(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】検査装置、画像形成装置、及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240709BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J29/393 105
(21)【出願番号】P 2020157924
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 陽介
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-179699(JP,A)
【文献】特開2017-090444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0047031(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111669470(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 21/00
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行う
検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記検査対象とする読取画像データの全体に対して、前記第1検査及び前記第2検査の両方を行い、
前記余白部分又はベタ部分の良否を、前記第2検査の検査結果を用いて判定し、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否を、前記第1検査の検査結果を用いて判定する
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記検査対象とする読取画像データの余白部分又はベタ部分に対して、前記第2検査を行い、前記検査対象とする読取画像データの前記余白部分又はベタ部分以外の部分に対して、前記第1検査を行い、
前記余白部分又はベタ部分の良否を、前記第2検査の検査結果を用いて判定し、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否を、前記第1検査の検査結果を用いて判定する
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記余白部分又はベタ部分の良否の判定結果と、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否の判定結果とが異なる場合、異なる判定結果を前記検査対象の読取画像データの検査結果として表示させ、ユーザが許容するか否かを受け付けるための画面を表示する制御を行う
請求項2又は請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記原画像データに前記余白部分又はベタ部分が含まれるか否かを、前記原画像データを解析して得られる画像構造情報を用いて判定する
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第2検査において、前記画像構造情報を用いて、前記第2検査の正解画像データとした前記原画像データの前記余白部分又はベタ部分と、前記検査対象の読取画像データの前記余白部分又はベタ部分とを対応付ける
請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
原画像データを記録媒体に形成する形成部と、
前記形成部により形成して得られた画像形成物を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、前記読取部により新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行うプロセッサを備えた検査装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行うことを、
コンピュータに実行させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、画像を検査する機能を備えた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、複数の用紙上に形成された画像をそれぞれ読み取る画像読取部と、画像読取部により読み取られた複数の画像のいずれかを基準画像、その他を被検査画像として、基準画像及び被検査画像の1又は複数の特徴点をそれぞれ検出し、各特徴点の特徴量を算出する特徴量算出部と、を備える。また、この画像形成装置は、特徴量算出部により検出された基準画像と被検査画像の各特徴点の特徴量を照合することにより、被検査画像の良否を判定する判定部を備える。この判定部は、特徴量を照合する基準画像と被検査画像の各特徴点を、被検査画像の各画素を中心とする探索領域毎に探索し、探索領域のサイズを基準画像中の1又は複数のオブジェクトのサイズに応じて決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の画像形成物の各々を読み取った複数の読取画像データの中のいずれかを正解画像データとして検査を行う場合、画像形成物の余白部分(画像形成されていない紙の地色部分)又はベタ部分(中間調も含む同じ色が形成された部分)に様々なノイズ(しみ、汚れ、ごみ等)が付着していることがある。余白部分又はベタ部分にノイズを含む画像形成物の読取画像データを正解画像データとしてしまうと、検査精度に影響を与える場合がある。
【0005】
