が形成される。凹部119には導電性樹脂118が充填される。導電性樹脂118は、第1電極111および第2電極112の各々に対応して電気的に接続される。導電性樹脂118は送信受信部100における実装用の接続配線となる。
【0031】
導電性樹脂118は、凹部119に銀ペーストなどを充填して固化させることにより形成される。充填する導電性樹脂118の体積を凹部119の内容積よりも大きくして、導電性樹脂118の上方の端部を第2基板115から上方に突出させている。導電性樹脂118における上方に突出した部分は、実装が容易で小型の実装用端子と成る。
【0032】
ギャップ材114の詳細な形態について、図3および図4を参照して説明する。ここで、図3および図4においては、図示の便宜上、超音波素子113、振動板110a、導電性樹脂118などを省略すると共に、その他の構成を簡略化している。また、図3においては、第2基板115に遮蔽される、ギャップ材114、第1電極111、および第2電極112は、第2基板115を透過させて破線で示す。
【0033】
図3に示すように、+Z方向からの平面視にて、第1電極111に対応する貫通孔115aは第1電極111と重なり、第2電極112に対応する貫通孔115aは第2電極112と重なる。つまり、1つの貫通孔115aに、1つの第1電極111または1つの第2電極112が対応する。図示を省略するが、第1電極111および第2電極112の+Y方向は、第1基板110上の配線へと続いている。
【0034】
ギャップ材114は、+Z方向からの平面視にて枠状に形成され、貫通孔115aを囲むと共に、貫通孔115aとは重ならない。つまり、平面的にギャップ材114は貫通孔115aよりも大きく形成される。ここで、第1電極111に形成されるギャップ材114と、第2電極112に形成されるギャップ材114とは同様な形態である。そのため、以降、ギャップ材114の説明は第1電極111に対応するものについてのみとし、第2電極112に対応するものについての説明は省略する。
【0035】
ギャップ材114が平面的に枠状に形成されるため、凹部119に導電性樹脂118を充填する際に、導電性樹脂118が流れ出て超音波素子113などに接触することが防止される。
【0036】
図4に示すように、-Y方向からの側面視にて、第2基板115は、貫通孔115aにおいてギャップ材114に対してオーバーハングしている。つまり、X軸に沿う方向において、貫通孔115aの幅は、枠状のギャップ材114の内側の幅よりも狭い。図示を省略するが、X軸に沿う方向のみならず、Z軸と直交するその他の方向において、貫通孔115aの幅はギャップ材114の内側の幅よりも狭い。なお、貫通孔115aの幅は、少なくともZ軸と直交する1つの方向においてギャップ材114の内側の幅よりも狭ければよい。
【0037】
上述した貫通孔115aおよびギャップ材114の形態によって、凹部119は第1電極111に接する下方が広く、上方が窄まった形状となる。また、第2基板115の下方の面における貫通孔115aの周辺、つまりギャップ材114に対してオーバーハングする部分も導電性樹脂118と接するため、接着面積が増大する。これらにより、凹部119に導電性樹脂118を形成すると、導電性樹脂118を凹部119から抜け難くすることができる。
【0038】
本実施形態では、+Z方向から平面視した場合のギャップ材114および貫通孔115aの形状を略矩形としたが、上記形状はこれに限定されない。上記形状は円形や楕円形などであってもよい。また、本実施形態では、ギャップ材114に対して、第1電極111および第2電極112と、第2基板115とが各々接する構成を例示したが、これに限定されない。ギャップ材114が接着剤などを介して、第1電極111および第2電極112と、あるいは第2基板115と間接的に接する構成としてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、超音波デバイスとして対象物Oとの距離Loを計測する超音波センサー1を例示したが、超音波デバイスはこれに限定されない。超音波デバイスは、例えば、流量センサー、物体検知センサー、画像センサー、および発電素子などであってもよい。
【0040】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0041】
簡易な構成で製造コストを低減すると共に、着実に実装することができる。詳しくは、+Z方向からの平面視にて、第1電極111および第2電極112は、枠状のギャップ材114に各々囲まれて、貫通孔115aの1つに第1電極111および第2電極112の1つが対応する。そのため、貫通孔115aから凹部119に導電性樹脂118を充填して実装用の端子が形成される。また、第1電極111および第2電極112と電気的に接続される配線を貫通孔115aから引き出して凹部119に非導電性材料などを充填することで、実装用の端子を形成することも可能となる。これにより、簡素な構成で、実装のための電極端子が形成される。したがって、FPCを屈曲させる作業が不要となり、実装工程の自動化が容易になる。また、FPCの挿入機構および固定機構などが不要となる。
【0042】
また、+Z方向からの平面視にて、ギャップ材114が貫通孔115aを囲みつつ重ならない。つまり、-Y方向から側面視すると、貫通孔115aにおいて、ギャップ材114に対して第2基板115はオーバーハングして配置される。そのため、実装工程において、凹部119に導電性樹脂118を充填して電極端子を形成すると、オーバーハング部が電極端子の抜け防止として機能する。これにより、電極端子を着実に実装することができる。以上により、簡易な構成で製造コストを低減すると共に、着実な実装を可能とする超音波センサー1を提供することができる。
【0043】
