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特許7517032ヘッド昇降装置、ヘッド昇降装置の制御方法、プログラム、ヘッド昇降装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ヘッド昇降装置、ヘッド昇降装置の制御方法、プログラム、ヘッド昇降装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240709BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/165 301
B41J2/165 101
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020163276
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055704
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 毅
(72)【発明者】
【氏名】天野 祐作
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142030(JP,A)
【文献】特開2018-130960(JP,A)
【文献】特開2017-140810(JP,A)
【文献】特開2012-071473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 23/00-23/38
B41J 25/00-25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、
前記昇降機構を支持するフレームと、
前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構の少なくとも一部を移動させる調整部材と、
を備え
前記昇降機構は、前記フレームに支持されたレールを有し、
前記レールは、前記液体吐出ヘッドに設けられた突起を前記第1方向に案内することを特徴とするヘッド昇降装置。
【請求項2】
前記レールは、可動レールと固定レールとを有し、
前記固定レールは、前記フレームに固定され、
前記調整部材は、前記可動レールを前記フレームに対して前記第2方向に移動させることを特徴とする請求項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項3】
前記第1方向は、水平方向の成分を含み、
前記可動レールは、前記突起が移動する移動路を形成する上壁及び下壁を有し、
前記可動レールは、前記移動路の第1端における前記上壁と前記下壁との第1間隔より、前記第1端とは反対の第2端における前記上壁と前記下壁との第2間隔が大きく、
前記第2端は、前記固定レールと隣り合うことを特徴とする請求項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項4】
前記第1方向は、水平方向の成分を含み、
前記可動レールは、前記突起が移動する移動路を形成する上壁及び下壁を有し、
前記上壁と前記下壁の前記第2方向の中心を前記可動レールの第1端から該第1端とは反対の第2端までつないだ仮想線は、第1線分、第2線分、及び第3線分を含み、
前記第2端は、前記固定レールと隣り合い、
前記第1線分は、前記下壁に平行で前記第1端と第1端点とをつなぎ、
前記第2線分は、前記第1端点と第2端点とをつなぎ、
前記第3線分は、前記下壁に平行で前記第2端点と前記第2端とをつなぎ、
前記第2端点と前記下壁との間隔は、前記第1端点と前記下壁との間隔より大きいことを特徴とする請求項又は請求項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、搬送される媒体に、前記突起が第1位置に保持される状態と、前記突起が第2位置に保持される状態と、の各状態で前記液体を吐出し、
前記第1位置と前記第2位置は、前記可動レール内の位置であることを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドは、前記液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有し、
前記突起が前記第1位置に保持される前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面は、前記突起が前記第2位置に保持される前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面と平行であることを特徴とする請求項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップをさらに備え、
前記キャップは、前記突起が前記固定レールに保持された状態の前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面を覆うことを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭くワイパーをさらに備え、
前記ワイパーは、前記突起が前記固定レールに保持された状態の前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面を拭くことを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項9】
前記昇降機構は、駆動歯車と、該駆動歯車に噛み合うラックと、を有し、
前記ラックは、前記駆動歯車の回転に伴って、前記駆動歯車に対して前記第1方向に相対移動し、
前記ラックの歯は、前記第2方向を向き、
前記調整部材は、前記駆動歯車に対する前記ラックの位置を前記第2方向に変更することを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項10】
前記調整部材が前記ラックの位置を変更する最大変更量は、前記歯の最大長さより短いことを特徴とする請求項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項11】
前記第1方向において、前記レールの長さは、前記液体吐出ヘッドの長さよりも長いことを特徴とする請求項~請求項10のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項12】
前記昇降機構は、前記液体吐出ヘッドを支持する基準部材と、前記液体吐出ヘッドを支持し、かつ、前記フレームに対して移動可能な可動部材と、を有し、
前記調整部材は、前記基準部材に対して前記可動部材を前記第2方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のヘッド昇降装置。
【請求項13】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、
前記昇降機構を支持するフレームと、
前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構の少なくとも一部を移動させる調整部材と、
を備え
前記昇降機構は、前記液体吐出ヘッドを支持する基準部材と、前記液体吐出ヘッドを支持し、かつ、前記フレームに対して移動可能な可動部材と、を有し、
前記調整部材は、前記基準部材に対して前記可動部材を前記第2方向に移動させることを特徴とするヘッド昇降装置。
【請求項14】
前記基準部材と前記可動部材は、前記液体吐出ヘッドの長手方向に離れて設けられることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のヘッド昇降装置。
【請求項15】
前記基準部材と前記可動部材は、前記第1方向に離れて設けられることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のヘッド昇降装置。