例えば、上記ノイズを含む読取画像データを正解画像データとした場合、以降の検査で、ノイズを含み、本来不合格であるべき読取画像データを合格と判定し、ノイズを含まない、本来合格であるべき読取画像データを不合格と判定する可能性がある。このため、余白部分又はベタ部分の検査精度の向上が望まれている。
【0006】
本開示は、画像形成物を読み取った読取画像データのみを正解画像データとして検査を行う場合と比較して、余白部分又はベタ部分を精度良く検査することができる検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様に係る検査装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサが、原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行う。
【0008】
また、第2態様に係る検査装置は、第1態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記検査対象とする読取画像データの全体に対して、前記第1検査及び前記第2検査の両方を行い、前記余白部分又はベタ部分の良否を、前記第2検査の検査結果を用いて判定し、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否を、前記第1検査の検査結果を用いて判定する。
【0009】
また、第3態様に係る検査装置は、第1態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記検査対象とする読取画像データの余白部分又はベタ部分に対して、前記第2検査を行い、前記検査対象とする読取画像データの前記余白部分又はベタ部分以外の部分に対して、前記第1検査を行い、前記余白部分又はベタ部分の良否を、前記第2検査の検査結果を用いて判定し、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否を、前記第1検査の検査結果を用いて判定する。
【0010】
また、第4態様に係る検査装置は、第2態様又は第3態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記余白部分又はベタ部分の良否の判定結果と、前記余白部分又はベタ部分以外の部分の良否の判定結果とが異なる場合、異なる判定結果を前記検査対象の読取画像データの判定結果として表示させ、ユーザが許容するか否かを受け付けるための画面を表示する制御を行う。
【0011】
また、第5態様に係る検査装置は、第1態様~第4態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記原画像データに前記余白部分又はベタ部分が含まれるか否かを、前記原画像データを解析して得られる画像構造情報を用いて判定する。
【0012】
また、第6態様に係る検査装置は、第5態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第2検査において、前記画像構造情報を用いて、前記第2検査の正解画像データとした前記原画像データの前記余白部分又はベタ部分と、前記検査対象の読取画像データの前記余白部分又はベタ部分とを対応付ける。
【0013】
更に、上記目的を達成するために、第7態様に係る画像形成装置は、原画像データを記録媒体に形成する形成部と、前記形成部により形成して得られた画像形成物を読み取る読取部と、前記読取部により読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、前記読取部により新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行うプロセッサを備えた検査装置と、を備えている。
【0014】
更に、上記目的を達成するために、第8態様に係る検査プログラムは、原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、新たな前記画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する第1検査を行う場合に、前記検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分に対して、前記原画像データを正解画像データとして用いる第2検査を行うことを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様、第7態様、及び第8態様によれば、画像形成物を読み取った読取画像データのみを正解画像データとして検査を行う場合と比較して、余白部分又はベタ部分を精度良く検査することができる、という効果を有する。
【0016】
第2態様によれば、検査対象とする読取画像データの全体に対して第1検査のみを行う場合と比較して、余白部分又はベタ部分を精度良く検査することができる、という効果を有する。
【0017】
第3態様によれば、検査対象とする読取画像データの全体に対して第1検査及び第2検査の両方を行う場合と比較して、検査の処理時間を短縮することができる、という効果を有する。
【0018】
第4態様によれば、余白部分又はベタ部分とそれ以外の部分とで良否の判定結果が異なる場合に、ユーザの許容を受け付けることができる、という効果を有する。
【0019】
第5態様によれば、原画像データから得られる画像構造情報を利用しない場合と比較して、余白部分又はベタ部分の有無を容易に判定することができる、という効果を有する。
【0020】