2.第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態と同様に超音波デバイスとして超音波センサーを例示する。本実施形態に係る超音波センサーは、第1実施形態の超音波センサー1に備わる送信受信部100に対して、ギャップ材114の形態を異ならせたものである。そのため、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用して重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係る送信受信部220におけるギャップ材124の詳細な形態について、図5を参照して説明する。ここで、図5は第1実施形態の図4と同様に、図示の便宜上、超音波素子113、振動板110a、および導電性樹脂118などを省略すると共に、その他の構成を簡略化している。
【0045】
図5に示すように、本実施形態の超音波センサーが備える送信受信部220は、図示しない超音波素子113を含む第1基板110と、第1基板110上の第1電極111と、貫通孔115aを有する第2基板115と、第1電極111と第2基板115との間に介在し、第1基板110と第2基板115とを離間させるギャップ材124と、を備える。
【0046】
図示を省略するが、ギャップ材124は、+Z方向からの平面視にて超音波素子113および開口部110bと重ならない位置にあって、第1電極111および第2電極112の各々の一部を個別に枠状に囲んで形成される。第1電極111および第2電極112において、ギャップ材124によって枠状に囲まれた領域は、図示しない導電性樹脂118との電気的な接点となる。すなわち、第1電極111および第2電極112の各々において、枠状のギャップ材124に囲まれた領域は、簡素で小型化が容易な電極端子となる。
【0047】
第2基板115は、第1基板110に対して+Z方向に積層され、+Z方向からの平面視にて、貫通孔115aは電極である第1電極111または第2電極112と重なる。ギャップ材124は、貫通孔115aを囲み、+Z方向と直交する-Y方向から見たとき、貫通孔115aに続くギャップ材124のX軸に沿う方向の側面は、+Z方向に向かってテーパー状に窄まる。
【0048】
ギャップ材124に囲まれた領域および貫通孔115aによって上方が開放された凹部129が形成される。凹部129には図示しない導電性樹脂118が充填される。導電性樹脂118は、第1電極111および第2電極112の各々に対応して電気的に接続される。導電性樹脂118は、超音波センサー1における実装用の接続配線となる。
【0049】
詳しくは、-Y方向から見たとき、貫通孔115aに続く、ギャップ材124のZ軸と直交する方向の側面は、+Z方向に向かってテーパー状に形成される。例えば、X軸に沿う方向において、凹部129におけるギャップ材124の内側の幅は、上方の端部で貫通孔115aの幅に略等しく、下方の端部では上方の端部より広い。図示を省略するが、X軸に沿う方向のみならず、Z軸と直交するその他の方向においても上記と同様に、下方の端部の幅は上方の端部の幅よりも広い。枠状のギャップ材124の内側の側面は、Z軸に沿う方向に対して斜面状に形成される。
【0050】
ギャップ材124の上記テーパー形状は、ギャップ材124の材料に光硬化型樹脂を用いて、硬化させる際の露光量の調節によって形成可能である。また、第2基板115にギャップ材124の材料を成膜した後、ウェットエッチングなどで形成してもよい。
【0051】
凹部129は、上述した貫通孔115aおよびギャップ材124の形態によって、第1電極111または第2電極112に接する下方が広く、上方が窄まった形状となる。これにより、凹部129に導電性樹脂118を形成すると、導電性樹脂118を凹部129から抜け難くすることができる。
【0052】
なお、ギャップ材124の内側の側面において、第1実施形態の凹部119と同様にして、上方の端部の幅を貫通孔115aの幅よりも広く形成してもよい。これにより、側面視にてギャップ材124と貫通孔115aとの間に段差が生じて、凹部129から導電性樹脂118をさらに抜け難くすることができる。
【0053】
なお、+Z方向からの平面視した場合のギャップ材124および貫通孔115aの形状は、略矩形であることに限定されず、円形や楕円形などであってもよい。また、本実施形態では、ギャップ材124に対して、第1電極111および第2電極112と、第2基板115とが各々接する構成を例示したが、これに限定されない。ギャップ材124が接着剤などを介して、第1電極111および第2電極112と、あるいは第2基板115と間接的に接する構成としてもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、超音波デバイスとして対象物Oとの距離Loを計測する超音波センサーを例示したが、超音波デバイスはこれに限定されない。
【0055】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0056】
簡易な構成で製造コストを低減すると共に、着実に実装することができる。詳しくは、+Z方向からの平面視にて、第1電極111および第2電極112は、枠状のギャップ材124に各々囲まれて、貫通孔115aの1つに第1電極111および第2電極112の1つが対応する。そのため、貫通孔115aから凹部129に導電性樹脂118を充填して実装用の端子が形成される。また、第1電極111および第2電極112と電気的に接続される配線を貫通孔115aから引き出して凹部129に非導電性材料などを充填することで、実装用の端子を形成することも可能となる。これにより、簡素な構成で、実装のための電極端子が形成される。したがって、FPCを屈曲させる作業が不要となり、実装工程の自動化が容易になる。また、FPCの挿入機構および固定機構などが不要となる。