【請求項16】
前記フレームは、奥行方向に互いに離れて並ぶ2つの壁を有し、
前記調整部材は、2つの前記壁の外側に設けられることを特徴とする請求項1~請求項15のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項17】
前記フレームは、奥行方向に互いに離れて並ぶ2つの壁を有し、
前記昇降機構は、2つの前記壁の内側に設けられ、
前記調整部材は、2つの前記壁の外側に設けられるねじを備え、
前記昇降機構は、前記ねじが回されることで前記フレームに対して移動することを特徴とする請求項1~請求項16のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置。
【請求項18】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、
前記昇降機構を支持するフレームと、
前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構を移動させる調整部材と、
を備え
前記フレームは、奥行方向に互いに離れて並ぶ2つの壁を有し、
前記昇降機構は、2つの前記壁の内側に設けられ、
前記調整部材は、2つの前記壁の外側に設けられるねじを備え、
前記昇降機構は、前記ねじが回されることで前記フレームに対して移動することを特徴とするヘッド昇降装置。
【請求項19】
請求項1~請求項18のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置の制御方法であって、
前記昇降機構は、前記フレームに対して移動可能な可動レールと、前記フレームに固定される固定レールと、を有し、
前記固定レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を行わせる第1移動工程と、
前記可動レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を前記第1移動工程に連続して行わせる第2移動工程と、
を含むことを特徴とするヘッド昇降装置の制御方法。
【請求項20】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、
前記昇降機構を支持するフレームと、
前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構の少なくとも一部を移動させる調整部材と、
を備えるヘッド昇降装置の制御方法であって、
前記昇降機構は、前記フレームに対して移動可能な可動レールと、前記フレームに固定される固定レールと、を有し、
前記固定レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を行わせる第1移動工程と、
前記可動レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を前記第1移動工程に連続して行わせる第2移動工程と、
を含むことを特徴とするヘッド昇降装置の制御方法。
【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載のヘッド昇降装置の制御方法をコンピューターに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
請求項1~請求項18のうち何れか一項に記載のヘッド昇降装置の製造方法であって、
前記昇降機構を、前記フレームに対して前記第2方向に移動させる調整工程と、
前記調整工程の後、前記昇降機構に前記液体吐出ヘッドを装着する装着工程と、
を含むことを特徴とするヘッド昇降装置の製造方法。
【請求項23】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、
前記昇降機構を支持するフレームと、
前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構を移動させる調整部材と、
を備えるヘッド昇降装置の製造方法であって、
前記昇降機構を、前記フレームに対して前記第2方向に移動させる調整工程と、
前記調整工程の後、前記昇降機構に前記液体吐出ヘッドを装着する装着工程と、
を含むことを特徴とするヘッド昇降装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッド昇降装置、ヘッド昇降装置の制御方法、プログラム、ヘッド昇降装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッドの位置を調整するヘッド昇降装置の一例である記録装置がある。記録ヘッドは、基準穴によりX方向及びY方向に位置決めされるのに対し、Z方向に移動可能に設けられる。Z方向は、インクが着弾する面に垂直な方向である。記録ヘッドは、インクが着弾する面に対して昇降することで、媒体との間隔が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-49788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした記録ヘッドは、インクが着弾する面に垂直な方向には位置の調整を行うことができるが、他の方向に位置の調整を行うことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するヘッド昇降装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、前記昇降機構を支持するフレームと、前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構を移動させる調整部材と、を備える。
【0006】
上記ヘッド昇降装置の制御方法であって、前記昇降機構は、前記フレームに対して移動可能な可動レールと、前記フレームに固定される固定レールと、を有し、前記固定レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を行わせる第1移動工程と、前記可動レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を前記第1移動工程に連続して行わせる第2移動工程と、を含む。
【0007】
上記ヘッド昇降装置の制御方法をコンピューターに実行させるプログラム。
上記ヘッド昇降装置の製造方法であって、前記昇降機構を、前記フレームに対して前記第2方向に移動させる調整工程と、前記調整工程の後、前記昇降機構に前記液体吐出ヘッドを装着する装着工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出装置の一実施形態の模式図。
図2】液体吐出ヘッドの模式図。
図3】ヘッド昇降装置の模式図。
図4図3における4-4線矢視断面図。
図5図3における5-5線矢視断面図。
図6】液体吐出ヘッドを第2印刷位置に位置させるヘッド昇降装置の模式図。
図7】第1可動レールと第1固定レールの模式図。
図8】第1レール調整位置に位置する第1可動レールの模式断面図。
図9】第2レール調整位置に位置する第1可動レールの模式断面図。
図10】第1軸調整位置に位置する第1軸の模式断面図。
図11】第2軸調整位置に位置する第1軸の模式断面図。
図12】液体吐出ヘッドをキャッピングするヘッド昇降装置の模式図。
図13】液体吐出ヘッドを離間位置に位置させるヘッド昇降装置の模式図。
図14】液体吐出ヘッドをワイピング位置に位置させるヘッド昇降装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ヘッド昇降装置、ヘッド昇降装置の制御方法、プログラム、ヘッド昇降装置の製造方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態のヘッド昇降装置は、液体吐出装置に設けられる。液体吐出装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Y軸と平行な方向を奥行方向Y、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