第6態様によれば、画像構造情報を利用しない場合と比較して、原画像データの余白部分又はベタ部分と、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分との対応付けを容易に行うことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】(A)は実施形態に係るインラインセンサを用いた画像読取構造の一例を示す上面図である。(B)は実施形態に係るインラインセンサを用いた画像読取構造の一例を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係る第1検査及び第2検査の説明に供する図である。
【
図4】第1の実施形態に係る画像形成装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る許容可否受付画面の一例を示す正面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る検査プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態に係る画像形成装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態に係る検査プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、検査装置30と、表示部16と、操作部17と、原稿読取部18と、画像形成部19と、インラインセンサ20と、通信部21と、を備えている。なお、画像形成部19は、形成部の一例であり、インラインセンサ20は、読取部の一例である。
【0025】
検査装置30は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入出力インターフェース(I/O)14と、記憶部15と、を備えている。なお、本実施形態では、画像形成装置10と検査装置30とが一体的に設けられているが、これに限定されない。画像形成装置10と検査装置30とを別体で設けるようにしてもよい。
【0026】
CPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14の各部は、バスを介して各々接続されている。I/O14には、記憶部15と、表示部16と、操作部17と、原稿読取部18と、画像形成部19と、インラインセンサ20と、通信部21と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O14を介して、CPU11と相互に通信可能とされる。
【0027】
CPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14によって制御部が構成される。制御部は、画像形成装置10の一部の動作を制御するサブ制御部として構成されてもよいし、画像形成装置10の全体の動作を制御するメイン制御部の一部として構成されてもよい。制御部の各ブロックの一部又は全部には、例えば、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路又はIC(Integrated Circuit)チップセットが用いられる。上記各ブロックに個別の回路を用いてもよいし、一部又は全部を集積した回路を用いてもよい。上記各ブロック同士が一体として設けられてもよいし、一部のブロックが別に設けられてもよい。また、上記各ブロックのそれぞれにおいて、その一部が別に設けられてもよい。制御部の集積化には、LSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いてもよい。
【0028】
記憶部15としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部15には、本実施形態に係る検査処理を実行するための検査プログラム15Aが記憶される。なお、この検査プログラム15Aは、ROM12に記憶されていてもよい。
【0029】
検査プログラム15Aは、例えば、画像形成装置10に予めインストールされていてもよい。検査プログラム15Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、画像形成装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0030】
表示部16には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部16は、タッチパネルを一体的に有していてもよい。操作部17には、テンキーやスタートキー等の各種の操作キーが設けられている。表示部16及び操作部17は、画像形成装置10のユーザから各種の指示を受け付ける。この各種の指示には、例えば、原稿の読み取りを開始させる指示や、原稿のコピーを開始させる指示等が含まれる。表示部16は、ユーザから受け付けた指示に応じて実行された処理の結果や、処理に対する通知等の各種の情報を表示する。
【0031】
原稿読取部18は、画像形成装置10の上部に設けられた自動原稿送り装置(図示省略)の給紙台に置かれた原稿を1枚ずつ取り込み、取り込んだ原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。あるいは、原稿読取部18は、プラテンガラス等の原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。
【0032】
画像形成部19は、原稿読取部18による読み取りによって得られた画像情報、又は、ネットワークを介して接続された外部のパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)等から得られた画像情報に基づく画像を、紙等の記録媒体に形成する。なお、本実施形態においては、画像を形成する方式として、電子写真方式を例示して説明するが、インクジェット方式等の他の方式を採用してもよい。