【0057】
また、ギャップ材124は、貫通孔115aを+Z方向からの平面視にて囲むと共に、側面が上方へ向かってテーパー状に窄まる。そのため、実装工程において、凹部129に導電性材料または非導電性材料を充填して電極端子を形成すると、ギャップ材124のテーパー形状が電極端子の抜け防止として機能する。これにより、電極端子を着実に実装することができる。以上により、簡易な構成で製造コストを低減すると共に、着実な実装を可能とする超音波デバイスを提供することができる。
【0058】
3.第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態と同様に超音波デバイスとして超音波センサーを例示する。本実施形態に係る超音波センサーは、第2実施形態の超音波センサーに備わる送信受信部220のギャップ材124の形態を異ならせたものである。そのため、第2実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用して重複する説明は省略する。
【0059】
本実施形態に係る送信受信部300におけるギャップ材134,135の詳細な形態について、図6を参照して説明する。ここで、図6は第1実施形態の図4と同様に、図示の便宜上、超音波素子113、振動板110a、および導電性樹脂118などを省略すると共に、その他の構成を簡略化している。
【0060】
図6に示すように、本実施形態の超音波センサーが備える送信受信部300は、図示しない超音波素子113を含む第1基板110と、第1基板110上の第1電極111および第2電極112と、貫通孔115aを有する第2基板115と、第1電極111および第2電極112と第2基板115との間に介在し、第1基板110と第2基板115とを離間させるギャップ材134,135と、を備える。
【0061】
図示を省略するが、ギャップ材134,135は、+Z方向からの平面視にて超音波素子113および開口部110bと重ならない位置にあって、第1電極111および第2電極112の各々の一部を個別に枠状に囲んで形成される。第1電極111および第2電極112において、ギャップ材134,135によって枠状に囲まれた領域は、図示しない導電性樹脂118との電気的な接点となる。すなわち、第1電極111および第2電極112の各々において、枠状のギャップ材134,135に囲まれた領域は、簡素で小型化が容易な電極端子となる。
【0062】
第2基板115は、第1基板110に対して+Z方向に積層され、+Z方向からの平面視にて、貫通孔115aは電極である第1電極111または第2電極112と重なる。ギャップ材134,135は、貫通孔115aを囲み、+Z方向と直交する-Y方向から見たとき、貫通孔115aに続くギャップ材134,135のX軸に沿う方向の側面は、+Z方向に向かって段階的に窄まる。
【0063】
ギャップ材134,135は、下方のギャップ材134と、上方のギャップ材135との2層が積層されて成る。ギャップ材134,135に囲まれた領域および貫通孔115aによって上方が開放された凹部139が形成される。凹部139には図示しない導電性樹脂118が充填される。導電性樹脂118は、第1電極111および第2電極112の各々に対応して電気的に接続される。導電性樹脂118は、超音波センサー1における実装用の接続配線となる。
【0064】
詳しくは、-Y方向から見たとき、凹部139におけるギャップ材135のX軸に沿う方向の幅は、貫通孔115aのX軸に沿う方向の幅に略等しい。これに対して、凹部139におけるギャップ材134のX軸に沿う方向の幅は、貫通孔115aのX軸に沿う方向の幅より広い。図示を省略するが、X軸に沿う方向のみならず、Z軸と直交するその他の方向においても上記と同様に、ギャップ材134の幅はギャップ材135の幅より広い。このようなギャップ材134,135の2層構造は、2段階の工程にて形成可能である。
【0065】
凹部139は、上述した貫通孔115aおよびギャップ材134,135の形態によって、第1電極111または第2電極112に接する下方が広く、上方が窄まった形状となる。これにより、凹部139に導電性樹脂118を形成すると、導電性樹脂118を凹部139から抜け難くすることができる。
【0066】
なお、ギャップ材135の内側の側面において、第1実施形態の凹部119と同様にして、上方の端部の幅を貫通孔115aの幅よりも広く形成してもよい。これにより、側面視にてギャップ材135と貫通孔115aとの間に段差が生じて、凹部139から導電性樹脂118をさらに抜け難くすることができる。
【0067】
なお、+Z方向からの平面視した場合のギャップ材134,135および貫通孔115aの形状は、略矩形であることに限定されず、円形や楕円形などであってもよい。また、本実施形態では、ギャップ材134と第1電極111または第2電極112と、およびギャップ材135と第2基板115と、が各々接する構成を例示したが、これに限定されない。ギャップ材134,135は接着剤などを介して、上記の部材と間接的に接する構成としてもよい。
【0068】
なお、本実施形態では、超音波デバイスとして対象物Oとの距離Loを計測する超音波センサーを例示したが、超音波デバイスはこれに限定されない。
【0069】
本実施形態によれば第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…超音波デバイスとしての超音波センサー、110…第1基板、111…電極としての第1電極、112…電極としての第2電極、113…超音波素子、114,124,134,135…ギャップ材、115…第2基板、115a…貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6