【0011】
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、媒体13を収容可能な媒体収容部14と、媒体13を給送する給送部15と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、図面に一点鎖線で示す搬送経路16に沿って媒体13を搬送する搬送部17と、媒体13を受けるスタッカー18と、を備えてもよい。搬送経路16は、媒体収容部14と、スタッカー18と、を結ぶ経路である。
【0012】
液体吐出装置11は、液体を吐出する液体吐出ヘッド19と、液体吐出ヘッド19を移動させるためのヘッド昇降装置20と、を備える。ヘッド昇降装置20は、液体吐出ヘッド19のノズル面19aを覆うキャップ21を備えてもよい。
【0013】
媒体収容部14は、複数の媒体13を積層状態で収容可能である。液体吐出装置11は、複数の媒体収容部14と、媒体収容部14と同数の給送部15と、を備えてもよい。給送部15は、媒体収容部14に収容される媒体13を給送する給送ローラー23と、媒体13を1枚ずつ分離する分離部24と、を備えてもよい。給送部15は、媒体収容部14に収容される媒体13を搬送経路16に送り出す。
【0014】
搬送部17は、搬送ローラー26と、無端状の搬送ベルト27と、搬送ベルト27が掛け渡される一対のプーリー28と、を備えてもよい。搬送部17は、複数の搬送ローラー26を備えてもよい。搬送ローラー26は、媒体13を挟んだ状態で回転することで、媒体13を搬送する。
【0015】
搬送ベルト27は、媒体13を搬送する搬送面27aを有する。搬送面27aは、搬送ベルト27の外周面のうち、例えば静電吸着によって媒体13を支持する平面である。搬送ベルト27は、搬送面27aが水平面に対して傾いて設けられてもよい。本実施形態では、搬送面27aに沿う方向であって、媒体13を搬送する方向を搬送方向Dcという。搬送ベルト27は、媒体13を搬送面27aに支持した状態で周回することにより、媒体13を搬送方向Dcに搬送する。
【0016】
液体吐出ヘッド19は、液体を吐出するノズル30が開口するノズル面19aを有する。ノズル面19aは、ノズル30が開口されたノズルプレートにより構成される。液体吐出ヘッド19は、ノズル30から液体を吐出し、搬送ベルト27に支持される媒体13に印刷する。本実施形態の液体吐出ヘッド19は、媒体13の幅方向に亘って液体を吐出可能なラインタイプである。液体吐出ヘッド19は、液体吐出ヘッド19の長手方向が奥行方向Yと一致するようにヘッド昇降装置20に取り付けられる。
【0017】
液体吐出装置11は、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する制御部32を備える。制御部32は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成され、メモリーに記憶されたプログラムに従って液体吐出ヘッド19、ヘッド昇降装置20、給送部15、及び搬送部17などを制御する。
【0018】
図2に示すように、液体吐出ヘッド19は、奥行方向Yにおける前面34から前方に突出する第1前突起35及び第2前突起36と、奥行方向Yにおける後面37から後方に突出する第1後突起38及び第2後突起39と、を有してもよい。第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、及び第2後突起39は、液体吐出ヘッド19に設けられた突起の一例である。すなわち、本実施形態の液体吐出ヘッド19には、4つの突起が設けられていてもよい。第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、及び第2後突起39は、回転可能なローラーやコロを有してもよいし、ベアリングを有してもよい。
【0019】
第1前突起35及び第2前突起36は、第1方向D1に互いに離れて並ぶ。本実施形態の第1方向D1は、ノズルプレートに垂直な方向の成分を含み、搬送面27aに垂直な方向である。また、第1方向D1は、垂直方向の成分と水平方向の成分とを含む。第1後突起38及び第2後突起39は、第1方向D1に互いに離れて並ぶ。液体吐出ヘッド19は、側面40から搬送方向Dcに突出するサイド突起41を有してもよい。液体吐出ヘッド19は、奥行方向Yに並ぶ複数のサイド突起41を有してもよい。
【0020】
図3に示すように、ヘッド昇降装置20は、液体吐出ヘッド19のノズル面19aを拭くワイパー43を備えてもよい。ヘッド昇降装置20は、液体吐出ヘッド19を第1方向D1に移動させるための昇降機構44と、昇降機構44を支持するフレーム45と、フレーム45に対して昇降機構44を移動させる調整部材46と、を備える。第1方向D1は、液体吐出ヘッド19が昇降する方向である。
【0021】
フレーム45は、前壁48と、後壁49と、前壁48と後壁49とをつなぐ梁50と、を有してもよい。前壁48および後壁49は、それぞれX軸およびZ軸に平行な壁であり、奥行方向Yに互いに離れて並ぶ。フレーム45は、梁50を複数有すると、前壁48と後壁49のねじれを低減できる。フレーム45は、奥行方向Yにおいて後壁49と前壁48との間であるフレーム45の内側に液体吐出ヘッド19を収容する。昇降機構44は、フレーム45の内側に設けられてもよい。
【0022】
調整部材46は、奥行方向Yにおいてフレーム45の外側に設けられる第1ねじ52a~第3ねじ52cを備えてもよい。昇降機構44は、第1ねじ52a~第3ねじ52cが回されることでフレーム45に対して移動してもよい。本実施形態の調整部材46は、前壁48に設けられている。また、調整部材46は、筐体12が備える前面カバー12aに対して奥行方向Yに並ぶ。第1ねじ52a~第3ねじ52cは、閉じた状態の前面カバー12aにより覆われると共に、前面カバー12aが開くことで外部に露出されてもよい。
【0023】
昇降機構44は、フレーム45に支持されたレール54を有してもよい。本実施形態のレール54は、前壁48に設けられる前レール54aと、後壁49に設けられる後レール54bと、を含んで構成される。
【0024】
昇降機構44は、前壁48及び後壁49に支持される第1軸56と、第1軸56に固定されるカム57と、を有してもよい。昇降機構44は、前壁48及び後壁49に支持される第2軸58と、第2軸58に固定される駆動歯車59と、を有してもよい。昇降機構44は、カム57及び駆動歯車59をそれぞれ複数有してもよい。
【0025】
図4に示すように、後壁49には、ワイパー43の移動を許容する貫通孔49aが形成されていてもよい。液体吐出装置11は、ワイパー43をY軸に沿って往復移動させるワイパー移動機構(不図示)を備えてもよい。図3に示すように、ワイパー43は、奥行方向Yにおいて、フレーム45の外側であって後壁49よりも後方に、待機位置を有する。ワイパー43は、図3に示す待機位置から奥行方向Yに移動して貫通孔49aを通過し、フレーム45の内側に進入してノズル面19aを拭く。
【0026】
キャップ21は、奥行方向Yにおいて、フレーム45の内側に設けられる。キャップ21は、図4に示す退避位置と、図12に示すキャッピング位置とを有する。液体吐出装置11は、退避位置とキャッピング位置との間でキャップ21を移動させるキャップ移動機構(不図示)を備えてもよい。
【0027】
昇降機構44は、駆動歯車59に噛み合うラック61と、ラック61と液体吐出ヘッド19との間に設けられるばね62と、を有してもよい。ラック61は、駆動歯車59の回転に伴って、駆動歯車59に対して第1方向D1に相対移動する。液体吐出ヘッド19は、ラック61と共に移動する。第1方向D1は、液体吐出ヘッド19が搬送面27aから離れる方向であり、本実施形態の第1方向D1は、搬送面27aに垂直な方向である。具体的には、ラック61及び液体吐出ヘッド19は、駆動歯車59が正回転することにより第1方向D1に移動し、駆動歯車59が逆回転することにより第1方向D1とは反対の方向に移動して搬送面27aに近づく。