【0033】
画像を形成する方式が電子写真方式の場合、画像形成部19は、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、及び定着部を含む。帯電部は、感光体ドラムに電圧を印加して感光体ドラムの表面を帯電させる。露光部は、帯電部で帯電された感光体ドラムを画像情報に応じた光で露光することにより感光体ドラムに静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーにより現像することで感光体ドラムにトナー像を形成する。転写部は、感光体ドラムに形成されたトナー像を記録媒体に転写する。定着部は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧により定着させる。
【0034】
インラインセンサ20は、画像形成部19により記録媒体上に形成された画像を読み取るセンサである。
【0035】
通信部21は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続されており、外部のPC等との間でネットワークを介して通信が可能とされる。
【0036】
次に、
図2(A)及び
図2(B)を参照して、インラインセンサ20を用いた画像読取構造について説明する。
【0037】
図2(A)は、本実施形態に係るインラインセンサ20を用いた画像読取構造の一例を示す上面図である。
図2(B)は、本実施形態に係るインラインセンサ20を用いた画像読取構造の一例を示す側面図である。
【0038】
図2(A)及び
図2(B)に示すように、インラインセンサ20は、紙等の記録媒体P上に形成された画像を読み取るセンサであり、例えば、上述の定着部と排紙トレイ(図示省略)との間で記録媒体Pを搬送する搬送ベルトCbに設けられている。インラインセンサ20には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のセンサが用いられる。インラインセンサ20は、光源から光を照射すると、記録媒体Pからの反射光が受光レンズを介して受光部に結像され、受光部で反射光量に応じた電気信号に変換されて測定データが出力される。インラインセンサ20は、記録媒体Pを搬送方向に移動させることにより、記録媒体Pの1ライン毎の測定データを順次取得し、記録媒体Pの全体が通過した時点で、記録媒体Pの1面分の読取画像データを取得する。取得した読取画像データは記憶部15に記憶される。
【0039】
本実施形態に係る画像形成装置10は、画像形成物の検査を行う第1検査及び第2検査を行う機能を有している。
【0040】
第1検査は、原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとし、新たな画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象とする検査である。第1検査では、読取画像データである正解画像データと、検査対象の読取画像データとが照合され、検査対象の読取画像データの良否が判定される。なお、正解画像データは、複数の読取画像データの中から選択されてもよいし、検査対象は、複数の読取画像データとしてもよい。また、原画像データは、画像形成(印刷)される画像の基となる画像データであり、例えば、RIP(Raster Image Processor)処理後のデータ(ラスタライズデータ)、ビットマップデータ、GIF(Graphics Interchange Format)データ等が適用される。
【0041】
第1検査では、例えば、正解画像データの候補として、原画像データをいくつかの記録媒体に形成した画像形成物を読み取って得られた読取画像データを表示させ、その中からユーザが選択した読取画像データを正解画像データとし、それ以降に新たに形成される画像形成物の読取画像データを検査対象とする。
【0042】
第2検査は、原画像データを正解画像データとし、原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象とする検査である。第2検査では、原画像データである正解画像データと、検査対象の読取画像データとが照合され、検査対象の読取画像データの良否が判定される。なお、上記第1検査と同様に、複数の読取画像データを検査対象としてもよい。
【0043】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る第1検査及び第2検査について具体的に説明する。
【0044】
図3は、本実施形態に係る第1検査及び第2検査の説明に供する図である。
【0045】
まず、原画像データを正解画像データとする第2検査について説明する。
【0046】
図3の(S1)では、RIP部11Aが、一例として、PDL(Page Description Language)で記述された画像データD1の入力を受け付ける。PDLとしては、例えば、PCL(Printer Control Language、登録商標)、PS(Post Script、登録商標)等が挙げられる。なお、RIP部11Aは、RIP処理を行うもので、具体的な説明については後述する。
【0047】
(S2)では、RIP部11Aが、入力を受け付けた画像データD1に対してRIP処理を行い、原画像データD2を出力する。第2検査では、原画像データD2を正解画像データとする。
【0048】
(S3)では、画像形成部19が、原画像データD2の入力を受け付ける。
【0049】
(S4)では、画像形成部19が、入力を受け付けた原画像データD2を、例えば、複数の記録媒体に形成し、複数の画像形成物P3a~P3cを出力する。
【0050】
(S5)では、インラインセンサ20が、一例として、上述の
図2(A)、
図2(B)に示すように、搬送ベルトCb上を搬送される複数の画像形成物P3a~P3cの各々を読み取る。
【0051】
(S6)では、インラインセンサ20が、複数の画像形成物P3a~P3cの各々を読み取って得られた複数の読取画像データD4a~D4cを出力する。第2検査では、これら複数の読取画像データD4a~D4cを検査対象とする。
【0052】
第2検査では、原画像データD2である正解画像データと、検査対象である複数の読取画像データD4a~D4cの各々とが照合され、複数の読取画像データD4a~D4cの各々の良否が判定される。
【0053】
次に、画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとする第1検査について説明する。
【0054】
図3において、(S1)~(S6)までの処理は同様である。但し、第1検査では、例えば、読取画像データD4aを正解画像データとし、読取画像データD4a以降に新たに出力される読取画像データD4b、D4cを検査対象とする。第1検査では、読取画像データD4aである正解画像データと、検査対象である新たな読取画像データD4b、D4cの各々とを照合し、新たな読取画像データD4b、D4cの各々の良否が判定される。
【0055】
ここで、第1検査では、読取画像データを正解画像データとしているため、第2検査と比べ、照合する画像の状態(例えば、サイズ、線の太さ等)が大体同じであると考えられる。このため、第2検査よりも検査を行い易いと言える。しかし、その反面、上述したように、例えば、余白部分又はベタ部分にノイズを含む画像形成物の読取画像データを正解画像データとしてしまうと、以降の検査で、ノイズを含み、本来不合格であるべき読取画像データを合格と判定し、ノイズを含まない、本来合格であるべき読取画像データを不合格と判定する可能性がある。このため、余白部分又はベタ部分の検査精度の向上が望まれている。
【0056】
本実施形態に係る画像形成装置10では、余白部分又はベタ部分を含む画像形成物を読み取って得られた読取画像データを正解画像データとする第1検査を行う場合に、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分については、原画像データを正解画像データとする第2検査を行う。これにより、余白部分又はベタ部分の検査精度が向上する。なお、余白部分とは、上述したように、画像形成されていない紙の地色部分を示し、ベタ部分とは、中間調も含む同じ色が形成された部分を示す。
【0057】
具体的に、第1の実施形態に係る画像形成装置10のCPU11は、記憶部15に記憶されている検査プログラム15AをRAM13に書き込んで実行することにより、
図4に示す各部として機能する。
【0058】
図4は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0059】
図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU11は、RIP部11A、画像形成制御部11B、画像読取制御部11C、第1検査部11D、第2検査部11E、余白/ベタ判定部11F、及び検査結果作成部11Gとして機能する。
【0060】
RIP部11Aは、一例として、PDLで記述された入力画像データを翻訳して中間データを生成し、生成した中間データに対して色変換を行い、レンダリングを行って原画像データを生成する。なお、原画像データは、上述したように、例えば、ラスタライズデータでもよいし、ビットマップデータでもよいし、GIFデータでもよい。なお、RIP部11Aで生成された原画像データは記憶部15に登録される。上述の
図3の例では、原画像データは原画像データD2に相当する。
【0061】
画像形成制御部11Bは、画像形成部19の動作を制御する。画像形成部19は、画像形成制御部11Bからの制御信号に基づいて、記憶部15に登録された原画像データを記録媒体に形成し、画像形成物を出力する。
【0062】
画像読取制御部11Cは、インラインセンサ20の動作を制御する。インラインセンサ20は、画像読取制御部11Cからの制御信号に基づいて、画像形成部19から出力された画像形成物を読み取り、読取画像データを出力する。インラインセンサ20から出力された読取画像データは記憶部15に登録される。上述の
図3の例では、読取画像データは、読取画像データD4a~D4cに相当する。
【0063】
第1検査部11Dは、第1検査を行う。具体的に、第1検査部11Dは、記憶部15に登録された読取画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、新たな画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象として良否を判定する。つまり、読取画像データである正解画像データと、検査対象の読取画像データとを照合し、照合した読取画像データの良否を判定する。上述の
図3の例では、正解画像データは、例えば、先頭の読取画像データD4aに相当し、検査対象の読取画像データは、読取画像データD4b、D4cに相当する。なお、読取画像データD4aは、正解画像データであるため、検査の対象外であるが、第2検査の検査結果に対応して検査結果は「良」とされる。
【0064】
第2検査部11Eは、第2検査を行う。具体的に、第2検査部11Eは、記憶部15に登録された原画像データを正解画像データとし、当該正解画像データを用いて、検査対象の読取画像データの良否を判定する。つまり、原画像データである正解画像データと、検査対象の読取画像データとを照合し、照合した読取画像データの良否を判定する。上述の
図3の例では、検査対象の読取画像データは、読取画像データD4a~D4cに相当する。
【0065】