【0028】
後レール54bは、第1後案内部64と、第2後案内部65と、を有する。第1後案内部64は、第1後突起38を第1方向D1に案内する。第2後案内部65は、第2後突起39を第1方向D1に案内する。
【0029】
図5に示すように、前レール54aは、第1前案内部67と、第2前案内部68と、を有する。第1前案内部67は、第1前突起35を第1方向D1に案内する。第2前案内部68は、第2前突起36を第1方向D1に案内する。換言すると、第1方向D1は、液体吐出ヘッド19がレール54に案内される方向であり、レール54が延びる方向である。
【0030】
第1前案内部67は、可動レールの一例である第1可動レール70と、固定レールの一例である第1固定レール71と、を有してもよい。第2前案内部68は、可動レールの一例である第2可動レール72と、固定レールの一例である第2固定レール73と、を有してもよい。第1固定レール71及び第2固定レール73は、フレーム45に固定される。調整部材46は、第1可動レール70及び第2可動レール72をフレーム45に対して移動させる。本実施形態の調整部材46は、第1可動レール70と第2可動レール72を個別に移動可能である。
【0031】
液体吐出ヘッド19は、駆動歯車59が逆回転すると、レール54に沿って搬送面27aに近づくように移動し、サイド突起41がカム57に当たって移動が制限される。液体吐出ヘッド19は、第1前突起35が第1可動レール70内の図5に示す第1位置に保持されると共に、第2前突起36が第2可動レール72内の図5に示す第1位置に保持される状態で、搬送される媒体13に液体を吐出して印刷を行ってもよい。
【0032】
液体吐出ヘッド19は、カム57の回転により第1方向D1の位置が調整される。すなわち、第1前突起35及び第2前突起36が第1位置に位置する図5に示す状態でカム57が回転すると、液体吐出ヘッド19はカム57に押されて第1方向D1に移動する。具体的には、液体吐出ヘッド19は、図5に示す第1印刷位置と、図6に示す第2印刷位置との間を移動する。液体吐出ヘッド19の移動により、ノズル面19aと搬送面27aとの距離が調整される。液体吐出ヘッド19の移動は、ばね62により許容される。したがって、カム57の回転は、駆動歯車59が停止した状態で行われ、ラック61は移動しない。なお、サイド突起41がカム57に当たっていない状態でカム57を回転させることにより、サイド突起41がカム57に当たっている状態での液体吐出ヘッド19の第1方向D1の位置を調整してもよい。
【0033】
図6に示すように、液体吐出ヘッド19は、第1前突起35が第1可動レール70内の図6に示す第2位置に保持されると共に、第2前突起36が第2可動レール72内の図6に示す第2位置に保持される状態で、搬送される媒体13に液体を吐出して印刷を行ってもよい。第1前突起35及び第2前突起36が第1位置に保持される液体吐出ヘッド19のノズル面19aは、第1前突起35及び第2前突起36が第2位置に保持される液体吐出ヘッド19のノズル面19aと平行であってもよい。
【0034】
本実施形態では、第1可動レール70及び第2可動レール72の構成は同じであり、第1可動レール70と第1固定レール71の接続部分と、第2可動レール72と第2固定レール73の接続部分の構成も同じである。そのため、以下の説明では、第1可動レール70と第1固定レール71について説明し、共通する構成については同一符号を付すことで重複した説明を省略する。
【0035】
図7に示すように、第1可動レール70及び第1固定レール71は、第1前突起35が移動する移動路75を形成する上壁76及び下壁77を有してもよい。第1可動レール70は、移動路75の第1端70aにおける上壁76と下壁77との第1間隔C1より、第1端70aとは反対の第2端70bにおける上壁76と下壁77との第2間隔C2が大きくてもよい。第2端70bは、第1固定レール71と隣り合う。
【0036】
上壁76と下壁77の第2方向D2の中心を第1可動レール70の第1端70aから第2端70bまでつないだ図7に一点鎖線で示す仮想線の一例である第1仮想線79は、第1線分79a、第2線分79b、及び第3線分79cを含む。第1線分79aは、下壁77に平行で第1端70aと第1端点81とをつなぐ。第2線分79bは、第1端点81と第2端点82とつなぐ。第3線分79cは、下壁77に平行で第2端点82と第2端70bとをつなぐ。
【0037】
第2方向D2において、第1端点81と下壁77との第3間隔C3は、第1間隔C1の半分である。第2方向D2において、第2端点82と下壁77との第4間隔C4は、第2間隔C2の半分である。第4間隔C4は、第3間隔C3より大きい。
【0038】
第1固定レール71の第3端71aは、第1可動レール70と隣り合う。上壁76と下壁77の第2方向D2の中心を通る第2仮想線84は、第4線分84a、第5線分84b、及び第6線分84cを含む。第4線分84aは、下壁77に平行で第3端71aと第3端点85とをつなぐ。第5線分84bは、第3端点85と第4端点86とつなぐ。第6線分84cは、第4端点86を通り下壁77に平行な線分である。第2方向D2において、第3端点85と下壁77との第5間隔C5は、第4端点86と下壁77との第6間隔C6より大きい。
【0039】
図6に示すように、調整部材46は、第1方向D1とは異なる第2方向D2に、第1可動レール70及び第2可動レール72をフレーム45に対して移動させる。第1可動レール70及び第2可動レール72の移動により、液体吐出ヘッド19と共にラック61も第2方向D2に移動する。すなわち、調整部材46は、駆動歯車59に対するラック61の位置を第2方向D2に変更してもよい。本実施形態のラック61の歯は、第2方向D2を向く。調整部材46がラック61の位置を変更する最大変更量は、ラック61の歯の最大長さより短くてもよい。本実施形態の第2方向D2は、搬送方向Dcとは反対の方向である。
【0040】
図8図9に示すように、前壁48は、第1ねじ52aを回転可能に支持する第1支持部48aを有してもよい。調整部材46は、第1ねじ52aと螺合する第1ねじ穴88が形成された第1移動部89を有してもよい。第1移動部89は、第1ねじ52aの回転により、第1支持部48aに対して移動する。第1移動部89の移動量は、第1ねじ52aの回転量により決まる。また、第1移動部89は、図示しないばねにより、第1支持部48aに対する距離が遠くなる側または近くなる側に付勢されていてもよく、第1ねじ52aは、このばねのばね力に抗して第1移動部89を移動させてもよい。また、第1移動部89は、前壁48に設けられた突起により、第1方向D1への移動が規制されていてもよい。
【0041】
第1可動レール70は、第1移動部89に固定される。第1可動レール70及び第1移動部89は、第1ねじ52aが左回りに回転することで、第2方向D2に移動する。第1可動レール70及び第1移動部89は、第1ねじ52aが右回りに回転することで、第2方向D2とは反対の方向に移動する。具体的には、第1可動レール70及び第1移動部89は、図8に示す第1レール調整位置と図9に示す第2レール調整位置との間を移動可能である。同様に第2可動レール72は、第3ねじ52cの回転により第2方向D2もしくは第2方向D2とは反対の方向に移動する。
【0042】
図10図11に示すように、前壁48は、第2ねじ52bを支持する第2支持部48bを有してもよい。調整部材46は、第2ねじ52bと螺合する第2ねじ穴90が形成された第2移動部91を有してもよい。第2移動部91は、第2ねじ52bの回転により、第2支持部48bに対して移動する。第2移動部91の移動量は、第2ねじ52bの回転量により決まる。
【0043】