つまり、本実施形態では、第1検査部11D及び第2検査部11Eにおいて検査対象とする読取画像データの全体に対して、第1検査及び第2検査の両方が行われる。
【0066】
余白/ベタ判定部11Fは、原画像データを解析して画像構造情報を生成し、生成した画像構造情報を用いて、原画像データに余白部分又はベタ部分が含まれるか否かを判定する。この画像構造情報では、余白部分又はベタ部分、テキスト部分等の各オブジェクトの特性が定義されている。この画像構造情報は、公知の手法を用いて生成されるため、ここでの具体的な説明は省略する。なお、余白部分又はベタ部分を判定する際に、原画像データを構成する各オブジェクトのエッジ(端部)に位置する所定数の画素又は所定数の領域は余白又はベタと判定される可能性が高い。このため、これらの所定数の画素又は所定数の領域を余白又はベタと判定しないようにしてもよい。
【0067】
検査結果作成部11Gには、検査対象とする読取画像データについての第1検査の検査結果及び第2検査の検査結果が入力される。検査結果作成部11Gは、検査対象とする読取画像データに含まれる余白部分又はベタ部分の良否を、第2検査の検査結果を用いて判定し、余白部分又はベタ部分以外の部分(例えば、テキスト部分)の良否を、第1検査の検査結果を用いて判定する。検査結果作成部11Gは、これらの判定結果に基づいて、最終的な検査結果を作成し、作成した検査結果を出力する。
【0068】
具体的に、検査結果作成部11Gは、余白/ベタ判定部11Fから入力された画像構造情報を用いて、第2検査の正解画像データとした原画像データの余白部分又はベタ部分と、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分とを対応付ける。これにより、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分を特定することが可能とされる。そして、特定した余白部分又はベタ部分の良否については、第2検査の検査結果を採用し、余白部分又はベタ部分以外の部分については、第1検査の検査結果を採用する。つまり、検査対象の読取画像データに対して第1検査及び第2検査の両方を行い、余白部分又はベタ部分か否かで検査結果を仕分ける。
【0069】
具体的に、余白部分又はベタ部分の場合、第1検査の検査結果が「否」、第2検査の検査結果が「良」である場合、余白部分又はベタ部分の判定結果として、第2検査の検査結果である「良」が採用される。また、第1検査の検査結果が「良」、第2検査の検査結果である「良」である場合、余白部分又はベタ部分の判定結果として、第2検査の検査結果である「良」が採用される。また、第1検査の検査結果が「否」、第2検査の検査結果である「否」である場合、余白部分又はベタ部分の判定結果として、第2検査の検査結果である「否」が採用される。また、第1検査の検査結果が「良」、第2検査の検査結果である「否」である場合、余白部分又はベタ部分の判定結果として、第2検査の検査結果である「否」が採用される。
【0070】
また、余白部分又はベタ部分以外の部分の一例であるテキスト部分の場合、第1検査の検査結果が「否」、第2検査の検査結果が「良」である場合、テキスト部分の判定結果として、第1検査の検査結果である「否」が採用される。また、第1検査の検査結果が「良」、第2検査の検査結果である「良」である場合、テキスト部分の判定結果として、第1検査の検査結果である「良」が採用される。また、第1検査の検査結果が「否」、第2検査の検査結果である「否」である場合、テキスト部分の判定結果として、第1検査の検査結果である「否」が採用される。また、第1検査の検査結果が「良」、第2検査の検査結果である「否」である場合、テキスト部分の判定結果として、第1検査の検査結果である「良」が採用される。
【0071】
検査結果作成部11Gは、検査対象の読取画像データについての最終的な検査結果を表示部16に表示する制御を行う。具体的に、検査結果作成部11Gは、余白部分又はベタ部分の良否の判定結果と、余白部分又はベタ部分以外の部分の良否の判定結果とが同一である場合、同一の判定結果を検査対象の読取画像データの検査結果として表示する制御を行う。また、検査結果作成部11Gは、余白部分又はベタ部分の良否の判定結果と、余白部分又はベタ部分以外の部分の良否の判定結果とが異なる場合、一例として、
図5に示すように、異なる判定結果を検査対象の読取画像データの検査結果として表示させ、ユーザが許容するか否かを受け付けるための画面を表示する制御を行う。
【0072】
図5は、本実施形態に係る許容可否受付画面40の一例を示す正面図である。
【0073】
図5に示す許容可否受付画面40には、検査対象とした読取画像データが表示されると共に、許容選択欄41及び判定結果42が表示される。判定結果42には、余白部分又はベタ部分の良否の判定結果と、テキスト部分の良否の判定結果とが表示される。また、許容選択欄41には、「する」と「しない」とが選択可能に表示される。ユーザが判定結果42及び読取画像データを見て、許容する場合には「する」を選択し、許容できない場合には「しない」を選択し、「OK」ボタンを操作すれば、最終的な検査結果として反映される。
【0074】
次に、
図6を参照して、第1の実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0075】
図6は、第1の実施形態に係る検査プログラム15Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、画像形成装置10に対して、検査の実行が指示されると、検査プログラム15Aが起動され、以下の各ステップを実行する。
【0077】
図6のステップS101では、CPU11が、原稿読取部18あるいは外部のPCから、入力画像データを取得する。