第1軸56の前端は、第2移動部91に固定される。第1軸56の前端及び第2移動部91は、第2ねじ52bが右回りに回転することで、第1方向D1に移動する。第1軸56の前端及び第2移動部91は、第2ねじ52bが左回りに回転することで、第1方向D1とは反対の方向に移動する。具体的には、第1軸56の前端及び第2移動部91は、図10に示す第1軸調整位置と図11に示す第2軸調整位置との間を移動可能である。
【0044】
本実施形態の作用について説明する。
ヘッド昇降装置20の製造方法は、昇降機構44を、フレーム45に対して第2方向D2に移動させる調整工程と、調整工程の後、昇降機構44に液体吐出ヘッド19を装着する装着工程と、を含む。調整工程では、長手調整工程、高さ調整工程、及び傾き調整工程を順に行ってもよい。
【0045】
調整工程は、液体吐出ヘッド19ではなく、図示しない模擬ヘッドをフレーム45に装着して行ってもよい。模擬ヘッドは、ノズル30から液体を吐出する構成を有していないものの、外形は液体吐出ヘッド19と同じである。そのため、模擬ヘッドが有する構成は、液体吐出ヘッド19と同一の符号を付して説明する。すなわち、模擬ヘッドは、液体吐出ヘッド19と同じ大きさ及び同じ配置で設けられる第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、第2後突起39、及びサイド突起41を有する。模擬ヘッドをヘッド昇降装置20に装着すると、第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、第2後突起39、及びサイド突起41が、それぞれ第1前案内部67、第2前案内部68、第1後案内部64、第2後案内部65、及びカム57に保持される。
【0046】
長手調整工程では、調整部材46は、第1後案内部64に対して第1可動レール70を移動させる。具体的には、作業者は、ねじの一例である第1ねじ52aを回転させることで第1可動レール70を第2方向D2もしくは第2方向D2とは反対の方向に移動させ、第1方向D1から見て模擬ヘッドの長手方向がY軸と平行になるように調整する。
【0047】
長手調整工程では、第1後案内部64が液体吐出ヘッド19を支持する基準部材として機能し、第1可動レール70が液体吐出ヘッド19を支持し、かつ、フレーム45に対して移動可能な可動部材として機能する。第1後案内部64と第1可動レール70は、液体吐出ヘッド19の長手方向、すなわち、奥行方向Yに離れて設けられる。
【0048】
高さ調整工程では、第1軸56の後壁49に支持される後端を基準として、第1軸56の前壁48に支持される前端を移動させる。具体的には、作業者は、第2ねじ52bを回転させることで、第1軸56の前端を第1方向D1もしくは第1方向D1とは反対の方向に移動させ、搬送面27aとノズル面19aとの距離が、模擬ヘッドの長手方向に亘って等しくなるように調整する。
【0049】
傾き調整工程では、調整部材46は、第1可動レール70に対して第2可動レール72を移動させる。具体的には、作業者は、ねじの一例である第3ねじ52cを回転させることで第2可動レール72を第2方向D2もしくは第2方向D2とは反対の方向に移動させ、第1前突起35及び第2前突起36が第1方向D1に並ぶように調整する。
【0050】
傾き調整工程では、第1可動レール70が液体吐出ヘッド19を支持する基準部材として機能し、第2可動レール72がフレーム45に対して移動可能な可動部材として機能する。第1可動レール70と第2可動レール72は、第1方向D1に離れて設けられる。
【0051】
調整工程が終了すると、作業者は、模擬ヘッドを液体吐出ヘッド19に交換する装着工程を行う。すなわち、作業者は、第1可動レール70、第2可動レール72、及び第1軸56を調整した位置のまま模擬ヘッドを昇降機構44から取り外し、液体吐出ヘッド19を昇降機構44に装着する。
【0052】
次に、印刷時と非印刷時との切り替えについて説明する。
図12に示すように、印刷を行わない非印刷時には、液体吐出ヘッド19は、図12に示す待機位置に位置し、キャッピング位置に位置するキャップ21によりキャッピングされている。液体吐出ヘッド19が待機位置に位置する状態では、第1前突起35は第1固定レール71に保持され、第2前突起36は、第2固定レール73に保持される。すなわち、キャップ21は、第1前突起35が第1固定レール71に保持されると共に、第2前突起36が第2固定レール73に保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを覆う。
【0053】
図13に示すように、印刷を行う場合、制御部32は、駆動歯車59を正回転させ、液体吐出ヘッド19を第1方向D1に移動させる。液体吐出ヘッド19は、待機位置から図9に示す離間位置に移動し、キャップ21から離れる。離間位置に位置する液体吐出ヘッド19は、第1前突起35が第1固定レール71に保持され、第2前突起36が第2固定レール73に保持される。
【0054】
次に、図5に示すように、制御部32は、キャップ21を退避位置に移動させる。制御部32は、駆動歯車59を逆回転させ、液体吐出ヘッド19を第1方向D1とは反対の方向に移動させる。液体吐出ヘッド19は、離間位置から搬送面27aに近づくように移動し、サイド突起41がカム57に接触した位置で停止する。サイド突起41がカム57に接触した状態において、第1前突起35が第1可動レール70に保持されると共に第2前突起36が第2可動レール72に保持される。すなわち、制御部32は、第1固定レール71及び第2固定レール73に沿った液体吐出ヘッド19の移動と、第1可動レール70及び第2可動レール72に沿った液体吐出ヘッド19の移動を連続して行わせる。したがって、ヘッド昇降装置20の制御方法は、第1固定レール71及び第2固定レール73に沿った液体吐出ヘッド19の移動を行わせる第1移動工程と、第1可動レール70及び第2可動レール72に沿った液体吐出ヘッド19の移動を第1移動工程に連続して行わせる第2移動工程と、を含む。
【0055】
図13に示すように、印刷が終了すると、制御部32は、駆動歯車59を正回転させ、液体吐出ヘッド19を印刷位置から離間位置に移動させる。このとき制御部32は、第1可動レール70及び第2可動レール72に沿った液体吐出ヘッド19の移動のあと、第1固定レール71及び第2固定レール73に沿った液体吐出ヘッド19の移動を行わせる。
【0056】
その後、図12に示すように、制御部32は、液体吐出ヘッド19を離間位置に位置させた状態で、キャップ21をキャッピング位置に移動させる。制御部32は、キャップ21がキャッピング位置に位置する状態で、液体吐出ヘッド19を待機位置に移動させ、キャップ21により液体吐出ヘッド19をキャッピングする。
【0057】
次に、ワイピングを行う場合について説明する。
図14に示すように、制御部32は、駆動歯車59を回転させ、液体吐出ヘッド19をワイピング位置に位置させる。ワイピング位置は、第1方向D1において、印刷位置と待機位置との間の位置である。液体吐出ヘッド19がワイピング位置に位置するとき、第1前突起35は第1固定レール71に位置し、第2前突起36は第2固定レール73に位置する。制御部32は、ワイパー43を奥行方向Yに移動させ、ワイパー43によりノズル面19aを拭く。したがって、ワイパー43は、第1前突起35が第1固定レール71に保持されると共に、第2前突起36が第2固定レール73に保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを拭く。
【0058】
本実施形態の効果について説明する。
(1)昇降機構44は、液体吐出ヘッド19を、液体吐出ヘッド19が昇降する第1方向D1に移動させる。調整部材46は、昇降機構44を第2方向D2に移動させる。すなわち、調整部材46は、昇降機構44を介して液体吐出ヘッド19を第2方向D2に移動させる。したがって、昇降機構44により液体吐出ヘッド19の第1方向D1の位置を調整でき、調整部材46により液体吐出ヘッド19の第2方向D2の位置を調整できるため、液体吐出ヘッド19の位置を複数の方向に容易に調整できる。
【0059】
(2)液体吐出ヘッド19に設けられた第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、及び第2後突起39を案内するレール54は、フレーム45に支持される。これにより、例えば液体吐出ヘッド19にレール54を設け、フレーム45に突起を設ける場合に比べ、レール54の長さを長くすることができる。液体吐出ヘッド19の移動可能な距離は、レール54の長さにより決まる。そのため、液体吐出ヘッド19の移動距離を長くすることができる。
【0060】
(3)調整部材46は、第1可動レール70及び第2可動レール72をフレーム45に対して移動させる。そのため、調整部材46がレール54全体を移動させる場合に比べ、液体吐出ヘッド19の位置を容易に調整できる。例えば、印刷を行う時に液体吐出ヘッド19を第1可動レール70及び第2可動レール72により保持し、キャッピングやワイピングを行う時に液体吐出ヘッド19を第1固定レール71及び第2固定レール73により保持することにより、調整部材46による調整を容易にするとともに、媒体13に高い品質で印刷を行うことができる。
【0061】
(4)第1可動レール70は、第1固定レール71と隣り合う第2端70bの第2間隔C2が、第1端70aの第1間隔C1より大きい。したがって、第1可動レール70と第1固定レール71との間で第1前突起35をスムーズに移動させることができる。
【0062】
(5)第1方向D1は、水平方向の成分を含む。そのため、液体吐出ヘッド19の突起は、上壁76と下壁77のうち、下壁77に沿って移動しやすい。第1線分79aと第3線分79cは、下壁77に平行であり、第2端点82と下壁77との第4間隔C4は、第1端点81と下壁77との第3間隔C3より大きい。そのため、下壁77は、上壁76に比べてなだらかに形成することができ、下壁77に沿って移動する液体吐出ヘッド19の振動を低減できる。
【0063】
(6)液体吐出ヘッド19は、第1可動レール70内の複数の位置において媒体13に液体を吐出することができる。したがって、調整部材46が調整した結果を複数の印刷モードにおいて利用することができる。
【0064】
(7)液体吐出ヘッド19は、媒体13とノズル面19aとが平行な状態で液体を吐出することで、非平行な状態で液体を吐出する場合に比べ、媒体13に高い品質で印刷を行うことができる。ノズル面19aは、液体吐出ヘッド19が第1可動レール70内を移動しても平行に維持される。したがって、調整工程により調整した結果を液体吐出ヘッド19が第1可動レール70内を移動しても利用できるので、液体吐出ヘッド19が複数の位置において媒体13に液体を吐出する場合でも、印刷品質の低下を抑制できる。
【0065】
(8)液体吐出ヘッド19は、第1可動レール70及び第1固定レール71を移動するため、第1可動レール70のみを移動する場合に比べ、液体吐出ヘッド19の移動距離を長くすることができる。そのため、液体吐出ヘッド19は、媒体13に液体を吐出する位置から容易に離れることができる。キャップ21は、第1固定レール71及び第2固定レール73に保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを覆う。したがって、キャップ21がノズル面19aを覆うためのスペースを容易に確保できる。
【0066】
(9)ワイパー43は、第1固定レール71及び第2固定レール73に保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを拭く。したがって、ワイパー43がノズル面19aを拭くためのスペースを容易に確保できる。
【0067】
(10)ラック61は第1方向D1に移動するため、液体吐出ヘッド19にラック61を設けることで液体吐出ヘッド19を第1方向D1に容易に移動させることができる。ラック61の歯は、第2方向D2を向くため、調整部材46がラック61の第2方向D2の位置を変更しても、駆動歯車59とラック61の噛み合いが外れる虞を低減できる。
【0068】
(11)調整部材46がラック61の位置を変更する最大変更量は、ラック61の歯の最大長さより短いため、駆動歯車59とラック61の噛み合いが外れる虞を低減できる。
(12)調整部材46は、基準部材に対して可動部材を移動させる。そのため、調整部材46は、基準部材を中心とする周方向に液体吐出ヘッド19を移動させることで、液体吐出ヘッド19の位置を調整することができる。
【0069】
(13)第1後案内部64と第1可動レール70は、液体吐出ヘッド19の長手方向に離れて設けられる。そのため、調整部材46は、第1後案内部64に対して第1可動レール70を移動させることで、液体吐出ヘッド19の長手方向の傾きを調整できる。
【0070】
(14)第1可動レール70と第2可動レール72は、第1方向D1に離れて設けられる。そのため、調整部材46は、第1可動レール70に対して第2可動レール72を移動させることで、液体吐出ヘッド19の第1方向D1に対する傾きを調整できる。
【0071】
(15)調整部材46は、フレーム45の外側に設けられる。そのため、例えば筐体12に設けられた前面カバー12aを開くことで露出する位置にヘッド昇降装置20を配置すると、ヘッド昇降装置20を筐体12内に収容する場合でも、筐体12の外から液体吐出ヘッド19の位置を容易に調整できる。
【0072】
(16)昇降機構44は、フレーム45の外側に設けられる第1ねじ52a~第3ねじ52cが回されることで、フレーム45に対して移動する。そのため、フレーム45の外側から昇降機構44の位置を容易に調整できる。
【0073】
(17)ヘッド昇降装置20は、第1移動工程に連続して第2移動工程を行う。そのため、第1移動工程と第2移動工程の一方のみを行う場合に比べ、液体吐出ヘッド19を長い距離移動させることができる。
【0074】
(18)調整工程を行って昇降機構44の位置を調整した後、調整部材46に液体吐出ヘッド19を装着する。そのため、例えば液体吐出ヘッド19を交換する場合も昇降機構44を移動させる必要がなく、液体吐出ヘッド19の交換を容易に行うことができる。
【0075】
(19)調整部材46は、筐体12が備える前面カバー12aと奥行方向Yに並び、前面カバー12aが開くことで外部に露出する。そのため、ヘッド昇降装置20を液体吐出装置11に組み付けた後でも、液体吐出装置11の前方から調整部材46を操作して液体吐出ヘッド19の位置を調整できる。
【0076】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1方向D1において、レール54の長さは、液体吐出ヘッド19の長さよりも長くしてもよい。これにより液体吐出ヘッド19は、自身の長さより長い距離を第1方向D1に移動できる。
【0077】
・液体吐出装置11は、第1ねじ52a~第3ねじ52cをそれぞれ回転させる駆動部を備えてもよい。制御部32は、駆動部の駆動を制御して第1ねじ52a~第3ねじ52cを個別に回転させてもよい。
【0078】
・調整部材46は、カムを回転させることで、昇降機構44の位置を調整してもよい。
・液体吐出装置11は、調整部材46により位置が調整された昇降機構44を、例えばねじによりフレーム45に固定してもよい。
【0079】
・調整部材46は、フレーム45の内側に設けてもよい。
・調整部材46は、後壁49に設けてもよい。
・調整部材46は、第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、及び第2後突起39のうち少なくとも1つの突起の位置を調整してもよい。
【0080】
・ラック61をフレーム45に固定し、駆動歯車59を液体吐出ヘッド19に固定してもよい。
・調整部材46がラック61の位置を変更する最大変更量は、ラック61の歯の最大長さ以上であってもよい。調整部材46は、ラック61の位置に合わせて駆動歯車59の位置を調整してもよい。
【0081】