【0078】
ステップS102では、CPU11が、ステップS101で取得した入力画像データに対してRIP処理を行い、原画像データを生成する。なお、生成した原画像データは記憶部15に登録される。また、原画像データには、上述したように、例えば、RIP処理後のデータ(ラスタライズデータ)、ビットマップデータ、GIFデータ等が適用される。
【0079】
ステップS103では、CPU11が、画像形成部19に対して制御信号を送り、ステップS102で登録した原画像データを記録媒体に形成して画像形成物を出力するように画像形成部19の動作を制御する。なお、記録媒体を複数とし、複数の画像形成物を出力するようにしてもよい。
【0080】
ステップS104では、CPU11が、インラインセンサ20に対して制御信号を送り、ステップS103で出力した画像形成物を読み取って読取画像データを出力するようにインラインセンサ20の動作を制御する。なお、画像形成物が複数の場合には複数の読取画像データが出力される。
【0081】
ステップS105では、CPU11が、例えば、先頭の読取画像データを正解画像データとし、それ以降の読取画像データを検査対象とし、検査対象とする読取画像データの全体に対して第1検査を行う。
【0082】
ステップS106では、CPU11が、原画像データを正解画像データとし、第1検査と同様に、検査対象とする読取画像データの全体に対して第2検査を行う。
【0083】
ステップS107では、CPU11が、原画像データから画像構造情報を生成する。このとき、生成した画像構造情報を用いて、正解画像データとした原画像データの余白部分又はベタ部分と、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分との対応付けを行う。
【0084】
ステップS108では、CPU11が、検査対象の読取画像データの領域を特定する。
【0085】
ステップS109では、CPU11が、ステップS108で特定した領域が余白部分又はベタ部分であるか否かを判定する。特定した領域が余白部分又はベタ部分であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS110に移行し、特定した領域が余白部分又はベタ部分ではない、つまり、余白部分又はベタ部分以外の部分であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップS111に移行する。
【0086】
ステップS110では、CPU11が、ステップS109で判定した余白部分又はベタ部分に対して、第2検査の検査結果を採用する。
【0087】
ステップS111では、CPU11が、ステップS109で判定した余白部分又はベタ部分以外の部分に対して、第1検査の検査結果を採用する。
【0088】
ステップS112では、CPU11が、ステップS110で採用した第2検査の検査結果及びステップS111で採用した第1検査の検査結果に基づいて、検査対象の読取画像データに対する最終的な検査結果を出力し、本検査プログラム15Aによる一連の処理を終了する。
【0089】
このように本実施形態によれば、検査対象の読取画像データの全体に対して第1検査及び第2検査の両方を行い、当該読取画像データの余白部分又はベタ部分に対して第2検査の検査結果が採用され、余白部分又はベタ部分以外の部分に対して第1検査の検査結果が採用される。このため、余白部分又はベタ部分の検査精度の向上が可能とされる。
【0090】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、第1検査を行う場合に、検査対象の読取画像データの全体に対して第1検査及び第2検査の両方を行い、余白部分又はベタ部分に対して第2検査の検査結果を採用し、余白部分又はベタ部分以外の部分に対して第1検査の検査結果を採用する形態について説明した。第2の実施形態では、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分に対して第2検査を行い、余白部分又はベタ部分以外の部分に対して第1検査を行い、領域毎に2つの検査が重複しない形態について説明する。
【0091】
図7は、第2の実施形態に係る画像形成装置10Aの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0092】
図7に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10AのCPU11は、RIP部11A、画像形成制御部11B、画像読取制御部11C、第1検査部11H、第2検査部11J、余白/ベタ判定部11K、及び検査結果作成部11Lとして機能する。なお、上記第1の実施形態で説明した画像形成装置10の構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0093】
余白/ベタ判定部11Kは、原画像データから画像構造情報を生成し、生成した画像構造情報を第2検査部11J及び第1検査部11Hの各々に入力する。
【0094】
第2検査部11Jは、余白/ベタ判定部11Kから入力された画像構造情報を用いて、第2検査の正解画像データとした原画像データの余白部分又はベタ部分と、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分とを対応付ける。第2検査部11Jは、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分を特定し、特定した余白部分又はベタ部分に対して、第2検査を行う。
【0095】
第1検査部11Hは、余白/ベタ判定部11Kから入力された画像構造情報を用いて、検査対象とする読取画像データの余白部分又はベタ部分以外の部分(例えば、テキスト部分)を特定し、特定した余白部分又はベタ部分以外の部分に対して、第1検査を行う。