・ラック61の歯は、第2方向D2とは異なる方向を向いてもよい。例えば、ラック61は、液体吐出ヘッド19の第2方向D2における位置に合わせて角度が変化してもよい。
【0082】
・昇降機構44は、環状のベルトに液体吐出ヘッド19を固定し、ベルトを周回させることで液体吐出ヘッド19を移動させてもよい。昇降機構44は、例えばウィンチを用いて液体吐出ヘッド19を吊り上げるように移動させてもよい。昇降機構44は、例えばジャッキを用いて液体吐出ヘッド19を押し上げるように移動させてもよい。
【0083】
・調整部材46は、レール54全体を第2方向D2に移動させてもよい。すなわち、レール54は、全体を可動レールにより構成してもよい。
・ワイパー43は、第1前突起35及び第2前突起36が可動レールに保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを拭いてもよい。
【0084】
・キャップ21は、第1前突起35及び第2前突起36が可動レールに保持された状態の液体吐出ヘッド19のノズル面19aを覆ってもよい。
・第1前突起35が第1可動レール70内の第1位置に保持される液体吐出ヘッド19のノズル面19aは、第1前突起35が第1可動レール70内の第2位置に保持される液体吐出ヘッド19のノズル面19aと非平行であってもよい。
【0085】
・第2端点82と下壁77との第4間隔C4は、第1端点81と下壁77との第3間隔C3以下であってもよい。
・第1可動レール70は、第1端70aにおける上壁76と下壁77との第1間隔C1が、第2端70bにおける上壁76と下壁77との第2間隔C2以上であってもよい。
【0086】
・レール54は、少なくとも一部が湾曲していてもよい。レール54は、少なくとも一部が屈曲していてもよい。
・レール54は、液体吐出ヘッド19に設けてもよい。第1前突起35、第2前突起36、第1後突起38、第2後突起39は、フレーム45に設けてもよい。
【0087】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0088】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)ヘッド昇降装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを、前記液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させるための昇降機構と、前記昇降機構を支持するフレームと、前記第1方向とは異なる第2方向に、前記フレームに対して前記昇降機構を移動させる調整部材と、を備える。
【0089】
この構成によれば、昇降機構は、液体吐出ヘッドを、液体吐出ヘッドが昇降する第1方向に移動させる。調整部材は、昇降機構を第2方向に移動させる。すなわち、調整部材は、昇降機構を介して液体吐出ヘッドを第2方向に移動させる。したがって、昇降機構により液体吐出ヘッドの第1方向の位置を調整でき、調整部材により液体吐出ヘッドの第2方向の位置を調整できるため、液体吐出ヘッドの位置を複数の方向に容易に調整できる。
【0090】
(B)ヘッド昇降装置において、前記昇降機構は、前記フレームに支持されたレールを有し、前記レールは、前記液体吐出ヘッドに設けられた突起を前記第1方向に案内してもよい。
【0091】
この構成によれば、液体吐出ヘッドに設けられた突起を案内するレールは、フレームに支持される。これにより、例えば液体吐出ヘッドにレールを設け、フレームに突起を設ける場合に比べ、レールの長さを長くすることができる。液体吐出ヘッドの移動可能な距離は、レールの長さにより決まる。そのため、液体吐出ヘッドの移動距離を長くすることができる。
【0092】
(C)ヘッド昇降装置において、前記レールは、可動レールと固定レールとを有し、前記固定レールは、前記フレームに固定され、前記調整部材は、前記可動レールを前記フレームに対して移動させてもよい。
【0093】
この構成によれば、調整部材は、可動レールをフレームに対して移動させる。そのため、調整部材がレール全体を移動させる場合に比べ、液体吐出ヘッドの位置を容易に調整できる。
【0094】
(D)ヘッド昇降装置において、前記第1方向は、水平方向の成分を含み、前記可動レールは、前記突起が移動する移動路を形成する上壁及び下壁を有し、前記可動レールは、前記移動路の第1端における前記上壁と前記下壁との第1間隔より、前記第1端とは反対の第2端における前記上壁と前記下壁との第2間隔が大きく、前記第2端は、前記固定レールと隣り合ってもよい。
【0095】
この構成によれば、可動レールは、固定レールと隣り合う第2端の第2間隔が、第1端の第1間隔より大きい。したがって、可動レールと固定レールとの間で突起をスムーズに移動させることができる。
【0096】
(E)ヘッド昇降装置において、前記第1方向は、水平方向の成分を含み、前記可動レールは、前記突起が移動する移動路を形成する上壁及び下壁を有し、前記上壁と前記下壁の前記第2方向の中心を前記可動レールの第1端から該第1端とは反対の第2端までつないだ仮想線は、第1線分、第2線分、及び第3線分を含み、前記第2端は、前記固定レールと隣り合い、前記第1線分は、前記下壁に平行で前記第1端と第1端点とをつなぎ、前記第2線分は、前記第1端点と第2端点とをつなぎ、前記第3線分は、前記下壁に平行で前記第2端点と前記第2端とをつなぎ、前記第2端点と前記下壁との間隔は、前記第1端点と前記下壁との間隔より大きくてもよい。
【0097】
第1方向は、水平方向の成分を含む。そのため、液体吐出ヘッドの突起は、上壁と下壁のうち、下壁に沿って移動しやすい。この構成によれば、第1線分と第3線分は、下壁に平行であり、第2端点と下壁との間隔は、第1端点と下壁との間隔より大きい。そのため、下壁は、上壁に比べてなだらかに形成することができ、下壁に沿って移動する液体吐出ヘッドの振動を低減できる。
【0098】
(F)ヘッド昇降装置において、前記液体吐出ヘッドは、搬送される媒体に、前記突起が第1位置に保持される状態と、前記突起が第2位置に保持される状態と、の各状態で前記液体を吐出し、前記第1位置と前記第2位置は、前記可動レール内の位置であってもよい。
【0099】
この構成によれば、液体吐出ヘッドは、可動レール内の複数の位置において媒体に液体を吐出することができる。したがって、調整部材が調整した結果を複数の印刷モードにおいて利用することができる。
【0100】
(G)ヘッド昇降装置において、前記液体吐出ヘッドは、前記液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有し、前記突起が前記第1位置に保持される前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面は、前記突起が前記第2位置に保持される前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面と平行であってもよい。
【0101】
液体吐出ヘッドは、媒体とノズル面とが平行な状態で液体を吐出することで、非平行な状態で液体を吐出する場合に比べ、媒体に高い品質で印刷を行うことができる。この構成によれば、ノズル面は、液体吐出ヘッドが可動レール内を移動しても平行に維持される。したがって、液体吐出ヘッドが複数の位置において媒体に液体を吐出する場合でも、印刷品質の低下を抑制できる。
【0102】
(H)ヘッド昇降装置において、前記液体吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップをさらに備え、前記キャップは、前記突起が前記固定レールに保持された状態の前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面を覆ってもよい。
【0103】
液体吐出ヘッドは、可動レール及び固定レールを移動するため、可動レールのみを移動する場合に比べ、液体吐出ヘッドの移動距離を長くすることができる。そのため、液体吐出ヘッドは、媒体に液体を吐出する位置から容易に離れることができる。この構成によれば、キャップは、固定レールに保持された状態の液体吐出ヘッドのノズル面を覆う。したがって、キャップがノズル面を覆うためのスペースを容易に確保できる。
【0104】
(I)ヘッド昇降装置において、前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭くワイパーをさらに備え、前記ワイパーは、前記突起が前記固定レールに保持された状態の前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面を拭いてもよい。
【0105】
この構成によれば、ワイパーは、固定レールに保持された状態の液体吐出ヘッドのノズル面を拭く。したがって、ワイパーがノズル面を拭くためのスペースを容易に確保できる。
【0106】
(J)ヘッド昇降装置において、前記昇降機構は、駆動歯車と、該駆動歯車に噛み合うラックと、を有し、前記ラックは、前記駆動歯車の回転に伴って、前記駆動歯車に対して前記第1方向に相対移動し、前記ラックの歯は、前記第2方向を向き、前記調整部材は、前記駆動歯車に対する前記ラックの位置を前記第2方向に変更してもよい。
【0107】
この構成によれば、ラックは第1方向に移動するため、液体吐出ヘッドにラックを設けることで液体吐出ヘッドを第1方向に容易に移動させることができる。ラックの歯は、第2方向を向くため、調整部材がラックの第2方向の位置を変更しても、駆動歯車とラックの噛み合いが外れる虞を低減できる。
【0108】
(K)ヘッド昇降装置において、前記調整部材が前記ラックの位置を変更する最大変更量は、前記歯の最大長さより短くてもよい。
この構成によれば、調整部材がラックの位置を変更する最大変更量は、ラックの歯の最大長さより短いため、駆動歯車とラックの噛み合いが外れる虞を低減できる。
【0109】
(L)ヘッド昇降装置は、前記第1方向において、前記レールの長さは、前記液体吐出ヘッドの長さよりも長くてもよい。
この構成によれば、第1方向において、レールは、液体吐出ヘッドより長い。したがって、液体吐出ヘッドは、自身の長さより長い距離を第1方向に移動できる。
【0110】
(M)ヘッド昇降装置において、前記昇降機構は、前記液体吐出ヘッドを支持する基準部材と、前記液体吐出ヘッドを支持し、かつ、前記フレームに対して移動可能な可動部材と、を有し、前記調整部材は、前記基準部材に対して前記可動部材を移動させてもよい。
【0111】
この構成によれば、調整部材は、基準部材に対して可動部材を移動させる。そのため、調整部材は、基準部材を中心とする周方向に液体吐出ヘッドを移動させることで、液体吐出ヘッドの位置を調整することができる。
【0112】
(N)ヘッド昇降装置において、前記基準部材と前記可動部材は、前記液体吐出ヘッドの長手方向に離れて設けられてもよい。
この構成によれば、基準部材と可動部材は、液体吐出ヘッドの長手方向に離れて設けられる。そのため、調整部材は、基準部材に対して可動部材を移動させることで、液体吐出ヘッドの長手方向の傾きを調整できる。
【0113】
(O)ヘッド昇降装置において、前記基準部材と前記可動部材は、前記第1方向に離れて設けられてもよい。
この構成によれば、基準部材と可動部材は、第1方向に離れて設けられる。そのため、調整部材は、基準部材に対して可動部材を移動させることで、液体吐出ヘッドの第1方向に対する傾きを調整できる。
【0114】
(P)ヘッド昇降装置において、前記調整部材は、前記フレームの外側に設けられてもよい。
この構成によれば、調整部材は、フレームの外側に設けられる。そのため、例えば筐体に設けられたカバーを開くことで露出する位置にヘッド昇降装置を配置すると、ヘッド昇降装置を筐体内に収容する場合でも、筐体の外から液体吐出ヘッドの位置を容易に調整できる。
【0115】
(Q)ヘッド昇降装置において、前記昇降機構は、前記フレームの内側に設けられ、前記調整部材は、前記フレームの外側に設けられるねじを備え、前記昇降機構は、前記ねじが回されることで前記フレームに対して移動してもよい。
【0116】
この構成によれば、昇降機構は、フレームの外側に設けられるねじが回されることで、フレームに対して移動する。そのため、フレームの外側から昇降機構の位置を容易に調整できる。
【0117】
(R)ヘッド昇降装置の制御方法は、上記構成のヘッド昇降装置の制御方法であって、前記昇降機構は、前記フレームに対して移動可能な可動レールと、前記フレームに固定される固定レールと、を有し、前記固定レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を行わせる第1移動工程と、前記可動レールに沿った前記液体吐出ヘッドの移動を前記第1移動工程に連続して行わせる第2移動工程と、を含む。
【0118】
この方法によれば、ヘッド昇降装置は、第1移動工程に連続して第2移動工程を行う。そのため、第1移動工程と第2移動工程の一方のみを行う場合に比べ、液体吐出ヘッドを長い距離移動させることができる。
【0119】
(S)プログラムは、上記ヘッド昇降装置の制御方法をコンピューターに実行させる。
この方法によれば、上記ヘッド昇降装置の制御方法と同様の効果を奏することができる。
【0120】
(T)ヘッド昇降装置の製造方法は、上記構成のヘッド昇降装置の製造方法であって、前記昇降機構を、前記フレームに対して前記第2方向に移動させる調整工程と、前記調整工程の後、前記昇降機構に前記液体吐出ヘッドを装着する装着工程と、を含む。
【0121】
この方法によれば、調整工程を行って昇降機構の位置を調整した後、調整部材に液体吐出ヘッドを装着する。そのため、例えば液体吐出ヘッドを交換する場合も昇降機構を移動させる必要がなく、液体吐出ヘッドの交換を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0122】
11…液体吐出装置、12…筐体、12a…前面カバー、13…媒体、14…媒体収容部、15…給送部、16…搬送経路、17…搬送部、18…スタッカー、19…液体吐出ヘッド、19a…ノズル面、20…ヘッド昇降装置、21…キャップ、23…給送ローラー、24…分離部、26…搬送ローラー、27…搬送ベルト、27a…搬送面、28…プーリー、30…ノズル、32…制御部、34…前面、35…突起の一例である第1前突起、36…突起の一例である第2前突起、37…後面、38…突起の一例である第1後突起、39…突起の一例である第2後突起、40…側面、41…サイド突起、43…ワイパー、44…昇降機構、45…フレーム、46…調整部材、48…前壁、48a…第1支持部、48b…第2支持部、49…後壁、49a…貫通孔、50…梁、52a…ねじの一例である第1ねじ、52b…第2ねじ、52c…ねじの一例である第3ねじ、54…レール、54a…前レール、54b…後レール、56…第1軸、57…カム、58…第2軸、59…駆動歯車、61…ラック、62…ばね、64…基準部材の一例である第1後案内部、65…第2後案内部、67…第1前案内部、68…第2前案内部、70…可動レール、可動部材、及び基準部材の一例である第1可動レール、70a…第1端、70b…第2端、71…固定レールの一例である第1固定レール、71a…第3端、72…可動レール及び可動部材の一例である第2可動レール、73…固定レールの一例である第2固定レール、75…移動路、76…上壁、77…下壁、79…仮想線の一例である第1仮想線、79a…第1線分、79b…第2線分、79c…第3線分、81…第1端点、82…第2端点、84…第2仮想線、84a…第4線分、84b…第5線分、84c…第6線分、85…第3端点、86…第4端点、88…第1ねじ穴、89…第1移動部、90…第2ねじ穴、91…第2移動部、C1…第1間隔、C2…第2間隔、C3…第3間隔、C4…第4間隔、C5…第5間隔、C6…第6間隔、D1…第1方向、D2…第2方向、Dc…搬送方向、Y…奥行方向、Z…鉛直方向。
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