【0096】
検査結果作成部11Lは、余白部分又はベタ部分の良否を、第2検査の検査結果を用いて判定し、余白部分又はベタ部分以外の部分の良否を、第1検査の検査結果を用いて判定し、これらの判定結果に基づいて、最終的な検査結果を作成し、作成した検査結果を出力する。
【0097】
次に、
図8を参照して、第2の実施形態に係る画像形成装置10Aの作用を説明する。
【0098】
図8は、第2の実施形態に係る検査プログラム15Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、画像形成装置10Aに対して、検査の実行が指示されると、検査プログラム15Aが起動され、以下の各ステップを実行する。
【0100】
図8のステップS121では、CPU11が、原稿読取部18あるいは外部のPCから、入力画像データを取得する。
【0101】
ステップS122では、CPU11が、ステップS121で取得した入力画像データに対してRIP処理を行い、原画像データを生成する。なお、生成した原画像データは記憶部15に登録される。また、原画像データには、上述したように、例えば、RIP処理後のデータ(ラスタライズデータ)、ビットマップデータ、GIFデータ等が適用される。
【0102】
ステップS123では、CPU11が、画像形成部19に対して制御信号を送り、ステップS122で登録した原画像データを記録媒体に形成して画像形成物を出力するように画像形成部19の動作を制御する。なお、記録媒体を複数とし、複数の画像形成物を出力するようにしてもよい。
【0103】
ステップS124では、CPU11が、インラインセンサ20に対して制御信号を送り、ステップS123で出力した画像形成物を読み取って読取画像データを出力するようにインラインセンサ20の動作を制御する。なお、画像形成物が複数の場合には複数の読取画像データが出力される。
【0104】
ステップS125では、CPU11が、原画像データから画像構造情報を生成する。このとき、生成した画像構造情報を用いて、正解画像データとした原画像データの余白部分又はベタ部分と、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分との対応付けを行う。なお、この例では、検査対象の読取画像データは特に限定されるものではないが、第1検査の正解画像データを先頭の読取画像データにする場合には、それ以降の読取画像データが検査対象とされる。
【0105】
ステップS126では、CPU11が、検査対象の読取画像データの領域を特定する。
【0106】
ステップS127では、CPU11が、ステップS126で特定した領域が余白部分又はベタ部分であるか否かを判定する。特定した領域が余白部分又はベタ部分であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS128に移行し、特定した領域が余白部分又はベタ部分ではない、つまり、余白部分又はベタ部分以外の部分であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップS129に移行する。
【0107】
ステップS128では、CPU11が、原画像データを正解画像データとし、ステップS127で判定した余白部分又はベタ部分に対して、第2検査を行う。
【0108】
ステップS129では、CPU11が、例えば、先頭の読取画像データを正解画像データとし、ステップS127で判定した余白部分又はベタ部分以外の部分に対して、第1検査を行う。
【0109】
ステップS130では、CPU11が、ステップS128で行った第2検査の検査結果及びステップS129で行った第1検査の検査結果に基づいて、検査対象の読取画像データに対する最終的な検査結果を出力し、本検査プログラム15Aによる一連の処理を終了する。
【0110】
このように本実施形態によれば、検査対象の読取画像データの余白部分又はベタ部分に対して第2検査を行い、余白部分又はベタ部分以外の部分に対して第1検査を行う。このため、領域毎に2つの検査が重複することがなく、上記第1の実施形態と比較して、検査の処理時間の短縮を図ることが可能とされる。
【0111】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0112】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0113】
以上、実施形態に係る検査装置及び画像形成装置を例示して説明した。実施形態は、検査装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、これらのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体の形態としてもよい。
【0114】
その他、上記実施形態で説明した検査装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0115】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0117】
10、10A 画像形成装置
11 CPU
11A RIP部
11B 画像形成制御部
11C 画像読取制御部
11D、11H 第1検査部
11E、11J 第2検査部
11F、11K 余白/ベタ判定部
11G、11L 検査結果作成部
12 ROM
13 RAM
14 I/O
15 記憶部
15A 検査プログラム
16 表示部
17 操作部
18 原稿読取部
19 画像形成部
20 インラインセンサ
21 通信部
30 検査装置
40 許容可否受付画面
41 許容選択欄
42 判定結果